<概要>
本開示に係る眼科撮影装置の実施形態を説明する。以下の<>にて分類された項目は、独立または関連して利用されうる。
本実施形態の眼科撮影装置は、被検眼を撮影する。例えば、眼科撮影装置は、光干渉断層計(Optical Coherence Tomography:OCT)の構成を備えたOCT装置(例えば、OCT装置1)、走査型レーザ検眼鏡(Scanning Laser Ophthalmoscope:SLO)の構成を備えたSLO装置、眼底カメラ、等のいずれかであってもよい。もちろん、これらの2つ以上が複合された装置であってもよい。
<撮影手段>
本実施形態の眼科撮影装置は、撮影手段(例えば、撮影部200)を備える。撮影手段は、被検眼を撮影するために用いられる。例えば、撮影手段は筐体を有し、被検眼から筐体正面までの撮影距離が異なる第1撮影モードと第2撮影モードとを変更することができるように、構成されていてもよい。なお、被検眼を撮影する第1撮影モードと第2撮影モードは、被検眼を撮影する画角が異なるモードであってもよい。また、被検眼を撮影する第1撮影モードと第2撮影モードは、被検眼を撮影する領域が異なるモードであってもよい。例えば、この場合、被検眼の深さ方向に撮影する領域が異なるモードであってもよい。一例としては、前眼部を撮影するモードと眼底を撮影するモードであってもよい。
撮影手段は、被検眼に対物光学系を介して測定光を照射し、測定光が反射された反射光に基づいて被検眼を撮影する、撮影光学系を備えてもよい。例えば、撮影光学系は、被検眼の前眼部または眼底に対物光学系を介して測定光を照射し、被検眼の前眼部または眼底にて測定光が反射された反射光に基づいて、前眼部画像または眼底画像を撮影してもよい。
なお、撮影光学系は、被検眼に照射された測定光と参照光による干渉信号を検出するOCT光学系(例えば、OCT光学系230)であってもよい。また、撮影光学系は、OCT光学系とは異なる光学系であってもよい。一例としては、被検眼の正面画像を撮影する正面撮影光学系(例えば、観察光学系240)であってもよい。もちろん、撮影光学系は、これらの光学系を含む複数の光学系を有してもよい。
撮影光学系は、対物光学系を含むように構成される。対物光学系は、屈折系でもよいし、反射系でもよいし、これらの組み合わせでもよい。また、対物光学系は、少なくとも1枚のレンズを含む、複数の光学部材を有してもよい。例えば、このような光学部材は、レンズ、プリズム、ミラー、等であってもよい。
対物光学系は、被検眼を撮影する第1撮影モードと第2撮影モードとにおいて切り換えられる。例えば、対物光学系は、第1撮影モードと第2撮影モードとにおいて、その光学部材の光学配置が変更されてもよい。一例として、光学部材が撮影光軸にて移動されてもよい。また、一例として、光学部材が撮影光軸に挿抜されてもよい。また、例えば、対物光学系は、第1撮影モードと第2撮影モードとにおいて、その光学部材の一部または全部が交換されてもよい。また、例えば、対物光学系は、第1撮影モードと第2撮影モードとにおいて、光学アタッチメント(例えば、アタッチメント部300)が着脱され、これによって光学部材が追加されてもよい。
第1撮影モードと第2撮影モードとにおいて、対物光学系をこれらの手法の少なくともいずれかを適用して切り換えることで、被検眼から撮影手段における筐体正面までの撮影距離は、適宜、変更される。すなわち、第1撮影モードと第2撮影モードとにおいて、対物光学系の切り換えにより、被検眼と撮影手段(撮影手段における筐体正面)との適切な位置関係が変化するため、これに応じた撮影距離に変更される。
なお、前述の光学アタッチメントは、被検眼と撮影手段との間に装着可能な、対物光学系を切り換えるための切換光学系(例えば、切換光学系310)を有してもよい。つまり、光学アタッチメントを装着することによって、切換光学系が追加されてもよい。
また、光学アタッチメントを着脱する構成では、被検眼を撮影する第1撮影モードを、被検眼を光学アタッチメントが装着されない状態にて撮影するモードとし、被検眼を撮影する第2撮影モードを、被検眼を光学アタッチメントが装着された状態にて撮影するモードとしてもよい。もちろん、第1撮影モードを光学アタッチメントが装着された状態にて撮影するモードとし、第2撮影モードを光学アタッチメントが装着されない状態にて撮影するモードとしてもよい。
<検出手段>
本実施形態の眼科撮影装置は、検出手段(例えば、検出部106)を備える。検出手段は、撮影手段のアライメント位置を検出する。例えば、検出手段は、撮影手段における少なくとも前後方向(言い換えると、被検眼と撮影光学系との間に伸びる光軸方向)のアライメント位置を検出する。もちろん、例えば、検出手段は、撮影手段のアライメント位置を、撮影手段の前後方向とともに、左右方向および前後方向の少なくともいずれかに対して、検出してもよい。
検出手段は、被検眼と撮影手段との位置関係を特定することができる情報として、アライメント位置を検出する構成であればよい。例えば、所定の位置に対する撮影手段の、座標、移動量、距離、等の少なくともいずれかの情報として、アライメント位置を検出してもよい。なお、検出手段は、撮影手段のアライメント位置を、撮影手段が有する所定の部材の位置で表してもよい。例えば、撮影手段の筐体面(一例としては、前面、後面、側面、等)の位置、撮影光学系が有する光学部材の位置、等で表してもよい。
例えば、検出手段は、被検眼に対する撮影手段の相対的なアライメント位置を検出してもよい。一例としては、被検眼の位置と撮影手段の位置とをそれぞれ検出することで、撮影手段のアライメント位置を検出してもよい。また、一例としては、撮影手段の位置を検出し、これをアライメント位置として検出してもよい。この場合には、さらに、被検眼の位置を予め記憶手段(例えば、記憶部401)に記憶しておき、より正確なアライメント位置を検出するようにしてもよい。また、例えば、検出手段は、撮影手段の初期位置に対し、撮影手段が移動された移動位置の、相対的なアライメント位置を検出してもよい。一例としては、撮影手段の移動位置を検出し、これをアライメント位置として検出してもよい。なお、この場合には、撮影手段の初期位置が、予め記憶手段に記憶されていてもよい。
<アライメント調整手段>
本実施形態の眼科撮影装置は、アライメント調整手段(例えば、駆動部105)を備える。アライメント調整手段は、撮影手段を移動させる。例えば、アライメント調整手段は、撮影手段を、撮影手段の前後方向に対して、少なくとも移動させる。もちろん、例えば、アライメント調整手段は、撮影手段を、撮影手段の前後方向とともに、左右方向および前後方向の少なくともいずれかに対して、移動させてもよい。これによって、被検眼と撮影手段との位置関係が調整される。
<制御手段>
本実施形態の眼科撮影装置は、制御手段(例えば、制御部400)を備える。制御手段は、検出手段の検出結果に基づいて、第1撮影モードによる撮影時のアライメント位置である第1アライメント位置を取得し、第2撮影モードによる撮影時は、第1アライメント位置に基づいて設定した目標位置へと、撮影手段を誘導する。
制御手段は、検出手段を制御することによって、第1撮影モードによる撮影のいずれのタイミングにおける撮影手段の第1アライメント位置を取得してもよい。
例えば、制御手段は、撮影を開始するトリガとなる開始信号が得られたタイミングで、検出手段を制御し、第1アライメント位置を取得してもよい。この場合、撮影プログラム等に基づき、開始信号が自動で入力されたタイミングでもよい。また、この場合、検者による操作手段(例えば、操作部103またはモニタ104)の操作に基づき、開始信号が手動で入力されたタイミングでもよい。また、この場合、検者により手動で入力された開始信号が、受信されたタイミングでもよい。
