JP7444704B2 - 伝熱部材および伝熱部材を有する冷却デバイス - Google Patents

伝熱部材および伝熱部材を有する冷却デバイス Download PDF

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Description

本発明は、例えば、ベーパーチャンバ、ヒートパイプ、沸騰冷却装置のような冷却デバイスに用いるのに好適な伝熱部材、および冷却デバイスに関する。
近年の電子機器の高機能化に伴い、電子機器内部には、電気・電子部品等の発熱体(以下、単に「発熱体」という場合がある。)が高密度に搭載され、また、発熱体の発熱量が増大化する傾向がある。発熱体の温度が、所定の許容温度を超えて上昇すると、発熱体が誤作動等を起こす原因となることから、発熱体の温度は、常に許容温度以下に維持し続けることが必要である。そのため、電子機器内部には、通常、発熱体を冷却するための冷却デバイスが搭載されている。このような冷却デバイスとしては、例えば、作動流体を液相から気相に相変化させることによる潜熱(気化熱)を利用した、ベーパーチャンバ、ヒートパイプ、沸騰冷却装置などの冷却デバイスが知られている。
電子機器を構成する電気・電子部品等の発熱体では、上述したように発熱量が増大化する傾向があることから、冷却デバイスの冷却性能をさらに向上させることが要求されている。ここで、冷却デバイスの冷却性能を向上させるには、作動流体の液相から気相への相変化を円滑にすることが有用である。
作動流体の流動を円滑にするための手段として、例えば、特許文献1には、管状の密閉容器の蒸発部に形成した溝ウイックの溝壁面に固着された金属粉末からなる溝内金属粉末層によって構成され、溝内金属粉末層は溝壁面からの厚さが所定厚さで前記溝ウイックの形状に沿った形状に形成されたヒートパイプが開示されている。
特許第5759606号公報
特許文献1のヒートパイプは、溝ウイック内で溝内金属粉末層が溝ウイックを埋めないように構成されるので、溝ウイックによる還流特性を発揮できるとともに、金属粉末層が蒸発部内に設けられていることにより、還流された作動液が蒸発部内で拡散しやすくなり、蒸発面積が増大して蒸発性能を向上させることができ、さらに、金属粉末層が薄く形成されているので、蒸発部での熱抵抗が増大することを抑制でき、ヒートパイプ全体としての熱輸送性能を向上させることができるとしている。
しかしながら、特許文献1のヒートパイプは、溝ウイックを形成している部分が金属バルク材で構成され、一方、溝内金属粉末層が多孔質材料で構成されていることで、溝ウイックと溝内金属粉末層には、密度(空隙率)に大きな差があるため、溝ウイックの溝壁面と溝内金属粉末層との境界位置で、ステップ状の大きな密度(空隙率)の差が生じ、熱抵抗が大きくなって、作動流体の液相から気相への相変化が円滑に行うことができず、その結果、冷却デバイス全体としての熱輸送性能を十分に向上させることができないという問題がある。
本発明の目的は、作動流体を液相から気相に相変化させた際の作動流体の流れを適切に調整することで、熱輸送性能を高めることを可能にした伝熱部材と、この伝熱部材を有することで冷却効率を向上させた冷却デバイスを提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の要旨構成は、以下のとおりである。
(1)内部空間に作動流体を有する容器の内面であって、前記容器の外面と発熱体が熱的に接続可能に配置され、前記作動流体を加熱・沸騰させることが可能な伝熱部材において、前記伝熱部材は、前記発熱体に熱的に接続可能に配置される下面を有する板状部と、前記板状部の上面から上方に向かって突出する少なくとも1つの凸状部とを有し、凸状部は、多孔質材料からなり、前記凸状部の突出方向を含む平面で切断したときの少なくとも一つの断面で見て、前記板状部の上面に配置される内側部分と、前記内側部分の周りを覆う外側部分とで構成され、かつ、前記外側部分における平均空隙率は、前記内側部分における平均空隙率よりも高い、伝熱部材。
(2)前記凸状部は、前記内側部分における平均空隙率が1%以上50%以下の範囲であり、前記外側部分における平均空隙率が20%以上80%以下の範囲である、上記(1)に記載の伝熱部材。
(3)前記凸状部は、
前記凸状部の突出方向を含む平面で切断したときの少なくとも一つの断面で見て、
前記内側部分から前記外側部分の表面に向かうにつれて、平均空隙率が増加するように構成される、上記(1)または(2)に記載の伝熱部材。
(4)前記凸状部の表面における算術平均粗さRaは、0.1μm以上100μm以下の範囲である、上記(1)~(3)のいずれか1項に記載の伝熱部材。
(5)前記凸状部は、前記板状部の上面に、0.1mm以上10mm以下の範囲の間隔をおいて配置された複数のフィン状部分として構成される、上記(1)~(4)のいずれか1項に記載の伝熱部材。
(6)前記凸状部は、前記板状部の上面に、0.1mm以上10mm以下の範囲の間隔をおいて平行に並列配置された複数のフィン状部分として構成される、上記(1)~(5)のいずれか1項に記載の伝熱部材。
(7)前記多孔質材料は、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン、チタン合金、鉄および鉄合金からなる群から選択される1種以上によって構成される、上記(1)~(6)のいずれか1項に記載の伝熱部材。
(8)前記多孔質材料は、粉末状、繊維状、小片状またはフレーク状の金属または合金を含んで焼結された焼結体で構成される、上記(1)~(7)のいずれか1項に記載の伝熱部材。
