JP7481628B2 - 方向性電磁鋼板の張力被膜形成用塗布剤及びその製造方法並びにこれを用いた方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、方向性電磁鋼板の張力被膜形成用塗布剤及びその製造方法並びにこれを用いた方向性電磁鋼板の製造方法に関する。
方向性電磁鋼板は、{110}<001>を主方位とする結晶組織を有することを特徴とする。方向性電磁鋼板は主として変圧器の鉄心材料として用いられており、特にエネルギーロスを少なくするために鉄損の小さい材料が求められている。鉄及び珪素を含有する鉄合金は結晶磁気異方性が大きいため、外部張力を付加すると磁区の細分化が起こり、鉄損の主要素である渦電流損失を低下させることができる。特に、5%以下の珪素を含有する方向性電磁鋼板の鉄損の低減には鋼板に張力を付与することが有効であることが知られている。この張力は、表面に形成された被膜によって付与される。
特許文献1には、特に高い張力を発生する被膜を有する方向性電磁鋼板として、硼酸アルミニウム結晶を主とする被膜を表面に有する方向性電磁鋼板が開示されている。
ある被膜が高張力被膜となるためには、被膜のヤング率が高く、かつ熱膨張係数が小さいことが求められる。一般に、結晶は非晶質よりもヤング率が高い。ホウ酸アルミニウムからなる被膜は主たる構成物が結晶であるためシリカとリン酸塩からなる従来の非晶質の被膜よりもヤング率が高い。ホウ酸アルミニウムからなる被膜は、熱膨張係数も十分に低いため、ヤング率の効果と相まって、高い張力を得ることが可能である。
しかし、特許文献1の技術では現在使われている絶縁被膜に比較して防錆効果が弱いことから、この点を改善する必要があった。
このような問題を改善するために、特許文献2には、ホウ酸アルミニウム被膜と現行被膜との二層塗りの方法が開示されている。特許文献3には、無電解ニッケルめっきによるホウ酸アルミニウム被膜形成前の下地処理が開示されている。特許文献4には、ホウ酸アルミニウム被膜上に防錆成分を塗布する方法が開示されている。特許文献5には、防錆成分含有ホウ酸アルミニウム被膜成分の提案がなされている。
特開平6-65754号公報 特開平9-272982号公報 特開平9-279358号公報 特開平8-277474号公報 特開平9-256164号公報
特許文献2の技術は、工程が増えることでコストが増加する、また、占積率が悪化するという問題があった。特許文献3、特許文献4の技術も、また、工程増によるコストの増加が問題であった。特許文献5の技術は防錆成分による張力低下等の問題の克服が難しいとの課題があった。
本発明は上記の事情に鑑みなされたものであって、高い張力が付与されるホウ酸アルミニウム被膜を有する方向性電磁鋼板の防錆性を向上する簡便な方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、ホウ酸アルミニウム被膜における耐錆性の問題は、被膜中に含まれる未反応のホウ素を抑制すれば解決できると考え、未反応のホウ素を低減する方法を検討した。その結果、ホウ酸アルミニウム被膜形成用の塗布剤中に、ホウ酸アルミニウムの結晶化を促進するためのホウ酸アルミニウムの微細粒子を加えることが効果的であることを見出した。
本発明は上記の知見に基づきなされたものであって、その要旨は以下のとおりである。
(1)固形分濃度が5~40質量%であり、かつ(220)面間隔が0.525~0.535nmであるホウ酸アルミニウム結晶からなる平均粒子径が0.1~0.7μmである微細粒子を固形分のうち1~50質量%含み、残部にアルミニウム化合物及びホウ素化合物をAlとBのモル比Al/Bが1.9~2.1の範囲で含むことを特徴とする方向性電磁鋼板の張力被膜形成用塗布剤。
(2)前記(1)の方向性電磁鋼板の張力被膜形成用塗布剤を製造する方法であって、アルミニウム化合物とホウ素化合物をAlとBのモル比Al/Bで1.9~2.1の範囲で含む混合物を作製し、上記混合物を800~1000℃で焼成してホウ酸アルミニウム粉体を合成し、得られたホウ酸アルミニウム粉体を粉砕して(220)面間隔が0.525~0.535nmであるホウ酸アルミニウム結晶からなる平均粒子径が0.1~0.7μmの微細粒子を得、得られた微細粒子を溶媒に加える工程を含むことを特徴とする方向性電磁鋼板の張力被膜形成用塗布剤の製造方法。
