JP7490164B1 - 補修内容決定装置、補修装置、学習装置、推論装置、補修内容決定システム、および、補修方法 - Google Patents

補修内容決定装置、補修装置、学習装置、推論装置、補修内容決定システム、および、補修方法 Download PDF

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Abstract

補修内容決定装置である補修装置(10)は、構造物(S)の検査対象材料部分に生じたき裂(C)の検査結果を取得する検査結果取得部である検査部(14)と、検査結果に基づいて、き裂(C)に対して粒子を含む液体である補修材による補修を行うか否かと、補修材による補修を行う場合に、補修材を塗布する前にき裂(C)内への前処理材の塗布を行うか否かとを示す補修パターンを含む補修内容を決定する判定部(15)と、を備えることを特徴とする。

Description

本開示は、構造物に生じたき裂の補修に関する補修内容決定装置、補修装置、学習装置、推論装置、補修内容決定システム、および、補修方法に関する。
従来、粒子を含む液体である補修材を、構造物に生じたき裂に塗布することで、き裂の進展を抑制する技術がある。き裂は、開閉を繰返すことによって進展するが、補修材をき裂に塗布することで、補修材に含まれる粒子がくさびとして作用し、き裂が閉じることを妨げるため、き裂の進展速度を低減することができる。このため、き裂進展の抑制効果を高めるためには、補修材をき裂の内部に浸透させた上でき裂内に留まらせることが重要である。
特許文献1には、金属材料の疲労き裂進展速度低下用の補修材であって、き裂内への浸透性が優れた粘度範囲を規定した補修材が記載されている。
特許第4852163号公報
しかしながら、上記従来の技術によれば、き裂の状態によっては、補修材をき裂内へ浸透させることが困難な場合があるという問題があった。例えば、補修材がき裂内に浸透するか否かは、重力方向に対するき裂の向きが関係する。天井面に生じたき裂など、き裂の開口部が下向きであるき裂では、開口部が上向きであるき裂や開口部が横向きであるき裂と比較して、補修材の自重によりき裂内に浸透する力が働かないため、き裂内に補修材が浸透することが困難である場合がある。
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、き裂の状態によらず、補修材のき裂内への浸透性を高めることが可能な補修内容決定装置を得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示の補修内容決定装置は、構造物の検査対象材料部分に生じたき裂の検査結果を取得する検査結果取得部と、検査結果が示すき裂の長さ、および、重力方向に対するき裂のなす角度に基づいて、き裂に対して粒子を含む液体である補修材による補修を行うか否かと、補修材による補修を行う場合に、補修材を塗布する前にき裂内への前処理材の塗布を行うか否かとを示す補修パターンを含む補修内容を決定する判定部と、を備えることを特徴とする。
本開示によれば、き裂の状態によらず、補修材のき裂内への浸透性を高めることが可能な補修内容決定装置を得ることが可能になるという効果を奏する。
実施の形態1にかかる補修装置の機能構成を示す図 図1に示す補修装置の機能を説明するための図 図1に示す検査部の詳細な構成の一例を示す図 図1に示す判定部の機能について説明するための図 補修パターンと、補修部の動作との関係についての説明図 判定部が使用する材料を決定する処理についての説明図 実施の形態1にかかる判定部の詳細な構成の一例を示す図 補修装置が検査対象とする構造物の一例である橋梁を示す図 算出部が算出するき裂の長さについての説明図 算出部が算出するき裂の角度についての説明図 算出部がき裂の長さおよびき裂の角度を算出する具体的な方法の第1の例についての説明図 算出部がき裂の長さおよびき裂の角度を算出する具体的な方法の第2の例についての説明図 算出部がき裂の長さおよびき裂の角度を算出する具体的な方法の第3の例についての説明図 実施の形態1にかかる補修装置の動作を説明するためのフローチャート 実施の形態1にかかる判定処理の詳細を説明するためのフローチャート 実施の形態2にかかる補修装置の機能構成を示す図 実施の形態2にかかる判定部の詳細な構成を示す図 実施の形態2にかかる判定部の動作を説明するためのフローチャート 実施の形態3にかかる学習装置の機能構成を示す図 学習装置の学習処理を説明するためのフローチャート 実施の形態3にかかる補修装置の判定部の機能構成を示す図 補修装置に関する推論装置の構成図 推論装置の推論処理を説明するためのフローチャート 実施の形態4にかかる補修装置の機能構成を示す図 実施の形態5にかかる補修内容決定システムの構成を示す図 実施の形態6にかかる補修内容決定システムの構成を示す図 実施の形態6にかかる補修内容決定システムの動作を説明するためのフローチャート 実施の形態7にかかる補修内容決定システムの構成を示す図 実施の形態8にかかる補修内容決定システムの構成を示す図 実施の形態8にかかる補修装置の移動経路の一例を示す図 実施の形態8にかかる補修装置がゴール地点からスタート地点まで戻る経路の他の一例を示す図 補修内容決定装置を実現するコンピュータシステムの構成例を示す図 補修装置または補修内容決定システムの各機能を実現するための処理回路の一例を示す図
以下に、本開示の実施の形態にかかる補修内容決定装置、補修装置、学習装置、推論装置、補修内容決定システム、および、補修方法を図面に基づいて詳細に説明する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1にかかる補修装置10の機能構成を示す図である。補修装置10は、構造物Sに生じたき裂Cを検査し、検査結果に基づいて補修内容を決定し、決定した補修内容に従ってき裂Cを補修する機能を有する。補修装置10は、き裂Cの補修内容を決定する機能を有する補修内容決定装置の一例である。補修装置10は、本体11と、構造物Sに補修装置10の本体11を固定する吸着手段12と、補修装置10を構造物Sに沿って移動させる駆動手段13と、補修対象のき裂Cを検査し、検査結果を出力する検査部14と、検査結果に基づいて、き裂Cの補修内容を決定する判定部15と、判定部15により決定された補修内容に従って、対象のき裂Cを補修する補修部16とを有する。補修部16は、前処理部17と、中処理部18と、後処理部19とを有する。
ここで、検査対象の材料は、材料表面に局所的な塑性変形が繰り返し作用して疲労き裂が発生し、き裂先端の塑性変形による鈍化と再先鋭化とを繰り返して疲労き裂が進展するような材料である。このような材料を、「検査対象材料」と呼ぶ。構造物Sは、例えば、橋梁、車両、航空機、発電機器、工作機械などである。検査対象材料は、例えば、鉄鋼、ステンレス、アルミニウム合金などが主な例として挙げられるが、金属に限定されず、樹脂、セラミックなども含まれる。構造物Sの全体が検査対象材料からなる必要はないが、補修対象のき裂Cは、構造物Sの検査対象材料でできた部分に生じたき裂Cとする。
図2は、図1に示す補修装置10の機能を説明するための図である。補修装置10は、前処理材21と、補修材22とを用いた補修処理を行うことができる。
補修材22は、粒子を含む液体である。き裂Cの内部に補修材22を塗布して、補修材22がき裂Cの内部に留まることで、補修材22に含まれる粒子がくさび効果を発揮して、き裂Cの進展を抑制することができる。くさび効果は、ブリッジング効果とも呼ばれる。補修材22に含まれる粒子がき裂Cが閉じることを妨げる現象をくさび効果と呼ぶ。き裂Cは、開閉を繰返すことによって進展するため、くさび効果によってき裂Cの進展を抑制することができる。き裂の進展抑制効果を向上させるためには、補修材22をき裂Cの先端部分まで浸透させると共に、浸透させた補修材22をき裂Cの内部に留まらせることが重要である。補修材22の粘度が低いほど、補修材22をき裂C内に浸透させることが容易である代わりに、補修材22をき裂C内に留まらせることが困難となる。そこで、補修材22を塗布する前に、前処理材21をき裂C内に塗布することで、補修材22のき裂C内への浸透性を高めることができる。前処理材21は、補修材22よりも構造物Sに対する濡れ性が高い液体である。つまり、前処理材21と構造物Sの表面との接触角度θ1は、補修材22と構造物Sの表面との接触角度θ2よりも小さい。
補修部16の前処理部17は、き裂Cの内部に前処理材21を塗布する前処理工程を実行する機能を有する。中処理部18は、前処理工程によって塗布された前処理材21のうち余剰分を取り除く中処理工程を実行する機能を有する。後処理部19は、き裂Cの内部に補修材22を塗布する後処理工程を実行する機能を有する。なお、図2では、前処理工程、中処理工程および後処理工程の全てが順次実行された様子を示しているため、後処理工程では、き裂Cの内部の壁面に前処理材21の膜が形成された状態でき裂C内に補修材22が充填されているが、補修部16は、き裂Cの状態に応じて、前処理部17、中処理部18、および後処理部19の全てを駆動しなくてもよい。例えば、補修部16は、前処理部17、中処理部18、および後処理部19の全てを順次駆動してもよいし、前処理部17および中処理部18を駆動せずに後処理部19だけを駆動してもよいし、前処理部17、中処理部18、および後処理部19のいずれも駆動せずに補修を行わなくてもよい。
図3は、図1に示す検査部14の詳細な構成の一例を示す図である。検査部14は、LiDAR(Light Detection and Ranging)スキャナ141と、カメラ142とを有する。LiDARスキャナ141は、対象物にレーザ光を当てて、その反射光を受信するまでの時間から、対象物までの距離や性質、形状を測定する装置である。カメラ142は、き裂Cを撮影した画像を取得する装置である。カメラ142は、LiDARスキャナ141と同期している。LiDARスキャナ141およびカメラ142のそれぞれは、ジャイロセンサを備えており、自己姿勢を取得することができる。これにより、LiDARスキャナ141およびカメラ142の計測した検査対象材料の表面形状と重力方向とを対応付けることができる。LiDARスキャナ141は、検査対象材料の表面を計測して、き裂C内部の深度を計測することができる。カメラ142は、検査対象材料の表面を撮影した画像を出力することができる。
