JP7464968B2 - 柱と梁と面材の取付構造 - Google Patents
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Description
このため、柱と柱の間に筋交いあるいは面材を取り付けて耐力壁を形成し、過大水平力に対しても変形・破損しにくい耐震性の構造が採用されている。
ところで、木造建築物は、住宅を始めとして種々の用途、例えば、オフィスビル、福祉施設、スポーツ施設、幼稚園、病院、教会、倉庫に使用され、大型化、高層化する傾向にある。
このような大型化、高層化した木造建築物では、柱と柱の間隔が広くなり、上記のような耐力壁を形成すると、柱と柱の間の空間を完全に塞いで人の移動を妨げるのみならず、耐力壁の設置費用が膨大となる等の問題が生ずる。
このため、上記のような耐力壁を使用せずに、木造建築物の耐震性等を向上させる種々の構造が提案されている。
例えば、特許文献1(特開2008-144455号公報)には、所定断面積の構成角材を所定段数およびスパン長分に集積して締結手段で一体化した梁と、前記梁を挟持可能に間隔をあけて、前記構成角材と等断面の構成角材を組んで構成された柱と、該柱が所定間隔をあけて列設された間の面空間を塞ぐように、前記構成角材と等断面の構成角材を所定面積分だけ面状に集積して締結手段で一体化した壁体とを組み合わせて木造建築物を構築した等断面集積木材構造が開示されている。
しかしながら、特許文献1の等断面集積木材構造においては、間隔をあけて配置された4本の単位柱からなる組み柱が使用され、この組み柱では、基礎に固定されたアンカーボルトと定着プレートが一体となったアンカー部材により各単位柱が基礎に取り付けられることから、柱の設置作業に時間がかかり、また、三段に集積された桁梁の各角材と組み柱の単位柱が貫通ボルトで接合されることから、柱に桁梁を取り付ける作業に時間がかかり、柱、梁の設置作業に多大の労力と時間がかかるという大きな欠点がある。
しかも、基礎と組み柱、組み柱の桁梁は剛接合に近い接合がなされており、特許文献1の構造体に過大水平力が作用した場合、基礎と組み柱の接合部や組み柱と桁梁の接合部に過大な力が作用して接合部が塑性変形あるいは破損しやすいという問題がある。
さらに、特許文献1の等断面集積木材構造に使用される壁体は、構成角材を縦方向と幅方向に所定本数集積して接合したパネル状体であり、組み柱と同様に各角材がアンカー部材により基礎に取り付けられることから、設置作業に時間がかかるのみならず、柱が所定間隔をあけて列設された間の面空間を塞ぐことから、隣り合う柱の間隔が広い場合は、大面積の壁体が必要となり不経済であり、製造、運搬、設置等の作業負荷がきわめて大きくなるという欠点がある。
しかしながら、特許文献2の木質系ラーメン架構では、壁柱の頂部が上段横架材の下面に剛接され、壁柱が布基礎の上面に剛接されていることから、この木質系ラーメン架構に過大水平力が作用した場合、壁柱と上段横架材の接合部や壁柱と布基礎の接合部に過大な力が作用し、これらの接合部が塑性変形あるいは破損しやすいという問題がある。
この特許文献2の木質系ラーメン架構では、管柱とパネルからなる耐震壁が上段横架材と布基礎と間に設置されているが、この耐震壁は、特許文献2の図12の復元力特性に示されているように壁柱より変形しやすく、管柱が土台や上段横架材にホールダウン金物により固定され、パネルが管柱、上段横架材及び土台に留め付けられていることから、木質系ラーメン架構に過大水平力が作用した場合、耐震壁の上段横架材や土台との接合部が塑性変形あるいは破損しやすいという問題がある。
しかしながら、特許文献3の木造建築構造躯体では、木製柱と基礎が曲げモーメントの伝達が可能に接合され、木製梁と木製柱とが双方間で曲げモーメントの伝達が可能に接合されていることから、特許文献2で壁柱と上段横架材が剛接され、壁柱と布基礎が剛接されているのと同様に、木造建築構造躯体に過大水平力が作用した場合、木製柱と基礎の接合部や木製梁と木製柱の接合部が塑性変形あるいは破損しやすいという問題がある。
