JP7412991B2 - コンクリート構造物の曲げ補強方法 - Google Patents

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Description

本発明は、一般には、連続した強化繊維を含む連続繊維補強部材を使用して、耐震補強のためにコンクリート構造物を補修補強(以後、単に「補強」という。)するコンクリート構造物の補強方法に関するものである。特に、本発明は、例えば地下に埋設して構築されたボックス型コンクリート構造物を構成するコンクリート部材の接合部におけるコンクリート部材基部の補強(曲げ剛性、曲げ耐力の増大)をなすコンクリート構造物の曲げ補強方法に関するものである。
従来、例えば、既存の鉄筋コンクリート橋脚においては、特許文献1に記載され、また、本願添付の図15(a)に示すように、一般に、橋脚200の躯体220の周囲を鋼板240により巻き立てて耐震補強を施すことが行われており、このとき、巻き立て鋼板240の下端部には、アングル241を溶接して一体とし、このアングル241をアンカー鉄筋242によりフーチング230に固定し、既設橋脚の曲げ耐力を向上させる耐震補強をなすことが行われている。また、特許文献1は、巻き立て鋼板240にアングル241を溶接するのではなく、本願添付の図15(b)に示すように、巻き立て鋼板240の下端部に発泡スチロールなどの緩衝材243を介してH型鋼244を設け、H型鋼をアンカー鉄筋245によりフーチング230に固定する耐震補強工法を教示している。
また、特許文献2は、本願添付の図15(c)に示すように、既存のコンクリート柱220の外周部分に鉄筋246を配筋し、軸方向鉄筋の下端部をコンクリート基礎230に形成した定着孔231に配置し、その上に40~70mmのモルタル層232を形成する橋脚の耐震補強工法を開示している。
一方、既存或いは新設のコンクリート構造物の梁、桁などの補強方法においては、近年、構造物の表面に補強材として炭素繊維シートやアラミド繊維シートなどの繊維シートをエポキシ樹脂にて貼り付けたり、巻き付けたりする連続繊維シート接着工法が行われている。
このとき、繊維シートをコンクリート構造物に貼り付けて補強する場合、繊維シートの端部の剥離を防止することが重要である。例えば、特許文献3においては、本願添付の図16(a)、(b)に示すように、定着用アンカーD1は、強化繊維fを束ねて接着剤、樹脂等で一体とした基端部側束部D1aと、強化繊維fを束ねることなく設けられた先端部側D1bとにて構成されている。この定着用アンカーD1は、梁210と柱220にて構成されるラーメン構造のコンクリート構造物において、基端部側束部D1aが梁210の端部に位置する柱220に斜交又は直交して形成された孔内に差し込まれ、孔内に接着剤等が充填されることによって柱220に定着される。このようにして定着された定着用アンカーD1の先端部側D1bの強化繊維fは、梁210の下面210aに沿わせて拡げられ、更に、その上に補強シートC1を被せ、次いで、定着用アンカーD1と補強シートC1とを接着剤によって接着することが記載されている。更に、定着用アンカーD1の先端部側D1bの強化繊維fと補強シートC1とが重なり合った部分に定着補強部材としての補強シートC2がさらに重ねて接着される。
特許文献4、5には、本願添付の図17(a)に示すように、多数本の連続繊維ストランドを一方向に引き揃え、一端部或いは両端部に扇形状或いはラッパ形状の拡開部分10Paと、その他の部分に細幅或いは縮径部分10Pbを有する定着用アンカー10Pを示している。この定着用アンカー10Pは、図17(b)に示すように、柱220に近接した袖壁260の部分に形成された貫通孔に、定着用アンカー10Pを通し、貫通孔内に位置する中央部10Pbの両端部分10Paを扇状に成形して拡げ、柱220の左側外周面と右側外周面とに分断して貼り付けられた強化繊維シート50に樹脂を使用して貼り付け、分断された強化繊維シート50を連結する方法が記載されている。
更に、特許文献6、7は、コンクリート床版などのコンクリート構造物において、床版表面に溝を形成し、この溝に繊維強化プラスチック製の補強筋又はロッドを配置し、樹脂モルタル又はエポキシパテなどにて一体に固着することが記載されている。
また、特許文献8には、コンクリート構造物の表面に溝を形成し、この溝に多数本の連続強化繊維と未硬化の樹脂を有する可撓性の連続繊維補強部材を配置し、樹脂を硬化すると共に、固着剤にて切削溝内に定着することが記載されている。
特許第4055295号公報 特開2018-159204号公報 特許第3918310号公報 特許第4463657号公報 特開2010-24620号公報 特許第3877145号公報 特許第4084618号公報 特開2018-109268号公報
上記特許文献1、2に記載のコンクリート構造物の耐震補強方法における、橋脚の躯体周囲を鋼板により巻き立てる工事、及び、巻き立て鋼板の下端部にアンカー鉄筋によりアングル等を設置する工事は、鋼板等の重量物を運搬し設置する必要があり、これらの工事には多くの施工時間及びコストを余儀なくする。また、これらの工法によると、断面積が増加するなど施工上の制約がある。
また、上記特許文献3、4、5に記載の補強方法では、定着用アンカーは、補強用の繊維シートの接着の定着不足を解決するために使用されている。特許文献3、4、5に開示する補強方法は、炭素繊維、アラミド繊維、ガラス繊維等の強化繊維をシート状に加工した補強シートを補強対象のコンクリート構造物に接着することにより梁、桁などの曲げ補強などをする補強方法であって、補強シート接着による補強は、補強対象コンクリート構造物の形状が一定の条件を満たす場合にその補強効果が得られる。つまり、補強対象物の形状が平面又はR(湾曲)形状であり、曲げ補強においては曲げモーメントが発生する範囲に対し補強シートが接着されている、即ち、定着長が確保できているといった条件が要求される。しかし、実際のコンクリート構造物では、一つのコンクリート部材の他のコンクリート部材に対する接合部における基部で最大曲げモーメントとなるが、構造上、この基部においては補強シートの端部定着長が確保できないか、或いは、極めて困難な場合がある。
このように、特許文献3、4、5に記載の補強方法では、定着用アンカーは、繊維シートの端部剥離を防止するための機能を有しているに過ぎず、最大曲げモーメントを生じるコンクリート部材の接合部におけるコンクリート部材の基部の曲げ補強、即ち、曲げ剛性、曲げ耐力の増大をなすものではない。
また、特許文献6、7に記載の補強方法では、補強材として炭素繊維に樹脂を含浸して硬化したロッド(棒材)を使用しており、実際に施工できる補強対象としては、床版下面など平坦な形状部分に限定される。最大曲げモーメントを生じるコンクリート部材の接合部における基部の曲げ補強をなすものではない。
特許文献8に記載の補強方法は、上述したように、可撓性のドライの連続繊維補強部材に樹脂を含浸して切削溝に押し込んで設置する補強方法であるが、補強対象は平坦な床版や桁の平面部とされ、コンクリート部材の基部の曲げ補強をなすものではない。
また、本発明者らは、多くの研究、実験を行った結果、上記特許文献4に記載する多数本の連続繊維ストランドを、編み組織の拘束糸と編み組織を結束する挿入糸により平帯状又は円筒状に保形された特異な構造の可撓性を有する定着用アンカーが有する形態安定性、取扱い容易性、及び、優れた施工性に着目し、下記事実を見出した。
つまり、この定着用アンカー、即ち、連続繊維補強部材の連続強化繊維として、例えば炭素繊維を使用し、好ましくは、中弾性或いは高弾性の炭素繊維を使用し、この連続繊維補強部材の片側一部を、互いに交差して連結された第1、第2のコンクリート部材の接合部における第1のコンクリート部材の基部に隣接して埋め込んで固着し、残部を第1のコンクリート部材の補強対象領域に定着し、更に、連続繊維補強部材の樹脂含浸硬化後のヤング率(引張弾性率)が70~720GPaとなるような特性とすることにより、最大曲げモーメントを生じるコンクリート部材の接合部におけるコンクリート部材基部の曲げ剛性、曲げ耐力を増大させることが可能となり、コンクリート部材の基部の曲げ補強を極めて好適になし得ることを見出した。
本発明は、本発明者らの斯かる新規な知見に基づくものである。
つまり、本発明の目的は、特異な構造及び物性を有した可撓性の連続繊維補強部材を用いて、最大曲げモーメントが生じるコンクリート部材の接合部におけるコンクリート部材基部の曲げ剛性、曲げ耐力を増大させ、基部の曲げ補強を極めて有効にしかも簡易な方法でなし得るコンクリート構造物の曲げ補強方法を提供することである。
上記目的は、本発明に係るコンクリート構造物の曲げ補強方法にて達成される。本発明によると、交差して配置された、補強対象部材としての第1のコンクリート部材と、前記第1のコンクリート部材と接合された第2のコンクリート部材とを有するコンクリート構造物において、前記第2のコンクリート部材との接合部に隣接した前記第1のコンクリート部材の基部を連続繊維補強部材を用いて曲げ補強を行うコンクリート構造物の曲げ補強方法であって、
前記連続繊維補強部材は、一方向に並列に引き揃えられている20~200本の連続繊維ストランドであって、一側に取付部を、他側に定着部を形成するように賦形されており、
前記連続繊維補強部材に樹脂を含浸させ、
前記連続繊維補強部材の一側の取付部を、前記第1のコンクリート部材の基部に隣接して形成した取付孔部に埋め込み、前記連続繊維補強部材の他側の定着部を前記第1のコンクリート部材に定着し、
前記樹脂を硬化して前記第1のコンクリート部材基部の曲げ補強を行い、
前記樹脂が硬化された前記連続繊維補強部材は、ヤング率が70~720GPaである、
ことを特徴とするコンクリート構造物の曲げ補強方法が提供される。
本発明の一実施態様によれば、前記連続繊維ストランドは、繊維径が5~20μmの連続した強化繊維を3000~96000本一方向に収束した連続強化繊維束である。
本発明の他の実施態様によれば、各前記連続繊維ストランドを構成する強化繊維の横断面積の総和が0.1~5mmであり、全長が250~800mmである。
本発明の他の実施態様によれば、前記連続繊維ストランドの強化繊維は、ヤング率が70~720GPaである。
本発明の他の実施態様によれば、前記強化繊維は、炭素繊維、ガラス繊維などの無機繊維、又は、アラミド繊維などの有機繊維である。
本発明の他の実施態様によれば、前記連続繊維補強部材は、
一方向に並列に引き揃えられている20~200本の前記連続繊維ストランドと、拘束糸がループ状に縦方向に連続して鎖編み目を形成しながら編成されて作製された複数の縦方向の編み組織により形成された編み構造と、を有し、
各前記連続繊維ストランドを、前記編み構造における前記縦方向に連続的に編成された前記編み組織の前記鎖編み目を貫通して挿入し、そして、前記縦方向の編み組織に対して横方向に挿入された挿入糸で互いに隣接した前記編み組織を結束することによって、前記縦方向編み組織の中に挿入された各前記連続繊維ストランドは、各前記連続繊維ストランドが互いに0.1~20mmだけ離間して形成されている。