(9)前記少なくとも1つの凸状部は、前記板状部の上面に整列させて配置した複数の凸状部であり、前記複数の凸状部の上端面に、熱的に接続される伝熱補助材をさらに備える、上記(1)~(8)のいずれか1項に記載の伝熱部材。
(10)前記伝熱補助材の上面に熱的に接続された多孔質材料からなる第2凸状部をさらに備える、上記(9)に記載の伝熱部材。
(11)前記発熱体からの熱を液相の作動流体に伝え、前記液相の作動流体を蒸発させて気相の作動流体に相変化させる蒸発部として、上記(1)~(10)のいずれか1項に記載の伝熱部材を備える、冷却デバイス。
(12)前記容器は、端部で密封された2枚の金属シートによって前記内部空間が構成され、ベーパーチャンバとして用いられる、上記(11)に記載の冷却デバイス。
(13)前記容器は、端部で密封されている管状容器によって前記内部空間が構成され、ヒートパイプとして用いられる、上記(11)に記載の冷却デバイス。
(14)前記容器は、前記内部空間の上部位置にて、前記容器を貫通するように延在し、かつ内部を冷媒が流通する凝縮管をさらに備え、沸騰冷却装置として用いられる、上記(11)に記載の冷却デバイス。
本発明によれば、作動流体を液相から気相に相変化させた際の作動流体の流れを適切に調整することで、熱輸送性能を高めることを可能にした伝熱部材と、この伝熱部材を有することで冷却効率を向上させた冷却デバイスを提供することが可能になる。
図1は、本発明に従う一の実施形態の伝熱部材を有する冷却デバイスの内部を透視して示す斜視図である。 図2は、図1の冷却デバイスを構成する伝熱部材を拡大して示した図であって、図2(a)が斜視図、図2(b)が図2(a)の仮想平面Mで切断したときの断面図である。 図3は、図2に示す凸状部の周辺で生じる作動流体の流れを説明するための図である。 図4(a)~(e)は、伝熱部材における凸状部の種々の変形例を示す断面図である。 図5は、他の実施形態の伝熱部材を示す斜視図である。 図6(a)、(b)は、他の実施形態の伝熱部材を示す断面図である。 図7(a)、(b)は、他の実施形態の伝熱部材を示す断面図である。 図8は、他の実施形態の伝熱部材を有するベーパーチャンバの内部構造を示した図であって、図8(a)が平面透視図、図8(b)が図8(a)のA-A線上の断面図、図8(c)が図8(a)のB-B線上の断面図である。 図9は、他の実施形態の伝熱部材を有するヒートパイプの内部構造を示した図であって、図9(a)が縦断面図、図9(b)が図9(a)のC-C線上の断面図、図9(c)が図9(a)のD-D線上の断面図である。
次に、本発明のいくつかの実施形態の伝熱部材について、以下で説明する。
(伝熱部材)
図1は、本発明に従う一の実施形態の伝熱部材を有する冷却デバイスの内部を透視して示す斜視図である。図2は、図1の冷却デバイスを構成する伝熱部材を拡大して示した図であって、図2(a)が斜視図、図2(b)が図2(a)の仮想平面Mで切断したときの断面図である。図3は、図2に示す凸状部の周辺で生じる作動流体の流れを説明するための図である。
本発明に従う伝熱部材10は、図1に記載されるように、内部空間Sに作動流体F1を有する容器2の内面2aであって、容器2の外面2bと発熱体4とが熱的に接続可能に配置され、液相の作動流体F1(L)を加熱・沸騰させることが可能な伝熱部材10である。この伝熱部材10は、図2(a)、(b)に示すように、発熱体4に熱的に接続可能に配置される下面11bを有する板状部11と、板状部11の上面11aから上方に向かって突出する少なくとも1つの凸状部12とを有する。さらに、凸状部12は、多孔質材料からなり、凸状部12の突出方向を含む平面Mで切断したときの少なくとも一つの断面で見て、図2(b)に示すように、板状部11の上面11aに配置される内側部分12aと、内側部分12aの周りを覆う外側部分12bとで構成され、かつ、外側部分12bにおける平均空隙率は、内側部分12aにおける平均空隙率よりも高くなるように構成される。
これにより、図3に記載されるように、液相の作動流体F1(L)が凸状部12の外側部分12bから内側部分12aに向けて流れ、それとともに、発熱体4から凸状部12に伝わる熱によって、作動流体F1(L)が液相から気相に相変化して気相の作動流体F1(g)が生成して外部に向かって流れる。このとき、平均空隙率の高い外側部分12bが平均空隙率の低い内側部分12aの周りを覆うように構成されることで、凸状部12で生成した気相の作動流体F1(g)が、外側部分12bを構成している多孔質材料に一時的に保持されて気泡が成長し、上向きに流れるようになるため、内側部分12aに向けて流れる液相の作動流体F1(L)との衝突が起こり難くなる。その結果、気相の作動流体F1(g)と液相の作動流体F1(L)の衝突による作動流体F1の還流の阻害が起こり難くなるため、伝熱部材10の熱輸送性能を高めることができる。
伝熱部材10は、発熱体からの熱を、容器2の内部空間Sに封入された液相の作動流体F1(L)に伝え、液相の作動流体F1(L)を蒸発させて気相の作動流体に相変化させる蒸発部として作用するものであり、例えばベーパーチャンバやヒートパイプ、沸騰冷却装置などの冷却デバイスや、熱交換器のような種々の伝熱装置に用いることができる。なお、図1に示す伝熱部材10は、冷却デバイス1である沸騰冷却装置に装着して用いた場合を示している。