図4は、図1に示す判定部15の機能について説明するための図である。判定部15には、検査部14から検査結果として、き裂Cの撮影画像と、撮影画像における重力方向を示す方向情報とが入力され、検査結果に基づいて、補修内容を決定し、決定した補修内容を出力する。方向情報は、例えば、ジャイロセンサの出力である。判定部15が出力する補修内容は、補修材22による補修を行うか否かと、補修材22による補修を行う場合に、補修材22を塗布する前に前処理材21を塗布するか否かとを示す補修パターンを少なくとも含む。また、補修内容は、補修を行う場合に、補修に使用する材料をさらに含んでもよい。補修に使用する材料とは、補修を行う場合には補修材22を少なくとも含み、前処理材21の塗布を行う場合には、前処理材21をさらに含む。例えば、判定部15は、検査結果に基づいて、補修パターン(1)前処理材21を塗布した後に補修材22を塗布する、補修パターン(2)前処理材21を塗布せずに補修材22のみ塗布する、補修パターン(3)補修しない、の3つのパターンのうちのいずれかの補修パターンを選択する。また、判定部15は、補修パターン(1)を選択した場合、検査結果に基づいて、補修に使用する材料として、前処理材21および補修材22を決定し、補修パターン(2)を選択した場合、検査結果に基づいて、補修に使用する材料として、補修材22を決定してもよい。
図5は、補修パターンと、補修部16の動作との関係についての説明図である。判定部15は、検査結果に基づいて、補修パターン(1)、補修パターン(2)、補修パターン(3)のいずれかを選択する。補修パターン(1)は、前処理部17、中処理部18、および後処理部19を記載した順に駆動するパターンであり、き裂C内に前処理材21を塗布した後、前処理材21の余剰分を取り除き、その後、補修材22を塗布する。補修パターン(2)は、後処理部19のみを駆動するパターンであり、前処理材21は塗布せずに補修材22をき裂C内に塗布する。補修パターン(3)は、補修部16が動作しない補修パターンであり、補修自体を行わない。
図6は、判定部15が使用する材料を決定する処理についての説明図である。判定部15は、補修パターン(1)を選択した場合、使用する前処理材21および使用する補修材22の組み合わせを決定する。例えば、図6に示すように、判定部15は、前処理材21を「a」、「b」、「c」の3つの候補の中から選択することができる。また、判定部15は、補修材22を「A」、「B」、「C」の3つの候補の中から選択することができる。図6では、前処理材31として「b」が選択され、補修材22として「C」が選択されている。
補修パターンと補修に使用する材料とを決定する方法には様々考えられるが、一例として、き裂Cの長さと、重力方向に対するき裂Cのなす角度とに基づいて補修内容を決定する方法について説明する。なお、重力方向に対するき裂Cのなす角度は、具体的には、重力方向に対するき裂Cの深さ方向のなす角度とすることができる。以下、「重力方向に対するき裂Cの深さ方向のなす角度」のことを、簡単のため、「き裂Cの角度」と称する。
図7は、実施の形態1にかかる判定部15の詳細な構成の一例を示す図である。判定部15は、算出部151と、補修パターン決定部152と、使用材料決定部153とを有する。
算出部151は、検査部14が出力する検査結果から、判定部15が判定のために使用するデータを算出する。具体的には、検査部14は、検査結果として、き裂Cの撮影画像と、撮影画像における重力方向を示す方向情報とを出力し、算出部151は、これらの検査結果から、き裂Cの長さと、き裂Cの角度とを算出する。算出部151は、算出したき裂Cの長さと、き裂Cの角度とを補修パターン決定部152と使用材料決定部153とに出力する。
ここで、具体例を用いて、算出部151の具体的な処理について説明する。図8は、補修装置10が検査対象とする構造物Sの一例である橋梁S1を示す図である。橋梁S1は、デッキプレート31の上に舗装32が重畳されており、舗装32の上を車両などが通行する。デッキプレート31の下では、Uリブ33、横リブ34、垂直補鋼材37といった支持部材30がデッキプレート31を支えている。
図9は、算出部151が算出するき裂Cの長さについての説明図である。ここでは、橋梁S1のデッキプレート31とUリブ33との間の溶接ビード35に生じたき裂Cを示している。ここで、起点P1からき裂Cが生じ、Uリブ33の側面とデッキプレート31との間に形成された溶接ビード35の側面から、Uリブ33の外面とデッキプレート31との間に形成された溶接ビード35の表面に進展が進む。ここで、き裂Cの長さL1は、溶接ビード35の表面のき裂線の長さとする。このとき、き裂線が直線でない場合には、き裂Cの長さL1は、き裂線の実際の長さとしてもよいし、き裂線の近似直線の長さとしてもよい。なお、実施の形態1では使用しないが、き裂Cが生じた表面におけるき裂Cの開口量を開口量W1とする。
図10は、算出部151が算出するき裂Cの角度についての説明図である。き裂Cの角度は、重力方向D1に対するき裂Cの深さ方向D2のなす角度φ1である。以下、この角度のことをき裂Cの角度φ1と称することがある。
図11は、算出部151がき裂Cの長さL1およびき裂Cの角度φ1を算出する具体的な方法の第1の例についての説明図である。き裂Cの長さL1は、検査部14が備えるカメラ142の撮影画像を解析することによって、算出することができる。また、き裂Cの角度φ1を算出するためには、重力方向D1およびき裂Cの深さ方向D2を把握する必要がある。ここでは、検査部14のLiDARスキャナ141およびカメラ142のそれぞれはジャイロセンサを備えており、自己姿勢を取得することが可能であるため、LiDARスキャナ141およびカメラ142の取得する情報と重力方向D1とを対応づけることができる。また、算出部151は、LiDARスキャナ141によるき裂C内部の深度計測の結果から、き裂Cの深さ方向D2を推定することができる。或いは、算出部151は、溶接ビード35の表面のき裂線位置における垂直方向D3を算出し、垂直方向D3をき裂Cの深さ方向D2としてもよい。
図12は、算出部151がき裂C-1,C-2の長さL1-1,L1-2およびき裂C-1,C-2の角度φ1-1,φ1-2を算出する具体的な方法の第2の例についての説明図である。図11の第1の例では、デッキプレート31とUリブ33との間に形成された溶接ビード35に生じたき裂Cを例示した。図12では、Uリブ33-1とUリブ33-2との間に形成された突合せ溶接ビード36に生じたき裂Cについて例示する。なお、突合せ溶接ビード36に生じたき裂Cのうち、Uリブ33-1,33-2の側面側に生じたき裂Cをき裂C-1とし、Uリブ33-1,33-2の下面側に生じたき裂Cをき裂C-2とする。
き裂C-1は、Uリブ33-1,33-2の内側の面に近い起点P1-1からUリブ33-1,33-2の外側の側面に向けて進展した後、突合せ溶接ビード36の表面で互いに逆向きの2つの方向に進展している。この場合にも、算出部151は、突合せ溶接ビード36の表面のき裂線の長さをき裂C-1の長さL1-1とすることができる。また、算出部151は、LiDARスキャナ141によるき裂C-1内部の深度計測の結果から、き裂C-1の深さ方向D2-1を推定することができる。或いは、算出部151は、突合せ溶接ビード36の表面のき裂線位置における垂直方向を算出し、垂直方向をき裂Cの深さ方向D2-1としてもよい。算出部151は、き裂C-1の角度φ1-1を、重力方向D1と深さ方向D2-1とから算出することができる。
き裂C-2は、き裂C-1と同様に、Uリブ33-1,33-2の内側の面に近い起点P1-2からUリブ33-1,33-2の外側の側面に向けて進展した後、突合せ溶接ビード36の表面で互いに逆向きの2つの方向に進展している。き裂C-2についても、算出部151は、突合せ溶接ビード36の表面のき裂線の長さをき裂C-2の長さL1-2とすることができる。また、算出部151は、LiDARスキャナ141によるき裂C-2内部の深度計測の結果から、き裂C-2の深さ方向D2-2を推定することができる。或いは、算出部151は、突合せ溶接ビード36の表面のき裂線位置における垂直方向を算出し、垂直方向をき裂Cの深さ方向D2-2としてもよい。算出部151は、き裂C-2の角度φ1-2を、重力方向D1と深さ方向D2-2とから算出することができる。き裂C-2は、水平面に生じており、き裂C-2の深さ方向D2-2は重力方向に近いため、き裂C-2の角度φ1-2の値は概ね0となる。
図13は、算出部151がき裂C-3の長さL1-3およびき裂C-3の角度φ1-3を算出する具体的な方法の第3の例についての説明図である。第3の例では、デッキプレート31と垂直補鋼材37との間に形成された隅肉溶接ビード38とデッキプレート31との接触部分から生じたき裂C-3について例示する。このき裂C-3は、隅肉溶接ビード38とデッキプレート31との接触部分の起点P1-3からデッキプレート31を貫通する方向に初期き裂が生じ、その後、デッキプレート31の面内方向に広がっている。このとき、隅肉溶接ビード38とデッキプレート31とが接触している部分に力が加わりやすいため、隅肉溶接ビード38の端部に沿ってき裂C-3が広がることが多い。この場合、図13に示すように、き裂C-3のき裂線は、曲線となる。この場合、き裂C-3の長さL1-3は、曲線であるき裂線の長さとしてもよいし、図示したように、デッキプレート31の面内方向であってき裂C-3が広がる方向の直線の長さとしてもよい。なお、き裂C-3の深さ方向D2-3は、水平面であるデッキプレート31の表面の厚み方向となるため、ほぼ重力方向D1となり、き裂C-3の角度φ1-3は、0に近い値となる。
図7の説明に戻る。補修パターン決定部152は、算出部151の出力に基づいて、対象のき裂Cに対する補修パターンを、補修パターン(1)、補修パターン(2)、補修パターン(3)の中から決定することができる。ここでは、補修パターン決定部152は、算出部151が算出したき裂Cの長さL1およびき裂Cの角度φ1に基づいて、補修パターンを決定する。