また、例えば、制御手段は、撮影の途中にて、撮影手段が移動した移動信号が得られたタイミングで、検出手段を制御し、第1アライメント位置を取得してもよい。この場合、被検眼の軽微な移動にともなう撮影手段の追尾(すなわち、トラッキング)で、移動信号が出力されたタイミングでもよい。
また、例えば、制御手段は、撮影を終了するトリガとなる終了信号が得られたタイミングで、検出手段を制御し、第1アライメント位置を取得してもよい。この場合、撮影プログラム等に基づき、終了信号が自動で入力されたタイミングでもよい。また、この場合、検者による操作手段の操作に基づき、終了信号が手動で入力されたタイミングでもよい。また、この場合、検者により手動で入力された終了信号が、受信されたタイミングでもよい。
制御手段は、第1撮影モードにおける撮影手段の第1アライメント位置に基づいて、第2撮影モードにて撮影手段を移動させる目標位置を設定する。例えば、目標位置は、被検眼と撮影手段との位置関係が適切となる位置であってもよい。言い換えると、目標位置は、被検眼と、対物光学系が有するもっとも被検眼側のレンズと、の間の距離が、適切な距離となる位置であってもよい。また、例えば、目標位置は、被検眼に対する撮影手段の適切な位置から、少なくとも前後方向(光軸方向)に所定の距離だけ離れた位置であってもよい。一例としては、被検眼から遠くなる方向に所定の距離だけ離れた位置であってもよい。なお、所定の距離は、予め、実験やシミュレーションから求め、記憶部に記憶させておいてもよい。例えば、被検眼に対して撮影手段を適切な位置に移動させると、被検眼と撮影手段とが近接するため、被検眼に撮影手段が衝突する可能性がある。しかし、撮影手段の目標位置を適切な位置から離れた位置に設定することで、被検眼と撮影手段が接触する可能性を低減させることができる。
制御手段は、第1撮影モードにおける撮影手段の第1アライメント位置に基づき、対物光学系の切り換えにともなう撮影距離の変化を考慮して、第2撮影モードにて撮影手段を移動させる目標位置を設定してもよい。例えば、対物光学系における光学部材の光学配置が変更される場合(例えば、特開2019-80804号公報に記載のOCT装置、等)、被検眼に対する撮影手段の適切な位置は光学部材の移動や挿抜により変化し、これによって被検眼から撮影手段(撮影手段における筐体正面)までの撮影距離も変化する。また、例えば、対物光学系において光学部材が交換される場合、被検眼に対する撮影手段の適切な位置は、光学部材の交換により変化し、これによって被検眼から撮影手段までの撮影距離も変化する。また、例えば、切換光学系に光学アタッチメントの着脱(切換光学系の着脱)によって光学部材が追加される場合、被検眼に対する撮影手段の適切な位置は光学アタッチメントの長さにより変化し、これによって被検眼から撮影手段までの撮影距離も変化する。なお、対物光学系における光学部材の光学配置の変更、光学部材の交換、アタッチメントの着脱、を組み合わせた場合は、これらの影響が合わされた撮影距離に変化する。このため、一例として、制御手段は、撮影手段のアライメント位置から、撮影距離の変化量を差し引いて、目標位置を設定してもよい。
なお、眼科撮影装置が、第1撮影モードと第2撮影モードの変更にともない、顔支持手段(例えば、顔支持部110)の位置を調整する構成である場合、これらを考慮した目標位置が設定されてもよい。例えば、眼科撮影装置にて額当てを着脱させる場合、被検眼に対する撮影手段の適切な位置は額当ての前後方向の長さにより変化し、これによって被検眼から撮影手段までの撮影距離は変化する。また、例えば、眼科撮影装置にて額当てを移動させる場合、被検眼に対する撮影手段の適切な位置は額当ての前後方向の移動距離により変化し、これによって被検眼から撮影手段までの撮影距離は変化する。このため、制御手段は、第1撮影モードにおける撮影手段の第1アライメント位置に基づき、額当ての着脱または移動による撮影距離の変化を考慮して、第2撮影モードにて撮影手段を移動させる目標位置を設定してもよい。同様に、例えば、眼科撮影装置にて顎台を着脱または移動させる場合も、撮影手段の適切な位置は顎台の前後方向の長さや移動距離により変化するため、これらの変化を考慮して、第2撮影モードにて撮影手段を移動させる目標位置を設定してもよい。
もちろん、眼科撮影装置が、第1撮影モードと第2撮影モードの変更にともない、対物光学系を切り換え、さらに、顔支持手段(例えば、顔支持部110)の位置を調整する場合は、これらの影響が合わされた撮影距離を考慮して、第2撮影モードにて撮影手段を移動させる目標位置を設定してもよい。
制御手段は、出力手段を制御して、撮影手段を目標位置へと誘導するためのガイド情報を出力させてもよい。例えば、出力手段は表示手段(例えば、モニタ104)であってもよく、制御手段は表示手段にガイド情報を表示させてもよい。また、例えば、出力手段は音声発生手段(一例として、スピーカ)であってもよく、制御手段は音声発生手段にガイド情報を音声として発生させてもよい。また、例えば、出力手段は報知手段(一例として、ランプ)であってもよく、制御手段はガイド情報を報知手段の点灯や点滅により表してもよい。一例としては、報知手段の点灯色の変化で、撮影手段の目標位置に対する位置を表してもよい。なお、出力手段は、これらの手段の組み合わせであってもよい。もちろん、出力手段は、これらの手段とは異なる手段であってもよい。
例えば、ガイド情報は、検者の動作を誘導するための情報であってもよい。また、例えば、ガイド情報は、検者が撮影手段を移動させる移動量を示す情報であってもよい。また、例えば、ガイド情報は、検者が撮影手段を移動させる移動方向を示す情報であってもよい。なお、ガイド情報は、これらの情報の組み合わせであってもよい。もちろん、ガイド情報は、これらの情報とは異なる情報であってもよい。
例えば、検者は、撮影手段を目標位置へと手動で誘導する際に、ガイド情報を利用することで、撮影手段を適切な位置へと容易に配置させることができる。また、検者は、撮影手段を目標位置へと手動で誘導する際に、ガイド情報を利用することで、被検眼と撮影手段とのアライメント状態の調整に要する時間を、短縮することができる。
制御手段は、アライメント調整手段を制御して、撮影手段を目標位置へと誘導するために、撮影手段を移動させてもよい。すなわち、制御手段は、アライメント調整手段を駆動させ、撮影手段を目標位置へと移動させる移動量や移動方向に基づき、自動で撮影手段を移動させてもよい。これによって、被検眼と撮影手段とのアライメント状態は、より容易に調整される。
制御手段は、被検眼から第1撮影モードにおける撮影距離よりも離れた位置へ撮影手段が配置された後に、アライメント調整手段を駆動させ、撮影手段を目標位置まで移動させてもよい。第1撮影モードから第2撮影モードへと切り換えられた際に、被検眼から撮影部が一旦離れることによって、被検眼と撮影部とが衝突する可能性が軽減される。
例えば、検者が撮影手段を後退させることで、あるいは、制御手段がアライメント調整手段を駆動させ、撮影手段を後退させることで、第1撮影モードにおける撮影距離よりも離れた位置へ、撮影手段が配置されてもよい。
また、例えば、検者が顔支持手段を前進させることで、あるいは、制御手段が顔支持手段を移動させるための駆動手段を駆動させ、顔支持手段(例えば、顔支持部110)を前進させることで、第1撮影モードにおける撮影距離よりも離れた位置へ、撮影手段が配置されてもよい。つまり、顔支持手段の前進にともない、被検眼と撮影手段との距離が相対的に変化することで、第1撮影モードにおける撮影距離よりも離れた位置へ、撮影手段が配置されてもよい。