ここで、伝熱部材10は、内部空間Sに作動流体F1を有する容器2の内面2aであって、容器2の外面2bと発熱体4が熱的に接続可能に配置され、液相の作動流体F1(L)を加熱および沸騰させることができるように構成される。より具体的には、作動流体F1が封入された内部空間Sを有する容器2の内面2aであって、外面2bに熱的に接続される少なくとも1つの発熱体4(図1では図示せず)の取付位置Pに対応する位置に形成されており、発熱体4からの熱を、容器2の内部空間Sの下部に封入された液相の作動流体F1(L)に伝えることで液相の作動流体F1(L)を加熱および沸騰させ、作動流体F1を液相から気相に相変化させる。なお、作動流体F1は、容器2の内部空間Sでは、液相状態と気相状態に相変化して存在することから、以下では、説明の便宜上、液相の作動流体をF1(L)、気相の作動流体をF1(g)と区別した符号を付す場合がある。
伝熱部材10が設けられている容器2の内部空間Sは、外部環境に対して密閉された空間であり、脱気処理により減圧されている。これにより、容器2からの液相の作動流体F1(L)や気相の作動流体F1(g)の漏洩を防ぐとともに、内部空間Sの圧力を調整して、所望の動作温度で動作するように構成されている。
本発明の伝熱部材10は、板状部11と、凸状部12とで主として構成されている。
(板状部)
板状部11は、図1に示すように、発熱体4に熱的に接続可能に配置される下面10bを有する。より具体的に、板状部11は、図1に示すように、容器2を介して発熱体4に熱的に接続されていてもよい。また、板状部11は、容器2の少なくとも一部を構成して発熱体4に熱的に接続されていてもよい。
ここで、板状部11の平面形状は、特に限定する必要はなく、図1に示すような矩形状の他、円形、三角形、多角形などの種々の形状が挙げられ、特に容器2の形状や、発熱体の取付位置Pに取り付けられた発熱体の接触面の形状に対応させた形状にすることが好ましい。
板状部11を構成する材料としては、特に限定されず、例えば熱伝導性材料を挙げることができる。特に、高い熱伝導性を得る観点では、板状部11は、金属または合金によって構成されることが好ましく、その一例として、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン、チタン合金、鉄、鉄合金(例えばステンレス鋼)などを挙げることができる。
(凸状部)
凸状部12は、板状部11の上面11aから上方に向かって突出するように構成される。凸状部12は、板状部11の上面11aに熱的に接続されることが好ましい。ここで、凸状部12は、図2(a)に示すように、凸状部12の突出方向を含む平面Mで切断したときの少なくとも一つの断面で見て、板状部11の上面11aに配置される内側部分12aと、内側部分12aの周りを覆う外側部分12bとで構成される。このとき、凸状部12の内側部分12aは、板状部11の上面11aの少なくとも一部に熱的に接続されることが好ましい。
また、凸状部12は、多孔質材料によって構成され、かつ、外側部分12bにおける平均空隙率が、内側部分12aにおける平均空隙率よりも高くなるように構成される。これにより、凸状部12を構成する内側部分12aと外側部分12bとの間に明確な境目が存在しないようになる結果として、液相の作動流体F1(L)が、凸状部12の外側部分12bから内側部分12aに向けて流れ易くなり、作動流体F1(L)の液相から気相への相変化は、内側部分12aの近傍で進められ易くなる。
本発明の伝熱部材10では、液相の作動流体F1(L)が、図3に示すように、凸状部12の外側部分12bから内側部分12aに向けて流れ、その流れの中で発熱体4から伝わる熱によって加熱されて、気相の作動流体F1(g)が生成する。このとき、平均空隙率の高い外側部分12bが平均空隙率の低い内側部分12aの周りを覆うように構成されることで、凸状部12で生成した気相の作動流体F1(g)が、外側部分12bを構成している多孔質材料に一時的に保持されて気泡が成長し、上向きに流れるようになるため、内側部分12aに向けて流れる液相の作動流体F1(L)と異なる方向に進み易くなる。そのため、気相の作動流体F1(g)と液相の作動流体F1(L)の衝突による、作動流体F1の還流の阻害が起こり難くなる。また、凸状部12への作動流体F1の出入りは、凸状部12の異なる位置から進められるようになるため、低温の液相の作動流体F1(L)による、気相の作動流体F1(g)の液相への相変化を起こり難くすることもできる。その結果、伝熱部材10の熱輸送性能を高めることができる。
ここで、凸状部12は、内側部分12aにおける平均空隙率が、1%以上50%以下の範囲であることが好ましく、10%以上40%以下の範囲であることがより好ましい。特に、内側部分12aにおける平均空隙率を10%以上30%以下の範囲にすることで、板状部11から熱を伝わりやすくして、液相から気相への相変化を効率的に進めることができる。
また、凸状部12は、外側部分12bにおける平均空隙率が、20%以上80%以下の範囲であることが好ましく、30%以上70%以下の範囲であることがより好ましい。特に、内側部分12bにおける平均空隙率を40%以上60%以下の範囲にすることで、凸状部12の破損を起こり難くし、かつ、気相の作動流体F1(g)を一時的に保持しやすくすることができる。
また、凸状部12は、凸状部12の突出方向を含む平面Mで切断したときの少なくとも一つの断面で見て、例えば図2(b)に示すように、内側部分12aから外側部分12bの表面に向かうにつれて、平均空隙率が増加するように構成されることが好ましい。より具体的には、内側部分12aから外側部分12bの表面に向かうにつれて、平均空隙率が連続的に増加し、または断続的に増加することが好ましい。これにより、作動流体F1(L)が液相から気相に相変化する場所が特定されずに分散されるため、液相から気相への相変化を、効率的に進めることができる。また、内側部分12aから外側部分12bの表面に向かうほど、液相の作動流体F1(L)や気相の作動流体F1(g)が流通できるスペースが広がるため、気相の作動流体F1(g)と液相の作動流体F1(L)の衝突による、作動流体F1の還流の阻害を、より一層起こり難くすることができる。なお、平均空隙率の測定方法は、凸状部12の断面を光学顕微鏡あるいは電子顕微鏡で5枚以上撮影した写真を目視で確認し、内側部分12aあるいは外側部分12bにおける空隙(すき間)の面積の割合(単位面積当たりのすき間の面積)を写真1枚ごとに5カ所測定し、それらの平均の値を用いることとする。
