JP7481238B2 - 層厚解析方法 - Google Patents

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Description

本発明は、積層体の層厚を解析するための層厚解析方法に関する。
燃料電池自動車に備えられる燃料電池には、高圧の水素ガスが充填される水素タンクが用いられている。水素タンクなどの高圧タンクには、例えば、炭素繊維強化樹脂(CFRP)などの繊維強化樹脂が用いられ、繊維方向(繊維配向)がタンク軸方向に沿うヘリカル層と繊維方向がタンク軸方向と交差する方向に沿うフープ層とが交互に積層されて形成されている。
特許文献1には、三次元構造の特徴量を算出して、特徴量の特定方向の分布を表示できる画像解析装置が開示されている。この画像解析装置では、X線CT装置を用いて解析対象を撮像した三次元画像データから特定方向にスライスした二次元画像データを抽出し、抽出した二次元画像データについて、繊維配向方向などを特徴量とし、特定方向の複数位置にわたって特徴量の分布を算出する。また、画像解析装置では、特定方向に沿う特徴量の分布を表すマップを作成することで、特徴量の異なる各層の積層厚が得られるようにしている。
特開2018-091765号公報
ところで、高圧タンクの製造時には、ヘリカル層やフープ層にボイドが入り易く、特にヘリカル層にボイドが入りやすい。また、ヘリカル層及びフープ層へのボイドの入り方は、高圧タンクごとに異なる。このため、高圧タンクの各層の層厚の解析においては、ボイドの解析のための解析領域が必要となり(例えば、10mm程度)、高圧タンクの各層の層厚解析においては改善の余地がある。
本発明は、上記事実を鑑みて成されたものであり、繊維強化樹脂が積層された積層体において各層の層厚を容易に解析できる層厚解析方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明の層厚解析方法は、繊維強化樹脂の繊維方向が第1方向とされた第1層と、前記繊維強化樹脂の繊維方向が前記第1方向と交差する第2方向とされて巻回された第2層とが交互に積層された円筒状の積層体を備える高圧タンクを解析対象とし、前記第2層の繊維方向に対する接線方向に沿って照射されて前記積層体を透過したX線の投影画像を撮像手段により撮像し、撮像により得られた前記投影画像から前記積層体について径方向に沿うX線の散乱強度分布を取得し、前記繊維強化樹脂についてX線の光軸と繊維方向とのなす角度に対するX線の散乱強度を示す光学特性に基づき、前記X線の散乱強度分布における前記第2層の周面の径方向位置を解析し、該周面の径方向位置から前記第1層及び前記第2層の径方向に沿う層厚を解析する、ことを含む。
本発明の層厚解析方法では、高圧タンクにおいて、繊維強化樹脂の繊維方向が互いに交差するようにして交互に積層された円筒状の積層体を解析対象とする。高圧タンクには、積層体の外側から第2層の繊維方向の接線方向に沿ってX線が照射され、積層体を透過したX線の投影画像が撮像手段により撮像される。この投影画像により、積層体について高圧タンクの径方向に沿うX線の散乱強度分布が取得される。
第2層は、繊維方向が第1層の繊維方向と交差する方向とされて繊維強化樹脂が巻回されて形成されており、第2層では、照射されたX線に対し第1層に比して透過するX線の散乱強度が大きい。このため、X線の投影画像では、第2層においてX線に強い散乱が生じ、投影画像から得られるX線の散乱強度分布では、第2層の周面位置が明瞭でなくなる。
ここで、繊維強化樹脂におけるX線の散乱強度は、X線の光軸と繊維方向とのなす角度に応じて変化し、X線の散乱強度は、繊維強化樹脂についてX線の光軸と繊維方向とのなす角度に対するX線の散乱強度を示す光学特性に基づいている。
ここから、第2層の周面位置の特定においては、繊維強化樹脂についてX線の光軸と繊維方向とのなす角度に対するX線の散乱強度を示す光学特性に基づき、X線の散乱強度分布における第2層の周面の径方向位置を解析する。また、各々の層厚は、特定した第2層の周面の径方向位置に基づいて、第1層及び第2層の各々の径方向に沿う層厚を解析して特定する。これにより、第1層及び第2層の各々の層厚を容易に解析できる。
本発明の層厚解析方法によれば、繊維強化樹脂についてX線の光軸と繊維方向とのなす角度に対するX線の散乱強度を示す光学特性を用いることで、第1層及び第2の層の各々の層厚を容易に解析できる、という効果を有する。また、本発明の層厚解析方法によれば、第1層及び第2の層の各々の層厚を精度よく解析できる。
本実施形態に係る層厚解析装置の概略構成を示すブロック図である。 層厚解析のための構成の概略を示す斜視図である。 (A)は、X線の光軸に対する炭素繊維強化樹脂の繊維方向の概略を示す模式図、(B)は、繊維角度θに対するX線の強度(散乱強度)の概略を示す線図、(C)は、積層体の主要部と検出器との配置の概略を示す模式図である。 (A)は、光学特性設定処理の概略を示す流れ図、(B)は、取得処理の概略を示す流れ図、(C)は、解析処理の概略を示す流れ図である。 (A)~(C)は、光学特性設定処理における炭素繊維強化樹脂についてのX線の散乱強度の測定結果の一例を示す図表である。 計測処理の概略を示す模式図である。 (A)は、計測処理における投影画像の一例を示す概略図、(B)は、実測プロファイルの一例を示す線図である。 タンク情報の一例を示す図表である。 境界面となる各層の下端位置の演算結果の一例を示す図表である。 図9に基づく散乱強度の変化を示す線図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
