JP7416196B2 - 化合物、熱可塑性樹脂、光学部材、光学レンズ - Google Patents

化合物、熱可塑性樹脂、光学部材、光学レンズ Download PDF

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Description

本開示は、化合物、熱可塑性樹脂、光学部材、光学レンズに関する。
本願は、2020年2月18日に日本国特許庁に出願された特願2020-025216号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
カメラ、ビデオカメラ、カメラ付携帯電話、テレビ電話、カメラ付ドアホン等の各種光学系製品に使用される光学レンズの材料として、光学ガラス、光学樹脂が使用される。
光学ガラス等は、要求される様々な光学特性を実現することが可能であり、また、環境耐性に優れている。しかし、光学ガラス等は加工性が悪く生産性が低いという問題点を有する。
一方、光学用樹脂は、射出成形により大量生産が可能であるという利点を有する。この利点から、例えばカメラ用レンズとして、ポリカーボネート等の光学用樹脂からなる光学レンズが使用されている。
レンズ用の樹脂としては、ビスフェノールAをカーボネート結合させたポリカーボネートが広く使用されている。このポリカーボネートの屈折率は1.586である。
近年、製品の軽薄短小化により、高い屈折率の樹脂の開発が求められている。一般に、光学材料の屈折率が高いと、同一の屈折率を有するレンズエレメントをより曲率の小さい面で表現できるため、この面で発生する収差を小さくできる。その結果、レンズの枚数を減らしたり、レンズの偏心感度を低減したり、レンズ厚みを薄くして軽量化することが可能になる。
しかし、一般に、樹脂の屈折率を高くすると、樹脂のガラス転移温度も高くなり、成形加工性が低下する傾向がある。そこで、高屈折率かつ成形加工性の良好な樹脂が検討されている。
特許文献1では、9,9-ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンをカーボネート結合させたポリカーボネートからなる光学レンズが開示されている。
特許文献2では、9,9-ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン及び3,11-ジヒドロキシエトキシナフトチオフェンをカーボネート結合させたポリカーボネートを含む組成物からなるレンズが開示されている。
特開2007-57916号公報 特許第6014788号公報
特許文献1の9,9-ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンをカーボネート結合させたポリカーボネートの屈折率は1.639であり、更なる高屈折率化が求められる。
特許文献2のポリカーボネートは、ジナフトチオフェン骨格を有するため、特許文献1のポリカーボネートよりも高屈折率である。しかし、本発明者らが検討したところ、このポリカーボネートは、成形温度付近で二酸化硫黄が発生することがある。この二酸化硫黄は、酸性物質であるため、金型の腐食を引き起こす。そのため、特許文献2のポリカーボネートは、成形時に金型を繰り返し使用することが困難であり、実用性に劣る。
本開示は、カーボネート結合及びポリエステル結合のいずれか一方又は両方を有する熱可塑性樹脂のモノマーとして用いたときに、高屈折率で、成形加工性が良好であり、金型を腐食する懸念のない熱可塑性樹脂が得られる化合物;高屈折率で、成形加工性が良好であり、金型を腐食する懸念のない熱可塑性樹脂;ならびに前記熱可塑性樹脂を含む光学部材及び光学レンズを提供することを目的とする。
本開示は、以下の[1]~[17]の態様を包含する。
[1] 下記式(f)で表される、化合物。
Figure 0007416196000001
式(f)中、B及びBはそれぞれ独立に、重合反応性基を示し;
及びLはそれぞれ独立に、置換されていてもよい炭素数1~10のアルキレン基、置換されていてもよい炭素数4~10のアリーレン基、又は置換されていてもよい炭素数6~12のアラルキレン基を示し;
mは0~4の整数を示し;
nは0~4の整数を示し;
(LO)は置換位置番号1~6の炭素原子のいずれか1つに結合し;
(LO)は置換位置番号8~13の炭素原子のいずれか1つに結合し;
置換位置番号1~6、8~13の炭素原子のうち(LO)又は(LO)が結合していない炭素原子には、それぞれ独立に水素原子又は任意の置換基が結合している。
[2] 前記B及びBがヒドロキシ基であり、下記式(f1)で表される、[1]の化合物。
Figure 0007416196000002
式(f1)中、L及びL、m、n、(LO)及び(LO)の結合位置、ならびに置換位置番号1~6、8~13の炭素原子の任意の置換基は、前記式(f)と同様である。
[3] 前記B及びBがエステル基であり、下記式(f2)で表される、[1]の化合物。
Figure 0007416196000003
式(f2)中、L及びL、m、n、(LO)及び(LO)の結合位置、ならびに置換位置番号1~6、8~13の炭素原子の任意の置換基は、前記式(f)と同様であり;
及びBはそれぞれ独立に、ヒドロキシ基、炭素数1~10の有機置換基又はハロゲン原子を示す。
[4] 前記B及びBがヒドロキシエステル基であり、下記式(f3)で表される、[1]の化合物。
Figure 0007416196000004
式(f3)中、L及びL、m、n、(LO)及び(LO)の結合位置、ならびに、置換位置番号1~6、8~13の炭素原子の任意の置換基は、前記式(f)と同様であり;
及びBはそれぞれ独立に、置換されていてもよい炭素数1~10のアルキレン基、置換されていてもよい炭素数4~10のアリーレン基、又は置換されていてもよい炭素数6~12のアラルキレン基を示す。
[5] 前記L及びLがそれぞれ独立に、置換されていてもよい炭素数1~10のアルキレン基を示す、[1]~[4]のいずれかの化合物。
[6] 前記m及びnが1~4の整数を示す、[1]~[5]のいずれかの化合物。
[7] 前記(LO)が置換位置番号2の炭素原子に結合し、前記(LO)が置換位置番号12の炭素原子に結合している、[1]~[6]のいずれかの化合物。
[8] 置換位置番号1~6、8~13の炭素原子のうち(LO)又は(LO)が結合していない炭素原子には、水素原子が結合している、[1]~[7]のいずれかの化合物。
[9] 複数の2価の構造単位が2価の連結基を介して連結された構造を含む、熱可塑性樹脂であり;前記複数の2価の構造単位の少なくとも一部が、下記式(1)で表される構造単位であり;前記2価の連結基の少なくとも一部が、カーボネート結合又はエステル結合である、熱可塑性樹脂。
Figure 0007416196000005
式(1)中、L及びLはそれぞれ独立に、置換されていてもよい炭素数1~10のアルキレン基、置換されていてもよい炭素数4~10のアリーレン基、又は置換されていてもよい炭素数6~12のアラルキレン基を示し;
mは0~4の整数を示し;
nは0~4の整数を示し;
(LO)は置換位置番号1~6の炭素原子のいずれか1つに結合し;
(LO)は置換位置番号8~13の炭素原子のいずれか1つに結合し;
置換位置番号1~6、8~13の炭素原子のうち(LO)又は(LO)が結合していない炭素原子には、それぞれ独立に水素原子又は任意の置換基が結合している。
[10] 前記複数の2価の構造単位の少なくとも一部が、前記式(1)で表される構造単位;ならびに;下記式(2)で表される構造単位、下記式(3)で表される構造単位、下記式(4)で表される構造単位、下記式(5)で表される構造単位、下記式(6)で表される構造単位、下記式(7)で表される構造単位及び下記式(8)で表される構造単位からなる群から選ばれる少なくとも一種以上である、[9]の熱可塑性樹脂。
Figure 0007416196000006
式(2)中、Rは直接結合、酸素原子、又は炭素数1~40の置換されていてもよいアルキレン基を示し;
~Rはそれぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよい炭素数1~10のアルキル基、置換されていてもよい炭素数3~14のアリール基、置換されていてもよい炭素数1~10のアシル基、置換されていてもよい炭素数1~10のアルコキシ基、置換されていてもよい炭素数3~14のアリールオキシ基、置換されていてもよい炭素数1~10のアシルオキシ基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよい炭素数2~10のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数2~10のアルキニル基、置換基を有するケイ素原子、ハロゲン原子、ニトロ基又はシアノ基を示し;
及びLはそれぞれ独立に、置換されていてもよい炭素数1~10のアルキレン基、置換されていてもよい炭素数4~10のアリーレン基、又は置換されていてもよい炭素数6~12のアラルキレン基を示し;
oは0~4の整数を示し;
pは0~4の整数を示す。
Figure 0007416196000007
式(3)中、R10~R21は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよい炭素数1~10のアルキル基、置換されていてもよい炭素数3~14のアリール基、置換されていてもよい炭素数1~10のアシル基、置換されていてもよい炭素数1~10のアルコキシ基、置換されていてもよい炭素数3~14のアリールオキシ基、置換されていてもよい炭素数1~10のアシルオキシ基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよい炭素数2~10のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数2~10のアルキニル基、置換基を有するケイ素原子、ハロゲン原子、ニトロ基又はシアノ基を示し;
及びLはそれぞれ独立に、置換されていてもよい炭素数1~10のアルキレン基、置換されていてもよい炭素数4~10のアリーレン基、又は置換されていてもよい炭素数6~12のアラルキレン基を示し;
qは0~4の整数を示し;
rは0~4の整数を示す。
Figure 0007416196000008
式(4)中、Vは置換されていてもよいアリーレン基を示し;
Vの置換基は、水素原子、置換されていてもよい炭素数1~10のアルキル基、置換されていてもよい炭素数3~14のアリール基、置換されていてもよい炭素数1~10のアシル基、置換されていてもよい炭素数1~10のアルコキシ基、置換されていてもよい炭素数3~14のアリールオキシ基、置換されていてもよい炭素数1~10のアシルオキシ基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよい炭素数2~10のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数2~10のアルキニル基、置換基を有するケイ素原子、ハロゲン原子、ニトロ基又はシアノ基であり;
及びLはそれぞれ独立に、置換されていてもよい炭素数1~10のアルキレン基、置換されていてもよい炭素数4~10のアリーレン基、又は置換されていてもよい炭素数6~12のアラルキレン基を示し;
sは0~4の整数を示し;
tは0~4の整数を示す。
Figure 0007416196000009
式(5)中、A~Aはそれぞれ独立に=CH-又は=N-を示し;
22、R23及びR24はそれぞれ独立に、直接結合、置換されていてもよい炭素数1~10のアルキレン基、置換されていてもよい炭素数4~10のアリーレン基、置換されていてもよい炭素数6~12のアラルキレン基、又は置換されていてもよい炭素数1~10のアルキレン基、置換されていてもよい炭素数4~10のアリーレン基からなる群から選ばれる2つ以上の基が、酸素原子、置換されていてよい窒素原子若しくはカルボニル基で連結された基を示し;
25~R32はそれぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよい炭素数1~10のアルキル基、置換されていてもよい炭素数3~14のアリール基、置換されていてもよい炭素数1~10のアシル基、置換されていてもよい炭素数1~10のアルコキシ基、置換されていてもよい炭素数3~14のアリールオキシ基、置換されていてもよい炭素数1~10のアシルオキシ基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよい炭素数2~10のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数2~10のアルキニル基、置換基を有するケイ素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、又はシアノ基を示し;
25~R32のうち隣接する少なくとも2つの基が互いに結合して環を形成していてもよく;
vは0~5の整数値を示す。
Figure 0007416196000010
式(6)中、Kは、水素原子、置換されていてもよい炭素数1~10のアルキル基、置換されていてもよい炭素数3~14のアリール基、置換されていてもよい炭素数1~10のアシル基、置換されていてもよい炭素数1~10のアルコキシ基、置換されていてもよい炭素数3~14のアリールオキシ基、置換されていてもよい炭素数1~10のアシルオキシ基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよい炭素数2~10のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数2~10のアルキニル基、置換基を有するケイ素原子、ハロゲン原子、ニトロ基又はシアノ基を示し;
uは0~4の整数を示し;
uが2以上である場合、各Kは同一でも異なっていてもよい。
Figure 0007416196000011
式(7)中、Kはそれぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよい炭素数1~10のアルキル基、置換されていてもよい炭素数3~14のアリール基、置換されていてもよい炭素数1~10のアシル基、置換されていてもよい炭素数1~10のアルコキシ基、置換されていてもよい炭素数3~14のアリールオキシ基、置換されていてもよい炭素数1~10のアシルオキシ基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよい炭素数2~10のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数2~10のアルキニル基、置換基を有するケイ素原子、ハロゲン原子、ニトロ基又はシアノ基を示し;
wは0~4の整数を示し;
wが2以上である場合、各Kは同一であっても異なっていてもよい。
Figure 0007416196000012
式(8)中、2個の結合手のうち一方の結合手は置換位置番号1~6の炭素原子のいずれか1つに結合し、他方の結合手は置換位置番号8~13の炭素原子のいずれか1つに結合し;
置換位置番号1~6、8~13の炭素原子のうち前記結合手が結合していない炭素原子には、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよい炭素数1~10のアルキル基、置換されていてもよい炭素数3~14のアリール基、置換されていてもよい炭素数1~10のアシル基、置換されていてもよい炭素数1~10のアルコキシ基、置換されていてもよい炭素数3~14のアリールオキシ基、置換されていてもよい炭素数1~10のアシルオキシ基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよい炭素数2~10のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数2~10のアルキニル基、置換基を有するケイ素原子、ハロゲン原子、ニトロ基又はシアノ基が結合している。
[11] 前記カーボネート結合及び前記エステル結合のいずれか一方又は両方が、下記式(о)で表される炭酸ジエステルに由来するカルボニル炭素を含む、[9]又は[10]のいずれかの熱可塑性樹脂。
Figure 0007416196000013
式(о)中、E及びEはそれぞれ独立に、置換されていてもよい炭素数1~18の脂肪族炭化水素基、又は置換されていてもよい芳香族炭化水素基であり;
とEとは同一でも異なっていてもよい。
[12] 還元粘度が、0.15~1.50dL/gである、[9]~[11]のいずれかの熱可塑性樹脂。
[13] ガラス転移温度が、100~180℃である、[9]~[12]のいずれかの熱可塑性樹脂。
[14] 屈折率が、1.62以上である、[9]~[13]のいずれかの熱可塑性樹脂。
[15] [9]~[14]のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂を含む、光学部材。
[17] [9]~[14]のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂を含む、光学レンズ。
本開示によれば、カーボネート結合及びポリエステル結合のいずれか一方又は両方を有する熱可塑性樹脂のモノマーとして用いたときに、高屈折率で、成形加工性が良好であり、金型を腐食する懸念のない熱可塑性樹脂が得られる化合物;高屈折率で、成形加工性が良好であり、金型を腐食する懸念のない熱可塑性樹脂;ならびに前記熱可塑性樹脂を含む光学部材及び光学レンズを提供できる。
2,12DNF及び2,12-DODNTのUV吸収スペクトル。 2,12DNFを用いたポリカーボネートの伸び切り鎖構造。 3,11DNFを用いたポリカーボネートの伸び切り鎖構造。 6,8DNFを用いたポリカーボネートの伸び切り鎖構造。 実施例1のポリカーボネート共重合体のNMRスペクトル。 実施例11のポリカーボネート共重合体のNMRスペクトル。 実施例14のポリカーボネート共重合体のNMRスペクトル。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、以下の内容に限定されない。
本明細書において、式(f)で表される化合物を「化合物(f)」と記載し、他の式で表される化合物も同様に記載する。
本明細書において、式(1)で表される構造単位を「構造単位(1)」と記載し、他の式で表される構造単位も同様に記載する。
<化合物>
本開示の一態様に係る化合物は、下記の化合物(f)に関する。
Figure 0007416196000014
ただし、B及びBはそれぞれ独立に、重合反応性基を示し;
及びLはそれぞれ独立に、置換されていてもよい炭素数1~10のアルキレン基、置換されていてもよい炭素数4~10のアリーレン基、又は置換されていてもよい炭素数6~12のアラルキレン基を示し;
mは0~4の整数を示し;
nは0~4の整数を示し;
(LO)は置換位置番号1~6の炭素原子のいずれか1つに結合し;
(LO)は置換位置番号8~13の炭素原子のいずれか1つに結合し;
置換位置番号1~6、8~13の炭素原子のうち(LO)又は(LO)が結合していない炭素原子には、それぞれ独立に水素原子又は任意の置換基が結合している。
置換位置番号1~6、8~13の炭素原子のうち(LO)又は(LO)が結合していない炭素原子にはそれぞれ独立に、水素原子又は任意の置換基が結合している。
任意の置換基としては、例えば、置換されていてもよい炭素数1~10のアルキル基;置換されていてもよい炭素数3~14のアリール基;置換されていてもよい炭素数1~10のアシル基;置換されていてもよい炭素数1~10のアルコキシ基;置換されていてもよい炭素数3~14のアリールオキシ基;置換されていてもよい炭素数1~10のアシルオキシ基;置換されていてもよいアミノ基;置換されていてもよい炭素数2~10のアルケニル基;置換されていてもよい炭素数2~10のアルキニル基;置換基を有するケイ素原子;ハロゲン原子;ニトロ基;シアノ基が挙げられる。
以下、置換位置番号1~6、8~13の炭素原子のうち(LO)又は(LO)が結合していない炭素原子に結合していてもよい水素原子以外の原子又は基を総称して「任意の置換基」とも記す。
((LO)、(LO)
又はLにおいて、「置換されていてもよい炭素数1~10のアルキレン基」における「炭素数1~10のアルキレン基」の具体例としては、これらに限定されるものではないが、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、n-ブチレン基、n-ペンチレン基、n-ヘキシレン、n-へプチレン、n-オクチレン、n-ノナレン、n-デシレン等の直鎖状のアルキレン基;1-メチルエチレン基、2-メチルエチレン基、1-エチルエチレン基、2-エチルエチレン基、1-メチルプロピレン基、2-メチルプロピレン基、1,1-ジメチルエチレン基、2,2-ジメチルプロピレン基、3-メチルプロピレン基等の分岐鎖を含むアルキレン基;脂環構造を含むアルキレン基;複素環構造を含むアルキレン基;が挙げられる。ただし、L又はLにおいて置換位置の数値は、ジナフトフラン側の炭素からつけるものとする。
脂環構造を含むアルキレン基において、脂環構造としては、例えば下記[E]群に示されるものが挙げられる。
脂環構造を含むアルキレン基としては、例えば、脂環構造と、各々前記脂環構造の任意の2箇所に結合した2つの直鎖状又は分岐状のアルキレン基とからなる基が挙げられる。この基は、2つの直鎖状又は分岐状のアルキレン基の間に脂環構造が介在する基ともいえる。脂環構造における2つのアルキレン基の結合位置については任意であり、同一炭素原子に2つのアルキレン基が結合していてもよい。
Figure 0007416196000015
複素環構造を含むアルキレン基において、複素環構造としては、例えば下記[F]群に示されるものが挙げられる。
複素環構造を含むアルキレン基としては、例えば、複素環構造と、各々前記複素環構造の任意の2箇所に結合した2つの直鎖状又は分岐状のアルキレン基とからなる基が挙げられる。この基は、2つの直鎖状又は分岐状のアルキレン基の間に複素環構造が介在する基ともいえる。複素環構造における2つのアルキレン基の結合位置については任意であり、同一炭素原子に2つの結合手が置換していてもよい。
Figure 0007416196000016
上記脂環構造又は複素環構造に結合する直鎖状又は分岐状のアルキレン基の具体例としては、これらに限定されるものではないが、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、n-ブチレン基、n-ペンチレン基、n-ヘキシレン等の直鎖状のアルキレン基;1-メチルエチレン基、2-メチルエチレン基、1-エチルエチレン基、2-エチルエチレン基、1-メチルプロピレン基、2-メチルプロピレン基、1,1-ジメチルエチレン基、2,2-ジメチルプロピレン基、3-メチルプロピレン基等の分岐鎖を含むアルキレン基(ただし、ここで置換位置の数値は、上記環構造に結合した炭素からつけるものとする)が挙げられる。
上記炭素数1~10のアルキレン基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子);炭素数1~10のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基);炭素数1~10のアルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基);炭素数1~10のアシル基(例えばアセチル基、ベンゾイル基);炭素数1~10のアシルアミノ基(例えばアセトアミド基、ベンゾイルアミド基);ニトロ基;シアノ基;ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、炭素数1~10のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基)、炭素数1~10のアルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基)、炭素数1~10のアシル基(例えばアセチル基、ベンゾイル基)、炭素数1~10のアシルアミノ基(例えばアセトアミド基、ベンゾイルアミド基)、ニトロ基、シアノ基等から選ばれる1~3個の置換基を有していてもよい炭素数4~10のアリール基(例、フェニル基、ナフチル基等)等が挙げられる。当該置換基の数は、特に限定されないが、1~3個が好ましい。置換基が2個以上ある場合は、置換基の種類は同一でも異なっていてもよい。
置換されていてもよい炭素数1~10のアルキレン基の具体例としては、フェニルメチレン基、1-フェニルエチレン基、1-フェニルプロピレン基、1-シクロヘキシルプロピレン基、1,1,2,2-テトラフルオロエチレン基が挙げられる。
又はLにおいて、「置換されていてもよい炭素数4~10のアリーレン基」における「炭素数4~10のアリーレン基」の具体例としては、これらに限定されるものではないが、1,2-フェニレン基、1,3-フェニレン基、1,4-フェニレン基等のフェニレン基;1,5-ナフチレン基、2,6-ナフチレン基等のナフチレン基;2,5-ピリジレン基、2,4-フリレン基等のヘテロアリーレン基が挙げられる。
上記炭素数4~10のアリーレン基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子);炭素数1~10のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基);炭素数1~10のアルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基);炭素数1~10のアシル基(例えばアセチル基、ベンゾイル基);炭素数1~10のアシルアミノ基(例えばアセトアミド基、ベンゾイルアミド基);ニトロ基;シアノ基;ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、炭素数1~10のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基)、炭素数1~10のアルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基)、炭素数1~10のアシル基(例えばアセチル基、ベンゾイル基)、炭素数1~10のアシルアミノ基(例えばアセトアミド基、ベンゾイルアミド基)、ニトロ基、シアノ基等から選ばれる1~3個の置換基を有していてもよい炭素数4~10のアリール基(例えばフェニル基、ナフチル基)等が挙げられる。当該置換基の数は、特に限定されないが、1~3個が好ましい。置換基が2個以上ある場合は、置換基の種類は同一でも異なっていてもよい。
置換されていてもよい炭素数4~10のアリーレン基の具体例としては、2-メチル-1,4-フェニレン基、3-メチル-1,4-フェニレン基、3,5-ジメチル-1,4-フェニレン基、3-メトキシ-1,4-フェニレン基、3-トリフルオロメチル-1,4-フェニレン基、2,5-ジメトキシ-1,4-フェニレン基、2,3,5,6-テトラフルオロ-1,4-フェニレン基、2,3,5,6-テトラクロロ-1,4-フェニレン基、3-ニトロ-1,4-フェニレン基、3-シアノ-1,4-フェニレン基が挙げられる。
又はLにおいて、「置換されていてもよい炭素数6~12のアラルキレン基」における「炭素数6~12のアラルキレン基」としては、例えば、芳香環構造と、各々前記芳香環構造の任意の2箇所に結合した2つの直鎖状又は分岐状のアルキレン基とからなる基が挙げられる。芳香環構造は、ベンゼン環、ナフタレン環等の炭化水素環構造でもよく、フラン環、ピリジン環等の複素環構造でもよい。
炭素数6~12のアラルキレン基の具体例としては、これらに限定されるものではないが、下記[G]群に示されるものが挙げられる。
Figure 0007416196000017
前記炭素数6~12のアラルキレン基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子);炭素数1~10のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基);炭素数1~10のアルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基);炭素数1~10のアシル基(例えばアセチル基、ベンゾイル基);炭素数1~10のアシルアミノ基(例えばアセトアミド基、ベンゾイルアミド基);ニトロ基;シアノ基;ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、炭素数1~10のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基)、炭素数1~10のアルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基)、炭素数1~10のアシル基(例えばアセチル基、ベンゾイル基)、炭素数1~10のアシルアミノ基(例えばアセトアミド基、ベンゾイルアミド基)、ニトロ基、シアノ基等から選ばれる1~3個の置換基を有していてもよい炭素数4~10のアリール基(例えばフェニル基、ナフチル基等)等が挙げられる。当該置換基の数は、特に限定されないが、1~3個が好ましい。置換基が2個以上ある場合は、置換基の種類は同一でも異なっていてもよい。
