JP7466790B1 - 半導体装置の製造方法 - Google Patents

半導体装置の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP7466790B1
JP7466790B1 JP2023550589A JP2023550589A JP7466790B1 JP 7466790 B1 JP7466790 B1 JP 7466790B1 JP 2023550589 A JP2023550589 A JP 2023550589A JP 2023550589 A JP2023550589 A JP 2023550589A JP 7466790 B1 JP7466790 B1 JP 7466790B1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
semiconductor substrate
hydrogen
semiconductor device
silicon wafer
annealing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2023550589A
Other languages
English (en)
Inventor
明 清井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Electric Corp filed Critical Mitsubishi Electric Corp
Application granted granted Critical
Publication of JP7466790B1 publication Critical patent/JP7466790B1/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Recrystallisation Techniques (AREA)

Abstract

高抵抗領域の発生が抑制されたバッファ層を含む半導体装置が得られる。半導体装置の製造方法は、半導体基板を準備する工程(S1a)と、半導体基板に水素を導入する工程(S2a)と、半導体基板に荷電粒子線を照射する工程(S7a)と、荷電粒子線を照射する工程(S7a)の後に、半導体基板に活性化アニールをする工程(S8a)とを備える。水素を導入する工程(S2a)は、活性化アニールをする工程(S8a)の前に実施される。

