JP7439616B2 - サンドイッチ構造体およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば医療機器、パソコン、OA機器または携帯電話等の部品や筐体部分として用いられる軽量、高剛性でかつ薄肉化が要求される用途に適した繊維強化樹脂製サンドイッチ構造体に関する。
現在、医療機器、パソコン、OA機器、AV機器、携帯電話、電話機、ファクシミリ、家電製品または玩具用品などの電気・電子機器の携帯化が進むにつれ、より小型、軽量化が要求されている。その要求を達成するために、機器を構成する部品、特に筐体には、外部から荷重がかかった場合に筐体が大きく撓んで内部部品と接触、破壊を起こさないようにする必要があるため、一層の高剛性化が求められている。さらに、医療機器のうち、X線撮影用向け機器の筐体には、X線診断画像の先鋭化や、人体へのX線被ばく量低減のため、高いX線透過性も要求されている。
軽量、高剛性、高X線透過性を得るため、軽量な芯材(コア)の表皮(スキン)に、繊維強化材が配置されてなるサンドイッチ構造体が知られており、構造体の軽量、高X線透過性を図るため、より低密度の芯材の選択が行われ、ポリメタクリルイミド発泡コアやアクリル発泡コア、ポリエチレンテレフタレート発泡コアなどが芯材として頻繁に使用されている。
特許文献1(特許5098132号公報)には、芯材と、該芯材の両面に配される強化繊維にマトリックス樹脂が含浸された繊維強化樹脂の表皮材とから構成されるサンドイッチパネルにおいて、上記表皮材の強化繊維の引張弾性率が230GPa~850GPaの範囲内の強化繊維を含み、該表皮材中の強化繊維含有率が40~80重量%の範囲内であり、前記芯材に表皮材より見かけ密度が見かけ密度が0.23~0.46g/cmの範囲内にあるポリプロピレンまたは見かけ密度が0.03~0.12g/cmの範囲内にあるポリメタクリルイミドのいずれかの発泡性樹脂を使用するとともに、前記芯材と前記表皮材とからなる積層体を加熱、加圧同時成形したサンドイッチパネルの全体厚みが0.5~5mmの範囲であることを特徴とする繊維強化樹脂製サンドイッチパネルが開示されている。これにより、剛性を保持したままで、軽量かつX線透過性に優れた薄肉の繊維強化樹脂製サンドイッチパネルを提供し、医療機器、X線機器用部材などに好適な繊維強化樹脂製サンドイッチパネルを開示している。
特許文献2(特許5034502号公報)には、芯材(I)と、該芯材(I)の両面に配置された、連続した強化繊維(A)とマトリックス樹脂(B)からなる繊維強化材(II)とからなるサンドイッチ構造体(III)であって、前記芯材(I)が空隙を有し、かつ、前記芯材(I)の厚みが0.1~1.5mm、比重が0.01~1.2g/cmであり、ASTM D 846で測定される前記芯材(I)と前記繊維強化材(II)との接着強度が1MPa以上であり、前記芯材(I)がポリオレフィン系樹脂からなり、前記芯材(I)と、前記繊維強化材(II)との層間に、変性ポリオレフィン系樹脂層が配置されてなり、前記変性ポリオレフィン系樹脂が、前記繊維強化材(II)を構成する強化繊維束に含浸し、その最大含浸長さが10μm以上である、軽量性、薄肉性に優れたサンドイッチパネルを開示している。これにより、ノートパソコンなどの電気・電子機器の部品、部材や筐体に好適な、優れた力学特性、軽量性、ならびに、薄肉性を有するサンドイッチパネルを開示している。
特許文献3(特許5743271号公報)には、芯材(I)と、前記芯材(II)の両面に積層された繊維補強材(21)と、芯材11の少なくとも一側の維補強材21に積層した表面材21とで構成し、芯材11は、連続気泡を有する熱硬化性樹脂発泡体に熱硬化性樹脂が含浸して熱硬化性樹脂発泡体を圧縮した状態で熱硬化性樹脂が硬化したものであって、圧縮率が200~5000%の範囲であり、繊維補強材21は、炭素繊維織物に熱硬化性樹脂が含浸して硬化したものからなり、含浸後の熱硬化性樹脂の樹脂比率が50~80%であり、表面材25は、多孔性シートに熱硬化性樹脂が含浸し、かつ熱硬化性樹脂が多孔性シート表面に付着して硬化したものからなり、芯材11と繊維補強材21及び表面材25を熱硬化性樹脂の硬化により一体化した繊維強化成形体を開示している。これにより、ノートパソコン等の携帯機器の筐体などに好適な軽量、薄肉、高剛性に優れた繊維強化成形体を開示している。
特許5098132号公報 特許5034502号公報 特許5743271号公報
しかし、特許文献1の構成は、表皮材中の強化繊維含有率が60%未満の場合、その繊維強化樹脂製サンドイッチパネルの剛性が十分でない場合があり、かつ、芯材と表皮材との界面に浸透するマトリックス樹脂が増大し、重量が増大する課題があった。反対に、強化繊維含有率が80%に近づくと、芯材と表皮材との界面に浸透するマトリックス樹脂が不足し、表皮材と芯材の接着力が弱まり、その繊維強化樹脂製サンドイッチパネルに衝撃を加えたり、温度変化を負荷したりすることで、表皮材と芯材が剥がれ、破壊に至りやすくなるといった課題もあり、改善の余地があった。さらに、表皮材中での、繊維含有率や、層厚みを考慮した繊維強化層の配置方法は検討されておらず、その検討によりさらに軽量、高剛性化を実現できる余地も残されており、課題であった。
特許文献2の構成は、ポリオレフィン系樹脂からなる芯材と、その芯材と繊維強化材との層間に変性ポリオレフィン系樹脂層を配置することで、繊維強化材と芯材との接着を高めているが、芯材をポリオレフィン系樹脂に限定しており、例えばポリメタクリルイミド系発泡体や、アクリル系発泡体、ポリエチレンテレフタレート系発泡体といった汎用芯材に対する接着層や、接着力は検討されていない。さらに、繊維強化材中での、繊維含有率や、層厚みを考慮した繊維強化層の配置方法は検討されておらず、その検討によりさらに軽量、高剛性化を実現できる余地も残されており、課題であった。