また、特許文献3の耐力壁では、2本の軸柱がアンカーボルト、連結ボルトにより土台、木製梁に接合され、パネル状部材(板材)が2本の軸柱、土台、木製梁に釘又はビスで留められ、木製梁と基礎との間に木製梁の軸線方向の相対的変位が生じたときに、木製柱が破壊するまでに生じる相対的変位が、耐力壁が破壊するまでに生じる相対的変位とほぼ同じか又はそれ以上であることから、木造建築構造躯体に過大水平力が作用した場合、耐力壁と土台や木製梁の接合部が塑性変形あるいは破損しやすいという問題がある。
しかしながら、特許文献4の木造骨組構造においては、小径木の間にプレート金物を埋め込みボルトで結合させて継手、仕口を剛節構造とすることから、継手、仕口に使用されるプレート金物を柱と梁に跨って埋め込む必要があり、柱の梁の加工作業に時間がかかるのみならず、柱に梁を取り付ける作業に時間がかかり、また、柱を基礎に設置する場合も、プレート金物の下側部分を基礎に埋め込んで基礎から突出しているプレート金物を柱に嵌め込んで固定する必要があり、柱の設置作業に時間がかかるという問題がある。
しかも、特許文献4の木造骨組構造では、柱と梁が剛接合され、柱と基礎も剛接合されることから、特許文献1~3と同様に、木造骨組構造に過大水平力が作用した場合、梁と柱の接合部や柱と基礎の接合部が塑性変形あるいは破損しやすいという問題がある。
その上、特許文献4の木造骨組構造は、梁と基礎の間に耐力壁が設置されておらず、耐震性に劣るものである。
図1は、本発明の実施形態である2本の柱、梁、面材等からなる構造体の斜視図、図2は、図1に示す構造体の正面図であり、図中、1は構造体、10は第1の柱、20は第2の柱、30は第1載置台、40は第2載置台、50は梁、60は土台、70はCLTパネル、80は第1棒状固定部材、90は第2棒状固定部材、100は基礎であり、図において、Xは梁50の軸方向(長手方向)に沿った方向(左右方向)、YはX方向と水平方向に垂直な方向(前後方向)、Zは水平面(XY面)と垂直な方向(上下方向)である。
構造体1は、本発明の柱と梁と面材の取付構造となるものであって、図に示すように第1の柱10、第2の柱20、第1載置台30、第2載置台40、梁50、土台60、CLTパネル70、第1棒状固定部材80及び第2棒状固定部材90から構成される。
図3は(a)は、図1に示す第1の柱10の拡大平面図、図3(b)は、図1に示す第1の柱10の拡大正面図、図3(c)は、図1に示す第1の柱10の拡大右側面図、図3(d)は、図1に示す第1の柱10の拡大底面図であり、図中、11p、11q1~11q4、11r1~11r4は角材、12h1、12h2はホゾ、13m1~13m4はメネジパイプ、14p1~14p4はピンである。
図3に示すように、第1の柱10は、断面の形状・寸法と長さが同じ9本の角材11p、11q1~11q4、11r1~11r4を束ねて接合した合せ柱となっている。
すなわち、第1の柱10は、中心部の角材11pの各側面に角材11q1~11q4をビス等(図示せず)により接合して断面十字形状に形成し、四隅に角材11r1~11r4を接着剤で接着して断面矩形(正方形)に形成したものである。
各角材は、木製の材料、例えば、ヒノキ(桧)、ヒバ(桧葉)、スギ(杉)、マツ(松)等の木材からなり、一辺の長さが60~120mmの矩形断面で、長手方向の長さが3000~6000mmのものが使用される。
本実施形態の第1の柱10には、一辺の長さが105mmの正方形断面の角材が使用され、第1の柱10は、一辺の長さが315mmの正方形断面で高さ(Z方向の長さ)が約3300mmの柱となる。
また、角材11q1に上面にはホゾ12h1が形成され、角材11q2に上面にはホゾ12h2が形成され、角材11q1の下部にはメネジパイプ13m1が埋め込まれ、角材11q2の下部にはメネジパイプ13m2が埋め込まれ、角材11q3の下部にはメネジパイプ13m3が埋め込まれ、角材11q4の下部にはメネジパイプ13m4が埋め込まれている。