置換されていてもよい炭素数6~10のアラルキレン基の具体例としては、2-メチル-1,4-キシリレン基、2,5-ジメチル-1,4-キシリレン基、2-メトキシ-1,4-キシリレン基、2,5-ジメトキシ-1,4-キシリレン基、2,3,5,6-テトラフルオロ-1,4-キシリレン基、α,α-ジメチル-1,4-キシリレン基、α,α,α’,α’-テトラメチル-1,4-キシリレン基が挙げられる。
及びLはそれぞれ、安価原料調達、合成容易性の観点で、置換されていてもよい炭素数1~10のアルキレン基であることが好ましく、直鎖状のアルキレン基、又は脂環構造を含むアルキレン基がより好ましい。メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、n-ブチレン基、n-ペンチレン基、n-ヘキシレン、n-へプチレン、n-オクチレン、n-ノナレン、n-デシレン、2,2-ジメチルプロピレン基、下記[H]群に示されるような脂環構造を含むアルキレン基がさらに好ましい。
Figure 0007416196000018
ただし、上記[H]群に示される各脂環構造における2つのメチレン基の置換位置については任意であり、同一炭素原子に2つのメチレン基が結合していてもよい。
上記の中でも、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、n-ブチレン基、n-ペンチレン基、n-ヘキシレン基、n-へプチレン基、n-オクチレン基、n-ノナレン基、n-デシレン基、2,2-ジメチルプロピレン基が好ましい。
鎖長が長いほどガラス転移温度が低くなる傾向があるため、成形加工性の観点では、n-プロピレン基、n-ブチレン基、n-ペンチレン基、n-ヘキシレン基、n-へプチレン、n-オクチレン基、n-ノナレン基、n-デシレン基がより好ましい。
分子構造が小さくなると単位構造中のジナフトフラン構造の濃度を高くすることができることから、高屈折率の観点では、n-ブチレン基、n-プロピレン基、エチレン基、メチレン基がより好ましい。重合性反応基がヒドロキシ基含有基の場合、光学特性と機械強度のバランスに優れ、熱安定性に優れるため、エチレン基が特に好ましい。一方で、重合性反応基がエステル基、カルボキシ基含有基、酸ハライド含有基、ヒドロキシエステル基の場合、光学特性と機械強度のバランスに優れるため、メチレン基、エチレン基が特に好ましい。メチレン基、エチレン基は、短段階かつ工業的に安価に導入できる優位性もある。
又はLが、置換されていてもよい炭素数2~10のアルキレン基である場合、重合反応性基、特にヒドロキシ基に結合するL又はLのβ位炭素原子には、水素原子が結合していないことが好ましい。β位炭素原子に水素原子が結合していない場合、重合中にプロトン脱離によりオレフィンが生成することがないため、耐熱性が高く、熱安定性に優れる。
ヒドロキシ基のβ位炭素原子に水素原子が結合していないアルキレン基としては、例えば、2,2-ジメチルプロピレン基のような、直鎖状のアルキレン基のβ位炭素原子の水素原子が全てアルキル基で置換された基が挙げられる。
m及びnはそれぞれ0~4の整数を示す。好ましい一実施形態において、m及びnはそれぞれ1~4の整数を示す。
mが0である場合、Bは置換位置番号1~6の炭素原子のいずれか1つに直接結合する。mが1~4の整数である場合、Bは(LO)を介して置換位置番号1~6の炭素原子のいずれか1つに結合する。
nが0である場合、Bは置換位置番号8~13の炭素原子のいずれか1つに直接結合する。nが1~4の整数である場合、Bは(LO)を介して置換位置番号8~13の炭素原子のいずれか1つに結合する。
(LO)又は(LO)の鎖長が長いと、得られる熱可塑性樹脂のガラス転移温度が下がり高い流動性を示す傾向があるため、成形加工性の観点では、m及びnはそれぞれ3又は4が好ましい。
一方、(LO)又は(LO)の鎖長が長いと、得られる熱可塑性樹脂の屈折率が低くなる傾向があるため、m及びnはそれぞれ1又は2が好ましい。光学特性と機械強度のバランスに優れる観点から、m及びnはそれぞれ1が特に好ましい。
m及びnは同じ値でも異なる値でもよい。非対称な骨格は熱可塑性樹脂のガラス転移温度を下げ、成形加工性がより優れるといった観点では、m及びnは異なる値であることが好ましい。
m又はnが2~4の整数である場合、m個のL又はn個のLは同一でも異なっていてもよい。
好ましい一実施形態において、(LO)は置換位置番号2の炭素原子に結合し、(LO)は置換位置番号12の炭素原子に結合している。この場合、得られる熱可塑性樹脂の屈折率がさらに高くなる。
他の好ましい一実施形態において、(LO)は置換位置番号3の炭素原子に結合し、(LO)は置換位置番号11の炭素原子に結合している。この場合、得られる熱可塑性樹脂の屈折率がさらに高くなる。また、熱可塑性樹脂のガラス転移温度が高くなり、耐熱性が高くなる。
(任意の置換基)
任意の置換基のうち「置換されていてもよい炭素数1~10のアルキル基」における「炭素数1~10のアルキル基」の具体例としては、これらに限定されるものではないが、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル、n-デシル等の直鎖状のアルキル基;イソプロピル基、2-メチルプロピル基、2,2-ジメチルプロピル基、2-エチルヘキシル基等の分岐鎖を含むアルキル基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等の環状のアルキル基が挙げられる。
前記炭素数1~10のアルキル基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子);炭素数1~10のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基);炭素数1~10のアルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基);炭素数1~10のアシル基(例えばアセチル基、ベンゾイル基);炭素数1~10のアシルアミノ基(例えばアセトアミド基、ベンゾイルアミド基);ニトロ基;シアノ基;ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、炭素数1~10のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基)、炭素数1~10のアルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基)、炭素数1~10のアシル基(例えばアセチル基、ベンゾイル基)、炭素数1~10のアシルアミノ基(例えばアセトアミド基、ベンゾイルアミド基)、ニトロ基、シアノ基等から選ばれる1~3個の置換基を有していてもよい炭素数3~14のアリール基(例えばフェニル基、ナフチル基)等が挙げられる。当該置換基の数は、特に限定されないが、1~3個が好ましい。置換基が2個以上ある場合は、置換基の種類は同一でも異なっていてもよい。
置換されていてもよい炭素数1~10のアルキル基の具体例としては、トリフルオロメチル基、ベンジル基、4-メトキシベンジル基、メトキシメチル基が挙げられる。
任意の置換基のうち「置換されていてもよい炭素数3~14のアリール基」における「炭素数3~14のアリール基」の具体例としては、これらに限定されるものではないが、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、1-イミダゾリル基、2-ピリジル基、2-フリル基、9-カルバゾイル基等が挙げられる。
前記炭素数3~14のアリール基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子);炭素数1~10のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基);炭素数1~10のアルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基);炭素数1~10のアシル基(例えばアセチル基、ベンゾイル基);炭素数1~10のアシルアミノ基(例えばアセトアミド基、ベンゾイルアミド基);ニトロ基;シアノ基;ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、炭素数1~10のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基)、炭素数1~10のアルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基)、炭素数1~10のアシル基(例えばアセチル基、ベンゾイル基)、炭素数1~10のアシルアミノ基(例えばアセトアミド基、ベンゾイルアミド基)、ニトロ基、シアノ基等から選ばれる1~3個の置換基を有していてもよい炭素数3~14のアリール基(例えばフェニル基、ナフチル基等);等が挙げられる。当該置換基の数は、特に限定されないが、1~3個が好ましい。置換基が2個以上ある場合は、置換基の種類は同一でも異なっていてもよい。
置換されていてもよい炭素数3~14のアリール基の具体例としては、2-メチルフェニル基、4-メチルフェニル基、3,5-ジメチルフェニル基、4-ベンゾイルフェニル基、4-メトキシフェニル基、4-ニトロフェニル基、4-シアノフェニル基、3-トリフルオロメチルフェニル基、3,4-ジメトキシフェニル基、3,4-メチレンジオキシフェニル基、2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル基、4-メチルフリル基;が挙げられる。
任意の置換基のうち「置換されていてもよい炭素数1~10のアシル基」における「炭素数1~10のアシル基」の具体例としては、これらに限定されるものではないが、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、2-メチルプロピオニル基、2,2-ジメチルプロピオニル基、2-エチルヘキサノイル基等の脂肪族アシル基;ベンゾイル基、1-ナフチルカルボニル基、2-ナフチルカルボニル基、2-フリルカルボニル基等の芳香族アシル基が挙げられる。
前記炭素数1~10のアシル基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子);炭素数1~10のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基);炭素数1~10のアルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基);炭素数1~10のアシル基(例えばアセチル基、ベンゾイル基);炭素数1~10のアシルアミノ基(例えばアセトアミド基、ベンゾイルアミド基);ニトロ基;シアノ基;ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、炭素数1~10のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基)、炭素数1~10のアルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基)、炭素数1~10のアシル基(例えばアセチル基、ベンゾイル基)、炭素数1~10のアシルアミノ基(例えばアセトアミド基、ベンゾイルアミド基)、ニトロ基、シアノ基等から選ばれる1~3個の置換基を有していてもよい炭素数3~14のアリール基(例えばフェニル基、ナフチル基);等が挙げられる。当該置換基の数は、特に限定されないが、1~3個が好ましい。置換基が2個以上ある場合は、置換基の種類は同一でも異なっていてもよい。
置換されていてもよい炭素数1~10のアシル基の具体例としては、クロロアセチル基、トリフルオロアセチル基、メトキシアセチル基、フェノキシアセチル基、4-メトキシベンゾイル基、4-ニトロベンゾイル基、4-シアノベンゾイル基、4-トリフルオロメチルベンソイル基が挙げられる。
任意の置換基のうち「置換されていてもよい炭素数1~10のアルコキシ基」の具体例としては、これらに限定されるものではないが、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、t-ブトキシ基、トリフルオロメトキシ基が挙げられる。
任意の置換基のうち「置換されていてもよい炭素数3~14のアリールオキシ基」の具体例としては、これらに限定されるものではないが、フェノキシ基が挙げられる。
任意の置換基のうち「置換されていてもよい炭素数1~10のアシルオキシ基」の具体例としては、これらに限定されるものではないが、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基が挙げられる。
任意の置換基のうち「置換されていてもよい炭素数2~10のアルケニル基」の具体例としては、これらに限定されるものではないが、ビニル基が挙げられる。
任意の置換基のうち「置換されていてもよい炭素数2~10のアルキニル基」の具体例としては、これらに限定されるものではないが、エチニル基が挙げられる。
任意の置換基のうち「ハロゲン原子」の具体例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
任意の置換基としては、高屈折率の観点から、フェニル基、ナフチル基、アシル基、9-カルバゾイル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基が好ましく、高い屈折率と安価合成の観点から、フェニル基、ナフチル基、臭素原子、シアノ基がより好ましく、着色と熱安定性の観点から、フェニル基、ナフチル基が特に好ましい。
化合物(f)が任意の置換基を2個以上有する場合は、任意の置換基の種類は同一でも異なっていてもよいが、安価合成の観点からは同一であることが好ましい。
化合物(f)が有する任意の置換基の数は、特に限定されないが、合成容易性の観点から8個以下が好ましく、6個以下がより好ましく、4個以下がさらに好ましい。
工業的に安価に製造できる観点からは、化合物(f)が有する任意の置換基の数は0個であることが好ましい。すなわち、置換位置番号1~6、8~13の炭素原子のうち(LO)又は(LO)が結合していない炭素原子には水素原子が結合していることが好ましい。
(重合反応性基)
及びBにおいて、重合反応性基としては、例えば、ヒドロキシ基を有する基(以下、「ヒドロキシ基含有基」とも記す。)、エステル基、ヒドロキシ基を有するエステル基(以下、「ヒドロキシエステル基」とも記す。)、カルボキシ基を有する基(以下、「カルボキシ基含有基」とも記す。)、酸ハライドを有する基(以下、「酸ハライド含有基」とも記す。)が挙げられる。かかる重合反応性基を有する化合物(f)は、カーボネート結合及びポリエステル結合のいずれか一方又は両方を有する熱可塑性樹脂(ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエステルカーボネート等)のモノマーとして用いることができる。
ヒドロキシ基含有基の具体例としては、これらに限定されるものではないが、ヒドロキシ基、ヒドロキシメチル基、2-ヒドロキシエチル基、3-ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基、2,2-ジメチル-3-ヒドロキシプロピル基、2-メトキシメチル-2-メチルプロピレン基、4-ヒドロキシフェニル基、4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル基、4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル基、(4-(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン-1-イル)メチル基が挙げられる。
エステル基の具体例としては、これらに限定されるものではないが、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、メトキシカルボニルメチル基、エトキシカルボニルメチル基、2-(エトキシカルボニル)エチル基、2-(メトキシカルボニル)プロピル基が挙げられる。
ヒドロキシエステル基の具体例としては、これらに限定されるものではないが、2-ヒドロキシエトキシカルボニル基、3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロピレンオキシカルボニル基、2-(2-ヒドロキシエトキシ)カルボニルエチル基、2-(2-ヒドロキシエトキシ)カルボニルプロピル基、2-(4-ヒドロキシブトキシ)カルボニルエチル基、2-[[4-(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン-1-イル]メトキシ]カルボニルエチル基が挙げられる。
カルボキシ基含有基の具体例としては、これらに限定されるものではないが、カルボキシ基、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基が挙げられる。
酸ハライド含有基の具体例としては、これらに限定されるものではないが、酸クロリド、酸ブロミド、塩化カルボニルメチル基、ブロモ化カルボニルメチル基が挙げられる。
重合反応性基としては、カーボネート結合及びポリエステル結合のいずれか一方又は両方を有する熱可塑性樹脂のモノマーとしての有用性から、ヒドロキシ基含有基、エステル基、カルボキシ基含有基、ヒドロキシエステル基が好ましい。
ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエステルカーボネート等の熱可塑性樹脂に幅広く使用可能であることから、ヒドロキシ基がより好ましい。
カーボネート結合及びポリエステル結合のいずれか一方又は両方を有する熱可塑性樹脂に適度な柔軟性と流動性を付与するという観点では、ヒドロキシエステル基がより好ましい。工業的に安価に製造可能であることから、2-ヒドロキシエトキシカルボニル基がさらに好ましい。ポリエステル、ポリエステルカーボネート等の熱可塑性樹脂製造時の重合反応性の観点では、フェノキシカルボニル基がさらに好ましい。
重合反応性が良好で溶液重合、界面重合など比較的簡易な設備で熱可塑性樹脂を得ることができるという観点では、酸クロリド含有基が好ましく、工業的に安価に製造可能な酸クロリド、酸ブロミドがさらに好ましい。
及びBは同一であっても異なっていてもよい。異なっている場合のB及びBの組み合わせとしては、例えば、ヒドロキシメチル基とエトキシカルボニル基;2-(2-ヒドロキシエトキシ)カルボニル基とカルボキシル基;2-(2-ヒドロキシエトキシ)カルボニルエチル基とカルボキシルエチル基;等の組み合わせが挙げられる。
化合物(f)の製造を短工程で実施できる傾向があることから、B及びBが同一であることが好ましい。
化合物(f)は、種々の熱可塑性樹脂のモノマーとして用いることができるが、重合反応性基は、B及びBの2か所のみであることが好ましい。すなわち、種々の熱可塑性樹脂を製造するための重合条件で重合反応性基として働くような置換基は、(LO)又は(LO)が結合していない1~6、8~13の置換位置番号上には含まれないことが好ましい。
好ましい一実施形態において、式(f)中のB及びBはヒドロキシ基である。B及びBがヒドロキシ基である化合物(f)は、下記の化合物(f1)である。化合物(f1)は光学性能が良好であり、好ましい熱可塑性樹脂であるポリエステル、ポリカーボネート及びポリエステルカーボネートに共通に使用できるモノマー(ジヒドロキシ化合物の一例)である。
Figure 0007416196000019
ただし、L及びLはそれぞれ独立に、置換されていてもよい炭素数1~10のアルキレン基、置換されていてもよい炭素数4~10のアリーレン基、又は置換されていてもよい炭素数6~12のアラルキレン基を示し;
mは0~4の整数を示し;
nは0~4の整数を示し;
(LO)は置換位置番号1~6の炭素原子のいずれか1つに結合し;
(LO)は置換位置番号8~13の炭素原子のいずれか1つに結合し;
置換位置番号1~6、8~13の炭素原子のうち(LO)又は(LO)が結合していない炭素原子にはそれぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよい炭素数1~10のアルキル基、置換されていてもよい炭素数3~14のアリール基、置換されていてもよい炭素数1~10のアシル基、置換されていてもよい炭素数1~10のアルコキシ基、置換されていてもよい炭素数3~14のアリールオキシ基、置換されていてもよい炭素数1~10のアシルオキシ基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよい炭素数2~10のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数2~10のアルキニル基、置換基を有するケイ素原子、ハロゲン原子、ニトロ基又はシアノ基が結合している。
式(f1)中、L、L、m、n、任意の置換基の具体例及び好ましい態様は上記と同様である。
式(f1)において、置換位置番号1~6、8~13の炭素原子のうち(LO)又は(LO)が結合していない炭素原子には水素原子が結合していることが好ましい。
他の好ましい一実施形態において、式(f)中のB及びBはエステル基である。B及びBがエステル基である化合物(f)は、光学性能が良好のため好ましい熱可塑性樹脂であるポリエステル及びポリエステルカーボネートに共通に使用できるモノマー(ジエステル化合物)である。
工業的に入手可能なアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチルを用いて容易に導入できる点では、エステル基として、2-(メトキシカルボニル)エチル基、2-(エトキシカルボニル)エチル基、2-(メトキシカルボニル)プロピル基が好ましい。
エステル基の活性が向上し、エステル交換反応が容易に進行するため、ジエステル化合物とジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルを同一条件下で反応させ、好ましい熱可塑性樹脂であるポリエステルカーボネートを1段階で合成することができる点では、エステル基としてフェノキシカルボニルアルキル基が好ましい。特に、2-(フェノキシカルボニル)メチル基、2-(フェノキシカルボニル)エチル基、2-(フェノキシカルボニル)プロピル基は、2-ブロモ酢酸フェニル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸フェニルを用いた導入法;2-ブロモ酢酸エステル、2-クロロ酢酸エステル、2-ヨード酢酸エステル、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類からのエステル交換による導入法が可能なため、特に好ましい。
及びBがエステル基である化合物(f)は、例えば下記の化合物(f2)である。
Figure 0007416196000020
ただし、B及びBはそれぞれ独立に、ヒドロキシ基、炭素数1~10の有機置換基又はハロゲン原子を示し、
及びLはそれぞれ独立に、置換されていてもよい炭素数1~10のアルキレン基、置換されていてもよい炭素数4~10のアリーレン基、又は置換されていてもよい炭素数6~12のアラルキレン基を示し;
mは0~4の整数を示し;
nは0~4の整数を示し;
(LO)は置換位置番号1~6の炭素原子のいずれか1つに結合し;
(LO)は置換位置番号8~13の炭素原子のいずれか1つに結合し;
置換位置番号1~6、8~13の炭素原子のうち(LO)又は(LO)が結合していない炭素原子にはそれぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよい炭素数1~10のアルキル基、置換されていてもよい炭素数3~14のアリール基、置換されていてもよい炭素数1~10のアシル基、置換されていてもよい炭素数1~10のアルコキシ基、置換されていてもよい炭素数3~14のアリールオキシ基、置換されていてもよい炭素数1~10のアシルオキシ基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよい炭素数2~10のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数2~10のアルキニル基、置換基を有するケイ素原子、ハロゲン原子、ニトロ基又はシアノ基が結合している。
式(f2)中、L、L、m、n、任意の置換基の具体例及び好ましい態様は上記と同様である。
式(f2)において、置換位置番号1~6、8~13の炭素原子のうち(LO)又は(LO)が結合していない炭素原子には水素原子が結合していることが好ましい。
及びBにおいて、炭素数1~10の有機置換基の具体例としては、これらに限定されるものではないが、メトキシ基、エトキシ基、n-プロピルオキシ基、n-ブチルオキシ基、n-ペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ、n-デシルオキシ等の直鎖状のアルキルオキシ基;イソプロピルオキシ基、2-メチルプロピルオキシ基、2,2-ジメチルプロピルオキシ基、2-エチルヘキシルオキシ基等の分岐鎖を含むアルキルオキシ基;シクロプロピルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロオクチルオキシ基等の環状のアルキルオキシ基;フェノキシ基、1-ナフチルオキシ基、2-ナフチルオキシ基、2-ピリジルオキシ基、2-フリルオキシ基等のアリールオキシ基;ベンジルオキシ基、2-フェニルエトキシ基、p-メトキシベンジルオキシ基等のアラルキルオキシ基が挙げられる。
ハロゲン原子の具体例としては、これらに限定されるものではないが、塩素原子、臭素原子が挙げられる。
ジヒドロキシ化合物とのエステル交換で生じる低沸点のアルコールを除去することでポリエステル及びポリエステルカーボネートを効率的に合成できる点では、B及びBがメトキシ基又はエトキシ基であることが好ましい。
エステル交換反応が容易に進行するためジエステル化合物とジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを一括添加で反応器に仕込むことで、好ましい重合体であるポリエステルカーボネートを1段階で合成することができる点では、B及びBがアリールオキシ基であることが好ましい。特に、分子量が小さく、ポリエステルカーボネート合成後、フェノールとして留去できるフェノキシ基が特に好ましい。
後述する熱可塑性樹脂の製造方法においてB及びBがアリールオキシ基である化合物を用いる場合、重合時の反応性の観点から、炭酸ジエステルとして後述のジアリールカーボネート類を用いることが好ましく、副生物を容易に除去できるとの観点からは、B及びBのアリールオキシ基と、ジアリールカーボネート類におけるアリールオキシ基とが同じであることがより好ましい。
他の好ましい一実施形態において、式(f)中のB及びBはヒドロキシエステル基である。B及びBがヒドロキシエステル基である化合物(f)は、光学性能が良好のため好ましい熱可塑性樹脂であるポリエステル及びポリエステルカーボネートに共通に使用できるモノマーである。
及びBがヒドロキシエステル基である化合物(f)は、例えば下記の化合物(f3)である。
Figure 0007416196000021
ただし、B、B、L及びLはそれぞれ独立に、置換されていてもよい炭素数1~10のアルキレン基、置換されていてもよい炭素数4~10のアリーレン基、又は置換されていてもよい炭素数6~12のアラルキレン基を示し;
mは0~4の整数を示し;
nは0~4の整数を示し;
(LO)は置換位置番号1~6の炭素原子のいずれか1つに結合し;
(LO)は置換位置番号8~13の炭素原子のいずれか1つに結合し;
置換位置番号1~6、8~13の炭素原子のうち(LO)又は(LO)が結合していない炭素原子にはそれぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよい炭素数1~10のアルキル基、置換されていてもよい炭素数3~14のアリール基、置換されていてもよい炭素数1~10のアシル基、置換されていてもよい炭素数1~10のアルコキシ基、置換されていてもよい炭素数3~14のアリールオキシ基、置換されていてもよい炭素数1~10のアシルオキシ基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよい炭素数2~10のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数2~10のアルキニル基、置換基を有するケイ素原子、ハロゲン原子、ニトロ基又はシアノ基が結合している。
式(f3)中、L、L、m、n、任意の置換基の具体例及び好ましい態様は上記と同様である。
及びBにおける「置換されていてもよい炭素数1~10のアルキレン基」、「置換されていてもよい炭素数4~10のアリーレン基」、「置換されていてもよい炭素数6~12のアラルキレン基」はそれぞれ、L及びLにおけるそれらと同様である。