本実施形態は、以下の態様を含む。
<1> 繊維強化樹脂の繊維方向が第1方向とされた第1層と、前記繊維強化樹脂の繊維方向が前記第1方向と交差する第2方向とされて巻回された第2層とが交互に積層された円筒状の積層体を備える高圧タンクを解析対象とし、前記第2層の繊維方向に対する接線方向に沿って照射されて前記積層体を透過したX線の投影画像を撮像手段により撮像し、撮像により得られた前記投影画像から前記積層体について径方向に沿うX線の散乱強度分布を取得し、前記繊維強化樹脂についてX線の光軸と繊維方向とのなす角度に対するX線の散乱強度を示す光学特性に基づき、前記X線の散乱強度分布における前記第2層の周面の径方向位置を解析し、該周面の径方向位置から前記第1層及び前記第2層の径方向に沿う層厚を解析する、ことを含む積層体の層厚解析方法。
<2> 前記光学特性には、前記繊維強化樹脂についてのX線の光軸に対する繊維方向の角度とX線の散乱強度との関係式が用いられる<1>の層厚解析方法。
<3> 前記積層体の投影画像の撮像に先立って、前記第1層及び前記第2層を形成する前記繊維強化樹脂を用い、前記撮像手段により該繊維強化樹脂の繊維方向につての前記X線の光軸に対するに角度に応じた投影画像を取得し、該投影画像に基づいて前記光学特性を設定することを含む<1>又は<2>の層厚解析方法。
<4> 繊維強化樹脂の繊維方向が第1方向とされた第1層と、前記繊維強化樹脂の繊維方向が前記第1方向と交差する第2方向とされて巻回された第2層とが交互に積層された円筒状の積層体を備える高圧タンクを解析対象とし、前記第2層の繊維方向に対する接線方向に沿って照射されて前記積層体を透過したX線の投影画像を撮像する撮像手段と、前記撮像手段により撮像されて投影画像から前記積層体の径方向に沿うX線の散乱強度分布を取得する取得手段と、前記繊維強化樹脂についてのX線の光軸と繊維方向とのなす角度に対するX線の散乱を示す光学特性に基づき、前記取得手段により取得された前記X線の散乱強度分布における前記第2層の周面の径方向位置を解析し、該周面の径方向位置から前記第1層及び前記第2層の径方向に沿う層厚を解析する解析手段と、を含む層厚解析装置。
<5> 前記光学特性として前記繊維強化樹脂についてのX線の光軸に対する繊維方向の角度とX線の散乱強度との関係式が用いられた<4>の層厚解析装置。
<6> 前記第1層及び前記第2層を形成する前記繊維強化樹脂を用い、前記撮像手段により撮像された前記繊維強化樹脂についての前記X線の光軸に対するに繊維方向の角度に応じた投影画像を受け付ける受付手段と、前記受付手段により受け付けた前記投影画像に基づいて前記光学特性を設定する設定手段と、をさらに含む<4>又は<5>の層厚解析装置。
図1には、本実施形態に係る層厚解析装置10の主要部の概略構成がブロック図にて示されており、図2には、層厚解析装置10を用いた層厚の解析のための構成の主要部が斜視図にて示されている。
図1及び図2に示すように、本実施形態では、層厚解析装置10の解析対象として高圧水素タンクとして用いられる高圧タンク12を適用している。高圧タンク12は、例えば、燃料電池自動車において燃料としての水素ガスの充填に用いられる。なお、解析対象は、燃料電池用の水素ガスに限らず、各種の高圧ガスの充填に用いられる高圧タンクなど、第1層と第2層とが交互に積層されて所要の断面形状とされた各種の高圧タンクを適用できる。
高圧タンク12は、タンク体を形成する外形略円筒状(径方向断面が略円筒状)の積層体14を備えており、積層体14は、高圧タンク12の軸方向の中間部を形成する。層厚解析装置10は、高圧タンク12について、積層体14におけるフープ層16及びヘリカル層18の各々の径方向に沿う厚さである層厚を解析する。なお、高圧タンク12の径方向は、積層体14の各層の層厚方向とされる。
積層体14は、第2層としてのフープ層16と、第1層としてのヘリカル層18とが交互に形成されており、積層体14は、径方向内側からヘリカル層18A、フープ層16A、ヘリカル層18B、及びフープ層16Bが順に積層されている。また、高圧タンク12には、ヘリカル層18Aの径方向内側に水素ガスの透過を防止するための樹脂製とされたライナ層20が形成されている。
