JP7420190B1 - 成形荷重増要因部位特定方法、プレス成形品の製造方法、成形荷重増要因部位特定装置、成形荷重増要因部位特定プログラム - Google Patents

成形荷重増要因部位特定方法、プレス成形品の製造方法、成形荷重増要因部位特定装置、成形荷重増要因部位特定プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】簡易に成形荷重が増加する要因となるプレス成形品の部位を特定することができる成形荷重増要因部位特定方法、装置、及びプログラムを提供する。また、成形荷重を低減できるプレス成形品の製造方法を提供する。【解決手段】本発明に係る成形荷重増要因部位特定方法は、金型モデル15に評価領域を設定する金型モデル評価領域設定ステップS1と、金型モデル15の成形荷重分布を算出する成形解析ステップS3と、評価領域毎の荷重評価値を算出する金型モデル荷重評価値算出ステップS5と、金型モデルにおける一つの評価領域の変形抵抗を変更し、変形抵抗を変更した評価領域の荷重評価値を算出する変形抵抗変更金型モデル荷重評価値算出ステップS7と、金型モデルの変形抵抗変更前後で荷重評価値が変化する評価領域を特定し、該特定した評価領域に対応するプレス成形品1の部位を成形荷重が増加する要因となる部位として特定する成形荷重増要因部位特定ステップS9と、を含む。【選択図】 図1

Description

本発明は、成形荷重が増加する要因となるプレス成形品の部位を特定する成形荷重増要因部位特定方法、装置及びプログラムに関する。また、本発明は、成形荷重が増加する要因となるプレス成形品の部位を特定し、プレス成形に伴う成形荷重を低減するプレス成形品の製造方法に関する。
自動車の軽量化による燃費向上、衝突安全性向上のニーズの高まりから、自動車車体における高張力鋼板の適用が拡大している。高張力鋼板はその延性の低さによる成形性の低下や、高い材料強度に起因する寸法精度の悪化が適用の課題とされていた。その一方で、部品の成形に要する成形荷重の増加も大きな問題となっており、プレスラインの変更や部品の分割が必要となるなど、高張力鋼板適用の阻害要因となっている。したがって、プレス成形に伴う成形荷重を低減する方策が求められている。
プレス成形に必要となる成形荷重は、CAE解析を用いて事前予測することができる。CAE解析は、部品や金型の形状を検討する際、部品の成形時に生じる割れ・シワ・スプリングバックなどによる成形不良や外観不良を事前に予測するために従来から用いられており、プレス成形に要する成形荷重についても、このCAE解析を用いて算出できる。
そして、大きな成形荷重が予測される場合には、部品や金型の形状を変更したり、成形工程を検討したりするなどして、成形荷重の低減が図られていた。
例えば、部品のトリミングを成形と同時に行うか、成形の前後で行うかによってプレス成形に要する成形荷重が変わるため、プレス現場においては、成形荷重がプレス機械の能力を超えないよう、部品をトリム(切断)するタイミングの検討が行われている。
また、特許文献1には、金型を分割可動させることで逐次成形を行い、成形荷重を低減させる方法が開示されている。
さらに、非特許文献1には、金型モデルを弾性体として成形荷重を予測する手法が公開されている。非特許文献1においては、プレス機械のスライドや型部品の逃げがおよぼす影響を検討しプレス工程を設計する方法や、CAE解析により算出される面圧分布(非特許文献1の図9参照)に基づいてプレス金型の型当たり状態を評価し、金型の逃げや当たり不良などを判定する方法も提案されている。
特開2010-207907号公報
大町 勝一郎"3DSimSTAMPを使ったプレス成形CAEの荷重検討とその応用"、プレス技術、日韓工業新聞社、2015年3月、第53巻3号、P62-65
成形荷重を増加させる要因の一つに、成形途中におけるブランクと金型の馴染み不良が挙げられる。成形途中のブランクと金型の馴染みとは、成形下死点に至る手前でブランクがどの程度金型の表面形状に沿って変形するかを指す。成形途中でブランクの一部が金型に馴染んでいない、即ち、当該部位が金型の表面形状に沿った形状にほとんど変形していない状態で成形終期に至った場合、成形下死点で上下金型が当該部位を挟んで目標形状に成形する際に、成形荷重が急激に増加する。
また、成形荷重が増加する他の要因として、成形途中で発生する座屈やしわも挙げられる。成形中に座屈やしわが発生すると、当該部分の見かけ上の板厚が厚くなるので、ブランクと金型が均等に接触しなくなる。そのため、成形下死点で上下金型がブランクを挟みこむ際に、しわを押し潰すので、成形荷重が増加する。
成形荷重を増加させる上記二つの現象は部品の形状に大きく影響されるため、これらの要因によって成形荷重が増加する場合には、部品形状を修正して対策を講じるのが効果的である。
これに対し、特許文献1の方法では、金型設計の段階でプレス成形中の成形荷重を増加させる要因となる部位、即ち、成形中にブランクが金型に馴染まない部位や、座屈やしわの発生が予測される部位を特定して部品形状を検討し、金型形状に反映する必要がある。
しかし、従来では、大きな成形荷重が予測された場合に、その要因となっている部位を明確に特定する方法がなかったため、設計者の経験に基づいて部品形状を修正していた。そして、修正した部品形状に対応した金型モデルを作成してCAE解析を行い、該修正による効果の有無を確認する必要があった。
また、解析の結果、成形荷重を低減する効果が得られなかった場合には、上述した部品形状の修正、金型モデルの作成、解析を繰り返さなければならず、トライアル・アンド・エラーによる大きな手間が生じていた。
