JP7493372B2 - 塗料組成物及び包装用紙 - Google Patents

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Description

本発明は、塗料組成物及び包装用紙に関するものである。
従来から、紙の防滑性を向上させる手法として、基紙表面をサイズプレスや噴霧ノズル等を用いて加工処理する手法が採られてきた。防滑性を紙に付与するには、一例に防滑剤が含まれた塗料を紙に塗工することにより行われる。防滑剤としては、コロイダルシリカ系無機物やスチレン-アクリル系共重合体の糊、コロイダルシリカ含有複合エマルジョン等が用いられる(特許文献1)。また、今般では紙の加工を高速で行う高速加工機に対応するため、低粘性の塗料が好まれる傾向にある。
特開平7-304999号公報 特開2019-183372号公報 再表2014/181560号公報
低粘性の塗料は、高速で塗工できる反面、基紙表面の平滑度合により、弾かれたり、塗りムラが発生したりする現象が起こる。また、コロイダルシリカ系無機物やスチレン-アクリル系共重合体の糊、コロイダルシリカ含有複合エマルジョン等の防滑剤は、基紙表面への定着性が良くないので、バインダーを過剰に添加して定着性を向上させる手法を採る場合がある。しかしながら、バインダーの過剰添加により、塗料の伸びが良くなくなるという問題が生じる。また、このような防滑剤を付与した紙は、塗りムラにより凹凸を有する紙面となり防滑性に乏しいものとなる場合がある。そこで、本発明は、紙に防滑性を付与することができ、塗りムラの発生が抑制され、伸びの良い塗料組成物、及び防滑性を備えた包装用紙を提供することを課題とする。
前記課題を解決するための態様を次記に示す。
(第1の態様)
平均繊維径が30μm以下の微細化セルロース繊維を含み、
25℃、60rpmでのB型粘度が1000cP以下である、
ことを特徴とする防滑性塗料。
上記課題を解決するために種々研究を重ね、発明者は、微細化セルロース繊維の粘性に着目した。微細化セルロース繊維を含む塗料組成物は、粘性を有し、B型粘度が1000cP以下であると、今般の高速加工機を用いて塗工する際に、塗りムラの発生が抑制されたものとなる。塗りムラの発生が抑制される理由は、定かではないが、おそらく微細化セルロース繊維の性質の一つである、分散性に関係すると推測される。
当該塗料組成物中において微細化セルロース繊維は、優れた分散性を発揮し、相互の凝集が抑制される。微細化セルロース繊維が分散しているので、塗料組成物が、表面張力等によって凝集する作用が抑制される。塗料組成物は、凝集し難いので被塗工面によって弾かれにくく、塗りムラの発生が抑制される。
また、微細化セルロース繊維は、平均繊維径が相対的に太いとアスペクト比が小さくなり、分散し難いものとなるが、本態様の微細化セルロース繊維は、平均繊維径が30μm以下なので、アスペクト比が相対的に大きく適度に分散し易い。
微細化セルロース繊維は性質の一つとして擬塑性を有する。この擬塑性の作用により、微細化セルロース繊維は所定の粘性を有していても、塗工時に流動性が発揮されるので、当該塗料組成物は伸びの良いものとなる。
(第2の態様)
チキソトロピーインデックスTi値(10rpm/100rpm)が1以上である、
上記態様の塗料組成物。
Ti値が上記範囲であると、より伸びの良い塗料組成物となる。
(第3の態様)
3質量%以下のバインダー樹脂を含む、
上記態様の塗料組成物。
バインダー樹脂を含むことで、当該塗料組成物は、被塗工面への定着性が良いものとなる。また、バインダー樹脂が上記範囲であると、当該塗料組成物の伸びの良さが抑制され難い。
(第4の態様)
前記微細化セルロース繊維の一部は、化学的な変性がなされていないものである、
上記態様の塗料組成物。
微細化セルロース繊維におけるセルロース繊維が、TEMPO酸化、カルボキシメチル化、リンオキソ酸によるエステル化等の化学処理によって、化学的に変性されたものは、粘性が増大する傾向にある。粘性が相対的に高いと、当該塗料組成物の塗工効率が低下する。化学的な変性がなされていない微細化セルロース繊維が当該塗料組成物に含まれていることで、粘性の過度な増大が抑制される。
(第5の態様)
前記微細化セルロース繊維は、亜リン酸エステル化されたものと、亜リン酸エステル化されていないものからなり、
前記微細化セルロース繊維のうちの、前記亜リン酸エステル化されていないものの百分率が50%以上である、
上記態様の塗料組成物。
亜リン酸エステル化されていない微細化セルロース繊維を有するので、当該塗料組成物は粘性の過度な増大が抑制されたものとなる。
(第6の態様)
基紙と、当該基紙面に形成された形成層とからなり、
前記形成層は、
バインダー樹脂と平均繊維径が30μm以下の微細化セルロース繊維を含み、
前記形成層表面のベック平滑度が25秒以上となるものである、
ことを特徴とする包装用紙。