図4は、角材11q1からメネジパイプ13m1を抜き取った状態の拡大斜視図であり、図中、11quは埋込穴、11qhはピン挿通孔、13mhはピン孔である。
図4に示すように角材11q1の下部においては、下面からZ方向に埋込穴11quが設けられ、Y方向にピン挿通孔11qhが設けられ、メネジパイプ13m1には、Y方向にピン孔13mhが設けられている。
そして、ピン挿通孔11qhとピン孔13mhが一致するように埋込穴11quにメネジパイプ13m1が埋め込まれ、ピン14p1がピン挿通孔11qhとピン孔13mhに挿通され、これにより、メネジパイプ13m1が角材11q1から引き抜かれないように固定される。
また、角材11q2~11q4においても、角材11q1と同様の埋込穴とピン挿通孔が設けられ、ピン孔が設けられたメネジパイプ13m2~13m4が埋込穴に埋め込まれ、ピン挿通孔とピン孔にピン14p2~14p4が挿通され、メネジパイプ13m2~13m4が角材11q2~11q4に固定される。
また、本実施形態の第1の柱20にも、第1の柱10と同様に一辺の長さが105mmの正方形断面の角材が使用され、第1の柱20は、一辺の長さが315mmの正方形断面で高さ(Z方向の長さ)が約3300mmの柱となる。
そして、第1の柱10と第2の柱20の間隔(X方向の距離)は、3000~10000mmであり、本実施形態の第1の柱10と第2の柱20の間隔は、4500mmである。
このように第1の柱10、第2の柱20を、9本の角材を束ねて接合した合せ柱とすることにより、柱を高くし、柱間の距離を長くしても鉛直方向の大きな荷重に耐えることができ、大型・高層の木造建築物の主柱として使用することができる。
図5は、図1に示す構造体の拡大左面図、図6(a)は、図5のA-A断面図、図6(b)は図5のB-B断面図、図7は、図1に示す第1の柱、第1載置台、梁の拡大分解斜視図であり、図中、31は枠体、32は上面プレート、32a~32dは挿通孔、33は下面プレート、33、33bは挿通孔、34は垂直プレート、35a~35dはボルト、36a~36dはアンカーボルト、37a~37dはナットである。
図に示すように第1載置台30は、枠体31、ボルト35a~35d、アンカーボルト36a~36d、ナット37a~37d等を備えている。
枠体31は、上面プレート32、下面プレート33及び垂直プレート34からなる。
上面プレート32は、第1の柱10が載せられる金属製のプレートであり、第1の柱10の断面形状と同じ形状を備え、第1の柱10の角材11q1~11q4に埋め込まれたメネジパイプ13m1~13m4の位置に、挿通孔32a~32dが設けられている。
下面プレート33は、基礎100の上に載せられる金属製のプレートであり、上面プレート32と同じ形状を備え、基礎100に埋め込み固定されたアンカーボルト36a~36dの位置に挿通孔(挿通孔33a、33b他)が設けられている。
垂直プレート34は、上面プレート32と下面プレート33を連結する金属製のプレートであり、上面プレート32と下面プレート33を9分割する位置に格子状に配置され、上面プレート32の下面と下面プレート33の上面に溶接等により接合される。
ボルト35a~35dは、上面プレート32上に載置された第1の柱10のメネジパイプ13m1~13m4に螺合され、これにより第1の柱10を第1載置台30に固定する。
アンカーボルト36a~36dは、基礎100に埋め込まれて固定され、基礎100から突出するアンカーボルト36a~36dの先端側が、下面プレート33の挿通孔(挿通孔33a、33b他)に挿通されてナット37a~37d螺合され、これにより第1載置台30が基礎100に固定される。
第2載置台40も、第1載置台30と同じ構成であり、アンカーボルトとナットにより基礎100に固定され、第2の柱20を載置してボルトにより固定する。
このように第1の柱10、第2の柱20を第1載置台30、第2載置台40の上に設置することにより、第1の柱10、第2の柱20を土台の上に設置した場合に比べて、第1の柱10、第2の柱20のめり込みを防止することができる。