本発明の他の実施態様によれば、前記拘束糸及び前記挿入糸は、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリアクリロニトリル系、ポリビニルアルコール系、ポリオレフィン系の繊維、アラミド繊維などの有機繊維;チタン繊維、スチール繊維などの金属繊維;炭素繊維、ガラス繊維などの無機繊維;を単独で、又は、複数種混入して作製される糸条である。
本発明の他の実施態様によれば、前記挿入糸は、前記編み組織に対して一定のコース毎に振って編み込まれている。
本発明の他の実施態様によれば、各前記連続繊維ストランドは、複数の連続繊維ストランドを積層して形成される。
本発明の他の実施態様によれば、前記連続繊維補強部材を平面状としたときは、幅が10~500mmであり、前記連続繊維補強部材を円筒状としたときは、直径が3~500mmとされる。
本発明の他の実施態様によれば、前記取付孔部は、前記定着部が定着された前記第1のコンクリート部材から、前記第1のコンクリート部材と前記第2のコンクリート部材が連結された前記接合部へと延在して、又は、前記接合部に隣接した前記第2のコンクリート部材へと延在して穿設されている。
本発明の他の実施態様によれば、前記取付孔部に充填樹脂を充填し、その後、前記連続繊維補強部材の一側の取付部を、前記充填樹脂が充填された取付孔部に埋め込み、前記取付孔部に固着する。
本発明の他の実施態様によれば、前記連続繊維補強部材の一側の取付部の先端部に細長棒材を取付け、前記棒材を前記充填樹脂が充填された取付孔部に押し込むことにより、前記連続繊維補強部材の取付部を前記棒材と共に前記充填樹脂が充填された取付孔部に埋め込み、前記前記取付孔部に固着する。
本発明の他の実施態様によれば、前記連続繊維補強部材は、断面が円形或いは矩形状とされる細長棒状体に賦形されているか、又は、
前記連続繊維補強部材は、前記取付部が断面が円形或いは矩形状とされる細長棒状体に賦形され、前記定着部が扇状に拡開している。
本発明の他の実施態様によれば、前記連続繊維補強部材が細長棒状体に賦形されている場合は、前記第1のコンクリート部材には、前記取付孔部に隣接して前記連続繊維補強部材の定着部を受容する定着用溝を形成する。
本発明の他の実施態様によれば、前記第1のコンクリート部材に繊維シート補強材が貼付されている場合は、前記連続繊維補強部材は、前記定着部が扇状に拡開している連続繊維補強部材を使用して、前記扇状定着部が前記繊維シート補強材の上に重ねて定着される。
本発明の他の実施態様によれば、前記含浸樹脂が硬化された前記連続繊維補強部材は、
前記取付部及び前記定着部の断面が円形或いは矩形状とされる細長棒状体に賦形されている場合には、前記細長棒状体は、直径が8~50mmの円形状、又は、幅8~30mm、厚さが5~20mmの矩形状とされ、全体長さが250~800mmとされ、
前記取付部の断面が円形或いは矩形状とされる細長棒状体に賦形され、前記定着部が扇状に拡開している場合は、扇幅が100~400mm、扇長さが200~400mmとされ、全体長さが300~800mmとされる。
本発明の他の実施態様によれば、前記取付孔部は、直径が8~50mmの円形状か又は縦幅及び横幅がそれぞれ8~30mmの矩形状とされ、深さが100~400mmとされ、前記第1のコンクリート部材の幅方向に沿って間隔100~500mmにて形成される。
本発明の他の実施態様によれば、前記連続繊維補強部材に含浸される樹脂は、常温硬化型或は熱硬化型のエポキシ樹脂、ビニールエステル樹脂、MMA樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、又は、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂;ナイロン、ポリアミド、PEEKなどの熱可塑性樹脂;又は、熱可塑性エポキシ樹脂である。
本発明の他の実施態様によれば、前記含浸樹脂が硬化された前記連続繊維補強部材は、樹脂含浸硬化後の断面積が40~2000mmである。
本発明のコンクリート構造物の曲げ補強方法によれば、特異な構造及び物性を有した可撓性の連続繊維補強部材を用いて、最大曲げモーメントが生じるコンクリート部材の接合部におけるコンクリート部材基部の曲げ剛性、曲げ耐力を増大させ、コンクリート部材基部の曲げ補強を極めて有効にしかも簡易な方法で達成することができる。
図1(a)、(b)は、本発明の補強方法の一実施例を説明するための図であり、図1(a)は、コンクリート構造物の一実施例を示すボックス型コンクリート構造物の正面図であり、図1(b)は、コンクリート部材基部が連続繊維補強部材で補強された状態を示す斜視図である。 図2(a)~(c)は、本発明にて使用することのできる連続繊維補強部材の構成を説明する斜視図であり、図2(d)は、連続繊維ストランドの一実施例を示す斜視図である。 図3(a)、(b)は、本発明の補強方法の一実施例を説明するための図であり、図3(a)はコンクリート構造物の中央連結コンクリート部材と基台コンクリート部材の部分断面図であり、図3(b)は部分正面図である。また、図3(c)、(d)は定着用溝の実施例を示し、図3(e)~(g)は取付孔部の実施例を示す。図3(h)は、本発明が適用されるハンチを有さないコンクリート構造物の中央連結コンクリート部材と基台コンクリート部材の部分断面図である。 図4(a)、(b)は、本発明の補強方法の他の実施例を説明するための図であり、図4(a)はコンクリート構造物の正面図であり、図4(b)は連続繊維補強部材にて補強された状態を示す部分斜視図である。 図5(a)は、本発明の補強方法の他の実施例を説明するためのコンクリート構造物の中央連結コンクリート部材と基台コンクリート部材の部分断面図であり、図5(b)は連続繊維補強部材で補強された状態を示す部分断面図であり、図5(c)は図5(b)における矢印A方向に見た部分正面図である。図5(d)は、本発明が適用されるハンチを有さないコンクリート構造物の中央連結コンクリート部材と基台コンクリート部材の部分断面図である。図5(e)は本発明の補強方法の他の実施例を説明する図である。 図6(a)、(b)、(c)は、本発明の補強方法の他の実施例を説明するための図である。 図7(a)、(b)は、本発明に使用する連続繊維補強部材の一実施例を示す概略構成図である。 図8は、本発明に使用する連続繊維補強部材の編成の一実施例を説明するための説明図である。 図9は、本発明に使用する連続繊維補強部材を構成する連続繊維ストランドの概略構成図である。 図10(a)、(b)は、連続繊維ストランドの他の実施例を説明する概略構成図である。 図11(a)~(c)は、本発明に使用する連続繊維補強部材の作製方法を説明するための説明図である。 図12(a)~(c)は、本発明に使用する連続繊維補強部材の他の実施例と、この実施例の連続繊維補強部材の作製方法を説明するための説明図である。 本発明に使用する他の実施例に係る連続繊維補強部材を示す概略構成図である。 図14(a)、(b)は、本発明に使用する連続繊維補強部材の他の実施例と、この実施例の連続繊維補強部材の作製方法を説明するための説明図である。 図15(a)~(c)は、従来のコンクリート構造体の補強方法を説明するための断面図である。 図16(a)、(b)は、従来のコンクリート構造体の補強方法及びその際に使用される定着用アンカーの一例を説明するための斜視図である。 図17(a)は、従来のコンクリート構造体の補強の際に使用される他の例の定着用アンカーを示す平面図であり、図17(b)は、定着用アンカーを使用したコンクリート構造物の補強態様を説明するための斜視図である。
以下、本発明に係るコンクリート構造物の曲げ補強方法を実施例に即して更に詳しく説明する。
実施例1
本発明のコンクリート構造物の曲げ補強方法は、交差して配置されたコンクリート部材を有するコンクリート構造物にて、例えば地震が発生した場合のように、コンクリート部材が連結された接合部にて生じる最大曲げモーメントに対してコンクリート部材基部の曲げ補強を有効に、しかも、従来に比して簡易な方法、構造にて達成し得ることを特徴とする。本実施例では、本発明の曲げ補強方法は、限定されるものではないが、図1(a)に図示するように、例えば、地下鉄建築物のように地下に埋設して構築されたボックス型のコンクリート構造物100に適用されるものとして説明する。
一般に、ボックス型コンクリート構造物100は、地下に所要の空間Vを形成するために、水平方向に延在した天井コンクリート部材110(110A、110B)、天井コンクリート部材110と略平行に水平方向に延在した基台コンクリート部材130(130A、130B)、及び、天井コンクリート部材110と基台コンクリート部材130とを一体に接続する垂直に配置された連結コンクリート部材120(120A、120B、120C)を有している。本実施例では、図1(a)に示すように、コンクリート構造物100内に第1及び第2の空間V(V1、V2)を形成するべく、天井コンクリート部材110は、本実施例では水平方向に僅かに段差が設けられ水平に配置された第1、第2天井コンクリート部材110A、110Bを有し、基台コンクリート部材130は、第1、第2天井コンクリート部材110A、110Bに対応して配置された水平方向に配置された第1、第2基台コンクリート部材130A、130Bを有している。また、連結コンクリート部材120は、上端が第1、第2天井コンクリート部材110A、110Bに接合され、下端が第1、第2基台コンクリート部材130A、130Bに接合された、例えば壁部材又は柱部材とされる中央連結コンクリート部材120Aを有している。更に、この中央連結コンクリート部材120Aから両側(図1(a)にて左側と右側)に所定距離離隔して、第1、第2側部連結コンクリート部材120B、120Cとを有している。第1側部連結コンクリート部材120Bは、上下端部がそれぞれ、第1天井コンクリート部材110Aの、上述の中央連結コンクリート部材120Aとは連結されていない他方の端部(図1(a)にて左側端部)と、第1基台コンクリート部材130Aの、上述の中央連結コンクリート部材120Aとは連結されていない他方の端部(図1(a)にて左側端部)とに接合されている。また、第2側部連結コンクリート部材120Cは、上下端部がそれぞれ、第2天井コンクリート部材110Bの、上述の中央連結コンクリート部材120Aとは連結されていない他方の端部(図1(a)にて右側端部)と、第2基台コンクリート部材130Bの、上述の中央連結コンクリート部材120Aとは連結されていない他方の端部(図1(a)にて右側端部)とに接合されている。
また、図1(a)には、上述のようにして互いに隣接する第1及び第2の空間V1、V2を形成しているボックス型コンクリート構造物100は、更に、第2空間V2に隣接して、第3の基台コンクリート部材130C等を利用して他のコンクリート構造物が構築された態様を示している。ただし、本発明はこのような構造のコンクリート構造物の耐震補強のための曲げ補強に限定されるものではない。
