JP7417537B2 - 定量的なラテラルフロークロマトグラフィーの分析システム - Google Patents

定量的なラテラルフロークロマトグラフィーの分析システム Download PDF

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Description

本発明は、クロマトグラフィー、特にラテラルフローイムノクロマトグラフィーを受けたテストサンプル中の分析物の存在及び含有量を、可視光を用いて分析及び決定する装置およびソフトウェアを含むシステム、およびこのシステムとともに使用される際に適合するラテラルフローテストに関する。
ラテラルフローイムノクロマトグラフィーテストは、分析および診断に広く用いられている。この技術は、毛細管作用により流体を輸送する性能を備えた、多孔質濾紙片又はメンブレン上に形成した多孔質材料等の一連の毛細管ベッドに基づいている。第1ベッドすなわちサンプルパッドはスポンジとして作用し、過剰なサンプル流体を吸収できる。サンプル流体は、第2ベッドすなわちコンジュゲートを含むコンジュゲートパッドに移動する。このコンジュゲートパッドは、コンジュゲートすなわちマーカーに結合した乾燥免疫反応体を含む。このコンジュゲートは、標的分子とその免疫反応性パートナーとの間の結合反応を最適化するための全てを含有する塩-糖マトリックス中に存在する。サンプル流体は、塩-糖マトリックスを溶解するが、標識された免疫反応体も溶解し、(1つ)の結合輸送作用において、多孔質構造を通って流れる間に、サンプルおよびコンジュゲートを溶解する。さらに、第3の毛管ベッドを通ってさらに移動する間に、分析物は標識された免疫反応体と結合する。この物質(第3の毛管ベッド)は、3つ目の固定された捕捉分子を有する1つ以上のゾーン(ラインまたはバンド)を有する。サンプル流体とコンジュゲートの混合物がこれらのラインに到達すると、分析物は標識免疫反応体に結合して免疫複合体を形成し、固定化された捕捉体がその免疫複合体に結合する。更に多くの流体がこれらのラインを通過したとき、ラベルは蓄積し、ゾーン領域は色を変化する。代表的には、少なくとも2つのゾーン、すなわち任意の標識を捕捉し、これによって当該反応と技術がうまく機能していることを示す遠位ゾーン(コントロール)と、特定の捕捉分子を含む近位テストゾーンとが存在する。このテストゾーンは、標的分析物分子が結合された標識複合体のみを捕捉する。流体は、これらの反応ゾーンを通過後、廃液処理体として作用する吸水材すなわち吸水パッドに吸収される。ラテラルフローテストは、競合アッセイまたはサンドイッチアッセイのいずれかとして機能できる。
ラテラルフローアッセイの結果は、通常、検出可能な信号を視覚的に読み出すことによって判定される。捕捉部位を有する表示ゾーン内の検出可能な色の1つまたは複数のラインは、サンプル中の分析物の存在を示し、コントロールラインは、免疫反応およびクロマトグラフィー分離が成功したことを示す(例えば、US5,229,073 B、DE10 2008 028908 B3を参照。)。標識された分析物の固相化によって検出可能になる捕捉部位の数は、テストサンプル中に存在する分析物の量に比例する。したがって、検出ゾーン内のラインがどれほどはっきりとしているのか、すなわちラインの強度を使用して、サンプル中の分析物の濃度を半定量的または定量的に判定できる。しかし、検出ゾーン内のラインの強度は容易に決定できない。これは、分離材料、空隙率、分離層の厚さ、緩衝液のph、テストの経変変化、光の条件、視力、温度、およびこの他の多くの影響要因の影響を受ける。したがって、従来のラテラルフローテストデバイスは、分析的(定性的)結果または半定量的な結果をもたらすに過ぎない。
特開平5-5743号公報およびWO2013/122121 A1には、第1の固相化捕捉抗体を有する参照ゾーンと、固相化された捕捉抗体を有するテストゾーンと、別の固相化捕捉抗体を有する第3の領域とを含むラテラルフローイムノアッセイが記載されている。第3の領域は、テストが正しく行われたか否かを決定するポジティブコントロールとして機能するように構成される。参照ゾーンは、捕捉可能な最大量の分析物に合わせて設定されている。WO2003/058242 A2には、テストサンプル中の分析物を定量するためのラテラルフローテストが開示されている。標識された免疫反応体と流体連通している多孔質膜が、テストゾーンおよび参照領域を構成する。キャリブレーション領域は、更に、標識されたコンジュゲートに結合するように形成された様々な量の捕捉抗体を含有する1つ以上の領域(例えば、ドット領域や線領域等)を形成する。その結果、生成されたキャリブレーション信号がテスト信号と比較され(視覚的、定量的に)、テストサンプル中の分析物の存在または量を決定する。しかし、開示されたラテラルフローアッセイは、十分に正確ではないため、病院や家庭での定量的なポイントオブケア診断には適していない。
ラテラルフローアッセイの分析結果は、従来、目視で判断されてきた。しかし、テストラインおよびコントロールラインの強度が大きく異なり、非常に主観的な分析になってしまう。陽性の結果であってもかすかなシグナルラインで示されることがある。このような場合、テストラインが存在しないと結論付けるオペレータもいるし、テストラインの存在を識別するオペレータもいる。この問題は、バックグラウンドのレベルが高く、そのため陽性のテストラインとして正しく識別されないことがあるアッセイストリップによって、分析がさらに困難になる。したがって、アッセイストリップが提供する結果は、最良でも半定量的であり、結果の解釈にばらつきがあり、アッセイを行う人の影響を受ける。定量は肉眼で正確にできないので、アッセイの適用が制限される。アッセイストリップフォーマットは、迅速な結果を提供できるため、従来のフォーマットスキャナよりも操作が簡単であり且つ対費用効果に優れている応答ラインの光強度を決定するためのスキャナが開発されている(CN1455242 A,WO2005/066624 A1,EP2 927688 A1,EP2 835 643 A1,EP1 605 249 B1,US20090211345)。
US9,350,956(US2015/0031412 A1)には、携帯型デジタル装置を用いて結果を捕捉する方法が開示されている。US2010/0254581 A1には、デジタル画像を携帯電話で捕捉し、分析のために画像データをリモートサーバに送信することが開示されている。US8,935,007 B2(US2006/0222567 A1)およびUS2019/0086400には、デジタルカメラ付きスマートフォンを用いてテストストリップの画像を撮影する、定量分析を行うための分析テストデバイスが開示されている。この方法は、カメラレンズ、光源、及びテストストリップ間のインタフェースを使用し、テストストリップのデジタル標準画像を得ることを含む。EP2 646 809 B1およびEP3 470 825 A1は、スマートフォンのプロセッサが、画像化されたテストデバイスの回転ミスアライメントまたはスキューに関連する誤差の程度が所定の値よりも大きい場合に、デジタル画像を排除するように構成されるテストシステムが開示されている。US9,390,237 B1(US2015/0286803 A1)には、テストデバイスに関連する位置情報に基づいて記録された画像に合わせて透視変換を行う工程を含む、ラテラルフローテストの応答ラインを決定する方法が開示されていている。US2017/0242421には、固有のキャリブレーションパターンを含むデジタル画像を取得することが開示されている。エンコードされたキャリブレーション情報は、さらなる分析のために新しい画像を生成するために使用される。
しかしながら、これらの方法およびシステムは、現在市販されている様々な種類のスマートフォンおよびデジタルカメラデバイスと共に使用した場合、不安定な測定値を生成する。したがって、この最先端の技術には問題がある。そこで、本発明の目的は、デジタルの結果として、ラテラルフロークロマトグラフィーよる分析物の定量分析結果を提供する方法およびシステムを提供することである。このテストデバイスは、ポイントオブケア診断(POCT)並びに臨床および医療診断で広く使用されているラテラルフローイムノアッセイに適用できる。また、この方法は、獣医学並びに食品管理、環境分析、および他の技術分野においても適しているので、遠隔医療に適している。
前記の目的は、請求項1に記載のテストシステムによって達成される。他の態様は、請求項1のテストシステムで使用するための携帯電話用のソフトウェアに関する。好ましい実施形態は従属請求項に開示されている。
本明細書に記載のテストシステムは、訂正不能な一次データを含まない記録されたデジタル画像を分析するのでなく、過渡的画像データを分析するという利点がある。さらに、これらの過渡的画像データは、記録前に訂正不能の画像データについて分析され、また、多くの様々な種類のスマートフォンおよびタブレットでこれを行うことができるようにするために、関心領域にある過渡的画像だけを優先し評価する。関心領域は、可視ゾーンと分析物の定量化信号とを含む領域である。従来の方法は、データ量が10~50倍の記録された画像全体を検査する。本システムは、従来技術のシステムとは全く異なる。従来技術のシステムは、最初に、テストデバイス全体の“良好な全画像”(整合、コントラスト、色が良好である)を選択して補正する。これには、クロマトグラフィーを受けるテストサンプル中の分析物の含有量を表す可視ゾーンの光の強度を評価する前に、補正不能の画像データを記録することが不可欠である。関心領域内の過渡的画像及び訂正不能の画像データを優先することにより、データ削減を行うことができる。これは、関心領域がデジタル画像全体の小さな部分しか表示しないためである。これにより、内部メモリおよび演算処理性能が限られたスマートフォンでも、過渡的画像の演算処理を行うことができる。更に、電話やタブレット市場用に毎年2億個製造されるカメラのうち、その半分以上がオートフォーカスである。微小電気機械アクチュエータを使用してカメラの1つ以上のレンズを前後に移動する。この際、レンズのその位置についての画像のシャープネスについての性能指数をアルゴリズムが計算する。したがって、種々の組み込み型オートフォーカスアルゴリズムは、遠近変換やシャープネスまたはコントラストの補正を行うための後処理アルゴリズムを行うアプリケーションと競合して作動する可能性がある。本願明細書中に記載されたシステム及び方法は、過渡的画像データの量を減少させる。そのため、関心領域の画像データだけを記録する前に関心領域内の光の計測値を瞬時に評価するのを可能にする。関心領域内で反射された光の計測値は、可視ゾーンに捕捉された分析物の量と直接関係しているため、後にアルゴリズムによって補正することができない一次光学データである。関心領域の一連の過渡的画像が分析されると、反射光の測定値が基準に満たない画像を破棄して、これにより、不規則な決定の危険性を低下させる。換言すると、本願明細書中に記載された方法は、関心領域の過渡的画像のビデオクリップを解析し、それらの画像をその光の計測値について個々に解析し、その結果、特性が逸脱した画像を無視できるようにする。これは、分析された過渡的画像のデータを減少するだけでなく、カメラ特性を利用することによってのみ可能である。
