JP7430504B2 - 表面処理装置 - Google Patents

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Description

本発明は、被処理材にプラズマを照射する等の表面処理を行う表面処理装置に関する。
従来、プラズマを用いて被処理材の表面の洗浄や改質を行うことによって、金属触媒層や官能基等を形成する表面処理装置や、スパッタリング装置を用いてスパッタリングを行う表面処理装置が知られている。
例えば、特許文献1に記載されたプラズマ表面処理装置では、板状の電極が間隔をあけて2枚設置される。そして、これらの電極の間でプラズマを発生させる。発生したプラズマは電極外に漏れ出してワークに照射されて、ワークの表面処理を行う。
国際公開第2017/159838号
特許文献1に板状の大型の処理部材にプラズマ照射することよって表面処理を行う例が開示されているが、多数の小型の処理部材の表面処理を行う場合については言及されていない
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、多数の小型の処理部材の表面処理を行う場合であっても、均一な成膜を行うことが可能な表面処理装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る表面処理装置は、被処理材を収容する、上部が開口された1対の側壁を有する籠状の収容ユニットと、前記収容ユニットに収容された前記被処理材の表面に成膜処理を行う、前記収容ユニットの開口に面する位置に設置された表面処理手段と、前記表面処理手段が前記収容ユニットに収容された前記被処理材に対して表面処理を行う際に、前記収容ユニットの一対の側壁を貫く方向に設置された揺動軸の周りに前記収容ユニットを揺動させる揺動手段と、前記被処理材が収容される範囲を、前記表面処理手段による処理能力の有効範囲内に制限する、前記表面処理手段に、前記揺動軸に直交する向きに取り付けられた一対の第1の補正板と、前記揺動軸の延在方向において、前記第1の補正板と一部が重複して配置されて、前記揺動手段が前記収容ユニットを揺動させた際に、前記第1の補正板と一部が重複した状態を保持する、前記収容ユニットに取り付けられた一対の第2の補正板と、を備えることを特徴とする。
本発明に係る表面処理装置は、表面処理の対象となる被処理材に対して、均一な成膜を行うことができるという効果を奏する。
図1は、第1の実施形態に係る表面処理装置の装置構成を示す模式図である。 図2は、図1のA-A断面模式図である。 図3は、プラズマ生成装置がチャンバー内に位置する場合の模式図である。 図4は、スパッタリング装置がチャンバー内に位置する場合の模式図である。 図5は、プラズマ生成装置の詳細図である。 図6は、図5のB-B断面図である。 図7は、スパッタリング装置の詳細図である。 図8は、図7のC-C断面図である。 図9は、プラズマ生成装置がチャンバー内に位置する際の収容ユニット周辺の構成の説明図である。 図10は、スパッタリング装置がチャンバー内に位置する際の収容ユニット周辺の構成の説明図である。 図11は、図9のD-D断面図である。 図12は、図10のE-E断面図である。 図13は、収容ユニットの斜視図である。 図14は、図11に示す収容ユニット及び収容ユニット支持部材が揺動した状態を示す説明図である。 図15は、図12に示す収容ユニット及び収容ユニット支持部材が揺動した状態を示す説明図である。 図16は、図1に示すポンプユニットの詳細図である。 図17は、図16をF-F方向から見た、昇降軸、ウォームジャッキ部詳細図である。 図18は、図16の断面模式図である。 図19は、図18に示す昇降バルブが開口部を開いた状態を示す説明図である。 図20は、実施形態に係る表面処理装置で被処理材の表面処理を行う際の手順を示すフローチャートである。 図21は、第2の実施形態において、プラズマ生成装置がチャンバー内に位置する際の収容ユニット周辺の構成の説明図である。 図22は、第2の実施形態において、スパッタリング装置がチャンバー内に位置する際の収容ユニット周辺の構成の説明図である。 図23は、図21のJ-J断面図である。 図24は、図22のK-K断面図である。 図25は、図23に示す収容ユニット及び収容ユニット支持部材が揺動した状態を示す説明図である。 図26は、図24に示す収容ユニット及び収容ユニット支持部材が揺動した状態を示す説明図である。
以下に、本開示に係る表面処理装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能、且つ、容易に想到できるもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
[1.第1の実施形態]
本開示の第1の実施形態は、例えば樹脂材料で成形された被処理材Wの表面にプラズマを照射することによって、被処理材Wの表面に官能基を生成して、その後、官能基の生成によって皮膜の密着性が向上した被処理材Wの表面にスパッタリングによって薄膜を形成する表面処理装置1aの例である。
[1-1.表面処理装置の構成の説明]
図1は、第1の実施形態に係る表面処理装置の装置構成を示す模式図である。図2は、図1のA-A断面模式図である。なお、以下の説明では、表面処理装置1aの通常の使用状態における上下方向を、表面処理装置1aにおける上下方向Zとして説明し、表面処理装置1aの通常の使用状態における上側を、表面処理装置1aにおける上側とし、表面処理装置1aの通常の使用状態における下側を、表面処理装置1aにおける下側として説明する。また、表面処理装置1aの通常の使用状態における水平方向を、表面処理装置1aにおける水平方向として説明する。さらに、水平方向のうち、収容ユニット支持部材110の揺動軸111の延在方向を表面処理装置1aにおける長さ方向Yとし、表面処理装置1aの上下方向Zと長さ方向Yとの双方に直交する方向を、表面処理装置1aにおける幅方向Xとして説明する。
本実施形態に係る表面処理装置1aは、内部に被処理材Wが収容可能に形成されるチャンバー10と、被処理材Wに対して表面処理を行う表面処理手段の一例であるプラズマ生成装置40と、被処理材Wに対してプラズマ生成装置40とは異なる表面処理を行う表面処理手段の一例であるスパッタリング装置70と、被処理材Wを収容する収容ユニット100と、チャンバー10内の圧力を減圧するポンプユニット140と、を有している。なお、被処理材Wは、例えばプラスチック樹脂等の樹脂材料で成形された小さな立体形状のワークである。
プラズマ生成装置40は、プラズマを生成して、生成されたプラズマを被処理材Wに照射することによって、被処理材Wに対して表面処理を行う。より具体的には、被処理材Wの表面にプラズマを照射することによって、官能基を生成する。これによって、後工程で被処理材Wの表面にめっき加工の下地となる薄膜を生成する際の薄膜の密着性を高める。
スパッタリング装置70は、プラズマ生成装置40によって表面処理された被処理材Wにスパッタリングを行うことによって、被処理材Wに対してめっき加工の下地となる薄膜を形成する表面処理を行う。なお、プラズマ生成装置40とスパッタリング装置70とは、後述するように、チャンバー10内に配置する側の装置を切り替えることによって、同じ被処理材Wに対して、異なる表面処理を行うことが可能になっている(図3、図4参照)。
なお、図1、図2は、プラズマ生成装置40やスパッタリング装置70がチャンバー10内に位置する場合におけるチャンバー10での位置関係を示すため、チャンバー10内に位置する側の装置がプラズマ生成装置40とスパッタリング装置70とのいずれの場合でも適用できる模式図になっている。チャンバー10は、中空の略直方体の形状で形成されており、プラズマ生成装置40やスパッタリング装置70は、上側の壁面である上壁12に取り付けられ、チャンバー10内に配置されている。また、チャンバー10には、スパッタリング装置70がスパッタリングを行う際に用いるガスをチャンバー10内に流入するガス流入部16が、チャンバー10の側壁13に配置されている。
また、収容ユニット100は、収容ユニット支持部材110によって支持された状態でチャンバー10に内設されている。これによりチャンバー10は、内部に被処理材Wを収容することが可能になっている。
収容ユニット100の内部には、補正板130aが設置されている。補正板130aは、プラズマ生成装置40及びスパッタリング装置70に設置されており、プラズマ生成装置40及びスパッタリング装置70の長さ方向Yの寸法と略等しい間隔を隔てて、対向する状態で2枚設置される。補正板130aは、収容ユニット100に被処理材Wを収容した際に、被処理材Wが収容される範囲を、2枚の補正板130aの間の領域に制限する。即ち、被処理材Wの収容範囲を収容ユニット100の全域から、2枚の補正板130aの間の領域に補正(制限)する。
なお、収容ユニット100の幅方向Xの寸法は、図2に示すように、プラズマ生成装置40及びスパッタリング装置70の幅方向Xの寸法と略等しい。したがって、収容ユニット100に被処理材Wを収容した際に、被処理材Wが収容される幅方向Xの範囲は、プラズマ生成装置40及びスパッタリング装置70の幅方向Xの寸法と略等しい範囲に制限される。
収容ユニット支持部材110は、揺動軸111を介して、チャンバー10を構成する複数の側壁13のうち、対向する一組の側壁13である支持壁14に連結され、支持壁14に支持されている。
収容ユニット支持部材110は、対向する支持壁14の双方に向かって長さ方向Yに延びる揺動軸111を支軸として揺動する。即ち、チャンバー10には、収容ユニット100を揺動させる揺動手段であるサーボモータ120が取り付けられており、収容ユニット支持部材110は、サーボモータ120から伝達される駆動力によって揺動する。収容ユニット支持部材110に支持される収容ユニット100は、収容ユニット支持部材110が揺動する際には、揺動軸111を支軸として収容ユニット支持部材110と一体となって、図2に示す角度θの方向に揺動する。そして、収容ユニット100に収容された被処理材Wは、収容ユニット100の揺動に伴って、収容ユニット100の内部で攪拌される。なお、揺動軸111は、収容ユニット100を、長さ方向、即ちプラズマ生成装置40及びスパッタリング装置70と平行な方向に貫いている。
ポンプユニット140は、図1に示すようにチャンバー10の底部15に取り付けられており、チャンバー10内の流体、即ち、チャンバー10内のガスを吸引することにより、チャンバー10内の圧力を減圧する。
ポンプユニット140は、流体の流量を調整するバルブユニットである流量調整バルブ150と、流体を吸引するポンプであるターボ分子ポンプ170とを有しており、ターボ分子ポンプ170で吸引する流体の流量を流量調整バルブ150で調整することにより、チャンバー10内の圧力を、所望の圧力に減圧する。
このうち、流量調整バルブ150は、チャンバー10内に配置される昇降バルブ153と、昇降バルブ153をチャンバー10内で上下方向Zに移動させる駆動手段であるサーボアクチュエータ160とを有している。昇降バルブ153は、チャンバー10内で上下方向Zに移動することにより、ターボ分子ポンプ170で吸引する流体の流量を調整する。なお、昇降バルブ153は、バルブガイド165によって開閉動作をガイドされる。