積層体14(フープ層16及びヘリカル層18)には、各々繊維強化樹脂(FRP:Fiber Reinforced Plastic)としての炭素繊維強化樹脂(CFRP:Carbon Fiber Reinforced Plastic)が用いられている。炭素繊維強化樹脂(繊維強化樹脂も同様)には、複数の繊維(炭素繊維)が一方向(繊維の配向方向。以下、繊維方向という)に配列されている。積層体14は、繊維方向が第1方向としての高圧タンク12の軸線方向とされて炭素繊維強化樹脂が設けられてヘリカル層18が形成され、繊維方向が第1の方向と交差する第2方向としての高圧タンク12の周方向とされて炭素繊維強化樹脂が巻回されてフープ層16が形成されている。これにより、フープ層16とヘリカル層18とは、径方向視で繊維方向が略直交するように配置されている。このような積層体14は、例えば、シート状の繊維強化樹脂により繊維方向が軸方向とされて円筒状に形成されたヘリカル層18と、シート状の繊維強化樹脂により繊維方向が周方向とされて円筒状に形成されたフープ層16とを交互に積層して形成できる。
図1及び図2に示すように、層厚解析装置10では、繊維からの微小な散乱を捉える機構としてのX線散乱強度測定装置(図示省略)が用いられる。X線散乱強度測定装置は、例えば、位相コントラストイメージングを実現するタルボ・ロー干渉計、X線源(何れも図示省略)、及び撮像手段としての検出器(検出体)22を備える。X線散乱強度測定装置は、コヒーレント光源とされた図示しないX線源から平行光とされ、かつ検出器22の検出面22Aに垂直に照射されるX線(図面に二点鎖線にて示す)を射出する。検出器22は、X線源から出射されたX線を検出面22Aにおいて受光(撮像)し、高圧タンク12から散乱強度に応じて透過したX線の投影画像(透過画像)の画像データを出力する。
図3(A)には、X線の光軸に対する炭素繊維強化樹脂の繊維方向の概略が模式図にて示され、図3(B)には、光軸と繊維方向との間の角度に対する散乱されたX線の強度(散乱強度F)の概略が線図にて示されている。また、図3(C)には、撮像のための積層体14の主要部と検出器22との配置の概略が模式図にて示されている。なお、以下の説明では、X線の光軸と炭素繊維強化樹脂の繊維方向との間においてX線源側(検出器22とは反対側)の角度を繊維角度θとする。また、繊維角度θは、繊維方向が高圧タンク12の径外側(高圧タンク12の中心側とは反対側)に向かう方向を正(プラス)とし、繊維方向が高圧タンク12の径内側(高圧タンク12の中心側)に向かう方向を負(マイナス)とする。さらに、炭素繊維強化樹脂によるX線の散乱の強さを散乱強度Fと言い、計測された散乱強度Fには、散乱の頻度及び散乱角の大小が含まれる。高圧タンク12において、散乱が強いとは、散乱体としての炭素繊維が多いことを意味し、散乱角が大きいとは、炭素繊維の角度とX線入射角との差が小さいことを意味する。このような散乱強度は、位相コントラストイメージング法における干渉性(ビジビリティ)の低下という形で計測できる。
一般に、炭素繊維強化樹脂(繊維強化樹脂も同様)では、X線が照射されることで、照射されたX線が透過し、炭素繊維強化樹脂では、透過するX線に対して炭素繊維が散乱を生じさせる。
図3(A)及び図3(B)に示すように、炭素繊維強化樹脂は、X線の光軸に対する繊維(炭素繊維)14Aの角度である繊維角度θ=0°においてX線の散乱強度Fが最も大きくなり、繊維角度θがθ1、θ2(0°<θ1<θ2<90°)と大きくなるにしたがって(繊維角度θが90°に近づくにしたがって)、X線の散乱強度Fが減少するという光学的特性を有する。高圧タンク12では、径方向に照射されたX線に対し、フープ層16における散乱強度Fがヘリカル層18における散乱強度Fよりも大きく、フープ層16におけるX線の散乱がヘリカル層18におけるX線の散乱よりも強くなる。
このため、積層体14を透過したX線は、フープ層16側とヘリカル層18側とで輝度(明暗)が異なる(X線散乱法)。これにより、図3(C)に示すように、検出器22の検出面22A上(投影画像上)のフープ層16の周面位置としてのフープ層16とヘリカル層18との境界(界面)位置は、X線に散乱が生じていないと仮定した位置(図3(C)の破線参照)よりもヘリカル層18側にずれているように見える(図3(C)の二点鎖線参照)。なお、図3(C)では、積層体14を簡略化してフープ層16とヘリカル層18の2層として示している。
層厚解析装置10は、検出器22を用い、積層体14についてX線の透過画像(投影画像)を撮像する。この際、積層体14を透過したX線にフープ層16の繊維14Aにより散乱が促進されることで、透過画像は、X線の散乱に応じて輝度が分布した画像(散乱強度分布を得ることができる明暗画像)となる。
このような炭素繊維強化樹脂におけるX線の散乱強度についての光学的特性は、光の光学特性に適用される関係式であるローレンツ関数やガウシアン関数などの一般的関数に近似できる。層厚解析装置10では、検出器22で検出されるフープ層16における散乱に応じて輝度が分布した投影画像(画像データ)を用い、フープ層16及びヘリカル層18の層厚を解析する。この際、層厚解析装置10では、炭素繊維強化樹脂について繊維14Aに対するX線の散乱強度の光学特性として、炭素繊維強化樹脂について繊維角度θに対するX線の散乱強度Fを示す関係式を用いる。
層厚解析装置10では、解析対象のフープ層16及びヘリカル層18に用いられる炭素繊維強化樹脂について、X線の光軸に対する繊維角度θを変化させた複数の投影画像(散乱強度分布を示す画像)を取得し、繊維角度θに応じたX線の散乱強度から繊維角度θに対するX線の散乱強度Fを近似できる関係式を定める。