上記で説明した目的は、ラテラルフロークロマトグラフィーを受けたテストサンプル中の分析物の存在および含有量を判定するためのシステムによって達成される。このシステムは、ラテラルフローテストを行うテストデバイスを含む。このテストデバイスは、更に、1つまたは複数の参照画像(例えばQRコード、バーコード、標識や文字)および関心領域(ROI)を表示する。関心領域は、本明細書中、テストストリップの表示と記載されることもある。この表示は、前記テストサンプル中の前記分析物(T)の存在および含有量を示すバンドやライン等の1つまたは複数の可視ゾーン及びコントロールゾーン(C)を示す。この表示は、デジタルカメラ、光源およびプロセッサを含む携帯型プロセッサデバイス、好ましくは携帯電話と機能的に協働する。前記プロセッサは、前記カメラによって取込まれたデジタル画像を演算処理し、分析結果を表示する。前記プロセッサは、1つまたはそれ以上の永久的な参照画像の存在について複数の過渡的デジタル画像を順次分析するように構成されている。前記デジタル画像が見つかってこれが正しい場合には、前記プロセッサは、見つかった参照画像と前記デジタルカメラとの間の距離を決定する。この距離が許容距離内にある場合には、前記プロセッサは、前記関心領域の各過渡的デジタル画像が存在する場合にはこれらのデジタル画像を分析する。前記プロセッサは、各関心領域を、その反射光の計測値について検査する。前記プロセッサは、所定の計測値と整合した場合、前記過渡的デジタル画像を検索し保存するように構成されている。そのため、前記関心領域の前記デジタル画像だけが、前記可視ゾーン(T,C)の光学的強度について所定の光条件に基づいて演算処理および分析される。過渡的デジタル画像を取込む際に、カメラのレンズ及び内部光源(フラッシュ)は、テストデバイスに対して許容可能な距離内になければならない。カメラは、対象物に対して近過ぎも遠過ぎもしない位置になければならない。距離が短すぎるとフラッシュが対象物を露出オーバーにし、テストストリップの濡れた部分の反射が強くなり、そのため関心領域の分析をもはや行うことができなくなる。カメラのレンズ及びフラッシュが対象物から遠過ぎると、関心領域の照明が不十分になり、最も重要なことには、関心領域の大きさが、更なる分析を行うには小さ過ぎるようになってしまう。対象物を適正に照明するため、並びにテストゾーン及びコントロールゾーン(T,C)の光の強度を決定するために、大きさが略均等でありかつ十分な関心領域を得るため、所定の許容距離が必要とされる。この距離が許容範囲内にあることが分かると、テストデバイス上の参照標識の位置までの距離によって関心領域を容易に同定できる。以下に説明する光の計測値についての過渡的デジタル画像の分析を関心領域のみに限定できる。この目的のため、カメラのレンズと対象物との間の距離は、テストデバイスに設けられた永久的な参照標識に基づいて迅速でありかつ簡単なアルゴリズムによって調べることができる許容距離内になければならない。この場合、関心領域は、参照標識に関する公知の大きさ及び位置によって、容易に同定できる。
プロセッサは、絶対輝度、輝度勾配、影および暗ピクセル領域、及びこれらの組み合わせに関して、関心領域から反射された光の測定値を決定するように構成されている。また、プロセッサは、前記可視ゾーン(T,C)の光学的強度を、適切な光により得られた多数の画像データ又は画像データの組から決定できるように、関心領域の承認された多数の過渡的画像データを取得して記録するように構成されている。これにより、記録された画像データの信頼性及び品質が大幅に向上する。
分析物テストシステムの好ましい実施形態では、保存されたデジタル画像は、ゾーン(T,C)の光の強度を決定する前に、何らかの回転位置ずれまたは歪みと関連した任意の程度の誤差についてさらに補正される。これは、可視ゾーンが平行でなければならないため、これらの表示ゾーンに基づいて行うことができる。
分析物ラテラルフローテストは、好ましい実施例では、テストサンプル中の分析物の存在および含有量とは無関係に定義された所定のコントロールゾーン(C)が形成されるように、所定量のコントロールが使用される。このコントロールは、例えば、分析物を認識しない、すなわち分析物と反応しないが、コントロールラインのところに結合したIgGまたは鳥類IgYであってもよい。したがって、コントロールラインは、強度が変わることがなく、その強度はテストサンプル中の分析物の量とは無関係である。別の態様では、比較的多量の分析物を含有するサンプルの場合に相異が生じる。分析物は、免疫反応性パートナーと結合するため、コントロールゾーンでの結合に利用可能な非結合免疫反応性パートナーが少なくなる。その場合、コントロールゾーンは、それほど強くなくなることになる。これは、所定量のコントロールが追加された場合には生じない。
最も好ましい実施形態では、プロセッサは、保存された多くの画像に基づいてゾーン(T,C)の強度比(T/C)を決定し、テストサンプル中の分析物の定量分析を行うため、中央値比(T/C)を選択する。
分析物テストシステムが、機械可読のデータ表現(QRコードまたはバーコード)を含む参照画像を有するテストデバイスを含む場合、このようなコードによって、インターネット、または直接的電話回線を介して、サーバ上のラテラルフローテストの特性データへエンコード又はアクセスできる。その特性データは、決定された中央強度比(T/C)とテストサンプル中の分析物の定量分析とを相関させるために用いられる。好ましい実施例では、分析物テストシステムは、データおよび画像データを遠隔サーバと交換するように構成される。
分析物テストシステムは、対象領域内の可視ゾーン(T,C)の位置を識別するために、参照画像のシャープさ及びコントラストに関するデータ、または、表示された参照画像の位置におけるデータのシャープさ、およびコントラストに関するデータを取得するプロセッサをさらに含む。
ラテラルフロークロマトグラフィーにより分析物の存在を評価するための分析物テストシステムは、ラテラルフロークロマトグラフィーストリップを収容するのに適するテストカセットを含む。このストリップは、使用後にテストサンプル中の分析物の存在を示す1つ以上の視認ラインまたはバンドすなわち応答ゾーン及びコントロールを表示する。テストカセットには、バーコードやQRコード等の1つまたは複数の参照画像、および/または標識および文字が表示されていてもよい。スマートフォンは、デジタルカメラ、フラッシュおよびプロセッサを備えていなければならない。プロセッサは、前記テストカセットの捕捉された画像データ、前記1つ以上の参照画像及び前記サンプル中に存在する分析物用の視認ライン、ゾーン又はバンド、及び前記コントロールを演算処理するように構成されている。プロセッサは、最初に、1つまたは複数の参照画像についての画像データを分析し、デジタルカメラと参照画像との間の距離を評価し、所定の範囲内であれば、その後、関心領域の前記画像データおよび/または可視コントロールの信号を分析し、画像データが見つかった場合には、前記クロマトグラフィーストリップ(関心領域)から反射された光の特性について前記画像データを分析する。前記クロマトグラフィーストリップから反射された光の特性に関連する任意の値の評価が所定の範囲外である場合には、前記プロセッサは、画像データを拒否するように形成されており、その結果、取り込まれた画像データのみが、分析物の定量分析のために保存される。これらの画像データは、クロマトグラフィーストリップから反射された光の計測値に関して、良好でありかつ有効であると事前に検査されたものである。クロマトグラフィーストリップは、関心領域と対応する。
前記プロセッサは、反射光の特性を、輝度勾配、絶対輝度、影、シャープネス、吸光度、透過率、コントラスト、およびこれらの組み合わせに関して分析するように形成されていてもよい。複数組の有効な画像データを、プロセッサによって取得して保存し、分析物についての信号を評価し定量するため、選択された一組の画像データを演算処理してもよい。より正確に述べると、前記モバイルプロセッサデバイスは、承認された画像データの奇数のセット、好ましくは1から13のセット、より好ましくは3から11のセット、最も好ましくは5から9のセットを取込み、検索するように構成されていてもよい。その結果、1つのセットを中央値に従って選択できる。次いで、テストサンプル中の分析物の存在を評価し定量するためにこの関心領域を使用できるプロセッサは、もちろん、可視ゾーンの光の強度についての各承認された過渡的画像を分析し、TゾーンおよびCゾーンの中央値を取得することもできる。
別の実施例では、参照画像は、印刷された形、ロゴ、バーコード、QRコード、視認可能な距離ライン及びドット、カセットの境界、ハウジング上の形状及びデザイン、クロマトグラフストリップ、コントロールライン、ケース上の形状及びデザインの一つまたはそれ以上から選択されてもよい。参照画像は、データマトリックス(1つまたは複数のバーコード、または、QRコード)としてもよい。データマトリックスは、キャリブレーション情報、バッチ番号および/またはテストの有効期限、または、ラテラルフローテストについての全ての技術的データおよびキャリブレーション情報を含むウェブサイトにアクセスするのに必要データを含む。スマートフォンは、リモートの演算処理装置またはサーバとデータを送受信できる。
一実施形態では、前記プロセッサは、テストカセットの関心領域から受け取った光の特性に関するエラー値範囲を決定するように構成されていてもよい。前記エラー値範囲は、取込まれた画像データを、テストカセットから反射された光の所定の特性と比較することにより決定される。
別の実施例では、前記プロセッサは、取得された画像領域(関心領域)に1つまたはそれ以上のピクセル値を追加し、コントロールおよびテストサンプルの信号の位置を識別するように構成されていてもよい。プロセッサは、取得された画像領域(関心領域)内でピーク探索を実行するように構成されてもよい。プロセッサは、テストサンプル中の分析物の濃度を決定するように、ピーク高さまたはピーク面積を計算することによって、コントロールおよびテストサンプルについての信号の強度を定量化するように構成されてもよい。前記モバイルプロセッサデバイスは、モバイルプロセッシングデバイスによって取り込まれた画像データを比較するため、ケーシングまたはテストカセット又はこれらの両方に印刷された様々な割合の対照的な色または項目を使用するように形成されていてもよい。最も好ましいのは、可視ゾーン(T,C)の光の強度をさらに分析および定量するために、RGBデータをグレースケールに変換することである。