なお、例えば、第1撮影モードにおける撮影距離よりも離れた位置は、撮影手段の初期位置でもよいし、初期位置よりも手前の位置(初期位置より被検眼に近い位置)でもよいし、初期位置より奥の位置(初期位置より被検眼から遠い位置)でもよい。また、例えば、第1撮影モードにおける撮影距離よりも離れた位置は、第2撮影モードの撮影距離となる位置であってもよいし、第2撮影モードの撮影距離よりも離れた位置であってもよい。
なお、本開示は、本実施形態に記載する装置に限定されない。例えば、上記実施形態の機能を行う端末制御ソフトウェア(プログラム)を、ネットワークまたは各種記憶媒体等を介してシステムあるいは装置に供給し、システムあるいは装置の制御装置(例えば、CPU等)がプログラムを読み出して実行することも可能である。
<実施例>
本実施形態における眼科撮影装置の一実施例について説明する。眼科撮影装置は、いわゆる光干渉断層計の構成を備えた、OCT装置であってもよい。OCT装置は、タイムドメインOCTを基本構成としてもよい。また、OCT装置は、フーリエドメインOCTを基本構成としてもよい。なお、フーリエドメインOCTは、スペクトルドメインOCT、波長掃引式OCT、等であってもよい。
図1は、OCT装置1の外観図である。OCT装置1は、基台101、移動台102、操作部103、モニタ104、駆動部105、検出部106、顔支持部110、撮影部200、アタッチメント部300、制御部400、等を備える。
操作部103は、撮影部200を操作するための信号を入力する。例えば、操作部103を傾倒させると、基台101に対して移動台102を左右方向(X方向)および前後方向(Z方向)の少なくともいずれかの方向へ移動させるための移動信号が入力される。また、例えば、操作部103の図示なきノブを回転させると、基台101に対して撮影部200を上下方向(Y方向)へ移動させるための移動信号が入力される。例えば、制御部400は、このような移動信号に基づき、駆動部105を駆動させ、基台101に対して撮影部200を移動させる。
モニタ104は、被検眼EのOCTデータ等を表示する。また、モニタ104は、操作部103を兼ねたタッチパネルとして機能する。つまり、モニタ104の操作によっても、撮影部200を移動させるための移動信号が入力される。
駆動部105は、撮影部200を左右方向、上下方向、および前後方向へ移動させる。例えば、駆動部105は、スライド機構である。一例として、スライド機構は、モータ、ギヤ、ガイドレール、等を有してもよい。
検出部106は、撮影部200の位置を検出する。例えば、検出部106は、可変抵抗器である。もちろん、検出部106は、可変抵抗器に限らず、光センサ、位置センサ、距離センサ、等の少なくともいずれかであってもよい。検出部106の検出結果は、制御部400へと出力される。
顔支持部110は、被検者の顔を支持する。顔支持部110は、額当て111と、顎台112と、を有する。額当て111には、被検者の額が当接される。顎台112には、被検者の顎が載置される。顎台112には、検出器113が設けられる。
検出器113は、被検者の顎が顎台112に載置されたか否かを検出する。例えば、検出器113は荷重センサである。もちろん、検出器113は、荷重センサに限らず、光センサ、圧力センサ、超音波センサ、等の少なくともいずれかであってもよい。検出器113の検出結果は、制御部400へと出力される。
<撮影部>
図2は、撮影部200における内部の概略図である。図2(a)は、撮影部200にアタッチメント部300を取り付けていない非装着状態である。図2(b)は、撮影部200にアタッチメント部300を取り付けた装着状態である。例えば、撮影部200の内部には、アライメント指標投影光学系210、前眼部撮影光学系220、OCT光学系230、観察光学系240、固視誘導光学系250、顔撮影光学系260、等が収納される。
<アライメント指標投影光学系>
アライメント指標投影光学系210は、被検眼Eの角膜に向けてアライメント指標を投影する。アライメント指標投影光学系210は、第1投影光学系210aおよび第2投影光学系210bを備える。第1投影光学系210aは、被検眼Eの角膜に向けて、無限遠のアライメント指標を投影する。例えば、第1投影光学系210aは、光源211、コリメータレンズ212、等を備える。例えば、光源211は、近赤外光を発する。例えば、光源211は、撮影光軸を中心としてリング状に配置される。例えば、コリメータレンズ212は、光源211からの光を平行光束にする。第2投影光学系210bは、被検眼Eの角膜に向けて、有限遠のアライメント指標を投影する。例えば、第2投影光学系210bは、光源213等を備える。例えば、光源213は、近赤外光を発する。例えば、光源213は、撮影光軸を中心に、光源211とは異なる位置で、リング状に配置される。なお、第2投影光学系210bによる光は、被検眼Eに対して撮影部をアライメントするためのアライメント光として用いられるとともに、被検眼Eの前眼部を照明するための前眼部照明光としても用いられる。
<前眼部撮影光学系>
前眼部撮影光学系220は、被検眼Eの前眼部を撮像する。例えば、前眼部撮影光学系220は、撮像素子221等を備える。例えば、撮像素子221は、光源213によって照明された前眼部を撮像する。なお、撮像素子221は、角膜に投影されたアライメント指標を検出するための撮像素子を兼ねており、前眼部とともにアライメント指標を撮像する。
<OCT光学系>
OCT光学系230は、被検眼Eに照射された測定光と参照光による干渉信号を検出する。例えば、OCT光学系230は、カップラー231、光源232、測定光学系233、光スキャナ234、対物光学系235、検出器236、参照光学系237、等を備える。例えば、カップラー231には、光源232、測定光学系233、検出器236、および参照光学系237が、光ファイバで接続されている。
OCT光学系230は、カップラー231によって、光源232から出射した光を、測定光と参照光に分割する。例えば、測定光は、光ファイバを通過した後に空気中へ出射され、測定光学系233、光スキャナ234、および対物光学系235を介して、眼底に導かれる。また、例えば、測定光は、眼底にて反射されると、同様の経路を経て光ファイバに戻される。例えば、参照光は、光ファイバを通過して、参照光学系237に導かれる。また、例えば、参照光は、参照光学系237が有する図示なき参照ミラーに反射されると、同様の経路を経て光ファイバに戻される。OCT光学系230は、測定光と参照光の合成による干渉信号(干渉光)を、検出器236に受光させる。検出器236が検出した干渉信号は、制御部400に送信される。
<観察光学系>
観察光学系240は、走査型レーザ検眼鏡(Scanning Laser Ophthalmoscope:SLO)の構成をもち、眼底を撮影して、眼底のSLO正面画像を取得する。なお、観察光学系240は、眼底カメラタイプの構成であってもよい。また、観察光学系240は、被検眼Eを赤外光にて撮影する赤外撮影光学系であってもよい。
<固視誘導光学系>
固視誘導光学系250は、被検眼Eの視線方向を誘導する。固視誘導光学系250は、被検眼Eに呈示する固視灯を有し、固視灯の呈示位置を二次元的に変更させる。これによって、被検眼Eの視線が複数の方向に誘導され、結果的に、被検眼Eの撮影部位が変更される。
<顔撮影光学系>
顔撮影光学系260は、顔支持部110に支持された被検者の顔を撮像する。顔撮影光学系260は、図示なき撮像素子を備え、被検眼E(左眼及び右眼)の少なくとも一部を含む顔を撮像する。