式(f3)において、置換位置番号1~6、8~13の炭素原子のうち(LO)又は(LO)が結合していない炭素原子には水素原子が結合していることが好ましい。
(化合物(f)の具体例)
化合物(f)の具体例としては、下記[I-1]~[I-5]群に示される化合物が挙げられる。[I-1]~[I-5]群の化合物において、Phはフェニル基を示し、Meはメチル基を示し、Etはエチル基を示し、Clはクロロ基を示し、Brはブロモ基を示す。
Figure 0007416196000022
Figure 0007416196000023
Figure 0007416196000024
Figure 0007416196000025
Figure 0007416196000026
上記[I-1]~[I-4]群に示される化合物のうち、ヒドロキシ基のβ位炭素原子に水素原子が結合していない化合物は、重合中にプロトン脱離によりオレフィンが生成することがないため耐熱性が高く好ましい。その中でもヒドロキシ基のβ位炭素原子に2個のメチル基が結合している下記構造式群の化合物は、安価原料調達の観点でも好ましい。
Figure 0007416196000027
高屈折率かつ安価原料調達の観点で下記構造式群の化合物が好ましい。
Figure 0007416196000028
高屈折率かつ安価原料調達、さらに低複屈折の観点で下記構造式群の化合物が最も好ましい。
Figure 0007416196000029
(化合物(f)の製造方法)
化合物(f)の製造方法は何ら限定されない。例えば、重合性反応基(B、B)がヒドロキシ基含有基である化合物(f1)の一例は、下記式に示される製造方法Aにより製造することができる。
Figure 0007416196000030
製造方法Aでは、化合物(D1a)と化合物(D1b)を直接結合させることで化合物(D2)を得る。続いて、前記化合物(D2)の2つのヒドロキシ基の一方に対し修飾基Pを導入することで化合物(D3)を得る。続いて、化合物(D3)を脱水閉環することで化合物(D4)を得る。続いて、化合物(D4)の修飾基Pを脱離させることで化合物(D5)を得る。そして、化合物(D5)のヒドロキシ基の延長を行うことで化合物(f1)を得る。
化合物(D1a)、化合物(D1b)はそれぞれ、置換されていてもよいジヒドロキシナフタレンであり、2つのヒドロキシ基の一方はナフタレン環の2位の炭素原子に結合し、他方は3位乃至8位の炭素原子のいずれか1つに結合している。ナフタレン環の3位乃至8位の炭素原子のうちヒドロキシ基が結合していない炭素原子には、それぞれ独立に、水素原子、又は任意の置換基(置換されていてもよい炭素数1~10のアルキル基、置換されていてもよい炭素数3~14のアリール基、置換されていてもよい炭素数1~10のアシル基、置換されていてもよい炭素数1~10のアルコキシ基、置換されていてもよい炭素数3~14のアリールオキシ基、置換されていてもよい炭素数1~10のアシルオキシ基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよい炭素数2~10のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数2~10のアルキニル基、置換基を有するケイ素原子、ハロゲン原子、ニトロ基又はシアノ基)が結合している。ナフタレン環の1位の炭素原子には水素原子が結合している。
化合物(D1a)と化合物(D1b)とは同一でも異なっていてもよい。
化合物(D1a)と化合物(D1b)を直接結合する方法としては、例えば、酸化剤の存在下で化合物(D1a)と化合物(D1b)とを反応(酸化カップリング)させる方法が挙げられる。
酸化剤としては、例えば塩化鉄(III)、硫酸銅(II)、ペルオキソ二硫酸カリウム、銅(II)アセチルアセトナート、塩化銅(II)、過酸化水素、ジ-tertブチルペルオキシドが挙げられる。
酸化剤の使用量は、例えば化合物(D1a)と化合物(D1b)との合計1モルに対して0.1~5.0モルである。反応温度は、例えば0~120℃である。反応時間は、例えば0.5~12時間である。反応は、水、イソプロパノール等の溶媒の存在下で行うことができる。
反応後、必要に応じて、反応生成物を精製する。精製方法としては、抽出、濃縮、カラムクロマトグラフィー、ろ過、洗浄等の種々の精製方法を適宜採用できる。
修飾基Pは、ヒドロキシ基の保護基として機能すれば特に限定されない。例えばメチル基、アセチル基、ベンジル基、ピバロイル基、トシル基が挙げられる。
化合物(D2)の2つのヒドロキシ基の一方、具体的にはナフタレン環の3位乃至8位の炭素原子に結合しているヒドロキシ基に対し修飾基Pを導入する方法としては、例えば、修飾基Pがメチル基の場合は、硫酸の存在下で化合物(D2)とメタノールとを反応させる方法が挙げられる。
硫酸の使用量は、例えば化合物(D2)1モルに対して0.001~5.0モルである。反応温度は、例えば0~150℃である。反応時間は、例えば1~200時間である。
反応後、必要に応じて、反応生成物を精製する。
化合物(D3)を脱水閉環する方法としては、例えば、有機溶剤中、パラトルエンスルホン酸の存在下で化合物(D3)を加熱する方法が挙げられる。
有機溶剤としては、例えばトルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、クロロベンゼン、テトラリン、オルトジクロロベンゼンが挙げられる。
パラトルエンスルホン酸の使用量は、例えば化合物(D3)1モルに対して0.01~5モルである。加熱温度は、例えば0~200℃である。加熱時間は、例えば1~200時間である。
反応後、必要に応じて、反応生成物を精製する。
化合物(D4)の修飾基Pを脱離させる方法としては、修飾基Pの種類に応じて変更すればよく、種々の脱保護方法を適宜採用できる。
例えば修飾基Pがメチル基である場合、三臭化ホウ素等の強酸により脱離させることができる。このときの反応温度は、例えば-100~100℃である。反応時間は、例えば1~100時間である。
反応後、必要に応じて、反応生成物を精製する。
化合物(D5)のヒドロキシ基の延長方法としては、例えば、炭酸カリウムの存在下で化合物(D5)とアルキレンカーボネート(エチレンカーボネート等)とを反応させる方法が挙げられる。この場合、L及びLがアルキレン基である化合物(f1)が得られる。
炭酸カリウムの使用量は、例えば化合物(D5)1モルに対して0.01~5.0モルである。反応温度は、例えば0~180℃である。反応時間は、例えば0.5~200時間である。反応は、ジメチルホルムアミド等の溶媒の存在下で行うことができる。
反応後、必要に応じて、反応生成物を精製する。
及びLがアリーレン基である化合物(f1)は、例えば、化合物(D2)のナフタレン環の3位乃至8位の炭素原子に結合したヒドロキシ基とジヒドロキシベンゼンとを酸で反応させたのち、閉環することで得られる。
及びLがアラルキレン基である化合物(f1)は、例えば、化合物(D5)のヒドロキシ基の延長に際し、(ブロモメチル)ベンジルアルコールと塩基を使用することで得られる。
化合物(D5)のヒドロキシ基の延長に際し、ブロモ酢酸アルキル、クロロ酢酸アルキルと塩基を使用することで、重合性反応基(B、B)がエステル基である化合物(f2)の一例を得ることができる。
化合物(D1a)、(D1b)の替りに下記の化合物(D1a’)、(D1b’)を用いて直接結合をさせた後に、化合物(D5)の合成と同様の工程を経ることで、化合物(f2)の一例を得ることもできる。
また、化合物(f2)のエステル基に対しエチレングリコール等と縮合させることで、重合性反応基(B、B)がヒドロキシエステル基である化合物(f3)の一例を得ることができる。
Figure 0007416196000031
(化合物(f)の作用効果)
化合物(f)によれば、カーボネート結合及びポリエステル結合のいずれか一方又は両方を有する熱可塑性樹脂のモノマーとして用いたときに、高屈折率で、成形加工性が良好であり、金型を腐食する懸念のない熱可塑性樹脂が得られる。
上記した特許文献2で用いられているジナフトチオフェン骨格のモノマーを使用した場合、屈折率1.655、ガラス転移温度144℃と成形加工性が良好と考えられるガラス転移温度を維持したまま高屈折率化が達成される。ジナフトチオフェン骨格の屈折率が高い要因としては、分極率の高い硫黄原子を含有していること、縮環し拡張された共役構造を有していることが考えられる。拡張された共役構造を有しているにもかかわらずガラス転移温度が低い要因としては、ナフタレン環同士の立体障害によりチオフェンとナフタレン環同一平面上にないため、樹脂中の芳香環同士の相互作用が阻害されていることが考えられる。しかし、本発明者らの検討により、ジナフトチオフェン骨格を含有する樹脂は、成形温度付近で二酸化硫黄が発生することが明らかになった。この二酸化硫黄はジナフトチオフェン骨格に含まれる硫黄原子由来と推測される。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、下記の式で示されるジナフト[2,1-b:1’,2’-d]フラン(以下、便宜上、単に「ジナフトフラン」と称する。)骨格を樹脂中に導入することで、高屈折率と成形加工性とを両立できることを見出した。ここで、式中の数字は置換位置番号である。
Figure 0007416196000032
上記のとおり、分極率の高い硫黄原子を含有していることが、ジナフトチオフェン骨格の屈折率が高い要因として考えられるところ、ジナフトフラン骨格は、驚くべきことに、硫黄原子がそれよりも分極率の低い酸素原子となっているにも関わらず、ジナフトチオフェン骨格同様に非常に高い屈折率を示した。
ジナフトチオフェン骨格はその骨格内の硫黄原子が大きいためにチオフェン環とナフタレン環が大きく歪んでいる。一方、ジナフトフラン骨格は硫黄原子の代わりに、より原子サイズが小さい酸素原子を含有している。そのため、フラン環とナフタレン環の歪みが抑制されることで、ジナフトフラン骨格がジナフトチオフェンよりも拡張した共役構造を有し、これによりジナフトフラン骨格がジナフトチオフェン骨格同様高い屈折率を示したと考えられる。
本発明者らが検討した結果、ジナフトフラン骨格はジナフトチオフェン骨格と比較して長波長側の吸光係数が上昇していることが明らかとなった。このことは上記考察を支持する(図1参照)。
さらにジナフトフラン骨格はジナフトチオフェン骨格よりも歪みが抑制されていると考えられるにも関わらず、ジナフトフラン骨格を含有する樹脂は低いガラス転移温度を示し、良好な成形加工性を示した。これは、ジナフトフラン骨格に(LO)又は(LO)が結合していることによると考えられる。
<熱可塑性樹脂>
本開示の一態様に係る熱可塑性樹脂は、複数の2価の構造単位(以下、単に「構造単位」とも記す。)が2価の連結基(以下、単に「連結基」とも記す。)を介して連結された構造を含む。複数の構造単位のうち末端に位置する単位に連結基が結合していてもよく、重合反応性基が結合していてもよい。
複数の構造単位の少なくとも一部は構造単位(1)である。
屈折率とガラス転移温度とのバランスを取り、高屈折率と成形加工性とを両立しやすい観点では、複数の構造単位が構造単位(1)と、構造単位(2)~(8)からなる群より選ばれる少なくとも一種とを含むことが好ましい。
好ましい一実施形態において、複数の2価の構造単位の少なくとも一部は構造単位(1);ならびに、構造単位(2)、構造単位(3)、構造単位(4)、構造単位(5)、構造単位(6)、構造単位(7)及び構造単位(8)からなる群から選ばれる少なくとも一種以上である。
複数の構造単位は、本発明の特性を損なわない程度に、構造単位(1)~(8)以外の他の構造単位をさらに含んでいてもよい。
構造単位(1)~(8)及び他の構造単位については後で詳しく説明する。
連結基の少なくとも一部はカーボネート結合(-O-C(=O)-O-)又はエステル結合(-O-C(=O)-)である。
熱可塑性樹脂中に複数の連結基が存在する場合、カーボネート結合である連結基とエステル結合である連結基とが併存していてもよい。連結基の一部が、カーボネート結合及びエステル結合以外の他の結合であってもよい。他の結合としては、アミド結合、ホスホネート結合、スルホン結合等が挙げられる。
熱可塑性樹脂を安価かつ容易に合成できるといった観点から、熱可塑性樹脂中の連結基は全て、カーボネート結合又はエステル結合のいずれかであることが好ましい。耐加水分解性に優れているといった観点から、カーボネート結合であることがより好ましく、熱可塑性樹脂中の連結基が全てカーボネート結合であることが特に好ましい。
連結基がエステル結合のように非対称である場合、連結基は、隣接する2つの構造単位を任意の向きで連結してよい。
熱可塑性樹脂の一例として、下記式(X)で表される繰り返し単位を有する熱可塑性樹脂が挙げられる。
Figure 0007416196000033
ただし、Qはジヒドロキシ化合物に基づく構造単位を示し、Qはジカルボン酸化合物に基づく構造単位を示し、aは0又は1を示す。
「ジヒドロキシ化合物に基づく構造単位」は、ヒドロキシ基を2つ有するジヒドロキシ化合物から2個のヒドロキシ基を除いた部分である。
「ジカルボン酸化合物に基づく構造単位」は、カルボキシル基を2つ有するジカルボン酸化合物又はそのエステル形成性誘導体(エステル等)から2個の官能基を除いた部分である。ジカルボン酸化合物の2個の官能基は、典型的には、-C(=O)-Xで表される。ここで、XはOH、OX又はハロゲン原子を示し;Xは炭素数1~10の有機置換基を示す。
式(X)で表される繰り返し単位を有する熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエステルカーボネートが挙げられる。ポリカーボネートの場合、aは0である。ポリエステルの場合、aは1である。ポリエステルカーボネートの場合、aが0の繰り返し単位とaが1の繰り返し単位とを有する。
上記式(X)で表される繰り返し単位を有する熱可塑性樹脂において、式(X)で表される繰り返し単位の少なくとも一部は、Q及びQの少なくとも一方が構造単位(1)である繰り返し単位である。
熱可塑性樹脂が、少なくとも一部が化合物(f1)であるジヒドロキシ化合物を用いて得られたポリカーボネート、ポリエステル又はポリエステルカーボネートである場合、式(X)で表される繰り返し単位の少なくとも一部においてQが構造単位(1)である。この場合において、さらに式(X)中のaが1である場合、Qは、構造単位(1)~(8)のいずれでもよく、他の構造単位でもよい。
熱可塑性樹脂が、少なくとも一部が化合物(f2)又は化合物(f3)であるジカルボン酸化合物を用いて得られたポリエステル又はポリエステルカーボネートである場合、式(X)で表される繰り返し単位の少なくとも一部において、Qが構造単位(1)である。この場合において、Qは、構造単位(1)~(8)のいずれでもよく、他の構造単位でもよい。
このように本開示の熱可塑性樹脂においては、化合物(f)に基づく構造単位は、Q(ジヒドロキシ化合物に基づく構造単位)にも、Q(ジカルボン酸化合物に基づく構造単位)にもなり得る。
熱可塑性樹脂は、式(X)中のQ、a及びQのいずれか1以上が互いに異なる複数種の繰り返し単位を有していてもよい。
(構造単位(1))
構造単位(1)は、下記式(1)で表される。
Figure 0007416196000034
ただし、L及びLはそれぞれ独立に、置換されていてもよい炭素数1~10のアルキレン基、置換されていてもよい炭素数4~10のアリーレン基、又は置換されていてもよい炭素数6~12のアラルキレン基を示し;
mは0~4の整数を示し;
nは0~4の整数を示し;
(LO)は置換位置番号1~6の炭素原子のいずれか1つに結合し;
(LO)は置換位置番号8~13の炭素原子のいずれか1つに結合し;
置換位置番号1~6、8~13の炭素原子のうち(LO)又は(LO)が結合していない炭素原子には、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよい炭素数1~10のアルキル基、置換されていてもよい炭素数3~14のアリール基、置換されていてもよい炭素数1~10のアシル基、置換されていてもよい炭素数1~10のアルコキシ基、置換されていてもよい炭素数3~14のアリールオキシ基、置換されていてもよい炭素数1~10のアシルオキシ基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよい炭素数2~10のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数2~10のアルキニル基、置換基を有するケイ素原子、ハロゲン原子、ニトロ基又はシアノ基が結合している。
式(1)中、L、L、m、n、任意の置換基の具体例及び好ましい態様は、化合物(f)と同様である。
構造単位(1)の具体例としては、下記[J-1]~[J-3]群に示されるような構造単位が挙げられる。
Figure 0007416196000035
Figure 0007416196000036
Figure 0007416196000037
上記の中で、合成容易性と高い屈折率のバランスの観点から、下記[K]群に示されるような構造単位が好ましい。
Figure 0007416196000038
上記の中で、高い屈折率の観点から、下記[M]群に示されるような構造単位が好ましい。
Figure 0007416196000039
上記の中で、安価原料調達と合成容易性の観点から、下記[N]群に示されるような構造単位が好ましい。
Figure 0007416196000040
安価原料調達と低複屈折の観点で下記構造単位が最も好ましい。
Figure 0007416196000041
構造単位(1)を有する熱可塑性樹脂は、例えば、本開示の化合物(f)の重合反応等により製造できる。
(構造単位(2))
構造単位(2)は下記式(2)で表される。
高屈折率かつ成形加工性が良好と考えられる好ましいガラス転移温度のバランスを調節する観点、安価原料調達の観点から、熱可塑性樹脂は構造単位(2)を含むことが好ましい。
Figure 0007416196000042
ただし、Rは直接結合、酸素原子、又は炭素数1~40の置換されていてもよいアルキレン基を示し;
~Rはそれぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよい炭素数1~10のアルキル基、置換されていてもよい炭素数3~14のアリール基、置換されていてもよい炭素数1~10のアシル基、置換されていてもよい炭素数1~10のアルコキシ基、置換されていてもよい炭素数3~14のアリールオキシ基、置換されていてもよい炭素数1~10のアシルオキシ基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよい炭素数2~10のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数2~10のアルキニル基、置換基を有するケイ素原子、ハロゲン原子、ニトロ基又はシアノ基を示し;
及びLはそれぞれ独立に、置換されていてもよい炭素数1~10のアルキレン基、置換されていてもよい炭素数4~10のアリーレン基、又は置換されていてもよい炭素数6~12のアラルキレン基を示し;oは0~4の整数を示し;pは0~4の整数を示す。
高屈折率と合成容易性の観点から、L及びLはそれぞれ独立に、置換されていてもよい炭素数1~4のアルキレン基が好ましく、エチレン基がより好ましい。
高屈折率と合成容易性の観点から、o及びpはそれぞれ独立に0又は1が好ましい。
合成容易性の観点から、構造単位(2)は下記式(2-1)で表されることが好ましい。
Figure 0007416196000043
ただし、Rは直接結合、酸素原子、又は炭素数1~40の置換されていてもよいアルキレン基を示し;
、R、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよい炭素数1~10のアルキル基、置換されていてもよい炭素数3~14のアリール基、置換されていてもよい炭素数1~10のアシル基、置換されていてもよい炭素数1~10のアルコキシ基、置換されていてもよい炭素数3~14のアリールオキシ基、置換されていてもよい炭素数1~10のアシルオキシ基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよい炭素数2~10のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数2~10のアルキニル基、置換基を有するケイ素原子、ハロゲン原子、ニトロ基又はシアノ基を示し;
及びLはそれぞれ独立に、置換されていてもよい炭素数1~10のアルキレン基を示し;oは0又は1を示し;pは0又は1を示す。
合成容易性の観点から、構造単位(2)は、対称構造である下記式(2-2)で表されることが好ましい。
Figure 0007416196000044
ただし、Rは直接結合、酸素原子、又は炭素数1~40の置換されていてもよいアルキレン基を示し、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよい炭素数1~10のアルキル基、置換されていてもよい炭素数3~14のアリール基、置換されていてもよい炭素数1~10のアシル基、置換されていてもよい炭素数1~10のアルコキシ基、置換されていてもよい炭素数3~14のアリールオキシ基、置換されていてもよい炭素数1~10のアシルオキシ基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよい炭素数2~10のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数2~10のアルキニル基、置換基を有するケイ素原子、ハロゲン原子、ニトロ基又はシアノ基を示し;
及びLはそれぞれ独立に、置換されていてもよい炭素数1~10のアルキレン基を示し;oは0又は1を示し;pは0又は1を示す。
安価原料調達と高い屈折率の観点から、構造単位(2)は、下記式(2-3)で表されることが好ましい。
Figure 0007416196000045
ただし、Rは直接結合、酸素原子、又は炭素数1~40の置換されていてもよいアルキレン基を示し;
は水素原子、置換されていてもよい炭素数1~4のアルキル基を示し;
及びLはそれぞれ独立に、置換されていてもよい炭素数1~10のアルキレン基を示し;oは0又は1を示し;pは0又は1を示す。
上記式(2-3)中のL又はLのアルキレン基が長くなると屈折率が下がる傾向にあるため、о及びpが0であること;о又はpが1であり、L又はLが炭素数1~2のアルキレン基であること;が好ましい。合成容易性の観点から、アルキレン基の炭素数は2であることが特に好ましい。
高屈折率の観点からは、上記式(2-3)中のRとしては、直接結合、酸素原子が好ましい。
合成容易性と成型加工性が良好と考えられる好ましいガラス転移温度に調節する観点からは、上記式(2-3)中のRとしては、メチレン基、炭素数2~40のアルキルメチレン基、炭素数3~40のジアルキルメチレン基が好ましく、炭素数2~40のアルキルメチレン基がより好ましい。
高屈折率の観点からは、上記式(2-3)中のRはメチレン基であることがより好ましい。
合成容易性と成形加工性が良好と考えられる好ましいガラス転移温度に調節する観点から、上記式(2-3)中のRは炭素数2~40のアルキルメチレン基であることがより好ましい。より安価原料調達の観点から、アルキルメチレン基の炭素数は2~4であることが好ましい。成形性向上の観点からは、アルキルメチレン基の炭素数は3以上が好ましく、10以上がより好ましく、12以上が更に好ましい。屈折率の観点から、アルキルメチレン基の炭素数は40以下が好ましく、炭素数30以下がより好ましく、20以下がさらに好ましい。成形性加工性向上と屈折率のバランスの観点からは、アルキルメチレン基の炭素数は7~15が好ましい。
熱安定性の観点から、上記式(2-3)中のRは炭素数3~40のジアルキルメチレン基であることが好ましい。成形加工性の観点から、ジアルキルメチレン基の炭素数は5以上が好ましく、10以上がより好ましく、20以上がさらに好ましい。屈折率の観点から、ジアルキルメチレン基の炭素数は40以下が好ましく、30以下がより好ましく、20以下がさらに好ましい。合成容易性の観点からは、ジアルキルメチレン基の炭素数は3~10が好ましい。
高屈折率の観点から、上記式(2-3)中のRは水素原子であることが好ましい。
安価原料調達と成形加工性が良好であるガラス転移温度の観点から、上記式(2-3)中のRはメチル基であることが好ましい。
高屈折率の観点から、上記式(2-3)中のo及びpは0であることが好ましい。
成形加工性が良好と考えられる好ましいガラス転移温度の観点から、上記式(2-3)中のo及びpは1であることが好ましい。
構造単位(2)の具体例としては、下記[О]群に示されるような構造単位が挙げられる。
Figure 0007416196000046
これらの中でも下記[P]群に示されるような構造単位が好ましい。
Figure 0007416196000047
構造単位(2)を有する熱可塑性樹脂は、例えば、下記式(g)で表されるモノマーの重合反応等により製造できる。
Figure 0007416196000048
ただし、式(g)中のR~R、L、L、o及びpはそれぞれ上記式(2)中のR~R、L、L、o及びpと同じである。
式(g)で表されるモノマーの具体例としては下記のものが挙げられる。
Figure 0007416196000049
下記モノマーは高い屈折率を与え、成型加工性が良好と考えられるガラス転移温度を有するために、後述する構造単位(8)と組み合わせて使用することで、構造単位(8)を単体で使用するときと比較し、屈折率を大きく損なうことなく、ガラス転移温度を低下させ成形加工性を向上することができるため好ましい。これらの構造単位を含む熱可塑性樹脂は構造単位(1)を含まなくてもよい。
Figure 0007416196000050
(構造単位(3))
構造単位(3)は下記式(3)で表される。
構造単位(3)は軸不斉構造を持ち、分子骨格中に密に芳香環を有するため高屈折率である。また、構造単位(3)は、芳香環同士の相互作用が阻害されるため、ガラス転移温度が低く成形加工性に優れる。高屈折率かつ成形加工性が良好と考えられる好ましいガラス転移温度に調節する観点から、熱可塑性樹脂は構造単位(3)を含むことが好ましい。
Figure 0007416196000051
ただし、R10~R21は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよい炭素数1~10のアルキル基、置換されていてもよい炭素数3~14のアリール基、置換されていてもよい炭素数1~10のアシル基、置換されていてもよい炭素数1~10のアルコキシ基、置換されていてもよい炭素数3~14のアリールオキシ基、置換されていてもよい炭素数1~10のアシルオキシ基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよい炭素数2~10のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数2~10のアルキニル基、置換基を有するケイ素原子、ハロゲン原子、ニトロ基又はシアノ基を示し;
及びLはそれぞれ独立に、置換されていてもよい炭素数1~10のアルキレン基、置換されていてもよい炭素数4~10のアリーレン基、又は置換されていてもよい炭素数6~12のアラルキレン基を示し;
qは0~4の整数を示し;rは0~4の整数を示す。
合成容易性及び安価合成の観点から、式(3)中のL及びLは、炭素数1~4のアルキレン基であることが好ましく、エチレン基であることがより好ましい。式(3)中のL及びLがエチレン基である構造単位は下記式(3-1)で表される。
Figure 0007416196000052
ただし、R10~R21は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよい炭素数1~10のアルキル基、置換されていてもよい炭素数3~14のアリール基、置換されていてもよい炭素数1~10のアシル基、置換されていてもよい炭素数1~10のアルコキシ基、置換されていてもよい炭素数3~14のアリールオキシ基、置換されていてもよい炭素数1~10のアシルオキシ基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよい炭素数2~10のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数2~10のアルキニル基、置換基を有するケイ素原子、ハロゲン原子、ニトロ基又はシアノ基を示し;
qは0~4の整数を示し;rは0~4の整数を示す。
合成容易性の観点から、構造単位(3)は、対称構造である下記式(3-2)で表されることがより好ましい。
Figure 0007416196000053
ただし、R10~R15はそれぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよい炭素数1~10のアルキル基、置換されていてもよい炭素数3~14のアリール基、置換されていてもよい炭素数1~10のアシル基、置換されていてもよい炭素数1~10のアルコキシ基、置換されていてもよい炭素数3~14のアリールオキシ基、置換されていてもよい炭素数1~10のアシルオキシ基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよい炭素数2~10のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数2~10のアルキニル基、置換基を有するケイ素原子、ハロゲン原子、ニトロ基又はシアノ基を示し;
