JP7416020B2 - スパーク検出装置及びスパーク検出方法 - Google Patents

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Description

本発明は、スパーク検出装置及びスパーク検出方法に関し、とりわけ、金属体処理ラインに適合されたスパーク検出装置及びスパーク検出方法に関する。
一般に、鋼板等の金属体に電気鍍金(めっき)処理を行う金属体処理ラインでは、ストリップ状の金属体が導電性ロールとバックアップロールとによって圧着挟持されながら噴流されためっき溶液中を搬送され、導電性ロールと、金属体の上下面に対向して設けられた上下電極板との間にめっき電流が通電されることで、金属体の上下面上にめっき層が連続的に形成される。
このような電気鍍金ラインにおいて消費される電力は、めっき反応そのものに消費される電力以外に、電極と鋼板との間の電気抵抗によるジュール熱として消費される電力がかなりの割合を占めている。ジュール熱として消費される電力は、めっき反応には全く寄与しておらず、無駄な電力である。したがって、電気鍍金ラインの実際の操業においては、めっき金属の製造工程の省エネルギー化及び電力原単位改善を図るために、電極と鋼板との間隔をできるだけ狭く設定する傾向にある。したがって、このような設定では、電極と鋼板との間の接触(短絡)及びこれによるスパークの痕跡(スパーク疵)が発生する頻度の増大をもたらす。スパーク疵のある金属体は、製品の要件を満たさない。このため、スパーク疵がある製品を検査で見逃し、そのまま顧客先に納品してしまうと、品質上のトラブルが発生する。したがって、電気鍍金ラインにおいて、めっき処理対象である金属体のスパーク疵の発生を防止するための技術が提案されている。
例えば、下記特許文献1には、スパークの発生にともなって生じた傷の深さをファジイ推論により予測する技術が開示されている。
また、下記特許文献2は、被鍍金体と電極との間の電圧及びこれら被鍍金体と電極との間の流れる電流を検出し、これら電圧及び電流が各所定値を外れる場合に、スパーク検出手段により被鍍金体と電極との間のスパークの発生を検出し、電流調整手段によりスパークの発生した鍍金槽における電流量を減少させる技術を開示している。
また、下記特許文献3は、所定時間間隔単位ごとに連続して電流値及び電圧値の変化を求め、電流値が正に変化し且つ電圧値が負に変化したことを判断することでスパーク疵の発生の有無を検出する技術を開示している。
また、下記特許文献4は、通電ロールと電極との間の電流値の移動平均値を算出し、該移動平均値に基づく所定電流範囲(X2以上X1未満)を定常電流範囲として設定し、検出された電流値がX1以上となった後、X2以下となり、更にその後に該定常電流範囲内に戻る挙動を示し、かつ、該挙動の開始から終了までに要する時間が予め設定した所定時間内であるときに、スパークが発生したと判定する技術を開示している。
また、下記特許文献5は、電気鍍金ラインにおける電流値の経時変化値から変化値の平均値を算出し、電極ごとに、平均値の変動に応じて定常電流範囲を自動設定して、定常電流範囲に基づいてスパークを判定する技術を開示している。
特開平5-148697号公報 特開平5-271999号公報 特開平7-150398号公報 特開2004-292927号公報 特開2006-265691号公報
しかしながら、特許文献1に開示された技術は、そもそも、スパーク疵の深さを予測するもので、スパーク疵の原因となるスパークの発生を検出することに着目したものでなかった。
また、特許文献2に開示された技術は、被鍍金体と電極との間のスパークの発生を急激なメッキ電流値の変動により検出しているため、このような急激なめっき電流値の変動によらないスパークの発生を検出することが難しかった。
また、特許文献3に開示された技術は、鋼板の板幅や目付量等のパラメータの変更や、鋼板の搬送速度の変動による電流や電圧の変動、鋼板の振動によって発生する電圧の変動を、スパークが発生したと誤検出してしまうおそれがあった。
また、特許文献4に開示された技術は、スパーク発生の判定基準となる所定電流範囲を、全ての電極におけるスパークの検出に一律に適用しているため、各電極におけるめっき電流設定値が一律でない場合には適用することができなかった。
