(開示の基礎となった知見)
近年、ユーザが頭部に装着することで眼前に表示部を配置して、見かけ上、表示される画像を大画面で視認することが可能な表示装置が開発されている。このような表示装置は、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)と呼ばれ、遠近法によって、見かけ上、大画面で画像を視認できるという特性から、多くが高画質化及び高性能化の開発路線をたどり、大型の筐体を有する構成で実現されている。このような大型のHMDでは、例えば、電車、オフィス、又は屋外等の公共の場で使用するには、携行性及び重量の問題の他、周囲から目立ってしまう等の理由から適切ではなかった。
そこで、本開示では、表示装置であるHMDの携行性を高めるため、ユーザの左右の目それぞれに対応した2つの表示部(ディスプレイ装置等)をそれぞれ最小限に覆う2つの筒状の筐体(以下鏡筒ともいう)を用いる、グラス型のHMDを実現している。このようなグラス型のHMDは、美観に優れ、大型のサングラスを着用しているように見えるため、周囲から目立ちにくく、自然に溶け込むことが可能になると期待される。
ここで、ユーザの両目の瞳孔と2つの鏡筒の位置とが一致せず、画像を適切に表示できない場合がある。本開示では、この2つの鏡筒を距離可変に接続することで、ユーザの瞳孔の位置に合わせて2つの鏡筒を自在に配置でき、左右それぞれの画像を適切に表示できる。また、距離可変な接続の形態として、鏡筒同士を当該鏡筒から離れた位置の回動軸回りに回動させる方式も実現できるが、この場合、表示部も鏡筒とともに回動してしまう。すなわち、ある基準姿勢において水平な表示部が回動に伴って傾いてしまう。本開示によれば、このような傾きの発生に対しても対処可能である。
また、HMDは、装着型の表示装置であり、特に外光の影響を遮るために可能な限り表示部とユーザの目との間に外光が入り込まないようにユーザに密着するようにして使用される。つまり、HMDはユーザに接触する箇所が生じ得る。この接触箇所では、ユーザの皮脂、汗等が付着するため不衛生になりやすい。不衛生なHMDでは、特に粘膜である目に近い位置で使用されることから感染症等の恐れがあり使用に適さない場合がある。HMDは、小さな筐体内に多くの電子部品を内蔵するため、洗浄が困難である場合が多い。そこで、本開示では、この課題に対処可能な構成についても言及する。
なお、本開示の包括的又は具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム又はコンピュータ読み取り可能なCD-ROM等の記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
以下では、本開示の実施の形態について図面とともに説明する。
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置、及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、請求の範囲を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
なお、各図は、必ずしも厳密に図示したものではない。各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付し、重複する説明は省略又は簡略化する。
また、本明細書において、平行などの要素間の関係性を示す用語、及び、矩形などの要素の形状を示す用語、ならびに、数値、及び、数値範囲は、厳格な意味のみを表す表現ではなく、実質的に同等な範囲、例えば数%程度の誤差等の差異も含むことを意味する表現である。
また、以下の説明に用いる各図では、互いに直交するX軸、Y軸、及びZ軸を、HMDの各部の方向等の説明に適宜用いる。X軸方向は、HMDが装着された場合におけるユーザの左右方向であり、特に、左側をX軸方向のプラス側とする。また、Y軸方向は、HMDが装着された場合におけるユーザの前後方向であり、特に後側をY軸方向のプラス側とする。また、Z軸方向は、HMDが装着された場合におけるユーザの上下方向であり、特に上側をZ軸方向のプラス側とする。
