JP7449530B2 - 腎癌の検出方法及び検査薬 - Google Patents

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Description

本発明は、組織因子経路インヒビター2(Tissue Factor Pathway Inhibitor 2;TFPI2)を測定対象とする腎癌の検出方法及び検出試薬に関する。
膀胱癌を除く腎・尿路癌の推定罹患率は人口10万人当たり19.5人(国立がん研究センターがん対策情報センター2013年)とされ、近年増加傾向にある。腎癌は自覚症状に乏しいため、検診や人間ドック等で偶発的に発見されることが多く、早期発見が困難な癌とされている。
腎癌の治療は原則外科的切除であるが、薬物療法として血管新生を阻害するチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)、mTOR阻害剤などの分子標的薬、並びに、免疫チェックポイント阻害剤等が適宜用いられている。
腎癌の血液検査は赤血球沈降速度を定量する赤沈、CRP(C-reactive protein)、及びIAP(Immunosuppressive Acidic Protein)等が存在する。しかし、これらはいずれも癌により間接的に誘発される炎症反応から生じる因子を対象としており、腫瘍マーカーとしての有用性は決定的なものではない。そのため、現在は超音波検査、CTやMRIによる画像診断が最も有効な検査法と位置付けられている。しかし、CTは放射線被曝が懸念されており、画像診断によって生じる患者負担は決して低いものではない。したがって、より簡便かつ患者負担の少ない血液検査による腎癌検出方法が切望されている。
ところで、組織因子経路インヒビター2(TFPI2)は、胎盤タンパク質5(Placental Protein 5;PP5)と同一のタンパク質であり、3つのクニッツ型プロテアーゼインヒビタードメインを含む胎盤由来セリンプロテアーゼインヒビターである。TFPI2と癌との関連は、本発明者の荒川らはTFPI2が卵巣癌では明細胞癌細胞株から特異的に産生されること、卵巣癌患者組織における遺伝子発現は明細胞癌患者のみで特異的に向上することを明らかにし(特許文献1)、血中TFPI2は健常人及び子宮内膜症例と比較して明細胞癌で有意に向上していることを見出した(特許文献2、非特許文献1)。また、TFPI2の測定を行うことにより卵巣明細胞癌を検出する方法も開示されている(特許文献3、非特許文献2)。
TFPI2と腎癌との関連は、緑茶に含まれるエピガロカテキンガレート(ECGC)の添加によってヒト腎癌細胞株中のTFPI2発現量が増加し、細胞増殖を抑制しアポトーシスを誘導することが示唆されている(非特許文献3)。しかし今日まで、腎癌におけるTFPI2の血中動態に関する報告はなく、TFPI2が腎癌の検出に適用できるか不明であった。
特許第5224309号 特許第6074676号 国際公開第2016/084912号
J. Proteome Res., 2013, 12 (10), pp 4340-4350 PloS one 11.10 (2016): e0165609. Oncology reports 21.3 (2009): 635-640.
本発明は、腎癌の検出方法、及び前記方法に利用できる試薬を提供することを課題とする。
本発明者らは鋭意検討し、TFPI2は複数の腎がん細胞株培養上清に分泌され、血中TFPI2は健常人と比較して腎癌患者で有意に向上することを見出し、TFPI2が腎癌を検出しうることに想到し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の態様を包含する。
[1]検体において、TFPI2量を測定することを含む、腎癌を検出する方法。
[2]前記TFPI2量の測定値が、予め設定した基準値を超えた場合に、腎癌が検出されたとする、[1]に記載の方法。
[3]前記TFPI2量が、TFPI2プロセシングポリペプチド量及びインタクトTFPI2量の合計である、[1]又は[2]に記載の方法。
[4]前記TFPI2量の測定が、配列番号1のアミノ酸配列の23残基目のアスパラギン酸から131残基目のヒスチジン又は130残基目のシステインまでの領域内の抗原決定基に結合する抗体を用いた抗原抗体反応により行われるものである、[1]~[3]のいずれかに記載の方法。
