JP7484276B2 - 溶融樹脂の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、溶融樹脂の製造方法に関する。具体的には、本発明は、少なくとも2種の樹脂を混練押出機で溶融する工程を含む溶融樹脂の製造方法に関する。
一般的な不織布は繊維を交絡させることで得られ、繊維種や製造方法によって分類がなされている。例えば、スパンボンド不織布は、微細なノズルから溶融樹脂を連続的に吐出し、形成された樹脂繊維を交絡させることで製造される。不織布は、吸収性物品等を構成する種々の部材に使用されており、不織布に求められている物性は多岐に渡る。例えば、不織布の風合い等を改良するために、不織布を構成する樹脂を複数種の樹脂とすることなどが行われている。
例えば、特許文献1には、2段階法による高分子量エチレンポリマーおよび低分子量エチレンポリマーの溶融混合法が開示されている。ここでは、第1段階において、約50,000ポアズ以上の粘度を有する高分子量エチレンポリマーと約3,000ポアズ未満の粘度を有する低分子量エチレンポリマーとを溶融混合して第1ポリマーブレンドを形成し、次いで第2段階において追加の低分子量エチレンポリマーを第1ポリマーブレンドと溶融混合して第2ポリマーブレンドを形成する工程を経て溶融樹脂が製造されている。
特開平6-182756号公報
しかしながら、従来の溶融樹脂の製造方法においては、融点の差が大きい2種類の樹脂を用いた場合に、溶融樹脂を微細なノズルから吐出する際に樹脂詰まりが発生し、連続操業が困難となる場合があった。また、従来の溶融樹脂の製造方法を用いて、溶融樹脂から樹脂繊維を形成し、不織布を製造した場合、樹脂繊維の糸切れに起因して不織布に欠陥が生じる場合があり問題となっていた。
そこで本発明者らは、このような従来技術の課題を解決するために、溶融樹脂から樹脂繊維を製造する際の連続操業が可能であり、かつ樹脂繊維を形成する際の糸切れの発生を抑制し得る溶融樹脂の製造方法を提供することを目的として検討を進めた。
上記の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、本発明者らは、融点の差が所定以上ある第1の樹脂と、第2の樹脂とを混練押出機で溶融する工程を含む溶融樹脂の製造方法において、混練押出機における原料投入位置から溶融樹脂排出位置までの所定領域の最高温度を適切にコントロールすることにより、連続操業が可能となり、かつ溶融樹脂から樹脂繊維を形成する際の糸切れの発生が抑制されることを見出した。
具体的に、本発明は、以下の構成を有する。
[1] 第1の樹脂と、第2の樹脂とを混練押出機で溶融する工程を含む溶融樹脂の製造方法であって、
第1の樹脂の融点をAとし、第2の樹脂の融点をBとした場合、A-B≧60℃であり、
混練押出機における原料投入位置から溶融樹脂排出位置の全長をLとした場合、混練押出機の原料投入位置からL×0.286までの範囲の最高温度がA+50~A+120℃である、溶融樹脂の製造方法。
[2] 第1の樹脂と、第2の樹脂とを、混練押出機における原料投入位置の上流に備え付けられた樹脂ペレットホッパーで混合する工程をさらに含み、
樹脂ペレットホッパーと混練押出機の連結部内の温度が10~B+10℃である、[1]に記載の溶融樹脂の製造方法。
[3] 第1の樹脂の融点は、150℃以上である[1]又は[2]に記載の溶融樹脂の製造方法。
[4] 第1の樹脂は、ポリプロピレンである[3]に記載の溶融樹脂の製造方法。
[5] 第2の樹脂の融点は、1~100℃である[1]~[4]のいずれかに記載の溶融樹脂の製造方法。
[6] 第2の樹脂は、低結晶性ポリプロピレン及びプロピレン-エチレン共重合体から選択される少なくとも1種である[5]に記載の溶融樹脂の製造方法。
[7] 混練押出機における原料投入位置から溶融樹脂排出位置までの間で、混練押出機の原料投入位置からL×0.143~L×0.286までの範囲の最高温度が最も高い、[1]~[6]のいずれかに記載の溶融樹脂の製造方法。
[8] 混練押出機のL×0.571よりも下流側の範囲の最高温度が、混練押出機の原料投入位置からL×0.286までの範囲の最高温度よりも、20℃以上低くなる、[1]~[7]のいずれかに記載の溶融樹脂の製造方法。
[9] 溶融樹脂の全質量に対して、第2の樹脂の含有量が5~95質量%である、[1]~[8]のいずれかに記載の溶融樹脂の製造方法。
[10] 混練押出機は、一軸混練押出機である[1]~[9]のいずれかに記載の溶融樹脂の製造方法。
[11] 溶融樹脂は、樹脂繊維製造用である[1]~[10]のいずれかに記載の溶融樹脂の製造方法。
[12] 溶融樹脂は、吸収性物品に含まれる不織布シート製造用である[1]~[11]のいずれかに記載の溶融樹脂の製造方法。
また、本発明は、[1]~[12]に記載の溶融樹脂の製造方法により製造された溶融樹脂に関するものであってもよく、該溶融樹脂を紡糸することで得られた樹脂繊維に関するものであってもよく、該樹脂繊維から製造される不織布に関するものであってもよい。
本発明の製造方法によれば、溶融樹脂から樹脂繊維を製造する際の連続操業が可能となり、かつ樹脂繊維を形成する際の糸切れの発生を抑制することができる。
図1は、混練押出機及び連結部材の構成を説明する概略図である。 図2は、混練押出機の各領域を説明する概念図である。 図3は、混練押出機の内部構成を説明する概略図である。