(3)方向性電磁鋼板の製造方法であって、仕上げ焼鈍が終了した鋼板に、前記(1)の方向性電磁鋼板の張力被膜形成用塗布剤を塗布乾燥し、次いで、露点が0~40℃であり、水素を0~30体積%含み残部が窒素及び不活性ガスの一方又は両方である雰囲気中で、750~1000℃で20秒間以上熱処理することを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。
本発明によれば、十分な耐錆性を備えるとともに、張力の大きいホウ酸アルミニウム被膜を簡便に形成可能な方向性電磁鋼板の張力被膜形成用塗布剤及びその製造方法、並びにこれを用いてホウ酸アルミニウム被膜を形成した方向性電磁鋼板の製造方法を提供することができる。
以下、本発明の好適な実施形態に基づき、本発明を詳細に説明する。
まず、本実施形態に係る方向性電磁鋼板の張力被膜形成用塗布剤(以下、単に「塗布剤」ともいう)について説明する。
(本発明者の検討)
方向性電磁鋼板として、二次再結晶焼鈍を終えた、表面にいわゆるグラス被膜を有する鋼板表面に、高い張力付与効果を有するホウ酸アルミニウム被膜を形成した鋼板が知られている。グラス被膜は数μm程度のフォルステライト結晶(Mg2SiO4)を主体とした酸化物からなる被膜である。
通常この被膜には微細な欠陥があり、この欠陥の部分では鋼板がフォルステライトに覆われていないと考えられる。すなわち、グラス被膜の欠陥では鋼板が露出してホウ酸アルミニウム被膜と直接接している個所があり、このような個所では、ホウ酸アルミニウム被膜が水分を含むと鉄が溶出するため錆が発生すると推定される。
このような機構での錆の発生を防ぐためには、鋼板表面で鉄が溶出するpHとならないようにすることが考えられる。本発明者らは、鋼板表面を鉄が溶出するpHとしない方法で耐錆性を改善する方法を検討した。その考え方は以下のとおりである。
本発明者らは、鋼板表面で鉄が溶出するpHとなる理由は、被膜中にホウ酸が存在するためであり、ホウ酸は、以下の原因で生成されると推定した。
従来技術によるホウ酸アルミニウム被膜形成用塗布剤中のアルミニウムとホウ素の比率は、ホウ酸アルミニウムであるAl429の化学量論組成よりもホウ素量が多い組成となっている。この理由は、アルミニウムとホウ素の比率をホウ酸アルミニウムの化学量論組成とすると、ホウ酸アルミニウムの結晶が生成される温度が著しく高くなり、被膜形成工程で非常に高い温度とする必要が生じるためである。したがって、従来技術では、Al/Bをホウ酸アルミニウムの化学量論組成よりも小さくして、ホウ酸アルミニウム結晶が850℃程度で生成可能な組成としている。
化学量論組成よりも余分なホウ素は、被膜焼き付け後でも被膜中にホウ酸として残存すると考えられる。ホウ酸が残存する被膜を有する鋼板が湿潤雰囲気に晒されると、被膜中に存在するホウ酸が水分を吸収して酸性環境を形成し、ホウ酸アルミニウム被膜と鋼板の界面において鉄が溶解する条件が満たされ、錆が発生すると推定される。したがって、耐錆性を向上するには余剰のホウ酸を排除すればよいと考えられる。
ホウ酸は高温での蒸気圧が高いため、余剰のホウ酸は高温での熱処理を行うと気化し、被膜中から除去できる可能性がある。実際、ホウ酸アルミニウムの化学量論組成よりもホウ素量が多い組成の塗布剤を1200℃程度で焼き付けると耐錆性が著しく改善される。しかし、この方法で実際の生産を行うためには1200℃程度の高温での熱処理が必要になるほか、連続熱処理を1200℃程度の高温で行う場合に問題となる板の塑性変形を避けるための技術開発等が必要である。したがって、ホウ酸アルミニウムの化学量論組成よりもホウ素量が多い組成の塗布剤を用いた場合、焼き付け後の被膜中から余剰のホウ酸をなくすことは現在のところ生産用の技術としては実現できていない。
そこで本発明者らは、ホウ素比率を上げずにホウ酸アルミニウム結晶を低温で形成することを検討した。その結果、ホウ酸アルミニウム被膜形成のための塗布剤に、ホウ酸アルミニウム結晶の微細粒子を添加することが効果的であることを見出した。ホウ酸アルミニウム被膜形成のための塗布剤に、ホウ酸アルミニウム結晶の微細粒子を添加することでホウ酸アルミニウム結晶の形成温度が低温化する理由は、次のように考えられる。