この点、非特許文献1に記載されるように、CAE解析により算出される面圧分布に基づいて、面圧が大きい部位を成形荷重増の要因部位(成形荷重増要因部位)として特定する方法もある。しかし、面圧が大きい部位が必ずしも成形中にブランクが金型に馴染まない部位であるとは限らない。
例えば、金型同士の干渉や、金型及びプレス機械の剛性等によっても、面圧が大きくなる場合があるので、これらの理由によって面圧が大きくなった部位の部品形状を修正しても成形荷重を低減する効果が得られない場合がある。
したがって、面圧分布に基づいて成形荷重増要因部位を特定する場合には、面圧が増加する要因の切り分けが必要であり、面圧が大きい部位が多数ある場合には、荷重増要因部位を特定するまでに多大な時間を要していた。
本発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、成形荷重が増加する要因となるプレス成形品の部位を簡易に特定することができる成形荷重増要因部位特定方法、装置、及びプログラムを提供することを目的とする。
また、上記成形荷重増要因部位特定方法を用いることにより成形荷重を低減してプレス成形品を製造することができるプレス成形品の製造方法を提供することを目的とする。
<本発明に至った経緯>
発明者らは、上記課題を解決するため、成形荷重が増加する現象について鋭意検討した。
前述したように、成形下死点に至る途中でブランクが金型の表面形状に馴染まない部位がある場合、成形終期(成形下死点の直前)の成形荷重が急激に上昇する。
そして、このようなブランクが金型の表面形状に馴染まないという現象は、部品形状におけるパンチ肩部や、凸(又は凹)形状部の部分で発生しやすい。
そこで、発明者らは、凸形状部を有するプレス成形品の成形における成形下死点付近で生じる現象についてさらに具体的に検討した。
実際のプレス成形では、成形下死点付近において、ブランクとの接触によってパンチ及びダイの表面に大きな面圧が作用し、パンチ及びダイの表面がわずかに弾性変形して扁平する(押し潰される)。
金型側が弾性変形すれば、金型形状とブランク形状の形状差が小さくなるので、ブランクは金型に馴染みやすくなる。しかし、凸形状部に関しては、金型側がわずかに弾性変形してもブランク形状と金型形状の形状差は大きいままであるので、ダイにパンチを押しこみ、押し込む力でブランクを金型に馴染ませる(金型形状に沿わせて変形させる)必要があるため、荷重が高くなる。
これが、凸形状部を有するプレス成形品を成形する際に成形荷重が増加する要因の一つとなっていた。
凸形状部の成形に起因して成形荷重が増加する理由は上記のとおりであるが、その際の荷重増加量は、金型の弾性変形し易さの程度が影響する。例えば金型が弾性変形しにくい場合には、金型がブランクに馴染みにくく、ブランク形状と金型形状との形状差も小さくならないので、成形荷重を大きくしてブランクを強制的に変形させる必要があり、成形荷重が増加しやすい。一方、金型が弾性変形し易い場合には、金型がブランクに馴染みやすく、ブランク形状と金型形状との形状差が小さくなるので、成形荷重が大きくなりにくい。
上述のように、金型の弾性変形のし易さの程度(変形抵抗)は成形荷重に影響する。
そして、成形中にブランクが金型に馴染みにくい部位、即ち成形中のブランク形状と金型形状の形状差が大きい部位では、金型の変形抵抗の影響が大きくなる。
一方、成形中にブランクが金型に馴染みやすい部位では、金型の変形抵抗の影響は小さくなる。
成形下死点に至る前に、金型が弾性変形しなくてもブランクが金型に馴染んでいる部位では、金型が弾性変形してもブランクと金型の馴染み具合は変わらないので、成形荷重の増加量に影響がない。
また、成形途中で発生したしわに起因して見かけ上の板厚が厚くなり成形荷重が増加する場合も、金型の変形抵抗を低くすると成形荷重が増加しにくくなる。金型の変形抵抗が低いと、しわを押し潰す際の局所的な荷重増加に応じて金型が弾性変形して、ブランクを挟み込む金型同士の間隙が局所的に開き、成形下死点に至るまでに成形荷重が大きく増加する現象は緩和される。したがって、上記のようなしわ発生部位に関しても、金型の弾性変形のし易さの程度、すなわち、金型の変形抵抗が成形荷重の増加量に影響する。
一方、しわが発生しない部位では見かけ上の板厚が厚くなることもないので、金型の弾性変形は成形荷重に大きく影響しない。
上記のことから、発明者らは、プレス成形品における成形荷重増の要因となる部位でのみ、金型表面の変形のし易さの程度が成形荷重増に影響するという知見を得た。
そして、CAE解析において金型モデルの一部のみ変形抵抗を変更し、変形抵抗変更前後の成形荷重の変化をみれば、当該部位が成形荷重増の要因となる部位であるかを評価できるという発想に至った。
本発明は、かかる発想に基づいてなされたものであり、具体的には以下の構成からなるものである。
(1)本発明に係る成形荷重増要因部位特定方法は、コンピュータが各工程を実行し、成形荷重が増加する要因となるプレス成形品の部位を特定する方法であって、
上型及び/または下型が一体の部品で構成され、前記プレス成形品をプレス成形する金型をモデル化した金型モデルに、少なくとも二つ以上の評価領域を設定する金型モデル評価領域設定ステップと、
前記金型モデルを用い、前記プレス成形品のプレス成形を有限要素法解析し、成形下死点における前記金型モデルの成形荷重分布を算出する成形解析ステップと、
前記金型モデルの評価領域毎の荷重評価値を、前記成形解析ステップで算出した成形荷重分布に基づき算出する金型モデル荷重評価値算出ステップと、
