JP7485735B2 - 機能性チョコレート - Google Patents

Description

本発明は、1種以上のカカオ豆製品と植物抽出物とを含む、消費できる機能性食品に関
する。カカオ豆製品と植物ポリフェノールの組合せは重要な健康上の利益につながる予想
外の相乗作用を有する。これは、限定されることはないが、食後血糖値上昇の低減又は予
防を含む。本発明はまた、ダークチョコレートと同等の抗酸化、抗炎症、抗低酸素及び血
管サポート活性をもつミルクチョコレートにも関する。加えて、本発明は、チョコレート
を副次的な構成要素とする消費製品の栄養価を高める際に発揮される、植物抽出物のポリ
フェノール分子の予想外の相乗作用、バイオアベイラビリティ及び効能について記載する
。また、予想外の相乗作用的な健康上の利益を有する消費製品を作製する方法、及び食後
血糖値の上昇を低減する方法、並びにダークチョコレートと同等の抗酸化、抗炎症、抗低
酸素及び血管サポート活性を有するミルクチョコレートの作り方についても記載される。

チョコレートは米国において1000億ドル産業であり、消費者に最も人気がある広範ない
くつかの製品に関わっている。西洋だけで6億を超える人々がこれらの製品を消費する。
これらの人々の85%がミルクチョコレート(即ち、50%未満のココア固形分を有するチョコ
レート製品)を好む。幾らかの有益な栄養物を含有してはいるが、医学界で全体的に一致
した意見は、ミルクチョコレートは、何らかの健康価値をもたらす以上に、より多くの危
害を引き起こし得るというものである。これは、その質量のほぼ半分が遊離の糖であると
いう事実に起因しており、これは、メタボリックシンドローム、糖尿病及び肥満の主要な
原因の1つであると考えられている。このことは特に、そのココア含有量に関係なくミル
クチョコレートに当てはまる。ダークチョコレートは、含有する糖がより少ないだけでな
く、ポリフェノールをより多く含有するので、より健康的であり、ポリフェノールは、他
の有益な性質とは別に、腸内におけるブドウ糖の吸収を妨げ、インスリンの機能を支え、
消費したブドウ糖のより効率的な利用を促進し、より有益な食後ブドウ糖のプロファイル
をもたらすことができる。ダークチョコレートはカテキン及びエピカテキンを含んでおり
、これらは心血管系、ミトコンドリア代謝及び上皮代謝に対して有益な効果を有すること
が報告されている。

trans-レスベラトロール(3,5,4'-トリヒドロキシ-trans-スチルベン)(t-RSV)はスチル
ベノイドであり、生物ストレスに応答して多数の植物により天然に産生される一種のフェ
ノールである。t-RSVは一般に赤ブドウ、ある種のベリー、ココア及びナッツに存在して
いる。心臓保護(例えば、参照により本明細書に組み込まれるDolinsky et al. (2011), B
onnefont-Rousselot D et al., (2016) and Bavaresco L et al.(2016)参照)から抗糖尿
病まで、t-RSVの多くの有益な健康効果が報告されている。しかしながら、その魅力的な
特性の1つは一群のSIRT(Sirtuin)遺伝子を活性化する能力である。これらの遺伝子は細胞
ストレス保護及び長寿の制御を担っている。

t-RSVは、食品の一部として、又は殆んどのサプリメント形態での単離された抽出物と
して消費されると、消化管で直ぐに修飾され不活性化される。赤ワインを飲むことは、t-
RSVが、未修飾の活性形態で検出可能なレベルで血液に到達することができる、唯一知ら
れた例外である。

したがって、最初に、チョコレート、特にミルクチョコレートの消費に関係する健康関
連事項を減らす必要がある。例えば、チョコレートの消費後に観察されるブドウ糖レベル
の上昇を低減する必要がある。また、チョコレートの消費により付加的な健康上の利益が
得られれば更により望ましいであろう。例えば、活性なt-RSVの供給源として赤ワインに
代わる手段を提供することができれば望ましいであろう。本発明はこれらのニーズに取り
組むものである。

本発明はまた、ダークチョコレートと同等のプロファイルを有し、ダークチョコレート
中のレベル以上のレベルで存在するエピカテキンを有する新しい機能性のミルクチョコレ
ートも提示する。また、食後ブドウ糖低減における利益が観察され、エピカテキンバイオ
アベイラビリティを達成し、且つ酸化ストレス、炎症及び低酸素症のバイオマーカーにお
いてダークチョコレートと同等以上のエピカテキン関連変化が観察されるには、上記ポリ
フェノール抽出物に由来するポリフェノールは適正な記載されたやり方でチョコレート母
材に組み込まれる必要があることも示される。

ミルクチョコレートを楽しむことはダークチョコレートよりずっと広範囲の消費者に訴
えるので、この新しい機能性の消費製品は、ずっと広範な市場範囲、より高いコンプライ
アンスを有し、またミルクチョコレートはダークチョコレートより安価であるので、より
手ごろな価格を有しており、その感覚刺激の性質はダークチョコレートよりミルクチョコ
レートとより近い。

加えて、本発明の核心は、チョコレートが副次的な構成要素である食品を含め、消費物
品の栄養価を高めるために使用されたときの植物抽出物のポリフェノール分子のバイオア
ベイラビリティ及び効能における予想外の相乗作用である。

本発明の第1の態様に従って、1種以上のカカオ豆製品とポリフェノールに富む植物抽出
物とを含む消費物品であって、1～20%、好ましくは3～15%、より好ましくは5～10%又は9
～11%の植物抽出物を含む消費物品が提供される。好ましくは、抽出物は軟らかい固体で
、乾燥してなく、遊離の水を含まない、ポリフェノールに富む植物抽出物である。したが
って、一実施形態において、抽出物は遊離の水を含まず、乾燥粉末ではない。好ましい実
施形態において、抽出物は半固体の状態にある。

一実施形態において、上記カカオ豆製品は10～50%、より好ましくは15～40%のココアバ
ター及び/又はココア固形分を含み、上記消費物品は製品全体で1～20重量%、好ましくは3
～15重量%、より好ましくは5～10重量%又は3～6重量%のポリフェノールに富む植物抽出物
を含む。好ましくは、上記製品は製品全体の37重量%のココアバター及び/又はココア固形
分及び任意で約5重量%のポリフェノールに富む植物抽出物を含む。或いは、上記製品は20
%又は25%のココア固形分を含む。更なる実施形態において、カカオ豆製品は少なくとも10
%のココアリカー及び/又は少なくとも10%のココアバター及び/又は少なくとも25%のココ
ア固形分を含む。一実施形態において、カカオ豆製品はミルクチョコレート、ホワイトチ
ョコレート又はダークチョコレートである。

代わりの実施形態において、上記消費物品は製品全体で9～11重量%のポリフェノールに
富む植物抽出物を含む。好ましくは、上記消費物品は製品全体で約10重量%のポリフェノ
ールに富む植物抽出物を含む。好ましくは、上記カカオ豆製品は少なくとも50%、より好
ましくは50～99%のココアバター及び/又はココア固形分を含む。

一実施形態において、ポリフェノールは両親媒性及び/又は疎水性のポリフェノールで
ある。好ましくは、ポリフェノールはスチルベノイド、カテキン、エピカテキン、ガロカ
テキン、アントシアニン、アントシアニジン、クルクミン、フラボン、フラバノール、フ
ラバノン、イソフラボン、カルコン、フェノール酸及びリグナンを含む群から選択される
。より好ましくは、ポリフェノールはスチルベノイド、アントシアニン、カテキン及び/
又はエピカテキンから選択される。好ましくは、スチルベノイドはレスベラトロールであ
り、より好ましくはtrans-レスベラトロール(t-RSV)である。

一実施形態において、植物抽出物はベリー、果実、ブドウ、ナッツ、野菜及び穀物を含
む群のうちの少なくとも1つであるか、又はそれ由来である。好ましくは、ベリーはアロ
ニア(又はチョークベリー)、ローワンベリー、ビルベリー、ブルーベリー、クランベリー
、ブラックカラント、レッドカラント、チェリー、アサイー、リンゴ、メギ、シーバック
ソーン及びブラックベリーを含む群から選択される。より好ましくは、ベリーはアロニア
であり、果実はバオバブフルーツであり、穀物はソバ、又はファゴラムファミリー（Fago
rum family）植物の他のもの、オオムギ、ワイルドライス若しくは黒米である。

一実施形態において、消費物品はカロテノイド、必須脂肪酸、ビタミン、乳漿タンパク
質プレバイオティクス、プロバイオティクス又はペプチド、アミノ酸、ミネラルを含む群
から選択される1種以上の追加の物質を含む。好ましくは、カロテノイドはリコピンであ
る。特定の実施形態において、消費物品は0.05～0.30%のリコピン、より好ましくは0.05
～0.20%のリコピン、更により好ましくは0.05～0.10%のリコピン、最も好ましくは0.07%
のリコピンを含む。

一実施形態において、消費物品は細菌及び/又は真菌の発酵の抽出物又は産物を更に含
む。

更なる実施形態において、カカオ豆製品はココアバター及び/又はココアリカー及び/又
はココアパウダーである。

別の実施形態において、カカオ豆製品はチョコレートであり、したがって、消費物品は
チョコレートである。好ましい実施形態において、チョコレートはミルクチョコレートで
あり、消費物品は製品全体の5重量%のアロニアポリフェノールに富む抽出物を含む。より
好ましくは、消費物品は製品全体の0.07重量%のリコピンを更に含む。或いは、チョコレ
ートはダークチョコレートであり、消費物品は製品全体の重量の10%のアロニア抽出物を
含む。好ましくは、消費物品は製品全体の0.07重量%のリコピンを更に含む。

本発明の別の側面において1種以上のカカオ豆製品及びポリフェノールに富む植物抽出
物を含む消費物品であって、ポリフェノール-カカオ豆製品結晶のクラスターを含む消費
物品が提供される。好ましくは、上記製品は少なくとも50%のポリフェノール-カカオ豆製
品の小さい結晶のクラスター、及び/又は最大で20%のポリフェノール-カカオ豆製品の大
きい結晶クラスターを含む。

本発明の別の側面は、その抽出物のポリフェノール分子のバイオアベイラビリティ及び
効能において予想外の相乗効果をもたらす、ポリフェノールに富む植物抽出物で栄養価強
化された、チョコレートを副次的な構成要素とする消費物品である。。

一実施形態において、植物抽出物はアロニア抽出物である。別の実施形態において、消
費物品はチョコレートである。

別の態様において、抗酸化性、抗炎症、抗低酸素性、血管サポート及び/又はその他の
健康上の利益を有する消費物品を製造する方法であって、カカオ豆製品をポリフェノール
に富む植物抽出物と組み合わせることを含む方法が提供される。また、食後ブドウ糖レベ
ルの上昇を低減することができる消費物品を製造する方法であって、カカオ豆製品をポリ
フェノールに富む植物抽出物と組み合わせることを含み、好ましくは上記消費物品がチョ
コレートである方法も提供される。一実施形態において、未処理製品と比較したとき、食
後ブドウ糖レベルの上昇を低減させる消費物品を製造する方法が提供される。

更なる側面において、食後血糖値上昇を予防又は低減する方法であって、本明細書に記
載されている消費物品を、それを必要とする消費者又は患者に投与することを含む方法が
提供される。一実施形態において、チョコレート、チョコレートスプレッド並びにチョコ
レートとヘーゼルナッツのスプレッドを含有する製品の消費後、食後血糖値の上昇が低減
される。

別の側面において、カカオ豆製品及び植物ポリフェノールの、限定はされないが、抗酸
化、抗炎症、免疫系調節、視力サポート、抗低酸素及び血管サポート活性を含む、健康に
有益な特性又は健康上の利益を相乗的に増大する方法であって、本明細書に記載されてい
るようにカカオ豆製品をポリフェノールに富む植物抽出物と組み合わせることを含む方法
が提供される。

更に別の側面において、血清中のレスベラトロール、カテキン及び別のポリフェノール
のうちの少なくとも1つのレベルを増大する方法であって、本明細書に記載されている消
費物品を、それを必要とする消費者又は患者に投与することを含む方法が提供される。一
実施形態において、血清中のエピカテキンのレベルを増大する方法であって、消費物品を
、それを必要とする消費者又は患者に投与することを含む方法が提供される。好ましくは
、消費物品はミルクチョコレートである。好ましくは、レスベラトロール、カテキン及び
別のポリフェノールのレベルは、(同一重量の)(標準的な、未修飾の)ミルクチョコレート
若しくはダークチョコレートで観察される、又は同じ量のカカオ豆製品を含む消費物品(
例えば、チョコレート又はチョコレート/ヘーゼルナッツスプレッドの10-15g分量)の摂取
後に観察されるレベル以上のレベルに増大する。別の実施形態において、血清中のレスベ
ラトロール、好ましくはt-RSVを増大する方法であって、消費物品を、それを必要とする
消費者又は患者に投与することを含む方法が提供される。

更なる側面において、ポリフェノールの食事補給、好ましくは毎日の補給を提供する方
法であって、本明細書に記載されている消費物品を、それを必要とする消費者又は患者に
投与することを含む、方法が提供される。

別の側面において、メタボリックシンドローム、糖尿病、炎症性疾患、アテローム性動
脈硬化症、癌、眼疾患、皮膚の老化、細菌性及びウィルス性の感染、及び他の組織、並び
に心臓血管系、神経系、骨格筋系及び肝臓のうちの少なくとも1つの病態、並びに認識機
能障害及び治癒過程障害を含む群から選択される障害の治療及び/又は予防のための方法
であって、本明細書に記載されている消費物品を、それを必要とする患者に投与すること
を含む方法が提供される。

更なる側面において、医薬として使用するための本明細書に定義されている消費物品が
提供される。

別の側面において、メタボリックシンドローム、糖尿病、炎症性疾患、アテローム性動
脈硬化症、癌、眼疾患、皮膚の老化、細菌性及びウィルス性の感染症、及び他の組織、並
びに心臓血管系、神経系、骨格筋系及び肝臓のうちの少なくとも1つの病態、並びに認識
機能障害及び治癒過程障害から選択される障害の治療及び/又は予防において使用するた
めの本明細書に定義されている消費物品が提供される。

本発明の最終の側面において、ポリフェノールの栄養補助食品を提供するための本明細
書で定義される消費物品の使用が提供される。好ましくは上記消費物品はポリフェノール
の栄養補助食品を提供する。より好ましくは、上記消費物品は、それを必要とする消費者
に好ましくは毎日投与される。

本発明は以下の非限定的な図に更に説明される。

アロニア及びダークチョコレートのカテキンプロファイルの比較を示す図である。

プロトタイプとして使用したミルクチョコレート及びダークチョコレートのイメージ並びにその成分を示す図である。

ブルーベリーアントシアニン及びリコピンが埋め込まれたチョコレートの結晶(本明細書では「ポリ-フェノール-カカオ豆製品結晶」とも言う)を示す図である。A: ホワイトチョコレート中の500mgブルーベリー抽出物+7mgリコピン; B: ミルクチョコレート中の500mgブルーベリー抽出物+7mgリコピン; C: ダークチョコレート中の500mgブルーベリー抽出物+7mgリコピン。

85%ココア+500mgアロニア抽出物の結晶(ポリ-フェノール-カカオ豆製品結晶)を示す図である。A-小さいクラスター(又は小さいポリ-フェノール-カカオ豆製品結晶):< 40μm; B- 中サイズのクラスター(又は中サイズのポリ-フェノール-カカオ豆製品結晶): 40-120μm; 及びC - 大きなクラスター(又は大きなポリ-フェノール-カカオ豆製品結晶): > 120μm。