化学量論組成よりもホウ素量が多い組成を持つホウ酸アルミニウムの塗布剤を鋼板上に塗布乾燥すると、ホウ酸とアルミナが混合された状態となる。この状態から温度を上げてゆくと、ホウ酸とアルミナが反応して、まず、ホウ酸アルミニウムの非晶質相が形成されると考えられる。この反応が進行する系にホウ酸アルミニウムの結晶の微細粒子があらかじめ存在すると、これを核としてホウ酸アルミニウム結晶が形成されやすく、結果的に低温でホウ酸アルミニウム結晶からなる張力被膜が形成できると推定される。
以上から、本発明の効果が得られる機構は以下のように推定している。すなわち、ホウ酸アルミニウム微細粒子が含まれる塗布剤を焼き付ける際には、従来よりも低い温度でホウ酸アルミニウム結晶が被膜中に形成されるので、従来ホウ酸アルミニウム結晶生成温度を低下させるために塗布剤に余剰に配合していたホウ素源を減じることができる。その結果、焼き付け後の被膜中の残存ホウ酸量を著しく減じることができるので、水分の存在下でも、鋼板と被膜の界面における環境が、鉄が溶解する条件ではなくなる。
<方向性電磁鋼板被膜形成用塗布剤>
以下、本発明の方向性電磁鋼板の張力被膜形成用塗布剤について詳細に説明する。
本発明の方向性電磁鋼板の張力被膜形成用塗布剤は、固形分濃度が5~40質量%であり、かつ(220)面間隔が0.525~0.535nmであるホウ酸アルミニウム結晶からなる平均粒子径が0.1~0.7μmである微細粒子を固形分のうち1~50質量%含み、残部にアルミニウム化合物及びホウ素化合物をAlとBのモル比Al/Bが1.9~2.1の範囲で含む。ここで、AlとBのモル比Al/Bとは、アルミニウム化合物及びホウ素化合物に含まれるAl原子、B原子のモル比のことをいう。残部に含まれるアルミニウム化合物及びホウ素化合物は、それぞれ、後述する酸化アルミニウム等のアルミニウム源とホウ酸等のホウ素源である。
ホウ酸アルミニウム結晶にはいくつかの種類が存在する。本発明で方向性電磁鋼板の張力被膜形成用塗布剤に含まれることで高い張力を得ることができる添加粒子は、Al429の組成である結晶である。これは、CuターゲットによるX線回折での最強線の面間隔(220)が0.525~0.535nmのホウ酸アルミニウム結晶である。
塗布剤中の添加粒子の(220)面間隔が0.525~0.535nmであることは、塗布剤を100℃程度で乾燥した粉末のCuターゲットによるX線回折で確認することができる。塗布剤の乾燥物にはホウ酸アルミニウムの微細粒子以外にホウ酸及び水酸化アルミニウムが含まれるが、これらの回折線はホウ酸アルミニウムと異なるので、添加したホウ酸アルミニウム微細粒子の回折線を分離することができる。
上記のホウ酸アルミニウム結晶は、平均粒子径が0.1μmから~0.7μmである微細粒子である。ホウ酸アルミニウム結晶の微細粒子の大きさは、大きすぎると被膜の平滑性に問題を生じ、張力被膜形成後の占積率が低下するため好ましくない。一方、粒子径が小さすぎると塗布剤中での分散が困難になり、塗布剤中で粒子同士が凝集しやすくなり、微細粒子を添加した効果が得られにくくなる。したがって、添加する微細粒子の平均粒径は、0.1~0.7μmであることが必要である。
微細粒子の粒径は、同じく乾燥後の粉末について、X線回折ピークの半価幅から算出する方法が簡便である。この方法は式(1)に示すSherrerの式を用いてホウ酸アルミニウム結晶の結晶粒径tを見積もる方法である。
Figure 0007481628000001
ここで、K:定数(0.9)、λ:X線の波長(0.1542nm)、B:半価幅(rad)、θ:CuターゲットでのX線回折におけるピーク位置(°)である。
ホウ酸アルミニウム結晶の微細粒子の塗布剤中の量が少なすぎると、ホウ酸アルミニウム結晶生成温度低下の効果が得られない。一方、多すぎると、平滑な張力被膜が得られなくなり、製品の占積率が低下する。したがって、固形分のうちホウ酸アルミニウム結晶の微細粒子が占める量を1~50質量%とする。なお、固形分には、ホウ酸アルミニウム結晶の微細粒子の他に、酸化アルミニウム等のアルミニウム源、ホウ酸等のホウ素源が含まれる。
固形分のうちの微細粒子が占める量は、まず塗布剤の固形分量を決定したのち、この塗布剤を静置した場合の沈殿物中のホウ素量から決定できる。塗布剤の固形分量は式(2)に従い求める。
