JP7414485B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、これらの複数の機能を有する複合機などの画像形成装置に関する。
画像形成装置では、トナー像が形成された記録材を定着装置において加熱することで、トナー像を記録材に定着する。このような定着装置として、エンドレスベルトと、このエンドレスベルトとの間で記録材を挟持搬送しながら記録材上のトナー像を加熱するニップ部を形成するローラと、エンドレスベルトを加熱するヒータとを備えた構成が従来から知られている。
このような定着装置において、ニップ部に複数の記録材が重なった状態で搬送される重送が生じた場合、記録材の厚みによってエンドレスベルトとローラとの間に隙間が生じる。そして、この隙間が生じた部分ではヒータの熱がローラに奪われないため、エンドレスベルトやヒータが局所的に高温となる。
このため、ヒータの温度を検知し、温度上昇率が高い場合にはヒータへの通電をオフするヒータオフ温度を低くして、エンドレスベルトやヒータが過昇温することを抑制する構成が提案されている(特許文献1)。特許文献1に記載の構成の場合、記録材がニップ部を通過した後は、ヒータオフ温度を元に戻すようにしている。
特開2018-205698号公報
ここで、例えば1つの画像形成ジョブにおいて重送が一度しか発生ないとは限らない。特許文献1に記載の構成の場合、記録材がニップ部を通過した後は、ヒータオフ温度を元に戻すようにしているため、1つの画像形成ジョブにおいて複数回重送が発生した場合、エンドレスベルトやヒータの過昇温を十分に抑制できない虞がある。一方、仮に、ヒータオフ温度を低くしたまま画像形成ジョブを続けた場合、ニップ部の温度が低下して記録材に対するトナー像の定着不良が生じる虞がある。
本発明は、エンドレスベルトやヒータの過昇温の抑制及び定着不良の発生の抑制を図れる構成を提供することを目的とする。
本発明の画像形成装置は、記録材にトナー像を形成する画像形成部と、回転可能なエンドレスベルトと、前記エンドレスベルトとの間で、前記画像形成部でトナー像が形成された記録材を挟持搬送しながら該記録材上のトナー像を加熱するニップ部を形成するニップ部形成部材と、前記エンドレスベルトの回転方向と交差する前記エンドレスベルトの長手方向に沿って配置され、通電により発熱して前記エンドレスベルトを加熱するヒータと、前記ニップ部を通過可能な記録材のうち、前記長手方向のサイズが最小の記録材が通過する最小通過領域よりも前記長手方向外側の領域における前記ヒータの温度を検知する検知部と、単位時間当たりに前記ニップ部を通過する記録材の数である生産性を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記検知部の単位時間当たりの温度上昇率が第1の上昇率である場合、前記生産性を第1の生産性とし、前記温度上昇率が前記第1の上昇率よりも低い第2の上昇率である場合、前記生産性を第2の生産性とし、前記第1の生産性は、前記第2の生産性よりも小さく、前記制御部は、所定枚数の記録材に画像形成を行う画像形成ジョブを実行している際に前記生産性を前記第1の生産性に設定した場合、前記温度上昇率の変化に関らず、前記画像形成ジョブの最後の記録材が前記ニップ部を通過し終わるまで前記生産性を前記第1の生産性以下にする、ことを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置は、記録材にトナー像を形成する画像形成部と、回転可能なエンドレスベルトと、前記エンドレスベルトとの間で、前記画像形成部でトナー像が形成された記録材を挟持搬送しながら該記録材上のトナー像を加熱するニップ部を形成するニップ部形成部材と、前記エンドレスベルトの回転方向と交差する前記エンドレスベルトの長手方向に沿って配置され、通電により発熱して前記エンドレスベルトを加熱するヒータと、前記ニップ部を通過可能な記録材のうち、前記長手方向のサイズが最小の記録材が通過する最小通過領域よりも前記長手方向外側の領域における前記エンドレスベルトの温度を検知する検知部と、単位時間当たりに前記ニップ部を通過する記録材の数である生産性を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記検知部の単位時間当たりの温度上昇率が第1の上昇率である場合、前記生産性を第1の生産性とし、前記温度上昇率が前記第1の上昇率よりも低い第2の上昇率である場合、前記生産性を第2の生産性とし、前記第1の生産性は、前記第2の生産性よりも小さく、前記制御部は、所定枚数の記録材に画像形成を行う画像形成ジョブを実行している際に前記生産性を前記第1の生産性に設定した場合、前記温度上昇率の変化に関らず、前記画像形成ジョブの最後の記録材が前記ニップ部を通過し終わるまで前記生産性を前記第1の生産性以下にする、ことを特徴とする
本発明によれば、エンドレスベルトやヒータの過昇温の抑制及び定着不良の発生の抑制を図れる。
第1の実施形態に係る画像形成装置の概略構成断面図。 第1の実施形態に係る定着装置の概略構成断面図。 第1の実施形態に係るヒータの、(a)一部を切り欠いて表面側から見た平面図、(b)裏面側から見た平面図、(c)(b)のA-A断面図。 商用電源からヒータへの電力供給回路を示す図。 第1の実施形態に係るヒータオフ温度及び生産性の制御のフローチャート。 第1の実施形態に係るヒータオフ温度及び生産性の制御の一例を示すタイミングチャート。 実施例と比較例における中央と端部のサーミスタの温度推移を示すグラフ。 第2の実施形態に係るヒータオフ温度及び生産性の制御のフローチャート。 第3の実施形態に係る定着装置の概略構成断面図。
<第1の実施形態>
第1の実施形態について、図1ないし図7を用いて説明する。まず、本実施形態の画像形成装置の概略構成について、図1を用いて説明する。
[画像形成装置]
図1は、本実施形態における画像形成装置100の概略構成を示す模式的断面図である。この画像形成装置100は電子写真プロセスを利用したレーザービームプリンタである。画像形成装置100は、ホストコンピュータなどの外部機器や原稿読取装置等のデータ出力装置120からエンジンコントローラ114に入力した画像形成ジョブに対応したプリント動作(画像形成動作)を実行する。そして、画像形成ジョブに対応した記録材Pにトナー像を形成した画像形成物を出力する。
画像形成ジョブ(本実施形態ではプリントジョブともいう)とは、画像形成指令信号(本実施形態ではプリント命令信号)に基づいて行う次のような一連の動作のことである。即ち、画像形成を行うにあたり必要となる予備動作(所謂、前回転動作)を開始してから、画像形成工程を経て、画像形成を終了するにあたり必要となる予備動作(所謂、後回転)が完了するまでの一連の動作のことである。このような画像形成ジョブには、画像データ、使用する記録材の種類等に関する情報、レイアウト、枚数、部数、後処理等の画像形成条件が含まれる。
また、1つの画像形成ジョブの後に別の画像形成ジョブが連続して入った場合、前の画像形成ジョブの後回転と、後の画像形成ジョブの前回転を省略して連続してこれらの画像形成ジョブを実行する場合がある。本実施形態では、このような場合であっても、前の画像形成ジョブと後の画像形成ジョブを、それぞれ1つの画像形成ジョブとみなす。但し、これらの連続した画像形成ジョブを1つの画像形成ジョブとみなすようにしても良い。
また、記録材Pは、画像形成装置100によりトナー像(現像剤像)が形成され得る、例えば、シート状の記録媒体である。このような記録材としては、例えば、普通紙、厚紙、薄紙、樹脂シート、光沢紙、葉書、封筒、ラベル、転写材シート、エレクトロファックスシート、静電記録紙、OHPシート、印刷用紙、フォーマット紙等が含まれる。エンジンコントローラ114は、画像形成装置100の各種作像機器を統括的に制御してプリント動作を実行する。
画像形成装置100は、記録材Pにトナー像(トナー画像)を形成する画像形成部100Aを備える。画像形成部100Aは、トナー像を形成するための像担持体としてのドラム型の電子写真感光体である感光ドラム101を有する。感光ドラム101は、矢印Aの時計方向に所定の周速度(プロセススピード)にて回転駆動される。更に画像形成部100Aは、この感光ドラム101に作用する電子写真プロセス機器としての帯電ローラ102、露光装置(本実施形態ではレーザスキャナ)115、現像装置104、転写ローラ108、クリーニング装置110を有する。
感光ドラム101上にトナー像を形成する際には、まず、感光ドラム101の表面を帯電ローラ102により一様に帯電する。次いで、露光装置115が、エンジンコントローラ114に入力された画像データに基づいて、帯電された感光ドラム101に露光光としてのレーザ光103を照射し、感光ドラム101上に静電潜像を形成する。そして、現像装置104が、感光ドラム101上に形成された静電潜像をトナーTにより現像してトナー像とする。現像装置104は、内部に現像剤としてのトナーTを収容しており、このトナーTは感光ドラム101と対向して配置された現像スリーブ106に担持される。そして、現像スリーブ106に担持されたトナーによって、感光ドラム101上の静電潜像が現像される。
なお、現像剤は、非磁性のトナー又は磁性を有するトナーを含む一成分現像剤であっても良いし、非磁性のトナーと磁性を有するキャリアを含む二成分現像剤であっても良い。
感光ドラム101上に形成されたトナー像は、感光ドラム101と転写ローラ108とで形成される転写部において、後述するように、給送カセット107から給送された記録材に転写される。転写後に感光ドラム101に残った転写残トナーは、クリーニング装置110に除去される。クリーニング装置110は、感光ドラム101に当接して感光ドラム101上のトナーや紙粉などを除去するクリーニングブレード109を有する。
記録材収容部としての給送カセット107は、記録材Pを収容する。給送カセット107に収容された記録材Pは、給送部としての給送ローラ112によって1枚ずつ給送される。即ち、給送ローラ112は、画像形成部100Aに記録材を給送可能である。給送された記録材Pは、経路Bを通り、途中で先端がレジストローラ対113に受け止められて斜行が矯正される。レジストローラ対113は、転写部において感光ドラム101上のトナー像の先端部と記録材の先端部とが同期するように、記録材Pを転写部に向けて所定のタイミングにて送り出す。これにより、転写部において、感光ドラム101側のトナー像が記録材P側に電気的作用により順次に転写されていく。