[5]前記抗体が、TFPI2のクニッツドメイン1を認識する抗体である、[4]に記載の方法。
[6]質量分析法を用いて測定を行う、[1]~[3]のいずれかに記載の方法。
[7]配列番号1に示すアミノ酸配列の23残基目のアスパラギン酸から131残基目のヒスチジン又は130残基目のシステインまでの領域内の抗原決定基に結合する抗体を含む、腎癌を検出するための試薬。
本発明により、腎癌を簡便かつ高い精度で検出する方法、及び前記方法に利用できる試薬が提供される。
細胞株培養上清中のTFPI2量を示した図。第1縦軸はTFPI2測定値、第2縦軸は細胞数を表す。 健常人群と腎癌患者群におけるTFPI2測定値をボックスプロット(Box Plot)にて示した図。縦軸は血中TFPI2量を表す。 健常人群と腎癌群の受信者動作特性(ROC)曲線を示した図。縦軸は感度、横軸は100%-特異度を表す。 組織学的悪性度で分類した腎癌群におけるTFPI2測定値をボックスプロット(Box Plot)で示した図。縦軸はTFPI2測定値を表す。 腎癌腫瘍直径とTFPI2測定値の相関を示した図。縦軸はTFPI2測定値、横軸は腫瘍直径を表す。 転移の有無で分類した腎癌群におけるTFPI2測定値をボックスプロット(Box Plot)にて示した図。縦軸はTFPI2測定値を表す。 実施例7におけるTFPI2測定値をボックスプロットで示した図。 実施例8におけるTFPI2測定値をボックスプロットで示した図。 実施例8における健常人と腎癌患者を識別するためのROC曲線解析の結果を示した図。
<1>本発明の腎癌を検出する方法
本発明の第一の態様は、腎癌を検出する方法であり、検体においてTFPI2量を測定することを含む。これは、健常な検体と比べて、腎癌の血液等の生体試料中に特徴的にTFPI2が存在することに基づく方法である。検体におけるTFPI2量の測定は、通常インビトロ(in vitro)で行われる。この方法により、後述する実施例が示す通り、高い感度と特異度で腎癌を検出することができる。
なお、本発明の方法は、腎癌を検出する段階までを含むものであり、腎癌の診断に関する最終的な判断行為は含まれない。医師は、本発明の方法による検出結果等を参照して、腎癌を診断したり治療方針を立てたりする。
本発明において測定されるTFPI2は、特に限定はなく、例えばインタクトTFPI2(以降、「I-TFPI2」とも記す)、TFPI2プロセシングポリペプチド(以降、「NT-TFPI2」とも記す)、又はそれらの両方であってもよい。
配列番号1に、ヒトTFPI2のcDNAに基づくアミノ酸配列を示す。配列番号1において、開始メチオニンから22残基目のグリシンまではシグナルペプチドである。
「インタクトTFPI2」とは、配列番号1のアミノ酸配列の23残基目から235残基目で表されるペプチドをいう。
また、「NT-TFPI2」は、特許文献3に記載されるように、インタクトTFPI2のN末端側に位置するクニッツドメイン1を含むペプチド断片をいう。より具体的には、NT-TFPI2は、配列番号1のアミノ酸配列の23残基目のアスパラギン酸から131残基目のヒスチジン又は130残基目のシステインまでの配列を少なくとも含むペプチド、または、前記配列と80%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含むペプチドである。前記同一性は、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上である。また、このポリペプチドは、前記配列において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入、及び/又は付加されたアミノ酸配列からなるポリペプチドであってもよい。なお、数個とは、好ましくは2~20個、より好ましくは2~10個、さらに好ましくは2~5個をいう。また、前記配列の両側に他のペプチドフラグメントを有していてもよいが、TFPI2のクニッツドメイン3を認識する抗体の抗原決定基を有しないことが好ましい。
本発明における患者由来の検体(被検試料)は、全血、血球、血清、血漿などの血液成分、細胞または組織の抽出液、尿、脳脊髄液などが挙げられる。また、腎組織生検サンプルを検査対象としてもよいが、その場合は生検試料の抽出液または培養上清を測定する。血液成分や尿などの体液を検体として用いると、簡便かつ非侵襲的に行うことができるため好ましく、検体採取の容易性、他の検査項目への汎用性を考慮すると、血液成分を検体として用いるのが特に好ましい。検体の希釈倍率は無希釈から100倍希釈の中から使用する検体の種類や状態に応じて適宜選択すればよい。
