JP7450220B2 - 量子計算機、プログラム、量子計算方法及び量子回路 - Google Patents
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Description
本節では、本実施形態に係る量子計算機1のハードウェア構成について説明する。
通信部3は、量子計算機1が他の情報処理装置(古典計算機、量子計算機又はそれらを組み合わせた計算機を含む)又は周辺機器と情報通信をするために使用される。
量子メモリ4は、前述の記載により定義される様々な情報を記憶する。特に、量子メモリ4は、次に説明する量子プロセッサ5が読み出し可能な種々のプログラムを記憶している。また、量子メモリ4は、量子計算機1の計算に係る特定の材料の物性情報等を必要に応じて記憶する。
量子プロセッサ5は、量子計算機1に関連する全体動作の処理・制御を行う。量子プロセッサ5は、量子メモリ4に記憶されたプログラム、又は通信部3を介して入力される所定のプログラムを読み出すことによって、量子計算機1に係る種々の機能を実現する。すなわち、ソフトウェア(量子メモリ4に記憶されている、又は通信部3を介して他の情報処理装置から入力されている)による情報処理がハードウェア(量子プロセッサ5)によって具体的に実現されることで、図2に示されるような、各機能部として実行されうる。これらについては、次節において詳述する。なお、図1においては、単一の量子プロセッサ5として表記されているが、実際はこれに限るものではなく、機能ごとに複数の量子プロセッサ5を有するように実施してもよい。またそれらの組合せであってもよい。
本節では、本実施形態に係る量子計算機1の機能構成について説明する。図2は、量子計算機1(量子プロセッサ5)の機能構成を示すブロック図である。図3は、量子ゲート53(量子回路)の構成を示している。前述の量子プロセッサ5に関して、量子計算機1は、設定部51と、処理部52と、量子ゲート53と、観測部54と、量子位相推定部55と、特定部56とを備える。以下、各構成要素についてさらに説明する。
量子計算機1がユニタリ演算子Uの線形和Oを演算するにあたって、この線形和Oは、項数が2のn乗で規定されることとする。なお、係数cが0の項もこの項数に含めるものとする。設定部51は、項数が2のn乗で規定されるユニタリ演算子Uの線形和Oにおける各係数cに基づいて、n層のパラメータ群{θ}を設定するように構成される。ここで第k(2≦k≦n)層のパラメータ群{θ}は、第k-1層のパラメータ群{θ}に基づいて再帰的に設定される。
処理部52は、量子計算機1において演算される種々の計算を実行する。例えば、処理部52は、量子計算に含まれる四則演算を実行する。あるいは、処理部52は、後述の量子ゲート53に入力させる入力値を初期化可能に構成されてもよい。例えば、処理部52は、初期状態としてすべての量子ビットにアダマールゲート(図3におけるH)を作用させることで、補助ビットAQの入力値を初期化することができる。初期化された補助ビットAQの入力値は、複数の準位を等確率に有することとなる。
図3に示されるように、量子ゲート53は、n個の補助ビットAQとm個の標的ビットTQとを含むn+m個のビットで構成される。量子ゲート53は、n層のパラメータ群{θ}に含まれるパラメータθに基づいて、各ビットに入力された入力値に対して所定の演算を実行するように構成される。
観測部54は、各ビットに対して量子的重ね合わせによって複数の値を確率的に有する出力値を観測する。観測部54が観測することによって、出力値が複数の値のうちの1つに確定する。具体的には、観測部54は、量子ゲート53におけるn個の補助ビットAQの出力値である補助出力値を観測するように構成される。これに関連して、図3に示されるように、量子ゲート53は、観測部54によって観測された補助出力値がある特定の値の場合(例えば、すべて0の場合)に、標的ビットTQの入力値とユニタリ演算子Uの線形和Oとの積を標的ビットTQの出力値である標的出力値として出力するように構成される。
量子位相推定部55は、第1及び第2の標的出力値に対して、量子位相推定を実行するように構成される。詳細は、同じく次節で説明する。