さらに、層厚解析装置10では、X線の投影画像の画像データから積層体14の層厚方向に沿う散乱強度Fの変化を示す実測プロファイルを作成すると共に、炭素繊維強化樹脂の繊維角度θに対するX線の散乱強度の関係式に基づいて、理論上のプロファイルとしての理論プロファイルを生成する。層厚解析装置10では、実測プロファイル及び理論プロファイルを用いて、フープ層16の周面位置を解析する。具体的には、層厚解析装置10は、実測プロファイルを用いて理論プロファイルを検証することで、フープ層16の周面位置を解析し、ヘリカル層18(18A、18B)の間のフープ層16(16A)の層厚、及びフープ層16(16A、16B)の間のヘリカル層18(18B)の層厚を解析する。なお、径方向の内側のヘリカル層18A及びフープ層16Bの層厚については、積層体14の内径及び外径を用いて解析できる。
図1に示すように、層厚解析装置10は、画像処理部24、設定手段としての特性設定部26、及び記憶手段としての記憶部28を備えている。また、層厚解析装置10は、取得手段としてのプロファイル生成部30、受付手段としてのタンク情報入力部32、理論プロファイル生成部34、検証部36、層厚算出部38及び出力部40を備えており、理論プロファイル生成部34及び検証部36が解析手段を構成する。
層厚解析装置10は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ストレージ、通信インタフェース、表示部及び操作部の構成を有し、各構成がバスを介して相互に通信可能に接続されたマイクロコンピュータ(図示省略)を備えている。
ROMは、各種プログラムおよび各種データを格納する。RAMは、作業領域として一時的にプログラムやデータを記憶する。ストレージは、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)などにより構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、及び各種データが格納される。通信インタフェースは、サーバ、印刷機等の他の機器と通信するためのインタフェースであり、例えば、イーサネット(登録商標)、FDDI、Wi-Fi(登録商標)等の規格が用いられる。操作部は、マウス等のポインティングデバイス及びキーボードを含み、各種の入力を行うために使用される。また、表示部は、例えば、液晶ディスプレイであり、各種の情報を表示する。表示部は、タッチパネル方式を採用して、操作部として機能しても良い。
層厚解析装置10では、ROM又はストレージに層厚解析のための層厚解析プログラムが格納されており、CPUがROM又はストレージから層厚解析プログラムを読み出し、RAMを作業領域として実行することで、層厚解析プログラムに応じた機能が実現される。これにより、層厚解析装置10では、画像処理部24、特性設定部26、プロファイル生成部30、理論プロファイル生成部34、検証部36、及び層厚算出部38の各機能が実現されている。また、層厚解析装置10では、ストレージによって記憶部28の機能が実現され、操作部によってタンク情報入力部32の機能が実現され、表示部などにより出力部40の機能が実現される。なお、タンク情報入力部32及び出力部40の機能は、通信インタフェースなどが用いられた入力機能及び出力機能によって実現されてもよい。
層厚解析装置10には、検出器22が電気的に接続されており、積層体14について検出器22から出力された画像データが画像処理部24に入力される。画像処理部24は、入力された画像データに対して所定の(公知の)画像処理を行うことで、X線の散乱強度分布に応じた画像データを出力する。
特性設定部26は、炭素繊維強化樹脂について繊維角度θごとのX線の投影画像が撮像されることで、該投影画像から得られる繊維角度θに応じたX線の投影画像を用い、積層体14に用いた炭素繊維強化樹脂についての光学特性としての繊維角度θに対するX線の散乱強度(散乱強度の変化)を示す関係式を設定する。関係式には、繊維角度θに対するX線の散乱強度Fを示す散乱強度関数F(θ)が適用され、特性設定部26では、繊維角度θに対するX線の散乱強度が近似されるように散乱強度関数F(θ)を設定する。記憶部28には、特性設定部26において設定された散乱強度関数F(θ)が格納される。
一方、図2に示すように、層厚解析装置10を用いた層厚解析処理では、X線散乱強度測定装置のX線源と検出器22との間に高圧タンク12が配置される。これにより、層厚解析装置10では、検出器22により高圧タンク12の積層体14の所定部位におけるフープ層16の繊維方向の接線方向に沿って照射されたX線の投影画像を検出でき、X線の投影画像からX線の散乱強度の分布に応じた画像データを取得できる。層厚解析装置10のプロファイル生成部30では、画像処理部24によって画像処理されて得られるX線の散乱強度の分布に応じた画像データから、積層体14の径方向に沿うX線の散乱強度分布を示すプロファイル(実測プロファイル)を生成する。