上記構成とされる本実施例の第1、第2空間V1、V2を備えたボックス型コンクリート構造物100は、耐震補強をなすためには、構造物の外面にて補強工事を行うことができず、構造物内面において補強工事を施工することが必要となる。つまり、本発明は、ボックス型構造物の内面基部の曲げ補強に有効に適用される。
ここで、互いに交差して配置されたコンクリート部材の接合部の構造について、図1(a)、(b)を参照して、本実施例の中央連結コンクリート部材120Aと第1基台コンクリート部材130Aに関連して説明すれば、中央連結コンクリート部材120Aと第1基台コンクリート部材130Aとが交差して互いに連結された接合部101の構造物内面には、隅角部CRが形成される。この隅角部CRには、中央連結コンクリート部材120Aに曲げ荷重が付加された場合に、最大曲げモーメントが発生する。従って、必須の構造ではないが、通常、この隅角部CRに作用する応力集中を緩和するために、中央連結コンクリート部材120Aの、隅角部CRから距離LBの領域、例えば、LB=100~300mmの範囲とされる領域(即ち、本発明にて「コンクリート部材基部」102A1に相当する領域)には、コンクリート部材の幅を中央部より大きくした、例えば底辺長さが距離LB程度とされる傾斜壁、所謂、「ハンチ」140が形成される。
このように、ハンチ140を形成することにより、隅角部CRに作用する応力集中を緩和することはできるが、耐震補強としてのハンチ140による補強ではコンクリート部材基部102A1の曲げ補強が十分ではないと判断される場合には、更に、コンクリート部材基部102A1の曲げ補強が必要となる。
以上、中央連結コンクリート部材120Aと第1基台コンクリート部材130Aとの関連について説明したが、中央連結コンクリート部材120Aと第2基台コンクリート部材130Bとの間においても同様である。
上述にて理解されるように、本実施例にて、上記構成のボックス型コンクリート構造物100において、構造物が地震等により水平及び/又は垂直方向への変形荷重を受けた場合には、上述したように、中央連結コンクリート部材120Aには、図1(a)、(b)に図示するように、第1、第2基台コンクリート部材130A、130Bとの下端のハッチングを施して示す接合部101に隣接した下端基部102(102A1、102B1)において、更に、第1、第2天井コンクリート部材110A、110Bとの上端接合部101に隣接した上端基部102(102A2、102B2)において、最大曲げモーメントが生じることが考えられる。
そこで、以下に詳しく説明するように、中央連結コンクリート部材120Aの下端基部102A1、102B1及び上端基部102A2、102B2が、本発明に従って曲げ補強がなされる。
勿論、曲げ補強は、中央連結コンクリート部材120Aに限定されるものではなく、図1(a)には第2側部連結コンクリート部材120Cに関しては、第2基台コンクリート部材130Bとの下端の接合部101に隣接した下端基部102C1において曲げ補強が必要となり、また、第2天井コンクリート部材110Bに対しては、第2天井コンクリート部材110Bの、図面上、右側端部と第2側部連結コンクリート部材120Cの上端との接合部101に隣接した右端基部102C2において、第2天井コンクリート部材110Bの曲げ補強が必要となる。
なお、本発明を説明する図1(a)には、第1側部連結コンクリート部材120Bについては、曲げ補強がなされていないが、必要に応じて、第1側部連結コンクリート部材120Bと第1天井コンクリート部材110Aとの接合部101に隣接した上端基部、及び/又は、第1側部支持コンクリート部材120Bと第1基台コンクリート部材130Aとの接合部101に隣接した下端基部においても、所要のコンクリート部材に対して基部の曲げ補強を施すことができるのは当然である。
つまり、図1(a)に示されるコンクリート部材の基部に対する曲げ補強は、曲げ補強を説明するために例示するものであって、図示するコンクリート部材の基部に対する曲げ補強を全て施工することを必要とするものではなく、必要と思われるコンクリート部材に対してその基部の曲げ補強を行うことができる。
本発明は、このように、交差して配置された、補強対象部材としての第1のコンクリート部材(例えば、中央連結コンクリート部材120A)と、第1のコンクリート部材120Aと接合された第2のコンクリート部材(例えば、第1基台コンクリート部材130A)とを有するコンクリート構造物100において、第2のコンクリート部材130Aとの接合部101を形成する第1のコンクリート部材120Aの基部102A1を連続繊維補強部材1を用いて曲げ補強を行うコンクリート構造物の曲げ補強方法である。
本発明の一実施例によれば、図1(a)、(b)を参照して、中央連結コンクリート部材(第1のコンクリート部材)120Aと第1基台コンクリート部材(第2のコンクリート部材)130Aとの間における第1のコンクリート部材120Aの基部102A1の曲げ補強について言えば、
(a)連続繊維補強部材1は、多数本の、例えば炭素繊維のような強化繊維を一方向に配列した連続強化繊維束、即ち、連続繊維ストランドを有し、
(b)連続繊維補強部材1に樹脂を含浸させ、
(c)連続繊維補強部材1の一側の取付部1aを、第1のコンクリート部材120Aの基部102A1に隣接して形成した取付孔部10に埋め込み、連続繊維補強部材1の他側の定着部1bを第1のコンクリート部材120Aに定着し、
(d)樹脂を硬化して第1のコンクリート部材基部102A1の曲げ補強を行い、
(e)樹脂が硬化された連続繊維補強部材1は、ヤング率が70~720GPaである、
構成とされる。
ここで、本発明にて使用する連続繊維補強部材1は、図2(a)~(c)に記載する形状とし得る。つまり、連続繊維補強部材1は、図2(a)、(b)に示すように、所定の長さ(L1)とされ、断面が略円形状とされるか(図2(a))、或いは、断面が略矩形状とされる(図2(b))、細長棒状体に賦形されている。また、図2(c)に示すように、連続繊維補強部材1は、上記細長棒状体の連続繊維補強部材1と同様の長さ(L1)とされるが、一端1aが長さ(L1a)の細長棒状形状とされ、他端1bが長さ(L1b)の拡開形状(扇形状)に賦形されたものとすることもできる。詳しくは後述する。
(連続繊維補強部材)
以下、本発明に使用する連続繊維補強部材1について図面に則して説明する。
第一の製造実施例
図2(a)~(c)に本発明に使用する連続繊維補強部材1の第一の製造実施例を示す。本実施例にて、連続繊維補強部材1は、図2(a)、(b)に示すように、柔軟性を有する連続繊維ストランド2を20本~200本(通常、80本~144本)の範囲で所定本数だけ一方向に引き揃えて束ね、柔軟性のある細長棒状体とされる。必要に応じて、複数本の連続繊維ストランド2は、図示してはいないが、緩く撚りを掛けるか、或いは、ポリエステル繊維のようなカバーリング糸条を緩く巻き付けることもできる。
更に説明すると、図2(d)に示すように、各連続繊維ストランド2は、一方向に並列に引き揃えられている多数の連続した強化繊維fを集束して連続強化繊維束Fを形成し、この繊維束Fにて連続繊維ストランド2が形成される。つまり、本発明ではヤング率(引張弾性率)が70GPa以上の弾性を有した強化繊維を使用することができ、強化繊維fとしては、炭素繊維、ガラス繊維などの無機繊維、アラミド繊維などの有機繊維を好適に使用し得る。
詳しくは後述するが、特に炭素繊維が好適に使用され、好ましくは、特に、ヤング率が280~500GPaとされる中弾性の炭素繊維、及び、ヤング率が500GPa以上とされる高弾性の炭素繊維を好適に使用することができる。なお、他の繊維のヤング率について言えば、典型的には、ガラス繊維は70~90GPa、アラミド繊維は70~120GPaとされる。
連続繊維ストランド2は、図2(d)に示すように、通常、略円形断面形状とされるが、必要に応じて、同等面積とされる略矩形断面形状、更には、その他の種々の断面形状とすることができる。一般に繊維径が5~20μmとされる強化繊維fを3000~96000本収束して形成される強化繊維束Fにて構成される樹脂含浸されていない、所謂、ドライ状態の各連続繊維ストランド2であり、この連続繊維ストランド2は、横断面積が0.1~5mm(通常、0.6~1.2mm)であるのが、柔軟性の点、樹脂含浸性の点から好適である。ここで、連続繊維ストランド2の「横断面積」とは、空隙を含まない、強化繊維fのみの横断面積の総和を意味する。
本実施例にて、連続繊維補強部材1は、上述した図2(a)、(b)に示すように、所定の長さ(L1)とされ、断面が略円形状とされるか(図2(a))、或いは、断面が略矩形状とされる(図2(b))、細長棒状体に賦形することもできるが、また、図2(c)に示すように、連続繊維補強部材1は、上記細長棒状体の連続繊維補強部材1と同様の長さ(L1)とされるが、一端1aが長さ(L1a)の細長棒状形状とされ、他端1bが長さ(L1b)の拡開形状(扇形状)に賦形されたものとすることもできる。
第二の製造実施例
次に、本発明に使用する連続繊維補強部材1の他の製造実施例について説明する。連続繊維補強部材1は、上述したように、上記特許文献4(特許第4463657号公報)に記載される定着用アンカーを構成する連続繊維補強部材と同様の構成とすることができる。以下に図面に則して説明する。
図7(a)、(b)に本発明に使用する連続繊維補強部材1の第二の製造実施例を示す。本実施例にて、連続繊維補強部材1は、平面状、即ち、シート状の補強シートとされ、図7(a)は、平面状の連続繊維補強部材1を一側(表)から見た図であり、図7(b)は、連続繊維補強部材1を他側(裏)から見た図である。
本実施例によると、連続繊維補強部材1は、上記第一の製造実施例で説明したと同様の柔軟性を有する連続繊維ストランド2を、20本~200本(通常、80本~144本)の範囲で所定本数だけ一方向に並列に引き揃えて、平面状、即ち、シート状とされる。各連続繊維ストランド2は、図2(d)、図9に示すように、多数の連続した強化繊維fを一方向に束ねて形成される。後述するように、このシート状の連続繊維補強部材1は、束ねて、図2(a)、(b)の細長棒状体、又は、図2(c)の一端が棒状体、他端が扇形状体とされる。
本製造実施例にて連続繊維補強部材1は、拘束糸(即ち、鎖編糸)3がループ状に縦方向に連続して鎖編み目を形成しながら編成されて作製された鎖編み部(編み組織)30を有する。各連続繊維ストランド2は、詳しくは図8を参照して後述するが、この編み組織30の鎖編み目3Aの中に直交させて配置されている。
また、各連続繊維ストランド2を拘束する編み組織30は、互いに隣接した編み組織30が互いに挿入糸4により結束される。つまり、挿入糸4は、編み組織30に対して横方向に挿入され、本実施例では、隣り合った連続繊維ストランド2を囲包して編成された編み組織30に対して、連続繊維ストランド2の長手方向(即ち、縦方向)に沿って所定間隔にて絡み合い、複数の連続繊維ストランド2を平面状に、即ち、強化繊維シート状態に保形する。
