JP7495277B2 - 車輪支持用転がり軸受ユニット - Google Patents

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Description

本発明は、車輪支持用転がり軸受ユニットに関し、特に、組合せシールリングを備える車輪支持用転がり軸受ユニットに関する。
車輪支持用転がり軸受ユニットでは、泥水環境に晒された状態で使用されるため、相対回転する外径側部材と内径側部材との間の端部開口を封止する耐泥水性のよいシールを装着することが求められる。このようなシールとしては、芯金及びシール材を有するシールリングと、スリンガとを備えた組合せシールリングが使用されている。
特許文献1には、スリンガの立板部の先端に傾斜面を設けると共に、シール板(本願のシールリングに相当)にはスリンガの傾斜面に摺接するラジアルリップ、スリンガの立板部に摺接する2つのサイドリップ、及びスリンガの円筒部に僅かな径方向すきまを介して対峙するラビリンスシールが設けられ、シールの回転トルクの増大を抑制しつつ密封性能の向上を図った車輪用軸受装置が記載されている。
特開2007-100844号公報
ところで、サイドリップがスリンガと摺接しているだけの組合せシールリングの場合、シール工場から輸送する際や、軸受工場で組立機の定配装置に供給する際にシールリングとスリンガが分離し易く、取扱い難い問題がある。また、シールリングとスリンガの芯ずれが発生すると、シールリングとスリンガを同時に圧入することができず、シール圧入が2工程となって設備費や組立費の増加を招く虞がある。
特許文献1に記載の車両用軸受装置は、シール板のラジアルリップによりスリンガの傾斜面を外側から押さえてシール板とスリンガを非分離にしているが、ラジアルリップとスリンガの傾斜面との間にも摩擦トルクが発生して低トルク性が損なわれる可能性が高く、さらなる改善の余地があった。
本発明は、前述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、シールリングによる回転トルクの増大を抑制しつつ高い密封性を確保すると共に、組合せシールリングが単体の状態でもシールリングとスリンガとが分離することがない車輪支持用転がり軸受ユニットを提供することにある。
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
(1) 内周面に複列の外輪軌道を有し、使用時にも回転しない外径側部材と、
外周面に複列の内輪軌道を有し、使用時に車輪と共に回転する内径側部材と、
前記両外輪軌道と前記両内輪軌道との間に、それぞれ複数個ずつ転動自在に設けられた転動体と、
断面略L字形に形成されたスリンガ、及び該スリンガと軸方向に対向配置されたシールリングを備え、前記外径側部材と前記内径側部材に組付けられて、前記外径側部材と前記内径側部材の間を封止する組合せシールリングと、
を備える車輪支持用転がり軸受ユニットであって、
前記スリンガは、前記内径側部材に外嵌する内径側円筒部と、前記内径側円筒部の軸方向一端側から径方向外方に延設される外側円輪部と、を備え、
前記シールリングは、
前記軸方向一端側の外周面に小径部が設けられ、前記外径側部材に内嵌する外径側円筒部と、前記外径側円筒部の軸方向他端側から径方向内方に延設される内側円輪部と、を有する芯金と、
前記芯金の前記内側円輪部に固着されて、前記スリンガの前記外側円輪部の他端側面に摺接する複数のリップを備えるシール部材と、
前記芯金の前記外径側円筒部の前記小径部に固着され、前記外径側円筒部の外径より大きな外径を有して、前記外径側部材の内周面と弾性的に嵌合するガスケット部、前記芯金の前記外径側円筒部から軸方向一端側に延設された突出部、及び前記突出部の軸方向一端部から径方向内方に延設されて前記スリンガの前記外側円輪部の一端側面、又は前記スリンガに固着されたエンコーダの一端側面に対向配置される係止リップを有するノーズガスケット部と、