特許文献3の構成は、樹脂比率Rが50~80%の範囲では繊維強化樹脂製サンドイッチパネルの樹脂比率が大きいため、その剛性は十分でない場合があり、かつ、芯材中と繊維強化材の界面に浸透するマトリックス樹脂が多く重量が増大し、軽量化の観点からも改善の余地があり、課題であった。また、圧縮率が200~5000%と大きい場合、内部の発泡体が破壊されたり、強化繊維が蛇行することによって強度が低下したり、成型品の反りが大きくなるといった課題があった。さらに、繊維強化材中での、繊維含有率や、層厚みを考慮した繊維強化層の配置方法は検討されておらず、その検討によりさらに軽量、高剛性化を実現できる余地も残されており、課題であった。
そこで、本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑み、軽量、高剛性の電子機器筐体用や、軽量、高剛性でX線透過性に優れた医療機器用部材に使用するサンドイッチ構造体であり、芯材と繊維強化材が強固に接着しつつ、かつ剛性、軽量性、高X線透過性を保持したサンドイッチ構造体及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明は以下の手段を採用するものである。
(1)芯材と、前記芯材の両面に配置された、強化繊維とマトリックス樹脂からなる繊維強化材とからなるサンドイッチ構造体であって、前記繊維強化材は複数層の繊維強化層から構成され、前記芯材に隣接する隣接繊維強化層の繊維体積含有率が30%以上65%以下の範囲、前記隣接繊維強化層を除く繊維強化層の繊維体積含有率が60%以上75%以下の範囲であり、前記芯材に隣接する隣接繊維強化層の繊維体積含有率が前記隣接繊維強化層を除く繊維強化層の繊維体積含有率未満であるとともに、前記芯材に隣接する隣接繊維強化層の層厚みが前記隣接繊維強化層を除く繊維強化層の層厚み未満であることを特徴とする、サンドイッチ構造体。
)前記隣接繊維強化層の少なくとも一方の層厚み(T1)が0.01mm以上0.20mm以下の範囲であり、前記芯材の少なくとも一方の片面に配置された、前記隣接繊維強化層を含む繊維強化材の合計厚み(T0)が0.02mm以上5mm以下の範囲である(1)に記載されたサンドイッチ構造体。
)前記芯材の両面に配置される繊維強化材の合計厚みが、サンドイッチ構造体の全体厚みの10%以上50%以下の範囲である(1)または(2)に記載のサンドイッチ構造体。
)サンドイッチ構造体の見かけ密度が0.10g/cm以上1.5g/cm以下の範囲である(1)から()のいずれかに記載のサンドイッチ構造体。
)前記隣接繊維強化層に含浸されたマトリックス樹脂と、前記隣接繊維強化層を除く繊維強化層に含浸されたマトリックス樹脂が同種類の樹脂である(1)から()のいずれかに記載のサンドイッチ構造体。
)前記隣接繊維強化層が、一方向に引き揃えられた連続した強化繊維(UD)からなる(1)から()のいずれかに記載のサンドイッチ構造体。
)X線照射菅電圧60kVにおけるサンドイッチ構造体のアルミ当量(mmAL)とサンドイッチ構造体の全体厚み(mm)の比が0.01mmAL/mm以上0.20mmAL/mm以下の範囲である(1)から()のいずれかに記載のサンドイッチ構造体。
)(1)から()のいずれかに記載のサンドイッチ構造体の製造方法であって、前記芯材の両面に前記繊維強化材を積層して成形型に配置する工程、及び、前記成形型を型締めして加熱・加圧し、前記芯材を圧搾するとともに、前記繊維強化材と、前記芯材表面に含浸したマトリックス樹脂を硬化させる工程を有し、前記芯材の圧搾において、前記芯材の板厚が成形前板厚の60%以上95%以下の範囲となるように圧搾するサンドイッチ構造体の製造方法。
ここで、アルミ当量とは、対象物に対して同一条件のX線を照射した場合において、対象にしている物質と等しい遮蔽能力をもつアルミニウムの厚さを表す。
本願発明のサンドイッチ構造体及びその製造方法によれば、繊維強化材と芯材が強固に接着し、さらに、軽量性を維持したまま高い剛性と高いX線透過性を実現することができる。
本発明に係るサンドイッチ構造体の斜視図である。 図1に示すサンドイッチ構造体の側面図である。
以下、実施の形態について図面を用いて説明する。なお、本発明は図や実施例に何ら限定されるものではない。
本発明に係るサンドイッチ構造体は、芯材と、前記芯材の両面に配置された、強化繊維とマトリックス樹脂からなる繊維強化材とからなるサンドイッチ構造体であって、前記繊維強化材は複数層の繊維強化層から構成され、前記芯材に隣接する隣接繊維強化層の繊維体積含有率が前記隣接繊維強化層を除く繊維強化層の繊維体積含有率未満であるとともに、前記芯材に隣接する隣接繊維強化層の層厚みが前記隣接繊維強化層を除く繊維強化層の層厚み未満であることを特徴とする、サンドイッチ構造体である。
本発明に係るサンドイッチ構造体1の斜視図を図1に示す。その構成は、芯材(A)と、(A)の両面に配置される繊維強化材(B)を有するものである。また、繊維強化材(B)の詳細な積層構成を図2に示す。繊維強化材(B)は、強化繊維にマトリックス樹脂が含浸された繊維強化層を複数積層したものであり、繊維強化材(B)は、芯材(A)に隣接する隣接繊維強化層(B1)と、隣接繊維強化層(B1)を除く繊維強化層(B2)を積層した構成を有する。
本発明において、隣接繊維強化層(B1)の繊維体積含有率が隣接繊維強化層を除く繊維強化層(B2)の繊維体積含有率未満であるとともに、隣接繊維強化層(B1)の層厚みが隣接繊維強化層を除く繊維強化層(B2)の層厚み未満であることが重要である。