前記金型モデルの評価領域のうちの一つの評価領域の変形抵抗を、低くまたは高く変更した変形抵抗変更金型モデルを用い、前記プレス成形品のプレス成形を有限要素法解析し、成形下死点における前記変形抵抗変更金型モデルの成形荷重分布を算出し、該成形荷重分布に基づいて前記変形抵抗を変更した評価領域の荷重評価値を算出する変形抵抗変更金型モデル荷重評価値算出ステップと、
前記金型モデル荷重評価値算出ステップで算出した荷重評価値と、前記変形抵抗変更金型モデル荷重評価値算出ステップで算出した荷重評価値とに基づいて、金型モデルの変形抵抗変更前後で荷重評価値が変化する前記評価領域を特定し、該特定した評価領域に対応する前記プレス成形品の部位を、成形荷重が増加する要因となるプレス成形品の部位として特定する成形荷重増要因部位特定ステップと、を含むことを特徴とするものである。
(2)また、上記(1)に記載のものにおいて、前記変形抵抗変更金型モデル荷重評価値算出ステップで変更する金型モデルの変形抵抗は、変位拘束、弾性係数、板厚、密度、質量、降伏強度のいずれか一つ又はこれらから選ばれる二つ以上の組み合わせであることを特徴とするものである。
(3)また、上記(1)に記載のものにおいて、前記金型モデルの評価領域毎の荷重評価値は、評価領域毎の荷重、最大荷重、又は、平均荷重であることを特徴とするものである。
(4)また、本発明に係るプレス成形品の製造方法は、プレス成形品を製造する方法であって、上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の成形荷重増要因部位特定方法を用い、成形荷重が増加する要因となる前記プレス成形品の部位を特定する成形荷重増要因部位特定ステップと、
該特定した部位のプレス成形品の形状と、対応する金型モデルの形状と、を修正する形状修正ステップと、
該金型モデルの評価領域における金型モデルの変形抵抗変更前後の荷重評価値の変化が所定の範囲内になるまで、前記成形荷重増要因部位特定ステップと、前記形状修正ステップと、を繰り返し、前記プレス成形品の形状と、対応する金型モデルの形状を決定するプレス成形品・金型モデル形状決定ステップと、
該決定した金型モデルの形状に基づき金型を製作し、該製作した金型を用いて前記プレス成形品のプレス成形を行うプレス成形ステップと、を含むことを特徴とするものである。
(5)また、本発明に係る成形荷重増要因部位特定装置は、成形荷重が増加する要因となるプレス成形品の部位を特定する装置であって、
上型及び/または下型が一体の部品で構成され、前記プレス成形品をプレス成形する金型をモデル化した金型モデルに、少なくとも二つ以上の評価領域を設定する金型モデル評価領域設定部と、
前記金型モデルを用い、前記プレス成形品のプレス成形を有限要素法解析し、成形下死点における前記金型モデルの成形荷重分布を算出する成形解析部と、
前記金型モデルの評価領域毎の荷重評価値を、前記成形解析部で算出した成形荷重分布に基づき算出する金型モデル荷重評価値算出部と、
前記金型モデルの評価領域のうちの一つの評価領域の変形抵抗を、低くまたは高く変更した変形抵抗変更金型モデルを用い、前記プレス成形品のプレス成形を有限要素法解析し、成形下死点における前記変形抵抗変更金型モデルの成形荷重分布を算出し、該成形荷重分布に基づいて前記変形抵抗を変更した評価領域の荷重評価値を算出する変形抵抗変更金型モデル荷重評価値算出部と、
前記金型モデル荷重評価値算出部で算出した荷重評価値と、前記変形抵抗変更金型モデル荷重評価値算出部で算出した荷重評価値とに基づいて、金型モデルの変形抵抗変更前後で荷重評価値が変化する前記評価領域を特定し、該特定した評価領域に対応する前記プレス成形品の部位を、成形荷重が増加する要因となるプレス成形品の部位として特定する成形荷重増要因部位特定部と、を有することを特徴とするものである。
(6)また、本発明に係る成形荷重増要因部位特定プログラムは、コンピュータを上記(5)に記載の成形荷重増要因部位特定装置として機能させることを特徴とするものである。
本発明によれば、有限要素法(FEM)解析における金型モデルの変形抵抗に関する設定条件を変更するという簡易な方法で成形荷重が増加する要因となる部位を特定することができる。従来のように部品形状のCADデータを修正したり、金型モデルの形状を修正したりすることがないので、部品形状および金型形状の設計に要する時間を大幅に短縮できる。
実施の形態1にかかる成形荷重増要因部位特定方法の流れを示すフロー図である。 実施の形態1で対象とした部品の外観図である。 図3(a)は図2のA-A断面図、図3(b)は図2のB-B断面図である。 実施の形態1で金型モデルに設定した評価領域を説明する図である。 図4に示した評価領域毎に金型モデルの変形抵抗を変更した場合の変更前後の荷重評価値を比較して示すグラフである。 図5に示した金型モデルの変形抵抗変更前後の荷重の変化率を示すグラフである(全評価領域)。 図6の評価領域G、Mのみ抜粋したグラフである。 実施の形態1の他の態様における金型モデルの変形抵抗変更前後の荷重の変化率を示すグラフである(全評価領域)。 実施の形態2にかかるプレス成形品の製造方法の流れを示すフロー図である。 実施の形態3にかかる成形荷重増要因部位特定装置の構成を説明するためのブロック図である。 従来例の成形荷重増要因部位特定方法に用いられる面圧分布図である。
[実施の形態1]
実施の形態1にかかる成形荷重増要因部位特定方法は、成形荷重が増加する要因となるプレス成形品の部位を特定するものである。本実施の形態が対象とする部品の一例を図2に示す。