固形分量(g)=A+B …(2)
ここで
A:アルミニウム源の酸化アルミニウム換算質量(g)
B:ホウ素源のオルトホウ酸換算質量(g)
本発明での微細粒子はホウ酸アルミニウムAl429の化学量論組成を持つと考えられる。したがって、沈殿物中のホウ素量とホウ酸アルミニウムのモル質量及び、最初の塗布剤の固形分量から、塗布剤中の固形分のうちの微細粒子が占める量を算出することができる。算出方法は以下のとおりである。
まず分析対象の塗布剤を等分して2つの容器に分ける。一方の容器の塗布剤を乾燥し、残渣の中に含まれるホウ素及びアルミニウムの量を化学分析等により求め、それぞれのモル数をp(モル)、q(モル)とする。
もう一方の容器にある塗布剤は、沈殿物を回収してこの中に含まれるホウ酸アルミニウム微細粒子の量を決定する。沈殿物は全量回収する必要があるので、静置後の上澄みを注意深く捨て、残った沈殿物を回収する。静置する際には、塗布剤のゲル化が起こらないように静置前の塗布剤に10質量%程度の無機酸を加える。無機酸としては硝酸や塩酸を用いる。無機酸を加えることにより塗布剤中のアルミナゾル等アルミナ源が凝集して分散状態が悪くなるが、沈殿物中のホウ素量の分析には影響はない。
この方法では、微細粒子に含まれるホウ素以外の塗布剤中のホウ酸成分を十分排除することが必要である。微細粒子以外のホウ素は、水溶性のホウ酸であるので、上澄み中に溶解したホウ酸、あるいは沈殿物中に析出したホウ酸が多量に存在すると、分析のために乾燥させた沈殿物中にホウ酸が多量に残り、固形分のうちの微細粒子が占める量を正確に計測できない。このため、上澄みを廃棄したのちに残った水分を含む沈殿物の容積の3倍以上の純水を加えてこれを十分に攪拌した後再度静置し、上澄みを廃棄する作業を5回繰り返す。このような作業を行うことによって、固形分内に残存するホウ酸量を十分に低減できる。
以上のようにして得られた沈殿物の含まれるホウ素のモル数をr(モル)とする。上澄み廃棄作業を5回以上行えば塗布剤中に含まれるホウ酸は十分に除去されているので、rはホウ酸アルミニウム微細粒子のホウ素由来と考えてよい。
固形分中のホウ酸アルミニウム微細粒子の比率は、以下のように求める。
乾燥後の残渣に含まれるホウ酸アルミニウム微細粒子以外のホウ素のオルトホウ酸換算量X(g)、アルミニウムの酸化アルミニウム換算量Y(g)とすると、それぞれp、qより
X=(p-r)×59.8
Y={(q-r×2)/2}×102
となる。なお上式での59.8はオルトホウ酸の分子量、102は酸化アルミニウムの分子量である。
沈殿物中のホウ酸アルミニウム微細粒子の重量をZ(g)とすると、固形分中でホウ酸アルミニウム微細粒子が占める割合M(質量%)は
Z=(r/2)×146.5
M=Z×100/(X+Y+Z)
となる。ここで、146.5は、硼酸アルミニウム(Al429)の分子量である。
以上のようにして固形分中のホウ酸アルミニウム微細粒子の割合を決めることができる。
微細粒子を添加した塗布剤全体の固形分濃度には、公知の技術と同様に適正範囲があり、低すぎると乾燥時に突沸等が生じて被膜欠陥が生じて被膜の張力が低下する。一方高すぎると塗布剤の安定性が低下し、ゲル化が起こりやすくなり、このような塗布剤では欠陥が多い被膜となり張力が低下する。したがって、固形分濃度は5~40質量%の間であることが必要である。ここで固形分濃度は、式(3)に従い定義する。
固形分濃度(質量%)={(WAB+WAl+WB)×100}/(WAB+WAl+WB+WW) …(3)
ここで
WAB:ホウ酸アルミニウム微細粒子の質量
WAl:アルミニウム源の酸化アルミニウム換算質量
WB:ホウ素源のオルトホウ酸換算質量
WW:塗布剤の水分量
である。
アルミニウム源の酸化アルミニウム換算質量とは、アルミニウム源となる原料に対し、酸化アルミニウム(Al23)に含まれるアルミニウムのモル量が等しくなるような酸化アルミニウム量の質量に置き換えることを意味する。ホウ素源のオルトホウ酸換算質量も同様に、ホウ素源となる原料に対し、オルトホウ酸(H3BO3)に含まれるホウ素のモル量が等しくなるようなオルトホウ酸量の質量に置き換えることを意味する。
固形分のうちホウ酸アルミニウム微細粒子が占める量は式(4)にて求める。
固形分中のホウ酸アルミニウム微細粒子量(wt%)=WAB×100/(WAB+WAl+WB) …(4)