転写部を通った記録材Pは、感光ドラム101から分離されて、画像加熱装置としての定着装置111に導入される。定着装置111は、詳しくは後述するように、導入された記録材Pを加圧・加熱することで、記録材Pに担持されている未定着トナー像が記録材P上に固着像として定着する。定着装置111を出た画像定着済みの記録材Pは、フェイスアップ(FU)排出が選択されていれば、経路Cを通り、画像面が上になってFUトレイ116に排出される。また、フェイスダウン(FD)排出が選択されていれば、経路Dを通り、画像面が下になってFDトレイ117に排出される。
[定着装置]
次に、図2を用いて定着装置111の概略構成について説明する。以下の説明において、定着装置111及び定着装置を構成する部材に関し、長手方向とは、記録材の搬送路面において記録材の搬送方向と直交する方向である、短手方向とは、記録材の搬送路面において記録材の搬送方向と平行な方向である。幅とは、短手方向の寸法である。また、記録材に関し、幅とは記録材の面において記録材の搬送方向と直交する方向の寸法である。上流側と下流側は記録材搬送方向に関して上流側と下流側である。
定着装置111は、加圧ローラ302を回転駆動し、定着フィルム303を加圧ローラ302の搬送力により回転させる、フィルム加熱方式、加圧ローラ駆動方式の所謂テンションレスタイプの装置である。
このような定着装置111は、回転可能なエンドレスベルトとしての定着フィルム303、ニップ部形成部材及び加圧部材としての加圧ローラ302、ヒータ305、第1のサーミスタ301a、第2のサーミスタ301bなどを備える。また、定着装置111は、大別して、駆動回転体でもある加圧ローラ302と、定着フィルム303を備えたフィルムユニット310と、これらを収容している装置フレーム(装置筐体)311と、を有する。一対の回転体としての加圧ローラ302と定着フィルム303との圧接によりニップ部(定着ニップ部)Nが形成される。加圧ローラ302は、定着フィルム303と協働してニップ部Nを形成する回転体である。
定着フィルム303は、記録材Pに形成された未定着トナー像tと接して加熱部材としてのヒータ305の熱を伝熱して加熱する伝熱部材でもある。ニップ部Nは、未定着トナー像tを担持した記録材Pを挟持搬送しながら、記録材上のトナー像tを加熱する部分である。記録材上のトナー像tは、ニップ部Nにおいて、熱と圧力により固着像として記録材上に定着され、定着後、トナー像taとしてニップ部から排出される。
ニップ部Nよりも下流側でニップ部Nの記録材出口部の近傍には、記録材センサ(出口センサともいう)307が配設されている。記録材センサ307は、ニップ部Nを出た記録材の先端が到達したことを検知し、また、通過した記録材の後端も検知する。その検知信号は、制御部としてのCPU(Central Processing Unit:中央演算装置)203に入力される。CPU203は、その入力信号に基づいて記録材Pがニップ部Nで挟持搬送されていること、及び、記録材Pがニップ部Nを抜けたことを検知する。
なお、CPU203は、エンジンコントローラ114が有し、画像形成装置全体を制御するCPUであっても良いし、これとは別に、定着装置111用に設けられたものであっても良い。何れにしても、このようなCPU203を備えた制御装置は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を有している。CPU203は、ROMに格納された制御手順に対応するプログラムを読み出しながら各部の制御を行う。また、RAMには、作業用データや入力データが格納されており、CPUは、前述のプログラム等に基づいてRAMに収納されたデータを参照して制御を行う。
[加圧ローラ]
加圧ローラ302は、弾性ローラであり、芯金302aにシリコーンゴム・フッ素ゴム等の弾性層302bを設けて硬度を下げたものである。表面性及びトナーに対する離型性を向上させるため、弾性層302bの外周面にPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(パーフルオロアルコキシアルカン)、FEP(パーフルオロエチレン-プロペンコポリマー)等のフッ素樹脂層を設けても良い。
加圧ローラ302は、定着フレーム311の長手方向の一端側と他端側の側板間(側板は不図示)に芯金302aの一端部と他端部がそれぞれ軸受部材を介して回転可能に保持されて配設されている。加圧ローラ302は、駆動回転体として、CPU203で制御されるモータ(駆動源)Mの駆動力が駆動伝達機構部(不図示)を介して伝達されて矢印Yの反時計方向に所定の周速度にて回転駆動される。
[フィルムユニット]
フィルムユニット310は、定着フィルム303、加熱部材としてのヒータ305、ヒータ保持部材としてのホルダ304、ステー308、長手方向一端側と他端側のフランジ部材(不図示)等による組立体である。
定着フィルム303は、伝熱部材として低熱容量化を図り、クイックスタート性を向上させるために、膜厚は400μm以下、好ましくは30~80μm程度の耐熱素材たるPTFE、PFA又はFEP等を主成分とする無端帯状体である。
定着フィルム303は、単層構造あるいは複層構造等を使用できる。複層構造としては、樹脂や金属を主成分とするベース層としての無端帯状体の外周面に、弾性層として厚みが300μmのシリコーンゴム層を形成する。ベース層の樹脂としては、ポリイミド、ポリアミドイミド、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、PES(ポリエーテルサルホン)又はPPS(ポリフェニレンスルファイド)等が挙げられる。また、ベース層の金属としては、SUS(ステンレス鋼)、ニッケル等が挙げられる。更に弾性層上には、例えば厚みが約20μmの離形層を設けても良い。離型層としては、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)又はFEP(テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体)等のフッ素樹脂が挙げられる。
本実施形態の定着フィルム303は、ベース層として、厚みが約30μmのニッケル合金から成る円筒形状の部材を用いている。更に、ベース層上には弾性層として厚みが約300μmのシリコーンゴム層を形成し、更に弾性層の上には離形層として厚みが約20μmのフッ素樹脂チューブを被覆している。そして、定着フィルム303を、直径25mm、総厚み350μmの無端帯状としている。
ヒータ305は、セラミックヒータを用いている。このヒータ305の詳しい説明については、後述する。ホルダ304は、高耐熱性の樹脂等が用いられる。ホルダ304は、外面の短手方向中央部に長手方向に沿って設けられた溝部を有し、この溝部にヒータ305が嵌め込まれて固定保持されている。
ステー308は、ホルダ304の内側に配設されてホルダ304をバックアップする補強部材である。即ち、ステー308は、ホルダ304を介してヒータ305を支持する部材である。ステー308は、大きな荷重をかけられても撓みにくい材質であることが望ましく、本実施形態においては横断面コの字形あるいはUの字形のSUS304(ステンレス鋼)型材を使用している。
ヒータ305、ホルダ304、ステー308は、定着フィルム303の回転方向に交差する定着フィルム303の長手方向に長い部材である。なお、本実施形態では、定着フィルム303の長手方向は、上述した記録材の搬送路面において記録材の搬送方向と直交する方向と同じである。定着フィルム303は、上記のヒータ305、ホルダ304、ステー308の組立体に対してルーズに、つまり無張力に外嵌めされている。したがって、定着フィルム303は、ヒータ305を内包している。
定着フィルム303内のステー308の長手方向両端部は、それぞれ定着フィルム303の一端部と他端部から外側に突出している。このステー308の長手方向両端部には、それぞれフランジ部材が嵌着されている。これらのフランジ部材はフィルムユニット310における定着フィルム303の長手方向の移動(スラスト移動)、および周方向の形状を規制している。フランジ部材には耐熱性の樹脂等が用いられ、本実施形態ではPPS(ポリフェニレンサルファイド)を使用している。
フィルムユニット310は、加圧ローラ302に対してヒータ305の側を対向させて実質平行に配列して、一端側と他端側のフランジ部材をそれぞれ定着フレーム311の一端側と他端側の側板に設けたスライドスリット部に係合させて配置されている。そして、一端側と他端側のフランジ部材がそれぞれ加圧機構(不図示)の加圧バネの付勢力で加圧ローラ302の軸線方向に向って押圧されている。これにより、ステー308、ホルダ304を介してヒータ305が定着フィルム303を挟んで加圧ローラ302に対し、弾性層302bの弾性に抗して圧接される。
本実施形態においてフィルムユニット310に対する加圧力は、一端側が約156.8N(16kgf)、総加圧力が約313.3N(32kgf)である。その加圧力により定着フィルム303と加圧ローラ302間には記録材の搬送方向に関して所定幅のニップ部Nが形成される。画像形成装置100のスタンバイ時においては、加圧機構は圧解除機構(不図示)により加圧力が解除されて、ヒータ305と加圧ローラ302との圧接が解除(若しくは圧接力が低減化)されている。即ち、ニップ部Nの形成が実質解除された状態に保持される。
[定着動作]
次に、定着装置111における定着動作について説明する。CPU203は、プリントジョブの実行シーケンスにおける所定の制御タイミングにおいて、圧解除状態の加圧機構を加圧動作させて定着フィルム303と加圧ローラ302と間にニップ部Nを形成させる。そして、CPU203は、モータMを起動させて加圧ローラ302を矢印Yの反時計方向に所定の周速度で回転駆動する。
加圧ローラ302が回転駆動されることで、ニップ部Nにおける加圧ローラ302の表面と定着フィルム303の表面との摩擦力により定着フィルム303に回転力が作用する。そのため、定着フィルム303は、内周面がヒータ305と密着して摺動しながらホルダ304の外周を矢印Xの時計方向に加圧ローラ302の周速度と略同じ周速度をもって従動回転する。ホルダ304は、横断面が半円弧形状であり、定着フィルム303の回転軌道を規制する機能を備えている。