図8は、図1に示す梁50、土台60、CLTパネル70、第1棒状固定部材80及び第2棒状固定部材90の拡大分解斜視図、図9は、土台60とCLTパネル70の左側部分、第1棒状固定部材80のX方向に沿った拡大縦断面図、図10(a)は、CLTパネル70の左側部分の拡大斜視図、図10(b)は、図10(a)のC-C断面図である。
図中、50a1、50b1は挿通孔、50b1~50b4は嵌合孔、60a1、60a2は挿通孔、60b1~60b4は嵌合孔、60c1~60c3は段付穴、61a~61cはアンカーボルト、62a~62cは丸座金、63a~63cはナット、71a~71d、72a~72dはパイプ、73p1、73p2、74p1、74p2はピン、81、91はアンカーボルト、82、92は梁側ボルト、83、93は長尺ロッド、84a、94aはカップラー(長ナット)、84b、94bはナット、85a、95aはカップラー(長ナット)、85b、95bはナット、86、96はプレート座金である。
梁50は、複数の角材を長手方向に繋いで上下方向に重ねて連結した長尺の梁で、木製の材料、例えば、ヒノキ(桧)、ヒバ(桧葉)、スギ(杉)、マツ(松)等の木材からなる。
梁50の第1の柱10の上面が重なる位置には、ホゾ12h1、12h2に嵌合するホゾ穴が設けられ、梁50の第2の柱20の上面が重なる位置にも、第2の柱20に設けられたホゾに嵌合するホゾ穴が設けられている。
また、梁50の第1棒状固定部材80と第2棒状固定部材90の位置には、梁側ボルト82、92が挿通する挿通孔50a1、50b1が設けられ、梁50の下面側にはCLTパネル70のパイプ72a~72dが嵌合する嵌合孔50b1~50b4が設けられている。
本実施形態の梁50は、Y方向の長さが60~105mm、Z方向の長さが600mmの矩形断面の梁である。
土台60の第1棒状固定部材80と第2棒状固定部材90の位置には、固定ボルト82、92が挿通する挿通孔60a1、60a2が設けられ、土台60の上面側にはCLTパネル70のパイプ71a~71dが嵌合する嵌合孔60b1~60b4が設けられている。
また、土台60のアンカーボルト61a~61cの位置には、上下方向(Z方向)に挿通する段付穴60c1~60c3が設けられている。
アンカーボルト61a~61cは、基礎100に埋め込まれて固定され、基礎100から突出するアンカーボルト61a~61cの先端側が土台60の段付穴60c1~60c3に挿通し、段付穴60a1~60a3の上段部に嵌め込まれた丸座金62a~62cを介して、アンカーボルト61a~61cのネジ部にナット63a~63cが螺合され、これにより土台60が基礎100の上に固定される。
また、CLTパネル70のX方向の長さは、第1の柱10(第2の柱20)のX方向の長さの2.5倍~15倍である。
CLTパネル70の下面側には、金属製のパイプ71a~71dが一部を残して埋め込み固定され、上面側には、金属製のパイプ72a~72dが一部を残して埋め込み固定されている。
図11は、CLTパネル70から左端側のパイプ71a、パイプ72aを抜き取った状態の拡大斜視図であり、図中、70a1、70b1は埋込穴、70c1、70d1はピン挿通孔、71ah、72ahはピン孔、73p1、74p1はピンである。
図11に示すようにCLTパネル70の左下部には、下面からZ方向に埋込穴70a1が設けられ、Y方向にピン挿通孔70c1が設けられ、パイプ71aには、Y方向にピン孔71ahが設けられ、CLTパネル70の左上部には、上面からZ方向に埋込穴70b1が設けられ、Y方向にピン挿通孔70d1が設けられ、パイプ72aには、Y方向にピン孔72ahが設けられている。
また、CLTパネル70の左上部においては、ピン挿通孔70d1とピン孔72ahが一致するように埋込穴70b1にパイプ72aが上側の一部を残して埋め込まれ、ピン74p1がピン挿通孔70d1とピン孔72ahに挿通され、これにより、パイプ72aがCLTパネル70から引き抜かれないように固定され、パイプ72aの上側の一部がCLTパネル70の上面から突出し、他のパイプ72b~72dも、パイプ72aと同様にピン74p2等によりCLTパネル70から引き抜かれないように固定され、パイプ72b~72dの上側の一部がCLTパネル70の上面から突出する。