また、詳細は後述するが、X軸方向は、実施の形態におけるHMDが備える2つの鏡筒の並び方向である。Y軸方向は、実施の形態におけるHMDの鏡筒の筒軸(又は中心軸)方向に沿う方向であり、2つの鏡筒の各々の中心軸を通る平面を鏡筒の並び面(又は単に並び面)と称する。並び面は通常YX平面に平行な面である。この並び面に対して垂直なZ軸方向を高さ方向という場合がある。
以下では、上記の左右方向、前後方向、及び上下方向、ならびに、中心軸方向、並び方向、並び面、及び高さ方向を、特に断りなく説明に用いる場合があるが、これらの方向等は説明のために便宜上用いられるものであり、HMDの使用時における姿勢等を限定するものではない。
また、本実施の形態におけるHMDでは、多くの構成が左右対称な組み合わせを有する構造である。したがって、一部の構成において左右の組み合わせのうち一方の説明を参照することによって他方の説明を省略する場合がある。
(実施の形態)
[基本構成]
はじめに、実施の形態におけるHMDの構成について、図1A~図4を用いて説明する。図1Aは、実施の形態に係るヘッドマウントディスプレイの第1の斜視図である。また、図1Bは、実施の形態に係るヘッドマウントディスプレイの第2の斜視図である。
図1A及び図1Bでは、実施の形態に係るHMD100の第1のアーム部15及び第2のアーム部25を伸ばした場合、及び、折り曲げた場合における概観斜視図を示している。図1Aに示すように、実施の形態に係るHMD100は、第1の鏡筒10、第2の鏡筒20、調整ネジ32、第1のアーム部15、第2のアーム部25、第1のアイキャップ14、及び第2のアイキャップ24を備える。
第1の鏡筒10は、ユーザ99(後述する図3参照)の、例えば左目に対応する画像を表示するための単眼分のディスプレイモジュールである。第1の鏡筒10は、樹脂及び金属材料を組み合わせて構成される。また、第1の鏡筒10には、ユーザ99の一方の目(ここでは左目)に対応する第1の画像101L(後述する図8参照)を表示するための第1の表示部と(後述の表示部30の一部)、第1の表示部に表示される画像を拡大する第1の凸レンズ40L(後述する図13参照)と、を内部に有する。より具体的には、第1の鏡筒10は、有底筒状の形状であり、第1の表示部をその底部に有する。
また、詳細は後述するが、第1の鏡筒10は、第1の主部11、第1の副部12、及び第1のパネル13から構成される。図中に示すように、第1の鏡筒10は、第1の主部11と第1の副部12と第1のパネル13とから構成される二重底構造である。図中に示すように、第1の主部11、第1の副部12、及び第1のパネル13は別部材から構成される。以降の説明では、第1の鏡筒10は、二重底を有する有底筒状の構造であるとして説明するが、本開示のHMDは、単に第1の主部11のみから成る一重底を有する有底筒状であってもよい。このような第1の鏡筒10における底の構成については特に限定はなく、複数の機能部をそれぞれ収容する複数底の構成によりHMDを実現できる。
第1の表示部と、第1の凸レンズ40Lとは、Y軸方向プラス側に向けて開口した筒状の第1の主部11の内部に配置される。なお、図中には、第1の凸レンズ40Lとして1つのレンズを図示しているが、第1の凸レンズ40Lは、2以上のレンズを組み合わせて構成してもよい。言い換えると、第1の凸レンズ40Lは、複数のレンズを有するレンズユニットであってもよい。
第2の鏡筒20は、ユーザ99の、例えば右目に対応する画像を表示するための単眼分のディスプレイモジュールである。第2の鏡筒20は、樹脂及び金属材料を組み合わせて構成される。また、第2の鏡筒20には、ユーザ99の他方の目(ここでは右目)に対応する第2の画像101R(後述する図8参照)を表示するための第2の表示部(後述の表示部30の一部)と、第2の表示部に表示される画像を拡大する第2の凸レンズ40R(後述する図13参照)と、を内部に有する。より具体的には、第2の鏡筒20は、有底筒状の形状であり、第2の表示部をその底部に有する。
また、詳細は後述するが、第2の鏡筒20は、第2の主部21、第2の副部22、及び第2のパネル23から構成される。第2の表示部と、第2の凸レンズ40Rとは、Y軸方向プラス側に向けて開口した筒状の第2の主部21の内部に配置される。
第1の鏡筒10と第2の鏡筒20とは、調整ネジ32及び、接続バー31によって連結されている。