アロニア抽出物のダークチョコレート母材への埋め込みの2つのバッチA及びBの顕微鏡像を示す図である。

アロニア及びコカポリフェノール共結晶化を伴うミルクチョコレートによるエピカテキン代謝産物の相乗的増強の一例を示す図である。特にこの図は、クロスオーバー臨床研究における、機能性のミルクチョコレート(即ち本明細書に記載されている消費物品; ココア37%)と伝統的なダークチョコレート(ココア50%)のエピカテキン代謝産物の薬物動態の比較を示している。縦軸は参加者の血清中の代謝産物の濃度であり、横軸はチョコレートサンプルの摂取後の時間である。赤-Lycotec機能性ミルクチョコレート; 青- ダークチョコレート。「CAT」は「カテキン」（あるいは実際にはエピカテキン）の合計濃度である。

以下、本発明を更に説明する。以下の説明で、本発明の様々な側面がより詳細に定義さ
れる。そのように定義される各側面は、明らかに相反して示されない限り、他の1つ以上
の任意の側面と組み合わされてもよい。特に、好ましい又は有利であると示されている特
徴はどれでも、好ましい又は有利であると示されている任意の1つ以上の他の特徴と組み
合わせることができる。

本発明は、特定の植物抽出物が予想外に高いレベルのポリフェノール、特に、アントシ
アニン、カテキン及びエピカテキンのようなフラバノール(フラバン-3-オール)、並びに
レスベラトロールのようなスチルベノイドを有し、さらに、驚くべきことにこれらの抽出
物がチョコレートのようなカカオ豆製品とうまく組み合わされて、多くの顕著な健康上の
利益を提供することができるという予想外の知見に関する。特に、カカオ豆製品並びにカ
テキン及びエピカテキンのようなアントシアニン及び/又はフラバノールに富む植物抽出
物を含む消費物品は、食後血糖値の上昇を低減又は予防するのに使用することができ、ま
た血清中のカテキン及び/又はエピカテキンのレベルを、カカオ豆製品を単独で消費した
後に観察されるであろうレベルを超えて上昇させることもできるということが判明した。
特に注目すべきは、驚くべきことに、果実のエピカテキンに富む抽出物をミルクチョコレ
ートに加えると(以下の製品工程に記載される)、同じ量で消費したとき、ダークチョコレ
ートと同等以上の高いエピカテキン食後レベル及び生物活性を有するミルクチョコレート
が作られるということが判明したことである。また、カカオ豆製品及びレスベラトロール
のようなスチルベノイドに富む植物抽出物を含む消費物品を使用して、血清中のレスベラ
トロールのレベルを、カカオ豆製品若しくは植物抽出物を単独のどちらか一方、又は別々
のものとして組み合わせて消費した後に観察されるであろうレベルを超えて上昇させるこ
とができるということも判明した。言い換えると、レスベラトロールに富む植物抽出物の
カカオ豆製品への添加は、血清レスベラトロールレベルに対して相乗効果を有する。

ダークチョコレートは健康的であり健康上の利益をもたらすとして一般的に知られてい
る。ダークチョコレートの主要な利益はその高いココア固形分含有率に由来する。ココア
(特にココア固形分)は高レベルのポリフェノールを含有しており、そのうち最も活性で健
康上有益なのはカテキン及びエピカテキンである。しかしながら、ダークチョコレートは
、その健康上の利益にもかかわらず、主に次の理由からミルクチョコレートより少ない量
が売られている。
1. 高い価格; ココアは高価であり、その価格は過去10年間で大幅に上昇した;
2. 味覚; テオブロミン、ある種のポリフェノール及びタンニンが、ココア固形分の高い
ダークチョコレートの苦い味の原因である。さらに、ココアは、ポリフェノールとは別に
、必ずしも良い味ではなく時には副作用を引き起こす可能性がある他の活性な化合物を保
有している。即ち、テオブロミンは頭痛の原因となる可能性があり、カフェインは睡眠障
害及び心血管障害の原因となる可能性があり、ヒスタミンは免疫学的/アレルギー感受性
及び炎症様状態に寄与する可能性がある。

また、上記要因のため、ダークチョコレートは、チョコレート使用者の大きな割合を占
める子供達には勧められないし、好まれもよろこばれもされない。実際、世界市場はミル
クチョコレートが優勢であり、市場規模の85%を占めている。しかしながら、ミルクチョ
コレートは次の理由からダークチョコレートの健康上の利益を有していない:
1. より低いレベルのココア固形分(ダークチョコレートの50-90%に対し殆んどの製品では
20-35%);
2. 加えてミルクは腸内のポリフェノールの吸収に影響する;
3. ミルクチョコレートはダークチョコレートより多くの糖を含有しており、食後ブドウ
糖ピークを引き起こす。

それでいて、ミルクチョコレートはダークチョコレートを超える2つの主要な商業上の
利点を有する; 大人と子供の両方から求められるより良い味を有し、ダークチョコレート
よりずっと安価であることから、手ごろな価格となることである。

本明細書に記載されているように、本発明は、消費後のエピカテキン血中レベル(並び
に食後ブドウ糖レベル)に関してダークチョコレートと同等(又は実際にはそれ以上)であ
るミルクチョコレートを提供する。特に、以下について提供される。

・果実由来のポリフェノール、特にココア及びダークチョコレートと同等のエピカテキン
効能プロファイルを有するカテキンを増強した、ミルクチョコレート。また、ダークチョ
コレートと同等で、普通のミルクチョコレートより顕著に良好な食後ブドウ糖プロファイ
ル(即ちより低い食後ブドウ糖ピーク)を有するミルクチョコレートについても記載される
。

・特に血液、組織及びリポタンパク質に対する抗酸化効果に関して、ダークチョコレート
と同等及びより良好な生物活性を有するミルクチョコレート。また、組織の酸素負荷を改
善し、低酸素症を低減するミルクチョコレートについても記載される。

・RSVを含む果実由来抽出物で増強したミルクチョコレート及びダークチョコレート。新
しい予想外の知見は、ダークチョコレート及びミルクチョコレートの現在記載されている
形態で消化されたRSVが、非チョコレート形式で投与されたときより著しいバイオアベイ
ラビリティを有することを示している。

・ポリフェノール(例えばエピカテキン)含量、バイオアベイラビリティ、生物活性及びブ
ドウ糖プロファイルに関してダークチョコレートと同等であるが、ダークチョコレートの
副作用及び不都合な点、即ち、コスト、副作用や子供達の使用制限、苦い味がないミルク
チョコレート。

・ポリフェノールのバイオアベイラビリティを増強し、普通のチョコレートより優れた食
後ポリフェノール血中レベルを有する新しいミルクチョコレート及びダークチョコレート
。

・食後ブドウ糖ピークを低減させる新しいミルクチョコレート及びダークチョコレート。

・バイオアベイラブルなアントシアニンを含む新しいミルクチョコレート及びダークチョ
コレート。

・任意のチョコレート及び菓子のチョコレートを含む製品の製造に使用することができる
新しいミルクチョコレート及びダークチョコレートのプレミックス。

・SIRTダイエットの消費者ニーズに対処する新しいダークレスベラトロールチョコレート
- 例えば、本発明は10-20gの板チョコの形態において赤ワイン（レスベラトロール）とダ
ークチョコレート(エピカテキン)の利益を提供する。

・レスベラトロール、アントシアニン及びエピカテキンの食後血中レベルを普通のダーク
チョコレート、特にミルクチョコレートでは達成できないレベルに増大することが確認さ
れているミルクチョコレート及びダークチョコレート。

・心臓血管、認知、酸化ストレス、皮膚美容、アンチエイジング、メタボリックシンドロ
ーム、肥満、糖尿病前症、筋委縮症(サルコペニア)、スポーツ(能力、持久力、回復)のよ
うな健康保護及び疾患予防特性を有するチョコレートベースの菓子。

本発明は以下により可能となる。
>ポリフェノールを含む結晶の形成を引き起こすチョコレートテンパリングの新しい最適
化された方法であって、埋め込まれたポリフェノールのバイオアベイラビリティを改善す
る方法;
>結晶のサイズ及び数に関する結晶評価の方法;
>軟らかい固体で、乾燥してなく、遊離の水を含まない、最適な粘度及びレオロジーパラ
メーターのヒドロゲルの形成を引き起こす果実抽出物の濃縮方法;
>チョコレート埋め込みに最適な抽出濃縮物のヒドロゲル形態。普通の液体抽出物は水分
含有のためにうまくいかず、乾燥抽出物は味覚/粘度/滑らかさ/融解パラメーターのため
にうまくいかない(口中で溶ける体験はチョコレートの品質認識及び顧客満足にとって極
めて重要である);
>ココア及びダークチョコレートのプロファイルと同等のエピカテキンプロファイルを有
する果実の軟らかい固体で、乾燥してなく、遊離の水を含まない抽出物;
>持続する触知できる食感、滑らかさ、味、溶ける特性を引き起こす、上記軟らかい固体
で、乾燥してなく、遊離の水を含まないヒドロゲル抽出濃縮物のチョコレート母材への組
み込み方法及び結晶形成に通じる適当なテンパリング工程;
>本消費物品及び基準製品のエピカテキン、RSV及び生物活性の薬物動態を評価する広範な
データ;
>ブドウ糖の細胞-輸送系を阻害するポリフェノール作用(例えばJohnston et al., (2005)
に記載されているような)によると考えられる、腸内における糖/ブドウ糖吸収の効果的な
阻害;
>本明細書に記載されているチョコレートに埋め込まれたときの果実ポリフェノールのバ
イオアベイラビリティ及び生物活性の強化の予想外の効果(コントロールである通常の抽
出物に対して確認された)

本発明の1つの態様において、1種以上のカカオ豆製品及びポリフェノールに富む植物抽
出物を含む消費物品が提供される。一実施形態において、カカオ豆製品はチョコレートで
ある。したがって、一実施形態において、消費物品はチョコレートである(用語「本発明
のチョコレート」も使用され、本明細書に記載されている植物ポリフェノールで補足され
たチョコレートを指す)。或いは、消費物品はチョコレート及び本明細書に記載されてい
る植物ポリフェノールを含み得る。言い換えると、消費物品は成分としてチョコレートを
含有してもよいが、消費物品は、例えばチョコバーではない。

一実施形態において、消費物品は少なくとも1重量%、少なくとも2重量%、少なくとも3
重量%、少なくとも4重量%、少なくとも5重量%又は少なくとも10重量%、15重量%、20重量%
、25重量%、30重量%、35重量%、40重量%、45重量%、50重量%、55重量%、60重量%、65重量
%、70重量%、75重量%、80重量%、85重量%、90重量%若しくは95重量%のカカオ豆製品を含
む。驚くべきことに、消費物品が上記の健康上の利益を有するためには、非常に小さい割
合だけのカカオ豆製品が消費物品に必要とされ、特に消費物品がダークチョコレートと同
じ健康上の利益を有するためには、小さい割合だけのカカオ豆製品が必要とされることが
確認された。

一実施形態において、カカオ豆製品はチョコレートである。

別の実施形態において、消費物品は少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少な
くとも4%、少なくとも5%又は少なくとも7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40
%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%若しくは95%のチョコレートを含
む。

一実施形態において、カカオ豆製品及び少なくとも1つのポリフェノールに富む植物抽
出物を含む消費物品であって、上記カカオ豆製品が製品全体の15～40重量%のココアバタ
ー及び/又はココア固形分を含み、上記消費物品が製品全体の1～20重量%のポリフェノー
ルに富む植物抽出物、より好ましくは3～10重量%、更により好ましくは3～6重量%又は5～
10重量%のポリフェノールに富む植物抽出物を含む、消費物品が提供される。好ましくは
、カカオ豆製品は製品全体の37重量%のココアバター及び/又はココア固形分並びに約5重
量%のポリフェノールに富む植物抽出物を含む。更なる実施形態において、消費物品は、2
0%若しくは25%のココア固形分又は10%のココアリカーを含む。

更なる実施形態において、チョコレート及び製品全体の1～20重量%のポリフェノールに
富む植物抽出物、より好ましくは3～10重量%、更により好ましくは3～6重量%のポリフェ
ノールに富む植物抽出物を含む消費物品が提供される。好ましくは、チョコレートはミル
クチョコレート、ダークチョコレート又はホワイトチョコレートであり、より好ましくは
ミルクチョコレートである。

別の実施形態において、チョコレート及び製品全体の1～20重量%のポリフェノールに富
む植物抽出物、より好ましくは3～10重量%、更により好ましくは5～10重量%のポリフェノ
ールに富む植物抽出物を含む消費物品が提供される。好ましくは、チョコレートはミルク
チョコレート、ダークチョコレート又はホワイトチョコレートであり、より好ましくはホ
ワイトチョコレートである。

別の実施形態において、1種以上のカカオ豆製品及び少なくとも1つのポリフェノールに
富む植物抽出物を含む消費物品であって、上記消費物品は、製品全体の9～11重量%のポリ
フェノールに富む植物抽出物を含む、消費物品が提供される。好ましくは上記消費物品は
製品全体の重量の約10重量%のポリフェノールに富む植物抽出物を含む。より好ましくは
、上記カカオ豆製品は50～99%のココアバター及び/又はココア固形分を含む。したがって
、更なる実施形態において、チョコレート及び製品全体の9～11重量%のポリフェノールに
富む植物抽出物を含む消費物品が提供される。好ましくは、チョコレートはミルクチョコ
レート、ダークチョコレート又はホワイトチョコレートであり、より好ましくはダークチ
ョコレートである。

例えば、消費物品は、ポリフェノールに富む植物抽出物を、消費物品1グラムに付き1～
1000mg、例えば、消費物品1グラムに付き10～200mg、又はより好ましくは50～100mg含み
得る。

一実施形態において、本発明の製品は、一般的に、血糖値の食後上昇を低減するのに有
効な量である、有効量のポリフェノールに富む植物抽出物を提供する。したがって、一実
施形態において、本明細書に記載の消費物品が提供され、上記物品は血中ブドウ糖値の食
後上昇を予防又は低減することができる。

別の実施形態において、本発明の製品は、一般的に、血清中のレスベラトロールのよう
なスチルベノイドのレベルを増大するのに有効な量である、有効量のポリフェノールに富
む植物抽出物を提供する。したがって、一実施形態において、本明細書に記載の消費物品
が提供され、上記物品は血清中のレスベラトロールのようなスチルベノイドのレベルを増
大することができる。更なる実施形態において、本発明の製品はまた、一般的に、血清中
のカテキン及び/又はエピカテキン及び/又は他のポリフェノールのレベルを増大するのに
有効な量である有効量のポリフェノールに富む植物抽出物も提供する。したがって、一実
施形態において、本明細書に記載の消費物品が提供され、上記物品は血清中のカテキン及
び/又はエピカテキン及び/又は他のポリフェノールのレベルを増大することができる、。

消費物品は、カカオ豆製品及びポリフェノールに富む植物抽出物を含有する均質な母材
を含み得る。一実施形態において、カカオ豆製品及びポリフェノールに富む植物抽出物は
チョコレート又はココアバター母材中に一緒にブレンドしてもよい。