また、本発明における検体の採取時期は、特に限定されない。例えば、画像診断等で腎癌疑いとなって精密検査が施行される術前時から、術後の病理検査により腎癌と確定診断後の経過観察時にかけていつでもよく、確定診断前後、治療開始前後など、いずれの段階で採取した検体であっても、本発明の方法に供することができる。
本発明の検出方法では、測定により得たTFPI2量が、予め設定した基準値(Cutoff値)を超えた場合に、腎癌が検出されたと判定することが好ましい。ここで、TFPI2量は、インタクトTFPI2量、NT-TFPI2量、又はインタクトTFPI2量及びNT-TFPI2量の合計のいずれでもよいが、インタクトTFPI2量及びNT-TFPI2量の合計が測定のしやすさと十分な感度・特異度との両立の観点からより好ましい。
判定に用いる基準値は、測定値もしくは換算濃度値のいずれでもよい。なお、換算濃度値は、TFPI2を標準試料として作成された検量線に基づいて測定値から換算される値をいう。
腎癌と判定する基準値(Cutoff値)は、健常人と腎癌をそれぞれ測定し、受信者動作特性(ROC)曲線解析により最適な感度と特異度を示す測定値に適宜設定することができる。例えば、TFPI2の基準値は後述の実施例で示す通り血漿の場合は219 pg/mL、血清の場合は189pg/mLまたは200pg/mLと設定してもよいがその限りではない。
以降、TFPI2の測定方法について説明する。
本発明において、検体中のNT-TFPI2量又はインタクトTFPI2量を個別に測定してもよく、またその値を合計して合計量としてもよい。また、検体中のNT-TFPI2とインタクトTFPI2の合計量を一度に測定できる測定系で測定してもよい。あるいは、後述するように、両方の測定による合計量とインタクトTFPI2単独の測定量とから間接的にNT-TFPI2量を測定してもよい。
本発明の方法において、NT-TFPI2量及び/又はインタクトTFPI2量を測定する方法は特に制限されない。例えば、NT-TFPI2及び/又はインタクトTFPI2を認識する抗体を用いる抗原抗体反応を利用した方法や、質量分析法を利用した方法が例示できる。
(a)標識した測定対象及び測定対象を認識する抗体を用い、標識した測定対象及び検体に含まれる測定対象が、前記抗体に競合的に結合することを利用した競合法。
(b)測定対象を認識する抗体を固定化したチップに検体を接触させ、当該抗体と測定対象との結合に依存したシグナルを検出する表面プラズモン共鳴を用いた方法。
(c)蛍光標識した測定対象を認識する抗体を用い、当該抗体と測定対象とが結合することで蛍光偏光度が上昇することを利用した蛍光偏光免疫測定法。
(d)エピトープの異なる2種類の、測定対象を認識する抗体(うち1つは標識した抗体)を用い、当該2つの抗体と測定対象との3者の複合体を形成させるサンドイッチ法。
(e)前処理として測定対象を認識する抗体により検体中の測定対象を濃縮後、その結合タンパクのポリペプチドを質量分析装置等により検出する方法。
(d)、(e)の方法が簡便かつ汎用性が高いが、多検体を処理する上では(d)の方法が試薬及び装置に関する技術が十分確立されている点でより好ましい。
抗原抗体反応を利用してNT-TFPI2量及び/又はインタクトTFPI2量を測定する方法は、具体的に以下のものが挙げられる。
(A)NT-TFPI2とインタクトTFPI2の両方を認識する抗体を用いて、NT-TFPI2及びインタクトTFPI2の合計量を測定する方法(NT+I-TFPI2測定系)。なお、前記NT-TFPI2とインタクトTFPI2の両方を認識する抗体は、配列番号1で表されるTFPI2アミノ酸配列の23残基目のアスパラギン酸から131残基目のヒスチジン又は130残基目のシステインまでの領域内の抗原決定基に結合する抗体であることが好ましく、TFPI2のクニッツドメイン1に対する抗原認識部位を有する抗体であることがさらに好ましい。また、この方法で前述したサンドイッチ法を用いる場合は、通常、前記抗体はエピトープの異なる2種類を用いる。
