以下、添付の図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態において示す構成は一例に過ぎず、本発明は図示された構成に限定されるものではない。
図1は、本実施形態にかかる通信装置102が参加するネットワークの構成を示す。通信装置102はネットワーク101を構築する役割を有するアクセスポイント(Access Point、AP)である。なお、ネットワーク101は無線ネットワークである。本実施形態では、通信装置102が複数のネットワークを構築する場合、各ネットワークのBSSIDは全て同じであるとする。なお、BSSIDはBasic Service Set Identifierの略で、ネットワークを識別するための識別子である。また、通信装置102が各ネットワークにおいて示すSSIDもすべて共通であるとする。なお、SSIDはService Set Identifierの略で、アクセスポイントを識別するための識別子である。本実施形態では通信装置102は複数の接続を確立した場合であっても、1つのSSIDを用いる。
また、通信装置103はネットワーク101に参加する役割を有するステーション(Station、STA)である。各通信装置は、IEEE802.11be(EHT)規格に対応しており、ネットワーク101を介してIEEE802.11be規格に準拠した無線通信を実行することができる。なお、IEEEはInstitute of Electrical and Electronics Engineersの略である。また、EHTは、Extremely High Throughputの略である。なお、EHTは、Extreme High Throughputの略であると解釈してもよい。各通信装置は、2.4GHz帯、5GHz帯、および6GHz帯の周波数帯において通信することができる。各通信装置が使用する周波数帯は、これに限定されるものではなく、例えば60GHz帯のように、異なる周波数帯を使用してもよい。また、各通信装置は、20MHz、40MHz、80MHz、160MHz、および320MHzの帯域幅を使用して通信することができる。
通信装置102および103は、IEEE802.11be規格に準拠したOFDMA通信を実行することで、複数のユーザの信号を多重する、マルチユーザ(MU、Multi User)通信を実現することができる。OFDMA通信とは、Orthogonal Frequency Division Multiple Access(直交周波数分割多元接続)の略である。OFDMA通信では、分割された周波数帯の一部(RU、Resource Unit)が各STAに夫々重ならないように割り当てられ、各STAに割り当てられた搬送波が直交する。そのため、APは複数のSTAと並行して通信することができる。
また、通信装置102および103は、複数の周波数チャネルを介してLinkを確立し、通信するMulti-Link通信を実行する。ここで、周波数チャネルとは、IEEE802.11シリーズ規格に定義された周波数チャネルであって、IEEE802.11シリーズ規格に準拠した無線通信を実行できる周波数チャネルを指す。IEEE802.11シリーズ規格では、2.4GHz帯、5GHz帯、および6GHz帯の各周波数帯に複数の周波数チャネルが定義されている。また、IEEE802.11シリーズ規格では、各周波数チャネルの帯域幅は20MHzとして定義されている。なお、隣接する周波数チャネルとボンディングすることで、1つの周波数チャネルにおいて40MHz以上の帯域幅を利用してもよい。例えば、通信装置102は、通信装置103と2.4GHz帯の第1の周波数チャネルを介した第1のLink104と、5GHz帯の第2の周波数チャネルを介した第2のLink105とを確立し、両方のLinkを介して通信することができる。この場合に、通信装置102は、第1の周波数チャネルを介した第1のLink104と並行して、第2の周波数チャネルを介した第2のLink105を維持する。このように、通信装置102は、複数の周波数チャネルを介したLinkを通信装置103と確立することで、通信装置103との通信におけるスループットを向上させることができる。なお、通信装置102と103とは、Multi-Link通信において、周波数帯の異なるLinkを複数確立してもよい。例えば、通信装置102と103とは、2.4GHz帯における第1の第1のLink104と、5GHz帯における第2の第2のLink105に加えて、6GHz帯における第3のLinkを確立するようにしてもよい。あるいは同じ周波数帯に含まれる複数の異なるチャネルを介してLinkを確立するようにしてもよい。例えば2.4GHz帯における1chを介した第1のLink104と、2.4GHz帯における5chを介した第2のLink105を確立するようにしてもよい。なお、周波数帯が同じLinkと、異なるLinkとが混在していてもよい。例えば、通信装置102と103とは、2.4GHz帯における1chを介した第1のLink104と、2.4GHz帯における5chを介した第2のLink105に加えて、5GHz帯における36chを介した第3のLinkを確立してもよい。通信装置102は、通信装置103と周波数帯の異なる複数の接続を確立することで、ある帯域が混雑している場合であっても、通信装置103と他方の帯域で通信することができるため、通信装置103との通信におけるスループットの低下を防ぐことができる。
Multi-Link通信において、通信装置102と103とが確立する複数のLinkは、少なくともそれぞれの周波数チャネルが異なればよい。なお、Multi-Link通信において、通信装置102と103とが確立する複数のLinkの周波数チャネルのチャネル間隔は、少なくとも20MHzより大きければよい。なお、本実施形態では、通信装置102と103とは第1のLink104と第2のLink105とを確立するとしたが、3つ以上のLinkを確立してもよい。
通信装置102および103はMulti-Link通信として、3つのモードの通信を実行することができる。1つがAsynchronous Mode(Async Mode)であって、このモードでは、Multi-Link通信におけるそれぞれのLinkを介した通信は、非同期で行われる。具体的には第1のLinkを介した通信と、第2のLinkを介した通信とは、それぞれ独立したタイミングで実行される。そのため、第1のLinkも第2のLinkも、他方のLinkが通信を行うタイミングに関わらないタイミングで通信を行うことができる。この場合に、それぞれのLinkで用いられている周波数チャネル(チャネル)同士のチャネル間隔が狭いと、一方のLinkの通信が他方のLinkの通信に影響を与えてしまう。具体的には、Link同士の周波数チャネルが近いと、一方のLinkで行われている通信を他方のLinkがキャリアセンスで検知してしまうため、一方のLinkで通信が行われている間は他方のLinkの通信が実行できなくなってしまう。そのため、Async Modeでは、Link間のチャネル間隔は広くなる。もう1つのモードがSynchronous Mode(Sync Mode)であって、このモードでは、複数のLinkを介した通信は、同期して実行される。具体的には、第1のLinkと第2のLinkとで、同じタイミングで通信を開始する。この場合に、それぞれのLinkを介した通信は同時に開始されるため、一方のLinkの通信を他方のLinkがキャリアセンスすることはないため、それぞれのLinkで用いられるチャネル同士のチャネル間隔は狭くてもよい。また、もう1つもモードがSemi-Asynchronous Mode(Semi-Async Mode)である。このモードでは、ある一方のLinkを介したデータの通信を行う場合に、他のLinkの周波数チャネルが空いている場合は、両方のLinkを介した通信を同期して実行するモードである。例えば、第1のLinkのバックオフカウンタが0になった場合に、第2のLinkの周波数チャネルが空いている場合、第1のLinkと第2のLinkを介した通信を同じタイミングで開始する。この場合に、第2のLinkのバックオフカウンタは0でなくてもよい。なお、第1のLinkのバックオフカウンタが0になった場合に、第2のLinkの周波数チャネルが空いていない場合は、第1のLinkを介した通信のみを開始し、第2のLinkを介した通信は開始しない。本モードでは、複数のLinkを介した通信を並行して行う場合、それぞれのLinkを介した通信は同時に開始されるため、それぞれのLinkで用いられるチャネルの間隔は狭くてもよい。通信装置102および103は、確立した複数のLinkのチャネル間隔に基づいて、Multi-Link通信で用いるモードを選択してもよい。
Multi-link通信を行う場合、通信装置102と103の少なくとも一方は、あるLinkを介したデータの送信と、他のLinkを介したデータの受信とを同時に実行できる装置である。あるいは、通信装置102と103の少なくとも一方は、あるLinkを介したデータの送信を行う場合は、他のLinkを介したデータの送信のみを同時に実行できる装置であってもよい。あるいは、通信装置102と103との少なくとも一方は、あるLinkを介したデータの受信を行う場合は、他のLinkを介したデータの受信のみを同時に実行できる装置であってもよい。あるいは、通信装置102と103の少なくとも一方は、複数のLinkを同時に維持できるが、あるLinkを介したデータの通信を行う場合は、他のLinkを介したデータの通信は同時には実行できない装置であってもよい。なお、このような通信装置は、Sync ModeまたはSemi-Async Modeには対応していないものとする。
Multi-Link通信を行う場合、通信装置102と103とは、1つのデータを分割して複数のLinkを介して相手装置に送信する。あるいは通信装置102と103とは、複数のLinkのそれぞれを介して同じデータを送信することで、一方のLinkを介した通信を、他方のLinkを介した通信に対するバックアップの通信としてもよい。具体的には、通信装置102が、第1の周波数チャネルを介した第1のLinkと第2の周波数チャネルを介した第2のLinkとを介して同じデータを通信装置103に送信するとする。この場合に、例えば第1のLinkを介した通信においてエラーが発生しても、第2のLinkを介して同じデータを送信しているため、通信装置103は通信装置102から送信されたデータを受信することができる。あるいは、通信装置102と103とは、通信するフレームの種類やデータの種類に応じてLinkを使い分けてもよい。通信装置102は、例えばマネジメントフレームは第1のLinkを介して送信し、データを含むデータフレームは第2のLinkを介して送信するようにしてもよい。なお、マネジメントフレームとは、具体的にはBeaconフレームや、Probe Requestフレーム/Responseフレーム、Association Requestフレーム/Responseフレームを指す。また、これらのフレームに加えて、Disassociationフレーム、Authenticationフレームや、De-Authenticationフレーム、Actionフレームも、マネジメントフレームと呼ばれる。Beaconフレームは、ネットワークの情報を報知するフレームである。また、Probe Requestフレームとはネットワーク情報を要求するフレームであり、Probe Responseフレームはその応答であって、ネットワーク情報を提供するフレームである。Association Requestフレームとは、接続を要求するフレームであり、Association Responseフレームはその応答であって、接続を許可やエラーなどを示すフレームである。Disassociationフレームとは、接続の切断を行うフレームである。Authenticationフレームとは、相手装置を認証するフレームであり、De-Authenticationフレームは相手装置の認証を中断し、接続の切断を行うフレームである。Actionフレームとは、上記以外の追加の機能を行うためのフレームである。通信装置102および103は、IEEE802.11シリーズ規格に準拠したマネジメントフレームを送受信する。あるいは、通信装置102は、例えば撮像画像に関するデータを送信する場合、日付や撮像時のパラメータ(絞り値やシャッター速度)、位置情報などのメタ情報は第1のLinkを介して送信し、画素情報は第2のLinkを介して送信するようにしてもよい。