Description

本開示は、半導体装置の製造方法に関する。
従来、パワーダイオードや絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)等の半導体装置が知られている。これらの半導体装置の薄板化は損失低減に有効であるが、スナップオフに対する余裕度の低下および発振といった問題が発生する恐れがある。このような問題の発生を抑制するため、たとえばプロトン照射およびアニール処理によって、半導体装置にバッファ層が形成される。例えば、国際公開第2021/181644号公報に開示される半導体装置の製造方法は、リンまたはヒ素をドープした半導体基板を貫通させるように、イオンまたは電子線を照射する工程と、当該半導体基板に水素プラズマを照射してアニールを行う工程とを備える。
国際公開第2021/181644号公報
しかし、半導体基板にイオンまたは電子線を照射すると、余分な点欠陥が生じ、高抵抗領域が残存することがある。このような高抵抗領域は、半導体装置の耐圧低下やリーク電流の発生の原因になり、デバイス特性の悪化を招く。
本開示は、上記のような課題を解決するために成されたものであり、本開示の目的は、高抵抗領域の発生が抑制された、バッファ層を含む半導体装置を提供することである。
本開示に従った半導体装置の製造方法は、半導体基板を準備する工程と、半導体基板に水素を導入する工程と、半導体基板に荷電粒子線を照射する工程と、荷電粒子線を照射する工程の後に、半導体基板に活性化アニールする工程とを備える。水素を導入する工程は、活性化アニールする工程の前に実施される。
上記によれば、高抵抗領域の発生が抑制された、バッファ層を含む半導体装置を得ることができる。
実施の形態1に係る半導体装置の断面図である。 高抵抗領域を含まない半導体基板における、キャリア濃度の分布図である。 高抵抗領域を含まない半導体基板における、水素濃度の分布図である。 高抵抗領域を含む半導体基板における、キャリア濃度の分布図である。 高抵抗領域を含む半導体基板における、水素濃度の分布図である。 実施の形態1に係る半導体装置の製造方法のフローチャートである。 図6に示した半導体装置の製造方法により得られた半導体装置における水素濃度の概略分布図である。 図6に示した半導体装置の製造方法により得られた半導体装置の変形例を示す断面図である。 実施の形態2に係る半導体装置の製造方法のフローチャートである。 異なる酸素濃度を含む半導体基板のそれぞれにおける、キャリア濃度の分布図である。 図9に示した半導体装置の製造方法により得られた半導体装置における水素濃度の概略分布図である。
以下、本開示の実施の形態を説明する。なお、特に言及しない限り、以下の図面において同一または対応する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰り返さない。
実施の形態1.
<半導体装置の構成>
図1は、実施の形態1に係る半導体装置100の断面図である。図1は、後述する図6に示した半導体装置100の製造方法により得られた半導体装置100である。
図1に示す半導体装置100は、たとえば、パワー半導体装置として用いられる縦型ダイオードであって、半導体基板200と、表面電極10と、裏面電極11とを主に備える。半導体基板200は、第1主面1aと第2主面1bを有する。第2主面1bは、第1主面1aの反対側にある面である。表面電極10は、第1主面1aに接続されている。裏面電極11は、第2主面1bに接続されている。
半導体基板200は、p型アノード層22と、n型ドリフト層1と、n型バッファ層2と、n型カソード層21とを含む。図1に示されるように、第2主面1bからみて第1主面1aが配置されている方向を第1方向Xとすると、半導体基板200において、第2主面1bから第1方向Xにn型カソード層21、n型バッファ層2、n型ドリフト層1、p型アノード層22が順番に形成されている。具体的には、第1主面1aにp型アノード層22が形成されている。第2主面1bにn型カソード層21が形成されている。p型アノード層22とn型カソード層21との間にn型ドリフト層1が形成されている。p型アノード層22に接するようにn型ドリフト層1が形成されている。n型ドリフト層1とn型カソード層21との間にn型バッファ層2が形成されている。n型バッファ層2は、n型ドリフト層1とn型カソード層21との両方と接するように形成されている。n型バッファ層2は、n型ドリフト層1よりも、高いn型不純物濃度を有している。n型カソード層21は、n型バッファ層2よりも、高いn型不純物濃度を有している。
ここで、半導体基板200に含まれるバッファ層について説明する。後述するようにバッファ層を形成するプロセスは、プロトンなどの荷電粒子線を半導体基板(シリコンウエハ)に照射する工程を含む。バッファ層の形成にはドナーが寄与する。このドナーは、シリコンウエハである半導体基板200に含まれる水素と点欠陥とが複合化するプロセスを利用して形成される。点欠陥は、結晶格子の局所的な乱れである。点欠陥は、空孔(Vacancy)タイプと、格子間原子(Interstitial Silicon)タイプとの2種類がある。一般的に、点欠陥と水素とが複合化されると、点欠陥のダングリングボンドが水素によって遮蔽される。その結果、当該ダングリングボンドはバンド内準位を示さない。一方、水素による遮蔽効果が不十分で、点欠陥のダングリングボンドが残ると、浅いドナー型準位が形成される。この物理現象を利用することによって、シリコンウエハに形成されるドナーを制御することで、半導体基板200内のキャリア濃度を制御するようにバッファ層を形成することができる。その結果、パワー半導体装置のリバースリカバリー時およびターンオフ時のスイッチング波形の時間変化が緩やかとなり、スナップオフおよび発振を抑制することができる。後述するように、バッファ層を形成するプロセスにおいては、プロトンを半導体基板に照射するプロセスを用いることが多いが、たとえば、ヘリウムイオンなどの水素の同位体を荷電粒子線として半導体基板に照射するプロセスを用いてもよい。
半導体基板にバッファ層を形成するプロセスでは、荷電粒子線を照射した後に、適切なアニール処理が必要である。半導体基板の裏面(第2主面1b)に荷電粒子線を照射した後に、当該半導体基板にアニール処理を行うと、裏面側においてドナーが形成された領域が広がる。その結果、所望の厚みを有するバッファ層を形成することができる。ただし、半導体基板の種類によって、バッファ層の広がり方(第1方向Xにおけるバッファ層の厚み)が異なることがある。このバッファ層の第1方向Xにおける厚みが小さいと、半導体基板の裏面側に高抵抗領域が残る。その結果、高抵抗領域が半導体装置の耐圧低下やリーク電流の発生の原因になり、デバイス特性の悪化を招く。
ここで、半導体基板に含まれる高抵抗領域に関する調査結果を説明する。二次イオン質量分析法(Secondary Ion Mass Spectrometry)によって半導体基板に含まれる水素濃度を計測し、広がり抵抗測定によって半導体基板に含まれるキャリア濃度を計測した。
図2は、高抵抗領域を含まない半導体基板における、キャリア濃度の分布図である。図2において、横軸は半導体基板の裏面からの距離(単位:μm)を示し、縦軸は半導体基板におけるキャリア濃度(単位:cm-3)を示す。図3は、高抵抗領域を含まない半導体基板における水素濃度の分布図である。図3において、横軸は半導体基板の裏面からの距離(単位:μm)を示し、縦軸は半導体基板における水素濃度(単位:cm-3)を示す。図4は、高抵抗領域を含む半導体基板におけるキャリア濃度の分布図である。図4において、横軸は半導体基板の裏面からの距離を示し、縦軸は半導体基板におけるキャリア濃度を示す。図5は、高抵抗領域を含む半導体基板における水素濃度の分布図である。図5において、横軸は半導体基板の裏面からの距離を示し、縦軸は半導体基板における水素濃度を示す。なお、図2から図5に示される高抵抗領域を含む半導体基板および高抵抗領域を含まない半導体基板は、それぞれ同じ条件下でプロトンによる照射とアニール処理が実施されて製造されたものである。また、二次イオン質量分析法では5×1016cm-3以下の水素濃度が検出できないため、図2および図5において水素濃度が5×1016cm-3以下の領域ではバックグラウンド信号が示される。
図2および図3から分かるように、高抵抗領域を含まない半導体基板において、ドナー発生領域すべてにおいて、水素濃度は5×1016cm-3以上であり、水素が検出された。一方、図4から分かるように、高抵抗領域を含む半導体基板において、裏面からの距離が5μm以下の領域に高抵抗領域が存在する。高抵抗領域におけるキャリア濃度は、ドナー発生領域におけるキャリア濃度よりも低い。また、図5から分かるように、裏面からの距離が5μm以下の領域は水素が検出されなかった領域である。なお、図5における裏面からの距離が5μm以下の領域における水素濃度のデータは、二次イオン質量分析法のバックグラウンド信号を示しており、当該領域の水素濃度は5×1016cm-3以下である。図4および図5から分かるように、高抵抗領域を示す裏面からの距離と、水素が検出されない裏面からの距離とはほぼ一致した。
アニール処理におけるアニール温度を変更しても、この高抵抗領域の外周(高抵抗領域とドナー発生領域との境界部)の裏面からの距離と、水素が検出されない領域の外周(水素が検出されない領域と水素が検出される領域との境界部)の裏面からの距離とがほぼ一致するという結果は変わらなかった。つまり、半導体基板において水素の濃度が低い領域では、高抵抗領域が発生すると考えられる。また、後述するが、高抵抗領域を示す裏面からの距離は、半導体基板の酸素濃度に依存することが明らかになった。