特定部56は、量子ゲート53の演算結果に基づいて、ユニタリ演算子Uの線形和Oを特定するように構成される。また、特定部56は、ユニタリ演算子Uの線形和Oに依存する値や関数等を特定するように構成されてもよい。例えば、特定部56は、量子位相推定部55による量子位相推定の結果に基づいて、所定の関数を特定するように構成される。なお、ここで所定の関数の例としては、例えば、グリーン関数GF又は線形応答関数LFである。
本説では、前述した機能構成に関する量子力学的な理論について補足し、これに基づく量子計算方法について説明する。
前節の述べた通り、ユニタリ演算子Uの線形和Oを演算するために、設定部51は、パラメータ群{θ}を再帰的に設定する。まず前提として、項数が2のn乗で規定されるユニタリ演算子Uの線形和Oについて、各係数cをn桁の2進数で表されるインデックスを用いて順に識別することとする。これを数1に示す。
続いて、図5を参照しながらn=2の場合について考える。図5は、n=2のときのパラメータ群{θ}の処理を示す回路図である。図5に含まれる4つのユニタリ演算子Uの線形和Oは、数6に示される。
前述のユニタリ演算子Uの線形和Oを導出が可能となることで、ユニタリ演算子Uの線形和Oに依存する値や関数等を特定することができる。ここでは、グリーン関数GFを例に説明する。グリーン関数GFが求まると、準粒子バンド構造(軌道エネルギー)を計算することが可能となる。グリーン関数を計算するには電子の生成演算子a+(ここでの「+」はダガー)及び消滅演算子aが基底電子状態に作用した状態を準備しなければいけない。図6は、グリーン関数GFの対角成分・非対角成分を導出する回路図である。
続いて、材料計算において頻用される線形応答関数LFを例に説明する。図8は、線形応答関数LFの電子密度演算子nを導出する回路図である。図9は、線形応答関数LFのスピン密度演算子sを導出する回路図である。
n量子ビットを用いることにより、2^n個の互いに異なる状態の線形結合をとることができる。n量子ビットの状態は、2^n個の自由度を指定して初めて特定することができるものである。換言すると、n量子ビットの状態は、2^n個の情報を1度に保持しているともいえる。
本節では、量子計算機1の変形例について説明する。すなわち、次のような態様によって、本実施形態に係る量子計算機1をさらに創意工夫してもよい。
(2)量子ゲート53を量子回路として単独で実施してもよい。
前記量子計算機において、第k層のパラメータ群は、2のn-k乗個のパラメータを含む、もの。
前記量子計算機において、前記ユニタリ演算子の線形和における各係数をn桁の2進数で表されるインデックスを用いて順に識別することとすると、前記設定部は、前記第k層のパラメータ群に含まれるパラメータが前記各係数のうち特定の1組の係数の比に依存するように、前記パラメータを設定するように構成され、ここで前記特定の1組の係数は、前記インデックスの小さい方からk番目の位の値が異なり且つこれ以外の位の値が等しい2つの係数である、もの。
前記量子計算機において、前記第k層のパラメータ群に含まれるパラメータをn-k桁の2進数で表されるインデックスを用いて順に識別することとすると、前記設定部は、前記第k層のパラメータ群に含まれる第1のパラメータが前記第k-1層のパラメータ群に含まれる特定の1組の第2のパラメータの余弦の比に依存するように、前記パラメータを設定するように構成され、ここで前記特定の1組の第2のパラメータは、前記第1のパラメータのインデックスの末尾に0及び1をそれぞれ追加したインデックスを有する2つのパラメータである、もの。
前記量子計算機において、前記量子ゲートは、n層の制御ユニタリゲートを含み、第k(2≦k≦n)層目の前記制御ユニタリゲートは、1個の制御ビットと、k-1個の被制御ビットとを入力させ、第k-1層目の第1及び第2の制御ユニタリゲートと、回転変換ゲートとを備え、前記第1の制御ユニタリゲートは、前記制御ビットの値が0の場合、前記被制御ビットの値を操作するように構成され、前記第2の制御ユニタリゲートは、前記制御ビットの値が1の場合、前記被制御ビットの値を操作するように構成され、前記回転変換ゲートは、前記制御ビットに作用させる、もの。
前記量子計算機において、n=2である、もの。
前記量子計算機において、観測部をさらに備え、前記観測部は、前記量子ゲートにおける前記n個の補助ビットの出力値である補助出力値を観測するように構成され、前記量子ゲートは、前記観測部によって観測された前記補助出力値がすべて0の場合に、前記標的ビットの入力値と前記ユニタリ演算子の線形和との積を前記標的ビットの出力値である標的出力値として出力するように構成される、もの。