また、特許文献5に開示された技術は、各めっき電極に対して所定電流範囲を定めるものであるところ、めっき電流に混在したノイズの影響により、スパークの発生を誤判定しまうおそれがあった。
そこで、本発明は、金属体処理ラインにおいて、金属体のスパーク疵の原因となるスパークの発生を検出することができるスパーク検出装置及びスパーク検出方法を提案することを目的とする。
より具体的には、本発明の一つの目的は、金属体を電気的にめっき処理するめっき処理ラインにおいて、めっき電極を流れるめっき電流の変動に基づいてスパークの発生を確実に検出することにより、スパーク疵の発生を防止することができるようにしたスパーク検出装置及びスパーク検出方法を提案することを目的とする。
上記課題を解決するための本発明は、以下に示す発明特定事項乃至は技術的特徴を含んで構成される。
ある観点に従う本発明は、金属体処理ラインに適合されたスパーク検出装置である。前記スパーク検出装置は、金属体を圧着しながら搬送するための導電性の搬送ロールと前記金属体に対向して配置された電極との間を流れる電流信号を取得する電流信号取得部と、取得される前記電流信号に対して、実時間で、高速フーリエ変換アルゴリズムを適用して、周波数スペクトル信号を出力するFFT演算部と、出力される前記周波数スペクトル信号から不要な周波数成分をカットして、特定の周波数スペクトル信号を出力するフィルタ部と、前記特定の周波数スペクトル信号に基づいて、前記金属体においてスパークが発生したか否かを判定する判定部と、を備える。
また、前記フィルタ部は、前記取得される周波数スペクトル信号に基づいて、前記電流信号の直流成分及び高周波成分を前記不要な周波数成分としてカットし得る。
また、前記フィルタ部は、100Hz近傍の周波数をカットオフ周波数として前記高周波成分をカットしても良い。
また、前記スパーク検出装置は、前記特定の周波数スペクトル信号の信号強度に対する所定のスパーク検出しきい値を記憶したしきい値テーブルを更に備えても良い。
また、前記判定部は、前記特定の周波数スペクトル信号の信号強度と前記所定のスパーク検出しきい値とを比較して、前記特定の周波数スペクトル信号の信号強度が前記所定のスパーク検出しきい値を超える場合に、前記スパーク検出信号を出力し得る。
また、別の観点に従う本発明は、前記スパーク検出装置を備えた金属体処理ラインであり得る。
また、別の観点に従う本発明は、金属体処理ラインにおけるスパーク検出方法である。前記スパーク検出方法は、金属体を圧着しながら搬送するための導電性の搬送ロールと前記金属体に対向して配置された電極との間を流れる電流信号を取得することと、取得される前記電流信号に対して、実時間で、高速フーリエ変換アルゴリズムを適用して、周波数スペクトル信号を出力することと、出力される前記周波数スペクトル信号から不要な周波数成分をカットして、特定の周波数スペクトル信号を出力することと、前記特定の周波数スペクトル信号に基づいて、前記金属体においてスパークが発生したか否かを判定することと、を含む。
更にまた、別の観点に従う本発明は、コンピューティングデバイスに、前記スパーク検出方法を実行させるコンピュータプログラム又はこれを記録した記録媒体であり得る。
本発明によれば、金属体処理ラインにおいて、金属体のスパーク疵の原因となるスパークの発生を確実に検出することができるようになる。
また、本発明によれば、このようなスパークの発生を確実に検出することで、万が一、スパークの発生を検出した場合には、金属体処理ラインの運転を直ちに停止するので、製品としてのスパーク疵のある金属体の出荷を未然に防止することができるとともに、めっき処理に伴う電力消費の低減を図ることができるようになる。
本発明の他の技術的特徴、目的、及び作用効果乃至は利点は、添付した図面を参照して説明される以下の実施形態により明らかにされる。本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、また他の効果があることを妨げるものではない。
