JP7494630B2 - 積層フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、樹脂シートを積層した積層フィルムに関する。特に電子部品、光学用途に用いられる樹脂シートを積層した積層フィルムに関する。
従来、ポリエステルフィルムを基材とした離型フィルムは、耐熱性や機械特性が高く、粘着シートやカバーフィルム、高分子電解質膜、誘電体樹脂シートなどの樹脂シートを溶液製膜する工程フィルムとして使用されてきた。近年、特にフィルムコンデンサに使用される誘電体樹脂シートなどの電子部品や光学用途に用いられる樹脂シートには、高い平滑性や透明性が求められるため、工程フィルムとして使用する離型フィルムの表面にも高い平滑性が求められてきた。そのため、特許文献1~3に記載されるような技術が開示されており、離型層表面の表面粗さを低くしたものが提案されている。
しかし、例えば光学用途では透明性などを高めるために高い平滑性が求められる一方で、平滑性が高いと滑り性が悪化し、搬送工程などでキズが入り歩留まりが低下する恐れがあった。また、フィルムコンデンサ用途などでの電子部品用途では、絶縁破壊電圧などの電気特性を向上させるために平滑性が求められる一方で、平滑性が高すぎると滑り性が悪く、誘電体樹脂シートをロール上に巻き取る際に巻きズレ、シワの混入などが発生し、うまく巻くことができずフィルムコンデンサの性能が落ちる懸念があった。
これらを改善するために、特許文献4には偏光板など光学用に用いられる樹脂シート内に特定の粒子を添加し、滑り性を持たすことが提案されている。また、特許文献5では、フィルムコンデンサ用フィルムなどに用いられる樹脂シートに対し、基材フィルム上の粒子を転写させる方法が提案されている。
しかし、特許文献4の方法では、樹脂シート内に粒子を含むため、内部ヘイズが上がるなど透明性が不十分となる懸念があった。また、特許文献5の方法では、樹脂シートに転写する粒子の量が不均一となるおそれがあり、滑り性が不安定になる懸念があった。
特開2012-144021号公報 特開2014-154273号公報 特開2015-182261号公報 特開2019-95661号公報 国際公開2020/039638号
本発明は、上記課題を解決するものであり、樹脂シート内部に実質的に粒子添加することなく高平滑でかつ良好な滑り性を併せ持つ樹脂シートを提供することができる積層フィルムを提案する。
本発明者らは鋭意検討した結果、平滑な基材フィルム上に、実質的に粒子を含有しない樹脂シートを成形し、さらに最適な膜厚の易滑層を設けた積層フィルムを提供することによって、高平滑でかつ良好な滑り性を併せ持つ樹脂シートを提供できることを見出した。
また、本発明であれば、例えば、平滑性の高い離型フィルムで成形した樹脂シートであっても、従来の課題を解決でき、高平滑でかつ良好な滑り性を併せ持つ樹脂シートを提供できる。
即ち、本発明は以下の構成よりなる。
[1]基材フィルムの少なくとも片面に樹脂シート、易滑層を順に積層してなる積層フィルムであって、基材フィルムがポリエステルフィルムであり、以下の(1)~(6)を満たす積層フィルム:
(1)基材フィルムの樹脂シートを積層する面の算術平均高さ(Sa)が20nm以下であり、かつ最大突起高さ(P)が200nm以下である、
(2)樹脂シートの膜厚(t1)が、1μm以上20μm以下である、
(3)易滑層は、少なくともバインダー樹脂と粒子を含有する、
(4)易滑層の膜厚(t2)が、0.001μm以上1μm以下である、
(5)易滑層の膜厚(t2)が、樹脂シートの膜厚(t1)の20%以下である、
(6)基材フィルムから易滑層付き樹脂シートを剥離するときの剥離力が、800mN/25mm幅以下である。
[2]前記基材フィルムと前記樹脂シートとの間に、更に離型層が設けられる、上記積層フィルム。
[3]易滑層に含まれるバインダー成分が、樹脂シートに含まれる主な樹脂成分と同成分である上記積層フィルム。
[4]易滑層は、実質的に架橋剤を含まないことを特徴とする上記積層フィルム。
[5]基材フィルムは、樹脂シート側の面に表面層Aを有し、
表面層Aは、実質的に粒子を含まない層であり、算術平均高さ(Sa)が20nm以下であり、かつ最大突起高さ(P)が200nm以下である、上記積層フィルム。
[6]上記積層フィルムの製造方法であって、基材フィルム上に溶液製膜法によって樹脂シート、易滑層をこの順に塗布成形することを特徴とする積層フィルムの製造方法。
本発明の積層フィルムを用いることで、高平滑でかつ良好な滑り性を併せ持つ樹脂シートを提供することができ、本発明で成形した樹脂シートを用いることで、各種用途で良好な製品を提供することができる。
図1は、本発明の積層フィルムの一例を模式的に示した断面図である。 図2は、本発明の積層フィルムの別の一例を模式的に示した断面図である。
本発明の積層フィルムは、基材フィルムの少なくとも片面に樹脂シート、易滑層を順に積層してなる積層フィルムである。例えば、図1、図2は、本発明の積層フィルムの一例を模式的に示した断面図である。図1は、基材フィルム10に離型層を設けない積層フィルム構成の一例を示し、樹脂シート12、易滑層13を有する。また、易滑層13は、粒子14を有する。図2は、基材フィルム10と樹脂シート12との間に、離型層11を有する態様である。なお、図中の各構成のサイズ、形状は一例である。
(基材フィルム)
本発明の基材として用いるポリエステルフィルムを構成するポリエステルは、特に限定されず、基材フィルムとして通常一般に使用されているポリエステルをフィルム形成したものを使用することが出来る。好ましくは、芳香族二塩基酸成分とジオール成分からなる結晶性の線状飽和ポリエステルであるのが良く、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン-2,6-ナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート又はこれらの樹脂の構成成分を主成分とする共重合体がさらに好適である。とりわけ、ポリエチレンテレフタレートから形成されたポリエステルフィルムが特に好適である。
ポリエチレンテレフタレートは、エチレンテレフタレートの繰り返し単位が好ましくは90モル%以上、より好ましくは95モル%以上であり、他のジカルボン酸成分、ジオール成分が少量共重合されていてもよい。コストの点から、テレフタル酸とエチレングリコールのみから製造されたものが好ましい。また、本発明のフィルムの効果を阻害しない範囲内で、公知の添加剤、例えば、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、結晶化剤などを添加してもよい。ポリエステルフィルムは双方向の弾性率の高さ等の理由から二軸配向ポリエステルフィルムであることが好ましい。
上記ポリエチレンテレフタレートフィルムの固有粘度は0.50~0.70dl/gが好ましく、0.52~0.62dl/gがより好ましい。固有粘度が0.50dl/g以上の場合、延伸工程で破断が多く発生することがなく好ましい。逆に、0.70dl/g以下の場合、所定の製品幅に裁断するときの裁断性が良く、寸法不良が発生しないので好ましい。また、原料ペレットは十分に真空乾燥することが好ましい。