図2のプレス成形品1は、自動車部品のフロントピラーを模擬した部品の一例であり、平面視で全体が長手方向に湾曲した略J字形状となっている。そして、プレス成形品1は、長手方向の両端部から約3分の1の領域の上面には、それぞれ平面状の第1天板部3及び平面と傾斜面からなる第2天板部5を有している。また、これら第1天板部3及び第2天板部5の両側には肩R部を介して縦壁部7が形成され、縦壁部7には肩R部を介してフランジ部9が形成されており、当該領域はハット断面形状となっている。
また、第1天板部3と第2天板部5の間を繋ぐ上面部10は、中央に向かって徐々に凸となる山型形状であり、その両側には第1天板部3及び第2天板部5から連続する縦壁部7が形成されている。また、縦壁部7の下端には、その全長に亘ってフランジ部9が形成されている。
第1天板部3には凸状に張り出した第1凸部11が形成されている。
また、第2天板部5の平面部にも同様に、凸状に張り出した第2凸部13が形成されている。
図3(a)に図2のA-A断面形状、図3(b)に図2のB-B断面形状を示す。第1凸部11と第2凸部13の凸高さは、図3に示すようにほぼ同等である。
図2のようなプレス成形品1の場合、第1凸部11、第2凸部13のような凸形状部において成形中のブランクと金型が馴染みにくくなること(金型馴染み不良)が要因となって、成形荷重の増加が懸念される。この場合には当該部位の形状を修正して成形荷重の低減を図ることができる。
従来の方法では、金型馴染み不良や、しわ発生が懸念される多くの部位を対象に形状修正し、成形荷重を低減できるか否かを試みる必要があった。この結果、部品形状CADデータの修正及び有限要素法(FEM)解析用の金型モデルの作成を複数回繰り返す必要があり、検討に時間がかかっていた。
また、従来の方法では、面圧分布に基づいて成形荷重増要因部位(形状修正によって成形荷重の低減が期待できる部位)を推察していたが、面圧分布から成形荷重増要因部位を容易に特定することができなかった。その理由について、図11の面圧分布に基づいて説明する。
図11の面圧分布は、プレス成形品1を成形した時の成形下死点における面圧の大きさを色の濃淡で表したものである。面圧の値は、+(プラス)が引張方向に働く面圧であることを示し、-(マイナス)が圧縮方向に働く面圧であることを示している。また、引張方向に面圧が大きい部位は淡い色で示されており、圧縮方向に面圧が大きい部位は濃い色で示されている。
図11では、圧縮方向(符号がマイナス)の面圧が最も大きい領域(面圧の下限領域)を白い実線、引張方向(符号がプラス)の面圧が最も大きい領域(面圧の上限領域)を白い破線で囲んで示した。
成形中の金型馴染み不良が懸念される第1凸部11と第2凸部13の面圧分布をみると、図11に示すように、第1凸部11と第2凸部13の上面部や、第1天板部3、第2天板部5との境界周辺部の色が濃く表示されているので、大きい圧縮応力が働いていることがわかる。しかし、第1凸部11、第2凸部13に生じる応力よりも大きい応力が縦壁部7やフランジ部9などの他の部位に散在しており、プレス成形荷重を低減するために第1凸部11と第2凸部13のどちらの形状を修正すべきであるか判断できない。
これに対し、本実施の形態の成形荷重増要因部位特定方法は、部品形状CADデータや金型モデルの修正を必要とすることなく、簡易な方法で図2のプレス成形品1のどの部位が成形荷重を増加させる要因となっているのかを特定することができるものである。以下、具体的に説明する。
本実施の形態の成形荷重増要因部位特定方法は、図1に示すように、金型モデル評価領域設定ステップS1~成形荷重増要因部位特定ステップS9とを備えている。金型モデル評価領域設定ステップS1~成形荷重増要因部位特定ステップS9の各工程は、コンピュータによって実行される。
<金型モデル評価領域設定ステップ>
金型モデル評価領域設定ステップS1は、プレス成形品1をプレス成形する金型をモデル化した金型モデルに、少なくとも二つ以上の評価領域を設定するステップである。なお、本実施の形態では、上型及び/または下型がそれぞれ一体の部品で構成された金型を対象とする。
金型モデル評価領域設定ステップS1では、前述した従来手順1と同様に、部品形状CADデータから有限要素法(FEM)解析用の金型モデル(メッシュモデル)を作成する。そして、金型モデルを複数の領域に分割し、少なくとも二つ以上の評価領域を設定する。設定する評価領域の例を図4に示す。
図4に示すように、本実施の形態では、図2のプレス成形品1に対応した形状の金型モデル15に対し、A~Sの19の評価領域を設定した。
評価領域A~E、O~Sは、プレス成形品1の両フランジ部9に対応している。
評価領域Gはプレス成形品1の第1凸部11、評価領域Mはプレス成形品1の第2凸部13に対応している。
また、評価領域Fはプレス成形品1の第1天板部3、評価領域Lはプレス成形品1の第2天板部5の平面に対応している。
そして、評価領域H~K、Nは、プレス成形品1の上面部10や第2天板部5の傾斜面に対応している。
なお、プレス成形品1のフランジ部9を評価対象とした理由は、フランジ部9にしわの発生が懸念されるからである。図2のプレス成形品1の場合、フランジ部9は成形中に縮みフランジ変形となって、材料が局所的に集中し、しわを発生させる恐れがある。前述したように、成形中にしわが発生した部位も成形荷重増要因部位となり得るので、フランジ部9を評価対象とした。
なお、プレス成形品1の縦壁部7や、縦壁部7と他の部位(フランジ部9や第1天板部3等)をつなぐ湾曲部(肩R部)は形状追加が困難であること、仮に成形荷重増要因部位であった場合にも形状変更の余地があまりないことを理由として、評価対象から除外した。
このように、評価領域は、必ずしも金型モデル15の全体に設定する必要はなく、ブランクと金型の馴染み不良が懸念される部位や、しわの発生が懸念される部位、形状修正の余地がある部位などに設定すればよい。