ここで、本実施の形態に係る半導体装置100の製造方法の特徴は、活性化アニールをする工程の前に、半導体基板に水素を導入する工程を実施した点である。上記の実験結果を踏まえて、後述する半導体装置100の製造方法によれば、高抵抗領域の発生が抑制されたバッファ層2を含む半導体装置100を得ることができる。その結果、デバイス特性の悪化が防止されたパワー半導体装置を得ることができる。
<半導体装置100の製造方法>
図6は、実施の形態1に係る半導体装置100の製造方法のフローチャートである。なお、ここでは、半導体装置100の製造方法の一例として、図1に示されるような縦型ダイオードの製造方法について説明する。図6に示されるように、本実施の形態に係る半導体装置100の製造方法では、まず半導体基板200を準備する工程(S1a)を実施する。この工程(S1a)では半導体装置100を構成する半導体基板200としてのシリコンウエハを準備する。シリコンウエハは、n型またはn型のインゴットから切り出される。シリコンウエハは表面(第1主面1a)と、表面の反対側の裏面とを有する。シリコンウエハにおける水素濃度は、たとえば、1×1013cm-3以下である。
次に、水素を導入する工程(S2a)を実施する。この工程(S2a)では、第1方向Xにおいて表面から裏面にかけて水素が含侵される。具体的には、この工程(S2a)は、シリコンウエハが水素を含む膜に接している状態、若しくはシリコンウエハが水素雰囲気下に晒されている状態の少なくともいずれかの状態で、シリコンウエハにアニールする工程を含む。例えば、シリコンウエハが水素雰囲気下に晒されている状態で、1000℃~1300℃(627K~1027K)の温度範囲で、縦型炉などの炉中で当該シリコンウエハにアニールする。たとえば、1100℃でシリコンウエハに5時間アニールすると、シリコンウエハ全体に高濃度の水素を含侵させことができる。
この工程(S2a)では、シリコンウエハに水素を含侵させることができれば、他の方法を用いてもよい。そのため、水素を導入する工程(S2a)は、シリコンウエハが水素を含む膜に接している状態、若しくはシリコンウエハが水素雰囲気下に晒されている状態の少なくともいずれかの状態でシリコンウエハにアニールする工程の他に、シリコンウエハを水素プラズマに晒す工程あるいは水素イオンを含む液体にシリコンウエハを浸漬させる工程を含んでいてもよい。水素を導入する工程(S2a)において、シリコンウエハの表面からだけでなく、表面と裏面とを接続する側面から水素を導入してもよい。
次に、表面構造を形成する工程(S3a)を実施する。この工程(S3a)では、シリコンウエハの第1主面1aに、半導体装置100の表面構造を形成する。具体的には、シリコンウエハの第1主面1aの表層部に、p型アノード層22が形成される。さらに、第1主面1a上に、p型アノード層に接続される表面電極10(アノード電極)が形成される。
次に、裏面を研削する工程(S4a)を実施する。この工程(S4a)では、シリコンウエハの裏面を研削する。具体的には、表面構造を保護した後に、CMP(Chemical Mechanical Polish)等の研削手段を用いて、シリコンウエハの裏面を研削する。この結果、半導体装置100として必要とされる厚みまで、シリコンウエハの厚みを薄くする。なお、研削後におけるシリコンウエハの裏面を第2主面1bとし、第1主面1aから第2主面1bまでの領域を半導体層とする。
次に、第1バッファ層を形成する工程(S5a)を実施する。この工程(S5a)では、シリコンウエハの第2主面1bに、第1バッファ層を形成する。具体的には、第2主面1bに、リンなどのn型ドーパントイオンを注入することで、第2主面1bの表層部にn型層が形成される。なお、イオンの注入は、複数回実施されてもよい。また、第1バッファ層は、後述する第2バッファ層で代用可能であるため、第1バッファ層を形成する工程(S5a)は省略されてもよい。
次に、裏面構造を形成する工程(S6a)を実施する。この工程(S6a)では、シリコンウエハの第2主面1bに、半導体装置100の裏面構造を形成する。具体的には、シリコンウエハの第2主面1bの表層部に、n型カソード層21が形成される。また、n型カソード層21だけでなく、たとえば、p型カソード層を部分的に形成して、RFC(Relaxed Field of Cathod)ダイオードを製造してもよい。
次に、荷電粒子線を照射する工程(S7a)を実施する。この工程(S7a)では、シリコンウエハに点欠陥を形成させる。具体的には、シリコンウエハの第2主面1bに、荷電粒子線を照射する。荷電粒子線は、たとえば、プロトンである。プロトンは、たとえば加速器を用いて照射される。加速器を用いることで、プロトンを数100KeV~数10MeVにまで加速させてシリコンウエハに照射する。プロトンのドーズ量は、例えば、1×1012~1×1015cm-2である。なお、荷電粒子線としてヘリウムイオンを照射してもよい。このようにすることで、シリコンウエハにおいて局所的に点欠陥が形成される。
なお、荷電粒子線を照射する工程(S7a)を実施しなくても、元来シリコンウエハは多少の点欠陥を含む。そのため、シリコンウエハに点欠陥があれば、荷電粒子線を照射する工程(S7a)は実施しなくてもよい。また、荷電粒子線を照射する工程(S7a)は、後述する活性化アニールをする工程(S8a)の前に実施されればよい。荷電粒子線を照射する工程(S7a)は、裏面構造を形成する工程(S6a)の直後に限らず、たとえば、裏面を研削する工程(S4a)の後に実施されてもよい。
次に、活性化アニールをする工程(S8a)を実施する。この工程(S8a)では、ドナーの形成および点欠陥の消滅の少なくともいずれかを目的として、シリコンウエハにアニールする。具体的には、シリコンウエハが窒素等の不活性ガス雰囲気下に晒されている状態で、200℃~500℃の温度範囲で当該シリコンウエハにアニールする。このようにして、シリコンウエハ内の水素と点欠陥とが反応して、ドナーが形成される。その結果、図1に示されているn型バッファ層2が形成される。このようにして形成された層を第2バッファ層とし、荷電粒子線を照射する工程(S7a)および活性化アニールをする工程(S8a)をまとめて第2バッファ層を形成する工程とする。
なお、活性化アニールをする工程(S8a)において、アニールする時間を長くすれば、第1方向Xにおけるn型バッファ層2の厚みが増加する。また、活性化アニールをする工程(S8a)において、アニールする時の温度範囲は、200℃~500℃が好ましい。アニールする時の温度が200℃よりも低いと、ドナーが形成される効率が低下する。アニールする時の温度が500℃よりも高いと、ドナーの消滅が顕著になる。このようにしてシリコンウエハに上記第2バッファ層などの構造が形成されることで、当該シリコンウエハは半導体基板200として用いられる。
次に、裏面に電極を形成する工程(S9a)を実施する。この工程(S9a)では、第2主面1bに電極を形成する。具体的には、第2主面1b上に裏面電極11(カソード電極)が形成される。このようにして、図1に示されるような高抵抗領域の発生が抑制された、バッファ層2を含む半導体装置100を得ることができる。
ここで、半導体基板内の水素濃度の好ましい範囲について説明する。図7は、上述の半導体装置100の製造方法により得られた半導体装置100における水素濃度の概略分布図である。図7において、横軸は半導体基板200の表面からの距離(単位:μm)を示し、縦軸は半導体基板200における水素濃度(単位:cm-3)を示す。実施例1は、水素を導入する工程(S2a)において、アニールする温度が低く、アニールする時間が短い条件とされたシリコンウエハである。実施例2は、水素を導入する工程(S2a)において、アニールする温度が十分高く、アニールする時間が十分長い条件とされたシリコンウエハである。
図7から分かるように、実施例2に係るシリコンウエハでは、半導体装置100となった場合での半導体基板(半導体層)中の水素濃度が表面から裏面まで第1方向Xにおいてほぼ一定になる。一方、実施例1に係るシリコンウエハでは、シリコンウエハの表面および裏面から当該シリコンウエハの中央に向かって水素濃度が単調に減少する。このため、半導体装置100となった場合での半導体基板(半導体層)中の水素濃度は、第1主面1aから半導体基板の厚さ方向の中央部に向かって単調に減少する。また、半導体基板における裏面である第2主面1b側では水素濃度が第1主面1a側の水素濃度より低い状態となる。このように、水素を導入する工程(S2a)において、アニールする時間が十分長い場合あるいはアニールする温度が十分高い場合、半導体基板における水素濃度は表面から裏面まで第1方向Xにおいてほぼ一定になる。バッファ層2内の高抵抗領域を十分抑制するためには、半導体層内の水素濃度が一定になる領域において、当該水素濃度が1×1014cm-3以上となることが好ましく、1×1015cm-3以上となることがより好適である。
水素を導入する工程(S2a)は、活性化アニールをする工程(S8a)の前に実施されればよい。水素を導入する工程(S2a)は、たとえば、荷電粒子線を照射する工程(S7a)の前に実施されてもよく、本実施の形態1に係る半導体装置100の製造方法のように、表面構造を形成する工程(S3a)の前に実施されてもよい。