図1は、本発明の一実施形態に係るスパーク検出装置が適用された金属体処理ラインの概略的構成の一例を示す図である。 図2は、本発明の一の実施形態に係るスパーク検出装置の概略的構成の一例を示す図である。 図3は、本発明の一の実施形態に係るスパーク検出装置の処理を説明するためのフローチャートの一例を示す図である。 図4は、本発明の一の実施形態に係る金属体処理ラインにおけるスパーク検出装置に入力された電流信号の一例を示す図である。 図5は、図4に示した電流信号に対して高速フーリエ変換アルゴリズムを適用した周波数スペクトルを示す図である。 図6は、図5に示した周波数スペクトルについて不要な周波数成分を除去し、更に、逆FFTアルゴリズムを適用した電流信号の一例を示す図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、あくまでも例示であり、以下に明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形(例えば各実施形態を組み合わせる等)して実施することができる。また、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付して表している。図面は模式的なものであり、必ずしも実際の寸法や比率等とは一致しない。図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることがある。
図1は、本発明の一実施形態に係るスパーク検出装置が適用された金属体処理ラインの概略的構成の一例を示す図である。本開示において、金属体処理ライン1は、めっき処理空間内のめっき溶液中を連続的に搬送される金属体Mに所定のめっき電流を流すことにより、金属体Mにめっき処理を施す電気めっき処理ラインであるものとする。金属体Mは、例えば鋼板であるが、これに限定されない。
同図に示すように、金属体処理ライン1は、概略的には、例えば、制御指令装置10と、複数の搬送ロール20と、複数の電極板30と、めっき溶液供給部40と、めっき溶液回収槽50と、電源部60と、電流計測器70と、スパーク検出装置80とを含み構成される。
制御指令装置10は、金属体処理ライン1の運転を統括的に制御するための指令を発する装置である。シーケンサは、制御指令装置10の一形態である。制御指令装置10は、所定の制御シーケンスプログラムに従って、複数の搬送ロール20の駆動を制御しながら、めっき溶液供給部40を制御する。また、制御指令装置10は、後述するように、めっき処理中に、スパーク検出装置80によりスパークの発生が検出された場合に、例えばめっき処理が停止されるように制御を行う。
複数の搬送ロール20は、めっき処理空間内に所定の間隔を空けて配置され、金属体Mを圧着挟持しながら連続的に搬送するように構成されたロールである。本例では、複数の搬送ロール20のそれぞれは、第1のロール20aとこれに対向する第2のロール20bとからなる一対のロールとして構成される。第1のロール20aは、圧着された金属体Mに電流を通電可能に構成された導電性のロールである。第2のロール20bは、金属体Mを第1のロール20aに所定の押圧力で圧着するためのいわゆるバックアップロールである。本例では、第2のロール20bは、非導電性のロールであるものとするが、これに限られず、第1のロール20aと同様に、導電性のロールとして構成されても良い。
複数の電極板30は、金属体Mの搬送方向に所定の間隔ごとに配置されためっき電極である。本例では、複数の電極板30のそれぞれは、搬送される金属体Mの上下面のそれぞれに近接するように配置された上部電極板30aと下部電極板30bとからなる一対のめっき電極として構成される(図中、一対の電極板30のみが示されている。)。複数の電極板30のそれぞれは、配線64に接続される。
めっき溶液供給部40は、搬送される金属体Mの表面にめっき溶液を噴流するための複数のノズルを含み構成される。めっき溶液は、金属体Mをめっきする金属の種類に応じて適宜に選択される。めっき溶液供給部40は、制御指令装置10の制御の下、金属体Mの搬送速度に合わせて、適宜の量のめっき溶液を噴流する。噴流されためっき溶液は、めっき溶液回収槽50に滴下し、回収される。
電源部60は、制御指令装置10の制御の下、電源部60を介して、第1のロール20aと複数の電極板30との間に所定の電圧を印加する。電源部60は、例えば交流電源61と整流器62とを含み構成されるがこれに限られず、直流電源が用いられても良い。