<成形解析ステップ>
成形解析ステップS3は、評価領域を設定した金型モデル15を用い、プレス成形品1のプレス成形を有限要素法(FEM)解析し、成形下死点における金型モデル15の成形荷重分布(図示なし)を算出するステップである。
<金型モデル荷重評価値算出ステップ>
金型モデル荷重評価値算出ステップS5は、成形解析ステップS3で算出した成形荷重分布に基づき、評価領域A~S毎の荷重評価値を算出するステップである。
荷重評価値とは、成形に要する荷重を評価領域毎に評価するための指標値である。本実施の形態では、各評価領域にかかった荷重、即ち、各評価領域の金型の受ける反力を、評価領域内の有限要素メッシュ毎の荷重データを合計した値として求め、荷重評価値とした。
なお、荷重評価値を、各評価領域の最大荷重(評価領域内の有限要素メッシュ毎の荷重データの最大値)としてもよいし、各評価領域の平均荷重(評価領域内の有限要素メッシュ毎の荷重データの合計値を評価領域の面積で割った値)としてもよい。
金型モデル荷重評価値算出ステップS5で算出した各評価領域の荷重評価値を図5に黒の棒グラフで示す。なお、図5の縦軸に表示されている荷重評価値の数値は、評価領域Oの荷重を基準値として正規化したものである。
<変形抵抗変更金型モデル荷重評価値算出ステップ>
変形抵抗変更金型モデル荷重評価値算出ステップS7は、評価領域A~Sのうち一つの評価領域のみ金型モデル15の変形抵抗を変更して有限要素法(FEM)解析を行い、金型モデル15の変形抵抗を変更した評価領域の荷重評価値を算出するステップである。以下、評価領域Aにおける金型モデル15の変形抵抗を変更する場合を例に挙げて具体的に説明する。
まず、金型モデル荷重評価値算出ステップS5に用いた金型モデル15に対し、評価領域Aが設定された部位のみ金型モデル15の変形抵抗が低くまたは高くなるように設定条件を変更する。例えば、金型モデル15の変形抵抗を低くする場合には、変位拘束を緩和する、弾性係数を小さくする、板厚を薄くする、密度を低くする、質量を小さくする、降伏強度を低くする、というように設定条件を変更するとよい。また、上記設定条件のうち一つのみを変更してもよいし、二つ以上を組み合わせて変更してもよい。
本実施の形態では、金型モデル15の評価領域Aにおける変形抵抗を低くするため、金型モデル15の評価領域Aが設定された部位の弾性係数を初期に設定した値の0.05%(ほぼゼロ)にした。
次に、上記のように金型モデル15の評価領域Aにおける変形抵抗を低くした金型モデル(以下、変形抵抗変更金型モデル17という)を用い、プレス成形品1のプレス成形を有限要素法(FEM)解析し、成形下死点における成形荷重分布を算出する。
そして、算出した変形抵抗変更金型モデル17の成形荷重分布に基づいて、評価領域Aの荷重評価値(ここでは荷重(評価領域A内の金型の受ける反力))を算出する。
評価領域B~Sに関しても上記と同様の工程を行い、金型モデル15の各評価領域における変形抵抗変更後の荷重評価値を算出する。
変形抵抗変更金型モデル荷重評価値算出ステップS7で算出した各評価領域の荷重評価値を図5に白の棒グラフで示す。
<成形荷重増要因部位特定ステップ>
成形荷重増要因部位特定ステップS9は、ステップS5で算出した荷重評価値と、ステップS7で算出した荷重評価値とに基づいて、成形荷重が増加する要因となるプレス成形品1の部位を特定するステップである。
図5では、前述したように、ステップS5で算出した荷重評価値を黒の棒グラフ、ステップS7で算出した荷重評価値を白の棒グラフで表示し、金型モデル15の評価領域毎に変形抵抗変更前後の荷重評価値を比較して示している。
図5に示されるように、変形抵抗を変更する前(黒の棒グラフ)では、プレス成形品1の第1凸部11に対応する評価領域Gの荷重評価値が最も大きく、プレス成形品1の第2凸部13に対応する評価領域Mの荷重評価値が次に大きかった。このように、変形抵抗を変更する前は、成形中の金型馴染み不良が発生しやすい第1凸部11と第2凸部13で大きな荷重が生じていることがわかる。
次に、金型モデル15の各評価領域における変形抵抗を変更する前と後での荷重評価値の変化をパーセント表示したもの図6に示す。また、図6より評価領域Gと評価領域Mのグラフを抜粋して比較したものを図7に示す。図6、図7における縦軸は、荷重評価値の変化を金型モデルの変形抵抗変更後の荷重評価値/変形抵抗変更前の荷重評価値×100の式から算出した値であり、100%に近いほど変化が小さく、100%から離れているほど変化が大きいことを示している。
図6、図7に示すように、ほとんどの評価領域で変形抵抗変更前後の荷重評価値の変化が±10%以内であるのに対し、プレス成形品1の第1凸部11に対応する評価領域Gでは、約75%荷重評価値が低下した。
本発明に至った経緯で説明したように、成形中にブランクが金型に馴染まない部位では、金型の変形のしやすさ(すなわち、金型モデルの変形抵抗)が成形荷重に影響する。したがって、金型モデルの変形抵抗変更前後で荷重評価値が大きく変化した部位が、成形中の金型馴染み不良が生じる部位、即ち、成形荷重を増加させる要因となる部位(成形荷重増要因部位)であると判断できる。
よって、本実施の形態の成形荷重増要因部位特定ステップS9では、評価領域Gに対応するプレス成形品1の部位、即ち第1凸部11を、成形荷重増要因部位として特定できる。
なお、プレス成形品1の二つの凸形状部のうち、第1凸部11が成形荷重増要因部位となる理由について検討したので、以下に説明する。