き裂Cの長さが短く微小なものについては、未だ補修自体を必要としない場合がある。このため、判定部15は、き裂Cの長さL1に基づいて、補修を行うか否かを判定することができる。具体的には、判定部15は、き裂Cの長さが第1のしきい値未満である場合、補修自体を行わず、き裂Cの長さが第1のしきい値以上である場合、補修を行う。また、き裂Cの角度φ1によって、補修材22のき裂C内部への浸透のしやすさや、補修材22のき裂C内部への留まり易さが変化する。例えば、き裂Cの角度φ1を0度から180度の値として、同じ形状のき裂Cで比較した場合、構造物Sの上面に生じた開口部が上向きのき裂Cなど、き裂Cの角度φ1が大きいほど、重力によって補修材22がき裂Cの内部に浸透し易く、また、重力方向にき裂Cの先端があるため、き裂Cが構造物Sを貫通していない限り、き裂C内に補修材22が溜まりやすい。また、構造物Sの天井の下面に生じたき裂Cや構造物Sの側面に生じたき裂Cのように開口部が下向きまたは横向きのき裂Cなど、き裂Cの角度φ1が小さい場合、補修材22がき裂Cの内部に浸透しにくく、また、き裂C内に補修材22が留まり難い。このため、判定部15は、き裂Cの角度φ1に基づいて、前処理材21を使用するか否かを決定することができる。具体的には、判定部15は、き裂Cの角度φ1が第2のしきい値未満である場合、前処理材21を使用し、き裂Cの角度φ1が第2のしきい値以上である場合、前処理材21を使用しない。
使用材料決定部153は、算出部151の出力に基づいて、対象のき裂Cの補修に使用する材料を決定する。使用材料決定部153は、補修パターン決定部152の決定した補修パターンに応じて、使用する材料を決定する。具体的には、使用材料決定部153は、補修パターン(1)の場合、使用する前処理材21および補修材22を決定し、補修パターン(2)の場合、使用する補修材22を決定し、補修パターン(3)の場合には、補修が行われないため、使用する材料の決定は行わない。
き裂Cの長さL1と、き裂Cの角度φ1とに基づいて、補修に使用する材料を決定する場合、まず、き裂Cの長さL1に基づいて、補修材22に含まれる粒子の適切な形状および大きさが定まる。また、き裂Cの角度φ1に基づいて、補修材22の適切な粘度が定まる。補修材22の粘度は、補修材22に含まれる粒子の含有率を変化させることで、調整することができる。ただし、粒子の含有率を減らして粘度を下げると、補修材22の単位体積当たりの粒子量が減るため、き裂Cへの浸透力は上昇するが、き裂C内の空間に収まり得る最大の粒子量は減ってしまう。補修材22の選定においては、補修材22の浸透力と、き裂C内に浸透される粒子量とを考慮した上で、き裂C内への粒子の量が最大化されるような補修材22が選定される。判定部15は、き裂Cの長さL1に応じて定まる形状および大きさの粒子を含み、き裂Cの角度φ1に応じた粘度を有する補修材22を選択する。続いて、判定部15は、選択した補修材22および構造物Sの材質に合わせて、前処理材21を選択する。
補修パターン(1)の場合、使用材料決定部153は、使用する前処理材21および補修材22の組み合わせが、「2s×cosθ/ρ>2s×cosθ/ρ」を満たすように、使用する材料を決定する。ここで、前処理材21の表面張力s1、前処理材21の構造物Sの表面との接触角度θ1、前処理材21の密度ρ1、補修材22の表面張力s2、補修材22の構造物Sの表面との接触角度θ2、補修材22の密度ρ2とする。
ここで、前処理材21は、密度ρ1が0.83g/cm3以上0.89g/cm3未満であって、構造物Sの表面との接触角度θ1が0度以上10度未満であって、表面張力s1が20dyn/cm以上50dyn/cm未満の油であることが望ましい。
図14は、実施の形態1にかかる補修装置10の動作を説明するためのフローチャートである。補修装置10は、まず、検査部14による検査処理を行う(ステップS10)。続いて補修装置10は、検査部14による検査結果に基づいて、判定部15による判定処理を行う(ステップS20)。判定処理の詳細については、後述する。判定処理の結果、補修内容が決定されると、補修装置10は、決定された補修内容が「補修あり」であるか否かを判断する(ステップS30)。
「補修あり」である場合(ステップS30:Yes)、つまり、補修内容に含まれる補修パターンが補修パターン(1)または補修パターン(2)である場合、補修装置10は、補修部16を用いて補修処理を行う(ステップS40)。具体的には、補修パターン(1)の場合、補修装置10は、補修部16の前処理部17、中処理部18、後処理部19を用いて、前処理材21を塗布し、前処理材21の余剰分を取り除き、その後、補修材22を塗布する。このとき、補修内容が補修に使用する材料を含む場合、補修部16は、補修内容に示される前処理材21および補修材22を使用して補修処理を行う。補修パターン(2)の場合、補修装置10は、補修部16の後処理部19を用いて、補修材22の塗布を行う。このとき、補修内容が補修に使用する材料を含む場合、補修部16は、補修内容に示される補修材22を使用して補修処理を行う。
「補修あり」でない場合(ステップS30:No)、つまり、補修内容に含まれる補修パターンが補修パターン(3)である場合、ステップS40の処理は省略される。続いて、補修装置10は、補修終了であるか否かを判断する(ステップS50)。補修終了である場合(ステップS50:Yes)、補修装置10は、処理を終了する。補修終了でない場合(ステップS50:No)、補修装置10は、駆動手段13を用いて補修装置10の移動を行い(ステップS60)、ステップS10の処理に戻る。
なお、ステップS50において補修終了であるか否かを判断する処理は、例えば、ユーザが終了の操作を行った場合に補修終了であると判断することができる。或いは、補修装置10が、指定された経路に従って自動的に移動する機能を有している場合には、指定された経路の終点まで到達した場合に補修終了であると判断することができる。
図15は、実施の形態1にかかる判定処理の詳細を説明するためのフローチャートである。図15に示す処理は、図14のステップS20の判定処理に相当する。
判定部15の算出部151は、まず、き裂Cの深さ方向D2を推定する(ステップS101)。続いて、判定部15は、検査結果に含まれる方向情報に基づく重力方向D1と、ステップS101で推定したき裂Cの深さ方向D2とのなす角度を算出する(ステップS102)。また、算出部151は、検査結果に含まれるき裂Cの撮影画像から、き裂Cの長さL1を算出する(ステップS103)。
補修パターン決定部152は、ステップS103で算出されたき裂Cの長さL1が第1のしきい値以上であるか否かを判断する(ステップS104)。き裂Cの長さL1が第1のしきい値以上である場合(ステップS104:Yes)、補修パターン決定部152は、「補修あり」と判断する(ステップS105)。き裂Cの長さL1が第1のしきい値未満である場合(ステップS104:No)、補修パターン決定部152は、「補修なし」と判断して補修パターン(3)を選択する(ステップS106)。
また、ステップS105に続いて、補修パターン決定部152は、き裂Cの角度φ1が第2のしきい値未満であるか否かを判断する(ステップS107)。き裂Cの角度φ1が第2のしきい値未満である場合(ステップS107:Yes)、補修パターン決定部152は、「前処理あり」と判断して補修パターン(1)を選択する(ステップS108)。また、使用材料決定部153は、対象のき裂Cを補修する際に使用する前処理材21および補修材22を選択する(ステップS109)。
き裂Cの角度φ1が第2のしきい値以上である場合(ステップS107:No)、補修パターン決定部152は、「前処理なし」と判断して補修パターン(2)を選択する(ステップS110)。また、使用材料決定部153は、対象のき裂Cを補修する際に使用する補修材22を選択する(ステップS111)。
なお、上記の実施の形態1では、方向情報は、ジャイロセンサにより取得される自己姿勢に基づくこととしたが、本実施の形態はかかる例に限定されない。ジャイロセンサを備えない場合には、例えば、振り子などの鉛直指示器を用いることもできる。振り子を用いる場合、カメラ142の画角内に振り子をおさめて撮影することで、重力方向を記録することができる。
以上説明した実施の形態1にかかる補修装置10は、構造物Sの検査対象材料部分に生じたき裂Cの補修内容を決定する補修内容決定装置の一例である。補修装置10は、構造物Sの検査対象材料部分に生じたき裂Cの検査結果を取得する検査結果取得部である検査部14と、検査結果に基づいて、き裂Cに対して粒子を含む液体である補修材22による補修を行うか否かと、補修材22による補修を行う場合に、補修材22を塗布する前にき裂C内への前処理材21の塗布を行うか否かとを示す補修パターンを含む補修内容を決定する判定部15とを有する。これにより、き裂Cの検査結果に応じて、補修を行うか否かと、補修を行う場合に補修材22を塗布する前に前処理材21を塗布するか否かとが判定される。この補修内容に従うことによって、必要に応じて、前処理材21を塗布して補修材22のき裂C内への浸透性を高めることが可能になる。したがって、き裂Cの状態によらず、補修材22のき裂C内への浸透性を高めることが可能になる。また、補修装置10が補修内容を判断するため、補修作業者の熟練を要さずに、より高いき裂Cの進展抑制効果を図ることができる。
ここで、判定部15は、検査結果が示すき裂Cの長さL1および重力方向D1に対するき裂Cのなす角度φ1に基づいて、補修パターンを決定することができる。き裂Cの長さL1が短く微小なき裂Cについては、未だ補修を必要としない場合もある。また、き裂Cの角度φ1によっては、前処理材21を必要としない場合もある。これらを考慮して、補修パターンが決定されることが望ましい。
また、補修内容は、き裂Cの補修に使用する材料をさらに含み、判定部15は、補修材22による補修を行う場合、上記の材料としてき裂Cの補修に使用する補修材22を検査結果に基づいて決定し、前処理材21の塗布を行う場合、き裂Cの補修に使用する前処理材21を、検査結果および使用する補修材22に基づいて決定することができる。より具体的には、使用する補修材22は、補修対象のき裂Cの状態、例えば、き裂Cの長さL1や開口量W1に応じた大きさおよび形状の粒子を含み、補修対象のき裂Cの状態、特に、き裂Cの角度φ1に応じた粘度の補修材22とすることが望ましい。また、使用する前処理材21は、補修対象の構造物Sの材質や、選択された補修材22との相性に基づいて決定される。
より具体的には、判定部15は、前処理材21の表面張力をs、前処理材21の構造物Sの表面との接触角度をθ、前処理材21の密度をρとし、補修材22の表面張力をs、補修材22の構造物Sの表面との接触角度をθ、補修材22の密度をρとした場合、数式「2s×cosθ/ρ>2s×cosθ/ρ」を満たすように、前処理材21および補修材22を選択する。また、前処理材21は、密度ρが0.83g/cm3以上0.89g/cm3未満であって、構造物Sの表面との接触角度θが0度以上10度未満であって、表面張力sが20dyn/cm以上50dyn/cm未満であることが望ましい。これにより、補修材22の浸透性をより確実に高めることが可能な前処理材21を選択することが可能になる。
実施の形態2.