凸状部12の表面における算術平均粗さRaは、0.1μm以上100μm以下の範囲であることが好ましい。凸状部12の表面の算術平均粗さRaがこの範囲にあることで、液相の作動流体F1(L)が凸状部12の内部に入りやすくなり、かつ気相の作動流体F1(g)が外部に排出されやすくなる。
凸状部12の材料である多孔質材料としては、特に限定されず、例えば熱伝導性材料の粉末の焼結体を挙げることができる。特に、高い熱伝導性を得る観点では、凸状部12は、金属または合金によって構成されることが好ましく、その一例として、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン、チタン合金、鉄および鉄合金(例えばステンレス鋼)からなる群から選択される1種以上を挙げることができる。
また、多孔質材料としては、粉末状、繊維状、小片状またはフレーク状の金属または合金を含んで焼結された焼結体で構成されることが好ましい。これにより、多孔質材料の内部に、液相の作動流体F1(L)や気相の作動流体F1(g)が流通できるスペースが得られやすくなる。
なお、図2(b)における内側部分12aと外側部分12bは、空隙率が外側部分に向かって漸減する場合などに、明確な区別がつかない場合があるが、説明の便宜上、これらを区別して示している。
このような板状部11および凸状部12を備えた伝熱部材10を製造する方法としては、特に限定されず、例えば板状部11となる板材の上に、凸状部12となる焼結体を形成しうる方法を広く用いることができる。その中でも、より少ない工数で板材の上に焼結体を形成できる観点では、板状部11となる板材の上に、粉末状、繊維状、小片状またはフレーク状の金属または合金を供給して材料の層を形成し、レーザ加工によって材料の層を局所的に加熱して、焼結体を形成させることが好ましい。特にレーザ加工によることで、レーザによって照射されるエネルギー密度の濃淡によって、得られる焼結体の空隙率を局所的に調整することができるとともに、板材に凸状部12を焼結させることもできるため、内側部分12aでの平均空隙率が低く、外側部分12bでの平均空隙率が高くなるような焼結体を、板状部11の上に容易に形成することができる。
(容器)
本実施形態では、容器2は、内部空間Sの上部位置にて、容器2を貫通孔31で貫通するように延在し、かつ冷媒が流通する凝縮管30をさらに備えており、冷却デバイス1が沸騰冷却装置として用いられる。すなわち、本実施形態の伝熱部材10は、冷却デバイス1である沸騰冷却装置に設けられる。
ここで、容器2は、底部21にある外面2bに、少なくとも1つの発熱体4が熱的に接続される。また、容器2の底部21の内面2aには、上述の伝熱部材10が固着される。容器2の内部空間Sの下部には、液相の作動流体F1(L)が封入されており、伝熱部材10は、全体が液相の作動流体F1(L)の中にあるように設けられる。
容器2の内部空間Sの上部位置には、容器2を貫通して容器2の内外にわたって延在するように凝縮管30が配設され、凝縮管30の内部を、他の作動流体F2が流通するように構成してもよい。凝縮管30は、気相の作動流体F1(g)から熱を吸収する、作動流体Fと異なる他の作動流体F2を流通し、気相の作動流体F1(g)を凝縮させて液相の作動流体F1(L)に相変化させるために設けられる部材である。凝縮管30は、冷却効率を高めるため、凝縮管30の外面に、凹凸等の表面積を増大させる部位を形成してもよいが、外面が平滑面であってもよい。また、凝縮管30の内面にも、凹凸等の表面積を増大させる部位を形成してもよいが、内面が平滑面であってもよい。
図1では、冷却デバイス1である沸騰冷却装置として、複数の凝縮管30、30を設けた場合を示しているが、これに限定されない。例えば、沸騰冷却装置は、凝縮管30の代わりに、冷却フィン(図示せず)などの冷却機構を有してもよい。
凝縮管30には、液相の他の作動流体F2が凝縮管30の延在方向に沿って一方向(図1では、右から左に向かう方向)に流通している。従って、他の作動流体F2は、凝縮管30の壁面を介して、容器2の内部空間Sの上部位置を貫通するように流通する。他の作動流体F2は、例えば、発熱体の許容最高温度よりも低温の液温まで冷却されている。
容器2や凝縮管30の材料としては、特に限定されず、広汎な材料が使用でき、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ニッケル合金、鉄、鉄合金、チタン、チタン合金等を挙げることができる。
作動流体F1としては、特に限定されず、広汎な材料が使用でき、例えば、電気絶縁性の冷媒を挙げることができる。具体例としては、例えば、水、フルオロカーボン類、シクロペンタン、エチレングリコール、およびこれらの混合物などを挙げることができる。これらの作動流体F1のうち、電気絶縁性の点から、フルオロカーボン類、シクロペンタン、エチレングリコールが好ましく、フルオロカーボン類が特に好ましい。
他の作動流体F2としても、特に限定されず、例えば、水、不凍液(主成分として、例えばエチレングリコールを含む。)などを挙げることができる。
(沸騰冷却装置の動作原理)