そして、パイプ71a~71dのCLTパネル70の下面から突出する部分が土台60の嵌合孔60b1~60b4に嵌合し、CLTパネル70の下面が土台60の上面に当接し、パイプ72a~72dのCLTパネル70の上面から突出する部分が梁50の嵌合孔50b1~50b4に嵌合し、CLTパネル70の上面が梁50の下面に当接し、CLTパネル70が梁50と土台60に挟まれるようにしてその間に取り付けられる。
なお、本発明に使用される面材は、CLTパネルに限定されるものではなく、単板を繊維方向を揃えて積層、接着した単板積層材(LVL)、断面寸法の小さい木材(板材)を接着剤で再構成して作られる集成材、構造用合板等であってもよい。
アンカーボルト81は、基礎100に埋め込まれて固定され、基礎100から突出する軸部分は、土台60の挿通60a1に挿通し、梁側ボルト82は、頭部を上にして軸部がプレート座金86と梁50の挿通孔50a1に挿通し、長尺ロッド83は、CLTパネル70の左側面に沿ってその近傍に配置される。
カップラー84aは、アンカーボルト81と長尺ロッド83を連結する長ナットであり、カップラー84aのネジ部の下側部分がアンカーボルト81のネジ部と螺合し、カップラー84aのネジ部の上側部分が長尺ロッド83の下側のネジ部と螺合し、これによりアンカーボルト81と長尺ロッド83が連結され、アンカーボルト81のネジ部に螺合するナット84bが締め付けられてカップラー84aが固定される。
カップラー85aは、梁側ボルト82と長尺ロッド83を連結する長ナットであり、カップラー85aのネジ部の上側部分が梁側ボルト82のネジ部と螺合し、カップラー85aのネジ部の下側部分が長尺ロッド83の上側のネジ部と螺合し、これにより、梁側ボルト82と長尺ロッド83が連結され、長尺ロッド83の上側のネジ部に螺合するナット85bが締め付けられてカップラー85aが固定される。
アンカーボルト91は、アンカーボルト81と同様に、基礎100に埋め込まれて固定され、基礎100から突出する軸部分は、土台60の挿通60a2に挿通し、梁側ボルト92は、梁側ボルト82と同様に、頭部を上にして軸部がプレート座金96と梁50の挿通孔50a2に挿通し、長尺ロッド93は、CLTパネル70の右側面に沿ってその近傍に配置される。
カップラー94aは、アンカーボルト91と長尺ロッド93を連結する長ナットであり、カップラー84aがアンカーボルト81と長尺ロッド83を連結するのと同じようにして、アンカーボルト91と長尺ロッド93を連結する。
カップラー95aは、梁側ボルト92と長尺ロッド93を連結する長ナットであり、カップラー84aが梁側ボルト82と長尺ロッド83を連結するのと同じようにして、固定ボルト92と長尺ロッド93を連結する。
また、基礎100は、壁面に沿ってコンクリート構造が連続する形状の布基礎である。
なお、本実施形態では、CLTパネル70は土台60の上に設置されているが、本発明においては、土台60をなくして、CLTパネル70を基礎100の上に設置してもよく、その場合は、基礎100に、CLTパネル70の下面から突出するパイプ71a~71dに嵌合する嵌合孔が設けられる。
ここで、構造体1の取付方法について説明する。
まず、第1載置台30をアンカーボルト36a~36dとナット37a~37dにより基礎100の上に固定し、同様にして第2載置台40を基礎100の上に固定し、土台60をアンカーボルト61a~61c、丸座金62a~62c及びナット63a~63cにより基礎100の上に固定し、基礎100に埋め込み固定したアンカーボルト81、91の軸部を土台60の挿通60a1、60a2に挿通して土台60の上方に突出させる。