qは0~4の整数を示し;rは0~4の整数を示す。
合成容易性と安価原料調達の観点から、構造単位(3)は、下記式(3-3)で表されることが好ましい。
Figure 0007416196000054
ただし、R10、R13及びR14はそれぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよい炭素数1~10のアルキル基、置換されていてもよい炭素数3~14のアリール基、置換されていてもよい炭素数1~10のアシル基、置換されていてもよい炭素数1~10のアルコキシ基、置換されていてもよい炭素数3~14のアリールオキシ基、置換されていてもよい炭素数1~10のアシルオキシ基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよい炭素数2~10のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数2~10のアルキニル基、置換基を有するケイ素原子、ハロゲン原子、ニトロ基又はシアノ基を示し;
qは0~4の整数を示し;
rは0~4の整数値を示す。
合成容易性の観点から、R10、R13及びR14のうち少なくとも一つは水素原子であることが好ましく、R10、R13、R14のうち少なくとも二つが水素原子であることがより好ましい。
安価原料調達と高屈折率の両立の観点から、R10、R13及びR14としては、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよい炭素数3~14のアリール基、置換されていてもよい炭素数1~10のアシル基、置換されていてもよい炭素数1~3のアルコキシ基、置換されていてもよい炭素数3~14のアリールオキシ基、置換されていてもよい炭素数1~10のアシルオキシ基、置換されていてもよいアミノ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基が好ましい。
着色耐性と高屈折率、合成容易性のバランスをとる観点から、R10、R13及びR14としては、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよい炭素数3~14のアリール基、置換されていてもよい炭素数1~3のアルコキシ基、置換されていてもよい炭素数3~14のアリールオキシ基、置換されていてもよい炭素数1~10のアシルオキシ基、シアノ基であることが好ましい。
構造単位(3)としては、着色耐性と高屈折率、合成容易性のバランスをとる観点から、下記[Q]群に示されるような構造単位が好ましい。
Figure 0007416196000055
上記の中でも、合成容易性と安価原料調達の観点から、下記[R]群に示されるような構造単位が好ましい。
Figure 0007416196000056
構造単位(3)を有する熱可塑性樹脂は、例えば、下記式(h)で表されるモノマーの重合反応等により製造できる。
Figure 0007416196000057
ただし、式(h)中のR10~R21、L、L、q及びrはそれぞれ上記式(3)中のR10~R21、L、L、q及びrと同じである。
式(h)で表されるモノマーの具体例としては下記のものが挙げられる。
Figure 0007416196000058
下記モノマーは高い屈折率と成型加工性が良好と考えられるガラス転移温度を有するために、後述する構造単位(8)と組み合わせて使用することで、構造単位(8)を単体で使用するときと比較し、屈折率を大きく損なうことなく、ガラス転移温度を低下させ成形加工性を向上することができるため好ましい。これらの構造単位を含む熱可塑性樹脂は構造単位(1)を含まなくてもよい。
Figure 0007416196000059
(構造単位(4))
構造単位(4)は下記式(4)で表される。
構造単位(4)はフルオレン骨格が主鎖に対し垂直に位置するため複屈折が小さく、成形加工性の観点で優れる。複屈折及び成形加工性の観点から、熱可塑性樹脂は構造単位(4)を含むことが好ましい。
Figure 0007416196000060
ただし、Vは置換されていてもよいアリーレン基を示し;
Vの置換基は、水素原子、置換されていてもよい炭素数1~10のアルキル基、置換されていてもよい炭素数3~14のアリール基、置換されていてもよい炭素数1~10のアシル基、置換されていてもよい炭素数1~10のアルコキシ基、置換されていてもよい炭素数3~14のアリールオキシ基、置換されていてもよい炭素数1~10のアシルオキシ基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよい炭素数2~10のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数2~10のアルキニル基、置換基を有するケイ素原子、ハロゲン原子、ニトロ基又はシアノ基であり;
及びLはそれぞれ独立に、置換されていてもよい炭素数1~10のアルキレン基、置換されていてもよい炭素数4~10のアリーレン基、又は置換されていてもよい炭素数6~12のアラルキレン基を示し;
sは0~4の整数を示し;tは0~4の整数を示す。
s及びtはそれぞれ独立に0~4の整数を示すが、高屈折率樹脂合成の観点から、0~3の整数が好ましく、0~2の整数がより好ましい。
成形加工性が良好と考えられる好ましいガラス転移温度に調節する観点、安価合成の観点から、s及びtは、それぞれ独立に0又は1が特に好ましい。
合成容易性と高屈折率樹脂合成の観点から、構造単位(4)は、下記式(4-1)で表されることが好ましい。
Figure 0007416196000061
ただし、Vは置換されてもよいフェニレン基又はナフチレン基であり;Vの置換基は水素原子、炭素数1~4のアルキル基、又は置換されていてもよい炭素数6~20のアリール基を示し;sは0又は1を示し;tは0又は1を示す。
合成容易性と成形加工性が良好と考えられる好ましいガラス転移温度に調節する観点から、構造単位(4)は、下記式(4-2)で表されることが好ましい。
合成容易性と屈折率の観点から、構造単位(4)は、下記式(4-3)で表されることが好ましい。
Figure 0007416196000062
ただし、R33は水素原子、メチル基又はフェニル基を示し;sは0又は1を示し;tは0又は1を示す。
Figure 0007416196000063
ただし、sは0又は1を示し;tは0又は1を示す。
構造単位(4)の具体例として、下記の構造単位が挙げられる。
Figure 0007416196000064
構造単位(4)を有する熱可塑性樹脂は、例えば、下記式(i)で表されるモノマーの重合反応等により製造できる。
Figure 0007416196000065
ただし、式(i)中のV、L、L、s及びtはそれぞれ上記式(4)中のV、L、L、s及びtと同じである。
式(i)で表されるモノマーの具体例としては下記のものが挙げられる。
Figure 0007416196000066
(構造単位(5))
構造単位(5)は下記式(5)で表される。
構造単位(5)は複屈折が負に大きいため、構造単位(5)を含む熱可塑性樹脂は、複屈折を小さくすることができ、成形加工性の観点で優れている。また、構造単位(5)は低光弾性係数であるため、構造単位(5)を含む熱可塑性樹脂は応力により位相差の変化が少なく、成形性及び信頼性の観点で好ましい。
Figure 0007416196000067
ただし、A~Aはそれぞれ独立に=CH-又は=N-を示し;
22、R23及びR24はそれぞれ独立に、直接結合、置換されていてもよい炭素数1~10のアルキレン基、置換されていてもよい炭素数4~10のアリーレン基、置換されていてもよい炭素数6~12のアラルキレン基、又は置換されていてもよい炭素数1~10のアルキレン基、置換されていてもよい炭素数4~10のアリーレン基からなる群から選ばれる2つ以上の基が、酸素原子、置換されていてよい窒素原子若しくはカルボニル基で連結された基を示し;
25~R32はそれぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよい炭素数1~10のアルキル基、置換されていてもよい炭素数3~14のアリール基、置換されていてもよい炭素数1~10のアシル基、置換されていてもよい炭素数1~10のアルコキシ基、置換されていてもよい炭素数3~14のアリールオキシ基、置換されていてもよい炭素数1~10のアシルオキシ基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよい炭素数2~10のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数2~10のアルキニル基、置換基を有するケイ素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、又はシアノ基を示し;
25~R32のうち隣接する少なくとも2つの基が互いに結合して環を形成していてもよく;
vは0~5の整数値を示す。
22、R23及びR24において、「置換されていてもよい炭素数4~10のアリーレン基」における「炭素数4~10のアリーレン基」の具体例としては、これらに限定されるものではないが、1,2-フェニレン基、1,3-フェニレン基、1,4-フェニレン基等のフェニレン基;1,5-ナフチレン基、2,6-ナフチレン基等のナフチレン基;2,5-ピリジレン基、2,4-フリレン基等のヘテロアリーレン基が挙げられる。
22、R23及びR24において、「置換されていてもよい炭素数6~12のアラルキレン基」における「炭素数6~10のアラルキレン基」としては、例えば、芳香環構造と、各々前記芳香環構造の任意の2箇所に結合した2つの直鎖状又は分岐状のアルキレン基とからなる基が挙げられる。芳香環構造は、ベンゼン環、ナフタレン環等の炭化水素環構造でもよく、フラン環、ピリジン環等の複素環構造でもよい。
炭素数6~10のアラルキレン基の具体例としては、これらに限定されるものではないが、下記[G]群に示されるものが挙げられる。
Figure 0007416196000068
合成容易性、安価原料調達の観点から、構造単位(5)は、下記一般式(5-1)で表されることが好ましい。
Figure 0007416196000069
ただし、A及びAはそれぞれ独立に=CH-又は=N-を示し;
22、R23及びR24はそれぞれ独立に、直接結合、置換されていてもよい炭素数1~10のアルキレン基、置換されていてもよい炭素数4~10のアリーレン基、置換されていてもよい炭素数6~12のアラルキレン基、又は、置換されていてもよい炭素数1~10のアルキレン基、置換されていてもよい炭素数4~10のアリーレン基及び置換されていてもよい炭素数6~12のアラルキレン基からなる群から選ばれる2つ以上の基が酸素原子、置換されていてよい窒素原子若しくはカルボニル基で連結された基を示し;
25~R32はそれぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよい炭素数1~10のアルキル基、置換されていてもよい炭素数3~14のアリール基、置換されていてもよい炭素数1~10のアシル基、置換されていてもよい炭素数1~10のアルコキシ基、置換されていてもよい炭素数3~14のアリールオキシ基、置換されていてもよい炭素数1~10のアシルオキシ基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよい炭素数2~10のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数2~10のアルキニル基、置換基を有するケイ素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、又はシアノ基を示し;
vは0~2の整数を示す。
22、R23及びR24はそれぞれ独立に、置換されていてもよい炭素数1~10のアルキレン基であることが好ましく、炭素数1~3のアルキレン基であることがより好ましい。
合成容易性、安価原料調達の観点から、構造単位(5)は、下記式(5-2)で表されることが好ましい。
Figure 0007416196000070
ただし、Aはそれぞれ独立に、=CH-又は=N-を示し;
22、R23及びR24はそれぞれ独立に、直接結合、又は置換されていてもよい炭素数1~3のアルキレン基を示し;
27、R28、R30及びR31はそれぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよい炭素数1~10のアルキル基、置換されていてもよい炭素数3~14のアリール基、置換されていてもよい炭素数1~10のアシル基、置換されていてもよい炭素数1~10のアルコキシ基、置換されていてもよい炭素数3~14のアリールオキシ基、置換されていてもよい炭素数1~10のアシルオキシ基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよい炭素数2~10のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数2~10のアルキニル基、置換基を有するケイ素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、又はシアノ基を示し;
vは0~2の整数を示す。
合成容易性、安価原料調達の観点から、構造単位(5)は下記式(5-3)で表されることが好ましい。
Figure 0007416196000071
ただし、R22、R23及びR24はそれぞれ独立に直接結合、メチレン基又はエチレン基を示す。
合成容易性と高屈折率樹脂合成の観点から、構造単位(5)は下記式(5-4)で表されることが好ましい。
Figure 0007416196000072
ただし、R22、R23及びR24はそれぞれ独立に直接結合、メチレン基又はエチレン基を示す。
高屈折率樹脂合成の観点から、構造単位(5)は下記式(5-5)で表されることが好ましい。
Figure 0007416196000073
ただし、R22、R23及びR24はそれぞれ独立に直接結合、メチレン基又はエチレン基を示す。
具体的な構造単位(5)としては下記の構造単位が安価原料調達の観点で好ましい。
Figure 0007416196000074
下記に示した構造群は、芳香環が密に導入されており、剛直骨格となるために低光弾性係数を示す。低光弾性係数の構造単位を含む熱可塑性樹脂は応力による位相差の変化が少なく、成形性及び信頼性の観点で好ましい。
Figure 0007416196000075
構造単位(5)を有する熱可塑性樹脂は、例えば、下記式(j)で表されるモノマーの重合反応等により製造できる。
Figure 0007416196000076
ただし、式(j)中のA~A、R22~R32及びvはそれぞれ上記式(5)中のA~A、R22~R32及びvと同じであり、J及びJはそれぞれ独立に、重合反応性基を示す。
及びJにおいて、重合反応性基の具体例としては、これらに限定されるものではないが、前記した式(f)中のB及びBにおける重合反応性基と同様のものが挙げられる。好ましい重合体であるポリエステル、ポリカーボネート、又はポリエステルカーボネートに使用できる観点で、ヒドロキシ基含有基、エステル基、又はヒドロキシエステル基、カルボキシ基含有基、酸ハライド含有基が好ましい。
及びJは同一であっても異なっていてもよい。異なっている場合のJ及びJの組み合わせとしては、例えば、ヒドロキシメチル基とエトキシカルボニル基、2-(2-ヒドロキシエトキシ)カルボニル基とカルボキシル基、2-(2-ヒドロキシエトキシ)カルボニルエチル基とカルボキシルエチル基等の組み合わせが挙げられる。
式(j)で表されるモノマーの製造を短工程で実施できる傾向があることから、J及びJが同一であることが好ましい。
式(j)で表されるモノマーは、2価のオリゴフルオレンを繰り返し単位として有する重合体の原料として用いることができるが、重合反応性基は、J及びJの2か所のみであることが好ましく、種々の樹脂組成物を製造するための重合条件で、重合反応性基として働くような置換基は、R25~R32には含まれないことが好ましい。
好ましい一実施形態において、式(j)中のJ及びJはヒドロキシ基である。J及びJがヒドロキシ基であるモノマーは、光学性能が良好のため好ましい熱可塑性樹脂であるポリエステル、ポリカーボネート及びポリエステルカーボネートに共通に使用できるモノマーである。J及びJがヒドロキシ基であるモノマーは下記式(j1)で表される。
Figure 0007416196000077
他の好ましい一実施形態において、式(j)中のJ及びJはエステル基である。J及びJがエステル基であるモノマーは、光学性能が良好のため好ましい熱可塑性樹脂であるポリエステル及びポリエステルカーボネートに共通に使用できる。
工業的に入手可能なアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチルを用いて容易に導入できる点では、エステル基としては、2-(メトキシカルボニル)エチル基、2-(エトキシカルボニル)エチル基、2-(メトキシカルボニル)プロピル基が好ましい。
エステル基の活性が向上し、エステル交換反応が容易に進行するため、ジエステル化合物とジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルを同一条件下で反応させ、好ましい熱可塑性樹脂であるポリエステルカーボネートを1段階で合成することができる点では、エステル基がフェノキシカルボニルアルキル基であることが好ましい。特に、2-(フェノキシカルボニル)メチル基、2-(フェノキシカルボニル)エチル基、2-(フェノキシカルボニル)プロピル基は、2-ブロモ酢酸フェニル、アクリル酸フェニル、及びメタクリル酸フェニルを用いた導入法;2-ブロモ酢酸エステル、2-クロロ酢酸エステル、2-ヨード酢酸エステル、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類からのエステル交換による導入法が可能なため、特に好ましい。
及びJがエステル基であるモノマーは、例えば下記式(j2)で表される。
Figure 0007416196000078
ただし、J及びJはそれぞれ独立に、炭素数1~10の有機置換基、又はハロゲン原子を示す。
及びJにおいて、炭素数1~10の有機置換基の具体例としては、これらに限定されるものではないが、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、n-ブトキシ基、n-ペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ、n-デシルオキシ等の直鎖状のアルキルオキシ基;イソプロピルオキシ基、2-メチルプロピルオキシ基、2,2-ジメチルプロピルオキシ基、2-エチルヘキシルオキシ基等の分岐鎖を含むアルキルオキシ基;シクロプロピルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロオクチルオキシ基等の環状のアルキルオキシ基;フェノキシ基、1-ナフチルオキシ基、2-ナフチルオキシ基等のアリールオキシ基;1-イミダゾイル基を含むヘテロアリール基:、2-ピリジルオキシ基、2-フリルオキシ基等のヘテロアリールオキシ基;ベンジルオキシ基、2-フェニルエトキシ基、p-メトキシベンジルオキシ基等のアラルキルオキシ基が挙げられる。
ハロゲン原子の具体例としては、これらに限定されるものではないが、塩素原子、臭素原子が挙げられる。
ジヒドロキシ化合物とのエステル交換で生じる低沸点のアルコールを除去することでポリエステル及びポリエステルカーボネートを効率的に合成できる点では、J及びJとしては、メチル基、エチル基が好ましい。
エステル交換反応が容易に進行するためジエステル化合物とジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを一括添加で反応器に仕込むことで、好ましい重合体であるポリエステルカーボネートを1段階で合成することができる点では、J及びJがアリール基であることが好ましい。特に、分子量が小さく、ポリエステルカーボネート合成後、フェノールとして留去できることから、フェニル基が特に好ましい。
後述する熱可塑性樹脂の製造方法においてJ及びJがアリール基である化合物を用いる場合、重合時の反応性の観点から、炭酸ジエステルとして後述のジアリールカーボネート類を用いることが好ましく、副生物を容易に除去できるとの観点からは、J及びJのアリール基と、ジアリールカーボネート類におけるアリール基とが同じであることがより好ましい。
重合反応性が良好で溶液重合、界面重合など比較的簡易な設備で熱可塑性樹脂を得ることができるという観点では、J及びJが酸クロリド含有基であることが好ましく、工業的に安価に製造可能なことから、酸クロリド、酸ブロミドがさらに好ましい。
式(j)で表されるモノマーの具体例としては下記のものが挙げられる。
Figure 0007416196000079
Figure 0007416196000080
Figure 0007416196000081
Figure 0007416196000082
(構造単位(6))
構造単位(6)は下記式(6)で表される。
安価原料調達の観点から、熱可塑性樹脂は構造単位(6)を含むことが好ましい。
Figure 0007416196000083
ただし、Kは、水素原子、置換されていてもよい炭素数1~10のアルキル基、置換されていてもよい炭素数3~14のアリール基、置換されていてもよい炭素数1~10のアシル基、置換されていてもよい炭素数1~10のアルコキシ基、置換されていてもよい炭素数3~14のアリールオキシ基、置換されていてもよい炭素数1~10のアシルオキシ基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよい炭素数2~10のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数2~10のアルキニル基、置換基を有するケイ素原子、ハロゲン原子、ニトロ基又はシアノ基を示し;
uは0~4の整数を示し;uが2以上である場合、各Kは同一でも異なっていてもよい。
安価合成の観点から、式(6)中のuは0~2の整数であることが好ましい。
安価原料調達の観点から、構造単位(6)は下記式(6-1)又は(6-2)で表されることが好ましい。
Figure 0007416196000084
構造単位(6)を有する熱可塑性樹脂は、例えば、下記式(k)で表されるモノマーの重合反応等により製造できる。
Figure 0007416196000085
ただし、式(k)中のK及びuはそれぞれ上記式(6)中のK及びuと同じであり、M及びMはそれぞれ独立に、置換されていてもよい炭素数1~10のアルキル基、水素原子、フェニル基、又はハロゲン原子である。
式(k)で表されるモノマーの具体例としては下記のものが挙げられる。
Figure 0007416196000086
(構造単位(7))
構造単位(7)は下記式(7)で表される。
安価原料調達と高屈折率樹脂合成の観点から、熱可塑性樹脂は構造単位(7)を含むことが好ましい。
Figure 0007416196000087
ただし、Kはそれぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよい炭素数1~10のアルキル基、置換されていてもよい炭素数3~14のアリール基、置換されていてもよい炭素数1~10のアシル基、置換されていてもよい炭素数1~10のアルコキシ基、置換されていてもよい炭素数3~14のアリールオキシ基、置換されていてもよい炭素数1~10のアシルオキシ基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよい炭素数2~10のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数2~10のアルキニル基、置換基を有するケイ素原子、ハロゲン原子、ニトロ基又はシアノ基を示し;
wは0~4の整数を示し;wが2以上である場合、各Kは同一であっても異なっていてもよい。
安価合成の観点から、式(7)中のwは0~2の整数であることが好ましい。
安価原料調達の観点から、構造単位(7)は下記式(7-1)又は(7-2)で表されることが好ましい。
Figure 0007416196000088
構造単位(7)を有する熱可塑性樹脂は、例えば、下記式(l)で表されるモノマーの重合反応等により製造できる。
Figure 0007416196000089
ただし、式(l)中のK及びwはそれぞれ上記式(7)中のK及びwと同じであり、N及びNはそれぞれ独立に、置換されていてもよい炭素数1~10のアルキルオキシ基、水素原子、フェノキシ基、又はハロゲン原子である。
式(l)で表されるモノマーの具体例としては下記のものが挙げられる。
Figure 0007416196000090
(構造単位(8))
構造単位(8)は下記式(8)で表される。
合成容易性と成形加工性が良好と考えられる好ましいガラス転移温度に調節する観点、高屈折率樹脂合成の観点から、熱可塑性樹脂は構造単位(8)を含むことが好ましい。
Figure 0007416196000091
ただし、式中の2個の結合手のうち一方の結合手は置換位置番号1~6の炭素原子のいずれか1つに結合し、他方の結合手は置換位置番号8~13の炭素原子のいずれか1つに結合し;
置換位置番号1~6、8~13の炭素原子のうち前記結合手が結合していない炭素原子には、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよい炭素数1~10のアルキル基、置換されていてもよい炭素数3~14のアリール基、置換されていてもよい炭素数1~10のアシル基、置換されていてもよい炭素数1~10のアルコキシ基、置換されていてもよい炭素数3~14のアリールオキシ基、置換されていてもよい炭素数1~10のアシルオキシ基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよい炭素数2~10のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数2~10のアルキニル基、置換基を有するケイ素原子、ハロゲン原子、ニトロ基又はシアノ基が結合している。
構造単位(8)の具体例としては、下記[S]群に示されるような構造単位が挙げられる。
Figure 0007416196000092
上記の中で、合成容易性と高い屈折率のバランスの観点から、下記[T]群に示されるような構造単位が好ましい。
Figure 0007416196000093
上記の中で、合成容易性と高い屈折率の観点から、下記[U]群に示されるような構造単位が好ましい。
Figure 0007416196000094
上記の中で、安価原料調達と合成容易性の観点から、下記[V]群に示されるような構造単位が好ましい。
Figure 0007416196000095
安価原料調達、合成容易性、更に低複屈折の観点から下記構造単位が好ましい。
Figure 0007416196000096
構造単位(8)を有する熱可塑性樹脂は、例えば、下記式(m)で表されるモノマーの重合反応等により製造できる。
Figure 0007416196000097
ただし、B及びBはそれぞれ独立に、重合反応性基を示し;
は置換位置番号1~6の炭素原子のいずれか1つに結合し;
は置換位置番号8~13の炭素原子のいずれか1つに結合し;
置換位置番号1~6、8~13の炭素原子のうちB又はBが結合していない炭素原子には、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよい炭素数1~10のアルキル基、置換されていてもよい炭素数3~14のアリール基、置換されていてもよい炭素数1~10のアシル基、置換されていてもよい炭素数1~10のアルコキシ基、置換されていてもよい炭素数3~14のアリールオキシ基、置換されていてもよい炭素数1~10のアシルオキシ基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよい炭素数2~10のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数2~10のアルキニル基、置換基を有するケイ素原子、ハロゲン原子、ニトロ基又はシアノ基が結合している。
及びBにおいて、重合反応性基の具体例としては、これらに限定されるものではないが、前記した式(f)中のB及びBにおける重合反応性基と同様のものが挙げられる。好ましい重合体であるポリエステル、ポリカーボネート、ポリエステルカーボネートに使用できる点で、ヒドロキシ基、エステル基、カルボキシ基、酸ハライド、ヒドロキシエステル基が好ましい。
式(m)で表されるモノマーの具体例としては下記のものが挙げられる。下記の化合物において、Phはフェニル基を示し、Meはメチル基を示し、Etはエチル基を示し、Clはクロロ基を示し、Brはブロモ基を示す。
Figure 0007416196000098