接続バー31は、第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20双方の側面に形成された接続穴の内径よりも外径の小さいX軸方向に沿って延びる棒状の部材である。接続バー31は、金属又は樹脂等の硬質の材料で形成される。この構成により、接続バー31は、特に固定なく接続穴に挿入される。接続穴への接続バー31の挿入長さに応じて、第1の鏡筒10と第2の鏡筒20との位置関係が変更される。なお、接続穴は、第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20のいずれか一方にのみ形成されてもよい。この場合、接続穴に挿入される接続バー31に一端と反対側の他端は、第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20の他方に接合される。
調整ネジ32は、第1の調整機構の一部を成し、X軸方向に沿って延びる棒状の部材であり、金属又は樹脂等の硬質の材料で形成される。調整ネジ32は、図中のZ-Z断面に示す断面図(図中の吹き出し箇所)のようにネジ山が両端に切られている。具体的には、調整ネジ32は、一端に第1の螺旋状の山から成る第1のネジ部34を有し、他端に第2の螺旋状の山から成る第2のネジ部33を有する。
ここで、第1の鏡筒10には、調整ネジ32に対応する位置に穴が形成され、穴の奥側(つまりX軸方向プラス側)に第1の螺旋状の溝から成るネジ穴36が形成されている。これにより、調整ネジ32が所定の長さ挿入された先で第1のネジ部34及び第1のネジ穴36の山と溝とが噛みあい、X軸方向に平行な軸まわりに調整ネジ32を回転させることで第1のネジ穴36に第1のネジ部34が挿脱される。ネジ機構が穴の奥に配置されることで、挿脱に伴って第1のネジ部34が第1の鏡筒10からはみ出しにくくなり、美観に優れる他、異物の混入による調整ネジ32の不具合の発生が抑制される。
また、同様に、第2の鏡筒20には、調整ネジ32に対応する位置に穴が形成され、穴の奥側(つまりX軸方向マイナス側)に第2の螺旋状の溝から成る第2のネジ穴35が形成されている。これにより、調整ネジ32が所定の長さ挿入された先で第2のネジ部33及び第2のネジ穴35の山と溝とが噛みあい、X軸方向に平行な軸まわりに調整ネジ32を回転させることで第2のネジ穴35に第2のネジ部33が挿脱される。
さらに、第2の螺旋は、第1の螺旋に対して逆巻きである。これにより、調整ネジ32の一方向への回転によって、第2のネジ穴35への第2のネジ部33の挿入と、第1のネジ穴36への第1のネジ部34の挿入とが連動し、他方向への回転によって、第2のネジ穴35からの第2のネジ部33の離脱と、第1のネジ穴36からの第1のネジ部34の離脱とが連動する。これによって第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20の互いの距離が調整される。このように、第1の調整機構における調整ネジ32は、第1の鏡筒10と第2の鏡筒20との距離を調整する操作部の一例である。
なお、調整ネジ32は、調整ネジ32の中央付近で、第1のネジ部34及び第2のネジ部33よりも太くなるように構成してもよい。ここで、調整ネジ32の中央とは、調整ネジ32の第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20との接続部分を両端と置いた時のX軸方向における中央である。図1Aに示すHMD100では、調整ネジ32は、X軸方向における両端よりも中央の方が、外径が大きくなるように構成されている。このような構成により、ユーザ99が、調整ネジ33を操作しやすくなる。さらに、本実施例では、調整ネジ32の中央付近(すなわちX軸方向における第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20の中央付近)を多角柱状に構成することで、ユーザ99の操作感をより向上している。
また、図1Aに示す、第1の鏡筒10と調整ネジ32との接続部分及び第2の鏡筒20と調整ネジ32との接続部分のそれぞれに第1のネジ穴36と第1のネジ部34及び第2のネジ穴35と第2のネジ部33を設ける例は一例である。例えば、第1の鏡筒10と調整ネジ32との接続部分及び第2の鏡筒20と調整ネジ32との接続部分の一方に第1のネジ穴36及び第1のネジ部34、ならびに、第2のネジ穴35及び第2のネジ部33を設け、第1の鏡筒10と調整ネジ32との接続部分及び第2の鏡筒20と調整ネジ32との接続部分の他方は、単に回転可能に調整ネジ32を保持して接続されてもよい。