を備え、
前記ガスケット部は、他端側にあり前記芯金の小径部と径方向に重畳する重畳部と、一端側にあり前記芯金の小径部と径方向に重畳しない非重畳部とを有し、
前記組合せシールリングが前記外径側部材及び前記内径側部材間に圧入されて組み付けられると、前記重畳部の外径側で軸方向一端側部分が軸方向一端側へ移動し、前記非重畳部は径方向内方へ移動し、前記突出部も前記非重畳部につられて径方向内方へ移動し、前記係止リップが前記軸方向他端側に凸となる円弧状に変形して、非接触リップを構成する、
車輪支持用転がり軸受ユニット。
本発明の車輪支持用転がり軸受ユニットによれば、組合せシールリングの組付け後、係止リップは変形によって非接触リップを構成するので、シールによる回転トルクの増大を抑制しつつ高い密封性を確保すると共に、組合せシールリングが単体の状態においてもスリンガとシールリングとが分離することがなく、組合せシールリングの取り扱い性が良好となる。
本発明の第1実施形態に係る車輪支持用転がり軸受ユニットの要部断面図である。 図1に示す組合せシールリングの組付け前の各部品が、組付け後の正規の組付け位置に配置されたときの位置関係を示す断面図である。 図2に示す組合せシールリングの組付け前の状態を示す要部断面図である。 図2に示す組合せシールリングの組付け後の状態を示す要部断面図である。 本発明の第2実施形態に係る組合せシールリングの組付け前の各部品が、組付け後の正規の組付け位置に配置されたときの位置関係を示す断面図である。 本発明の第3実施形態に係る組合せシールリングの組付け前の各部品が、組付け後の正規の組付け位置に配置されたときの位置関係を示す断面図である。 本発明の第4実施形態に係る組合せシールリングの組付け前の各部品が、組付け後の正規の組付け位置に配置されたときの位置関係を示す断面図である。 本発明の第5実施形態に係る組合せシールリングの組付け前の各部品が、組付け後の正規の組付け位置に配置されたときの位置関係を示す断面図である。
以下、本発明の各実施形態に係る車輪支持用転がり軸受ユニットを図面に基づいて詳細に説明する。
また、車輪支持用転がり軸受ユニット10の軸方向に関して「アウトボード」とは、車輪支持用転がり軸受ユニット10を自動車に組み付けた状態で車体の外側となる、図1の左側をいう。反対に、車輪支持用転がり軸受ユニット10を自動車に組み付けた状態で車体の中央側となる、図1の右側を「インボード」という。
また、組合せシールリング20、20A~20Dの軸方向に関して、「一端側」とは、組合せシールリング20、20A~20Dを車輪支持用転がり軸受ユニット10に組み付けた状態で、車輪支持用転がり軸受ユニット10の外側となる、図2~8の右側をいう。反対に、組合せシールリング20、20A~20Dを車輪支持用転がり軸受ユニット10に組み付けた状態で、車輪支持用転がり軸受ユニット10の内側となる、図2~8の左側を「他端側」という。
(第1実施形態)
本実施形態の車輪支持用転がり軸受ユニット10は、図1に示すように、外径側部材11と、内径側部材であるハブ輪12と、ハブ輪12とは別体の内径側部材であり、ハブ輪12に一体的に固定される内輪13と、ハブ輪12及び内輪13の外周面と外径側部材11の内周面との間に転動可能に2列で配置される複数の玉(転動体)14と、この2列の複数の玉14を周方向に略等間隔にそれぞれ保持する一対の保持器16と、軸受内部空間10aの両端部開口を塞ぐシールリング19及び組合せシールリング20と、を備える。
ハブ輪12は、略円筒形状の部材であり、そのアウトボード側端部(図中左側)には、外周面から径方向外方に延出するフランジ部12bが形成される。フランジ部12bには、不図示のタイヤホイール及びブレーキロータなどを締結するためのハブボルト17が周方向に略等間隔で複数設けられる。