本態様の形成層は、バインダー樹脂と微細化セルロース繊維が基紙の内部に一部含浸し、又は、基紙の表面に残存したものとなる。ベック平滑度が上記範囲なので、包装用紙を例えば別体のシートで覆ったときに、形成層の表面とシートとの間に形成される空隙が相対的に狭くなり、包装用紙とシートとがぴったりと重なる。よって、包装用紙とシートとがズレにくく、すなわち、包装用紙は、形成層の表面の摩擦抵抗が相対的に大きいものとなる。
また、基紙がパルプ製品である場合は、基紙と形成層がどちらもセルロースを含んで形成されているので、自然環境に対して低負荷であり、自然環境の保全につながる。
微細化セルロース繊維は、水酸基を有し水素結合点を備えるため、水分を吸収し易く、すなわち、湿潤性を有する。この場合の水分とは、当該微細化セルロース繊維を取り囲む雰囲気中の水分や、形成層が水分を含む場合の当該水分を例示できる。
包装用紙は、一般的に言われる板紙あるいはクラフト紙をいい、多層抄きの紙や単層抄きの紙であってもよい。また、包装用紙は紙厚や坪量が相対的に大きい紙と表現することもできる。微細化セルロース繊維は引張破断強さに優れるので、当該微細化セルロース繊維を有する包装用紙は、強度に優れたものとなる。
(第7の態様)
前記基紙における前記形成層の形成量が固形分基準で5.0g/m2以下である、
上記態様の包装用紙。
上記範囲の形成量であれば、塗りムラの発生が起こり難いという効果が奏される。
本発明による主効果として、紙に防滑性を付与することができ、塗りムラの発生が抑制され、伸びの良い塗料組成物となる。また、副次的な効果として、防滑性を備えた包装用紙となる。
本発明を実施するための形態を次記に説明する。なお、本実施の形態は本発明の一例である。本発明の範囲は、本実施の形態の範囲に限定されない。
本発明における塗料組成物は、微細化セルロース繊維を含み、B型粘度が所定範囲であることを特徴とする。また、塗料組成物には、バインダー樹脂や撥水剤を含ませることができる。
従来の包装用紙は、一例として防滑剤を紙面に外添させることで防滑効果を発揮させている。防滑剤によっては、紙面に塗工した防滑剤が紙の厚み方向に浸透してしまう場合があった。この浸透を防止するために紙面に予め外添紙力剤を塗って塗工膜を形成した上で、防滑剤を塗工する手法を採っていた。なお、セルロースナノファイバーを内添させたものや、バリア紙としたものに関する技術もある(特許文献2,3)。
これに対して、本実施形態の塗料組成物は、紙の厚み方向に浸透しないもの、又は浸透したとしても僅かに浸透したものとなっている。このメカニズムは明らかではないが、おそらく次のように推測される。
セルロースナノファイバー分散液の性質としてチキソトロピー性を有する。これは外力が加わらない状態では、粘性が相対的に高く流動性は低いが、圧力、外力が加わった状態では粘性が低く、流動性が良好となる性質である。これは塗料組成物をアプリケーター(塗工機)で紙に塗工する瞬間は、高いシェアが加わるため、塗料組成物の流動性は高くなり被膜されやすくなるが、一方で塗工直後は、塗料組成物に加わる力がなくなり、粘性が高く変化する。塗工後、紙の厚み方向では、毛細管現象で紙の内部に塗料組成物が浸透する現象が発生するが、塗工時に加わる力に比べると弱く、塗料組成物の流動性が大きく変わるほどの力は加わらないことから紙表面に留まりやすくなるものと考えられる。
(微細化セルロース繊維)
微細化セルロース繊維は、セルロース繊維の水素結合点を増やし、もって成形体の強度を向上する役割を有する。微細化セルロース繊維は、原料パルプを解繊(微細化)することで得ることができ、化学処理、機械処理等公知の処理手法で製造することができる。原料となるセルロース繊維としては、植物由来の繊維、動物由来の繊維、微生物由来の繊維等の中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。ただし、植物繊維であるパルプ繊維(原料パルプ)を使用するのが、経済的コストがかからず好ましい。
微細化セルロース繊維の原料パルプとしては、例えば、広葉樹、針葉樹等を原料とする木材パルプ、ワラ・バガス・綿・麻・じん皮繊維等を原料とする非木材パルプ、回収古紙、損紙等を原料とする古紙パルプ(DIP)等の中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。古紙パルブ以外のパルプは、古紙パルプよりもセルロース繊維の純度が高く、セルロース繊維以外の夾雑物が少ないので好ましい。セルロース繊維の純度が高いパルプから得られた微細化セルロース繊維は、流動性や被膜形成性に優れる。
なお、以上の各種原料は、例えば、セルロース系パウダーなどと言われる粉砕物の状態等であってもよい。近年のオーガニック成分含有の塗料組成物の需要が増加傾向にあるため、特に、古紙以外の植物由来の広葉樹や針葉樹を原料とする木材パルプが好適である。