図8を参照して、拘束糸3がループ状に縦方向に連続して編成された編み組織30の中を、各連続繊維ストランド2が直交して配置されている状態、及び、編み組織30に対する挿入糸4の編絡状態について説明する。
図8に示すように、拘束糸3は、ループ状に縦方向に連続して編成されて編み組織30を形成し、複数の縦方向編み組織30により編み構造30Aが形成される。この編み構造30Aを構成する各編み組織30の鎖編み目3Aを貫通するようにして、連続繊維ストランド2が挿入配置される。
図8は、理解を容易とするために、連続繊維ストランド2が編み組織30の鎖編み目3Aを貫通するように屈曲している状態にて示すが、実際には、連続繊維ストランド2が曲がることはなく、図7(a)、(b)に示すように、直線状態に配置された連続繊維ストランド2に対して、拘束糸3により編成された編み組織30の鎖編み目3Aが編み込まれることとなる。
このような編み組織30に対して、図8に示すように、横方向に挿入して挿入糸4が編み込まれ、隣り合った編み組織30が互いに結束される。
つまり、本実施例の連続繊維補強部材1によれば、拘束糸3が縦方向に連続的に、且つ、平面状に編成して編み構造30Aが形成され、この編み構造30Aにおける縦方向に連続的に編成された編み組織30の中に、多数の連続した強化繊維fを一方向に束ねて形成した連続繊維ストランド2が挿入される。そして、縦方向編み組織30の中に挿入された各連続繊維ストランド2は、縦方向の編み組織30に対して横方向に挿入された挿入糸4で連結することによって保形される。
上記編み構造30Aにより拘束され、保形された連続繊維補強部材1は、当業者には周知の編成機(経編機)を用いて、複数の連続繊維ストランド2、編み組織30を構成する拘束糸3、及び、編み組織30を結束する挿入糸4を編み込むことによって生産性良く、高品質にて作製することができる。また、連続繊維ストランド2を拘束糸3及び挿入糸4による編み構造により拘束し、保形しているために、強化繊維を縫製して拘束保形する場合に発生する針によるダメージや繊維束割れなどの問題は発生しない。
つまり、本実施例によれば、連続繊維補強部材1が編み構造とされるために、伸縮性を有し且つ形態が安定しており、また、編み機による連続生産が可能であり、品質が均一で高品質の製品を製造することができる。また、連続繊維補強部材1は、挿入糸4によりその形状が横方向に対して伸縮自在に保形されているために、横方向形状の広狭が変形可能とされる。挿入糸4と編み組織30との結合回数を変更することにより、連続繊維補強部材1の柔軟性を調整することが可能である。
本製造実施例においても、各連続繊維ストランド2は、上記第一の製造実施例にて説明したように、多数の連続した強化繊維fを集束して形成される繊維束Fにて構成される。
上述のように、本実施例にて、複数の連続繊維ストランド2が一方向に引き揃え並置された平面状の、即ち、シート状の連続繊維補強部材1では、各連続繊維ストランド2は、互いに空隙(g)=0.1~20mmだけ近接離間して、挿入糸4にて伸縮性を有して固定され、シート状態に保形される。また、このようにして形成された連続繊維補強部材1の長さ(L)及び幅(W)は、適宜決定されるが、取扱い上の問題から、一般に、全幅(W)は、10~500mmとされる。又、長さ(L)は、100m以上のものを製造し得るが、使用時においては、適宜切断して使用される。
連続繊維ストランド2の繊維量を増やしたい場合には、図10(a)、(b)に示すように、縦方向或いは横方向に繊維束Fを複数、例えば、図示するように2本、或いはそれ以上積層し、つまり、複数本の連続繊維ストランド2a、2bを一つの連続繊維ストランド2として使用する構成としても良い。積層数は、必要幅内に使用される強化繊維及び連続繊維ストランドの太さと糸本数で決定される。この場合においても、上述したように、本実施例の連続繊維補強部材1は、拘束糸3及び挿入糸4と共に編み構造とされ、安定した形態にて均一な且つ高品質の製品とし得る。
上述のように、本実施例の連続繊維補強部材1は、各連続繊維ストランド2が個々に、編み組織30を形成している拘束糸3により拘束され、且つ、互いに並置された各連続繊維ストランド2は、挿入糸4により所定形状へと変形可能に保形されている。
このように、本実施例にて、拘束糸3は、コンクリート補修補強の施工時に連続繊維ストランド2、即ち、強化繊維fに樹脂を含浸する樹脂含浸時において強化繊維が膨潤し、繊維配向に乱れや樹脂含浸不良が発生するのを防止する。又、挿入糸4は、拘束糸3で拘束された連続繊維ストランド2、2間の距離を規定し、各連続繊維ストランド2がずれてストランド間の距離が変わらないように、拘束糸3と絡み合い固定化する機能をなす。
従って、本実施例の連続繊維補強部材1によれば、樹脂含浸時においても繊維の直線性が維持され、従来の他の連続繊維補強部材或いは定着用アンカーのように、樹脂含浸時に繊維の配向が乱れ、定着後の強度が低下するようなことはない。
本実施例にて、強化繊維fとしては、上述のように、ヤング率(引張弾性率)が70GPa以上の弾性を有した強化繊維を使用することができ、強化繊維fとしては、好ましくは、中弾性或いは高弾性の炭素繊維が使用されるが、他には、ガラス繊維などの無機繊維、更には、アラミド繊維などの有機繊維も使用し得る。
前記拘束糸3及び挿入糸4は、15~1500d(デニール)のマルチフィラメント糸やモノフィラメント糸とすることができ、例えば、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリアクリロニトリル系、ポリビニルアルコール系及びポリオレフィン系の繊維、アラミド繊維、などのような有機繊維、更には、チタン繊維、スチール繊維などの金属繊維、また、炭素繊維、ガラス繊維などの無機繊維を単独で、又は、複数種混入して作製された糸を使用することができる。又、無機繊維に熱可塑性有機繊維を巻き付け或いは撚り合わせた構成の糸を使用することもできる。
上記構成の本実施例の平面状の連続繊維補強部材1は、連続繊維補強部材1が有する編み構造、及び、挿入糸4が有する伸縮性により、自由度の高い特性を有しており、図11(a)、(b)に示すように、連続繊維補強部材1の幅方向両端より圧縮することにより、容易に縮むことができ、又、幅方向両端を外方へと引っ張ることにより容易に伸ばすことができる。
従って、図11(a)に示すように、上記長尺の平面状の連続繊維補強部材1を所定の長さ(L1)に切断し、例えば、250mm~800mmの長さに切断し、この切断された所定長さ(L1)の細長帯状の連続繊維補強部材1の一端部領域においては、図11(b)に示すように、幅方向両端より圧縮することにより縮めて、各ストランド2、2間が密とされた幅(W2)の細幅部分1aを形成し、他端領域は、扇形となるように広げ幅を調整することにより、最大幅(W3)の広幅部分(即ち、拡開扇形部)1bが形成された連続繊維補強部材1を作製することができる。更に、細幅部分1aは、幅(W2)より小さくなるように巻き込んだり、或いは、幅方向に折り畳むことにより、図2(c)に示すように、一端が扇形状とされ、他端が細長棒状体とされる連続繊維補強部材1を作製することもできる。
また、別法として、図11(a)に示す平面状の連続繊維補強部材1は、図11(c)に示すように、幅方向に縮小し、更に、幅方向に巻き込んだり、或いは、図示してはいないが、長手方向に沿って折り返しながら畳み込むことなどにより、図2(a)、(b)に示すように、細長棒状体に賦形することができる。必要に応じて、図2(a)、(b)に示す細長棒状の一方の端部、本実施例では端部1bを拡開することにより、図2(c)に示すように一端が棒状に、また、他端1bが扇形状の連続繊維補強部材1を作製することもできる。
他の実施例によれば、長尺の平面状の連続繊維補強部材1は、図12(a)に示すように、所定の長さ(L3)及び幅(W4)を有した細幅部分1aと、細幅部分1a、1aの間に位置し、所定の長さ(L4)を有し、その中央部分にて最大幅(W5)となる広幅部分1bとが交互に形成された長尺の平面状の帯状とされる連続繊維補強部材1とすることができる。
このような図12(a)に示す本実施例のシート状の連続繊維補強部材、即ち、補強シート1は、シート製造に使用する経編機におけるテンションの強弱を調整することにより、シート1の幅を広く編成したり、幅を狭く編成したりして製造し得る。
また、このようなシート状の連続繊維補強部材1は、本発明にて使用する場合には、図12(a)、(b)に示すように、先ず、一つの広幅部分1bを挟む二つの、所定の長さ(L3)及び幅(W4)を有した細幅部分1aをそれぞれ長さ方向中央部で切断し、長さ(L5)のシート状の連続繊維補強部材1を作製する。次いで、図12(b)に示すように、細幅部分1a、1aの間に位置し、所定の長さ(L4)を有した広幅部分1bを、その最大幅(W5)の中央部分の位置にて切断し、図12(c)に示すように、長さ(L1)のシート状の連続繊維補強部材1を作製する。この連続繊維補強部材1は、一端部1bが所定長さ(L1b)にて扇形状とされ、残り部分を細幅部分(或いは、棒状部分)1aとなるように、部材1の幅方向両端より圧縮することにより縮めて、各ストランド2、2間が密とされた幅(W2)の細幅部分1aを形成し、他端領域は、扇形となるように広げ幅を調整することにより、最大幅(W1b)の広幅部分(即ち、拡開扇形部)1bが形成された連続繊維補強部材1を作製することができる。更に、細幅部分1aは幅(W2)より小さくなるように巻き込んだり、或いは、幅方向に折り畳むことにより、図2(c)に示すように細長棒状部1aを形成するように賦形される。
もし、所定形状にて固定された連続繊維補強部材1が所望される場合には、挿入糸4及び/又は拘束糸3の素材を熱可塑性繊維を使用し、加熱して、連続繊維ストランド2、即ち、強化繊維fと、挿入糸4及び/又は拘束糸3とを融着し、更に、加熱による熱可塑性繊維の伸縮性及び残留伸度を除去することができる。
次に、本実施例の連続繊維補強部材1の一具体例について更に説明する。
具体例1
本具体例では、図11(a)を参照して説明した構成の平面状の連続繊維補強部材1を次のようにして作製した。
連続繊維補強部材1における連続繊維ストランド2は、繊維fとして平均径5μm、収束本数36000本のPAN系炭素繊維ストランドを用いた。炭素繊維は、中弾性の炭素繊維であり、ヤング率が450GPaであった。拘束糸(鎖編糸)3としては、ポリエステルマルチフィラメント(番手100d)を使用した。また、挿入糸4としては、フロントにポリエステルモノフィラメント(番手63d)を使用し、そして、バックにポリエステルモノフィラメント(番手63d)に低融点ポリアミド繊維(番手100d)を撚り合わせたものを用いた。
これら、連続繊維ストランド2、拘束糸3及び挿入糸4を使用して、編成機により、連続繊維ストランド2が43本とされるシート状の連続繊維補強部材1、即ち、補強シートを作製した。
図11(a)にて、挿入糸4は、連続繊維ストランド2の長手方向に対して10mmの一定の間隔(P4)にて編み込まれた。
このようにして作製した連続繊維補強部材1は、幅(W)が125mm、長さ(L)が100mであった。各ストランド間の間隙(g)は、3~4mmであった。