以下において、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は「~」前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
(溶融樹脂の製造方法)
本発明は、第1の樹脂と、第2の樹脂とを混練押出機で溶融する工程を含む溶融樹脂の製造方法に関する。ここで、第1の樹脂の融点をAとし、第2の樹脂の融点をBとした場合、A-B≧60℃である。そして、混練押出機における原料投入位置から溶融樹脂排出位置の全長をLとした場合、混練押出機の原料投入位置からL×0.286までの範囲の最高温度がA+50~A+120℃である。なお、本明細書において、混練押出機内の温度とは、混練押出機内部に備え付けられたセンサーが示す温度である。
従来、異種の樹脂を溶融混練する際には混練を多段階で行うなどして、工程が煩雑になるといった問題があった。特に融点の差が大きい異種の樹脂を溶融混練する際には、各々の樹脂を適切に溶融し、かつ混練することが難しく、溶融樹脂から樹脂繊維を製造する際の連続操業ができなかったり、樹脂繊維の糸切れが多発する等の不具合が生じる場合があった。そこで、本発明では、融点の差が60℃以上(A-B≧60℃)ある第1の樹脂と第2の樹脂を溶融混練する際に、混練押出機内の温度を所定条件とすることとした。具体的には、混練押出機における原料投入位置から溶融樹脂排出位置の全長をLとした場合、混練押出機の原料投入位置からL×0.286までの範囲の最高温度をA+50~A+120℃とした。これにより、融点の差が60℃以上(A-B≧60℃)ある第1の樹脂と第2の樹脂を溶融混練する場合であっても、溶融樹脂から樹脂繊維を製造する際に押出機内部で発生する樹脂詰まりを解消でき、樹脂繊維の製造において連続操業が可能となった。さらに、樹脂繊維の糸切れの発生を抑制することにも成功し、これにより、樹脂繊維から不織布を形成した際の不織布の欠陥検出率を大幅に低減することに成功した。
本発明の溶融樹脂の製造方法は、樹脂詰まりの発生を抑制できるため、微細なノズルから溶融樹脂を連続的に吐出し、樹脂繊維を製造するために用いられることが好ましい。すなわち、本発明の製造方法で製造される溶融樹脂は、樹脂繊維製造用の樹脂であることが好ましい。なお、本発明は、上記溶融樹脂の製造工程を含む樹脂繊維の製造方法に関するものであってもよい。
ここで、押出機内部で発生する樹脂詰まりの有無は、例えばポリマーフィルターの上流に連結する連結配管内の圧力をモニターすることで評価できる。通常、押出機内部での温度が適切でないと、融点の異なる2種類の樹脂のうち一方のみが先に溶融し、その溶融物が潤滑油のように作用して未溶融の樹脂ペレットが剪断力により溶融・混練することを阻害するものと考えられる。その結果、溶融が不十分な状態で押出機内部を通過するため、未溶融の樹脂がスリップしながら詰まり、溶融樹脂の排出が不十分になる。その結果、ポリマーフィルターの上流に連結する連結配管内の圧力が低下する現象が見られる。このため、本実施形態においては、連結配管内の圧力が所定値以上である場合に樹脂詰まりがないと判定できる。
また、樹脂繊維の糸切れの発生については、COGNEX社製のSmartView自動欠陥検査システムを用いて評価することができる。樹脂繊維の糸切れが発生した場合は、スパンボンド不織布において樹脂塊の欠陥として検出されるため、白色の樹脂塊をカウントすることで糸切れ発生の頻度を評価することができる。
図1は、混練押出機及び混練押出機に連結される部材の構成を説明する概略図である。図1に示されるように、押出機溶融混練部10の上流には、押出機フィード部入口20が連結されており、ホッパー26と押出機の連結部22から第1の樹脂及び第2の樹脂が混合された状態で投入される。なお、通常、第1の樹脂及び第2の樹脂は樹脂ペレットとして投入される。そして、第1の樹脂及び第2の樹脂の融点の差は60℃以上(A-B≧60℃)あり、これらの樹脂が溶融混練される。なお、Aは、第1の樹脂の融点であり、第1の樹脂は、混練する樹脂の内、最も融点の高い樹脂であって、Bは、第2の樹脂の融点であり、第2の樹脂は、混練する樹脂の内、最も融点の低い樹脂である。
押出機フィード部入口20のさらに上流には、モーターと減速機50が連結されており、このモーターは混練軸を回転させるためのモーターである。なお、押出機溶融混練部10と押出機フィード部入口20は直接連結されていてもよく、連結部材を介して連結されていてもよい。また、押出機フィード部入口20とモーターと減速機50の間にも連結部材が設けられていてもよい。
押出機溶融混練部10の下流には、連結配管40を介してポリマーフィルター30が連結されている。押出機溶融混練部10では、第1の樹脂と第2の樹脂が溶融混練され、溶融樹脂が押出機溶融混練部10の溶融樹脂排出口から排出される。そして、溶融樹脂は連結配管40を通って、ポリマーフィルター30に押し出される。
溶融混練された溶融樹脂を供給する前には、異物を高精度に除去するために、フィルターを使用することが好ましい。フィルターは、ポリマーフィルターであることが好ましく、ポリマーフィルターは、金属繊維を積層焼結したもので、3次元網目構造をもつものであることが好ましい。例えば、リーフディスクフィルター等を用いることができる。フィルターは、目開きが120μm以下であることが好ましく、100μm以下であることがさらに好ましい。