木材パルプとしては、例えば、広葉樹クラフトパルプ(LKP)、針葉樹クラフトパルプ(NKP)、サルファイトパルプ(SP)、溶解パルプ等(DP)等の化学パルプ、機械パルプ(TMP)の中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。特に、セルロース成分を高める木材パルプである、広葉樹クラフトパルプ(LKP)、針葉樹クラフトパルプ(NKP)等の化学パルプが好ましく、晒パルプ(BKP)が好適である。
機械パルプとしては、例えば、ストーングランドパルプ(SGP)、加圧ストーングランドパルプ(PGW)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、ケミグランドパルプ(CGP)、サーモグランドパルプ(TGP)、グランドパルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、リファイナーメカニカルパルプ(RMP)、晒サーモメカニカルパルプ(BTMP)等の中から1種又は2種以上を選択して使用することができる。
微細化セルロース繊維の解繊に先立って、解繊の前処理として、化学的な手法によって微細化セルロース繊維を変性処理することもできる。化学的手法による前処理としては、例えば、酸による多糖の加水分解(酸処理)、酵素による多糖の加水分解(酵素処理)、アルカリによる多糖の膨潤(アルカリ処理)、酸化剤による多糖の酸化(酸化処理)、還元剤による多糖の還元(還元処理)、TEMPO触媒による酸化(酸化処理)、リンオキソ酸によるエステル化(化学的処理)等を例示することができる。
解繊に先立って酵素処理や酸処理、酸化処理を施すと、解繊し易くなり、微細化セルロース繊維が均質性に優れるものとなる。
原料パルプを酵素処理や酸処理、酸化処理すると、パルプが持つヘミセルロースやセルロースの非晶領域が分解され、結果、微細化処理のエネルギーを低減することができ、セルロース繊維の均一性や分散性を向上することができる。セルロース繊維の分散性は、例えば、成形体の均質性向上に資する。ただし、前処理は、微細化セルロース繊維のアスペクト比を低下させるため、過度の前処理は避けるのが好ましい。
上記化学的な変性処理のうち、原料パルプをリンオキソ酸によるエステル化(化学的な変性処理)を施す処理を行うと、繊維原料を微細化でき、製造される微細化セルロース繊維は、アスペクト比が大きく強度に優れ、光透過度及び粘度が高いものとなる。リンオキソ酸によるエステル化は、特開2019-199671号公報に掲げる手法で行うことができる。リンオキソ酸によりエステル化された微細化セルロース繊維の一例を次記に示す。セルロース繊維のヒドロキシ基の一部が、下記構造式(1)に示す官能基で置換されてリンオキソ酸でエステル化されており、構造式(1)に示す官能基の導入量が、セルロース繊維1gあたり2.0mmоl以上、好ましくはセルロース繊維1gあたり2.1mmоl以上、より好ましくはセルロース繊維1gあたり2.2mmоl以上であると、粘性及びチキソトロピー性が備わったものとなり好ましい。
〔構造式(1)〕
Figure 0007493372000001
構造式(1)において、a,b,m,nは自然数である。
A1,A2,・・・,AnおよびA’のうちの少なくとも1つはOであり、残りはR、OR、NHR、及び、なしのいずれかである。Rは、水素原子、飽和-直鎖状炭化水素基、飽和-分岐鎖状炭化水素基、飽和-環状炭化水素基、不飽和-直鎖状炭化水素基、不飽和-分岐鎖状炭化水素基、芳香族基、及びこれらの誘導基のいずれかである。αは有機物又は無機物からなる陽イオンである。この微細化セルロース繊維は光透過度及び粘度が極めて高いものである。
リンオキソ酸によるエステル化の反応は、セルロース繊維に、リンオキソ酸類及びリンオキソ酸金属塩類の少なくともいずれか一方を含む添加物からなるpH3.0未満の溶液を添加し、加熱し、解繊することで進行する。
添加物としては、例えば、リン酸、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸三アンモニウム、ピロリン酸アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム、リン酸二水素リチウム、リン酸三リチウム、リン酸水素二リチウム、ピロリン酸リチウム、ポリリン酸リチウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三カリウム、ピロリン酸カリウム、ポリリン酸カリウム、亜リン酸、亜リン酸水素ナトリウム、亜リン酸水素アンモニウム、亜リン酸水素カリウム、亜リン酸二水素ナトリウム、亜リン酸ナトリウム、亜リン酸リチウム、亜リン酸カリウム、亜リン酸マグネシウム、亜リン酸カルシウム、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリフェニル、ピロ亜リン酸等の亜リン酸化合物等を使用することができる。これらの添加物は、それぞれを単独で又は複数を組み合わせて使用することができる。