また、加圧ローラ302の回転駆動と共に、ヒータ305に対してCPU203で制御されるトライアック(給電部)200から給電路(不図示)を介して電力供給される。これによりヒータ305が急峻に昇温する。ヒータ305の温度は後述するように所定の目標温度(定着温度)に立ち上げられて温調される。
そして、加圧ローラ302が回転駆動され、ヒータ305が所定の目標温度に立ち上げられて温調されている状態において、画像形成部100A側から未定着トナー像tが形成された記録材Pが定着装置111に送られてニップ部Nに導入される。記録材Pは、ニップ部Nで挟持搬送されていく過程においてヒータ305の熱が定着フィルム303を介して付与される。未定着トナー像tは、ヒータ305の熱によって溶融され、且つ、ニップ部Nにかかっている圧力によって記録材Pに固着像であるトナー像taとして定着される。
[ヒータの構成と電力供給制御]
次に、図3(a)~(c)及び図4を用いて、ヒータ305の構成とヒータ305への電力供給制御について説明する。ヒータ305は、上述のように、セラミックヒータであり、通電により急峻な温度立ち上がり特性を示す低熱容量の長手方向に長い面状加熱体である。ヒータ305は、細長いヒータ基板305aと、その一面側(表面側:ヒータ305の定着フィルム303との摺動面側)に長手方向に沿って形成された発熱体305cを有する。
ヒータ基板305aは、アルミナ(Al)や窒化アルミニウム(AlN)等の良熱伝導性セラミックスを主成分とする。本実施形態では、長さ350mm、幅9mm、厚み1mmの窒化アルミニウム(熱伝導率:100W/(m・K))の細長板材をヒータ基板(セラミック基板)305aとしている。
発熱体305cは、TaSiO、AgPd、TaN、RuO又はニクロム等の電気抵抗材料をスクリーン印刷により塗工・焼成した抵抗発熱体(通電発熱層)である。本実施形態では、長さ300mm、幅2mm、厚み20μmの平行2条の発熱体305cを間隔0.5mmで形成している。平行2条の発熱体305cの長手方向一端部は、互いにヒータ基板面に印刷された導電材料305dで電気的に直列に繋がれている。また、平行2条の発熱体305cの長手方向他端側はそれぞれヒータ基板面に印刷された導電材料の電極305e、305fに電気的に導通している。
また、ヒータ基板305aの上記一面側は、ガラス又はフッ素樹脂等を主成分とする保護層305bでコートされている。保護層305bは、定着フィルム303との摺動等からの保護のために電極305e、305fの部分を除いて、発熱体305cと導電材料305dをカバーするようにしている。
また、ヒータ基板305aの他面側(裏面側:ヒータ305の定着フィルム303との非摺動面側)には、ヒータ305の温度を検知する検知部としての第1のサーミスタ301aと第2のサーミスタ301bが設けられている。第1のサーミスタ301aは、ヒータ温調用の検知部として、発熱体305cの長手方向中央部に対応する位置に配置されている。第2のサーミスタ301bは、記録材の重送検知用の検知部として、第1のサーミスタ301aからヒータ基板305aの長手方向他端側に115mm離れた位置に配置されている。
ヒータ305は、ホルダ304の外面の短手方向中央部に長手方向に沿って設けられた溝部にヒータ表面側(ヒータ基板305aの発熱体305cを形成した一面側)を外向きにして嵌め込まれて固定保持されている。発熱体305cは、トライアック200から電極305e、305fを介して電力が供給されることで全長領域が発熱する。この発熱体305cの発熱により発熱体305cの全長領域に対応するヒータ部分が加熱される。
本実施形態の画像形成装置100において記録材Pの搬送は、所謂中央基準搬送である。即ち、装置に使用可能な大小どのような幅の記録材もその幅方向の中央部が装置の中央基準搬送線(記録材搬送中心)を通るように給送される。図3(a)において、「O」はその中央基準搬送線(仮想線)である。
Wmaxは、装置に使用される最大幅サイズの記録材の通過領域幅である。言い換えれば、ニップ部Nを通過可能な記録材のうち、長手方向のサイズが最大の記録材が通過する最大通過領域の幅である。本実施形態においては、A3縦(297mm)の通過領域幅であり、発熱体305cの長さ300mmはこのWmaxに対応させてある。
Wminは、装置に使用可能な最小幅サイズの記録材の通過領域幅である。言い換えれば、ニップ部Nを通過可能な記録材のうち、長手方向のサイズが最小の記録材が通過する最小通過領域の幅である。第1のサーミスタ301aは、中央基準搬送線Oの位置にほぼ対応した位置に配置されている。即ち、第1のサーミスタ301aは、最小通過領域内に配置され、最小通過領域におけるヒータ305の温度を検知する。一方、第2のサーミスタ301bは、最小通過領域よりも長手方向外側で、最大通過領域内に配置され、最小通過領域よりも外側の領域におけるヒータ305の温度を検知する。
ヒータ305への電力供給制御について、図4に基づいて説明する。図4は、商用電源201からヒータ305の発熱体305cへの電力供給経路を示す模式的ブロック図である。発熱体305cは、トライアック200を介して商用電源201から電力供給を受けるようになっており、商用電源201から発熱体305cへの電力供給は、CPU203により制御されている。
発熱体305cの発熱に伴うヒータ305の温度情報は、ヒータ305の最小幅サイズの記録材の通過領域幅Wminの幅内に配置された第1のサーミスタ301aによるアナログ情報がA/D変換回路202により変換されたデジタル情報である。そのデジタル情報がCPU203に入力される。CPU203は、この入力された温度情報と所定の目標温度(定着温度)とを比較する。そして、その差分から、トライアック200を介して、商用電源201から発熱体305cへの供給電力をPID制御し、ヒータ305の通過領域の温度が所定の目標温度になるように温調する。
CPU203は、ヒータ305の温度情報を所定周期毎に監視し、所定周期毎に発熱体305cへの供給電力を補正する。本実施形態にあっては、所定周期期間において、商用電源201から出力される交流電源の半波毎に商用電源201から発熱体305cへの電力供給に供されるか否かを選択する波数制御を採用している。所定周期に亘る商用電源201から発熱体305cへの供給電力量の調節は、波数制御の他に、商用電源201から出力される交流電源の半波毎に、位相範囲を決定する位相制御もある。
第1のサーミスタ301aは、定着装置111の加熱処理開始(立ち上げ)からプリントジョブの記録材の画像定着工程において、ヒータ305を目標温度に維持するためのヒータ温調用の温度検知部である。そのため、この第1のサーミスタ301aは、ヒータ305の最小幅サイズの記録材の通過領域幅Wminの幅内に位置させてあり、本実施形態では中央基準搬送線Oの位置にほぼ対応した位置に配置している。
即ち、第1のサーミスタ301aは、定着装置111に記録材が導入された際のニップ部Nにおける記録材の通過領域に対応する温度を検知する。CPU203は、第1のサーミスタ301aによって検知された温度に基づいてニップ部Nにおける記録材の通過領域の温度が所定の目標温度に維持されるように、トライアック200からヒータ305への電力供給を制御する。
[記録材の重送検知と装置制御]
次に、記録材の重送検知と、この重送検知に基づく装置の制御について説明する。第2のサーミスタ301bは、記録材の重送を検知するための温度検知部であり、第2のサーミスタ301bによるアナログ情報がA/D変換回路202によりデジタル情報に変換されてCPU203に入力される。CPU203は、この入力されたヒータ305の温度情報に基づき重送検知制御を行う。
第2のサーミスタ301bは、ニップ部Nに記録材Pが通過中の所定時間内におけるヒータ305の検知温度傾きΔT(検知温度の経時変化の傾き(勾配))を検知するための温度検知部である。そのため、最小幅サイズの記録材の通過領域幅Wminの領域外で、かつ発熱体305cの発熱領域内に配置されている。
即ち、第2のサーミスタ301bは、定着装置111に記録材が導入された際のニップ部Nにおける記録材の非通過領域に対応する温度を検知する。CPU203は、第2のサーミスタ301bによって検知された検知温度及び検知温度の経時変化の傾き(勾配)に応じて、本実施形態においてはトライアック200からヒータ305への電力供給を停止させるように、ヒータ305への通電を制御する。
具体的には、後述する図5に示すように、CPU203は、第2のサーミスタ301bによって検知された検知温度及び検知温度の経時変化の傾き(勾配)に応じて、ヒータ305への通電を強制的にOFF(オフ)にする温度の設定を変更する。検知温度の経時変化の傾き(勾配)とは、より具体的には、単位時間当たりの検知温度の温度上昇率である。また、ヒータ305への通電を強制的にOFF(オフ)にする温度をヒータオフ温度(本実施形態では、ヒータ強制OFF温度という)とする。
そして、第2のサーミスタ301bによる検知温度が設定されたヒータオフ温度(ヒータ強制OFF温度)になるまでの間は、ヒータ305への通電を許容してヒータ305の目標温度になるように温調する。第2のサーミスタ301bによる検知温度が設定されたヒータ強制OFF温度になったことに応じて、ヒータ305の通電をOFFにする。
上記のように第2のサーミスタ301bによるアナログ情報がA/D変換回路202によりデジタル情報に変換されてCPU203に入力される。ここで、CPU203は、再びデジタル情報をアナログ情報に変換してから、アナログ情報によって検知温度傾きΔTを計算する構成にすると、デジタル情報によって検知温度傾きΔTを計算する構成よりも誤差が少ない。これは、アナログ情報とデジタル情報は比例関係では無いためである。
本実施形態では、CPU203は、第2のサーミスタ301bで検知した検知温度傾きΔT(即ち、温度上昇率)と、検知温度Tにより、重送が発生したと判断し、制御を変更する。即ち、CPU203は、重送検知部として機能する。具体的な検知方法の一例は、後述する図5のフローチャートの通りである。CPU203が制御を変更するとき、メモリ204に格納された情報を元に、CPU203は制御を変更する。そして、CPU203は、重送検知部による検知結果に応じてヒータ305への通電をOFFするヒータ強制OFF温度を制御する(ヒータ強制OFF温度制御)。ヒータ強制OFF温度制御とは、第2のサーミスタ301bがヒータ強制OFF温度を検知すると、ヒータ305に対する電力の投入をゼロにする制御のことである。