本発明における塗布剤における微細粒子以外のホウ素とアルミニウムの比率は、従来技術よりもホウ素が少ない量にする必要があり、Al/Bで1.9~2.1の間であるとよい結果が得られる。Al/Bが小さすぎると被膜中の余剰ホウ酸量が多くなって耐錆性が不良となり、一方、大きすぎると十分な張力が得られなくなる。
<方向性電磁鋼板の張力被膜形成用塗布剤の製造方法>
上記の方向性電磁鋼板の張力被膜形成用塗布剤は、(220)面間隔が0.525~0.535nmであるホウ酸アルミニウムの微細粒子を得、上述した固形分濃度、Al/Bとなるよう、溶媒に加えればよい。
(220)面間隔が0.525~0.535nmであるホウ酸アルミニウムの微細粒子はホウ酸アルミニウム粉体を合成した後、これをボールミルなどで粉砕して得ることができる。ホウ酸アルミニウム粉体を得る方法は、ホウ酸アルミニウム被膜を形成する公知技術の塗布剤と同様な組成のゾルを乾燥、焼成することにより得られる。
焼成温度はホウ酸アルミニウム結晶形成に十分な温度が必要で、最低800℃が必要である。温度が高い場合はホウ酸アルミニウム結晶を得るうえでは特に問題はないが、微細粒子に粉砕することが困難になりやすいことから上限を1000℃とする。
微細粒子を得るためのゾルにおいては余剰ホウ酸の生成を抑制するために、本発明でのホウ酸アルミニウム被膜の塗布剤と同様にゾルのAl/Bを1.9~2.1の範囲とする必要がある。この値が大きすぎると被膜と同様にホウ酸アルミニウム結晶の形成が不十分であり、小さすぎると余剰ホウ酸が増えてこれを用いたホウ酸アルミニウム被膜の耐錆性が劣位となる。
以下、塗布剤に含まれる各成分等について詳細に説明する。
(アルミニウム源)
塗布剤のアルミニウム源は、酸化アルミニウム及び/又は酸化アルミニウム前駆体化合物を含む。酸化アルミニウム前駆体化合物は、形成されるホウ酸アルミニウム被膜中で酸化アルミニウムを形成可能であれば特に限定されず、例えば、ベーマイトのようなAl23・mH2Oで表記される酸化アルミニウムの水和物、水酸化アルミニウム等が挙げられ、これらのうち1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
アルミニウム源は、塗布剤中で分散していてもよいが、塗布在中に溶解していてもよい。通常、アルミニウム源は、塗布剤中で分散する。アルミニウム源は、塗布剤中で安定して分散するように、粒子状であることが好ましい。この場合、アルミニウム源のレーザー回折散乱法による体積基準平均粒径(D50)は、例えば0.005μm以上1.0μm以下、好ましくは0.015μm以上0.7μm以下である。
また、アルミニウム源は、ゾル状で、塗布剤に添加されてもよい。このようなゾルと呼ばれる微細粒子分散系を用いることにより薄くて均一、かつ、密着性の良いホウ酸アルミニウム被膜が得られる。このようなゾルとしては、例えばアルミナゾル、ベーマイトゾル等が挙げられる。ベーマイトゾル及びアルミナゾルは、作業性、あるいは価格等の点から特に適している。
(ホウ素源)
塗布剤のホウ素源としては、オルトホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸等のホウ素のオキソ酸(ホウ酸)、B23で表される酸化ホウ素等が挙げられ、これらのうち1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのうち、H3BO3で表されるオルトホウ酸は、作業性及びコストの観点から好ましい。
本実施形態に係る塗布剤は、従来と比較して、ホウ素源がアルミニウム源に対し、少なくなっている。具体的には、塗布剤は、モル比にしてAl/Bが1.9~2.1となるようにアルミニウム源とホウ素源とを含む。これは、本発明の特徴である、ホウ酸アルミニウムの微細結晶を塗布剤に含むことにより、ホウ素を過剰に含まなくてもホウ酸アルミニウム結晶が十分に形成される効果を得たことにより実現できたものである。ホウ素源が少なすぎると十分な張力が得られず、一方、ホウ素源が多すぎるとホウ酸アルミニウム被膜の耐水性の劣化による錆が発生する。
(酸化珪素及び酸化珪素前駆体)