前記量子計算機において、前記量子ゲートは、前記観測部が前記補助出力値を0と観測した場合に、前記標的ビットの入力値とユニタリ演算子の第1の線形和との積を第1の標的出力値として出力し、前記観測部が前記補助出力値を1と観測した場合に、前記標的ビットの入力値とユニタリ演算子の第2の線形和との積を第2の標的出力値として出力するように構成され、ここで前記第2の線形和は、前記第1の線形和のエルミート共役である、もの。
前記量子計算機において、前記第1の線形和は、所定の関数における電子の消滅演算子であり、前記第2の線形和は、前記所定の関数における電子の生成演算子であり、ここで前記所定の関数は、グリーン関数又は線形応答関数であり、量子位相推定部をさらに備え、前記量子位相推定部は、前記第1及び第2の標的出力値に対して、量子位相推定を実行するように構成され、前記特定部は、前記量子位相推定の結果に基づいて、前記所定の関数を特定するように構成される、もの。
前記量子計算機において、前記量子ゲートは、前記観測部が前記補助出力値を0と観測した場合に、前記標的ビットの入力値とユニタリ演算子の線形和との積を標準出力値として出力することで、任意の前記量子ビットの状態を出力するように構成される、もの。
プログラムであって、コンピュータを前記量子計算機として機能させる、もの。
量子計算方法であって、設定ステップと、演算ステップと、特定ステップとを備え、前記設定ステップでは、項数が2のn乗で規定されるユニタリ演算子の線形和における各係数に基づいて、n層のパラメータ群を設定し、ここで第k(2≦k≦n)層のパラメータ群は、第k-1層のパラメータ群に基づいて再帰的に設定され、前記演算ステップでは、前記n層のパラメータ群に含まれるパラメータに基づいて、各ビットに入力された入力値に対して所定の演算を実行し、ここで前記各ビットは、n個の補助ビットとm個の標的ビットとを含むn+m個のビットで構成され、前記特定ステップでは、前記演算ステップでの演算結果に基づいて、前記ユニタリ演算子の線形和を特定する、方法。
前記量子計算方法において、第k層のパラメータ群は、2のn-k乗個のパラメータを含む、方法。
前記量子計算方法において、前記ユニタリ演算子の線形和における各係数をn桁の2進数で表されるインデックスを用いて順に識別することとすると、前記設定ステップでは、前記第k層のパラメータ群に含まれるパラメータが前記各係数のうち特定の1組の係数の比に依存するように、前記パラメータを設定し、ここで前記特定の1組の係数は、前記インデックスの小さい方からk番目の位の値が異なり且つこれ以外の位の値が等しい2つの係数である、方法。
前記量子計算方法において、前記第k層のパラメータ群に含まれるパラメータをn-k桁の2進数で表されるインデックスを用いて順に識別することとすると、前記設定ステップでは、前記第k層のパラメータ群に含まれる第1のパラメータが前記第k-1層のパラメータ群に含まれる特定の1組の第2のパラメータの余弦の比に依存するように、前記パラメータを設定し、ここで前記特定の1組の第2のパラメータは、前記第1のパラメータのインデックスの末尾に0及び1をそれぞれ追加したインデックスを有する2つのパラメータである、方法。
前記量子計算方法において、前記演算ステップは、n層の制御ユニタリゲートからなるゲート操作を含み、第k(2≦k≦n)層目の前記制御ユニタリゲートは、1個の制御ビットと、k-1個の被制御ビットとを入力させ、第k-1層目の第1及び第2の制御ユニタリゲートと、回転変換ゲートとを備え、前記第1の制御ユニタリゲートは、前記制御ビットの値が0の場合、前記被制御ビットの値を操作するように構成され、前記第2の制御ユニタリゲートは、前記制御ビットの値が1の場合、前記被制御ビットの値を操作するように構成され、前記回転変換ゲートは、前記制御ビットに作用させる、方法。
前記量子計算方法において、n=2である、方法。
前記量子計算方法において、観測ステップをさらに備え、前記観測ステップでは、前記量子ゲートにおける前記n個の補助ビットの出力値である補助出力値を観測し、前記演算ステップでは、前記観測ステップで観測された前記補助出力値がすべて0の場合に、前記標的ビットの入力値と前記ユニタリ演算子の線形和との積を前記標的ビットの出力値である標的出力値として出力する、方法。