ここで、一度のプリントジョブに対して、重送が一度しか発生しないとは限らない。急峻な温度上昇が検知された場合にヒータへの電力供給をOFFにするヒータ強制OFF温度を変更し、過昇温することを抑制できたとしても、再度重送した場合にヒータが過昇温してしまう場合がある。特に、近年は様々なメディアに対応することが求められており、その中には、表面性が良いものや、コート剤が塗布されているもの、ミシン目が複数入っているものなどが存在し、どれも給送部から給送される際に、重送を引き起こし易い傾向がある。
一方、仮に、ヒータ強制OFF温度を低くしたままプリントジョブを続けた場合、ニップ部の温度が低下して記録材に対するトナー像の定着不良が生じる虞がある。そこで、本実施形態では、第2のサーミスタ301bで検知した検知温度傾きΔTに基づいてヒータ強制OFF温度を変更すると共に、給送カセット107からの記録材の給送間隔も変更するようにしている。
即ち、CPU203は、第2のサーミスタ301bの検知温度の単位時間当たりの温度上昇率(即ち、検知温度傾きΔT)が第1の上昇率である場合には、ヒータ強制OFF温度を第1の温度に設定する。一方、CPU203は、検知温度傾きΔTが第1の上昇率よりも低い第2の上昇率である場合には、ヒータ強制OFF温度を第1の温度よりも高い第2の温度に設定する。これに加えて、CPU203は、検知温度傾きΔTが第1の上昇率である場合の記録材の給送間隔を第1の給送間隔とし、検知温度傾きΔTが第2の上昇率である場合の記録材の給送間隔を第2の給送間隔とする。この際、第1の給送間隔は、第2の給送間隔よりも広くしている。このために、CPU203は、記録材の給送間隔を変更可能に給送ローラ112を制御する。
言い換えれば、本実施形態では、ニップ部Nにおける記録材の非通過領域の温度上昇率が高い場合には、ヒータ強制OFF温度を低くする。ヒータ強制OFF温度を低くした場合にニップ部Nを記録材が連続して通過すると、ニップ部Nの温度が低下して、トナー像を定着させるための温度を維持できなくなる虞がある。このため、ヒータ強制OFF温度を低くした場合には、記録材の給送間隔を広くして、ニップ部の温度低下を抑制するようにしている。以下、図5のフローチャートを用いて具体的に説明する。
まず、CPU203が、例えば所定枚数の記録材に画像形成を行うプリントジョブを実行するプリント命令を受ける(S1)。プリント命令を受け取った画像形成装置100は、記録材の給送間隔として初期生産性を設定し(S2)、記録材Pを給送する(S3)。本実施形態では、初期生産性は、例えば、30cpm(copy/minute)とする。即ち、記録材の給送間隔を1分当たり30枚の記録材を出力する間隔とする。
続いて、画像形成装置100の各部が前述したように動作して、レジストローラ対113から給送された記録材Pに転写部にてトナー像が転写される(S4)。転写像を載せた記録材Pは、定着装置111のニップ部Nに突入する(S5)。記録材Pがニップ部Nに突入したことをCPU203が判断するためには、定着装置111に入口センサが付いていれば、入口センサの信号を使えばよい。定着装置111に入口センサが付いていなければ、搬送距離を搬送速度で割り算すれば、記録材Pがニップ部Nに突入したことを判断できる。
CPU203は、記録材Pがニップ部Nに突入したときの第2のサーミスタ301bの温度T0を読み込む(S6)。本実施形態では、CPU203は記録材Pがニップ部Nに突入した時点から0.1[s]後毎に第2のサーミスタ301bの温度を読み込んでいる。そして、n[s]後(即ち、S6から0.1sec後)にCPU203は第2のサーミスタ301bの温度Tnを読み込む(S7)。更にn+1[s]後(即ち、S7から0.1sec後)、CPU203は第2のサーミスタ301bの温度Tn+1を読み込む(S8)。なお、n、n+1は、符号であり、第2のサーミスタ301bの温度を読み込む間隔を1secに限定するものではない。
次いで、CPU203は、検知温度傾きΔTn+1=Tn+1―Tnを計算する(S9)。もちろん、CPU203は初期の温度傾きΔT1=T1―T0の計算も行う。
CPU203は、検知温度傾き(温度差)ΔTn+1がα1(第1の閾値温度差)より大きく、かつ、温度Tn+1がβ1(第1の閾値温度)より高いかを判断する(S10)。即ち、CPU203は、単位時間当たりの温度上昇率としての検知温度傾きΔTn+1が第1の上昇率で、且つ、記録材がニップ部Nを通過したときの第2のサーミスタ301bにより検知した検知温度Tn+1がβ1より高いか否かを判断する。
S10で、ΔTn+1>α1、且つ、Tn+1>β1を満たせば(S10のYes)、CPU203は、ヒータ強制OFF温度を第1の温度としてのToff1[℃]に設定する(S11)。更に、CPU203は、記録材の給送間隔を初期生産性よりも広げた(言い換えれば、生産性を落とした)第1の給送間隔としての「生産性1」に設定にする(S12)。ここで、例えば、α1=7[℃/0.1s]、β1=240[℃]、Toff1=260[℃]とする。また、生産性1は、例えば、25cpmとする。
一方、CPU203は、S10の要件を満たさなければ(S10のNo)、S13に移行する。具体的には、CPU203は、検知温度傾き(温度差)ΔTn+1がα2(第2の閾値温度差:α2<α1)より大きく、かつ、温度Tn+1がβ2(第2の閾値温度:β2>β1)より高いかを判断する(S13)。即ち、CPU203は、単位時間当たりの温度上昇率としての検知温度傾きΔTn+1が第2の上昇率で、且つ、記録材がニップ部Nを通過したときの第2のサーミスタ301bにより検知した検知温度Tn+1がβ2より高いか否かを判断する。ここで、第2の上昇率は、第1の上昇率よりも低い。即ち、第2の閾値温度差α2は、第1の閾値温度差α1よりも低い。また、第2の閾値温度β2は、第1の閾値温度β1よりも高い。
S13で、ΔTn+1>α2、且つ、Tn+1>β2を満たせば(S13のYes)、CPU203は、ヒータ強制OFF温度を第2の温度としてのToff2[℃]に設定する(S14)。更に、CPU203は、記録材の給送間隔を初期生産性よりも広げた(言い換えれば、生産性を落とした)第2の給送間隔としての「生産性2」に設定にする(S15)。生産性2は、生産性1よりも給送間隔が狭い。即ち、生産性2は、初期生産性より生産性を落とすが、生産性1ほど生産性を落とさない設定である。ここで、例えば、α2=5[℃/0.1s]、β2=250[℃]、Toff1=270[℃]とする。また、生産性2は、例えば、27cpmとする。
一方、CPU203は、S13の要件を満たさなければ(S13のNo)、ヒータ強制OFF温度を初期の設定温度(所定温度)であるToff3[℃](>Toff2[℃])に設定する(S16)。Toff3は、第1の温度としてのToff1及び第2の温度としてのToff2よりも高い。また、例えば、Toff3=285[℃]とする。
なお、S10~S16のいずれかにて設定されたヒータ強制OFF温度や生産性は、CPU203が内蔵される制御装置が備えるメモリに、例えば、後述する表1及び表2に示すようなテーブルとして記憶されている。
次に、CPU203は、ヒータ強制OFF温度及び生産性を次のように採用する(S17)。まず、ヒータ強制OFF温度は、記録材Pの先端がニップ部Nに突入してからS10~S16の間に設定されたヒータ強制OFF温度(Toff1、Toff2、Toff3)のうち、一番低い温度を実際のヒータ強制OFF温度として採用する。次に、生産性も、記録材Pの先端がニップ部Nに突入してからS10~S16の間に設定された生産性(生産性1、生産性2、初期生産性)のうち、一番低い生産性を採用する。なお、初期生産性が採用される場合、S10及びS13でそれぞれ「No」となった場合である。
ここで、本実施形態では、ヒータ強制OFF温度として、Toff1よりも低い温度がない。このためCPU203は、プリントジョブを実行している際にヒータ強制OFF温度をToff1に設定した場合、検知温度傾きの変化に関らず、プリントジョブの最後の記録材がニップ部Nを通過し終わるまでヒータ強制OFF温度をToff1のままとする。なお、ヒータ強制OFF温度としてToff2に設定された後、Toff1に設定されることがなければ、このToff2がプリントジョブの最後の記録材まで継続される。また、プリントジョブ中にToff1やToff2に設定されることがなければ、初期の設定温度であるToff3がプリントジョブの最後の記録材まで継続される。
同様に、生産性として、生産性1よりも低い生産性がない。このためCPU203は、プリントジョブを実行している際に生産性を生産性1に設定した場合、検知温度傾きの変化に関らず、プリントジョブの最後の記録材がニップ部Nを通過し終わるまで生産性を生産性1のままとする。なお、生産性として生産性2に設定された後、生産性1に設定されることがなければ、この生産性2がプリントジョブの最後の記録材まで継続される。また、プリントジョブ中に生産性1や生産性2に設定されることがなければ、初期生産性がプリントジョブの最後の記録材まで継続される。
次に、直前のS8で読み込んだサーミスタ検知温度Tn+1が、上述のS17で設定されたヒータ強制OFF温度(Toff1、Toff2、Toff3の何れか)を超えているか否かを判定する(S18)。サーミスタ検知温度Tn+1が、ヒータ強制OFF温度を超えていたら(S18のYes)、ヒータ305に対する電力の投入をゼロにする(ヒータの強制OFF、S19)。そして、S8で読み込んだサーミスタ検知温度Tn+1をTnとする(S20)。
一方、S18において、サーミスタ検知温度Tn+1がヒータ強制OFF温度を超えていなければ(S18のNo)、CPU203は、ヒータ305に電力を投入しながら温度調整を続け、S20に移行する。
次に、CPU203は、記録材Pの後端がニップ部Nを抜けたかを判断する(S21)。記録材Pの後端がニップ部Nを抜けていない、即ち、記録材Pがまだニップ部Nを通過している場合には(S21のNo)、S8に戻る。即ち、CPU203は、記録材Pがニップ部Nを通過するまでは、0.1秒毎に第2のサーミスタ301bの検知温度Tn+1を読み込み(S8)、検知温度傾きΔTn+1=Tn+1―Tnを計算する(S9)。そして、S10~S20を実行し、ここで設定されたヒータ強制OFF温度を用いてヒータ強制OFF温度制御を行う。
S21で、記録材Pがニップ部Nを抜けていれば(S21のYes)、CPU203は、ニップ部Nを抜けた記録材Pがそのプリントジョブの最後の記録材であるか否かを判断する(S22)。S22で最後の記録材でなければ(S22のNo)、S5に戻り、プリントジョブを継続する。この際、上述したように、ヒータ強制OFF温度及び生産性は、S17で設定されたヒータ強制OFF温度及び生産性で、プリントジョブが継続される。