別の実施例では、分析物テストシステムは、カルプロテクチン、ビタミンD、黄体形成ホルモン、卵胞刺激ホルモン、絨毛性ゴナドトロピン、甲状腺刺激ホルモン、アルブミン、便潜血、グルテン免疫原性ペプチド、膀胱癌マーカー、結核菌群(Mycobacterium tuberculosis)、ウシ型結核菌(Mycobacterium bovis)、マイコバクテリウム・アフリカヌム(Mycobacterium africanum) 、ヘリコバクターピロリ、インフルエンザウイルスA型およびB型、トロポニンI、爪白癬、フェリチン、D-ダイマー、C反応性タンパク質、グループA連鎖球菌、グループB連鎖球菌、遺伝子組み換え生物、穀物およびその製品に存在するアレルゲン、ひよこ豆およびその製品に存在するアレルゲン、ピーナッツおよびその製品に存在するアレルゲン、ヘーゼルナッツおよびその製品に存在するアレルゲン、マカダミアおよびその製品に存在するアレルゲン、マスタードおよびその製品に存在するアレルゲン、大豆およびその製品に存在するアレルゲン、ゴマおよびその製品に存在するアレルゲン、クルミおよびその製品に存在するアレルゲン、ピスタチオおよびその製品に存在するアレルゲン、ルパン豆およびその製品に存在するアレルゲン、セロリおよびその製品に存在するアレルゲン、魚およびその製品に存在するアレルゲン、甲殻類およびその製品に存在するアレルゲンを判定するようになっていてもよい。
本開示の別の態様は、デジタルカメラと、光源と、ラテラルフロークロマトグラフィーによりテストサンプル中の分析物の存在および含有量を評価し定量するためのプロセッサとを含むモバイルプロセッサデバイスで使用するためのソフトウェアに関する。このソフトウェアは、ラテラルフロークロマトグラフィーストリップを収容し、テストサンプル中の分析物の存在並びにコントロールに対して1つまたは複数の視認信号を表示するように構成されたテストカセットを撮像するための手段を含む。テストカセットは、更に、1つまたは複数の参照画像を表示する。前記ソフトウェアは、前記カメラによって取込まれた画像を演算処理して、前記テストカセットの画像データ、前記1つまたは複数の参照画像、及び前記サンプル中に存在する分析物についての視認信号及び前記コントロールについての視認信号を取得するように構成されている。前記ソフトウェアは、前記デジタルカメラと参照画像との間の距離を評価するため、最初に1つまたは複数の参照画像について前記画像データを分析するように構成されている。前記ソフトウェアは、前記デジタルカメラと前記参照画像との間の距離が予め設定された所定範囲内にある場合には、前記視認コントロールの信号用の前記画像データを分析するように構成されている。前記ソフトウェアは、前記所定範囲内にあることが分かった場合には、前記クロマトグラフィーストリップから反射された光の特性について前記画像データを分析するように構成されている。前記ソフトウェアは、前記クロマトグラフィーストリップから反射された光の特性と関連した値の評価が予め設定された所定の範囲外である場合に、当該画像を排除するように構成されている。その結果、取り込まれた画像データのみが分析物の存在の定量分析を行うために用いられる。この画像データは、クロマトグラフィーストリップから反射された光の特性に関して、良好でありかつ有効であると事前に検査されたデータである。前記ソフトウェアは、輝度勾配、絶対輝度、影、シャープネス、吸光度、コントラスト、およびこれらの組み合わせに関して、光反射の特性を分析するように形成されていてもよい。
好ましい実施形態は、デジタルカメラ、光源、およびプロセッサを備える携帯電話で使用するためのソフトウェアに関する。このソフトウェアは、デジタル画像の取り込み、データの機械可読表現の読み取り、データの交換、および遠隔サーバとの画像データの交換、ならびにディスプレイ上の情報、データおよび検査結果の表示処理をサポートする。前記ソフトウェアは、多数の過渡的なデジタル画像を順次処理して、機械可読データを有する参照画像の存在について各デジタル画像を分析し、前記参照画像と前記デジタルカメラ(16a)との間の距離を決定するように構成されている。前記参照画像と前記デジタルカメラ(16a)との間の距離が見出され許容可能であれば、前記ソフトウェアは、関心領域について各過渡的なデジタル画像を分析するように構成されている。そして、前記ソフトウェアは、反射光の測定のために関心のある各領域を調査するように構成され、絶対輝度、輝度勾配、暗画素の領域が許容可能である場合、前記ソフトウェアは、関心領域のさらなる分析のために、前記過渡的なデジタル画像の画像データを保存するように構成されている。
ソフトウェアは、関心領域内の可視ゾーン(T,C)の位置および光強度を決定するように構成されることが好ましい。さらに、ラテラルフロークロマトグラフィーを受けたテストサンプルの定量的結果を決定するために、キャリブレーションデータおよび他の蓄積データを取得するように構成することができる。
分析物を正確に定量するための視認信号の評価には、第1に、手持ち式光学装置で行われる場合には、ラテラルフロークロマトグラフィーテストとカメラとの間の距離を判定することが必要とされ、第2に、撮像したクロマトグラフィー及び/又はテストカセット上の光の条件を判定することが必要とされる。画像自体は、必要に応じて遅れて補正されてもよく、例えば、任意の回転位置ずれまたはスキュー、画像安定化、または光の温度または任意の階調データに関して補正されてもよい。画像のヒストグラムであっても事後処理してもよい。ゾーンの定量的な評価に関して、ヒストグラムまたは階調データは、関心領域に影がある場合には、こうした影を自動的に除去できないため、ほとんど役立たなくなる。したがって、関心領域(クロマトグラフィーストリップ上にある)における光の一次計測値は、テストゾーンおよびコントロールゾーンの妥当な評価および定量的評価を行う前に、均一かつ良好でなければならない。これは、関心領域、例えば、着色されたバンドまたはゾーンがある領域での反射光の計測値に基づいて、適用可能な条件を予め確立することによって達成できる。
ソフトウェアが、(過渡的)画像の輝度が適切であり、距離が許容範囲内にあると判定したならば、過渡的画像が取得され、ゾーンの生産後及び定量的評価を行うために保存される。取得した画像データをテストサンプル中の分析物の濃度に関するデータに変換することは、バッチ固有またはロット固有のキャリブレーションデータを用いて行うことができる。評価の結果は、手持ち式カメラ装置の画面上に保存および/または適切に表示できる。評価の結果は、ディスプレイ上に表示されてもよく、または解釈付きで表示されてもよい。手持ち式カメラ装置がスマートフォンである場合には、このようにして判定されたサンプル中の分析物濃度を、監督医師に送信してもよい。これはまた、特定の診断分析物およびテストについて必須であってもよい。本システムは、有利には、便サンプルの遠隔医療および分析に使用できる。システムは、スマートフォンの代表的なハードウェアに依存しており、ラテラルフローテスト以外の外部ハードウェアを必要としない。
本質的に、本開示は、複数の様々なテスト、分析物およびテストサンプルおよびマトリックスに適合できる手持ち式分析物テストシステムを提供する。ラテラルフローテストは、主観的な視覚的評価に基づくものでも、特別な装置(ホルダー、三脚、ランプ、測距手段など)にも基づくものでもなく、任意のプローブを用いていつでもどこでも行うことができる。分析物テストシステムは、専門家ではない人にも比較的正確な定量的結果を提供できる。なぜならば、この分析物テストシステムは、距離およびラテラルフロークロマトグラフィーの関心領域内の光の関連した測定値(輝度および輝度勾配)を自動的に評価するからである。
本発明の利点、好ましい実施形態およびその実施例を以下に説明するが、これらに限定されない。本発明の保護範囲は、特許請求の範囲に記載されている。
図1Aは、様々な参照符号、データマトリックス、および分析物のラテラルフロークロマトグラフィー分離用のテストストリップの関心領域を含むテストカセットの概略平面図である(コントロールを示す)。 図1Bは、様々な参照符号、データマトリックス、および分析物のラテラルフロークロマトグラフィー分離用のテストストリップの関心領域を含むテストカセットの概略平面図である(色分析ゾーンを示す)。 便サンプルを規定通りに採取し、その一部を取り出し、取り出した規定量の便をラテラルフローテストに適用し、これを本開示に従ってさらに分析するための販売ボックスの写真である。 図3Aは、図2のラテラルフローテストの概略図であり、分析物の測定範囲を拡げるために複数の分析ゾーンを有し、対応する参照符号及びデータマトリックスが備えられている。 図3Bは、図2のラテラルフローテストの概略図であり、分析物の測定範囲を拡げるために複数の分析ゾーンを有し、対応する参照符号及びデータマトリックスが備えられている。 手持ち式のカメラ端末(カメラ付きスマートフォン)を含む分析物テストシステムおよびラテラルフローテスト、並びに関連したデータマトリックスおよび参照符号の例を示す斜視図である。 可視ゾーン(T,C)を有する対象領域を示し、過渡的画像を撮影した対象領域内のこれらの可視ゾーン(T,C)の光学的強さの分析前に行われる追加処理工程を概略的に示し、テストサンプル中の検体の定量的決定に使用される比率を示す図である。
本開示は、個人用手持ち式カメラ端末(スマートフォン)を使用してラテラルフローテストを行うシステムに関する。このシステムは、本来、生物学的分析物に対して行われたラテラルフロークロマトグラフィーの結果を、患者および医師が客観的に評価できるように設計されている。代表的であるが困難な生物学的分析物は便である。便分析物を採取する工程は、感染性下痢および他の胃腸疾患の疑いに対する診断および適切な治療を決定する重大な工程である。便分析物は、例えば免疫学的便テスト(FIT)や便潜血テスト(FOBT)等の非微生物学的テスト、結腸直腸癌の早期検出、またはセリアック病等の胃腸炎疾患の治療の適切なモニタリングにも必要とされる。しかし、便分析物の採取は困難であり、便分析物の採取が診察室で行われることはほとんどない。早期便血液スクリーニングが例えば死亡率を低下させることが示されているにもかかわらず、患者からは、このプロセスは困難であるという声が上がっている。一般に、患者の協力が不十分であり(60%を上回るのは稀である)、患者の協力が得られない理由には、収集された便分析物を戻す上でのサポートが不適切であるということ、及び恥ずかしいということが含まれる。実際のところ、家からはるばる長距離運転して、生の又は凍結した便を手渡すことを望む患者はいない。したがって、患者方で遠隔分析を行うことが、こうした障害に対する解決策となる。分析物テストシステムは、食品テストを含み、獣医学、農業、園芸、環境テスト、薬剤テストなどの他の分野において、多数の他の分析物に容易に適合させることができる。本開示は非限定的であると考えられるべき代表的な例として、便のテストに焦点を当てる。
視覚的結果を分析するため、ラテラルフローテスト上の色情報および/または濃淡値を携帯電話または手持ち式端末に組み込まれたカメラで分析し、所定のアルゴリズムによって処理した後、数値、色コードまたはテキストとして提供される。したがって、患者または消費者は、そのような定量的なラテラルフローテストを自分自身で実行でき、診断または推奨に関する適切な情報を受け取ることができる。重要な臨床パラメータまたは分析物の場合、分析システムは、自動的な証明および認可と組み合わせて使用されるようになっている。その結果、本分析システムによるテストおよび分析が医師の監督下で行われたこととして扱われる。これにより、分析物中に存在する分析物の濃度が与えられただけの分析物であってもよいし、ユーザに与えられた結果を診察室や病院に送る必要がある分析物であってもよい。疾患を適切に評価するのにスマートフォンが必要とされる場合があるが、アレルゲンや汚染物の濃度が分析物中の分析物含量の絶対値として与えられる。