セルロース繊維の全部又は一部に化学的な変性処理を施す手法の一例として、特に亜リン酸を導入してエステル化する手法を挙げることができる。この手法でセルロース繊維をエステル化して解繊することで、次記の構造式(2)がセルロース繊維に導入された、亜リン酸エステル化微細化セルロース繊維を得ることができる。
〔構造式(2)〕
Figure 0007493372000002
αは、なし、R、及びNHRのいずれかである。Rは、水素原子、飽和-直鎖状炭化水素基、飽和-分岐鎖状炭化水素基、飽和-環状炭化水素基、不飽和-直鎖状炭化水素基、不飽和-分岐鎖状炭化水素基、芳香族基、及びこれらの誘導基のいずれかである。βは有機物又は無機物からなる陽イオンである。
亜リン酸が導入されてエステル化されたセルロース繊維は、エステル基中のO原子が電子(例えば、不対電子)を複数有し、マイナスに帯電して極性を帯びている。このO原子を有するセルロース繊維は、相互に電気的に反発し合い、結果、解繊され易いものとなる。また、解繊された亜リン酸エステル化された微細化セルロース繊維は、相互に反発し合い、分散液中において分散性に優れたものとなる。さらに、分散液の媒体がプロトン性媒体であれば、水素結合等の相互作用により、この亜リン酸エステル化された微細化セルロース繊維が粘性を有するものとなる。この水素結合等の相互作用は、外力により容易に変形することから、亜リン酸エステル化された微細化セルロース繊維を有する分散液は、チキソトロピー性も併せ持つ。
この亜リン酸エステル化された微細化セルロース繊維を含む塗料組成物は、粘性及びチキソトロピー性を有するので、基紙に塗工する際、優れた定着性を有しつつも、伸びがよいものとなる。
化学的な変性処理を原料パルプに行って解繊すると、平均繊維径の相対的に小さい微細化セルロース繊維が生成する。塗料組成物は、微細化セルロース繊維を有するが、微細化セルロース繊維は、化学的な変性処理がなされていないものであってもよいし、化学的な変性処理がなされているものであってもよい。
また、微細化セルロース繊維の一部が、化学的な変性がなされていないものであってもよい。この場合、微細化セルロース繊維全体は、化学的な変性がなされていないものと、化学的な変性がなされているものと、を有することになる。化学的な変性がなされていない微細化セルロース繊維と化学的な変性がなされた微細化セルロース繊維が混合された塗料組成物は、平均繊維径の大きいものと平均繊維径が小さいものを有し、擬塑性と微細化セルロース繊維の分散性に優れたものとなる。塗料組成物に含まれる微細化セルロース繊維の一部が、化学的な変性がなされていないものである場合は、微細化セルロース繊維のうちの、化学的な変性がなされていない微細化セルロース繊維の配合率を50%以上、好ましくは60%以上とすると、静置粘度が高くなりすぎず、擬塑性に優れたものとなりよい。
微細化セルロース繊維は、亜リン酸エステル化されたものと、亜リン酸エステル化されていないものからなり、微細化セルロース繊維のうちの、亜リン酸エステル化されていないものの百分率が0.03%以上、より好ましくは0.04%以上である、塗料組成物の形態も好ましい。亜リン酸エステル化されていない微細化セルロース繊維が含まれていることで、粘性の増大が抑制された塗料組成物となる。当該百分率が0.03%を下回ると、塗料組成物の擬塑性が悪化する問題が生じる。
原料パルプの解繊は、例えば、ビーター、高圧ホモジナイザー、高圧均質化装置等のホモジナイザー、グラインダー、摩砕機等の石臼式摩擦機、単軸混練機、多軸混練機、ニーダーリファイナー、ジェットミル等を使用して原料パルプを叩解することによって行うことができる。ただし、リファイナーやジェットミルを使用して行うのが好ましい。
原料パルプの解繊は、得られる微細化セルロース繊維の各種物性等が、以下に示すような所望の値又は評価となるように行うのが好ましい。
微細化セルロース繊維の平均繊維径(平均繊維幅。単繊維の直径平均。)は、30000nm以下、好ましくは1~30000nm、より好ましくは2~20000nm、特に好ましくは3~15000nmである。特に微細化セルロース繊維の平均繊維径が1nm以上だと、粘性が抑制され、塗りムラが発生し難く、塗工部分の膜厚を制御しやすくなるので好適である。微細化セルロース繊維の平均繊維径が30000nmを上回ると、繊維自体は太く、防滑性が備わり好ましい反面、塗料組成物の流動性が抑制されるので、均一な塗工面が形成され難く、塗りムラが発生するおそれがある。
微細化セルロース繊維の平均繊維径は、例えば、原料パルプの選定、前処理、解繊等によって調整することができる。
特に、前述のリンオキソ酸によるエステル化を施して解繊した微細化セルロース繊維の平均繊維径が上記範囲だと、製造される微細化セルロース繊維は光透過度が高いものとなる。