ハブ輪12のインボード側端部(図中右側)には、小径段部12cが形成されており、この小径段部12cに内輪13を外嵌した後、小径段部12cの端部を径方向外方にかしめ加工することにより、内輪13がハブ輪12に固定される。また、かしめ加工によって内輪13を押圧することで、適正な予圧が付与される。
外径側部材11の内周面には、互いに平行な2列の外輪軌道11a,11aが離間して形成されている。また、ハブ輪12及び内輪13の外周面には、それぞれ内輪軌道12a,13aが外径側部材11の外輪軌道11a,11aに対応して形成されている。内輪軌道12a,13a及び外輪軌道11a,11aで構成される2列の軌道には、保持器16によって転動可能に保持される複数の玉14が周方向に等間隔にそれぞれ配置されている。
複数の玉14は、互いに所定の接触角をなして外輪軌道11a,11a及び内輪軌道12a,13aに接触して、背面組み合わせで配置される。これにより、ハブ輪12及び内輪13は、外径側部材11に対して回転可能となる。
次に、図2~図4を参照して、第1実施形態に係る組合せシールリング20について詳述する。図2に示すように、組合せシールリング20は、スリンガ30とシールリング40とを備え、互いに軸方向に対向配置されて組み付けられている。
スリンガ30は、車輪支持用転がり軸受ユニット10の内径側部材である内輪13に外嵌する内径側円筒部31と、該内径側円筒部31の軸方向一端側(図2の右端縁)から径方向外方に折れ曲がって延設される外側円輪部32とを備え、断面L字形で全体を円環状としている。スリンガ30は、亜鉛メッキ鋼板、ステンレス鋼板等、優れた耐食性を有する金属板をプレス機による打ち抜き加工並びにバーリング加工等の曲げ加工を施すことにより一体成形されている。
外側円輪部32の軸方向一端側(図2の右側)の外側面32aには、ゴム中にフェライト粉末を混入した磁性ゴムを円輪状に形成したエンコーダ34が、加硫成形などにより接着固定されている。エンコーダ34の軸方向側面には、S極とN極とが、円周方向に亙って交互に且つ等間隔に配置されている。また、エンコーダ34は、外径側において、外側円輪部32の外径縁部32bを越え、外側円輪部32の他端側まで達している。また、エンコーダ34は、内径側において、径方向内方に延在し、内径側円筒部31と内輪13の嵌合部を密封する内径リップ38を有している。
シールリング40は、金属製の芯金41と、ゴムのようなエラストマー等の弾性材料からなり、芯金41に、加硫成形等によりそれぞれ固着されたシール部材51及びノーズガスケット部61と、を備える。
芯金41は、転がり軸受ユニット10の外径側部材11に内嵌する外径側円筒部42と、外径側円筒部42の軸方向他端側から径方向内方に折れ曲がって延設される内側円輪部43とを有し、断面略L字形で全体を円環状としている。外径側円筒部42の軸方向一端側の外周面には、外径側円筒部42の外径より小さな直径を有する小径部44が設けられている。芯金41は、低炭素鋼板或はステンレス鋼板等の金属板にプレス機による打ち抜き加工並びにバーリング加工等の曲げ加工等を施すことにより一体成形している。
シール部材51は、芯金41の内側円輪部43の両側面43a,43bと内周縁部43cを覆うように固着された基部55と、該基部55からスリンガ30に向かって軸方向斜め上方に延びる2つの摺接リップ52、53と、基部55から径方向内方に延びる1つのグリースリップ54とを備える。
シール部材51は、スリンガ30とシールリング40が軸方向に対向配置して組み付けられた時、2つの摺接リップ52,53の先端縁が、スリンガ30の外側円輪部32の他端側面に摺接し、1つのグリースリップ54の先端縁が、内径側円筒部31の外周面に僅かな締め代で摺接、または僅かな隙間を介して配置されている。