本発明におけるポリエステルフィルムの製造方法は特に限定されず、従来一般に用いられている方法を用いることが出来る。例えば、前記ポリエステルを押出機にて溶融して、フィルム状に押出し、回転冷却ドラムにて冷却することにより未延伸フィルムを得て、該未延伸フィルムを延伸することにより得ることが出来る。延伸は、二軸延伸であることが力学的特性などから好ましい。二軸延伸フィルムは、縦方向あるいは横方向の一軸延伸フィルムを横方向または縦方向に逐次二軸延伸する方法、或いは未延伸フィルムを縦方向と横方向に同時二軸延伸する方法で得ることが出来る。
本発明において、ポリエステルフィルム延伸時の延伸温度はポリエステルの二次転移点(Tg)以上とすることが好ましい。縦、横おのおのの方向に1~8倍、特に2~6倍の延伸をすることが好ましい。
上記ポリエステルフィルムは、厚みが6μm以上50μm以下であることが好ましく、さらに好ましくは9μm以上31μm以下であり、より好ましくは、12μm以上28μm以下である。フィルムの厚みが6μm以上であれば、フィルム生産時、離型層の加工工程、樹脂シートの成型の時などに、熱により変形するおそれがなく好ましい。一方、フィルムの厚みが50μm以下であれば、ロール状に巻き取った際の巻径が小さく、成形する樹脂シートの巻長を長くすることができるので好ましい。
基材フィルムとしてのポリエステルフィルムが、後述の多層構造を有する場合、基材フィルム全体としての膜厚が上記範囲内に収まる。
上記ポリエステルフィルムは、単層であっても2層以上の多層であっても構わない。少なくとも片面には実質的に粒子を含まない表面層Aを有することが好ましい。一態様において、基材フィルムであるポリエステルフィルムは、樹脂シート側の面に表面層Aを有する。基材フィルムが、2層以上の多層構成からなる積層ポリエステルフィルムの場合、実質的に粒子を含有しない表面層Aの反対面には、粒子などを含有することができる表面層Bを有することが好ましい。積層構成としては、樹脂シートを配置する側の層を表面層A、その反対面の層を表面層B、これら以外の芯層を層Cとすると、厚み方向の層構成はA/B、あるいはA/C/B等の積層構造が挙げられる。
層Cは複数の層構成であっても構わない。また、表面層Bには粒子を含まないこともできる。その場合、フィルムをロール状に巻き取るための滑り性付与するため、表面層B上には粒子とバインダーを含んだコート層を設けることが好ましい。
上記ポリエステルフィルムの表面層A上には、樹脂シートの剥離性を向上させるために離型層を設けても構わない。特に樹脂シートに架橋剤を含む場合は離型層を設ける方が好ましい。離型層を積層する場合は、離型層にも実質的に粒子を含まない方が好ましい。
本発明におけるポリエステルフィルムにおいて、樹脂シートを成形する表面に位置している表面層Aは、実質的に粒子を含有しないことが好ましい。また、ポリエステルフィルムの表面層Aは、算術平均高さ(Sa)は、20nm以下であることが好ましい。さらに算術平均高さ(Sa)は、10nm以下であることが特に好ましい。Saが20nm以下であると、樹脂シートの成型時にピンホール及び局所的な厚みムラなどの発生が起こりにくく好ましい。表面層Aの算術平均高さ(Sa)は小さいほど好ましいと言えるが、0.1nm以上であって構わない。ここで、表面層A上に後述の離型層などを設ける場合は、離型層に実質的に粒子を含まないことが好ましく、離型層積層後の算術平均高さ(Sa)が前記範囲に入ることが好ましい。本発明において、「粒子を実質的に含有しない」とは、例えば無機粒子の場合、ケイ光X線分析で無機元素を定量した場合に50ppm以下、好ましくは10ppm以下、最も好ましくは検出限界以下となる含有量を意味する。これは積極的に粒子をフィルム中に添加させなくても、外来異物由来のコンタミ成分や、原料樹脂あるいはフィルムの製造工程におけるラインや装置に付着した汚れが剥離して、フィルム中に混入する場合があるためである。
ポリエステルフィルムの表面層Aは、最大突起高さ(P)が200nm以下であることが好ましく、150nm以下がより好ましく、100nm以下が更に好ましく、例えば85nm以下であり、50nm以下が特に好ましい。最大突起高さ(P)が200nm以下であれば、樹脂シート形成時に、ピンホール及び局所的な薄膜化などの欠点の発生がなく、歩留まりが良好で好ましい。
ポリエステルフィルムの表面層AのPは、小さいほど好ましいと言えるが、1nm以上でも構わず、3nm以上であっても構わない。ここで、表面層A上に後述の離型層などを設ける場合は、離型層積層後の最大突起高さ(P)が前記範囲に入ることが好ましい。
本発明におけるポリエステルフィルムにおいて、表面層Aの反対面を形成する表面層Bは、フィルムの滑り性や空気の抜けやすさの観点から、粒子を含有することが好ましく、特にシリカ粒子及び/又は炭酸カルシウム粒子を用いることが好ましい。含有される粒子含有量は、表面層B中に粒子の合計で5000~15000ppm含有することが好ましい。このとき、表面層Bのフィルムの算術平均高さ(Sa)は、1~40nmの範囲であることが好ましい。より好ましくは、5~35nmの範囲である。シリカ粒子及び/又は炭酸カルシウム粒子の合計が5000ppm以上、Saが1nm以上の場合には、フィルムをロール状に巻き上げるときに、空気を均一に逃がすことができ、巻き姿が良好で平面性良好により、樹脂シートの製造に好適なものとなる。また、シリカ粒子及び/又は炭酸カルシウム粒子の合計が15000ppm以下、Saが40nm以下の場合には、滑剤の凝集が生じにくく、粗大突起ができないため、樹脂シート成形時に品質が安定し好ましい。
上記表面層Bに含有する粒子としては、シリカ及び/又は炭酸カルシウム以外に不活性な無機粒子及び/又は耐熱性有機粒子などを用いることができる。透明性やコストの観点からシリカ粒子及び/又は炭酸カルシウム粒子を用いることがより好ましいが、他に使用できる無機粒子としては、アルミナ-シリカ複合酸化物粒子、ヒドロキシアパタイト粒子などが挙げられる。また、耐熱性有機粒子としては、架橋ポリアクリル系粒子、架橋ポリスチレン粒子、ベンゾグアナミン系粒子などが挙げられる。またシリカ粒子を用いる場合、多孔質のコロイダルシリカが好ましく、炭酸カルシウム粒子を用いる場合は、ポリアクリル酸系の高分子化合物で表面処理を施した軽質炭酸カルシウムが、滑剤の脱落防止の観点から好ましい。
上記表面層Bに添加する粒子の平均粒子径は、0.1μm以上2.0μm以下が好ましく、0.5μm以上1.0μm以下が特に好ましい。粒子の平均粒子径が0.1μm以上であれば、基材フィルムの滑り性が良好であり好ましい。また、平均粒子径が2.0μm以下であれば、表面層Bの粗大粒子による樹脂シートにピンホールが発生するおそれがなく好ましい。
上記表面層Bには素材の異なる粒子を2種類以上含有させてもよい。また、同種の粒子で平均粒径の異なるものを含有させてもよい。
表面層Bに粒子を含まない場合は、表面層B上に粒子を含んだコート層で易滑性を持たせることが好ましい。本コート層は、特に限定されないが、ポリエステルフィルムの製膜中に塗工するインラインコートで設けることが好ましい。表面層Bに粒子を含まず、表面層B上に粒子を含むコート層を有する場合、コート層の表面は、上述の表面層Bの算術平均高さ(Sa)と同様の理由により、算術平均高さ(Sa)が1~40nmの範囲であることが好ましい。より好ましくは、5~35nmの範囲である。
上記樹脂シートを設ける側の層である表面層Aには、ピンホール低減の観点から、滑剤などの粒子の混入を防ぐため、再生原料などを使用しないことが好ましい。