さらに、第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20と調整ネジ32とのどちらにネジ穴が設けられ、どちらにネジ部が設けられるかについて特に限定はない。例えば、上記のHMD100とは逆に、第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20にネジ部が設けられ、調整機構にネジ穴が設けられてもよい。
第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20の距離が調整されることで、HMD100は、ユーザ99の瞳孔間距離(Inter Pupillary Distance:IPD)に合わせて、第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20の位置が設定できる。
また、第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20の距離の調整の際に、接続バー31が接続穴に挿入されていることにより、第1の鏡筒10に対して第2の鏡筒20が、X軸方向に平行な軸回りに回転することが抑制され、互いの中心軸の平行関係が維持される。
第1のアーム部15は、前方の一端が第1の鏡筒10に接続され、後方の他端側がユーザ99の、例えば左耳に係止される。第1のアーム部15は、金属及び樹脂を組み合わせて構成される。第1のアーム部15は、一端側の、第1の前アーム18と、他端側の、第1の後アーム16とがヒンジ軸を介して回動可能に接続されて構成されている。ヒンジ軸は、蛇腹等の機構によって伸縮可能なカバー17によって覆われ、内部の機構及び電子部品等が保護される。
この構成により、図1Bに示すように、第1のアーム部15は、図中のZ軸に平行な軸回りに、第1の前アーム18に対して第1の後アーム16が回動して折り曲げ可能である。また、第1のアーム部15は、後述する第2のアーム部25に向かって近づく方向(Z軸方向プラス側から見た反時計回り)にのみ折り曲げ可能であり、反対側には拡がらないようになっている。これにより、第1のアーム部15は、ユーザ99の耳への係止の容易性を向上している。
第2のアーム部25は、前方の一端が第2の鏡筒20に接続され、後方の他端側がユーザ99の、例えば右耳に係止される。第2のアーム部25は、金属及び樹脂を組み合わせて構成される。第2のアーム部25は、一端側の、第2の前アーム28と、他端側の、第2の後アーム26とがヒンジ軸を介して回動可能に接続されて構成されている。ヒンジ軸は、蛇腹等の機構によって伸縮可能なカバー27によって覆われ、内部の機構及び電子部品等が保護される。
この構成により、図1Bに示すように、第2のアーム部25は、図中のZ軸に平行な軸回りに、第2の前アーム28に対して第2の後アーム26が回動して折り曲げ可能である。また、第2のアーム部25は、上記の第1のアーム部15に向かって近づく方向(Z軸方向プラス側から見た時計回り)にのみ折り曲げ可能であり、反対側には拡がらないようになっている。これにより、第2のアーム部25は、ユーザ99の耳への係止の容易性を向上している。
図1Aに示すように、第1のアーム部15及び第2のアーム部25は、各々の他端が互いに近づくように湾曲している。言い換えると、ユーザ99の頭部が位置するHMD100の内空間に向けて、各々のアーム部は、内側に湾曲している。これにより、第1のアーム部15及び第2のアーム部25がそれぞれユーザ99の後頭部を内方かつ前方へと押圧し、第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20がユーザ99の頭部へと押し当てられるように引き寄せる。よって、第1のアーム部15及び第2のアーム部25は、HMD100を装着した際の脱落を抑制し、装着性を向上している。