図3で説明したように、第1凸部11と第2凸部13は凸高さがほぼ同じである。しかし、凸形状部の張り出し成形性は、凸高さが同じであっても、同じであるとは限らず、凸形状部の周辺部位からの材料流動に大きく影響される。具体的には、周辺部位から凸形状部に材料が流入しやすければ、凸形状部の成形の際にブランクが変形しやすくなって、金型に馴染みやすくなる。
プレス成形品1の第1凸部11と第2凸部13の場合、図3に示すように、第2凸部13から第2天板部5の外周部までの距離(a1、a2)が、第1凸部11から第1天板部3の外周部までの距離(b1、b2)に比べて長い。したがって、第2凸部13の近傍の第2天板部5の材料は第2凸部5側に流入しやすく、成形時にブランクが金型に馴染みやすくなる。
一方、第1凸部11と第1天板部3の外周部は位置が近いので、第1凸部11近傍の第1天板部3の材料が縦壁部7側にも流れやすく、第1凸部11側への材料流動が少なくなり、ブランクの金型馴染みが悪くなる。
上記からも、第1凸部11は、第2凸部13と比べて成形中の金型馴染み不良が生じやすい部位であるといえる。
上記のように、本実施の形態では、金型モデルの変形抵抗に関する設定条件を変更するという簡易な方法で成形荷重増要因部位を特定することができる。従来のように部品形状CADデータを修正したり、有限要素法(FEM)解析に用いる金型モデルの形状を修正したりする必要なく、金型馴染み不良部位やしわ発生懸念部位を特定できるので、部品形状の検討に要する時間を大幅に短縮できて効率的である。
なお、上述した実施の形態は一つの評価領域における金型モデルの変形抵抗を変更し、当該領域における金型モデルの変形抵抗変更前後の荷重評価値の変化に基づいて、当該領域に対応するプレス成形品の部位が成形荷重増要因部位であるかを判断するものであった。
これに対し、例えば、金型モデルにおいて、一つの評価領域を除く他の評価領域の変形抵抗を変更し、金型モデル全体における変形抵抗変更前後の荷重評価値の変化から成形荷重増要因部位を特定するようにしてもよい。上記のような例を図8に示す。
図8は、前述した図6のグラフに相当するものであり、変形抵抗変更前後の金型モデル15全体における荷重評価値の変化を示すものである。本例の場合、金型モデル15における一つの評価領域のみ変形抵抗を変更しないので、横軸には変形抵抗を変更しなかった金型モデル15の評価領域を表示している。また、縦軸は、金型モデル15全体における荷重評価値の総和(荷重総和)の変化を示すものであり、変形抵抗変更後の金型モデル全体の荷重総和/変形抵抗変更前の金型モデル全体の荷重総和×100の式から算出した値である。図6と同様に、100%に近いほど荷重総和の変化が小さく、100%から離れているほど荷重総和の変化が大きいことを示している。
図8に示すように、金型モデル15における評価領域Gのみ変形抵抗を変更しなかった場合、他の評価領域の例と比べて、変形抵抗変更前後の荷重総和の変化が小さかった。
図8の結果より、金型モデル15における評価領域Gの変形抵抗を変更した場合には荷重が低減しやすく、評価領域Gの変形抵抗を変更しなかった場合には荷重が低減しにくいことがわかる。したがって、この場合も、金型モデル15における評価領域Gに対応するプレス成形品1の部位である第1凸部11を成形荷重増要因部位と特定することができる。
[実施の形態2]
実施の形態1で対象としたプレス成形品1の製造方法について説明する。本実施の形態のプレス成形品1の製造方法は、実施の形態1の成形荷重増要因部位特定方法を用いて、成形荷重が増加する要因となるプレス成形品1の部位を特定し、当該部位の部品形状を修正することにより、プレス成形に要する荷重を低減するものである。
本実施の形態のプレス成形品1の製造方法は、図9に示すように、成形荷重増要因部位特定ステップS11と、形状修正ステップS13と、プレス成形品・金型モデル形状決定ステップS15と、プレス成形ステップS17とを備えている。以下、各ステップについて具体的に説明する。
<成形荷重増要因部位特定ステップ>
成形荷重増要因部位特定ステップS11は、実施の形態1で説明した成形荷重増要因部位特定方法を用い、成形荷重が増加する要因となるプレス成形品1の部位(成形荷重増要因部位)を特定するステップである。実施の形態1で説明した金型モデル評価領域設定ステップS1~成形荷重増要因部位特定ステップS9が本実施の形態2の成形荷重増要因部位特定ステップS11に相当する。
図2のプレス成形品1の場合、実施の形態1で説明したように、第1凸部11が成形荷重増加の要因部位であると特定できる。
<形状修正ステップ>
形状修正ステップS13は、成形荷重増要因部位特定ステップS11で特定した部位のプレス成形品1の形状と、対応する金型モデルの評価領域の形状と、を修正するステップである。
上述したように、プレス成形品1の第1凸部11を成形荷重増要因部位として特定したので、まずは、第1凸部11を含む部分の部品形状を修正する。
本例では、第1凸部11を成形する部分のパンチ肩部やダイ肩部に対して、成形中にブランクが馴染んでいないことが成形荷重を増加させる要因であると推測される。したがって、当該部分の成形中の金型馴染みが良くなるように、部品形状を修正する。
部品形状の修正としては、例えば、第1凸部11の凸高さを低くするとよい。凸形状部の凸高さを低くし、パンチ底との高低差を小さくすることで、平坦部との形状差が小さくなり、成形中の金型とブランクの馴染み不良を低減する効果が期待できる。
(形状修正例1)第1凸部の当初の凸高さが3mmであったので、これを2mmまたは1.5mmに変更する。
また、例えば、第1凸部11のパンチ肩R部(図3の拡大図の白矢印参照)、ダイ肩R部(図3の拡大図の黒矢印参照)の肩Rを大きくするとよい。凸形状部の肩Rを拡大することで、形状変化を緩やかにし、成形中の金型とブランクの馴染み不良を低減する効果が期待できる。