ノーズガスケット部61は、ガスケット部62、突出部63、及び係止リップ64を備えて略円筒状に形成される。ガスケット部62は、外径側円筒部42の外径より大きな外径を有し、他端側にあり小径部44と径方向に重畳する重畳部62aと、一端側にあり小径部44と径方向に重畳しない非重畳部62bと、を有する。ガスケット部62は、外径側部材11の内周面と弾性的に嵌合することで、芯金41と外径側部材11との間の嵌合面を密封する。突出部63は、芯金41の外径側円筒部42から軸方向一端側に延設して形成され、また、係止リップ64は、突出部63の軸方向一端部から径方向内方に延設されてエンコーダ34の一端側面34aに対向配置される。係止リップ64が対向配置されるエンコーダ34の一端側面34aの外径側角部は、面取りなどにより傾斜面39となっている。
なお、ノーズガスケット部61は、加硫成形等により、外径側円筒部42の小径部44の外周面に固着されているが、小径部44の端面44aは打ち抜き加工による破断面であるため接着剤の載りが悪く、接着力が弱くなっているか、あるいは接着されていない。
上記のようにスリンガ30とシールリング40が軸方向に組み合わされて構成された組合せシールリング20は、スリンガ30とシールリング40の分離を防止してユニット化されている。即ち、係止リップ64は、エンコーダ34の軸方向一端側で、エンコーダ34の一端側面34aと軸方向で重畳している。図3に示すように、スリンガ30がシールリング40から離間する方向に変位しようとしても、係止リップ64とエンコーダ34の一端側面34aが係合して、この変位を阻止する。即ち、係止リップ64とエンコーダ34は、スリンガ30とシールリング40の分離を阻止する係止機構を構成する。
また、シール部材51のグリースリップ54がスリンガ30の内径側円筒部31の外周面に摺接、或いはわずかな隙間を介して対向しているので、スリンガ30に対するシールリング40の径方向移動も規制され、スリンガ30とシールリング40との芯出しを実現する。
図3に示すように、スリンガ30とシールリング40の分離が防止され、組合せシールリング20をシール工場から輸送する際の取り扱いや、軸受工場で組立機の定配装置に供給する際にスリンガ30とシールリング40を同時に供給することができ、作業効率が向上する。
このような組合せシールリング20は、図1を参照して、外径側部材11の端部内周面と、内径側部材である内輪13の端部外周面との間に組み込まれる。そして、シール部材51の摺接リップ52、53の先端縁をスリンガ30の外側円輪部32の他端側面に摺接させ、さらに、1つのグリースリップ54の先端縁を内径側円筒部31の外周面に摺接させて軸受内部空間10aのインボード側端部開口を塞ぐ。これにより、軸受内部空間10aに封入したグリースの外部への漏洩を防止すると共に、外部に存在する雨水、泥水、塵等の各種異物が軸受内部空間10aに侵入することを防止する。
また、図2に示すように、組付け前のスリンガ30とシールリング40とを、組付け後の位置関係で示した、正規の組付け位置においては、係止リップ64は、エンコーダ34の一端側面34aと干渉する位置関係にある。しかしながら、組合せシールリング20を外径側部材11及び内輪13に組み付けることで、係止リップ64は変形して非接触リップを構成し、係止リップ64とエンコーダ34の干渉が解消される。
具体的には、図4に示すように、組合せシールリング20が、外径側部材11及び内径側部材の内輪13間に圧入されて組み付けられると、ガスケット部62は、小径部44と外径側部材11とで潰されて、ガスケット部62のうち重畳部62aの外径側で軸方向一端側部分が軸方向一端側(図4において右側)へ移動し、ガスケット部62のうち、非重畳部62bは外径側部材11に押されて、径方向内方(図4において下側)へ移動する。
また、同時に、小径部44の端面44aから軸方向一端側にオーバハングする突出部63が、非重畳部62bにつられて径方向内方に移動する結果、小径部44の端面44a付近の突出部63の他端側面に圧縮応力が掛かると共に、係止リップ64の一端側面が上方に引っ張られて、係止リップ64は軸方向他端側が凸となる円弧状に変形する。これにより、係止リップ64は、エンコーダ34の一端側面34aである傾斜面39から離間し、傾斜面39との間に僅かな隙間によるラビリンスシールが形成される。