図16は、実施の形態2にかかる補修装置10Aの機能構成を示す図である。補修装置10Aの構成は、補修装置10の判定部15の代わりに判定部15Aを有する以外は補修装置10と同様であるため、ここでは詳細な説明は省略する。
図17は、実施の形態2にかかる判定部15Aの詳細な構成を示す図である。判定部15Aは、算出部151Aと、補修パターン決定部152Aと、使用材料決定部153Aとを有する。算出部151Aは、算出部151と同様にき裂Cの長さL1およびき裂Cの角度φ1を算出する機能に加えて、検査結果に基づいてき裂Cの開口量W1を算出する機能を有する。
ここでは、検査結果は構造物Sの撮影画像および方向情報であるため、算出部151Aは、撮影画像を解析することによって、開口量W1を算出することとする。算出部151Aは、算出したき裂Cの長さL1と、角度φ1と、開口量W1とを補修パターン決定部152Aおよび使用材料決定部153Aのそれぞれに出力する。
補修パターン決定部152Aは、算出部151Aが出力するき裂Cの長さL1と、角度φ1と、開口量W1とに基づいて、対象のき裂Cの補修パターンを決定する。例えば、開口量W1が小さい閉じた状態のき裂Cは、補修材22を塗布したとしても、補修材22のき裂C内への浸透が期待できない場合がある。このため、補修パターン決定部152Aは、開口量W1が第3のしきい値未満のき裂Cについては、補修を行わないようにすることができる。具体的には、補修パターン決定部152Aは、き裂Cの長さL1が第1のしきい値以上であって、且つ、開口量W1が第3のしきい値以上である場合に「補修あり」と判断する。また、補修パターン決定部152Aは、き裂Cの長さL1が第1のしきい値未満である場合や、き裂Cの長さL1が第1のしきい値以上であっても開口量W1が第3のしきい値未満である場合には、「補修なし」と判断して補修パターン(3)を選択する。
使用材料決定部153Aは、算出部151Aが出力するき裂Cの長さL1と、角度φ1と、開口量W1とに基づいて、対象のき裂Cの補修に使用する材料を決定する。具体的には、使用材料決定部153Aは、使用材料決定部153と同様の判断基準に加えて、開口量W1に基づいて、使用する補修材22に含まれる粒子の形状および大きさを選択することができる。
図18は、実施の形態2にかかる判定部15Aの動作を説明するためのフローチャートである。図15を用いて説明した実施の形態1にかかる判定部15の動作と同様の部分については同じ符号を付して説明を省略することがある。なお、省略した部分において、「判定部15」は「判定部15A」と読み替え、「算出部151」は「算出部151A」と読み替え、「補修パターン決定部152」は「補修パターン決定部152A」と読み替えるものとする。
ステップS101からステップS103の動作については、図15と同様であるため説明を省略する。ステップS103の後、算出部151Aは、き裂Cの開口量W1を算出する(ステップS201)。
ステップS201の後、補修パターン決定部152Aは、き裂Cの長さL1が第1のしきい値以上であるか否かを判断する(ステップS104)。き裂Cの長さL1が第1のしきい値未満である場合(ステップS104:No)、補修パターン決定部152Aは、「補修なし」と判断して補修パターン(3)を選択する(ステップS106)。
き裂Cの長さL1が第1のしきい値以上である場合(ステップS104:Yes)、補修パターン決定部152Aは、開口量W1が第3のしきい値以上であるか否かを判断する(ステップS202)。開口量W1が第3のしきい値未満である場合(ステップS202:No)、ステップS106に進む。
開口量W1が第3のしきい値以上である場合(ステップS202:Yes)、補修パターン決定部152Aは、「補修あり」と判断する(ステップS105)。続くステップS107、ステップS108、および、ステップS110の処理は図15と同様であるため説明を省略する。
ステップS108で補修パターン(1)が選択されると、使用材料決定部153Aは、き裂Cの長さL1と、角度φ1と、開口量W1とに基づいて、使用する前処理材21および補修材22を選択する(ステップS203)。
また、ステップS110で補修パターン(2)が選択されると、使用材料決定部153Aは、き裂Cの長さL1と、角度φ1と、開口量W1とに基づいて、使用する補修材22を選択する(ステップS204)。
以上説明したように、実施の形態2にかかる補修装置10Aは、構造物Sの検査対象材料部分に生じたき裂Cの補修内容を決定する補修内容決定装置の一例である。補修装置10Aは、実施の形態1にかかる補修装置10の機能に加えて、補修パターンおよび使用材料を決定する際に、き裂Cの開口量W1をさらに使用することができる。したがって、補修材22のき裂C内への浸透が期待できない、開口部分が閉じた状態のき裂Cに対して、補修を行うことを防止することが可能になる。また、開口量W1に基づいて、補修に使用する材料が決定されるため、補修作業者の熟練度合いによらず、き裂の進展抑制効果をより高めることが可能になる。
実施の形態3.
実施の形態3では、機械学習を用いて、き裂Cの状態に応じた適切な補修内容を決定する方法について説明する。
図19は、実施の形態3にかかる学習装置50の機能構成を示す図である。学習装置50は、補修装置10に関する機械学習装置である。学習装置50は、学習用データ取得部51と、モデル生成部52とを有する。
学習用データ取得部51は、検査結果と、検査結果を取得する前に行った補修の補修内容とを学習用データとして取得する。ここで、検査結果は、構造物Sの撮影画像と、撮影画像中の重力方向を特定するための情報である方向情報とを含む。
モデル生成部52は、検査結果と、補修内容とを含む学習用データに基づいて、補修内容を学習する。すなわち、モデル生成部52は、補修装置10の検査結果から補修内容を推論する学習済モデルを生成する。ここで、補修内容は、少なくとも補修パターンを含み、さらに、補修を行う際に使用する材料を含んでもよい。
モデル生成部52が用いる学習アルゴリズムは、教師あり学習、教師なし学習、強化学習等の公知のアルゴリズムを用いることができる。一例として、強化学習(Reinforcement Learning)を適用した場合について説明する。強化学習では、ある環境内における行動主体であるエージェントが、現在の状態を示す環境のパラメータを観測し、取るべき行動を決定する。エージェントの行動により環境が動的に変化し、エージェントには環境の変化に応じて報酬が与えられる。エージェントはこれを繰り返し、一連の行動を通じて報酬が最も多く得られる行動方針を学習する。強化学習の代表的な手法として、Q学習(Q-Learning)やTD学習(TD-Learning)が知られている。例えば、Q学習の場合、行動価値関数Q(s,a)の一般的な更新式は以下の数式(1)で表される。
Figure 0007490164000001
上記の数式(1)において、stは、時刻tにおける環境の状態を表し、atは時刻tにおける行動を表す。行動atにより、状態はst+1に変わる。rt+1はその状態の変化によって得られる報酬を表し、γは割引率を表し、αは学習係数を表す。なお、γは0<γ≦1、αは0<α≦1の範囲の値をとる。補修内容が行動atとなり、検査結果が状態stとなり、時刻tの状態stにおける最良の行動atを学習する。
数式(1)で表される更新式は、時刻t+1における最もQ値の高い行動aの行動価値Qが、時刻tにおいて実行された行動aの行動価値Qよりも大きければ、行動価値Qを大きくし、逆の場合は、行動価値Qを小さくする。換言すれば、時刻tにおける行動aの行動価値Qを、時刻t+1における最良の行動価値に近づけるように、行動価値関数Q(s,a)を更新する。それにより、或る環境における最良の行動価値が、それ以前の環境における行動価値に順次伝搬していくようになる。
上記のように、強化学習によって学習済モデルを生成する場合、モデル生成部52は、報酬計算部53と、関数更新部54と、を備えている。
報酬計算部53は、補修内容および検査結果に基づいて、報酬を計算する。報酬計算部53は、補修対象のき裂Cの進展抑制効果に基づいて、報酬rを計算する。例えば、き裂Cの進展抑制効果が向上する場合には、「1」の報酬を与えるなどにより報酬rを増大させ、き裂Cの進展抑制効果が低下する場合には、「-1」の報酬を与えるなどにより報酬rを低減する。なお、き裂Cの進展抑制効果を評価する方法は、特に限定されない。例えば、き裂Cの進展抑制効果は、破壊力学パラメータで表されてもよいし、熱弾性温度変動により表されてもよい。破壊力学パラメータとしては、有効応力拡大係数範囲、J値、エネルギー開放率などを用いることができる。
関数更新部54は、報酬計算部53によって計算される報酬に従って、補修内容を決定するための関数を更新し、学習済モデル記憶部55に出力する。例えばQ学習の場合、数式(1)で表される行動価値関数Q(st,at)を補修内容を算出するための関数として用いる。
以上のような学習を繰り返し実行する。学習済モデル記憶部55は、関数更新部54によって更新された行動価値関数Q(st,at)、すなわち、学習済モデルを記憶する。
次に、図20を用いて、学習装置50が学習する処理について説明する。図20は、学習装置50の学習処理を説明するためのフローチャートである。
学習用データ取得部51は、補修内容および検査結果を学習用データとして取得する(ステップS301)。
モデル生成部52は、補修内容および検査結果に基づいて、き裂Cの進展抑制効果が向上するか否かを判断する(ステップS302)。
き裂Cの進展抑制効果が向上する場合(ステップS302:Yes)、報酬計算部53は、報酬を増やす(ステップS303)。き裂Cの進展抑制効果が低下する場合(ステップS302:No)、報酬計算部53は、報酬を減らす(ステップS304)。
関数更新部54は、報酬計算部53によって計算された報酬に基づいて、学習済モデル記憶部55が記憶する数式(1)で表される行動価値関数Q(st,at)を更新する(ステップS305)。
学習装置50は、以上のステップS301からステップS305までのステップを繰り返し実行し、生成された行動価値関数Q(st,at)を学習済モデルとして記憶する。
なお、上記の学習装置50は、学習済モデルを学習装置50の外部に設けられた学習済モデル記憶部55に記憶するものとしたが、学習済モデル記憶部55を学習装置50の内部に備えていてもよい。