(形状修正例2)第1凸部11のパンチ肩R部及びダイ肩R部の当初の肩RがR7であったので、これをR10またはR15に変更する。
プレス成形品1の第1凸部11の形状を修正後、これに対応する金型モデルの形状も同様に修正する。
<プレス成形品・金型モデル形状決定ステップ>
プレス成形品・金型モデル形状決定ステップS15は、形状修正ステップS13の形状修正による効果を確認し、プレス成形品1の形状とこれに対応する金型モデルの形状を決定するステップである。
まず、部品形状の修正効果を確認するため、形状修正ステップS13で形状修正した金型モデル(以降、形状修正後金型モデルという)を用いて成形荷重増要因部位特定ステップS11と同様の解析を実施する。
具体的には、形状修正後金型モデルに対し、図4と同様の評価領域を設定する(金型モデル評価領域設定ステップS1)。
次に、評価領域を設定した形状修正後金型モデルを用いて図2のプレス成形品1のプレス成形を有限要素法(FEM)解析し、変形抵抗変更前の評価領域Gの荷重評価値を算出する(成形解析ステップS3、金型モデル荷重評価値算出ステップS5)。
次に、形状修正後金型モデルの評価領域Gに対応する部分の変形抵抗を変更し、当該金型モデルを用いて、再度有限要素法(FEM)解析を実施し、変形抵抗変更後の評価領域Gの荷重評価値を算出する(変形抵抗変更金型モデル荷重評価値算出ステップS7)。
そして、形状修正後金型モデルにおける評価領域Gの変形抵抗変更前後の荷重評価値の変化を確認する。変形抵抗変更前後の荷重評価値の変化が小さくなって所定の範囲内になった場合には、形状修正ステップS13で行った部品形状の修正により成形荷重が低減すると判断できる。したがって、形状修正ステップS13で修正したプレス成形品形状及び形状修正後金型モデルの形状をもって、プレス成形品1の形状と金型モデルの形状を決定する。
なお、上述した所定の範囲とは、変形抵抗変更前後の荷重評価値の差によって定義してもよいし、変形抵抗変更前後の荷重評価値の変化割合によって定義してもよい。
また、金型モデルの形状を修正しても変形抵抗変更前後の荷重評価値の変化が大きい場合には、当該形状修正による効果が低いと判断し、再度形状修正ステップS13と成形荷重増要因部位特定ステップS11を実施する。
このように、形状修正の効果が確認できるまで形状修正ステップS13と成形荷重増要因部位特定ステップS11を繰り返し、プレス成形品1の形状と金型モデルの形状を決定する。
<プレス成形ステップ>
プレス成形ステップS17は、プレス成形品・金型モデル形状決定ステップS15で決定した金型モデルの形状に基づき金型を製作し、該製作した金型を用いてプレス成形品1のプレス成形を行うステップである。
以上のように、本実施の形態においては、成形荷重が増加する要因となるプレス成形品1の部位を簡易に特定し、当該部位に対する形状修正の効果も簡易に確認できるので、プレス成形品1及び金型の形状を決定するまでの時間が大幅に短縮できる。また、成形荷重を効率的に低減することができるので、高張力鋼板のプレス成形にも好適である。
[実施の形態3]
実施の形態1で説明した成形荷重増要因部位特定方法は、予め設定されたプログラムをPC(パーソナルコンピュータ)に実行させることで実現できる。そのような装置の一例を本実施の形態にて説明する。
本実施の形態に係る成形荷重増要因部位特定装置19は、図10に一例を示すような、表示装置21と、入力装置23と、主記憶装置25と、補助記憶装置27と、演算処理部29を有している。演算処理部29には、表示装置21、入力装置23、主記憶装置25及び補助記憶装置27が接続され、演算処理部29の指令によって各機能を行う。
表示装置21は実行結果の表示等に用いられ、液晶モニター等で構成される。入力装置23はオペレータからの入力等に用いられ、キーボードやマウス等で構成される。主記憶装置25は演算処理部29で使用するデータの一時保存や演算等に用いられRAM等で構成される。補助記憶装置27はデータの記憶等に用いられ、ハードディスク等で構成される。
補助記憶装置27には少なくとも、金型モデル等の有限要素法(FEM)解析に必要な各種データが記憶されている。
演算処理部29はPCなどのCPU等によって構成されており、演算処理部29で予め設定されたプログラムが実行されることで、金型モデル評価領域設定部31と、成形解析部33と、金型モデル荷重評価値算出部35と、変形抵抗変更金型モデル荷重評価値算出部37と、成形荷重増要因部位特定部39とが実現される。
金型モデル評価領域設定部31は実施の形態1で説明した金型モデル評価領域設定ステップS1と同様の処理を実現するものである。同様に、成形解析部33は成形解析ステップS3を、金型モデル荷重評価値算出部35は金型モデル荷重評価値算出ステップS5を、変形抵抗変更金型モデル荷重評価値算出部37は変形抵抗変更金型モデル荷重評価値算出ステップS7を、成形荷重増要因部位特定部39は成形荷重増要因部位特定ステップS9をそれぞれ実現するものである。
上記のように本実施の形態によれば、実施の形態1と同様に簡易な方法で成形荷重増要因部位を特定することができる。
よって、特定した部位に基づいて部品形状を修正すれば、成形荷重を低減するための対策を効率的に行うことができる。
なお、上述したように、本実施の形態の成形荷重要因部位特定装置19における金型モデル評価領域設定部31、成形解析部33、金型モデル荷重評価値算出部35、変形抵抗変更金型モデル荷重評価値算出部37、成形荷重増要因部位特定部39は、CPUが所定のプログラムを実行することで実現されるものである。