本開示は、さらに、健康障害、特に慢性胃腸疾患、または長期間にわたる炎症状態のおよび経時的に変化する可能性のある治療または薬物の有効性のモニタリングに関する。検査結果は、必要に応じて視覚的に又は数値で表示され、これと同時に遠隔医療のために監督医師に送信される。したがって、システムは、不要な医療相談を避けることができるため、患者および医師にかなりの時間の節約を提供できる。また、本発明は便分析物の収集および分析に関する恥ずかしさを低減する。
[定義]
本明細書中、「テストカセット」という用語は、ラテラルフロークロマトグラフィーストリップに代表的に使用される任意の種類のハウジングまたはエンベロープを意味する。テストカセットには、テストサンプルを含む液体を滴下できるように複数の開口部と、分離後の結果を表示する領域のためのビューポートが設けられている。「テストカセット」という用語はまた、ラテラルフロークロマトグラフィーストリップまたはラテラルフローイムノアッセイを含むユニットを指すことができる。
「プロセッサ」という用語は、命令によって指定された算術、論理、制御、および入出力(I/O)動作を実行することによって、コンピュータプログラムの命令を実行する電子回路を指す。
「参照画像」という用語は、限定されるものではないが、印刷された企業ロゴ、キャプション、機械可読フォント、バーコード、QRコード、カラーコード、バッチ指定、ならびに距離ラインおよびドットのような幾何学的要素、境界、外側エッジ、内側エッジ、成形設計、テストラインおよびコントロールラインなどの、視覚的に認識可能な形態、形状および/またはデータ含有コードを指す。
「可視信号」という用語は、テスト反応の実行時にラテラルフロークロマトグラフィーストリップ上に現れる、視覚的に認識可能な任意の信号、色、形態、形状、幾何学的構造、線、ドット、または応答ゾーンを指す。
「コントロール」という用語は、視覚的に認識可能な任意の信号、色、形態、形状、幾何学的構造、線、ドット、またはテストが正しく行われたことを確認するゾーンを指す。本開示は、ラテラルフローテストにおけるコントロールゾーンに関する。従来のラテラルフローテストは、未反応の分析物特異性抗体の結合をコントロールとして使用する。より正確には、抗体が固相化されたゾーンは、種特異性抗体またはクラス特異性抗体を認識する。例えば、固相化ヤギ抗体がモノクロナルマウス抗分析物抗体に結合する。
本開示の好ましい実施形態は、ラテラルフローテストの適用パッドに所定量の非分析物特異的抗体を提供し、所定強度のコントロールゾーンを得ることを企図する。この強度は、テストサンプル中に存在する分析物の量とは無関係である。その結果、「コントロール」という用語は、従来のコントロールに関するだけでなく、外部および内部キャリブレーションのための可視ゾーン(C)の標準的強度のための内部標準を構成する。
「輝度(brightness)」という用語は、光源が光を照射又は反射するように見える視覚の属性を意味する。換言すれば、輝度は、本開示において光束であり、より正確には、ターゲットを見たときに感知される光の束である。ターゲットは、本願では、ラテラルフロークロマトグラフィーの関心領域である。以下、この関心領域をビューポートつまり視覚的関心領域と呼ぶ。本明細書で使用した輝度という用語は、テストゾーン、コントロールゾーン、および、膜上の代表的には「白色」のクロマトグラフィー材料の呈色状態すなわちカラーアピアランスである。周知のように、所与のターゲットの光反射又は光度(luminance)は、光度の感じ方が環境で変わることを示す。このため、ラテラルフロークロマトグラフィーのゾーンの視覚的な解釈は容易でない。それは、ターゲットがまだ湿っているか、または乾燥しているかに左右され、周囲の光条件および写真の影で決まる。様々なカラーアピアランスモデルの中で、本発明者は、反射光で成分の幾つかが他の成分よりも明るく見えるが、好ましくは、輝度が赤色、緑色、及び青色の表色系の算術平均であるRGB色空間を使用するソフトウェアを用いてプログラムを作成した。人間の視覚とより良好に適合する別の方法があるが、ほとんどのカメラソフトウェアは、RGB色空間を利用している。しかし、この場合、信号ゾーンの強度の決定と関連しない。信号ゾーンの明るさまたは暗さの絶対等級を使用するのが好ましいが、テストゾーンとコントロールゾーンとの間の相対値または比が使用される。ビューポート又は関心領域の輝度を決定するために、さらなる重要なパラメータは輝度勾配である。これは、輝度の絶対値又は光度(反射光)が関心領域の長さ及び幅にわたって均等でなければならないためである。輝度は、ビューポートつまり関心領域の様々な領域の様々な画素領域の輝度を比較することによって決定される。さらに、ビューポートは、影又は代表的でない暗領域について検討される。これにより、ラテラルフローテストの可視ゾーンを更に演算処理し、検討するために、ビューポートの輝度及びその輝度勾配、および代表的でない暗領域(写真の影)の評価が、画像データが回収されて保存される前の過渡的画像について行われる。
シャドウ(shadow)は、光源からの光が不透明物体によって遮られた暗領域である。それは、照明されている物体の背後の体積を占める。
シャープネス(sharpness)(及び「先鋭度(acutance)」)は、画像のエッジコントラストに関連する視覚的な認知を記述する。シャープネスまたは先鋭度は、空間に対する輝度の導関数の振幅に関連する。
本明細書で使用される「吸光度(absorption)」という用語は、物理的光吸収プロセスに関する。吸光度は、入射光と透過光の比の常用対数である。これは、送信された透過光の減衰を測定する。
材料の表面の透過率(transmittance)は、放射エネルギーが透過する際の有効性である。
視覚的認知におけるコントラスト(contrast)は、同時に又は連続的に見られるフィールドの2つ以上の部分の外観の差である。
「過渡的画像(transient image)」という用語は、過渡的画像が、光反射又は輝度の第1条件を満たすか否かを評価するために、プロセッサの揮発性メモリ内に記憶される一時的なデータである。これにより、画像データとテストサンプル内の分析物の濃度との相関が可能になる。「過渡的画像」は切り取られ、ビューポートは、「画像データ」の取得と保存の前に切り取られる。関連データの取り出しは、参照画像(データマトリックス(QRコード)、バーコード、マーカーライン等)が固定されているか、関心領域またはビューポートとの空間的関係がわかっているため、それらを使用して行われる。データマトリックスまたはバーコードは、データの交換、特にキャリブレーションデータのためのサーバへのアクセスを提供し得る。
画像データの「取得」、「獲得」、「記録」又は「保存」という用語は、画像を光の測定値(輝度、輝度勾配、影)に関して検証した後に行われるプロセスに関する。画像は、期限内のテストカセットから取得され、そのため、キャリブレーションデータをサーバ上で見つけることができる。
本分析物テストシステムは、好ましくは、カメラ付き携帯端末すなわちスマートフォン、および協働するラテラルフローテスト用のソフトウェアで構成される。これらは両方とも、法律的、機能的および実用的な要件を満たすように適合され、設計されている。スマートフォンは、ユーザの個人用スマートフォンであるので、本方法は、多くの様々な型式、世代、およびシリーズのプロセッサおよびカメラデバイスで動作しなければならない。したがって、テストキットの各エレメントならびにアプリケーションソフトウェアのテストは、ユーザの個人用スマートフォンまたはカメラで難なく行われなければならない。最初に、個人用スマートフォンまたはカメラをチェックしなければならない。これは、本システムおよび方法では、所定の可視ゾーン(T,C)ならびにテストデバイスの永久的な参照符号を含む関心領域が印刷されたリーフレットまたはカードで行うことができる。カメラおよびプロセッサは、関心領域並びに可視ゾーンの印刷された強度の識別及び分析を行うことができなければならず、これが正しく実行された場合にのみ、アプリケーションソフトウェアが、デジタルカメラを承認し、受け入れ可能であると識別する。
その後、ソフトウェア及び/又はスマートフォンは、ラテラルフローテストの関心領域から画像を取得するように構成されてもよい。この目的のため、テストサンプルの所定の用途用の、及び関心領域内の結果を読み出すための、特定の開口部を有するカセットまたはエンベロープ内にラテラルフローストリップが配置される。指紋等に対する保護の理由から、カセット、ハウジング又はエンベロープが好ましい実施形態であるが、これは本システムの重要な特徴ではない。ソフトウェアは、過渡的画像を、対象物(ラテラルフローテスト)とカメラとの間の距離および関心領域内の光の測定値に関し、及びこれに続いて行われる、画像の実際の取得及び保存後の分析物の定量化に関してチェックし、ゾーンの呈色または光強度を分析し、定量する。テストゾーン及びコントロールゾーン内の呈色の強度を定量化するための一次パラメータは、距離及びラテラルフローテストの関心領域における光条件である。これらは、視覚信号(ライン、バンドまたはゾーン)の強度の判定と関連する。この場合、領域における測定された強度は、ラテラルフローテストが多く標準化を満たす場合に、問題の分析物の量に関係する。これらは、ロットおよび生産で決まり、予め慎重に決定される必要がある。必要条件は、テストストリップに滴下したサンプルの量の再現性に乗じた信号生成の再現性が、分析物の定量の許容誤差よりも低いということである。これらの条件が満たされ、コントロールゾーンが内部基準を提供する場合、テストゾーンおよびコントロールゾーンの強度を、“簡易な”スマートフォンカメラでも正確に判定できる。これらの強度の比は、サンプル中の分析物の量すなわち濃度と関連している。複数のゾーンの強度を使用して測定範囲を拡げることができる。製造者の視点からいうと、多数のテストゾーンを設けるのはゾーンの幅を制御するよりも容易である。参照画像、より正確にはバーコードまたはデータマトリックス(QRコード)の機械読み取りは、距離および一般的な光条件を評価するためだけでなく、画像のさらなる演算処理および分析を行うため、ロット番号、有効期限、較正などのデータをインポートするためにも使用できる。これにより、信号を正確に読み出すのに必要とされるように可視ゾーンが十分に照らされている場合に、正確な結果を得ることができる。手持ち式カメラ(プロセッサデバイス)と対象物(テストカセットまたは関心領域)との間の距離も、画像上の受信光を機械に評価するため、予め定められており且つ必要な範囲内になければならない。
本出願は、携帯電話を、技術的能力や専門技術を備えていないユーザに指導を提供する分析ツールまたは診断ツールにアップグレードし、誰でも使用できるようにするシステムおよびソフトウェアを提供する。このソフトウェアは、ラテラルフローテストのバンドまたはゾーンの定量的な分析を実行するだけでなく、ラテラルフローテストを正確に行う方法および特定の生物学的分析物の事前分析の準備を指示することもできる。本開示のシステムでは、ポイントオブケアで分析テストを容易に行うことができ、撮影され、定量された結果を遠隔サーバにほぼ瞬時に送信できる。サーバを介して結果を総合診療医または医療センターに送ることもでき、サーバはまた、遠隔医療に必要な証明書を提供および/またはチェックできる。遠隔サーバは、高度な画像処理分析を行ってもよく、または診断の推奨事項を提供してもよい。サーバはまた、分析された画像及び品質管理や統計などを理由とした報告を、ローカルにまたはクラウド内で通過させ、戻しまたは保存でき、また、テストサンプルと関連した条件、パラメータ、または属性(例えば、時間、日付、人、GPSデータ、個人データ、および他の詳細)を保存できる。