前記量子計算方法において、前記演算ステップでは、前記観測ステップで前記補助出力値を0と観測した場合に、前記標的ビットの入力値とユニタリ演算子の第1の線形和との積を第1の標的出力値として出力し、前記観測ステップで前記補助出力値を1と観測した場合に、前記標的ビットの入力値とユニタリ演算子の第2の線形和との積を第2の標的出力値として出力し、ここで前記第2の線形和は、前記第1の線形和のエルミート共役である、方法。
前記量子計算方法において、前記第1の線形和は、所定の関数における電子の消滅演算子であり、前記第2の線形和は、前記所定の関数における電子の生成演算子であり、ここで前記所定の関数は、グリーン関数又は線形応答関数であり、量子位相推定ステップをさらに備え、前記量子位相推定ステップでは、前記第1及び第2の標的出力値に対して、量子位相推定を実行し、前記特定ステップでは、前記量子位相推定の結果に基づいて、前記所定の関数を特定する、方法。
前記量子計算方法において、前記演算ステップでは、前記観測ステップで前記補助出力値を0と観測した場合に、前記標的ビットの入力値とユニタリ演算子の線形和との積を標的出力値として出力することで、任意の前記量子ビットの状態を出力する、方法。
量子回路であって、入力部と、演算部と、標的ビット出力部とを備え、前記入力部は、n個の補助ビットとm個の標的ビットとを含むn+m個のビットで構成され、前記演算部は、n層のパラメータ群に含まれるパラメータに基づいて、前記入力部より入力された入力値に対して所定の演算を実行するように構成され、ここで前記n層のパラメータ群は、項数が2のn乗で規定されるユニタリ演算子の線形和における各係数に基づいて決定され、且つ第k(2≦k≦n)層のパラメータ群が第k-1層のパラメータ群に基づいて再帰的に決定され、前記標的ビット出力部は、前記標的ビットに入力された入力値と前記ユニタリ演算子の線形和との積を出力するように構成される、もの。
前記量子回路において、第k層のパラメータ群は、2のn-k乗個のパラメータを含む、もの。
前記量子回路において、前記ユニタリ演算子の線形和における各係数をn桁の2進数で表されるインデックスを用いて順に識別することとすると、前記第k層のパラメータ群に含まれるパラメータは、前記各係数のうち特定の1組の係数の比に依存するように決定され、ここで前記特定の1組の係数は、前記インデックスの小さい方からk番目の位の値が異なり且つこれ以外の位の値が等しい2つの係数である、もの。
前記量子回路において、前記第k層のパラメータ群に含まれるパラメータをn-k桁の2進数で表されるインデックスを用いて順に識別することとすると、前記第k層のパラメータ群に含まれる第1のパラメータは、前記第k-1層のパラメータ群に含まれる特定の1組の第2のパラメータの余弦の比に依存するように決定され、ここで前記特定の1組の第2のパラメータは、前記第1のパラメータのインデックスの末尾に0及び1をそれぞれ追加したインデックスを有する2つのパラメータである、もの。
前記量子回路において、前記演算部は、n層の制御ユニタリゲートを含み、第k(2≦k≦n)層目の前記制御ユニタリゲートは、1個の制御ビットと、k-1個の被制御ビットとを入力させ、第k-1層目の第1及び第2の制御ユニタリゲートと、回転変換ゲートとを備え、前記第1の制御ユニタリゲートは、前記制御ビットの値が0の場合、前記被制御ビットの値を操作するように構成され、前記第2の制御ユニタリゲートは、前記制御ビットの値が1の場合、前記被制御ビットの値を操作するように構成され、前記回転変換ゲートは、前記制御ビットに作用させる、もの。
前記量子回路において、n=2である、もの。
前記量子回路において、前記標的ビット出力部は、前記n個の補助ビットの出力値の観測結果がすべて0の場合に、前記積を出力するように構成される、もの。
前記量子回路において、前記標的ビット出力部は、前記n個の補助ビットの出力値がすべて0と観測した場合に、任意の前記量子ビットの状態を出力するように、前記標的ビットの入力値とユニタリ演算子の線形和との積を標的出力値とするように構成される、もの。
もちろん、この限りではない。
2 :通信バス
3 :通信部
4 :記憶部
5 :制御部
51 :設定部
52 :処理部
53 :量子ゲート
53a :量子ゲート
53b :量子ゲート
53c :量子ゲート
53d :量子ゲート
53e :量子ゲート
53f :量子ゲート
53g :量子ゲート