ポリマーフィルターとしては、濾過精度が1μm以上120μm以下の範囲内であることが好ましく、1μm以上100μm以下の範囲内であることがより好ましく、1μm以上90μm以下の範囲内であることが更に好ましい。ポリマーフィルターの濾過精度を上記下限値以上とすることにより、濾過滞留時間を短縮することができ生産効率を高めることに加え、熱可塑性樹脂の熱劣化を抑制することができる。また、ポリマーフィルターの濾過精度を上記上限値以下とすることにより、異物が混入を抑制することができる。
ポリマーフィルターは、上記範囲内の濾過精度を有するポリマーフィルターであれば特には限定されず、従来公知のポリマーフィルターを使用することができる。ポリマーフィルターとしては、例えば、リーフディスクタイプのポリマーフィルター、パックディスクフィルター、円筒型フィルター、キャンドル状フィルターなどが挙げられる。これらの中では、濾過面積が広く、高粘度の樹脂を濾過した場合でも圧力損失が少ないため、リーフディスクタイプのポリマーフィルターがより好ましい。なお、ポリマーフィルターがリーフディスクタイプのポリマーフィルターである場合、フィルターとしては、金属繊維不織布を焼結した材料からなるもの、金属粉末を焼結した材料からなるもの、金網を数枚積層したものなどが挙げられる。これらの中では、金属繊維不織布を焼結した材料からなるものがより好ましい。
上述したポリマーフィルターで濾過を行う際には、ポリマーフィルター内部の温度は溶融樹脂排出口およびポリマーフィルター30のさらに下流に設けられたノズルの温度と同程度であることが好ましい。
図2は、押出機溶融混練部10の各領域を説明する概念図である。図2に示されるように、押出機溶融混練部10の長さ方向の全長はLとして表されている。具体的には、押出機溶融混練部10における原料投入位置Sから溶融樹脂排出位置Fまでの長さがLである。そして、押出機溶融混練部10は、C1~C7までの7領域に分割されており、各領域毎に備え付けられたヒーターによって各領域の温度が制御される。なお、押出機溶融混練部10は、C1~C7までの7領域に分割した際、原料投入位置SからC2領域までは、原料投入位置SからL×0.286までの領域となる。また、原料投入位置SからC1領域までは、原料投入位置SからL×0.143までの領域となる。原料投入位置SからC4領域(C5領域の手前)までは、原料投入位置SからL×0.571までの領域となる。
本発明においては、押出機溶融混練部10の原料投入位置SからL×0.286までの範囲の最高温度がA+50~A+120℃である。なお、Aは、第1の樹脂の融点であり、第1の樹脂は、混練する樹脂の内、最も融点の高い樹脂である。原料投入位置SからL×0.286までの範囲の最高温度は、A+60~A+120℃であることが好ましく、A+70~A+110℃であることがより好ましい。原料投入位置SからL×0.286までの範囲における最高温度は、押出機溶融混練部10における最高温度であることが好ましい。このように、押出機溶融混練部10における所定領域における温度を上記範囲内とすることにより、溶融樹脂を製造する際に、押出機内部で樹脂詰まりが発生することを抑制でき、溶融樹脂から樹脂繊維を製造する場合には糸切れの発生を抑制することができる。
押出機溶融混練部10においては、原料投入位置SからL×0.286までの範囲の最高温度が最高温度となるが、中でも、押出機溶融混練部10の原料投入位置からL×0.143~L×0.286までの範囲の最高温度が最も高いことがより好ましい。すなわち、押出機溶融混練部10の原料投入位置からL×0.143~L×0.286までの範囲の最高温度がA+50~A+120℃であることが好ましく、A+60~A+120℃であることがより好ましく、A+70~A+110℃であることがさらに好ましい。このように、押出機溶融混練部10における特定領域の温度を最高温度とすることにより、溶融樹脂を製造する際に、投入された樹脂を効率的に溶融させ押出機内部で樹脂詰まりが発生することをより効果的に抑制でき、溶融樹脂から樹脂繊維を製造する場合には糸切れの発生をより効果的に抑制することができる。
押出機溶融混練部10においては、押出機溶融混練部10の原料投入位置からL×0.143未満までの領域(C1領域)に比べて、押出機溶融混練部10の原料投入位置からL×0.143~L×0.286までの領域(C2領域)の温度が高いことが好ましい。より具体的には、C1領域の最高温度に比べて、C2領域の最高温度は10℃以上高いことが好ましく、20℃以上高いことがより好ましい。C1領域に比べてC2領域の温度を高くすることにより、押出機フィード部入口20から供給される樹脂ペレットが押出機フィード部入口20内で意図せずに凝集することを抑制でき、これにより、溶融樹脂の製造工程における樹脂詰まりや、樹脂繊維を製造する際の糸切れの発生をより効果的に抑制することができる。
従来、混練押出機を用いて溶融樹脂を製造する際には、樹脂ペレットをなるべく均一に溶融するために、混練押出機の後半にかけて徐々に温度を上げて行く方法が採用されていた。すなわち、C1~C2の領域の最高温度は、C3~C7の領域における最高温度よりも低く設定されていた。しかしながら、本発明では、融点の温度差のある樹脂を均一に溶融するために敢えて押出機溶融混練部10の初期領域C1~C2の領域の最高温度を高く設定することにより、溶融樹脂の連続生産が可能となり、かつ、溶融樹脂から樹脂繊維を製造する際の糸切れの発生を抑制することに成功した。