図1に示すように、テストカセット(10)は、コントロールライン(C)及びテストライン(T)(図1A,1B参照)用の可視ゾーンを有する、関心領域又はビューポート(12)用の開口部を備えている。分析物の測定範囲を拡げるため、複数のテストライン(T)が流れ方向を横切っている。テストカセット(10)の上側には、別の2種類の参照画像(14)、すなわちデータ行列またはQRコード(上部)及びバーコード(下右側)が表示されている。クロマトグラフィー分離を行うため、テストサンプルを含む所定量の液体を、適用パッド上のスポット(S)に滴下する。
代表的なパッケージを図2に示す。テストカセット(10)は、参照画像(14)、すなわちQRコード(中央部、上部)及び色彩/濃淡グラデーション(中心部、下部)を表示したケーシング(18)内に一体化されている。便サンプルを収集して抽出するため試薬が入った器具(20)の受け入れ部が設けられている。ラテラルフローの関心領域を有するビューポート(12)がカセットに配置されている。
図3は、関心領域またはビューポート(12)に視認可能なコントロール(C)ラインだけが表示された(図3A参照)テストカセット(10)を示す。図3Bは、測定範囲を拡げるため、視認可能な複数のテストライン(図3B参照)を有するテスト表示部すなわちビューポート(12)を示す。ここでも、参照画像(14)は、図2に示すように、ケーシング(20)に印刷されている。
図4に示すように、テストシステムは、テストカセット(10)と、ポータブルプロセッサデバイス(16)、すなわちデジタルカメラ(16a)およびそのユーザ用の画面すなわちディスプレイ(22)を有する携帯電話(16)とを含む。携帯電話(16)は、光源(16b)と、プロセッサ(16c)とを備える。携帯電話(16)は、テストステプ又はビューポート(12)と参照画像(14)とを含む過渡的画像を捕捉する。この過渡的画像は、スマートフォン(22)のディスプレイ(22)上でユーザは見ることができる。距離および関心領域の光の測度が正しい場合、画像は携帯電話によって取得され保存される。また、携帯電話(16)は、取得され保存された画像データを分析するためのキャリブレーションデータと同様に、ロット番号、有効期限等をチェックするためのデータを保持するサーバにアクセスするためのデータを提供する参照記号に含まれるデータを読み出す。サーバにアクセスするためのデータは、参照画像(14)によって機械可読形式で提供され得る。参照画像-QRコード及びバーコードは、ケーシング(18)上のテストカセット(10)に隣接して印刷される。
図5は、可視ゾーン(T,C)を有する関心領域(12)が、可視ゾーン(T,C)の光強度の分析前に有利に処理され得る方法を示す。図5は、参照画像(14)までの位置と距離によって定義される過渡的画像上の関心領域(オリジナル)を上から下に示している。関心領域で反射された光の測定値が決定され、許容可能であれば、関心のある過渡領域のデータは、粗いホワイトバランス(粗ホワイトバランス)を受ける。次いで、側面に予め定義された所定の幅(高さクリッピングされた)でトリミングされ、横方向の傾斜つまりスキューも除去される。このように処理された関心領域は、次いで、赤、緑および青(RGB)に関して正確なホワイトバランスを受け、その結果、ラインの光強度がグレースケール(図示せず)に変換される。必要に応じて、T、Cゾーン又はラインの任意の回転不整合が、これらのラインが平行でなければならず、参照画像(14)に対して規定された方向に並ぶように修正される。過渡的画像のデータ解析を関心領域の領域に限定することにより、実質的なデータ減少が得られ、その結果、ほとんどの従来のプロセッサでは、顕著な遅延なしに解析を行うことができる。したがって、複数の過渡的画像を分析することができ、可視ゾーンの光強度の結果を統計的に分析することができる。最も好ましい実施形態では、TおよびCゾーンの光強度の中央値は、過渡的画像(過渡ビデオクリップ)のわずかなシーケンスから決定される。次いで、T/C比の中央値をキャリブレーション曲線と相関させて、サンプル中に存在する分析物の量を決定する。
視覚ゾーン(T,C)の分析は、好ましくは、ピーク強度を用いて行うことができる。本発明者らは、ゾーンの積分強度またはガウス強度を用いても、ピーク強度が十分に正確であることが判明した。TおよびCゾーンのピーク比は、キャリブレーションおよびテストサンプル中の分析物の決定された濃度との相関に関しても最もよく証明された。相関は、テストデバイス上の機械可読データ及び/又はサーバ上のデータ保持を必要とする。相関データは、生産情報、バッチ番号、生産日、ロット番号、キャリブレーション情報、及びキャリブレーション図、並びに機密医療データの符号化された転送の証明書のようなラテラルフローテストに関する他の関連データ、許可(スマートフォンの所有者が医療検査を行うために権利又は訓練されているか否か)、連絡先情報、医療センターや医師等の氏名、住所等を記憶する。サーバとの間で送受信されるデータは、法律的及び実用的な理由のため、又は品質管理及び統計的解釈の理由から、一般医、病院、中央データユニット、政府等に渡される(必須でないか否かの)診断結果であってもよい。
分析物のレベルを連続的にモニタリングする必要性があり、例えば、糞便カルプロテクチン(faecal calprotetin)のような炎症マーカーが必要である。これらのパラメータは、正確に測定された場合、人の全体的な健康状態を理解し、早期介入または継続的な投薬の基礎を設定する。従来のヘルスケアサービスは、主に、疾患の治療または薬剤のモニタリングに関する。しかし、医学的な焦点は、病気が発症する前に、人の健康のモニタリングおよび維持に目が向けられている。症状にあった効果的な迅速な治療によって、医療費を削減し、生活の質を向上させることができる。また、個人が生活様式の変化を採用するための理にかなった根拠を作成することにより、生活の質を向上させることができる。このことには、本出願によって提供される遠隔医療のための手段が必要とされる。
食品分析はまた、アレルギーの発生の増加に起因する重要な分野である。また、特定の消費者が、例えば、処理された食品における遺伝的に改変された食品および生物の回避する選択をできるようにしなければならない。したがって、専門の研究所の関与なしに個人が使用できる正確なテストに対する需要がある。
多数の分析問題のためにラテラルフローテストデバイスが開発されてきた。分析物は、任意の抗原性物質であってもよいが、通常は、タンパク質、ペプチド、抗体、炭水化物または代謝産物のような生体分子、病原体、またはDNA、RNA、オリゴ-およびポリヌクレオチドのような核酸、PCR産物(EP0 291 194 B2)などの生体分子である。膨大な利点を有するハプテンまたはハプテン様結合対が、特異的結合対のメンバーをキャリアーに間接的に結合するために使用されてきた。ハプテン様の非免疫学的結合対の最もよく知られている例は、ビオチン/アビジンまたはビオチン/ストレプトアビジン-システムである。ビオチン-(ストレプト)アビジン系の特性および利点は、例えば、US4,298,685号(Parikhら)、US-A-5 212 063(Offenlock-Haehnleら)、WO92/21975 A(Abbott Lab)、EP1184666(Roche Diagnostics)に記載または開示されている。しかしながら、ラテラルフローテストの基本原理は、これらのテストの全てに関連する。この方法は、液体サンプルのテストシステムとの接触工程を含む。前記テストシステムは、液体サンプルを受容するためのサンプルパッド、コンジュゲートパッド、分離材料を有する試験膜、固定化された捕捉免疫反応体を含む1つまたは複数のテストゾーン、コントロールゾーン、または、ラインを有する。
テストデバイスは、サンプルを滴下するための窓とテスト結果を読み取る窓を備えたテストカセット内に装着された、1つまたは複数の試験片(テストストリップ)を有する。テストデバイスは、血液をサンプルとして用いることもできる。次いで、細胞成分(例えば、赤血球および白血球)を、必要に応じてRBC、顆粒球および血小板を結合する多孔性または受容体を用いて、血漿から分離することができる。血漿は、ストリップ上に流れの方向に固定化された1つまたは複数の試薬と反応させることができる。ラテックスまたは金のナノサイズの粒子が最も一般的に用いられるが、移動性免疫反応体は、視覚的に検出可能なマーカーまたは酵素と結合することができる。
“人的要因”を排除するために、コンピュータ化されたリーダまたはスキャナが開発されてきた。いわゆるPOCTリーダは洗練されたハードウェアを使用し、ラテラルフローテストによる画像を取得し、コンピュータによって画像分析を実行する。しかしながら、従来のPOCTリーダは、家庭で患者が使用するためには、大きすぎて高価である。加えて、従来のPOCTリーダは、特定のテストのみの結果を解釈するように特別に構成されている。医師の診療所が、一日に数回の検査を行う必要がある場合、または多数の異なる検査を行う必要がある場合、異なるPOCTデバイス(例えば、異なるメーカーのいくつかのPOCTデバイス)を購入することが必要である。複数のPOCTリーダを購入することは、個人および一般的な医師にとって非常に高価な選択肢である。加えて、テストデバイスは、ロットに依存するだけでなく、光学的特性において電話カメラおよび光センサに依存する。本開示は、プリントされたカードに基づいてカメラチェックテストを使用することを可能にする。このプリントされたカードによって、不適切なまたは破損した携帯電話カメラおよびスマートフォンを、アプリケーションの実行およびテストデバイスの読み出しから除外することができるように設計することができる。
一般に、ラテラルフロークロマトグラフィーによりサンプル中の分析物の存在を評価し定量するための分析物テストシステムは、ラテラルフロークロマトグラフィーストリップを収容し、分析物(T)の存在について一つ以上の可視域を表示すると共に、コントロール(C)及び内部基準のための一つ以上の可視域を表示するように適合されたテストカセットからなる。テストカセットは、1つまたは複数の参照画像を表示することもできる。システムは、デジタルカメラ、光源、およびプロセッサを備える手持ち式の端末からなり、前記プロセッサ(16c)は、前記カメラ(16a)によって捕捉された過渡的画像を処理して、前記検査カセットおよび前記1つ以上の参照画像の前記過渡的画像データを検査するように構成されている。前記プロセッサは、前記デジタルカメラと前記参照画像との間の距離を評価するために、1つ以上の参照画像について前記画像データを最初に分析するように構成され、前記所定の範囲内であれば、前記プロセッサは、前記関心領域またはビューポートにおける光(輝度、輝度勾配、輝度、影)の測定のために前記画像データを分析するように構成される。換言すると、前記プロセッサは、さらなる分析を実施する前に、前記クロマトグラフィーストリップから反射された光の特性について第1の前記画像を分析するように構成される。前記プロセッサは、前記クロマトグラフィーストリップから反射された光の特性に関連する任意の値の評価が所定の範囲外である場合に、すべての画像を拒否または無視するように構成される。クロマトグラフィーストリップから反射された光の測定に関してデータが良好かつ有効であると事前に検査された、定量分析のための画像データのみが取得される。