一方、タンク情報入力部32には、解析対象の高圧タンク12のタンク情報が入力される。このタンク情報には、積層体14の層構成、及び高圧タンク12の外径(積層体14の外側半径)等の情報が含まれ、積層体14の層構成には、各層においてXの散乱に影響する炭素繊維強化樹脂の巻き方向(繊維方向)を特定できる情報が含まれる。また、タンク情報には、高圧タンク12におけるライナ層20を除いた内径(積層体14の内径に対応するライナ層20の外側半径)等の情報が含まれてもよい。
理論プロファイル生成部34は、タンク情報及び散乱強度関数F(θ)に基づき、実測プロファイルに対応する積層体14の層厚方向に対する理論上のX線の散乱強度の分布を生成する。この際、理論プロファイル生成部34は、理論上のX線の散乱強度の値の分布(X線の散乱強度の理論値の分布)を示すプロファイル(理論プロファイル)を生成する。また、理論プロファイル生成部34では、X線の散乱強度の大きい(散乱の強い)層であるフープ層16(16A、16B)を対象として、フープ層16の周面位置(軸心を原点とする座標位置)を仮定(仮に設定)し、仮定した位置をフープ層16の周面とする理論プロファイルを生成する。また、仮定するフープ層16の周面位置としては、径方向の内側及び径方向外側の少なくとも一方の周面を適用できる。
検証部36は、実測プロファイルと理論プロファイルとを照合し、理論プロファイルが実測プロファイルに一致(実質的に一致している場合を含む)しているかを検証する。この際、検証部36は、フープ層16の周面位置を設定し、設定した周面位置に基づいて理論プロファイスを生成し、生成した理論プロファイルが実測プロファイルと一致するか否かを検証する。層厚算出部38は、検証部36において実測プロファイルと一致しているとみなせる理論プロファイルに基づいて各層の層厚を算出し、算出結果を出力部40から出力する。
以下に、本実施形態の作用として、層厚解析装置10を用いた解析対象の高圧タンク12における積層体14の層厚解析処理を説明する。
層厚解析装置10を用いた層厚解析処理では、取得処理及び解析処理が実行される。また、層厚解析装置10を用いた層厚解析処理では、取得処理に先立って光学特性設定処理を実行できる。
取得処理には、高圧タンク12の積層体14に対するX線の投影画像を撮像して、X線の散乱強度分布を計測する計測処理を含む。取得処理では、層厚解析装置10が計測処理の計測結果に基づいて積層体14の層厚方向に沿うX線の散乱強度Fの分布を示す実測プロファイルを生成する。また、解析処理においては、層厚解析装置10が予め設定している散乱強度関数F(θ)を用いて、積層体14における層厚方向に沿う理論上のX線の散乱強度の分布を示す理論プロファイルを生成する。また、解析処理では、理論プロファイルについて、実測プロファイルを用いて検証して各層の層厚を解析する。また、光学特性設定処理は、取得処理又は計測処理に先立って実行でき、光学特性設定処理では、層厚解析装置10が炭素繊維強化樹脂における繊維角度θに対するX線の散乱強度を示す散乱強度関数F(θ)を設定する。
図4(A)には、光学特性設定処理の概略が流れ図にて示され、図4(B)には、計測処理(撮像処理)を含む取得処理の概略が流れ図にて示され、図4(C)には、解析処理の概略が流れ図にて示されている。また、図5(A)~図5(C)には、光学特性設定処理において取得された炭素繊維強化樹脂についてのX線の散乱強度の概略が線図にて示されている。
図4(A)に示すように、光学特性設定処理では、最初のステップ100において、繊維角度θに応じたX線の輝度(散乱強度)を計測する。光学特性取得処理では、積層体14のフープ層16及びヘリカル層18に用いたのと同様の炭素繊維強化樹脂をX線源と検出器22との間に配置し、炭素繊維強化樹脂におけるX線の光軸に対する繊維14Aの繊維角度θを所定の範囲で変化させながら、炭素繊維強化樹脂を透過したX線を撮像する。
繊維角度θの範囲は、X線の散乱強度が最も強い状態に比して無視できる角度の範囲を適用でき、例えば、ヘリカル層18における散乱強度と同等の散乱強度となる角度(繊維角度θ=90°)までの範囲や、X線の散乱強度が最大値に対して所定比率以下となる角度の範囲などを適用できる。
次のステップ102において、層厚解析装置10は、検出器22により検出される繊維角度θごとのX線の投影画像を読み込む。これにより、層厚解析装置10は、繊維角度θごとのX線の散乱強度Fが得られる投影画像を取得する。この後、ステップ104において、層厚解析装置10は、炭素繊維強化樹脂についてX線の散乱強度Fの光学特性を示す関係式として散乱強度関数F(θ)を設定する。
X線の投影画像は、繊維におけるX線の散乱強度に応じた輝度となる。ここから、層厚解析装置10では、繊維角度θごとのX線の輝度から繊維角度θごとのX線の散乱強度を取得して、取得したX線の散乱強度をプロットする。これにより、図5(A)に示すように、層厚解析装置10では、X線の光軸と炭素繊維強化樹脂における繊維14Aの繊維方向との角度差である繊維角度θに応じたX線の散乱強度Fが得られる。層厚解析装置10では、例えば、繊維角度θを繊維角度θの正接(tanθ)に変換し(図5(B)参照)、繊維角度θに応じたtanθ(繊維角度θの正接)に対するX線の散乱強度Fの変化特性を示す曲線を取得する(図5(C)参照)。