次に、上記連続繊維補強部材1を、長さ(L1)800mmに切断し、図11(a)に示す細長帯状の、即ち、矩形状の補強シートとした。
この矩形シート状とされる連続繊維補強部材1は、図11(b)に示すように、その幅方向両端を圧縮することにより、容易に縮むことができ、細幅部分1aを形成することができた。また、細幅部分1aの一方の端部は、加減しながら幅方向両端を外方へと引っ張ることにより扇形状に成形することができ、所定長さ(L1b)にて扇形部分1bを形成することができた。この成形作業において、連続繊維ストランド2の直線性が乱れることはなかった。
また、図11(a)に示すシート状の連続繊維補強部材1を、図11(c)に示すように、幅方向に巻き込むことにより図2(a)、(b)に示す細長棒状体の連続繊維補強部材1を作製したが、この成形作業においても連続繊維ストランド2の直線性が乱れることはなかった。また、この細長棒状体の連続繊維補強部材1から、一端を扇形状とした、図2(c)に示す形態の連続繊維補強部材1も容易に作製することができた。
本実施例によれば、
(1)連続繊維補強部材1を構成する連続繊維ストランド2の本数が常に一定であるため、当然なこととして、施工現場において連続繊維ストランド数を間違えることはない。
(2)連続繊維補強部材1を切り分けて使用するための成形作業に際して、幅方向に容易に伸ばしたり、縮めたりすることができ、また、幅方向に巻き込んだり、長手方向に折り畳むこともでき、貼り付ける場所の形状(例えば、定着扇形の幅)に合わせて、施工現場で容易に変形させることができた。また、縮めた部分の近傍が皺になることもなく、作業性が良かった。更には、強度低下を起こすこともなかった。
(3)個々の連続繊維ストランド2は拘束糸3による編み組織30にて拘束し、挿入糸4にてその形態が保形されているために、樹脂が含浸した際に繊維が揺らいで強度低下を起こすことはなかった。
第三の製造実施例
図13に、本発明の平面状とされる連続繊維補強部材1の他の製造実施例を示す。
本製造実施例の連続繊維補強部材1では、第二の製造実施例と同様に、各連続繊維ストランド2は、拘束糸3がループ状に縦方向に連続して編成された編み組織30の鎖編み目3Aの中に直交させて配置されている。
ただ、本製造実施例によると、縦方向編み組織30に対して横方向に挿入された挿入糸4が、各連続繊維ストランド2を拘束する編み組織30に対して、一定のコース毎に振って編み込まれている。
つまり、本製造実施例では、第二の製造実施例と同様に、図8に示すように、拘束糸3は、各連続繊維ストランド2が鎖編み目3Aを直交して貫通するようにして、各コース毎に鎖編み目3Aを形成しながら編み組織30を形成する。これにより、各連続繊維ストランド2は拘束される。
本製造実施例によると、挿入糸4は、横方向への挿入糸であり、本製造実施例では、1ウェールずつ飛んで編み組織30を構成する拘束糸3に掛けながら蛇行させて挿入される。これにより、編み組織30に拘束された連続繊維ストランド2を有した連続繊維補強部材1が、シート状に保形される。
本製造実施例においても、平面状とされる連続繊維補強部材1は、第二の製造実施例の場合と同様に、図11(a)に示すように、連続繊維補強部材1の幅方向両端より圧縮することにより、容易に縮むことができ、又、幅方向両端を外方へと引っ張ることにより容易に伸ばすことができる。この作業により、図11(b)(図2(c))に示すような、細幅部分1aの一方の端部は、扇形状に成形することができ、所定長さ(L1b)にて扇形部分1bを形成することができた。この成形作業において、連続繊維ストランド2の直線性が乱れることはなかった。
また、平面状の連続繊維補強部材1は、図11(c)に示すように幅方向に巻き込んだり、或いは、図示してはいないが、長手方向に沿って折り返しながら畳み込むことなどにより、図2(a)、(b)に示すように細長棒状体に賦形することができる。必要に応じて、この細長棒状体の一端部を拡開することにより、図2(c)に示す形状の連続繊維補強部材1を作製することもできる。
第三の製造実施例の連続繊維補強部材1も又、第二の製造実施例と同様に、経編機を用いて作製することができ、第二の製造実施例と同様の作用効果を達成することができる。従って、本製造実施例においても、経編機によるテンションの強弱を調整することにより、図12(a)に示すように、シート1の幅を広く編成したり、幅を狭く編成したりすることもまた可能である。
第四の製造実施例
図14(a)、(b)に、本発明の連続繊維補強部材1の更に他の製造実施例を示す。
第二、第三の製造実施例においては、本発明に係る連続繊維補強部材1は、柔軟性を有する連続繊維ストランド2を所定本数一方向に並列に引き揃え、拘束糸3にて各連続繊維ストランド2を拘束し、挿入糸4をも使用して、複数の連続繊維ストランド2を平面状、即ち、シート状に保形するものとして説明した。
本製造実施例においては、第二、第三の製造実施例と同様に、連続繊維補強部材1は、柔軟性を有する連続繊維ストランド2を所定本数一方向に並列に引き揃え、拘束糸3にて各連続繊維ストランド2を拘束し、挿入糸4を使用することにより複数の連続繊維ストランド2が、円筒状に保形される。
本製造実施例においても、連続繊維補強部材1が円筒形状とされる以外は、第二、第三の製造実施例と同じ構成とされ、又、同じ経編機を用いて作製することができる。従って、連続補強部材を構成する連続繊維ストランド2、拘束糸3、挿入糸4、更には、円筒状の連続繊維補強部材1の製造方法についての再度の説明は省略し、第二、第三の製造実施例の説明を援用する。
尚、連続繊維補強部材1の直径(D)は、3~500mm、長さ(L)が100m以上にて製造し得る。
本製造実施例においても、経編機によるテンションの強弱を調整することにより、図12(a)に示すように、連続繊維補強部材1の直径を広く編成したり、狭く編成したりすることが可能である。
本製造実施例の連続繊維補強部材1も、第二、第三の製造実施例の連続繊維補強部材1と同様の作用効果を達成することができる。
また、本製造実施例にても、図14(b)に示すように、連続繊維補強部材1を所定寸法に(L1)にて切断し、少なくとも一端部を扇形状或いはラッパ形状に成形して所定長さ(L1b)の扇形部分1bとし、その他の部分は、径を縮小して細径部(棒状体部)1aとされる連続繊維補強部材1を好適に作製し得る。勿論、図14(a)に示す円筒形状とされる全体形状を押圧して平面状と成し、次いで、幅方向に縮小して、図2(a)、(b)に示すような細径部分から成る細長棒状体、又は、図2(c)に示すような、棒状体部1aと、一端が拡開した扇形部1bとを有する形態とすることも可能である。
(補強方法及び構造)
次に、本発明に係るコンクリート構造物の補強方法及び、補強方法にて達成される補強構造を実施例に即して更に具体的に説明する。本実施例では、図1(a)、(b)に示したボックス型コンクリート構造物100におけるコンクリート部材の基部の曲げ補強について説明する。特に、本実施例では、中央連結コンクリート部材120Aと第1基台コンクリート部材130Aとの間における中央連結コンクリート部材120Aの下端基部102A1の曲げ補強について説明する。
また、本実施例のコンクリート部材基部の曲げ補強では、曲げ補強方法に使用する連続繊維補強部材1は、図2(a)、(b)に図示するような細長形状の棒状体の形態とされるものとして説明する。本実施例で使用する連続繊維補強部材1は、長手方向長さ(L1)が250~800mmとされる。詳しくは後述するが、連続繊維補強部材1は、その一端が取付部1aとされ、この取付部1aは、図1(a)に示すように、第1のコンクリート部材(本実施例では中央連結コンクリート部材120A)に形成した取付孔部10に埋め込み、樹脂にて固着される。本実施例では、取付孔部10は、詳しくは図3(a)をも参照して後述するが、ハンチ140から接合部101へと穿設して形成された。
また、連続繊維補強部材1の他端は定着部1bとされ、この定着部1bは、図1(a)に示すように、第1のコンクリート部材(中央連結コンクリート部材)120Aの内側面、即ち、補強対象面120Aaに沿って形成した定着用溝20に樹脂にて接着、即ち、定着される。連続繊維補強部材1の取付部1aの長さ(L1a)は、150~400mmの長さとされ、また、定着部1bの長さ(L1b)は、100~400mmの長さが必要とされる。従って、連続繊維補強部材1の長さ(L1)は、全体で、250~800mmとされる。連続繊維補強部材1の長さ(L1)が250mm未満では、取付部1a及び/又は定着部1bの長さが不足することとなり、強度的に問題が生じる。また、800mmを超えると、無駄な長さとなり、連続繊維補強部材1のコストが増大すると共に、作業の手間が増え、問題である。
なお、詳しくは後述するが、連続繊維補強部材1は、曲げ補強材であり、樹脂が含浸され、硬化されると繊維強化プラスチック(FRP)材となる。従って、連続繊維補強部材1に含浸される樹脂としては、常温硬化型或は熱硬化型のエポキシ樹脂、ビニールエステル樹脂、MMA樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、又は、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂;ナイロン、ポリアミド、PEEKなどの熱可塑性樹脂;又は、熱可塑性エポキシ樹脂などを使用し得る。好適には、常温硬化型液状樹脂を使用し、連続繊維補強部材1を取付孔部10及び定着用溝20に設置した後、常温にて硬化させるか、又は、熱硬化型液状樹脂を使用し、取付孔部10及び定着用溝20に設置した後、加熱して硬化させることも可能である。樹脂含有量は、20~75重量%とされるが、好ましくは、40~60重量%である。
本発明にて使用される連続繊維補強部材1は、上述のように、連続繊維補強部材1を構成する連続強化繊維束(連続繊維ストランド)及び各連続繊維ストランド間に樹脂が含浸され、硬化されると複合材、即ち、繊維強化プラスチック(FRP)材となる。本願発明では、好ましくは、強化繊維fとして炭素繊維を使用するので、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)とされ、上述したように、好ましくは、中弾性或いは高弾性の炭素繊維を使用した高強度、高弾性型CFRPである。本発明にて、CFRPとされる連続繊維補強部材1はヤング率が70GPa以上とされる。勿論、強化繊維としてガラス繊維、アラミド繊維等を使用した場合にも、FRP材は、70GPa以上のヤング率を達成することができる。
ここで、本発明における、つまり、本願明細書、特許請求の範囲などで使用する連続繊維補強部材1の「ヤング率」について説明する。