カカオ豆製品は、カカオ豆(即ち、カカオノキ(Theobroma cacao)の豆)の抽出物、画分
又は単離物を含む製品である。適切なカカオ豆製品は当技術分野で周知であり、ココア固
形分、ココアリカー及び/又はココアバターを含む。例えば、カカオ豆製品はココア固形
分、ココアリカー及び/又はココアバターのうちの1つ以上を含み得る。時には、カカオ豆
製品はカカオニブ又はその断片、チョコレートリカー、一部及び完全に脱脂したココア固
形分(例えばココアパウダー)、ココア抽出物又はその画分であり得る。

ココア固形分(ココアパウダーとしても知られている)は、フラバノール、フラバノイド
、カフェイン及びテオブロミンを含む、カカオ豆の低脂肪抽出物である。ココア固形分は
、カカオ豆から脂肪成分(ココアバター)を除去し、殻を除く残りの材料を、Bromaプロセ
ッシングのような当技術分野で周知の技術を用いて粉末に粉砕することによって生産する
ことができる。幾つかの実施形態において、ココアパウダーは、炭酸カリウムのようなア
ルカリ性の物質で処理して酸性度を低減させ、色を暗くしてもよい(Dutchプロセッシング
)。

ココアバターは、ステアリン酸、パルミチン酸及びその他の飽和脂肪が多いカカオ豆の
高脂肪抽出物である。ココアバターは、カカオ豆全体又は粉砕したカカオ豆から当技術分
野で周知の技術を用いて生産し得る。

ココアリカーはココア固形分とココアバターの両方を含むカカオ豆抽出物である。ココ
アリカーは、当技術分野で周知の技術に従ってカカオ豆ニブ(芯)を粉砕し滑らかな液体状
態に融解することによって生産し得る。チョコレートリカーは非ココア植物性脂肪を含有
せず、「チョコレート」、「甘味を加えてないチョコレート」、「料理用チョコレート」
、又は「ビターチョコレート」と呼ばれ得る。

他の実施形態において、カカオ豆製品はカカオ豆抽出物、単離物又は画分の誘導体又は
発酵産物を含み得る。

好ましくは、カカオ豆製品はココアバター; ココア固形分; 又はココアバターとココア
固形分の両方を含む。一実施形態において、カカオ豆製品はチョコレートである。

例えば、カカオ豆製品は少なくとも1重量%、少なくとも10重量%、少なくとも15重量%、
少なくとも20重量%、少なくとも25重量%若しくは少なくとも30%、又は少なくとも40重量%
のココアバターを含み得る。カカオ豆製品は上記値の任意の2つを端点として含む範囲の
量のココアバターを含み得る。

幾つかの実施形態において、カカオ豆製品又は消費物品は、ココアバターに加えて植物
性又は動物性脂肪のような非ココア脂肪を更に含んでいてもよい。

幾つかの実施形態において、カカオ豆製品はココアバターを欠いていてもよい。例えば
、消費物品はココアバターの代わりに動物性又は非ココア植物性脂肪を含み得る。非ココ
ア植物性脂肪は植物油を含み得る。パーム油、大豆油 菜種油及びオリーブ油のような適
切な植物油は当技術分野で周知である。

本明細書に記載されているカカオ豆製品の総脂肪含有量は少なくとも10乾燥重量%、少
なくとも15乾燥重量%、少なくとも20乾燥重量%、少なくとも25乾燥重量%、少なくとも30
乾燥重量%若しくは少なくとも35乾燥重量%又は少なくとも40乾燥重量%であり得る。脂肪
含有量は、例えば、任意の2つの上記値を端点として含む範囲にあり得る。

それに加えて又はそれに代えて、カカオ豆製品は少なくとも1重量%、2重量%、3重量%、
4重量%若しくは5重量%、又は少なくとも15重量%、少なくとも20重量%、少なくとも25重量
%、少なくとも30乾燥重量%又は少なくとも35重量%、又は少なくとも40重量%の乾燥ココア
固形分を含有し得る。時には、ココア固形分の量は、特に食料品がダークチョコレートで
あるとき、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも75重量%、少なくとも80
重量%、少なくとも85重量%、少なくとも90重量%又は更に少なくとも95重量%の乾燥ココア
固形分であり得る。乾燥ココア固形分の重量の量は、例えば、それらの値の任意の2つを
端点として含む範囲にあり得る。

幾つかの実施形態において、消費物品はココア固形分を欠いていてもよい。

疑問を避けるため、本発明の側面は、ココア固形分、ココアバター及び総脂肪の上記パ
ラメーターのあらゆる組合せを含むカカオ豆製品を提供する。

幾つかの実施形態において、カカオ豆製品はチョコレート母材を形成し得る。ポリフェ
ノールに富む植物抽出物は、ブレンド又は混合することによってチョコレート母材中に組
み込むことができる。ゆえに、一実施形態において、チョコレート及びポリフェノールに
富む植物抽出物を含む消費物品が提供される。この実施形態において、カカオ豆製品はチ
ョコレートである。

カカオ豆製品を含む消費物品はいずれも、本明細書に記載のポリフェノールに富む植物
抽出物で補足され得る。一実施形態において、消費物品は食品（food）である。例えば、
消費物品は食品（foodstuff）であり得る。別の実施形態において、消費物品は飲料であ
る。或いは、消費物品は栄養補助食品又は機能性食品であり得る。

食料品製品は、パン、小麦粉、シリアル、ビスケット、ペストリー、並びにチーズスプ
レッド、チーズ、クリーム及びヨーグルトのような乳製品、並びに詰め物、ペースト、ソ
ース及びムース、並びに、チョコレートスプレッド、アーモンドスプレッド及びチョコレ
ートとヘーゼルナッツのスプレッド(例えばNutella)、チョコレートプラリネを含む。他
の適切な食品は当技術分野で周知である。一実施形態において、食品はカカオ豆製品を微
量又は少量だけ含んでいてもよく、好ましくは植物油及び/又は粉砕ヘーゼルナッツ果肉
を含み得る。

幾つかの好ましい実施形態において、食料品製品はチョコレート又はチョコレート様製
品のような菓子製品を含み得る。特に本発明の好ましい実施形態は、本明細書に記載のポ
リフェノールに富む植物抽出物を含むチョコレートを提供する。この実施形態において、
消費物品はチョコレートである。

チョコレートはダークチョコレート、ミルクチョコレート、又はホワイトチョコレート
を含み得る。

1つの好ましい例において、本発明の食品は、チョコバー、例えば本明細書で述べられ
ているポリフェノールに富む植物抽出物を含むダークチョコバー、ホワイトチョコバー又
はミルクチョコバーであってよい。バー中のポリフェノールに富む植物抽出物の量は、例
えば、本明細書で特定されている植物抽出物の量のいずれでもよい。ゆえに、本発明の別
の側面において、本明細書に記載のポリフェノールに富む植物抽出物を含むチョコバーが
提供される。一実施形態において、チョコレートはホワイトチョコレート、ミルクチョコ
レート又はダークチョコレートであり得る。

したがって、一実施形態において、10gのミルクチョコレート及び3～6%のアロニア抽出
物を含むチョコバーが提供される。別の実施形態において、10gのダークチョコレート及
び9～11%のアロニア抽出物を含むチョコバーが提供される。

ダークチョコレート、ミルクチョコレート及びホワイトチョコレートは、定義された同
一性規格の対象となっている(例えば、Food and Drug Administration (USA), EU and Fo
od Standards Agency (UK)による; 例えば、EU指針2000/36/EC; FDA 21 CFR Part 163 Fe
deral Register: 2002 67 193 62171 -62178参照)。一例において、本発明の組成物は同
一性規格(SOI)のチョコレートであり得、他においては非SOIチョコレートである。

ダークチョコレート、ミルクチョコレート、ホワイトチョコレート又は他の形態のチョ
コレートの成分は当技術分野で周知である。

例えば、ダークチョコレートは一般的に、ココアバター(例えば少なくとも12重量%)、
ココア固形分(例えば少なくとも35重量%又は少なくとも50重量%)、及び任意でバニラを含
む。

脂肪含有量は変化し得るが、平均は30%～35%である。ダークチョコレートはときにスイ
ートチョコレート又はセミスイートチョコレートと呼ばれる。一実施形態において、ダー
クチョコレートは少なくとも50%のココア固形分を含む。

ミルクチョコレートは糖、ココアバター、ココア固形分、バニラ又は他の香味料、及び
ミルク、粉ミルク又はクリームを含み得る。ミルクチョコレートは、一般的に少なくとも
20重量%又は少なくとも25重量%のココア固形分及び/又は少なくとも12重量%の乳固形分を
含む。一実施形態において、ミルクチョコレートは、チョコレートリカーを少なくとも10
%含み、それはココア固形分と脂肪(例えばバター)の混合物である。別の実施形態におい
て、ミルクチョコレートは少なくとも20%のココア固形分を含む。更なる実施形態におい
て、ミルクチョコレートは少なくとも25%のココア固形分を含む。

ホワイトチョコレートは糖、ココアバター、ミルク又は粉ミルク、及びバニラを含み得
、ココア固形分を欠く。ホワイトチョコレートは、一般的に少なくとも20%のココアバタ
ー、14%の総乳固形分、及び55%未満の糖を含む。

一実施形態において、カカオ豆製品はココアバターの代わりにパーム油を含む。かかる
製品は「チョコレート様」又は「チョコレートを有する」と表現され得る。

更なる実施形態において、「ミルク」はあらゆる種類のミルク、例えば、乳製品、又は
アーモンドミルク、ココアミルク、ライスミルク及びオートミルクのような非乳製品を指
し得る。

1つの例において、本発明の消費物品は1～100g、好ましくは1～50g、更により好ましく
は1～30g、最も好ましくはおよそ10gであり得る。或いは、消費物品は約100g、150g、200
g、250g、300g、400g又は500gの重量であってよく、又はこれらの値の任意の2つを端点と
して有する範囲の重量を有し得る。好ましい例において、食品はかかる重量のチョコバー
であり得る。

別の実施形態において、カカオ豆製品及び植物ポリフェノール抽出物は、任意の他の食
品の製造において、加えられ、被覆するのに使用され、又はその他の態様で使用されるチ
ョコレートプレミックスを形成してもよい。したがって、一実施形態において、消費物品
はチョコレートプレミックスである。

食品はキャンディーバー、例えばチョコレートで覆われたキャンディーバーであってよ
い。食品は個々のチョコレート、袋入りチョコレート又は一箱のチョコレートの形態をと
ることができる。チョコレートは成形された形状であってもよい。1つの例において食料
品はイースターエッグである。本発明は、ポリフェノール抽出物及びチョコレートを含む
チョコレートアイシング又はケーキの形態で提供され得る。本発明はまた、本発明のチョ
コレートで覆われた果実又はナッツも提供する。本発明はまた、本発明のチョコレートで
覆われたスイーツ又はキャンディーも提供する。本発明はまた、本発明のチョコレートで
覆われたアイスクリームも提供する。一実施形態において、被覆するための本発明のチョ
コレートの量は10～15gである。

本発明はまた、単一の給仕用量、例えば5～50gの量の形態で提供される本発明のチョコ
レート、及びかかる単一の給仕用量の小包も提供する。本発明はまた、セグメント化され
た、例えば単一の給仕投与量に折ることができるようにセグメント化されたチョコバーの
発明も提供する。一実施形態において、単一の給仕用量は1～100g、好ましくは1～50g、
更により好ましくは1～30g、最も好ましくは7～15gであり得る。一実施形態において、単
一の給仕用量はおよそ7.5、10g又は15gである。

本発明の食品は、他の例では、ケーキ、チーズケーキ、ベイクドスナック、ブラウニー
、クッキー又はビスケット、ミールリプレイスメントバー、餅、アイスクリーム又は他の
プディング又はデザートに組み込まれたチョコレートであり得る。いくつかの例では、本
発明は、本発明のチョコレートで覆われた、又は本発明のチョコレートを含むかかる製品
を提供する。例えば、食品はチョコレートで覆われたウエハースであり得る。製品は例え
ばチョコレートをチップの形態で、又は中央部に含み得る。

栄養補助食品又は機能性食品は経口投与(例えば、のみこむことによる)に適した任意の
形態であり得、カプセル、カシェ若しくはタブレットのような個別の単位として; 粉末若
しくは顆粒として; 水性若しくは非水性液体中の溶液若しくは懸濁液として; 又は水中油
液体エマルション若しくは油中水液体エマルションとして; ボーラスとして; 舐剤として
; 又はペーストとして、又は個別に包装されたチョコバーとして存在し得る。

本発明はまた、本発明の食料品であるか、又はそれを含む、ダイエット目的の食料品も
提供する。本発明はまた、本発明の食料品を含むか、又はそれからなる糖尿病患者用の製
品も提供する。1つの例において、本発明は、チョコレートが本発明のチョコレートであ
る、糖尿病患者用チョコレートを提供する。

1つの好ましい例において、本発明の食品は梱包材料及び/又は包装材料と共に提供され
得る。そのような梱包材料/包装材料は、本発明の利益を示し得るか、及び/又は利益を最
大にする食事時間での、又は食事時間近くでの消費を提案し得る。梱包材料/包装材料は
本明細書に記載されている製品の利益を示し得る。別の例において、梱包材料はブドウ糖
レベルの食後上昇を低下させ、及び/又はバイオアベイラブルなt-RSV、カテキン及び/又
はその他のポリフェノールレベル、好ましくはエピカテキン、好ましくは食後レベルを増
大する製品の能力を表示し得る。梱包材料は、本明細書に言及される状態のいずれかを治
療又は改善することを表示し得る。

消費物品は、ココアバター及びココア固形分のようなカカオ豆製品、及び任意の1種以
上の他の成分、並びにポリフェノールに富む植物抽出物を、ポリフェノールに富む植物抽
出物が消費物品の母材中に組み込まれるのが可能になる条件下で混合又はブレンドするこ
とによって生産され得る。

消費物品中の他の成分としては、糖、バニラ、ミルク、ミルクパウダー、大豆レシチン
若しくはポリグリセロールポリリシノレート(PGPR; E476)のような乳化剤、乳漿若しくは
ポテトのペプチド及び/若しくはタンパク質、大豆タンパク質、大豆抽出物及び/若しくは
大豆イソフラボンにような大豆製品、植物油、又は動物性脂肪、ナッツパウダー及びナッ
ツ抽出物のようなナッツベースの製品、デンプン並びに多糖のうちの少なくとも1つが挙
げられる。ミルクパウダーはココアミルクパウダー、アーモンドミルクパウダー、ライス
ミルクパウダー又はオートミルクパウダーであってよい。

カカオ豆製品はポリフェノールに富む植物抽出物と混合又はブレンドするための乾燥、
液体、エアロゾル、冷凍又は融解形態であり得る。例えば、ブレンドするためのチョコレ
ートは液体形態(即ち溶けたチョコレート)であり得る。

幾つかの好ましい実施形態において、カカオ豆製品及びポリフェノールに富む植物抽出
物は混合可能な形態であり、同一又は似た粘度を有する。

機械的なブレンドを含め、混合及びブレンドするための適切な方法は当技術分野で周知
である。

1つの例において、チョコレートを作る間にポリフェノールに富む植物抽出物を加える
か、又はチョコレートを溶かしてポリフェノールに富む植物抽出物を加える。チョコレー
トを鋳型に加えて特定の形状及び/又は大きさの製品にしてもよい。