また、流量調整バルブ150は、昇降バルブ153が連結される昇降軸162と、サーボアクチュエータ160で発生した動力を昇降軸162に伝達し、昇降軸162を上下方向Zに移動させるウォームジャッキ161とを有している。また、チャンバー10には、真空計180が取り付けられており、チャンバー10内の圧力は、真空計180によって検出される。サーボアクチュエータ160は、真空計180が検出した検出値に基づいて作動することにより、真空計180で検出した検出値に基づいて昇降バルブ153を上下方向Zに移動させて、ターボ分子ポンプ170で吸引する流体の流量を調整する。
図3、図4は、チャンバー10内に位置させるプラズマ生成装置40とスパッタリング装置70との切り替えについて説明する模式図である。特に、図3は、プラズマ生成装置がチャンバー内に位置する場合の模式図である。また、図4は、スパッタリング装置がチャンバー内に位置する場合の模式図である。
チャンバー10は、上方に開口部11を有しており、プラズマ生成装置40とスパッタリング装置70とは、それぞれ開口部11からチャンバー10内に入り込ませることにより、チャンバー10内に位置させる装置を切り替える。詳しくは、プラズマ生成装置40は、図3に示すように、ヒンジ部21において開閉自在にチャンバー10に取り付けられる第1開閉部材20に配置される。また、スパッタリング装置70は、図4に示すように、ヒンジ部31において開閉自在にチャンバー10に取り付けられる第2開閉部材30に配置されている。
第1開閉部材20と第2開閉部材30とは、いずれも平面視における形状が略矩形状になっており、チャンバー10を上下方向Zに投影した場合における、複数の側壁13により形成される外周の形状と略等しい形状になっている。このため、第1開閉部材20と第2開閉部材30とは、チャンバー10の開口部11を覆うことのできる形状になっている。即ち、第1開閉部材20と第2開閉部材30とは、チャンバー10の開口部11を覆うことにより、開口部11を閉じる。また、第1開閉部材20と第2開閉部材30とは、チャンバー10に対して回動自在に取り付けられており、これにより、第1開閉部材20と第2開閉部材30とは、チャンバー10に対して回動することにより、開口部11を開閉する。
詳しくは、第1開閉部材20は、矩形の1つの辺と、チャンバー10の1つの側壁13とが、ヒンジ部21によって連結されている。ヒンジ部21は、水平方向に延びる回動軸を支軸として第1開閉部材20を回動自在に、チャンバー10に連結している。第1開閉部材20は、ヒンジ部21を中心として回動することにより、チャンバー10の開口部11を覆って開口部11を閉じた状態の位置と、開口部11の上方に跳ね上がって開口部11を開いた状態の位置とに切り替える。プラズマ生成装置40は、第1開閉部材20の厚さ方向に、第1開閉部材20を貫通して取り付けられている。また、プラズマ生成装置40は、チャンバー10に回動自在に連結される第1開閉部材20を閉じた際に、プラズマ生成装置40においてプラズマを生成する部分がチャンバー10内に位置する向きで、第1開閉部材20に取り付けられている。
第2開閉部材30は、矩形の1つの辺と、チャンバー10の複数の側壁13のうち第1開閉部材20が連結される側壁13に対向する側壁13とが、ヒンジ部31によって連結されている。ヒンジ部31は、水平方向に延びる回動軸を支軸として第2開閉部材30を回動自在に、チャンバー10に連結している。第2開閉部材30は、ヒンジ部31を中心として回動することにより、チャンバー10の開口部11を覆って開口部11を閉じた状態の位置と、開口部11の上方に跳ね上がって開口部11を開いた状態の位置とに切り替える。スパッタリング装置70は、第2開閉部材30の厚さ方向に、第2開閉部材30を貫通して取り付けられている。また、スパッタリング装置70は、チャンバー10に回動自在に連結される第2開閉部材30を閉じた際に、スパッタリング装置70においてスパッタリングを行う部分がチャンバー10内に位置する向きで、第2開閉部材30に取り付けられている。
第1開閉部材20と第2開閉部材30とは、チャンバー10の開口部11を閉じる際に、第1開閉部材20と第2開閉部材30とのうち一方は閉じ、他方は開いた状態になる。即ち、第1開閉部材20と第2開閉部材30とは、他方が開口部11を閉じていない状態において、チャンバー10の開口部11を閉じる。このため、第1開閉部材20は、第2開閉部材30が開口部11を閉じていない状態において開口部11を閉じることにより、プラズマ生成装置40におけるプラズマを生成する部分をチャンバー10内に位置させる(図3参照)。同様に、第2開閉部材30は、第1開閉部材20が開口部11を閉じていない状態において開口部11を閉じることにより、スパッタリング装置70におけるスパッタリングを行う部分をチャンバー10内に位置させる(図4参照)。
[1-2.プラズマ生成装置の説明]
図5は、プラズマ生成装置の詳細図である。図6は、図5のB-B断面図である。プラズマ生成装置40は、プラズマを生成する際に用いるガスを供給するガス供給管41と、高周波電圧によって、ガス供給管41から供給されたガスよりプラズマを生成する一対の板状導体部51、52とを有する。
詳しくは、ガス供給管41は、第1開閉部材20の厚さ方向に第1開閉部材20を貫通しており、ガス供給管取付部材45によって第1開閉部材20に取り付けられている。また、ガス供給管41の内部には、ガス供給管41の延在方向に沿うガス流路42が形成されており、当該ガス流路42を介して、チャンバー10の外側からチャンバー10内にガスを供給する。なお、ガス供給管41の、第1開閉部材20の外側(チャンバー10の外側)の端部には、ガス供給管41に対してガスを供給するガス供給部44が接続されており、ガス供給管41の他端側(チャンバー10の内側)の端部には、ガス流路42を流れたガスをチャンバー10内に導入する孔であるガス供給孔43が形成されている。ガス供給部44には、質量流量計に流量制御の機能を持たせたマスフローコントローラー(MFC)64(図6参照)を介してガスが供給される。
一対の板状導体部51、52は、いずれも平板状に形成されており、アルミニウムなどの金属板、或いはその他の導体板を平行に配置することにより形成されている。なお、板状導体部51、52は、表面に誘電体膜を有していても良く、一対の板状導体部51、52におけるプラズマガスの導出側の表面は、アーク放電等を避けるため、アルミナ溶射、若しくは硬質陽極酸化処理により誘電体膜が被覆する構成としてもよく、または、板状導体部51、52は、一対の板状導体部51、52のそれぞれの両面に、アルミナ溶射、若しくは硬質陽極酸化処理を施しても良い。
一対の板状導体部51、52は、支持板50によって支持されている。支持板50は、例えば、ガラス、セラミック等の絶縁材料により形成されている。支持板50は、板の一面側の外周付近の全周に亘って凸部が形成された形状で形成されている。換言すると、支持板50は、一面側に支持板50の外周に沿って凹んだ凹部50aが形成された、厚さが厚い板状の形状で形成されている。
このように形成される支持板50は、凹部50aが形成されていない側の面が第1開閉部材20に対向し、凹部50aが形成されている側の面が、第1開閉部材20が位置する側の反対側に位置する向きで配置され、支持部材46によって支持されている。支持部材46は、円筒状の部材と、当該円筒状の部材の両端に位置する取付部材とを有し、一端側の取付部材が第1開閉部材20に取り付けられ、他端側の取付部材が支持板50に取り付けられている。これにより、支持板50は、支持板50と第1開閉部材20との間に配置されて双方に取り付けられる支持部材46により支持される。
第1開閉部材20を貫通するガス供給管41は、支持部材46における円筒状の部材の内側を通って支持板50の位置まで延び、支持板50を貫通している。そして、ガス供給管41に形成されるガス供給孔43は、支持板50における凹部50aが形成される部分に配置される。
一対の板状導体部51、52は、支持板50における凹部50aが形成されている側に、凹部50aを覆って配置されている。その際、一対の板状導体部51、52は、双方の間の外周付近にスペーサ55が配置され、スペーサ55を介して重ねられている。このように、スペーサ55を介して重ねられる一対の板状導体部51、52における、スペーサ55が配置される部分以外の部分は、板状導体部51と板状導体部52とは互いに離間しており、空隙部56を形成している。一対の板状導体部51、52の間隔は、プラズマ生成装置40において導入するガスや供給する電力の周波数、さらには電極のサイズ等に応じて適宜設定するのが好ましいが、例えば、3mm~12mm程度である。
一対の板状導体部51、52は、スペーサ55を介して重ねられた状態で、板状導体部51、52を保持するための部材である保持部材58によって保持されている。つまり、保持部材58は、板状導体部51、52における支持板50が位置する側の反対側に配置され、保持部材58と支持板50とによって板状導体部51、52を挟む状態で支持板50に取り付けられている。これにより、スペーサ55を介して重ねられる一対の板状導体部51、52は、保持部材58と支持板50とに挟まれた状態で、保持部材58によって保持されている。
一対の板状導体部51、52は、このように支持板50における凹部50aを覆って配置されており、保持部材58によって保持された状態において、支持板50の凹部50aと、板状導体部51、52と、の間には空間が形成される。
重ねて配置された一対の板状導体部51、52のうち、板状導体部52が支持板50側に配置され、板状導体部51が保持部材58側に配置される場合は、この空間は、支持板50の凹部50aと板状導体部52とによって区画される。このように形成される空間は、ガス供給管41により供給されるガスが導入されるガス導入部57として形成される。ガス供給管41のガス供給孔43は、ガス導入部57に位置してガス導入部57に開口している。ガス導入部57は、支持板50と板状導体部52とが密接して取り付けられることにより区画されている。
また、一対の板状導体部51、52には、厚さ方向に貫通する貫通孔53、54が、それぞれ多数形成されている。即ち、ガス供給管41により供給されるガスの流入側に位置する板状導体部52には、板状導体部52の厚さ方向に見た場合にマトリクス状に所定の間隔で複数の貫通孔54が形成されており、ガス供給管41により供給されるガスの流出側に位置する板状導体部51には、板状導体部51の厚さ方向に見た場合にマトリクス状に所定の間隔で複数の貫通孔53が形成されている。
板状導体部51の貫通孔53と、板状導体部52の貫通孔54とは、それぞれ円筒形状の孔であり、双方の貫通孔53、54は、同軸上に配置されている。即ち、板状導体部51の貫通孔53と、板状導体部52の貫通孔54とは、各貫通孔の中心が揃った位置に配置されている。このうち、板状導体部51の貫通孔53は、ガス流入側の板状導体部52の貫通孔54よりも径が小さくなっている。このように一対の板状導体部51、52には、複数の貫通孔53、54が形成されてホロー電極構造となり、これら複数の貫通孔53、54を介して、生成されたプラズマガスが高密度で流れることになる。