本実施形態の伝熱部材10が設けられる沸騰冷却装置では、発熱体4が発熱すると、容器2の底部21を通じて伝熱部材10に熱が伝達される。特に、伝熱部材10の中では、板状部11から凸状部12に熱が伝わる。凸状部12では、液相の作動流体F1(L)が、外側部分12bから内側部分12aに向けて流れ込み、その流れの中で液相の作動流体F1(L)が加熱されて気相の作動流体F1(g)に相変化することで、発熱体からの熱を潜熱として吸収する。このとき、気相へ相変化した作動流体F1(g)は、容器2の内部空間Sを上方へ移動し、凝縮管30などの冷却機構と熱的に接触する。例えば、冷却機構として凝縮管30を用いる場合、凝縮管30の内部には、低温の他の作動流体F2が流通している。このため、気相に相変化した作動流体F1(g)は、伝熱部材10の外部に気泡となって流れ、その気泡が凝縮管30の外面に接触または接近することで、凝縮管30の熱交換作用により、潜熱を放出し、気相から液相へ相変化する。気相から液相への相変化の際に、気相の作動流体F1(g)から放出される潜熱が、凝縮管30を流通する他の作動流体F2へ伝達される。また、冷却機構として冷却フィン(図示せず)などを用いる場合も、気相の作動流体F1(g)から放出される潜熱が、冷却機構に伝達される。それにより、液相へ相変化した作動流体F1(L)は、重力の作用により、容器2の内部空間Sを上部から下部へと還流する。作動流体F1は、容器2の密閉された内部空間Sにて、液相から気相への相変化と、気相から液相への相変化を繰り返す。そして、気相の作動流体F1(g)から熱を受けた他の作動流体F2は、凝縮管30の延在方向に沿って冷却デバイス1の内部から外部へ流通することで、発熱体4の熱が冷却デバイス1である沸騰冷却装置の外部へ輸送される。
(伝熱部材の構造に関する他の実施形態)
上述の実施形態では、図2(b)に示すように、凸状部12の幅が、板状部11から上方に向かうにつれて小さくなる構成を示したが、かかる構成だけには限定されない。例えば、図4(a)に示される伝熱部材10Aのように、凸状部12Aの幅が、板状部11から上方に向かうにつれて大きくなるように構成されていてもよい。また、図4(b)に示される伝熱部材10Bのように、凸状部12Bの幅が、板状部11からの高さによらず同じ寸法になるように構成されていてもよい。
また、図4(c)に示される伝熱部材10Cのように、凸状部12Cの幅が板状部11から上方に向かうにつれて大きくなるように構成された第1多孔材121と、凸状部12Cの幅が板状部11から上方に向かうにつれて小さくなるように構成された第2多孔材122とを有する凸状部12Cを備えてもよい。
なお、図4(c)は、第1多孔材121と第2多孔材122を、間隔をおいて配置した構成を示したが、図4(d)に示すように、第1多孔材121と第2多孔材122を、間隔をおかずに接触させて配置した構成にしてもよい。このとき、伝熱部材10Dの凸状部12Dは、外側部分12bの中に複数の内側部分12aを備える構造を有する。また、図3(e)に示される伝熱部材10Eのように、板状部11の厚さ方向(図3のY方向)に複数の凸状部、図3(e)では2つの凸状部の積層体として、凸状部12Eを構成してもよい。
本発明の伝熱部材は、図5に示される伝熱部材10Fのように、凸状部12Fが、板状部11の上面11aに、0.1mm以上10mm以下の範囲の間隔vをおいて配置された、複数のフィン状部分として構成されることも好ましい。より好ましくは、凸状部12Fが、板状部11の上面11aに、0.1mm以上10mm以下の範囲の間隔vをおいて平行に並列配置された、複数のフィン状部分として構成される。これにより、複数のフィン状部分である凸状部12Fの間に、凸状部12Fに沿った液体の作動流体F1(L)の流れが形成されるため、凸状部12の内部に効率よく液体の作動流体F1(L)を供給することができる。
図5の実施形態に従う伝熱部材10Fでは、板状部11に配置される凸状部12Fの、凸状部12Fの幅方向(図2のX方向)に沿った間隔vが、0.1mm以上10mm以下の範囲であることが好ましく、1mm以上5mm以下の範囲であることがより好ましい。これにより、より多くの凸状部12Fに沿って液体の作動流体F1(L)の流れを形成することができるため、作動流体F1の液相から気相への相変化をより効率的に進めることができる。
図5に示す伝熱部材10Fでは、板状部11に配置される凸状部12Fの厚さは、特に限定されるものではないが、特に、作動流体F1の液相から気相への相変化をより効率的に進める観点では、0.1mm以上10mm以下の範囲であることが好ましく、0.5mm以上5mm以下の範囲であることがより好ましい。
本発明の伝熱部材は、複数の凸状部12が板状部11の上面11aに整列して配置されるとき、図6(a)に示される伝熱部材10Gのように、凸状部12の上端面12cに熱的に接続され、より好ましくは接合された、伝熱補助材13をさらに備えることも好ましい。この伝熱補助材13には、凸状部12に繋がる貫通孔14を備えることが好ましい。このような貫通孔14を備えた伝熱補助材13を設けることで、液相から気相に相変化した作動流体F1を、伝熱補助材13の下面で一時的に保持し、これを核としてより大きな気泡に成長させて貫通孔14から外部に出すことで、いわゆる核沸騰が促進される。そのため、作動流体F1を液相から気相に相変化させた際の潜熱の受け渡し効率を高められて、伝熱部材10Gの熱輸送性能をより一層向上させることができる。
ここで、伝熱補助材13に設けられる貫通孔14の大きさは、作動流体F1の核沸騰を促進させる観点から、直径0.05mm以上2mm以下の範囲であることが好ましい。また、伝熱補助材13の上面13aの面積に対する、貫通孔14の総面積の割合は、伝熱補助材13の下面に気相の作動流体F1(g)が保持される時間を適切な範囲にする観点から、例えば0.1%以上25%以下の範囲であることが好ましい。