図1に示されるように、押出機溶融混練部10における原料投入位置Sの上流には、ホッパー26が連結されており、ホッパー26と押出機の連結部22からあらかじめ計量混合器で混合された第1の樹脂ペレット及び第2の樹脂ペレットが投入される。すなわち、本発明の溶融樹脂の製造方法は、第1の樹脂ペレットと、第2の樹脂ペレットとを、混練押出機の上流に備え付けられた計量混合器で混合する工程をさらに含む。そして、第1の樹脂ペレットと、第2の樹脂ペレットを混合した原料を投入する際には、ホッパー26と押出機の連結部内の温度を10~B+10℃に制御することが好ましい。押出機フィード部入口20は、ホッパー26と押出機の連結部22を有しており、ホッパー26と押出機の連結部22の周辺温度も10~B+10℃であることが好ましい。なお、Bは、第2の樹脂の融点であり、第2の樹脂は、混練する樹脂の内、最も融点の低い樹脂である。また、本明細書において、押出機フィード部入口内の温度は、押出機フィード部入口内部に設けられたセンサーの温度であり、ホッパー26と押出機の連結部22の温度は、ホッパー26と押出機の連結部内部に設けられたセンサーの温度である。
ホッパー26と押出機の連結部内の温度を10~B+10℃に制御するためには、樹脂ペレットホッパー26は冷却手段を有していることが好ましい。例えば、樹脂ペレットホッパー26の外周面には冷却水充填空間が設けられていることが好ましく、樹脂ペレットホッパー26の周りを冷却水が循環することで樹脂ペレットホッパー26の温度を10~B+10℃に制御してもよい。この場合、図1に示されるように、樹脂ペレットホッパー26には、冷却水用管24が設けられていることが好ましい、樹脂ペレットホッパー26には、冷却水用管24が2個以上設けられていることが好ましく、1つの冷却水用管24から冷却水を注入しつつ、もう1つの冷却水用管24から冷却水を排出することで冷却水を循環させてもよい。
樹脂ペレットホッパー26やホッパー26と押出機の連結部22の温度を上記範囲内に制御することにより、樹脂ペレットホッパー26内に投入される樹脂ペレットが溶融することを抑制することができる。樹脂ペレットホッパー26内における樹脂ペレットの溶融を抑制することにより、混練押出機10の原料投入口に溶融樹脂が付着することを抑制することができ、これにより、溶融樹脂の歩留まり向上や工程汚れの抑制が達成される。また、樹脂ペレットホッパー26内における樹脂ペレットの溶融を抑制することにより、樹脂繊維の糸切れの発生も抑制することができる。
押出機溶融混練部10においては、押出機溶融混練部10のL×0.571よりも下流側の範囲の最高温度が、押出機溶融混練部10の原料投入位置SからL×0.286までの範囲の最高温度よりも、低いことが好ましい。具体的には、混練押出機のL×0.571よりも下流側の範囲の最高温度が、混練押出機の原料投入位置からL×0.286までの範囲の最高温度よりも、10℃以上低くなることが好ましく、20℃以上低くなることがより好ましい。なお、押出機溶融混練部10のL×0.571よりも下流側の範囲とは、C5~C7の領域である。すなわち、C5~C7の領域の最高温度は、C1~C2の領域の最高温度よりも低いことが好ましい。C5~C7の領域の最高温度は、A+30~A+95℃であることが好ましく、A+40~A+80℃であることがより好ましい。C5~C7の領域の最高温度を上記条件となるように制御することにより、樹脂繊維を製造する際の糸切れの発生をより効果的に抑制することができる。
本実施形態においては、混練押出機は、一軸混練押出機であることが好ましい。一軸混練押出機は、その構成が比較的単純であるため、初期設備投資費用を抑制することができる。また、メンテナンスも二軸混練押出機等に比べて容易である。一方、一軸混練押出機は、二軸混練押出機等に比べて混練する能力が劣る傾向がある。しかし、本発明においては、混練押出機内の各領域の温度を適切にコントロールすることにより、一軸混練押出機を用いた場合であっても、各種樹脂の十分な混練を行うことができる。また、混練押出機内の各領域の温度を適切にコントロールすることにより、連続操業が可能となり、樹脂繊維を製造する際の糸切れの発生を抑制することができる。
図3は、押出機溶融混練部10の内部構成を説明する概略図である。図3に示されるように、モーターと減速機50には、スクリュー12が連結されており、モーターと減速機50が駆動することによりスクリュー12が回転する。これにより、溶融樹脂の混練が行われる。スクリュー12の形状は特に限定されるものではないが、押出機溶融混練部10の下流側で軸径が大きくなっているものを採用することが好ましい。スクリュー12の軸径を大きくすることで、溶融樹脂を圧縮することができ、剪断力により樹脂を溶融することも可能となる。これにより、樹脂ペレットの溶け残りを減らすことができ、押出機内部における樹脂詰まりをより効果的に抑制することができる。さらに、樹脂繊維を製造する際の糸切れの発生を抑制することができる。