一方、S22で最後の記録材であれば(S22のYes)、ヒータ強制OFF温度を初期の設定温度であるToff3[℃]に設定し(S23)、生産性を初期生産性に設定する(S24)。即ち、プリントジョブの終了時に、ヒータ強制OFF温度及び生産性をそれぞれ初期の値に戻す。そして、プリントジョブを終了する(S25)。なお、ヒータ強制OFF温度及び生産性をそれぞれ初期の値に戻すタイミングは、次のプリントジョブの開始時であっても良い。
上述のフローチャートのS6~S22、S18~20に示すように、最後の記録材がニップ部Nを抜けるまでの間は、検知温度傾きに基づくヒータ強制OFF温度の判定は繰り返し行われる。即ち、CPU203は、0.1秒毎の第2のサーミスタ301bを読み込み、その都度、ヒータ強制OFF温度の設定を行う。また、検知温度傾きに基づいて、生産性の設定も行う。そして、プリントジョブ中は、ヒータ強制OFF温度として低い温度が設定されれば、その温度よりも低い温度が設定されない限りその温度が設定され続ける。また、生産性についても低い生産性が設定されれば、その生産性よりも低い生産性が設定されない限りその生産性が設定され続ける。
以上、説明した本制御のパラメータn、α1、α2、β1、β2、Toff1、Toff2、Toff3、生産性1、生産性2、初期生産性をまとめると以下のようになる。
n=0.1[s]、α1=7[℃/0.1s]、α2=5[℃/0.1s]、β1=240[℃]、β2=250[℃]、Toff1=260[℃]、Toff2=270[℃]、Toff3=285[℃]。生産性1=25[cpm]、生産性2=27[cpm]、初期生産性=30[cpm]。
なお、検知温度傾きαの値が大きいと、検知温度βが低い状態からヒータ強制OFFを変更しないといけないので、上記のように設定した。
また、検知温度傾き及び検知温度により設定されるヒータ強制OFF温度のテーブルの一例を表1に示す。
Figure 0007414485000001
更に、検知温度傾き及び検知温度により設定される生産性のテーブルの一例を表2に示す。
Figure 0007414485000002
本実施形態で説明した具体的な数値は、一例であり、これらの数値は装置の構成や仕様などに応じて適宜設定可能である。例えば、記録材のサイズが小さいほど、ニップ部Nにおける非通過領域の温度は高くなる。そのため、第2のサーミスタ301bから記録材の幅方向端部(コバ部)までの距離に応じてヒータ強制OFF温度変更後の生産性を低くしてもよい。この場合、非通過領域が広く、記録材がニップ部Nを通過中に昇温しても、生産性を低くすることで、連続してニップ部Nに搬送される記録材と記録材との間隔(所謂紙間)で、温度を十分に下げることが可能になる。
また、記録材先端がニップ部Nを通過する際の検知温度に応じて、ヒータ強制OFF温度変更後の生産性を変更しても良い。記録材先端がニップ部Nを通過する際の温度が高いと、ヒータOFFから再びヒータONするまでに時間を要するため、ニップ部の温度も著しく下がってしまう。したがって、検知温度が高い場合には、生産性を低くし、紙間をあけることで、ニップ部の温度を復帰しやすくするようにしても良い。
[本制御の一例]
本制御の一例を、図6のタイミングチャートに示す。図6の(a)定着NIP-ON(オン)信号は、記録材Pがニップ部Nにある場合は、1となり、ニップ部Nにないときは0となる。(b)検知温度は、第2のサーミスタ301bにより検知した温度であり、記録材にニップ部Nにいるか否かに関らず検知し続けている。(c)検知温度傾きは、図5のフローチャートに示したように、記録材Pがニップ部中にいるときのみ、計算されている。(d)ヒータ強制OFF温度及び(e)生産性は、図5のフローチャートで説明した通りで、デフォルトは、それぞれ285[℃]、30[cpm]に設定されている。
以下、図5のフローチャートを参照しつつ図6のタイムチャートに沿って説明する。まず、(c)検知温度傾きΔTn+1が5[℃/0.1s](α2)より大きく、かつ、(b)検知温度Tn+1が250[℃](β2)より高いと、図5のS13、14に基づいて、(d)ヒータ強制OFF温度を270[℃](Toff2)に変更する。この際、(e)生産性を図5のS15に基づいて、27[cpm](生産性2)に変更する。
次に、(c)検知温度傾きΔTn+1が7[℃/0.1s](α1)より大きく、かつ、(b)検知温度Tn+1が240[℃](β1)より高いと、図5のS10、11に基づいて、(d)ヒータ強制OFF温度を260[℃](Toff1)に変更する。この際、(e)生産性を図5のS12に基づいて、25[cpm](生産性1)に変更する。
以降、記録材Pがニップ部Nを抜けても、ヒータ強制OFF温度は260[℃]、生産性は25[cpm]の設定のままである。本制御では、一度ヒータ強制OFF条件を変更すると、ジョブの最後の記録材がニップ部を抜けるまで、その設定を継続している。これは、重送が発生した後に、定着フィルム303やヒータ305の端部の温度が上昇した状態で再度重送し、過昇温エラーが発生することを抑制するためである。また、一度生産性の条件を変更すると、ジョブの最後の記録材がニップ部を抜けるまで、その設定を継続している。これは、ヒータ強制OFF温度を下げたまま、生産性を下げずにジョブを継続した場合、ニップ部の温度が回復せずに定着不良が発生してしまうためである。したがって、生産性を下げることで、ニップ部の温度を回復させて定着不良の発生を抑制している。
なお、上述の説明では、ヒータ強制OFF温度の設定を、検知温度傾きを段階的に区切って、段階的(例えば、285[℃]⇒270[℃])に変更をしていた。但し、ヒータ強制OFF温度は、検知温度傾きの量に応じて、連続的に変更しても良い。例えば、検知温度傾きが1[℃/0.1s]変わるごとに、ヒータ強制OFF温度を1[℃]ずつ下げても良い。
[実施例]
次に、本実施形態の効果を調べるために行った実験について、図7を用いて説明する。実験は、図1の画像形成装置100を用いて、上述の実施形態で制御を行った場合(実施例)と、本実施形態の制御を行わなかった場合(比較例)とで、それぞれ重送を複数回生じさせた。ヒータ強制OFF温度及び生産性の制御以外の条件については、実施例と比較例1、2は同じである。図7に実験結果を示す。
図7においてA、B、Cは、LGLサイズ(216mm×356mm:縦送り)、坪量105[g/m]の4枚重送紙をニップ部Nに通紙した場合の、非通過領域に配置してある第2のサーミスタ301bの温度推移である。D、Eは、上記LGLサイズ記録材の4枚重送紙を通紙した場合の通過領域に配置してある第1のサーミスタ301aの温度推移である。
なお、比較例1は、前述の特許文献1に記載のように、温度上昇率に応じてヒータ強制OFF温度を低くし、記録材がニップ部Nを通過した後は、ヒータ強制OFF温度を初期の設定温度に戻した。また、温度上昇率に関らず生産性は変更しなかった。
また、比較例2は、本実施形態のように、ヒータ強制OFF温度を下げた場合に、この設定をプリントジョブの最後の記録材まで継続した。但し、ヒータ強制OFF温度を下げても生産性は変更しなかった。
図7のA~Cに示すように、ジョブの1枚目に重送紙が通紙された場合、検知温度傾きが7[℃/0.1s]なので、ヒータ強制OFF温度は260[℃]に設定され、サーミスタ検知温度が260[℃]を検知したら、ヒータへの通電がOFFされた。その結果、定着装置(サーミスタ、発熱体など)に蓄熱している熱の影響や、重送紙が通紙されている状況であっても、エラー温度の297[℃]まで、サーミスタ検知温度がいかずに、エラーが発令させることはなかった。なお、エラー温度とは、サービスマン等によってエラーが解除されるまでCPUによって画像形成動作の実行が禁止される温度である。
しかしながら、Aの比較例1では、ヒータ強制OFF温度の設定が285[℃]に戻ったため、定着装置(サーミスタ、発熱体など)に熱が蓄熱した。このため、ジョブの後半で重送紙が通紙された場合、検知温度傾き7[℃/0.1s]で、ヒータ強制OFF温度は260[℃]に設定されて、ヒータへの通電をOFFしても、サーミスタ検知温度が297[℃]のエラー温度まで上昇してしまった。そして、エラーが発令してしまった。
一方、Bの実施例では、1枚目の重送紙通紙時に設定されたヒータ強制OFF温度260℃が継続されているため、定着装置(サーミスタ、発熱体など)に蓄熱する熱が抑えられた。このため、ジョブの後半で再び重送紙が通紙されても、1枚目と同様に第2のサーミスタ301bの検知温度がエラー温度の297[℃]まで上昇せず、エラーが発令させることはなかった。
次に、Cの比較例2では、重送紙通紙後、LGLサイズの通紙が継続すると、非通過領域である第2のサーミスタ301bの検知温度は再び上昇していく。しかし、生産性を変更していないため、ヒータ強制OFF温度が260℃の設定が継続されると、検知温度がすぐに260℃を上回ってしまう。このため、頻繁にヒータ強制OFFが実施されることになる。この結果、Eで示すように、第1のサーミスタ301aの検知温度が低下し、記録材にトナー像を定着させるのに十分な温度を維持することができなくなり、定着不良が発生してしまった。
一方、実施例の場合、1枚目の重送が発生した時点で、ヒータ強制OFF温度を変更するとともに、生産性を変更し、それ以降の給送間隔を広げているため、紙間で非通過領域の温度が低下した。また、その間、通過領域の温度は上昇した。この結果、重送紙通紙後に通常の通紙が継続し、端部の温度が上昇してもヒータ強制OFF温度の260℃に到達しにくくなった。これにより、ヒータへの電力は供給され続けるため、第1のサーミスタ301aの検知温度が低下せず、記録材にトナー像を定着させるのに十分な温度を維持でき、定着不良の発生を抑制できた。
このように本実施形態の場合、定着フィルム303やヒータ305の過昇温の抑制及び定着不良の発生の抑制を図れる。また、ヒータ強制OFF温度の変更を維持し、重送検知後の給送間隔を広げることで、例えば重送紙のように、仕様外の厚みのある記録材がニップ部Nに送られても、エラーの発生を防止すると共に、一定以上の画像品質を維持できる。
また、本実施形態の場合、1つのプリントジョブで重送が複数回発生しても、定着装置の構成部材の破損や劣化が生じる虞があるエラー温度までヒータ305が昇温するのを抑制できる。そして、その後、ジョブが継続しても、再びエラー温度まで上昇することを防止し、さらに画像品質を維持することができる。