また、第1のアーム部15は、ユーザ99の後頭部を押圧する他端側の内側の面に第1のクッション19(図1B参照)を有する。同様に、第2のアーム部25は、ユーザ99を押圧する他端側の内側の面に第2のクッション29(図1A及び図1B参照)を有する。このようなクッションは、第1のアーム部15及び第2のアーム部25を構成する硬質材料とは異なり、弾性を有する材料が表面に貼り付けられる又は塗布される等によって形成される。これらのクッションの存在により、第1のアーム部15及び第2のアーム部25は、押圧によるユーザ99の不快感を緩和している。
第1のアイキャップ14は、第1の鏡筒10とユーザ99の頭部との間に介在する筒状の部材である。第1のアイキャップ14は、第1の鏡筒10に対して着脱可能に取り付けられる。例えば、HMD100を複数のユーザ99が共有するような場合に、第1のアイキャップ14を交換するのみで、第1の鏡筒10を介したユーザ99どうしの間接的な接触を抑制できる。また、ユーザ99に対して接触する主体物である第1のアイキャップ14を取り外して洗浄等をすることができるため、HMD100全体を洗浄することなくHMD100を清潔に維持することができる。
同様に、第2のアイキャップ24は、第2の鏡筒20とユーザ99の頭部との間に介在する筒状の部材である。第2のアイキャップ24は、第2の鏡筒20に対して着脱可能に取り付けられる。例えば、HMD100を複数のユーザ99が共有するような場合に、第2のアイキャップ24を交換するのみで、第2の鏡筒20を介したユーザ99どうしの間接的な接触を抑制できる。また、ユーザ99に対して接触する主体物である第2のアイキャップ24を取り外して洗浄等をすることができるため、HMD100全体を洗浄することなくHMD100を清潔に維持することができる。
第1のアイキャップ14は、第1の鏡筒10の第1の主部11における開口側から、Y軸方向マイナス側に向けて挿入されることで取り付けられる。また、第2のアイキャップ24は、第2の鏡筒20の第2の主部21における開口側から、Y軸方向マイナス側に向けて挿入されることで取り付けられる。第1のアイキャップ14及び第2のアイキャップ24については、後述にてさらに詳細に説明する。
図2は、実施の形態に係るヘッドマウントディスプレイ等のブロック図である。また、図3は、実施の形態に係るヘッドマウントディスプレイの装着時の外観図である。また、図4は、実施の形態に係るヘッドマウントディスプレイの信号線等の配線図である。図2では、HMD100の他、一部の外部の装置及びユーザの目95が示されている。なお、図2では、簡単のために左右対称に存在する第1の駆動回路38L及び第2の駆動回路38R、第1の表示パネル39L及び第2の表示パネル39R、ならびに第1の凸レンズ40L及び第2の凸レンズ40を、駆動回路38、表示パネル39、及び凸レンズ40として示している。
HMD100には、コネクタ37及びプラグ93を介して電源91及び信号処理回路92が接続される。電源91及び信号処理回路92は、HMD100に接続される外部の装置である。
電源91は、HMD100が各種の動作を行うための電力を供給する装置である。電源91は、例えば、家庭用の交流の電力を変換し、HMD100の動作に必要な電圧の直流の電力を生成するAC-DCコンバータである。また、電源91は、例えば蓄電された電力を直流で放電するバッテリ、太陽光エネルギーを利用して発電した電力を供給する太陽電池等であってもよい。また、電源91を、バッテリとしてHMD100に内蔵してもよく、太陽電池としてHMD100の外面に取付けてもよい。また、HMD100は、プラグ93及びコネクタ37を用いずに無線伝送によって給電が行われてもよい。
信号処理回路92は、HMD100に対して、表示される画像を示す画像情報を通信によって供給する装置である。信号処理回路92は、画像情報をデジタル信号として供給するが、アナログ信号により供給してもよい。また、画像情報をHMD100に格納させ、プラグ93及びコネクタ37の接続が解除されたオフラインで画像を表示させてもよい。また、プラグ93及びコネクタ37の接続が維持されたオンラインで、リアルタイムに生成した画像情報を逐一HMD100に供給して、表示させてもよい。また、このような画像情報も無線通信を用いて供給してもよい。