(B)NT-TFPI2を認識せずインタクトTFPI2を認識する抗体を用いて、インタクトTFPI2単独の量を測定する方法(I-TFPI2測定系)。なお、前記NT-TFPI2を認識せずインタクトTFPI2を認識する抗体は、TFPI2のクニッツドメイン3に対する抗原認識部位を有する抗体であること好ましい。また、この方法で前述したサンドイッチ法を用いる場合は、通常、前記抗体はエピトープの異なる2種類を用い、うち少なくとも1種類はNT-TFPI2を認識せずインタクトTFPI2を認識する抗体を用い、もう1種類はNT-TFPI2を認識せずインタクトTFPI2を認識する抗体であってもNT-TFPI2とインタクトTFPI2の両方を認識する抗体であってもよい。
(C)(A)のNT+I-TFPI2測定系で測定したNT-TFPI2及びインタクトTFPI2の合計量から、(B)のI-TFPI2測定系で測定したインタクトTFPI2単独量を減じることにより、NT-TFPI2単独の量を算出する方法。
(D)インタクトTFPI2を認識せずNT-TFPI2を認識する抗体を用いて、NT-TFPI2単独の量を測定する方法。なお、前記インタクトTFPI2を認識せずNT-TFPI2を認識する抗体は、例えば、NT-TFPI2のC末端部分のペプチド配列を特異的に認識する抗体が挙げられる。前述したサンドイッチ法を用いる場合は、例えば、当該抗体を固相抗体とし、クニッツドメイン1に対する認識部位を有する抗体を検出抗体とする。
本発明の腎癌を検出する方法においては、前述した(C)や(D)の方法で測定したNT-TFPI2単独の量を判定の基準に用いてもよいが、(A)の方法で測定したNT-TFPI2及びインタクトTFPI2の合計量を判定の基準に用いても十分な感度と特異度が得られるうえ、抗体の取得しやすさや測定が一段階で簡便なことから、後者がより好ましい。
NT-TFPI2及び/又はインタクトTFPI2を認識する抗体は、NT-TFPI2ポリペプチドまたはタンパク質、インタクトTFPI2ポリペプチド又はTFPI2タンパク質の部分領域からなるオリゴペプチド、NT-TFPI2ポリペプチド又はTFPI2タンパク質のインタクトまたは部分領域をコードするポリヌクレオチドなどを免疫原として、動物に免疫することで得ることができる。前記タンパク質または前記オリゴペプチドやポリペプチドは生体内のTFPI2の立体構造を反映していない、あるいは調製する過程でその構造が変化する可能性がある。そのため、得られた抗体が、所望の生体内のTFPI2に対して高い特異性や結合力を有さない可能性があり、本抗体を用いて測定系を構築しても結果として検体中に含まれるTFPI2濃度を正確に定量できなくなる可能性がある。
一方、免疫原としてTFPI2ポリペプチド又はインタクトTFPI2タンパク質のインタクトまたは部分領域をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターを用いることで、免疫動物の体内でTFPI2ポリペプチド又はインタクトTFPI2タンパク質のインタクトまたは部分領域が発現され免疫応答が惹起されるため、検体中のTFPI2に対して高い特異性及び結合力(すなわち高親和性)を有した抗体が得られるためより好ましい。
免疫に用いる動物は、抗体産生能を有するものであれば特に限定はなく、マウス、ラット、ウサギなど通常免疫に用いる哺乳動物でもよいし、ニワトリなど鳥類を用いてもよい。
さらに、血中にはTFPI2の相同体として知られるTFPI1も存在する。したがって、TFPI1と交叉せずTFPI2のみを特異的に認識する抗体を用いることが望ましい。
本発明の別の側面は、TFPI2量を測定する試薬の、腎癌を検出するための試薬の製造における使用である。ここで、前記TFPI2量を測定する試薬は、TFPI2プロセシングポリペプチド量及びインタクトTFPI2量の合計を測定する試薬であることが好ましい。また、前記TFPI2量を測定する試薬は、好ましくは配列番号1のアミノ酸配列の23残基目のアスパラギン酸から131残基目のヒスチジン又は130残基目のシステインまでの領域内の抗原決定基に結合する抗体であり、より好ましくはTFPI2のクニッツドメイン1を認識する抗体である。
したがって、本発明は、配列番号1に示すアミノ酸配列の23残基目のアスパラギン酸から131残基目のヒスチジン又は130残基目のシステインまでの領域内の抗原決定基に結合する抗体の、腎癌を検出するための試薬の製造における使用ともいうことができる。