なお、万が一、エラー温度まで昇温した場合、画像形成装置が高温エラーで止まってしまい、サービスマン等により高温エラーの状態が解除されるまでの間、ユーザが画像形成装置を使用できなくなる。したがって、本制御により、高温エラーの発生を抑制することによって、ユーザがエラー解消のためにサービスマンをコールする頻度を削減することができる。よって、ユーザの生産性が損なわれてしまう虞を低減することができる。
なお、上述の説明では、生産性を初期生産性、生産性1、生産性2の3段階としたが、生産性は、給送間隔が互いに異なれば、2段階であっても良いし、4段階以上の複数段階にしても良い。同様に、ヒータ強制OFF温度についても、2段階であっても良いし、4段階以上の複数段階にしても良い。また、ヒータ強制OFF温度及び生産性の変更は、ΔTn+1のみで判断しても良いが、上述のように、Tn+1も考慮して判断した方が、定着フィルムやヒータの過昇温の抑制及び定着不良の発生の抑制を、より高精度に図れる。
<第1の実施形態の別例>
上述の実施形態では、非通過領域に配置してある第2のサーミスタ301bの検知温度に基づいて、検知温度傾きを算出し、上述のヒータ強制オフ温度や生産性を変更した。但し、このような制御を、第1のサーミスタ301aに対しても同様に行っても良い。即ち、上述の実施形態は、中央基準搬送としたが、例えば、ユーザが記録材を幅方向片側に寄せてセットし、画像形成を行う場合がある。この場合、中央に配置している第1のサーミスタ301aが非通過領域になる場合がある。このような場合でも、第1のサーミスタ301aの検知温度を用いて、検知温度傾きを算出し、上述のヒータ強制オフ温度や生産性を変更することで、同様の効果が得られる。
<第2の実施形態>
第2の実施形態について、図1ないし図4を参照しつつ、図8を用いて説明する。上述の第1の実施形態では、第2のサーミスタ301bにより検知した検知温度傾きΔTn+1及び検知温度Tn+1に基づいて、ヒータ強制OFF温度及び生産性を変更した。これに対して本実施形態では、第2のサーミスタ301bにより検知した検知温度傾きΔTn+1に基づいてヒータ強制OFF温度を変更し、第1のサーミスタ301aにより検知した検知温度に応じて生産性を変更するようにしている。その他の構成及び作用は、第1の実施形態と同様であるため、同様の構成については図示及び説明を省略又は簡略にし、以下、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
本実施形態では、第1の実施形態で説明したヒータ305のヒータ強制OFF制御に加えて、更に使用される記録材の種類(例えば、用紙設定)や、ヒータ強制OFF制御後の通過領域の検知温度に応じて、重送後の生産性の変更を行う。これにより、重送紙が流されたときにエラーの発生をより確実に抑制し、かつ、不要な生産性低下を抑制することができる。
即ち、本実施形態の場合も第1の実施形態と同様に、CPU203は、第1検知部としての第2のサーミスタ301bによって検知された第1検知温度としての検知温度Tn+1がヒータ強制OFF温度に達した場合にヒータ305への通電をオフする。また、CPU203は、第1検知温度の単位時間当たりの温度上昇率としての検知温度傾きΔTn+1が第1の上昇率である場合にはヒータ強制OFF温度を第1の温度に設定する。一方、CPU203は、検知温度傾きΔTn+1が第1の上昇率よりも低い第2の上昇率である場合にはヒータ強制OFF温度を第1の温度よりも高い第2の温度に設定する。
これに加えて本実施形態では、CPU203は、ニップ部Nに記録材が通過している際に、第2検知部としての第1のサーミスタ301aにより検知した第2検知温度に応じて記録材の給送間隔、即ち、生産性を変更するようにしている。具体的には、CPU203は、記録材の種類に応じて、長手方向のサイズが最小の記録材が通過する最小通過領域における目標温度を設定可能である。そして、目標温度と第2検知温度との温度差が第1温度差である場合の記録材の給送間隔を第1の給送間隔とし、この温度差が第1温度差よりも小さい第2温度差である場合の記録材の給送間隔を第2の給送間隔とする。このさい、第1の給送間隔は、前記第2の給送間隔よりも広くしている。即ち、目標温度と記録材の通過領域の検知温度との温度差が大きいほど、給送間隔を広く、即ち、生産性を落としている。
例えば、記録材の坪量やコートの有無などによって、記録材にトナー像を定着するためのニップ部における最適な温度が異なる。このため、CPU203は、ユーザが不図示の入力部により入力した記録材の種類の情報に応じて、上述の目標温度を設定する。ここで、記録材が重送されるなどして検知温度傾きΔTn+1が大きくなり、ヒータ強制OFF温度を低く設定した場合、生産性を落とさずに記録材をニップ部Nに通過させると、ニップ部Nの温度が低下してしまう。そして、通過領域における温度が目標温度から下がり過ぎてしまうと定着不良が発生する虞がある。このため、本実施形態では、目標温度と通過領域における温度との差が大きくなった場合には、生産性を落として定着不良を抑制するようにしている。
一方、第1の実施形態のように、ヒータ強制OFF温度を低くした場合に、一律に生産性を落とした場合、実際には、ニップ部Nの温度がそれほど低くなってなくても、生産性を落としてしまっている場合がある。この場合、生産性を落とさなくても定着不良が生じない場合がある。このため、本実施形態では、実際に通過領域に温度を検知して、この検知温度と目標温度との温度差が大きくなった場合に生産性を落とすようにして、不必要な生産性の低下を抑制するようにしている。
以下、図8のフローチャートを用いて具体的に説明する。なお、図8のS101~S109は、それぞれ図6のS1~S9と同じであるため、説明を省略する。
CPU203は、S109で算出した検知温度傾き(温度差)ΔTn+1がα1(第1の閾値温度差)より大きく、かつ、温度Tn+1がβ1(第1の閾値温度)より高いかを判断する(S110)。即ち、CPU203は、単位時間当たりの温度上昇率としての検知温度傾きΔTn+1が第1の上昇率で、且つ、記録材がニップ部Nを通過したときの第2のサーミスタ301bにより検知した検知温度Tn+1がβ1より高いか否かを判断する。
S110で、ΔTn+1>α1、且つ、Tn+1>β1を満たせば(S110のYes)、CPU203は、ヒータ強制OFF温度を第1の温度としてのToff1[℃]に設定する(S111)。ここで、例えば、α1=7[℃/0.1s]、β1=240[℃]、Toff1=260[℃]とする。
一方、CPU203は、S110の要件を満たさなければ(S110のNo)、S112に移行する。具体的には、CPU203は、検知温度傾き(温度差)ΔTn+1がα2(第2の閾値温度差:α2<α1)より大きく、かつ、温度Tn+1がβ2(第2の閾値温度:β2>β1)より高いかを判断する(S112)。即ち、CPU203は、単位時間当たりの温度上昇率としての検知温度傾きΔTn+1が第2の上昇率で、且つ、記録材がニップ部Nを通過したときの第2のサーミスタ301bにより検知した検知温度Tn+1がβ2より高いか否かを判断する。ここで、第2の上昇率は、第1の上昇率よりも低い。即ち、第2の閾値温度差α2は、第1の閾値温度差α1よりも低い。また、第2の閾値温度β2は、第1の閾値温度β1よりも高い。
S112で、ΔTn+1>α2、且つ、Tn+1>β2を満たせば(S112のYes)、CPU203は、ヒータ強制OFF温度を第2の温度としてのToff2[℃]に設定する(S113)。ここで、例えば、α2=5[℃/0.1s]、β2=250[℃]、Toff1=270[℃]とする。
一方、CPU203は、S112の要件を満たさなければ(S112のNo)、ヒータ強制OFF温度を初期の設定温度(所定温度)であるToff3[℃](>Toff2[℃])に設定する(S114)。Toff3は、第1の温度としてのToff1及び第2の温度としてのToff2よりも高い。また、例えば、Toff3=285[℃]とする。
次に、CPU203は、ヒータ強制OFF温度を次のように採用する(S115)。即ち、ヒータ強制OFF温度は、記録材Pの先端がニップ部Nに突入してからS110~S114の間に設定されたヒータ強制OFF温度(Toff1、Toff2、Toff3)のうち、一番低い温度を実際のヒータ強制OFF温度として採用する。
次に、直前のS108で読み込んだサーミスタ検知温度Tn+1が、上述のS115で設定されたヒータ強制OFF温度(Toff1、Toff2、Toff3の何れか)を超えているか否かを判定する(S116)。サーミスタ検知温度Tn+1が、ヒータ強制OFF温度を超えていたら(S116のYes)、ヒータ305に対する電力の投入をゼロにする(ヒータの強制OFF、S117)。そして、S108で読み込んだサーミスタ検知温度Tn+1をTnとする(S118)。
一方、S116において、サーミスタ検知温度Tn+1がヒータ強制OFF温度を超えていなければ(S116のNo)、CPU203は、ヒータ305に電力を投入しながら温度調整を続け、S118に移行する。このようなヒータ強制OFF温度の設定およびヒータ強制OFF温度による制御までの流れは、第1の実施形態の図5と同様である。
次に、CPU203は、ヒータ強制OFF実行時の通過領域サーミスタ検知温度、即ち、第1のサーミスタ301aにより検知した温度の低下を判断する。まず、ニップ部Nを記録材が通過している際に第1のサーミスタ301aにより第2検知温度(本実施形態では通過領域サーミスタ温度という)を検知する(S119)。そして、CPU203は、検知した通過領域サーミスタ温度と記録材の種類毎に設定された目標温度との温度差ΔTと第1の通過領域温度差の閾値であるγ1とを比較する(S120)。即ち、ΔTがγ1以上である否かを判断する。
S120において、ΔTがγ1以上である、即ち、通過領域サーミスタ温度が目標温度に対して、γ1以上低下している場合(S120のYes)、CPU203は、生産性を「生産性1」に設定する(S121)。本実施形態では、ΔTがγ1以上である場合を、ΔTが第1温度差であるとする。生産性1は、第1の実施形態と同様に、記録材の給送間隔を初期生産性(例えば、30cpm)よりも広げた(言い換えれば、生産性を落とした)第1の給送間隔であり、本実施形態では、例えば、15cpmとする。