ただし、後述するように、バッファ層2のプロファイルは、荷電粒子線による照射における条件および活性化アニールをする時の条件だけでなく、シリコンウエハが含む酸素濃度によっても影響を受ける。本実施の形態1に係る半導体装置100の製造方法のように、水素を導入する工程が、半導体基板200を準備する工程(S1a)の直後に実施されることで、シリコンウエハにおける酸素濃度がいかなる値でも、高抵抗領域の発生が抑制されたバッファ層2を含む半導体装置100を得ることができる。つまり、シリコンウエハの種類によることなく、デバイス特性の悪化が防止されたパワー半導体装置を得ることができる。
また、上述した半導体装置100の製造方法において、表面構造を形成する工程(S3a)、第1バッファ層を形成する工程(S5a)、裏面構造を形成する工程(S6a)、および裏面に電極を形成する工程(S9a)は、半導体装置100の種類(たとえばダイオードおよびIGBTなど)に応じて、適宜変更可能である。
(半導体装置100の変形例の構成)
図8は、図1に示した半導体装置100の製造方法により得られた半導体装置100の変形例を示す断面図である。図8は、図1に対応する。図8に示された半導体装置100は、基本的には図1に示された半導体装置100と同様の構成を備えるが、当該半導体装置100がIGBTである点で異なる。
図8に示す半導体装置100は、図6に示すような半導体装置100の製造方法と同様の製造方法によって得られる。半導体基板200は、p型コンタクト層4と、n型エミッタ層6と、p型ベース層5と、n型ドリフト層1と、n型バッファ層2と、p型コレクタ層3と、ゲート電極8と、ゲート絶縁膜7とを主に含む。図8に示されるように、半導体基板200において、第2主面1bから第1方向Xにp型コレクタ層3、n型バッファ層2、n型ドリフト層1、p型ベース層5、p型コンタクト層4およびn型エミッタ層6が順番に形成されている。
具体的には、第1主面1aの表層部に複数のp型コンタクト層4および複数のn型エミッタ層6が形成されている。2つのn型エミッタ層6の間において、第1主面1aにはトレンチが形成されている。トレンチはp型ベース層5を介してn型ドリフト層1にまで到達するように形成されている。トレンチの内面を覆うようにゲート絶縁膜7が形成されている。ゲート絶縁膜7に接するようにゲート電極8が形成されている。ゲート電極8とゲート絶縁膜7とによりトレンチの内部は充填されている。異なる観点から言えば、p型コンタクト層4は一対となって構成されており、一対のp型コンタクト層4は、一対のn型エミッタ層6を挟むように形成されている。一対のn型エミッタ層6は、ゲート電極8およびゲート絶縁膜7を挟むように形成されている。ゲート電極8は、ゲート絶縁膜7および層間絶縁膜9に囲まれるように配置されている。第1主面1aとn型ドリフト層1との間にp型ベース層5が形成されている。第2主面1bの表層部にp型コレクタ層3が形成されている。p型ベース層5とp型コレクタ層3との間にn型ドリフト層1が形成されている。n型ドリフト層1はp型ベース層5と接している。n型ドリフト層1とp型コレクタ層3との間にn型バッファ層2が形成されている。n型バッファ層2はn型ドリフト層1とp型コレクタ層3とに接している。ゲート電極8およびゲート絶縁膜7は、第1主面1aからn型ドリフト層1が形成されている領域まで第1方向Xに延びるように形成されている。n型バッファ層2およびn型エミッタ層6は、n型ドリフト層1よりも、高いn型不純物濃度を有している。p型コレクタ層およびp型コンタクト層4は、p型ベース層5よりも、高いp型不純物濃度を有している。
図8に示された半導体装置100は、基本的には図1に示された半導体装置100の製造方法と同様の製造方法で得られるが、表面構造を形成する工程(S3a)、裏面構造を形成する工程(S6a)、および裏面に電極を形成する工程(S9a)が異なる。
図8に示された半導体装置100の製造方法において、表面構造を形成する工程(S3a)では、シリコンウエハの第1主面1aの表層部に、p型ベース層5、n型エミッタ層6、およびp型コンタクト層4が形成される。また、トレンチゲートを形成するために、シリコンウエハの第1主面1aをドライエッチングし、トレンチが形成される。当該トレンチの内部にゲート絶縁膜7およびゲート電極8が形成される。ゲート電極8の材料は、たとえば、ポリシリコンである。第1主面1a上に、層間絶縁膜9および表面電極10(エミッタ電極)が形成される。層間絶縁膜9の材料は、たとえば、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)である。
図8に示された半導体装置100の製造方法において、裏面構造を形成する工程(S6a)では、シリコンウエハの第2主面1bの表層部に、p型コレクタ層3が形成される。また、p型コレクタ層3だけでなく、たとえば、n型カソード層を部分的に形成して、RC(Revers Conductive)-IGBTを製造してもよい。
図8に示された半導体装置100の製造方法において、裏面に電極を形成する工程(S9a)では、シリコンウエハの第2主面1b上に裏面電極11(コレクタ電極)が形成される。このようにして、図8に示されるようなIGBT構造の半導体装置100を得ることができる。
<作用効果>
本開示に従った半導体装置100の製造方法は、半導体基板200を準備する工程(S1a)と、半導体基板200に水素を導入する工程(S2a)と、半導体基板200に荷電粒子線を照射する工程(S7a)と、荷電粒子線を照射する工程(S7a)の後に、半導体基板200に活性化アニールする工程(S8a)とを備える。水素を導入する工程(S2a)は、活性化アニールする工程(S8a)の前に実施される。
このようにすれば、半導体基板200(シリコンウエハ)は十分な水素濃度を有する。その結果、荷電粒子線を照射する工程(S7a)で形成された点欠陥は、その後のアニール処理によって水素と十分複合化するため、高抵抗領域の発生が抑制されたバッファ層を含む半導体装置100を得ることができる。つまり、デバイス特性の悪化が防止されたパワー半導体装置を得ることができる。
上記半導体装置100の製造方法において、水素を導入する工程(S2a)は、半導体基板200が水素を含む膜に接している状態、若しくは半導体基板200が水素雰囲気下に晒されている状態の少なくともいずれかの状態で半導体基板200にアニールする工程、半導体基板200を水素プラズマに晒す工程、および水素イオンを含む液体に半導体基板200を浸漬させる工程のいずれかの工程を含む。このようにすれば、任意の方法でシリコンウエハに水素を導入することができる。
上記半導体装置100の製造方法において、水素を導入する工程(S2a)は、荷電粒子線を照射する工程(S7a)の前に実施される。このようにすれば、シリコンウエハにおける酸素濃度がいかなる値でも、高抵抗領域の発生が抑制されたバッファ層を含む半導体装置100を得ることができる。つまり、シリコンウエハの種類によることなく、デバイス特性の悪化が防止されたパワー半導体装置を得ることができる。
実施の形態2.
<半導体装置100の製造方法>
図9は、実施の形態2に係る半導体装置100の製造方法のフローチャートである。図9は、図6に対応する。図9に示された半導体装置100の製造方法は、基本的には図6に示された半導体装置100の製造方法と同様の構成を備えるが、水素を導入する工程(S7b)が、荷電粒子線を照射する工程(S6b)の後に実施される点で異なる。
実施の形態1でも述べたように、水素を導入する工程(S7b)は、活性化アニールをする工程(S8b)の前に実施されればよい。ただし、シリコンウエハに何らかのデバイス構造を形成した後に水素を導入する工程(S7b)を実施する時、当該デバイス構造を壊さないように、水素を導入する工程(S7b)におけるアニールする時の温度および時間には制限がある。たとえば、通常、パワー半導体装置の表面電極として、アルミニウムが用いられる。アルミニウムの融点は約650℃である。そのため、たとえば、表面構造を形成する工程(S2b)においてアルミニウム電極が形成され、その後に水素を導入する工程(S7b)が実施された時、水素を導入する工程(S7b)におけるアニールする時の温度はアルミニウム電極の融点が上限となる。この場合、シリコンウエハにおいて水素が侵入する深さが減少する。その結果、高抵抗領域の発生を抑制するという効果が不十分となる可能性がある。本実施の形態2では、水素が侵入する深さを所望の値にする半導体装置100の製造方法について説明する。
なお、ここでは、半導体装置100の製造方法の一例として、図1に示されるような縦型ダイオードの製造方法について説明する。図9に示されるように、本実施の形態に係る半導体装置100の製造方法では、まず半導体基板200を準備する工程(S1b)を実施する。この工程(S1b)では半導体装置100を構成するシリコンウエハを準備する。シリコンウエハは、n型またはn型のインゴットから切り出される。シリコンウエハは表面(第1主面1a)と、表面の反対側の裏面とを有する。シリコンウエハにおける水素濃度は、たとえば、1×1013cm-3以下である。
次に、表面構造を形成する工程(S2b)を実施する。この工程(S2b)では、シリコンウエハの第1主面1aに、半導体装置100の表面構造を形成する。具体的には、シリコンウエハの第1主面1aの表層部には、p型アノード層22が形成される。さらに、第1主面1a上に、p型アノード層22に接続される表面電極10(アノード電極)が形成される。
