JP7483524B2 - 切削工具、切削方法 - Google Patents
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Description
特許文献1に記載の切削工具は中ぐり棒であり、ワークの複数の穴のうちの両端に位置する穴であるサポート穴を除く、中間に位置する穴である加工穴の切削加工を行うものである。中ぐり棒は、長手方向に伸びたものであり、中間部に設けられた1つ以上の切刃と、基端部に設けられた支持装置とを有する。なお、特許文献1の段落[0017]には、中ぐり棒1の基体3の横断面が実質的に円形である旨記載されている。
また、特許文献1に記載の切削方法において、中ぐり棒がワークの複数の穴に挿入された後、先端部に治具の一例であるカウンタツールが連結装置によって連結される。中ぐり棒の先端部がカウンタツールを介してワークのサポート穴の一方に保持され、基端部が支持装置を介してサポート穴の他方に保持される。その状態で、中ぐり棒が回転させられ、軸線方向に相対移動させられることにより、ワークの加工穴について切削加工が行われる。
本発明に係る切削工具は、長手方向に伸びたものであり、中間部に設けられた1つ以上の切刃と、両端部にそれぞれ設けられたガイド部とを有する。
本発明に係る切削方法において、切削工具とワークとの軸線方向の相対移動により、切削工具が、ワークの複数の穴に挿入され、軸線と直交する方向に移動させられる。それにより、両端部にそれぞれ設けられたガイド部の各々が基準穴の内周面に近づけられ、切刃が加工穴の内周面に近づけられる。次に、切削工具が回転させられつつ、ワークに対して軸線方向に相対移動させられる。それにより、ワークの加工穴について切削加工が行われる。切削工具の回転により、遠心力が作用し、ガイド部が基準穴の内周面に押し付けられる。ガイド部が基準穴の内周面に接触した状態で、切削加工が行われるのであり、それにより、加工穴を精度よく切削加工することができる。
このように、本発明に係る切削工具は、両端部にそれぞれ設けられたガイド部を有するため、本発明に係る切削方法において、特許文献1に記載の切削方法においては必要であったカウンタツール等の治具等が不要となる。
なお、作業装置の構造は問わない。例えば、ターンテーブル14は装置ベース12に対して水平方向に移動可能かつ上下方向に移動可能に設けることができる。また、主軸16は、概して水平方向に伸びたものとしても、垂直方向に伸びたものとしてもよい。
なお、中心角φは、本体30の半径Rc,基準穴J1,J5の半径Rb等に基づいて設計される。例えば、本体30に設けられたガイド部34,36を基準穴J1,J5の内周面から離間させ得るように、設計することができるのであり、例えば、150度程度の大きさとすることができる。
また、ラインバー10の扇状部30hは、円筒部材から除去部54を削って製造されるとは限らない。上述の記載は、扇状部30hの形状を表現する記載にすぎず、扇状部30hの製造方法を限定する記載ではない。
なお、扇形部30hには、クーラント供給穴や空隙が設けられることが多いため、体積比率と重量比率とは1対1に対応するとは限らない。
このように、本実施例において、ラインバー10は、図13(a)、(b)に示すように、フローティングホルダ40により、主軸16に、主軸16の軸線(第1部材40aの軸線Lf)に直交する方向に移動可能、かつ、傾動可能に保持される。
ワークWの加工穴J2~J4についてのラインバー10による切削加工の前に、基準穴J1,J5についての切削加工が行われる。
ターンテーブル14にワークWが保持され、主軸16にラインバー10とは異なる切削工具80がホルダを介して取り付けられる。図10(a)に示すように、切削工具80による基準穴J5についての切削加工が行われ、次に、図10(b)に示すように、ターンテーブル14が180度回転させられ、基準穴J1についての切削加工が同様に行われる。基準穴J1,J5の半径は、ほぼ半径Rbとされる。