平行平板型の板状導体部51、52の間には、空隙部56が介在するが、空隙部56は静電容量を有するコンデンサとして機能する。そして、支持板50及び板状導体部51、52には、導電性の部材によって導電部(図示省略)が形成されて、当該導電部によって支持板50は接地63され、板状導体部52も接地63されている。また、高周波電源(RF)61は、一方の端部が接地63され、高周波電源61の他方の端部は、静電容量等を調整してプラズマとの整合性を得るためのマッチングボックス(MB)60を介して板状導体部51と導通する。従って、高周波電源61を稼働させた場合には、例えば13.56MHzなどの所定の周波数で板状導体部51の電位がプラスとマイナスに振れることになる。
[1-3.スパッタリング装置の説明]
図7は、スパッタリング装置の詳細図である。図8は、図7のC-C断面図である。スパッタリング装置70は、冷却水が流れる冷却水管71と、磁界を発生させるマグネット81と、マグネット81で発生させた磁界の内部で、ガス流入部16から流入させた不活性ガス(例えばアルゴン)をイオン化させて衝突させることにより、成膜に用いられる原子をはじき出すターゲット84と、ターゲット84を冷却する冷却ジャケット82と、マグネット81とターゲット84と冷却ジャケット82とを支持する支持板80とを有している。詳しくは、冷却水管71は、第2開閉部材30の厚さ方向に第2開閉部材30を貫通しており、冷却水管取付部材75によって第2開閉部材30に取り付けられている。なお、ターゲット84は、例えば銅板であり、ターゲット84からはじき出された銅原子が被処理材Wの表面に密着することによって、被処理材Wの表面に薄膜が形成される。このようにして形成された薄膜が、後工程で被処理材Wの表面にめっき加工を行う際の下地となる。
また、冷却水管71の内部には、冷却水管71の延在方向に沿う冷却水路72が形成されており、チャンバー10の外側と、チャンバー10内に配置される冷却ジャケット82との間で、冷却水を循環させる。なお、冷却水管71の、第2開閉部材30の外側(チャンバー10の外側)の端部は、図8に示すように、冷却水の入口である水入口73と、冷却水の出口である水出口74とに接続されている。このため、冷却水管71の内部に形成される冷却水路72には、水入口73に接続される冷却水路72と、水出口74に接続される冷却水路72とが形成されている。一方、冷却水管71の他端側(チャンバー10の内側)の端部は、冷却ジャケット82に接続されている。冷却ジャケット82は、内部に冷却水の流路が形成され、冷却水が流れる。これにより、チャンバー10の外側と、冷却ジャケット82との間で、冷却水が循環する。
支持板80は、マグネット81と冷却ジャケット82とターゲット84とを重ねた状態で支持する。詳しくは、支持板80、マグネット81、冷却ジャケット82、ターゲット84は、いずれも板状の形状で形成されており、マグネット81、冷却ジャケット82、ターゲット84よりも、支持板80の方が、平面視における形状が大きい形状で形成されている。このため、マグネット81と冷却ジャケット82とターゲット84とは、支持板80側からマグネット81、冷却ジャケット82、ターゲット84の順で重ねられた状態で、ターゲット84における冷却ジャケット82側の面の反対側の面の外周付近を保持部材85によって支持されることにより、支持板80と保持部材85によって保持されている。また、保持部材85によって保持されるマグネット81、冷却ジャケット82、ターゲット84は、外周部分も保持部材85に囲まれた状態で保持されている。
その際に、支持板80とマグネット81との間には、絶縁材83が配置されており、絶縁材83は、マグネット81の平面視における外周部分にも配置されている。つまり、絶縁材83は、支持板80とマグネット81との間と、マグネット81と保持部材85との間に配置されている。このため、マグネット81は、絶縁材83を介して、支持板80と保持部材85とによって保持されている。
支持板80は、マグネット81等を保持している側の面が、第2開閉部材30が位置する側の反対側に位置し、マグネット81等を保持している側の反対側の面が、第2開閉部材30に対向する側に配置され、支持部材76によって支持されている。支持部材76は、円筒状の部材と、当該円筒状の部材の両端に位置する取付部材とを有し、一端側の取付部材が第2開閉部材30に取り付けられ、他端側の取付部材が支持板80に取り付けられている。その際に、支持板80は、支持板80を厚さ方向に見た場合における中央部分付近の位置に取り付けられている。これにより、支持板80は、支持板80と第2開閉部材30との間に配置されて双方に取り付けられる支持部材76により支持されている。
なお、一端が冷却ジャケット82に接続される冷却水管71は、支持部材76が配置される位置とは異なる位置で、支持板80におけるマグネット81等を保持する側の面の反対側から、支持板80とマグネット81と絶縁材83とを貫通している。これにより、冷却水管71は、冷却ジャケット82に接続されている。
[1-4.収容ユニット周辺の構成の説明]
図9、図10は、図1に示す収容ユニット100と、収容ユニット支持部材110及び補正板130aの説明図であり、特に、図9は、プラズマ生成装置がチャンバー内に位置する際の収容ユニット周辺の構成の説明図である。図10は、スパッタリング装置がチャンバー内に位置する際の収容ユニット周辺の構成の説明図である。また、図11は、図9のD-D断面図である。図12は、図10のE-E断面図である。
収容ユニット支持部材110は、チャンバー10が有する複数の側壁13のうち、対向する一組の側壁13である支持壁14に、揺動軸111が連結されることにより支持されており、揺動手段であるサーボモータ120から伝達される駆動力によって揺動する。詳しくは、収容ユニット支持部材110は、チャンバー10の内側で長さ方向Yに離間し、支持壁14に平行な向きで配置される一対のサイドプレート112と、長さ方向Yに延びて一対のサイドプレート112の間に配置される取付部材113とを有している。各サイドプレート112は、図11に示すように略半円形の板状の形状で形成されており、半円形の平らな部分がチャンバー10の開口部11寄りに位置し、半円形の円弧側の部分がチャンバー10の底部15(図3、図4参照)寄りに位置する向きで配置されている。
また、長さ方向Yにおけるサイドプレート112の間隔は、プラズマ生成装置40やスパッタリング装置70がチャンバー10内に位置する状態における、プラズマ生成装置40やスパッタリング装置70の長さ方向Yの大きさよりも大きくなっている。さらに、サイドプレート112の、チャンバー10内での上下方向Zの上端は、プラズマ生成装置40やスパッタリング装置70がチャンバー10内に位置する状態において、プラズマ生成装置40やスパッタリング装置70の上下方向Zの下端よりも上方に位置するように配置されている。
また、サイドプレート112の半円形の平らな部分の長さは、幅方向Xにおけるプラズマ生成装置40やスパッタリング装置70の幅よりも大きくなっている。換言すると、幅方向Xにおけるサイドプレート112の全幅は、当該サイドプレート112の上下方向Zの位置が、プラズマ生成装置40やスパッタリング装置70と、サイドプレート112とが重なる範囲において、幅方向Xにおけるプラズマ生成装置40やスパッタリング装置70の全幅よりも大きくなっている。また、サイドプレート112は、略半円形の形状で形成され、円弧側の部分がチャンバー10の底部15(図3、図4参照)寄りに位置する向きで配置されるため、幅方向Xにおけるサイドプレート112の幅は、上側から下側に向かうに従って小さくなっている。
揺動軸111は、軸心が長さ方向Yに平行になる向きで一対のサイドプレート112毎に設けられており、サイドプレート112には、それぞれ異なる揺動軸111が連結されている。揺動軸111のうち、収容ユニット100を揺動させるサーボモータ120が位置する側の揺動軸111は、サーボモータ120の出力軸121に連結されて出力軸121と一体となって回動する駆動軸125が、揺動軸111として用いられている。つまり、サーボモータ120は、一組の支持壁14のうち一方の支持壁14に取り付けられている。サーボモータ120は、当該支持壁14における、チャンバー10の外側の面にサーボモータ取付部材122によって取り付けられており、サーボモータ120で発生して駆動力を出力する出力軸121は、支持壁14を貫通して支持壁14からチャンバー10内に延びている。駆動軸125は、チャンバー10内に配置されると共に、チャンバー10内でサーボモータ120の出力軸121に対して相対回転が不可の状態、つまり、出力軸121に対して一体となって回動可能な状態で、出力軸121に連結されている。また、駆動軸125は、サーボモータ120の出力軸121に連結される側の端部の反対側の端部が、揺動手段軸連結部114によってサイドプレート112に連結されている。これにより、駆動軸125は、揺動軸111として用いられると共に、サーボモータ120で発生した駆動力は、サーボモータ120の出力軸121から駆動軸125に伝達されて、駆動軸125から収容ユニット支持部材110のサイドプレート112に伝達される。
揺動軸111のうち、サーボモータ120が位置する側の反対側に位置する揺動軸111は、支持軸116が用いられている。支持軸116は、一端が支持軸支持部材117に支持され、他端が支持軸連結部115によってサイドプレート112に連結されている。
より詳しくは、支持軸116における、支持軸支持部材117に支持される側の端部付近は、支持壁14を貫通しており、支持壁14におけるチャンバー10の外側の面から、支持軸支持部材117によって回転不可の状態で支持されている。支持軸116における、支持軸連結部115に連結される側の端部付近は、サイドプレート112に取り付けられる支持軸連結部115に回転可能に支持されている。即ち、支持軸連結部115と支持軸116とは、支持軸116の軸心を中心として相対的に回転可能になっている。
駆動軸125が連結される側のサイドプレート112と、支持軸116が連結される側のサイドプレート112とは、双方のサイドプレート112の間に配置される取付部材113によって連結されている。取付部材113は、長さ方向Yに延びる棒状の部材からなり、両端がそれぞれ異なるサイドプレート112に取り付けられている。また、取付部材113は複数が配置されており、複数の取付部材113は、図11、図12に示すように、略半円形の形状で形成されるサイドプレート112における円弧状の部分の外周付近に配置されている。これにより、一対のサイドプレート112は、複数の取付部材113によって互いに連結されている。このため、駆動軸125が連結される側のサイドプレート112がサーボモータ120から伝達される駆動力によって揺動する際には、揺動方向の力が他方のサイドプレート112にも伝達され、一対のサイドプレート112は、一体となって揺動する。
このように形成される収容ユニット支持部材110は、収容ユニット100を支持する。図13は、収容ユニットの斜視図である。収容ユニット100は、被処理材保持壁101と側壁102とにより、籠状の形状で形成されている。このうち、側壁102は、収容ユニット支持部材110によって収容ユニット100を支持する状態において、収容ユニット支持部材110のサイドプレート112の近傍でサイドプレート112に平行に配置される板状の部材からなり、サイドプレート112と同様に一対が配置されている。一対の側壁102の間隔は、一対のサイドプレート112の間隔よりも僅かに狭い間隔になっている。