微細化セルロース繊維の平均繊維径の測定方法は、次のとおりである。
まず、固形分濃度0.01~0.1質量%の微細化セルロース繊維の水分散液100mlをテフロン(登録商標)製メンブレンフィルターでろ過し、エタノール100mlで1回、t-ブタノール20mlで3回溶媒置換する。次に、凍結乾燥し、オスミウムコーティングして試料とする。この試料について、構成する繊維の幅に応じて3,000倍~30,000倍のいずれかの倍率で電子顕微鏡SEM画像による観察を行う。具体的には、観察画像に二本の対角線を引き、対角線の交点を通過する直線を任意に三本引く。さらに、この三本の直線と交錯する合計100本の繊維の幅を目視で計測する。そして、計測値の中位径を平均繊維径とする。
微細化セルロース繊維の平均繊維長(単繊維の長さ)は、好ましくは0.01~500μm、より好ましくは0.5~400μmとするとよい。微細化セルロース繊維の平均繊維長が0.01μmを下回ると、繊維のネットワーク構造が形成しにくくなり、他方、微細化セルロース繊維の平均繊維長が500μmを超えると、微細化セルロース繊維相互が凝集して凝集物となり、塗料組成物における微細化セルロース繊維の分散性が低下するおそれがある。
微細化セルロース繊維の平均繊維長は、例えば、原料パルプの選定、前処理、解繊等によって任意に調整することができる。
微細化セルロース繊維(ただし、リンオキソ酸によりエステル化された微細化セルロース繊維を除く。)の保水度は、下限が350%以上とするとよい。また、同保水度の上限が500%以下とするとよい。保水度が500%を超えると、形成層の乾燥が遅くなり、製造時の機器設備の汚れにつながり、塗膜のムラや製品の欠陥が発生するおそれがある。微細化セルロース繊維は保水性を有するので、これを備えた塗料組成物は湿潤性を備えた被膜物となる。
微細化セルロース繊維のゼータ電位は、好ましくは-150~20mV、より好ましくは-100~0mV、特に好ましくは-80~-10mVである。ゼータ電位が-150mVを下回ると、強度が発揮されないおそれがある。他方、ゼータ電位が20mVを上回ると、分散安定性が低下するおそれがある。
微細化セルロース繊維の平均繊維長の測定方法は、平均繊維径の場合と同様にして、各繊維の長さを目視で計測する。計測値の中位長を平均繊維長とする。
微細化セルロース繊維の軸比(繊維長/繊維幅)は、好ましくは10~5000000、より好ましくは15~400000、特に好ましくは20~300000である。軸比が10未満であると微細化セルロース繊維が微粒子状に近くなり、チキソトロピー性が発揮されない可能性がある。他方、軸比が500000を超える微細化セルロース繊維は細長く、防滑性に富む反面、塗料組成物の流動安定性が損なわれ、均一な形成層の形成が難しくなる。
微細化セルロース繊維のフィブリル化率は、好ましくは50以上%以上、より好ましくは60%以上、特に好ましくは70%以上である。フィブリル化率が50%を下回ると、繊維の水分保持力が弱く、塗料の流動性が悪化するおそれがある。なお、フィブリル化率とは、セルロース繊維をJIS-P-8220:2012「パルプ-離解方法」に準拠して離解し、得られた離解パルプをFiberLab.(Kajaani社)を用いて測定した値をいう。
微細化セルロース繊維の結晶化度は、50~100、より好ましくは60~90、特に好ましくは65~85である。結晶化度が50未満であると、塗料組成物が基紙に浸み込み易く、基紙表面に形成層が形成されにくく、形成層が形成されたとしても乾燥後の強度が弱くなるおそれがある。
結晶化度は、JIS-K0131(1996)の「X線回折分析通則」に準拠して、X線回折法により測定した値である。なお、微細化セルロース繊維は、非晶質部分と結晶質部分とを有しており、結晶化度は微細化セルロース繊維全体における結晶質部分の割合を意味する。
微細化セルロース繊維の擬似粒度分布曲線におけるピーク値は、1つのピークであるのが好ましい。1つのピークである場合、微細化セルロース繊維は、繊維長及び繊維径の均一性が高く、塗料組成物中に含まれる微細化セルロース繊維以外の組成物の分散性が良好になる。
微細化セルロース繊維のピーク値はISO-13320(2009)に準拠して測定する。より詳細には、粒度分布測定装置(株式会社セイシン企業のレーザー回折・散乱式粒度分布測定器)を使用して微細化セルロース繊維の水分散液における体積基準粒度分布を調べる。そして、この分布から微細化セルロース繊維の最頻径を測定する。この最頻径をピーク値とする。微細化セルロース繊維は、水分散状態でレーザー回折法により測定される擬似粒度分布曲線において単一のピークを有することが好ましい。このように、一つのピークを有する微細化セルロース繊維は、十分な微細化が進行しており、微細化セルロース繊維としての良好な物性を発揮することができ、得られる水性塗料による描画が均一化され好ましい。