上記樹脂シートを設ける側の層である表面層Aの厚み比率は、基材フィルムの全層厚みの20%以上50%以下であることが好ましい。20%以上であれば、表面層Bなどに含まれる粒子の影響をフィルム内部から受けづらく、算術平均高さ(Sa)が上記の範囲を満足することが容易であり好ましい。基材フィルムの全層の厚みの50%以下であると、表面層Bにおける再生原料の使用比率を増やすことができ、環境負荷が小さくなり好ましい。
また、経済性の観点から上記表面層A以外の層(表面層Bもしくは前述の中間層C)には、50~90質量%のフィルム屑やペットボトルの再生原料を使用することができる。この場合でも、表面層Bに含まれる滑剤の種類や量、粒径ならびに算術平均高さ(Sa)は、上記の範囲を満足することが好ましい。
また、後に塗布する離型層などの密着性を向上させたり、帯電を防止するなどのために表面層A及び/または表面層Bの表面に製膜工程内の延伸前または一軸延伸後のフィルムにコート層を設けてもよく、コロナ処理などを施すこともできる。表面層A上にコート層を設ける場合、当該コート層は、実質的に粒子を含有しないことが好ましい。
(離型層)
一態様において、本発明は、基材フィルムと樹脂シートとの間に、更に離型層が設けられる。例えば、本発明における基材フィルムには表面層A上に離型層を積層していてもよい。離型層を構成する樹脂には特に限定はなく、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、アルキド樹脂、各種ワックス、脂肪族オレフィンなどを用いることができ、各樹脂を単独もしくは、2種類以上併用することもできる。後述する樹脂シートに架橋剤を含む場合は、シリコーン樹脂を含むことで離型性が良くなるため好ましい。
離型層は、例えばシリコーン樹脂を含むことができる。シリコーン樹脂は、分子内にシリコーン構造を有する樹脂のことであり、硬化型シリコーン、シリコーングラフト樹脂、アルキル変性などの変性シリコーン樹脂などが挙げられるが、移行性などの観点から反応性の硬化シリコーン樹脂を用いることが好ましい。反応性の硬化シリコーン樹脂としては、付加反応系のもの、縮合反応系のもの、紫外線もしくは電子線硬化系のものなどを用いることができる。より好ましくは、低温で加工できる低温硬化性の付加反応系のもの、および紫外線もしくは、電子線硬化系のものがよい。これらのものを用いることで、ポリエステルフィルムへの塗工加工時に、低温で加工できる。そのため、加工時におけるポリエステルフィルムへの熱ダメージが少なく、平面性の高いポリエステルフィルムが得られ、薄膜の樹脂シート製造時にもピンホールなどの欠点を少なくすることができる。
付加反応系のシリコーン樹脂としては、例えば末端もしくは側鎖にビニル基を導入したポリジメチルシロキサンとハイドロジエンシロキサンとを、白金触媒を用いて反応させて硬化させるものが挙げられる。このとき、120℃で30秒以内に硬化できる樹脂を用いる方が、低温での加工ができ、より好ましい。例としては、ダウ・東レ社製の低温付加硬化型(LTC1006L、LTC1056L、LTC300B、LTC303E、LTC310、LTC314、LTC350G、LTC450A、LTC371G、LTC750A、LTC755、LTC760Aなど)および熱UV硬化型(LTC851、BY24-510、BY24-561、BY24-562など)、信越化学社製の溶剤付加+UV硬化型(X62-5040、X62-5065、X62-5072T、KS5508など)、デュアルキュア硬化型(X62-2835、X62-2834、X62-1980など)などが挙げられる。
縮合反応系のシリコーン樹脂としては、例えば、末端にOH基をもつポリジメチルシロキサンと末端にH基をもつポリジメチルシロキサンを、有機錫触媒を用いて縮合反応させ、3次元架橋構造をつくるものが挙げられる。
紫外線硬化系のシリコーン樹脂としては、例えば最も基本的なタイプとして通常のシリコーンゴム架橋と同じラジカル反応を利用するもの、不飽和基を導入して光硬化させるもの、紫外線でオニウム塩を分解して強酸を発生させ、これでエポキシ基を開裂させて架橋させるもの、ビニルシロキサンへのチオールの付加反応で架橋するもの等が挙げられる。また、前記紫外線の代わりに電子線を用いることもできる。電子線は紫外線よりもエネルギーが強く、紫外線硬化の場合のように開始剤を用いなくても、ラジカルによる架橋反応を行うことが可能である。使用する樹脂の例としては、信越化学社製のUV硬化系シリコーン(X62-7028A/B、X62-7052、X62-7205、X62-7622、X62-7629、X62-7660など)、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製のUV硬化系シリコーン(TPR6502、TPR6501、TPR6500、UV9300、UV9315、XS56-A2982、UV9430など)、荒川化学社製のUV硬化系シリコーン(シリコリースUV POLY200、POLY215、POLY201、KF-UV265AMなど)が挙げられる。
上記、紫外線硬化系のシリコーン樹脂としては、アクリレート変性や、グリシドキシ変性されたポリジメチルシロキサンなどを用いることもできる。これら変性されたポリジメチルシロキサンを、多官能のアクリレート樹脂やエポキシ樹脂などと混合し、開始剤存在下で使用することでも良好な離型性能を出すことができる。
その他用いられる樹脂の例としては、ステアリル変性、ラウリル変性などをしたアルキド樹脂やアクリル樹脂、またはメチル化メラミンの反応などで得られるアルキド系樹脂、アクリル系樹脂、オレフィン系樹脂なども好適である。
上記、メチル化メラミンの反応などで得られるアミノアルキド樹脂としては、日立化成社製のテスファイン303、テスファイン305、テスファイン314などが挙げられる。メチル化メラミンの反応などで得られるアミノアクリル樹脂としては、日立化成社製のテスファイン322などが挙げられる。
本発明の離型層に上記樹脂を用いる場合は、1種類で使用してもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。また、剥離力を調整するために、軽剥離添加剤、重剥離添加剤といった添加剤を混合することも可能である。
本発明の離型層には、密着向上剤や、帯電防止剤などの添加剤などを添加してもよい。また、基材との密着性を向上させるために、離型層を設ける前にポリエステルフィルム表面に、アンカーコート、コロナ処理、プラズマ処理、大気圧プラズマ処理等の前処理をすることも好ましい。
本発明において、離型層の厚みは、その使用目的に応じて設定すれば良く、特に限定されないが、好ましくは、硬化後の離型層の厚みが0.005~2.0μmとなる範囲がよい。離型層の厚みが0.005μm以上であると、剥離性能が保たれて好ましい。また、離型層の厚みが2.0μm以下であると、硬化時間が長くなり過ぎず、離型フィルムの平面性の低下による樹脂シートの厚みムラを生じおそれがなく好ましい。また、硬化時間が長くなり過ぎないので、離型塗布層を構成する樹脂が凝集するおそれがなく、突起を形成するおそれがないため、樹脂シートのピンホール欠点が生じにくく好ましい。
本発明の基材フィルムに設けた離型層の表面自由エネルギーは15mJ/m以上であることが好ましい。より好ましくは、18mJ/m以上であり、20mJ/m以上がさらに好ましい。15mJ/m以上であると樹脂シートの溶解液を塗布した際にハジキなどが発生しにくいため好ましい。