また、通信装置102および103はMIMO(Multiple-Input And Multiple-Output)通信を実行できてもよい。この場合、通信装置102および103は複数のアンテナを有し、一方がそれぞれのアンテナから異なる信号を同じ周波数チャネルを用いて送る。受信側は、複数のアンテナを用いて複数ストリームから到達したすべての信号を同時に受信し、各ストリームの信号を分離し、復号する。このように、MIMO通信を実行することで、通信装置102および103は、MIMO通信を実行しない場合と比べて、同じ時間でより多くのデータを通信することができる。また、通信装置102および103は、Multi-Link通信を行う場合に、一部のLinkにおいてMIMO通信を実行してもよい。
なお、通信装置102および103は、IEEE802.11be規格に対応するとしたが、これに加えて、IEEE802.11be規格より前の規格であるレガシー規格の少なくとも何れか一つに対応していてもよい。レガシー規格とは、IEEE802.11a/b/g/n/ac/ax規格のことである。なお、本実施形態では、IEEE802.11a/b/g/n/ac/ax/be規格の少なくとも何れか一つを、IEEE802.11シリーズ規格と呼ぶ。また、IEEE802.11シリーズ規格に加えて、Bluetooth(登録商標)、NFC、UWB、Zigbee、MBOAなどの他の通信規格に対応していてもよい。なお、UWBはUltra Wide Bandの略であり、MBOAはMulti Band OFDM Allianceの略である。なお、OFDMはOrthogonal Frequency Division Multiplexingの略である。また、NFCはNear Field Communicationの略である。UWBには、ワイヤレスUSB、ワイヤレス1394、Winetなどが含まれる。また、有線LANなどの有線通信の通信規格に対応していてもよい。
通信装置102の具体例としては、無線LANルーターやPCなどが挙げられるが、これらに限定されない。通信装置102は、他の通信装置とMulti-Link通信を実行することができる通信装置であれば何でもよい。また、通信装置102は、IEEE802.11be規格に準拠した無線通信を実行することができる無線チップなどの情報処理装置であってもよい。また、通信装置103の具体的な例としては、カメラ、タブレット、スマートフォン、PC、携帯電話、ビデオカメラなどが挙げられるが、これらに限定されない。通信装置103は、他の通信装置とMulti-Link通信を実行することができる通信装置であればよい。また、通信装置103は、IEEE802.11be規格に準拠した無線通信を実行することができる無線チップなどの情報処理装置であってもよい。また、図1のネットワークは1台のAPと1台のSTAによって構成されるネットワークであるが、APおよびSTAの台数はこれに限定されない。なお、無線チップなどの情報処理装置は、生成した信号を送信するためのアンテナを有する。
図2に、本実施形態における通信装置102のハードウェア構成を示す。通信装置102は、記憶部201、制御部202、機能部203、入力部204、出力部205、通信部206およびアンテナ207を有する。
記憶部201は、ROMやRAM等の1以上のメモリにより構成され、後述する各種動作を行うためのコンピュータプログラムや、無線通信のための通信パラメータ等の各種情報を記憶する。ROMはRead Only Memoryの、RAMはRandom Access Memoryの夫々略である。なお、記憶部201として、ROM、RAM等のメモリの他に、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、DVDなどの記憶媒体を用いてもよい。また、記憶部201が複数のメモリ等を備えていてもよい。
制御部202は、例えば、例えばCPUやMPU等の1以上のプロセッサにより構成され、記憶部201に記憶されたコンピュータプログラムを実行することにより、通信装置102全体を制御する。なお、制御部202は、記憶部201に記憶されたコンピュータプログラムとOS(Operating System)との協働により、通信装置102全体を制御するようにしてもよい。また、制御部202は、他の通信装置との通信において送信するデータや信号(無線フレーム)を生成する。なお、CPUはCentral Processing Unitの、MPUは、Micro Processing Unitの略である。また、制御部202がマルチコア等の複数のプロセッサを備え、複数のプロセッサにより通信装置102全体を制御するようにしてもよい。
また、制御部202は、機能部203を制御して、無線通信や、撮像、印刷、投影等の所定の処理を実行する。機能部203は、通信装置102が所定の処理を実行するためのハードウェアである。
入力部204は、ユーザからの各種操作の受付を行う。出力部205は、モニタ画面やスピーカーを介して、ユーザに対して各種出力を行う。ここで、出力部205による出力とは、モニタ画面上への表示や、スピーカーによる音声出力、振動出力などであってもよい。なお、タッチパネルのように入力部204と出力部205の両方を1つのモジュールで実現するようにしてもよい。また、入力部204および出力部205は、夫々通信装置102と一体であってもよいし、別体であってもよい。
通信部206は、IEEE802.11be規格に準拠した無線通信の制御を行う。また、通信部206は、IEEE802.11be規格に加えて、他のIEEE802.11シリーズ規格に準拠した無線通信の制御や、有線LAN等の有線通信の制御を行ってもよい。通信部206は、アンテナ207を制御して、制御部202によって生成された無線通信のための信号の送受信を行う。なお、通信装置102が、IEEE802.11be規格に加えて、NFC規格やBluetooth規格等に対応している場合、これらの通信規格に準拠した無線通信の制御を行ってもよい。また、通信装置102が複数の通信規格に準拠した無線通信を実行できる場合、夫々の通信規格に対応した通信部とアンテナを個別に有する構成であってもよい。通信装置102は通信部206を介して、画像データや文書データ、映像データ等のデータを通信装置103と通信する。なお、アンテナ207は、通信部206と別体として構成されていてもよいし、通信部206と合わせて一つのモジュールとして構成されていてもよい。
アンテナ207は、2.4GHz帯、5GHz帯、および6GHz帯における通信が可能なアンテナである。本実施形態では、通信装置102は1つのアンテナを有するとしたが、周波数帯ごとに異なるアンテナを有していてもよい。また、通信装置102は、アンテナを複数有している場合、各アンテナに対応した通信部206を有していてもよい。
なお、通信装置103は通信装置102と同様のハードウェア構成を有する。
図3には、本実施形態における通信装置102の機能構成を示す。通信装置102は、Multi-Link通信の能力情報生成部301、Multi-Link通信の運用情報決定部302、および接続処理部304で構成される。また、通信装置102は、これらに加えて、MAC(Media Access Control、媒体アクセス制御)フレーム生成部305とデータ送受信部306で構成される。
能力情報生成部301は、通信装置102のMulti-Link通信に関する能力情報を生成するブロックである。通信装置102は、自装置のMulti-Link通信に関する能力を他の通信装置に通知するための能力情報を生成する。Multi-Link通信に関する能力情報については、後述の図5で説明する。なお、能力情報については、自装置の能力情報を他の通信装置に通知してもよいし、あるいは他の通信装置から相手装置の能力情報を受信するだけでもよい。
運用情報決定部302は、自装置および相手装置のMulti-Link通信に関する能力情報に基づいて、相手装置とのMulti-Link通信に関する運用情報を決定するブロックである。Multi-Link通信に関する運用情報とは、通信装置102と103との間のMulti-Link通信として実行する通信で使用する周波数チャネルや帯域幅などのことを指す。なお、Multi-Link通信に関する運用情報の詳細については、後述の図5で説明する。運用情報については、決定した運用情報を相手装置に通知してもよいし、しなくてもよい。
接続処理部304は、通信装置102が構築したネットワーク101にSTAである通信装置103を参加させるための処理を行うブロックである。具体的には接続処理部304は、通信装置102に、通信装置103から受信した接続要求であるAssociation Requestに対する応答として、Association Responseフレームを送信させる。通信装置102は、自装置が確立する複数のLinkのそれぞれに対応する接続処理部304を有する。
MACフレーム生成部305は、能力情報生成部301で生成したMulti-Link通信に関する能力情報や、運用情報決定部302で決定したMulti-Link通信に関する運用情報を示す情報を含むMACフレームを生成するブロックである。MACフレーム生成部305によって生成されたMACフレームは、Beacon、Probe Response、およびAssociation Responseの少なくとも何れかの無線フレームに含まれて送信される。これに加えて、あるいは代えて、生成されたMACフレームは、Reassociation Responseに含まれて送信される。MACフレーム生成部305が生成するMACフレームに含まれる能力情報や運用情報は、後述の図5で示したElementによって示される。
データ送受信部306は、運用情報決定部302によって決定されたMulti-Link通信に関する運用情報に基づいて、Multi-Link通信におけるデータフレームの送受信を行うブロックである。なお、データ送受信部306は、MACフレーム生成部305によって生成されたMACフレームを含む無線フレームの送信および相手装置からの無線フレームの受信を行ってもよい。
なお、通信装置103は通信装置102と同様の機能構成を有するが、以下の点が異なる。
通信装置103は、運用情報決定部302に代えて、要求情報決定部302を有する。自装置および相手装置のMulti-Link通信に関する能力情報に基づいて、相手装置とのMulti-Link通信に関する要求情報を決定するブロックである。Multi-Link通信に関する要求情報とは、通信装置102と103との間のMulti-Link通信として実行する通信で使用することを要求する周波数チャネルや帯域幅などのことを指す。なお、Multi-Link通信に関する要求情報の詳細については、後述の図5で説明する。要求情報については、決定した要求情報を相手装置に通知してもよいし、しなくてもよい。