後述するように、サンドイッチ構造体は芯材(A)および繊維強化材(B)を圧搾させて一体化させて得られる。この際、繊維強化材(B)に含浸されたマトリックス樹脂の一部が芯材(A)と隣接繊維強化層(B1)の界面に浸透する。繊維強化材(B)の繊維体積含有率が大きい場合、芯材(A)と隣接繊維強化層(B1)との界面に浸透するマトリックス樹脂が少なくなるので、芯材(A)と隣接繊維強化層(B1)の接合が弱まり、芯材(A)と隣接繊維強化層(B1)との接合面を起点とする破壊が生じやすくなるおそれがある。したがって、隣接繊維強化層(B1)の繊維体積含有率が隣接繊維強化層を除く繊維強化層(B2)の繊維体積含有率未満であることにより、芯材(A)と隣接繊維強化層(B1)の間に浸透するマトリックス樹脂を確保でき、強固な接合状態を実現することができる。繊維教材(B)のうち隣接繊維強化層(B1)が隣接繊維強化層を除く繊維強化層(B2)の繊維体積含有率と同じ場合には、隣接繊維強化層(B2)の繊維体積含有率をさらに大きくし、サンドイッチ構造体の剛性を大きくできる余地が残る。
また、隣接繊維強化層(B1)の層厚みが隣接繊維強化層を除く繊維強化層(B2)の層厚み未満であることにより、隣接繊維強化層(B1)のマトリック樹脂が芯材(A)内部に必要以上に入りすぎることを防ぎ、接合力を保ったまま、サンドイッチ構造体の軽量化を実現することができる。
ここで、隣接繊維強化層(B1)の繊維体積含有率が30%以上65%以下の範囲であることが好ましい。30%未満であると、隣接繊維強化層を構成する強化繊維が蛇行しやすく、成形後のサンドイッチ構造体に反りや変形が生じる恐れがある。65%より大きい場合は、芯材(A)と隣接繊維強化層(B1)の界面に浸透するマトリックス樹脂が不足し、芯材(A)と繊維強化材(B)の接着力が低下する恐れがある。より好ましくは、40%以上60%以下、さらに好ましくは、45%以上55%以下である。
一方、隣接繊維強化層を除く繊維強化層(B2)の繊維体積含有率が60%以上75%以下の範囲であることが好ましい。60%未満であると、サンドイッチ構造体の剛性が十分でない恐れがあり、75%より大きい場合は、強化繊維中にマトリックス樹脂を均一に含浸することが困難になり、成形後のサンドイッチ構造体の強度不足や外観品位が劣る懸念がある。より好ましくは62%以上72%以下、さらに好ましくは64%以上69%以下である。
また、本発明において、隣接繊維強化層(B1)の少なくとも一方の層厚み(T1)が0.01mm以上0.20mm以下であることが好ましい。0.01mm未満であると、芯材(A)と隣接繊維強化層(B1)の界面に浸透するマトリックス樹脂が不足し、芯材(A)と繊維強化材(B)の接着力が低下する恐れがある。0.20mmより大きい場合は、芯材(A)と隣接繊維強化層(B1)との界面に浸透するマトリックス樹脂が多すぎ、重量が大きくなってしまう。より好ましくは、0.02mm以上0.15mm以下、さらに好ましくは、0.03mm以上0.10mm以下である。
また、芯材(A)の少なくとも一方の片面に配置された、隣接繊維強化層(B1)を含む繊維強化材(B)の合計厚み(T0)は、0.02mm以上5mm以下であること好ましい。0.02mm未満では、剛性が十分でない恐れがある。5mmより大きい場合、サンドイッチ構造体の軽量性やX線透過性が著しく損なわれる。より好ましくは、0.10mm以上2.0mm以下、さらに好ましくは、0.20mm以上1.0mm以下である。
前述した隣接繊維強化層(B1)および隣接繊維強化層を除く繊維強化層(B2)の繊維体積含有率、厚みは、成形前または成形後いずれの場合の測定値であってもよい。成形前の場合には、隣接繊維強化層(B1)または隣接繊維強化層を除く繊維強化層(B2)単体で測定が可能である。一方、芯材(A)および繊維強化材(B)を圧搾させて一体化させたサンドイッチ構造体とした場合であっても、圧搾による隣接繊維強化層(B1)、隣接繊維強化層(B1)を除く繊維強化層(B2)の厚み変化は成形前後でわずかであり、繊維体積含有率の変化もわずかであるため、前述した繊維体積含有率や、層厚みは、成形後のサンドイッチ構造体で測定してもよい。
ここで繊維強化材(B)の強化繊維には、炭素繊維、ガラス繊維、有機高弾性率繊維(例えば、米国デュポン社製のポリアラミド繊維“ケブラー”(登録商標))、アルミナ繊維、シリコンカーバイド繊維、ボロン繊維、炭化ケイ素繊維などの高強度、高弾性率繊維などがあげられるが、これらから単独で用いてもよいし、複数併用してもよい。中でも高い剛性を保持したまま軽量性を確保するために、弾性率と密度との比である比弾性率が高い炭素繊維を使用することが好ましく、例えばポリアクリロニトリル(PAN系)、ピッチ系、セルロース系、炭化水素による気相成長系炭素繊維、黒鉛繊維などを用いることができ、これらを2種類以上変容してもよい。好ましくは、剛性と価格のバランスに優れるPAN系炭素繊維がよい。また、繊維強化材(B)が、高い剛性を確保するため、強化繊維の引張弾性率が200~850GPaの範囲内であるものが使用できる。強化繊維の引張弾性率が200GPaより小さい場合は、軽量性を保持したまま、必要な剛性を確保することができない場合があり、850GPaより大きい場合は、強化繊維の圧縮強度が弱く折れやすいため、強化繊維にマトリックス樹脂を含浸し、繊維強化樹脂を成形することが難しい。強化繊維の引張弾性率が、前記範囲内であると積層体の更なる剛性向上、強化繊維の製造性向上の点で好ましい。
強化繊維としては連続した連続繊維や不連続の強化繊維を使用でき、両者を組み合わせてもよい。繊維強化材(B)が、複数層の積層構造を有しており、該繊維強化材中の少なくとも1層は連続した強化繊維を含む繊維強化層であることが好ましい。連続した強化繊維を含む繊維強化層を有することにより、より効率よく強度、弾性率を設計できるためである。連続した強化繊維の形態としては、一方向に引き揃えられた強化繊維や織物の強化繊維を含むことが好ましい。