本発明の製品はまた、香料、乳化剤、着色料及び/又は保存料のような他の成分を含ん
でもよい。幾つかの場合において、特に製品がチョコレートである場合、製品はクルミ、
ヘーゼルナッツ、アーモンド又はブラジルナッツのようなナッツを含み得る。

多くの植物は高レベルのポリフェノールを含むことが知られている。ポリフェノールは
多数のフェノール構造単位の存在によって特徴付けられる。これらのフェノール構造の数
及び特徴は、その種類の各メンバーの独特の物理的、化学的及び生物学的な特性の基礎を
成している。

ポリフェノール化合物は、良好な溶解から完全な不溶性まで、水に対して広範囲の溶解
度を有し、分子量500～4000Daを有し、1000Daに付き12を超えるフェノール性ヒドロキシ
ル基と7個の芳香環を有し得る。しかしながら、ポリフェノールの大部分は疎水性で水に
溶けにくい。或いは、ポリフェノールは、専らシキミ酸/フェニルプロパノイド及び/又は
ポリケチド経路に由来し、1より多くのフェノール単位を有し、窒素に基づく機能を欠く
化合物であると定義され得る。

本発明は、カカオ豆製品に加えられた、ポリフェノール、特に、エピカテキン、カテキ
ン及び/又はアントシアニンに富む植物の抽出物が、チョコバーのようなカカオ豆製品の
消費後に予想される食後血糖値の上昇を低減又は予防することができるという予想外の知
見に関する。本発明はまた、カカオ豆製品に加えられた、ポリフェノール、スチルベノイ
ド、特に、レスベラトロール、具体的にはtrans-レスベラトロール(t-RSV)に富む植物の
抽出物が、チョコバーのようなカカオ豆製品の消費後に期待される血清中のt-RSV、カテ
キン及び/又はエピカテキン及び/又は他のポリフェノールのレベルを増大することができ
るという予想外の知見にも関する。

一実施形態において、ポリフェノールは両親媒性及び/又は疎水性のポリフェノールで
ある。

好ましくは、ポリフェノールはスチルベノイド、カテキン、エピカテキン、ガロカテキ
ン、アントシアニン、アントシアニジン、プロアントシアニジン、フラボン、フラバノー
ル、フラバノン、イソフラボン、カルコン、フェノール酸及びリグナン又はこれらの組合
せを含む群から選択される。

一実施形態において、ポリフェノールはスチルベノイドである。スチルベノイドはピセ
アタンノリン、ピノシルビン、プテロスチルベン、レスベラトロール、アストリンギン及
びピセイドを含む群から選択され得る。好ましい実施形態において、スチルベノイドはレ
スベラトロール、好ましくはt-RSVである。

レスベラトロール又は3,5,4'-トリヒドロキシ-trans-スチルベンは次の構造で表すこと
ができる。

別の実施形態において、ポリフェノールはアントシアニンであり、これは次の構造で表
すことができる。

更なる実施形態において、ポリフェノールはフラバン-3-オール(又はフラバノール)で
ある。好ましくは、フラバノールはカテキンである。カテキンは4つのジアステレオ異性
体を有する。異性体のうち2つはtransの立体配置にあり、カテキンとよばれ、他の2つはc
is立体配置にあり、エピカテキンとよばれる。

一実施形態において、カテキンはtrans-カテキン、即ちカテキンであり、次の構造で表
すことができる。

或いは、カテキンはcis-カテキン、即ちエピカテキンであり、次の構造で表すことがで
きる。

好ましくは、ポリフェノールはt-RSV及び/又はエピカテキン及び/又はカテキン及び/又
はアントシアニン又はこれらの任意の組合せである。

ポリフェノールに富む植物は、例えば、参照により本明細書に組み込まれているFernan
do & Soysa (2015), Petyaev et al, (2016), Brito et al. (2014), Nakamura et al.,
(2010)及びPetyaev et al. (2011)に記載されているように、当技術分野の標準的な技術
を用いて、当業者により容易に確認することができる。

植物が(好ましくは高い)ポリフェノール含量を有すると確認されたら、当技術分野で公
知である多くの技術を用いて抽出物を得ることができる。使用する抽出工程の主な目的は
、両親媒性の、特に疎水性のポリフェノールの抽出を最大化することである。

この目的のために、例えばエタノール、メタノール及び/又は他の有機溶剤、超臨界CO₂
、超音波振動、マイクロ波支援等の様々な技術を使用することができる。かかる技術は当
業者に周知である。

したがって、一実施形態において、軟らかい固体で、乾燥してなく、遊離の水を含まな
いポリフェノールに富む植物抽出物は、上記の方法で得られるか、又は得ることができる
。

抽出目的で、植物の最も富むポリフェノール部分が使用され、それは果実、ベリー、種
子、穀物、又はナッツ等であり得た。例えば、新鮮なベリーを使用する場合、第1のステ
ップとして、ベリー全体をエタノール-水溶液に浸漬し、次いで破砕し、圧搾し、インキ
ュベーションのために放置した。軟らかい固体で、乾燥してなく、遊離の水を含まない抽
出物が得られるまで、このステップを繰り返して、標的とするポリフェノールの抽出のレ
ベルを最大化することができる。

次いで、抽出された溶液をベリーの残りの果肉から分離させる。

例えば、軟らかい固体で、乾燥してなく、遊離の水を含まない抽出物は次のいずれかを
、又は組み合わせて含有するべきである。
- 乾燥質量1グラムに付き30-40～100μg以上のtrans-レスベラトロール、
- 乾燥質量1グラムに付き100～300μg以上のカテキン及びエピカテキン、
- 乾燥質量1グラムに付き1-2～5mg以上のアントシアニン。

一実施形態において、植物抽出物はベリー、果実、野菜又は穀物のうちの少なくとも1
つであるか、又はそれに由来する。好ましい実施形態において、ベリーはチョークベリー
(Aronia種(sp.))、ローワンベリー(Sorbus aucuparia)、ビルベリー(Vaccinium sp.、特
に(Vaccinium myrtillus)、ブルーベリー(Vaccinium sp.)、クランベリー(Vaccinium oxy
coccos又はVaccinium macrocarpon)、ブラックカラント(Ribes sp.、特にRibes nigrum)
、レッドカラント(Ribes rubrum)、チェリー(Prunus sp.、例えばPrunus avium)、アサイ
ー(Euterpe sp.、例えばEuterpe oleracea)、バーベリー(又はバーバリス)、シーバック
ソーン(Hippophae sp.)、ブドウ(例えばVitis viniferaのメンバー)及びブラックベリー(
Rubus sp.、例えばRubus fruticosus)又はこれらの組合せから選択される。

より好ましい実施形態において、植物抽出物はチョークベリー抽出物、好ましくはアロ
ニア抽出物である。一実施形態において、アロニア抽出物はAronia arbutifolia、Aronia
melanocarpa、Aronia prunifolia及びAronia mitschurinii(Sorbaronia mitschuriniiと
しても知られている)を含む群から選択されるAroniaの種に由来する。更なる好ましい実
施形態において、アロニア抽出物は栽培品種又は変種アロニア3に由来する。或いは、ア
ロニア抽出物は栽培品種又は変種アロニア5に由来する。一実施形態において、アロニア
はBlackチョークベリー(Aronia melanocarpa又はPhotinia melanocarpaとも呼ばれる)で
ある。更なる実施形態において、アロニア抽出物はViking、Autumn Magic又はNero変種、
好ましくは上記の種のいずれかのNero変種に由来する。

別の実施形態において、植物抽出物はブルーベリー抽出物である。好ましくは、ブルー
ベリー抽出物はVaccinium alaskaense(アラスカブルーベリー)、Vaccinium angustifoliu
m(ローブッシュブルーベリー)、Vaccinium boreale(ノーザンブルーベリー)、Vaccinium
caesariense(New Jerseyブルーベリー)、Vaccinium corymbosum(ノーザンハイブッシュブ
ルーベリー)、Vaccinium constablaei(ヒルサイドブルーベリー)、Vaccinium consanguin
eum(コスタリカ（Costa Rican）ブルーベリー)、Vaccinium darrowii(エバーグリーンブ
ルーベリー)、Vaccinium elliottii(エリオット（Elliott）ブルーベリー)、Vaccinium f
ormosum(サザンブルーベリー)、Vaccinium fuscatum(ブラックハイブッシュブルーベリー
; 同義語V. atrococcum)、Vaccinium hirsutum (へアリーフルーティッド（hairy-fruite
d）ブルーベリー)、Vaccinium myrsinites(シャイニーブルーベリー)、Vaccinium myrtil
loides(ソアトップ（sour top）、ベルベットリーフ（velvet leaf）、又はカナダブルー
ベリー)、Vaccinium operium(シアンフルーティッド（cyan-fruited）ブルーベリー)、Va
ccinium pallidum(乾燥地ブルーベリー)、Vaccinium simulatum(高地ハイブッシュブルー
ベリー)、Vaccinium tenellum(サザンブルーベリー)、Vaccinium virgatum(ラビットアイ
ブルーベリー; 同義語V. ashei)、Vaccinium koreanum、Vaccinium myrtillus(ビルベリ
ー又はヨーロピアン（European）ブルーベリー)及びVaccinium uliginosumを含む群から
選択されるVacciniumの種に由来する。更なる好ましい実施形態において、ブルーベリー
抽出物は栽培品種Blue Gold 1又はBlue Gold 2、Aurora、Sportan、Chandler又はLate Bl
ueに由来する。

別の実施形態において、植物抽出物は果実、好ましくはバオバブフルーツ抽出物である
か、それに由来する。一実施形態において、抽出物はAdansonia digitate、Adansonia gr
andidieri、Adansonia gregorii、Adansonia kilima、Adansonia madagascariensis、Ada
nsonia perrieri、Adansonia rubrostipa、Adansonia suarezensis及びAdansonia zaのよ
うなAdansonia属のメンバーに由来する。

更に別の実施形態において、植物抽出物は穀物抽出物であって、好ましくは穀物はソバ
(Fagopyrum esculentum)、オオムギ(Hordeum種由来、例えば(Hordeum vulgare L))、ワイ
ルドライス又は黒米若しくは玄米である。

「ポリフェノールに富む植物抽出物」とは、本明細書に記載されている少なくとも1つ
のポリフェノール、例えばスチルベノイド、カテキン、エピカテキン、ガロカテキン、ア
ントシアニン、アントシアニジン、フラボン、フラバノール、フラバノン、イソフラボン
、カルコン、フェノール酸、クルクミン、クロロゲン酸及びリグナンを有意な量で有する
植物抽出物を意味する。

一実施形態において、植物抽出物は0.05～12mg/gのアントシアニン、より好ましくは2
～7mg/g、更により好ましくは2.3～5.6mg/gのアントシアニンを含み得る。別の実施形態
において、植物抽出物は50μg～1mg/gのエピカテキン及び/又はカテキン、好ましくは250
～900μg/g、更により好ましくは300～800μgのエピカテキン及び/又はカテキンを含み得
る。好ましい実施形態において、植物抽出物はベリー抽出物、好ましくはアロニア抽出物
である。

別の実施形態において、植物抽出物は果実抽出物であり、100～150μg/g、より好まし
くは130～145μg/gのアントシアニン及び/又は600～17000μg/g、より好ましくは16500～
17000μg/g(又は165mg/g～170mg/g)のエピカテキン及び/又はカテキンを含み得る。最も
好ましい実施形態において、植物抽出物はバオバブフルーツ抽出物である。

別の実施形態において、植物抽出物は25～150μg/gのt-RSVを含む。一実施形態におい
て、植物抽出物は好ましくはブルーベリー抽出物であり、30～120μg/g、より好ましくは
34～106μg/gのt-RSVを含む。植物抽出物はまた、好ましくはビルベリー抽出物であって
もよく、30～150μg/g、より好ましくは36～100μg/gのt-RSVを含む。別の実施形態にお
いて、植物抽出物は好ましくはアロニア抽出物であり、30～150μg/g、より好ましくは40
～140μg/gのt-RSVを含む。他の実施形態において、植物抽出物はサクランボ抽出物であ
ってもよく、40～60、好ましくは50～55μg/gのt-RSVを含むか、又は植物抽出物はバーベ
リー抽出物であってよく、50-80pg/g、好ましくは60～75μg/gのt-RSVを含む。

幾つかの実施形態において、植物抽出物はソバのような穀物の抽出物であってもよく、
50～80μg/g、より好ましくは60～65μg/gのt-RSVを更に含む。

本発明の別の実施形態において、消費物品は1種以上の追加の作用物質を更に含んでも
よい。かかる追加の作用物質は、カロテノイド、必須脂肪酸、ビタミン、乳漿タンパク質
又はペプチド、アミノ酸、ミネラル及びプレ-若しくはプロ-バイオティクスを含む群から
選択され得る。或いは、消費物品は細菌及び/又は真菌発酵の抽出物又は産物を更に含ん
でもよい。

好ましい実施形態において、追加の作用物質はカロテノイドである。カロテノイド化合
物は、長いポリエン鎖を含むテトラテルペノイドである。カロテノイド化合物としては、
ルテイン、アスタキサンチン、カプサンシン、メソゼアキサンチン及びゼアキサンチンな
どのキサントフィル、並びにベータ-カロテン、アルファ-カロテン、ゼトカロチン（zeto
-carotene）、及びリコピン化合物などのカロテンがある。好ましくは上記カロテノイド
はリコピンである。

リコピンは構造Iの開鎖不飽和C₄₀カロテノイドである(Chemical Abstracts Service Re
gistry Number 502-65-8)。

リコピンはトマト、グアバ、ローズヒップ、スイカ及びピンクグレープフルーツのよう
な植物に天然に存在し、任意のそのようなリコピン源が、例えば使用され得る。

リコピン化合物としては、リコピン、1-HO-3'、4'-ジデヒドロリコピン、3,1'-(HO)2-
ガンマ-カロテン、1,1'-(HO)2-3,4,3',4'-テトラデヒドロリコピン、1,1'-(HO)2-3,4-ジ
デヒドロリコピンがあり得る。

本明細書に記載されているように使用されるリコピンのようなカロテノイド化合物は天
然ものであってもよく、即ち天然供給源から得られ、例えば、トマト又はメロンのような
植物から抽出され得る。1つの例において、含油樹脂、特にトマト含油樹脂が本発明で使
用され得る。植物からカロテノイドを抽出、濃縮及び/又は精製するためのある範囲の方
法は当技術分野で公知である。例えば、エタノール、DMSO、酢酸エチル、ヘキサン、アセ
トン、大豆又は他の植物油、若しくは非植物油を用いる溶剤抽出を使用し得る。

本明細書に記載されているように、使用されるリコピンのようなカロテノイド化合物は
合成のものであってもよく、即ち人工的な手段で、例えば、化学合成により生産されても
よい。リコピン及びその他のカロテノイドの化学合成のためのある範囲の方法は、当技術
分野で公知である。例えば、カロテノイド合成のための標準的なWittigオレフィン化反応
スキームに基づく3段階化学合成を使用してもよく、そこでは、ジクロロメタン(DCM)中、
C₁₅メタンスルホン酸ホスホニウムの有機溶液、及びトルエン中、C₁₀ジアルデヒドの有機
溶液が生成され、これら2つの有機溶液を徐々にナトリウムメトキシド溶液と合わせ、縮
合反応をさせて粗製リコピンを形成させる。次いで、粗製リコピンを、所定の技術を用い
て、例えば氷酢酸及び脱イオン水を混合物に加え、激しく撹拌し、水相と有機相に分離さ
せ、DCM及び粗製リコピンを含む有機相を水で抽出することによって精製してもよい。メ
タノールを有機相に加え、DCMを減圧下蒸留によって除去する。次いで、粗製メタノール
性リコピン溶液を加熱し、冷却して結晶質スラリーとし、これをろ過し、メタノールで洗
浄する。その後、リコピン結晶を再結晶化し、加熱窒素下で乾燥してもよい。リコピンの
ような合成カロテノイドは商業的供給業者(例えばBASF Corp, NJ USA)から入手すること
もできる。