図3に示すように、第1のアーム部15は、上記の通信及び給電の少なくとも一方を行うためのコネクタ37を、HMD100の装着時におけるユーザ99の耳96Lよりも後方に有する。このように、ユーザ99の耳96Lよりも後方にコネクタ37が設けられることで、プラグ93を介して接続されるケーブル94は、ユーザ99の視界に入りにくくなるとともに、HMD100の重心を後方に移動させることができる。したがって、コネクタ37のこのような配置によって、HMD100の装着性が向上される。
外部の装置から給電された電力及び供給された画像情報は、内部配線41を介して、駆動回路38へと伝送される。より詳しくは、画像情報は、図2に示すように処理部38aを経由して駆動回路38へと伝送される。処理部38aは、HMD100の表示部30に表示させるための画像情報を処理して、アナログ信号に変換するとともに、各種の画像調整の処理を行う処理装置である。処理部38aは、プロセッサとメモリと当該メモリに格納された画像処理のためのプログラムによって実現される。処理部38aにおける画像調整等の処理については後述する。
また、図4に示すように、第1のアーム部15内の内部配線41を介して第1の鏡筒10の内部に配置された第1の駆動回路38Lへと供給された画像情報は、分配線42を介して第2の鏡筒20の内部に配置された第2の駆動回路38Rへと供給される。分配線42は、例えば、図中の調整ネジ32の断面図に示すように、調整ネジ32の中空部分を通って第1の駆動回路38Lと第2の駆動回路38Rとを接続する。このように、調整ネジ32、及び接続バー31の少なくとも一方が中空の部材で形成されていることで、第1の鏡筒10と第2の鏡筒20との内部の空間が接続されている。なお、第1の駆動回路38Lから第2の駆動回路38Rへの画像情報の供給は、無線通信によって行われてもよい。
このようにして、アナログ信号として駆動回路38に到達した画像情報に基づき、表示部30における画像の表示が行われる。具体的には、駆動回路38によって表示パネル39が駆動されて、画像を示す光が出射される。当該光は、凸レンズ40によって集光されてユーザ99の目95において視認される。
駆動回路38は、表示パネル39を駆動するための回路装置である。また、表示パネル39は、例えば液晶パネル、有機ELパネル、又はマイクロLEDパネル等の装置である。なお、このような駆動回路38と表示パネル39とを用いる表示部30の他、網膜投影型のレーザプロジェクタ等を用いてもよい。
[調整機構]
以下、図5~図7を用いて、上記の基本構成における第1の調整機構とは別の、第1の鏡筒10と第2の鏡筒20との距離を調整可能な調整機構の例を説明する。
図5は、実施の形態に係るヘッドマウントディスプレイの調整機構の第2例を示す図である。図5では、実施の形態におけるHMD100aが備える第2の調整機構に関する構成が示されている。特に、第2の調整機構に関する図中のY-Y断面に示す断面図を吹き出しで示している。なお、図5では、第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20の距離を調整する第2の調整機構について説明するため、第2の調整機構と、第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20の他の構成については図示を省略している。
図5に示すように、第2の調整機構は、金属又は樹脂等の硬質の材料を組み合わせて構成される。第2の調整機構は、第1のラック54、第2のラック55、ピニオンギア53、調整ダイヤル52、及びケース51を有する。第1のラック54は、第1の鏡筒10に端部が接続され、Y軸方向マイナス側に突出する歯部54aを有して、X軸方向に沿って延伸される。また、第2のラック55は、第2の鏡筒20に端部が接続され、Y軸方向プラス側に突出する歯部55aを有して、X軸方向に沿って延伸される。
ピニオンギア53は、XY平面において放射状に突出し、歯部54a及び歯部55aにかみ合う外歯53aを有し、第1のラック54及び第2のラック55に、Y軸方向において挟まれる位置に配置される。
ケース51は、第1のラック54、第2のラック55及びピニオンギア53を上記の位置関係で、かつ、第1のラック54及び第2のラック55をX軸方向にスライド可能に保持する。また、ケース51は、ピニオンギア53を、歯部54a及び歯部55aに外歯53aがかみ合う姿勢で、Z軸方向に平行な軸回りに回転可能に保持する。