主軸16には、ラインバー10がフローティングホルダ40を介して取り付けられる。
図11(a)、図12(a)に示すように、ラインバー10は、ラインバー10の軸線LrがワークWの軸線Lw(基準穴J1,J5の中心Aを通る線をいう)から直線αの方向に距離Dr隔たった位置、換言すると、切刃32cおよびガイド面がワークWの穴J1~J5の内周面から離間して、切刃32およびガイド面と穴J1~J5の内周面との間にクリアランスが存在する位置にある。直線αは、扇状部30hの、3つのガイドパッド50および切刃32cが位置する領域の中心角θの1/2を通る線である。本実施例において、ラインバー10の正面視において、ガイドパッド50と切刃カートリッジ32とが、中心角が180度より小さい領域内(本実施例においては、約150度の領域内)に設けられているため、ラインバー10の軸線Lrを、ワークWの軸線Lwから、直線αに沿って離間させることにより、ガイドパッド50の外周面および切刃32cを良好に穴J1~J5の内周面から離間させることができる。
次に、図11(f)に示すように、ラインバー10が後退させられ、ワークWから引き抜かれる。
なお、粗削り用の切刃32cが仕上げ用の切刃32cの基端側に位置して設けられた場合には、ラインバー10の軸線方向の後退により、粗削りと、仕上げとの両方を行うことができる。本実施例においては、先端側ガイド部34も基端側ガイド部36も本体30の中心角180度以下の部分に設けられるため、ラインバー10を軸線と直交する方向に移動させることにより良好に内周面に接触した位置と内周面から離間した位置とに移動させることが可能となり、前進時にも後退時にも切削加工を行うことができるのである。
それに対して、本実施例においては、遠心力によりラインバー10のガイド部34,36がワークWの基準穴J1,J5に接触した状態で、加工穴J2~J4についての切削加工が行われる。換言すると、切削加工が、穴J1,J5を切削加工の基準穴J1,J5として行われるのであるが、基準穴J1,J5は、ワークWを評価する際の基準穴でもある。このように、評価時の基準穴J1,J5を切削加工時の基準穴J1,J5として切削加工が行われるため、切削加工後のワークについて高い評価を得ることができる。
さらに、遠心力を、切削抵抗とラインバー10の自重とを加えた値より大きくすることもできる。例えば、主軸16の軸線が概して水平方向に伸びた場合には、回転位相によって、ラインバー10の自重によってガイド部34,36や切刃32cを穴J1~J5に押し付ける押付力が小さくなる場合がある。それに対して、ラインバー10に、切刃32cに作用する切削抵抗とラインバー10に作用する重力とを合わせた値より大きい遠心力が作用する場合には、ラインバー10の回転位相の変化に起因する切刃32cの浮き上がりを良好に抑制することが可能となり、より一層、加工穴J1~J4の加工精度を向上させることができる。
それに対して、本実施例に係るラインバー10は、先端部と基端部との両方に設けられたガイド部34,36を含み、ガイド部34,36の各々がワークWの基準穴J1,J5に接した状態で加工穴J2~J4についての切削加工が行われる。そのため、上述の場合に比較して、加工穴J2~J4について、高い精度で切削加工を行うことができる。
前記ワークが、前記複数の穴のうち両端に位置する穴である基準穴と、前記複数の穴から前記基準穴を除く中間に位置する穴のうちの1つ以上の穴である加工穴とを含み、
当該切削工具が、
長手方向に伸びた本体と、
その本体の中間部に設けられた1つ以上の切刃と、
前記本体の両端部にそれぞれ設けられ、それぞれ、前記基準穴の各々の内周面にそれぞれ接触可能なガイド部と
を含む切削工具。