<アタッチメント部>
アタッチメント部300は、被検眼Eと撮影部200との間にて着脱される。例えば、アタッチメント部300は、検出部301、鏡筒302、切換光学系310、等を備える。
例えば、検出部301は、鏡筒302に設けられる。例えば、検出部301は、アタッチメント部300の着脱を検出する。例えば、検出部301には、光センサ(一例として、フォトインタラプタ)を用いてもよい。検出部301が検出した検出信号は、制御部400に送信される。例えば、切換光学系310は、鏡筒302の内部に配置され、1つ以上のレンズを有してもよい。
アタッチメント部300の着脱で、OCT光学系230により撮影される画角(言い換えると、測定光の眼底における走査範囲)が変更されてもよい。例えば、アタッチメント部300が撮影部200から取り外された非装着状態に対し、アタッチメント部300が撮影部200に取り付けられた装着状態で、画角が増大するように変更される。
この場合、アタッチメント部300の非装着状態では、被検眼Eと対物光学系235との間から切換光学系310が抜去され、第1画角に変更される。これによって、測定光が眼底へと第1画角で導かれた、第1OCTデータが得られる。また、この場合、アタッチメント部300の装着状態では、被検眼Eと対物光学系235との間に切換光学系310が挿入され、第1画角よりも広い第2画角に変更される。これによって、測定光が眼底へと第2画角で導かれた、第2OCTデータが得られる。なお、一例として、第1画角は45°~60°程度、第2画角は90°~150°程度とされてもよい。
もちろん、アタッチメント部300の非装着状態に対し、アタッチメント部300の装着状態で、OCT光学系230により撮影される画角が減少するように変更されてもよい。例えば、アタッチメント部300の非装着状態では第1画角に変更され、アタッチメント部300の装着状態では第1画角よりも狭い第3画角に変更されてもよい。
<制御部>
制御部400は、一般的なCPU(Central Processing Unit)、RAM、ROM、等を備える。例えば、CPUは、OCT装置1における各部材の制御を司る。例えば、RAMは、各種の情報を一時的に記憶する。例えば、ROMには、OCT装置100の動作を制御するための各種プログラムが記憶される。
制御部400には、操作部103、モニタ104、駆動部105、検出部106、検出器113、各々の光学系が備える光源や撮像素子、記憶部401、等が電気的に接続される。
記憶部401は、電源の供給が遮断されても記憶内容を保持できる、非一過性の記憶媒体であってもよい。例えば、記憶部401は、ハードディスクドライブ、フラッシュROM、USBメモリ、等でもよい。例えば、記憶部401は、OCTデータを得るための設定に係る情報、検出器236に検出された干渉信号を処理することで得られるOCTデータ、等を記憶してもよい。
<制御動作>
OCT装置1の制御動作を説明する。
本実施例におけるOCT装置1は、被検眼Eの眼底中心部を含む通常の眼底領域を撮影するための通常眼底撮影モードと、被検眼Eの眼底中心部および眼底周辺部を含む広角の眼底領域を撮影するための広角眼底撮影モードと、のいずれかを設定することができる。例えば、通常眼底撮影モードでは、アタッチメント部300(切換光学系310)を利用しないことで、被検眼Eの眼底を第1画角で撮影した、通常の眼底領域の第1OCTデータが得られる。例えば、広角眼底撮影モードでは、アタッチメント部300(切換光学系310)を利用することで、被検眼Eの眼底を第2画角で撮影した、広角の眼底領域の第2OCTデータが得られる。
以下では、検者が、被検眼Eの第1OCTデータを得たのちに、被検眼Eの第2OCTデータを得る場合を例に挙げる。つまり、検者が、被検眼Eにおける第1OCTデータと第2OCTデータとを、連続的に得る場合を例に挙げる。
図3は、被検眼Eに対する撮影部200の配置を示す概略図である。図3(a)は、アタッチメント部300を撮影部200に取り付けていない非装着状態である。図3(b)は、アタッチメント部300を撮影部200に取り付けた装着状態である。例えば、撮影部200は、通常眼底撮影モードおよび広角眼底撮影モードのいずれにおいても、初期位置Aを基準として、左右方向、上下方向、および前後方向にそれぞれ移動される。
なお、本実施例では、被検眼Eからもっとも離れた位置を、撮影部200の初期位置Aとして例示する。つまり、被検眼Eに対して撮影部200が後退する限界の位置が、撮影部200の初期位置Aである。この場合、撮影部200は、いずれの撮影モードにおいても、初期位置Aを基準として、左右方向、上下方向、および前方向(被検眼Eに近づく方向)にそれぞれ移動される。図3では、便宜上、撮影部200の前後方向の移動のみを示している。
<通常眼底撮影モード>
まず、図2(a)および図3(a)を参照して、被検眼Eの通常眼底撮影モードを説明する。
<通常眼底撮影モードの設定>
検者は、モニタ104を操作して、通常眼底撮影モードを設定するためのスイッチを選択する。制御部400は、スイッチからの操作信号に応じて、撮影部200を移動させ、撮影部200の筐体前面を初期位置Aに配置する。
検者は、アタッチメント部300が撮影部200に取り付けられていた場合、アタッチメント部300を取り外す。なお、制御部400は、アタッチメント部300が装着状態であることを示す検出信号を検出部301から受信した際は、検者がアタッチメント部300を取り外すように、その旨を報知してもよい。例えば、図示なき音声発生部(一例として、スピーカ)からメッセージを流したり、モニタ104にメッセージを表示させたりしてもよい。
制御部400は、撮影部200が初期位置Aに配置されたことを示す移動信号、および、アタッチメント300が非装着状態であることを示す検出信号を受信すると、通常眼底撮影モードの設定を完了させる。
<撮影部の第1移動位置への移動>
検者は、被検者に固視灯を注視するように指示する。また、検者は、モニタ104を操作し、被検眼Eに対して撮影部200を移動させるためのスイッチを選択する。制御部400は、スイッチからの操作信号に応じて、固視誘導光学系250が有する図示なき固視灯を点灯させるとともに、アライメント指標投影光学系210が有する光源211および光源213を点灯させる。被検眼Eの角膜には、光源211および光源213により、アライメント指標が投影される。また、被検眼Eの前眼部は、前眼部撮影光学系220が有する撮像素子221に撮像される。被検眼Eのアライメント指標像を含む前眼部画像は、モニタ104に表示される。
制御部400は、被検眼EとOCT光学系230とのアライメント状態(被検眼Eに対するOCT光学系230のずれの有無)を、アライメント指標像に基づいて検出する。また、制御部400は、駆動部105の駆動を制御して、被検眼Eの角膜頂点位置と撮影光軸とを一致させるように、撮影部200を移動させる。これにより、被検眼Eに対して、撮影部200は左右方向、上下方向、および前後方向の少なくともいずれかの方向へ自動的に移動され、撮影部200の筐体前面が初期位置Aから第1移動位置Bに配置される。つまり、撮影部200は、初期位置Aから第1移動位置Bまで前進する。また、これにより、被検眼Eから撮影部200の筐体前面までの前後方向の距離が、一定の撮影距離d1となる。
<撮影部の第1位置情報の取得>