スクリュー12の形状は、特に限定されるものではないが、以下の構成であることが好ましい。例えば、スクリュー12の径Ds(ディメンジョン)は製作技術およびコストの観点から、好ましくはDs<500mm、より好ましくは30mm<Ds<450mmである。また、スクリュー径Dsとスクリュー長Lの比L/Dsは、好ましくは10<L/Ds<120、より好ましくは15<L/Ds<60である。
また、スクリュー12の軸径が押出機溶融混練部10の下流側で大きくなっている場合であって、押出機溶融混練部10の上流側の軸径(軸断面の直径)をPとし、押出機溶融混練部10の下流側の軸径(軸断面の直径)をQとした場合、Q/Pの値は、1.0以上であることが好ましく、1.2以上であることがより好ましく、1.5以上であることがさらに好ましい。なお、スクリュー12の軸径はC2~C4領域で大きくなっていることが好ましく、C3~C4領域で大きくなっていることがより好ましい。
スクリュー12の回転数は押出量によって調整するが、20~120rpmが好適である。スクリュー12の回転数は、好ましくは40~100rpm、さらに好ましくは60~100rpmである。
スクリューの構造として、通常の一定ピッチのスクリューの他に一部ダムフライトやフルーテッド、クロスソーを組み込んでもよい。例えば、日本製鋼所技報 No.50(1994)や特開平4-31010に記載の構造を採用したスクリューを用いることが好ましい。なお、ダムフライトをスクリューに組み込むことで、未溶融樹脂と溶融樹脂を分離しやすくする。これにより、溶融の進行が安定して圧力変動が小さい安定押出が可能となり、樹脂が高剪断を受けるため樹脂の未溶融を抑制しやすくなる。フルーテッドをスクリューに組み込むことで、短時間に高剪断力を与えることが可能となり、粘度が異なる樹脂同士の混練が効率よく行われる。クロスソーをスクリューに組み込むことで、スクリュー回転方向の混練が促進され、より均一な混合が可能となる。本実施形態においては、このようなスクリュー要素を一つあるいは複数組み合わせてもよい。
本発明の溶融樹脂の製造方法で製造された溶融樹脂は、ポリマーフィルター30のさらに下流に設けられた微細なノズル(図示せず)に供給され、樹脂繊維を製造する工程に供されることが好ましい。このような樹脂繊維は、不織布シートの製造に用いられることが好ましく、吸収性物品に含まれる不織布シートの製造に用いられてもよい。すなわち、本発明の溶融樹脂の製造方法で製造された溶融樹脂は、吸収性物品に含まれる不織布シート製造用の樹脂であってもよい。
樹脂繊維を製造する工程では、微細なノズルを有する紡糸口金から溶融樹脂を吐出させることで樹脂繊維が形成される。紡出された樹脂繊維は、冷却用エアによって冷却され、さらに延伸用エアにより張力を加えて所定の繊度とされる。
不織布の製造方法は、常法を採用することができる。中でも、本発明の溶融樹脂は糸切れの発生が抑制されているため、スパンボンド不織布を製造する用途に適している。スパンボンド不織布は、紡糸直結型の不織布とも呼ばれ、樹脂繊維を製造する工程を経て、そのまま不織布を製造することで得られる不織布である。なお、用途によってはメルトブローン不織布と積層してもよい。
スパンボンド不織布の製造工程では、まず、上述した製造方法で得られた樹脂繊維を捕集ベルト上に捕集して所定の厚さに堆積させる。その後、堆積された繊維には交絡処理を施すことが好ましい。交絡処理は、ニードルパンチ、ウォータージェット、超音波等の手段を用いる方法や、熱エンボスロールを用いるエンボス加工方法、ホットエアースルーにより熱融着する方法を採用することで行うことができる。中でも、交絡処理は、エンボス加工方法で行われることが好ましい。エンボス加工は、エンボス面積率が5~20%、より好ましくは5~10%、非エンボス単位面積が0.5mm以上となる条件で行われることが好ましい。ここで、非エンボス単位面積とは、四方をエンボス部で囲まれた最小単位の非エンボス部において、エンボスに内接する四角形の最大面積を言う。この範囲の条件でエンボス加工をすることにより、必要な不織布強度を維持したまま、さらに嵩高な不織布とすることができる。エンボス面積率及び非エンボス単位面積を変化させるには、エンボスパFターンを変えることによって行う。
スパンボンド不織布を構成する樹脂繊維の繊度は、用途に応じて適宜調整されるが、繊度は0.5~5.0デニールであることが好ましく、0.5~3.0デニールであることがより好ましい。また、スパンボンド不織布の目付は3~100g/mであることが好ましく、5~30g/mであることがより好ましい。
スパンボンド不織布は、使い捨ておむつ等の吸収性物品を構成する部材に好ましく用いられる。例えば、使い捨ておむつのカバーシート、立体ギャザー、トップシート、コアラップシートとして好ましく用いられる。
本発明の溶融樹脂の製造方法を用いてスパンボンド不織布を製造した場合、スパンボンド不織布における異物の発生率を大幅に低減することができる。特に、C1~C2の領域の最高温度をA+50~A+120℃とし、かつC5~C7の領域の最高温度をA+30~A+95℃とした場合に、異物の発生をより効果的に抑制することができる。なお、スパンボンド不織布中の異物は、例えば、COGNEX社製のSmartView自動欠陥検査システムで不織布中の着色部数をカウントすることで評価することができる。
(第1の樹脂)
溶融樹脂の製造方法に用いられる第1の樹脂は、最も融点の高い樹脂である。第1の樹脂は、ポリプロピレン(PP)系樹脂であることが好ましい。