塗布剤は、ホウ酸アルミニウム被膜の密着性を向上させる目的で、公知の酸化珪素及び/又は酸化珪素前駆体を含むことができる。酸化珪素及び/又は酸化珪素前駆体は、ホウ酸アルミニウム被膜中のガラス質のネットワークの形成に寄与し、得られるホウ酸アルミニウム被膜の密着性の向上に寄与する。
酸化珪素としては、特に限定されないが、各種公知の酸化珪素を用いることができる。特に、コロイダルシリカは、塗布剤中における分散性に優れている。
また、酸化珪素前駆体としては、酸化珪素を形成可能な化合物、例えばシラン化合物が挙げられる。シラン化合物としては、特に限定されないが、例えば、テトラエトキシシラン等のアルコキシシランや、他の酸化珪素前駆体等が挙げられ、これらのうち1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。あるいは、これらのシラン化合物の一部をあらかじめ加水分解したものを用いてもよい。
(溶媒)
塗布剤は、溶媒を含む。溶媒は、各成分を分解する溶媒としても機能するとともに、各成分を分散させる分散媒としても機能する。
溶媒としては、特に限定されないが、水や、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、エーテル系溶媒、炭化水素系溶媒等が挙げられ、これらのうち1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。作業性及び乾燥時の欠陥抑制効果並びに各成分の分散性、溶解性に優れる観点からは、水が好ましい。
以上説明した本実施形態に係る塗布剤によれば、増工程によるコストの問題や、占積率悪化あるいは張力低下の問題を起こすことなく、耐錆性に優れ、鋼板への張力付与効果の高い塗布剤が得られ、これを用いると耐錆性が十分で張力の大きいホウ酸アルミニウム被膜を形成することができる。
<方向性電磁鋼板の製造方法>
以下に、本実施形態に係る方向性電磁鋼板の製造方法について述べる。本実施形態に係る方向性電磁鋼板の製造方法は、上述した本実施形態に係る方向性電磁鋼板の張力被膜形成用塗布剤を用いて、ホウ酸アルミニウム被膜を形成する工程を有する。
(母材鋼板の準備)
まず、ホウ酸アルミニウム被膜を形成する母材鋼板を準備する。母材鋼板としては、たとえば、(1)従来公知の方法で仕上げ焼鈍を行って、表面にフォルステライト質の一次被膜が形成された鋼板、(2)一次被膜及び付随的に生成している内部酸化層を酸に浸漬して除去した鋼板、(3)上記(2)で得た鋼板に水素含有雰囲気中で平坦化焼鈍を施した鋼板、又は化学研磨や電解研磨等の研磨を施した鋼板、又は(4)被膜生成に対して不活性であるアルミナ粉末等、又は塩化物等の微量添加物を添加した従来公知の焼鈍分離剤を塗布し、一次被膜を生成させない条件下で仕上げ焼鈍を行った鋼板やその表面を(3)の方法で平坦化した鋼板等の仕上げ焼鈍が完了した鋼板、を準備すればよい。なお、母材鋼板の準備は、次に述べる塗布剤の準備と前後してもよい。
(方向性電磁鋼板の張力被膜形成用塗布剤の準備及びホウ酸アルミニウム被膜の形成)
次に前述の方法で、方向性電磁鋼板の張力被膜形成用塗布剤を準備する。得られた塗布剤を用いて、鋼板の表面にホウ酸アルミニウム被膜を形成する。ホウ酸アルミニウム被膜の形成は、鋼板の表面に塗布剤を塗布し、その後乾燥・焼き付けを行うことにより行うことができる。
鋼板表面への塗布は、例えば、ロールコーター等のコーター、ディップ法、スプレー吹き付けあるいは電気泳動等、従来公知の方法によって行うことができる。
塗布剤の塗布後の鋼板を乾操後、焼き付けを行うことにより、鋼板の表面にホウ酸アルミニウム被膜が形成される。焼き付けは、例えば750℃以上の温度で行うことができる。焼き付け温度は750℃末満の場合、塗布した前駆体が酸化物とならない場合があり、また焼き付け温度が低いため十分な張力が発現せず、好ましくない。焼き付け温度は、好ましくは750℃以上1000℃以下、より好ましくは800℃以上1000℃以下である。
焼き付け時間は20秒以上とする。焼き付け時間がこれより短いと、ホウ酸アルミニウム結晶が十分に生成されず、焼き付け後の被膜の張力が十分に得られなくなる。一方、焼き付け時間が長くても特に影響はないが、熱処理時間が長くなるのみで新たな効果が得られないことから、焼き付け時間は120秒以下とするのが好ましい。