リコピンのような合成カロテノイド化合物は、天然のカロテノイド化合物に比して割合
が増大したcis異性体を含み得る。例えば、合成リコピンは、最大で25%の5-cis、1%の9-c
is、1%の13-cis、及び3%の他のcis異性体であり得るが、一方で、トマトにより産生され
るリコピンは、3～5%の5-cis、0～1%の9-cis、1%の13-cis、及び<1%の他のcis異性体であ
り得る。cis-リコピンはtrans-リコピンと比べて増大したバイオアベイラビリティを有す
るので、幾つかの実施形態において合成リコピンが好ましい。

上記のようなカロテノイドの誘導体は、上に記載した合成と類似の化学合成により、又
は植物材料から抽出された天然のカロテノイドの化学修飾により生成することができる。

本明細書に記載されている消費物品は単一のカロテノイド化合物(例えばリコピン)又は
2以上のカロテノイド化合物(例えばリコピン及びベータ-カロテン)を含み得る。通常、各
々のカロテノイド化合物は、ある範囲の異なる異性体の形態で存在する。

消費物品は、ココアバター及び/又はココア固形分のようなカカオ豆製品、ポリフェノ
ールに富む植物抽出物及びカロテノイド化合物を、カロテノイド化合物及び植物抽出物が
消費物品の母材中に組み込まれるのが可能になる状態下で混合又はブレンドすることによ
って生産されてもよい。一実施形態において、消費物品はチョコレート-ポリフェノール
結晶クラスターを含む。更なる実施形態において、カカオ豆製品及びポリフェノールに富
む植物抽出物は更にパーム油、ヒマシ油、又は他の任意の植物油若しくは脂肪のうちの少
なくとも1つと混合又はブレンドされる。

一実施形態において、消費物品は製品全体の0.1～1重量%、好ましくは0.05～0.08重量%
、好ましくは0.05、0.06、0.07又は0.08重量%、最も好ましくは0.07重量%のカロテノイド
を含む。或いは、消費物品は、消費物品1グラムに付き0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0
.7、0.8、0.9又は1mg、好ましくは0.7mgのカロテノイドを含む。好ましい実施形態におい
てカロテノイドはリコピンである。

本発明の別の態様において、消費物品の製造中にポリフェノールに富む植物抽出物を加
えることを含む、本発明の消費物品のような消費物品を製造する方法が提供される。上記
方法により得られるか、又は得ることができる消費物品が提供される。

現記載の植物抽出物をチョコレート母材中にブレンドする方法の主な目的は、植物ポリ
フェノールとチョコレート結晶との特定の共結晶化を起こさせることである。この工程は
多変量であり、当業者には理解されるように、かかる方法はチョコレートのタイプ、組成
、レシピ及び製造プロトコル毎に最適化が必要である。例えば、特定の製造業者の特定の
タイプのチョコレートは特定の組成を有しており、これは特定の一連の融解及びテンパリ
ング・プロトコルが必要とされることを意味している。新しいバッチ毎に、ポリフェノー
ル埋め込みの妥当なパターン、配置及び大きさを確認するために、顕微鏡を用いて評価し
なければならない。

例えば、アロニア抽出物がGreen & Black's(登録商標)ダークチョコレートに埋め込ま
れる場合、確認することができる3つの主要な大きさのポリフェノールクラスターがある(
図4の顕微鏡イメージを参照のこと)。

同じバッチから同じ比率で同じ量のアロニア抽出物を同じダークチョコレートとブレン
ドしながら、一連の異なる融解及びテンパリングプロトコルから、2つのバッチを選択し
た。

最初のもの(A)は120μmを超える大きさのクラスターを65%、40μm未満は10%含んでいた
。第2のバッチ(B)のチョコレートは40μm未満の大きさのクラスターを70%、120μmを超え
る大きさのものは10%含んでいた。これらのバッチの代表的な顕微鏡イメージを図5に示す
。

本発明の消費物品を製造する1つの方法を以下に記載する。

例1
実験室の製造法; ビルベリー、又はブルーベリー若しくはアロニアのポリフェノールに
富む抽出物及びミルクチョコレートの共結晶化

この方法は、各々が500mgの埋め込まれたビルベリー、ブルーベリー又はアロニアの軟
らかい固体で乾燥してなく遊離の水を含まないポリフェノールに富む抽出物(PRE)を含有
する個々の10gのチョコレートピースに分けられる、1000gのミルクチョコレートの製造を
記述する。

成分: 1000gのGreen & Black's Organic 37% カカオチョコレート、50gのビルベリー、
ブルーベリー又はアロニアPRE。

・製造環境の周囲温度は20～21℃とするべきである。
・ビルベリー、ブルーベリー又はアロニアPREのバルクストックを40℃の温度まで暖め、
後に必要となるまでこの温度で維持する。
・重量がおよそ25～30gになるように単一の長方形のチョコレートピースを割り取る。こ
のチョコレートのピースを後に必要となるまで別個の容器に保存する。
・1000gのチョコレートの残りを砕いて小片にする。
・適切な容器で、チョコレートを48℃±1℃の温度に溶かす。この溶かす工程中この温度
を超えてはいけない。
・溶かす工程中チョコレートを撹拌する。
・チョコレートが完全に溶けたように見えたとき、十分に撹拌して全てのチョコレートが
溶けた均一な混合物を確保する。
・適切なはかりの上の蓋のない容器に、取っておいた25～30gのチョコレートピースを置
き、チョコレートの最上部の表面を平らにする。はかりをゼロにセットする。
・40℃のインキュベーションからビルベリー、ブルーベリー又はアロニアPREのバルクス
トックをとる。それを回転及び反転により十分に混合して均一な混合を確保する。シェイ
クしてはいけない。
・50gのビルベリー、ブルーベリー又はアロニアPREを注入により25～30gのチョコレート
ピースに慎重に分注する。

・チョコレートピースを、ビルベリー、ブルーベリー又はアロニアPREと共に、48℃±1℃
で溶けたチョコレート混合物に加える。
・チョコレートピースを十分に撹拌しながら溶かしてビルベリー、ブルーベリー又はアロ
ニアPREを分散させる。
・チョコレートピースが溶けたら混合物を撹拌し続け、更に10分間、48℃±1℃の温度に
維持した後、熱を取り除く。
・20～21℃の周囲温度で、混合物を31℃の温度まで冷ます。混合物が冷却するあいだ撹拌
する。
・混合物が31℃の温度に達したとき、注入により10gの量を適切な個々の鋳型中に分注し
始める。
・分注工程中に混合物を頻繁に撹拌し、ビルベリー、ブルーベリー又はアロニアPRE及び
ダークチョコレートの共結晶したクラスターの均一な分配を確保する。
・分注工程中、慎重に少し加熱することにより混合物を29～31℃の温度に維持する。
・個々の10gのチョコレートを20～21℃の周辺温度で固まらせる。
・各々の10gのチョコレートは500mgのビルベリー、ブルーベリー又はアロニアPRE及びダ
ークチョコレートの共結晶したクラスターを含む。
・固まったら、包装のために光を遮断して18～22℃でチョコレートを保存する。

工業生産のための推奨
安定性の保証:
- ビルベリー、ブルーベリー又はアロニアPREの埋め込み条件:
1) 好ましくは窒素又はその他の不活性ガス雰囲気下での分子酸素の制限されたアクセス
2)光からの保護
- 密封された無酸素 (箔)梱包
- これで充分でなければ保存料の使用。

品質管理
ビルベリー、ブルーベリー又はアロニアPRE及びダークチョコレートの共結晶したクラス
ターを有するチョコレート塊全体の特定の大きさ、密度及び均一性の保証:
・顕微鏡 - 800μ²(×1,000)に付き40μm未満の大きさのクラスターの最少70%の形成、
・質量分析、HPLC及びtrans-レスベラトロール抗体アッセイ- エピカテキン、アントシア
ニン trans-レスベラトロールの均一な分布を評価する。

上で述べたように、当業者は、使用するチョコレートのタイプに合わせて工程に調整が
必要であることを理解するだろう。

したがって、一実施形態において、本発明の消費物品のような消費物品の製造方法であ
って、以下のステップを含む方法が提供される。

- ポリフェノールに富む植物抽出物を、好ましくは20～60℃、より好ましくは30～50℃
、より好ましくは35～45℃、最も好ましくは40℃の温度に加熱し;

- 上記カカオ豆製品をもう1つ以上のピース又は部分、好ましくは少なくとも2つのピー
スに分割し、上記ピースはより大きい及びより小さいピースを含み、好ましくは、上記の
より小さいピースはより大きいピースの大きさの少なくとも1%、少なくとも2%、少なくと
も2.5%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少
なくとも8%、少なくとも9%又は少なくとも10%であり、好ましくは、上記のより小さいピ
ースはより大きいピースの大きさの1～5%、好ましくは2～4%、更により好ましくは2.5～3
%であり;

- 上記のより大きいピースのカカオ豆製品を30～60℃の温度で、好ましくは40～50%、更
により好ましくは41℃、42℃、43℃、44℃、45℃、46℃、47℃、48℃、49℃又は50℃の温
度で溶かし、更により好ましくはより大きいピースのカカオ豆製品を48℃の温度で溶かし
;

- 上記温度に維持されたポリフェノールに富む植物抽出物を上記のより小さいピースの
カカオ豆製品に加え;

- ポリフェノールに富む植物抽出物-より小さいピースのカカオ豆製品を上記溶けたカカ
オ豆製品に加え;

- 既に溶けたカカオ豆製品内の上記ポリフェノールに富む植物抽出物-より小さいピース
のカカオ豆製品を、30～60℃、好ましくは40～50℃の温度で、更により好ましくは41℃、
42℃、43℃、44℃、45℃、46℃、47℃、48℃、49℃又は50℃の温度で溶かして、カカオ豆
製品とポリフェノールに富む植物抽出物の混合物を生成させ、更により好ましくはポリフ
ェノールに富む植物抽出物-より小さいピースのカカオ豆製品を48℃の温度で溶かし、

- 上記混合物を少なくとも50℃、より好ましくは40℃、更により好ましくは30～40℃、
好ましくは31℃、32℃、33℃、34℃、35℃、36℃、37℃、38℃、39℃又は40℃の温度に冷
却し;

- 任意で、混合物を少なくとも1つの個々の鋳型に分配し、分配中上記温度を少なくとも
50℃、より好ましくは少なくとも40℃、より好ましくは少なくとも30℃、より好ましくは
少なくとも20℃に維持し、一実施形態においては上記温度を20～30℃に維持し、

- 任意で、本明細書に記載されているポリフェノール-チョコレート結晶の存在を確認す
る。

したがって、本発明の更なる側面において、ダークチョコレートと同等の抗酸化、抗炎
症、抗低酸素、血管サポート及び他の健康に有益な活性を有する(好ましくはミルク)チョ
コレートを製造する方法であって、本明細書に記載されているステップを含む方法が提供
される。

また、チョコレート母材内の最適なポリフェノール結晶クラスター形成、チョコレート
に埋め込まれた結晶の形態の選択されたポリフェノールの最適なバイオアベイラビリティ
及びその結果としてポリフェノールの最適な生物活性に通じるその最適な粘度及びレオロ
ジーパラメーターの果実ポリフェノール抽出物の調達を含む、チョコレート母材(好まし
くはミルクチョコレート、又はホワイトチョコレート若しくはダークチョコレート)への
ポリフェノール結晶の埋め込み方法も記載される。

10gの調合物(A)又は(B)(上に定義した)どちらか摂取後の食後ブドウ糖の動態を評価す
るためのクロスオーバー研究の結果を下記表1に示す。

これらの結果は、チョコレート製品内で大きなクラスターのアロニアポリフェノールが
支配的な特徴である場合、食後ブドウ糖の上昇は、同じチョコレートだがアロニアポリフ
ェノールが主により小さく、よりコンパクトなクラスターとして埋め込まれていたときよ
り有意に高かったことを示している。

ゆえに、埋め込みプロトコルを最適化し最も相乗的な効果を有する新しいチョコレート
母材を提供するための手段として、ポリフェノールクラスターの大きさ及び量の評価を使
用することを決定した。

本発明の別の側面において、本明細書に記載されている方法によって得られるか、又は
得ることができる消費物品が提供される。

本発明の別の側面において、1種以上のカカオ豆製品及びポリ-フェノールに富む植物抽
出物を含む消費物品であって、上記物品はポリフェノール-チョコレート結晶のクラスタ
ーを含む、消費物品が提供される。好ましくは、クラスターは様々な大きさのものである
ことができる。したがって、これらの結晶はその大きさに応じて小さい、中くらい又は大
きいとして分類することができる。一実施形態において、小さいクラスターは約40μm未
満である。別の実施形態において、中くらいのクラスターは約40～120μmである。更なる
実施形態において、大きいクラスターは直径が約120μmを超える。本明細書でこの文脈中
に言及される全ての測定値は直径である。

好ましい実施形態において、製品は少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、
又はより好ましくは60～80%の大きい結晶、及び/又は最大20%、好ましくは最大10%の小さ
い結晶を含む。別の実施形態において、製品は少なくとも50%、少なくとも60%、少なくと
も70%、少なくとも80%、少なくとも90%、より好ましくは少なくとも70%の小さい結晶を含
み、それは40μm未満の大きさの結晶である。一実施形態において、上記製品は800μm²(
好ましくは×1000)に付き上記割合の結晶を含む。

本発明の別の態様において、血糖値の食後上昇を予防又は低減する方法であって、本明
細書に定義されている消費物品を、好ましくはそれを必要とする人又は患者に投与するこ
とを含む方法が提供される。或いは、血糖値の食後上昇を予防又は低減するために本明細
書で定義されている消費物品の使用が提供される。好ましい実施形態において、消費物品
はカカオ豆製品及びポリフェノールに富む植物抽出物を含み、上記ポリフェノールは、好
ましくはアントシアニン、カテキン及び/又はエピカテキンから選択される。

通常、血糖値は、炭水化物を含有する食品を食べた後上昇する。この食品摂取後の上昇
は我々の身体にエネルギー源を供給するために必須の自然の生理過程である。しかしなが
ら、特にインスリン系が既にストレス下にあり、身体へのブドウ糖の流入を効果的に処理
することができない人々にとって、このブドウ糖レベルの食後上昇は問題となる可能性が
ある。これらの人々にとって、食後ブドウ糖をより低くすることにつながる本明細書に記
載の消費物品のような食品を消費することは、顕著な利益となる。健康的な個体にとって
も、ブドウ糖レベルの食後上昇は問題がある可能性があり、酸化ストレス及び炎症、並び
に反応性のインスリン放出につながり、それが内蔵型肥満に幾分か寄与し得る。頻繁なブ
ドウ糖-インスリンスパイクはまた増大した砂糖渇望に通じる可能性もあり、これは前糖
尿病患者又は糖尿病患者の個体のためだけでなく健常な個体における体重減少及び体重管
理のためにも、低グリセミック指数の食事が推奨される理由である。したがって、菓子製
品において食後ブドウ糖スパイクを低減することは全ての消費者に対して訴えるものがあ
る。