次に、裏面を研削する工程(S3b)を実施する。この工程(S3b)では、シリコンウエハの裏面を研削する。具体的には、表面構造を保護した後に、CMP(Chemical Mechanical Polish)等の研削手段を用いて、シリコンウエハの裏面を研削する。なお、研削後におけるシリコンウエハの裏面を第2主面1bとし、第1主面1aから第2主面1bまでの領域を半導体層とする。
次に、第1バッファ層を形成する工程(S4b)を実施する。この工程(S4b)では、シリコンウエハの第2主面1bに、第1バッファ層を形成する。具体的には、第2主面1bに、リンなどのn型ドーパントイオンを注入することで、第2主面1bの表層部にn型層が形成される。なお、イオンの注入は、複数回実施されてもよい。また、第1バッファ層は、後述する第2バッファ層で代用可能であるため、第1バッファ層を形成する工程は省略されてもよい。
次に、裏面構造を形成する工程(S5b)を実施する。この工程(S5b)では、シリコンウエハの第2主面1bに、半導体装置100の裏面構造を形成する。具体的には、シリコンウエハの第2主面1bの表層部に、n型カソード層21が形成される。また、n型カソード層21だけでなく、たとえば、p型カソード層を部分的に形成して、RFC(Relaxed Field of Cathod)ダイオードを製造してもよい。
次に、荷電粒子線を照射する工程(S6b)を実施する。この工程(S6b)では、シリコンウエハに点欠陥を形成させる。具体的には、シリコンウエハの第2主面1bに、荷電粒子線を照射する。荷電粒子線は、たとえば、プロトンである。プロトンの照射では、たとえば加速器を用いる。加速器を用いることで、プロトンを数100KeV~数10MeVにまで加速させてシリコンウエハに照射する。プロトンのドーズ量は、例えば、1×1012~1×1015cm-2である。なお、荷電粒子線としてヘリウムイオンを照射してもよい。このようにすることで、シリコンウエハにおいて局所的に点欠陥が形成される。
なお、荷電粒子線を照射する工程(S6b)を実施しなくても、元来シリコンウエハは多少の点欠陥を含む。そのため、シリコンウエハに点欠陥があれば、荷電粒子線を照射する工程(S6b)は実施しなくてもよい。また、荷電粒子線を照射する工程(S6b)は、後述する活性化アニールをする工程(S8b)の前に実施されればよい。荷電粒子線を照射する工程(S6b)は、裏面構造を形成する工程(S5b)の直後に限らず、たとえば、裏面を研削する工程(S3b)の後に実施されてもよい。
次に、水素を導入する工程(S7b)を実施する。この工程(S7b)では、第1方向Xにおいてシリコンウエハの表面から裏面にかけて水素を含侵する。具体的には、この工程(S7b)は、シリコンウエハが水素を含む膜に接している状態、若しくはシリコンウエハが水素雰囲気下に晒されている状態の少なくともいずれかの状態で、シリコンウエハにアニールする工程を含む。この時、前述したようにアニールするときの温度および時間には制限がある。
この工程(S7b)では、シリコンウエハに水素を含侵させればよい。そのため、水素を導入する工程(S7b)は、シリコンウエハが水素を含む膜に接している状態、若しくはシリコンウエハが水素雰囲気下に晒されている状態の少なくともいずれかの状態でシリコンウエハにアニールする工程に替えて、シリコンウエハを水素プラズマに晒す工程あるいは水素イオンを含む液体にシリコンウエハを浸漬させる工程を含んでいてもよい。水素を導入する工程(S7b)において、シリコンウエハの表面からだけでなく、表面と裏面とを接続する側面から水素を導入してもよい。
次に、活性化アニールをする工程(S8b)を実施する。この工程(S8b)では、ドナーの形成および点欠陥の消滅の少なくともいずれかを目的として、シリコンウエハにアニールする。具体的には、シリコンウエハが窒素等の不活性ガス雰囲気下に晒されている状態で、200℃~500℃の温度範囲で当該シリコンウエハにアニールする。このようにして、シリコンウエハ内の水素および点欠陥が反応して、ドナーが形成される。その結果、図1に示されているn型バッファ層2が形成される。このようにして形成された層を第2バッファ層とし、荷電粒子線を照射する工程(S6b)、水素を導入する工程(S7b)および活性化アニールをする工程(S8b)をまとめて第2バッファ層を形成する工程とする。
なお、活性化アニールをする工程(S8b)において、アニールする時間を長くすることで、第1方向Xにおけるn型バッファ層2の厚みを増加させることができる。また、活性化アニールをする工程(S8b)において、アニールする時の温度範囲は、200℃~500℃が好ましい。アニールする時の温度が200℃よりも低いと、ドナーが形成される効率が低下する。アニールする時の温度が500℃よりも高いと、ドナーの消滅が顕著になる。このようにしてシリコンウエハに半導体層が形成されることで、当該シリコンウエハは半導体基板200として用いられる。
次に、裏面に電極を形成する工程(S9b)を実施する。この工程(S9b)では、第2主面1bに電極を形成する。具体的には、第2主面1b上に裏面電極11(カソード電極)が形成される。このようにして、図1に示されるような高抵抗領域の発生が抑制された、バッファ層を含む半導体装置100を得ることができる。
ここで、水素を導入する工程(S7b)において、水素が侵入する深さを所望の値に制御する方法について説明する。図10は、異なる酸素濃度を含む半導体基板のそれぞれにおける、キャリア濃度の分布図である。図10において、横軸は半導体基板の裏面からの距離を示し、縦軸は半導体基板におけるキャリア濃度を示す。サンプル1、サンプル2、サンプル3、サンプル4はそれぞれ異なる酸素濃度を含む半導体装置であり、サンプル1、サンプル2、サンプル3、サンプル4の順に、シリコンウエハ中の酸素濃度が高い。つまりサンプル1が最も酸素濃度が高い。ただし、いずれの半導体装置も、荷電粒子線を照射する工程および活性化アニールする工程において、同じ条件で処理している。なお、サンプル1、サンプル2、サンプル3、サンプル4に係る半導体装置はいずれも、活性化アニールする工程において、アニールする温度は350℃であり、アニールする時間は4時間で処理されている。
図10から分かるように、異なるシリコンウエハに含まれる酸素濃度が異なると、キャリア濃度の分布が変化している。酸素濃度が高いサンプル1における高抵抗領域の端部までの裏面からの距離は、酸素濃度が低いサンプル4における高抵抗領域の端部までの裏面からの距離よりも長い。つまり、酸素濃度が高いほど、高抵抗領域の深さ方向における範囲(高抵抗領域の深さ方向における端部までの裏面からの距離)が大きくなる。
ここで、水素を導入する工程を備えない半導体装置の製造方法で得られた半導体装置における、高抵抗領域が発生する領域の深さL(高抵抗領域の深さ方向における端部までの裏面からの距離)は、下記の式(1)で示される式により表される。なお、深さLは第1方向Xにおける第2主面1bからの距離(単位:cm)である。Rpは、荷電粒子線を照射する工程における荷電粒子線の照射飛程(単位:cm)である。Dは、活性化アニールをする工程における水素の拡散定数(単位:cm/秒)である。t1は、活性化アニールをする工程におけるアニールする時間(単位:秒)である。第2バッファ層を形成するとき、荷電粒子線の照射回数が1回の場合は、当該照射時での荷電粒子線に関する照射飛程が、当該式(1)で用いる照射飛程Rpである。荷電粒子線の照射が複数回実施された場合は、シリコンウエハの表面から最も近い領域に荷電粒子線を照射した時における荷電粒子線の照射飛程が、当該式(1)で用いる照射飛程Rpである。
Figure 0007466790000001
水素の拡散定数Dは、下記の式(2)で示される式により表される。D01は、頻度因子(単位:cm/秒)である。Ea1は、活性化アニールする工程における水素の拡散の活性化エネルギー(単位:eV)である。T1は、活性化アニールする工程におけるアニールする温度(単位:K)である。kは、ボルツマン定数(単位:eV/K)である。
Figure 0007466790000002
図10のキャリア濃度の分布図に示される結果、式(1)および式(2)より、シリコンウエハに含まれる酸素濃度が1×1017cm-3以上の時において、水素の拡散定数Dは下記の式(3)で示される式により表される。シリコンウエハに含まれる酸素濃度が1×1017cm-3未満1×1015cm-3以上の時において、水素の拡散定数Dは下記の式(4)で示される式により表される。シリコンウエハに含まれる酸素濃度が1×1015cm-3未満の時において、水素の拡散定数Dは下記の式(5)で示される式により表される。
Figure 0007466790000003
Figure 0007466790000004
Figure 0007466790000005
つまり、式(3)、式(4)、式(5)より、水素の拡散定数Dを式(1)に代入することで、高抵抗領域が発生する領域の深さLを予測することができる。そして、水素が導入される領域の深さがこの深さL以上になるように、シリコンウエハに対して水素を導入することで、高抵抗領域の発生を効果的に抑制できる。シリコンウエハに含まれる酸素濃度が1×1017cm-3以上の時において、深さLは下記の式(6)で示される式により表される。シリコンウエハに含まれる酸素濃度が1×1017cm-3未満1×1015cm-3以上の時において、深さLは下記の式(7)で示される式により表される。シリコンウエハに含まれる酸素濃度が1×1015cm-3未満の時において、深さLは下記の式(8)で示される式により表される。
Figure 0007466790000006
Figure 0007466790000007
Figure 0007466790000008