上記単一のピークとなる微細化セルロース繊維の粒径の擬似粒度分布のピーク値は、例えば100μm以下であるのが好ましく、50μm以下であるのがより好ましく、30μm以下であるのが特に好ましい。ピーク値が100μmを超えると、均質な解繊がなされていないおそれがある。
微細化セルロース繊維の粒径におけるピーク値、及び擬似粒度分布の中位径は、例えば、原料パルプの選定、前処理、解繊等によって調整することができる。
解繊して得られた微細化セルロース繊維は、塗料組成物を調製するのに先立って水系媒体中に分散して分散液としておくことができる。水系媒体は、全量が水であるのが特に好ましい(水溶液)。ただし、水系媒体は、一部が水と相溶性を有する他の液体であってもよい。他の液体としては、例えば、炭素数3以下の低級アルコール類等を使用することができる。
(粘度等)
微細化セルロース繊維の濃度を1質量%(w/w)とした場合における分散液のB型粘度は、10~300000cP、より好ましくは100~100000cPとするとよい。B型粘度が10cP未満であると粘性が低すぎるため、形成層の形成が困難であり、300000cPを超えると、粘性が高すぎて塗工が困難となる。
25℃、60rpmの条件での、塗料組成物のB型粘度は、例えば、1000cP以下、より好ましくは700cP以下、さらに好ましくは500cP以下とするとよい。B型粘度が1000cPを超過すると、流動性が悪化して、基紙に均一な塗工面が形成されにくく、塗りムラが発生し易い。
塗料組成物は、チキソトロピーインデックス(Ti値)が1以上、好ましくは2以上、より好ましくは3以上であるとよい。この範囲であれば、塗料組成物は伸びが良く、基紙表面への塗工性がよいものとなる。チキソトロピーインデックスが1未満だと、塗料組成物の伸びが十分ではなく、塗りムラが発生し易くなる。チキソトロピーインデックスは一例として以下の手法で求めることができる。塗料組成物を25℃、10rpmの条件でB型粘度を測定する。また、塗料組成物を25℃、100rpmの条件でB型粘度を測定する。10rpmとしたときのB型粘度を、100rpmとしたときのB型粘度、で除した値をチキソトロピーインデックスとする([数1]参照)。
[数1]
Ti値(25℃)=(10rpmとしたときのB型粘度)/(100rpmとしたときのB型粘度)
(バインダー樹脂)
塗料組成物にはバインダー樹脂を含ませることができる。バインダー樹脂とは、微細化セルロース繊維が紙面に留まり、紙面から剥がれるのを抑制する作用を有するものである。バインダー樹脂は、公知の粘性を有する樹脂を適宜用いることができるが、例えばスチレン-ブタジエン系ラテックス、アクリル系エマルジョン、アクリル-スチレン系エマルジョン、酢酸ビニル系エマルジョン、エチレン-酢酸ビニル系エマルジョン、ウレタン系エマルジョン、デンプン、変性デンプン、ポリビニルアルコール(PVA)等のラテックス、エマルジョン、水溶性バインダー等を1種又は2種以上を選択して用いることができる。特に、市販品である「クラレ社製品:ポバールS-71」をバインダー樹脂として用いるとよい。
塗料組成物に占めるバインダー樹脂の配合率は、固形分換算で、3質量%以下、好ましくは0.1~2質量%、より好ましくは0.2~1質量%である。同配合率が3質量%を超えると、バインダー樹脂の分散性の低下や、擬塑性を得られなくなるおそれがある。均質な塗料組成物にならないおそれがある。
塗料組成物において、微細化セルロース繊維の質量%(固形分換算)に占めるバインダー樹脂の質量%(固形分換算)の配合比は、5~90、好ましくは15~85、より好ましくは20~80であるとよい。同配合比が90を上回るとバインダー樹脂の濃度が高いため、塗料組成物が伸び難いものとなる。同配合比が5を下回ると、塗料組成物において、微細化セルロース繊維が相対的に多いため、バインダー樹脂の自由な移動が阻害され、結果、バインダー樹脂の濃度に偏りが生じ易くなる。
(撥水剤)
塗料組成物には撥水剤を含有させることができる。撥水剤を含めることで、形成層が優れた撥水性を発揮する。
撥水剤としては、アニオン性化合物が好ましく、例えば、ワックス、合成樹脂、及びこれらの混合物を挙げることができる。撥水剤の市販品としては、例えば、近代化学工業社製のリパックスA-240等を挙げることができる。
塗料組成物に占める撥水剤の配合率は、特に制限されないが、好ましくは1~15質量%であり、更に好ましくは、2~10質量%である。撥水剤の配合率が1質量%未満であると、撥水度が向上しない場合があり、一方、15質量%を超えると、滑り角度が低下する場合がある。
(配合率)
塗料組成物中における微細化セルロース繊維の配合率は、固形分換算で、1.0質量%以下、好ましくは0.1~1.0質量%、より好ましくは0.2~0.9質量%である。同配合率が1.0質量%を超えると、微細化セルロース繊維における塗料組成物への分散性が低下するおそれがある。
(形成層)