添付図面を参照すると、本発明の分析物テストシステムは、1つまたは複数の参照画像(14)を表示するテストカセット(10)を含む。これらの参照画像は、i)手持ち式の端末(16)とテストカセット(10)の間の距離を判断するために使用され、任意であるがii)機械可読データがロット番号及び校正データに関して有効なテストであるか否かを示すかどうかを判断するために使用される。画像を定量化に使用できるかどうかの評価には、テストカセット(10)とカメラ(16a)の間の距離が許容範囲内にあるかどうか、および光の測定において、より正確にはテストカセット(10)上の関心領域(ビューポート)内の輝度が均一であることが必要である。
ソフトウェアは、反射光の性質(輝度)に関連して、受け入れられた誤差または分散範囲を含むように構成されていてもよい。これと関連した一次パラメータは、絶対輝度(光度、反射)、関心領域(ビューポート)内の輝度勾配、関心領域の写真の影に対応する暗度または暗領域からなる群から選択されてもよい。二次パラメータには、鮮明度、吸光度、透過率、コントラスト、およびそれらの組み合わせが含まれる。測定が許容できる場合、捕捉した過渡的画像を取得し、可視ゾーンの強さを分析するためにこれを演算処理できる。ソフトウェアは、ビューポート(12)領域内の輝度および輝度勾配を順次評価するように構成されていてもよい。好ましくは、ソフトウェアは、暗領域(写真の影)について、ビューポート領域(関心領域)を順次評価するように構成されている。ソフトウェアはさらに、輝度、輝度勾配、影(暗領域)だけでなく、反射(孤立した高輝度の領域)および鮮明度について順次評価するように形成されていてもよい。
保存画像の取得に続き、テストカセット(10)上のコントロール(C)または参照画像(14)に基づいて、あらゆる不整合について画像を修正できる。一次光パラメータの評価後にこの工程を実行するのが有利である。従来技術におけるものとは異なり、端末は、光を測定する上での所定の基準を満たさない画像を取得しない。これは、可視ゾーンの強度の定量化を行わなければならない場合、これらの画像を後から修正することができないためである。ラテラルフロークロマトグラフィーによる分析物の定量には、正確で所定の光の測定が不可欠である。カメラソフトウェアが撮影基準の「素敵な写真」モードにある場合、画像取得後の光特性の補正は常に任意であり、また、エラーが発生し易い。コントロール(C)と分析物(T)に対応する可視信号(12)近辺の適切な明るさ、およびテストカセット(10)上の参照画像(14)によってのみ、サンプル中の分析物の濃度を正しく評価し、定量できる。
上述のように、参照画像(14)は、機械可読のデータ表示、例えば1つまたはそれ以上のバーコードやQRコードであってもよい。これらの機械可読データには、キャリブレーション情報、ロット番号、および/または有効期限が含まれる。機械可読データは、これらデータをすべてクラウドと交換し、クラウドから取得できるように、サーバにアクセスするための情報を提供するのが好ましい。システムソフトウェアは、更に、取得された画像データおよび試験データを遠隔処理装置に送信するように構成されていてもよい。個人データの場合、コード化された情報を送信するため、システムには証明書及び認証データを提供しなければならない。
モバイルプロセッサデバイス(16)は、ビューポートおよびラテラルフローテストの奇数の画像、好ましくは1から13の画像、より好ましくは3から11の画像、最も好ましくは5から9の画像の取得、保存、および/または演算処理を行うように構成されていてもよい。これによって、テストゾーンの中央値、より正確にはT/Cの中央値を最終的なテスト結果として使用できる。従来技術とは異なり、開示のシステムおよびソフトウェアは、様々な露出設定の複数の画像を取り込むのではなく、これらの画像を組み合わせて「ダイナミックレンジが高い」画像を作成するものでもない。換言すれば、開示のシステムは、実際の画像の評価に依存し、光および反射の測定値が例外的な画像は、取得され演算処理された複数の画像から得られる中央値を用いることによって、最終的に無視される。
手持ち式の端末およびプロセッサ(16c)のプロセッサデバイス(16)は、テストカセット(10)またはビューポート上の光度または輝度に関して、許容可能であるように構成されている。これは、ソフトウェア及びデバイスが、関連領域内の光と輝度の測定値が許容範囲から外れている場合、および/または、垂直方向および縦方向に変位している場合にのみ、画像を拒絶するように構成されていることを意味する。テストカセット(10)に設けられた参照画像(14)に基づいて許容誤差を決定してもよい。しかし、これは、ラテラルフロークロマトグラフィーの湿り具合を考慮していないため、あまり好ましくない。
別の実施例では、プロセッサ(16c)は、コントロールゾーン(C)の位置及び分析物ゾーン(T)の位置を特定し、コントロールゾーン及びターゲットゾーンの強度を定量するためにピーク探索を実行し、ピークの高さ(推奨)またはピーク面積(積分信号)または任意のガウス範囲のいずれかによって、これらの強度の比率を決定するように構成されている。次いで、対応するキャリブレーション値との相関により、テストサンプル中の分析物の濃度が決定される。
本開示は、更に、スマートフォン(16)で使用するソフトウェアに関する。ソフトウェアは、過渡的な画像データを分析し、デジタルカメラ(16a)と参照画像(14)との間の距離を決定する。距離が許容範囲にある場合、前記ソフトウェアは、前記クロマトグラフィーストリップの関連領域内の光の測定値(光度、輝度、輝度勾配)について過渡的画像を分析する。上記ソフトウェアは、反射された光の計測値及び特性が許容範囲外であると判断した場合には、これらの過渡的画像データを排除するように構成されている。これらの画像及び画像データは、分析物の存在を定量的に分析するために取得され且つ保存される。これらの画像データは、視認特性に関して受け入れ可能であると事前に検査されたものである。
好ましい実施例では、カメラはスマートフォンのカメラである。したがって、本発明の別の態様は、上述のラテラルフローテストに基づく遠隔医療用のシステムである。この遠隔医療用システムは、スマートフォンアプリケーション(ソフトウェア)を含み、このアプリケーションによって、過渡的画像、未加工のカラーデジタル画像、ラテラルフローテストのハウジングに設けられたデータコードおよびマトリックスの機械読み取りを行い、過渡的画像を事前に検証する。永久的なデータは、サーバにアクセスし、標準曲線及びキャリブレーションデータをダウンロードするユーザの認証に使用される。遠隔医療用の本システムは、随意であるが、患者のモニタリング、最終的検証、および/または診断、とりわけ、患者の更なる投薬治療に関し、ラテラルフローテストデバイスの結果を医療センターに転送することを含んでいてもよい。
本ソフトウェアは、カメラおよび光源を有する任意の手持ち式の端末とともに使用することができる。他の唯一の要件は、プロセッサデバイスが一連の過渡的画像(ビデオシーケンス)を検査できなければならないということである。プロセッサデバイスは、主にソフトウェアであり、ハードウェアの問題はない。本システムは、理論的には、可視バンドまたは信号ゾーンを使用した商業的ラテラルフローテストで使用できる。実際には、ラテラルフローテストは、メンブレン及びその上の分離材料の一定の厚さ、並びにアプリケーションパッド、コンジュゲーションゾーン、およびレセプタを固相化したゾーンについて、最も注意深く標準化する必要がある。更に、視覚信号を適切かつ比例的に発生するために、マーカー色素を選択する必要がある。精度及び安全性を確保するため、各POCTは、ロット固有キャリブレーションデータを使用できるように、ロットを識別するための機械可読データマトリックスすなわちバーコードを必要とする場合がある。最終的には、POCTまたは迅速テストの関心領域を含む画像がプロセッサまたはカメラによって取得され、保存される。映像は、通常、空間的に分解されたRGB値の形式でカメラから返される。これは、ピクセルごとに赤、緑、青の値が配信されることを意味する。計算は、RGB、HSV、HSL、Lab、CMYK、またはその他の色空間で実行できる。
単にいくつかのアルゴリズムに従ってピクセルの移動を必要とするので、画像の正規化および回転誤差の除去は、遅延して行うことができる。これは、いくつかのアルゴリズムに従ってピクセルを移動するだけでよい。これは、事前にプログラムされた仮想ピクトグラムを使用して、カセットをピクトグラムすることにより実行できる。位置合わせに使用できるPOCTカセットの他の特徴は、a)i)企業ロゴii)キャプション、iii)機械可読フォントおよびバッチ指定等のカセットへの印刷、b)i)外側の辺縁部、ii)内側の辺縁部、およびその他のiii)テストカセットの突起等のテストカセット自体の幾何学的および特徴的な境界線である。記録された画像は、少なくとも、歪みのない視認信号を分析するのに十分な解像度で存在する。視認信号またはゾーンは、ラテラルフローテストの固定された幾何学的変数を使用して見つけることができるため、ラテラルフローテストに対するカメラの向きは、可視ゾーンの分析に影響を与えることなく修正できる。
可視ゾーンの強度比(T/C)を使用する場合、カメラの解像度はそれほど重要ではない。回転のずれや歪みも同様に重要ではない。ラテラルフローテストの長さ、距離、またはサイズに関するすべての修正済み情報は、デバイスの各ロットでキャリブレーションが必要とされるため、ソフトウェアで事前にプログラムして適合させることができる。従って、各場合のスケールの比率についてそれぞれ提供された画像解像度に応じて適応することができる。
最初に過渡的な画像の適合性を評価するため、1.モバイル端末またはプロセッサは、テストカセットがカメラに対して正しい距離にあるかどうかを独自に判断した後、過渡的画像についての光の測定値すなわち輝度及び輝度勾配の測定値についてバッチ固有の値を測定する。これを実施するには、機械可読バッチ情報の位置及び大きさ、並びに印刷された企業ロゴの大きさ及び位置の整合が含まれる。2.ユーザは、画面に表示されたオーバーレイに基づいて、カメラに対する両方の位置を確認することもできる。輝度とオーバーレイが一致する場合、これにより、可視ゾーンのさらなる分析のため、過渡的画像の記録が自動的にトリガーされる。3.上記1.及び2.の組み合わせも考えられる。この場合、2.の画像を1.の方法でチェックし、満たされない場合、適用基準が満たされるまで画像を正規化(スケーリング、回転、シフト、または歪曲)する。