FRP材(複合材)とされる連続繊維補強部材1は、強化繊維と樹脂の複合材とされ、複合材を用いた補強強度計算に際してのFRP材とされる連続繊維補強部材1のヤング率、強度の計算における連続繊維補強部材1の横断面積は、強化繊維と樹脂とが組み合わさった複合材の断面積が使用される。これに対して、本発明が関連する土木、建築の分野では、ヤング率、強度の計算における連続繊維補強部材1の横断面積は、強化繊維と樹脂とが組み合わさった複合材の断面積ではなく、複合材中の強化繊維のみの断面積とされている。従って、本発明においても、FRP材とされる連続繊維補強部材1のヤング率、強度の計算における連続繊維補強部材1の横断面積は、複合材中に含まれる強化繊維の横断面積の総和を使用するものとする。
本発明では、上述のように、FRP材とされる連続繊維補強部材1はヤング率が70GPa以上とされるが、ヤング率が70GPa未満では補強材としての連続繊維補強部材1の曲げ剛性が不足し、コンクリート部材の基部100Aにおける十分な曲げ補強が達成されない。
一方、例えば炭素繊維に関して言えば、ヤング率が720GPaを超える炭素繊維も製品としてはあるが、一般にヤング率が高くなると、加工性や取扱い性が悪く、編成機によりシート状に加工するのが難しくなる。つまり、ヤング率が高くなると、加工時に炭素繊維が擦過されるとダメージとなり、編成機によりシート状に加工するのが難しくなり、更に、値段(コスト)が高くなり、土木や建築の補強用の材料として実態に合わない。
従って、特に、本発明の連続繊維補強部材に用いる強化繊維として好ましいとされる炭素繊維は、70~720GPaとされ、編成機による加工の良好性、コスト、引張強度をも含めた物性のバランスから、好ましくは、ヤング率は280~640GPaとされる。つまり、本発明において、樹脂含浸され硬化された後のCFRPである連続繊維補強部材1のヤング率は、70~720GPaとされ、好ましくは、ヤング率は280~640GPaとされる。
尚、本発明者らは、強化繊維として炭素繊維を使用した場合の編成機による連続繊維補強部材を作製した際の物性の低下を評価するために下記の試験を行った。つまり、本発明では、炭素繊維束(連続繊維ストランド2)を拘束糸3や挿入糸4を使用し、編成機によりシート状に加工した連続繊維補強部材を使用するため、この加工による影響、即ち、加工による物性低下が生じるか否かを引張試験にて確認した。
本試験では、炭素繊維として典型的な三種類の、即ち、高強度タイプ、中弾性及び高弾性の炭素繊維を使用し、編成機にてシート状の連続繊維補強部材を作製し、棒状体に賦形した後、樹脂を含浸させ、硬化して引張試験体を作製した。試験体には歪ゲージを接着し、万能試験機に設置し引張試験を行った。荷重と歪、及び、試験体の断面積(炭素繊維のみの断面積の総和)より、引張応力及びヤング率を求めた。その結果を表1に示す。表1より、編成機による加工によっても物性、特に、ヤング率が低下していないことが分かる。更に、連続繊維補強部材は、樹脂含浸時においても繊維の直線性が維持され、樹脂含浸時における繊維配向の乱れ、強度の低下がないことが分かった。
Figure 0007412991000001
上述したように、連続繊維補強部材1を形成する連続強化繊維束の断面形状は限定されるものではなく円形状か、或いは、矩形状、更に、その他、楕円形状、長円形状など種々の形状とすることも可能である。ただ、本発明にて、連続繊維補強部材1は、コンクリート部材の基部の曲げ補強を行う補強材としての機能を有するものであり、曲げ剛性を有することが必要である。従って、図2(a)、(b)を参照して言えば、連続繊維補強部材1は、通常、上述したように、連続繊維ストランド2が20~200本使用された場合、連続強化繊維束に樹脂が含浸され硬化された繊維強化プラスチック(FRP)の状態で、断面積(S)は40~2000mm(通常、70~1000mm)とされる。例えば、円形断面の連続繊維補強部材1の場合(図2(a))は、直径(D1)は、8~50mm、通常、20~30mmとされ、矩形断面の連続繊維補強部材1の場合(図2(b))は、幅(W1)が8~30mm、厚さ(H1)が5~20mmとされ、通常、幅(W1)は12~20mm、厚さ(H1)は8~16mmとされる。
・定着用溝・取付孔部形成
本実施例の曲げ補強によれば、図3(a)、(b)に示すように、中央連結コンクリート部材(第1のコンクリート部材)120Aの空間V1側の面120Aaであって、且つ、中央連結コンクリート部材120Aと第1基台コンクリート部材(第2のコンクリート部材)130Aとの接合部101に隣接して位置する中央連結コンクリート部材120Aの補強対象内側面に沿って所定長さ(L20)の定着用溝20を形成する。
定着用溝20は、図1(a)に示すように、中央連結コンクリート部材120Aに定着される連続繊維補強部材1の定着部1bを受容するためのものであり、従って、この定着用溝20は、連続繊維補強部材1の定着部10bを受容し得る形状とされる。例えば、図3(c)、(d)に示すように、湾曲した半円形状の溝(図3(c))、或いは、正方形若しくは長方形の矩形断面形状(図3(d))とすることもできる。更に、図示してはいないが、その他、半長円形状、半楕円形状など任意の形状とすることができる。通常、定着用溝20は、半円形状の場合、半径(R20)は5~20mm、深さ(H20)が5~20mmとされ、矩形状の場合、幅(W20)が8~30mm、深さ(H20)が5~20mmとされる。一例を挙げれば、例えば、半円形状の場合、半径(R20)は13mm、深さ(H20)が6mmとされ、矩形状の場合、幅(W20)及び深さ(H20)が、各々15mmの正方形とされる。溝長さ(L20)は、150~400mmとされ、通常、180~280mmとされる。
定着用溝20は、図3(b)に示すように、中央連結コンクリート部材120Aの幅方向に所定のピッチPにて複数個形成することができる。ピッチPは、100~500mm、通常、200~300mmの範囲の所定の値とされる。定着用溝20は、ダイヤモンドカッター或いはウォータージェットなどを利用して形成することができる。
また、図3(a)、(b)を参照すると理解されるように、中央連結コンクリート部材120Aの定着用溝20に隣接して、定着用溝20の延長線上に定着用溝20と整列して、且つ、好ましくは、定着用溝20と連通して、連続繊維補強部材1の取付部1aを受容するための所定の長さ(L10)とされる取付孔部10が形成される。
更に説明すれば、ボックス型コンクリート構造物にて、本実施例に示すように、隅角部CRにハンチ140が形成されている場合は、取付孔部10は、取付孔部中心線10CLが中央連結コンクリート部材120Aの内側表面120Aaに対して所定の角度(θ)にて、且つ、中心線10CLがハンチ140と連結コンクリート部材120Aとの境界部から△Eだけ離間して、ハンチ140から接合部101へと延在して、又は、第1の基台コンクリート部材130Aの方向へと延在して穿孔される。このとき、距離△Eは、例えば、△E=0~10mmだけ離間するようにするのが穿孔作業上好ましいが、場合によっては、△Eはマイナス、即ち、取付孔部中心線10CLがハンチ140と連結コンクリート部材120Aとの境界部から更に中央連結コンクリート部材120Aの内側表面120Aa側へと位置していても良い。また、取付孔部中心線10CLの角度(θ)は、135°以上180°未満とすることにより、取付孔部10を接合部101の方に延在して穿設することができるが、これに限定されるものではない。もし、取付孔部中心線10CLの角度(θ)を180°以上、225°程度とすることにより、取付孔部10を、接合部101に隣接した第1基台コンクリート部材130Aの方へと延在して穿設することもできる。
このように、本発明によれば、取付孔部10は、中央連結コンクリート部材120の基台102Aに隣接して接合部101、或いは、接合部101に隣接した第1基台コンクリート部材130Aの方へと延在して形成される。
図3(e)に図示するように、通常、取付孔部10は円形状の孔とされ、連続繊維補強部材1の取付部10aを受容し得る寸法、形状とされ、直径(D10)は8~50mm、深さ(L10)は、100~400mmとされる。ただ、円形状孔に限定されるものではなく、例えば、図3(f)に示されるように、取付孔部10の断面形状を矩形状とすることもでき、この場合には、縦幅(W10)及び横幅(H10)が、それぞれ、8~30mm、深さ(L10)は、100~400mmとされる。一例を挙げれば、例えば、円形状の場合、直径(D10)は25mm、深さ(L10)が200mmとされ、矩形状の場合、縦幅(W10)及び横幅(H10)が、各々15mmの正方形とされ、深さ(L10)は200mmとされる。
定着用溝20が中央連結コンクリート部材120Aの幅方向に所定のピッチPにて複数個形成される場合には、取付孔部10も又、各定着用溝20と整列して形成されるように、定着用溝20と同じに中央連結コンクリート部材120Aの幅方向に所定のピッチPで複数の孔が形成される。別法として、取付孔部10は、上述のように、複数の孔を形成する代わりに、図3(g)に示すように、複数の孔を連結したような態様で、縦幅W10、横幅H10とされる一つの細長溝形状孔部10とすることができる。
変更実施例1-1
上記実施例の説明では、交差するコンクリート部材の隅角部には、即ち、中央連結コンクリート部材120Aと第1基台コンクリート130Aとの隅角部CRにはハンチ140が形成される構成について説明したが、図3(h)に図示するように、本発明はハンチ140が形成されていない構成においても同様に適用して有効である。
つまり、図3(h)に図示するように、定着用溝20が中央連結コンクリート部材120Aの補強対象内側面に沿って所定長さ(L20)にて、隅角部CR方向へと延在して形成される。一方、中央連結コンクリート部材120Aの定着用溝20に隣接して、定着用溝20の延長線上に定着用溝20と整列して所定の長さ(L10)とされる取付孔部10が形成される。取付孔部10は、取付孔部中心線10CLが中央連結コンクリート部材120Aの内側表面120Aaに対して所定の角度(θ)にて、且つ、中心線10CLが隅角部CRから△Eだけ第1基台コンクリート部材130A側へと離間して第1基台コンクリート部材130Aから接合部101へと穿孔される。このとき、距離△Eは、例えば、△E=0~10mmだけ離間するようにするのが穿孔作業上好ましいが、場合によっては、△Eはマイナス、即ち、取付孔部中心線10CLが中央連結コンクリート部材120Aの内側表面120Aa側へと位置していても良い。また、取付孔部中心線10CLの角度(θ)は、135°以上180°未満とすることにより、取付孔部10を接合部101の方に延在して穿設することができるが、これに限定されるものではない。図3(a)を参照して上述したように、もし、取付孔部中心線10CLの角度(θ)を180°以上、225°程度とすることにより、取付孔部10を、接合部101に隣接した第1基台コンクリート部材130Aの方へと延在して穿設することもできる。
このように、ハンチ140が形成されていない本変更実施例1-1においても、取付孔部10は、中央連結コンクリート部材120Aの基部102A1に隣接して接合部101、或いは、接合部101に隣接した第1基台コンクリート部材130Aの方へと延在して形成される。
その他、定着用溝20、取付孔部10の形状、構成等は、図1(a)及び図3(a)~(g)を参照して説明した上記実施例と同様の構成とすることができるので、これ以上詳しい説明は上記説明を援用し、再度の説明は省略する。