制御指令装置10の制御の下、めっき処理空間内を複数の搬送ロール20によって搬送される金属体Mに、めっき溶液供給部40からめっき溶液が噴流される一方、第1のロール20aと電極板30との間に所定の電圧が印加されることにより、めっき溶液中の金属イオンが析出され、金属体Mの表面にめっき層が形成され、金属体Mが搬送されるにつれて、そのめっき層が成長していく。なお、本開示では、めっき処理は、めっき溶液中の金属イオンを析出させる方式を採用しているが、これに限られず、可溶性の電極を溶解させて金属イオンを析出させる方式であっても良い。
電流計測器70は、配線64を流れる電流信号の値を計測する。図中、電流計測器70は、1つのみが示されているが、各電極板30に接続された配線64に設けられる。電流計測器70は、計測した電流信号をスパーク検出装置80に出力する。なお、本例では、電流計測器70は、後述するスパーク検出装置80とは別体として構成されるが、スパーク検出装置80の一部として構成されても良い。
スパーク検出装置80は、めっき処理中の金属体Mでのスパークの発生を検出するための装置である。スパーク検出装置80は、例えば、マイクロコンピュータを備える制御回路を含み構成されるが、これに限られない。スパーク検出装置80の機能の全部又は一部は、マイクロコンピュータがコンピュータプログラムを実行することにより、他のハードウェア資源と協働して実現されても良い。スパーク検出装置80は、各電流計測器70から出力される電流信号を受信し、後述するように、受信した電流信号に基づいて、スパークの発生を検出する。
スパーク検出装置80は、概略的には、搬送ロール20(すなわち、本例では第1のロール20a)と電極板30との間に所定の電圧が印加されることにより、搬送ロール20により圧着搬送される金属体Mにめっき処理が行われている間に、配線64を流れる電流信号の特定の周波数領域における信号強度(パワースペクトル密度)に変動が発生したか否かを判断する。つまり、スパーク検出装置80は、金属体Mにスパークが発生したときの信号強度の特異な変動を特定の周波数領域において監視することにより、スパークが発生したか否かを検出する。例えば、スパーク検出装置80は、電流計測器70により取得された電流信号に対して周波数解析処理を行って周波数スペクトル信号を生成し、特定の周波数スペクトル信号についての信号強度の変動を検出した場合に、スパークが発生したと判断する。周波数解析処理には、例えば高速フーリエ変換(以下「FFT」という。)アルゴリズムが用いられる。例えば、特定の周波数スペクトル信号は、例えば、直流成分及び高周波成分が除去(カット)された信号である。スパーク検出装置80は、特定の周波数領域において信号強度の変動を検出した場合には、金属体Mにスパークが発生したと判断して、スパーク検出信号を制御指令装置10に出力する。スパーク検出信号を受信した制御指令装置10は、例えば金属体処理ライン1の運転を停止するように制御を行う。或いは、制御指令装置10は、金属体処理ライン1の管理者に、警告を通知するようにしても良い。
図2は、本発明の一の実施形態に係るスパーク検出装置の概略的構成の一例を示す図である。同図に示すように、スパーク検出装置80は、例えば、受信インターフェース部810と、FFT演算部820と、フィルタ部830と、判定部840と、送信インターフェース部850とを含み構成される。
受信インターフェース部810は、各電流計測器70から出力される電流信号を受信するインターフェース回路である。受信インターフェース部810は、電流信号取得部の一形態である。受信インターフェース部810は、受信した電流信号をFFT演算部820に出力する。
FFT演算部820は、取得される電流信号に対して、例えばFFTアルゴリズムによる周波数解析処理を行って周波数スペクトル信号を生成する。本例では、FFT演算部820は、めっき処理中の実時間において取得される電流信号に対して周波数解析処理を行う。このようなFFT演算部820による周波数解析により、スペクトル信号に対する信号強度のみならず、スペクトル分布を監視することができ、スペクトル分布に基づいてスパーク現象を発見することができるようになる。