接続処理部304は、通信装置103がAPである通信装置102によって構築されたネットワーク101に参加するための処理を行うブロックである。具体的には、接続処理部304は、通信装置103に、通信装置102に対して接続要求であるAssociation Requestを送信させ、通信装置102から応答としてAssociation Responseを受信させる。
また、MACフレーム生成部305は、能力情報生成部301で生成したMulti-Link通信に関する能力情報や、要求情報決定部302で決定したMulti-Link通信に関する要求情報を示す情報を含むMACフレームを生成するブロックである。MACフレーム生成部305によって生成されたMACフレームは、Probe Request、Association Request、およびReassociation Requestの少なくとも何れかの無線フレームに含まれて送信される。MACフレーム生成部305が生成するMACフレームに含まれる能力情報や要求情報は、後述の図5で示したElementによって示される。
図4には通信装置102と通信装置103とがMulti-Link通信を行う場合に実行する処理の一例を示すシーケンス図を示した。
通信装置102および103は、内部的に複数のLinkのそれぞれに対応する接続処理部304を有している。通信装置102のAP1は1つ目のLink用、AP2は2つ目のLink用の接続処理部304である。また、通信装置103のSTA1は1つ目のLink用、STA2は2つ目のLink用の接続処理部304を示している。STA1およびAP1は第1の周波数チャネル(例えば2.4GHz帯の1ch)を介した通信の処理を行う。STA2およびAP2は第2の周波数チャネル(例えば5GHz帯の36ch)を介した通信の処理を行う。
本シーケンスの処理は、通信装置102および103のそれぞれの電源が投入されたことに応じて開始される。あるいは、通信装置102および103の少なくとも一方は、ユーザまたはアプリケーションからMulti-Link通信の開始を指示されたことに応じて開始してもよい。あるいは通信装置102および103の少なくとも一方は、相手装置と通信したいデータのデータ量が所定の閾値以上となったことに応じて開始してもよい。
まず、通信装置102は、第1の周波数チャネルにおいて、自装置のネットワーク情報を含むBeaconを送信することで、該ネットワーク情報を周囲のSTAへ報知する(S401)。ネットワーク情報とは具体的には、通信装置102がビーコンを送信する送信間隔や、通信装置102のSSIDである。これに加えて、通信装置102は後述の図5で示すMulti-Link Capability Elementをネットワーク情報としてBeaconに含めることで、通信装置102のMulti-Link通信に関する能力情報を報知してもよい。
通信装置103は、第1の周波数チャネルにおいて送信されている通信装置102のBeaconを受信すると、通信装置102のネットワーク情報を問い合わせるために、Probe Requestを第1の周波数チャネルにおいて送信する(S402)。Probe Requestには、通信装置103のSSIDが含まれる。また、これに加えて、通信装置103は後述の図5で示すMulti-Link Capability ElementをProbe Requestに含めることで、通信装置103のMulti-Link通信に関する能力情報を通知してもよい。
通信装置102は、Probe Requestを受信すると、応答としてProbe Responseを、第1の周波数チャネルにおいて通信装置103に送信する(S403)。通信装置102は、Beaconに図5で示したMulti-Link Capability Elementを含めなかった場合、該ElementをProbe Responseに含めて送信する。あるいは、通信装置102は、後述の図5で示すMulti-Link Capability Elementに含まれる情報のうち、一部のみをBeaconに含め、残りの情報またはすべての情報をProbe Responseに含めるようにしてもよい。
S401~S403の処理を行うことで、通信装置102と103とは、それぞれのMulti-Link通信に関する能力情報を交換することができる。
次に、通信装置103は、通信装置102に接続要求であるAssociation Requestを第1の周波数チャネルにおいて送信する。この場合に、通信装置103は、図5で示すMulti-Link Capability ElementをAssociation Requestに含めることで、通信装置103のMulti-Link通信に関する能力情報を通知してもよい。なお、通信装置103は、S401またはS403の少なくとも一方で取得した通信装置102のMulti-Link通信に関する能力情報に基づいて、S404で送信する能力情報を決定してもよい。例えば、通信装置103がMulti-Link通信において、2.4GHz帯と5GHz帯とにおけるLinkを組み合わせることができる場合であっても、通信装置102が2.4GHz帯内の複数Linkのみしか対応していないとする。この場合、通信装置103は、本ステップで送信する能力情報として、2.4GHz帯における複数Linkの確立に関する能力情報のみを送信してもよい。また、本実施形態では、通信装置103はS402において自装置のMulti-Link通信に関する能力情報を送信するとしたが、これに限らずS402では能力情報を送信せず、本ステップでのみ送信するようにしてもよい。あるいは、通信装置103は、Association Requestに、図5で示すMulti-Link Capability Elementを含めることで、能力情報ではなく、Multi-Link通信を行う際に要求する要求情報を送信してもよい。通信装置103が要求する要求情報は、図5のMulti-Link Capability Elementによって示されてもよいし、別のElementによって示されてもよい。要求情報の詳細は後述の図5で説明する。
通信装置102は、Association Requestを受信すると、応答としてAssociation Responseを、第1の周波数チャネルにおいて通信装置103に送信する(S405)。ここで送信されるAssociation Responseには、通信装置102が決定した、通信装置103とのMulti-Link通信を行う際の運用情報を示すMulti-Link Capability Elementが含まれる。なお、運用情報はMulti-Link Capability Elementとは異なるElementによって示されてもよい。また、S404においてSTAである通信装置103が要求する運用情報を含めたAssociation Requestを送信していた場合、通信装置102は該要求に対する可否のみを含むAssociation Responseを送信してもよい。
Association Responseに含まれた運用情報によるMulti-Link通信を通信装置103が実行可能な場合、通信装置102と103とは、第1の周波数チャネルを介したLinkを確立し、データ通信を開始する(S406)。また、この場合に、通信装置102が送信した運用情報に、第2の周波数チャネルを介したLinkの運用情報が含まれていた場合、通信装置102と103とは第2の周波数チャネルを介したLinkも確立し、データ通信を開始する(S407)。
なお通信装置102が通信装置103にS404で要求された要求情報に対して、S405で許可を示した場合も同様にS406の処理が行われる。また、S404で通信装置103が送信した要求情報に、第2の周波数チャネルを介したLinkに関する要求情報も含まれていた場合、S407の処理が行われる。
本実施形態では、1つの周波数チャネルにおけるフレームの送受信によって、2つのLinkが確立されたが、これに限らず、3つ以上のLinkが確立されてもよい。
また、本実施形態では、通信装置102と103との間に、まだLinkが確立されていない状態からMulti-Link通信を開始する場合を示したが、これに限らない。通信装置102と103とは、既に確立しているLinkに加えて、新たなLinkを確立することで、Multi-Link通信を開始してもよい。この場合、STAである通信装置103は、APである通信装置102のMulti-Link通信に関する能力情報を取得済みの場合、S404の処理から開始してもよい。あるいは、通信装置102は通信装置103のMulti-Link通信に関する能力情報を取得済みの場合、通信装置103にAssociation Requestを送信させる信号を送信することで、S404の処理から開始できるようにしてもよい。あるいは、通信装置102と103とは、既に確立している複数のLinkに加えて、新たにLinkを確立してもよい。この場合も、図4のシーケンスはS404から開始されてもよい。
また、本実施形態では、1つの周波数チャネルにおけるフレームの送受信によって、複数の周波数チャネルを介したLinkを確立する場合を示したが、これに限らない。通信装置102と103とは、Multi-Link通信を実行する場合に、1つの周波数チャネルを介したフレームの送受信によって、既に確立されている複数の周波数チャネルを介したLinkを切断してもよい。例えば、通信装置102と103とが、第1の周波数チャネルを介した第1のLinkと、第2の周波数チャネルを介した第2のLinkとを確立し、Multi-Link通信を実行しているとする。この場合に、通信装置102または103の何れか一方が、Linkの切断要求であるDisassociationを第1のLinkを介して相手装置に送信したとする。送信されたDisassociationに、第2のLinkに関する情報が含まれていた場合、通信装置102と103とは、第1のLinkだけでなく、第2のLinkも切断する。このように、通信装置102と103とは、Disassociationの送受信によって、Disassociationが送受信されたLinkだけでなく、Disassociationに含まれる情報が示す他のLinkも切断してもよい。なお、通信装置102と103とは同時に3つ以上のLinkを切断してもよい。また、通信装置102と103とは、Disassociationに、Disassociationが送受信されたLinkと異なる別のLinkに関する情報が含まれていた場合、該別のLinkのみを切断してもよい。この場合、通信装置102と103とは、Disassociationが送受信されたLinkは切断しない。
以上、図4に示したように、通信装置102と103とは、ある周波数チャネル(あるいはLink)を介したフレームの送受信によって、他の周波数チャネルにおけるLinkの確立や切断を制御することができる。また、通信装置102と103とは、ある周波数チャネル(またはLink)を介したフレームの送受信によって、複数の周波数チャネルにおけるLinkの確立または切断を制御することができる。
図5には、Multi-Link Capability Elementのフレームフォーマットの一例を示す図である。なお、本実施形態では、図5に示したElementの名称をMulti-Link Capability Elementとしているが、これに限らず、例えばMulti-Link Elementなど、他の名称であってもよい。