したがって、本発明に係る成形荷重増要因部位特定プログラムは、コンピュータを、金型モデル評価領域設定部、成形解析部、金型モデル荷重評価値算出部、変形抵抗変更金型モデル荷重評価値算出部、成形荷重増要因部位特定部として機能させるもの、と特定することができる。
1 プレス成形品
3 第1天板部
5 第2天板部
7 縦壁部
9 フランジ部
10 上面部
11 第1凸部
13 第2凸部
15 金型モデル
17 変形抵抗変更金型モデル
19 成形荷重増要因部位特定装置
21 表示装置
23 入力装置
25 主記憶装置
27 補助記憶装置
29 演算処理部
31 金型モデル評価領域設定部
33 成形解析部
35 金型モデル荷重評価値算出部
37 変形抵抗変更金型モデル荷重評価値算出部
39 成形荷重増要因部位特定部

Claims (6)

  1. コンピュータが各工程を実行し、成形荷重が増加する要因となるプレス成形品の部位を特定する成形荷重増要因部位特定方法であって、
    上型及び/または下型が一体の部品で構成され、前記プレス成形品をプレス成形する金型をモデル化した金型モデルに、少なくとも二つ以上の評価領域を設定する金型モデル評価領域設定ステップと、
    前記金型モデルを用い、前記プレス成形品のプレス成形を有限要素法解析し、成形下死点における前記金型モデルの成形荷重分布を算出する成形解析ステップと、
    前記金型モデルの評価領域毎の荷重評価値を、前記成形解析ステップで算出した成形荷重分布に基づき算出する金型モデル荷重評価値算出ステップと、
    前記金型モデルの評価領域のうちの一つの評価領域の変形抵抗を、低くまたは高く変更した変形抵抗変更金型モデルを用い、前記プレス成形品のプレス成形を有限要素法解析し、成形下死点における前記変形抵抗変更金型モデルの成形荷重分布を算出し、該成形荷重分布に基づいて前記変形抵抗を変更した評価領域の荷重評価値を算出する変形抵抗変更金型モデル荷重評価値算出ステップと、
    前記金型モデル荷重評価値算出ステップで算出した荷重評価値と、前記変形抵抗変更金型モデル荷重評価値算出ステップで算出した荷重評価値とに基づいて、金型モデルの変形抵抗変更前後で荷重評価値が変化する前記評価領域を特定し、該特定した評価領域に対応する前記プレス成形品の部位を、成形荷重が増加する要因となるプレス成形品の部位として特定する成形荷重増要因部位特定ステップと、を含むことを特徴とする成形荷重増要因部位特定方法。
  2. 前記変形抵抗変更金型モデル荷重評価値算出ステップで変更する金型モデルの変形抵抗は、変位拘束、弾性係数、板厚、密度、質量、降伏強度のいずれか一つ又はこれらから選ばれる二つ以上の組み合わせであることを特徴とする請求項1に記載の成形荷重増要因部位特定方法。
  3. 前記金型モデルの評価領域毎の荷重評価値は、評価領域毎の荷重、最大荷重、又は、平均荷重であることを特徴とする請求項1に記載の成形荷重増要因部位特定方法。
  4. プレス成形品の製造方法であって、
    請求項1乃至請求項3のいずれか一つの成形荷重増要因部位特定方法を用い、成形荷重が増加する要因となる前記プレス成形品の部位を特定する成形荷重増要因部位特定ステップと、
    該特定した部位のプレス成形品の形状と、対応する金型モデルの形状と、を修正する形状修正ステップと、
    該金型モデルの評価領域における金型モデルの変形抵抗変更前後の荷重評価値の変化が所定の範囲内になるまで、前記成形荷重増要因部位特定ステップと、前記形状修正ステップと、を繰り返し、前記プレス成形品の形状と、対応する金型モデルの形状を決定するプレス成形品・金型モデル形状決定ステップと、
    該決定した金型モデルの形状に基づき金型を製作し、該製作した金型を用いて前記プレス成形品のプレス成形を行うプレス成形ステップと、を含むことを特徴とするプレス成形品の製造方法。
  5. 成形荷重が増加する要因となるプレス成形品の部位を特定する成形荷重増要因部位特定装置であって、
    上型及び/または下型が一体の部品で構成され、前記プレス成形品をプレス成形する金型をモデル化した金型モデルに、少なくとも二つ以上の評価領域を設定する金型モデル評価領域設定部と、
    前記金型モデルを用い、前記プレス成形品のプレス成形を有限要素法解析し、成形下死点における前記金型モデルの成形荷重分布を算出する成形解析部と、
    前記金型モデルの評価領域毎の荷重評価値を、前記成形解析部で算出した成形荷重分布に基づき算出する金型モデル荷重評価値算出部と、
    前記金型モデルの評価領域のうちの一つの評価領域の変形抵抗を、低くまたは高く変更した変形抵抗変更金型モデルを用い、前記プレス成形品のプレス成形を有限要素法解析し、成形下死点における前記変形抵抗変更金型モデルの成形荷重分布を算出し、該成形荷重分布に基づいて前記変形抵抗を変更した評価領域の荷重評価値を算出する変形抵抗変更金型モデル荷重評価値算出部と、
    前記金型モデル荷重評価値算出部で算出した荷重評価値と、前記変形抵抗変更金型モデル荷重評価値算出部で算出した荷重評価値とに基づいて、金型モデルの変形抵抗変更前後で荷重評価値が変化する前記評価領域を特定し、該特定した評価領域に対応する前記プレス成形品の部位を、成形荷重が増加する要因となるプレス成形品の部位として特定する成形荷重増要因部位特定部と、を有することを特徴とする成形荷重増要因部位特定装置。
  6. コンピュータを請求項5に記載の成形荷重増要因部位特定装置として機能させることを特徴とする成形荷重増要因部位特定プログラム。
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