構造単位(8)を有する熱可塑性樹脂は非常に高い屈折率と耐熱性を有する。この観点から、好ましい熱可塑性樹脂の一例として、前記式(X)で表される繰り返し単位を有する熱可塑性樹脂であって、前記式(X)で表される繰り返し単位の少なくとも一部が、Q及びQの少なくとも一方が構造単位(8)である繰り返し単位である熱可塑性樹脂が挙げられる。
熱可塑性樹脂が、少なくとも一部が式(m)中のB及びBがヒドロキシ基である化合物であるジヒドロキシ化合物を用いて得られたポリカーボネート、ポリエステル又はポリエステルカーボネートである場合、この熱可塑性樹脂は、式(X)中のQが構造単位(8)である繰り返し単位を有する。この繰り返し単位のaが1である場合、Qは、構造単位(1)~(7)及び他の構造単位のいずれであってもよい。
熱可塑性樹脂が、少なくとも一部が式(m)中のB及びBがエステル基、カルボキシ基、酸ハライド又はヒドロキシエステル基である化合物であるジカルボン酸化合物を用いて得られたポリエステル又はポリエステルカーボネートである場合、この熱可塑性樹脂は、式(X)中のQが構造単位(8)である繰り返し単位を有する。この繰り返し単位のQは、構造単位(1)~(7)及び他の構造単位のいずれであってもよい。
熱可塑性樹脂は、式(X)中のQ、a及びQのいずれか1以上が互いに異なる複数種の繰り返し単位を有していてもよい。
[他の構造単位]
他の構造単位の例としては、他のジヒドロキシ化合物に基づく構造単位、他のジカルボン酸化合物に基づく構造単位が挙げられる。
他のジヒドロキシ化合物としては、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノール、シクロヘキサン-1,4-ジメタノール、デカリン-2,6-ジメタノール、ノルボルナンジメタノール、ペンタシクロペンタデカンジメタノール、シクロペンタン-1,3-ジメタノール、スピログリコール、イソソルビド、イソマンニド、イソイジド等が挙げられる。これらは単独又は二種類以上組み合わせて用いてもよい。
熱可塑性樹脂中の全てのジヒドロキシ化合物に基づく構造単位の合計100モル%に対する他のジヒドロキシ化合物に基づく構造単位の割合は、60モル%以下が好ましく、50モル%以下がより好ましく、30モル%以下が特に好ましい。
他のジカルボン酸化合物としては、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸等の脂肪族ジカルボン酸;アントラセンジカルボン酸、フェナントレンジカルボン酸、2,2’-ビス(カルボキシメトキシ)-1,1’-ビナフチル、9,9-ビス(カルボキシメチル)フルオレン、9,9-ビス(2-カルボキシエチル)フルオレン、9,9-ビス(1-カルボキシエチル)フルオレン、9,9-ビス(1-カルボキシプロピル)フルオレン、9,9-ビス(2-カルボキシプロピル)フルオレン、9,9-ビス(2-カルボキシ-1-メチルエチル)フルオレン、9,9-ビス(2-カルボキシ-1-メチルプロピル)フルオレン、9,9-ビス(2-カルボキシブチル)フルオレン、9,9-ビス(2-カルボキシ-1-メチルブチル)フルオレン、9,9-ビス(5-カルボキシペンチル)フルオレン、9,9-ビス(カルボキシシクロヘキシル)フルオレン等の多環式芳香族ジカルボン酸;2,2’-ビフェニルジカルボン酸等のビフェニルジカルボン酸;1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、2,6-デカリンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸;これらのジカルボン酸のエステル形成性誘導体;等が挙げられる。エステル形成性誘導体としては、酸クロライド;メチルエステル、エチルエステル、フェニルエステル等のエステル類が挙げられる。これらは単独又は二種類以上組み合わせて用いてもよい。
熱可塑性樹脂中の全てのジカルボン酸化合物に基づく構造単位の合計100モル%に対する他のジカルボン酸化合物に基づく構造単位の割合は、60モル%以下が好ましく、50モル%以下がより好ましく、30モル%以下が特に好ましい。
(組成比)
熱可塑性樹脂中の構造単位(1)の含有割合及び構造単位(2)~(8)の含有割合は、後述する好ましい屈折率、ガラス転移温度が発現する範囲内であることが好ましい。
構造単位(1)の含有割合は、高屈折率の観点、溶融加工性、機械強度、成形加工性を保つ観点から、熱可塑性樹脂中の全てのジヒドロキシ化合物、全てのジカルボン酸化合物、全てのカーボネートに基づく全構造単位の合計モル量に対し、2.5モル%以上が好ましく、5モル%以上がより好ましく、7.5モル%以上がさらに好ましく、12.5モル%以上がよりさらに好ましく、25モル%以上が特に好ましい。
同様の観点から、構造単位(1)の含有割合は、熱可塑性樹脂中の全てのジヒドロキシ化合物、全てのジカルボン酸化合物、全てのカーボネートに基づく熱可塑性樹脂の総質量に対し、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、15質量%以上がさらに好ましく、25質量%以上がよりさらに好ましく、45質量%以上が特に好ましい。 同様の観点から、構造単位(2)~(8)の含有割合は、熱可塑性樹脂中の全てのジヒドロキシ化合物、全てのジカルボン酸化合物、全てのカーボネートに基づく全構造単位の合計モル量に対し、0モル%超が好ましく、1モル%以上がより好ましく、5モル%以上がさらに好ましく、10モル%以上がよりさらに好ましく、15モル%以上が特に好ましい。また、85モル%以下が好ましく、75モル%以下がより好ましく、70モル%以下がさらに好ましく、65モル%以下がよりさらに好ましく、60モル%以下が特に好ましい。
同様の観点から、構造単位(2)~(8)の含有割合は、熱可塑性樹脂中の全てのジヒドロキシ化合物、全てのジカルボン酸化合物、全てのカーボネートに基づく熱可塑性樹脂の総質量に対し、0質量%超が好ましく、1質量%以上がより好ましく、5質量%以上がさらに好ましく、10質量%以上がよりさらに好ましく、20質量%以上が特に好ましい。また、90質量%以下が好ましく、85質量%以下がより好ましく、80質量%以下がさらに好ましく、70質量%以下がよりさらに好ましく、60質量%以下が特に好ましい。
一方で、既存材料に少量の構造単位(1)を含有させることで、既存材料の特に好ましいガラス転移温度を維持したまま、屈折率を効率的に上げることを目的とした使い方もある。この使い方は、構造単位(1)の含有量が少ないため既存材料のその他の樹脂物性を大きく変えることなく樹脂を得られるといった観点でも好ましい。
この観点では、構造単位(1)の含有割合は、熱可塑性樹脂中の全てのジヒドロキシ化合物、全てのジカルボン酸化合物、全てのカーボネートに基づく全構造単位の合計モル量に対し、0.1モル%以上が好ましく、0.5モル%以上がより好ましく、1モル%以上がさらに好ましく、2モル%以上がよりさらに好ましく、4モル%以上が特に好ましい。また、50モル%以下が好ましく、30モル%以下がより好ましく、20モル%以下がさらに好ましく、15モル%以下がよりさらに好ましく、10モル%以下が特に好ましい。 同様の観点から、構造単位(1)の含有割合は、熱可塑性樹脂中の全てのジヒドロキシ化合物、全てのジカルボン酸化合物、全てのカーボネートに基づく熱可塑性樹脂の総質量に対し、0.1質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、2質量%以上がさらに好ましく、4質量%以上がよりさらに好ましく、8質量%以上が特に好ましい。また、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、30質量%以下がさらに好ましく、25質量%以下がよりさらに好ましく、20質量%以下が特に好ましい。
同様の観点から、構造単位(2)~(8)の含有割合は、熱可塑性樹脂中の全てのジヒドロキシ化合物、全てのジカルボン酸化合物、全てのカーボネートに基づく全構造単位の合計モル量に対し、10モル%以上が好ましく、20モル%以上がより好ましく、25モル%以上がさらに好ましく、30モル%以上がよりさらに好ましく、35モル%以上が特に好ましい。また、90モル%以下が好ましく、80モル%以下がより好ましく、70モル%以下がさらに好ましく、65モル%以下がよりさらに好ましく、60モル%以下が特に好ましい。
同様の観点から、構造単位(2)~(8)の含有割合は、熱可塑性樹脂中の全てのジヒドロキシ化合物、全てのジカルボン酸化合物、全てのカーボネートに基づく熱可塑性樹脂の総質量に対し、50質量%以上が好ましく、55質量%以上がより好ましく、60質量%以上がさらに好ましく、65質量%以上がよりさらに好ましく、70質量%以上が特に好ましい。また、99.9質量%以下が好ましく、99質量%以下がより好ましく、98質量%以下がさらに好ましく、96質量%以下がよりさらに好ましく、94質量%以下が特に好ましい。
(屈折率:nD、ガラス転移温度:Tg)
熱可塑性樹脂の20℃で測定した波長589nmの屈折率(nD)は、1.620以上が好ましく、1.645以上がより好ましく、1.650以上がさらに好ましく、1.660以上がよりさらに好ましく、1.680以上が特に好ましい。nDが上記下限値以上であれば、熱可塑性樹脂を用いたレンズの球面収差を低減でき、さらにレンズの焦点距離を短くすることができる。
一方で、既存材料に少量の構造単位(1)を含有させることで、既存材料の特に好ましいガラス転移温度を維持したまま、屈折率を効率的に上げることを目的とした使い方もある。この使い方は、構造単位(1)の含有量が少ないため既存材料のその他の樹脂物性を大きく変えることなく樹脂を得られるといった観点でも好ましい。この観点では、熱可塑性樹脂の20℃で測定したnDは、1.600以上が好ましく、1.610以上がより好ましく、1.620以上がさらに好ましく、1.630以上がよりさらに好ましく、1.645以上が特に好ましい。
一実施形態において、熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)は、100~180℃が好ましく、100~175℃がより好ましく、100~170℃がさらに好ましく、100~160℃が特に好ましい。Tgが上記下限値以上であれば、耐熱性に優れ、上記上限値以下であれば、成形加工性に優れる。特に好ましいガラス転移温度域であれば、最低限の耐熱性を維持しながら高い流動性を有し、非常に成形性に優れる。
他の一実施形態において、熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)は、110~180℃が好ましく、120~180℃がより好ましく、130~180℃がさらに好ましく、135~180℃が特に好ましい。Tgが上記下限値以上であれば、耐熱性に優れ、上記上限値以下であれば、成形加工性に優れる。特に好ましいガラス転移温度域であれば、最低限の流動性を維持しつつ高い耐熱性を有する樹脂となるため、耐熱性と成形性のバランスに優れるため好ましい。
上記のように高屈折率かつ好ましいガラス転移温度の熱可塑性樹脂を得るためには、非常に高い屈折率を与え、成形加工性が良好と考えられるガラス転移温度を与える構造単位(以下、「高n構造単位」ともいう。)を含むことが好ましい。
高n構造単位としては、この構造単位とカーボネート結合又はエステル結合である連結基のみで構成される熱可塑性樹脂の屈折率が1.67以上である構造単位が好ましく、1.68以上である構造単位がより好ましく、1.69以上である構造単位がさらに好ましく、1.70以上である構造単位が特に好ましい。
高n構造単位とカーボネート結合又はエステル結合である連結基のみで構成される熱可塑性樹脂のガラス転移温度は50~295℃が好ましく、60~270℃がより好ましく、70~250℃がさらに好ましく、80~150℃が最も好ましい。
上記屈折率とガラス転移温度を満たす高n構造単位を使用することで、効率よく熱可塑性樹脂の屈折率を上げることができ、好ましい屈折率とガラス転移温度を有する熱可塑性樹脂を得ることができる。上記屈折率とガラス転移温度を満たす高n構造単位としては、例えば、構造単位(1)の2,12DNFE:2,12-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ジナフトフランが挙げられる。
また、高n構造単位としては、この構造単位とカーボネート結合又はエステル結合である連結基のみで構成される熱可塑性樹脂の屈折率が1.70以上である構造単位が好ましく、1.71以上である構造単位がより好ましく、1.715以上である構造単位が特に好ましい。更に、高n構造単位とカーボネート結合又はエステル結合である連結基のみで構成される熱可塑性樹脂のガラス転移温度は350℃以下が好ましく、340℃以下が特に好ましく、330℃以下が最も好ましい。上記屈折率とガラス転移温度を満たす高n構造単位としては、例えば、構造単位(8)の2,12DNF:2,12-ジヒドロキシジナフトフランが挙げられる。
(アッベ数:νD)
熱可塑性樹脂のアッベ数(νD)は、23以下が好ましく、22以下がより好ましく、21以下がさらに好ましい。
アッベ数は、20℃で測定した波長486nm、589nm、656nmの屈折率から下記式を用いて算出する。
νD=(nD-1)/(nF-nC)
ただし、nDは、波長589nmでの屈折率であり;nCは、波長656nmでの屈折率であり;nFは、波長486nmでの屈折率である。
(光弾性係数)
熱可塑性樹脂の光弾性係数の絶対値は、130×10-12Pa-1以下が好ましく、100×10-12Pa-1以下がより好ましく、80×10-12Pa-1以下がさらに好ましく、60×10-12Pa-1以下がよりさらに好ましく、40×10-12Pa-1以下が特に好ましい。光弾性係数が上記上限値以下であれば、熱可塑性樹脂を用いたレンズの光学歪みが小さくなる。光弾性係数は、He-Neレーザー、偏光子、補償板、検光子、及び光検出器からなる複屈折測定装置と振動型粘弾性測定装置を組み合わせた装置により測定する。
(還元粘度)
熱可塑性樹脂の還元粘度が低すぎると、得られる成形品の耐熱性、耐薬品性、耐摩耗性、及び機械強度が低下する可能性がある。そのため、レンズに用いる場合は、熱可塑性樹脂の還元粘度は、0.15dL/g以上が好ましく、0.20dL/g以上がより好ましく、0.25dl/g以上がさらに好ましい。
一方、熱可塑性樹脂の還元粘度が高すぎると、成形する際の流動性が低下し、生産性、成形性を低下させたり、得られる成形品の歪みが大きくなったりする傾向がある。そのため、熱可塑性樹脂の還元粘度は、1.50dL/g以下が好ましく、1.30dL/g以下がより好ましく、1.20dL/g以下がさらに好ましく、1.15dL/g以下が特に好ましい。
最低限の耐熱性、耐薬品性、耐摩耗性、及び機械強度を維持しながら、成形加工性、成形品の歪み抑制を重視する観点では、熱可塑性樹脂の還元粘度は、0.80dL/g以下が好ましく、0.75dL/g以下がより好ましく、0.70dL/g以下がさらに好ましい。
最低限の成形加工性を維持しながら、耐熱性、耐薬品性、耐摩耗性、機械強度を重視する観点では、熱可塑性樹脂の還元粘度は、0.85dL/g以上が好ましく、0.90dL/g以上がより好ましく、0.95dl/g以上がさらに好ましい。
熱可塑性樹脂の還元粘度は、より具体的には、後掲の実施例の項に記載される方法で測定される。
(熱可塑性樹脂の製造方法)
本開示の熱可塑性樹脂は、モノマーとして化合物(f)を用いて製造できる。上記式(g)、(h)、(i)、(j)、(k)、(l)又は(m)で表されるモノマーを併用することが好ましい。これら以外の他のモノマーを併用してもよい。他のモノマーとしては、例えば前記した他のジヒドロキシ化合物、他のジカルボン酸化合物が挙げられる。
本開示の熱可塑性樹脂は、モノマーとして少なくとも化合物(f)を用いる以外は、カーボネート結合又はエステル結合を有する熱可塑性樹脂の公知の製造方法により製造できる。
カーボネート結合又はエステル結合を有する熱可塑性樹脂は、例えば、ジヒドロキシ化合物にカーボネート前駆物質(ホスゲン、炭酸ジエステル等)を反応させる方法、ジヒドロキシ化合物にジカルボン酸化合物(ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体)を反応させる方法により製造される。以下に具体例を示す。
[ポリカーボネートの製造方法]
ポリカーボネートの製造方法としては、ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを溶融重縮合する方法(溶融重合法)を含むことが好ましい。
もう一つの一般的なポリカーボネートの製造方法として知られる界面重合法は、使用できるモノマーが芳香族ジヒドロキシ化合物に限定される。溶融重合法は、アルコール性ヒドロキシ基を有するジヒドロキシ化合物も含む、より幅広い構造に適用できる。界面重合法は毒性の強いホスゲン、塩化メチレン、クロロベンゼン等の含塩素溶媒を用いる必要もあり、環境負荷も高い傾向がある。
溶融重合の際に、ジカルボン酸化合物を併用してもよい。
ポリカーボネートは、ジヒドロキシ化合物に基づく構造単位がカーボネート結合で連結された構造を有する重合体であるが、本発明においては、カーボネート結合の一部がジカルボン酸構造(-O-C(=O)-Q-C(=O)-O-)に置換されたポリエステルカーボネート、カーボネート結合を有するポリウレタン等もポリカーボネートに含めるものとする。
前記したポリカーボネートの製造方法において、炭酸ジエステルの一部をジカルボン酸化合物に置換することで、ポリエステルカーボネートが得られる。
ジヒドロキシ化合物のみを炭酸ジエステルと溶融重縮合する場合、ジヒドロキシ化合物の少なくとも一部が構造単位(1)を含む。構造単位(1)を含むジヒドロキシ化合物としては、上記式(f)中の重合反応性基B及びBがヒドロキシ基含有基である化合物(例えば上記式(f1)で表される化合物)が挙げられる。
ジヒドロキシ化合物として、構造単位(2)~(8)のいずれか1つを有するジヒドロキシ化合物を併用してもよく、これら以外の他のジヒドロキシ化合物を併用してもよい。構造単位(2)~(8)のいずれか1つを有するジヒドロキシ化合物としては、例えば、上記式(g)、(h)又は(i)で表されるモノマー、上記式(j)中の重合反応性基J及びJがヒドロキシ基含有基であるモノマー、上記式(m)中の重合反応性基B及びJがヒドロキシ基含有基であるモノマーが挙げられる。
ジヒドロキシ化合物及びジカルボン酸化合物を炭酸ジエステルと溶融重縮合する場合、ジヒドロキシ化合物の少なくとも一部が構造単位(1)を含んでもよく、ジカルボン酸化合物の少なくとも一部が構造単位(1)を含んでもよい。構造単位(1)を含むジカルボン酸化合物としては、上記式(f)中の重合反応性基B及びBがカルボキシ含有基、エステル基又はヒドロキシエステル基である化合物が挙げられる。
ジカルボン酸化合物として、構造単位(2)~(8)のいずれか1つを有するジヒドロキシ化合物を併用してもよく、これら以外の他のジカルボン酸化合物を併用してもよい。
構造単位(2)~(8)のいずれか1つを有するジカルボン酸化合物としては、例えば、上記式(j)中の重合反応性基J及びJがカルボキシ基含有基又はエステル基であるモノマー、上記式(k)又は(l)で表されるモノマー、上記式(m)中の重合反応性基B及びJがカルボキシ基含有基又はエステル基であるモノマーが挙げられる。
上記式(f)中の重合反応性基B及びB、上記式(j)中の重合反応性基J及びJ、又は上記式(m)中の重合反応性基B及びBがヒドロキシエステル基、すなわちエステル骨格を有するヒドロキシ基であるモノマーを用いる場合、上記式(f)中の重合反応性基B及びB、又は上記式(m)中の重合反応性基B及びBがヒドロキシ基含有基及びカルボキシ基含有基であるモノマーを用いる場合にも、ポリエステルカーボネートを得ることができる。エステル骨格を有するヒドロキシ基の具体例としては、2-ヒドロキシエトキシカルボニル基等が挙げられる。また、B及びB、B及びBがヒドロキシ基含有基及びカルボキシ基含有基である具体例としては、ヒドロキシエトキシ基とエトキシカルボニル基;2-(2-ヒドロキシエトキシ)カルボニル基とカルボキシ基;等が挙げられる。
〔炭酸ジエステル〕
溶融重合法で用いられる炭酸ジエステルとしては、通常、下記式(о)で表されるものが挙げられる。式(о)で表される炭酸ジエステルを用いた場合、カーボネート結合及びエステル結合のいずれか一方又は両方が、炭酸ジエステルに由来するカルボニル炭素(C(=O))を含む。
Figure 0007416196000099
ただし、E及びEはそれぞれ独立に、置換されていてもよい炭素数1~18の脂肪族炭化水素基、又は置換されていてもよい芳香族炭化水素基であり、EとEとは同一でも異なっていてもよい。
上記式(о)で表される炭酸ジエステルとしては、例えば、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、m-クレジルカーボネート、ジナフチルカーネート、ビス(ビフェニル)カーボネート等のジアリールカーボネート類;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネート等のジアルキルカーボネート類が挙げられる。なかでも、ジアリールカーボネート類が好ましく、ジフェニルカーボネートが特に好ましい。これらの炭酸ジエステルは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
反応に用いる全ジヒドロキシ化合物のモル数に対する炭酸ジエステルのモル比率は、0.90~1.10が好ましく、0.96~1.05がより好ましく、0.98~1.03がさらに好ましい。
ジカルボン酸化合物を併用する場合には、全ジヒドロキシ化合物のモル数から全ジカルボン酸化合物のモル数を差し引いたモル数に対する炭酸ジエステルのモル比率は、0.90~1.10が好ましく、0.96~1.05がより好ましく、0.98~1.03がさらに好ましい。
このモル比率が0.90より小さくなると、製造されたポリカーボネートの末端水酸基が増加して、ポリカーボネートの熱安定性が悪化したり、所望する高分子量体が得られなかったりするおそれがある。また、このモル比率が1.10より大きくなると、同一条件下ではエステル交換反応の速度低下、所望とする分子量のポリカーボネートの製造が困難となるばかりか、製造されたポリカーボネート中の残存炭酸ジエステル量が増加し、この残存炭酸ジエステルが、成型時に揮発し、欠陥を招く可能性がある。
〔重合触媒〕
溶融重合における重合触媒(エステル交換触媒)としては、長周期型周期表第1族と第2族の金属化合物が挙げられる。長周期型周期表第1族と第2族の金属化合物に加えて補助的に、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物、アミン系化合物等の塩基性化合物を併用してもよい。ただし、長周期型周期表第1族と第2族の金属化合物のみの使用が特に好ましい。
上記重合触媒の使用量は、長周期型周期表第1族と第2族の金属化合物を用いる場合、反応に用いる全ジヒドロキシ化合物1モルに対して、金属換算量として、通常、0.1μmol~100μmolの範囲内で用い、好ましくは0.5μmol~50μmolの範囲内であり、さらに好ましくは1μmol~25μmolの範囲内である。重合触媒の使用量が少なすぎると、所望の分子量のポリカーボネート又はポリエステルカーボネートを製造するのに必要な重合活性が得られにくい。一方、重合触媒の使用量が多すぎると、得られるポリマーの色相の悪化、副生成物の発生、流動性の低下、ゲルの発生量の増加等のため、目標とする品質のポリカーボネートの製造が困難になるおそれがある。
また、ジカルボン酸構造を導入する場合には、上記塩基性化合物と併用して、又は併用せずに、チタン化合物、スズ化合物、ゲルマニウム化合物、アンチモン化合物、ジルコニウム化合物、鉛化合物、オスミウム化合物等のエステル交換触媒を用いることもできる。
エステル交換触媒の使用量は、反応に用いる全ジヒドロキシ化合物1molに対して、金属換算量として、通常、10μmol~1mmolの範囲内で用い、好ましくは20μmol~800μmolであり、特に好ましくは50μmol~500μmolである。
〔金属含有量〕
ポリカーボネート又はポリエステルカーボネートは、多量の金属及び金属イオンを含有すると、重合、加工時の着色及び熱分解が起こりやすくなるおそれがある。そのため、触媒として添加する金属化合物を前述のような適正範囲に収める以外にも、原料中にコンタミしている金属成分、反応装置等から溶出する金属等も可能な限り低減することが好ましい。特にNa、K、Cs、Feの影響が顕著であるため、ポリカーボネート又はポリエステルカーボネートは、Na、K、Cs、Feの含有量の合計が3質量ppm以下であることが好ましい。
ポリカーボネート又はポリエステルカーボネートの金属量は、湿式灰化等の方法で前記ポリカーボネート又はポリエステルカーボネート中の金属を回収した後、原子発光、原子吸光、ICP等の方法を使用して測定できる。
〔重合法〕
ポリカーボネート又はポリエステルカーボネートを溶融重合法で製造する際には、ジヒドロキシ化合物と、必要に応じジカルボン酸化合物を重合触媒の存在下で炭酸ジエステルと反応させる。重合は、通常、2段階以上の多段工程で実施され、重合反応器は1つで条件を変えて2段階以上の工程で実施してもよく;2つ以上の反応器を用いて、それぞれの条件を変えて2段階以上の工程で実施してもよい。生産効率の観点からは、2つ以上、好ましくは3つ以上、更に好ましくは3~5つ、特に好ましくは、4つの反応器を用いて実施する。重合反応はバッチ式、連続式、バッチ式と連続式の組み合わせの何れでも構わない。生産効率と品質の安定性の観点から、連続式が好ましい。
ポリカーボネート又はポリエステルカーボネートを得るための溶融重合反応においては、温度と反応系内の圧力のバランスを制御することが重要である。温度、圧力のどちらか一方でも早く変化させすぎると、未反応のモノマーが反応系外に留出し、ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルのモル比率が変化し、所望の高分子が得られない場合がある。
具体的には、第1段目の反応は、重合反応器の内温の最高温度として、130℃~250℃、好ましくは140℃~240℃、更に好ましくは150℃~230℃の温度で、110kPa~1kPa、好ましくは70kPa~3kPa、更に好ましくは30kPa~5kPa(絶対圧力)の圧力下、0.1時間~10時間、好ましくは0.5時間~3時間、発生するモノヒドロキシ化合物(炭酸ジエステルとしてジフェニルカーボネートを用いる場合、モノヒドロキシ化合物とはフェノールのことを示す。)を反応系外へ留去しながら実施される。
第2段目以降は、反応系の圧力を第1段目の圧力から徐々に下げ、引き続き発生するモノヒドロキシ化合物を反応系外へ除きながら、最終的には反応系の圧力(絶対圧力)を5kPa以下、好ましくは3kPaにして、内温の最高温度210℃~270℃、好ましくは220℃~260℃で、通常0.1時間~10時間、好ましくは、0.5時間~6時間、特に好ましくは1時間~3時間行う。
特にポリカーボネート又はポリエステルカーボネートの着色、熱劣化を抑制し、色相、機械物性の良好なポリカーボネート又はポリエステルカーボネートを得るには、全反応段階における内温の最高温度が270℃以下、特に260℃以下であることが好ましい。
界面重合法による反応は、通常、ジヒドロキシ化合物とホスゲンとの反応であり、酸結合剤及び有機溶媒の存在下に反応させる。酸結合剤としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物又はピリジン等のアミン化合物が用いられる。有機溶媒としては、例えば塩化メチレン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素が用いられる。また、反応促進のために例えばトリエチルアミン、テトラ-n-ブチルアンモニウムブロマイド、テトラ-n-ブチルホスホニウムブロマイド等の第三級アミン、第四級アンモニウム化合物、第四級ホスホニウム化合物等の触媒を用いることもできる。その際、反応温度は通常0~40℃、反応時間は10分~5時間程度、反応中のpHは9以上に保つことが好ましい。
ポリカーボネート又はポリエステルカーボネートを製造する際、その重合反応において、末端停止剤として通常使用される単官能ヒドロキシ化合物を使用してもよい。特にカーボネート前駆物質としてホスゲンを使用する反応の場合、単官能フェノール類は末端停止剤として分子量調節のために一般的に使用され、また得られた重合体は、末端が単官能フェノール類に基づく基によって封鎖されている。そのため、カーボネート前駆物質としてホスゲンを使用しない場合と比べて、熱可塑性樹脂が熱安定性に優れる。
[ポリエステルの製造方法]
ポリエステルを製造するには、例えば、ジヒドロキシ化合物とジカルボン酸化合物(ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体)とをエステル化反応又はエステル交換反応させ、得られた反応生成物を重縮合反応させ、所望の分子量の高分子量体とすればよい。
全ジヒドロキシ化合物の合計モル量に対するエチレングリコールの割合は、0~50モル%が好ましい。エチレングリコールの割合が上記範囲であれば、耐熱性と成形性のバランスに優れる。