繊維強化材(B)のマトリックス樹脂としては、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂を使用することができる。具体的には、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ABS樹脂、ポリエチレンテレフタラート樹脂、ナイロン樹脂、シアネート樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、マレイミド樹脂、ポリイミド樹脂などがある。好ましくは、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂で熱または光や電子線などの外部からのエネルギーにより硬化して、少なくとも部分的に三次元降下物を形成する樹脂であるが、特に限定されない。
さらに、マトリックス樹脂のガラス転移温度は80~250℃の範囲内であることが好ましく、100~250℃であることがより好ましい。サンドイッチ構造体は成形後80℃前後で加熱処理することもあるため、マトリックス樹脂のガラス転移温度が80℃未満であると加熱処理中にサンドイッチ構造体の剛性が低下し、変形や反りが発生する問題が起きるからである。また、250℃を超えると、成形温度が高くなるため、成形が困難になり、反りやコストアップの問題が起きることが懸念される。
芯材(A)としては、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂、さらには上記熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂を用いた繊維強化樹脂、発泡性樹脂などを使用することができる。例えば、熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂などがある。熱可塑性樹脂としては、ポリアミド樹脂、変性フェニレンエーテル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、液晶ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチルテレフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、HIPS樹脂、ABS樹脂、AES樹脂、AAS樹脂などのスチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂などのアクリル樹脂、塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、変性ポリオレフィン樹脂、さらにはエチレン/プロピレン共重合体、エチレン/1-ブテン共重合体、エチレン/(メタ)アクリルグリシル共重合体、エチレン/一酸化炭素/ジエン共重合体、エチレン/(メタ)アクリル酸グリシジル、エチレン/酢酸ビニル/(メタ)アクリル酸グリシジル共重合体、ポリエーテルエステルエラストマー、ポリエーテルエーテルエラストマー、ポリエーテルエステルアミドエラストマー、ポリエステルアミドエラストマー、ポリエステルエステルエラストマーなどの各種エラストマー類などがある。また、繊維強化樹脂としては、ビニロン繊維強化樹脂、テトロン繊維強化樹脂などがある。また、発泡樹脂としては、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリメタクリルイミド樹脂などがある。具体的には、軽量性及びX線透過性を確保するために、繊維強化材より見かけ密度が小さい樹脂を用いることが好ましい。
芯材(A)の見かけ密度は、0.02g/cm以上1.5g/cm以下の範囲内にあることが好ましく、0.03g/cm以上1.1g/cm以下の範囲にあるものがより好ましい。芯材(A)の見かけ密度が上記の範囲のものであると、剛性を保持したまま、軽量性およびX線透過性を確保することができる。
本発明において、芯材(A)の両面に配置される繊維強化材(B)の合計厚みが、サンドイッチ構造体1の全体厚みの10%以上50%以下の範囲であることが好ましい。10%未満では剛性、強度が低下する恐れがあり、50%より大きいと、軽量性が損なわれたり、X線透過性が悪化したりする恐れがある。より好ましくは15%以上45%以下、さらに好ましくは20%以上35%以下である。
本発明において、サンドイッチ構造体1の見かけ密度は、0.1g/cm以上1.5g/cm以下の範囲内が好ましい。この見かけ密度の範囲内であれば、高い剛性を保持したまま、軽量性、高X線透過性を維持することができる。より好ましくは0.3/cm以上1.1g/cm以下、さらに好ましくは0.4g/cm以上0.9g/cm以下である。
また、隣接繊維強化層(B1)に含浸されたマトリックス樹脂と、隣接繊維強化層を除く繊維強化層(B2)に含浸されたマトリックス樹脂とは同じ種類であることが好ましい。これにより、芯材(A)、隣接繊維強化層(B1)、隣接繊維強化層を除く繊維強化層(B2)の接着がより強固になり、剛性、強度に優れたサンドイッチ構造体が得られる。
また、隣接繊維強化層(B1)は、一方向に引き揃えられた連続した強化繊維(UD)から構成されることが好ましい。織物を用いる場合は、UD材よりも隣接繊維強化層の層厚み(T1)が大きくなりやすい。その結果、繊維体積含有率の低い隣接繊維強化層(B1)のサンドイッチ構造体1に占める割合がUD材の場合よりも大きくなるため、サンドイッチ構造体1の剛性が低下する傾向がある。
さらに、本発明においてサンドイッチ構造体1におけるX線照射電圧60kVにおけるアルミ当量(mmAL)と、サンドイッチ構造体の全体厚み(mm)の比が、0.01以上0.20mmAL/mmの範囲内であることが好ましい。0.20mmAL/mmより大きいと、患者のX線被ばく量が多くなくなる。また、0.01mm未満の場合、サンドイッチ構造体の見かけ密度が小さすぎる恐れがあり、サンドイッチ構造体の強度、剛性が十分でないおそれがある。