調整ダイヤル52は、ピニオンギア53の回転軸に沿うシャフト(不図示)によって、ピニオンギア53と接続され、ピニオンギア53とともにシャフトの軸回りに回転する。つまり調整ダイヤル52を回転させることでピニオンギア53が同じ回転方向に回転する。ピニオンギア53が回転すると、外歯53aに噛みあう歯部54a及び55aにより第1のラック54及び第2のラック55が回転方向に従って送り出されるようにスライドする。
具体的に、図中のZ軸方向プラス側から見た時計回りに調整ダイヤル52が回転すると、シャフトを介してピニオンギア53が時計回りに回転し、第1のラック54がX軸方向プラス側にスライドすると同時に第2のラック55がX軸方向マイナス側にスライドする。一方で、図中のZ軸方向プラス側から見た反時計回りに調整ダイヤル52が回転すると、シャフトを介してピニオンギア53が反時計回りに回転し、第1のラック54がX軸方向マイナス側にスライドすると同時に第2のラック55がX軸方向プラス側にスライドする。
この第1のラック54及び第2のラック55のスライドにより、端部に接続された第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20がX軸方向に沿って移動し、互いの距離が調整される。第2の調整機構においては、ピニオンギア53又は、当該ピニオンギア53を回転させる調整ダイヤル52が操作部に相当する。
なお、第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20の一方に第1のラック54又は第2のラック55を設け、ケース51の一端を第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20の他方に接続してもよい。すなわち、第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20他方に対して、第1のラック54又は第2のラック55に接続された第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20の一方が、ピニオンギア53によってスライド移動して互いの距離が調整されてもよい。
図6は、実施の形態に係るヘッドマウントディスプレイの調整機構の第3例を示す図である。図6では、実施の形態におけるHMD100bが備える第3の調整機構に関する構成が示されている。特に、第3の調整機構に関する図中のZ-Z断面に示す断面図を吹き出しで示している。なお、図6では、図5と同様に、第3の調整機構と、第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20の他の構成については図示を省略している。
図6に示すように、第3の調整機構は、金属又は樹脂等の硬質の材料を組み合わせて構成される。第3の調整機構は、第1の調整穴63L、第2の調整穴63R、調整バー61、第1のカムロックレバー62L、第2のカムロックレバー62R、及びすべり止め部材65を有する。第1の調整穴63Lは、第1の鏡筒10の側面に、X軸方向に沿って形成された穴であり、後述する調整バー61の外径よりも大きい内径を有する。第2の調整穴63Rは、第2の鏡筒20の側面に、X軸方向に沿って形成された穴であり、後述する調整バー61の外径よりも大きい内径を有する。
調整バー61は、X軸方向に沿って延びる棒状の部材であり、上記の第1の調整穴63L及び第2の調整穴63Rの内径との関係により、第1の調整穴63L及び第2の調整穴63Rに挿入可能である。具体的に、調整バー61の一端部は、第1の調整穴63Lに挿入され、調整バー61の他端部は、第2の調整穴63Rに挿入される。なお、調整バー61の他端部は、第2の鏡筒20の側面に直接固定して接続されてもよく、この場合、第2の調整穴63Rがなくてもよい。
第1のカムロックレバー62Lは、図示するように、Y軸方向に平行な偏心軸64を回転軸として偏心して回転するカム機構を有する。このカム機構によって、第1のカムロックレバー62Lは、回転角に応じて第1の調整穴63Lに挿入された調整バー61の一端部をZ軸マイナス方向に向けて押圧する。このとき、調整バー61は、第1の調整穴63L内でZ軸マイナス側の面に押圧される。第1の調整穴63L内のZ軸マイナス側の面には、すべり止め部材65が配置されており、調整バー61は第1の調整穴63L内で所定の挿入長さで固定される。つまり、第1のカムロックレバー62Lはロック部の一例である。なお、すべり止め部材は、調整バー61のZ軸方向マイナス側の面(つまりすべり止め部材65との接触面)の材料に対する摩擦係数の高い材料を用いて構成される。