一方、CPU203は、S120の要件を満たさなければ(S120のNo)、S119で検知した通過領域サーミスタ温度と記録材の種類毎に設定された目標温度との温度差ΔTと第2の通過領域温度差の閾値であるγ2とを比較する(S122)。即ち、ΔTがγ2以上である否かを判断する。
S122において、ΔTがγ2以上である、即ち、通過領域サーミスタ温度が目標温度に対して、γ2以上低下している場合(S122のYes)、CPU203は、生産性を「生産性2」に設定する(S123)。γ2は、γ1よりも小さい。本実施形態では、ΔTがγ1未満γ2以上である場合を、ΔTが第2温度差であるとする。生産性2は、第1の実施形態と同様に、記録材の給送間隔を初期生産性よりも広げた(言い換えれば、生産性を落とした)第2の給送間隔である。また、生産性2は、生産性1よりも給送間隔が狭い。即ち、生産性2は、初期生産性より生産性を落とすが、生産性1ほど生産性を落とさない設定であり、本実施形態では、例えば、20cpmとする。
一方、CPU203は、S122の要件を満たさなければ(S122のNo)、S119で検知した通過領域サーミスタ温度と記録材の種類毎に設定された目標温度との温度差ΔTと第3の通過領域温度差の閾値であるγ3とを比較する(S124)。即ち、ΔTがγ3以上である否かを判断する。
S124において、ΔTがγ3以上である、即ち、通過領域サーミスタ温度が目標温度に対して、γ3以上低下している場合(S124のYes)、CPU203は、生産性を「生産性3」に設定する(S125)。γ3は、γ2よりも小さい。本実施形態では、ΔTがγ2未満γ3以上である場合を、ΔTが第3温度差であるとする。
生産性3は、記録材の給送間隔を初期生産性よりも広げた(言い換えれば、生産性を落とした)第3の給送間隔である。また、生産性3は、生産性2よりも給送間隔が狭い。即ち、生産性3は、初期生産性より生産性を落とすが、生産性2ほど生産性を落とさない設定であり、本実施形態では、例えば、25cpmとする。なお、CPU203は、S124の要件を満たさなければ(S124のNo)、生産性は、初期生産性のままとなる。
次に、CPU203は、生産性を次のように採用する(S126)。生産性は、記録材Pの先端がニップ部Nに突入してからS120~S125の間に設定された生産性(生産性1、生産性2、生産性3、初期生産性)のうち、一番低い生産性を採用する。
ここで、本実施形態の場合も、生産性として、生産性1よりも低い生産性がない。このためCPU203は、プリントジョブを実行している際に生産性を生産性1に設定した場合、検知温度傾きの変化に関らず、プリントジョブの最後の記録材がニップ部Nを通過し終わるまで生産性を生産性1のままとする。なお、生産性として生産性2に設定された後、生産性1に設定されることがなければ、この生産性2がプリントジョブの最後の記録材まで継続される。同様に、生産性として生産性3に設定された後、生産性1又は生産性2に設定されることがなければ、この生産性3がプリントジョブの最後の記録材まで継続される。更に、プリントジョブ中に生産性1~3に設定されることがなければ、初期生産性がプリントジョブの最後の記録材まで継続される。
以降のS127~S131は、図5のS21~S25と同じであり、最後の記録材がニップ部Nを抜けた後は、ヒータ強制OFF温度及び生産性をそれぞれ初期の値に戻して、プリントジョブを終了する。
以上、説明した本制御のパラメータn、α1、α2、β1、β2、γ1、γ2、γ3、Toff1、Toff2、Toff3、生産性1、生産性2、生産性3、初期生産性をまとめると以下のようになる。
n=0.1[s]、α1=7[℃/0.1s]、α2=5[℃/0.1s]、β1=240[℃]、β2=250[℃]、γ1=130、γ2=100、γ3=70、Toff1=260[℃]、Toff2=270[℃]、Toff3=285[℃]。生産性1=15[cpm]、生産性2=20[cpm]、生産性3=25[cpm]、初期生産性=30[cpm]。
なお、検知した通過領域サーミスタ温度と記録材の種類毎に設定された目標温度との温度差であり、通過領域検知温度低下であるΔTの範囲により設定される生産性のテーブルの一例を表3に示す。
Figure 0007414485000003
上述のような本実施形態の場合、ニップ部Nの温度低下幅が大きいほどヒータ強制OFFからの温度復帰に時間を要するため、給送間隔を開けることで、復帰を早めることが可能となり、重送後の定着不良の発生を抑制できる。また、画質を保つ通過領域の温度は必ずしも必要最低限で運用しているわけではないため、温度低下幅が小さければ生産性を変えずにそのままニップ部Nに記録材を通過させることもできる。
なお、記録材が薄紙のように坪量が低い記録材であった場合、上記のように生産性を変えない判断をしてもよい。例えば、記録材が薄紙であった場合、図8のS120~S125を実行せずに、それ以前に決まった生産性を維持するようにしても良い。
また、本実施形態では温度低下幅で生産性を決定していたが、記録材の種類(用紙設定)に応じて生産性を決定してもよい。即ち、坪量が大きい記録材ほど、画質を維持するための通過領域温度も高くなるため、坪量が大きい記録材は重送後の生産性を大きく下げ、坪量が小さい記録材は生産性をあまり下げないようにする。
例えば、第1の実施形態の図5のS12、S15において、それぞれ検知温度傾きΔTn+1などで生産性を設定しているが、この際、記録材の種類も考慮して生産性を設定しても良い。具体的には、生産性1、2のそれぞれについて、記録材の種類に応じた複数の生産性を有するようにしても良い。例えば、生産性1については、記録材が普通紙の場合には、生産性を25[cpm]とし、厚紙の場合には更に生産性を落として例えば23[cpm]とし、薄紙の場合にはあまり生産性を落とさずに例えば26[cpm]とする。即ち、非通過領域の温度上昇率と記録材の種類に応じて、生産性を設定するようにしても良い。
また、本実施形態の場合も、第1の実施形態の別例と同様に、記録材を幅方向片側に寄せてセットし、画像形成を行う場合を考慮して、第1のサーミスタ301aの検知温度に基づいてヒータ強制OFF温度を変更しても良い。この場合、第2のサーミスタ301bの検知温度に基づいて生産性を設定する。即ち、第1のサーミスタ301aを第1検知部、第2のサーミスタ301bを第2検知部としても良い。
<第3の実施形態>
第3の実施形態について、図9を用いて説明する。なお、本実施形態は、定着フィルム303の温度を検知する検知部としてのフィルムサーミスタ309を備え、このフィルムサーミスタ309の検知温度をヒータ強制OFF温度や生産性の変更に利用するようにしている。その他の構成及び作用は、上述の第1の実施形態又は第2の実施形態と同様であるため、同様の構成については同一の符号を付して説明及び図示を省略又は簡略にし、以下、第1、第2の実施形態と異なる点を中心に説明する。
検知部としてのフィルムサーミスタ309は、ステー308に支持され、定着フィルム303の内周面に当接して、定着フィルム303の温度を検知する。本実施形態の場合、フィルムサーミスタ309は、定着フィルム303の長手方向に関して、図3に示した第2のサーミスタ301bと同様の位置に配置している。即ち、フィルムサーミスタ309は、長手方向のサイズが最小の記録材が通過する最小通過領域よりも長手方向外側の領域における定着フィルム303の温度を検知する。
具体的には、定着フィルム303の長手方向において、最小幅サイズの記録材の通過領域幅Wminよりも外側且つ最大通過領域幅Wmaxの内側において、定着フィルム303の温度を検知するフィルムサーミスタ309を設ける。そして、このセンサの温度に基づいて、上述の各実施形態の制御を行う構成とする。
即ち、CPU203は、このフィルムサーミスタ309の検知温度に基づいて、第1の実施形態と同様に、ヒータ強制OFF温度及び生産性を変更する。言い換えれば、本実施形態は、第1の実施形態における第2のサーミスタ301bをフィルムサーミスタ309に置き換えたものである。このように、定着フィルム303の温度を検知しても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
<第3の実施形態の別例>
また、上述の図9の構成を第2の実施形態に適用した場合、第1検知部がフィルムサーミスタ309に対応し、第2検知部が第2の実施形態と同様に第1のサーミスタ301aに対応する。この場合でも、第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。
更に、フィルムサーミスタ309を、図3の第2のサーミスタ301bと同様の位置に1つ、図3の第1のサーミスタ301aと同様の位置に1つ、合計2つ以上設けても良い。この場合、最小通過領域の外側に配置されたフィルムサーミスタ309が第1検知部、最小通過領域内に配置されたフィルムサーミスタ309が第2検知部に対応する。この場合でも、第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。
<他の実施形態>
上述の各実施形態においては、1本のヒータを例にしているが、ヒータは複数本であっても構わない。例えば、メインヒータ(主に長手中央部を加熱し、端部は弱めに加熱)とサブヒータ(主に長手端部を加熱し、中央部は弱めに加熱)を使う場合である。このような例の場合も、上記の「ヒータ強制OFF」とはメインヒータとサブヒータの両方をOFFすることを指す。
また、上述の各実施形態では、第2のサーミスタ301bによって検知された検知温度及び検知温度の傾きに応じて、トライアック200からヒータ305への電力供給を停止させる制御を行った。但し、使用される記録材の種類に応じて、トライアック200からヒータ305への電力供給を停止させる制御の為の検知温度の傾きの設定値を変えるようにしても良い。
また、導入された記録材の先端がニップ部Nを通過する際の第2のサーミスタ301bによって検知された検知温度に応じて、トライアック200からヒータ305への電力供給を停止させる制御の為の検知温度の傾きの設定値を変えるようにしても良い。また、使用される環境やそれまでの画像形成枚数に応じて生産性の設定値を変更するようにしても良い。
また、通過領域温度の復帰状況に合わせて、ジョブ中に生産性を戻してもよい。即ち、本実施形態では、一度、生産性を下げた場合には、ジョブの最後までその生産性を継続させたが、ニップ部の温度低下がそれほど生じていない状況であれば、生産性を例えば初期生産性に戻す、或いは、一段階上げても良い。