フィルタ部830は、周波数解析処理により得られた周波数スペクトル信号に対して、例えば直流成分及び高周波成分を除去(フィルタリング)するバンドパスフィルタである。フィルタ部830は、例えば約100Hz以上の周波数成分を高周波成分としてカットする。つまり、本例では、直流成分及び約100Hz以上の周波数成分を、スパークの検出に対する外乱ノイズとみなしている。他の例として、フィルタ部830は、高周波成分のみをカットするローパスフィルタであっても良い。更に他の例として、フィルタ部830は、約100Hzに代えて、約10Hz、約200Hz、及び約500Hzのいずれかの周波数をカットオフ周波数として、不要な周波数成分としてカットするように構成されても良い。
金属体処理ライン1におけるめっき処理中のスパークは、金属体Mと電極板30との電気的接触により大電流が流れることにより発生する。とりわけ、金属体Mと電極板30との間隙が非常に近接している場合、金属体Mと電極板30とは衝突しやすい状況にあり、スパークを発生させるような接触が、1~2秒程度の間、断続的に起こる。これは、スパークが発生した金属体Mを目視すると、搬送方向(長手方向)に2~4mほどの擦り傷があることからも理解される。本開示では、金属体Mと電極板30との間のこのような断続的な接触による音の周波数成分を効果的に検出するために、フィルタ部830は、約100Hz以上の周波数成分をカットしている。フィルタ部830は、直流成分及び高周波成分を除去された特定の周波数スペクトル信号を判定部840に出力する。
判定部840は、フィルタ部830から出力される特定の周波数スペクトル信号に基づいて、スパークが発生したか否かを判定する。判定部840は、例えば、しきい値テーブル841と比較部842とを含み構成される。
しきい値テーブル841は、特定の周波数スペクトル信号に対する信号強度のしきい値(以下「スパーク検出しきい値」という。)を記憶するルックアップテーブルである。スパーク検出しきい値は、特定の周波数スペクトル信号に応じて適宜に設定される。本例では、直流成分を含まない100Hz以下の周波数領域について、スパーク検出しきい値が設定される。他の例として、直流成分を含まない5Hz以下の周波数領域について、スパーク検出しきい値が設定され得る。なお、本例では、しきい値テーブル841は、判定部840の一部として構成されているが、これに限られず、別に構成されても良い。
比較部842は、特定の周波数スペクトル信号の信号強度が、しきい値テーブル841に設定されたスパーク検出しきい値を超えたか否かを監視し、該信号強度がスパーク検出しきい値を超えたと判断する場合に、スパークが発生したと判定する。判定部840は、スパークが発生したと判定した場合、スパーク検出信号を出力する。
送信インターフェース部850は、スパーク検出装置80と制御指令装置10との間のインターフェース回路である。送信インターフェース部850は、判定部840から出力されるスパーク検出信号を受け取ると、これを制御指令装置10に出力する。これに応答して、制御指令装置10は、例えば金属体処理ライン1の運転を停止するように制御を行う。
図3は、本発明の一の実施形態に係るスパーク検出装置の処理を説明するためのフローチャートの一例を示す図である。かかる処理の全部又は一部は、例えば、マイクロプロセッサの制御の下、所定のコンピュータプログラムが実行されることにより、各種のハードウェア資源との協働により実現される。また、かかる処理は、電極板30に接続された配線64ごとの電流信号に対して行われる。
同図に示すように、受信インターフェース部810は、めっき処理中、電流計測器70から出力される電流号を受信する(S301)。FFT演算部820は、受信インターフェース部810を介して受信した電流信号を周波数解析して、所定の周波数成分に分解した周波数スペクトル信号を生成し、フィルタ部830に出力する(S302)。
フィルタ部830は、FFT演算部820から出力される周波数スペクトル信号に対して直流成分及び高周波成分をフィルタリングし、これにより、特定の周波数スペクトル信号のみを出力する(S303)。本例では、直流成分を含まない100Hz以下の周波数領域のスペクトル信号が出力される。フィルタリングにより得られた特定の周波数スペクトル信号は、判定部840に出力される。