また、本発明は、配列番号1に示すアミノ酸配列の23残基目のアスパラギン酸から131残基目のヒスチジン又は130残基目のシステインまでの領域内の抗原決定基に結合する抗体の、腎癌の検出における使用ともいうことができる。
TFPI2を認識する抗体は、モノクローナル抗体であってもよく、ポリクローナル抗体であってもよいが、モノクローナル抗体であるのが好ましい。
TFPI2を認識する抗体を産生するハイブリドーマ細胞の樹立は、技術が確立された方法の中から適宜選択して行えばよい。一例として、前述した方法で免疫した動物からB細胞を採取し、前記B細胞とミエローマ細胞とを電気的にまたはポリエチレングリコール存在下で融合させ、HAT培地により所望の抗体を産生するハイブリドーマ細胞の選択を行ない、選択したハイブリドーマ細胞を限界希釈法によりモノクローン化を行なうことで、TFPI2を認識するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞を樹立することができる。
本発明で用いるTFPI2を認識するモノクローナル抗体の選定は、宿主発現系に由来する、GPI(glycosylphosphatidylinositol)アンカー型TFPI2または分泌型TFPI2に対する親和性に基づいて行えばよい。
なお、前記宿主としては特に限定はなく、当業者がタンパク質の発現に通常用いる、大腸菌や酵母などの微生物細胞、昆虫細胞、動物細胞の中から適宜選択すればよいが、ジスルフィド結合もしくは糖鎖付加といった翻訳後修飾により、天然型のTFPI2に近い構造を有するタンパク質の発現が可能な、哺乳細胞を宿主として用いると好ましい。哺乳細胞の一例としては、従来用いられている、ヒト胎児腎臓由来細胞(HEK)293T細胞株、サル腎臓細胞COS7株、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞またはヒトから単離された癌細胞などが挙げられる。
本発明で用いられる抗体の精製は、技術が確立された方法の中から適宜選択して行えばよい。一例として、前述した方法で樹立した、抗体を産生するハイブリドーマ細胞を培養後、その培養上清を回収し、必要に応じ硫酸アンモニウム沈殿による抗体濃縮後、プロテインA、プロテインG、またはプロテインLなどを固定化した担体を用いたアフィニティークロマトグラフィー及び/またはイオン交換クロマトグラフィーにより、抗体の精製が可能である。
なお、前述したサンドイッチ法で抗原抗体反応を行なう際に用いる標識した抗体は、前述した方法で精製した抗体をペルオキシダーゼやアルカリ性ホスファターゼなどの酵素で標識すればよく、その標識も技術が十分確立された方法を用いて行なえばよい。
本発明の方法において、質量分析法を利用してTFPI2量を測定する方法について、以下に具体的に説明する。
検体が血液である場合は、前処理工程として血液に多く含まれるアルブミン、イムノグロブリン、トランスフェリン等の主要タンパク質をAgilent Human 14等で除去した後、イオン交換、ゲル濾過または逆相HPLC等でさらに分画することが好ましい。または、抗TFPI2抗体を用いた免疫的手法によりTFPI2のみを特異的に回収することも可能である。
測定は、タンデム質量分析(MS/MS)、液体クロマトグラフィ・タンデム質量分析(LC/MS/MS)、マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析(matrix assisted laser desorption ionization time-of-flight mass spectrometry、MALDI-TOF/MS)、表面増強レーザーイオン化質量分析(surface enhanced laser desorption ionization mass spectrometry、SELDI-MS)等により行うことができる。
<2>本発明の腎癌を検出するための試薬
本発明の試薬を前述したサンドイッチ法に利用する場合は、前記抗体としてエピトープの異なる2種類の抗体を含むことが好ましい。
本発明の試薬に含まれる抗体は、抗体そのものであってもよく、標識されていてもよく、固相に固定化されていてもよい。
本発明の試薬のうち、前述したサンドイッチ法の一態様である2ステップサンドイッチ法に利用する場合について、以下に具体的に説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。