層厚解析装置10では、繊維角度θ(tanθ)に対するX線の散乱強度の光学特性を示すための関係式(関係関数)の一例として(1)式に示すローレンツ関数F(θ)を適用している。
上記ローレンツ関数F(θ)は、定数A、Bにより演算値のピーク(最大値)及び各角度θにおける演算値が変化する。層厚解析装置10は、炭素繊維強化樹脂における繊維角度θについてのX線の散乱強度の変化を示す曲線が近似されるようにローレンツ関数F(θ)の定数A、Bを設定し、設定したローレンツ関数F(θ)を散乱強度関数F(θ)に設定する。この後、ステップ106において、層厚解析装置10は、設定した散乱強度関数F(θ)を記憶部28に記憶し、光学特性設定処理を終了する。
次に、層厚解析装置10を用いた層厚解析処理では、解析対象の計測処理を含む取得処理(図4(B)参照)が実行され、解析処理(図4(C)参照)が実行される。なお、図6には、計測処理の概略が模式図にて示されている。また、図7(A)には、計測処理における投影画像の一例が示され、図7(B)には、計測結果に基づいた実測プロファイルの一例が線図にて示されている。さらに、図8には、タンク情報の一例が図表にて示され、図9には、界面となる各層の下端位置の演算結果の一例が図表にて示され、図10には、図9の演算結果に基づいた層厚方向位置に対する散乱強度Fの変化が線図にて示さている。
図4(B)に示すように、取得処理では、最初のステップ110において、X線散乱強度測定装置を用いて高圧タンク12の積層体14を撮像する計測処理を行う。図6に示すように、計測処理では、X線源と検出器22との間に高圧タンク12の積層体14(高圧タンク12の外周部)を配置し、積層体14に向けてX線を照射し、積層体14を透過して検出器22の検出面22Aに照射されたX線を受光する。これにより、積層体14の径方向の位置Pにおけるフープ層16の繊維方向の接線方向に沿い、かつ検出器22の検出面22Aに垂直となるようにX線が照射され、図7(A)に示される如き、積層体14を透過したX線の散乱強度の分布に応じた投影画像が得られる。
図4(B)のステップ112において、層厚解析装置10は、検出器22からX線の投影画像の画像データを読み込む。これにより、層厚解析装置10は、積層体14を透過したX線の散乱強度の分布画像(例えば、図7(A)に示す投影画像:明暗画像)を取得する。
この後、ステップ114において、層厚解析装置10は、X線の投影画像の画像データに基づき、積層体14における層厚方向に対するX線の散乱強度の変化を示す実測プロファイルを作成する。実測プロファイルは、投影画像上における高圧タンク12の軸方向の所定位置P(図7(A)参照)について、積層体14の層厚方向におけるX線の散乱強度Fの変化を示している(図7(B)に参照)。
図4(C)に示すように、解析処理では、最初のステップ120においてタンク情報が入力されることで、層厚解析装置10が入力されたタンク情報を受け付ける。図8に示すように、タンク情報には、高圧タンク12の外径寸法(外径R)、及び積層体14を形成する各層を特定する情報が含まれる。各層の情報としては、高圧タンク12の径方向の内側から積層順序1、2、3、4、5として、各々ライナ層20、ヘリカル層18A、フープ層16A、ヘリカル層18B、及びフープ層16Bの各々を特定できる情報が入力される。積層体14を形成するヘリカル層18A、フープ層16A、ヘリカル層18B、及びフープ層16Bの各々を特定できる情報には、積層体14における炭素繊維強化樹脂の巻き方向(繊維方向)を示す情報が含まれる。このようなタンク情報としては、高圧タンク12の設計情報を用いることができる。
図4(C)のステップ122において、層厚解析装置10は、積層体14の径方向におけるフープ層16の周面位置の一つを設定し、ステップ124において、設定した位置をフープ層16の周面位置として散乱強度関数F(θ)((1)式参照)に基づいて層厚方向に沿ったX線の理論上の強度を示す理論プロファイルを生成する。また、層厚解析装置10は、ステップ126において実測プロファイルを用いて理論プロファイルを検証し、理論プロファイルが実測プロファイルに一致しているとみなせると、ステップ126において肯定判定して、ステップ128に移行する。ステップ128では、層厚解析装置10が実測プロファイルに一致すると判定された理論プロファイルにおいて設定したフープ層16の周面位置から積層体14を形成する各層の層厚を算出する。
ここで、解析処理の具体例を説明する。図6に示すように、積層体14(高圧タンク12)の中心を原点するX-Y平面のY軸上におけるフープ層16内の位置yのX線の散乱強度I(y)は、(2)式で示される。また、位置Pにおける円筒状の積層体14では、Y軸を対称線とする線対称とみなすことができるので、(2)式を(3)式に変形して用いることができる。なお、(3)式では、角度θaが光軸方向であるX軸上の位置xaにおける繊維角度θ、角度-θaがX軸上の位置-xaにおける繊維角度θとしている(図示省略)。また、位置yは、積層体14の中心(原点0)からの距離を示す。