また、側壁102は、収容ユニット支持部材110に支持されている状態において、幅方向Xにおける幅が、収容ユニット支持部材110のサイドプレート112と同様に、チャンバー10の開口部11側から底部15(図3、図4参照)側に向かうに従って小さくなっている。本実施形態では、側壁102は、略台形の形状で形成されると共に、台形の上底と下底のうち長さが長い側が、収容ユニット支持部材110に支持されている状態において上側に位置し、長さが短い側が下側に位置する向きで配置されている。これにより、側壁102は、幅方向Xにおける幅が、上側から下側に向かうに従って小さくなっている。
さらに、側壁102は、台形の上底と下底のうち上側に位置して長さが長くなっている側の部分が、上側に向かって延長されている。つまり、側壁102は、長さ方向Yに見た場合における形状が、台形の上底と下底のうち長さが長い側に同じ長さの長方形が追加された、略五角形の形状で形成されている。これにより、側壁102は、幅方向Xにおける幅が、上側から下側に向かうに従って小さくなっている。
被処理材保持壁101は、一対の側壁102の間に配置されており、側壁102の外周における五角形の上側の辺以外の辺に沿って形成されている。これにより、収容ユニット100は、収容ユニット支持部材110に支持されている状態における、チャンバー10の開口部11側の部分のみが開口しており、この部分は収容ユニット100の開口部103になっている。収容ユニット100は、このように開口部103が形成されることにより、籠状の形状で形成されており、収容ユニット100に収容する被処理材Wは、開口部103から出し入れすることが可能になっている。また、収容ユニット100の開口部103は、プラズマ生成装置40やスパッタリング装置70がチャンバー10内に配置された際に、プラズマ生成装置40の支持板50やスパッタリング装置70の支持板80が入り込むことのできる大きさになっている。
また、収容ユニット100が有する被処理材保持壁101は、パンチングプレート等の、多数の孔があいた板状の部材より形成されている。収容ユニット100は、被処理材保持壁101が多数の孔があいた部材より形成されることにより、収容ユニット100の内側と外側との間で、被処理材保持壁101を介して通気性を有している。
収容ユニット100における被処理材保持壁101の外面側には、収容ユニット支持部材110で収容ユニット100を支持する際に用いる取付板104が配置されている。取付板104は、厚さ方向が側壁102の厚さ方向と同じ方向になる向きで、被処理材保持壁101の外面側に複数が配置されており、本実施形態では、取付板104は、一対の側壁102の間に2箇所配置されている。取付板104には、長さ方向Yに見た場合において、収容ユニット支持部材110が有する取付部材113が配置されている位置に、取付部材113が通る切欠き(図示省略)が形成されている。このため、収容ユニット支持部材110で収容ユニット100を支持する際には、収容ユニット100の取付板104に形成される切欠きに、収容ユニット支持部材110の取付部材113を入り込ませる。これにより、収容ユニット支持部材110が揺動する方向における収容ユニット支持部材110に対する収容ユニット100の相対移動を規制することができる状態で、収容ユニット支持部材110によって収容ユニット100を支持する。
また、表面処理装置1aは、収容ユニット100と、プラズマ生成装置40及びスパッタリング装置70との少なくともいずれか一方に配置され、被処理材Wが収容される範囲を制限する補正板130aを有している。本実施形態では、補正板130aは、プラズマ生成装置40及びスパッタリング装置70に取り付けられている。
補正板130aは、収容ユニット100が配置されるチャンバー10内にプラズマ生成装置40が位置する場合における、収容ユニット100の側壁102に平行な向きで、一対の補正板130aが一対の側壁102の間に配置されている。即ち、一対の補正板130aは、互いに対向する向きで配置されている。
一対の補正板130aは、それぞれ取付部132を有しており、プラズマ生成装置40に取り付けられる補正板130aの取付部132は、プラズマ生成装置40の保持部材58の下面に取り付けられている。即ち、取付部132は、補正板130aを幅方向Xに見た場合における補正板130aの上端に位置しており、取付部132は、厚さ方向が上下方向Zになる板状の形状で形成されている。補正板130aは、このように形成される取付部132を、プラズマ生成装置40の保持部材58の下面に取り付けることにより、プラズマ生成装置40に取り付けられている。また、補正板130aは、プラズマ生成装置40の保持部材58に取り付けることにより、一対の補正板130aの間隔は、長さ方向Yにおけるプラズマ生成装置40の支持板50の幅と同程度の大きさになっている。具体的には、プラズマ生成装置40に取り付けられる一対の補正板130aの間隔は、プラズマ生成装置40が有するガス導入部57の、長さ方向Yにおける幅と同程度の大きさになっている。
また、プラズマ生成装置40に取り付けられる補正板130aの、幅方向Xにおける幅は、同方向におけるプラズマ生成装置40の支持板50の幅と同程度の大きさになっている。また、補正板130aの上下方向Zにおける高さは、収容ユニット100が収容ユニット支持部材110で支持されるチャンバー10内にプラズマ生成装置40を位置させた際に、補正板130aを収容ユニット100から上下方向Zに離間させることのできる(即ち、第1開閉部材20を開閉できる)高さになっている。さらに、プラズマ生成装置40をチャンバー10内に位置させた際に、補正板130aの上下方向Zにおける下端位置と収容ユニット100との間には、被処理材Wが通過できない隙間が形成される。これによって、プラズマ生成装置40をチャンバー10内に位置させた際に、被処理材Wは、対向する2枚の補正板130aと被処理材保持壁101とによって形成される、図9に示す収容空間Rに収容される。なお、収容空間Rは、プラズマ生成装置40がプラズマを均一に照射可能な領域、即ち、被処理材Wの表面処理が適正に行われる領域に形成される。
なお、スパッタリング装置70に取り付けられる一対の補正板130aも、プラズマ生成装置40に取り付けられる一対の補正板130aと同様のサイズ及び位置関係を有しており、被処理材Wを図10に示す収容空間Rに収容する。そして、収容空間Rは、スパッタリング装置70が、ターゲット84から放出されたイオンを均一に放射可能な領域、即ち、被処理材Wの表面処理が適正に行われる領域に形成される。
[1-5.収容ユニットの揺動状態の説明]
図14は、図11に示す収容ユニット及び収容ユニット支持部材が揺動した状態を示す説明図である。図15は、図12に示す収容ユニット及び収容ユニット支持部材が揺動した状態を示す説明図である。図14、図15に示すように、プラズマ生成装置40に取り付けられた補正板130aと、スパッタリング装置70に取り付けられた補正板130aとは、ほぼ同じ形状になっており、チャンバー10内に位置する際におけるチャンバー10内での配置位置が、実質的に同じ位置になっている。また、補正板130aは、収容ユニット100が揺動軸111を中心として収容ユニット支持部材110と一体となって揺動した際に、収容ユニット100に当接しないように、幅方向Xにおける両側の辺と下端の辺との間にかけて、面取りが施されている。
収容ユニット100及び収容ユニット支持部材110は、揺動軸111を中心として、上下方向Zに対して角度±θaの範囲で揺動する。なお、揺動させる角度範囲は、収容ユニット100を揺動させた際に、収容ユニット100に収容された被処理材Wが、収容ユニット100からチャンバー10内に落下しないように設定される。即ち、角度θaは、被処理材Wの大きさと、被処理材Wの分量とに応じて適宜設定される。θaの値は、例えば約50°に設定される。即ち、収容ユニット100及び収容ユニット支持部材110は、収容ユニット支持部材110が中立となる位置から、揺動方向における両側にそれぞれ約50°ずつ、合計で約100°の角度範囲で揺動する。ここでいう収容ユニット支持部材110が中立となる位置は、収容ユニット支持部材110に収容ユニット100を装着した際に、収容ユニット100の開口部103が真上、即ち上下方向Zの上側を向く状態となる位置である。
また、収容ユニット100を、時間と共にどのように揺動させるかを示す揺動パターンは、サーボモータ120(図9、図10参照)に印加する電圧波形によって任意に設定される。代表的な電圧波形として、正弦波形があげられる。
収容ユニット100が揺動することによって、収容ユニット100に収容された被処理材Wが、収容ユニット100の内部で攪拌される。これによって、プラズマ生成装置40によって表面処理される被処理材Wには、当該被処理材Wの前面に亘ってプラズマが均等に照射されるため、均一な表面処理が施される。また、スパッタリング装置70によって表面処理される被処理材Wには、当該被処理材Wの周囲に亘って、ターゲット84(図7参照)から放出されたイオンが照射されるため、均一な薄膜が形成される。
なお、被処理材Wを攪拌するパターンは、前記したように、被処理材Wをθ方向に揺動させるパターンに限定されるものではない。即ち、収容ユニット100を上下方向Zに揺動(振動)させることによって、被処理材Wを攪拌してもよい。
[1-6.ポンプユニットの構成の説明]
図16は、図1に示すポンプユニットの詳細図である。図17は、図16をF-F方向から見た、昇降軸、ウォームジャッキ部詳細図である。図18は、図16の断面模式図である。図19は、図18に示す昇降バルブが開口部を開いた状態を示す説明図である。
チャンバー10の底部15に取り付けられるポンプユニット140は、流量調整バルブ150と、ターボ分子ポンプ170とを有している。流量調整バルブ150は、図18に示すように、流体が流れる流路部151と、流路部151の一端に形成される開口部152を開閉する昇降バルブ153と、昇降バルブ153の開閉動作を行わせる駆動手段であるサーボアクチュエータ160とを有している。また、ターボ分子ポンプ170は、流量調整バルブ150が有する流路部151を流れる流体を吸引するポンプになっている。
詳しくは、流量調整バルブ150の流路部151は、ポンプユニット140をチャンバー10に取り付けるための取付フランジ141に形成されており、ターボ分子ポンプ170は、ターボ分子ポンプ170が有するポンプフランジ171が取付フランジ141に取り付けられることにより、取付フランジ141に取り付けられている。取付フランジ141は、板状の部材になっており、流路部151は、取付フランジ141の厚さ方向に貫通する孔として形成されている。流路部151の開口部152は、このように取付フランジ141を貫通する流路部151の一端側に位置しており、ターボ分子ポンプ170は、取付フランジ141における、流路部151の開口部152が位置する側の面の反対側の面に取り付けられている。これにより、ターボ分子ポンプ170は、流路部151における開口部152が形成される側の端部の反対側に配置されている。
ポンプユニット140は、取付フランジ141がチャンバー10の底部15の下面に取り付けられることにより、チャンバー10に取り付けられている。取付フランジ141は、流路部151の開口部152が位置する側の面がチャンバー10側に位置し、ターボ分子ポンプ170が取り付けられる側の面がチャンバー10の反対側に位置する向きで取り付けられる。これにより、取付フランジ141は、流路部151に流体が流れる際の流れ方向が上下方向Zとなり、開口部152が流路部151の上端に位置する向きで取り付けられる。換言すると、流路部151は、開口部152の開口方向が上下方向Zになる向きで配置される。取付フランジ141がチャンバー10の底部15に取り付けられた状態では、流路部151の開口部152は、チャンバー10内に対して開口しており、流路部151は、チャンバー10内に連通している。