制御部400は、撮影部200を初期位置Aから第1移動位置Bへと移動させると、撮影部200の第1移動位置Bにおける第1位置情報を取得する。例えば、制御部400は、撮影部200の初期位置Aにおける座標aを基準に、撮影部200の第1移動位置Bにおける座標bを、第1位置情報として取得する。なお、設計上、初期位置Aの左右方向、上下方向、および前後方向におけるそれぞれの座標は既知である。また、撮影部200を移動させた駆動部105の駆動量に基づき、撮影部200の各方向における移動量が算出され、これによって、第1移動位置Bの左右方向、上下方向、および前後方向におけるそれぞれの座標が求められる。例えば、撮影部200の筐体前面が、前後方向に移動量z1で移動したと算出され、これによって、第1移動位置BのZ座標が求められる。制御部400は、撮影部200の第1位置情報を、記憶部401に記憶させる。
<第1OCTデータの取得>
検者は、撮影部200の第1移動位置Bへの移動を確認すると、モニタ104を操作し、被検眼Eの第1OCTデータを取得するためのスイッチを選択する。制御部400は、スイッチからの操作信号に応じて、被検眼Eの撮影条件を最適化し、被検眼Eの第1OCTデータを取得する。
まず、制御部400は、被検眼Eの撮影条件を最適化する。ここでは、被検眼Eの眼底中心部を含む通常の眼底領域を、高感度・高解像度で観察できるように、撮影条件を最適化する。例えば、撮影条件は、測定光と参照光との光路長差を調整する光路長調整、測定光と参照光との偏光状態を調整するポラライザ調整、撮影部位に対する合焦位置を調整するフォーカス調整、等の少なくともいずれかであってもよい。
制御部400は、参照光学系237が有する図示なき参照ミラーを移動させ、参照光の光路長を調整する。また、制御部400は、参照光学系237が有する図示なきポラライザを移動させ、測定光と参照光の偏光状態を調整する。また、制御部400は、測定光学系233が有する図示なきフォーカスレンズを移動させ、合焦位置を調整する。
次に、制御部400は、被検眼Eの通常の眼底領域の第1OCTデータを取得する。制御部400は、測定光を眼底上にて走査させ、検出器236に検出された測定光と参照光との干渉信号を受信する。また、制御部400は、この干渉信号をフーリエ変換等により解析し、第1OCTデータとして、被検眼Eの通常の眼底領域における断層画像を生成する。また、制御部400は、この断層画像をモニタ104に表示させるとともに、記憶部401に記憶させる。
例えば、検者は、被検眼Eを通常眼底撮影モードにて撮影し、第1OCTデータを確認すると、続いて、被検眼Eを広角眼底撮影モードにて撮影し、第2OCTデータ(後述)を確認する。
<通常眼底撮影モード>
次に、図2(b)および図3(b)を参照して、被検眼Eの広角眼底撮影モードを説明する。
<広角眼底撮影モードの設定>
検者は、モニタ104を操作して、広角眼底撮影モードを設定するためのスイッチを選択する。制御部400は、スイッチからの操作信号に応じて、撮影部200の筐体前面を初期位置A(座標a)に配置する。すなわち、制御部400は、撮影部200を第1移動位置Bから初期位置Aまで後退させる。
検者は、アタッチメント部300を撮影部200に取り付け、アタッチメント部300を装着状態にする。なお、制御部400は、アタッチメント部300が非装着状態であることを示す検出信号を検出部301から受信した際は、検者がアタッチメント部300を取り付けるように、その旨を報知してもよい。
制御部400は、撮影部200が初期位置Aに配置されたことを示す移動信号、および、アタッチメントに300が装着状態であることを示す検出信号を受信すると、広角眼底撮影モードの設定を完了させる。
<撮影部の第2移動位置への移動>
検者は、被検者に固視灯を注視するように指示する。また、検者は、モニタ104を操作し、被検眼Eに対して撮影部200を移動させるためのスイッチを選択する。制御部400は、スイッチからの操作信号に応じて、固視誘導光学系250が有する図示なき固視灯を点灯させる。また、被検眼Eの前眼部は、前眼部撮影光学系220が有する撮像素子221に撮像される。
なお、アタッチメント部300の装着状態では、光源211および光源213を点灯させても、鏡筒302にアライメント指標が遮られてしまう。このため、広角眼底撮影モードでは、必ずしもこれらの光源が点灯されなくてもよい。被検眼Eのアライメント指標像を含まない前眼部画像は、モニタ104に表示される。
また、アタッチメント部300の装着状態では、角膜にアライメント指標が投影されないことにより、被検眼EとOCT光学系230とのアライメント状態を、アライメント指標像に基づいて検出することができない。そこで、制御部400は、通常眼底撮影モードにおける撮影部200の第1位置情報に基づき、広角眼底撮影モードにおいて撮影部200を移動させる第2移動位置Cを設定して、撮影部200を第2移動位置Cまで移動させる。言い換えると、通常眼底撮影モードにおける撮影部200の第1移動位置Bを利用し、広角眼底撮影モードにおける撮影部200の第2移動位置Cを設定して、撮影部200を第2移動位置Cまで移動させる。
まず、制御部400は、撮影部200の第2移動位置Cを設定する。例えば、制御部400は、撮影部200の第1移動位置Bにおける第1位置情報(座標b)と、予め設定された差分量Δgと、に基づいて、第2移動位置Cの座標cを、第2位置情報として算出する。一例として、差分量Δgは、鏡筒302の長さを考慮した量であってもよい。
例えば、制御部400は、撮影部200の第1移動位置Bにおける座標bから差分量Δgを差し引くことによって、第2移動位置Cの左右方向、上下方向、および前後方向におけるそれぞれの座標を求める。例えば、撮影部200の筐体前面を、座標bから差分量Δgだけ後方向(被検眼から離れる方向)に離した、第2移動位置CのZ座標が求められる。制御部400は、撮影部200の第2位置情報を、記憶部401に記憶させる。
続いて、制御部400は、撮影部200の筐体前面を初期位置Aから第2移動位置Cに移動させる移動量z2を座標aと座標cとの差に基づいて算出し、駆動部105の駆動を制御して、撮影部200を第2移動位置Cまで移動させる。なお、第2移動位置Cには許容範囲があってもよく、撮影部200が許容範囲におさまるように移動されてもよい。例えば、許容範囲は、実験やシミュレーション等から、予め、記憶部401に記憶されていてもよい。また、例えば、許容範囲は、第2移動位置Cに対する左右方向、上下方向、および前後方向に、それぞれ設定されてもよい。これにより、被検眼Eに対して、撮影部200は左右方向、上下方向、および前後方向の少なくともいずれかの方向へ自動的に移動され、撮影部200の筐体前面が初期位置Aから第2移動位置Cに配置される。つまり、撮影部200は、初期位置Aから第2移動位置Cまで前進する。また、これにより、被検眼Eから撮影部200の筐体前面までの前後方向の距離が、一定の撮影距離d2となる。
<第2OCTデータの取得>
検者は、撮影部200の第2移動位置Cへの移動を確認すると、モニタ104を操作し、被検眼Eの第2OCTデータを取得するためのスイッチを選択する。制御部400は、スイッチからの操作信号に応じて、被検眼Eの撮影条件を最適化し、被検眼Eの第2OCTデータを取得する。例えば、被検眼Eの眼底中心部および眼底周辺部を含む広角の眼底領域を、高感度・高解像度で観察できるように、撮影条件を最適化する。また、例えば、測定光を眼底上にて走査させ、測定光と参照光との干渉信号を解析し、被検眼Eの広角の眼底領域の第2OCTデータとして、広角の眼底領域における断層画像を生成する。制御部400は、この断層画像をモニタ104に表示させるとともに、記憶部401に記憶させる。