ポリプロピレン系樹脂の融点(Tm)は、150℃以上であることが好ましく、155℃~165℃であることがさらに好ましい。中でも、ポリプロピレン系樹脂は、融点が上記範囲内にあるプロピレンの単独重合体又はプロピレンを主成分とし、エチレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、4-メチル-1-ペンテン等の炭素数2以上(但し炭素数3を除く)、好ましくは炭素数2~8(但し炭素数3を除く)である1種若しくは2種以上のα-オレフィンを共重合成分とする共重合体であることが好ましい。また、第1の樹脂と他のポリプロピレン系樹脂を併用する場合は、融点(Tm)が130℃~155℃未満、好ましくは130℃~150℃の範囲にあるプロピレンとエチレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、4-メチル-1-ペンテン等の炭素数2以上(但し炭素数3を除く)、好ましくは炭素数2~8(但し炭素数3を除く)である1種若しくは2種以上のαオレフィンとの共重合体が好ましい。共重合体としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体等が挙げられる。
第1の樹脂のメルトフローレート(MFR)(ASTM D-1238 荷重;2160g、温度;230℃)は特に限定はされないが、1~1000g/10分であることが好ましく、10~500g/10分であることがより好ましく、20~200g/10分であることが好ましい。メルトフローレートを上記範囲内とすることにより、得られる樹脂繊維の強度を高めることができる。
溶融樹脂の全質量に対して、第1の樹脂の含有量は5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、20質量%以上であることがさらに好ましく、30質量%以上であることが一層好ましく、50質量%以上であることが特に好ましい。また、溶融樹脂の全質量に対して、第1の樹脂の含有量は95質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましい。第1の樹脂の含有量を上記範囲内とすることにより、繊維の柔軟性を高めつつ、繊維表面のベタつき等を抑制することができる。
(第2の樹脂)
溶融樹脂の製造方法に用いられる第2の樹脂は、最も融点の低い樹脂である。第2の樹脂の融点は、100℃以下であることが好ましく、90℃以下であることがより好ましく、80℃以下であることがさらに好ましい。また、第2の樹脂の融点は、1℃以上であることが好ましく、5℃以上であることがより好ましく、10℃以上であることがさらに好ましい。
第2の樹脂は、低結晶性ポリプロピレン系樹脂から選択される少なくとも1種であることが好ましい。低結晶性ポリプロピレン系樹脂は、分子が規則的に配列した結晶部分の存在が少ないポリプロピレンである。例えば、低結晶性ポリプロピレンにおいては、側鎖の突出方向が不揃いであるため結晶を作りにくい構造を有している。
プロピレン-エチレン共重合体は、ブロック共重合体であってもよく、ランダム共重合体であってもよい。また、プロピレン-エチレン共重合体は、プロプレンとエチレンに加えて他の共重合成分を有するものであってもよい。このような共重合成分としては、例えば、ビニル系化合物等を挙げることができる。プロピレン-エチレン共重合体におけるプロピレン由来単位の含有量は、共重合体の全質量に対し、50~95質量%であることが好ましい。
低結晶性ポリプロピレン系樹脂には、分子が規則的に配列した結晶部分の存在が少ないポリプロピレン樹脂、エチレン/α-オレフィンマルチブロック共重合体などがあり、具体的にはプロピレン/エチレン、プロピレン/1-ブテン、プロピレン/1-ヘキセン、プロピレン/4-メチル-1-ペンテン、プロピレン/1-オクテン、プロピレン/エチレン/1-ブテン、プロピレン/エチレン/ENB、プロピレン/エチレン/1-ヘキセン、プロピレン/エチレン/1-オクテン、プロピレン/スチレン、およびプロピレン/エチレン/スチレンなどがある。これらの低結晶性ポリプロピレン系樹脂の代表的なものは、出光興産株式会社によって製造および市販されるL-MODU(商標登録)、The Dow Chemical Companyによって製造および市販されるVERSIFY(登録商標)弾性プロピレンコポリマーならびにExxon-Mobilによって製造されるVISTAMAXXプロピレンコポリマーがある。
第2の樹脂のメルトフローレート(MFR)(ASTM D-1238 荷重;2160g、温度;230℃)は特に限定はされないが、1~1000g/10分であることが好ましく、10~500g/10分であることがより好ましく、20~200g/10分であることが好ましい。メルトフローレートを上記範囲内とすることにより、得られる樹脂繊維の強度を高めることができる。
溶融樹脂の全質量に対して、第2の樹脂の含有量は5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましい。また、溶融樹脂の全質量に対して、第2の樹脂の含有量は95質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましく、80質量%以下であることがさらに好ましく、70質量%以下であることが一層好ましく、50質量%以下であることが特に好ましい。第2の樹脂の含有量を上記範囲内とすることにより、繊維の柔軟性を高めつつ、繊維表面のベタつき等を抑制することができる。