焦点、スキュー、位置、距離、サイズ、およびその他のパラメータを決定するため、開口部の周囲の枠及びマーカーを使用してもよいということは当業者には理解されるであろう。さらに、カセットには、外部キャリブレーション(標準曲線)を可能にするため、バーコードや2次元迅速読み取りコード(QR)の形態の個々のテストコードが印刷されていてもよい。
代表的な実施例では、テストサンプル中の分析物を定量分析するためのラテラルフローテストは、互いに流体連通したサンプルを受け取るためのサンプルパッド、サンプルにフィルタ作用を加え、浸透方向での流通を均等にするためのフィルターパッド、可動イムノリアクタントがラベルにコンジュゲートされたコンジュゲートパッド、多孔質分離材料を表面に備えた分離メンブレン、および水吸着性吸収パッドを含み、前記分離メンブレンは、分析物用の固相化された捕捉分子を含む少なくとも1つの第1のテストゾーンおよび標識イムノリアクタント用の固相化された捕捉分子を含む1つの第2のテストゾーンを形成する。開示のシステムでは、コンジュゲートパッドは、標識されているが免疫原的におよび機能的に別個の少なくとも2種類の可動イムノリアクタントを含むのが好ましい。一方の可動イムノリアクタントは分析物に結合して標識複合体を形成し、他方の可動イムノリアクタントは分析物との複合体の形成に関して不活性であり、第2のテストゾーンでのこの標識反応は、他方の標識イムノリアクタントの分析物に関する反応および第1テストゾーンでの標識複合体の捕捉とは無関係であるのに対し、不活性な標識イムノリアクタントは所定の量でコンジュゲートパッドに提供され、内部参照(C)を提供する。
ラテラルフローイムノアッセイフォーマットは、抗原サンドイッチアッセイ、抗体アッセイ、または競合ハプテンアッセイから選択できる。好ましい実施例では、ラテラルフローアッセイは、テストサンプルをサンプルパッドに適用するため及びビューポート内のテストゾーンを写真撮影するための所定の開口部持つカセットまたはエンベロープに組み込まれている。第1の検出ゾーン内の固相化されたイムノリアクタントは、分析物を検出する上でのダイナミックレンジを拡げるため、第1テストゾーン内の2つ以上のライン内にあってもよいということは当業者には理解されるであろう。最も好ましい実施例では、カセットには、第1テストゾーンの1つまたは複数の位置を示すマーカーが印刷されており、任意であるが、ゾーンを適切に評価するための内部参照(C)を含む第2テストゾーンの空間配置を示すマーカーが印刷されている。一実施例では、タンパク質は、ディップスティックフォーマットを使用してテストデバイスの一端をタンパク質と接触させることによりサンプルパッドに導入される。
別の実施例では、タンパク質は、アプリケーター、例えば、ピペット、注射器、スポイトなどを使用してサンプルパッドに適用される。適用される流体の量は、好ましくは約1~200μLであり、より好ましくは約3~100μLであり、最も好ましくは約5~50μLである。サンプル流体は、緩衝生理食塩水、医薬組成物、および生体体液からなる群から選択されてもよい。サンプルパッドに直接滴下される生体体液は、血液、血漿、便抽出物、糞便液、尿、涙液、汗、唾液、羊水からなる群から選択されてもよい。テストサンプルは、動物または植物由来の生体液であってもよい。サンプル流体はまた、加工食品および/または動物性および植物性の材料の混合物であってもよい。
一実施例では、ラテラルフローテストのコンジュゲートパッドは、検出可能なマーカーを含む。コンジュゲートパッドの検出可能なマーカーは、サンプルパッドに付けた分析物と結合できる。さらに、コンジュゲートパッドにより、検出可能なマーカーおよびタンパク質(分析物)がテストメンブレン上に均一に移動する。別の実施例では、検出可能なマーカーには、粒子、光るラベル、熱量ラベル、蛍光ラベル、化学ラベル、酵素、放射性ラベル、金属コロイド、および化学発光ラベルが含まれるがこれに限定されない。金コロイド球が最も好ましいが、他の金属ゾルおよびラテックス微粒子を使用してもよい。カーボン、セレン、量子ドット等の光安定性で色調整可能なナノ粒子もまた検出可能なマーカーとして使用されてきた。さらに、検出可能なマーカーは、二次タンパク質、例えば、触媒作用により検出反応、例えば呈色反応を生じる酵素であってもよい。。
上述のように、テストメンブレンは、少なくとも1つのテストゾーン及び少なくとも1つのコントロールゾーンを含む。定量化可能な検出範囲を増やす必要がある場合には、テストゾーンで2つ以上のテストラインを使用してもよい。もちろん、1つ以上のテストライン(ゾーン)はコントロールゾーンの上流になければならない。
一実施例では、分析物テストデバイスは、(a)バーコードまたはクイックリーディングQRコードである個別のコード、(b)サンプルパッドにアクセスするため及びメンブレン上のテストゾーンを視覚的に制御するためのカセット内の枠付き開口部、(c)第1テストゾーン及び第2テストゾーンの位置を示すカセット上のマーカー、および(d)ホワイトバランスを実行するための所定の領域を表示してもよい。個々のコードには、たとえば製造ロット及びテストゾーンの校正及び解釈のためのデータが入ったQRコードがエンコードされていてもよく、そのため、全ての他の情報が事前にダウンロードされている場合には、手持ち式カメラとプロセッサデバイスが、インターネットへの接続なしにスタンドアロンで操作できる。
別の態様は、ラテラルフローイムノアッセイを使用してテストサンプル中の分析物の量または濃度を決定する方法に関する。この方法は、(a)カメラを使用してラテラルフローイムノアッセイのデジタル画像を撮影する工程と、(b)第2テストゾーンの位置についてデジタル画像を分析し、第2テストゾーン内のラベルの実際の量をデジタル画像に基づいて決定する工程と、(c)第2テストゾーン内のラベルの実際の量を第2テストゾーンのラベルの目標量と比較し、第2のテストゾーンのキャリブレーション済デジタル画像によって決定されるように、1つまたは複数のカラーチャネルについての第2テストゾーンのデジタル画像のそれぞれの目標値からのオフセットを決定する工程と、(e)決定されたオフセットに基づいて実際のデジタル画像を補正し、さらにホワイトバランス補正を実行し、任意であるが、撮影したデジタル画像に使用されたカメラ及びレンズの光学特性の周囲光および/または補助フラッシュライトの色温度を調整する工程と、(f)第1テストゾーンの位置についてオフセット補正されたデジタル画像を分析し、第1テストゾーンで見つかったラベルの定量的決定を実行する工程と、(g)同じ製造ロットのラテラルフローイムノアッセイによって決定された一連のキャリブレーション済の標準の値と比較することによって、テストサンプルに含まれる分析物の量を決定する工程とを含む。
以下の例は、本開示をさらに例示するためのものであるが、本発明の範囲を限定しようとするものではない。以下の例は使用される例のうちの代表的なものであるが当業者に公知のこの他の手順、方法論または技術を代替として使用してもよい。
[実施例1-テスト分析]
参照画像(14)を有するテストデバイス(10)でラテラルフローテスト(12)を実行した(図1A及び図1B参照)。視認信号(TバンドおよびCバンド)が出現したとき、ハンドヘルドプロセッサデバイスをテストカセットに向け、デジタルカメラ(16a)を使用して画像を取込むためのソフトウェアアプリケーションを作動する。最初に、許可された製造ロットについてラテラルフローテストが行われたかどうかについてバーコード(14)を検索する。参照画像(14)が見つかったとき、モバイルプロセッサデバイスとラテラルフロークロマトグラフィーとの間の距離を、テストカセットの参照画像(14)に基づいて評価する。これは、「ビューポート」の境界に基づいて行われる。次いで、ビューポート内の輝度及び輝度勾配が、代表的でない暗領域(影)を含むかどうかについて判定する。ビューポート内の輝度が過渡的画像について許容範囲内にあると判明した場合、ビューポート全体を過渡的画像から切り出し、取得し、保存する。これと同時に、目立つクリックによって、画像が取込まれたことをユーザに知らせる。次に、保存した画像の不整合や捩じれを、コントロールライン(C)及びビューポートの境界に基づいて修正する。保存されかつ演算処理がなされた画像を、コントロールライン及びテストライン(T,C)のピーク強度を決定するためにさらに演算処理し、次にこれらの比率を決定する。
より正確には、過渡的画像は、複数の評価基準、つまり輝度勾配、輝度、影、そして通性的に、反射とシャープネスを使用して評価される。評価基準が正常範囲外で見つかった場合、エラー値が割り当てられ、過渡的な画像は使用されなくなる。画像が要件と一致した場合、画像の関連部分を切り取って正規化し、ノイズを低減し、相対的「グレースケール」(RGBの平均)に変換し、最終的には、信号ゾーン(T,C)の強度比に基づいて分析物の濃度を判定する。過渡的画像にエラーがあった場合、これはユーザに通知されず、過渡的画像が破棄されるだけである。エラーの合計が所定数に達した後、ユーザは評価された画像に基づいてサポートを得る。一定数の合計エラーの後、ユーザには評価された画像に基づいてサポートが提供される。これは、環境とテスト自体について結論を引き出すのに役立つ。これらのエラーを回避するための解決策がユーザに伝えられる。
過渡的画像が常に(毎秒約4フレーム)撮影される場合、各過渡的画像は、評価可能な多数の過渡的画像が検索され、かつ保存できるようになるまで、すなわち許容可能な光反射および輝度の評価基準(所定のエラー値の範囲外)を表示するまで、画像ストリームで連続的に分析される。一般的には、許容可能で評価可能な7つの過渡的画像が検索される場合には、関連した部分が切り取られ、上文に説明したように分析され、そこから中央値に対応する1つの結果が選択され、結果が報告される。
[実施例2-糞中のカルプロテクチンの測定]
血清および糞便カルプロテクチン中の抗サッカロマイセスセルビシエ抗体(ASCA)または核周辺型抗好中球細胞質抗体(p-ANCA)などのマーカーは、炎症性腸疾患の治療を監視するための不可欠な要素になっている。カルプロテクチンは体の非特異的免疫系の一部であり、特殊な免疫細胞(顆粒球)によって循環、体液、糞便に放出される。便中のカルプロテクチン含有量は、腸壁の炎症のマーカーであり、その測定は、理想的には、炎症性腸疾患(IBD)、クローン病、または潰瘍性大腸炎などの胃腸疾患の疾患活動性を評価するのに適している。好中球性炎症マーカー(カルプロテクチン、ラクトフェリン)をモニタリングすることにより、一時的寛解の成立後、または最初の外科的処置に成功した後の再発性疾患増悪の早期認識を容易にする。これはまた、粘膜治癒に関する治療反応の非侵襲的モニタリングを可能にする最初の方法であり、これにより必要に応じて治療のより迅速なステップアップを可能にする。便分析物のモニタリングは、診察室では簡単に行うことができず、患者がきまり悪くて承諾しないことに加え、輸送が困難である。