また、ヒータ強制OFF温度についても、温度上昇率が低くなれば、初期の設定値や一段階高い設定値に戻すようにしても良い。要は、ヒータ強制OFF温度や生産性を下げた場合に、これをジョブの最後まで継続しないようにしても良い。
また、上述の各実施形態では、生産性をテーブルにより設定したが、計算により設定するようにしても良い。例えば、ヒータ強制OFF実行時の通過領域の温度低下×生産性ダウン率をその前の生産性から差し引くことで、新たな生産性の設定値としてもよい。具体的には、初期生産性が30cpm、生産性ダウン率を10℃で5%(5%/10℃)とし、温度低下が20℃であったとする。この場合に、
30×(1-((0.05/10)×20))=27[cpm]
に設定する。
また、上述の各実施形態では、エンドレスベルトとしての定着フィルムと、定着フィルムを加熱するヒータと、定着フィルムとの間でニップ部を形成するローラにより構成される定着装置に本発明を適用した場合について説明した。但し、本発明を適用可能な定着装置はこのような構成に限らない。例えば、エンドレスベルトを電磁誘導加熱により加熱するIH方式の構成であっても良い。また、ヒータは、上述のセラミックヒータ以外にハロゲンヒータなど他の構成であっても良い。
また、エンドレスベルトは、上述のようなフィルム以外に、複数の張架ローラにより張架されるものであっても良い。更には、ニップ部を一対のエンドレスベルトにより形成する構成であっても良い。即ち、ニップ部形成部材もエンドレスベルトであっても良い。また、エンドレスベルトは、張架するローラの1つを駆動ローラとすることで回転駆動される構成であっても良い。
また、画像加熱装置として、記録材上に形成された未定着トナー像tを加熱して定着する定着装置を例にして説明した。但し、画像加熱装置は、例えば、記録材に仮定着されたトナー像を加熱し再定着することにより画像のグロス(光沢度)を増大させる装置(この場合も定着装置と呼ぶことにする)であってもよい。即ち、例えば、半定着済みのトナー画像を記録材Pに定着させる装置や、定着済みの画像に対して加熱処理を施す装置であってもよい。したがって、画像形成装置に搭載される定着装置は、例えば、画像の光沢や表面性を調節する表面加熱装置であってもよい。
更に、上述の各実施形態では、画像形成装置としてモノクロのプリンタを例に説明した。但し、画像形成装置は、モノクロの画像を形成する画像形成装置に限られず、カラーの画像を形成する画像形成装置でもよい。また画像形成装置は、プリンタ、複写機、FAX、及び、これらの機能を複数備えた複合機等であっても良い。
100・・・画像形成装置/100A・・・画像形成部/111・・・定着装置/112・・・給送ローラ(給送部)/203・・・CPU(制御部)/303・・・定着フィルム(エンドレスベルト)/301a・・・第1のサーミスタ(検知部、第2検知部)/301b・・・第2のサーミスタ(検知部、第1検知部)/302・・・加圧ローラ(ニップ部形成部材)/305・・・ヒータ

Claims (12)

  1. 記録材にトナー像を形成する画像形成部と
    回転可能なエンドレスベルトと、
    前記エンドレスベルトとの間で、前記画像形成部でトナー像が形成された記録材を挟持搬送しながら該記録材上のトナー像を加熱するニップ部を形成するニップ部形成部材と、
    前記エンドレスベルトの回転方向と交差する前記エンドレスベルトの長手方向に沿って配置され、通電により発熱して前記エンドレスベルトを加熱するヒータと、
    前記ニップ部を通過可能な記録材のうち、前記長手方向のサイズが最小の記録材が通過する最小通過領域よりも前記長手方向外側の領域における前記ヒータの温度を検知する検知部と、
    単位時間当たりに前記ニップ部を通過する記録材の数である生産性を制御する制御部と、を備え、
    前記制御部は、
    前記検知部の単位時間当たりの温度上昇率が第1の上昇率である場合、前記生産性を第1の生産性とし、前記温度上昇率が前記第1の上昇率よりも低い第2の上昇率である場合、前記生産性を第2の生産性とし、
    前記第1の生産性は、前記第2の生産性よりも小さく
    前記制御部は、所定枚数の記録材に画像形成を行う画像形成ジョブを実行している際に前記生産性を前記第1の生産性に設定した場合、前記温度上昇率の変化に関らず、前記画像形成ジョブの最後の記録材が前記ニップ部を通過し終わるまで前記生産性を前記第1の生産性以下にする、
    ことを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記検知部の単位時間当たりの温度上昇率が第1の上昇率である場合には、前記ヒータへの通電をオフにするヒータオフ温度を第1の温度に設定し、前記温度上昇率が前記第1の上昇率よりも低い第2の上昇率である場合には前記ヒータオフ温度を前記第1の温度よりも高い第2の温度に設定する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記画像形成部に記録材を給送する給送部を備え、
    前記制御部は、前記給送部が給送する記録材の給送間隔を変更することによって前記生産性を制御し、
    前記温度上昇率が前記第1の上昇率である場合の記録材の給送間隔を第1の給送間隔とし、前記温度上昇率が前記第2の上昇率である場合の記録材の給送間隔を第2の給送間隔とし、
    前記第1の給送間隔は、前記第2の給送間隔よりも広い、
    ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
  4. 前記制御部は、
    前記温度上昇率が前記第1の上昇率で、且つ、前記検知部の検知温度が第1の閾値温度よりも高い場合には、前記ヒータオフ温度を前記第1の温度に設定すると共に、記録材の給送間隔を前記第1の給送間隔とし、
    前記温度上昇率が前記第2の上昇率で、且つ、前記検知温度が前記第1の閾値温度よりも高い第2の閾値温度よりも高い場合には、前記ヒータオフ温度を前記第2の温度に設定すると共に、記録材の給送間隔を前記第2の給送間隔とする、
    ことを特徴とする、請求項に記載の画像形成装置。
  5. 前記制御部は、所定枚数の記録材に画像形成を行う画像形成ジョブを実行している際に前記ヒータオフ温度を前記第1の温度に設定した場合、前記温度上昇率の変化に関らず、前記画像形成ジョブの最後の記録材が前記ニップ部を通過し終わるまで前記ヒータオフ温度を前記第1の温度のままとする、
    ことを特徴とする、請求項3又は4に記載の画像形成装置。
  6. 前記最小通過領域において、前記ヒータの温度を検知する第2検知部と、を備える、
    ことを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  7. 記録材にトナー像を形成する画像形成部と
    回転可能なエンドレスベルトと、
    前記エンドレスベルトとの間で、前記画像形成部でトナー像が形成された記録材を挟持搬送しながら該記録材上のトナー像を加熱するニップ部を形成するニップ部形成部材と、
    前記エンドレスベルトの回転方向と交差する前記エンドレスベルトの長手方向に沿って配置され、通電により発熱して前記エンドレスベルトを加熱するヒータと、
    前記ニップ部を通過可能な記録材のうち、前記長手方向のサイズが最小の記録材が通過する最小通過領域よりも前記長手方向外側の領域における前記エンドレスベルトの温度を検知する検知部と、
    単位時間当たりに前記ニップ部を通過する記録材の数である生産性を制御する制御部と、を備え、
    前記制御部は、
    前記検知部の単位時間当たりの温度上昇率が第1の上昇率である場合、前記生産性を第1の生産性とし、前記温度上昇率が前記第1の上昇率よりも低い第2の上昇率である場合、前記生産性を第2の生産性とし、
    前記第1の生産性は、前記第2の生産性よりも小さく
    前記制御部は、所定枚数の記録材に画像形成を行う画像形成ジョブを実行している際に前記生産性を前記第1の生産性に設定した場合、前記温度上昇率の変化に関らず、前記画像形成ジョブの最後の記録材が前記ニップ部を通過し終わるまで前記生産性を前記第1の生産性以下にする、
    ことを特徴とする画像形成装置。
  8. 前記検知部の単位時間当たりの温度上昇率が第1の上昇率である場合には、前記ヒータへの通電をオフにするヒータオフ温度を第1の温度に設定し、前記温度上昇率が前記第1の上昇率よりも低い第2の上昇率である場合には前記ヒータオフ温度を前記第1の温度よりも高い第2の温度に設定する、
    ことを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
  9. 前記画像形成部に記録材を給送する給送部を備え、
    前記制御部は、前記給送部が給送する記録材の給送間隔を変更することによって前記生産性を制御し、
    前記温度上昇率が前記第1の上昇率である場合の記録材の給送間隔を第1の給送間隔とし、前記温度上昇率が前記第2の上昇率である場合の記録材の給送間隔を第2の給送間隔とし、
    前記第1の給送間隔は、前記第2の給送間隔よりも広い、
    ことを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
  10. 前記制御部は、
    前記温度上昇率が前記第1の上昇率で、且つ、前記検知部の検知温度が第1の閾値温度よりも高い場合には、前記ヒータオフ温度を前記第1の温度に設定すると共に、記録材の給送間隔を前記第1の給送間隔とし、
    前記温度上昇率が前記第2の上昇率で、且つ、前記検知温度が前記第1の閾値温度よりも高い第2の閾値温度よりも高い場合には、前記ヒータオフ温度を前記第2の温度に設定すると共に、記録材の給送間隔を前記第2の給送間隔とする、
    ことを特徴とする、請求項9に記載の画像形成装置。
  11. 前記制御部は、所定枚数の記録材に画像形成を行う画像形成ジョブを実行している際に前記ヒータオフ温度を前記第1の温度に設定した場合、前記温度上昇率の変化に関らず、前記画像形成ジョブの最後の記録材が前記ニップ部を通過し終わるまで前記ヒータオフ温度を前記第1の温度のままとする、
    ことを特徴とする、請求項9又は10に記載の画像形成装置。
  12. 前記最小通過領域において、前記ヒータの温度を検知する第2検知部と、を備える、
    ことを特徴とする、請求項7乃至11のいずれか一項に記載の画像形成装置。
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