次に、本発明に係るサンドイッチ構造体の製造方法について説明する。
本発明に係るサンドイッチ構造体1の製造方法は、芯材(A)の両面に前記繊維強化材(B)を積層し成形型に配置する工程と、成形型を型締めして加熱・加圧し、芯材(A)を圧搾するとともに、繊維強化材(B)と、芯材(A)表面に含浸したマトリックス樹脂を硬化させる工程を有する。
ここで、芯材(A)の圧搾において、芯材(A)の成形後の厚みが、成形前の厚みの60%以上95%以下の範囲であることが好ましい。60%未満の場合、サンドイッチ構造体1の内部が圧壊されたり、変形が大きくなったりすることで、成形後のサンドイッチ構造体の反りが大きくなったり、強度や剛性が低下したりする。95%より大きいと、芯材(A)と繊維強化材(B)の界面にマトリックス樹脂が浸透しづらくなり、芯材(A)と繊維強化材(B)との接着力が低下することがある。好ましくは、65%以上90%以下、より好ましくは、70%以上85%以下である。
成形型を型締めして加熱・加圧し、芯材(A)を圧搾するとともに、繊維強化材(B)と、芯材(A)表面に含浸したマトリックス樹脂を硬化させる工程は、ホットプレス装置および/またはオートクレーブ装置などを用いて、加熱、加圧同時成形することにより製造されることが好ましい。同時成形することで低コストのサンドイッチ構造体1を提供することができる。
以下、実施例によって、本発明のサンドイッチ構造体1およびその製造方法について具体的に説明するが、下記の実施例は本発明を制限するものではない。
(実施例1)
図1に示すようなサンドイッチ構造体を以下の条件にて製造した。芯材(A)にポリメタクリルイミド系発泡体(厚み1.7mm、密度0.11g/cm)を用いた。芯材(A)に隣接する隣接繊維強化層(B1)には、引張弾性率が230GPaの一方向引き揃え炭素繊維と、ガラス転移温度が135℃であるエポキシ樹脂で構成される、繊維体積含有率が54%、層厚みが0.08mm、見かけ密度が1.53g/cmのプリプレグ1を用いた。芯材(A)に隣接しない繊維強化層(B2)には、引張弾性率440GPaの一方向引き揃え炭素繊維と、ガラス転移温度が135℃であるエポキシ樹脂で構成される、繊維体積含有率が68%、層厚みが0.10mm、見かけ密度が1.63g/cmのプリプレグ2を用いた。上記プリプレグを、芯材(A)の両面に、(プリプレグ2)/(プリプレグ2)/(プリプレグ1)/芯材(A)/(プリプレグ1)/(プリプレグ2)/(プリプレグ2)の順に、繊維方向が0°/90°/0°/芯材(A)/0°/90°/0°となるよう積層した。次いで、この積層体を、130℃に加温したプレス金型上に配置し型締めし、60分間保持することでサンドイッチ構造体を同時成形した。
得られたサンドイッチ構造体の全体厚みは2.0mm、芯材(A)の厚みは1.45mmであった。サンドイッチ構造体の全体厚みに対する繊維強化材(B)の合計厚みの比は28%、サンドイッチ構造体の見かけ密度は0.55g/cm、芯材(A)の厚みは、成形前の85%であった。
得られたサンドイッチ構造体から、JIS K 7074(1988)炭素繊維強化プラスチックの曲げ試験方法に準じて、幅1mm、長さ100mmの短冊状試験片を最外層の炭素繊維方向が長手方向になるように切り出し、半径5mmの丸型圧子を用い、試験速度5mm/minおよび支点間距離80mmで3点曲げ試験を行った。その結果、0°方向の曲げ弾性率は53GPaであり、破壊形態は繊維強化層(B)の圧縮破壊であり、芯材(A)と繊維強化材(B)の層間に剥離は生じなかった。また、得られたサンドイッチ構造体を80℃に保ったオーブンの中で24時間放置し、その後室温まで冷却した際、繊維強化材(B)と芯材(A)の間が剥離することはなかった。
得られたサンドイッチ構造体を、X線照射装置(コニカミノルタ製CS-7/R210/1-PACS Ex)を用いて60kVでX線を照射した結果、サンドイッチ構造体の全体厚みに対するアルミ当量は0.06mmAL/mmであった。以上より、得られたサンドイッチ構造体は、高い剛性、軽量性、高X線透過性を維持しつつ、芯材との強固な接着性を保っていることを確認した。
(実施例2)
図1に示すようなサンドイッチ構造体を以下の条件にて製造した。芯材(A)にポリメタクリルイミド系発泡体(厚み1.7mm、密度0.11g/cm)を用いた。芯材(A)に隣接する隣接繊維強化層(B1)には、引張弾性率が230GPaの一方向引き揃え炭素繊維と、ガラス転移温度が135℃であるエポキシ樹脂で構成される、繊維体積含有率が48%、層厚みが0.05mm、見かけ密度が1.47g/cmのプリプレグ3を用いた。芯材(A)に隣接しない繊維強化層(B2)には、引張弾性率440GPaの一方向引き揃え炭素繊維と、ガラス転移温度が135℃であるエポキシ樹脂で構成される、繊維体積含有率が68%、層厚みが0.10mm、見かけ密度が1.63g/cmのプリプレグ2を用いた。上記プリプレグを、芯材(A)の両面に、(プリプレグ2)/(プリプレグ2)/(プリプレグ3)/芯材(A)/(プリプレグ3)/(プリプレグ2)/(プリプレグ2)の順に、繊維方向が0°/90°/0°/芯材(A)/0°/90°/0°となるよう積層した。次いで、この積層体を、130℃に加温したプレス金型上に配置し型締めし、60分間保持することでサンドイッチ構造体を同時成形した。
得られたサンドイッチ構造体の全体厚みは2.0mm、芯材(A)の厚みは1.52mmであった。サンドイッチ構造体の全体厚みに対する繊維強化材(B)の合計厚みの比は24%、サンドイッチ構造体の見かけ密度は0.50g/cmで、芯材(A)の厚みは、成形前の89%であった。