判定部840は、フィルタ部830から出力される特定の周波数スペクトル信号について、しきい値テーブル841を参照し、特定の周波数スペクトル信号の信号強度がスパーク検出しきい値を超えているか否かを判断する(S304)。判定部840は、特定の周波数スペクトル信号の信号強度がスパーク検出しきい値を超えていないと判断する場合(S304のNo)、S301の処理に戻る。
一方、判定部840は、特定の周波数スペクトル信号の信号強度がスパーク検出しきい値を超えていると判断する場合(S304のYes)、スパークが発生したとみなして、スパーク検出信号を出力する(S305)。スパーク検出信号は、送信インターフェース部850を介して、制御指令装置10に送られる。これにより、制御指令装置10は、例えば金属体処理ライン1の運転を停止するように制御を行う。
(実験例)
図4は、本発明の一の実施形態に係る金属体処理ラインにおける電流計測器により取得される電流信号の一例を示すグラフである。図中、横軸は時間であり、縦軸は電流値である。同図に示すように、電流計測器70で実測される電流信号には、配線64に混入している誘導ノイズに起因するいくつかの縦線状の電流値の変動が見られる。また、右側図は、左図中の実線四角枠内を拡大した図であり、スパークの発生を示唆する1~2秒のオーダーで電流値の急激な変動が見られる。一方で、このような縦線状の電流値の変動に対するしきい値を用いたスパークの検出は、スパークの誤検出の原因となる。
図5は、図4に示した電流信号に対してFFTアルゴリズムを適用した周波数スペクトルを示す図である。図中、横軸は周波数であり、縦軸は信号強度(パワースペクトル密度である。同図に示すように、本例では、約5Hz当たりから、信号強度に大きな変動が見られる。
図6は、図5に示した周波数スペクトルについて、直流成分及び5Hz以上の周波数成分を除去し、更に、逆FFTアルゴリズムを適用した電流信号の一例を示す図である。図中、横軸は時間であり、縦軸は電流値である。同図に示す電流信号は、図4に示した電流信号と比較して、縦線状の電流値の変動が除去され、スパーク発生の誤検出の原因となるノイズのない本来の電流信号であることがわかる。
以上のように、本実施形態によれば、金属体処理ライン1での金属体Mに対する電気的めっき処理において、スパーク検出装置80は、取得される電流信号に対してFFTアルゴリズムを適用し、更に、不要な周波成分を除去した特定の周波数スペクトル信号について、その信号強度が所定のしきい値を超えるか否かを判定することにより、金属体Mと電極板30との接触によるスパークの発生を検出しているので、スパーク発生の誤検出を防止することができるようになる。
また、本実施形態によれば、スパーク検出装置80は、このようなスパークの発生を確実に検出し、万が一、スパークの発生を検出した場合に、スパーク検出信号を制御指令装置10に出力しているので、スパーク検出信号を受け取った制御指令装置10は、直ちに、警告を発し、及び/又は、金属体処理ライン1の運転を停止することができる。したがって、製品としてのスパーク疵のある金属体Mの出荷を未然に防止することができるとともに、めっき処理に伴う電力消費の低減を図ることができる。とりわけ、オペレータの目視により金属体Mのスパーク疵の監視をしているような現状に対して、本実施形態のように、確実にスパークの発生を確実に検出することができれば、高い精度でスパーク疵の発見を可能にし、高い品質を維持することができる。
上記各実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな形態で実施することができる。
例えば、本明細書に開示される方法においては、その結果に矛盾が生じない限り、ステップ、動作又は機能を並行して又は異なる順に実施しても良い。説明されたステップ、動作及び機能は、単なる例として提供されており、ステップ、動作及び機能のうちのいくつかは、発明の要旨を逸脱しない範囲で、省略でき、また、互いに結合させることで一つのものとしてもよく、また、他のステップ、動作又は機能を追加してもよい。