以上、説明したように、例えば、本実施例における眼科撮影装置では、第1撮影モードによる撮影時に撮影部のアライメント位置が取得され、第2撮影モードによる撮影時はアライメント位置に基づいて設定した目標位置へと、撮影部が誘導される。これにより、被検眼から撮影部における筐体正面までの撮影距離が、撮影モードに応じて変更されるような構成であっても、被検眼と撮影部とのアライメント状態を容易に調整することができる。
また、例えば、本実施例における眼科撮影装置は、被検眼に対物光学系を介して測定光を照射し、測定光が反射された反射光に基づいて被検眼を撮影する撮影光学系を有し、第1撮影モードと第2撮影モードとにおいて、対物光学系が切り換えられる。これによって、被検眼から撮影部における筐体正面までの撮影距離が、容易に変更される。
また、例えば、本実施例における眼科撮影装置は、被検眼と撮影手段との間に、対物光学系を切り換えるための切換光学系を有す光学アタッチメントを装着することができ、第1撮影モードと第2撮影モードとにおいて、光学アタッチメントが着脱される。これによって、被検眼から撮影部における筐体正面までの撮影距離が、容易に変更される。
また、例えば、本実施例における眼科撮影装置は、光学アタッチメントを装着していない状態にて、第1撮影モードによる撮影が行われ、光学アタッチメントを装着した状態にて、第2撮影モードによる撮影が行われる。このため、例えば、光学アタッチメントの装着でアライメント指標が遮光されるような場合であっても、第1撮影モードにおける撮影部のアライメント位置を利用して、第2撮影モードにおける撮影部の目標位置を設定し、被検眼と撮影部とのアライメント状態を容易に調整することができる。
また、例えば、本実施例における眼科撮影装置は、第2撮影モードにて撮影部を目標位置へと誘導するために、撮影部を移動させる。撮影部を移動させる移動量や移動方向に基づき、撮影部が自動的に移動されるので、被検眼と撮影部とのアライメント状態を、より容易に調整することができる。
また、例えば、本実施例における眼科撮影装置は、被検眼から第2撮影モードにおける撮影距離よりも離れた位置へ撮影部が配置された後に、撮影部を目標位置まで移動させる。これによって、第1撮影モードから第2撮影モードへと切り換えた際に、被検眼から撮影部が一旦離れるため、被検眼と撮影部とが衝突する可能性を軽減させることができる。特に、光学アタッチメントを撮影部に装着する場合は、このような可能性が高くなるため、より効果的である。
<変容例>
本実施例では、広角眼底撮影モードを設定するためのスイッチからの操作信号に応じて、撮影部200の筐体前面を初期位置Aに後退させる構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。本実施例では、アタッチメント部300が撮影部200に装着されたか否かの検出結果に基づいて、撮影部200の筐体前面を初期位置Aに後退させる構成としてもよい。この場合、制御部400は、前眼部画像を解析して、前眼部画像に含まれるアライメント指標像の位置の変化から、アタッチメント部300の装着を検出してもよい。また、この場合、制御部400は、前眼部画像を解析して、前眼部画像に含まれるアライメント指標像の有無から、アタッチメント部300の装着を検出してもよい。一例としては、前眼部画像からアライメント指標像が検出されないときに、アタッチメント部300が装着されたとしてもよい。制御部400は、アタッチメント部300が撮影部200に装着されたことをトリガにして、撮影部200を後退させてもよい。なお、アタッチメントの着脱検知に関しては、上記のアライメント輝点を用いた検知手法に限定されず、押圧センサ、光学センサ、磁気センサのいずれか等からなる周知の構成によって、着脱が検知されてもよい。
本実施例では、被検眼Eの広角眼底撮影モードにおいて、撮影部200の第2移動位置Cを設定し、撮影部200を第2移動位置へと自動で移動させる構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、撮影部200を第2移動位置Cへと手動で移動させる構成としてもよい。この場合、制御部400は、モニタ104の表示を制御し、モニタ104に表示されたアライメント指標像を含まない前眼部画像に、ガイド情報を表示させてもよい。
図4は、撮影部200の第2移動位置Cに対するずれと、アライメント指標像を含まない前眼部画像500と、の一例である。図4(a)は、撮影部200が第2移動位置Cに対して後方向(被検眼から離れる方向)にずれた状態である。図4(a)は、撮影部200が第2移動位置Cに一致(略一致)した状態である。なお、図4では、便宜上、撮影部200の前後方向にのみずれが生じている場合を示す。例えば、前眼部画像500には、ガイド情報として、被検眼Eの角膜頂点位置を表す第1マーク501、OCT光学系230の撮影光軸の位置を表す第2マーク502、撮影部200の第2移動位置Cに対する前後方向のずれを表す第3マーク503、等が表示される。
例えば、制御部400は、前眼部画像500の輝度に基づいて瞳孔Pを検出し、瞳孔中心位置を算出する。さらに、例えば、制御部400は、瞳孔中心位置から所定の距離(一例として、3mm)だけ手前に位置するとされる、角膜頂点位置を算出する。例えば、第1マーク501は、このように求められた角膜頂点位置に表示されてもよい。検者は、操作部103を操作し、第1マーク501に第2マーク502が一致するように、被検眼Eに対して撮影部200を左右方向および上下方向へ移動させてもよい。これにより、被検眼Eの角膜頂点位置と撮影光軸とが一致される。
例えば、制御部400は、撮影部200の第2移動位置Cに対する前後方向のずれの方向を、第3マーク503の位置で表してもよい。また、例えば、制御部400は、撮影部200の第2移動位置Cに対する前後方向のずれ量を、第3マーク503の数で表してもよい。一例として、図4(a)のように、撮影部200が第2移動位置Cよりも後方向に配置されていれば、目標マーク503aの下に、変動マーク503bが表示される。また、撮影部200が第2移動位置Cから離れるほど、変動マーク503bの数が増加する。検者は、操作部103を操作し、変動マーク503bの数が減少するように、被検眼Eに対して撮影部200を前後方向へ移動させてもよい。また、一例として、図4(b)のように、検者の操作で撮影部200が第2移動位置Cに一致して配置されれば、目標マーク503aのみが表示される。これにより、被検眼Eの広角の眼底領域に、測定光の走査範囲が合わせられる。
なお、本実施例では図示を省略したが、撮影部200が第2移動位置Cに対して前方向(被検眼に近づく方向)にずれた状態であっても、同様に、第3マーク503が表示されてもよい。例えば、この場合には、目標マーク503aの上に、撮影部200が第2移動位置Cから離れた距離に応じて、変動マーク503bが表示されてもよい。
また、本実施例では、前眼部撮影光学系220により取得される前眼部画像500を用いたが、観察光学系240により取得されるSLO画像を用いて、撮影部200を手動にて移動させることもできる。例えば、アタッチメント部300(切換光学系310)の装着により、被検眼Eの前眼部を撮影したSLO画像が得られるようになるため、SLO画像から角膜頂点位置を検出して第1マーク501を表示させるとともに、第2マーク502および第3マーク503を表示させてもよい。
もちろん、本実施例では、ガイド情報を前眼部画像500やSLO画像に重畳させて表示するのではなく、ガイド情報のみを表示する構成としてもよい。この場合には、撮影部200の第2移動位置Cに対する左右方向のずれを表すマークと、上下方向のずれを表すマークと、を第1マーク501に代えて表示してもよい。