次いで、第1の柱10を第1載置台30(上面プレート32)の上に載せ、上面プレート32の挿通孔32a~32dに4本のボルト35a~35dを挿通し、ボルト35a~35dを第1の柱10に埋め込まれたメネジパイプ13m1~13m4に螺合させて締め付け、第1載置台30(上面プレート32)に第1の柱10を固定する。
第2の柱20も、第1の柱10と同様にして第2載置台40に固定する。
このように第1の柱10と第2の柱20は、第1載置台30と第2載置台40の上に載せて4本のボルトを締め付けるだけで取り付けることができ、柱の設置作業を短時間で行うことができる。
次いで、第1の柱10の上面から突出するホゾ12h1、12h2、第2の柱20の上面から突出するホゾに、梁50の下面に設けられたホゾ穴を嵌め込み、CLTパネル70の上面から突出するパイプ72a~72dに、梁50の下面に設けられた嵌合孔50b1~50b4を嵌め込み、梁50の下面を第1の柱10と第2の柱20とCLTパネル70の上面を当接させ、梁50を第1の柱10と第2の柱20とCLTパネル70に同時に取り付ける。
次いで、基礎100に固定され土台60の上面から突出しているアンカーボルト81、91と長尺ロッド83、93をカップラー84a、94aで連結してナット84b、94bを締め付け、梁側ボルト82、92をプレート座金86、96と梁50の挿通孔50a1、50a2に挿通し、梁50の下面から突出している梁側ボルト82、92と長尺ロッド83、93をカップラー85a、95aで連結してナット85b、95bを締め付け、梁50を第1棒状固定部材80と第2棒状固定部材90で基礎100に連結すると共に梁50の下面をCLTパネル70の上面に押し付け、梁50とCLTパネル70の取り付けを終了する。
このように梁50とCLTパネル70は、第1の柱10と第2の柱20と土台60に嵌め込んで、第1棒状固定部材80と第2棒状固定部材90で連結するという簡単な作業で取り付けることができ、梁とCLTパネルの設置作業を短時間で行うことができる。
過大水平力が作用した構造体1の作用について説明する。
構造体1において、第1の柱10は、第1の柱10の下部に埋め込まれたメネジパイプ13m1~13m4にボルト35a~35dが上面プレート32を挟んで螺合されて第1載置台30に固定されている。
メネジパイプ13m1~13m4は、ピン14p1~14p4により第1の柱10に固定されているだけであり、特許文献2や特許文献3の壁柱(柱)に埋め込まれたスクリュー部材と異なり、第1の柱10を第1載置台30から引き離そうとする強い力が作用した場合、メネジパイプ13m1~13m4が第1の柱10からわずかに引き抜かれる。
これより、第1の柱10と第1載置台30の接合は、接合部が変形しない剛接合ではなく、接合部が変形する非剛接合であり、第2の柱20と第2載置台40の接合も非剛接合である。
また、第1の柱10は、第1の柱10に設けられたホゾ12h1、12h2が梁50に設けられたホゾ穴にはめ込まれて梁50に接合されているから、第1の柱10と梁50の接合は、非剛接合であり、第2の柱20と梁50の接合も非剛接合である。
よって、地震等により構造体1に過大水平力が作用し、梁50に過大水平力が作用した場合、特許文献2や特許文献3の壁柱(柱)のように、壁柱(柱)が基礎から持ち上げられずに壁柱(柱)自体が曲げ変形するのではなく、第1の柱10自体はほとんど変形せずに、第1の柱10の下面の一側を支点として第1の柱10が回転して傾斜し、第1の柱10の下面の他側が第1載置台30から持ち上げられ、第1の柱10の上端(上面)が梁50を持ち上げることとなり、第1の柱10と第1載置台30の接合部が塑性変形したり破損したりすることはない。
また、第2の柱20も、第1の柱10と同様に、第2の柱20の下面の一側を支点として回転して傾斜し、第2の柱20の下面の他側が第2載置台40から持ち上げられ、第2の柱20の上端(上面)が梁50を持ち上げることとなり、第2の柱20と第2載置台40の接合部が塑性変形したり破損したりすることはない。