焼き付け時の雰囲気は、水素を0~30体積%含み、残部が窒素及び不活性ガスの一方又は両方である雰囲気が好ましい。具体的には窒素ガス雰囲気や、アルゴン等の不活性ガス雰囲気、窒素-アルゴンの混合雰囲気、窒素-水素混合雰囲気等の還元性雰囲気等が好ましい。空気、あるいは酸素を過度に含む雰囲気は、鋼板を過度に酸化させる可能性があり好ましくない。また、水素の割合が30体積%を超えても特に有害な影響はないが、水素量が増えても特に効果がなく、水素ガスのコストが増えるのみであることから上限を30体積%とする。
雰囲気ガスの露点は、0~40℃とすると良好な結果が得られる。
以上のようにして、十分な防錆効果及び張力を有するホウ酸アルミニウム被膜を備えた方向性電磁鋼板を製造することができる。
以下に本発明を実施例に基づいてより詳細に説明するが、以下に示す実施例は、本発明のあくまでも一例であって、本発明はかかる実施例にのみ限定されるものではない。
[実施例1]
市販のホウ酸試薬及び、酸化アルミニウム(Al23)粉末(平均粒径:0.4μm)を表1に記載の量で混合し、これに蒸留水を加え、さらに表1に記載の粒径で、また(220)面間隔が0.525~0.535nmであるホウ酸アルミニウム結晶の微細粒子を、表1にある量を添加して十分に攪拌し、塗布剤となるスラリーを作製した。
ここで用いたホウ酸アルミニウム結晶の微細粒子は、酸化アルミニウムとホウ酸を用いてAl/B=2.0の組成で秤量して十分に混合し、これを大気中にて900℃×1時間で熱処理したのち、純水を媒体としたアルミナ製ボールミルにて粉砕した。粉砕後のスラリーをスプレードライ後、ジェットミルにて一次粒子に粉砕した後、サイクロンにて目的とする粒子径への分級を行った。
得られたスラリーを、Siを3.2%含有する厚さ0.23mmの仕上げ焼鈍が完了した一方向性珪素鋼板(グラス被膜あり)に4g/m2となるように塗布した。これを大気中雰囲気温度100℃にて60秒間乾燥後に800℃まで昇温し、この温度で均熱時間を100秒として焼き付け、絶縁被膜を形成した。焼き付け時の雰囲気は、水素を10%含む窒素雰囲気で、露点は30℃とした。
得られた試料について、耐錆性、被膜張力、及び占積率を測定した。
耐錆性は、50mm角の試料を、温度50℃、相対湿度98%の雰囲気に48時間暴露し、発錆があるかどうかを目視で確認し、発錆がなければ耐錆性が良好であるため「良」、発錆があれば「不良」とした。
被膜張力は、幅30mm、長さ300mmの形状の試料のホウ酸アルミニウム被膜を片面ずつ除去し、この際に発生する鋼板の曲がりから算出した。絶縁被膜の除去には水酸化ナトリウム水溶液を用い、得られた張力はグラス被膜を含まない張力である。ここで、被膜張力が12MPa以上であれば高い張力であり「良」、12MPa未満であれば「不良」と判断した。
占積率は、JISC2550-5の方法で測定し、97.5%以上を「良」とし、97.5%未満を「不良」とした。
表1の結果から、実施例では耐錆性を有し、かつ占積率が良好で張力の高い被膜が得られていることが確認できた。
Figure 0007481628000002
[実施例2]
市販のホウ酸試薬及び、酸化アルミニウム(Al23)粉末(平均粒径:0.4μm)を表2に記載の量で混合し、これに蒸留水を加え、さらに表2に記載の粒径で、また(220)面間隔が0.525~0.535nmであるホウ酸アルミニウム結晶の微細粒子を、表2に記載の量となるよう添加して十分に攪拌し、塗布剤となるスラリーを作製した。ここで用いたホウ酸アルミニウム結晶の微細粒子は、実施例1と同様にして作製したものである。
得られたスラリーを、Siを3.2%含有する厚さ0.23mmの仕上げ焼鈍が完了した一方向性珪素鋼板(グラス被膜あり)に、焼き付け後の被膜質量で4g/m2となるように塗布した。これを大気中雰囲気温度100℃にて60秒間乾燥後に800℃まで昇温し、この温度で均熱時間を100秒として焼き付けた。焼き付け時の雰囲気は、水素を10%含む窒素雰囲気で、露点は30℃とした。
得られた試料について、耐錆性、被膜張力及び、占積率を測定した。これらの評価方法は、実施例1と同様にした。
表2の結果から、実施例では耐錆性を有し、かつ占積率が良好で張力の高い被膜が得られていることが確認できた。
Figure 0007481628000003
[実施例3]