切削工具は、両端部にそれぞれ設けられたガイド部の各々と基準穴とにより位置決めされた状態で、加工穴に切削加工を行う。
中心角は、例えば、90度以上、100度以上、110度以上、120度以上とすることができ、170度以下、160度以下、150度以下、140度以下等とすることができる。
本体の横断面の円弧状に湾曲した外周部は、1つの円の円弧から構成されるとは限らず、複数の円の円弧を含むものであってもよい。
前記重心と前記回転軸線との間の距離が、前記回転軸線から前記概して円弧状に湾曲した外周面までの距離の15%以上である(2)項に記載の切削工具。
回転軸線から外周面までの距離に対する回転軸線と重心との間の距離の比率が大きい場合は小さい場合より、相対的に、アンバランス量が大きくなり、扇状部に作用する遠心力を大きくすることができる。また、比率は20%以上、25%以上とすることが望ましい。
円筒部材から除く部分の体積は、円筒部材の体積の60%以下、50%以下、45%以下とすることが望ましく、30%以上、35%以上、40%以上等とすることが望ましい。
比率が小さい場合は大きい場合より、重心と回転軸線との間の距離Dgが大きくなる傾向にある。比率は0.65以下、0.6以下、0.5以下、0.4以下、0.3以下、0.2以下等とすることができる。比率は0であってもよい。
本体の断面は扇形状を成すため、回転軸線に直交する線H(図9参照)より概して円弧状を成す側の部分Aの断面積SAは、線Hより部分Aとは反対側の部分Bの断面積SBに対して大きい。この比率(SB/SA)は0より大きく、0.55以下、0.5以下、0.45以下、0.4以下等とすることが望ましい。
なお、切削工具には、クーラント供給穴、軽量化のための空洞部等が設けられるため、これら断面積の比率と重量比率とは1対1に対応するとは限らないが、相対的には、断面積の比率が大きい場合は重量比率も大きくなると考えることができる。
ガイドパッドは、本体の扇状部の外周面に設けることもできる。
ガイドパッドは、長手方向に伸びたものであり、切削工具が軸線方向に移動させられても、基準穴に接触可能な長さを有するものである。
また、ガイドパッドは、超硬材料で製造されたものとすることができる。
切削工具を軸線と直交する方向に移動させることにより、ガイドパッドと切刃とが基準穴、加工穴の内周面に接触する位置と内周面から離間する位置とに移動させることができる。
一列に並んで形成された複数の穴を有するワークを保持するワーク保持台と
を含む作業装置において前記主軸の回転と、前記主軸と前記ワーク保持台との相対移動とにより、前記切削工具により、前記ワークの複数の穴のうちの中間に位置する穴のうちの1つ以上の加工穴に切削加工を施す切削方法であって、
前記切削工具が、長手方向に伸びた本体と、その本体の中間部に設けられた1つ以上の切刃と、前記本体の両端部にそれぞれ設けられたガイド部とを含み、
当該切削方法が、
前記切削工具と前記ワークとを接近させることにより、前記切削工具を前記ワークの前記複数の穴に、前記1つ以上の切刃と前記両端部の各々に設けられたガイド部とが前記複数の穴の内周面から離間した状態で、挿入させる挿入工程と、
前記切削工具と前記ワークとを前記切削工具の軸線と直交する方向に相対移動させることにより、前記切削工具の前記両端部に設けられたガイド部をそれぞれ前記ワークの前記複数の穴のうちの両端に位置する穴である基準穴の内周面に近づけ、前記切刃を前記加工穴の内周面に近づけるシフト工程と、
前記切削工具が、前記ガイド部と前記基準穴とによりガイドされた状態で、前記切削工具の回転と、前記切削工具と前記ワークとの相対移動とにより、前記ワークの加工穴に切削加工を施す切削工程と
を含む切削方法。
主軸は、概して水平方向に伸びたものであっても、概して垂直方向に伸びたものであってもよい。本項に記載の切削方法の実施に用いられる切削工具には、(1)項ないし(9)項に記載の切削工具を適用することができる。