また、(4)式の左辺において、(ab+b)>0とすると、(4)の右辺が成り立つ。ここから、(3)式は、(4)を用いることで、(5)式に変形でき、フープ層16上の位置yにおけるX線の散乱強度I(y)は、(5)式を演算することで得られる。なお、Rはタンク情報として受け付けた積層体14の半径であり、定数A、Bは光学特性設定処理において定められている。

理論プロファイルの生成では、Y軸上におけるフープ層16の径方向内側の周面の位置y’を仮に設定し、設定した周面の位置y’を基準として、原点(y=0)から外周位置(y=R)までの範囲で散乱強度I(y)を演算する。また、理論プロファイルの生成では、複数のフープ層16(16A、16B)の各々について、径方向内側の周面の位置y’の各々を仮に設定し、設定した各々位置y’を基準として散乱強度I(y)が演算される。
理論プロファイルは、各位置y’についてY軸上の位置yごとの散乱強度I(y)を合成することで得られる。なお、設定するフープ層16の周面の位置は、径方向内側の周面の位置y’のみでなく、径方向外側の周面の位置y”も適用できる。
この後、実測プロファイルを用いて理論プロファイルを検証する。検証では、例えば、実測プロファイル及び理論プロファイルの各々を正規化し、理論プロファイルが実測プロファイルを一致しているか否か(近似できるか否かでもよい)を判定する。理論プロファイルが実測プロファイルを一致又は近似できていると判定されることで、理論プロファイルにおいて位置y’を解析対象の積層体14におけるフープ層16の径方向内側の周面の位置とみなす。このフープ層16の径方向内側の周面の位置が得られることで、得られたフープ層16の周面の位置をタンク情報とから、フープ層16の各々の層厚が得られ、フープ層16の間のヘリカル層18の層厚が得られる。
ここで、図9には、論理プロファイルの演算結果の一実施例が示され、図10には、図9の演算結果に基づいた層厚方向(径方向)の位置yに対する散乱強度が線図にて示されている。
図9における上端座標は、解析対象として想定した積層体14のフープ層16B、ヘリカル層18B、フープ層16B、ヘリカル層18A及びライナ層20の径方向外側の周面の位置(想定座標位置)を示している。また、下端座標は、解析対象として想定した積層体14のフープ層16B、ヘリカル層18B、フープ層16B、ヘリカル層18A及びライナ層20の径方向内側の周面の位置(想定座標位置)を示している。上端座標及び下端座標は、各々実測プロファイルにより検証された各層の周面の位置としている。
散乱強度I(y)、I(y)、I(y)、I(y)、I(y)は、各々フープ層16Bの位置y’、フープ層16Aの位置(ヘリカル層18Bの径方向外側の周面の位置)y”、フープ層16Aの位置y’、ヘリカル層18の径方向内側の周面の位置(ライナ層20の径方向外側の周面の位置)、及びライナ層20の径方向内側の周面の位置)に対応している。また、yは、散乱強度I(y)としての散乱強度I(y)、I(y)、I(y)、I(y)、I(y)の演算におけるY軸上の位置(y座標)を示している。なお、図9では、演算及び演算結果を簡略化するためにyを粗くして示している(5mmごととしている)。
また、図10では、理論プロファイルに対応する縦軸の散乱強度をIs(y)=I(y)-I(y)+I(y)-I(y)-I(y)とし、横軸が積層体14の中心(原点)からの距離(径方向寸法)としており、Y軸方向の位置(Y軸座標)を示している。
図9及び図10に示すように、炭素繊維強化樹脂について設定したX線の散乱強度関数F(θ)を用いることで、散乱強度Is(y)(Is(y)=I(y)-I(y)+I(y)-I(y)-I(y))から解析対象の積層体14について、フープ層16Bの径方向外側の周面の位置、フープ層16Bの径方向内側の周面の位置(ヘリカル層18Bの径方向外側の周面の位置)、フープ層16Aの径方向外側の周面の位置(ヘリカル層18Bの径方向外側の周面位置)、及びフープ層16Aの径方向内側の周面の位置(ヘリカル層18Aの径方向外側の周面の位置)の各々を精度よく特定できるプロファイルが得られる。
したがって、層厚解析装置10では、フープ層16の各々の径方向内側の周面の位置y’を設定して演算した散乱強度I(y)から論理プロファイルを生成し、実装プロファイルに近似する論理プロファイルを検証することで、フープ層16の周面の位置y’を特定できる。この理論プロファイルIs(y)が実測プロファイルと近似することで、理論プロファイルIs(y)において設定したフープ層16の各々の位置y’からフープ層16の各々の径方向内側の位置yを特定できる。
しかも、層厚解析装置10では、散乱強度I(y)の総和である散乱強度Is(y)を用いることで、フープ層16の径方向外側の位置を特定できて、フープ層16の間のヘリカル層18(18B)の層厚を特定できる。
なお、フープ層16の径方向外側の周面の位置y”を仮定して、理論プロファイルを生成した場合においても、同様にフープ層16の各々の層厚及びフープ層16の間のヘリカル層18の層厚を特定できる。