531 :入力部
532 :演算部
532a :等価回路
533 :出力部
533a :標的ビット出力部
54 :観測部
55 :量子位相推定部
56 :特定部
6 :表示部
7 :入力部
AQ :補助ビット
GF :グリーン関数
LF :線形応答関数
LF1 :スピンスピン応答関数
LF2 :電荷電荷応答関数
LF3 :電荷スピン応答関数
O :線形和
O1 :第1の線形和
O2 :第2の線形和
TQ :標的ビット
U :ユニタリ演算子
a :電子の消滅演算子
a+ :電子の生成演算子
c :係数
n :電子密度演算子
s :スピン密度演算子
θ :パラメータ
Claims (29)
- 量子計算機であって、
設定部と、量子ゲートと、特定部とを備え、
前記設定部は、項数が2のn乗で規定されるユニタリ演算子の線形和における各係数に基づいて、n層のパラメータ群を設定するように構成され、ここで第k(2≦k≦n)層のパラメータ群は、第k-1層のパラメータ群に基づいて再帰的に設定され、
前記量子ゲートは、
n個の補助ビットとm個の標的ビットとを含むn+m個のビットで構成され、
前記n層のパラメータ群に含まれるパラメータに基づいて、前記各ビットに入力された入力値に対して所定の演算を実行するように構成され、
前記特定部は、前記量子ゲートの演算結果に基づいて、前記ユニタリ演算子の線形和を特定するように構成される、
もの。 - 請求項1に記載の量子計算機において、
第k層のパラメータ群は、2のn-k乗個のパラメータを含む、
もの。 - 請求項2に記載の量子計算機において、
前記ユニタリ演算子の線形和における各係数をn桁の2進数で表されるインデックスを用いて順に識別することとすると、
前記設定部は、前記第k層のパラメータ群に含まれるパラメータが前記各係数のうち特定の1組の係数の比に依存するように、前記パラメータを設定するように構成され、ここで前記特定の1組の係数は、前記インデックスの小さい方からk番目の位の値が異なり且つこれ以外の位の値が等しい2つの係数である、
もの。 - 請求項3に記載の量子計算機において、
前記第k層のパラメータ群に含まれるパラメータをn-k桁の2進数で表されるインデックスを用いて順に識別することとすると、
前記設定部は、前記第k層のパラメータ群に含まれる第1のパラメータが前記第k-1層のパラメータ群に含まれる特定の1組の第2のパラメータの余弦の比に依存するように、前記パラメータを設定するように構成され、ここで前記特定の1組の第2のパラメータは、前記第1のパラメータのインデックスの末尾に0及び1をそれぞれ追加したインデックスを有する2つのパラメータである、
もの。 - 請求項1~請求項4の何れか1つに記載の量子計算機において、
前記量子ゲートは、n層の制御ユニタリゲートを含み、
第k(2≦k≦n)層目の前記制御ユニタリゲートは、
1個の制御ビットと、k-1個の被制御ビットとm個の標的ビットとを入力させ、
第k-1層目の第1及び第2の制御ユニタリゲートと、回転変換ゲートとを備え、
前記第1の制御ユニタリゲートは、前記制御ビットの値が0の場合、前記被制御ビットの値を操作するように構成され、
前記第2の制御ユニタリゲートは、前記制御ビットの値が1の場合、前記被制御ビットの値を操作するように構成され、
前記回転変換ゲートは、前記制御ビットに作用させる、
もの。 - 請求項5に記載の量子計算機において、
n=2である、
もの。 - 請求項1~請求項6の何れか1つに記載の量子計算機において、
観測部をさらに備え、
前記観測部は、前記量子ゲートにおける前記n個の補助ビットの出力値である補助出力値を観測するように構成され、
前記量子ゲートは、前記観測部によって観測された前記補助出力値がすべて0の場合に、前記標的ビットの入力値と前記ユニタリ演算子の線形和との積を前記標的ビットの出力値である標的出力値として出力するように構成される、
もの。 - 請求項7に記載の量子計算機において、
前記量子ゲートは、
前記観測部が前記補助出力値を0と観測した場合に、前記標的ビットの入力値とユニタリ演算子の第1の線形和との積を第1の標的出力値として出力し、
前記観測部が前記補助出力値を1と観測した場合に、前記標的ビットの入力値とユニタリ演算子の第2の線形和との積を第2の標的出力値として出力するように構成され、ここで前記第2の線形和は、前記第1の線形和のエルミート共役である、