得られたサンドイッチ構造体から、JIS K 7074(1988)炭素繊維強化プラスチックの曲げ試験方法に準じて、幅15mm、長さ100mmの短冊状試験片を最外層の炭素繊維方向が長手方向になるように切り出し、半径5mmの丸型圧子を用い、試験速度5mm/minおよび支点間距離80mmで3点曲げ試験を行った。その結果、0°方向の曲げ弾性率は50GPaであり、破壊形態は繊維強化材(B)の圧縮破壊で、芯材(A)と繊維強化材(B)の層間に剥離は生じなかった。また、得られたサンドイッチ構造体を80℃に保ったオーブンの中で24時間放置し、その後室温まで冷却した際、繊維強化材(B)と芯材(A)の間が剥離することはなかった。
得られたサンドイッチ構造体を、X線照射装置(コニカミノルタ製CS-7/R210/1-PACS Ex)を用いて60kVでX線を照射した結果、サンドイッチ構造体の全体厚みに対するアルミ当量は0.05mmAL/mmであった。以上より、得られたサンドイッチ構造体は、高い剛性、軽量性、高X線透過性を維持しつつ、芯材との強固な接着性を保っていることを確認した。
(実施例3)
図1に示すようなサンドイッチ構造体を以下の条件にて製造した。芯材(A)にポリメタクリルイミド系発泡体(厚み1.7mm、密度0.11g/cm)を用いた。芯材(A)に隣接する隣接繊維強化層(B1)には、引張弾性率が230GPaの一方向引き揃え炭素繊維と、ガラス転移温度が135℃であるエポキシ樹脂で構成される、繊維体積含有率が51%、層厚みが0.02mm、見かけ密度が1.48g/cmのプリプレグ4を用いた。芯材(A)に隣接しない繊維強化層(B2)には、引張弾性率440GPaの一方向引き揃え炭素繊維と、ガラス転移温度が135℃であるエポキシ樹脂で構成される、繊維体積含有率が68%、層厚みが0.10mm、見かけ密度が1.63g/cmのプリプレグ2を用いた。上記プリプレグを、芯材(A)の両面に、(プリプレグ2)/(プリプレグ2)/(プリプレグ4)/芯材(A)/(プリプレグ4)/(プリプレグ2)/(プリプレグ2)の順に、繊維方向が0°/90°/0°/芯材(A)/0°/90°/0°となるよう積層した。次いで、この積層体を、130℃に加温したプレス金型上に配置し型締めし、60分間保持することでサンドイッチ構造体を同時成形した。
得られたサンドイッチ構造体の全体厚みは2.0mm、芯材(A)の厚みは1.55mmであった。サンドイッチ構造体の全体厚みに対する繊維強化材(B)の合計厚みの比は23%、サンドイッチ構造体の見かけ密度は0.47g/cmで、芯材(A)の厚みは、成形前の91%であった。
得られたサンドイッチ構造体から、JIS K 7074(1988)炭素繊維強化プラスチックの曲げ試験方法に準じて、幅15mm、長さ100mmの短冊状試験片を最外層の炭素繊維方向が長手方向になるように切り出し、半径5mmの丸型圧子を用い、試験速度5mm/minおよび支点間距離80mmで3点曲げ試験を行った。その結果、0°方向の曲げ弾性率は46GPaであり、破壊形態は繊維強化材(B)の圧縮破壊で、芯材(A)と繊維強化材(B)の層間に剥離は生じていなかった。また、得られたサンドイッチ構造体を80℃に保ったオーブンの中で24時間放置し、その後室温まで冷却した際、繊維強化材(B)と芯材(A)の間が剥離することはなかった。
得られたサンドイッチ構造体を、X線照射装置(コニカミノルタ製CS-7/R210/1-PACS Ex)を用いて60kVでX線を照射した結果、サンドイッチ構造体の全体厚みに対するアルミ当量は0.05mmAL/mmであった。以上より、得られたサンドイッチ構造体は、高い剛性、軽量性、高X線透過性を維持しつつ、芯材との強固な接着性を保っていることを確認した。
(実施例4)
図1に示すようなサンドイッチ構造体を以下の条件にて製造した。芯材(A)にポリエチレンテレフタレート系発泡体(厚み1.7mm、密度0.33g/cm)を用いた。芯材(A)に隣接する隣接繊維強化層(B1)には、引張弾性率が230GPaの一方向引き揃え炭素繊維と、ガラス転移温度が135℃であるエポキシ樹脂で構成される、繊維体積含有率が51%、層厚みが0.02mm、見かけ密度が1.48g/cmのプリプレグ4を用いた。芯材(A)に隣接しない繊維強化層(B2)には、引張弾性率440GPaの一方向引き揃え炭素繊維と、ガラス転移温度が135℃であるエポキシ樹脂で構成される、繊維体積含有率が68%、層厚みが0.10mm、見かけ密度が1.63g/cmのプリプレグ2を用いた。上記プリプレグを、芯材(A)の両面に、(プリプレグ2)/(プリプレグ2)/(プリプレグ4)/芯材(A)/(プリプレグ4)/(プリプレグ2)/(プリプレグ2)の順に、繊維方向が0°/90°/0°/芯材(A)/0°/90°/0°となるよう積層した。次いで、この積層体を、130℃に加温したプレス金型上に配置し型締めし、60分間保持することでサンドイッチ構造体を同時成形した。
得られたサンドイッチ構造体の全体厚みは2.0mm、芯材(A)の厚みは1.55mmであった。サンドイッチ構造体の全体厚みに対する繊維強化材(B)の合計厚みの比は23%、サンドイッチ構造体の見かけ密度は0.65g/cmで、芯材(A)の厚みは、成形前の91%あった。
得られたサンドイッチ構造体から、JIS K 7074(1988)炭素繊維強化プラスチックの曲げ試験方法に準じて、幅15mm、長さ100mmの短冊状試験片を最外層の炭素繊維方向が長手方向になるように切り出し、半径5mmの丸型圧子を用い、試験速度5mm/minおよび支点間距離80mmで3点曲げ試験を行った。その結果、0°方向の曲げ弾性率は46GPaであり、破壊形態は繊維強化材(B)の圧縮破壊で、芯材(A)と繊維強化材(B)の層間に剥離は生じていなかった。また、得られたサンドイッチ構造体を80℃に保ったオーブンの中で24時間放置し、その後室温まで冷却した際、繊維強化材(B)と芯材(A)の間が剥離することはなかった。