例えば、OCT装置1が、広角眼底撮影モードにて撮影部200を第2移動位置Cへ誘導するためのガイド情報を出力する構成であることによって、検者は、撮影部200を移動させる移動量や移動方向を容易に把握し、撮影部200を適切な位置に配置させることができる。また、検者は、被検眼Eと撮影部200とのアライメント状態の調整に要する時間を、短縮することができる。
本実施例では、被検眼Eの広角撮眼底撮影モードにおいて、被検眼Eを正面から撮影する構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、被検者の顔を左右方向へ一定の角度で傾ける等して、被検眼Eを斜めから撮影する構成としてもよい。この場合、撮影部200の第2移動位置Cは、通常眼底撮影モードにて得られた第1位置情報に基づき、顔の傾きを考慮して、設定されてもよい。一例としては、被検眼Eを正面から撮影する場合の第2移動位置に比べて、左右方向および上下方向は所定の量だけ中央へ寄るように、前後方向は所定の量だけ手前側(被検眼側)へ寄るように、第2移動位置が設定されてもよい。
本実施例では、通常眼底撮影モードにて、撮影部200の第1位置情報のみを記憶部401に記憶させる構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。本実施例では、通常眼底撮影モードにて、撮影部200の第1位置情報に加えて、撮影部200の撮影条件を記憶部401に記憶させる構成としてもよい。一例として、撮影部200の撮影条件は、OCT光学系230の最適化条件、顎台112の高さ、等であってもよい。この場合、制御部400は、広角眼底撮影モードにて撮影部200を移動させる第2移動位置を設定し、さらに、第2移動位置を考慮して、予め最適化条件や顎台112を調整する。これにより、広角眼底撮影モードを設定した際、撮影部200の移動とともに撮影条件の調整がなされるので、広角眼底撮影モードにおける撮影条件の最適化に要する時間を短縮することができる。
本実施例では、通常眼底撮影モードにおける撮影部200の第1位置情報に基づき、広角眼底撮影モードにて撮影部200を第2移動位置Cへと移動させる構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。本実施例では、このような第1位置情報に基づく第2移動位置Cの設定を粗アライメント(大まかな位置合わせ)として利用し、第2移動位置Cから微アライメント(細かな位置合わせ)を行う構成としてもよい。この場合、制御部400は、被検眼Eの眼軸長を取得してもよい。例えば、OCT光学系230における測定光と参照光との光路長差に基づいて、眼軸長を得てもよい。また、例えば、OCT装置1とは異なる装置を用いて測定された眼軸長を受信することで、眼軸長を得てもよい。また、例えば、予め記憶部401に記憶された公知の模型眼(例えば、グルストランド模型眼等)のデータを利用して、眼軸長を得てもよい。制御部400は、被検眼Eの眼軸長から被検眼Eの角膜頂点位置を推測し、被検眼Eの角膜頂点位置に基づいて、撮影部200の第3移動位置を設定してもよい。例えば、広角眼底撮影モードにおいて、撮影部200を第3移動位置に一致させることにより、アライメント指標像を用いなくとも、被検眼Eに対する適切な位置に撮影部200を配置することができる。
もちろん、広角眼底撮影モードにおいては、被検眼Eの角膜頂点位置をアライメント指標像により検出して、微アライメントを行う構成としてもよい。この場合、前眼部撮影光学系220を、アタッチメント部300の装着によりアライメント指標が遮られない位置に、設けておいてもよい。また、広角撮影モードにおいては、被検眼Eの角膜頂点位置を、顔撮影光学系260により撮影される顔撮影画像により検出して、微アライメントを行う構成としてもよい。この場合、顔撮影光学系260を、アタッチメント部300の装着により撮影光が遮られない位置に、設けておいてもよい。
本実施例では、被検眼Eの通常眼底撮影モードに続いて広角眼底撮影モードによる撮影を行う構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。本実施例では、被検眼Eの広角眼底撮影モードに続いて通常眼底撮影モードによる撮影を行う構成としてもよい。なお、通常眼底撮影モードではアタッチメント部300が取り外されるため、前眼部撮影光学系220によるアライメント指標像を利用できるようになるが、広角眼底撮影モードにて取得された撮影部200の第1位置情報に基づいて、通常眼底撮影モードにおける撮影部200の第2移動位置が設定されてもよい。
本実施例では、通常眼底撮影モードにおける撮影部200の第1位置情報を記憶部401に記憶させる構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。本実施例では、撮影部200の第1位置情報を、被検者情報(例えば、被検者毎に付与されたID等)に対応付けて記憶部401に記憶させる構成としてもよい。例えば、これによって、被検眼の撮影を後日に再度行う場合にも、被検眼と撮影部とのアライメント状態を容易に調整することができる。
図5は、被検眼の経過観察時における撮影の一例を示すフローチャートである。図5を参照して、制御部400の経過観察時の制御動作を説明する。なお、ここでは、被検眼を前回に撮影した日とは異なる日に、前回の撮影にて得られた第1位置情報を利用して、アライメント状態を調整する場合を例に挙げる。
まず、制御部400は、被検者情報を取得する(S1)。例えば、被検者情報として、検者によるモニタ104の操作にて入力されたIDを取得してもよい。なお、このようなIDには、被検者の登録情報(一例として、氏名、性別、年齢、等)と、被検眼Eの測定や検査に関する検査情報と、が対応付けられていてもよい。
続いて、制御部400は、被検者情報を利用し、通常眼底撮影モードにおける撮影が前回に行われたかを確認する。例えば、通常眼底撮影モードにおける撮影が行われていれば、被検者情報に撮影部200の前回の第1移動情報が対応付けられているため、被検者情報から撮影部200の前回の第1位置情報を呼び出すことができる。また、例えば、通常眼底撮影モードにおける撮影が行われていなければ、被検者情報から撮影部200の前回の第1位置情報を呼び出すことができない。制御部400は、撮影部200の前回の第1位置情報を呼び出してこれを取得できるか否かで、前回の第1位置情報の有無を確認する(S2)。
制御部400は、撮影部200の前回の第1位置情報を取得できなかった場合、第1移動情報を用いずに撮影部200を移動させて、OCTデータを取得してもよい(S3)。例えば、検者の操作に基づいて広角眼底撮影モードを設定した際は、被検眼Eに撮影部200を初期位置Aから徐々に近付け、被検眼Eに対して撮影部200が適切に配置されたところで、第2OCTデータを得てもよい。また、例えば、検者の操作に基づいて通常眼底撮影モードを設定した際は、アライメント指標像を用いることで、被検眼Eに対して撮影部200を適切に配置し、第1OCTデータを得てもよい。
また、制御部400は、撮影部200の前回の第1位置情報が取得できた場合、検者の操作に基づいて、広角眼底撮影モードあるいは通常眼底撮影モードのいずれかを設定する(S3)。被検眼Eの広角の眼底領域を撮影するか、または通常の眼底領域を撮影するかによって、撮影部200を移動させる移動位置が、適宜、変更される。