もの。 - 請求項8に記載の量子計算機において、
前記第1の線形和は、所定の関数における電子の消滅演算子であり、前記第2の線形和は、前記所定の関数における電子の生成演算子であり、ここで前記所定の関数は、グリーン関数又は線形応答関数であり、
量子位相推定部をさらに備え、
前記量子位相推定部は、前記第1及び第2の標的出力値に対して、量子位相推定を実行するように構成され、
前記特定部は、前記量子位相推定の結果に基づいて、前記所定の関数を特定するように構成される、
もの。 - 請求項7に記載の量子計算機において、
前記量子ゲートは、前記観測部が前記補助出力値を0と観測した場合に、前記標的ビットの入力値とユニタリ演算子の線形和との積を標準出力値として出力することで、任意の前記量子ビットの状態を出力するように構成される、
もの。 - プログラムであって、
コンピュータを請求項1~請求項10の何れか1つに記載の量子計算機として機能させる、
もの。 - 量子計算方法であって、
設定ステップと、演算ステップと、特定ステップとを備え、
前記設定ステップでは、項数が2のn乗で規定されるユニタリ演算子の線形和における各係数に基づいて、n層のパラメータ群を設定し、ここで第k(2≦k≦n)層のパラメータ群は、第k-1層のパラメータ群に基づいて再帰的に設定され、
前記演算ステップでは、前記n層のパラメータ群に含まれるパラメータに基づいて、各ビットに入力された入力値に対して所定の演算を実行し、ここで前記各ビットは、n個の補助ビットとm個の標的ビットとを含むn+m個のビットで構成され、
前記特定ステップでは、前記演算ステップでの演算結果に基づいて、前記ユニタリ演算子の線形和を特定する、
方法。 - 請求項12に記載の量子計算方法において、
第k層のパラメータ群は、2のn-k乗個のパラメータを含む、
方法。 - 請求項13に記載の量子計算方法において、
前記ユニタリ演算子の線形和における各係数をn桁の2進数で表されるインデックスを用いて順に識別することとすると、
前記設定ステップでは、前記第k層のパラメータ群に含まれるパラメータが前記各係数のうち特定の1組の係数の比に依存するように、前記パラメータを設定し、ここで前記特定の1組の係数は、前記インデックスの小さい方からk番目の位の値が異なり且つこれ以外の位の値が等しい2つの係数である、
方法。 - 請求項14に記載の量子計算方法において、
前記第k層のパラメータ群に含まれるパラメータをn-k桁の2進数で表されるインデックスを用いて順に識別することとすると、
前記設定ステップでは、前記第k層のパラメータ群に含まれる第1のパラメータが前記第k-1層のパラメータ群に含まれる特定の1組の第2のパラメータの余弦の比に依存するように、前記パラメータを設定し、ここで前記特定の1組の第2のパラメータは、前記第1のパラメータのインデックスの末尾に0及び1をそれぞれ追加したインデックスを有する2つのパラメータである、
方法。 - 請求項12~請求項15の何れか1つに記載の量子計算方法において、
前記演算ステップは、n層の制御ユニタリゲートからなるゲート操作を含み、
第k(2≦k≦n)層目の前記制御ユニタリゲートは、
1個の制御ビットと、k-1個の被制御ビットとm個の標的ビットとを入力させ、
第k-1層目の第1及び第2の制御ユニタリゲートと、回転変換ゲートとを備え、
前記第1の制御ユニタリゲートは、前記制御ビットの値が0の場合、前記被制御ビットの値を操作するように構成され、
前記第2の制御ユニタリゲートは、前記制御ビットの値が1の場合、前記被制御ビットの値を操作するように構成され、
前記回転変換ゲートは、前記制御ビットに作用させる、
方法。 - 請求項16に記載の量子計算方法において、
n=2である、
方法。 - 請求項12~請求項17の何れか1つに記載の量子計算方法において、
観測ステップをさらに備え、
前記観測ステップでは、前記量子ゲートにおける前記n個の補助ビットの出力値である補助出力値を観測し、
前記演算ステップでは、前記観測ステップで観測された前記補助出力値がすべて0の場合に、前記標的ビットの入力値と前記ユニタリ演算子の線形和との積を前記標的ビットの出力値である標的出力値として出力する、
方法。 - 請求項18に記載の量子計算方法において、
前記演算ステップでは、
前記観測ステップで前記補助出力値を0と観測した場合に、前記標的ビットの入力値とユニタリ演算子の第1の線形和との積を第1の標的出力値として出力し、