図21は、実施の形態3にかかる補修装置10Bの判定部15Bの機能構成を示す図である。判定部15Bは、推論装置56を有する。実施の形態3にかかる補修装置10Bの構成は図示していないが、補修装置10の判定部15の代わりに、判定部15Bを有する。この判定部15Bは、機械学習を用いて、判定処理を行うことができる。推論装置56は、学習済モデル記憶部55に記憶された学習済モデルを用いて、検査部14が取得する検査結果から補修内容を推論し、推論結果である補修内容を出力する。
図22は、補修装置10に関する推論装置56の構成図である。推論装置56は、推論用データ取得部57と、推論部58とを有する。
推論用データ取得部57は、検査結果を推論用データとして取得する。
推論部58は、学習済モデルを利用して補修内容を推論する。すなわち、この学習済モデルに、推論用データ取得部57が取得した検査結果を入力することで、構造物Sの検査結果に適した補修内容を推論することができる。
なお、本実施の形態では、モデル生成部52が学習を行う際に使用した補修装置10は、推論部58の推論対象の補修装置10と同一であることとしたが、他の補修装置10から学習済モデルを取得し、この学習済モデルに基づいて補修内容を出力するようにしてもよい。
次に、図23を用いて、推論装置56が補修内容を得るための処理を説明する。図23は、推論装置56の推論処理を説明するためのフローチャートである。
推論用データ取得部57は、検査結果を推論用データとして取得する(ステップS401)。推論部58は、学習済モデル記憶部55に記憶された学習済モデルに、推論用データ取得部57が推論用データとして取得した検査結果を入力して(ステップS402)、補修内容を出力として得る。推論部58は、得られた補修内容を推論結果として出力する(ステップS403)。
補修装置10Bは、出力された補修内容を用いて、補修を実行する(ステップS404)。これにより、検査結果に合わせて決定された補修内容でき裂Cの補修を実行することができる。この補修内容は、少なくとも補修パターンを含むため、対象のき裂Cの状態に合わせて、前処理材21および補修材22の塗布を行う補修パターン(1)、補修材22の塗布を行う補修パターン(2)、補修を行わない補修パターン(3)のいずれかが選択される。なお、検査結果として、構造物Sの撮影画像および方向情報を用いることで、カメラ142の出力する撮影画像およびカメラ142に備わるジャイロセンサの出力を学習済モデルに入力するだけで、適切な補修内容を決定することが可能になる。
なお、本実施の形態では、モデル生成部52が用いる学習アルゴリズムに強化学習を適用した場合について説明したが、これらに限られるものではない。学習アルゴリズムについては、強化学習以外にも、教師あり学習、教師なし学習、または、半教師あり学習等を適用することも可能である。
また、モデル生成部52に用いられる学習アルゴリズムとしては、特徴量そのものの抽出を学習する、深層学習(Deep Learning)を用いることもでき、他の公知の方法、例えばニューラルネットワーク、遺伝的プログラミング、機能推理プログラミング、サポートベクターマシンなどに従って機械学習を実行してもよい。
なお、本実施の形態では、推論装置56は、補修装置10Bの判定部15B内に備わることとしたが、かかる例に限定されない。学習装置50および推論装置56は、例えば、ネットワークを介して、補修装置10Bに接続され、補修装置10Bとは別個の装置であってもよい。また、学習装置50および推論装置56は、クラウドサーバ上に存在していてもよい。
また、モデル生成部52は、複数の補修装置10から取得される学習用データを用いて、補修内容を学習するようにしてもよい。なお、モデル生成部52は、同一のエリアで使用される複数の補修装置10から学習用データを取得してもよいし、異なるエリアで独立して動作する複数の補修装置10から収集される学習用データを利用して補修内容を学習してもよい。また、学習用データを収集する補修装置10を途中で対象に追加したり、対象から除外することも可能である。さらに、ある補修装置10に対して、補修内容を学習した学習装置50を、これとは別の補修装置10に適用し、当該別の補修装置10に関して補修内容を再学習して更新するようにしてもよい。
以上説明したように、実施の形態3によれば、機械学習を用いて、補修内容を決定することが可能になる。補修装置10Bは、補修内容決定装置の一例である。例えば、判定部15Bは、検査結果を取得する推論用データ取得部57と、検査結果からき裂Cの補修内容を推論するための学習済モデルを用いて、推論用データ取得部57が取得した検査結果から補修内容を出力する推論部58とを有する。推論部58が出力する補修内容は、少なくとも補修パターンを含み、さらに、き裂Cの補修に使用する材料をさらに含んでもよい。この学習済モデルは、例えば、検査結果と補修内容とを含む学習用データを取得する学習用データ取得部51と、学習用データを用いて、検査結果から補修内容を推論するための学習済モデルを生成するモデル生成部52とを有する学習装置50により生成される。モデル生成部52は、例えば、き裂Cの進展抑制効果を向上させるような補修内容を学習することができる。学習済モデルへの入力は、検査結果であって、例えば、構造物Sの撮影画像および方向情報を含むことができる。また、上記の実施の形態では、検査結果は、構造物Sの撮影画像および方向情報としたが、学習済モデルに入力する検査結果は、撮影画像や方向情報から算出した値であってもよい。撮影画像や方向情報から算出した値、例えば、「重力方向に対するき裂Cの角度φ1」のような特定の特徴値を学習済モデルへの入力とする場合には、特定の特徴値が補修内容に与える影響を確実に反映することが可能になる。
実施の形態4.
図24は、実施の形態4にかかる補修装置10Cの機能構成を示す図である。補修装置10Cは、吸着手段12による吸着力および駆動手段13による駆動力を制御する制御手段41を備える。また、補修装置10Cの本体11は、制御手段41の制御に従って駆動手段13により構造物Sに沿って移動するが、補修部16の前処理部17、中処理部18、および、後処理部19は、移動方向を先頭として、処理順に並んで設けられている。具体的には、移動方向を先頭として、前処理部17、中処理部18、後処理部19の順番に並んで設けられている。これにより、移動に伴って、前処理部17、中処理部18、後処理部19の順にき裂Cと対向することになるため、効率的に補修作業を実施することができる。
以上説明したように、実施の形態4にかかる補修装置10Cは、構造物Sの検査対象材料部分に生じたき裂Cの検査結果に基づいて、き裂Cに対して粒子を含む液体である補修材22による補修を行うか否かと、補修材22による補修を行う場合に、補修材22を塗布する前にき裂C内への前処理材21の塗布を行うか否かとを示す補修パターンを含む補修内容を決定する判定部15と、判定部15が決定した補修内容に基づいて、き裂Cの補修を実行する補修部16と、を備え、補修部16は、構造物Sのき裂C内に前処理材21を塗布する前処理工程を実行する前処理部17と、前処理工程において塗布された前処理材21の余剰分を取り除く中処理工程を実行する中処理部18と、き裂Cに補修材22を塗布する後処理工程を実行する後処理部19と、を有することを特徴とする。補修装置10Cは、構造物Sに吸着して補修装置10Cの本体11を構造物Sに固定する吸着手段12と、構造物Sに沿って本体11を移動させるための駆動手段13と、吸着手段12による吸着力と、駆動手段13による駆動力とを制御する制御手段41とをさらに備える。また、補修部16の前処理部17と、中処理部18と、後処理部19とは、駆動手段13による補修装置10Cの移動方向を先頭として、処理順に並んで配置されている。これにより、補修作業の効率を向上させることが可能になる。
中処理部18は、前処理材21を吸引機構、または、前処理材21を吸着する工業用油取り紙とすることができる。
実施の形態5.
図25は、実施の形態5にかかる補修内容決定システム1の構成を示す図である。補修内容決定システム1は、検査装置61と、補修内容決定装置64と、補修装置10Dとを有する。以下、実施の形態1~3で説明した機能構成と同様の機能を有する部分については同じ符号を付することにより、詳細な説明を省略する。
検査装置61は、検査部14と、算出部151と、記憶部62と、送信部63とを有する。検査部14は、検査結果を算出部151に出力する。算出部151は、検査結果に基づいてき裂Cの長さL1および角度φ1を算出し、き裂Cの長さL1および角度φ1を記憶部62に出力する。記憶部62は、き裂Cの長さL1および角度φ1を記憶する。送信部63は、記憶部62に記憶されたき裂Cの長さL1および角度φ1を補修内容決定装置64に送信する。
補修内容決定装置64は、受信部65と、判定部15Dと、出力部66とを有する。受信部65は、検査装置61からき裂Cの長さL1および角度φ1を受信して、判定部15Dの補修パターン決定部152および使用材料決定部153のそれぞれに出力する。判定部15Dは、受信部65を介してき裂Cの長さL1および角度φ1を取得する点以外は、判定部15と同様であり、決定した補修内容を出力部66に出力する。出力部66は、決定した補修内容を補修装置10Dに出力する。なお、出力部66は、補修内容を通信により補修装置10Dに出力してもよいし、例えば、補修内容を含む表示画面を出力してもよい。この場合、表示画面を見た作業者が補修装置10Dを操作することで、決定した補修内容に従った補修を行うことができる。
補修装置10Dは、吸着手段12と、駆動手段13と、補修部16と、制御手段41とを有する。補修装置10Dは、補修装置10Dと別体の装置である補修内容決定装置64において決定された補修内容に従って、補修処理を実行する。
検査装置61および補修装置10Dは、構造物Sが存在する場所で動作させる必要があるが、補修内容決定装置64は、通信機能があれば設置場所はどこであってもよい。
以上説明したように、実施の形態5にかかる補修内容決定システム1によれば、検査装置61および補修装置10Dと別体の補修内容決定装置64において、検査結果から補修パターンを含む補修内容を決定することができる。このため、通信機能を有していれば、補修内容を決定するための処理を行う機能を補修装置10Dが有していなくてもよい。この補修内容決定装置64によれば、補修装置10と同様に、作業者の習熟度によらず、簡単に、前処理材21の塗布が必要か否か、補修材22による補修が適切であるか否かを判断することが可能になる。なお、ここでは、検査装置61は補修装置10Dと別体の装置であることとしたが、検査装置61の機能が補修装置10Dに備わっていてもよい。
実施の形態6.