通信装置102および103は、図5に示したMulti-Link Capability Elementを用いることで、自装置のMulti-Link通信における能力を示す能力情報を相手装置に通知することができる。また、通信装置102は図5に示したMulti-Link Capability Elementを用いることで、能力情報に加えて、あるいは代えて、Multi-Link通信を行う際の運用情報を相手装置に通知することができる。また、通信装置103は図5に示したMulti-Link Capability Elementを用いることで、能力情報に加えて、あるいは代えて、Multi-Link通信を行う際の要求情報を相手装置に通知することができる。
図5に示したMulti-Link Capability Elementは、Element ID501、Length502、およびML(Multi-Link) Capabilities503を含んで構成される。Element ID501は、Information Elementを識別するための識別子であって、本実施形態では、Multi-Link Capability Elementを示す識別子が含まれる。Length502は、Elementのデータ長を示すフィールドであって、本実施形態ではML Capabilities503のデータ長を示す情報が含まれる。ML Capabilities503は、Multi―Link Capability Element固有の情報であって、Multi-Link通信に関する情報が含まれる。ML Capabilities503に含まれる情報の詳細については後述する。
なお、通信装置102および103は、図5で示したMulti―Link Capability Elementを、Element ID501から順に生成し、他の通信装置に送信する。この場合に通信装置102および103は、フレーム内のすべてのフィールドを生成してから送信する。具体的には、通信装置102および103は、Element ID501、Length502、およびML Capabilities503のすべてを生成してから他の通信装置に送信する。あるいは、通信装置102および103は、フィールドの生成と並行して送信を行ってもよい。具体的には通信装置102および103は、例えば生成したElement ID501の送信と並行してLength502の送信を行ってもよい。
APである通信装置102は、Beacon、Probe Responseといった無線フレームにMulti―Link Capability Elementを含むMACフレームを付加して送信する。また、通信装置102は、これらの無線フレームに加えて、Association ResponseやReassociation Responseといった無線フレームにも本Elementを含むMACフレームを付加することができる。STAである通信装置103は、Probe Request、Association Requestといった無線フレームにMulti―Link Capability Elementを含むMACフレームを付加して送信する。また、通信装置103は、これらの無線フレームに加えて、Reassociation Requestにも本Elementを含むMACフレームを付加することができる。
ML Capabilities503は、Common Info511、Per Band Info512およびPer Link Info513を含んで構成される。Common Info511は、すべての周波数帯とLinkに共通の情報を示すフィールドである。Per Band Info512は、特定の周波数帯に含まれる全Linkに共通の情報を示すフィールドであって、周波数帯ごとに示される情報である。Per Link Info513は、Linkごとの情報を示すフィールドである。
Common Info511は、Primary Ch521、Sync Mode Support522、Async Mode Support523、およびSemi-Async Mode Support528を含んで構成される。Common Info511は、さらに、Total Max Link Number524、Band Combination Info525、およびPer Band Info Number526を含んで構成される。Common Info511は、さらに、Per Link Info Number527、およびDevice Type529を含んで構成される。
Primary CH521は、Multi-Link通信に関するマネジメントフレームの送受信を行う周波数チャネルを示す情報が含まれるフィールドである。Primary CHとは、Multi-Link通信におけるLinkの接続や切断を行う際にマネジメントフレームの送受信を行う際に利用される周波数チャネルのことである。具体的には、Multi―Link Capability Elementが含まれるBeaconなどの送受信を行う周波数チャネルを示す情報が含まれる。APである通信装置102は、Multi―Link Capability Elementを含めたBeaconを送信する際に利用する周波数チャネルを示す情報を含める。STAである通信装置103は、Multi―Link Capability Elementが含まれるBeaconを受信した(つまり、該Elementを含めたProbe Requestを送信する)周波数チャネルを示す情報を含める。本実施形態では、図4でBeaconやProbe Request/Responseの送受信を行った第1の周波数チャネルを示す情報が含まれる。なお、通信装置102と103とがMulti-Link通信を開始後、マネジメントフレームの送受信を行う周波数チャネルが変更された場合、Primary CH521には変更に応じた周波数チャネルの情報が含まれる。なお、Primary CH521には、該Elementによって能力情報、運用情報、あるいは要求情報の何れを示す場合であっても、マネジメントフレームの送受信が行われる周波数チャネルを示す情報が含まれる。
Sync Mode Support522は、該Elementを送信する通信装置102または103が、Multi-Link通信のSync Modeをサポートするか否かを示す能力情報が含まれるフィールドである。例えば本フィールドに0が含まれる場合、該Elementの送信装置はSync Modeをサポートせず、1が含まれる場合にはSync Modeをサポートすることを示す。
なお、Multi―Link Capability Elementによって運用情報を示す場合、Sync Mode Support522によって、Multi-Link通信のSync Modeを実行するか否かが示されてもよい。例えば、通信装置102が本Elementを含めたAssociation Responseを送信する場合、本フィールドでは本associationのやり取りによって確立されるLinkの通信においてSync Modeを実行するか否かが示される。この場合、例えば本フィールドに0が含まれる場合、Sync ModeでのMulti-Link通信を実行しないことを示し、本フィールドに1が含まれる場合、Sync ModeでのMulti-Link通信を実行することを示す。
あるいは、Multi―Link Capability Elementによって要求情報を示す場合、Sync Mode Support522によって、Multi-Link通信のSync Modeの実行を要求するか否かが示されてもよい。例えば、STAである通信装置103が本Elementを含めたAssociation Requestを送信する場合、本フィールドでは、通信装置103がMulti-Link通信におけるSync Modeの実行を要求するか否かが示される。例えば本フィールドに0が含まれる場合、Sync ModeでのMulti-Link通信の実行を要求しないことを示し、本フィールドに1が含まれる場合、Sync ModeでのMulti-Link通信の実行を要求することを示す。
Async Mode Support523は、該Elementを送信する通信装置102または103が、Multi-Link通信のAsync Modeをサポートするか否かを示す能力情報が含まれるフィールドである。例えば本フィールドに0が含まれる場合には、該Elementの送信装置はAsync Modeをサポートせず、本フィールドに1が含まれる場合にはAsync Modeをサポートすることを示す。
なお、Multi―Link Capability Elementによって運用情報を示す場合、Async Mode Support523によって、Multi-Link通信のAsync Modeを実行するか否かが示されてもよい。例えば、通信装置102が本Elementを含めたAssociation Responseを送信する場合、本フィールドでは本associationのやり取りによって確立されるLinkにおいてAsync Modeを実行するか否かが示される。この場合、例えば本フィールドに0が含まれる場合、Async ModeでのMulti-Link通信を実行しないことを示し、本フィールドに1が含まれる場合、Async ModeでのMulti-Link通信を実行することを示す。なお、該Elementによって運用情報を示す場合、前述のSync Mode Support522によって、Sync Modeを実行することが示された場合は、本フィールドではAsync Modeを実行しないことを示すようにする。同様に、Sync Mode Support522によって、Sync Modeを実行しないことが示された場合は、Async Mode Support523ではAsync Modeを実行することを示すようにする。
あるいは、Multi―Link Capability Elementによって要求情報を示す場合、Async Mode Support523によって、Multi-Link通信のAsync Modeの実行を要求するか否かが示されてもよい。例えば、STAである通信装置103が本Elementを含めたAssociation Requestを送信する場合、本フィールドでは、通信装置103がMulti-Link通信におけるAsync Modeの実行を要求するか否かが示される。例えば本フィールドに0が含まれる場合、Async ModeでのMulti-Link通信の実行を要求しないことを示し、本フィールドに1が含まれる場合、Async ModeでのMulti-Link通信の実行を要求することを示す。
Semi-Async Mode Support528は、該Elementを送信する通信装置102または103が、Multi-Link通信のSemi-Async Modeをサポートするか否かを示す能力情報が含まれるフィールドである。例えば本フィールドに0が含まれる場合、該Elementの送信装置はSemi-Async Modeをサポートせず、1が含まれる場合にはSemi-Async Modeをサポートすることを示す。
なお、Multi―Link Capability Elementによって運用情報を示す場合、本フィールドによって、Multi-Link通信のSemi-Async Modeを実行するか否かが示されてもよい。例えば、通信装置102がAssociation Responseを送信する場合、本フィールドでは本associationのやり取りによって確立されるLinkの通信においてSemi-Async Modeを実行するか否かが示される。例えば本フィールドに0が含まれる場合、Semi-Async ModeでのMulti-Link通信を実行しないことを示す。また例えば、本フィールドに1が含まれる場合、Semi-Async ModeでのMulti-Link通信を実行することを示す。