重合方法としては、直接重合法、エステル交換法等の溶融重合法、溶液重合法、界面重合法等の種々の方法から適宜の方法を選択して製造できる。
界面重合法を用いる場合、ジカルボン酸クロリドを水と相溶しない有機溶媒に溶解させた溶液(有機相)を、芳香族ジオール及び重合触媒を含むアルカリ水溶液(水相)に混合し、50℃以下、好ましくは25℃以下の温度で0.5~8時間撹拌しながら重合反応を行う方法が挙げられる。
有機相に用いる溶媒としては、水と相溶せずポリエステルを溶解する溶媒が好ましい。例えば、塩化メチレン、1,2-ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン等の塩素系溶媒;トルエン、ベンゼン、キシレン等の芳香族系炭化水素系溶媒が挙げられる。製造上使用しやすい点で、塩化メチレンが好ましい。
水相に用いるアルカリ水溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム等の水溶液が挙げられる。
溶融重合法を用いる場合、通常、ジヒドロキシ化合物とジカルボン酸又はそのジエステルを混合し、通常、120~350℃、好ましくは150~300℃、より好ましくは180~270℃で反応させることが好ましい。減圧度は段階的に変化させ、最終的には0.13kPa以下にして生成した水、アルコール等のヒドロキシ化合物を系外に留去させ、反応時間は通常1~10時間程度である。
溶融重合法において重合速度を速めるために、エステル交換触媒、重合触媒を用いることができる。
エステル交換触媒は特に限定されず、種々のものを採用できる。例えば、マンガン、マグネシウム、チタン、亜鉛、アルミニウム、カルシウム、コバルト、ナトリウム、リチウム、鉛元素を含む化合物等が挙げられる。具体的にはこれらの元素を含む酸化物、酢酸塩、カルボン酸塩、水素化物、アルコラート、ハロゲン化物、炭酸塩、硫酸塩等が挙げられる。なかでも、熱可塑性樹脂の溶融安定性、色相、ポリマー不溶異物の少なさの観点から、マンガン、マグネシウム、亜鉛、チタン、コバルトの酸化物、酢酸塩、アルコラート等の化合物が好ましい。これらのエステル交換触媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
重合触媒は、特に限定されず、種々のものを採用できる。例えば、アンチモン化合物、チタン化合物、ゲルマニウム化合物、スズ化合物、アルミニウム化合物が挙げられる。このような化合物としては、例えばアンチモン、チタン、ゲルマニウム、スズ、アルミニウムの酸化物、酢酸塩、カルボン酸塩、水素化物、アルコラート、ハロゲン化物、炭酸塩、硫酸塩等が挙げられる。これらの化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なかでも、熱可塑性樹脂の溶融安定性、色相の観点から、スズ化合物、チタン化合物、ゲルマニウム化合物が好ましい。
触媒の使用量は、例えば、エステル交換触媒及び重合触媒の合計で、ジカルボン酸化合物1モルに対して、1×10-8~1×10-3モルの範囲が好ましい。
ポリエステルの製造においては、分子量調整、熱安定性向上のため、末端封止剤を使用してもよい。末端封止剤としては、単官能ヒドロキシ化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、イソシアネート化合物、カルボジイミド化合物、ケテンイミン化合物等が挙げられる。
ジヒドロキシ化合物及びジカルボン酸化合物以外の共重合成分を本開示の熱可塑性樹脂に含有させてもよい。
(添加剤)
本開示の熱可塑性樹脂に、必要に応じて、熱安定剤、酸化防止剤、離型剤、可塑剤、充填剤、紫外線吸収剤等の添加剤を適宜添加して熱可塑性樹脂組成物とすることができる。
離型剤としては、アルコールと脂肪酸のエステルを含むものが好ましい。離型剤の総質量に対する前記エステルの割合は、90質量%以上が好ましく、95質量%以上がより好ましい。
アルコールと脂肪酸のエステルとしては、具体的には一価アルコールと脂肪酸のエステル、多価アルコールと脂肪酸との部分エステル又は全エステルが挙げられる。一価アルコールと脂肪酸のエステルとしては、炭素数1~20の一価アルコールと炭素数10~30の飽和脂肪酸とのエステルが好ましい。多価アルコールと脂肪酸との部分エステル又は全エステルとしては、炭素数1~25の多価アルコールと炭素数10~30の飽和脂肪酸との部分エステル又は全エステルが好ましい。
一価アルコールと飽和脂肪酸とエステルとしては、例えば、ステアリルステアレート、パルミチルパルミテート、ブチルステアレート、メチルラウレート、イソプロピルパルミテート等が挙げられる。なかでもステアリルステアレートが好ましい。
多価アルコールと飽和脂肪酸との部分エステル又は全エステルとしては、例えば、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸ジグリセリド、ステアリン酸トリグリセリド、ステアリン酸モノソルビテート、ベヘニン酸モノグリセリド、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラペラルゴネート、プロピレングリコールモノステアレート、ビフェニルビフェネ-ト、ソルビタンモノステアレート、2-エチルヘキシルステアレート、ジペンタエリスリトールヘキサステアレート等のジペンタエリスルトールの部分エステル又は全エステル等が挙げられる。なかでも、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸トリグリセリド、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ステアリン酸トリグリセリドとステアリルステアレートの混合物が好ましい。
熱可塑性樹脂組成物中の離型剤の含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して0.005~2.0質量部が好ましく、0.01~0.6質量部がより好ましく、0.02~0.5質量部がさらに好ましい。
熱安定剤としては、例えば、リン系熱安定剤、硫黄系熱安定剤及びヒンダードフェノール系熱安定剤が挙げられる。
リン系熱安定剤としては、例えば、亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、ホスホン酸、これらのエステル等が挙げられる。具体的には、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,6-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4-ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリブチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェート、ベンゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン酸ジエチル、ベンゼンホスホン酸ジプロピル、テトラキス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)-4,4’-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)-4,3’-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)-3,3’-ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-4-フェニル-フェニルホスホナイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-3-フェニル-フェニルホスホナイト等が挙げられる。
なかでも、ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,6-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、テトラキス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)-4,4’-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)-4,3’-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)-3,3’-ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-4-フェニル-フェニルホスホナイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-3-フェニル-フェニルホスホナイトが好ましく、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-4,4’-ビフェニレンジホスホナイトが特に好ましい。
熱可塑性樹脂組成物中のリン系熱安定剤の含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して0.001~0.2質量部が好ましい。
硫黄系熱安定剤としては、例えば、ペンタエリスリトール-テトラキス(3-ラウリルチオプロピオネート)、ペンタエリスリトール-テトラキス(3-ミリスチルチオプロピオネート)、ペンタエリスリトール-テトラキス(3-ステアリルチオプロピオネート)、ジラウリル-3、3’-チオジプロピオネート、ジミリスチル-3、3’-チオジプロピオネート、ジステアリル-3、3’-チオジプロピオネート等が挙げられる。なかでもペンタエリスリトール-テトラキス(3-ラウリルチオプロピオネート)、ペンタエリスリトール-テトラキス(3-ミリスチルチオプロピオネート)、ジラウリル-3、3’-チオジプロピオネート、ジミリスチル-3、3’-チオジプロピオネートが好ましく、ペンタエリスリトール-テトラキス(3-ラウリルチオプロピオネート)が特に好ましい。
熱可塑性樹脂組成物中の硫黄系熱安定剤の含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して0.001~0.2質量部が好ましい。
ヒンダードフェノール系熱安定剤としては、、例えば、トリエチレングリコール-ビス[3-(3-tert-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6-ヘキサンジオール-ビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトール-テトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、N,N-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナマイド)、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-ベンジルホスホネート-ジエチルエステル、トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、3,9-ビス{1,1-ジメチル-2-[β-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル}-2,4,8,10-テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン等が挙げられる。なかでも、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリトール-テトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]が好ましい。
熱可塑性樹脂組成物中のヒンダードフェノール系熱安定剤の含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して0.001~0.3質量部が好ましい。
リン系熱安定剤とヒンダードフェノール系熱安定剤は、併用することもできる。
紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、環状イミノエステル系紫外線吸収剤及びシアノアクリレート系からなる群より選ばれた少なくとも1種の紫外線吸収剤が好ましい。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば、2-(2-ヒドロキシ-5-tert-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ-ル、2,2’-メチレンビス[4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェノール]等が挙げられる。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば、2-ヒドロキシ-4-n-ドデシルオキシベンソフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-2’-カルボキシベンゾフェノン等が挙げられる。
トリアジン系紫外線吸収剤としては、例えば、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-[(ヘキシル)オキシ]-フェノール、2-(4,6-ビス(2.4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-[(オクチル)オキシ]-フェノール等が挙げられる。
環状イミノエステル系紫外線吸収剤としては、例えば、2,2’-p-フェニレンビス(3,1-ベンゾオキサジン-4-オン)等が挙げられる。
シアノアクリレート系紫外線吸収剤としては、例えば、1,3-ビス-[(2’-シアノ-3’,3’-ジフェニルアクリロイル)オキシ]-2,2-ビス[(2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリロイル)オキシ]メチル)プロパン、1,3-ビス-[(2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリロイル)オキシ]ベンゼン等が挙げられる。
熱可塑性樹脂組成物中の紫外線吸収剤の含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して0.01~3.0質量部が好ましい。紫外線吸収剤の含有量が上記範囲内であれば、用途に応じ、熱可塑性樹脂組成物の成形品に十分な耐候性を付与することが可能である。
(他の熱可塑性樹脂とのブレンド)
本開示の熱可塑性樹脂と他の熱可塑性樹脂とをブレンドしてもよい。光学性能が良好で、射出成型ができる傾向があることから、他の熱可塑性樹脂を共存在させることが好ましい。共存在させる他の熱可塑性樹脂としては、具体的には、重縮合系ポリマー、オレフィン系ポリマー、又は付加重合系ポリマーが挙げられ、重縮合系ポリマーが好ましい。
重縮合系ポリマーとしては、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、ポリエステルカーボネート、ポリアミド、ポリイミド等が挙げられる。なかでもポリエステル、ポリカーボネートが好ましい。
例えば、ビスフェノールA、9,9-ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9-ビス(6-ヒドロキシ-2-ナフチル)フルオレン、ビナフトール、2,2’-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)-1,1’-ビナフタレン(BNEO)、9,9-ビス[6-(2-ヒドロキシエトキシ)-2-ナフチル]フルオレン(BNEF)を一つ又は複数種使用したポリカーボネート、ポリエステル、ポリエステルカーボネートが好ましい。これらポリカーボネート、ポリエステル、ポリエステルカーボネートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本開示の熱可塑性樹脂は成形した場合、光学的に透明であることが好ましいため、本開示の熱可塑性樹脂とブレンドされる他の熱可塑性樹脂は、本開示の熱可塑性樹脂と相溶性を有するものが好ましい。
(用途)
本開示の熱可塑性樹脂は、例えば、光ディスク、透明導電性基板、光カード、シート、フィルム、光ファイバー、レンズ、プリズム、光学膜、基板、光学フィルター、ハードコート膜、導光板等の光学部材に用いることができる。
<レンズ>
本開示の熱可塑性樹脂は、光学部材、特にレンズに好適である。
好ましい一実施形態において、レンズは、非球面レンズである。非球面レンズは、1枚のレンズで球面収差を実質的にゼロとすることが可能であるため、複数の球面レンズの組み合わせで球面収差を取り除く必要が無く、軽量化及び成形コストの低減化が可能になる。したがって、非球面レンズは、レンズの中でも特にカメラレンズとして有用である。
他の好ましい一実施形態において、レンズは、片面が凸、片面が凹であるメニスカスレンズである。
本開示の熱可塑性樹脂は、成形流動性が高いため、薄肉小型で複雑な形状であるレンズの材料として特に有用である。具体的なレンズサイズとして、中心部の厚みが0.05~3.0mm、より好ましくは0.05~2.0mm、さらに好ましくは0.1~2.0mmである。また、直径が1.0mm~20.0mm、より好ましくは1.0~10.0mm、さらに好ましくは、3.0~10.0mmである。
本開示の熱可塑性樹脂からなるレンズは、金型成形、切削、研磨、レーザー加工、放電加工、エッチング等の任意の方法により成形される。この中でも、製造コストの面から、金型成形がより好ましい。金型成形としては、射出成形、押出成形、圧縮成形、注型、ロール加工等が挙げられる。
本開示の熱可塑性樹脂からなるレンズを射出成形で製造する場合、シリンダー温度230~350℃、金型温度70~170℃の条件にて成形することが好ましく、シリンダー温度250~300℃、金型温度80~160℃の条件にて成形することがより好ましい。シリンダー温度が350℃以下であれば、熱可塑性樹脂が分解着色しにくく、230℃以上であれば、溶融粘度が低く成形しやすい。金型温度が170℃以下であれば、熱可塑性樹脂からなる成形片を金型から取り出しやすい。金型温度が70℃以上であれば、成形時の金型内で熱可塑性樹脂が早く固まることを抑制でき、成形片の形状を制御しやすい。また、金型に付された賦型を十分に転写しやすい。
本開示は以下の〔1〕~〔5〕の態様をさらに包含する。
〔1〕下記式(f1)で表される化合物。
Figure 0007416196000100
ただし、L及びLはそれぞれ独立に、置換されていてもよい炭素数1~10のアルキレン基、置換されていてもよい炭素数4~10のアリーレン基、又は置換されていてもよい炭素数6~12のアラルキレン基を示し、mは1~4の整数を示し、nは1~4の整数を示し、
(LO)は置換位置番号1~6の炭素原子のいずれか1つに結合し、(LO)は置換位置番号8~13の炭素原子のいずれか1つに結合し、置換位置番号1~6、8~13の炭素原子のうち(LO)又は(LO)が結合していない炭素原子にはそれぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよい炭素数1~10のアルキル基、置換されていてもよい炭素数3~14のアリール基、置換されていてもよい炭素数1~10のアシル基、置換されていてもよい炭素数1~10のアルコキシ基、置換されていてもよい炭素数3~14のアリールオキシ基、置換されていてもよい炭素数1~10のアシルオキシ基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよい炭素数2~10のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数2~10のアルキニル基、置換基を有するケイ素原子、ハロゲン原子、ニトロ基又はシアノ基が結合している。
〔2〕前記式(f1)中のm及びnが1を示す、前記〔1〕の化合物。
〔3〕前記式(f1)中のm及びnが1を示し、置換位置番号1~6、8~13の炭素原子のうち(LO)又は(LO)が結合していない炭素原子には水素原子が結合している、前記〔1〕又は〔2〕の化合物。
〔4〕前記式(f1)中のL及びLがそれぞれ独立に、置換されていてもよい炭素数1~10のアルキレン基を示し、m及びnが1を示し、置換位置番号1~6、8~13の炭素原子のうちHO(LO)又はHO(LO)が結合していない炭素原子には水素原子が結合している、前記〔1〕~〔3〕のいずれかの化合物。
〔5〕複数の2価の構造単位が2価の連結基を介して連結された構造を含み、
前記複数の2価の構造単位の少なくとも一部が下記式(1)で表される構造単位であり、
前記2価の連結基の少なくとも一部がカーボネート結合又はエステル結合である、熱可塑性樹脂。
Figure 0007416196000101
ただし、L及びLはそれぞれ独立に、置換されていてもよい炭素数1~10のアルキレン基、置換されていてもよい炭素数4~10のアリーレン基、又は置換されていてもよい炭素数6~12のアラルキレン基を示し、mは1~4の整数を示し、nは1~4の整数を示し、
(LO)は置換位置番号1~6の炭素原子のいずれか1つに結合し、(LO)は置換位置番号8~13の炭素原子のいずれか1つに結合し、置換位置番号1~6、8~13の炭素原子のうち(LO)又は(LO)が結合していない炭素原子には、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよい炭素数1~10のアルキル基、置換されていてもよい炭素数3~14のアリール基、置換されていてもよい炭素数1~10のアシル基、置換されていてもよい炭素数1~10のアルコキシ基、置換されていてもよい炭素数3~14のアリールオキシ基、置換されていてもよい炭素数1~10のアシルオキシ基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよい炭素数2~10のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数2~10のアルキニル基、置換基を有するケイ素原子、ハロゲン原子、ニトロ基又はシアノ基が結合している。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに説明するが、本発明は、これに限定されるものではない。特に記載のない場合、「%」は「質量%」を示す。
<略語の説明>
以下の記載における略号の意味は、下記の通りである。2,12DNF、2,12DNFE、2,12DNFM、3,11DNFEの化学構造は後掲の合成例1~4に示す。
2,12DNFE:2,12-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ジナフトフラン。
2,12DNF:2,12-ジヒドロキシジナフトフラン。
3,11DNFE:3,11-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ジナフトフラン。
BPEF:9,9-ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン。
BNEO:2,2’-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)-1,1’-ビナフタレン。
BNEF:9,9-ビス9,9-ビス(6-(2-ヒドロキシエトキシ)-2-ナフチル)フルオレン。
EG:エチレングリコール。
2,12-DHEDNT:2,12-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ジナフトチオフェン。
BPA:ビスフェノールA。
DPC:ジフェニルカーボネート。
PFM:ビス[9-(2-フェノキシカルボニルエチル)フルオレン-9-イル]メタン。
DMT:テレフタル酸ジメチルエステル。
2,12DNFM:2,12-ビス(カルボキシメトキシ)ジナフト[2,1-b:1’、2’-d]フラン。
3,11DNF:3,11-ジヒドロキシジナフトフラン。
6,8DNF:6,8-ジヒドロキシジナフトフラン。
TBT:テトラブトキシチタン。
<測定方法>
各例のポリカーボネート共重合体(熱可塑性樹脂)のガラス転移温度Tg、屈折率、アッベ数νD、還元粘度、NMRの測定方法は以下のとおりである。
(Tg)
示差走査熱量計(エスアイアイナノテクノロジー社製「EXSTAR 6220」)を用いて、試料約10mgを10℃/minの昇温速度で加熱して測定し、JIS K 7121(1987)に準拠して、低温側のベースラインと高温側のベースラインの延長した直線から縦軸方向に等距離にある直線とガラス転移の階段状変化部分の曲線とが交わる温度から、中間点ガラス転移開始温度を求め、この値をTgとした。
(屈折率、アッベ数)
試料200℃~250℃でプレス成形して厚み約200μmのフィルムを作製し、得られたフィルムを幅約8mm、長さ10から20mmの短冊状に切り出して測定試験片とした。
測定試験片について、アッベ屈折計(アタゴ社製「DR-M4」)で、波長656nm(C線)、589nm(D線)、546nm(e線)、486nm(F線)の干渉フィルターを用いて、各波長の屈折率であるnC、nD、ne、nFを測定した。測定は、界面液としてジヨードメタン又は1-ブロモナフタレンを用い、20℃で行った。
測定結果から次式によりアッベ数νdを算出した。アッベ数が大きいほど、屈折率の波長依存性が小さくなり、例えば単レンズにした際の波長による焦点のずれが小さくなる。
νD=(1-nD)/(nC-nF)
(還元粘度)
溶媒として、フェノールと1,1,2,2-テトラクロロエタンの1:1混合溶媒(質量比)を用いて試料の溶液を調製し、溶液及び溶媒について、中央理化製DT-504型自動粘度計にてウベローデ型粘度計を用い、温度30.0℃±0.1℃で通過時間を測定した。溶液の濃度は1.00g/dlになるように、精密に調整した。試料は110℃で攪拌しながら、30分で溶解し、冷却後測定に用いた。溶媒の通過時間t、溶液の通過時間tから、下記式により相対粘度ηrelを求めた。
ηrel=t/t(g・cm-1・sec-1
相対粘度ηrelから、下記式により比粘度ηspを求めた。
ηsp=(η-η)/η=ηrel-1
比粘度ηspを濃度c(g/dl)で割って、すなわち下記式により、還元粘度(換算粘度)ηredを求めた。この数値が高いほど分子量が大きい。
ηred=ηsp/c
(NMR)
外径5mmのNMR試料管に試料約30mgを入れ、重クロロホルム(0.03v/v%テトラメチルシラン含有)0.7mlに溶解した。Bruker社製「AVANCE III 950」にて、共鳴周波数950.3MHz、フリップ角30°、測定温度25℃にて、H-NMRを測定した。
(光弾性係数)
80℃で5時間、真空乾燥をした各例の樹脂約4gを、幅8cm、長さ8cm、厚さ0.5mmのスペーサーを用いて、熱プレスにて熱プレス温度200℃~250℃で、予熱1~3分、圧力20MPaの条件で1分間加圧後、スペーサーごと取り出し、水管冷却式プレスにて圧力20MPaで3分間加圧冷却してシートを作製した。このフィルムから幅5mm、長さ20mmにサンプルを切り出した。
He-Neレーザー、偏光子、補償板、検光子、及び光検出器からなる複屈折測定装置と振動型粘弾性測定装置(レオロジー社製「DVE-3」)を組み合わせ、測定装置を準備した(詳細は、日本レオロジー学会誌Vol.19,p93-97(1991)を参照。)。
切り出したサンプルを粘弾性測定装置に固定し、25℃の室温で貯蔵弾性率E’を周波数96Hzにて測定した。同時に、出射されたレーザー光を偏光子、試料、補償板、検光子の順に通し、光検出器(フォトダイオード)で拾い、ロックインアンプを通して角周波数ω又は2ωの波形について、その振幅とひずみに対する位相差を求め、ひずみ光学係数O’を求めた。このとき、偏光子と検光子の方向は直交し、またそれぞれ、試料の伸長方向に対してπ/4の角度をなすように調整した。貯蔵弾性率E’とひずみ光学係数O’を用いて次式により光弾性係数Cを求めた。
C=O’/E’
<ジナフトフラン化合物の合成>
[合成例1:2,12DNFの合成]
(1-1)(1,1’-ビナフタレン)-2,2’,7,7’-テトラオールの合成
フラスコに、2,7-ジヒドロキシナフタレン(80g、499.5mol)、塩化鉄(162.0g、998.9mol)、水(2.0L)、イソプロパノール(300mL)を入れ、40℃で3時間撹拌した。反応液を室温に冷却した後、酢酸エチル(600mL)と水(600mL)を加え、有機層を抽出した。濃縮し、シリカカラムクロマトグラフィーにより精製することで、緑色固体として(1,1’-ビナフタレン)-2,2’,7,7’-テトラオールを54.2g(収率:67.8%、HPLC純度:89%)得た。
H NMR:(500MHz,DMSO-d) δ ppm =9.20(s,2H),8.93(s,2H),7.68(dd,J=8.5,6.5Hz,4H),7.07(d,J=9.0Hz,2H),6.78(dd,J=8.5,2.5Hz,2H),6.29(d,J=2.0Hz,2H).