流量調整バルブ150が有する昇降バルブ153は、チャンバー10内に配置されており、流路部151の開口部152側、即ち、開口部152の上側に配置されている。昇降バルブ153は、開口部152との上下方向Zの距離d(図19参照)が変化することにより、開口部152を開閉する。つまり、昇降バルブ153は、開口部152を閉じる際には、開口部152の全域を覆うことによって閉じることができ、開口部152を開く際には、開口部152から開口部152の開口方向、即ち、上下方向Zに離間することにより、開口部152を開くことができる。これらの開口部152と昇降バルブ153は、開口部152の開口方向に見た場合の形状が、いずれも略円形になっており、開口部152よりも昇降バルブ153の方が、径が大きくなっている。なお、この場合における略円形とは、製造時における寸法誤差や僅かな凹凸の有無に関わらず、実質的に円形の形状で形成されることを意味している。
昇降バルブ153を開閉させるサーボアクチュエータ160は、昇降バルブ153を開口部152の開口方向、即ち、上下方向Zに移動させることにより、昇降バルブ153に対して開口部152の開閉動作を行わせる。サーボアクチュエータ160は、取付フランジ141におけるターボ分子ポンプ170が取り付けられる面側に配置され、駆動手段支持部143によって支持されている。即ち、サーボアクチュエータ160は、駆動手段支持部143を介して取付フランジ141に取り付けられている。
サーボアクチュエータ160で発生する駆動力は、ウォームジャッキ161と、昇降軸162と、連結部材163とを介して昇降バルブ153に伝達される。そして、昇降バルブ153は、伝達された駆動力によって上下方向Zに移動し、開口部152を開閉する。このうち、ウォームジャッキ161は、サーボアクチュエータ160から伝達された駆動力によって昇降軸162を当該昇降軸162の軸方向に移動させる。この昇降軸162は、軸方向が上下方向Zに沿った向きで配置されている。このため、サーボアクチュエータ160からの駆動力がウォームジャッキ161から伝達された際には、昇降軸162は、この駆動力によって上下方向Zに移動する。昇降軸162は、チャンバー10の底部15と取付フランジ141を貫通して配置されており、上端がチャンバー10内に位置し、下端はチャンバー10の外側で、取付フランジ141の下側に位置している。
なお、昇降軸162が取付フランジ141を貫通する部分は、気密になっており、取付フランジ141を貫通する部分の両側で流体が流れないようになっている。また、昇降軸162は、チャンバー10の底部15を貫通している。
ウォームジャッキ161は、昇降軸162の下端寄りの位置に連結され、サーボアクチュエータ160から伝達された駆動力を、昇降軸162の下端寄りの位置から昇降軸162に伝達し、昇降軸162を上下方向Zに移動させる。
連結部材163は、チャンバー10内に配置され、昇降軸162の上端と昇降バルブ153とを連結している。即ち、連結部材163は、昇降バルブ153における流路部151の開口部152を開閉する面の反対側の面と、昇降軸162の上端との間に配置されており、双方に連結されることにより、昇降軸162の上端と昇降バルブ153とを連結している。これにより、昇降軸162が上下方向Zに移動した際には、連結部材163は昇降軸162と共に上下方向Zに移動し、昇降バルブ153も上下方向Zに移動する。昇降バルブ153は、このようにサーボアクチュエータ160から伝達される駆動力によって上下方向Zに移動することにより、流路部151の開口部152を開閉する。
チャンバー10には、昇降バルブ153の開閉動作をガイドするバルブガイド165が設けられており、昇降バルブ153には、バルブガイド165と係合するガイド係合部166が取り付けられている。バルブガイド165は、昇降バルブ153が開閉動作をする際に移動する方向である上下方向Zに延びる棒状の形状で形成されており、チャンバー10の底部15の内面における、昇降バルブ153が位置する部分の近傍に配置されている。
具体的には、バルブガイド165は、昇降バルブ153に対して、昇降軸162が位置する側の反対側に配置されている。ガイド係合部166は、昇降バルブ153の上面側に取り付けられており、昇降バルブ153の上面から、バルブガイド165の位置に亘って形成されている。ガイド係合部166には、昇降バルブ153が通る貫通孔が形成されており、昇降バルブ153は、ガイド係合部166に形成される貫通孔を貫通している。
ガイド係合部166は、昇降バルブ153に取り付けられているため、昇降バルブ153が移動する際には、ガイド係合部166も一体となって移動する。その際に、ガイド係合部166に形成される貫通孔には、上下方向Zに延びるバルブガイド165が貫通しているため、昇降バルブ153と共にガイド係合部166が移動する際には、ガイド係合部166は、バルブガイド165に沿って移動する。これにより、バルブガイド165は、ガイド係合部166が取り付けられる昇降バルブ153の上下方向Zの移動をガイドする。
昇降バルブ153は、上下方向Zに移動することにより、流路部151の開口部152を開閉するが、昇降バルブ153が開口部152を開いた際には、チャンバー10内と流路部151との間では、流体は、昇降バルブ153の外周部と取付フランジ141との間の部分から流れる。
つまり、昇降バルブ153が開口部152と閉じる際には、昇降バルブ153の下面と取付フランジ141の上面とが接触することにより、昇降バルブ153は開口部152を閉じる。この場合、チャンバー10内と流路部151との間の流体の経路は、昇降バルブ153の下面と取付フランジ141の上面との接触部分によって遮られる。また、昇降バルブ153が開口部152を開く際には、昇降バルブ153は上方に移動するため、昇降バルブ153の下面は、取付フランジ141の上面から離間する。これにより、チャンバー10内と流路部151との間では、流体は、昇降バルブ153の下面と取付フランジ141の上面との間の部分から、チャンバー10内と流路部151との間を流れて、チャンバー10の外部に流出する。
このため、昇降バルブ153が開口部152を開いた際における、チャンバー10内と流路部151との間を流れる流体の経路の実質的な開口部は、昇降バルブ153の下面の外周部と、取付フランジ141の上面との間の部分になる。即ち、昇降バルブ153の下面と取付フランジ141の上面とは、昇降バルブ153を上下方向Zに移動させることにより距離が変化する。したがって、昇降バルブ153の下面の外周部と、取付フランジ141の上面との間に形成される開口部は、昇降バルブ153を上下方向Zに移動させることにより開口面積が変化する、調整開口部155(図19参照)として機能する。
調整開口部155は、チャンバー10と開口部152との間で流体が流通する際における開口部になっており、調整開口部155の開口面積は、チャンバー10と開口部152との間で流体が流通する際における流通面積DA(非図示)になっている。調整開口部155の流通面積DAは、昇降バルブ153の下面の外周部の長さと、昇降バルブ153の下面と取付フランジ141の上面との距離を積算することにより算出される値になっている。即ち、流通面積DAは、昇降バルブ153と取付フランジ141との距離に応じて変化する。つまり、流通面積DAは、昇降バルブ153と取付フランジ141との距離、即ち、流路部151の開口部152と昇降バルブ153との距離dが大きくなるに従って大きくなり、開口部152と昇降バルブ153との距離dが小さくなるに従って小さくなる。このため、昇降バルブ153は、開口部152の開口方向における、昇降バルブ153と開口部152との距離dが変化することにより、開口部152に対する流通面積DAを変化させる。
流通面積DAを変化させることができる昇降バルブ153は、サーボアクチュエータ160によって上下方向Zに移動するが、サーボアクチュエータ160は、所定の検出値に基づいて昇降バルブ153を上下方向Zに移動させる。具体的には、サーボアクチュエータ160は、真空計180(図1参照)で検出したチャンバー10内の圧力に基づいて昇降バルブ153を移動させる。これにより、サーボアクチュエータ160は、真空計180が検出したチャンバー10内の圧力に基づいて、流通面積DAを変化させる。
[1-7.第1の実施形態の作用の説明]
以下、本実施形態に係る表面処理装置1aの作用について説明する。実施形態に係る表面処理装置1aは、例えば、通常のめっき処理ではめっき層を形成し難い樹脂材料等の難めっき材料からなる被処理材Wに対して、めっき処理によって表面にめっき層を形成し易くなるように表面処理を行う。なお、本実施形態に係る表面処理装置1aで表面処理を行う被処理材Wは、図1に示すように大きさが比較的小さな部材を想定しており、表面処理装置1aは、大きさが小さい多数の被処理材Wに対してまとめて表面処理を行うのに適している。
なお、表面処理装置1aで表面処理を行う被処理材Wは、収容ユニット100の被処理材保持壁101に多数形成される孔よりは大きさが大きく、収容ユニット100の被処理材保持壁101に形成される孔を通らない大きさの部材になっている。
図20は、実施形態に係る表面処理装置で被処理材の表面処理を行う際の手順を示すフローチャートである。表面処理装置1aで被処理材Wに対して表面処理を行う場合には、まず、被処理材Wを収容ユニット100に収容する(ステップST11)。即ち、収容ユニット100の開口部103から、収容ユニット100内に被処理材Wを収容する。
次に、被処理材Wを収容した収容ユニット100を、チャンバー10内に配置する(ステップST12)。チャンバー10内への収容ユニット100の配置は、被処理材Wを収容した収容ユニット100を、チャンバー10内の収容ユニット支持部材110に装着することにより行う。即ち、第1開閉部材20と第2開閉部材30との双方が開いた状態において、チャンバー10内に被処理材Wを収容した収容ユニット100を入り込ませ、収容ユニット100を収容ユニット支持部材110に取り付ける。これにより、被処理材Wをチャンバー10の内部に収容する。
被処理材Wをチャンバー10の内部に収容したら、ヒンジ部21を中心として第1開閉部材20を回動させることにより、チャンバー10の開口部11を第1開閉部材20によって閉じる(ステップST13)。これにより、第1開閉部材20に取り付けられているプラズマ生成装置40の一部を、チャンバー10内に位置させる(図3、図9参照)。この場合、少なくともプラズマ生成装置40の支持板50に支持されている板状導体部51、52をチャンバー10内に位置させることによって、板状導体部51、52を、チャンバー10内に配置される収容ユニット100の開口部103から収容ユニット100内に入り込ませる。これにより、プラズマ生成装置40が有する板状導体部51、52を、収容ユニット100に収容される被処理材Wの上方で、被処理材Wの比較的近傍に位置させる。
プラズマ生成装置40には、被処理材Wが収容される範囲を制限する一対の補正板130aが取り付けられている。補正板130aは、プラズマ生成装置40の板状導体部51、52よりも下側に配置されるため、板状導体部51、52を収容ユニット100の開口部103から収容ユニット100内に入り込ませる状態にした際には、補正板130aも収容ユニット100内に入り込む。これにより、収容ユニット100に収容される被処理材Wは、収容ユニット100内に位置する一対の補正板130aの間に位置する状態になる。