紙面に形成された形成層の平均厚みは、例えば5μm以下、好ましくは、4μm以下、より好ましくは3μm以下である。紙面に形成層が形成されていれば、同平均厚みが小さくても防滑の効果が奏される。5μmを上回ると、製造コスト高をもたらすおそれがある形成層は、ほぼ全量が紙面上に形成されていてもよいし、一部が紙の内部方向、すなわち厚み方向に浸透して形成されていてもよい。形成層の平均厚みとは、紙面から形成層表面までの厚みをいい、紙の内部に浸透した部分の厚みは考慮しない。
形成層は、基紙の一方の面(表面、フェルト面)に形成されていてもよいし、もう一方の面(裏面、ワイヤー面)に形成されていてもよいし、両面に形成されていてもよい。
塗料組成物の塗工手法について説明する。塗工は、基紙の製造工程で適宜行うことができるが、例えば抄紙工程で行う手法を以下に示す。抄紙工程は、ワイヤーパート、プレスパート、ドライパート、カレンダーパート、リールパートを有する。ワイヤーパートでは、水等の媒体にパルプが分散されたスラリを抄紙用のワイヤーに載せ、媒体を自然落下させて、含水率を下げて湿紙Xを得る。プレスパートでは、湿紙Xを一対のプレスロール間に通し、フェルトを介してプレスロールで押圧することにより、湿紙中の水分をフェルトに移行させて脱水紙X1を得る。ドライパートでは、脱水紙X1を、加熱されたドライヤDに接触させて乾燥させ乾燥紙を得る。カレンダーパートでは、カレンダーロール間に乾燥紙を通して表面の凹凸を平滑化する。リールパートでは、平滑化された紙を巻き取り、包装用紙を得る。
塗料組成物の塗工については、例えばドライパートからリールパートまでの間で、スプレーにより、ドライヤ、カレンダーロール等に散布し、これを紙X1の少なくとも一方の面に転移させる。これにより、紙面に均一に塗料組成物が塗工される。ワイヤーパートやプレスパートで、塗料組成物を湿紙Xに塗工すると、塗料組成物が湿紙Xの内部に浸み込み過ぎ、防滑効果が不十分となる場合がある。
スプレーは、搬送方向に対して垂直方向に走査しながら、二流体スプレーで散布する形態を例示できる。スプレーのノズル形状は、ノズルの目詰まり防止の観点から、均等扇型ノズル、広角扇型ノズル、片扇型ノズル、空円錐ノズル、充円錐型ノズル、充角錐型ノズル、直進ノズル等を好適に用いるとよい。
(基紙)
基紙は、単層であっても、複数層であってもよい。基紙は、特に限定されないが、クラフト紙やライナー紙を例示できる。基紙は、坪量が例えば45g/m2以上500g/m2以下、好ましくは50g/m2以上450g/m2以下であることが好ましい。45g/m2を下回ると形成層が基紙内部に浸透し易く、基紙表面に留まり難いので、塗りムラが発生するおそれがある。500g/m2を上回ると、基紙を加工することが困難になる。
(包装用紙)
包装用紙は、基紙と当該基紙面に形成された形成層からなる。形成層は、平均繊維径が30μm以下の微細化セルロース繊維を含むものであり、バインダー樹脂がさらに含まれたものでもよい。形成層の表面は平滑性を有する。
包装用紙はそのままの状態で使用することもできるし、段ボール紙状等に加工して用いることができる。この段ボール紙としては、両面段ボール紙や片面段ボール紙とすることができる。当該包装用紙は、上記段ボール紙の表又は裏ライナーとして使用することができる。また、包装用紙は箱として利用でき、例えば包装用紙、包装容器、搬送容器、パッケージ、包装材料等に用いることができる。具体的には、使用例として包装用紙を箱状に形成して用いることができる。
本形態の包装用紙は、防滑性を有するので、加工して例えば、直方体形状の箱にした場合、この箱を複数、積み上げても、上下に隣接する箱の面相互がズレにくいものとなる。
(平滑性)
形成層の表面の平滑性は、例えば、ベック平滑度を指標にすることができる。形成層の表面におけるベック平滑度が25秒以上、好ましくは30秒以上、より好ましくは35秒以上であるのが好ましい。形成層の表面におけるベック平滑度が25秒を下回ると塗料が紙の内部に浸透してしまっているため、滑り性が改善されないおそれがある。
基紙における形成層の形成量が固形分基準で例えば5g/m2以下、好ましくは0.5~4g/m2、より好ましくは1~3g/m2、さらに好ましい。同形成量が5g/m2を上回ると、平滑性が向上しすぎることで防滑効果の向上が認められなくなる傾向にある。
試験例1~6の塗料組成物を調製した。調製した試験例それぞれについて回転数を変化させて、B型粘度を測定した。また、調製した試験例それぞれについて滑り角度、塗工面におけるベック平滑度を測定した。試験例1~6の処方を表1に示した。
Figure 0007493372000003