ブドウ糖レベルが6nmol/Lへ上昇することは有害と考えられており、このレベルを超え
るとインスリン系は「ストレスがかかる」と考えられる。本発明の製品の消費は血糖値の
この上昇を予防又は低減し、血糖値の6nmol/L以上の有害なレベルを超えるまでの上昇を
予防することが判明した。したがって、一実施形態において、本発明の消費物品の消費は
、6nmol/Lを超える血糖値の上昇を予防する。これに関連して、ブドウ糖レベルの上昇の
低減又は予防は標準的なチョコレート(例えばミルクチョコレート又はダークチョコレー
ト)の消費後に観察されるレベルと対比されるものである。

したがって、本発明の製品は標準的な市販の入手可能なチョコレートに対するより健康
的な代替手段であり、消費者によるブドウ糖摂取をコントロール及び/又は低減するのに
使用され、したがって、高レベルの糖の消費によりもたらされ得る潜在的な健康に影響す
るもの、例えば肥満、メタボリックシンドローム、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)
、心臓血管疾患、癌、糖尿病及びAlzheimer's病のような神経変性障害、を予防すること
ができる。さらに、本発明の製品は、糖尿病患者のような、生理学的に自身の血糖レベル
を制御することができない患者にとって特に価値が高い。

一実施形態において、本発明の製品は空腹又は食後の状態で消費される。別の実施形態
において、製品は、チョコバーのような糖を含有するカカオ豆製品の消費の1時間後に通
常観察される血糖値の上昇を予防又は低減する。

一実施形態において、本発明の消費物品は健康的な食事の一部として毎日投与されても
よい。

「低減」は、ポリフェノールに富む植物抽出物を含まないカカオ豆製品の消費後観察さ
れる食後上昇と比較して最大で50%、最大で40%、30%、最大で20%、最大で15%、最大で10%
、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%又は1%の食後血糖値の上昇の低減を含み得る。「予防
」は、本発明の製品の消費の前後で血糖値の変化がないか又は統計的に有意な変化がない
ことを含み得る。一実施形態において、消費「後」というのは、消費後3時間、好ましく
は2時間まで、更により好ましくは1時間までのいつでもよい。特定の実施形態において、
消費物品の消費は消費後20分、30分、40分、50分又は1時間の食後ブドウ糖レベルを低減
する。

食後ブドウ糖レベルを測定する方法は当技術分野で周知である(例えば、参照により本
明細書に組み込まれるPostprandial Blood Glucose (2001)を参照のこと)。

本発明の更なる側面において、血清中のレスベラトロール、好ましくはt-RSV、カテキ
ン、エピカテキン及び他のポリフェノールのうちの少なくとも1つのレベルを増大する方
法であって、本明細書に定義されている消費物品を、好ましくはそれを必要とする人又は
患者に投与することを含む方法が提供される。或いは、血清中のt-RSV、カテキン、エピ
カテキン及び/又は他のポリフェノールのレベルを増大するための本明細書に定義されて
いる消費物品の使用も提供される。好ましい実施形態において、消費物品はカカオ豆製品
及びポリ-フェノールに富む植物抽出物を含み、ポリフェノールはスチルベノイド、好ま
しくはレスベラトロール、より好ましくはt-RSVである。別の実施形態において、ポリフ
ェノールはカテキン、エピカテキン及び/又は他のポリフェノールから選択される。

一実施形態において、t-RSV、カテキン、エピカテキン及び/又は他のポリフェノールの
レベルはカカオ豆製品又は植物抽出物単独の投与後に観察されるレベルと比べて増大する
。したがって、一実施形態において、カカオ豆製品及び植物抽出物は相乗的な量で存在す
る。言い換えると、本明細書に記載されている植物抽出物とカカオ豆製品との組合せは、
血清中のt-RSV、カテキン、エピカテキン及び/又は他のポリフェノールのレベルに対して
、同じ量で提供されたときのいずれか個別より大きな効果を生成する。別の実施形態にお
いて、血清中のt-RSVのレベルは350mlの赤ワインの消費後に観察されるレベルと同等であ
る。別の実施形態において、カテキン、エピカテキン及び/又は他のポリフェノールのレ
ベルは(標準的な未修飾)チョコレート、好ましくはダークチョコレートのようなカカオ豆
製品単独の消費後に観察されるのと同等以上である。

t-RSV、カテキン、エピカテキン及び/又は他のポリフェノールのレベルの「増大」は、
カカオ豆製品単独の消費後に観察されるレベルと比較して、少なくとも1倍、2倍、2.5倍
、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、11倍、12倍、13倍、14倍、15倍、16倍、1
7倍、18倍、19倍又は20倍の増大を含み得る。好ましくは、上記レベルは少なくとも6倍、
より好ましくは8倍、更により好ましくは10倍増大する。

特定の実施形態において、本発明の消費物品の投与は50～250ng/ml、より好ましくは80
～200ng/ml、一実施形態においては140～190ng/ml、更により好ましくは140～180ng/mlの
t-RSVの最大血清レベルをもたらし得る。好ましくは植物抽出物はアロニア抽出物である
。

一実施形態において、t-RSV、カテキン、エピカテキン及び/又は他のポリフェノールレ
ベルの増大は本明細書に記載されている消費物品の投与の少なくとも1、2、3、4又は5時
間後に観察される。

本明細書に記載されているように、本発明の消費物品の消費は、血清中のt-RSVレベル
のみでなく、未変性及び/又は活性なt-RSVのレベルの増大ももたらす。ヒトの腸管内菌叢
又は身体自身の酵素により産生されるt-RSVの代謝産物が多数存在する。これらの殆どは
サルフェート及びグルクロニドであり、一般的に、血液及び/又は尿内で検出される。し
かしながら、これらの代謝産物の生物学的な活性は未知のままである。しかしながら、血
液中の未変性t-RSVの検出は、確立された生物学的な活性を有する強力な分子が既に循環
していることを明白に示している。したがって、一実施形態において、「活性な」t-RSV
とは、未変性の又は腸管内菌叢若しくは身体自身の酵素によりまだ代謝されていない形態
のt-RSVを指す。

したがって、一実施形態において、本明細書に記載されている方法はバイオアベイラブ
ルなt-RSV、カテキン、エピカテキン及び/又は他のポリフェノールのレベルを増大する。
「バイオアベイラブルな」とは、t-RSV、カテキン、エピカテキン及び/又は他のポリフェ
ノールのような生物活性分子の投与された用量のうち、不変のまま循環系に到達する画分
を意味する。一実施形態において、本発明の方法は、バイオアベイラブルなt-RSV、カテ
キン、エピカテキン及び/又は他のポリフェノールのレベルを、カカオ豆製品単独の消費
後に得られるバイオアベイラブルなt-RSV、カテキン、エピカテキン及び/又は他のポリフ
ェノールの量と比較して5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、11倍、12倍、13倍、14倍、15
倍、16倍、17倍、18倍、19倍又は20倍まで増大する。好ましい実施形態において、本明細
書に記載されている方法はバイオアベイラブルなエピカテキンのレベルを増大する。

本発明の別の側面において、医薬として使用するための、本明細書に記載の消費物品が
提供される。或いは、疾患の治療及び/又は予防において使用するための医薬の調製にお
ける、本明細書に記載されている消費物品の使用が提供される。

本発明の更なる側面において、糖尿病、炎症性疾患、アテローム性動脈硬化症、癌、眼
疾患、メタボリックシンドローム、皮膚の老化、細菌性及びウィルス性の感染症並びに心
臓血管系、神経系、骨格筋系又は肝臓の病態から選択される障害の治療及び/又は予防に
おいて使用するための消費物品が提供される。或いは、糖尿病、炎症性疾患、アテローム
性動脈硬化症、癌、眼疾患、メタボリックシンドローム及び皮膚の老化、細菌性及びウィ
ルス性の感染症、並びに心臓血管系、神経系、骨格筋系又は肝臓の病態から選択される障
害の治療及び/又は予防のための薬物の調製において本発明の消費物品の使用が提供され
る。一実施形態において、障害はメタボリックシンドローム、糖尿病、炎症性疾患、アテ
ローム性動脈硬化症、癌、眼疾患、メタボリックシンドローム、並びに皮膚及び他の組織
の老化、並びに心臓血管系、神経系、骨格筋系又は肝臓の病態から選択され得る。

本発明の別の側面において、糖尿病、炎症性疾患、アテローム性動脈硬化症、癌、眼疾
患、メタボリックシンドローム及び皮膚の老化、細菌性及びウィルス性の感染症並びに心
臓血管系、神経系、骨格筋系又は肝臓の病態から選択される障害の治療及び/又は予防の
ための方法であって、本発明の消費物品を、それを必要とする患者に投与することを含む
方法が提供される。

炎症性疾患は亜臨床的な及び臨床的に明らかにされた炎症の両方を含み得る。また、事
故又は手術のような、臓器及び組織に対する偶発的又は意図的な外傷又は損傷も含まれ得
る。病理的な状態及び疾患も含まれ得る。これには慢性及び急性の感染症、関節炎、自己
免疫病変等が含まれ得る。炎症性成分は、心臓及び血管系から脳及び眼まで、肝臓及び膵
臓から生殖系及びホルモン系まで、骨格筋及び骨から造血まで、肺から胃腸系まで等、臓
器又は組織に関わらず身体の疾患過程の主な寄与体の1つである。

個体は好ましくはヒトであるが、動物での使用も可能である。個体はブドウ糖の正常な
血中レベルを有し得る。幾つかの実施形態において、個体は糖尿病前症、糖尿病、肥満、
炎症性疾患、アテローム性動脈硬化症、癌、眼疾患、メタボリックシンドローム及び皮膚
の老化、細菌性及びウィルス性の感染症、心臓血管系、神経系、骨格筋系又は肝臓から選
択される障害を患っているか、又は患う危険性を有し得る。幾つかの実施形態において、
適切な個体は成熟した又は年配の個体、例えば少なくとも50、60、65、70、75以上の年齢
、又はこれらの任意の2つの値により定義される範囲内の年齢であってよい。

本明細書に記載されている消費物品は個体において炎症及び炎症性酸化的損傷の両方の
マーカーのレベルを低減することが知見される。幾つかの場合において対象は高まった炎
症性酸化的損傷のレベルを有し得る。

したがって、一実施形態において、個体において酸化的及び/又は炎症性損傷マーカー
のレベルを低減する方法であって、本発明の消費物品を、それを必要とする個体に投与す
ることを含む方法が提供される。一実施形態において、酸化的及び/又は炎症性損傷マー
カーのレベルは、消費物品の日々の投与の2、3又は4週後低減する。

本発明の別の側面として、本明細書に記載されている1種以上のカカオ豆製品及びポリ
フェノールに富む植物抽出物を含む栄養補給食品、ニュートラコスメティック（nutracos
metic）製剤又はニュートリコスメティック（nutricosmetic）製剤が提供される。

上に定義した1種以上のカカオ豆製品及びポリフェノールに富む植物抽出物を含む栄養
補給食品、ニュートラコスメティック製剤又はニュートリコスメティック製剤は、1種以
上の美容上又は栄養学的に許容される担体、補助剤、賦形剤、甘味料、希釈剤、充填材、
緩衝剤、安定剤、保存料、着色料、潤滑剤、又はその他当業者に周知の物質を更に含み得
る。

本明細書で使用される用語「栄養補給的に許容される」又は「ニュートリコスメティッ
クに（nutricosmetically）許容される」とは、食品及び食事製品で共通に又は広く使用
されている一般に非毒性と考えられる化合物、物質、組成物、及び/又は剤形であって、
、例えば、US FDA指定「GRAS」(Generally Recognised as Safe)、又は他の管轄で同等の
食品添加剤地位を有し得る化合物に関連する。

栄養補給食品、ニュートラコスメティック製剤又はニュートリコスメティック製剤は、
一般に経口投与が意図されており、適切に配合され得る。ニュートラコスメティック製剤
又はニュートリコスメティック製剤は、個体の外見を改良するか又は個体の老化の視覚的
兆候を低減し、遅らせ、若しくは隠すのに有用であり得る。

したがって、本発明は、本明細書中で言及されたいずれかの状態の症状の重症度を治療
し、改善し、予防し、又は低減するために投与し得る。1つの例において、本発明は、本
明細書に述べられているいずれかの状態の開始を予防するのに役立つように予防的に投与
される。本発明は本明細書で述べたいずれかのパラメーターの低減をもたらし得、例えば
、ブドウ糖レベルの食後上昇を低減し得る。

本発明の最後の側面は少なくとも1つのカカオ豆製品及びポリフェノール化合物を含む
消費物品を提供し、ここで上記ポリフェノールはアントシアニン、エピカテキン、カテキ
ン及び/又はt-RSV、又はこれらの組合せを含む、又はそれらからなる群から選択される。

一実施形態において、消費物品は100～150μg/g、より好ましくは130～145μg/gのアン
トシアニンを含む。

別の実施形態において、消費物品は10μg～800μg/gのエピカテキン及び/又はカテキン
、好ましくは10～40μg/g、更により好ましくは300～800μgのエピカテキン及び/又はカ
テキンを含む。

或いは、消費物品は25～150μg/gのt-RSV、好ましくは30～120μg/gのt-RSVを含み得る
。一実施形態において、消費物品は34～106μg/gのt-RSVを含む。別の実施形態において
、消費物品は30～150μg/g、より好ましくは40～140μg/gのt-RSVを含む。特定の実施形
態において、消費物品は2.5～4.0μg/g、更により好ましくは2.5～3.5、又は2.9～3.0μg
/gのt-RSVを含む。

この実施形態に記載されているポリフェノールは合成であってもよく、即ち化学合成の
ような人工的な手段によって生産されてもよい。上記のポリフェノール及びポリフェノー
ルに富む抽出物及び製品のある範囲の製造方法が当技術分野で公知である。或いは、上に
記載したポリフェノールは植物抽出物のような天然供給源に由来してもよい。一実施形態
において、ポリフェノールはベリー、果実、ブドウ、野菜及び穀物のような植物に由来す
る。適切なベリー、果実、ブドウ、野菜及び穀物の例は上に記載されている。

「及び/又は」とは、本明細書で使用される場合、2つの特定の特徴又は構成要素の、他
を伴うか又は伴わない各々の具体的な開示と考えるべきである。例えば、「A及び/又はB
」とは、各々が明確に本明細書中に記載されているのと同じように、(i) A、(ii) B及び(
iii) A及びBの具体的な開示と考えられるべきである。