本発明の基材フィルムに設けた離型層の表面自由エネルギーは45mJ/m以下であることが好ましい。より好ましくは、40mJ/m以下であり、35mJ/m以下がさらに好ましい。45mJ/m以下であると成型した樹脂シートの剥離性が良好なため好ましい。
本発明において、上記表面自由エネルギーは、少なくとも離型層の樹脂シートと接する面の表面自由エネルギーを意味する。
本発明において、離型層の形成方法は、特に限定されず、離型性の樹脂を溶解もしくは分散させた塗液を、基材のポリエステルフィルムの一方の面に塗布等により展開し、溶媒等を乾燥により除去後、加熱乾燥、熱硬化または紫外線硬化させる方法が用いられる。このとき、溶媒乾燥、熱硬化時の乾燥温度は、180℃以下であることが好ましく、150℃以下であることがより好ましく、120℃以下であることがもっとも好ましい。その加熱時間は、30秒以下が好ましく、20秒以下がより好ましい。180℃以下の場合、フィルムの平面性が保たれ、樹脂シートの厚みムラを引き起こすおそれが小さく好ましい。120℃以下であるとフィルムの平面性を損なうことなく加工することができ、樹脂シートの厚みムラを引き起こすおそれが更に低下するので特に好ましい。
また、本発明に係る基材フィルムが、樹脂シート側の面に表面層Aを有する態様において、上記離型層を有することで、樹脂シートの剥離性を向上させることができる。例えば、樹脂シートが架橋剤を含む場合であっても、良好な離型性を示すことができる。
上記離型層の塗布法としては、公知の任意の塗布法が適用出来、例えばグラビアコート法やリバースコート法などのロールコート法、ワイヤーバーなどのバーコート法、ダイコート法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、等の従来から知られている方法が利用できる。
(樹脂シート)
本発明の基材フィルムに積層する樹脂シートは、樹脂シートを構成する成分の30質量%以上が有機成分で構成されたものである。有機成分としては特に限定されないが、エポキシ系樹脂、フェノキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、フッ素系樹脂、アクリル系樹脂、オレフィン系樹脂、イミド系樹脂、スルホン系樹脂などを含むことができる。
樹脂シートには、イソシアネート、メラミン、カルボジイミド、オキサゾリンなどの架橋剤を含み架橋された構造であっても構わない。また、上記範囲を満たせば有機成分以外には添加剤などを含んでも構わない。しかし、粒子を実質的に含まない方が好ましい。粒子を実質的に含まないことにより、例えば光学用途であれば、成形した樹脂シートの透明性が高くなる効果、フィルムコンデンサに使用される誘電体シートのような電子部品では電気特性が良くなるなどの効果が得られやすいため好ましい。
本発明の樹脂シートは、上述の有機成分を有機溶剤や水などに溶解または分散した塗液を溶液製膜法にて基材フィルム上に成形することが好ましく、離型層の塗布方法同様、公知の方法で塗布することができる。例えば、グラビアコート法やリバースコート法などのロールコート法、ワイヤーバーなどのバーコート法、ダイコート法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、等の従来から知られている方法が利用できる。
本発明の樹脂シートの膜厚(t1)は、1μm以上20μm以下である。より好ましくは1μm以上10μm以下であり、さらに好ましくは2μm以上8μm以下である。樹脂シートの膜厚(t1)が1μm以上であれば基材フィルムから剥離したあとも破れにくく容易に取り扱うことができるため好ましい。樹脂シートの膜厚(t1)が20μm以下であれば溶液製膜時にwet塗布膜厚が厚くなり過ぎず成形が容易であるため好ましい。
樹脂シートの膜厚(t1)は、特に限定されず公知の方法で測定することができるが、接触式の膜厚計、光学干渉方式の膜厚計や断面を走査型電子顕微鏡や透過型電子顕微鏡などで観察測定することができる。
一態様において、樹脂シートは、粒子を実質的に含まない。「粒子を実質的に含まない」とは、前述の同義である。本発明は、特定の構造を有する積層フィルムであるため、樹脂シートは粒子を実質的に含まないことが可能である。
また、樹脂シートが粒子を実質的に含まないので、例えば、光学用途であれば、高透明性であり、フィルムコンデンサなどの電子部品であれば優れた電気特性を示すことができる。例えば、光学用途であれば、樹脂シートは、ヘイズが2%以下であることができる。
また、ヘイズが1%以下であってもよい。一態様において、樹脂シートのヘイズは0.1%以上である。ヘイズがこのような範囲であることで、本発明の樹脂シートは、高透明性を示すことができる。
また、例えばフィルムコンデンサなどの電子部品であれば、樹脂シートは、絶縁破壊電圧が200V/μm以上であることができる。また、絶縁破壊電圧が300V/μm以上であってもよい。一態様において、絶縁破壊電圧は400V/μm以下である。樹脂シートがこのような値を有することで、例えば、フィルムコンデンサなどの電子部品であれば、優れた電気特性を示すことができる。
(易滑層)
本発明は、基材フィルムの少なくとも片面に樹脂シート、易滑層を順に積層してなる。易滑層には、少なくともバインダー樹脂と粒子を含むことが好ましい。その他にも架橋剤や界面活性剤、触媒などの各種添加剤を添加することもできる。
バインダー樹脂としては特に限定されないが、エポキシ系樹脂、フェノキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、フッ素系樹脂、アクリル系樹脂、オレフィン系樹脂、イミド系樹脂、スルホン系樹脂などを含むことができるが、樹脂シートに主成分として含有している樹脂を用いる方が好ましい。易滑層のバインダー樹脂として、樹脂シートの主成分と同じ樹脂を含むことが、樹脂シートと易滑層の屈折率や誘電率の差がなくなるため、光学的もしくは電気的に良好なため好ましい。本発明での主成分とは、その層を構成している成分全ての内、50質量%以上含んでいるものとする。
易滑層に含まれる粒子は、無機粒子であっても、有機粒子であってもよく、特に限定されるものではない。例えば、(1)シリカ、カオリナイト、タルク、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、ゼオライト、アルミナ、硫酸バリウム、カーボンブラック、酸化亜鉛、硫酸亜鉛、炭酸亜鉛、酸化ジルコニウム、二酸化チタン、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、水酸化アルミニウム、加水ハロイサイト、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウム、水酸化マグネシウム、硫酸バリウム等の無機粒子、(2)アクリルあるいはメタアクリル系、塩化ビニル系、酢酸ビニル系、ナイロン、スチレン/アクリル系、スチレン/ブタジエン系、ポリスチレン/アクリル系、ポリスチレン/イソプレン系、ポリスチレン/イソプレン系、メチルメタアクリレート/ブチルメタアクリレート系、メラミン系、ポリカーボネート系、尿素系、エポキシ系、ウレタン系、フェノール系、ジアリルフタレート系、ポリエステル系等の有機粒子が挙げられるが、塗布層に適度な滑り性を与えるために、シリカが特に好ましく使用される。