得られたサンドイッチ構造体を、X線照射装置(コニカミノルタ製CS-7/R210/1-PACS Ex)を用いて60kVでX線を照射した結果、サンドイッチ構造体の全体厚みに対するアルミ当量は0.07mmAL/mmであった。以上より、得られたサンドイッチ構造体は、高い剛性、軽量性、高X線透過性を維持しつつ、芯材との強固な接着性を保っていることを確認した。
(実施例5)
図1に示すようなサンドイッチ構造体を以下の条件にて製造した。芯材(A)にアクリル系発泡体(厚み1.7mm、密度0.10g/cm)を用いた。芯材(A)に隣接する隣接繊維強化層(B1)には、引張弾性率が230GPaの一方向引き揃え炭素繊維と、ガラス転移温度が135℃であるエポキシ樹脂で構成される、繊維体積含有率が51%、層厚みが0.02mm、見かけ密度が1.48g/cmのプリプレグ4を用いた。芯材(A)に隣接しない繊維強化層(B2)には、引張弾性率440GPaの一方向引き揃え炭素繊維と、ガラス転移温度が135℃であるエポキシ樹脂で構成される、繊維体積含有率が68%、層厚みが0.10mm、見かけ密度が1.63g/cmのプリプレグ2を用いた。上記プリプレグを、芯材(A)の両面に、(プリプレグ2)/(プリプレグ2)/(プリプレグ4)/芯材(A)/(プリプレグ4)/(プリプレグ2)/(プリプレグ2)の順に、繊維方向が0°/90°/0°/芯材(A)/0°/90°/0°となるよう積層した。次いで、この積層体を、130℃に加温したプレス金型上に配置し型締めし、60分間保持することでサンドイッチ構造体を同時成形した。
得られたサンドイッチ構造体の全体厚みは2.0mm、芯材(A)の厚みは1.55mmであった。サンドイッチ構造体の全体厚みに対する繊維強化材(B)の合計厚みの比は23%、サンドイッチ構造体の見かけ密度は0.46g/cmで、芯材(A)の厚みは、成形前の91%であった。
得られたサンドイッチ構造体から、JIS K 7074(1988)炭素繊維強化プラスチックの曲げ試験方法に準じて、幅15mm、長さ100mmの短冊状試験片を最外層の炭素繊維方向が長手方向になるように切り出し、半径5mmの丸型圧子を用い、試験速度5mm/minおよび支点間距離80mmで3点曲げ試験を行った。その結果、0°方向の曲げ弾性率は46GPaであり、破壊形態は繊維強化材(B)の圧縮破壊で、芯材(A)と繊維強化材(B)の層間に剥離は生じていなかった。また、得られたサンドイッチ構造体を80℃に保ったオーブンの中で24時間放置し、その後室温まで冷却した際、繊維強化材(B)と芯材(A)の間が剥離することはなかった。
得られたサンドイッチ構造体を、X線照射装置(コニカミノルタ製CS-7/R210/1-PACS Ex)を用いて60kVでX線を照射した結果、サンドイッチ構造体の全体厚みに対するアルミ当量は0.07mmAL/mmであった。以上より、得られたサンドイッチ構造体は、高い剛性、軽量性、高X線透過性を維持しつつ、芯材との強固な接着性を保っていることを確認した。
(比較例1)
図1に示すようなサンドイッチ構造体を以下の条件にて製造した。芯材(A)にポリメタクリルイミド系発泡体(厚み1.8mm、密度0.11g/cm)を用いた。芯材(A)に隣接する隣接繊維強化層(B1)には、引張弾性率が480GPaの一方向引き揃え炭素繊維と、ガラス転移温度が135℃であるエポキシ樹脂で構成される、繊維体積含有率が72%、層厚みが0.09mm、見かけ密度が1.69g/cmのプリプレグ5を用いた。芯材(A)に隣接しない繊維強脂層(B2)には、(B1)と同一のプリプレグを用いた。上記プリプレグを、芯材(A)の両面に、(プリプレグ5)/(プリプレグ5)/芯材(A)/(プリプレグ5)/(プリプレグ5)の順に、繊維方向が0°/90°/芯材(A)/90°/0°となるよう積層した。次いで、この積層体を、130℃に加温したプレス金型上に配置し型締めし、60分間保持することでサンドイッチ構造体を同時成形した。
サンドイッチ構造体の全体厚みに対する繊維強化材(B)の合計厚みの比は18%、サンドイッチ構造体の見かけ密度は0.40g/cmで、芯材(A)の厚みは、成形前の91%であった。
得られたサンドイッチ構造体を、X線照射装置(コニカミノルタ製CS-7/R210/1-PACS Ex)を用いて60kVでX線を照射した結果、サンドイッチ構造体の全体厚みに対するアルミ当量は0.04mmAL/mmであった。
得られたサンドイッチ構造体から、JIS K 7074(1988)炭素繊維強化プラスチックの曲げ試験方法に準じて、幅1mm、長さ100mmの短冊状試験片を最外層の炭素繊維方向が長手方向になるように切り出し、半径5mmの丸型圧子を用い、試験速度5mm/minおよび支点間距離80mmで3点曲げ試験を行った。その結果、0°方向の曲げ弾性率は38GPaであり、破壊形態は芯材(A)と繊維強化材(B)の層間せん断破壊をするものがあり、剛性、接着性ともに、不十分であった。また、得られたサンドイッチ構造体を80℃の温度下で24時間放置し、その後室温まで冷却した際、繊維強化材(B)と芯材(A)の一部に剥離が発生し、芯材と繊維強化材の接着が不十分であることを確認した。
(比較例2)
図1に示すようなサンドイッチ構造体を以下の条件にて製造した。芯材(A)にポリメタクリルイミド系発泡体(厚み1.7mm、密度0.11g/cm)を用いた。芯材(A)に隣接する繊維強化層(B1)には、引張弾性率が440GPaの一方向引き揃え炭素繊維と、ガラス転移温度が135℃であるエポキシ樹脂で構成される、繊維体積含有率が68%、層厚み0.10mm、見かけ密度が1.63g/cmのプリプレグ2を用いた。芯材(A)に隣接しない繊維強化層(B2)には、B1と同一のプリプレグを用いた。上記プリプレグを、芯材(A)の両面に、(プリプレグ2)/(プリプレグ2)/芯材(A)/(プリプレグ2)/(プリプレグ2)の順に、繊維方向が0°/90°/芯材(A)/90°/0°となるよう積層した。次いで、この積層体を、130℃に加温したプレス金型上に配置し型締めし、60分間保持することでサンドイッチ構造体を同時成形した。