文脈上別段の指示がない限り、上に記載した特徴に関する説明および定義は本発明のいずれか特定の態様又は実施形態に限定されることはなく、記載されているすべての態様及び実施形態に等しく適用される。
本開示は以下の実施形態を含む。
実施形態１
1種以上のカカオ豆製品とポリフェノールに富む植物抽出物とを含む消費物品であって、前記消費物品は1～20%の植物抽出物を含み、好ましくは前記カカオ豆製品が10～50%のココアバター及び/又はココア固形分を含む、消費物品。
実施形態２
前記カカオ豆製品が10～50%のココアバター及び/又はココア固形分を含み、前記消費物品は製品全体の3～10重量%、好ましくは3～6重量%のポリフェノールに富む植物抽出物を含む、実施形態1に記載の消費物品。
実施形態３
前記カカオ豆製品が少なくとも10%のココアリカー及び/又は少なくとも10%のココアバター及び/又は少なくとも25%のココア固形分を含む、実施形態2に記載の消費物品。
実施形態４
消費物品全体の37重量%のココア固形分及び約5重量%のポリフェノールに富む植物抽出物を含む、実施形態3に記載の消費物品。
実施形態５
消費物品全体の4～16重量%のポリフェノールに富む植物抽出物を含む、実施形態1に記載の消費物品。
実施形態６
消費物品全体の約5又は10重量%のポリフェノールに富む植物抽出物を含む、実施形態5に記載の消費物品。
実施形態７
前記カカオ豆製品が少なくとも50%のココアバター及び/又はココア固形分を含む、実施形態5又は6に記載の消費物品。
実施形態８
1～99%のカカオ豆製品を含む、実施形態1～7のいずれかに記載の消費物品。
実施形態９
スプレッド、ペースト、クリーム、菓子若しくはベーカリー製品、ヘルスバー（health bar）又はその他の健康用消費物品である、実施形態8に記載の消費物品。
実施形態１０
前記ポリフェノールは両親媒性及び/又は疎水性のポリフェノールである、実施形態1～9のいずれかに記載の消費物品。
実施形態１１
前記ポリフェノールがスチルベノイド、カテキン、エピカテキン、ガロカテキン、アントシアニン、アントシアニジン、クルクミン、フラボン、フラバノール、フラバノン、イソフラボン、カルコン、フェノール酸及びリグナンを含む群から選択される、実施形態1～10のいずれかに記載の消費物品。
実施形態１２
前記ポリフェノールがスチルベノイド、アントシアニン、カテキン及び/又はエピカテキンから選択される、実施形態11に記載の消費物品。
実施形態１３
前記スチルベノイドがレスベラトロールであり、好ましくはtrans-レスベラトロール（t-RSV）である、実施形態11に記載の消費物品。
実施形態１４
前記植物抽出物が、ベリー、果実、ブドウ、ナッツ、野菜、穀物及びその他の植物製品を含む群のうちの少なくとも1つであるか、又はそれに由来するものである、実施形態1～13のいずれかに記載の消費物品。
実施形態１５
前記ベリーが、アロニア、チョークベリー、ローワンベリー、ビルベリー、ブルーベリー、クランベリー、ブラックカラント、レッドカラント、チェリー、アサイー、バーバー（barber）、シーバックソーン及びブラックベリーを含む群から選択される、実施形態14に記載の消費物品。
実施形態１６
前記ベリーがアロニアである、実施形態14に記載の消費物品。
実施形態１７
前記果実がバオバブフルーツである、実施形態14に記載の消費物品。
実施形態１８
前記穀物がソバ、オオムギ、ワイルドライス又は黒米である、実施形態14に記載の消費物品。
実施形態１９
前記植物がソレル、タデ及びルバーブから選択される、実施形態14に記載の消費物品。
実施形態２０
前記消費物品がカロテノイド、必須脂肪酸、ビタミン、乳漿のタンパク質又はペプチド、アミノ酸、ミネラルを含む群から選択される1種以上の追加の作用物質を含む、実施形態1～19のいずれかに記載の消費物品。
実施形態２１
前記カロテノイドはリコピンである、実施形態20に記載の消費物品。
実施形態２２
前記消費物品は0.05～0.10%のリコピン、好ましくは0.07%のリコピンを含む、実施形態21に記載の消費物品。
実施形態２３
前記消費物品は細菌及び/又は真菌発酵の抽出物又は産物を更に含む、実施形態1～22のいずれかに記載の消費物品。
実施形態２４
前記カカオ豆製品はココアバター及び/又はココアリカー及び/又はココアパウダーである、実施形態1～23のいずれかに記載の消費物品。
実施形態２５
前記消費物品はチョコレートである、実施形態1～24のいずれかに記載の消費物品。
実施形態２６
前記チョコレートがミルクチョコレート、ダークチョコレート又はホワイトチョコレートである、実施形態25に記載の消費物品。
実施形態２７
前記消費物品は50%以上のチョコレートを含む、実施形態1～26のいずれかに記載の消費物品。
実施形態２８
前記消費物品は1～49%のチョコレートを含む、実施形態1～26のいずれかに記載の消費物品。
実施形態２９
前記チョコレートはミルクチョコレートであり、前記消費物品が5%又は10%のアロニア抽出物を含む、実施形態26に記載の消費物品。
実施形態３０
前記消費物品は0.07%のリコピンを更に含む、実施形態29に記載の消費物品。
実施形態３１
前記チョコレートはダークチョコレートであり、前記消費物品は5%又は10%のアロニア抽出物を含む、実施形態26に記載の消費物品。
実施形態３２
前記消費物品は消費物品全体の0.07重量%のリコピンを更に含む、実施形態31に記載の消費物品。
実施形態３３
前記チョコレートはホワイトチョコレートであり、前記消費物品は5%又は10%のアロニア抽出物を含む、実施形態26に記載の消費物品。
実施形態３４
前記消費物品は消費物品全体の0.07重量%のリコピンを更に含む、実施形態33に記載の消費物品。
実施形態３５
1種以上のカカオ豆製品とポリフェノールに富む植物抽出物とを含む消費物品であって、ポリフェノール-カカオ豆製品結晶クラスターを含む、消費物品。
実施形態３６
ポリ-フェノール-カカオ豆製品結晶のうち、小さいクラスターを少なくとも50%、及び/又は大きいクラスターを最大で20%含む、実施形態31に記載の消費物品。
実施形態３７
前記植物抽出物はアロニア抽出物である、実施形態35又は36に記載の消費物品。
実施形態３８
食品はチョコレートである、実施形態35～36のいずれかに記載の消費物品。
実施形態３９
抗酸化性、抗炎症性、抗低酸素、血管サポート及び/又は他の健康上の利益を有する消費物品を製造する方法であって、カカオ豆製品をポリフェノールに富む植物抽出物と組み合わせることを含む、方法。
実施形態４０
前記消費物品はチョコレートであり、前記チョコレートはミルクチョコレート又はホワイトチョコレートであり、前記抗酸化性、抗炎症性、抗低酸素、血管サポート及び/又は他の健康上の利益はダークチョコレートと少なくとも同等である、実施形態39に記載の方法。
実施形態４１
前記消費物品はチョコレートであり、前記チョコレートはダークチョコレートである、実施形態35に記載の方法。
実施形態４２
ブドウ糖レベルの食後上昇を低減することができる消費物品を製造する方法であって、カカオ豆製品をポリフェノールに富む植物抽出物と組み合わせることを含み、好ましくは前記消費物品はチョコレートである、方法。
実施形態４３
血中ブドウ糖値の食後上昇を予防又は低減する方法であって、実施形態1～32のいずれかに記載の消費物品を、それを必要とする患者に投与することを含む、方法。
実施形態４４
カカオ豆製品及び植物ポリフェノールの健康に有益な特性を相乗的に増大させる方法であって、前記健康に有益な特性が、抗酸化、抗炎症、免疫系調節、視力サポート、抗低酸素及び血管サポート活性のうちの少なくとも1つを含み、前記方法は、カカオ豆製品をポリフェノールに富む植物抽出物と組み合わせることを含む、方法。
実施形態４５
血清中のレスベラトロールのレベルを増大させる方法であって、実施形態1～40のいずれかに記載の消費物品を、それを必要とする患者に投与することを含む、方法。
実施形態４６
血清中のカテキン及び/又はエピカテキン及び/又は別のポリフェノールのうちの少なくとも1つのレベルを増大させる方法であって、実施形態1～40のいずれかに記載の消費物品を、それを必要とする患者に投与することを含む、方法。
実施形態４７
血清中のカテキン及び/又はエピカテキン及び/又は別のポリフェノールのうちの少なくとも1つのレベルの前記増大は、同一重量のダークチョコレートの消費後の血清中のカテキン及び/又はエピカテキン及び/又は別のポリフェノールのうちの少なくとも1つのレベルと少なくとも等しい、実施形態40に記載の方法。
実施形態４８
メタボリックシンドローム、糖尿病、炎症性状態、アテローム性動脈硬化症、癌、眼疾患、皮膚の老化、細菌性及びウィルス性の感染症、及び他の組織、並びに心臓血管系、神経系、骨格筋系又は肝臓の病態を含む群から選択される障害の治療及び/又は予防のための方法であって、実施形態1～40のいずれかに記載の消費物品を、それを必要とする患者に投与することを含む、方法。
実施形態４９
医薬として使用するための、実施形態1～40のいずれかに記載の消費物品。
実施形態５０
メタボリックシンドローム、糖尿病、炎症性状態、アテローム性動脈硬化症、癌、眼疾患、メタボリックシンドローム及び皮膚の老化、細菌性及びウィルス性の感染症、及び他の組織、並びに心臓血管系、神経系、骨格筋系又は肝臓の病態から選択される障害の治療及び/又は予防において使用するための、実施形態1～40のいずれかに記載の消費物品。

1.チョコレートの栄養価の強化のためのポリフェノールの供給源
この目的で、ココア中に存在するのと同じタイプのインスリン支持ポリフェノール、ア
ントシアニン及び同じ形態のカテキンでチョコレートの栄養価を高めることが決定された
。ココアからポリフェノール抽出物を得ることは可能であるが、これには少なくとも2つ
の主要な難点、即ちこの供給源の持続可能性及びそのコストがある。加えて、現在のチョ
コレートを生産するのに使用される「ダッチング」工程は、ココア中に元々存在するポリ
フェノールのレベルを有意に低減する。

この問題を回避するために、多数の植物供給源をスクリーニングし、抽出物を得、カカ
オのものと類似又は同じ形態であり、インスリン代謝に有益であることが知られているア
ントシアニン及びカテキン/エピカテキンに焦点を当てて分析した(Castro-Acosta ML et
al., (2016), Park E et al., (2016), Li D et al., (2015), Ramirez-Sanchez I et al
. (2013) and Dorenkott MR et al. (2014))。

この研究の結果を表2に示す。生産加工の結果としてダークチョコレートは生のココア
よりずっと低いレベルのカテキン(及びある種の他のポリフェノール)を含有する。ココア
の健康上の利益に関する全ての蓄積・公表された証拠は、ココア原料ではなくダークチョ
コレートが消費された試験で得られたので、基準製品としてチョコレートを使用すること
を決定した。

表3に挙げた結果は、ソバ及びビルベリーのような幾つかのヨーロッパの植物がカテキ
ンの良好な供給源であることを示している。しかしながら、この群で最も高い濃度はアロ
ニアであった。全体としてカテキン含量において予想外の「チャンピオン」はアフリカの
木バオバブの果実であり、その濃度は生のカカオ豆より2.5倍も高かった。

アントシアニンに関して最も高い濃度は、3種のベリー、即ちブルーベリー、ビルベリ
ー及びアロニアで検出された。

供給源の異なる全く同じベリーを用いて研究したところ、これらのポリフェノールの濃
度は栽培品種間でも大きく変化しやすいことが判明した。

表3及び4に示されているように、ブルーベリーの1つの栽培品種Blue Goldのカテキンの
含量は、多くの他の変種より顕著に高く、最大で100倍もある。ポリフェノールの別の重
大な群、アントシアニン及びアントシアニジンについてもこれと同じ変動性が、表4に示
されているように異なる栽培品種で観察された。

このポリフェノール濃度の予測不能性は、同じ国で育っていても、ある範囲の植物、即
ちバオバブ(表2)、ビルベリー(データは示さない)及びアロニア変種で観察された(表5)。

これは、カテキン、若しくはアントシアニン、又はおそらくはその他のポリフェノール
に充分に富む抽出物を得るためにブルーベリー、若しくはアロニア、又はその他任意の供
給源を単に使用することが、(上記の健康上の利益に関して)ダークチョコレートと同等の
機能性のミルクチョコレート、又は任意の他の形態のチョコレートの作製に適切ではない
可能性があることを示している。

カテキンが適切に富む供給源の同定後、そのプロファイルをカカオカテキンと比較する
ことが重要であった。アロニア及びカカオの２つの形態のカテキン、すなわちエピカテキ
ン及びその凝集三量体の比較を図2に示す。

2. 抽出物埋め込み工程及びその検証
栄養価を高めた機能性チョコレートを作製するためにGreen & Black、ミルクチョコレ
ート、ダークチョコレート(図3)及びホワイトチョコレート(図示なし)を使用した。これ
らのチョコレート中のカテキン及び他の生理的に活性な健康に有益な分子の濃度を表6に
示す。

抽出物をチョコレートに埋め込む工程は変化しやすく、チョコレートのタイプ-即ちミ
ルク、ダーク又はホワイトのみでなく、多数の他の特定のチョコレートパラメーターにも
依存し、それらには、限定はされないが以下のものが含まれる:
- 溶けたチョコレートの粘度
- レシチン、又は他の乳化剤濃度
- テンパリングプロトコル
- 乳タンパク質/脂肪含有量 等

チョコレート中への抽出物の上首尾の埋め込みの検証のために、光顕微鏡の詳細に適応
させた本発明者ら自身のチョコレートサンプル調製技術を使用した。

更なる実験のためにブルーベリー、ビルベリー及びアロニアの抽出物を選択した。幾つ
かのプロトタイプを作成した後、首尾よく均一な分布を得、それは異なるチョコレート母
材に対して常に異なっていた。

また、ある範囲の機能性ミルクチョコレートを作製するために、これを他の健康に有益
な分子、例えばカロテノイドとの共埋め込みと組み合わせた。埋め込みの成功が顕微鏡で
確認され、図3にその例が示されている。

特定のタイプのチョコレート母材への埋め込みの方法を定量化し標準化し、生産及び潜
在的な効能の再現性を保証するために、標準化されたアルゴリズムを開発することが重要
であった。これは、例えば、特定の抽出物が埋め込まれた様々な大きさの多数のチョコレ
ート結晶を定量化することによる、異なるタイプのチョコレートに対する特定のプロファ
イルを含む。

かかる分析の一例を表7に示す。

3. 臨床評価 - 食後の研究
最初の最も重要な研究は、本発明者らの新しいチョコレート製品の食後ブドウ糖レベル
に対する影響を証明することであった。

これらの目的のために本発明者らはアロニア抽出物を選択し、それに基づいてこの試験
用に幾つかの製品を開発した:
- 500mg及び1,000mgのアロニア抽出物を有する10gのホワイトチョコレートピース
- 500mgのアロニア抽出物を有する10gのミルクチョコレートピース、
- 500mgのアロニア抽出物及び7mgのリコピンを有する10gのミルクチョコレートピース、
- 500mg及び1,000mgのアロニア抽出物を有する10gのダークチョコレートピース、
- 500mg及び1,000mgのアロニア抽出物並びに7mgのリコピンを有する10gのダークチョコ
レートピース、
- 500mgのアロニア抽出物を有する15gのNutellaベースのスプレッド、
- 500mgのアロニアを含有するカプセル。

これは、3人が女性、3人が男性の35-65歳の6人のボランティアによるクロスオーバー臨
床研究であった。それは各々のアーム間に1週間の間隔があるマルチアーム試験であった
。各実験の前に、ボランティアには、果実、野菜又は穀物ポリフェノール及びトマトベー
スの製品を含み得る食品を消費しないように依頼した。実験の日の午前は、いかなる食品
も絶食し、水だけを飲むようにボランティアへ依頼した。