粒子の平均粒径は、例えば5nm以上であり、10nm以上であることが好ましく、より好ましくは11.5nm以上であり、さらに好ましくは30nm以上である。粒子の平均粒径は5nm以上であると、凝集しにくく、滑り性が確保できて好ましい。
粒子の平均粒径は、例えば3μm以下であり、600nm以下であることが好ましく、より好ましくは400nm以下であり、さらに好ましくは200nm以下である。粒子の平均粒径が3μm以下であると、透明性が保たれ、また、粒子が脱落することがなく好ましい。
また、例えば、平均粒径が5~100nm程度の小さい粒子と、平均粒径が100~600nm程度の大きい粒子を混用することも、良好な滑り性を発現するために好ましい。小さい粒子と大きい粒子を混用する場合、易滑層固形分全体に対して、小さい粒子の質量含有率を大きい粒子の質量含有率よりも大きくしておくことが好ましい。
粒子の平均粒径の測定方法は、加工後のフィルムの断面の粒子を透過型電子顕微鏡または走査型電子顕微鏡で観察を行い、凝集していない粒子100個を観察し、その平均値をもって平均粒径とする方法で行なえる。
本発明の目的を満たすものであれば、粒子の形状は特に限定されるものでなく、球状粒子、不定形の球状でない粒子を使用できる。不定形の粒子の粒子径は円相当径として計算することができる。円相当径は、観察された粒子の面積をπで除し、平方根を算出し2倍した値である。
粒子の易滑層の全固形分に対する比率は、150質量%以下であることが好ましく、より好ましくは100質量%以下であり、さらに好ましくは50質量%以下である。粒子の易滑塗布層の全固形分に対する比率が150質量%以下であれば、透明性が保たれ、易滑層からの粒子の脱落が顕著に発生せず、好ましい。
粒子の易滑層の全固形分に対する比率は、1質量%以上であることが好ましく、より好ましくは1.5質量%以上であり、さらに好ましくは2質量%以上である。粒子の易滑層の全固形分に対する比率が1質量%以上であれば、滑り性が確保できて好ましい。
易滑層に含まれる粒子の含有率を測定する方法としては、例えば、易滑層に有機成分の樹脂と無機粒子が含まれる場合、次の方法を用いることができる。まず加工フィルムに設けられた易滑層を、溶剤などを用いて加工フィルムより抽出し乾固することで易滑層を取り出す。次に得られた易滑層に熱をかけ、易滑層に含まれる有機成分を熱により燃焼留去させることで無機成分のみを得ることができる。得られた無機成分と燃焼留去前の易滑層の重量を測定することで、易滑層に含まれる粒子の質量%を測定することができる。このとき、市販の示差熱・熱重量同時測定装置を用いることで精度良く測定することができる。なお、上記の粒子の易滑層の全固形分中の比率は、粒子が複数種存在する場合は、その複数種の合計量の比率を意味する。
易滑層には、架橋剤を含みバインダー樹脂を硬化させることもできる。架橋剤は特に限定されないが、イソシアネート、メラミン、カルボジイミド、オキサゾリンなどを用いることができる。架橋剤の含有量は、バインダー樹脂100質量%に対し50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。
易滑層に架橋剤を含む場合は、樹脂シートに塗工後に積層フィルムとして巻き取るまでに架橋が完全に完了していることが好ましい。未反応の架橋剤が存在すると、積層フィルムとして巻取、保管している間に、基材フィルムの裏面と易滑層間で、未反応の架橋剤が反応しブロッキングする懸念がある。そのため、易滑層には架橋剤を含まないか、完全に反応させておくことが好ましい。
一態様において、易滑層は、実質的に架橋剤を含まない。
易滑層には、塗布時のレベリング性の向上、塗布液の脱泡を目的に界面活性剤を含有させることもできる。界面活性剤は、カチオン系、アニオン系、ノニオン系などいずれのものでも構わないが、シリコーン系、アセチレングリコール系又はフッ素系界面活性剤が好ましい。これらの界面活性剤は、過剰に添加することで塗布外観の異常が発生しない程度の範囲で塗布層に含有させることが好ましい。
易滑層の膜厚(t2)は、0.001μm以上1μm以下である。より好ましくは、0.01μm以上、0.5μm以下であり、さらに好ましくは、0.01μm以上、0.2μm以下である。さらに易滑層の膜厚(t2)は、樹脂シートの膜厚(t1)に対し20%以下であり、より好ましくは10%以下であり、さらに好ましくは5%以下である。
易滑層の膜厚(t2)が前記範囲を満たしている場合、基材フィルムから剥離した易滑層付き樹脂シートは、良好な滑り性と樹脂シートの性能、例えば、光学用途であれば、高透明性であり、フィルムコンデンサなどの電子部品であれば電気特性を両立できるため好ましい。
易滑層の膜厚は、特に限定されず公知の方法で測定することができるが、光学干渉方式の膜厚計や断面を走査型電子顕微鏡や透過型電子顕微鏡などで観察測定することができる。易滑層の膜厚は薄くなるため、積層フィルムの断面を走査型電子顕微鏡や透過型電子顕微鏡で観察測定することが好ましい。
本発明の易滑層は、易滑層を構成する材料を有機溶剤や水などに溶解または分散した塗液を溶液製膜法にて、前記基材フィルム上に成形した樹脂シート上に塗布方式によって成形することが好ましく、離型層や樹脂シートの塗布方法同様、公知の方法で塗布することができる。例えば、グラビアコート法やリバースコート法などのロールコート法、ワイヤーバーなどのバーコート法、ダイコート法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、等の従来から知られている方法が利用できる。易滑層の塗布は、基材フィルムに樹脂シートを塗布・乾燥後、すぐに塗工することもできるし、一度ロール状に巻き取った後に再度巻き出して塗工することもできる。前述の方式の場合は、塗工装置に、塗布・乾燥工程を2対有する設備で連続的に加工することができる。後述の方式の場合は、塗布・乾燥工程を1対有する設備で逐次的に2度加工することで成形することができる。また、多層コーターダイなどを用いることで樹脂シートと易滑層を同時に基材フィルム上に塗布して成形することもできる。
(積層フィルム)
本発明の積層フィルムは、次工程以降で基材フィルムから易滑層付き樹脂シートが剥離されて使用される。そのため、基材フィルムからの剥離力が800mN/25mm幅以下であると易滑層付き樹脂シートが破断などせずに剥離できるため好ましい。より好ましくは500mN/25mm幅以下であり、例えば、300mN/25mm幅以下であり、さらに好ましくは100mN/25mm幅以下である。剥離力は、積層する樹脂シートによって異なるため、基材フィルムの離型層の種類、離型層の有無によって調整することができる。
このように、本発明においては、本発明に係る樹脂シート、易滑層を有し、易滑層の膜厚(t2)が、樹脂シートの膜厚(t1)と所定の関係を有し、基材フィルムの樹脂シートを積層する面の算術平均高さ(Sa)が20nm以下であり、かつ最大突起高さ(P)が200nm以下であること、及び基材フィルムから易滑層付き樹脂シートを剥離するときの剥離力が、800mN/25mm幅以下であるため、樹脂シートにピンホール及び局所的な厚みムラなどの発生が起こりにくい。
また、本発明の条件をみたすことで、本発明は、前述の樹脂シートの性能、例えば、光学用途であれば、高透明性であり、フィルムコンデンサなどの電子部品であれば優れた電気特性を示すことができる。