まず、本発明の試薬は、以下の(I)から(III)に示す方法で作製することができる。
(I)まず、サンドイッチ法で用いる、TFPI2を認識する、エピトープの異なる2種類の抗体(以下、「抗体1」及び「抗体2」とする)のうち、抗体1をイムノプレートや磁性粒子等のB/F(Bound/Free)分離可能な担体に結合させる。結合方法は、疎水結合を利用した物理的結合であってもよいし、2物質間を架橋可能なリンカー試薬などを用いた化学的結合であってもよい。
(II)担体に前記抗体1を結合させた後、非特異的結合を避けるため、担体表面を牛血清アルブミン、スキムミルク、市販のイムノアッセイ用ブロッキング剤などでブロッキング処理を行ない1次試薬とする。
(III)他方の抗体2を標識し、得られた標識抗体を含む溶液を2次試薬として準備する。抗体2に標識する物質としては、ペルオキシダーゼ、アルカリ性ホスファターゼといった酵素、蛍光物質、化学発光物質、ラジオアイソトープなどの検出装置で検出可能な物質、又はビオチンに対するアビジンなど特異的に結合する相手が存在する物質等が好ましい。また、2次試薬の溶液としては、抗原抗体反応が良好に行える緩衝液、例えばリン酸緩衝液、Tris-HCl緩衝液などが好ましい。このようにして作製した本発明の試薬は必要に応じ凍結乾燥させてもよい。
なお、1ステップサンドイッチ法の場合は、前述した(I)~(II)同様に担体に抗体1を結合させブロッキング処理を行なったものを作製し、前記抗体固定化担体に、標識した抗体2を含む緩衝液をさらに添加して試薬を作製すればよい。
次に、前述した方法で得られた試薬を用いて、2ステップサンドイッチ法でTFPI2を検出し測定するには、以下の(IV)から(VI)に示す方法で行なえばよい。
(IV)(II)で作製した1次試薬と検体とを一定時間、一定温度のもと接触させる。反応条件は、温度4℃から40℃の範囲で、5分から180分間反応させればよい。
(V)未反応物質をB/F分離により除去し、続いて(III)で作製した2次試薬と一定時間、一定温度のもと接触させ、サンドイッチ複合体を形成させる。反応条件は、温度4℃から40℃の範囲で、5分から180分間反応させればよい。
(VI)未反応物質をB/F分離により除去し、標識抗体の標識物質を定量し、既知濃度のTFPI2溶液を標準とし作成した検量線により、検体中のヒトTFPI2を定量する。
本発明の試薬に含まれる抗体等の試薬成分の量は、検体量、検体の種類、試薬の種類、測定の手法等の諸条件に応じて適宜設定すればよい。具体的には、例えば、後述するように検体として血清や血漿を20μL使用して、サンドイッチ法によりTFPI2量の測定を行う場合、当該検体20μLを抗体と反応させる反応系当たり、担体へ結合させる抗体量が100ngから1000μgであってよく、標識抗体量が2ngから20μgであってよい。
本発明の試薬は、用手法での測定にも利用可能であり、自動免疫診断装置を用いた測定にも利用可能である。特に自動免疫診断装置を用いた測定は、検体中に含まれる内在性の測定妨害因子や競合酵素の影響を受けることなく測定が可能で、かつ短時間に検体中のTFPI2が定量可能であるため、好ましい。
本発明の腎癌を検出する方法は、腎癌を治療する方法に適用することができる。
すなわち、本発明により、被験体における腎癌を治療する方法であって、
(i)TFPI2量の測定値が予め設定した基準値を超えるものとして被験体の同定を受ける工程、及び
(ii)TFPI2量の測定値が予め設定した基準値を超えるものとして同定された前記被験体に対して、治療を施す工程を含む、方法が提供される。
前記腎癌を治療する方法の好ましい態様において、前記TFPI2量は、TFPI2プロセシングポリペプチド量及びインタクトTFPI2量の合計である。
また、前記工程(i)の同定において、TFPI2量の測定は、好ましくは、配列番号1のアミノ酸配列の23残基目のアスパラギン酸から131残基目のヒスチジン又は130残基目のシステインまでの領域内の抗原決定基に結合する抗体を用いた抗原抗体反応により行われる。より好ましくは、前記抗体は、TFPI2のクニッツドメイン1を認識する抗体である。
また、前記工程(i)の同定において、TFPI2量の測定は、質量分析法を用いて行われてもよい。
前記工程(ii)の治療としては、外科的切除、薬物療法、放射線療法等が挙げられ、前記薬物としてはチロシンキナーゼ阻害剤、mTOR阻害剤、免疫チェックポイント阻害剤等が挙げられるが特に限定されない。