静脈血の血清を分析した。簡単に言うと、10mlの血液を採取し、3,000gで10分間遠心分
離した後血清を分離し、次いでサンプルを等分し、それらの分析まで-80Cで冷凍した。

最初に、製品摂取前にサンプルを採集し、次いで摂取後1時間ごとに4時間サンプルを採
集した。これらのボランティアの血液中の食後ブドウ糖レベルをモニターした結果を表8
に示す。

最初に、ダークチョコレート、又はミルクチョコレート又はホワイトチョコレートのい
ずれかの摂取は、6mmol/L以上に達するブドウ糖レベルの潜在的に有害な上昇をもたらし
たことが示されている。加えて、アロニア抽出物カプセルの摂取もまた、この安全な基準
値を超える食後ブドウ糖の有意な上昇を引き起こした。これはおそらく、この抽出物が、
ベリー由来の他のものと同様に、アントシアニンに富み、その統合部分が異なるタイプの
糖であるという事実に起因する。

コントロールのチョコレートピースをカプセル形態の抽出物と摂取したとき、見かけ上
相加的な食後ブドウ糖レベルの上昇が観察された。

しかしながら、アロニア抽出物が埋め込まれたチョコレートサンプルの摂取後、予想外
の驚きの主要なものが観察された。食後ブドウ糖レベルの少々の上昇はあったが、安全な
健康限度内(即ち6mmol/L未満)であった。同じ効果は、アロニア抽出物と共にリコピンが
埋め込まれている製品でも観察された。

同じ効果は、アロニアの代わりにブルーベリー、又はビルベリー抽出物を使用したとき
にも観察された(表9)。

上記の結果は、これらの新しい製品で食後ブドウ糖レベルがより低いのは、ココア及び
ベリーポリフェノールの組合せだけでなく、チョコレート母材に入って送達されることに
よる、インスリン代謝に関する相乗効果およびブドウ糖の腸吸収の妨害に起因し得うるこ
とを示している。

更により驚くべき結果は、チョコレートが物品全体そのものではなく他の消費物品の一
構成要素でしかない場合に観察された。Nutellaは、チョコレートが製品の全質量の7.4%
のみである人気のあるスプレッドである。クロスオーバー研究で、ボランティアが500mg
のアロニア抽出物を含む15gのこのスプレッドを摂取したとき、食後ブドウ糖のレベルは
、同じ量だが未修飾のスプレッドの摂取後より有意に低かった(表10)。

これらは、小規模で割合が少ない成分の健康改善特性が消費物品全体の健康上の利益に
翻訳された場合である、予想外の結果であった。

4. 臨床評価 - 効能研究
アロニア抽出物が埋め込まれたダークチョコレートだけでなくミルクチョコレートも、
食後ブドウ糖に対してネガティブに影響しないことが証明されたので、最初のその効能研
究は安全であった。

エピカテキン及びアントシアニンは、抗酸化及び抗炎症特性があることがよく報告され
ている。したがって、研究の主な目的は、酸化及び炎症性ダメージの血液マーカーのレベ
ルに対する本製品の潜在的影響を評価することであった。

この目的のため、血液がこれらのマーカーの存在について陽性である40人の人々が採用
された。彼らは全員コーカサス人であり、43～68歳で、24人が男性、16人が女性であり、
重病も悪条件もなかった。全ての参加者を8人ずつの5つの群にランダムに分けた。試験の
間、彼ら全員に、その日常の食事及びライフスタイルを変えないように依頼した。

各製品は一日に一回だけ投与し、試験は4週間続けられた。

この研究の結果は、アロニア-ミルクチョコレート及びアロニア-ダークチョコレートが
いずれも、コントロールのチョコレート及びアロニアカプセルより顕著に強力な抗酸化及
び抗炎症効果を有していたことを示している(表11及び12)。また、ダークチョコレートと
同等、又はそれより更に強力な抗酸化及び抗炎症効果を有する栄養価を高めたミルクチョ
コレートを開発することができるということも示している。

加えて、これらのCAPチョコレートの潜在的な抗低酸素効果、特に酸素組織飽和レベルS
tO₂を研究した。これらの結果を表13に示す。

これらの観察結果は、この完成品の能力より著しく低いであろうその「個々の成分」の
効果の単なる組合せによっては説明できないであろう。これのもっともらしい説明の1つ
は、この効果の向上の背後に、上記食後研究において観察されたものと同じ相乗効果、す
なわちチョコレート母材内のコカ及びベリーポリフェノールの組合せがあるということで
ある。

チョコレートの栄養価の強化における主な難題の1つは、新しくそれに導入される分子
又は物質のかなり速い分解である。この背後にある主な理由はチョコレート固有の組成で
あり、それはその性質上、微生物及び真菌発酵の産物である。それは、酸性の環境を有す
るだけでなく、そこに存在する活性な分解酵素も有する。組み合わさったこれは、多くの
新しく導入される成分に対して過酷な環境を創り出し、それらの破壊及び不活性化を引き
起こし得る。

5. チョコレートの栄養価の強化のためのt-RSVの供給源
上述の通り、チョコレートの栄養価を高めることは極めて困難である。チョコレートは
酸性の環境を有するだけでなく、チョコレート母材中のあらゆる追加の成分に対して過酷
な環境を創り出す幾つかの分解酵素も含む。

この障壁を克服するために、チョコレート母材だけでなくヒトの消化系の分解要因から
もt-RSVを保護することができる新しい技術が開発された。この技術によって、t-RSVが保
護され、未変性の活性形態でその吸収を増大するのに役立つチョコレートが創られる。

この目的のために、有意で商業的に実現可能なレベルのt-RSVを含む植物抽出物でチョ
コレートの栄養価を高めることに決めた。t-RSVは生のカカオ中にその最も高い濃度で存
在するが、その殆どは製造工程中に失われ、仕上がったダークチョコレートで得られるレ
ベルはおよそ0.09-1.29-2μg/gである(表14)。レスベラトロールの商業上の供給源として
、生のカカオは少なくとも2つの主要な難点－この供給源の持続可能性及びそのコスト－
を有する。

代替の供給源を見出すべく多数の植物抽出物をスクリーニングした。結果は表14に示さ
れているが、幾つかの植物が赤ブドウより顕著に高いレベルのt-RSVを有することが示さ
れている。これらの中にはアロニア、ブルーベリー、ビルベリー、モレロチェリー及びバ
ーベリーのようなベリー、並びに穀物、ソバがある。

同じベリーでも、異なる供給源のものを用いて研究したところ、t-RSVの濃度は、ポー
ランド産又はチェコ共和国産のブルーベリーのように異なる地域間だけでなく(表14)、同
じ国で育った栽培品種間でも有意に変化しうることが分かった。

表15に示されているように、例えばAurora、Late Blue又はBlue Gold 2のようなブルー
ベリーの1つの栽培品種におけるt-RSVは、これらのベリーの他の変種より有意に、最大で
100倍も高くなり得た。

同様の多様性は別のベリーであるAroniaについても観察された。表16に示す結果は、同
じ国のポーランド内で採集した変種間でさえも、t-RSV濃度において、最大10倍の変化が
あることを示している。

6. t-RSVの薬物動態
ビルベリー及びアロニア抽出物が埋め込まれた本発明のダークチョコレート及びミルク
チョコレートのt-RSVの薬物動態(PK)を評価するために、同じボランティア群でクロスオ
ーバー臨床研究を行った。これらに加えて、このクロスオーバー研究に、チョコレートが
少量のみの成分であるNutellaスプレッドを含む、さらに数個の群を加えた。研究の設計
及びサンプルの採集は上に記載したブドウ糖の食後研究と同様にした。

加えて、参加者は、2つの他のt-RSVコントロール製品、即ち、グラス2杯の赤のBurgund
yワイン及び1カプセルの99%純度の結晶化trans-レスベラトロール(Symrise)を互いに1週
の間隔で消費した。

この研究の結果を表17に示す。赤ワインの形態で消費した1mgのt-RSVが、摂取後最初の
4時間の曲線下面積(AUC)および最大濃度の両方に関して、この分子の血清中最大濃度をも
たらしたことが示されている。

t-RSVを100倍高い用量で、しかしながら、結晶化形態で摂取したとき、その薬物動態パ
ラメーターは赤ワインの消費後に観察された値より低いままだった。

ミルクチョコレート又はダークチョコレートのコントロールサンプルを摂取した後のt-
RSV血清レベルに大差はなかった。ブルーベリー抽出物を含むミルクチョコレートの摂取
はコントロールサンプルと同じレベルのレスベラトロールをもたらした。ホワイトチョコ
レート又はNutellaの摂取では検出可能な血中レスベラトロールは得られなかった。

しかしながら、まったく予想外なことには、アロニア抽出物が埋め込まれたミルクチョ
コレートを摂取した後のt-RSVのレベルはレスベラトロールのPKが約8倍に増大した(表17)
。

ダークチョコレートの場合、ブルーベリー又はアロニアが埋め込まれた製品の摂取後、
t-RSVの血清中濃度において同じ相乗的増強が観察された。後者の場合、その増強は10倍
であり、レスベラトロール濃度の最大レベルに関しては赤ワインの消費後に観察されたの
と同じレベルに達した。

アロニア抽出物を含むNutellaスプレッドの摂取は、ボランティアの血清中に、小さい
が注目に値するt-RSVの出現をもたらした。

この観察された相乗作用は実に印象的であった。10gのチョコレートピースに加えられ
たベリー抽出物の形態のレスベラトロールの物理量はたった約29か30μgであった。これ
は、チョコレート中に存在するその固有の量と組み合わせると、摂取した製品当たり30-3
5μgの範囲の結果となるであろう。言い換えると、本発明製品は、100mgのその結晶化形
態又はグラス2杯分/ハーフボトルの赤Burgundyに匹敵するtrans-レスベラトロールのバイ
オアベイラビリティのレベルを提供した。

これらの結果は、新しいSIRTチョコレート、即ち本発明のチョコレートが、ヒトの血液
中の未変性で活性なt-RSVの唯一の有意な供給源としての赤ワインの独占状態を崩すこと
ができるということを証明した。

本発明は、SIRTタンパク質のみでなくレスベラトロールの他の代謝標的も活性化すると
いう複数の健康上の利益をもたらすことができる新しい機能性消費物品の開発のためのプ
ラットフォームとなり得る。その味が美味しければ、ワインがあってもなくても、より多
くの人々が自身の健康に気を配ることを楽しむことができるだろう。

7. エピカテキン/カテキン薬物動態
アロニア抽出物が埋め込まれた本発明のミルクチョコレートのエピカテキン/カテキン
の薬物動態(PK)を評価するために、クロスオーバー臨床研究を行った。ボランティアの数
は各群とも35～66歳の8人で、4人が男性、4人が女性であった。摂取したチョコレートピ
ースの量は1人当たり10gであった。12時間の絶食後の午前にグラス半分の温水で製品を摂
取し、研究の各アームのその期間中、他の食品は摂らなかった。

図6に示した結果から、曲線下面積に関して、エピカテキン代謝産物の、エピカテキン
サルフェートとO-メチルカテキンサルフェートを組み合わせた濃度は、ミルクチョコレー
ト(共結晶したアロニア及びカカオポリフェノールを有するカカオ37%)の場合、標準的な
ダークチョコレート(カカオ50%)より2.75倍高かったことが分かる。

チョコレートが副次的な構成要素であるか、又は全く存在しない製品のクロスオーバー
薬物動態研究の結果は全く予想外であった。1グラムのアロニア抽出物の摂取後の1時間～
4時間のAUCは、0.22mg/mlのカテキン代謝産物であった。この抽出物をNutellaに埋め込ん
だとき、750mgの低用量であっても、そのAUCの増大はコントロールの抽出物より約6.8倍
も高かった。

8. アロニアCyaGalアントシアニン薬物動態
CyaGal及びCyaAraはアロニアの主なアントシアニンである。これらが組み合わさった薬
物動態(PK)を評価するために、幾つかの本発明製品の摂取後、上記クロスオーバー研究で
採集した同じ血清サンプルのアリコートを使用した。

アロニア抽出物を有するNutellaの摂取後のアントシアニンについてのAUCは、アロニア
抽出物自体の摂取後の曲線と同等であったが、特に補強ホワイトチョコレートの摂取の結
果、血液中のこれらの分子の濃度は2倍超及び4倍に増大した(表19)。

結論として、ポリフェノールに富む植物抽出物を、チョコレート母材中、又はチョコレ
ートが副次的な構成要素でしかない製品に埋め込むと、ポリフェノールのバイオアベイラ
ビリティ及び有効性は超相加的に増大する。従来の栄養価強化は、生理活性分子同士の、
又は食品母材の分子との相互作用をすることはなく、生理活性分子の単なる追加をもたら
すのみとなることから、この効果は予想外のことであった。

参考文献

Claims (11)

1. 消費チョコレート製品であって、
   １種以上のカカオ豆製品と、前記消費チョコレート製品全体の１～２０重量％の、ポリフェノールに富む植物抽出物と、ポリフェノール－カカオ豆製品結晶のクラスターとを含み、
   前記ポリフェノールに富む植物抽出物は、ベリーに由来するヒドロゲルであり、前記ベリーは、アロニア、チョークベリー、ローワンベリー、ビルベリー、ブルーベリー、クランベリー、ブラックカラント、レッドカラント、チェリー、アサイー、バーベリー、シーバックソーン及びブラックベリーからなる群から選択され、かつ前記ヒドロゲルは固体で、乾燥しておらず、遊離の水を含まない、
   消費チョコレート製品。
2. 前記カカオ豆製品が１０～５０％のココアバター及び／又はココア固形分を含み、前記消費チョコレート製品は消費チョコレート製品全体の３～１０重量％のポリフェノールに富む植物抽出物を含む、請求項１に記載の消費チョコレート製品。
3. 消費チョコレート製品全体の４～１６重量％のポリフェノールに富む植物抽出物を含み、前記カカオ豆製品が少なくとも５０％のココアバター及び／又はココア固形分を含む、請求項１に記載の消費チョコレート製品。
4. スプレッド、ペースト、クリーム、菓子若しくはベーカリー製品、ヘルスバー（ｈｅａｌｔｈ ｂａｒ）又はその他の健康用消費製品である、請求項１に記載の消費チョコレート製品。
5. 前記ポリフェノールがスチルベノイド、カテキン、エピカテキン、ガロカテキン、アントシアニン、アントシアニジン、クルクミン、フラボン、フラバノール、フラバノン、イソフラボン、カルコン、フェノール酸及びリグナンからなる群から選択される、請求項１に記載の消費チョコレート製品。
6. 前記スチルベノイドがレスベラトロールである、請求項５に記載の消費チョコレート製品。
7. 前記消費チョコレート製品がカロテノイド、必須脂肪酸、ビタミン、乳漿のタンパク質又はペプチド、アミノ酸、及びミネラルから群から選択される１種以上の追加の作用物質をさらに含む、請求項１に記載の消費チョコレート製品。
8. 前記カロテノイドはリコピンであり、前記消費チョコレート製品は０．０５～０．１０％のリコピンを含む、請求項７に記載の消費チョコレート製品。
9. 前記レスベラトロールはｔｒａｎｓ－レスベラトロール（ｔ－ＲＳＶ）である、請求項６に記載の消費チョコレート製品。
10. 前記カロテノイドはリコピンであり、前記消費チョコレート製品は０．０７％のリコピンを含む、請求項８に記載の消費チョコレート製品。
11. ココアバターを含まない、請求項１に記載の消費チョコレート製品。