このように層厚解析装置10では、予め記憶部28に記憶された散乱強度関数F(θ)を用い、タンク情報に基づいて特定したフープ層16について、フープ層16を透過したX線の散乱強度を示す理論プロファイルを生成する。
また、層厚解析装置10の検証部36は、理論プロファイルが実測プロファイルに合っているか否かを検証することで、理論プロファイルにおいて仮定したフープ層16の径方向内側の周面の位置y’が実測プロファイルにおけるフープ層16の径方向内側の周面の位置に合っているか否かを検証する。
これにより、理論プロファイルが実測プロファイルに合っていると検証されることで、理論プロファイルにおいて設定した周面の位置y’が、解析対象の積層体14におけるフープ層16の径方向内側の周面の位置として特定できる。なお、検証部36によって理論プロファイルが実測プロファイルに合っていないとされた場合、理論プロファイル生成部34では、設定する周面位置を更新し、新たに設定した周面位置についての理論プロファイルを生成する。
層厚解析装置10では、フープ層16の周面位置の各々が得られることで、積層体14におけるフープ層16におけるヘリカル層18との境界面の位置を得ることができる。層厚解析装置10の層厚算出部38は、このようにして得られたフープ層16とヘリカル層18との境界面の位置に基づいて、フープ層16(16A、16B)及びヘリカル層18(18A、18B)の各々の層厚を算出する。これにより、層厚解析装置10では、積層体の14の各層の層厚を容易に解析できる。しかも、層厚解析装置10では、積層体14の各層の層厚を精度よく解析できる。
なお、以上説明した本実施形態では、繊維方向が軸方向とされたヘリカル層18と繊維方向が周方向とされフープ層16とが交互に積層された積層体14を例に説明した。しかしながら、高圧タンクの積層体は、繊維強化樹脂の繊維方向が第1方向とされた第1層と、前記繊維強化樹脂の繊維方向が前記第1方向と交差する第2方向とされて巻回された第2層とが交互に積層された円筒状であればよく、例えば、第1層と第2層の各々が互いの繊維方向が交差する方向とされて螺旋状に巻回されて形成されてもよい。この場合、積層体の投影画像は、第2層の繊維方向の接線方向に沿って照射されたX線が用いられて撮像されればよい。
なお、上記実施形態でCPUがソフトウェア(プログラム)を読み込んで実行した解析処理を、CPU以外の各種のプロセッサが実行してもよい。この場合のプロセッサとしては、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なPLD(Programmable Logic Device)、及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が例示される。また、分布導出処理及び確率導出処理を、これらの各種のプロセッサのうちの1つで実行してもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGA、及びCPUとFPGAとの組み合わせ等)で実行してもよい。また、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。
また、上記実施形態では、解析処理のプログラムがROM又はストレージに予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、これに限定されない。プログラムは、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、プログラムは、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
10 層厚解析装置
12 高圧タンク
14 積層体
14A 繊維
16(16A、16B) フープ層(第2層)
18(18A、18B) ヘリカル層(第1層)
22 検出器(撮像手段)
26 特性設定部(設定手段)
28 記憶部
30 プロファイル生成部(取得手段)
32 タンク情報入力部(受付手段)
34 理論プロファイル生成部(解析手段)
36 検証部(解析手段)

Claims (1)

  1. 繊維強化樹脂の繊維方向が第1方向とされた第1層と、前記繊維強化樹脂の繊維方向が前記第1方向と交差する第2方向とされて巻回された第2層とが交互に積層された円筒状の積層体を備える高圧タンクを解析対象とし、前記第2層の繊維方向に対する接線方向に沿って照射されて前記積層体を透過したX線の投影画像を撮像手段により撮像し、
    撮像により得られた前記投影画像から前記積層体について径方向に沿うX線の散乱強度分布を取得し、
    前記繊維強化樹脂についてX線の光軸と繊維方向とのなす角度に対するX線の散乱強度を示す光学特性に基づき、前記X線の散乱強度分布における前記第2層の周面の径方向位置を解析し、該周面の径方向位置から前記第1層及び前記第2層の径方向に沿う層厚を解析する、
    ことを含む積層体の層厚解析方法。
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