被処理材Wを収容した収容ユニット100をチャンバー10内に配置し、第1開閉部材20を閉じることによりプラズマ生成装置40をチャンバー10内に位置させたら、ポンプユニット140によってチャンバー10内を減圧する(ステップST14)。その際に、スパッタリングを行う際に用いるガスをチャンバー10内に流入するガス流入部16の経路は閉じ、ガス流入部16からはガスが流入しないようにする。なお、チャンバー10内をポンプユニット140によって減圧する際には、ターボ分子ポンプ170を作動させることにより、ターボ分子ポンプ170がチャンバー10内のガスを吸引すると共に、吸引したガスをチャンバー10の外に排出する。また、ポンプユニット140は、チャンバー10内のガスをターボ分子ポンプ170によって吸引している状態で、流量調整バルブ150を作動させることにより、チャンバー10内からターボ分子ポンプ170側に流れるガスの流量を調整する。これにより、チャンバー10内の圧力を調整する。
より具体的には、ポンプユニット140は、真空計180で検出するチャンバー10内の圧力に基づいて昇降バルブ153を上下方向Zに移動させて調整開口部155の流通面積DAを調節し、チャンバー10内から流路部151側に流れるガスの流量を調整することにより、チャンバー10内の圧力を、所定の設定圧力まで減圧する。なお、この場合における設定圧力は、例えば、プラズマ生成装置40でプラズマを生成して、被処理材Wの表面処理を行うのに適した圧力、例えば10Pa~300Pa程度の圧力に設定される。ポンプユニット140は、設定圧力に従ってチャンバー10内の圧力を10Pa~300Pa程度の圧力に調整することにより、チャンバー10内を低真空から中真空の状態にする。
チャンバー10内を設定圧力まで減圧した後で、表面処理装置1aは、収容ユニット100の揺動を開始させる(ステップST15)。収容ユニット100の揺動は、収容ユニット100を揺動させる揺動手段であるサーボモータ120を駆動させることにより行う。サーボモータ120を駆動させると、サーボモータ120で発生した駆動力がサーボモータ120の出力軸121から駆動軸125を介して収容ユニット支持部材110に伝達される。サーボモータ120からの駆動力が伝達された収容ユニット支持部材110は、駆動軸125と支持軸116(図9参照)とから構成される収容ユニット支持部材110の揺動軸111を中心として揺動する。これにより、収容ユニット支持部材110に支持される収容ユニット100は、収容ユニット支持部材110と一体となって揺動する。
収容ユニット100が揺動すると、収容ユニット100に収容されている被処理材Wには、収容ユニット100が揺動することによって発生する慣性力が作用する。そして、収容ユニット100に収容されている被処理材Wは、この慣性力により収容ユニット100内で移動したり、被処理材W同士が衝突して被処理材Wがひっくり返ったりする。
なお、サーボモータ120で発生する駆動力によって収容ユニット100を揺動させる場合は、速度や加速度を急激に変化させる動作も含ませるのが好ましい。収容ユニット100を揺動の速度や加速度を急激に変化させることにより、被処理材Wを収容ユニット100内でより一層移動させ易くなる。また、被処理材Wを収容ユニット100内でより一層ひっくり返し易くなる。
収容ユニット100が揺動を開始した後で、表面処理装置1aは、被処理材Wに対してプラズマ生成装置40によって表面改質を行う(ステップST16)。プラズマ生成装置40によって表面改質を行う際には、ガス導入部57(図5、図6参照)にプラズマ生成ガスを供給しつつ、平行平板型の板状導体部51、52(図5、図6参照)の間の空隙部56を高周波放電状態とし、プラズマを生成する。ガス導入部57へのプラズマ生成ガスの供給は、プラズマ生成ガスをガス供給部44からガス流路42に供給し、ガス流路42の一端側に形成されるガス供給孔43からガス導入部57にプラズマ生成ガスを放出することにより行う。また、板状導体部51、52の間の空隙部56を高周波放電状態にする際には、高周波電源61を稼働させることにより行う。空隙部56には、ガス導入部57に供給されたプラズマ生成ガスが、板状導体部52に形成される貫通孔54を通って流れるため、空隙部56に流れたプラズマ生成ガスは高周波放電状態の空隙部56でプラズマ化される。このとき、チャンバー10内は、プラズマを生成するのに適した圧力に減圧されているため、空隙部56にプラズマ生成ガスを流しつつ、空隙部56を高周波放電状態とすることにより、空隙部56では効率良くプラズマが生成される。
空隙部56で生成されたプラズマは、板状導体部51に形成される貫通孔53を通って、板状導体部52が位置する側の反対側に向かって空隙部56から流出する。即ち、空隙部56で生成されたプラズマは、板状導体部51の貫通孔53を通って、上下方向Zにおける下側に流出する。
その際に、板状導体部51の貫通孔53の径は、板状導体部52に形成される貫通孔54の径より小さくなっている。このため、空隙部56でプラズマ化したガスであるプラズマガスは、比較的速い流速で、貫通孔53から上下方向Zにおける下側に流出する。上下方向Zにおける板状導体部51の下側には、収容ユニット100に収容される被処理材Wが位置するため、板状導体部51の貫通孔53から流出したプラズマガスは、収容ユニット100に収容される被処理材Wに照射される。被処理材Wは、このようにプラズマ生成装置40で生成されるプラズマによって表面改質される。即ち、被処理材Wは、照射されたプラズマによって表面処理される。
プラズマにより行われる表面改質の一例は、具体的には、プラズマガス中のイオンが被処理材Wに衝突することによって被処理材Wの表面を荒らす表面粗面化である。また、プラズマにより行われる他の表面改質の例としては、プラズマによる被処理材Wの表面の洗浄や、プラズマによって被処理材Wの表面に親水性の官能基を生成すること等が挙げられる。
なお、プラズマ生成装置40には、被処理材Wが収容される範囲を制限する一対の補正板130aが取り付けられているため、板状導体部51の貫通孔53から流出したプラズマガスは、一対の補正板130aの間を流れる。被処理材Wは、一対の補正板130aの間に収容されているため、プラズマガスが一対の補正板130aの間を流れることにより、プラズマガスは、被処理材Wを万遍なく覆う。そのため、被処理材Wは、プラズマガスにより、効率良く表面処理される。
さらに、プラズマガスが吹き付けられる間に、収容ユニット100は揺動するため、被処理材Wが収容ユニット100内で移動したりひっくり返ったりすることにより、プラズマガスが、被処理材Wの全面に到達する。つまり、収容ユニット100に収容される被処理材Wは、収容ユニット100が揺動することにより、全面が万遍なくプラズマに曝される。これにより、被処理材Wが複雑な形状である場合でも、複雑な形状の被処理材Wの全面に、万遍なく表面処理が施される。
プラズマ生成装置40による表面改質が所定の時間行われると、表面処理装置1aは、プラズマ生成装置40でのプラズマの生成を停止する。
そして、表面処理装置1aは、サーボモータ120の駆動を停止することによって、収容ユニット100の揺動を終了する(ステップST17)。その際、収容ユニット支持部材110は、中立位置、即ち、図11に示す状態で停止する。
プラズマ生成装置40でのプラズマの生成が停止し、収容ユニット支持部材110も停止したら、表面処理装置1aは、チャンバー10内の圧力を大気圧と同じ大きさにする(ステップST18)。チャンバー10内の圧力を大気圧と同じ大きさにする際には、ポンプユニット140を停止し、チャンバー10に設置される圧力調整用のバルブ(非図示)を開くことにより、チャンバー10の周囲の空気をチャンバー10内に取り込む。これにより、減圧されていたチャンバー10内を増圧し、チャンバー10内の圧力を大気圧と同じ大きさにする。
チャンバー10内の圧力を大気圧と同じ大きさにしたら、第1開閉部材20を開き、第2開閉部材30を閉じる(ステップST19)。チャンバー10内の圧力は、チャンバー10の外の大気圧とほぼ同じ大きさになっているため、第1開閉部材20は、ヒンジ部21を中心として回動させることにより容易に開くことができる。第1開閉部材20を開いたら、チャンバー10の開口部11付近における第1開閉部材20とは異なる位置に取り付けられている第2開閉部材30を閉じる。
第2開閉部材30を閉じる際には、第1開閉部材20と同様に、ヒンジ部31を中心として第2開閉部材30を回動させることにより、チャンバー10の開口部11を第2開閉部材30によって閉じる。これにより、第2開閉部材30に取り付けられているスパッタリング装置70の一部を、チャンバー10内に位置させる(図4、図10参照)。この場合、少なくともスパッタリング装置70の支持板80に支持されているターゲット84をチャンバー10内に位置させることによって、ターゲット84を、チャンバー10内に配置される収容ユニット100の開口部103から収容ユニット100内に入り込ませる。これにより、スパッタリング装置70が有するターゲット84を、収容ユニット100に収容される被処理材Wの上方で、被処理材Wの比較的近傍に位置させる。
スパッタリング装置70には、被処理材Wが配置される範囲を制限する一対の補正板130aが取り付けられている。補正板130aは、スパッタリング装置70が有するターゲット84よりも下側に配置されるため、ターゲット84を収容ユニット100の開口部103から収容ユニット100内に入り込ませる状態にした際には、補正板130aも収容ユニット100内に入り込む。これにより、収容ユニット100に収容される被処理材Wは、収容ユニット100内に位置する一対の補正板130aの間に位置する状態になる。
第2開閉部材30を閉じることによりスパッタリング装置70をチャンバー10内に位置させたら、ポンプユニット140によってチャンバー10内を減圧する(ステップST20)。チャンバー10内の減圧は、ステップS14で説明したのと同様の手法で行う。
チャンバー10内を設定圧力まで減圧した後で、表面処理装置1aは、収容ユニット100の揺動を開始させる(ステップST21)。収容ユニット100の揺動は、前記したステップST15で説明したのと同様に行われる。
収容ユニット100が揺動すると、収容ユニット100に収容されている被処理材Wには、収容ユニット100が揺動方向において往復で揺動することによって発生する慣性力が作用する。そして、収容ユニット100に収容されている被処理材Wは、この慣性力により収容ユニット100内で移動したり、被処理材W同士が衝突して被処理材Wがひっくり返ったりする。
収容ユニット100が揺動を開始した後で、表面処理装置1aは、被処理材Wに対してスパッタリング装置70によってスパッタリングを行う(ステップST22)。スパッタリング装置70によってスパッタリングを行う際には、チャンバー10に配置されるガス流入部16から、スパッタリングに用いるガスがチャンバー10内に流入する。そして、スパッタリング装置70のマグネット81が発生した磁界によって、ガス流入部16から流入したガスをイオン化し、ターゲット84にイオンを衝突させることにより、ターゲット84の原子をはじき出す。チャンバー10内は、ポンプユニット140によってスパッタリングを行うのに適した圧力に減圧されているため、スパッタリングに用いるガスをガス流入部16からチャンバー10内に流入しつつ、マグネット81で磁界を発生することにより、スパッタリング装置70のターゲット84の近傍では、ガス流入部16から流入したガスが効率良くイオン化される。