Figure 0007416196000102
(1-2)(1,1’-ビナフタレン)-2,2’-ジオール-7,7’-ジメトキシの合成
フラスコに(1,1’-ビナフタレン)-2,2’,7,7’-テトラオール(160g、502.6mol)、メタノール(1800mL)、硫酸(345.1g、3.52mol)を入れ、80℃で撹拌した。反応液に対し、室温で酢酸エチル(2L)を加え、飽和炭酸カリウム水溶液でpHを7~8に中和した。水(2L)を加え、有機層を抽出した後、濃縮することで茶色液体として(1,1’-ビナフタレン)-2,2’-ジオール-7,7’-ジメトキシを417g得た。一部モノメトキシ体も取得されたがそのまま次工程に使用した。
H NMR:(400MHz,CDCl) δ ppm =7.89-7.82(m,2H),7.80-7.73(m,2H),7.24-7.18(m,2H),7.06-6.97(m,2H),6.49(br s,2H),5.08(br s,2H),3.74-3.42(s,6H).
Figure 0007416196000103
(1-3)2,12-ジメトキシジナフトフランの合成
フラスコに(1,1’-ビナフタレン)-2,2’-ジオール-7,7’-ジメトキシ(180g、446.9mol)、パラトルエンスルホン酸(115.4g、670.4mol)、トルエン(2.4L)を入れ、140℃で三日間撹拌した。反応液濃縮後、酢酸エチル(8L)により希釈し、飽和炭酸カリウム水溶液でpH7~8に中和した。その後水(8L)を加え、有機層を抽出した後、シリカカラムクロマトグラフィーにより精製し、黄色固体として2,12-ジメトキシジナフトフランを117g(HPLC純度:64%)得た。
Figure 0007416196000104
(1-4)2,12DNFの合成
フラスコに2,12-ジメトキシジナフトフラン(48.9g、148.9mol)、ジクロロメタン(1,0L)を仕込み、-78℃で3臭化ホウ素(93.3g、372.3mol)を入れ、20℃で5時間撹拌した。水(3L)を滴下し、濃縮し有機層を除いた後、酢酸エチル(3L)を加え、有機層を抽出した。濃縮により白色固体として2,12DNFを43g(収率:96.2%、HPLC純度:100%)得た。
H NMR:(400MHz,DMSO-d) δ ppm =10.07(s,2H),8.31(d,J=1.6Hz,2H),8.01(d,J=8.8Hz,2H),7.95(d,J=8.8Hz,2H),7.71(d,J=8.8Hz,2H),7.19(dd,J=8.8,2.0Hz,2H).
Figure 0007416196000105
[合成例2:2,12DNFEの合成]
フラスコに2,12DNF(7g、23.3mol)、ジメチルホルムアミド(230mL)、炭酸カリウム(322.2mg、2.33mol)を仕込み、エチレンカーボネート(8.2g、93.2mol)をジメチルホルムアミド(20mL)に溶解させたのち、フラスコに滴下した。120℃で反応液を16時間撹拌した後、氷水(400mL)を加え、ろ過することで固体を得た。この固体はアセトニトリルにて20℃で懸洗することにより、灰色固体として2,12DNFEを8.5g(収率:94.3%、HPLC純度:100%)得た。
H NMR:(400MHz,DMSO-d) δ ppm =8.43(d,J=2.0Hz,2H),8.13(d,J=8.8Hz,2H),8.04(d,J=8.8Hz,2H),7.82(2H,d,J=8.8Hz),7.36(dd,J=8.8,2.0Hz,2H),4.97(t,J=5.2Hz,2H),4.28(t,J=4.8Hz,4H),3.86(dd,J=8.8,5.2Hz,4H).
Figure 0007416196000106
[合成例3:2,12DNFMの合成]
フラスコに2,12DNF(15g、49.95mmol)、アセトニトリル(1.5L)、KCO(27.61g、199.80mmol)及び2-ブロモ酢酸メチル(19.10g、124.87mmol、11.79mL)を入れ、窒素下、85℃で16時間撹拌した。
反応混合物を80℃で濾過し、ろ取した固体を真空下で乾燥させて固体(23g)を取得した。次いで、得た固体とアセトニトリル(200mL)をフラスコに入れ、80℃で1時間撹拌し、20℃で1時間冷却した。その後溶液を濾過し、ろ取した固体を乾燥させて、白色固体として2,12DNFMを20.6g(収率:93%、HPLC純度:99.4%)を得た。
H NMR:(400MHz,CDCl) δ ppm =8.56(d,J=2.0Hz,2H),8.01(d,J=8.8Hz,2H),7.89(d,J=8.8Hz,2H),7.71(d,J=8.8Hz,2H),7.29(dd,J=2.0,8.8Hz,2H),4.94(s,4H),3.81(s,6H).
Figure 0007416196000107
[合成例4:3,11DNFEの合成]
(3-1)2-ヒドロキシ-6-メトキシ-ナフタレンの合成
フラスコに、ジオキサン(1000mL)及びHO(200mL)、2-ブロモ-6-メトキシ-ナフタレン(100g、421.78mmol、250.00mL)を入れ、脱気して水素置換を3回繰り返した。次いで、KOH(94.66g、1.69mol)、t-BuXphos(7.16g、16.87mmol)及びPd(dba)(5g、5.46mmol)を加え、再度脱気して水素置換を3回繰り替えした後、80℃にて16時間撹拌した。反応液を酢酸エチル(1000mL×4)で抽出し、続けて有機層をHO(1000mL×2)で洗浄し、濾過し、濾液を減圧下で濃縮して、粗生成物を得た。その後フラスコに、粗生成物とジクロロメタン:n-ヘプタン(120mL:1200mL)をフラスコに入れ、25℃、60分間撹拌し、固体を濾過により収集し、真空乾燥して、黄色固体として2-ヒドロキシ-6-メトキシ-ナフタレン55g(収率:55%)を得た。
H NMR:(400MHz,DMSO-d) δ ppm =7.64-7.59(m,1H),7.56(d,J=9.2Hz,1H),7.17(d,J=2.4Hz,1H),7.08-7.00(m,3H),3.81(s,3H).
Figure 0007416196000108
(3-2)1-(2-ヒドロキシ-6-メトキシ-1-ナフチル)-6-メトキシ-ナフタレン-2-オールの合成
フラスコに、イソプロピルアルコール(195mL)、2-ヒドロキシ-6-メトキシ-ナフタレン(55g、315.74mmol)、HO(1270mL)、FeCl(102.43g、631.47mmol、36.58mL)を入れ、窒素下、40℃で3時間撹拌した。反応液を酢酸エチル(1000×2)で抽出し、HO(1000mL×2)及び飽和食塩水(1000mL)で洗浄した後に、濾過し、濾液を減濃縮して、1-(2-ヒドロキシ-6-メトキシ-1-ナフチル)-6-メトキシ-ナフタレン-2-オール(24g、収率:43%)を得た。
H NMR:(400MHz,DMSO-d) δ ppm =8.95(s,2H),7.74(d,J=8.0Hz,2H),7.26(s,4H),6.85(s,4H),3.81(s,6H).
Figure 0007416196000109
(3-3)3,11-ジメトキシジナフトフランの合成
トルエン(1000mL)中の1-(2-ヒドロキシ-6-メトキシ-1-ナフチル)-6-メトキシ-ナフタレン-2-オール(51g、147.24mmol)の撹拌混合物をp-TsOH(50.71g、294.48mmol)、窒素下、125°Cで28時間撹拌した。反応混合物を25℃に冷却し、KCO飽和水溶液(約1000mL)で希釈してpHを6~7に調整し、沈殿した固体を濾過により取得した。フラスコに、得た固体とジオキサン(1500mL)を入れ、105℃で2時間撹拌し、次に酢酸エチル(300mL)とn-ヘプタン(1500mL)を加え25℃で2時間撹拌した後にろ過することで、灰色の固体として3,11-ジメトキシジナフトフラン26g(収率:50%)を得た。
H NMR:(400MHz,DMSO-d) δ ppm =8.95(d,J=9.2Hz,2H),8.06-8.00(m,2H),7.99-7.91(m,2H),7.66(d,J=2.8Hz,2H),7.48(dd,J=2.8,9.2Hz,2H),3.95(s,6H).
Figure 0007416196000110
(3-4)3,11-ジヒドロキシジナフトフランの合成
フラスコに、3,11-ジメトキシジナフトフラン(34g、103.54mmol)、CHCl(600mL)を入れ、-78℃に冷却し、窒素下とした後に、BBr(77.82g、310.63mmol、29.93mL)を滴下した。25°Cで16時間撹拌した後に、HO(500mL)を加え、酢酸エチル(500mL×3)で抽出した。取得した有機層を飽和食塩水(500mL)で洗浄し、濾過し、濃縮して、固体を取得し、フラスコに、得た固体を酢酸エチル(60mL)及びn-ヘプタン(600mL)を入れ、25℃、16時間撹拌した後にろ過して固体を取得する操作を2回実施することで、3,11-ジヒドロキシジナフトフラン(30g、収率:75%)を褐色の固体として得た。
H NMR:(400MHz,DMSO-d) δ ppm =9.93(s,2H),8.89(d,J=9.2Hz,2H),7.90-7.83(s,4H),7.44-7.37(m,4H).
Figure 0007416196000111
(3-5)3,11DNFEの合成
フラスコに、3,11-ジヒドロキシジナフトフラン(10g、33.30mmol)、DMF(200mL)、KCO(460.22mg、3.33mmol)を入れ、窒素下とした後に、更にエチレンカーボネート(11.73g、133.20mmol、8.89)mL)をDMF(120mL)に溶かし溶液にして、120°Cで滴下した。120℃、16時間撹拌した後に、水(500mL)を注ぎ、沈殿した固体を濾過により取得し、乾燥させて固体を得た。フラスコに、得た固体とメタノール(1500mL)を入れ、80℃で2時間撹拌しろ過した後に固体を取得する操作を3回繰り返した。
続いて、フラスコに、得た固体とアセトニトリル(100mL)80℃で16時間撹拌しろ過した後に固体を取得した。続いて、フラスコに、得た固体とトルエン(100mL)を加え、120℃で2時間撹拌しろ過した後に固体を取得する操作を3回実施した。真空乾燥させて、薄黄色結晶固体として3,11DNFE(5.9g、収率:72%)を得た。
H NMR:(400MHz,DMSO-d) δ ppm =8.96(d,J=9.2Hz,2H),8.05-7.94(m,4H),7.67(d,J=2.8Hz,2H),7.50(dd,J=9.2,2.8Hz,2H),4.97(t,J=5.6Hz,2H),4.20(t,J=5.2Hz,4H),3.84(q,J=5.2Hz,4H).
Figure 0007416196000112
<熱可塑性樹脂の製造>
(使用原料)
上記で製造したジナフトフラン化合物以外に、以下の実施例及び比較例でポリカーボネート共重合体の製造に用いた原料は次の通りである。
BPEF:大阪ガスケミカル社の製品。
BNEO:特開2016-204293号公報に開示の方法により合成した。
BNEF:国際公開第2018/230394号に開示の方法により合成した。
EG:富士フイルム和光純薬社の製品。
BPA:三菱ケミカルエンジニアリングプラスチックス社の製品。
DPC:三菱ケミカル社の製品。
PFM:特開2015-25111号公報に開示の方法により合成した。
DMT:富士フイルム和光純薬社の製品。
炭酸セシウム(CsCO、富士フイルム和光純薬社の製品)。
酢酸カルシウム一水和物(Ca(CHCOO)・HO、キシダ化学社の製品)。
(実施例1)
2,12DNFEの1.27g(0.0033モル)、BPEFの12.88g(0.0294モル)、DPCの7.13g(0.0333モル)、及び触媒として酢酸カルシウム一水和物の5.75×10-4g(3.26×10-6モル)を0.2%水溶液として反応容器に投入し、窒素雰囲気下にて、加熱槽温度を150℃に加熱し、必要に応じて攪拌を行い、60分で220℃まで常圧で昇温して原料を溶解させた。
反応の第1段目の工程として、220℃を保って、圧力を常圧から13.3kPaまで40分で減圧した後、13.3kPaで60分保持し、発生するフェノールを反応容器外へ抜き出した。第2段目の工程として、加熱槽温度を240℃まで20分で上昇させ、かつ、30分で圧力を0.200kPa以下になるように制御しながら、発生するフェノールを反応容器外へ抜き出した。所定の攪拌トルクに到達後、反応を終了し、生成した反応物を反応容器から取り出して、ポリカーボネート共重合体を得た。
得られたポリカーボネート共重合体の還元粘度は0.158dl/gであった。屈折率を20℃で測定するとnC=1.639、nD=1.647、ne=1.655、nF=1.669であり、アッベ数は22であった。また、このポリカーボネート共重合体のNMRスペクトルを図5に示す。
(実施例2)
2,12DNFEの3.89g(0.0100モル)、BPEFの10.24g(0.0234モル)、DPCの7.44g(0.0347モル)、及び触媒として酢酸カルシウム一水和物の2.94×10-3g(1.67×10-5モル)を2%水溶液として反応容器に投入し、窒素雰囲気下にて、加熱槽温度を150℃に加熱し、必要に応じて攪拌を行い、60分で220℃まで常圧で昇温して原料を溶解させた以外は実施例1と同様にしてポリカーボネート共重合体を得た。
得られたポリカーボネート共重合体の還元粘度は0.247dl/gであった。
(実施例3)
2,12DNFEの3.36g(0.0087モル)、BNEFの10.89g(0.0202モル)、DPCの6.43g(0.0300モル)、及び触媒として酢酸カルシウム一水和物2.54×10-4g(1.44×10-6モル)を0.2%水溶液として反応容器に投入し、窒素雰囲気下にて、加熱槽温度を150℃に加熱し、必要に応じて攪拌を行い、60分で220℃まで常圧で昇温して原料を溶解させた以外は実施例1と同様にしてポリカーボネート共重合体を得た。
得られたポリカーボネート共重合体の還元粘度は0.429dl/gであった。
(実施例4)
2,12DNFEの1.07g(0.0028モル)、BPEFの10.87g(0.0248モル)、DPCの4.84g(0.0226モル)、PFMの3.53g(0.0055モル)、及び触媒として酢酸カルシウム一水和物3.30×10-3g(1.87×10-5モル)を2%水溶液として反応容器に投入し、窒素雰囲気下にて、加熱槽温度を150℃に加熱し、必要に応じて攪拌を行い、60分で180℃まで常圧で昇温して原料を溶解させた。さらに250℃まで120分で昇温し、250℃で30分保持して、一段目の反応を行った。
第二段目の反応として、温度を250℃から270℃へ90分で昇温すると同時に常圧から90分かけて圧力を0.200kPa以下になるように制御しながら徐々に減圧し、発生するフェノールを反応容器外へ抜き出した。所定の攪拌トルクに到達後、反応を終了し、生成した反応物を反応容器から取り出して、ポリエステルカーボネート共重合体を得た。
得られたポリカーボネート共重合体の還元粘度は0.334dl/gであった。
(実施例5)
2,12DNFEの4.41g(0.0114モル)、BPEFの2.68g(0.0061モル)、PFMの11.20g(0.0175モル)、及び触媒として酢酸カルシウム一水和物3.30×10-3g(1.87×10-5モル)を2%水溶液として反応容器に投入し、窒素雰囲気下にて、加熱槽温度を150℃に加熱し、必要に応じて攪拌を行い、60分で180℃まで常圧で昇温して原料を溶解させた。さらに250℃まで120分で昇温し、250℃で30分保持して、一段目の反応を行った。
第二段目の反応として、温度を250℃から270℃へ90分で昇温すると同時に常圧から90分かけて圧力を徐々に0.200kPa以下になるように制御しながら減圧し、発生するフェノールを反応容器外へ抜き出した。所定の攪拌トルクに到達後、反応を終了し、生成した反応物を反応容器から取り出して、ポリエステル共重合体を得た。
得られたポリエステル共重合体の還元粘度は0.390dl/gであった。
(実施例6)
2,12DNFEの7.23g(0.0186モル)、BNEFの3.34g(0.0062モル)、EGの2.70g(0.0435モル)、DMTの6.03g(0.0310モル)及びエステル交換触媒としてTBTの8.52×10-4g(2.50×10-6モル)をEG溶液として反応容器に投入した。窒素雰囲気下にて、加熱槽温度を150℃に加熱し、必要に応じて攪拌を行い、60分で220℃まで常圧で昇温して原料を溶解しながら、反応の第1段目の工程として、180分で250℃まで常圧で昇温してエステル交換反応を行い、所定量のメタノールを留出させ、250℃で30分保持した。その後重合触媒となるTBTの3.20×10-3g(9.40×10-6モル)をEG溶液として投入した。
第2段目の工程として、温度を250℃から270℃へ90分で昇温しながら、圧力を常圧から0.2kPaまで90分で減圧した後、保持して、発生する水と過剰のEGを反応容器外へ抜き出した。所定の攪拌トルクに到達後、反応を終了し、生成した反応物を反応容器から取り出して、ポリエステル共重合体を得た。
得られたポリエステル共重合体の還元粘度は0.144dl/gであった。
(実施例7)
2,12DNFEの5.95g(0.0153モル)、BNEFの8.25g(0.0153モル)、DPCの6.83g(0.0319モル)、及び触媒として酢酸カルシウム一水和物5.40×10-4g(3.06×10-6モル)を2%水溶液として反応容器に投入した以外は実施例1と同様にして、ポリカーボネート共重合体を得た。
得られたポリカーボネート共重合体の還元粘度は0.274dl/gであった。
(実施例8)
2,12DNFEの2.46g(0.0063モル)、BPEFの8.32g(0.0190モル)、BNEFの3.41g(0.0063モル)、DPCの7.04g(0.0329モル)、及び触媒として酢酸カルシウム一水和物2.78×10-4g(1.58×10-6モル)を0.2%水溶液として反応容器に投入した以外は実施例1と同様にして、ポリカーボネート共重合体を得た。
得られたポリカーボネート共重合体の還元粘度は0.530dl/gであった。
(実施例9)
2,12DNFEの1.20g(0.0031モル)、BNEOの4.64g(0.0124モル)、BNEFの8.35g(0.0155モル)、DPCの6.91g(0.0322モル)、及び触媒として酢酸カルシウム一水和物2.73×10-4g(1.55×10-6モル)を0.2%水溶液として反応容器に投入した以外は実施例1と同様にして、ポリカーボネート共重合体を得た。
得られたポリカーボネート共重合体の還元粘度は0.273dl/gであった。
(実施例10)
2,12DNFEの1.24g(0.0032モル)、BPEFの11.21g(0.0256モル)、BNEFの1.72g(0.0032モル)、DPCの7.12g(0.0332モル)、及び触媒として酢酸カルシウム一水和物2.81×10-4g(1.60×10-6モル)を0.2%水溶液として反応容器に投入した以外は実施例1と同様にして、ポリカーボネート共重合体を得た。
得られたポリカーボネート共重合体の還元粘度は0.394dl/gであった。
(実施例11)
2,12DNFの1.00g(0.0033モル)、BPEFの13.14g(0.0300モル)、DPCの7.49g(0.0349モル)、及び触媒として炭酸セシウムの5.87×10-3g(1.80×10-5モル)を0.2%水溶液として反応容器に投入し、窒素雰囲気下にて、加熱槽温度を150℃に加熱し、必要に応じて攪拌を行い、60分で240℃まで常圧で昇温して原料を溶解させた。
反応の第1段目の工程として、240℃を保って、圧力を常圧から13.3kPaまで40分で減圧した後、13.3kPaで60分保持し、発生するフェノールを反応容器外へ抜き出した。
第2段目の工程として、加熱槽温度を270℃まで20分で上昇させ、かつ、30分で圧力を0.200kPa以下になるように制御しながら、発生するフェノールを反応容器外へ抜き出した。所定の攪拌トルクに到達後、反応を終了し、生成した反応物を反応容器から取り出して、ポリカーボネート共重合体を得た。
得られたポリカーボネート共重合体の還元粘度は0.444dl/gであった。屈折率を20℃で測定するとnC=1.649、nD=1.657、ne=1.665、nF=1.678、アッベ数は23であった。このポリカーボネート共重合体のNMRスペクトルを図6に示す。
(実施例12)
2,12DNFEの14.06g(0.0362モル)、DPCの7.91g(0.0369モル)、及び触媒として酢酸カルシウム一水和物3.19×10-4g(1.81×10-6モル)を0.2%水溶液として反応容器に投入した以外は実施例1と同様にして、ポリカーボネート共重合体を得た。
(実施例13)
2,12DNFEの4.24g(0.0109モル)、BNEFの3.16g(0.0059モル)、PFMの10.76g(0.0168モル)、及び触媒として酢酸カルシウム一水和物3.30×10-3g(1.87×10-5モル)を2%水溶液として反応容器に投入した以外は実施例5と同様にしてポリエステル共重合体を得た。
得られたポリエステル共重合体の還元粘度は0.587dl/gであった。
(実施例14)
2,12DNFEの5.78g(0.0149モル)、BPAの7.93g(0.0347モル)、DPCの11.16g(0.0521モル)、及び触媒として炭酸セシウムの8.74×10-4g(2.68×10-6モル)を0.2%水溶液として反応容器に投入し、窒素雰囲気下にて、加熱槽温度を150℃に加熱し、必要に応じて攪拌を行い、60分で240℃まで常圧で昇温して原料を溶解させた。
反応の第1段目の工程として、240℃を保って、圧力を常圧から13.3kPaまで40分で減圧した後、13.3kPaで60分保持し、発生するフェノールを反応容器外へ抜き出した。
第2段目の工程として、加熱槽温度を270℃まで20分で上昇させ、かつ、30分で圧力を0.200kPa以下になるように制御しながら、発生するフェノールを反応容器外へ抜き出した。所定の攪拌トルクに到達後、反応を終了し、生成した反応物を反応容器から取り出して、ポリカーボネート共重合体を得た。
得られたポリカーボネート共重合体の還元粘度は0.220dl/gであった。屈折率を20℃で測定するとnC=1.634、nD=1.642、ne=1.650、nF=1.667であり、アッベ数は20であった。また、このポリカーボネート共重合体のNMRスペクトルを図7に示す。
(実施例15)
3,11DNFEの14.06g(0.0362モル)、DPCの7.91g(0.0369モル)、及び触媒として酢酸カルシウム一水和物1.91×10-3g(1.09×10-5モル)を2%水溶液として反応容器に投入した以外は実施例1と同様にして、ポリカーボネート共重合体を得た。
(実施例16)
3,11DNFEの6.63g(0.0171モル)、BPEFの7.48g(0.0171モル)、DPCの7.46g(0.0348モル)、及び触媒として酢酸カルシウム一水和物1.80×10-3g(1.02×10-5モル)を2%水溶液として反応容器に投入した以外は実施例1と同様にして、ポリカーボネート共重合体を得た。
得られたポリカーボネート共重合体の還元粘度は0.355dl/gであった。
(実施例17)
BPEFの7.89g(0.0180モル)、EGの2.39g(0.0385モル)、DMTの2.49g(0.0128モル)、2,12DNFMの5.71g(0.0128モル)、及びエステル交換触媒として酢酸カルシウム1.98×10-2g(1.12×10-4モル)を2%水溶液として反応容器に投入した。窒素雰囲気下にて、加熱槽温度を150℃に加熱し、必要に応じて攪拌を行い、原料を溶解しながら、反応の第1段目の工程として、180分で250℃まで常圧で昇温してエステル交換反応を行い、所定量のメタノールを留出させ、250℃で30分保持した。その後、重合触媒となる酸化ゲルマニウムの6.57×10-3g(6.28×10-5モル)を水溶液として投入した。
第2段目の工程として、温度を250℃から270℃へ90分で昇温しながら、圧力を常圧から0.2kPaまで90分で減圧した後、発生する水と過剰のEGを反応容器外へ抜き出した。所定の攪拌トルクに到達後、反応を終了し、生成した反応物を反応容器から取り出して、ポリエステル共重合体を得た。
得られたポリエステル共重合体の還元粘度は0.429dl/gであった。
(実施例18)
BNEFの8.07g(0.0150モル)、EGの3.16g(0.0509モル)、DMTの2.91g(0.0150モル)、2,12DNFMの6.66g(0.0150モル)、及びエステル交換触媒として酢酸カルシウム1.98×10-2g(1.12×10-4モル)を2%水溶液として反応容器に投入した。窒素雰囲気下にて、加熱槽温度を150℃に加熱し、必要に応じて攪拌を行い、原料を溶解さながら反応の第1段目の工程として、180分で250℃まで常圧で昇温してエステル交換反応を行い、所定量のメタノールを留出させ、250℃で30分保持した。その後、重合触媒となる酸化ゲルマニウムの6.57×10-3g(6.28×10-5モル)を水溶液として投入した。
第2段目の工程として、温度を250℃から270℃へ90分で昇温しながら、圧力を常圧から0.2kPaまで90分で減圧した後、保持して、発生する水と過剰のEGを反応容器外へ抜き出した。所定の攪拌トルクに到達後、反応を終了し、生成した反応物を反応容器から取り出して、ポリエステル共重合体を得た。
得られたポリエステル共重合体の還元粘度は0.407dl/gであった。
(比較例1)
BPEFの4.48g(0.0102モル)、2,12-DHEDNTの9.64g(0.00238モル)、DPCの7.44g(0.0347モル)、及び触媒として酢酸カルシウム一水和物の6.00×10-4g(3.40×10-6モル)を0.2%水溶液として反応容器に投入し、窒素雰囲気下にて、加熱槽温度を150℃に加熱し、必要に応じて攪拌を行い、60分で220℃まで常圧で昇温して原料を溶解させた以外は実施例1と同様にしてポリカーボネート共重合体を得た。