図26は、実施の形態6にかかる補修内容決定システム1Eの構成を示す図である。補修内容決定システム1Eは、検査装置61Eと、補修内容決定装置64Eと、補修装置10Dとを有する。
検査装置61Eは、検査部14と、算出部151Aと、記憶部62Eと、送信部63Eとを有する。実施の形態6にかかる検査装置61Eは、検査装置61の算出部151の代わりに算出部151Aを有する。算出部151Aは、き裂Cの長さL1および角度φ1に加えて、開口量W1を算出する。記憶部62Eは、き裂Cの長さL1、角度φ1および開口量W1を記憶する。送信部63Eは、き裂Cの長さL1、角度φ1および開口量W1を補修内容決定装置64Eに送信する。また、送信部63Eは、少なくともき裂Cの開口量W1を補修効果予測部67に送信する。
補修効果予測部67は、補修効果を予測する。補修効果は、き裂Cの進展抑制効果で表される。例えば、き裂Cの進展抑制効果は、破壊力学パラメータで表されてもよいし、熱弾性温度変動により表されてもよい。破壊力学パラメータとしては、有効応力拡大係数範囲、J値、エネルギー開放率などを用いることができる。なお、ここで、補修効果を示す量は特に制限されない。ここでは、検査部14の検査結果からき裂Cの開口量W1を求めることができるため、補修効果予測部67は、き裂Cの補修前後の開口量W1に基づいて、補修効果を予測するものとする。
補修内容決定装置64Eは、受信部65と、判定部15Eと、出力部66とを有する。判定部15Eは、補修パターン決定部152Aと、使用材料決定部153Aとを有する。
図27は、実施の形態6にかかる補修内容決定システム1Eの動作を説明するためのフローチャートである。補修内容決定システム1Eの検査部14は、検査処理を行う(ステップS10)。検査部14の検査結果に基づいて、算出部151Aと、判定部15Eにおいて、判定処理が実行される(ステップS20)。補修装置10Dは、判定処理の結果、「補修あり」であるか否かを判断する(ステップS30)。「補修あり」の場合(ステップS30:Yes)、補修装置10Dの補修部16は、補修処理を行う(ステップS40)。
補修装置10Dが補修処理を行うと、検査装置61Eの検査部14は、補修後検査処理を行う(ステップS41)。補修後検査処理は、補修処理の後に行われる検査処理であり、ステップS10の検査処理と同様である。また、補修効果予測部67は、補修効果予測処理を行う(ステップS42)。
「補修なし」である場合(ステップS30:No)、および、補修効果予測処理を行った後、補修装置10Dは、補修終了であるか否かを判断する(ステップS50)。補修終了でない場合(ステップS50:No)、補修装置10Dの制御手段41は、駆動手段13を制御して補修装置10Dの移動を行い(ステップS60)、ステップS10の処理に戻る。補修終了である場合(ステップS50:Yes)、補修内容決定システム1Eは、処理を終了する。
以上説明したように、実施の形態6にかかる補修内容決定システム1Eによれば、補修内容決定システム1の機能に加えて、き裂Cの開口量W1に基づいて、補修内容を決定することができると共に、開口量W1に基づいて、補修処理のき裂Cの進展抑制効果を予測する機能を有する。
実施の形態7.
図28は、実施の形態7にかかる補修内容決定システム1Fの構成を示す図である。補修内容決定システム1Fは、検査装置61Fと、学習装置50と、補修内容決定装置64Fと、補修装置10Dとを有する。
検査装置61Fは、検査部14と、記憶部62と、送信部63とを有する。実施の形態7では、機械学習を用いて、検査結果から補修内容を推論する。ここでは、学習済モデルへの入力は、検査結果である撮影画像および方向情報であるため、検査装置61Fは、算出部151,151Aを備えず、検査結果をそのまま記憶部62に記憶させることになる。なお、学習済モデルへの入力が、検査結果そのままではなく、検査結果から算出される値、例えば、き裂Cの長さL1、角度φ1、開口量W1などである場合には、検査装置61Fは、算出部151,151Aによってこれらの値を算出する機能を有していてもよい。送信部63は、検査結果を補修内容決定装置64Fおよび学習装置50に送信する。
補修内容決定装置64Fは、機械学習を用いて、検査装置61Fの検査結果から補修内容を推論する機能を有する。補修内容決定装置64Fは、受信部65と、判定部15Fと、出力部66とを有する。判定部15Fは、推論装置56を有する。受信部65は、検査装置61Fから検査結果を受信し、学習済モデル記憶部55から学習済モデルを受信する。受信部65は、受信した検査結果および学習済モデルを判定部15Fに出力する。判定部15Fの推論装置56は、入力される検査結果および学習済モデルを用いて、補修装置10Dの補修内容を推論する。具体的には、推論装置56は、学習済モデルに検査結果を入力して、補修内容を出力として得る。推論装置56は、得られた補修内容を出力部66に出力する。出力部66は、補修内容を補修装置10Dおよび学習装置50に出力する。
学習装置50は、検査装置61Fから得られる補修前後の検査結果と、補修内容決定装置64Fから得られる補修内容とを用いて、検査結果から補修内容を得るための学習済モデルを生成し、生成した学習済モデルを学習済モデル記憶部55に記憶させる。
以上説明したように、実施の形態7にかかる補修内容決定システム1Fでは、機械学習を用いて、補修内容を決定することができる。ここでは、学習済モデルへの入力は、検査結果そのままとしたため、補修内容決定システム1Fは、算出部151,151Aの構成を備えていなくてもよい。なお、実施の形態7においても、補修内容決定システム1Fの備える各機能をどのハードウェアに備えるかは、適宜変更を加えることができる。例えば、学習装置50は、検査装置61Fに備わっていてもよいし、補修装置10Dに備わっていてもよいし、補修内容決定装置64Fに備わっていてもよい。また、検査装置61Fと補修装置10Dとは一体の装置であってもよい。
実施の形態8.