なお、図6(a)に示す実施形態では、伝熱補助材13が平板からなる構成を示したが、かかる構成だけには限定されない。例えば、図6(b)に示す伝熱部材10Hのように、伝熱補助材13Hが、単数または複数の伝熱フィン13’を備えていてもよい。
本発明の伝熱部材は、図7(a)に示される伝熱部材10Iのように、伝熱補助材13の上面13aに熱的に接続された、多孔質材料からなる第2凸状部15をさらに備えてもよい。これにより、伝熱部材10Iの高さ方向に沿って、液体の作動流体F1(L)が気相の作動流体F1(g)に相変化する沸騰する領域が広げられるため、作動流体F1の液相から気相への相変化をより効率的に進めることができる。
図7(a)に示す実施形態では、伝熱補助材13が貫通孔14を有する構成を示したが、かかる構成だけには限定されない。例えば、図7(b)に示される伝熱部材10Jのように、伝熱補助材13Jが貫通孔を有しなくてもよい。
(ベーパーチャンバの用途に関する他の実施形態)
本発明の伝熱部材は、図8に示すように、ベーパーチャンバに用いられることも好ましい。
図8は、他の実施形態の伝熱部材を有するベーパーチャンバの内部構造を示した図であって、図8(a)が平面透視図、図8(b)が図8(a)のA-A線上の断面図、図8(c)が図8(a)のB-B線上の断面図である。なお、以下の説明において、上記実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付してその説明を省略または簡略にし、主に相違点について説明する。
図8に示す実施形態では、冷却デバイス1Kであるベーパーチャンバに用いられる容器2Kは、端部Tで密封されている2枚の金属シートによって内部空間Sが構成される。
ここで、2枚の金属シートは、一方が伝熱部材10Kを、他方が蓋体18をそれぞれ構成し、伝熱部材10Kの端部Tと蓋体18の端部Tとが、容器2Kの端部Tで密封されるように構成される。伝熱部材10Kと蓋体18は、同じ構造を有していてもよい。これらが同じ構造を有する場合、伝熱部材10Kと蓋体18のうち、下側にあるものが伝熱部材10Kとなり、上側にあるものが蓋体18となる。
また、冷却デバイス1Kが設けられている容器2Kの内部空間Sは、外部環境に対して密閉された空間であり、脱気処理により減圧されている。これにより、容器2Kからの液相の作動流体F(L)や気相の作動流体F(g)の漏洩を防ぐとともに、内部空間Sの圧力を調整して、所望の動作温度で動作するように構成されている。
容器2Kの平面形状は、特に限定する必要はなく、図8に示すような矩形状の他、円形、三角形、多角形などの種々の形状が挙げられ、特にベーパーチャンバが取り付けられる部分の形状に対応させた形状にすることが好ましい。容器2Kの厚さは、特に限定されないが、例えば0.3mm以上10mm以下の範囲であることが好ましい。
ベーパーチャンバとして用いられる容器2Kには、発熱体4からの熱を液相の作動流体F(L)に伝え、液相の作動流体F(L)を蒸発させて気相の作動流体F(g)に相変化させる蒸発部5と、気相の作動流体F(g)を凝縮させて液相の作動流体F(L)に相変化させる凝縮部6とを設ける。
このうち、蒸発部5は、容器2Kのうち、発熱体4の取付位置Pに対応する位置に形成され、例えば図8の冷却デバイス1Kでは、容器2Kの一端側部分に形成されている。蒸発部5は、熱的に接続された発熱体4から受熱(吸熱)する機能を有している。具体的には、発熱体4からの熱を、容器2の内部空間Sに封入された液相の作動流体F(L)に伝えることで液相の作動流体F(L)を加熱および蒸発させて、気相の作動流体F(g)に相変化させることで、蒸発潜熱として発熱体4から受けた熱を吸収する。
また、凝縮部6は、蒸発部5から離隔した位置に配設されており、例えば図8の冷却デバイス1Kでは、容器2Kの他端側部分に配設される。この凝縮部6は、蒸発部5で相変化して輸送されてきた気相の作動流体F1(g)を放熱する機能を有している。具体的には、凝縮部6は、気相の作動流体F1(g)を凝縮させて液相の作動流体F1(L)に相変化させ、それにより凝縮潜熱として輸送された作動流体F1(g)の熱を容器2Kの外部に放出する。
ここで、蒸発部5から凝縮部6への気相の作動流体F1(g)の輸送は、例えば図8(a)、(c)に示される、流体流路16の主に上側で行われる。他方で、凝縮部6から蒸発部5への液相の作動流体F1(L)の輸送は、流体流路16の主に下側で行われる。これにより、蒸発部5と凝縮部6の間の作動流体F1の循環流れを形成することができる。
伝熱部材10Kは、図8(a)、(b)に示すように、少なくとも蒸発部5に、上述の凸状部12を設けることが好ましい。これにより、凸状部12の内部で作動流体F1を液相から気相に相変化させる際に、凸状部12で生成する気相の作動流体F1(g)が、液相と比べて軽量であることで上向きに流れるようになるため、内側部分12aに向けて流れる液相の作動流体F1(L)と異なる方向に進み易くなる。例えば、液相の作動流体F1(L)が凸状部12の下側から供給されるとき、気相の作動流体F1(g)を凸状部12の上側に容易に流すことができる。その結果、気相の作動流体F1(g)と液相の作動流体F1(L)の衝突による、作動流体F1の還流の阻害が起こり難くなるため、伝熱部材10Kの熱輸送性能を高めることができる。
(ベーパーチャンバの動作原理)