分析物テストシステムは、改良し適合したテストデバイス(プレベンティス(Preventis)(登録商標),ベンスハイム,ドイツ)およびソフトウェアパッケージから構成された。このテストデバイスは、便中のカルプロテクチンの定量分析を行うように適合、標準化、および改良してある。これには、バンドを評価するためのキャリブレーション曲線をサーバに保存する必要があった。これを、ソフトウェア登録と製造ロットのコードに基づいて評価できる。簡単に説明すると、プレベンティス(登録商標)のテストデバイスは、金コンジュゲート抗カルプロテクチン抗体によりヒトカルプロテクチンを検出するための免疫学的迅速テストを行う。このテストデバイスは、さらに、コンジュゲートパッドに所定量の非分析物特異的抗体を含み、分析物中のカルプロテクチンの量とは別個にコントロールゾーン(C)の標準的強度を求める。迅速検査の結果は、コントロール(C)とテスト対象分析物(T)のラインのピーク強度の比率に基づいて定量的に評価される。蓄積されたロット固有のキャリブレーションデータを使用し、7つの過渡的画像の検索、保存、演算処理、および評価を行った。追加の参照画像(QRコード)は認証データおよび機密データを含み、それぞれのスマートフォンは、主治医が配布したコードとともにサーバに登録する必要があった。日付、時刻、結果(中央値)は患者の主治医に自動的に送信され、ユーザに表示される。この試験は、便1g当たり25~2000μgの範囲のカルプロテクチン測定値をカバーできる。このカルプロテクチン濃度範囲にわたり、迅速テストは、実験室の参照方法に匹敵する程度の確実性で、腸内に炎症活性がある患者を特定できた。
簡単に述べると、パッケージには、この他に以下のアイテムが含まれる。すなわち、便キャッチャー、抽出用緩衝液入りサンプル収集チューブ、アルミニウム袋に密封されたテストカセット、および指示リーフレットが含まれる。サンプル収集チューブのキャップを緩め、サンプル収集スティックを取り外す。次に、サンプル収集スティックを便サンプルの3つの異なるポイントに挿入し、収集スティックの下端の溝(約10mgの便の容量)が便で満たされていることを確認する。便が付着した収集スティックを、抽出緩衝液が入ったサンプル収集チューブに戻す。余分便を、キャップの溝で削ぎ落とす。便をサンプル収集チューブに繰り返し移すと、テストのパフォーマンスが低下する。このため、サンプリングスティックは1回しか使用できないものがよい。穏やかに振とうした後、便サンプル溶液をふるいで濾過し、すぐに使用することができる。
テストカセットをアルミニウム袋から取り出し、乾燥した平らな面に置く。サンプル収集チューブを数秒間穏やかに振り、底端を折り取る。サンプル収集チューブを均等に絞ることにより、テストカセットのサンプル適用ウィンドウにサンプルを含む抽出緩衝液を4滴付けた後直ちに、ソフトウェアアプリの「タイマーの開始」を押す。15分後、ラテラルフロークロマトグラフィーが完了し、分析を行うことができる。
画像を撮影するために、テストカセットを明るく平らで滑らかな面に置く。影、側面からの強い光、直射日光は避けるべきである。テストカセットのテンプレートが携帯電話の画面に表示される。使用者の眼前でテストデバイスを画面上のテンプレートと整合する。これを行う際、携帯電話を水平に、テストカセットと平行に保持し、傾かないようにする。プレビンティス社のアプリはカメラを自動的にトリガーし、ビューポート領域輝度及び距離が正しい7つの適当な過渡的画像が見つかるまで、実際にはビデオ画面(毎秒4フレーム)である「分析画面」に移行する。画像撮影の完了後、保存された画像が分析され、結果の中央値が携帯電話の画面に表示される。結果は、更に、個人データを保護するために仮名化された形式で一般医に自動的に送信される。その結果、患者は医師とは別個に病気の状態を判断して記録でき、主治医または一般医も病気が増悪した場合に治療の段階を迅速に強化するためのデータを受け取る。
10 テストデバイス
12 ラテラルフローテスト、ビューポート、関心領域
14 参照画像
T テストゾーン、応答ゾーン
C コントロールゾーン、コントロール
S サンプルパッド
16 ポータブルプロセッサデバイス
16a デジタルカメラ
16b 光源
16c プロセッサ
18 ケーシング
20 試薬
22 デジタルディスプレイ

Claims (13)

  1. ラテラルフロークロマトグラフィーを受けたテストサンプル中の分析物の存在および含有量を判定するためのシステムであって、
    1つまたは複数の参照画像(14)と、前記テストサンプル中の前記分析物(T)の存在および含有量を示す1つまたは複数の可視応答ゾーン(12)及びコントロールゾーン(C)を含むラテラルフローテストの関心領域(ROI)とを表示する、ラテラルフローテストを行うテストデバイス(10)と、
    デジタルカメラ(16a)、光源(16b)およびプロセッサ(16c)を含むポータブルプロセッサデバイス(16)と、を含み、前記プロセッサ(16c)は、前記デジタルカメラ(16a)によって取込まれたデジタル画像を演算処理し、分析結果を出力するシステムにおいて、
    前記プロセッサ(16c)は、1つまたは複数の参照画像(14)の存在を確認するために、複数の過渡的デジタル画像を順次分析し、前記参照画像(14)が検出され前記参照画像が正しく確認された場合には、検出された参照画像(14)と前記デジタルカメラ(16a)との間の距離を判定し、前記距離が許容距離内にある場合、
    前記プロセッサ(16c)は、前記関心領域の存在を確認するために各過渡的デジタル画像を分析し、前記関心領域(ROI)が確認された場合、
    前記プロセッサ(16c)は、各関心領域の反射光の計測値を評価し、前記計測値が予め設定された計測値以内の場合、
    前記プロセッサ(16c)は、前記過渡的デジタル画像を取得し保存し、予め設定されている光条件に基づいて、前記保存された過渡的デジタル画像における関心領域(ROI)だけを、可視ゾーン(T,C)の光学的強度について演算処理および分析する、ことを特徴とする、分析物テストシステム。
  2. 前記プロセッサ(16c)は、絶対輝度、輝度勾配、暗ピクセル領域(影)、及びこれらの組み合わせに関して光の測定値を決定するように構成されている、請求項1に記載の分析物テストシステム。
  3. 前記プロセッサ(16c)は、前記可視ゾーン(T,C)の前記光学的強度を決定するため、前記関心領域の承認された多数の過渡的画像データを取得して記録するように構成されている、請求項1又は2に記載の分析物テストシステム。
  4. 前記関心領域の前記記録されたデジタル画像を、前記可視ゾーン(T,C)の前記光学的強度の決定前に、前記可視ゾーン(T,C)の回転のずれや歪みと関連する誤差を修正する、請求項3に記載の分析物テストシステム。
  5. 前記ラテラルフローテストは、前記テストサンプル中の前記分析物の存在及び濃度とは別に、所定のコントロールゾーン(C)を得るために所定量のコントロールを含む、請求項1ないし4のうちの何れか一項に記載の分析物テストシステム。
  6. 前記プロセッサは、保存された多くの画像から前記可視ゾーン(T,C)の前記光学的強度比(T/C)を決定し、前記テストサンプル中の前記分析物の定量分析を行うため、中央値比(T/C)を選択するように形成されている、請求項1ないし4のうちの何れか一項に記載の分析物テストシステム。
  7. 表示された参照画像(14)は、前記ラテラルフローテストの特性データをエンコードし、またはアクセスを提供する機械可読データ表現を含む、請求項1ないし6のうちの何れか一項に記載の分析物テストシステム。
  8. 前記ポータブルプロセッサデバイス(16)は、データおよび画像データを遠隔サーバ
    と交換する、請求項1ないし7のうちの何れか一項に記載の分析物テストシステム。
  9. 前記プロセッサ(16)は、表示された参照画像(14)のシャープネスおよびコントラストに関するデータを使用するように構成されている、請求項1ないし4のうちの何れか一項に記載の分析物テストシステム。
  10. 前記プロセッサ(16c)は、前記表示された参照画像(14)の位置に関するデータを使用し、前記可視ゾーン(T,C)に関する前記関心領域の位置を特定するように形成されている、請求項1ないし9のうちの何れか一項に記載の分析物テストシステム。
  11. 前記テストデバイスは、便カルプロテクチン、血中又は血清中の血清カルプロテクチン、ビタミンD、黄体形成ホルモン、卵胞刺激ホルモン、絨毛性ゴナドトロピン、甲状腺刺激ホルモン、アルブミン、便潜血、グルテン免疫原性ペプチド、膀胱癌マーカー、結核菌群(Mycobacterium tuberculosis)、ウシ型結核菌(Mycobacterium bovis)、マイコバクテリウム・アフリカヌム(Mycobacterium africanum) 、ヘリコバクターピロリ、インフルエンザウイルスA型およびB型、トロポニンI、爪白癬、フェリチン、D-ダイマー、C反応性タンパク質、グループA連鎖球菌、グループB連鎖球菌、遺伝子組み換え生物、穀物およびその製品に存在するアレルゲン、ひよこ豆およびその製品に存在するアレルゲン、ピーナッツおよびその製品に存在するアレルゲン、ヘーゼルナッツおよびその製品に存在するアレルゲン、マカダミアおよびその製品に存在するアレルゲン、マスタードおよびその製品に存在するアレルゲン、大豆およびその製品に存在するアレルゲン、ゴマおよびその製品に存在するアレルゲン、クルミおよびその製品に存在するアレルゲン、ピスタチオおよびその製品に存在するアレルゲン、ルパン豆およびその製品に存在するアレルゲン、セロリおよびその製品に存在するアレルゲン、魚およびその製品に存在するアレルゲン、甲殻類およびその製品に存在するアレルゲンに適合したラテラルフローテストを含む、請求項1ないし10のうちの何れか一項に記載の分析物テストシステム。
  12. 請求項1ないし11のうちの何れか一項に記載の分析物テストシステムにおいて、デジタルカメラ(16a)、光源(16b)、およびプロセッサ(16c)を含む携帯電話(16)で使用するためのソフトウェアであって、デジタル画像の撮影、機械可読データ表示の読み取り、データおよび画像データの遠隔サーバとの交換、情報、データ、テスト結果のディスプレイ上の表示をサポートするソフトウェアにおいて、
    前記ソフトウェアは、多数の過渡的デジタル画像を順次演算処理し、機械可読データを含む参照画像(14)の存在を確認するために各デジタル画像を分析し、前記検出された参照画像(14)と前記デジタルカメラ(16a)との間の距離を判定し、前記距離が許容可能である場合には、前記ソフトウェアは、可視ゾーンを含む関心領域が存在するか確認するために各過渡的デジタル画像を分析し、前記関心領域が確認された場合には
    前記ソフトウェアは、反射光の計測値について各関心領域を検査し、絶対輝度、輝度勾配、及び、ピクセルの暗領域が許容可能である場合には、
    前記ソフトウェアは、前記関心領域をさらに分析するため前記過渡的デジタル画像の画像データを保存するように形成されている、ソフトウェア。
  13. 前記関心領域内の可視ゾーン(T,C)の位置および光学的強度を判定するように形成されており、
    ラテラルフロークロマトグラフィーを受けたテストサンプルの定量的結果を決定するため、キャリブレーションデータおよびその他の蓄積されたデータを取得するように形成されている、請求項12に記載のソフトウェア。
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