また、エンコーダ34の内径リップ38は、内輪13の外周面に締め代を有して全周に亙り当接し、スリンガ30と内輪13との間の嵌合面を密封する。
上記したように、本実施形態の組合せシールリング20は、シールリング40の摺接リップ52,53がスリンガ30の外側円輪部32の他端側面に摺接すると共に、ノーズガスケット部60の係止リップ64とエンコーダ34の傾斜面39との間にラビリンスシールが形成されるので、不要なトルクを発生させることなく高い密封性を確保することができる。一方、組合せシールリング20が外径側部材11及び内輪13に組付けられる前の状態では、ノーズガスケット部60の係止リップ64とエンコーダ34の傾斜面39とは、軸方向から見て重畳して、スリンガ30とシールリング40の相対的な軸方向移動を阻止するので、スリンガ30とシールリング40の非分離が実現される。
また、グリースリップ54が、わずかな締め代でスリンガ30の内径側円筒部31の外周面に摺接、あるいは隙間を介して対向されるので、より高い密封性を確保することができ、また、スリンガ30とシールリング40との芯出しを実現できる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態の車輪支持用転がり軸受ユニットに適用される組合せシールリングについて、図5を参照して説明する。
なお、以下に説明する第2~第5実施形態では、第1実施形態と異なる部分のみについて説明し、第1実施形態と同一部分については、同一符号又は相当符号を付して説明を簡略化又は省略する。
第2実施形態の組合せシールリング20Aは、ノーズガスケット部61の係止リップ64に、スリンガ30とシールリング40により画成されたシール空間Sと、外部とを連通する水抜き穴65が形成されている。これにより、万一、シール空間Sに水などが侵入しても、直ちに水抜き穴65から外部に排出することができ、組合せシールリング20Aのシール性能を維持することができる。水抜き穴65の位置は、効果的に水抜きするために、係止リップ64の根元近傍に設けるのが好ましい。
なお、係止リップ64に水抜き穴65が形成されていても、係止リップ64の小径側が繋がっていれば、係止リップ64の軸方向他端側が凸となる円弧状への変形は阻害されることはない。むしろ、係止リップ64の径方向中間部の剛性が低下することで、円弧状への変形が容易になる。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態の車輪支持用転がり軸受ユニットに適用される組合せシールリングについて、図6を参照して説明する。
第3実施形態の組合せシールリング20Bは、ゴムなどの弾性部材からなるシール部材51の基部55が、芯金41の外径側円筒部42の内周面42aの全面を覆って形成され、ノーズガスケット部61と一体に形成されている。これにより、芯金41に、プレス加工がし難く、高価な不錆鋼を使用する必要がなくなり、コストダウンが可能となる。
(第4実施形態)
次に、第4実施形態の車輪支持用転がり軸受ユニットに適用される組合せシールリングについて、図7を参照して説明する。
第4実施形態の組合せシールリング20Cは、第1実施形態のスリンガ30と比較して、エンコーダ34を有しない構成であり、ノーズガスケット部61の係止リップ64が、軸方向から見て、スリンガ30の外側円輪部32の一端側面32aと重畳している。この組合せシールリング20Cにおいても、ガスケット部62が小径部44と外径側部材11とで潰されることで、係止リップ64が軸方向他端側が凸となる円弧状に変形して非接触リップを構成し、スリンガ30との間にラビリンスシールを形成する。
(第5実施形態)
次に、第5実施形態の車輪支持用転がり軸受ユニットに適用される組合せシールリングについて、図8を参照して説明する。