得られたサンドイッチ構造体の全体厚みは2.0mm、芯材(A)の厚みは1.60mmであった。サンドイッチ構造体の全体厚みに対する繊維強化材(B)の合計厚みの比は21%、サンドイッチ構造体の見かけ密度は0.43g/cmで、芯材(A)の厚みは、成形前の94%であった。
得られたサンドイッチ構造体を、X線照射装置(コニカミノルタ製CS-7/R210/1-PACS Ex)を用いて60kVでX線を照射した結果、サンドイッチ構造体の全体厚みに対するアルミ当量は0.05mmAL/mmであった。
得られたサンドイッチ構造体から、JIS K 7074(1988)炭素繊維強化プラスチックの曲げ試験方法に準じて、幅1mm、長さ100mmの短冊状試験片を最外層の炭素繊維方向が長手方向になるように切り出し、半径5mmの丸型圧子を用い、試験速度5mm/minおよび支点間距離80mmで3点曲げ試験を行った。その結果、0°方向の曲げ弾性率は41GPaであり、十分な剛性ではなかった。破壊形態は、繊維強化層(B)の圧縮破壊で、芯材(A)と繊維強化材(B)の層間に剥離は生じていなかった。また、得られたサンドイッチ構造体を80℃の温度下で24時間放置し、その後室温まで冷却した際、繊維強化材(B)と芯材(A)の間が剥離することはなかった。しかし、得られたサンドイッチ構造体を切断し、切断面の繊維強化材(B1)と芯材(A)との層間をデジタルマイクロスコープ(キーエンス製:VHS-1000)で拡大し確認すると、樹脂のない空隙が点在しており、接着に改善の余地が残ることを確認した。
次に、実施例及び比較例のサンドイッチ構造体の特性を表1に示す。行の上段から、芯材(A)の種類、隣接繊維強化層(B1)の強化繊維の種類、マトリックス樹脂の種類、繊維体積含有率、厚み(T1)と、繊維強化層(B2)の強化繊維の種類、マトリックス樹脂の種類、繊維体積含有率と、繊維強化材(B)の芯材(A)に対する片面あたりの厚み(T0)と、サンドイッチ構造体の全体厚みに対する繊維強化材(B)の厚みの比、サンドイッチ構造体の見かけ密度、曲げ弾性率、破壊形態、サンドイッチ構造体の全体厚みに対するアルミ当量、成形前の芯材厚みに対する成形後の芯材厚み、総合判断を示した。総合判断は、芯材(A)と繊維強化材(B)との接着性が十分であり、かつ剛性、軽量性、高X線透過性も備えているものを〇とし、芯材(A)と繊維強化材(B)との接着性、剛性が不十分のものを×とした。
Figure 0007439616000001
本発明のサンドイッチ構造体は、電気・電子機器筐体、医療用X線診断装置、自動車内外装、自転車、スポーツ用品用構造材、航空機内装材、輸送用箱体等に有効に使用できる。
1 サンドイッチ構造体
A 芯材
B 繊維強化材
B1 隣接繊維強化層
B2 繊維強化層

Claims (8)

  1. 芯材と、前記芯材の両面に配置された、強化繊維とマトリックス樹脂からなる繊維強化材とからなるサンドイッチ構造体であって、前記繊維強化材は複数層の繊維強化層から構成され、前記芯材に隣接する隣接繊維強化層の繊維体積含有率が30%以上65%以下の範囲、前記隣接繊維強化層を除く繊維強化層の繊維体積含有率が60%以上75%以下の範囲であり、前記芯材に隣接する隣接繊維強化層の繊維体積含有率が前記隣接繊維強化層を除く繊維強化層の繊維体積含有率未満であるとともに、前記芯材に隣接する隣接繊維強化層の層厚みが前記隣接繊維強化層を除く繊維強化層の層厚み未満であることを特徴とする、サンドイッチ構造体。
  2. 前記隣接繊維強化層の少なくとも一方の層厚み(T1)が0.01mm以上0.20mm以下の範囲であり、前記芯材の少なくとも一方の片面に配置された、前記隣接繊維強化層を含む繊維強化材の合計厚み(T0)が0.02mm以上5mm以下の範囲である請求項1に記載されたサンドイッチ構造体。
  3. 前記芯材の両面に配置される繊維強化材の合計厚みが、サンドイッチ構造体の全体厚みの10%以上50%以下の範囲である請求項1または2に記載のサンドイッチ構造体。
  4. サンドイッチ構造体の見かけ密度が0.10g/cm以上1.5g/cm以下の範囲である請求項1からのいずれかに記載のサンドイッチ構造体。
  5. 前記隣接繊維強化層に含浸されたマトリックス樹脂と、前記隣接繊維強化層を除く繊維強化層に含浸されたマトリックス樹脂が同種類の樹脂である請求項1からのいずれかに記載のサンドイッチ構造体。
  6. 前記隣接繊維強化層が、一方向に引き揃えられた連続した強化繊維(UD)からなる請求項1からのいずれかに記載のサンドイッチ構造体。
  7. X線照射菅電圧60kVにおけるサンドイッチ構造体のアルミ当量(mmAL)とサンドイッチ構造体の全体厚み(mm)の比が0.01mmAL/mm以上0.20mmAL/mm以下の範囲である請求項1からのいずれかに記載のサンドイッチ構造体。
  8. 請求項1からのいずれかに記載のサンドイッチ構造体の製造方法であって、前記芯材の両面に前記繊維強化材を積層して成形型に配置する工程、及び、前記成形型を型締めして加熱・加圧し、前記芯材を圧搾するとともに、前記繊維強化材と、前記芯材表面に含浸したマトリックス樹脂を硬化させる工程を有し、前記芯材の圧搾において、前記芯材の板厚が成形前板厚の60%以上95%以下の範囲となるように圧搾するサンドイッチ構造体の製造方法。
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