これより、CLTパネル70と土台60の接合、CLTパネル70と梁50の接合は、共に非剛接合であり、梁50に過大水平力が作用した場合、CLTパネル70の下面の一側を支点としてCLTパネル70が回転して傾斜し、CLTパネル70の下面の他側が土台60から持ち上げられ、CLTパネル70の上端(上面)が梁50を浮き上がらせる(持ち上げる)こととなり、CLTパネル70と土台60の接合部が塑性変形したり破損したりすることはない。
第1の柱10とCLTパネル70の高さ(Z方向の長さ)をh、第1の柱10のX方向の長さをw1、CLTパネル70のX方向の長さをw2とする。
今、梁50に過大水平力Fが作用し、梁50が水平方向(X方向)に距離sだけ移動したとする。
図12(a)に示すように第1の柱10は、下面の右端P1を支点として右方向に回転して傾斜し、第1の柱10の下面の左端P2は第1載置台30から距離δ1だけ持ち上げられ、第1の柱10の上面の左端P3も距離δ1だけ持ち上げられ、梁50は、距離δ1だけ持ち上げられる。
このときの第1の柱10傾き角をθとすると、tanθ=s/hであるから、
δ1=w1tanθ=w1・s/h となる。
また、図12(b)に示すようにCLTパネル70は、下面の右端Q1を支点として右方向に回転して傾斜し、CLTパネル70の下面の左端Q2は土台60から距離δ2だけ持ち上げられ、CLTパネル70の上面の左端Q3も距離δ2だけ持ち上げられ、梁50は、距離δ2だけ浮き上がる(持ち上げられる)。
このときのCLTパネル70の傾き角は、第1の柱10の傾き角をθと同じであり、
δ2=w2tanθ=w2・s/h となる。
これより、δ1/δ2=w1/w2、δ2=(w2/w1)δ1となる。
すなわち、梁50に過大水平力Fが作用し、梁50が水平方向に移動した場合、CLTパネル70が傾いて梁50が浮き上がる距離δ2は、第1の柱10(第2の柱20)が傾いて梁50が持ち上げられる距離δ1の(w2/w1)倍となる。
CLTパネル70のX方向の長さw2は、第1の柱10(第2の柱20)のX方向の長さw1の2.5倍~15倍であるから、距離δ2は距離δ1の2.5倍~15倍となる。
本実施形態においては、h=3300mm、w1=315mm、w2=2000mmであるから、s=50mmとすると、
δ1=315×50/3300=4.8mm
δ2=2000×50/3300=30.3mm
となり、δ2は、δ1の6.35倍となる。
よって、梁50に過大水平力Fが作用し、梁50が水平方向に移動する場合、CLTパネル70が傾くことにより梁50が浮き上がり(持ち上げられ)、第1の柱10(第2の柱20)の傾きによっては、梁50は持ち上げられないことなる。
この場合、梁50に過大水平力Fが作用し、梁50が水平方向に移動し、CLTパネル70が下面の右端Q1を支点として右方向に回転して傾斜するが、第1棒状固定部材80と第2棒状固定部材90により、梁50の浮き上がりが防止され、梁50が浮き上がる距離の最大値はΔとなり、梁50の水平方向への移動距離sの最大値をSmaxとすると、
Δ=w2・Smax/h であるから、Smax=Δ・h/w2 となり、
傾き角θの最大値θmaxは、tanθmax=Smax/h=Δ/w2 となる。
本実施形態においては、Δ=5~20mmであり、w2=2000mmであるから、
tanθmax=0.0025~0.01 となる
よって、第1棒状固定部材80と第2棒状固定部材90により梁50と土台60の間に挟持されたCLTパネル70は、構造体1に過大水平力が作用し、梁50が水平方向に移動し構造体1が変形するのを防止する抵抗部材となる。
すなわち、梁50と土台60の間にCLTパネル70を設置し、第1棒状固定部材80と第2棒状固定部材90で梁50の浮き上がりを防止することにより、構造体1に過大水平力が作用しても、構造体1の変形が最小限に抑えられることとなる。
10 第1の柱
11p、11q1~11q4、11r1~11r4 角材
11qu 埋込穴
11qh ピン挿通孔
12h1、12h2 ホゾ
13m1~13m4 メネジパイプ
13mh ピン孔
14p1~14p4 ピン
20 第2の柱
30 第1載置台
31 枠体
32 上面プレート