また、本明細書では、さまざまな実施形態が開示されているが、一の実施形態における特定のフィーチャ(技術的事項)を、適宜改良しながら、他の実施形態に追加し、又は該他の実施形態における特定のフィーチャと置換することができ、そのような形態も本発明の要旨に含まれる。
1…金属体処理ライン
10…制御指令装置
20…搬送ロール
30…電極板
30a…上部電極板
30b…下部電極板
40…めっき溶液供給部
50…めっき溶液回収槽
60…電源部
61…交流電源
62…整流器
64…配線
70…電流計測器
80…スパーク検出装置
810…受信インターフェース部
820…高速フーリエ変換(FFT)演算部
830…フィルタ部
840…判定部
841…しきい値テーブル
842…比較部
850…送信インターフェース部
M…金属体

Claims (10)

  1. 金属体処理ラインに適合されたスパーク検出装置であって、
    金属体を圧着しながら搬送するための導電性の搬送ロールと前記金属体に対向して配置された電極との間を流れる電流信号を取得する電流信号取得部と、
    取得される前記電流信号に対して、実時間で、高速フーリエ変換アルゴリズムを適用して、周波数スペクトル信号を出力するFFT演算部と、
    出力される前記周波数スペクトル信号から不要な周波数成分をカットして、特定の周波数スペクトル信号を出力するフィルタ部と、
    前記特定の周波数スペクトル信号に基づいて、前記金属体においてスパークが発生したか否かを判定する判定部と、を備える、
    スパーク検出装置。
  2. 前記フィルタ部は、
    前記取得される周波数スペクトル信号に基づいて、前記電流信号の直流成分及び高周波成分を前記不要な周波数成分としてカットする、
    請求項1に記載のスパーク検出装置。
  3. 前記フィルタ部は、100Hz近傍の周波数をカットオフ周波数として前記高周波成分をカットする、
    請求項2に記載のスパーク検出装置。
  4. 前記特定の周波数スペクトル信号の信号強度に対する所定のスパーク検出しきい値を記憶したしきい値テーブルを更に備える、
    請求項1から3のいずれか一項に記載のスパーク検出装置。
  5. 前記判定部は、前記特定の周波数スペクトル信号の信号強度と前記所定のスパーク検出しきい値とを比較して、前記特定の周波数スペクトル信号の信号強度が前記所定のスパーク検出しきい値を超える場合に、スパーク検出信号を出力する、
    請求項4に記載のスパーク検出装置。
  6. 請求項1から5のいずれか一項に記載の前記スパーク検出装置を備えた前記金属体処理ライン。
  7. 金属体処理ラインにおけるスパーク検出方法であって、
    金属体を圧着しながら搬送するための導電性の搬送ロールと前記金属体に対向して配置された電極との間を流れる電流信号を取得することと、
    取得される前記電流信号に対して、実時間で、高速フーリエ変換アルゴリズムを適用して、周波数スペクトル信号を出力することと、
    出力される前記周波数スペクトル信号から不要な周波数成分をカットして、特定の周波数スペクトル信号を出力することと、
    前記特定の周波数スペクトル信号に基づいて、前記金属体においてスパークが発生したか否かを判定することと、を含む、
    スパーク検出方法。
  8. 前記特定の周波数スペクトル信号を出力することは、前記取得される周波数スペクトル信号に基づいて、前記電流信号の直流成分及び高周波成分を前記不要な周波数成分としてカットすることを含む、
    請求項7に記載のスパーク検出方法。
  9. 前記不要な周波数成分としてカットすることは、100Hz近傍の周波数をカットオフ周波数として前記高周波成分をカットする、
    請求項8に記載のスパーク検出方法。
  10. 前記判定することは、前記特定の周波数スペクトル信号の信号強度と所定のスパーク検出しきい値とを比較し、前記特定の周波数スペクトル信号の信号強度が前記所定のスパーク検出しきい値を超える場合に、スパーク検出信号を出力することを含む、
    請求項7から9のいずれか一項に記載のスパーク検出方法。
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