あるいは、Multi―Link Capability Elementによって要求情報を示す場合、本フィールドによって、Multi-Link通信のSemi-Async Modeの実行を要求するか否かが示されてもよい。例えば、STAである通信装置103がAssociation Requestを送信する場合、本フィールドでは、通信装置103がMulti-Link通信におけるSemi-Async Modeの実行を要求するか否かが示される。例えば本フィールドに0が含まれる場合、Semi-Async ModeでのMulti-Link通信の実行を要求しないことを示す。また、例えば、本フィールドに1が含まれる場合、Semi-Async ModeでのMulti-Link通信の実行を要求することを示す。
なお、通信装置102と103とがMulti-link通信を行う場合に、Sync Modeと、Async Modeと、Semi-Async Modeとの、何れを利用するかが予め設定されている場合、これらのフィールドは省略されてもよい。具体的には、Sync Mode Support522、Async Mode Support523、およびSemi-Async Mode Support528は省略されてもよい。
Total Max Link Number524は、該Elementを送信する通信装置102または103がMulti-Link通信においてサポートする最大のLink数を示す能力情報が含まれるフィールドである。なお、最大のLink数とは、該Elementの送信装置が1台の相手装置との間で確立可能なLinkの最大値である。例えば本フィールドに値として3が含まれていた場合、該Elementの送信装置は1台の相手装置あたり最大で3つまでLinkを確立できることが示される。この場合、該Elementの送信装置は、1台の相手装置と3つのLinkを維持しているのと並行して、別の相手装置とさらに複数のLinkを維持してもよい。あるいは、最大のLink数とは、該Elementの送信装置が、相手装置に関わらず、Multi-Link通信において確立可能なLinkの最大値を示してもよい。この場合例えば本フィールドに値として3が含まれており、該Elementの送信装置が相手装置と3つのLinkを確立している場合、送信装置は相手装置に関わらず、これ以上のLinkを確立することはできない。APである通信装置102およびSTAである通信装置103は、それぞれ自装置がMulti-Link通信において同時に維持できるLink数の最大値を示す情報を本フィールドに含める。
なお、Multi―Link Capability Elementによって運用情報を示す場合、本フィールドでは、Multi-Link通信において実際に確立するLink数を含めてもよい。例えば、APである通信装置102が本Elementを含めたAssociation Responseを送信する場合、本フィールドでは、本associationのやり取りによって確立されるLinkの数が示される。あるいは、通信装置103とのMulti-Link通信において確立できるLink数の最大値を含めるようにしてもよい。この場合、Total Max Link Number524には、自装置がMulti-Link通信において確立できるLink数の最大値と、相手装置が確立できるLink数の最大値との何れか小さい値以下の値が含まれる。
あるいは、Multi―Link Capability Elementによって要求情報を示す場合、本フィールドでは、Multi-Link通信において確立を要求するLink数を含めてもよい。例えば、STAである通信装置103が本Elementを含めたAssociation Requestを送信する場合、本フィールドでは、通信装置103が通信装置102に確立を要求するLinkの数が示される。あるいは、通信装置102とのMulti-Link通信において確立できるLink数の最大値を含めるようにしてもよい。なお、Multi―Link Capability Elementによって運用情報あるいは要求情報を示す場合、本フィールドは省略されてもよい。
Band Combination Info525は、該Elementを送信する通信装置102または103が、Multi-Link通信時にサポートする周波数帯を示す能力情報が含まれるフィールドである。表1には、本フィールドの各ビットで示される情報の一例を示した。表1では、ビット毎に何れの周波数帯またはどのような周波数帯の組み合わせをサポートするかを示すようにした。本実施形態では、該当のビットに0が含まれている場合、そのビットが示す内容でのMulti-Link通信には対応しておらず、1が含まれている場合、そのビットが示す内容でのMulti-Link通信に対応していることを示す。例えば、通信装置102が送信したBand Combination Info525において、ビット0に1が含まれていた場合、通信装置102が2.4GHz帯における異なるチャネルでのMulti-Link通信に対応していることを示す。また、例えばBand Combination Info525の値が0000111000であった場合、通信装置102は、周波数帯が異なる複数のLinkを用いたMulti-Link通信に対応していることを示す。この場合に、通信装置102は、周波数帯が同じ複数のLinkを用いたMulti-Link通信には対応していないことが示される。また、Band Combination Info525のすべてのビットを0にすることで、Multi―Link Capability Elementの送信装置が、Multi-Link通信に対応していないことを示してもよい。あるいは、該Elementの送信装置が、現在Multi-Link通信を実行できない状態であることを示すようにしてもよい。なお、通信装置102と103とは、それぞれ1つのLinkのみの通信においてサポートする周波数帯と、Multi-Link通信においてサポートする周波数帯が異なってもよい。例えば、通信装置102および103は、1つのLinkのみの通信においては、2.4GHz、5GHzおよび6GHzのすべてをサポートするが、Multi-Link通信においては5GHzと6GHzのみをサポートしてもよい。なお、Band Combination Info525の各ビットとその内容との対応関係は、表1に示す限りではない。また、Band Combination Info525のビット数を増やすことで、より多くの周波数帯の組み合わせ、あるいは別の周波数帯における複数Link確立の可否を示せるようにしてもよい。
なお、Multi―Link Capability Elementによって運用情報を示す場合、本フィールドでは、Multi-Link通信において実際に利用する周波数帯を示すようにしてもよい。例えば、APである通信装置102が本Elementを含めたAssociation Responseを送信する場合、本フィールドでは、本associationのやり取りによって確立されるLinkの周波数帯を示す情報が含まれる。例えば通信装置102と103とが、2.4GHzのLinkと5GHzのLinkを確立する場合、Band Combination Info525の値は00001000となる。
あるいは、Multi―Link Capability Elementによって要求情報を示す場合、本フィールドでは、Multi-Link通信において利用を要求する周波数帯を示すようにしてもよい。例えば、STAである通信装置103が本Elementを含めたAssociation Requestを送信する場合、本フィールドでは、通信装置103が通信装置102にMulti-Link通信の実行を要求する周波数帯が示される。なお、該Elementによって運用情報や要求情報を示す場合であっても、本フィールドには、該Elementの送信装置がMulti-Link通信においてサポートする周波数帯を示す能力情報を含めるようにしてもよい。
Per Band Info Number526は、後述のPer Band Info512に含まれるPer Band Infoの数を示す情報が含まれるフィールドである。Per Band Info512には、Multi-Link Capability Elementを送信する通信装置102または103がMulti-Link通信においてサポートする周波数帯ごとにPer Band Infoのセットが含まれる。具体的には、Band Combination Info525で示された周波数帯の数と同じ数を示す情報が含まれる。なお、後述のPer Band Info512において、複数の周波数帯の情報を共通のPer Band Infoで示す場合は、この限りではない。また、後述のPer Band Info512が省略される場合、本フィールドも省略される。
Per Link Info Number527は、後述のPer Link Info513に含まれるPer Link Infoの数を示す情報が含まれるフィールドである。Per Link Info513には、Multi-Link Capability Elementを送信する通信装置102または103がMulti-Link通信においてサポートするLinkごとにPer Link Infoのセットが含まれる。後述のPer Link Info513が省略される場合、本フィールドも省略される。
Device Type529は、該Elementを送信する通信装置102または103が、Multi-link通信においてどのようなタイプの装置であるかを示す能力情報が含まれるフィールドである。具体的には、該Elementの送信装置が、以下の4つのタイプのうち、いずれのタイプの装置であるかを示す情報が含まれる。第1のタイプの装置とは、Multi-link通信において、あるLinkを介したデータの送信と、他のLinkを介したデータの受信とを同時に実行できる装置である。第2のタイプの装置とは、あるLinkを介したデータの送信を行う場合に、他のLinkを介したデータの送信のみを同時に実行できる装置である。第3のタイプの装置とは、あるLinkを介したデータの受信を行う場合に、他のLinkを介したデータの受信のみを同時に実行できる装置である。また、第4のタイプの装置とは、複数のLinkを同時に維持できるが、あるLinkを介したデータの通信を行う場合は、他のLinkを介したデータの通信は同時には実行できない装置である。
なお、Multi―Link Capability Elementによって運用情報を示す場合、Device Type529によって、Multi-Link通信において両方の装置がいずれのタイプの装置として動作するかが示されてもよい。例えば、通信装置102が本Elementを含めたAssociation Responseを送信する場合、本フィールドでは本associationのやり取りによって確立されるLinkの通信において何れのタイプの装置として動作するかが示される。例えば、運用情報として、第2のタイプを示す情報が送信された場合、通信装置102は、第1のタイプとして動作できる装置であっても、本associationのやり取りによって確立されるLinkの通信においては第2のタイプの装置として動作する。
あるいは、Multi―Link Capability Elementによって要求情報を示す場合、Device Type529によって、Multi-Link通信において、いずれのタイプの装置として動作することを要求するかが示されてもよい。例えば、STAである通信装置103が本Elementを含めたAssociation Requestを送信する場合、本フィールドでは、通信装置103がMulti-Link通信において何れのタイプの装置として動作したいかが示される。例えば本フィールドに第2のタイプを示す情報が含まれる場合、通信装置103が、通信装置102とのMulti-link通信において第2のタイプの装置として動作することを要求することを示す。