本実施形態では、ターゲット84には銅が用いられているため、ターゲット84の近傍でイオン化されたガスのイオンがターゲット84に衝突した際に、ターゲット84は、銅の原子をはじき出す。ターゲット84からはじき出された原子は、上下方向Zにおいて、マグネット81が位置する側の反対側である下側に向かう。上下方向Zにおけるターゲット84の下側には、収容ユニット100に収容される被処理材Wが位置するため、ターゲット84からはじき出された原子は、収容ユニット100に収容される被処理材Wに向かって移動して被処理材Wに密着し、被処理材Wの表面に堆積する。これにより、被処理材Wの表面には、ターゲット84を形成する物質によって薄膜が形成される。本実施形態の場合、被処理材Wの表面には、銅の薄膜が形成される。
その際に、被処理材Wの表面は、プラズマ生成装置40によって表面改質されているため、スパッタリング装置70により、ターゲット84を形成する物質で被処理材Wの表面に成膜を行う場合、被処理材Wの表面に対する薄膜の密着度を高めることができる。即ち、スパッタリング装置70は、表面改質された被処理材Wの表面に対して、スパッタリングによって成膜を行うため、高い密着度で被処理材Wの表面に薄膜を形成することができる。なお、形成された薄膜には、後工程で、他の装置によって被処理材Wの表面にめっき加工を施した際に、めっき層が密着し易い。
なお、スパッタリング装置70には、被処理材Wが収容される範囲を制限する一対の補正板130aが取り付けられているため、ターゲット84からはじき出された原子は、一対の補正板130aの間を流れる。被処理材Wは、一対の補正板130aの間に収容されているため、ターゲット84からはじき出された原子は、一対の補正板130aの間を通ることにより、被処理材Wを万遍なく覆う。そのため、被処理材Wの表面には、万遍なく均一に薄膜が形成される。
スパッタリング装置70でスパッタリングを行うことにより被処理材Wの表面に付着する、ターゲット84からはじき出された原子は、収容ユニット100の揺動によって被処理材Wが収容ユニット100内で移動したりひっくり返ったりすることにより、各被処理材Wの全面に密着する。つまり、収容ユニット100に収容される被処理材Wは、収容ユニット100が揺動することにより、ターゲット84からはじき出された原子が被処理材Wの全面に万遍なく密着し、ターゲット84を形成する物質が堆積することにより形成される薄膜は、被処理材Wの全面に均一に形成される。これにより、被処理材Wが複雑な形状である場合でも、複雑な形状の被処理材Wの全面に、万遍なく薄膜が形成される。
スパッタリング装置70によるスパッタリングが所定の時間行われると、表面処理装置1aは、スパッタリング装置70によるスパッタリングを停止する。
そして、表面処理装置1aは、サーボモータ120の駆動を停止することによって、収容ユニット100の揺動を終了する(ステップST23)。その際、収容ユニット支持部材110は、中立位置、即ち、図12に示す状態で停止する。
スパッタリング装置70が停止し、収容ユニット支持部材110も停止したら、表面処理装置1aは、チャンバー10内の圧力を大気圧と同じ大きさにする(ステップST24)。チャンバー10内の圧力を大気圧と同じ大きさにする際には、ポンプユニット140を停止し、チャンバー10に設置される圧力調整用のバルブ(非図示)を開くことにより、チャンバー10の周囲の空気をチャンバー10内に取り込む。これにより、減圧されていたチャンバー10内を増圧し、チャンバー10内の圧力を大気圧と同じ大きさにする。
チャンバー10内の圧力を大気圧と同じ大きさにしたら、第2開閉部材30を開き、収容ユニット100を取り出す(ステップST25)。チャンバー10内の圧力は、チャンバー10の外の大気圧とほぼ同じ大きさになっているため、第2開閉部材30は、ヒンジ部31を中心として回動させることにより容易に開くことができる。第2開閉部材30を開いたら、チャンバー10に収容されている収容ユニット100を、チャンバー10の開口部11からチャンバー10の外に取り出す。以上の一連の処理によって、プラズマ生成装置40で表面改質を行った後、スパッタリング装置70でスパッタリングを行うことにより、後工程でめっき処理を行う際にめっき層の密着度が高い薄膜が形成された被処理材Wが得られる。
表面に薄膜が形成された被処理材Wは、後の工程でめっき処理される。めっき処理は、例えば、電解めっきや無電解めっき、溶融めっき等の手法によって行われる。これらのめっき処理は、前記した一連の表面処理によって薄膜が形成された被処理材Wに対して行われるため、めっき処理によって表面を被覆する金属の薄膜(めっき層)を、被処理材Wの表面に形成された薄膜に対して、高い密着度で形成することができる。
以上説明したように、第1の実施形態の表面処理装置1aは、収容ユニット100に被処理材Wを収容した際に、被処理材Wの収容範囲を、プラズマ生成装置40(表面処理手段)による処理能力の有効範囲内に、被処理材Wが収容される範囲を制限する一対の補正板130aを備える。また、表面処理装置1aは、収容ユニット100に被処理材Wを収容した際に、被処理材Wの収容範囲を、スパッタリング装置70(表面処理手段)による処理能力の有効範囲内に、被処理材Wが収容される範囲を制限する一対の補正板130aを備える。したがって、表面処理を行っている間は、被処理材Wを、表面処理手段による処理能力の有効範囲内に留めることができるため、表面処理を確実に実行することができる。
また、第1の実施形態の表面処理装置1aにおいて、補正板130aは、収容ユニット100の側壁102に沿って、対向する位置に設置される。したがって、収容ユニット100に収容された被処理材Wの収容範囲を、対向する2枚の補正板130aの間に確実に制限することができる。
また、第1の実施形態の表面処理装置1aにおいて、表面処理手段は、収容ユニット100に収容されている被処理材Wに対してプラズマを照射することにより、被処理材Wの表面処理を行うプラズマ生成装置40であり、当該プラズマ生成装置40による処理能力の有効範囲は、プラズマの照射範囲である。したがって、被処理材Wに対して、プラズマを用いた表面改質(表面処理)を確実に行うことができる。
また、第1の実施形態の表面処理装置1aにおいて、表面処理手段は、収容ユニット100に収容されている被処理材Wに対してスパッタリングを行うスパッタリング装置70であり、当該スパッタリング装置70による処理能力の有効範囲は、ターゲット84から放出された原子の放出範囲である。したがって、被処理材Wに対して、スパッタリングを確実に行うことができる。
[2.第2の実施形態]
本開示の第2の実施形態である表面処理装置1bについて図21から図24を用いて説明する。図21は、第2の実施形態において、プラズマ生成装置がチャンバー内に位置する際の収容ユニット周辺の構成の説明図である。図22は、第2の実施形態において、スパッタリング装置がチャンバー内に位置する際の収容ユニット周辺の構成の説明図である。図23は、図21のJ-J断面図である。図24は、図22のK-K断面図である。
[2-1.補正板の別の構成例の説明]
表面処理装置1bは、第1の実施形態で説明した表面処理装置1aが備える一対の補正板130aの代わりに、被処理材Wが収容される範囲を制限する一対の補正板130bを備える。その他の構成は表面処理装置1aと同じである。
補正板130bは、プラズマ生成装置40及びスパッタリング装置70に取り付けられる装置側補正板131と、収容ユニット100に取り付けられる収容ユニット側補正板133とを有している。
このうち、プラズマ生成装置40に取り付けられる装置側補正板131は、図21に示すように、収容ユニット100が配置されるチャンバー10内にプラズマ生成装置40が位置する場合における、収容ユニット100の側壁102に平行な向きで、一対の側壁102の間に配置される。即ち、一対の装置側補正板131は、互いに対向する向きで配置されている。なお、装置側補正板131は、本開示における第1の補正板の一例である。
一対の装置側補正板131は、それぞれ取付部132を有している。取付部132は、プラズマ生成装置40の保持部材58の下面に取り付けられている。即ち、取付部132は、図23に示すように、装置側補正板131を幅方向Xに見た場合における装置側補正板131の上端に位置しており、取付部132は、厚さ方向が上下方向Zになる板状の形状で形成されている。装置側補正板131は、このように形成される取付部132を、プラズマ生成装置40の保持部材58の下面に取り付けることにより、プラズマ生成装置40に取り付けられている。また、図21に示すように、一対の装置側補正板131の間隔は、長さ方向Yにおけるプラズマ生成装置40の支持板50の幅と同程度の大きさになっている。具体的には、プラズマ生成装置40に取り付けられる一対の装置側補正板131の間隔は、プラズマ生成装置40が有するガス導入部57の、長さ方向Yにおける幅と同程度の大きさになっている。
また、図23に示すように、プラズマ生成装置40に取り付けられる装置側補正板131の、幅方向Xにおける幅は、同方向におけるプラズマ生成装置40の支持板50の幅と同程度の大きさになっている。また、装置側補正板131の上下方向Zにおける高さは、収容ユニット100が収容ユニット支持部材110で支持されるチャンバー10内にプラズマ生成装置40を位置させた際に、装置側補正板131を収容ユニット100から上下方向Zに離間させることのできる(即ち、第1開閉部材20を開閉できる)高さになっている。
スパッタリング装置70に取り付けられる装置側補正板131も同様に、図22に示すように、取付部132がスパッタリング装置70の保持部材85の下面に取り付けられることにより、スパッタリング装置70に取り付けられている。スパッタリング装置70に取り付けられる一対の装置側補正板131の間隔は、長さ方向Yにおけるスパッタリング装置70の支持板80の幅と同程度の大きさになっている。具体的には、スパッタリング装置70に取り付けられる一対の装置側補正板131の間隔は、スパッタリング装置70が有するマグネット81の、長さ方向Yにおける幅と同程度の大きさになっている。
また、図24に示すように、スパッタリング装置70に取り付けられる装置側補正板131の、幅方向Xにおける幅は、同方向におけるスパッタリング装置70の支持板80の幅と同程度の大きさになっている。また、装置側補正板131の上下方向Zにおける高さは、収容ユニット100が収容ユニット支持部材110で支持されるチャンバー10内にスパッタリング装置70を位置させた際に、装置側補正板131を収容ユニット100から上下方向Zに離間させることのできる(即ち、第2開閉部材30を開閉できる)高さになっている。
なお、図23、図24に示すように、プラズマ生成装置40に取り付けられる装置側補正板131と、スパッタリング装置70に取り付けられる装置側補正板131とは、ほぼ同じ形状になっており、チャンバー10内に位置する際におけるチャンバー10内での配置位置が、実質的に同じ位置になっている。また、装置側補正板131は、収容ユニット100が揺動軸111(図25、図26参照)を中心として収容ユニット支持部材110と一体となって揺動した際に、収容ユニット100に当接しないように、幅方向Xにおける両側の辺と下端の辺との間にかけて、面取りが施されている。