第5実施形態の組合せシールリング20Dは、第4実施形態の組合せシールリング20Cと比較して、シール部材51のグリースリップ54を有しない構成である。このため、グリースリップ54によるスリンガ30とシールリング40との芯出し効果を有しない。しかしながら、スリンガ30の外側円輪部32の外径側を軸方向他端側に屈曲させて傾斜面33を形成し、ノーズガスケット部61の係止リップ64を該傾斜面33に摺接させることで、スリンガ30とシールリング40との芯出しを実現できる。
尚、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。
例えば、組合せシールリングが組付けられる車輪支持用転がり軸受ユニットは、本実施形態に限定されるものでなく、他の構成であってもよい。
以上の通り、本明細書には次の事項が開示されている。
(1) 内周面に複列の外輪軌道を有し、使用時にも回転しない外径側部材と、
外周面に複列の内輪軌道を有し、使用時に車輪と共に回転する内径側部材と、
前記両外輪軌道と前記両内輪軌道との間に、それぞれ複数個ずつ転動自在に設けられた転動体と、
断面略L字形に形成されたスリンガ、及び該スリンガと軸方向に対向配置されたシールリングを備え、前記外径側部材と前記内径側部材に組付けられて、前記外径側部材と前記内径側部材の間を封止する組合せシールリングと、
を備える車輪支持用転がり軸受ユニットであって、
前記スリンガは、前記内径側部材に外嵌する内径側円筒部と、前記内径側円筒部の軸方向一端側から径方向外方に延設される外側円輪部と、を備え、
前記シールリングは、
前記軸方向一端側の外周面に小径部が設けられ、前記外径側部材に内嵌する外径側円筒部と、前記外径側円筒部の軸方向他端側から径方向内方に延設される内側円輪部と、を有する芯金と、
前記芯金の前記内側円輪部に固着されて、前記スリンガの前記外側円輪部の他端側面に摺接する複数のリップを備えるシール部材と、
前記外径側円筒部の外径より大きな外径を有して、前記外径側部材の内周面と弾性的に嵌合するガスケット部、前記芯金の前記外径側円筒部から軸方向一端側に延設された突出部、及び前記突出部の軸方向一端部から径方向内方に延設されて前記スリンガの前記外側円輪部の一端側面、又は前記スリンガに固着されたエンコーダの一端側面に対向配置される係止リップを有し、前記芯金の前記外径側円筒部の前記小径部に固着されるノーズガスケット部と、
を備え、
前記ガスケット部は、他端側にあり前記芯金の小径部と径方向に重畳する重畳部と、一端側にあり前記芯金の小径部と径方向に重畳しない非重畳部とを有し、
前記組合せシールリングが前記外径側部材及び前記内径側部材間に圧入されて組み付けられると、前記重畳部の外径側で軸方向一端側部分が軸方向一端側へ移動し、前記非重畳部は径方向内方へ移動し、前記突出部も前記非重畳部につられて径方向内方へ移動し、前記係止リップが前記軸方向他端側に凸となる円弧状に変形して、非接触リップを構成する、
車輪支持用転がり軸受ユニット。
この構成によれば、組合せシールリングの組付け後、係止リップは変形によって非接触リップを構成するので、シールによる回転トルクの増大を抑制しつつ高い密封性を確保すると共に、組合せシールリングが単体の状態でもスリンガとシールリングとが分離することがなく、組合せシールリングの取り扱い性や車輪支持用転がり軸受ユニットへの組付けが容易になる。
(2) 前記ノーズガスケット部は、前記スリンガと前記シールリングにより画成された内部空間と、外部とを連通する水抜き穴を備える、
(1)に記載の車輪支持用転がり軸受ユニット。
この構成によれば、内部空間に侵入した水が確実に排出されて、高いシール性能を維持できる。
(3) 前記係止リップが対向配置される、前記スリンガの前記外側円輪部の一端側面、又は前記スリンガに固着された前記エンコーダの一端側面は、傾斜面である、
(1)又は(2)に記載の車輪支持用転がり軸受ユニット。