冷却デバイス1Kであるベーパーチャンバは、動作前に液相の作動流体F(L)が内部空間Sに封入され、蒸発部5に供給される。このとき、作動流体F1(L)の蒸発部5への供給手段は、特に限定されない。例えば、流体流路16の幅を毛細管力が生じる大きさにし、かつ流体流路16を蒸発部5の凸状部12に隣接するように構成することができる。このとき、流体流路16が作動流体F1(L)に接触するときに生じる毛細管力によって、液相の作動流体F1(L)が蒸発部5の凸状部12に供給されるため、蒸発部5が凝縮部6よりも高い位置にあっても、ドライアウトの発生を起こり難くすることができる。
発熱体4が発熱して蒸発部5の温度が上昇すると、発熱体4の熱が容器2Kに伝達され、容器2Kのうち発熱体4の近傍にある蒸発部5に熱が伝達される。蒸発部5では、特に凸状部12の内部で、液相の作動流体F(L)が加熱されて温度が上昇し、液相の作動流体F(L)から気相の作動流体F(g)に相変化することで、気相の作動流体F(g)が内部空間Sに放出される。また、液相の作動流体F(L)から気相の作動流体F(g)への相変化によって、発熱体4からの熱が蒸発潜熱として気相の作動流体F(g)に吸収される。
蒸発部5で熱を吸収した気相の作動流体F(g)は、容器2Kの内部空間Sを通って凝縮部6へ流れ、それにより、発熱体4から受けた熱が、蒸発部5から流体流路16を通って凝縮部6へと輸送される。
その後、凝縮部6へ輸送された気相の作動流体F(g)は、凝縮部6にて、熱交換手段(図示せず)によって、液相へ相変化させられる。このとき、輸送されてきた発熱体の熱は、凝縮潜熱としてベーパーチャンバの外部に放出される。他方で、凝縮部6で熱を放出して液相に相変化した液相の作動流体F(L)は、流体流路16を通って凝縮部6から蒸発部5に流れることで、蒸発部5と凝縮部6の間の作動流体Fの循環流れを形成することができる。
(ヒートパイプの用途に関する他の実施形態)
本発明の伝熱部材は、図9に示すように、ヒートパイプに用いられることも好ましい。
図9は、他の実施形態の伝熱部材を有するヒートパイプの内部構造を示した図であって、図9(a)が縦断面図、図9(b)が図9(a)のC-C線上の断面図、図9(c)が図9(a)のD-D線上の断面図である。なお、以下の説明において、上記実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付してその説明を省略または簡略にし、主に相違点について説明する。
図9に示す実施形態において、冷却デバイス1Lは、容器2Lが、端部T、Tで密封されている管状容器によって内部空間Sが構成され、ヒートパイプとして用いられる。ここで、冷却デバイス1Lが設けられている容器2Lの内部空間Sは、外部環境に対して密閉された空間であり、脱気処理により減圧されている。本実施形態の冷却デバイス1Lであるヒートパイプは、ベーパーチャンバと同様の動作原理によって動作するものであるが、容器2Lが管状容器であり、それにより相対的に広い内部空間Sを有する点で、ベーパーチャンバの容器と異なる。
ここで、容器2Lの長手方向(図9のX方向)についての延在形状は、図9(a)に示す直線状の他、曲部を有する形状などが挙げられ、特に限定されない。容器2Lの長手方向Lに対して直交方向に切断したときの外面輪郭形状は、図9(c)に示す略円形状の他、扁平形状、四角形などの多角形状などが挙げられ、特に限定されない。容器2Lの外径寸法は、特に限定されないが、例えば、容器2Lが略円形状の外面輪郭形状である場合には、5mm以上20mm以下の範囲であることが好ましい。
容器2Lには、液相の作動流体F1(L)を蒸発させて気相の作動流体F1(g)に相変化させる蒸発部5と、蒸発部5から離隔した位置に配設され、気相の作動流体F1(g)を凝縮させて液相の作動流体F1(L)に相変化させる凝縮部6とを設ける。
蒸発部5から凝縮部6への気相の作動流体F1(g)の輸送は、容器2Lの内部空間Sに沿って行われる。他方で、凝縮部6から蒸発部5への液相の作動流体F1(L)の輸送は、図9に示されるように、容器2Lの蒸発部5から凝縮部6にまで連続して延在する、液相の作動流体F1(L)に対して毛細管力が生じる太さの液相流路17に沿って行われることが好ましい。これにより、凝縮部6で凝縮した液相の作動流体F1(L)が、毛細管力によって蒸発部5に運ばれるため、蒸発部5と凝縮部6の高さ位置の関係によらず、ヒートパイプを動作させることができる。なお、蒸発部5への液相の作動流体F1(L)の輸送は、図9に示す態様に限られず、容器2Lの底面に沿って行われてもよい。
図9に示す実施形態では、伝熱部材10Lは、少なくとも蒸発部5に、上述の凸状部12を設けることが好ましい。より好ましくは、液相の作動流体F1(L)の流通経路である液相流路17を含めた位置に、上述の凸状部12を設ける。これにより、凸状部12の内部で作動流体F1を液相から気相に相変化させる際に、凸状部12で生成する気相の作動流体F1(g)が、液相と比べて軽量であることで上向きに流れるようになるため、内側部分12aに向けて流れる液相の作動流体F1(L)と異なる方向に進み易くなる。その結果、気相の作動流体F1(g)と液相の作動流体F1(L)の衝突による作動流体F1の還流の阻害が起こり難くなるため、伝熱部材10Lの熱輸送性能を高めることができる。
(ヒートパイプの動作原理)
次に、冷却デバイス1Lであるヒートパイプの熱輸送のメカニズムを、図9に示すヒートパイプを用いて以下で説明する。
まず、液相の作動流体F(L)が、容器2Lの内面2aに長手方向に向かって延在する溝からなる流路である液相流路17に沿って、蒸発部5に供給される。
発熱体4が発熱して蒸発部5の温度が上昇すると、発熱体4の熱が容器2Lに伝達され、容器2Lのうち発熱体4の近傍にある蒸発部5に熱が伝達される。蒸発部5では、特に凸状部12の内部で、液相の作動流体F(L)が加熱されて温度が上昇して、液相の作動流体F(L)から気相の作動流体F(g)に相変化することで、気相の作動流体F(g)が内部空間Sに放出される。また、液相の作動流体F(L)から気相の作動流体F(g)への相変化によって、発熱体4からの熱が蒸発潜熱として気相の作動流体F(g)に吸収される。