また、表面処理装置1bは、図21、図22に示すように、収容ユニット100の内側の底部に、収容ユニット側補正板133を備えている。収容ユニット側補正板133は、収容ユニット100の内側に一対が配置されており、一対の収容ユニット側補正板133は、長さ方向Yに離間している。また、一対の収容ユニット側補正板133は、長さ方向Yにおける間隔が、プラズマ生成装置40やスパッタリング装置70に取り付けられる一対の装置側補正板131の間隔より僅かに大きい間隔になっている。なお、収容ユニット側補正板133は、本開示における第2の補正板の一例である。
また、収容ユニット側補正板133は、上下方向Zにおける高さがほぼ一定の高さで、幅方向Xに延在して形成されている。そして、図23、図24に示すように、収容ユニット側補正板133の高さは、収容ユニット側補正板133の上端の位置が、プラズマ生成装置40やスパッタリング装置70がチャンバー10内に位置する場合における装置側補正板131の下端の位置よりもやや上側に位置する高さになっている。このため、一対の収容ユニット側補正板133は、プラズマ生成装置40やスパッタリング装置70がチャンバー10内に位置する状態では、長さ方向Yにおける両側から一対の装置側補正板131を挟んだ状態で、上下方向Zにおける収容ユニット側補正板133の上端付近が、装置側補正板131の下端付近にオーバーラップしている。即ち、収容ユニット100に収容された被処理材Wに対して表面処理を行う際に、装置側補正板131と収容ユニット側補正板133とは、重複領域134a(図23参照)、重複領域134b(図24参照)を形成する。
なお、ここでは、収容ユニット側補正板133が、長さ方向Yにおける両側から一対の装置側補正板131を挟んだ状態で設置される例を説明したが、逆に、装置側補正板131を、長さ方向Yにおける両側から一対の収容ユニット側補正板133を挟んだ状態で設置してもよい。
[2-2.収容ユニットの揺動状態の説明]
図25は、図23に示す収容ユニット及び収容ユニット支持部材が揺動した状態を示す説明図である。図26は、図24に示す収容ユニット及び収容ユニット支持部材が揺動した状態を示す説明図である。収容ユニット側補正板133が取り付けられる収容ユニット100は、揺動軸111を中心として収容ユニット支持部材110と一体となって揺動するが、収容ユニット100の揺動の角度に関わらず、収容ユニット側補正板133と装置側補正板131とは、重複領域134c(図25参照)、重複領域134d(図26参照)を形成する。即ち、収容ユニット側補正板133は、収容ユニット100が揺動することに伴う、装置側補正板131に対する相対的な角度の変化に関わらず、装置側補正板131に対して、継続的に一部重複可能に配置されている。
つまり、装置側補正板131には、収容ユニット100が揺動した際に、幅方向Xにおける両側の辺と下端の辺との間にかけて面取りが施されているが、収容ユニット側補正板133は、収容ユニット100の揺動時に、装置側補正板131の面取り部分に対してオーバーラップする。即ち、補正板130bは、装置側補正板131に面取りを形成することによって、収容ユニット100が揺動した際に装置側補正板131が収容ユニット100に当接しないようにしつつ、収容ユニット100の揺動の状態に関わらず、収容ユニット側補正板133と装置側補正板131とが一部重複した状態を保持できるようになっている。
このように、収容ユニット100に収容ユニット側補正板133を取り付けた場合、被処理材Wを収容ユニット100に収容した際に、被処理材Wを、一対の収容ユニット側補正板133の間に収容することができる。この状態で、第1開閉部材20又は第2開閉部材30を閉じた場合、プラズマ生成装置40やスパッタリング装置70に取り付けられている一対の装置側補正板131は、収容ユニット100に配置されている一対の収容ユニット側補正板133の間に入り込む。
詳しくは、プラズマ生成装置40やスパッタリング装置70に取り付けられている一対の装置側補正板131の間隔は、収容ユニット100に配置されている一対の収容ユニット側補正板133の間隔よりも僅かに小さくなっている。このため、第1開閉部材20や第2開閉部材30を閉じた際に、一対の装置側補正板131は、一対の収容ユニット側補正板133の間に入り込む。これにより、収容ユニット100に収容されて一対の収容ユニット側補正板133の間に位置する被処理材Wは、プラズマ生成装置40やスパッタリング装置70に取り付けられている一対の装置側補正板131の間に、確実に収容された状態になる。
これにより、プラズマ生成装置40で表面改質を行った場合には、プラズマ生成装置40からのプラズマガスは、一対の装置側補正板131の間を通ってより確実に被処理材Wに向けて流れ、被処理材Wは、プラズマガスにより効率良く表面処理される。同様に、スパッタリング装置70でスパッタリングを行った場合、ターゲット84からはじき出された原子は、一対の装置側補正板131の間を通ってより確実に被処理材Wに向かい、被処理材Wの表面には、効率良く薄膜が形成される。
以上説明したように、第2の実施形態の表面処理装置1bは、収容ユニット100に被処理材Wを収容した際に、装置側補正板131と収容ユニット側補正板133とは、一部が重複して配置されることによって、被処理材Wの収容範囲を、プラズマ生成装置40及びスパッタリング装置70(表面処理手段)に設置された一対の装置側補正板131(第1の補正板)と、収容ユニット100に設置された一対の収容ユニット側補正板133(第2の補正板)との間に制限する。したがって、被処理材Wの収容範囲を、表面処理手段の処理能力の有効範囲内に確実に制限することができる。
また、第2の実施形態の表面処理装置1bは、サーボモータ120(揺動手段)が収容ユニット100を揺動させた際に、装置側補正板131(第1の補正板)と収容ユニット側補正板133(第2の補正板)とは、一部が重複した状態を保持する。したがって、収容ユニット100が揺動して被処理材Wが撹拌されている間も、被処理材Wの収容範囲を、表面処理手段の処理能力の有効範囲内に確実に制限することができる。
なお、補正板の設置方法は、これらの実施形態に制限されない。即ち、補正板を収容ユニット側のみに設置しても、同様の効果を得ることができる。
なお、装置側補正板131と収容ユニット側補正板133のそれぞれの間隔を調整できるようにして、被処理材Wの分量や処理条件等に合わせて変化させてもよい。また、表面処理手段の種類の違い、例えば、プラズマ生成装置40で表面処理を行う場合とスパッタリング装置70で表面処理を行う場合とで、装置側補正板131と収容ユニット側補正板133のそれぞれの間隔を変化させてもよい。
また、上述した実施形態に係る表面処理装置1a,1bでは、表面処理手段として、プラズマ生成装置40とスパッタリング装置70を設けた形態について説明したが、さらに別の表面処理手段を設けてもよい。その場合は、各表面処理手段やチャンバー10の形状等に応じて、異なる表面処理手段に取り付けられるヒンジ部同士が適当な間隔を空けてチャンバー10に配置されていればよい。即ち、ヒンジ部を介してチャンバー10に開閉自在に取り付けられる複数の表面処理手段を、それぞれ交代でチャンバー10内に位置させることができ、且つ、表面処理手段がチャンバー10の外に位置する状態では、他の表面処理手段と干渉することなくチャンバー10外に位置させることができればよい。
1a,1b…表面処理装置、10…チャンバー、11…開口部、12…上壁、13…側壁、14…支持壁、15…底部、16…ガス流入部、20…第1開閉部材、21…ヒンジ部、30…第2開閉部材、31…ヒンジ部、40…プラズマ生成装置(表面処理手段)、41…ガス供給管、42…ガス流路、43…ガス供給孔、44…ガス供給部、45…ガス供給管取付部材、46…支持部材、50…支持板、50a…凹部、51,52…板状導体部、53,54…貫通孔、55…スペーサ、56…空隙部、57…ガス導入部、58…保持部材、60…マッチングボックス(MB)、61…高周波電源(RF)、63…接地、64…マスフローコントローラー(MFC)、70…スパッタリング装置(表面処理手段)、71…冷却水管、72…冷却水路、73…水入口、74…水出口、75…冷却水管取付部材、76…支持部材、80…支持板、81…マグネット、82…冷却ジャケット、83…絶縁材、84…ターゲット、85…保持部材、100…収容ユニット、101…被処理材保持壁、102…側壁、103…開口部、104…取付板、110…収容ユニット支持部材、111…揺動軸、112…サイドプレート、113…取付部材、114…揺動手段軸連結部、115…支持軸連結部、116…支持軸、117…支持軸支持部材、120…サーボモータ(揺動手段)、121…出力軸、122…サーボモータ取付部材、125…駆動軸、130a,130b…補正板、131…装置側補正板(第1の補正板)、132…取付部、133…収容ユニット側補正板(第2の補正板)、134a,134b,134c,134d…重複領域、140…ポンプユニット、141…取付フランジ、143…駆動手段支持部、150…流量調整バルブ、151…流路部、152…開口部、153…昇降バルブ、155…調整開口部、160…サーボアクチュエータ、161…ウォームジャッキ、162…昇降軸、163…連結部材、165…バルブガイド、166…ガイド係合部、170…ターボ分子ポンプ、171…ポンプフランジ、180…真空計、R…収容空間、W…被処理材

Claims (3)

  1. 被処理材を収容する、上部が開口された1対の側壁を有する籠状の収容ユニットと、
    前記収容ユニットに収容された前記被処理材の表面に成膜処理を行う、前記収容ユニットの開口に面する位置に設置された表面処理手段と、
    前記表面処理手段が前記収容ユニットに収容された前記被処理材に対して表面処理を行う際に、前記収容ユニットの一対の側壁を貫く方向に設置された揺動軸の周りに前記収容ユニットを揺動させる揺動手段と、
    記被処理材が収容される範囲を、前記表面処理手段による処理能力の有効範囲内に制限する、前記表面処理手段に、前記揺動軸に直交する向きに取り付けられた一対の第1の補正板と、前記揺動軸の延在方向において、前記第1の補正板と一部が重複して配置されて、前記揺動手段が前記収容ユニットを揺動させた際に、前記第1の補正板と一部が重複した状態を保持する、前記収容ユニットに取り付けられた一対の第2の補正板と、
    を備える表面処理装置。
  2. 前記表面処理手段は、前記収容ユニットに収容された前記被処理材に対してプラズマを照射することにより前記被処理材の表面処理を行うプラズマ生成装置であり、
    前記表面処理手段による処理能力の有効範囲は、前記プラズマの照射範囲である、
    請求項1に記載の表面処理装置。
  3. 前記表面処理手段は、前記収容ユニットに収容された前記被処理材に対してスパッタリングを行うスパッタリング装置であり、
    前記表面処理手段による処理能力の有効範囲は、前記スパッタリング装置によって、ターゲットから放出された原子の放出範囲である、
    請求項1または請求項に記載の表面処理装置。
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