次に、実施例、比較例を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明は当然以下の実施例に限定されるものではない。また、本発明で用いた評価方法は以下の通りである。
(算術平均高さ(Sa)、最大突起高さ(P))
非接触表面形状計測システム(菱化システム社製、VertScan R550H-M100)を用いて、下記の条件で測定した値である。算術平均高さ(Sa)は、5回測定の平均値を採用し、最大突起高さ(P)は7回測定し最大値と最小値を除いた5回の最大値を使用した。
(測定条件)
・測定モード:WAVEモード
・対物レンズ:10倍
・0.5×Tubeレンズ
・測定面積 936μm×702μm
(解析条件)
・面補正: 4次補正
・補間処理: 完全補間
・フィルター処理:ガウシアン カットオフ値50μm
(膜厚)
切り出した積層フィルムを樹脂包埋し、ウルトラミクロトームを用いて超薄切片化した。その後、日本電子製JEM2100透過電子顕微鏡を用いて、直接倍率20,000倍で観察を行い、観察したTEM画像から積層フィルム各層の膜厚を測定した。
(剥離力)
積層フィルムを幅25mm、長さ150mmの短冊状に裁断し、基材フィルムの一端を固定し、樹脂シートの一端を担持し、樹脂シート側を300mm/minの速度で引っ張り、T字剥離強度を測定した。測定には、引っ張り試験機(島津製作所製の「AUTOGRAPH AG-X」)を用いた。測定値は、5回測定の平均値を採用した。
測定した剥離力から以下の基準で剥離性を評価した。
〇:100mN/25mm幅以下の低剥離力で剥離でき、薄膜フィルムでも破れることなく剥離することができた
〇△:300mN/25mm幅以下、100mN/25mm幅より大きな剥離力で剥離することができた。
△:剥離力が300mN/25mm幅より大きく、800mN/25mm幅以下で剥離できた。膜厚が極めて薄い部分では、一部破れることもあった
×:剥離することができなかった。
(ブロッキング)
得られた積層フィルムの表裏を重ね合わせ、40℃24時間、1kg/cm2の加重をかけた後に、フィルムを剥がしたときの状態を目視で観察し以下のように評価を行った。
〇:剥離後には特に跡など残らず、問題なく剥離できた。
△:剥離はできたが、剥離後のフィルムに僅かな跡が残った。
×:フィルム同士が固着し剥がすことができなかった。
(滑り性)
基材フィルムより剥離した樹脂シート(易滑層含む)の表裏を重ねて手でフィルム間の空気を抜きながら滑らせたときの状況について以下の基準で判定した。
〇:フィルム同士が固着せず滑った。
〇△:フィルム同士は滑ったが、少しひっかかりがあった。
△:フィルム同士は滑ったが、ひっかかりがあった。
×:フィルム同士は全く滑らなかった。
(光学特性)
基材フィルムより剥離した樹脂シートのヘイズと全光線透過率を、ヘーズメーター(NDH7000II、日本電色工業社製)を用いて測定し以下の基準で評価した。
〇:透明性が非常に高かった(ヘイズが1%以下)
△:透明性が高かった(ヘイズが1~2%)
×:透明性が低かった(ヘイズが2%より大きい)
(電気特性)
基材フィルムより剥離した樹脂シートの両面に薄膜のアルミ蒸着層を設け、室温下で絶縁破壊電圧(V/μm)を測定した。10点測定したときの平均値を用い、以下の基準で評価した。
〇:絶縁破壊電圧(BDV値)が300V/μm以上
△:絶縁破壊電圧が200V/μm以上
×:絶縁破壊電圧が200V/μm未満
(ポリエチレンテレフタレートペレット(PET(I))の調製)
エステル化反応装置として、攪拌装置、分縮器、原料仕込口及び生成物取出口を有する3段の完全混合槽よりなる連続エステル化反応装置を用いた。TPA(テレフタル酸)を2トン/時とし、EG(エチレングリコール)をTPA1モルに対して2モルとし、三酸化アンチモンを生成PETに対してSb原子が160ppmとなる量とし、これらのスラリーをエステル化反応装置の第1エステル化反応缶に連続供給し、常圧にて平均滞留時間4時間、255℃で反応させた。次いで、第1エステル化反応缶内の反応生成物を連続的に系外に取り出して第2エステル化反応缶に供給し、第2エステル化反応缶内に第1エステル化反応缶から留去されるEGを生成PETに対して8質量%供給し、さらに、生成PETに対してMg原子が65ppmとなる量の酢酸マグネシウム四水塩を含むEG溶液と、生成PETに対してP原子が40ppmのとなる量のTMPA(リン酸トリメチル)を含むEG溶液を添加し、常圧にて平均滞留時間1時間、260℃で反応させた。次いで、第2エステル化反応缶の反応生成物を連続的に系外に取り出して第3エステル化反応缶に供給し、高圧分散機(日本精機社製)を用いて39MPa(400kg/cm)の圧力で平均処理回数5パスの分散処理をした平均粒径が0.9μmの多孔質コロイダルシリカ0.2質量%と、ポリアクリル酸のアンモニウム塩を炭酸カルシウムあたり1質量%付着させた平均粒径が0.6μmの合成炭酸カルシウム0.4質量%とを、それぞれ10%のEGスラリーとして添加しながら、常圧にて平均滞留時間0.5時間、260℃で反応させた。第3エステル化反応缶内で生成したエステル化反応生成物を3段の連続重縮合反応装置に連続的に供給して重縮合を行い、95%カット径が20μmのステンレススチール繊維を焼結したフィルターで濾過を行ってから、限外濾過を行って水中に押出し、冷却後にチップ状にカットして、固有粘度0.60dl/gのPETチップを得た(以後、PET(I)と略す)。PETチップ中の滑剤含有量は0.6質量%であった。
(ポリエチレンテレフタレートペレット(PET(II))の調製)
一方、上記PETチップの製造において、炭酸カルシウム、シリカ等の粒子を全く含有しない固有粘度0.62dl/gのPETチップを得た(以後、PET(II)と略す。)。
(ポリエチレンテレフタレートペレット(PET(III))の調製)
PET(I)の粒子の種類、含有量をポリアクリル酸のアンモニウム塩を炭酸カルシウムあたり1質量%付着させた平均粒径が0.9μmの合成炭酸カルシウム0.75質量%に変更した以外は、PET(I)と同様にしてPETチップを得た(以後、PET(III
)と略す)。PETチップ中の滑剤含有量は0.75質量%であった。
(基材フィルムX1の製造)
これらのPETチップを乾燥後、285℃で溶融し、別個の溶融押出し機押出機により290℃で溶融し、95%カット径が15μmのステンレススチール繊維を焼結したフィルターと、95%カット径が15μmのステンレススチール粒子を焼結したフィルターの2段の濾過を行って、フィードブロック内で合流して、PET(I)を表面層B、PET(II)を表面層Aとなるように積層し、シート状に45m/分のスピードで押出(キャスティング)し、静電密着法により30℃のキャスティングドラム上に静電密着・冷却させ、固有粘度が0.59dl/gの未延伸ポリエチレンテレフタレートシートを得た。層比率は各押出機の吐出量計算でPET(I)/PET(II)=60%/40%となるように調整した。次いで、この未延伸シートを赤外線ヒーターで加熱した後、ロール温度80℃でロール間のスピード差により縦方向に3.5倍延伸した。その後、テンターに導き、140℃で横方向に4.2倍の延伸を行なった。次いで、熱固定ゾーンにおいて、210℃で熱処理した。その後、横方向に170℃で2.3%の緩和処理をして、厚さ25μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの基材フィルムX1を得た。得られたフィルムX1の表面層AのSaは2nm、表面層BのSaは29nmであった。