図29は、実施の形態8にかかる補修内容決定システム1Gの構成を示す図である。補修内容決定システム1Gは、補修装置10Gと、補修内容決定装置64とを有する。補修装置10Gは、検査機能と補修機能とを有する無人移動体であることとする。
補修装置10Gは、検査装置61と、受信部68と、補修部16と、制御手段41Gと、駆動手段13と、吸着手段12と、経路情報記憶部69とを有する。経路情報記憶部69には、検査および補修対象の構造物Sにおける移動経路を示す経路情報が記憶されている。制御手段41Gは、経路情報記憶部69に記憶された経路情報に従って、駆動手段13および吸着手段12を制御することにより、補修装置10Gを構造物Sの移動経路に沿って移動させる。
補修装置10Gは、検査装置61の検査結果を補修内容決定装置64に送信し、補修内容決定装置64から受信する補修内容に従って、補修部16において補修を実行する。
図30は、実施の形態8にかかる補修装置10Gの移動経路の一例を示す図である。例えば、図30の実線の矢印で示すように、構造物Sに対する移動経路が予め定まっているものとする。このとき、補修装置10Gは、この移動経路に沿って移動しながら、構造物Sの検査を行い、検査結果から判定処理を行う。判定処理によって、補修対象のき裂Cを発見すると、補修装置10Gは、補修処理を行ってから、移動経路に沿った移動を再開する。この場合、補修装置10Gの動作は、図14または図27に示すような動作となる。
図30の例では、補修装置10Gは、スタート地点5-1からゴール地点5-2まで、予め定められた移動経路上を移動しながら、検査処理および判定処理を行い、補修対象のき裂Cが発見された地点6-1,6-2,6-3においては、補修処理も行う。ゴール地点5-2まで到達すると、補修装置10Gは、スタート地点5-1まで自動で戻る。例えば、図30に示したように、補修装置10Gは、ゴール地点5-2からスタート地点5-1まで最短経路を通って戻ることができる。
或いは、補修装置10Gは、予め定められた移動経路上を移動しながら、検査処理および判定処理を行い、補修対象のき裂Cが発見されると、き裂Cの生じている地点6-1,-2,6-3の位置情報を記録するようにしてもよい。この場合、スタート地点5-1からゴール地点5-2まで移動する間は、補修処理を行わず、ゴール地点5-2からスタート地点5-1まで戻る間に、記録した地点6-1,6-2,6-3で補修処理を行ってもよい。図31は、実施の形態8にかかる補修装置10Gがゴール地点5-2からスタート地点5-1まで戻る経路の他の一例を示す図である。なお、ここでは、補修装置10Gが検査装置61および補修部16を備えることとしたが、補修装置10Gとは別体の検査装置61を用いて、検査処理と補修処理とを分けて実行することもできる。この場合であっても、検査装置61と補修装置10Gとがそれぞれ無人移動体に搭載されていれば、予め定められた移動経路に沿って検査処理および補修処理を行うことができ、作業時間を短縮することが可能になる。
ここで、ハードウェア構成の一例について説明する。上述の補修内容決定装置64,64E,64Fは、例えば、コンピュータシステムにより実現される。補修内容決定装置64,64E,64Fは、1つのコンピュータシステムにより実現されてもよいし、複数のコンピュータシステムにより実現されてもよい。例えば、補修内容決定装置64,64E,64Fは、クラウドシステムにより実現されてもよい。クラウドシステムでは、コンピュータシステムのハードウェアと、機能ごとのサーバ等の装置との切り分けを任意に設定できる。例えば、1台のコンピュータシステムが複数の装置としての機能を有していてもよいし、複数台のコンピュータシステムで1つの装置としての機能を有していてもよい。
補修内容決定装置64,64E,64Fを実現するコンピュータシステムの構成例を説明する。図32は、補修内容決定装置64,64E,64Fを実現するコンピュータシステムの構成例を示す図である。図32に示すように、このコンピュータシステムは、制御部101と入力部102と記憶部103と表示部104と通信部105と出力部106とを備え、これらはシステムバス107を介して接続されている。
図32において、制御部101は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等である。制御部101は、本実施の形態の補修内容決定装置64,64E,64Fが実施する各処理が記述された補修内容決定プログラムを実行する。入力部102は、たとえばキーボード、マウス等で構成され、コンピュータシステムのユーザが、各種情報の入力を行うために使用する。記憶部103は、RAM(Random Access Memory),ROM(Read Only Memory)等の各種メモリおよびハードディスク等のストレージデバイスを含み、上記制御部101が実行すべきプログラム、処理の過程で得られた必要なデータ等を記憶する。また、記憶部103は、プログラムの一時的な記憶領域としても使用される。表示部104は、LCD(Liquid Crystal Display:液晶表示パネル)等で構成され、コンピュータシステムのユーザに対して各種画面を表示する。通信部105は、通信処理を実施する通信回路等である。通信部105は、複数の通信方式にそれぞれ対応する複数の通信回路で構成されていてもよい。出力部106は、プリンタ、外部記憶装置等の外部の装置へデータを出力する出力インタフェイスである。
なお、図32は、一例であり、コンピュータシステムの構成は図32の例に限定されない。例えば、コンピュータシステムは出力部106を備えていなくてもよい。また、補修内容決定装置64,64E,64Fが複数のコンピュータシステムにより実現される場合、これらの全てのコンピュータシステムが図32に示したコンピュータシステムでなくてもよい。例えば、一部のコンピュータシステムは図32に示した表示部104、出力部106および入力部102のうち少なくとも1つを備えていなくてもよい。
ここで、本実施の形態の補修内容決定装置64,64E,64Fの処理が記述された補修内容決定プログラムが実行可能な状態になるまでのコンピュータシステムの動作例について説明する。上述した構成をとるコンピュータシステムには、たとえば、図示しないCD(Compact Disc)-ROMドライブまたはDVD(Digital Versatile Disc)-ROMドライブにセットされたCD-ROMまたはDVD-ROMから、補修内容決定プログラムが記憶部103にインストールされる。そして、補修内容決定プログラムの実行時に、記憶部103から読み出された補修内容決定プログラムが記憶部103の主記憶装置となる領域に格納される。この状態で、制御部101は、記憶部103に格納された補修内容決定プログラムに従って、本実施の形態の補修内容決定装置64,64E,64Fとしての処理を実行する。
なお、上記の説明においては、CD-ROMまたはDVD-ROMを記録媒体として、補修内容決定装置64,64E,64Fにおける処理を記述したプログラムを提供しているが、これに限らず、コンピュータシステムの構成、提供するプログラムの容量等に応じて、たとえば、通信部105を経由してインターネット等の伝送媒体により提供されたプログラムを用いることとしてもよい。
本実施の形態の補修内容決定プログラムは、コンピュータに、構造物Sの検査対象材料部分に生じたき裂Cの検査結果を取得するステップと、検査結果に基づいて、き裂Cに対して粒子を含む液体である補修材22による補修を行うか否かと、補修材22による補修を行う場合に、補修材22を塗布する前にき裂C内への前処理材21の塗布を行うか否かとを示す補修パターンを含む補修内容を決定するステップと、補修パターンが、補修材22による補修を行い、且つ、前処理材21の塗布を行うことを示す場合に、き裂C内に前処理材21を塗布するステップと、補修パターンが、補修材22による補修を行い、且つ、前処理材21の塗布を行うことを示す場合に、塗布された前処理材21の余剰分を取り除くステップと、補修パターンが、補修材22による補修を行うことを示す場合に、補修材22をき裂C内に塗布するステップと、を実行させる。
図25,26,28,29に示した受信部65は、図32に示した通信部105により実現され、図25,26,28,29に示した判定部15D,15E,15Fは、図32に示した制御部101により実現され、図25,26,28,29に示した出力部66は、図32に示した通信部105および出力部106の少なくとも一方により実現される。
学習装置50および推論装置56についても、補修内容決定装置64,64E,64Fと同様に、1つまたは複数のコンピュータシステムにより実現される。学習装置50および推論装置56が本実施の形態で述べた動作を行うためのプログラムは、上述した補修内容決定プログラムと同様に、記憶媒体、伝送媒体などにより提供され、コンピュータシステムにインストールされる。これにより、学習装置50および推論装置56における上述した動作が実現される。また、補修内容決定装置64,64E,64Fと学習装置50および推論装置56とが1つのコンピュータシステムにより実現されてもよい。この場合、受信部65,68、送信部63,63Eは、設けられなくてもよく、これらの機能はコンピュータシステム内部のデータのやりとりにより行われる。
なお、各装置における機能の切り分けは一例であり、補修内容決定システム1,1E,1F,1Gが、上述した動作を行うことができれば、各装置における機能の切り分けは図示した例に限定されない。
図33は、補修装置10または補修内容決定システム1の各機能を実現するための処理回路110の一例を示す図である。補修装置10,10A,10B,10Cの判定部15,15A,15B、検査装置61,61Eの算出部151,151A、補修装置10C,10D,10Gの制御手段41,41Gのそれぞれは、処理回路110により実現される。これらの処理回路110は、専用のハードウェアであってもよいし、CPUを用いた制御回路であってもよい。
上記の処理回路110が、専用のハードウェアにより実現される場合、処理回路110は、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、またはこれらを組み合わせたものである。
上記の処理回路110が、CPUを用いた制御回路で実現される場合、制御回路は、プロセッサと、メモリとを備える。プロセッサは、CPUであり、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSP(Digital Signal Processor)などとも呼ばれる。メモリは、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(登録商標)(Electrically EPROM)などの不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVDなどである。
上記の処理回路110が制御回路により実現される場合、プロセッサがメモリに記憶された、各構成要素の処理に対応するプログラムを読み出して実行することにより実現される。また、メモリは、プロセッサが実行する各処理における一時メモリとしても使用される。
以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、実施の形態同士を組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
例えば、上記の実施の形態では、検査結果は、撮影画像および方向情報であることとしたが、かかる例に限定されない。例えば、検査結果は、構造物Sの状態、特に、構造物Sの検査対象材料部分に生じたき裂Cの状態を示すものであればよい。
また、上記の実施の形態に示した各機能の分担は一例である。上述の機能を実現することができれば、各処理はどの装置において実行されてもよい。検査処理および補修処理は、構造物Sが存在する場所で実行される必要があるが、判定処理などの演算処理は、どの装置で行われてもよく、その装置が設置される場所についても特に制限はない。
また、上記の実施の形態では、補修装置10などが補修処理を行うこととしたが、補修内容決定装置64などが決定した補修内容に従って、補修作業者が手作業で補修を行ってもよい。