・連続繊維補強部材の取付け
連続繊維補強部材1を、上述のようにして形成された定着用溝20及び取付孔部10に取付けるに際して、先ず、定着用溝20及び取付孔部10内にプライマー、例えば、エポキシ樹脂プライマーを塗布する。ただ、プライマーは必ずしも必要とするものではない。
本実施例にて使用される、図2(a)、(b)に示す構成の樹脂未含浸の連続繊維ストランド2を有した、所謂、ドライの連続繊維補強部材1に樹脂を含浸させる。樹脂含浸は、例えば、樹脂が満たされた容器内に連続繊維補強部材1を浸漬することで行うことができるが、これに限定されるものではなく任意の方法を採用し得る。連続繊維補強部材1における樹脂含有量は、上述したように、20~75重量%、好ましくは、40~60重量%とされる。
連続繊維補強部材1に含浸される樹脂としては、上述したように、常温硬化型或は熱硬化型のエポキシ樹脂、ビニールエステル樹脂、MMA樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、又は、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂;ナイロン、ポリアミド、PEEKなどの熱可塑性樹脂;又は、熱可塑性エポキシ樹脂などを使用し得る。好適には、常温硬化型液状樹脂が使用される。
図1(a)に示すように、樹脂含浸された連続繊維補強部材1は、可撓性を有した樹脂未硬化の状態で一端の取付部1aを先端部より順次、取付孔部10内に装入して設置する。また、他端の定着部1bを定着用溝20内に密着して装入、設置する。本発明によれば、樹脂が含浸され、樹脂が未だ未硬化状態の連続繊維補強部材1は可撓性を有しているために、連続繊維補強部材1は、定着用溝20、及び、この定着用溝20と所定の角度(θ)をもって形成された取付孔部10に沿って変形することができる。
なお、必要に応じて、取付孔部10及び定着用溝20に接着された連続繊維補強部材1に対して更に接着剤を塗布して空隙を充填することができる。
連続繊維補強部材1を取付孔部10及び定着用溝20に設置した後、連続繊維補強部材1の含浸樹脂は、常温にて硬化させるか、又は、熱硬化型液状樹脂を使用し、取付孔部10及び定着用溝20に設置した後、加熱して硬化させることも可能である。これにより、連続繊維補強部材1の含浸樹脂が硬化すると共に、連続繊維補強部材1が取付孔部10及び定着用溝20内に固着する。本実施例では、連続繊維補強部材1に含浸された樹脂が、連続繊維補強部材1の取付孔部10及び定着用溝20内への固着剤としても機能する。本発明によれば、樹脂が含浸された連続繊維補強部材1は、ヤング率が70~720GPaとされる。
上記諸工程にて、中央連結コンクリート部材120Aの基部102A1に対して、繊維強化プラスチック(FRP)材とされた連続繊維補強部材1により曲げ補強がなされる。本発明は、作業工程が極めて容易であり、熟練作業者を必ずしも必要とせず、作業時間の短縮を図ることができる。
更に、連続繊維補強部材1の樹脂が硬化した後、必要に応じて耐候性を向上させるために、中央連結コンクリート部材120Aの面に露出している連続繊維補強部材1の表面に保護塗装を施すことができる。保護塗装としては、例えば、アクリル系塗料を塗布することができる。
実施例2
上記実施例1を参照して説明した本発明のコンクリート構造物の曲げ補強によれば、中央連結コンクリート部材120A(第1のコンクリート部材)の補強対象面120Aaに直接に連続繊維補強部材1を接着して設置し、中央連結コンクリート部材120Aの基部102A1の曲げ補強をなすものとして説明した。
一方、上述したように、従来、既存或いは新設の上記種々のコンクリート構造物の補強方法として、構造物の表面に補強材として炭素繊維シートやアラミド繊維シートなどの繊維シート補強材をエポキシ樹脂にて貼り付けたり、巻き付けたりする連続繊維シート接着工法が行われている。本発明の補強方法は、このような連続繊維シート接着工法と組み合わせて実施することができ、コンクリート構造物の曲げ補強をなすことができる。
この場合、図4(a)、(b)に示すように、中央連結コンクリート部材120Aの補強対象面120Aaの下端領域は、中央連結コンクリート部材120Aの部材幅方向とは直交する方向にとった所定の幅(L50)にて、中央連結コンクリート部材120Aの部材幅方向長さ(L120A)に渡って繊維シート補強材50が貼付される。繊維シート補強材50の幅(L50)及び長さ(L120A)は、必要に応じて適宜選択される。特に、幅(L50)の寸法は、中央連結コンクリート部材120Aの上下方向の幅全域とすることもできるが、中央連結コンクリート部材120Aの下端部、更には、上端部の曲げ補強をなすべく、それぞれL50=600~1000mm程度とすることができる。
従って、上記説明にて理解されるように、本実施例では、上記実施例1で説明したように、連続繊維補強部材1を中央連結コンクリート部材120Aの補強対象面120Aaに定着するための定着用溝20を切削することはできない(図5(a)、(b)参照)。
そこで、図5(b)に示すように、本実施例においては、実施例1と同様に、連続繊維補強部材1の一側の取付部1aを、中央連結コンクリート部材120Aに形成した取付孔部10に埋め込み、取付孔部10に固着する。一方、連続繊維補強部材1の他側の定着部1bは、中央連結コンクリート部材120Aの基部102A1に隣接した補強対象領域に既に貼着されている繊維シート補強材50の上に接着する。このとき、連続繊維補強部材1の定着部1bと、中央連結コンクリート部材120A上に貼着された繊維シート補強材50との定着面積が、特に、連続繊維補強部材1として図2(a)に示すような断面円形状のものを使用した場合には、小さくなってしまう。従って、本実施例においては、連続繊維補強部材1の定着部1bの定着面積を大とするために、図2(c)及び図5(b)、(c)に示すように、扇状に拡開した扇状定着部1bとし、この定着部1bにて中央連結コンクリート部材120Aに貼付された繊維シート補強材50に定着するのが好ましい。扇状を形成する領域の長さ(L1b)は、200~400mm、扇状を形成する領域の最大幅(W1b)は、100~400mm、とすることができる。なお、この場合、連続繊維補強部材1の取付部10aの長さ(L1a)は、100~400mmの長さとされ。従って、連続繊維補強部材1の長さ(L1)は、全体で、300~800mmとされる。
本実施例における取付孔部10の形状、構成等は、図3(a)、(b)、(e)~(g)を参照して説明した上記実施例1と同様とすることができるので、これ以上詳しい説明は上記説明を援用し、再度の説明は省略する。
変更実施例2-1
図5(a)~(c)に示す上記実施例の説明では、交差するコンクリート部材の隅角部には、即ち、中央連結コンクリート部材120Aと第1基台コンクリート部材130Aとの隅角部CRにはハンチ140が形成される構成について説明したが、図5(d)に図示するように、本実施例2の発明はハンチ140が形成されていない構成においても同様に適用して有効である。
つまり、図5(d)に図示するように、この変更実施例2-1では、定着用溝20は必要ではなく、このため、所定の長さ(L10)とされる取付孔部10は、取付孔部中心線10CLが中央連結コンクリート部材120Aの内側表面120Aaに対して所定の角度(θ)にて、且つ、中心線10CLが隅角部CRから△Eだけ第1基台コンクリート部材130A側へと離間して第1基台コンクリート部材130Aから接合部101へと穿孔される。このとき、距離△Eは、例えば、△E=0~10mmだけ離間するようにするのが穿孔作業上好ましいが、場合によっては、△Eはマイナス、即ち、取付孔部中心線10CLが中央連結コンクリート部材120Aの内側表面120Aa側へと位置していても良い。また、取付孔部中心線10CLの角度(θ)は、135°以上180°未満とすることにより、取付孔部10を接合部101の方に延在して穿設することができるが、これに限定されるものではない。もし、取付孔部中心線10CLの角度(θ)を180°以上、225°程度とすることにより、取付孔部10を、接合部101に隣接した第1基台コンクリート部材130Aの方へと延在して穿設することもできる。
このように、ハンチ140が形成されていない本変更実施例2-1においても、取付孔部10は、中央連結コンクリート部材120Aの基部102A1に隣接して接合部101、或いは、接合部101に隣接した第1基台コンクリート部材130Aの方へと延在して形成される。
本変更実施例における取付孔部10の形状、構成等は、図3(a)、(b)、(e)~(h)を参照して説明した上記実施例と同様の構成とすることができるので、これ以上詳しい説明は上記説明を援用し、再度の説明は省略する。
変更実施例2-2
上記実施例2及び変更実施例2-1では、構造物の表面に補強材として炭素繊維シートやアラミド繊維シートなどの繊維シートをエポキシ樹脂にて貼り付けたり、巻き付けたりする連続繊維シート接着工法との組合せにおいて、図2(c)に示す構成とされる、一端が扇形状に拡開した連続繊維補強部材1を使用して、本発明の補強方法を実施し、更にコンクリート構造物の曲げ補強をなす場合について説明した。
しかしながら、図2(c)に示す構成の一端が扇形状に拡開した連続繊維補強部材1は、上記実施例2、変更実施例2-1に限定されるものではなく、図5(e)に示すように、実施例1及び変更実施例1-1を参照して説明した本発明のコンクリート構造物の補強方法と同様に、中央連結コンクリート部材120Aの補強対象面120Aaに直接に連続繊維補強部材1を接着して設置し、中央連結コンクリート部材120Aの基部102A1の曲げ補強をなすこともできる。図5(e)では、ハンチ140が形成された態様を示すが、ハンチ140が形成されていない場合も同様である。
本変更実施例2-2の場合には、上記変更実施例2-1の場合と同様に、当然のことながら、実施例1、変更実施例1-1においては形成した、中央連結コンクリート部材120Aの補強対象面120Aaの定着用溝20を切削する必要はない。
実施例3
上記実施例1(変更実施例1-1)、及び、実施例2(変更実施例2-1、2-2)においては、連続繊維補強部材1は、樹脂含浸させた状態にて、取付孔部10内に押し込んで装入配置して固着するものとして説明した。
本発明者らの研究実験の結果によると、本発明の曲げ補強方法においては、上記実施例1(変更実施例1-1)、及び、実施例2(変更実施例2-1、2-2)に記載するように、連続繊維補強部材1は樹脂含浸させた状態にて、取付孔部10内に押し込んで装入配置して固着するが、連続繊維補強部材1に樹脂を含浸させる際に、更には、樹脂を含浸し取付孔部10に装入する際に、強化繊維に揺らぎが生じたり、更には、取付孔部10内に空気が混入したり、取付孔部10内に空隙が生じたりすることを完全に防止し得ない虞がある。