溶融樹脂中における第1の樹脂と第2の樹脂の質量比(第1の樹脂:第2の樹脂)は、5:95~95:5であることが好ましく、20:80~90:10であることがより好ましく、50:50~90:10であることがさらに好ましく、60:40~90:10であることが特に好ましい。中でも、第1の樹脂の含有量は第2の樹脂の含有量よりも多いことが好ましい。これにより、繊維の柔軟性と繊維強度を兼ね備えた樹脂繊維を製造しやすくなる。
(任意成分)
溶融樹脂は、上述した第1の樹脂と第2の樹脂に加えて、任意成分として他の樹脂を含んでもよい。この場合、他の樹脂の融点は、第1の樹脂の融点よりも低く、第2の樹脂の融点より高いものである。また、任意成分として、例えば、公知の耐熱安定剤、耐候安定剤、各種安定剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、染料、顔料、天然油、合成油、ワックス等を含んでもよい。
安定剤としては、例えば、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール(BHT)等の老化防止剤;テトラキス[メチレン-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、β-(3,5--ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アルキルエステル、2,2’-オキザミドビス[エチル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート等のフェノール系酸化防止剤;ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、1,2-ヒドロキシステアリン酸カルシウムなどの脂肪酸金属塩;グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート等の多価アルコール脂肪酸エステルなどを挙げることができる。
滑剤としては、例えば、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ステアリン酸アミド等が挙げられる。
また、任意成分として、シリカ、ケイ藻土、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、軽石粉、軽石バルーン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、ドロマイト、硫酸カルシウム、チタン酸カリウム、硫酸バリウム、亜硫酸カルシウム、タルク、クレー、マイカ、アスベスト、ケイ酸カルシウム、モンモリロナイト、ベントナイト、グラファイト、アルミニウム粉、硫化モリブデン等の充填剤を含有していてもよい。
なお、溶融樹脂の全質量に対する任意成分の含有量は、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることがさらに好ましい。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
(実施例1)
第1の樹脂(樹脂1)としてポリプロピレン系樹脂(融点162℃、MFR40g/10分)を用いた。第2の樹脂(樹脂2)として、低結晶性ポリオレフィン樹脂(融点52℃、MFR50g/10分)を用いた。第1の樹脂と第2の樹脂を混練押出機(日本製鋼所製、一軸混練押出機(口径φ115mm))における原料投入位置の上流に備え付けられた計量混合器で表1に記載の割合で混合し、樹脂ペレットホッパーに投入した。これらの樹脂は、押し出し機連結部より押出機内部に送られた。なお、この際、ホッパーと押出機の連結部の内部に備え付けられた温度センサーの温度が30℃となるように調整した。
混練押出機における原料投入位置から溶融樹脂排出位置までのヒーター設定は7分割して設定可能であり、実際の温度はそれぞれのヒーターが設置されたシリンダー部の温度センサーによって測定した。図1に示されるように、原料投入位置から順にC1、C2、・・、C7とした場合、各領域の温度センサーを以下の温度となるようにヒーターを設定した。
C1:230℃、C2:260℃、C3:250℃、C4:240℃、C5:230℃、C6:230℃、C7:230℃
なお、混練押出機では、押出量が100~200kg/時となるようにスクリュー回転数を調整し、溶融樹脂を製造した。
次いで、紡糸装置に備えられた混練押出機を用いて230℃の溶融樹脂を押し出した。この際、ホール数15、000の単孔口金(ダイ)から吐出量0.5g/min/holeで吐出した。その後、溶融紡糸された長繊維を冷却室に導入し、冷却風により冷却した。次いで、延伸エアにより長繊維を延伸(牽引)し、長繊維集合体を移動捕集面上に目付量20g/mとなるように堆積させた。得られた繊維の繊度は1.6デニールであった。常法によりエンボスロールを用いて、堆積した長繊維集合体を部分的に熱融着をさせることで、スパンボンド不織布を形成した。
(実施例2~8及び比較例1~4)