32a~32d 挿通孔
33 下面プレート
33、33b 挿通孔
34 垂直プレート
35a~35d ボルト
36a~36d アンカーボルト
37a~37d ナット
40 第2載置台
50 梁
50a1、50b1は挿通孔
50b1~50b4は嵌合孔
60 土台
60a1、60a2 挿通孔
60b1~60b4 嵌合孔
60c1~60c3 段付穴
61a~61c アンカーボルト
62a~62c 丸座金
63a~63c ナット
70 CLTパネル
71a~71d、72a~72d パイプ
73p1、73p2、74p1、74p2 ピン
80 第1棒状固定部材
90 第2棒状固定部材
81、91 アンカーボルト
82、92 梁側ボルト
83、93 長尺ロッド
84a、94a カップラー(長ナット)
84b、94b ナット
85a、95a カップラー(長ナット)
85b、95b ナット
86、96 プレート座金
100 基礎
Claims (6)
- 基礎の上に該基礎の上方に配置される梁の軸方向に間隔を空けて第1の柱と第2の柱を設置し、
前記第1の柱と前記第2の柱に跨って梁を取り付け、
前記第1の柱と前記第2の柱の間の空間の一部を塞ぐように前記基礎と前記梁の間に面材と取り付けた柱と梁と面材の取付構造であって、
前記第1の柱は、前記基礎の上に固定された第1載置台の上に設置され、前記第2の柱は、前記基礎の上に固定された第2載置台の上に設置され、
前記面材は、前記第1の柱と前記第2の柱に当接せず、前記面材の上面が前記梁の下面に当接し、前記面材の下面が前記基礎に固定された土台の上面に当接するように取り付けられ、
前記第1の柱と前記第1載置台の接合は、前記梁を前記梁の軸方向に移動させる過大水平力が作用した場合に前記第1の柱が傾斜して前記第1の柱の下面が前記第1載置台から持ち上げられて前記第1の柱と前記第1載置台の接合部が変形する非剛接合であり、
前記第2の柱と前記第2載置台の接合は、前記過大水平力が作用した場合に前記第2の柱が傾斜して前記第2の柱の下面が前記第2載置台から持ち上げられて前記第2の柱と前記第2載置台の接合部が変形する非剛接合であり、
前記面材と前記土台の接合は、前記過大水平力が作用した場合に前記面材が傾斜して前記面材の下面が土台から持ち上げられて前記面材と前記土台の接合部が変形する非剛接合であり、
前記梁と前記第1の柱の接合、前記梁と前記第2の柱の接合及び前記梁と前記面材の接合は、前記過大水平力が作用した場合に、前記第1の柱、前記第2の柱及び前記面材が傾斜して前記梁を浮き上がらせる非剛接合であり、
前記過大水平力が作用した場合、前記面材が傾斜して前記梁を浮き上がらせることを防止する浮き上がり防止部材を前記土台と前記梁の間に取り付けた
ことを特徴とする柱と梁と面材の取付構造。 - 前記梁は、前記第1の柱と前記第2の柱の上面に嵌め合い部材を用いて取り付けられていることを特徴とする請求項1記載の柱と梁と面材の取付構造。
- 前記浮き上がり防止部材は、前記第1の柱と前記面材の間に前記基礎と前記梁を連結するように取り付けられた第1棒状固定部材と、前記第2の柱と前記面材の間に前記基礎と前記梁を連結するように取り付けた第2棒状固定部材からなることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の柱と梁と面材の取付構造。
- 前記面材の前記梁の軸方向の長さは、前記第1の柱及び前記第2の柱の前記梁の軸方向の長さの2.5倍~15倍であることを特徴とする請求項1乃至請求項3記載のいずれかに記載した柱と梁と面材の取付構造。
- 前記第1の柱及び前記第2の柱は、複数の角材を接合した合せ柱であることを特徴とする請求項1乃至請求項4記載のいずれかに記載した柱と梁と面材の取付構造。
- 前記面材は、CLTパネル、単板積層材又は集成材であることを特徴とする請求項1乃至請求項5記載のいずれかに記載した柱と梁と面材の取付構造。
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