制御部400は、通常眼底撮影モードを設定した場合、被検眼Eのフォローアップ撮影を行う(S5)。例えば、このとき、制御部400は、撮影部200の前回の第1位置情報を利用して、撮影部200を移動させる目標位置を、第1移動位置Bに設定する。言い換えると、前回の第1移動位置Bと、今回の第1移動位置と、を同一の位置に設定する。これにより、被検眼Eに対して撮影部200が適切に配置され、今回の第1OCTデータが取得される。なお、制御部400は、被検眼Eのフォローアップ撮影の後、続けて広角眼底撮影モードを設定してもよい(S6)。
また、制御部400は、広角眼底撮影モードを設定した場合、撮影部200を移動させる目標位置を、撮影部200の前回の第1位置情報に基づき、第2移動位置Cに設定する(S7)。なお、被検眼Eのフォローアップ撮影の後における広角眼底撮影モードの設定であれば、撮影部200を移動させる目標位置を、撮影部200の今回の第1位置情報に基づき、第2移動位置Cに設定してもよい。これにより、撮影部200は第2移動位置Cへと移動される(S8)。
ここで、制御部400は、第2移動位置Cに許容範囲が設けられていた場合、撮影部200が許容範囲内に移動したか否かを判定する(S9)。例えば、制御部400は、撮影部200が許容範囲外であれば、引き続き撮影部200を移動させる。また、例えば、制御部400は、撮影部200が許容範囲内であれば、第2OCTデータを取得し(S10)、被検眼Eの撮影を終了する。
例えば、上述のように、撮影部200の第1位置情報を、被検者情報に対応付けておくことで、被検眼Eの経過観察時等に、広角眼底撮影モードにおける撮影部200の移動が、容易に行われる。
本実施例では、アタッチメント部300(切換光学系310)の着脱によって、被検眼Eの撮影画角を切り換えることが可能な構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。本実施例では、アタッチメント部300(切換光学系310)の着脱によって、被検眼Eの撮影領域を切り換えることが可能な構成としてもよい。もちろん、被検眼Eの撮影画角と撮影領域をいずれも切り換えることが可能な構成としてもよい。
以下、アタッチメント部300を着脱し、被検眼Eの撮影領域を眼底と前眼部とで切り換える構成を例示する。この場合、アタッチメント部300の着脱で、OCT光学系230による測定光の、被検眼Eに対する照射位置が変更されてもよい。例えば、測定光の照射位置は、非装着状態に対し、装着状態にて、被検眼Eの深さ方向に深い位置となるように変更される。一例として、非装着状態では前眼部に変更され、装着状態では眼底に変更される。
アタッチメント部300の非装着状態では、被検眼Eと対物光学系235との間から切換光学系310が抜去されることで、測定光が眼底に照射され、眼底の所定の撮影領域におけるOCTデータが得られる。また、アタッチメント部300の装着状態では、被検眼Eと対物光学系235との間に切換光学系310が挿入されることで、測定光が前眼部に照射され、前眼部の所定の撮影領域におけるOCTデータが得られる。
なお、アタッチメント部300の着脱による測定光の照射位置は、非装着状態に対し、装着状態で、被検眼Eの深さ方向に浅い位置となるように変更されてもよい。つまり、装着状態では、前眼部の所定の撮影領域におけるOCTデータが得られ、非装着状態では、眼底の所定の撮影領域におけるOCTデータが得られてもよい。
OCT装置1は、このようなアタッチメント部300の着脱に対応させて、眼底を撮影するための眼底撮影モード(例えば、前述の通常眼底撮影モード)と、前眼部を撮影するための前眼部撮影モードと、を設定することができてもよい。例えば、制御部400は、眼底撮影モードを設定すると、アライメント指標投影光学系210を用いて、撮影部200の筐体前面を初期位置Aから第1移動位置へと移動させ、第1移動位置における第1位置情報を取得してもよい。また、例えば、制御部400は、前眼部撮影モードを設定すると、第1位置情報に基づいて、撮影部200の筐体前面を移動させる第2移動位置を設定してもよい。一例として、第1位置情報とともに、筐体302の長さ、OCT光学系230における光学配置の変更にともなう照射位置の変化、切換光学系の挿入にともなう照射位置の変化、等の少なくともいずれかを考慮し、第2移動位置を設定してもよい。これにより、アタッチメント部300を装着する前眼部撮影モードにおいても、被検眼Eに対して撮影部200を容易に移動させることができる。
なお、OCT装置1は、複数のアタッチメント部を備えてもよい。例えば、被検眼Eの前眼部を撮影するためのアタッチメント部と、被検眼Eの広角の眼底領域を撮影するためのアタッチメント部と、を備えてもよい。この場合には、撮影部200の第1位置情報に基づき、使用するアタッチメント部に合わせて、適宜、撮影部200の第2移動位置(目標位置)が設定されればよい。
例えば、上記のような、被検眼Eの撮影領域を眼底と前眼部とで切り換える構成において、眼底撮影モードでは、眼底中心部に限らず眼底周辺部が撮影されてもよい。例えば、眼底周辺部に病変がある場合等に、眼底周辺部が撮影されてもよい。この場合、眼底撮影モードでは、被検眼Eの視線が固視灯により移動され、被検眼Eが旋回するために、被検眼Eの角膜頂点位置からずれた位置に測定光が照射される。このため、制御部400は、撮影部200の第1移動位置における第1位置情報とともに、固視灯の点灯位置等を記憶部401に記憶させてもよい。続く前眼部撮影モードでは、被検眼Eの角膜頂点位置を中心に測定光が照射されるように、撮影部200を移動させる第2移動位置を、第1位置情報と固視灯の点灯位置とに基づいて算出してもよい。もちろん、被検眼Eの角膜頂点位置とは異なる位置(一例として、隅角)を中心に測定光が照射されるように、撮影部200を移動させる第2移動位置を、第1位置情報と固視灯の点灯位置とに基づいて算出してもよい。
なお、本実施例では、アタッチメント部300の着脱にて撮影画角や撮影領域を切り換える際に、第1位置情報に基づく第2移動位置Cを設定する構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。本実施例では、アタッチメント部300の着脱によらず、撮影領域を切り換える際にも、同様に、第1位置情報に基づく第2移動位置を設定することができる。例えば、被検眼Eの角膜を撮影する角膜撮影モードにて、撮影部200の第1位置情報を取得し、次いで、隅角を撮影する隅角撮影モードにて、第1位置情報に基づいた撮影部200の第2移動位置を設定してもよい。例えば、隅角の位置は、角膜の位置(一例としては、角膜頂点位置)から、左右方向、上下方向、および前後方向へ所定の距離だけずれて位置するため、各々の方向のずれ量を予め記憶部401に記憶させておいてもよい。制御部400は、第1位置情報に基づき、これらのずれ量を考慮した位置を、第2移動位置として設定してもよい。
なお、本実施例にて説明した技術は、顔支持部110を前後方向に移動させることが可能な眼科撮影装置(例えば、特願2019-018248号公報を参照)においても適用することができる。例えば、このような装置では、通常眼底撮影モードから広角眼底撮影モードへと切り換える際に、被検眼と撮影部200との距離を広げるため、顔支持部110を手前に引き出してもよい。制御部400は、通常眼底撮影モードにおける第1移動位置Bの第1位置情報に基づき、顔支持部110の移動量や鏡筒302の長さを考慮して、撮影部200の第2移動位置Cを設定してもよい。また、制御部400は、撮影部200を第1移動位置Bから第2移動位置Cまで前進させ、被検眼から撮影部200の筐体正面までの撮影距離を、一定の距離に設定してもよい。