(基材フィルムX2の製造)
前記で得られた基材フィルムX1の表面層A上に、下記離型塗布液をリバースグラビアコート法でwet膜厚が5μmになるように塗工し熱風乾燥炉で120℃30秒乾燥・硬化させて離型層付きの基材フィルムX2を得た。離型層表面のSaは2nmであった。
(離型塗布液)
トルエン 48質量部
メチルエチルケトン 48質量部
LTC310(ダウ・東レ社製 熱硬化型シリコーン塗材、固形分30wt%)
3質量部
SRX212P Catalyst(ダウ・東レ社製 Pt系硬化触媒)
0.1質量部
(基材フィルムX3の製造)
基材フィルムX1と同様の層構成、延伸条件は変更せずに、キャスティング時の速度を変更することで厚みを調整し、12μmの厚みの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを作成し、X2同様の離型層を設けることで基材フィルムX3を得た。得られたフィルムX3の表面層AのSaは3nm、表面層BのSaは29nmであった。
(基材フィルムX4)
基材フィルムX4としては、厚み25μmのA4100(コスモシャイン(登録商標)、東洋紡社製)の表面層A上にX2同様の離型層を設けたものを使用した。A4100は、フィルム中に粒子を実質的に含有せず、表面層B側のみにインラインコートで粒子を含んだコート層を設けた構成をしている。基材フィルムX4の表面層AのSaは1nm、表面層BのSaは2nmであった。
(基材フィルムX5)
基材フィルムX5としては、厚み25μmのE5101(東洋紡エステル(登録商標)フィルム、東洋紡社製)の表面層A上にX2同様の離型層を設けたものを使用した。E5101は、フィルムの表面層A及びB中に粒子を含有した構成になっている。基材フィルムX5の表面層AのSaは25nm、表面層BのSaは25nmであった。
(実施例1)
基材フィルムX1の表面層A上にリバースグラビアコート法を用いて樹脂溶液(1)を乾燥後の樹脂シートの膜厚が3μmになるように塗工し熱風乾燥炉で120℃30秒乾燥することで樹脂シートを成形した。その後、樹脂シート上に易滑層塗液Aを、リバースグラビアコート法を用いて乾燥後の易滑層膜厚が50nmになるように塗工し、熱風乾燥炉で100℃30秒乾燥することで樹脂シート上に易滑層を成形し積層フィルムを作成した。得られた積層フィルムから、易滑層付き樹脂シートを、基材フィルムから剥離するときの剥離力、剥離後の滑り性を評価した。
(樹脂溶液1)
トルエン 7質量部
テトラヒドロフラン 20質量部
TOPAS(登録商標)6017S-04トルエン溶解液 75質量部
(ポリプラスチックス社製 シクロオレフィン樹脂、固形分20wt%)
なお、溶解液はシクロオレフィン樹脂とトルエンを混合し加熱することで作成した。
界面活性剤 0.1質量部
(易滑層溶液A)
トルエン 75質量部
テトラヒドロフラン 20質量部
TOPAS(登録商標)6017S-04トルエン溶解液 5質量部
(ポリプラスチックス社製 シクロオレフィン樹脂、固形分20wt%)
TOL-ST 0.5質量部
(日産化学社製、シリカ粒子分散液 固形分40wt%、粒径12nm)
(実施例2)
基材フィルムX1を離型層付き基材フィルムX2に変更した以外は実施例1と同様にして積層フィルムを作成した。
(実施例3~5、比較例1)
表1のように易滑層の膜厚を変更した以外は、実施例2と同様にして積層フィルムを作成した。
実施例1~5、比較例1の結果から、易滑層を設けることで、樹脂シートに粒子を添加しなくても樹脂シートの滑り性が良好であることが確認できた。易滑層の膜厚を変化させたところ、ある程度の膜厚までは滑り性も透明性も良好であったが、比較例1のように易滑層の膜厚t2が、樹脂シートの膜厚(t1)の26.7%程度まで大きくなってしまうと樹脂シートの透明性に影響を与えてしまうことがわかった。
(実施例6)
易滑層の粒子添加量変更した易滑層塗液Bに変更した以外は、実施例2と同様にして積層フィルムを作成した。
(易滑層溶液B)
トルエン 75質量部
テトラヒドロフラン 20質量部
TOPAS(登録商標)6017S-04トルエン溶解液 5質量部
(ポリプラスチックス社製 シクロオレフィン樹脂、固形分20wt%)
TOL-ST 0.1質量部
(日産化学社製、シリカ粒子分散液 固形分40wt%、粒径12nm)
(実施例7)
易滑層の粒子添加量変更した易滑層塗液Cに変更した以外は、実施例2と同様にして積層フィルムを作成した。
(易滑層溶液C)
トルエン 75質量部
テトラヒドロフラン 20質量部
TOPAS(登録商標)6017S-04トルエン溶解液 5質量部
(ポリプラスチックス社製 シクロオレフィン樹脂、固形分20wt%)
TOL-ST 1.3質量部
(日産化学社製、シリカ粒子分散液 固形分40wt%、粒径12nm)
易滑層に含まれる粒子添加量の変更検討をした実施例6、7では、滑り性は問題なかった。粒子量が多い実施例7の方がやや滑り性が向上する傾向であった。
(実施例8、9)
樹脂シートの膜厚を表に記載のものに変更した以外は、実施例2と同様にして積層フィルムを作成した。樹脂シートの厚みを変更しても樹脂シートの滑りは良好であった。
(実施例10)
基材フィルムX1の表面層A上にリバースグラビアコート法を用いて樹脂溶液(2)を乾燥後の樹脂シートの膜厚が3μmになるように塗工し熱風乾燥炉で120℃30秒乾燥することで樹脂シートを成形した。その後、樹脂シート上に易滑層塗液Dを、リバースグラビアコート法を用いて乾燥後の易滑層膜厚が50nmになるように塗工し熱風乾燥炉で100℃30秒乾燥することで樹脂シート上に易滑層を成形し積層フィルムを作成した。得られた積層フィルムから、易滑層付き樹脂シートを、基材フィルムから剥離するときの剥離力、剥離後の滑り性を評価した。
(樹脂溶液2)
メチルエチルケトン 31質量部
テトラヒドロフラン 31質量部
PKHB溶解液 38質量部
(Gabriel Phenoxies社製 フェノキシ樹脂、固形分40wt%)
*溶解液はフェノキシ樹脂をテトラヒドロフランに溶解させ作成した
BYK-370 0.6質量部
(ビックケミー・ジャパン社製、シリコーン系界面活性剤)
(易滑層溶液D)
メチルエチルケトン 48質量部
テトラヒドロフラン 48質量部
PKHB溶解液 2.5質量部
(Gabriel Phenoxies社製、 フェノキシ樹脂、固形分40wt%)
MEK-ST-ZL 0.7質量部
(日産化学社製、シリカ粒子分散液 固形分30wt%、粒径80nm)
BYK-370 0.04質量部
(ビックケミー・ジャパン社製、シリコーン系界面活性剤)
(実施例11)
基材フィルムX1を離型層付き基材フィルムX2に変更した以外は実施例10と同様にして積層フィルムを作成した。
(実施例12)
樹脂溶液3に変更した以外は、実施例11と同様にして積層フィルムを作成した。
(樹脂溶液3)
メチルエチルケトン 34質量部
テトラヒドロフラン 34質量部
PKHB溶解液 28質量部
(Gabriel Phenoxies社製 フェノキシ樹脂、固形分40wt%)
*溶解液はフェノキシ樹脂をテトラヒドロフランに溶解させ作成した
ミリオネートMR-200 3.8質量部
(東ソー社製、イソシアネート架橋剤、固形分99wt%)
BYK-370 0.6質量部
(ビックケミー・ジャパン社製、シリコーン系界面活性剤)