上記の議論を踏まえて、水素を導入する工程における条件について説明する。図11は、図9に示した半導体装置100の製造方法により得られた半導体装置100(実施例3)における水素濃度の概略分布図である。図11において、横軸は半導体基板200の表面(第1主面1a)からの距離(単位:μm)を示し、縦軸は半導体基板200における水素濃度(単位:cm-3)を示す。図11における実施例3のグラフでは、裏面(第2主面1b)から表面側に離れた領域(裏面からの距離が、高抵抗領域が発生する領域の深さLより大きい内部領域)において、シリコンウエハが元来含む水素濃度を示す。一方、裏面側において、水素が導入された領域の深さは、高抵抗領域が発生する領域の深さLよりも大きい。このように、水素が導入された領域をできるだけ大きくすることが好ましい。そのため、水素が導入される領域の裏面からの深さは、高抵抗領域が発生する領域の深さLよりも大きく、水素が導入される領域における水素濃度は、裏面から表面側に離れた領域(内部領域)におけるシリコンウエハが元来有する水素濃度よりも大きいことが好ましい。
上述の議論から、水素を導入する工程において、水素が導入される領域の深さ(裏面から、水素が導入された領域の内部領域側に位置する端部までの距離:√(D×t2))の好ましい範囲は、下記の式(9)で示される式により表される。Dは、水素を導入する工程における水素の拡散定数(単位:cm/秒)である。t2は、水素を導入する工程におけるアニールする時間(単位:秒)である。
Figure 0007466790000009
水素の拡散定数Dは、下記の式(10)で示される式により表される。D02は、頻度因子(単位:cm/秒)である。Ea2は、水素を導入する工程における水素の拡散の活性化エネルギー(単位:eV)である。T2は、水素を導入する工程におけるアニールする温度(単位:K)である。
Figure 0007466790000010
ここで、シリコンウエハに含まれる酸素濃度が1×1017cm-3以上の時において、水素を導入する工程における水素の拡散定数Dは下記の式(11)で示される式により表される。シリコンウエハに含まれる酸素濃度が1×1017cm-3未満1×1015cm-3以上の時において、水素を導入する工程における水素の拡散定数Dは下記の式(12)で示される式により表される。シリコンウエハに含まれる酸素濃度が1×1015cm-3未満の時において、水素を導入する工程における水素の拡散定数Dは下記の式(13)で示される式により表される。これらの式(11)、式(12)、式(13)のそれぞれは、式(6)、式(7)、式(8)のそれぞれにおけるT1をT2に置き換えることで導出される。
Figure 0007466790000011
Figure 0007466790000012
Figure 0007466790000013
従って、実施の形態2に係る半導体装置100の製造方法において、水素を導入する工程におけるアニールする時間t2および温度T2は、深さLを用いて、シリコンウエハに含まれる酸素濃度が1×1017cm-3以上の時において、下記の式(14)で示される関係式を満たすように決定されることが好ましい。水素を導入する工程におけるアニールする時間t2および温度T2は、シリコンウエハに含まれる酸素濃度が1×1017cm-3未満1×1015cm-3以上の時において、下記の式(15)で示される関係式を満たすように決定されることが好ましい。水素を導入する工程におけるアニールする時間t2および温度T2は、シリコンウエハに含まれる酸素濃度が1×1015cm-3未満の時において、下記の式(16)で示される関係式を満たすように決定されることが好ましい。
Figure 0007466790000014
Figure 0007466790000015
Figure 0007466790000016
このようにすれば、荷電粒子線を照射する工程の後に、水素を導入する工程が実施されても、半導体基板200が含む水素濃度は十分に調整することが可能である。水素濃度を調整することで、高抵抗領域の発生が抑制されたバッファ層を含む半導体装置100を得ることができる。
なお、本実施の形態2に係る半導体装置100の製造方法は、酸素濃度を計測する工程を備えてもよい。具体的には、シリコンウエハに含まれる酸素濃度を二次イオン質量分析法によって計測する。シリコンウエハに含まれる酸素濃度は、表面構造を形成する工程(S2b)を実施した後で変化する。そのため、酸素濃度を計測する工程は、表面構造を形成する工程(S2b)の後に実施することが好ましい。
上述した半導体装置100の製造方法において、表面構造を形成する工程(S2b)、第1バッファ層を形成する工程(S4b)、裏面構造を形成する工程(S5b)、および裏面に電極を形成する工程(S9b)は、半導体装置100の種類に応じて適宜変更可能である。
<作用効果>
上記半導体装置100の製造方法について、水素を導入する工程(S7b)において、半導体基板200に水素が導入された領域の深さをLとする。ボルツマン定数をkとする。活性化アニールをする工程(S8b)において、アニールする時間をt1とし、アニールする時の温度をT1とする。深さLは、半導体基板200に含まれる酸素濃度が1×1017cm-3以上の時において、L=Rp-2×√{3.8×10×e{(-2.19)/(k×T1)}×t1}という関係式を満たす。深さLは、半導体基板200に含まれる酸素濃度が1×1017cm-3未満1×1015cm-3以上の時において、L=Rp-2×√{5.3×10-3×e{(-1.15)/(k×T1)}×t1}という関係式を満たす。深さLは、半導体基板200に含まれる酸素濃度が1×1015cm-3未満の時において、L=Rp-2×√{9.4×10-3×e{(-0.48)/(k×T1)}×t1}という関係式を満たす。
このようにすれば、高抵抗領域が発生する領域の深さLを予測することができる。その結果、深さLから水素を導入する工程(S7b)におけるアニールする時の温度T2および時間t2を決定することができ、高抵抗領域の発生が抑制されたバッファ層2を含む半導体装置100を得ることができる。
上記半導体装置100の製造方法について、水素を導入する工程(S7b)は、半導体基板200が水素を含む膜に接している状態、若しくは前記半導体基板200が水素雰囲気下に晒されている状態の少なくともいずれかの状態で、半導体基板200にアニールする工程を少なくとも含む。水素を導入する工程(S7b)において、アニールする時間をt2とし、アニールする時の温度をT2とする。この場合に、水素を導入する工程(S7b)において、アニールする時間t2およびアニールする時の温度T2は、半導体基板200に含まれる酸素濃度が1×1017cm-3以上の時において、L≦√{3.8×10×e{(-2.19)/(k×T2)}×t2}という関係式を満たす。アニールする時間t2およびアニールする時の温度T2は、半導体基板200に含まれる酸素濃度が1×1017cm-3未満1×1015cm-3以上の時において、L≦√{5.3×10-3×e{(-1.15)/(k×T2)}×t2}という関係式を満たす。アニールする時間t2およびアニールする時の温度T2は、半導体基板200に含まれる酸素濃度が1×1015cm-3未満の時において、L≦√{9.4×10-3×e{(-0.48)/(k×T2)}×t2}という関係式を満たす。
このようにすれば、高抵抗領域が発生する領域の深さLから水素を導入する工程(S7b)におけるアニールする時の温度T2および時間t2を決定することができ、高抵抗領域の発生が抑制されたバッファ層2を含む半導体装置100を得ることができる。
上記半導体装置100の製造方法について、半導体基板200に素子構造を形成する工程と、半導体基板200の酸素濃度を測定する工程とを備える。酸素濃度を測定する工程は、素子構造を形成する工程としての表面構造を形成する工程(S2b)の後に実施される。
このようにすれば、シリコンウエハに含まれる酸素濃度を測定することができる。その結果、使用するシリコンウエハの種類が異なっても、高抵抗領域の発生が抑制されたバッファ層を含む半導体装置100を得ることができる。
また、実施の形態1および実施の形態2に係る半導体装置100の製造方法において、電極の材料、成膜方法、p型領域もしくはn型領域における不純物濃度などは、一般的な半導体装置100の設計条件に合わせて変更されてもよい。実施の形態1および実施の形態2に係る半導体装置100の製造方法によって、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)およびSBD(Schottky Barrier Diode)、Thyristorが製造されてもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。矛盾のない限り、今回開示された実施の形態の少なくとも2つを組み合わせてもよい。本開示の基本的な範囲は、上記した説明ではなく請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることを意図される。
1 n型ドリフト層、1a 第1主面、1b 第2主面、2 n型バッファ層、3 p型コレクタ層、4 p型コンタクト層、5 p型ベース層、6 n型エミッタ層、7 ゲート絶縁膜、8 ゲート電極、9 層間絶縁膜、10 表面電極、11 裏面電極、21 n型カソード層、22 p型アノード層、100 半導体装置、200 半導体基板、D1,D2 水素の拡散定数、L 深さ、X 第1方向。