市販のホウ酸試薬及び、酸化アルミニウム(Al23)粉末(平均粒径:0.4μm)を、表3に記載の量で混合し、これに蒸留水を加え、さらにある粒径0.4μmで、また(220)面間隔が0.525~0.535nmであるホウ酸アルミニウム結晶の微細粒子を、表3に記載の量となるよう添加して十分に攪拌し、塗布剤となるスラリーを作製した。
ここで用いたホウ酸アルミニウム結晶の微細粒子は、Al/Bの値が表3に記載の値となるよう酸化アルミニウムとホウ酸を秤量し、ホウ酸アルミニウム微細粒子粉砕前焼成温度を表3のとおりとした他は、実施例1と同様にして作製したものである。ただし、比較例3-4は、ホウ酸アルミニウム微細粒子粉砕前焼成温度が1200℃と高すぎるために粉砕が難しく、ホウ酸アルミニウム微細粒子の粒径は1.1μmであった。
得られたスラリーを、Siを3.2%含有する厚さ0.23mmの仕上げ焼鈍が完了した一方向性珪素鋼板(グラス被膜あり)に、焼き付け後の被膜質量で4g/m2となるように塗布した。これを大気中雰囲気温度100℃にて60秒間乾燥後に800℃まで昇温し、この温度で均熱時間を100秒として焼き付けた。焼き付け時の雰囲気は、水素を10%含む窒素雰囲気で、露点は30℃とした。
得られた試料について、耐錆性、被膜張力及び、占積率を測定した。これらの評価方法は、実施例1と同様にした。
表3の結果から、実施例では耐錆性を有し、かつ占積率が良好で張力の高い被膜が得られていることが確認できた。
Figure 0007481628000004
[実施例4]
市販のホウ酸試薬及び、酸化アルミニウム(Al23)粉末(平均粒径:0.4μm)を表4に記載の量で混合し、これに蒸留水を加え、さらに(220)面間隔が0.525~0.535nmで、粒径が表4に記載の値であるホウ酸アルミニウム結晶の微細粒子を、表4にある量となるよう添加して十分に攪拌し、塗布剤となるスラリーを作製した。ここで用いたホウ酸アルミニウム結晶の微細粒子は、実施例1と同様にして作製したものである。
得られたスラリーを、Siを3.2%含有する厚さ0.23mmの仕上げ焼鈍が完了した一方向性珪素鋼板(グラス被膜あり)に焼き付け後の被膜質量で4g/m2となるように塗布した。これを大気中雰囲気温度100℃にて60秒間乾燥後に表4に示す条件で焼き付けた。
得られた試料について、耐錆性、被膜張力を測定した。これらの評価方法は、実施例1と同様にした。
表4の結果から、実施例では耐錆性を有し、かつ占積率が良好で張力の高い被膜が得られていることが確認できた。
Figure 0007481628000005

Claims (3)

  1. 固形分濃度が5~40質量%であり、かつ
    (220)面間隔が0.525~0.535nmであるホウ酸アルミニウム結晶からなる平均粒子径が0.1~0.7μmである微細粒子を固形分のうち1~50質量%含み、
    残部にアルミニウム化合物及びホウ素化合物をAlとBのモル比Al/Bが1.9~2.1の範囲で含む
    ことを特徴とする方向性電磁鋼板の張力被膜形成用塗布剤。
  2. 請求項1に記載の方向性電磁鋼板の張力被膜形成用塗布剤を製造する方法であって、
    アルミニウム化合物とホウ素化合物をAlとBのモル比Al/Bで1.9~2.1の範囲で含む混合物を作製し、
    上記混合物を800~1000℃で焼成してホウ酸アルミニウム粉体を合成し、
    得られたホウ酸アルミニウム粉体を粉砕して(220)面間隔が0.525~0.535nmであるホウ酸アルミニウム結晶からなる平均粒子径が0.1~0.7μmの微細粒子を得、
    得られた微細粒子を溶媒に加える
    工程を含むことを特徴とする方向性電磁鋼板の張力被膜形成用塗布剤の製造方法。
  3. 方向性電磁鋼板の製造方法であって、
    仕上げ焼鈍が終了した鋼板に、請求項1に記載の方向性電磁鋼板の張力被膜形成用塗布剤を塗布乾燥し、次いで、
    露点が0~40℃であり、水素を0~30体積%含み残部が窒素及び不活性ガスの一方又は両方である雰囲気中で、750~1000℃で20秒間以上熱処理する
    ことを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。
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