樹脂ペレットホッパー内の温度、押出機におけるC1-C2領域の最高温度及び押出機におけるC5-C7領域の最高温度を表1に記載のとおりとなるように変更した以外は実施例1と同様にして、溶融樹脂を製造した。また、実施例1と同様にして溶融樹脂から樹脂繊維を作製し、スパンボンド不織布を作製した。
(評価)
<連続操業性>
図1に示されるように、混練押出機の下流には、ポリマーフィルター30が設けられており、押出機溶融混練部10とポリマーフィルター30の連結配管40の圧力を測定し、以下の評価基準で評価した。
○:連結配管の圧力が5MPa以上
△:4MPa以上~5MPa未満
×:連結配管の圧力が4MPa未満
<糸切れ>
糸切れは、COGNEX社製のSmartView自動欠陥検査システムを用いて評価した。具体的には、実施例及び比較例で得たスパンボンド不織布中の欠陥数をSmartView自動欠陥検査システムでカウントし、以下の基準で評価した。なお、糸切れが生じた箇所はスパンボンド不織布において樹脂塊の欠陥として検出されるため、欠陥部サイズは、直径が2mm以上の白色の樹脂塊をカウントし、スパンボンド不織布の面積120000m中の欠陥数をカウントした。
○:欠陥数が5個以下であり糸切れの発生がほぼない
△:欠陥数が6~10個であり糸切れの発生が少ない
×:11個以上であり糸切れの発生が多い
-:十分な不織布が作製できないため評価しない
<異物>
異物判定は、COGNEX社製のSmartView自動欠陥検査システムで不織布中の着色部数をカウントすることで評価した。直径が1mm以上の着色部を異物としてカウントし、スパンボンド不織布の面積120000m中の異物の有無を確認し、以下の評価基準で評価した。
○:異物が検出されない
×:1つ以上の異物が検出される
比較例に比べて実施例では、2種類の樹脂の混合状態が良好であったため、樹脂繊維の糸切れが抑制されていた。また、実施例では、樹脂つまりがなく、連続操業が可能であった。さらに実施例で得られたスパンボンド不織布では、異物の発生が抑制されていた。特に、ホッパーと押出機の連結部内温度を所定の範囲とした実施例1~6及び8では、連結部における樹脂つまりが抑制されており、連続操業性に優れていた。
10 押出機溶融混練部
12 スクリュー
20 押出機フィード部入口
22 ホッパーと押出機の連結部
24 冷却水用管
26 ホッパー
30 ポリマーフィルター
40 連結配管
50 モーターと減速機
S 原料投入位置
F 溶融樹脂排出位置

Claims (11)

  1. ポリプロピレン系樹脂と、低結晶性ポリプロピレン系樹脂とを混練押出機で溶融する工程を含む溶融樹脂の製造方法であって、
    前記ポリプロピレン系樹脂の融点をAとし、前記低結晶性ポリプロピレン系樹脂の融点をBとした場合、A-B≧60℃であり、
    前記混練押出機における原料投入位置から溶融樹脂排出位置の全長を複数の領域に分割し、各該領域ごとに備え付けられたヒーターによって温度を制限でき、前記混練押出機の原料投入位置から溶融樹脂排出位置までの全長のうち前記混練押出機の原料投入位置側の前記領域の一部又は全部の範囲の最高温度がA+50~A+120℃であ
    前記ポリプロピレン系樹脂と、前記低結晶性ポリプロピレン系樹脂とを、前記混練押出機における原料投入位置の上流に備え付けられた樹脂ペレットホッパーで混合する工程を含み、
    前記樹脂ペレットホッパーが有する冷却手段によって前記樹脂ペレットホッパーと前記混練押出機の連結部内の温度を10~B+10℃に制御する、溶融樹脂の製造方法。
  2. 前記ポリプロピレン系樹脂の融点は、150℃以上である請求項1に記載の溶融樹脂の製造方法。
  3. 前記ポリプロピレン系樹脂は、ポリプロピレンである請求項に記載の溶融樹脂の製造方法。
  4. 前記低結晶性ポリプロピレン系樹脂の融点は、1~100℃である請求項1~のいずれか1項に記載の溶融樹脂の製造方法。
  5. 前記低結晶性ポリプロピレン系樹脂は、低結晶性ポリプロピレン及びプロピレン-エチレン共重合体から選択される少なくとも1種である請求項に記載の溶融樹脂の製造方法。
  6. 前記混練押出機における原料投入位置から溶融樹脂排出位置までの間で、前記全長のうち前記混練押出機の原料投入位置側の前記領域の一部又は全部の最高温度が最も高い、請
    求項1~のいずれか1項に記載の溶融樹脂の製造方法。
  7. 前記混練押出機の前記全長における真ん中に設けられた前記領域よりも下流側の範囲の最高温度が、前記全長のうち前記混練押出機の原料投入位置側の前記領域の一部又は全部までの範囲の最高温度よりも、20℃以上低くなる、請求項1~のいずれか1項に記載の溶融樹脂の製造方法。
  8. 前記溶融樹脂の全質量に対して、前記低結晶性ポリプロピレン系樹脂の含有量が5~95質量%である、請求項1~のいずれか1項に記載の溶融樹脂の製造方法。
  9. 前記混練押出機は、一軸混練押出機である請求項1~のいずれか1項に記載の溶融樹脂の製造方法。
  10. 前記溶融樹脂は、樹脂繊維製造用である請求項1~のいずれか1項に記載の溶融樹脂の製造方法。
  11. 前記溶融樹脂は、吸収性物品に含まれる不織布シート製造用である請求項1~1のいずれか1項に記載の溶融樹脂の製造方法。
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