Claims (5)

  1. 半導体基板を準備する工程と、
    前記半導体基板の全体に水素を導入する工程と、
    前記半導体基板に荷電粒子線を照射する工程と、
    前記荷電粒子線を照射する工程の後に、前記半導体基板に活性化アニールする工程とを備え、
    前記水素を導入する工程は、前記荷電粒子線を照射する工程の前に実施される、半導体装置の製造方法。
  2. 前記水素を導入する工程は、
    前記半導体基板が水素を含む膜に接している状態、若しくは前記半導体基板が水素雰囲気下に晒されている状態の少なくともいずれかの状態で前記半導体基板にアニールする工程、前記半導体基板を水素プラズマに晒す工程、および水素イオンを含む液体に前記半導体基板を浸漬させる工程のいずれかの工程を含む、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
  3. 半導体基板を準備する工程と、
    前記半導体基板に水素を導入する工程と、
    前記半導体基板に荷電粒子線を照射する工程と、
    前記荷電粒子線を照射する工程の後に、前記半導体基板に活性化アニールする工程とを備え、
    前記水素を導入する工程は、前記活性化アニールする工程の前に実施され、
    前記水素を導入する工程において、前記半導体基板に水素が導入される領域の深さをLとし、ボルツマン定数をkとし、
    前記荷電粒子線を照射する工程において、前記荷電粒子線の照射飛程をRpとし、
    前記活性化アニールをする工程において、アニールする時間をt1とし、アニールする時の温度をT1とすると、
    前記深さは、
    前記半導体基板に含まれる酸素濃度が1×1017cm-3以上の時において、
    L=Rp-2×√{3.8×10×e{(-2.19)/(k×T1)}×t1}
    という関係式を満たし、
    前記半導体基板に含まれる酸素濃度が1×1015cm-3以上1×1017cm-3未満の時において、
    L=Rp-2×√{5.3×10-3×e{(-1.15)/(k×T1)}×t1}
    という関係式を満たし、
    前記半導体基板に含まれる酸素濃度が1×1015cm-3未満の時において、
    L=Rp-2×√{9.4×10-3×e{(-0.48)/(k×T1)}×t1}
    という関係式を満たす、半導体装置の製造方法。
  4. 前記水素を導入する工程は、前記半導体基板が水素を含む膜に接している状態、若しくは前記半導体基板が水素雰囲気下に晒されている状態の少なくともいずれかの状態で前記半導体基板にアニールする工程を少なくとも含み、
    前記水素を導入する工程において、アニールする時間をt2とし、アニールする時の温度をT2とした場合に、
    前記水素を導入する工程において、アニールする時間およびアニールする時の温度は、
    前記半導体基板に含まれる酸素濃度が1×1017cm-3以上の時において、
    L≦√{3.8×10×e{(-2.19)/(k×T2)}×t2}
    という関係式を満たし、
    前記半導体基板に含まれる酸素濃度が1×1015cm-3以上1×1017cm-3未満の時において、
    L≦√{5.3×10-3×e{(-1.15)/(k×T2)}×t2}
    という関係式を満たし、
    前記半導体基板に含まれる酸素濃度が1×1015cm-3未満の時において、
    L≦√{9.4×10-3×e{(-0.48)/(k×T2)}×t2}
    という関係式を満たす、請求項に記載の半導体装置の製造方法。
  5. 前記半導体基板に素子構造を形成する工程と、
    前記半導体基板の酸素濃度を測定する工程とを備え、
    前記酸素濃度を測定する工程は、前記素子構造を形成する工程の後に実施される、請求項または請求項に記載の半導体装置の製造方法。
JP2023550589A 2023-02-27 2023-02-27 半導体装置の製造方法 Active JP7466790B1 (ja)