表1において、微細化セルロース繊維aは広葉樹パルプを機械せん断だけで叩解した平均繊維幅50nmのものを用い、微細化セルロース繊維bは同じく平均繊維幅15μmのものを用いた。微細化セルロース繊維cは亜リン酸エステル化した平均繊維幅4nmのものを用いた。防滑剤はAT3802(星光PMC社製、スチレン系ポリマー、固形分25%)を用い、撥水剤はリパックスA-750(東邦化学工業株式会社製)を用い、バインダー樹脂は1.0%ポリビニルアルコール、ポバールS-71を用いた。なお、表中の有効成分(g)は、各成分の固形分量(g)の合計(g)をいう。有効成分は以下の算式(式(1))で求めることができる。また、表中の有効成分濃度は、表中の有効成分を表中の合計で除した値に100を乗じて得た値である。
[式(1)]
有効成分(g)=(2質量%微細化セルロースaの質量(g)×2%)+(2質量%微細化セルロースbの質量(g)×2%)+(1質量%微細化セルロースcの質量(g)×1%)+(25質量%防滑剤の質量(g)×25%)+(30質量%撥水剤の質量(g)×30%)+(1質量%PVA溶解液の質量(g)×1%)
精製水を入れたビーカーに、撥水剤を入れて均一になるように混ぜた後、機械的に解繊した2質量%微細化セルロース繊維a、機械的に解繊した2質量%微細化セルロース繊維b、変性処理された1質量%微細化セルロース繊維c、防滑剤を表1に示す量を入れて均一になるように混ぜ、その後バインダー樹脂を入れて均一になるように混ぜて、塗料組成物(試験例1~6)を得た。
JEKライナー紙280g/m2(大王製紙株式会社製)に塗料組成物(試験例1~6)をワイヤーバーで手塗り加工して、包装用紙(試験例1a~試験例6a)を得た。
試験例1a~6aについてB型粘度、滑り角度、及び平滑度を測定した。B型粘度の結果を表2に、滑り角度、及び平滑度の結果を表3に、それぞれ示す。
Figure 0007493372000004
Figure 0007493372000005
(B型粘度)
試験例1a~6aについて、回転数を変えてB型粘度を測定した。
(滑り角度)
得られた紙の天面部となる領域及び底面部となる領域を切り取り、各面における滑り角度を測定した。なお、滑り角度の評価は、JIS-P8147「紙及び板紙の摩擦係数試験方法3.2傾斜法」にて流れ方向と幅方向の値を3回測定し、その平均値をとった。
(平滑度)
ベック平滑度(秒)はJIS-P-8119:1998「紙及び板紙-ベック平滑度試験機による平滑度試験方法」に準拠して測定した。
(考察)
B型粘度及びTi値について試験例1a、2a、3aは、試験例4a~6aよりも大きい。試験例1a、2a、3aは相対的に高粘度でありながら、擬塑性を有し、伸びのよいものである。
滑り角度の結果から、試験例1a~5aは、防滑性に優れている。ベック平滑度の結果から、試験例1a、2a、3a、6aは、塗工面の平滑性に優れている。平滑性に優れる塗料組成物は、塗りムラが抑制され好ましい。
(その他)
・塗料組成物のB型粘度は、JIS-Z8803(2011)の「液体の粘度測定方法」に準拠して測定した値である。B型粘度は分散液を攪拌したときの抵抗トルクであり、高いほど攪拌に必要なエネルギーが多くなることを意味する。B型粘度は25℃で測定した値である。
本発明の塗料組成物は、箱、例えば段ボール箱の材料に塗工する防滑剤として利用可能である。

Claims (7)

  1. 平均繊維径が30μm以下の微細化セルロース繊維を含み、
    25℃、60rpmでのB型粘度が1000cP以下であ
    前記微細化セルロース繊維は、亜リン酸エステル化されたものと、亜リン酸エステル化されていないものからなり、
    前記微細化セルロース繊維のうちの、前記亜リン酸エステル化されていないものの百分率が50%以上である、
    ことを特徴とする塗料組成物。
  2. チキソトロピーインデックスTi値(10rpm/100rpm)が1以上である、
    請求項1に記載の塗料組成物。
  3. 3質量%以下のバインダー樹脂を含む、
    請求項1又は請求項2に記載の塗料組成物。
  4. 撥水剤を含む、
    請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の塗料組成物。
  5. 基紙と、当該基紙面に形成された形成層とからなり、
    前記形成層は、
    バインダー樹脂と平均繊維径が30μm以下の微細化セルロース繊維を含み、
    前記微細化セルロース繊維は、亜リン酸エステル化されたものと、亜リン酸エステル化されていないものからなり、
    前記微細化セルロース繊維のうちの、前記亜リン酸エステル化されていないものの百分率が50%以上となるものであり、
    前記形成層表面のベック平滑度が25秒以上となるものである、
    ことを特徴とする包装用紙。
  6. 前記基紙における前記形成層の形成量が固形分基準で5.0g/m以下である、
    請求項に記載の包装用紙。
  7. 前記基紙の坪量が45g/m 以上500g/m 以下である、
    請求項5又は請求項6に記載の包装用紙。
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