得られたポリカーボネート共重合体の還元粘度は0.274dl/gであった。屈折率を20℃で測定するとnC=1.686、nD=1.697、ne=1.708、nF=1.730、アッベ数は16であった。
(比較例2)
BPEFの14.16(0.0323モル)、DPCの7.06g(0.0329モル)、及び触媒として酢酸カルシウム一水和物の1.71×10-3g(9.69×10-6モル)を0.2%水溶液として反応容器に投入し、窒素雰囲気下にて、加熱槽温度を150℃に加熱し、必要に応じて攪拌を行い、60分で220℃まで常圧で昇温して原料を溶解させた以外は実施例1と同様にしてポリカーボネート共重合体を得た。
得られたポリカーボネート共重合体の還元粘度は0.330dl/gであった。屈折率を20℃で測定するとnC=1.634、nD=1.642、ne=1.649、nF=1.762であり、アッベ数は23であった。
(比較例3)
BPEFの12.84g(0.0293モル)、2,12-DHEDNTの1.32g(0.0033モル)、DPCの7.11g(0.0332モル)、及び触媒として酢酸カルシウム一水和物の5.73×10-4g(1.76×10-6モル)を0.2%水溶液として反応容器に投入し、窒素雰囲気下にて、加熱槽温度を150℃に加熱し、必要に応じて攪拌を行い、60分で220℃まで常圧で昇温して原料を溶解させた以外は実施例1と同様にしてポリカーボネート共重合体を得た。
得られたポリカーボネート共重合体の還元粘度は1.152dl/gであった。屈折率を20℃で測定するとnC=1.638、nD=1.647、ne=1.654、nF=1.668であり、アッベ数は22であった。
(比較例4)
三菱ケミカルエンジニアリングプラスチックス社製NOVAREX7020R標準を使用した。この屈折率を20℃で測定するとnD=1.586であり、アッベ数は30であった。
各例の共重合体の測定結果を表1、2に示す。表中、熱可塑性樹脂における含硫黄構造の有無を示した。
Figure 0007416196000113
Figure 0007416196000114
(酸性ガス発生)
比較例1のポリカーボネートについて酸性ガス発生を評価した。
試料(比較例1のポリカーボネート共重合体)約10mgを加熱炉(赤外炉)に入れ、20%酸素含有のヘリウム雰囲気下、昇温速度50℃/分で室温から330℃まで昇温し、30分温度を保持した。このとき発生するガスをGC/MS測定(GC分析条件:40℃5分維持した後、10℃/分で280℃まで昇温し、5分温度保持。イオン化法:電子衝撃イオン化法(EI))し、硫黄含有酸性ガスの発生を確認した。
GC/MS測定には、TPD-GC/MSシステム(加熱炉:三菱ケミカル社オリジナルシステム、GC:Agilent technologies社製6890、MS:Agilent technologies社製5973N、カラム:Ultra ALLOY +-5 30M×0.25mmφ 0.25μm)を用いた。
比較例1のポリカーボネート共重合体は、一般的な成形温度付近である330℃で加熱時に、酸性ガスである二酸化硫黄が発生した。
実施例1のポリカーボネート共重合体は、高い流動性(成形加工性)と最低限の耐熱性の観点で好ましいTgを有するとともに、比較例2と比べ、高い屈折率を有していた。また、比較例3のジナフトチオフェン化合物量と同モル量のジナフトフラン化合物を用いることで、構造中に硫黄を含有しないモノマーを使用しているにもかかわらず比較例3と同等の屈折率向上効果が見られた。また、硫黄を含有しないモノマーを使用しているため、比較例1とは異なり、一般的な成形温度付近である330℃で加熱時に、酸性ガスである二酸化硫黄が発生することは無いと考えられる。
比較例3のポリカーボネート共重合体は、比較例1と同様の含硫黄構造モノマーを使用している。そのため比較例1と同様に、一般的な成形温度付近である330℃で加熱時に、酸性ガスである二酸化硫黄が発生すると考えられる。
実施例1~18のポリカーボネート共重合体は、高い流動性と最低限の耐熱性の観点で好ましいTgを有するとともに、比較例4と比べ、高い屈折率を有していた。また、構造中に硫黄を含有しないモノマーを使用している。そのため比較例1とは異なり、一般的な成形温度付近である330℃で加熱時に、酸性ガスである二酸化硫黄が発生することは無いと考えられる。
また、比較例2では屈折率が1.638であった。比較例2に対して、BPEFを用いた実施例1、2、4、5、8、10、11、16、17では、屈折率が1.647~1.686の範囲内であった。このことからも、本開示の化合物を熱可塑性樹脂の重合モノマーとして用いることで、熱可塑性樹脂の屈折率が向上することを確認できる。
また、実施例5、13より、PFMを共重合することで光弾性係数が低くなり、光弾性係数、屈折率およびTgにおいてバランスのよい樹脂を取得できることが分かる。
(UV吸収スペクトル)
2,12DNFの10mgをクロロホルム500mLに溶解させ、島津製作所社製 UV3150にてUV吸収スペクトルを測定した。別途、2,12-ジヒドロキシジナフトチオフェン(以下「2,12-DODNT」とも記す。)についても上記と同様にしてUV吸収スペクトルを測定した。結果を図1に示す。
図1から、ジナフトフラン骨格はジナフトチオフェン骨格と比較し、長波長側の吸光係数が上昇していることが明らかとなった。ジナフトチオフェン骨格は、その骨格内の硫黄原子が大きいためにチオフェン環とナフタレン環が大きく歪んでいるが、ジナフトフラン骨格は、硫黄原子の代わりに、より原子サイズが小さい酸素原子を含有しているため、フラン環とナフタレン環の歪みが抑制されている。その結果、ジナフトフラン骨格は、ジナフトチオフェン骨格よりも拡張した共役構造を有したことにより長波長側の吸光係数が上昇したと考えられる。また、これによりジナフトフラン骨格がジナフトチオフェン骨格と同様、高い屈折率を示したと考えられる。
(伸び切り鎖構造)
[-O-Q-O-C(=O)-]で表される繰り返し単位からなるポリカーボネートについて、1つの繰り返し単位の一端のエーテル性酸素原子と、この繰り返し単位の他端側(カルボニル基側)に隣接する繰り返し単位の一端のエーテル性酸素原子との間の距離が最長になるコンフォーマーを伸び切り鎖構造と定めた。
ジヒドロキシ化合物が2,12DNFであるポリカーボネート、すなわちQが2,12DNFから2つのヒドロキシ基を除いた残基である繰り返し単位からなるポリカーボネートの伸び切り鎖構造を、Wavefunction社製ソフトウェアPC Spartan Pro 1.0.5を使用し、分子力場MMFFで構造最適化を行って求めた。求めた伸び切り鎖構造を図2に示す。
ジヒドロキシ化合物として3,11DNFを用いたポリカーボネート、ジヒドロキシ化合物として6,8DNFを用いたポリカーボネートについても上記と同様に伸び切り鎖構造を求めた。各伸び切り鎖構造を図3、図4に示す。
ジヒドロキシ化合物が3,11DNF、6,8DNFである場合の伸び切り鎖構造は、環が延伸方向と水平に向いている。そのため、ジヒドロキシ化合物として3,11DNF又は6,8DNFを用いたポリカーボネート構造は、比較的複屈折が大きいと推察される。
一方、ジヒドロキシ化合物が2,12DNFである場合の伸び切り鎖構造は、環が延伸方向と水平ではなく傾斜している。そのため、ジヒドロキシ化合物として2,12DNFを用いたポリカーボネート構造は、比較的複屈折が小さいと考えられる。したがって、2,12DNFは複屈折の観点で特に好ましいと考えられる。
本開示によれば、カーボネート結合及びポリエステル結合のいずれか一方又は両方を有する熱可塑性樹脂のモノマーとして用いたときに、高屈折率で、成形加工性が良好であり、金型を腐食する懸念のない熱可塑性樹脂が得られる化合物;高屈折率で、成形加工性が良好であり、金型を腐食する懸念のない熱可塑性樹脂;ならびに前記熱可塑性樹脂を含む光学部材及び光学レンズが提供される。

Claims (15)

  1. 記式(f1)で表される、合物。
    Figure 0007416196000115
    式(f1)中、 及びL はそれぞれ独立に、置換されていてもよい炭素数1~10のアルキレン基、置換されていてもよい炭素数4~10のアリーレン基、又は置換されていてもよい炭素数6~12のアラルキレン基を示し;
    mは0~4の整数を示し;
    nは0~4の整数を示し;
    (L O) は置換位置番号1~6の炭素原子のいずれか1つに結合し;
    (L O) は置換位置番号8~13の炭素原子のいずれか1つに結合し;
    置換位置番号1~6、8~13の炭素原子のうち(L O) 又は(L O) が結合していない炭素原子には、それぞれ独立に水素原子又は任意の置換基が結合し、
    前記任意の置換基は、置換されていてもよい炭素数1~10のアルキル基、置換されていてもよい炭素数3~14のアリール基、置換されていてもよい炭素数1~10のアシル基、置換されていてもよい炭素数1~10のアルコキシ基、置換されていてもよい炭素数3~14のアリールオキシ基、置換されていてもよい炭素数1~10のアシルオキシ基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよい炭素数2~10のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数2~10のアルキニル基、置換基を有するケイ素原子、ハロゲン原子、ニトロ基及びシアノ基からなる群から得られる1種又は2種以上である。
    ただし、
    m及びnが0であり、ヒドロキシ基が置換位置番号5の炭素原子に結合し、かつ、ヒドロキシ基が置換位置番号9の炭素原子に結合している場合を除き、
    m及びnが0であり、ヒドロキシ基が置換位置番号3の炭素原子に結合し、かつ、ヒドロキシ基が置換位置番号11の炭素原子に結合している場合をさらに除く。
  2. 記式(f2)で表される、合物。
    Figure 0007416196000116
    式(f2)中、B 及びBはそれぞれ独立に、ヒドロキシ基、炭素数1~10の有機置換基又はハロゲン原子を示し、
    前記有機置換基は、直鎖状のアルキルオキシ基、分岐鎖を含むアルキルオキシ基、環状のアルキルオキシ基、アリールオキシ基及びアラルキルオキシ基からなる群から得られる1種又は2種以上であり;
    及びL はそれぞれ独立に、置換されていてもよい炭素数1~10のアルキレン基、置換されていてもよい炭素数4~10のアリーレン基、又は置換されていてもよい炭素数6~12のアラルキレン基を示し;
    mは1~4の整数を示し;
    nは1~4の整数を示し;
    (L O) は置換位置番号1~6の炭素原子のいずれか1つに結合し;
    (L O) は置換位置番号8~13の炭素原子のいずれか1つに結合し;
    置換位置番号1~6、8~13の炭素原子のうち(L O) 又は(L O) が結合していない炭素原子には、それぞれ独立に水素原子又は任意の置換基が結合し、
    前記任意の置換基は、置換されていてもよい炭素数1~10のアルキル基、置換されていてもよい炭素数3~14のアリール基、置換されていてもよい炭素数1~10のアシル基、置換されていてもよい炭素数1~10のアルコキシ基、置換されていてもよい炭素数3~14のアリールオキシ基、置換されていてもよい炭素数1~10のアシルオキシ基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよい炭素数2~10のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数2~10のアルキニル基、置換基を有するケイ素原子、ハロゲン原子、ニトロ基及びシアノ基からなる群から得られる1種又は2種以上である。
  3. 記式(f3)で表される、合物。
    Figure 0007416196000117
    式(f3)中、B 及びBはそれぞれ独立に、置換されていてもよい炭素数1~10のアルキレン基、置換されていてもよい炭素数4~10のアリーレン基、又は置換されていてもよい炭素数6~12のアラルキレン基を示し;
    及びL はそれぞれ独立に、置換されていてもよい炭素数1~10のアルキレン基、置換されていてもよい炭素数4~10のアリーレン基、又は置換されていてもよい炭素数6~12のアラルキレン基を示し;
    mは0~4の整数を示し;
    nは0~4の整数を示し;
    (L O) は置換位置番号1~6の炭素原子のいずれか1つに結合し;
    (L O) は置換位置番号8~13の炭素原子のいずれか1つに結合し;
    置換位置番号1~6、8~13の炭素原子のうち(L O) 又は(L O) が結合していない炭素原子には、それぞれ独立に水素原子又は任意の置換基が結合し、
    前記任意の置換基は、置換されていてもよい炭素数1~10のアルキル基、置換されていてもよい炭素数3~14のアリール基、置換されていてもよい炭素数1~10のアシル基、置換されていてもよい炭素数1~10のアルコキシ基、置換されていてもよい炭素数3~14のアリールオキシ基、置換されていてもよい炭素数1~10のアシルオキシ基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよい炭素数2~10のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数2~10のアルキニル基、置換基を有するケイ素原子、ハロゲン原子、ニトロ基及びシアノ基からなる群から得られる1種又は2種以上である。
    ただし、m及びnが0である場合を除く。
  4. 前記L及びLがそれぞれ独立に、置換されていてもよい炭素数1~10のアルキレン基を示す、請求項1~のいずれか一項に記載の化合物。
  5. 前記m及びnが1~4の整数を示す、請求項1、3、4のいずれか一項に記載の化合物。
  6. 前記(LO)が置換位置番号2の炭素原子に結合し、前記(LO)が置換位置番号12の炭素原子に結合している、請求項1~のいずれか一項に記載の化合物。
  7. 置換位置番号1~6、8~13の炭素原子のうち(LO)又は(LO)が結合していない炭素原子には、水素原子が結合している、請求項1~のいずれか一項に記載の化合物。
  8. 複数の2価の構造単位が2価の連結基を介して連結された構造を含む、熱可塑性樹脂であり、
    前記複数の2価の構造単位の少なくとも一部が、下記式(1)で表される構造単位であり、
    前記2価の連結基の少なくとも一部が、カーボネート結合又はエステル結合である、熱可塑性樹脂。
    Figure 0007416196000118
    式(1)中、L及びLはそれぞれ独立に、置換されていてもよい炭素数1~10のアルキレン基、置換されていてもよい炭素数4~10のアリーレン基、又は置換されていてもよい炭素数6~12のアラルキレン基を示し;
    mは0~4の整数を示し;
    nは0~4の整数を示し;
    (LO)は置換位置番号1~6の炭素原子のいずれか1つに結合し;
    (LO)は置換位置番号8~13の炭素原子のいずれか1つに結合し;
    置換位置番号1~6、8~13の炭素原子のうち(LO)又は(LO)が結合していない炭素原子には、それぞれ独立に水素原子又は任意の置換基が結合している。
  9. 前記複数の2価の構造単位の少なくとも一部が、前記式(1)で表される構造単位;ならびに、
    下記式(2)で表される構造単位、下記式(3)で表される構造単位、下記式(4)で表される構造単位、下記式(5)で表される構造単位、下記式(6)で表される構造単位、下記式(7)で表される構造単位及び下記式(8)で表される構造単位からなる群から選ばれる少なくとも一種以上である、請求項に記載の熱可塑性樹脂。
    Figure 0007416196000119
    式(2)中、Rは直接結合、酸素原子、又は炭素数1~40の置換されていてもよいアルキレン基を示し;
    ~Rはそれぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよい炭素数1~10のアルキル基、置換されていてもよい炭素数3~14のアリール基、置換されていてもよい炭素数1~10のアシル基、置換されていてもよい炭素数1~10のアルコキシ基、置換されていてもよい炭素数3~14のアリールオキシ基、置換されていてもよい炭素数1~10のアシルオキシ基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよい炭素数2~10のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数2~10のアルキニル基、置換基を有するケイ素原子、ハロゲン原子、ニトロ基又はシアノ基を示し;
    及びLはそれぞれ独立に、置換されていてもよい炭素数1~10のアルキレン基、置換されていてもよい炭素数4~10のアリーレン基、又は置換されていてもよい炭素数6~12のアラルキレン基を示し;
    oは0~4の整数を示し;
    pは0~4の整数を示す。
    Figure 0007416196000120
    式(3)中、R10~R21は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよい炭素数1~10のアルキル基、置換されていてもよい炭素数3~14のアリール基、置換されていてもよい炭素数1~10のアシル基、置換されていてもよい炭素数1~10のアルコキシ基、置換されていてもよい炭素数3~14のアリールオキシ基、置換されていてもよい炭素数1~10のアシルオキシ基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよい炭素数2~10のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数2~10のアルキニル基、置換基を有するケイ素原子、ハロゲン原子、ニトロ基又はシアノ基を示し;
    及びLはそれぞれ独立に、置換されていてもよい炭素数1~10のアルキレン基、置換されていてもよい炭素数4~10のアリーレン基、又は置換されていてもよい炭素数6~12のアラルキレン基を示し;
    qは0~4の整数を示し;
    rは0~4の整数を示す。
    Figure 0007416196000121
    式(4)中、Vは置換されていてもよいアリーレン基を示し;
    Vの置換基は、水素原子、置換されていてもよい炭素数1~10のアルキル基、置換されていてもよい炭素数3~14のアリール基、置換されていてもよい炭素数1~10のアシル基、置換されていてもよい炭素数1~10のアルコキシ基、置換されていてもよい炭素数3~14のアリールオキシ基、置換されていてもよい炭素数1~10のアシルオキシ基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよい炭素数2~10のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数2~10のアルキニル基、置換基を有するケイ素原子、ハロゲン原子、ニトロ基又はシアノ基であり;
    及びLはそれぞれ独立に、置換されていてもよい炭素数1~10のアルキレン基、置換されていてもよい炭素数4~10のアリーレン基、又は置換されていてもよい炭素数6~12のアラルキレン基を示し;
    sは0~4の整数を示し;
    tは0~4の整数を示す。
    Figure 0007416196000122
    式(5)中、A~Aはそれぞれ独立に=CH-又は=N-を示し;
    22、R23及びR24はそれぞれ独立に、直接結合、置換されていてもよい炭素数1~10のアルキレン基、置換されていてもよい炭素数4~10のアリーレン基、置換されていてもよい炭素数6~12のアラルキレン基、又は置換されていてもよい炭素数1~10のアルキレン基、置換されていてもよい炭素数4~10のアリーレン基からなる群から選ばれる2つ以上の基が、酸素原子、置換されていてよい窒素原子若しくはカルボニル基で連結された基を示し;
    25~R32はそれぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよい炭素数1~10のアルキル基、置換されていてもよい炭素数3~14のアリール基、置換されていてもよい炭素数1~10のアシル基、置換されていてもよい炭素数1~10のアルコキシ基、置換されていてもよい炭素数3~14のアリールオキシ基、置換されていてもよい炭素数1~10のアシルオキシ基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよい炭素数2~10のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数2~10のアルキニル基、置換基を有するケイ素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、又はシアノ基を示し;
    25~R32のうち隣接する少なくとも2つの基が互いに結合して環を形成していてもよく;
    vは0~5の整数値を示す。
    Figure 0007416196000123
    式(6)中、Kは、水素原子、置換されていてもよい炭素数1~10のアルキル基、置換されていてもよい炭素数3~14のアリール基、置換されていてもよい炭素数1~10のアシル基、置換されていてもよい炭素数1~10のアルコキシ基、置換されていてもよい炭素数3~14のアリールオキシ基、置換されていてもよい炭素数1~10のアシルオキシ基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよい炭素数2~10のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数2~10のアルキニル基、置換基を有するケイ素原子、ハロゲン原子、ニトロ基又はシアノ基を示し;
    uは0~4の整数を示し;
    uが2以上である場合、各Kは同一でも異なっていてもよい。
    Figure 0007416196000124
    式(7)中、Kはそれぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよい炭素数1~10のアルキル基、置換されていてもよい炭素数3~14のアリール基、置換されていてもよい炭素数1~10のアシル基、置換されていてもよい炭素数1~10のアルコキシ基、置換されていてもよい炭素数3~14のアリールオキシ基、置換されていてもよい炭素数1~10のアシルオキシ基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよい炭素数2~10のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数2~10のアルキニル基、置換基を有するケイ素原子、ハロゲン原子、ニトロ基又はシアノ基を示し;
    wは0~4の整数を示し;
    wが2以上である場合、各Kは同一であっても異なっていてもよい。
    Figure 0007416196000125
    式(8)中、2個の結合手のうち一方の結合手は置換位置番号1~6の炭素原子のいずれか1つに結合し、他方の結合手は置換位置番号8~13の炭素原子のいずれか1つに結合し;
    置換位置番号1~6、8~13の炭素原子のうち前記結合手が結合していない炭素原子には、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよい炭素数1~10のアルキル基、置換されていてもよい炭素数3~14のアリール基、置換されていてもよい炭素数1~10のアシル基、置換されていてもよい炭素数1~10のアルコキシ基、置換されていてもよい炭素数3~14のアリールオキシ基、置換されていてもよい炭素数1~10のアシルオキシ基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよい炭素数2~10のアルケニル基、置換されていてもよい炭素数2~10のアルキニル基、置換基を有するケイ素原子、ハロゲン原子、ニトロ基又はシアノ基が結合している。
  10. 前記カーボネート結合及び前記エステル結合のいずれか一方又は両方が、下記式(о)で表される炭酸ジエステルに由来するカルボニル炭素を含む、請求項又はに記載の熱可塑性樹脂。
    Figure 0007416196000126
    式(о)中、E及びEはそれぞれ独立に、置換されていてもよい炭素数1~18の脂肪族炭化水素基、又は置換されていてもよい芳香族炭化水素基であり;
    とEとは同一でも異なっていてもよい。
  11. 還元粘度が、0.15~1.50dL/gである、請求項10のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂。
  12. ガラス転移温度が、100~180℃である、請求項11のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂。
  13. 屈折率が、1.62以上である、請求項12のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂。
  14. 請求項13のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂を含む、光学部材。
  15. 請求項13のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂を含む、光学レンズ。
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