この構成によれば、非接触リップを構成する係止リップと傾斜面との間でラビリンスシールを構成し、シール性能が向上する。
また、組合せシールリングが単体の状態で、係止リップが傾斜面と接触している場合には、スリンガとシールリングとの芯出しを実現できる。
10 車輪支持用転がり軸受ユニット
11 外径側部材
11a 外輪軌道
12 ハブ輪(内径側部材)
13 内輪(内径側部材)
12a、13a 内輪軌道
14 玉(転動体)
20、20A、20B、20C、20D 組合せシールリング
30 スリンガ
31 内径側円筒部
32 外側円輪部
32a スリンガの外側円輪部の一端側面
33、39 傾斜面
34 エンコーダ
34a エンコーダの一端側面
40 シールリング
41 芯金
42 外径側円筒部
43 内側円輪部
44 小径部
51 シール部材
52、53 摺接リップ(リップ)
54 グリースリップ
61 ノーズガスケット部
62 ガスケット部
62a 重畳部
62b 非重畳部
63 突出部
64 係止リップ
65 水抜き穴
S シール空間

Claims (3)

  1. 内周面に複列の外輪軌道を有し、使用時にも回転しない外径側部材と、
    外周面に複列の内輪軌道を有し、使用時に車輪と共に回転する内径側部材と、
    前記両外輪軌道と前記両内輪軌道との間に、それぞれ複数個ずつ転動自在に設けられた転動体と、
    断面略L字形に形成されたスリンガ、及び該スリンガと軸方向に対向配置されたシールリングを備え、前記外径側部材と前記内径側部材に組付けられて、前記外径側部材と前記内径側部材の間を封止する組合せシールリングと、
    を備える車輪支持用転がり軸受ユニットであって、
    前記スリンガは、前記内径側部材に外嵌する内径側円筒部と、前記内径側円筒部の軸方向一端側から径方向外方に延設される外側円輪部と、を備え、
    前記シールリングは、
    前記軸方向一端側の外周面に小径部が設けられ、前記外径側部材に内嵌する外径側円筒部と、前記外径側円筒部の軸方向他端側から径方向内方に延設される内側円輪部と、を有する芯金と、
    前記芯金の前記内側円輪部に固着されて、前記スリンガの前記外側円輪部の他端側面に摺接する複数のリップを備えるシール部材と、
    前記外径側円筒部の外径より大きな外径を有して、前記外径側部材の内周面と弾性的に嵌合するガスケット部、前記芯金の前記外径側円筒部から軸方向一端側に延設された突出部、及び前記突出部の軸方向一端部から径方向内方に延設されて前記スリンガの前記外側円輪部の一端側面、又は前記スリンガに固着されたエンコーダの一端側面に対向配置される係止リップを有し、前記芯金の前記外径側円筒部の前記小径部に固着されるノーズガスケット部と、
    を備え、
    前記ガスケット部は、他端側にあり前記芯金の小径部と径方向に重畳する重畳部と、一端側にあり前記芯金の小径部と径方向に重畳しない非重畳部とを有し、
    前記組合せシールリングが前記外径側部材及び前記内径側部材間に圧入されて組み付けられると、前記重畳部の外径側で軸方向一端側部分が軸方向一端側へ移動し、前記非重畳部は径方向内方へ移動し、前記突出部も前記非重畳部につられて径方向内方へ移動し、前記係止リップが前記軸方向他端側に凸となる円弧状に変形して、非接触リップを構成する、
    車輪支持用転がり軸受ユニット。
  2. 前記ノーズガスケット部は、前記スリンガと前記シールリングにより画成された内部空間と、外部とを連通する水抜き穴を備える、
    請求項1に記載の車輪支持用転がり軸受ユニット。
  3. 前記係止リップが対向配置される、前記スリンガの前記外側円輪部の一端側面、又は前記スリンガに固着された前記エンコーダの一端側面は、傾斜面である、
    請求項1又は2に記載の車輪支持用転がり軸受ユニット。
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