そこで、連続繊維補強部材1を取付孔部10内に押し込むに先立って、取付孔部10内に予め先込充填樹脂を充填して置き、この樹脂が充填された取付孔部10内に、樹脂が含浸された連続繊維補強部材1の端部を挿入することとした。これにより、連続繊維補強部材1が取付孔部10内に挿入される際に、取付孔部10の内壁と擦過し繊維に損傷を生じることを防ぎ、繊維の直線性を保持することが可能であり、また、取付孔部10内に空気が混入し残存することで生じる空隙を防ぎ、連続繊維補強部材1が躯体と強固に接着し硬化することが分かった。従って、斯かる手段をとることによって、樹脂を含浸し取付孔部10に挿入する際に、強化繊維に揺らぎが生じたり、更には、取付孔部10内に空気が混入したり、取付孔部10内に空隙が生じたりすることを防止することが可能となり、これにより、連続繊維補強部材1が有する性能、特に、曲げ補強における曲げ剛性を安定して発揮することができる。
更に、図6(a)~(c)を参照して説明すれば、連続繊維補強部材1を取付孔部10内に挿入する際に、挿入時の連続繊維補強部材1の直線性を保持し、挿入をスムーズに行うために連続繊維補強部材1の取付孔部挿入端部側1aに細長形状の挿入棒部材70を取付け、先込充填樹脂60が充填された取付孔部10へと棒材70を押し込みことにより、連続繊維補強部材1の取付孔部挿入端部側1aも又取付孔部10内へと極めて容易に押し込むことができる。棒材70は、そのまま取付孔部10内に埋設し、固着する。これにより、更なる基部の曲げ強度、剛性等の向上を図ることができる。
挿入棒部材70としては、図6(a)に一例を示すように、直径(D70)が4~8mm、長さ(L70)は、取付孔部10と略同じ長さ、或いは、より長くされ、通常、L70=15~30cm程度とされる。挿入棒部材70は、限定するものではないが、金属製とされ、例えばステンレススチール、鋼材、などで作製することができる。
一例によれば、図6(a)~(c)に図示するように、挿入棒部材70には、先端から距離(L71)だけ離間した位置に直径(D71)が2~3mm程度の貫通孔71を設け、この貫通孔71を利用して紐状物72により連続繊維補強部材1の先端部1aを結束し、連続繊維補強部材1の樹脂含浸処理した後、充填樹脂60が充填された取付孔部10内へと挿入棒部材70を押し込む。これによって、連続繊維補強部材1の取付孔部挿入端部側1bを取付孔部10内へと押し込むことができる。
取付孔部10内に充填する先込充填樹脂としては、上述の連続繊維補強部材1に含浸する樹脂と同じ樹脂を使用することができるが、垂れ防止、空気巻き込み防止のために、粘度が23℃において50~5000Pa・s、チクソトロピックインデックス4~7に調整されたものを好適に使用し得る。
1 連続繊維補強部材
1a 取付部
1b 定着部
2 連続繊維ストランド(連続強化繊維束)
3、3a、3b 拘束糸
3A 鎖編み目
4 挿入糸
10 取付孔部
20 定着用溝
30、30a~30d 編み組織
30A 編み構造
50 繊維シート補強材
60 先込充填樹脂
70 挿入棒部材
100 コンクリート構造物
101 接合部
120A 中央連結コンクリート部材(第1のコンクリート部材)
130A 第1基台コンクリート部材(第2のコンクリート部材)

Claims (20)

  1. 交差して配置された、補強対象部材としての第1のコンクリート部材と、前記第1のコンクリート部材と接合された第2のコンクリート部材とを有するコンクリート構造物において、前記第2のコンクリート部材との接合部に隣接した前記第1のコンクリート部材の基部を連続繊維補強部材を用いて曲げ補強を行うコンクリート構造物の曲げ補強方法であって、
    前記連続繊維補強部材は、一方向に並列に引き揃えられている20~200本の連続繊維ストランドであって、一側に取付部を、他側に定着部を形成するように賦形されており、
    前記連続繊維補強部材に樹脂を含浸させ、
    前記連続繊維補強部材の一側の取付部を、前記第1のコンクリート部材の基部に隣接して形成した取付孔部に埋め込み、前記連続繊維補強部材の他側の定着部を前記第1のコンクリート部材に定着し、
    前記樹脂を硬化して前記第1のコンクリート部材基部の曲げ補強を行い、
    前記樹脂が硬化された前記連続繊維補強部材は、ヤング率が70~720GPaである、
    ことを特徴とするコンクリート構造物の曲げ補強方法。
  2. 前記連続繊維ストランドは、繊維径が5~20μmの連続した強化繊維を3000~96000本一方向に収束した連続強化繊維束であることを特徴とする請求項1に記載のコンクリート構造物の曲げ補強方法。
  3. 各前記連続繊維ストランドを構成する前記強化繊維の横断面積の総和が0.1~5mmであり、全長が250~800mmであることを特徴とする請求項2に記載のコンクリート構造物の曲げ補強方法。
  4. 前記連続繊維ストランドの前記強化繊維は、ヤング率が70~720GPaであることを特徴とする請求項2又は3に記載のコンクリート構造物の曲げ補強方法。
  5. 前記強化繊維は、炭素繊維、ガラス繊維などの無機繊維、又は、アラミド繊維などの有機繊維であることを特徴とする請求項2~4のいずれかの項に記載のコンクリート構造物の曲げ補強方法。
  6. 前記連続繊維補強部材は、
    一方向に並列に引き揃えられている20~200本の前記連続繊維ストランドと、拘束糸がループ状に縦方向に連続して鎖編み目を形成しながら編成されて作製された複数の縦方向の編み組織により形成された編み構造と、を有し、
    各前記連続繊維ストランドを、前記編み構造における前記縦方向に連続的に編成された前記編み組織の前記鎖編み目を貫通して挿入し、そして、前記縦方向の編み組織に対して横方向に挿入された挿入糸で互いに隣接した前記編み組織を結束することによって、前記縦方向編み組織の中に挿入された各前記連続繊維ストランドは、各前記連続繊維ストランドが互いに0.1~20mmだけ離間して形成されている、
    ことを特徴とする請求項1~5のいずれかの項に記載のコンクリート構造物の曲げ補強方法。
  7. 前記拘束糸及び前記挿入糸は、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリアクリロニトリル系、ポリビニルアルコール系、ポリオレフィン系の繊維、アラミド繊維などの有機繊維;チタン繊維、スチール繊維などの金属繊維;炭素繊維、ガラス繊維などの無機繊維;を単独で、又は、複数種混入して作製される糸条であることを特徴とする請求項6に記載のコンクリート構造物の曲げ補強方法。
  8. 前記挿入糸は、前記編み組織に対して一定のコース毎に振って編み込まれていることを特徴とする請求項6又は7に記載のコンクリート構造物の曲げ補強方法。
  9. 各前記連続繊維ストランドは、複数の連続繊維ストランドを積層して形成されることを特徴とする請求項6~8のいずれかの項に記載のコンクリート構造物の曲げ補強方法。
  10. 前記連続繊維補強部材を平面状としたときは、幅が10~500mmであり、前記連続繊維補強部材を円筒状としたときは、直径が3~500mmとされることを特徴とする請求項6~9のいずれかの項に記載のコンクリート構造物の曲げ補強方法。
  11. 前記取付孔部は、前記定着部が定着された前記第1のコンクリート部材から、前記第1のコンクリート部材と前記第2のコンクリート部材が連結された前記接合部へと延在して、又は、前記接合部に隣接した前記第2のコンクリート部材へと延在して穿設されていることを特徴とする請求項1~10のいずれかの項に記載のコンクリート構造物の曲げ補強方法。
  12. 前記取付孔部に充填樹脂を充填し、その後、前記連続繊維補強部材の一側の取付部を、前記充填樹脂が充填された取付孔部に埋め込み、前記取付孔部に固着する、
    ことを特徴とする請求項1~11のいずれかの項に記載のコンクリート構造物の曲げ補強方法。
  13. 前記連続繊維補強部材の一側の取付部の先端部に細長棒材を取付け、前記棒材を前記充填樹脂が充填された取付孔部に押し込むことにより、前記連続繊維補強部材の取付部を前記棒材と共に前記充填樹脂が充填された取付孔部に埋め込み、前記前記取付孔部に固着する、
    ことを特徴とする請求項12に記載のコンクリート構造物の曲げ補強方法。
  14. 前記連続繊維補強部材は、断面が円形或いは矩形状とされる細長棒状体に賦形されているか、又は、
    前記連続繊維補強部材は、前記取付部が断面が円形或いは矩形状とされる細長棒状体に賦形され、前記定着部が扇状に拡開している、
    ことを特徴とする請求項1~13のいずれかの項に記載のコンクリート構造物の曲げ補強方法。
  15. 前記連続繊維補強部材が細長棒状体に賦形されている場合は、前記第1のコンクリート部材には、前記取付孔部に隣接して前記連続繊維補強部材の定着部を受容する定着用溝を形成することを特徴とする請求項14に記載のコンクリート構造物の曲げ補強方法。
  16. 前記第1のコンクリート部材に繊維シート補強材が貼付されている場合は、前記連続繊維補強部材は、前記定着部が扇状に拡開している連続繊維補強部材を使用して、前記扇状定着部が前記繊維シート補強材の上に重ねて定着されることを特徴とする請求項14に記載のコンクリート構造物の曲げ補強方法。
  17. 前記含浸樹脂が硬化された前記連続繊維補強部材は、
    前記取付部及び前記定着部の断面が円形或いは矩形状とされる細長棒状体に賦形されている場合には、前記細長棒状体は、直径が8~50mmの円形状、又は、幅8~30mm、厚さが5~20mmの矩形状とされ、全体長さが250~800mmとされ、
    前記取付部の断面が円形或いは矩形状とされる細長棒状体に賦形され、前記定着部が扇状に拡開している場合は、扇幅が100~400mm、扇長さが200~400mmとされ、全体長さが300~800mmとされる、
    ことを特徴とする請求項14に記載のコンクリート構造物の曲げ補強方法。
  18. 前記取付孔部は、直径が8~50mmの円形状か又は縦幅及び横幅がそれぞれ8~30mmの矩形状とされ、深さが100~400mmとされ、前記第1のコンクリート部材の幅方向に沿って間隔100~500mmにて形成されることを特徴とする請求項1~17のいずれかの項に記載のコンクリート構造物の曲げ補強方法。
  19. 前記連続繊維補強部材に含浸される樹脂は、常温硬化型或は熱硬化型のエポキシ樹脂、ビニールエステル樹脂、MMA樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、又は、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂;ナイロン、ポリアミド、PEEKなどの熱可塑性樹脂;又は、熱可塑性エポキシ樹脂であることを特徴とする請求項1~18のいずれかの項に記載のコンクリート構造物の曲げ補強方法。
  20. 前記含浸樹脂が硬化された前記連続繊維補強部材は、樹脂含浸硬化後の断面積が40~2000mmであることを特徴とする請求項1~19のいずれかの項に記載のコンクリート構造物の曲げ補強方法。
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