実施例10~12、樹脂シート、易滑層の樹脂種を変更し基材フィルムの離型層有無の比較検討を行った。樹脂シートに架橋剤を含まない実施例10,11は基材フィルムに離型層があってもなくても良好は剥離性を示した。また、樹脂シートに架橋剤を含む実施例13では、基材フィルムに離型層を有するため、良好な剥離性を示した。樹脂シートに架橋剤を含む場合は、基材フィルムには離型層を有することが好ましいことがわかった。
(実施例13)
粒子添加量を変更した以下易滑層溶液Eに変更した以外は実施例12と同様にして積層フィルムを作成した
(易滑層溶液E)
メチルエチルケトン 48質量部
テトラヒドロフラン 48質量部
PKHB溶解液 2.5質量部
(Gabriel Phenoxies社製 フェノキシ樹脂、固形分40wt%)
MEK-ST-ZL 1.7質量部
(日産化学社製、シリカ粒子分散液 固形分30wt%、粒径80nm)
BYK-370 0.04質量部
(ビックケミー・ジャパン社製、シリコーン系界面活性剤)
(実施例14)
粒子添加量を変更した以下易滑層溶液Eに変更した以外は実施例12と同様にして積層フィルムを作成した
(易滑層溶液F)
メチルエチルケトン 47質量部
テトラヒドロフラン 47質量部
PKHB溶解液 2.5質量部
(Gabriel Phenoxies社製 フェノキシ樹脂、固形分40wt%)
MEK-ST-ZL 3.3質量部
(日産化学社製、シリカ粒子分散液 固形分30wt%、粒径80nm)
BYK-370 0.04質量部
(ビックケミー・ジャパン社製、シリコーン系界面活性剤)
実施例12~14で易滑層に含まれる粒子量の検討を行った。実施例で示した範囲で変更しても滑り性や透明性など問題ない結果であった。
(実施例15)
粒子の粒径を変更した以下易滑層溶液Gに変更した以外は実施例12と同様にして積層フィルムを作成した
(易滑層溶液G)
メチルエチルケトン 48質量部
テトラヒドロフラン 48質量部
PKHB溶解液 2.5質量部
(Gabriel Phenoxies社製 フェノキシ樹脂、固形分40wt%)
MEK-ST-L 0.7質量部
(日産化学社製、シリカ粒子分散液 固形分30wt%、粒径45nm)
BYK-370 0.04質量部
(ビックケミー社製、シリコーン系界面活性剤)
(実施例16)
粒子の粒径を変更した以下易滑層溶液Hに変更した以外は実施例12と同様にして積層フィルムを作成した
(易滑層溶液H)
メチルエチルケトン 48質量部
テトラヒドロフラン 48質量部
PKHB溶解液 2.5質量部
(Gabriel Phenoxies社製 フェノキシ樹脂、固形分40wt%)
MEK-ST-2040 0.5質量部
(日産化学社製、シリカ粒子分散液 固形分40wt%、粒径200nm)
BYK-370 0.04質量部
(ビックケミー社製、シリコーン系界面活性剤)
(実施例17)
粒子の粒径を変更した以下易滑層溶液Iに変更した以外は実施例12と同様にして積層フィルムを作成した
(易滑層溶液I)
メチルエチルケトン 50質量部
テトラヒドロフラン 50質量部
PKHB溶解液 2.5質量部
(Gabriel Phenoxies社製 フェノキシ樹脂、固形分40wt%)
エポスター(登録商標)MA1002 0.2質量部
(日本触媒社製、アクリル粒子 粒径2μm)
BYK-370 0.04質量部
(ビックケミー社製、シリコーン系界面活性剤)
実施例15~17で易滑層に含まれる粒子の粒径を変更する検討を行った。実施例の範囲で変更しても良好な滑り性を示す結果であったが、実施例17の2μm粒子を用いた場合に透明性がやや低下する傾向があった。
(実施例18)
易滑層に架橋剤を含む易滑層塗液Jに変更した以外は実施例12と同様にして積層フィルムを作成した。
(易滑層溶液J)
メチルエチルケトン 8質量部
テトラヒドロフラン 48質量部
PKHB溶解液 1.9質量部
(Gabriel Phenoxies社製 フェノキシ樹脂、固形分40wt%)
ミリオネートMR-200 0.3質量部
(東ソー社製、イソシアネート架橋剤、固形分99wt%)
MEK-ST-ZL 0.7質量部
(日産化学社製、シリカ粒子分散液 固形分30wt%、粒径80nm)
BYK-370 0.04質量部
(ビックケミー社製、シリコーン系界面活性剤)

易滑層の架橋剤を含む場合でも剥離性や滑り性など問題ない結果であったが、ブロッキング評価がやや悪い傾向であった。易滑層には架橋剤を含まない方が好ましいことを示していた。
(実施例19,20、比較例2)
基材フィルムを表に記載のものに変更した以外は、実施例12と同様にして積層フィルムを作成した。
表面粗さの異なる基材フィルムを用いて評価を行った。Sa、Pの低い実施例19,20は良好な結果を示したが、Sa、Pが大きい比較例3では剥離後の樹脂シートに凹凸が観察され、電子部品などに用いる場合に電気特性悪化が懸念される結果であった。
(比較例3)
易滑層を設けていないこと以外は、実施例2と同様にして積層フィルムを作成した。
(比較例4)
易滑層を設けていないこと以外は、実施例12と同様にして積層フィルムを作成した。
易滑層を設けていない、比較例4,5は滑り性が悪く、電子部品、光学用途において、本発明の樹脂シートが有する機能を発揮できなかった。
以下の表において、実施例及び比較例で用いたフィルムの各種条件、物性等の評価結果を示す。
本発明は、樹脂シートを積層した積層フィルムに関する。特に電子部品、光学用途に用いられる樹脂シートを積層した積層フィルムに関する。
10 基材フィルム
11 離型層
12 樹脂シート
13 易滑層
14 粒子

Claims (6)

  1. 基材フィルムの少なくとも片面に樹脂シート、易滑層を順に積層してなる積層フィルムであって、基材フィルムがポリエステルフィルムからなり、以下の(1)~(6)を満たす積層フィルム:
    (1)基材フィルムの樹脂シートを積層する面の算術平均高さ(Sa)が20nm以下であり、かつ最大突起高さ(P)が200nm以下である、
    (2)樹脂シートの膜厚(t1)が、1μm以上20μm以下である、
    (3)易滑層は、少なくともバインダー樹脂と粒子を含有する、
    (4)易滑層の膜厚(t2)が、0.001μm以上1μm以下である、
    (5)易滑層の膜厚(t2)が、樹脂シートの膜厚(t1)の20%以下である、
    (6)基材フィルムから易滑層付き樹脂シートを剥離するときの剥離力が、800mN/25mm幅以下である。
  2. 前記基材フィルムと前記樹脂シートとの間に、更に離型層が設けられている請求項1記載の積層フィルム。
  3. 易滑層に含まれるバインダー成分が、樹脂シートに含まれる主な樹脂成分と同成分である請求項1または2記載の積層フィルム。
  4. 易滑層は、実質的に架橋剤を含まない請求項1~3のいずれかに記載の積層フィルム。
  5. 基材フィルムは、樹脂シート側の面に表面層Aを有し、
    前記表面層Aは、実質的に粒子を含まない層であり、算術平均高さ(Sa)が20nm以下であり、かつ最大突起高さ(P)が200nm以下である、請求項1~3のいずれかに記載の積層フィルム。
  6. 請求項1~5のいずれかに記載する積層フィルムの製造方法であって、基材フィルム上に溶液製膜法によって樹脂シート、易滑層をこの順に塗布成形することを含む、積層フィルムの製造方法。
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