Per Band Info512は、Band ID531、Supported Bandwidth532、Supported CH533、およびAsync Mode CH Distance534を含んで構成されるフィールドである。Per Band Info512は、これらのフィールドに加えて、さらにMax Link Number535、およびSupported Nss536を含んで構成される。Per Band Info512のセットは、後述のBand ID531で示される周波数ごとに、Multi-Link Capability Elementに含まれる。
Band ID531は、周波数帯を識別する情報を含むフィールドである。表2には、Band ID531に含まれる値と、その値が示す内容との対応関係の一例を示した。例えばBand ID531に値として0が含まれている場合、本Band ID531を含むPer Band Info512は2.4GHz帯におけるMulti-Link通信のLinkに共通の情報を示す情報であることになる。なお、Band ID531に含まれる値とその示す内容との対応関係は、これに限らない。また、Band ID531のビット数を増やすことで、より多くの周波数帯を示せるようにしてもよい。
Supported Bandwidth532は、Band ID531で示された周波数帯において、該Elementを送信した通信装置102または103がサポートする帯域幅を示す能力情報を含むフィールドである。なお、ここで示される帯域幅は、該Elementの送信装置がBand ID531で示された周波数帯においてMulti-Link通信を行うにあたって、1つのLink当たりサポートする帯域幅を示す情報である。表3には、Supported Bandwidth532に含まれる値と、その値が示す内容との対応関係の一例を示した。例えばSupported Bandwidth532に値として0が含まれていた場合、該Elementの送信装置が、Band ID531が示された周波数帯においてサポートする帯域幅は20MHzであることが示される。なお、Supported Bandwidth532の値が1以上の場合、該Elementの送信装置は、Multi-Link通信のLinkを確立する際に、その値以下の帯域幅の何れもサポートすることができる。例えば、Supported Bandwidth532の値が2だった場合、送信装置は、Linkの帯域幅として、20MHz、40MHz、および80MHzの何れもサポートする。なお、通信装置102と103とは、それぞれ1つのLinkのみの通信においてサポートする帯域幅と、Multi-Link通信においてサポートする帯域幅が異なってもよい。例えば、通信装置102および103は、1つのLinkのみの通信においては、5GHzにおいて帯域幅として80MHzをサポートするが、Multi-Link通信においては帯域幅として20MHzをサポートしてもよい。なお、Supported Bandwidth532に含まれる値とその示す内容との対応関係は、これに限らない。また、Supported Bandwidth532のビット数を増やすことで、より多くの周波数帯を示せるようにしてもよい。
なお、Multi-Link Capability Elementによって運用情報を示す場合、本フィールドでは、Multi-Link通信において実際に利用する帯域幅を示すようにしてもよい。例えば、APである通信装置102が本Elementを含めたAssociation Responseを送信する場合、本フィールドでは、本associationのやり取りによって確立されるLinkの帯域幅を示す情報が含まれる。例えば通信装置102と103とが、2.4GHzにおいて帯域幅40MHzのLinkを確立する場合、Supported Bandwidth532の値は1となる。
あるいは、Multi-Link Capability Elementによって要求情報を示す場合、本フィールドでは、Multi-Link通信において利用を要求する帯域幅を示すようにしてもよい。STAである通信装置103が本Elementを含めたAssociation Requestを送信する場合、本フィールドでは、通信装置103が通信装置102に要求する帯域幅が示される。なお、該Elementによって運用情報または要求情報を示す場合であっても、本フィールドには、該Elementの送信装置がMulti-Link通信においてサポートする帯域幅を示す能力情報を含めるようにしてもよい。
Supported CH533は、Band ID531で示された周波数帯において、該Elementを送信した通信装置102または103がサポートするチャネルを示す能力情報が含まれるフィールドである。なお、ここで示されるチャネルは、該Elementの送信装置がBand ID531で示された周波数帯において、Multi-Link通信をサポートするチャネルを示す情報である。表4には、Supported CH533の各ビットと、そのビットが示すチャネルとの対応関係の一例を示した。例えば、あるビットに値として0が含まれている場合、該ビットが示すチャネルについてはElementの送信装置はサポートしていないことを示し、値として1が含まれている場合は、該ビットが示すチャネルについてサポートしていることを示す。例えば、Supported CH533に値として0000010010100が含まれていた場合、本フィールドの送信装置は、3ch、5chおよび8chにおけるMulti-Link通信をサポートしていることを示す。なお、通信装置102と103とは、それぞれ1つのLinkのみの通信においてサポートするチャネルと、Multi-Link通信においてサポートするチャネルとが異なってもよい。例えば、通信装置102および103は、1つのLinkのみの通信においては、1~13chのすべてをサポートするが、Multi-Link通信においては1chと5chといった一部のチャネルのみをサポートしてもよい。なお、Supported CH533の各ビットとその内容との対応関係は、表4に示す限りではない。また、Supported CH533のビット数を増やすことで、より多くのチャネルを示せるようにしてもよい。例えば、表4では、2.4GHzにおけるチャネルのみを例として示したが、ビット数を増やすことで、13ビット以降で5GHzおよび6GHzの各チャネルを示せるようにしてもよい。あるいは、Band ID531において5GHzを示す情報が含まれている場合は、0ビットから順に5GHzの各チャネルを小さい順に示すようにしてもよい。同様に、Band ID531に6GHzを含まれている場合は、0ビットから順に6GHzの各チャネルを小さい順に示すようにしてもよい。
なお、Multi-Link Capability Elementによって運用情報を示す場合、本フィールドでは、Multi-Link通信において実際に利用するチャネルを示すようにしてもよい。例えば、APである通信装置102が本Elementを含めたAssociation Responseを送信する場合、本フィールドでは、本associationのやり取りによって確立されるLinkのチャネルを示す情報が含まれる。例えば通信装置102と103とが、2.4GHzにおいて1chと4chのLinkを確立する場合、Supported CH533の値は0000000001001となる。
あるいは、Multi-Link Capability Elementによって要求情報を示す場合、本フィールドでは、Multi-Link通信において利用を要求するチャネルを示すようにしてもよい。例えば、STAである通信装置103が本Elementを含めたAssociation Requestを送信する場合、本フィールドでは、通信装置103が通信装置102にLinkの確立を要求するチャネルが示される。なお、該Elementによって運用情報または要求情報を示す場合であっても、本フィールドには、該Elementの送信装置がMulti-Link通信においてサポートするチャネルを示す能力情報を含めるようにしてもよい。
Async Mode CH Distance534は、Band ID531で示された周波数帯において、該Elementを送信した送信装置が、Async Modeにおいて必要とするチャネル間隔を示す能力情報が含まれるフィールドである。Async Modeでは、各Linkの通信が非同期で行われるため、それぞれのLinkで使用されているチャネルが近いと、通信が干渉してしまう恐れがある。Link間のチャネルがどれくらい離れていれば、各Linkの信号を適切に復号できるかは、通信装置によって異なるため、本フィールドを用いて能力情報を通知する。Async Mode CH Distance534に例えば値として4が含まれていた場合、該Elementの送信装置は、Async Modeにおいては少なくとも4ch以上のチャネル間隔を必要とすることが示される。なお、前述のAsync Mode Support523において、Async Modeをサポートしないことを示す情報が含まれていた場合、本フィールドには値として0が含まれていてもよいし、あるいは本フィールドが省略されてもよい。また、本実施形態では、Band ID531で示される周波数帯ごとに、Async Modeにおいて必要とするチャネル間隔を示すとしたが、これに限らず、各周波数帯に共通の情報としてもよい。具体的には、本フィールドをCommon Info511に含めてもよい。
なお、Multi-Link Capability Elementによって運用情報を示す場合、本フィールドでは、Multi-Link通信のAsync Modeにおいて実際に使用するチャネルの間隔を示す情報を含めてもよい。例えば、APである通信装置102が本Elementを含めたAssociation Responseを送信する場合、本フィールドでは、本associationのやり取りによって確立される複数のLinkのチャネル間隔を示す情報が含まれる。
あるいは、Multi-Link Capability Elementによって要求情報を示す場合、本フィールドでは、Multi-Link通信のAsync Modeにおいて使用を要求するチャネルの間隔を示す情報を含めてもよい。相手装置とのMulti-Link通信のAsync Modeにおいてサポートする最小のチャネル間隔を示す情報を含めるようにしてもよい。該Elementによって運用情報を示す場合、本フィールドには、通信装置102が能力情報として示したチャネル間隔と、通信装置103とが能力情報として示したチャネル間隔とのうち、大きいほうのチャネル間隔以上の値が含まれる。また、Async Mode Support523に、Async Modeを実行しないことを示す情報が含まれている場合、あるいはAsync Mode Support523が省略されている場合、本フィールドには値として0が含まれていてもよい。あるいは本フィールドは省略されてもよい。あるいは、STAである通信装置103が本Elementを含めたAssociation Requestを送信する場合、本フィールドでは、通信装置103が通信装置102とのAsync Modeにおいて要求するチャネル間隔が示される。なお、通信装置103がAsync Modeの実行を要求しない場合、本フィールドには値として0が含まれてもよいし、あるいは省略されてもよい。なお、Multi-Link Capability Elementによって運用情報あるいは要求情報を示す場合、本フィールドは省略されてもよい。