以下に本発明を具体的に説明するために実施例を示すが、これら実施例は本発明の一例を示すものであり、本発明は実施例に限定されるものではない。
<実施例1> TFPI2測定試薬の調製
特許文献3の方法に従い、DNA免疫法により得られたTFPI2抗体を用いてTFPI2測定試薬を以下の通り調製した。
(1)水不溶性フェライト担体に抗TFPI2モノクローナル抗体(TS-TF04)を100ng/担体になるように室温にて一昼夜物理的に吸着させ、その後1%BSAを含む100mMトリス緩衝液(pH8.0)にて53℃・4時間ブロッキングを行なうことで、抗TFPI2抗体固定化担体を調製した。
(2)抗TFPI2モノクローナル抗体(TS-TF01)をアルカリフォスファターゼ標識キット(同仁化学社製)にて、アルカリフォスファターゼ標識抗TFPI2抗体を調製した。
(3)磁力透過性の容器(容量1.2mL)に、(1)で調製した12個の抗体固定化担体を入れた後、(2)で調製したアルカリフォスファターゼ標識抗体を1μg/mL含む緩衝液(3%BSAを含むトリス緩衝液、pH8.0)100μLを添加し、凍結乾燥を実施することで、TFPI2測定試薬を作製した。なお、作製したTFPI2測定試薬は窒素充填下にて密閉封印シールを施し、測定まで4℃で保管した。
<実施例2> 腎癌含む各種細胞培養上清の評価
正常細胞としてヒト胎児腎由来の293T細胞、腎癌細胞としてCAKI1、ACHN及び786-O細胞を常法に従い37℃で3日間培養し、各種培養上清を回収した後に細胞数を計測した。培地のみと各種培養上清20μLを実施例1で調製したTFPI2測定試薬で評価した。評価用装置は全自動エンザイムイムノアッセイ装置AIA-2000(東ソー社製:製造販売届出番号13B3X90002000009)を用いた。全自動エンザイムイムノアッセイ装置AIA-2000によるTFPI2の測定は、以下の手順で行った。
(1)サンプル20μLと界面活性剤を含む希釈液80μLを、実施例1で作製したTFPI2測定試薬を収容した容器に自動で分注し、
(2)37℃恒温下で10分間の抗原抗体反応を行ない、
(3)B/F分離後、界面活性剤を含む緩衝液にて8回の洗浄を行ない、
(4)4-メチルウンベリフェリルリン酸塩を添加し、
単位時間当たりのアルカリフォスファターゼによる4-メチルウンベリフェロン生成濃度をもって測定値(TFPI2 intensity、nmol/(L・s))とした。
評価結果を図1に示す。TFPI2は293T細胞と比較して3種の腎癌細胞培養上清にて明瞭に高値を示し、腎癌細胞が培養上清中にTFPI2を分泌していることが明らかとなった。
<実施例3>臨床検体の評価
以下の実施例で使用した臨床検体を表1に示す。腎癌血漿21例は横浜市立大学泌尿器科にて同一プロトコルにて収集された検体であり、インフォームドコンセントの承諾及び横浜市立大学倫理委員会の承認を受けて提供された。健常人血漿49例はビジコムジャパン社から購入した。
実施例2記載の方法で臨床検体を測定し、市販TFPI2組み換えタンパク(R&D社)を標準品として検量線を作成し、検体中のTFPI2濃度を算出した。
Figure 0007449530000001
TFPI2測定結果のBoxPlotを図2に示す。TFPI2は健常人と比較して腎癌では統計的有意差を持って高値を示すことが明らかとなった(マン=ホイットニーのU検定、p<0.0001)。
ROC解析結果を図3に示す。曲線下面積(AUC)は0.8552であり、TFPI2は良好な腎癌検出性能を有することが示された。さらに、Youden Index((感度+特異度)-100)に基づいてYouden Index最大値をTFPI2カットオフ値と設定した。TFPI2のカットオフ値を219 pg/mLとした場合、感度85.7%特異度75.5%となり、良好な腎癌検出性能を有することが示された。
<実施例4> 組織学的悪性度とTFPI2の関連
腎癌検体群を組織学的悪性度(グレード:G)で分類し、各群のTFPI2測定値のBoxPlotを図4に示す。TFPI2は低グレードであるグレード2と高グレードである3及び4で有意差は認められなかった。本結果より、TFPI2は組織学的悪性度との関連性はなく、腎癌の初期であってもTFPI2の発現が向上していることが示唆された。
<実施例5> 腫瘍直径とTFPI2の相関解析