前記観測ステップで前記補助出力値を1と観測した場合に、前記標的ビットの入力値とユニタリ演算子の第2の線形和との積を第2の標的出力値として出力し、ここで前記第2の線形和は、前記第1の線形和のエルミート共役である、
方法。 - 請求項19に記載の量子計算方法において、
前記第1の線形和は、所定の関数における電子の消滅演算子であり、前記第2の線形和は、前記所定の関数における電子の生成演算子であり、ここで前記所定の関数は、グリーン関数又は線形応答関数であり、
量子位相推定ステップをさらに備え、
前記量子位相推定ステップでは、前記第1及び第2の標的出力値に対して、量子位相推定を実行し、
前記特定ステップでは、前記量子位相推定の結果に基づいて、前記所定の関数を特定する、
方法。 - 請求項18に記載の量子計算方法において、
前記演算ステップでは、前記観測ステップで前記補助出力値を0と観測した場合に、前記標的ビットの入力値とユニタリ演算子の線形和との積を標的出力値として出力することで、任意の前記量子ビットの状態を出力する、
方法。 - 量子回路であって、
入力部と、演算部と、標的ビット出力部とを備え、
前記入力部は、n個の補助ビットとm個の標的ビットとを含むn+m個のビットで構成され、
前記演算部は、n層のパラメータ群に含まれるパラメータに基づいて、前記入力部より入力された入力値に対して所定の演算を実行するように構成され、ここで前記n層のパラメータ群は、項数が2のn乗で規定されるユニタリ演算子の線形和における各係数に基づいて決定され、且つ第k(2≦k≦n)層のパラメータ群が第k-1層のパラメータ群に基づいて再帰的に決定され、
前記標的ビット出力部は、前記標的ビットに入力された入力値と前記ユニタリ演算子の線形和との積を出力するように構成される、
もの。 - 請求項22に記載の量子回路において、
第k層のパラメータ群は、2のn-k乗個のパラメータを含む、
もの。 - 請求項23に記載の量子回路において、
前記ユニタリ演算子の線形和における各係数をn桁の2進数で表されるインデックスを用いて順に識別することとすると、
前記第k層のパラメータ群に含まれるパラメータは、前記各係数のうち特定の1組の係数の比に依存するように決定され、ここで前記特定の1組の係数は、前記インデックスの小さい方からk番目の位の値が異なり且つこれ以外の位の値が等しい2つの係数である、
もの。 - 請求項24に記載の量子回路において、
前記第k層のパラメータ群に含まれるパラメータをn-k桁の2進数で表されるインデックスを用いて順に識別することとすると、
前記第k層のパラメータ群に含まれる第1のパラメータは、前記第k-1層のパラメータ群に含まれる特定の1組の第2のパラメータの余弦の比に依存するように決定され、ここで前記特定の1組の第2のパラメータは、前記第1のパラメータのインデックスの末尾に0及び1をそれぞれ追加したインデックスを有する2つのパラメータである、
もの。 - 請求項22~請求項25の何れか1つに記載の量子回路において、
前記演算部は、n層の制御ユニタリゲートを含み、
第k(2≦k≦n)層目の前記制御ユニタリゲートは、
1個の制御ビットと、k-1個の被制御ビットとm個の標的ビットとを入力させ、
第k-1層目の第1及び第2の制御ユニタリゲートと、回転変換ゲートとを備え、
前記第1の制御ユニタリゲートは、前記制御ビットの値が0の場合、前記被制御ビットの値を操作するように構成され、
前記第2の制御ユニタリゲートは、前記制御ビットの値が1の場合、前記被制御ビットの値を操作するように構成され、
前記回転変換ゲートは、前記制御ビットに作用させる、
もの。 - 請求項26に記載の量子回路において、
n=2である、
もの。 - 請求項22~請求項27の何れか1つに記載の量子回路において、
前記標的ビット出力部は、前記n個の補助ビットの出力値の観測結果がすべて0の場合に、前記積を出力するように構成される、
もの。 - 請求項22~請求項28の何れか1つに記載の量子回路において、
前記標的ビット出力部は、前記n個の補助ビットの出力値がすべて0と観測した場合に、任意の前記量子ビットの状態を出力するように、前記標的ビットの入力値とユニタリ演算子の線形和との積を標的出力値とするように構成される、
もの。
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