前記切削工程において、前記扇状部に前記遠心力を作用させる(10)項ないし(13)項のいずれか1つに記載の切削方法。
なお、前記本体の横断面形状は概して扇形状に限らず、例えば、円形の一部が切り欠かれた形状を成すものとすることができる。
Claims (6)
- 予め一列に並んで形成された複数の穴を有するワークについて切削加工を行う切削工具であって、
前記ワークが、前記複数の穴のうち両端に位置する穴である基準穴と、前記複数の穴から前記基準穴を除く中間に位置する穴のうちの1つ以上の穴である加工穴とを含み、
当該切削工具が、
長手方向に伸びた本体と、
その本体の中間部に設けられた1つ以上の切刃と、
前記本体の両端部にそれぞれ設けられ、それぞれ、前記基準穴の各々の内周面にそれぞれ接触可能なガイド部とを含み、
前記本体が、横断面形状が概して扇形状を成す扇状部を含み、前記扇状部の中心角が180度より小さい切削工具。 - 前記扇状部の重心が、当該切削工具の回転軸線より前記扇状部の概して円弧状に湾曲した外周面に近い側に位置し、
前記重心と前記回転軸線との間の距離が、前記回転軸線から前記概して円弧状に湾曲した外周面までの長さの15%以上である請求項1に記載の切削工具。 - 前記扇状部が、当該切削工具の回転軸線を中心とする円筒部材から、前記円筒部材の概して円弧状に湾曲した外周面に対向する部分の一部である除去部を除いた形状を成し、
前記回転軸線から円弧状に湾曲した外周面とは反対側の端部までの距離の、前記円筒部材の半径にする比率が0.7以下であり、かつ、前記除去部の体積の前記円筒部材の体積に対する比率が25%以上である請求項1または2に記載の切削工具。 - 前記ガイド部が、前記本体の両端部の各々の外周面に、それぞれ、設けられた複数のガイドパッドを含む請求項1ないし3のいずれか1つに記載の切削工具。
- 当該切削工具が、主軸にホルダを介して取り付けられるとともに、前記ホルダに、前記ホルダの軸線と直交する方向に相対移動可能、かつ、前記ホルダの軸線に対して傾動可能に保持された請求項1ないし4のいずれか1つに記載の切削工具。
- 切削工具をホルダを介して保持する主軸と、
一列に並んで形成された複数の穴を有するワークを保持するワーク保持台と
を含む作業装置において前記主軸の回転と、前記主軸と前記ワーク保持台との相対移動とにより、前記切削工具により、前記ワークの複数の穴のうちの中間に位置する穴のうちの1つ以上の加工穴に切削加工を施す切削方法であって、
前記切削工具が、長手方向に伸びた本体と、その本体の中間部に設けられた1つ以上の切刃と、前記本体の両端部にそれぞれ設けられたガイド部とを含み、
当該切削方法が、
前記切削工具と前記ワークとを接近させることにより、前記切削工具を前記ワークの前記複数の穴に、前記1つ以上の切刃と前記両端部の各々に設けられたガイド部とが前記複数の穴の内周面から離間した状態で、挿入させる挿入工程と、
前記切削工具と前記ワークとを前記切削工具の軸線と直交する方向に相対移動させることにより、前記切削工具の前記両端部に設けられたガイド部をそれぞれ前記ワークの前記複数の穴のうちの両端に位置する穴である基準穴の内周面に近づけ、前記切刃を前記加工穴の内周面に近づけるシフト工程と、
前記切削工具が、前記ガイド部と前記基準穴とにより位置決めされた状態で、前記切削工具の回転と、前記切削工具と前記ワークとの相対移動とにより、前記ワークの加工穴に切削加工を施す切削工程と
を含み、
前記本体が、前記軸線に直交する方向の横断面形状が概して扇形状を成す扇状部を含み、
前記切削工程において、前記切削工具を回転させることにより、前記扇状部に作用する遠心力により前記ガイド部を前記基準穴の内周面に押し付けるとともに、前記切刃を前記加工穴に押し付ける切削方法。
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