腎癌腫瘍直径とTFPI2の相関を解析した結果を図5に示す。TFPI2と腫瘍直径は低い正の相関は認められたものの、統計学的な有意差は認められなかった(スピアマン順位相関係数、r=0.27、p=0.2365)。
<実施例6> 癌転移とTFPI2の関連
腎癌検体群を転移の有無で2群に分類し、各群のTFPI2測定値のBoxPlotを図6に示す。2群間のTFPI2測定値に統計的有意差は認められず(マン=ホイットニーのU検定、p=0.5906)、TFPI2と転移に明瞭な関係性は認められなかった。
<実施例7>日本人健常人におけるTFPI2基準値および参考基準範囲の算出
男性健常人血清102例はインフォームドコンセントの承諾を受けて収集された社内ボランティア検体であり、女性健常人血清120例は横浜市大にてインフォームドコンセントの承諾及び横浜市立大学倫理委員会の承認を受けて提供された。実施例3に記載した方法でTFPI2を測定し、TFPI2の健常人基準値(例として中央値+2SD)およびCLSIガイドラインEP28-A3に従って健常人参考基準範囲を算出した。
TFPI2測定結果のBoxPlotを図7に、健常人から算出した基準値および参考基準範囲を表2に示す。本検討の結果、日本人健常人においてTFPI2測定値に性差はなく、健常人の中央値+2SDから算出したTFPI2の基準値は200pg/mLとなった。
Figure 0007449530000002
<実施例8>臨床検体の評価
腎癌血清52例(淡明細胞癌:40例、乳頭状癌:4例、その他腎癌:8例)は横浜市立大学泌尿器科にて同一プロトコルにて収集された検体であり、インフォームドコンセントの承諾及び横浜市立大学倫理委員会の承認を受けて提供された。
実施例3記載の方法でTFPI2を測定し、実施例7記載の健常人TFPI2測定値を用いて腎癌検出性能を評価した。
図8は、TFPI2測定値をBoxPlotにて示した結果である。TFPI2は腎癌組織型において淡明細胞癌および乳頭状癌で高値傾向を示し、その他に区分した組織型でも一部で高値を示した。
図9は、健常人と腎癌患者を比較した際のROC曲線解析結果である。曲線下面積(AUC)は0.79であり、TFPI2は良好な腎癌検出性能を有することが示された。Youden Index((感度+特異度)-100)に基づいて、Youden Index最大値である189pg/mLを基準値とした場合、腎がん患者と健常人との識別性能は、感度59.6%、特異度94.6%であった。
以上の結果より、実施例3に示す血漿と同様に、血清においてもTFPI2は適した基準値を設定することで、良好な腎癌検出性能を有することが示された。
本発明により、簡便かつ患者負担が比較的少ない血液検査で腎癌患者を検出する方法が提供される。これは、有効な腫瘍マーカーが存在せず画像診断に依存している腎癌診療への貢献が期待され、産業上非常に有用である。

Claims (7)

  1. 検体において、TFPI2量を測定することを含む、腎癌を検出する方法であって、
    前記検体が血液成分である、方法。
  2. 前記TFPI2量の測定値が、予め設定した基準値を超えた場合に、腎癌が検出されたとする、請求項1に記載の方法。
  3. 前記TFPI2量が、TFPI2プロセシングポリペプチド量及びインタクトTFPI2量の合計である、請求項1又は請求項2に記載の方法。
  4. 前記TFPI2量の測定が、配列番号1のアミノ酸配列の23残基目のアスパラギン酸から131残基目のヒスチジン又は130残基目のシステインまでの領域内の抗原決定基に結合する抗体を用いた抗原抗体反応により行われるものである、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記抗体が、TFPI2のクニッツドメイン1を認識する抗体である、請求項4に記載の方法。
  6. 質量分析法を用いて測定を行う、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
  7. 配列番号1に示すアミノ酸配列の23残基目のアスパラギン酸から131残基目のヒスチジン又は130残基目のシステインまでの領域内の抗原決定基に結合する抗体を含み、
    血液成分に対して用いられる、腎癌を検出するための試薬。
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