1,1E,1F,1G 補修内容決定システム、5-1 スタート地点、5-2 ゴール地点、6-1,6-2,6-3 地点、10,10A,10B,10C,10D,10G 補修装置、11 本体、12 吸着手段、13 駆動手段、14 検査部、15,15A,15B,15D,15E,15F 判定部、16 補修部、17 前処理部、18 中処理部、19 後処理部、21 前処理材、22 補修材、30 支持部材、31 デッキプレート、32 舗装、33,33-1,33-2 Uリブ、34 横リブ、35 溶接ビード、36 突合せ溶接ビード、37 垂直補鋼材、38 隅肉溶接ビード、41,41G 制御手段、50 学習装置、51 学習用データ取得部、52 モデル生成部、53 報酬計算部、54 関数更新部、55 学習済モデル記憶部、56 推論装置、57 推論用データ取得部、58 推論部、61,61E,61F 検査装置、62,62E 記憶部、63,63E 送信部、64,64E,64F 補修内容決定装置、65,68 受信部、66,106 出力部、67 補修効果予測部、69 経路情報記憶部、101 制御部、102 入力部、103 記憶部、104 表示部、105 通信部、107 システムバス、110 処理回路、141 LiDARスキャナ、142 カメラ、151,151A 算出部、152,152A 補修パターン決定部、153,153A 使用材料決定部、C,C-1,C-2,C-3 き裂、D1 重力方向、D2,D2-1,D2-2,D2-3 深さ方向、D3 垂直方向、L1,L1-1,L1-2,L1-3 長さ、P1-1,P1-2,P1-3 起点、S 構造物、S1 橋梁、W1 開口量、φ1,φ1-1,φ1-2,φ1-3 角度。

Claims (24)

  1. 構造物の検査対象材料部分に生じたき裂の検査結果を取得する検査結果取得部と、
    前記検査結果が示す前記き裂の長さ、および、重力方向に対する前記き裂のなす角度に基づいて、前記き裂に対して粒子を含む液体である補修材による補修を行うか否かと、前記補修材による補修を行う場合に、前記補修材を塗布する前に前記き裂内への前処理材の塗布を行うか否かとを示す補修パターンを含む補修内容を決定する判定部と、
    を備えることを特徴とする補修内容決定装置。
  2. 構造物の検査対象材料部分に生じたき裂の検査結果を取得する検査結果取得部と、
    前記検査結果に基づいて、前記き裂に対して粒子を含む液体である補修材による補修を行うか否かと、前記補修材による補修を行う場合に、前記補修材を塗布する前に前記き裂内への前処理材の塗布を行うか否かとを示す補修パターンを含む補修内容を決定する判定部と、
    を備え、
    前記検査結果は、前記構造物の撮影画像と、前記撮影画像における重力方向を示す方向情報とを含むことを特徴とする補修内容決定装置。
  3. 構造物の検査対象材料部分に生じたき裂の検査結果を取得する検査結果取得部と、
    前記検査結果に基づいて、前記き裂に対して粒子を含む液体である補修材による補修を行うか否かと、前記補修材による補修を行う場合に、前記補修材を塗布する前に前記き裂内への前処理材の塗布を行うか否かとを示す補修パターンを含む補修内容を決定する判定部と、
    を備え、
    前記補修内容は、前記き裂の補修に使用する材料をさらに含み、
    前記判定部は、前記補修材による補修を行う場合、前記材料として前記き裂の補修に使用する前記補修材を前記検査結果が示す前記き裂の長さ、および、重力方向に対する前記き裂のなす角度に基づいて決定することを特徴とする補修内容決定装置。
  4. 前記判定部は、前記前処理材の塗布を行う場合、前記き裂の補修に使用する前記前処理材を前記検査結果および使用する前記補修材に基づいて決定することを特徴とする請求項3に記載の補修内容決定装置。
  5. 前記判定部は、前記き裂の長さに応じた形状の粒子を含み、前記角度に応じた粘度を有する前記補修材を選択することを特徴とする請求項に記載の補修内容決定装置。
  6. 前記判定部は、前記き裂の長さおよび前記角度に加えて、前記き裂の開口量に基づいて、前記補修パターンを決定することを特徴とする請求項に記載の補修内容決定装置。
  7. 前記判定部は、前記き裂の長さおよび前記角度に加えて、前記き裂の開口量に基づいて、前記材料を決定することを特徴とする請求項に記載の補修内容決定装置。
  8. 前記前処理材の表面張力をs、前記前処理材の前記構造物の表面との接触角度をθ、前記前処理材の密度をρとし、前記補修材の表面張力をs、前記補修材の前記構造物の表面との接触角度をθ、前記補修材の密度をρとした場合、数式2s×cosθ/ρ>2s×cosθ/ρを満たすことを特徴とする請求項1に記載の補修内容決定装置。
  9. 前記前処理材は、密度が0.83g/cm3以上0.89g/cm3未満であって、前記構造物の表面との接触角度が0度以上10度未満であって、表面張力が20dyn/cm以上50dyn/cm未満であることを特徴とする請求項1に記載の補修内容決定装置。
  10. 構造物の検査対象材料部分に生じたき裂の検査結果として前記構造物の撮影画像と、前記撮影画像における重力方向を示す方向情報とを取得する検査結果取得部と、
    前記検査結果に基づいて、前記き裂に対して粒子を含む液体である補修材による補修を行うか否かと、前記補修材による補修を行う場合に、前記補修材を塗布する前に前記き裂内への前処理材の塗布を行うか否かとを示す補修パターンを含む補修内容を決定する判定部と、
    を備え、
    前記判定部は
    記検査結果から前記き裂の補修内容を推論するための学習済モデルを用いて、前記検査結果から前記補修内容を出力する推論部、
    を有することを特徴とする補修内容決定装置。
  11. 前記補修内容は、前記き裂の補修に使用する材料をさらに含み、
    前記推論部は、前記補修材による補修を行う場合、前記材料として前記き裂の補修に使用する前記補修材を前記材料として出力し、前記前処理材の塗布を行う場合、前記き裂の補修に使用する前記前処理材を前記材料として出力することを特徴とする請求項10に記載の補修内容決定装置。
  12. 構造物の検査対象材料部分に生じたき裂の検査結果として前記構造物の撮影画像と、前記撮影画像における重力方向を示す方向情報とを取得する検査結果取得部と、
    前記検査結果に基づいて、前記き裂に対して粒子を含む液体である補修材による補修を行うか否かと、前記補修材による補修を行う場合に、前記補修材を塗布する前に前記き裂内への前処理材の塗布を行うか否かとを示す補修パターンを含む補修内容を決定する判定部と、
    前記検査結果と、前記補修内容とを含む学習用データを取得する学習用データ取得部と、
    前記学習用データを用いて、前記検査結果から前記補修内容を推論するための学習済モデルを生成するモデル生成部と、
    を備えることを特徴とする補修内容決定装置。
  13. 前記モデル生成部は、前記き裂の進展抑制効果を向上させる前記補修内容を学習することを特徴とする請求項12に記載の補修内容決定装置。
  14. 前記検査結果は、前記構造物の撮影画像と、前記撮影画像における重力方向を示す方向情報とを含むことを特徴とする請求項1または3から9のいずれか1項に記載の補修内容決定装置。
  15. 構造物の検査対象材料部分に生じたき裂の検査結果に基づいて、前記き裂に対して粒子を含む液体である補修材による補修を行うか否かと、前記補修材による補修を行う場合に、前記補修材を塗布する前に前記き裂内への前処理材の塗布を行うか否かとを示す補修パターンを含む補修内容を決定する判定部と、
    前記判定部が決定した前記補修内容に基づいて、前記き裂の補修を実行する補修部と、
    を備え、
    前記補修部は、
    前記構造物の前記き裂内に前記前処理材を塗布する前処理工程を実行する前処理部と、
    前記前処理工程において塗布された前記前処理材の余剰分を取り除く中処理工程を実行する中処理部と、
    前記き裂に前記補修材を塗布する後処理工程を実行する後処理部と、
    を有することを特徴とする補修装置。
  16. 前記構造物に吸着して前記補修装置の本体を前記構造物に固定する吸着手段と、
    前記構造物に沿って前記本体を移動させるための駆動手段と、
    前記吸着手段による吸着力と、前記駆動手段による駆動量とを制御する制御手段と、
    をさらに備え、
    前記前処理部と、前記中処理部と、前記後処理部とは、前記駆動手段による前記補修装置の移動方向を先頭として、処理順に並んで配置されていることを特徴とする請求項15に記載の補修装置。
  17. 前記中処理部は、前記前処理材を吸引する吸引機構、または、前記前処理材を吸着する工業用油取り紙であることを特徴とする請求項15に記載の補修装置。
  18. 構造物の検査対象材料部分に生じたき裂の検査結果が示す前記き裂の長さ、および、重力方向に対する前記き裂のなす角度並びに、前記き裂に対して粒子を含む液体である補修材による補修を行うか否かと前記補修材による補修を行う場合に前記補修材を塗布する前に前記き裂内への前処理材の塗布を行うか否かとを示す補修パターンを含む補修内容、を含む学習用データを取得する学習用データ取得部と、
    前記学習用データを用いて、前記検査結果から前記補修内容を推論するための学習済モデルを生成するモデル生成部と、
    を備えることを特徴とする学習装置。
  19. 前記検査結果は、前記構造物の撮影画像と、前記撮影画像における重力方向を示す方向情報とを含むことを特徴とする請求項18に記載の学習装置。
  20. 前記モデル生成部は、前記き裂の進展抑制効果を向上させる前記補修内容を学習することを特徴とする請求項18に記載の学習装置。
  21. 構造物の検査対象材料部分に生じたき裂の検査結果として前記構造物の撮影画像と、前記撮影画像における重力方向を示す方向情報とを取得する推論用データ取得部と、
    前記検査結果から前記き裂の補修を行う補修装置の補修内容を推論するための学習済モデルを用いて、前記推論用データ取得部で取得した前記検査結果から前記補修内容を出力する推論部と、
    を備えることを特徴とする推論装置。
  22. 構造物の検査対象材料部分に生じたき裂の検査結果を取得する推論用データ取得部と、
    前記検査結果が示す前記き裂の長さ、および、重力方向に対する前記き裂のなす角度から前記き裂の補修を行う補修装置の補修内容を推論するための学習済モデルを用いて、前記推論用データ取得部で取得した前記検査結果から前記補修内容を出力する推論部と、
    を備えることを特徴とする推論装置。
  23. 構造物の検査対象材料部分に生じたき裂の検査結果検査結果に基づいて、前記き裂に対して粒子を含む液体である補修材による補修を行うか否かと、前記補修材による補修を行う場合に、前記補修材を塗布する前に前記き裂内への前処理材の塗布を行うか否かとを示す補修パターンを含む補修内容を決定する補修内容決定装置と、
    前記補修内容決定装置が決定した前記補修内容に基づいて、前記き裂の補修を行う補修装置と、
    を備え、
    前記補修装置は、
    前記構造物の前記き裂内に前記前処理材を塗布する前処理工程を実行する前処理部と、
    前記前処理工程において塗布された前記前処理材の余剰分を取り除く中処理工程を実行する中処理部と、
    前記き裂に前記補修材を塗布する後処理工程を実行する後処理部と、
    を有することを特徴とする補修内容決定システム。
  24. 構造物の検査対象材料部分に生じたき裂の検査結果を取得するステップと、
    前記検査結果に基づいて、前記き裂に対して粒子を含む液体である補修材による補修を行うか否かと、前記補修材による補修を行う場合に、前記補修材を塗布する前に前記き裂内への前処理材の塗布を行うか否かとを示す補修パターンを含む補修内容を決定するステップと、
    前記補修パターンが、前記補修材による補修を行い、且つ、前記前処理材の塗布を行うことを示す場合に、前記き裂内に前記前処理材を塗布するステップと、
    前記補修パターンが、前記補修材による補修を行い、且つ、前記前処理材の塗布を行うことを示す場合に、塗布された前記前処理材の余剰分を取り除くステップと、
    前記補修パターンが、前記補修材による補修を行うことを示す場合に、前記補修材を前記き裂内に塗布するステップと、
    を含むことを特徴とする補修方法。
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