Max Link Number535は、Band ID531で示された周波数帯においてMulti-Link通信を行う場合に、該Elementを送信した送信装置がサポートする最大Link数を示す能力情報を含むフィールドである。なお、前述のBand Combination Info525において、同一の周波数帯におけるLink同士でのMulti-Link通信をサポートする旨を示す情報が含まれていなかった場合、本フィールドには値として0が含まれてもよい。あるいは、本フィールドが省略されてもよい。また、本実施形態では、周波数帯ごとに最大Link数を示せるとしたが、これに限らず、全周波数帯に共通の情報として最大Link数を示してもよい。具体的には、本フィールドがCommon Info511に含まれていてもよい。
なお、Multi-Link Capability Elementによって運用情報を示す場合、本フィールドでは、Multi-Link通信において、Band ID531で示した周波数帯において実際に利用するLink数の合計を示してもよい。例えば、APである通信装置102が本Elementを含めたAssociation Responseを送信する場合、本フィールドでは、本associationのやり取りによって確立される1以上のLinkの数を示す情報が含まれる。例えば通信装置102と103とが、2.4GHzにおいて2つのLinkを確立する場合、本フィールドには値として2が含まれる。
あるいは、Multi-Link Capability Elementによって要求情報を示す場合、本フィールドでは、Multi-Link通信において、Band ID531で示した周波数帯において利用を要求するLink数の合計を示してもよい。例えば、STAである通信装置103が本Elementを含めたAssociation Requestを送信する場合、本フィールドでは、通信装置103が通信装置102に確立を要求するLinkの数が示される。なお、該Elementによって運用情報または要求情報を示す場合であっても、本フィールドには、該Elementの送信装置がMulti-Link通信において最大のLink数を示す能力情報を含めるようにしてもよい。
Supported Nss536は、Band ID531で示された周波数帯においてMulti-Link通信を行う場合に、該Elementを送信した送信装置がサポートする最大の(空間)ストリーム数を示す能力情報を含むフィールドである。なお、Nssとは、Number Of Special Streamの略である。本フィールドで示されるストリーム数は、MIMO通信におけるストリーム数である。なお、Band ID531で示された周波数帯におけるMulti-Link通信においてMIMO通信をサポートしていない場合、本フィールドには値として0または1が含まれるか、あるいは本フィールドは省略される。また、本実施形態では、周波数帯ごとに最大ストリーム数を示せるとしたが、これに限らず、全周波数帯に共通の情報として最大ストリーム数を示してもよい。具体的には、本フィールドがCommon Info511に含まれていてもよい。
なお、Multi-Link Capability Elementによって運用情報を示す場合、本フィールドでは、Multi-Link通信において、Band ID531で示した周波数帯において実際に利用するストリーム数を示してもよい。例えば、APである通信装置102が本Elementを含めたAssociation Responseを送信する場合、本フィールドでは、本associationのやり取りによって実際に実行されるMIMO通信のストリーム数を示す情報が含まれる。例えば通信装置102と103とが、2.4GHzにおいてMulti-Link通信を行うLinkにおいて、ストリーム数3のMIMO通信を行う場合、本フィールドには値として3が含まれる。なお、MIMO通信を行わない場合、本フィールドには値として0または1が含まれてもよいし、あるいは本フィールドは省略されてもよい。
あるいは、Multi-Link Capability Elementによって要求情報を示す場合、本フィールドでは、Multi-Link通信において、Band ID531で示した周波数帯において利用を要求するストリーム数を示してもよい。STAである通信装置103が本Elementを含めたAssociation Requestを送信する場合、本フィールドでは、通信装置103がMulti-Link通信におけるMIMO通信で要求するストリーム数が示される。なお、通信装置103がMIMO通信を要求しない場合、本フィールドには値として0または1が含まれてもよいし、あるいは本フィールドは省略されてもよい。また、該Elementによって運用情報または要求情報を示す場合であっても、本フィールドには、該Elementの送信装置がMulti-Link通信におけるMIMO通信でサポートする最大のストリーム数を示す能力情報を含めるようにしてもよい。
Per Link Info513は、Link ID541、Band ID542、Bandwidth543、CH544、およびNss545の各フィールドを含んで構成されるフィールドである。Multi-Link Capability Elementによって能力情報を示す場合、Per Link Info513は、該Elementの送信装置がMulti-Link通信をサポートしているチャネルについての情報を示す。この場合、Per Link Info513のセットは、該Elementの送信装置がMulti-Link通信をサポートしているチャネル(Link)の数分含まれることになる。あるいは、該Elementによって能力情報を示す場合であって、既にMulti-Link通信のLinkを確立している場合、Per Link Info513は既に確立されているLinkについての情報を示す。この場合、Per Link Info513のセットは、既に確立しているLinkの数分含まれてもよい。またこの場合に、通信装置102がPer Link Info513によって情報を示すLinkは、通信装置103および他の通信装置の少なくとも一方と確立しているものである。またこの場合に、通信装置103がPer Link Info513によって情報を示すLinkは、通信装置103および他の通信装置の少なくとも一方と確立しているものである。あるいは、該Elementによって能力情報を示す場合、Per Link Info513は含まれなくてもよい。Multi-Link Capability Elementによって運用情報を示す場合であって、APである通信装置102が該Elementを含むAssociation Responseを送信する場合は、これに限らない。この場合、Per Link Info513は、本associationのやり取りによって確立されるLinkについての情報を示す。この場合、Per Link Info513は、本associationのやり取りによって確立されるLinkの数分含まれることになる。また、通信装置103が該Elementを含めたAssociation Requestを送信することで要求情報を示す場合、Per Link Info513は通信装置103が確立を要求するLinkについての情報を示す。この場合、Per Link Info513は、通信装置103が確立を要求するLinkの数分含まれることになる。
Link ID541は、Linkを識別するための識別子を含むフィールドである。
Band ID542は、Link ID541で示されたLinkが属する周波数帯を示す情報を含むフィールドである。本フィールドは、Band ID531と同様に示される。
Bandwidth543は、Link ID541で示されたLinkにおける帯域幅を示す情報を含むフィールドである。本フィールドは、Supported Bandwidth532と同様に示される。なお、Multi-Link Capability Elementによって能力情報を示す場合、本フィールドはLink ID541で示されたLinkにおいてサポートする帯域幅を示す。また、APである通信装置102が本Elementを含めたAssociation Responseを送信することで運用情報を示す場合、本フィールドでは、Link ID541で示されたLinkにおいて利用される帯域幅が示される。また、STAである通信装置103が本Elementを含めたAssociation Requestを送信することで要求情報を示す場合、本フィールドでは、Link ID541で示されたLinkにおいて通信装置103が要求する帯域幅が示される。
CH544は、Link ID541で示されたLinkの周波数チャネルを示す情報を含むフィールドである。本フィールドには、チャネルを示す数がそのまま含まれてもよい。あるいは、表4のようにチャネルが示されてもよい。なお、Multi-Link Capability Elementによって能力情報を示す場合、本フィールドはLink ID541で示されたLinkにおいてサポートするチャネルを示す。また、APである通信装置102が本Elementを含めたAssociation Responseを送信することで運用情報を示す場合、本フィールドでは、Link ID541で示されたLinkにおいて利用されるチャネルが示される。また、STAである通信装置103が本Elementを含めたAssociation Requestを送信することで要求情報を示す場合、本フィールドでは、Link ID541で示されたLinkにおいて通信装置103が要求するチャネルが示される。
またNss545は、Link ID541で示されたLinkにおけるMIMO通信のストリーム数を示す情報を含むフィールドである。なお、MIMO通信を行わない場合、本フィールドには値として0または1が含まれていてもよいし、あるいは本フィールドは省略されてもよい。なお、Multi-Link Capability Elementによって能力情報を示す場合、本フィールドはLink ID541で示されたLinkにおいてサポートする最大のストリーム数を示す。また、APである通信装置102が本Elementを含めたAssociation Responseを送信することで運用情報を示す場合、本フィールドでは、Link ID541で示されたLinkにおいて利用されるストリーム数が示される。また、通信装置103が本Elementを含めたAssociation Requestを送信することで要求情報を示す場合、本フィールドでは、Link ID541で示されたLinkにおいて通信装置103が要求するストリーム数が示される。
上記のMulti-Link Capability Elementを含めたMACフレームを送受信することで、通信装置102および103はMulti-Link通信の能力情報、運用情報、および要求情報を交換する。なお、本実施形態では、Multi-Link通信の能力情報、運用情報、および要求情報を同じMulti-Link Capability Elementによって示すとしたが、これに限らない。能力情報と運用情報または能力情報と要求情報とは、それぞれ異なるInformation Elementによって示されてもよい。この場合に、例えば能力情報は、Common Info511およびPer Band Info512を含むElementによって示されてもよい。また、運用情報および要求情報は、Common Info511およびPer Link Info513を含むElementによって示されてもよい。また、Multi-Link Capability Elementによって能力情報を示す場合に、一部のフィールドについては運用情報または要求情報を示してもよい。あるいは、Multi-Link Capability Elementによって運用情報または要求情報を示す場合に、一部のフィールドについては能力情報を示してもよい。