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2023007126 2023-02-27

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP7466790B1 true JP7466790B1 (ja) 2024-04-12

Family

ID=90622467

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2023550589A Active JP7466790B1 (ja) 2023-02-27 2023-02-27 半導体装置の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7466790B1 (ja)

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009025338A1 (ja) 2007-08-21 2009-02-26 Sumco Corporation Igbt用のシリコン単結晶ウェーハ及びigbt用のシリコン単結晶ウェーハの製造方法
WO2020138218A1 (ja) 2018-12-28 2020-07-02 富士電機株式会社 半導体装置および製造方法
WO2021070539A1 (ja) 2019-10-11 2021-04-15 富士電機株式会社 半導体装置および半導体装置の製造方法
WO2021181644A1 (ja) 2020-03-13 2021-09-16 三菱電機株式会社 半導体装置およびその製造方法

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009025338A1 (ja) 2007-08-21 2009-02-26 Sumco Corporation Igbt用のシリコン単結晶ウェーハ及びigbt用のシリコン単結晶ウェーハの製造方法
WO2020138218A1 (ja) 2018-12-28 2020-07-02 富士電機株式会社 半導体装置および製造方法
WO2021070539A1 (ja) 2019-10-11 2021-04-15 富士電機株式会社 半導体装置および半導体装置の製造方法
WO2021181644A1 (ja) 2020-03-13 2021-09-16 三菱電機株式会社 半導体装置およびその製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US11569092B2 (en) Semiconductor device
US11735424B2 (en) Semiconductor device and manufacturing method thereof
JP5104314B2 (ja) 半導体装置およびその製造方法
US10490646B2 (en) Semiconductor device and semiconductor device manufacturing method
US8912623B2 (en) Fast recovery diode
US9887190B2 (en) Semiconductor device and method for manufacturing the same
US20150008478A1 (en) Semiconductor device and manufacturing method of the same
US20220285501A1 (en) Silicon carbide semiconductor device and method of manufacturing silicon carbide semiconductor device
JP2013247248A (ja) 半導体装置の製造方法
JP7466790B1 (ja) 半導体装置の製造方法
US11557506B2 (en) Methods for processing a semiconductor substrate
US8829571B2 (en) Punch-through semiconductor device and method for producing same
US20230111002A1 (en) Semiconductor device, and method of manufacturing semiconductor device
US20240087898A1 (en) Semiconductor device and method of manufacturing the same
US20230335410A1 (en) Semiconductor device manufacturing method, and semiconductor device
US20230125859A1 (en) Method of manufacturing a semiconductor device including ion implantation and semiconductor device
US20230268398A1 (en) Power semiconductor device and method for manufacturing power semiconductor device
WO2022265061A1 (ja) 半導体装置および半導体装置の製造方法
US20220262638A1 (en) Semiconductor device and method of manufacturing semiconductor device
US20230043434A1 (en) Semiconductor device manufacturing method
US20230092013A1 (en) Method of Forming a Semiconductor Device Including an Absorption Layer
JP2024517321A (ja) 炭化ケイ素基板を生成するための方法
JP2017041626A (ja) 半導体装置及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230822

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20230822

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20230822

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20231114

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20231207

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20240305

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20240402

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7466790

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150