蒸発部5で熱を吸収した気相の作動流体F(g)は、容器2Lの内部空間Sを通って凝縮部6へ流れ、それにより、発熱体4から受けた熱が、蒸発部5から内部空間Sを通って凝縮部6へと輸送される。
その後、凝縮部6へ輸送された気相の作動流体F(g)は、凝縮部6で液相へ相変化させられる。このとき、輸送されてきた発熱体4の熱は、凝縮潜熱としてヒートパイプの外部に放出される。他方で、凝縮部6で熱を放出して液相に相変化した液相の作動流体F(L)は、液相流路17に沿って、凝縮部6から蒸発部5に流れることで、蒸発部5と凝縮部6の間の作動流体Fの循環流れを形成することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の概念および特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含み、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
1、1K、1L 冷却デバイス
2 容器
2a 容器の内面
2b 容器の外面
4 発熱体
5 蒸発部
10、10A~10L 伝熱部材
10a 伝熱部材の上面部
11 板状部
11a 板状部の上面
11b 板状部の下面
12 凸状部
12a 凸状部の内側部分
12b 凸状部の外側部分
12c 凸状部の上端面
13、13H、13J、13K 伝熱補助材
13’ 伝熱フィン
13a 伝熱補助材の上面
13b 伝熱補助材の下面
14 貫通孔
15 第2凸状部
16 流体流路
17 液相流路
30 凝縮管
31 凝縮管の貫通孔
121 第1多孔材
122 第2多孔材
P 発熱体の取付位置
T 容器の端部
T1 伝熱部材の端部
T2 伝熱補助材の端部
F1 作動流体
F1(L) 液相の作動流体
F1(g) 気相の作動流体
F2 他の作動流体
v 凸状部の間隔
S 内部空間

Claims (13)

  1. 内部空間に作動流体を有する容器の内面であって、前記容器の外面と発熱体が熱的に接続可能に配置され、前記作動流体を加熱・沸騰させることが可能な伝熱部材において、
    前記伝熱部材は、前記発熱体に熱的に接続可能に配置される下面を有する板状部と、
    前記板状部の上面から上方に向かって突出する少なくとも1つの凸状部と
    を有し、
    凸状部は、
    多孔質材料からなり、
    前記凸状部の突出方向を含む平面で切断したときの少なくとも一つの断面で見て、
    前記板状部の上面に配置される内側部分と、前記内側部分の周りを覆う外側部分とで構成され、
    前記内側部分から前記外側部分の表面に向かうにつれて、平均空隙率が増加するように構成され、かつ、
    前記外側部分における平均空隙率は、前記内側部分における平均空隙率よりも高い、伝熱部材。
  2. 前記凸状部は、前記内側部分における平均空隙率が1%以上50%以下の範囲であり、前記外側部分における平均空隙率が20%以上80%以下の範囲である、請求項1に記載の伝熱部材。
  3. 前記凸状部の表面における算術平均粗さRaは、0.1μm以上100μm以下の範囲である、請求項1または2に記載の伝熱部材。
  4. 前記凸状部は、前記板状部の上面に、0.1mm以上10mm以下の範囲の間隔をおいて配置された複数のフィン状部分として構成される、請求項1からまでのいずれか1項に記載の伝熱部材。
  5. 前記凸状部は、前記板状部の上面に、0.1mm以上10mm以下の範囲の間隔をおいて平行に並列配置された複数のフィン状部分として構成される、請求項1からまでのいずれか1項に記載の伝熱部材。
  6. 前記多孔質材料は、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン、チタン合金、鉄および鉄合金からなる群から選択される1種以上によって構成される、請求項1からまでのいずれか1項に記載の伝熱部材。
  7. 前記多孔質材料は、粉末状、繊維状、小片状またはフレーク状の金属または合金を含んで焼結された焼結体で構成される、請求項1からまでのいずれか1項に記載の伝熱部材。
  8. 前記少なくとも1つの凸状部は、前記板状部の上面に整列させて配置した複数の凸状部であり、前記複数の凸状部の上端面に、熱的に接続される伝熱補助材をさらに備える、請求項1からまでのいずれか1項に記載の伝熱部材。
  9. 前記伝熱補助材の上面に熱的に接続された多孔質材料からなる第2凸状部をさらに備える、請求項に記載の伝熱部材。
  10. 前記発熱体からの熱を液相の作動流体に伝え、前記液相の作動流体を蒸発させて気相の作動流体に相変化させる蒸発部として、請求項1からまでのいずれか1項に記載の伝熱部材を備える、冷却デバイス。
  11. 前記容器は、端部で密封された2枚の金属シートによって前記内部空間が構成され、
    ベーパーチャンバとして用いられる、請求項10に記載の冷却デバイス。
  12. 前記容器は、端部で密封されている管状容器によって前記内部空間が構成され、
    ヒートパイプとして用いられる、請求項10に記載の冷却デバイス。
  13. 前記容器は、前記内部空間の上部位置にて、前記容器を貫通するように延在し、かつ内部を冷媒が流通する凝縮管をさらに備え、
    沸騰冷却装置として用いられる、請求項10に記載の冷却デバイス。
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