なお、図5に示したMulti-Link Capability Elementには、周波数チャネルを示す情報として、Primary CH521、Supported CH533、およびCH544のフィールドが含まれるとした。しかし、これに限らず、Multi-Link Capability Elementには、周波数チャネルを示す情報として、Primary CH521、Supported CH533、およびCH544の少なくとも何れか一つが含まれればよい。
また、各フィールドの名称や、フィールド数、フィールドの順番などは、図5に示したものに限らない。いずれのフィールドが図5に示したフィールドの任意のフィールドより前に含まれてもよいし、後ろに含まれてもよい。また、Common Info511に含まれるフィールドが、Per Band Info512あるいはPer Link Info513に含まれてもよい。Per Band Info512およびPer Link Info513に含まれるフィールドについても、他方のフィールドに含まれてもよいし、Common Info511に含まれてもよい。また、図5に示した何れのフィールドが省略されてもよい。
図6は、通信装置103がMulti-Link通信を行う場合に、記憶部201に記憶されたコンピュータプログラムを制御部202が読み出し、実行することで実行される処理を示すフローチャートである。
本フローチャートは、通信装置103の電源が投入されたことに応じて開始される。あるいは、通信装置103は、ユーザまたはアプリケーションからMulti-Link通信の開始を指示されたことに応じて開始してもよい。あるいは通信装置103は、通信装置102に送信するデータのデータ量が所定の閾値以上となったことに応じて開始してもよい。
まず通信装置103は、相手装置のMulti-Link通信における能力情報を取得する(S601)。具体的には、通信装置103は、通信装置102が送信する、Multi-Link Capability Elementを含むBeaconを受信することで、通信装置102の能力情報を取得する。あるいは、通信装置103は、通信装置102が送信する、Multi-Link Capability Elementを含むProbe Responseを受信することで本ステップの処理を行ってもよい。この場合、本ステップと後述のS602は順番が入れ替わる。
次に、通信装置103は、自装置のMulti-Link通信における能力情報を通知する(S602)。具体的には、通信装置103は、Multi-Link Capability Elementを含めたProbe Requestを送信することで、自装置のMulti-Link通信における能力情報を通知する。本ステップより前に相手装置の能力情報を取得している場合、相手装置の能力情報に基づいて自装置が通知する能力情報を決定してもよい。具体的には、通信装置103は、通信装置102の能力を超えないように、本ステップで通知する能力情報を決定してもよい。例えば、通信装置103が、2.4GHz、5GHz、および6GHzにおけるMulti-Link通信をサポートしており、通信装置102が2.4GHzおよび5GHzのみをサポートしている場合を考える。この場合、通信装置103は、本ステップで2.4GHzと5GHzにおけるMulti-Link通信をサポートしていることを能力情報として通知する。なお、通信装置103は、後述のS603で通信装置102にMulti-Link通信についての要求を示す要求情報を含むAssociation Requestを送信する場合、本ステップの処理は省略してもよい。
次に、通信装置103は、Multi-Link通信の要求情報を含むAssociation Requestを送信する(S603)。本ステップで送信される要求情報は、通信装置103が実行を要求するMulti-Link通信に関する情報を示すものである。なお、本ステップにおいて、通信装置103は要求情報を含めないAssociation Requestを送信してもよい。
通信装置103は、APである通信装置102からAssociation Responseを受信したかを判定する(S604)。通信装置103は、Association Responseを受信しなかった場合、本ステップでNoと判定し、再度本ステップの処理を行う。なお、S603でAssociation Requestを送信してから所定の時間が経過しても、本ステップでYesと判定されなかった場合、通信装置103はユーザにエラーを通知し、本フローの処理を終了する。一方通信装置103は、Association Responseを受信した場合、本ステップでYesと判定し、S605の処理を行う。
通信装置103は、通信装置102とのMulti-Link通信を開始する(S605)。S604で受信したAssociation ResponseにMulti-Link通信の運用情報が含まれていた場合、該運用情報に基づいたMulti-Link通信を開始する。あるいは、S603で要求情報を送信しており、かつS604で許可を示す情報のみを含むAssociation Responseを受信した場合、S603で送信した要求情報に基づくMulti-Link通信を開始する。通信装置103は、S605の処理を行うと、本フローの処理を終了する。
図7は、通信装置102がMulti-Link通信を行う場合に、記憶部201に記憶されたコンピュータプログラムを制御部202が読み出し、実行することで実行される処理を示すフローチャートである。
本フローチャートは、通信装置102の電源が投入されたことに応じて開始される。あるいは、通信装置102は、ユーザまたはアプリケーションからMulti-Link通信の開始を指示されたことに応じて開始してもよい。あるいは通信装置102は、通信装置103に送信するデータのデータ量が所定の閾値以上となったことに応じて開始してもよい。
まず、通信装置102は、自装置のMulti-Link通信における能力情報を通知する(S701)。具体的には、通信装置102は、Multi-Link Capability Elementを含むBeaconを送信することで、自装置のMulti-Link通信における能力情報を通知する。あるいは、通信装置102は、通信装置103からProbe Responseを受信したことに応じて、Multi-Link Capability Elementを含むProbe Responseを送信することで本ステップの処理を行ってもよい。この場合、本ステップと後述のS702は順番が入れ替わる。
次に通信装置102は、相手装置のMulti-Link通信における能力情報を取得する(S702)。具体的には、通信装置102は、Multi-Link Capability Elementを含むProbe Requestを受信することで、相手装置のMulti-Link通信における能力情報を取得する。なお、相手装置からMulti-Link Capability Elementを含むProbe Requestを受信しなかった場合、本ステップの処理は省略されてもよい。
通信装置102は、通信装置103からProbe Requestを受信すると、応答としてProbe Responseを返す。なお、この場合、Multi-Link Capability Elementを含むBeaconを送信している場合、Probe Responseには該Elementを含まなくてもよい。
通信装置102は、通信装置103からAssociation Requestを受信したかを判定する(S703)。通信装置102は、Association Requestを受信しなかった場合、本ステップでNoと判定し、再度本ステップの処理を行う。なお、S702でProbe Responseを送信してから所定の時間が経過しても、本ステップでYesと判定されなかった場合、通信装置102はユーザにエラーを通知し、本フローの処理を終了する。一方通信装置102は、Association Requestを受信した場合、本ステップでYesと判定し、S704の処理を行う。
次に、通信装置102は、Association Requestに対する応答として、Association Responseを送信する(S704)。S703で通信装置103から要求情報を受信していなかった場合、通信装置102は通信装置103とのMulti-Link通信における運用情報を含めてAssociation Responseを送信する。この場合に、通信装置102は、Association Responseにどのような運用情報を含めるかを、通信装置103のMulti-Link通信における能力情報に基づいて決定する。通信装置102がAssociation Responseに含めて送信する運用情報は、実際に通信装置102と103との間で行われるMulti-Link通信に関する情報を示す。なお、S703で受信したAssociation Requestに通信装置103からの要求情報が含まれていた場合であっても、通信装置102は運用情報を含めたAssociation Responseを送信してもよい。この場合に、通信装置102は、Association Responseにどのような運用情報を含めるかを、受信したAssociation Requestに通信装置103からの要求情報に基づいて決定する。あるいは、S703で通信装置103から要求情報を受信していた場合、通信装置102はMulti-Link通信を許可するか否かを示す情報のみを含めたAssociation Responseを送信してもよい。
通信装置102は、通信装置103とのMulti-Link通信を開始する(S705)。S704で送信したAssociation ResponseにMulti-Link通信の運用情報が含まれていた場合、該運用情報に基づいたMulti-Link通信を開始する。あるいは、S703で要求情報を受信しており、かつS704で許可を示す情報のみを含むAssociation Responseを送信した場合、S703で受信した要求情報に基づくMulti-Link通信を開始する。通信装置102は、S705の処理を行うと、本フローの処理を終了する。
以上のように、通信装置102および103は、MACフレームにMulti-Link通信における能力情報を示すElementを含めることで、互いの能力を考慮したMulti-Link通信を行うことができる。
なお、図6、および図7に示した通信装置103および102のフローチャートの少なくとも一部または全部をハードウェアにより実現してもよい。ハードウェアにより実現する場合、例えば、所定のコンパイラを用いることで、各ステップを実現するためのコンピュータプログラムからFPGA上に専用回路を生成し、これを利用すればよい。FPGAとは、Field Programmable Gate Arrayの略である。また、FPGAと同様にしてGate Array回路を形成し、ハードウェアとして実現するようにしてもよい。また、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)により実現するようにしてもよい。
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。