このように第1のカムロックレバー62Lの固定を解除して、調整バー61と第1の調整穴63Lとの相対位置を変更して、第1の鏡筒10と第2の鏡筒20との距離が調整される。なお、第2の調整穴63Rについても同様に、第2のカムロックレバー62Rの固定を解除して、調整バー61と第2の調整穴63Rとの相対位置を変更して、第1の鏡筒10と第2の鏡筒20との距離が調整される。第3の調整機構においては、調整バー61を中心に第1の鏡筒10と第2の鏡筒20との距離が調整されている。したがって、調整バー61を操作部とみなすこともできる。
なお、図6には、第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20のそれぞれに第1の調整穴63L及び第2の調整穴63Rを設ける例を示したが、第1の調整穴63L及び第2の調整穴63Rのうち一方を設け、その一方のみに対応する第1のカムロックレバー62L及び第2のカムロックレバー62Rの一方を設けてもよい。この場合、調整穴63L及び第2の調整穴63Rの他方、及び、第1のカムロックレバー62L及び第2のカムロックレバー62Rの他方が設けられない調整バー61の端部は、単に接着及び溶着等の方法で第1の鏡筒10又は第2の鏡筒20に接続される。
図7は、実施の形態に係るヘッドマウントディスプレイの調整機構の第4例を示す図である。図7では、実施の形態におけるHMD100cが備える第4の調整機構に関する構成が示されている。特に、第4の調整機構に関する図中のY軸方向マイナス側から見た正面図を吹き出しで示している。なお、図7では、図5と同様に、第4の調整機構と、第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20の他の構成については図示を省略している。
図7に示すように、第4の調整機構は、金属又は樹脂等の硬質の材料を組み合わせて構成される。第4の調整機構は、第1のロッド71、第2のロッド72、及び回動軸部73を有する。
第1のロッド71は、第1の鏡筒10に一方の端部が接続され、他方の端部が、XZ平面内において第1の鏡筒10から離れる方向に延びる棒状部材である。第1のロッド71は、他端において、後述する回動軸部73に接続されている。
第2のロッド72は、第2の鏡筒20に一方の端部が接続され、他方の端部が、XZ平面に平行な面内において第2の鏡筒20から離れる方向に延びる棒状部材である。第2のロッド72は、他端において、後述する回動軸部73に接続されている。
回動軸部73は、第1のロッド71の他端及び第2のロッド72の他端をY軸方向に平行な軸回りに回動可能に接続する接続機構である。回動軸部73によって第1のロッド71は、第2のロッド72に対して、XZ平面に平行な面内において回動する。第1のロッド71及び第2のロッド72の長さによって回動軸が第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20から離れた位置に偏心するため、第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20は、第1のロッド71及び第2のロッド72の回動角に応じて互いの距離が調整される。例えば、図中では、回動角が小さいほど第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20の距離が近くなり、回動によって第1のロッド71及び第2のロッド72の成す角度が180度に近づくにつれて第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20の距離が遠くなる。第4の調整機構においては、回動軸部73周りに、第1のロッド71及び第2のロッド72を操作することで、第1の鏡筒10と第2の鏡筒20との距離が調整されている。したがって、第1のロッド71及び第2のロッド72を操作部とみなすこともできる。
[画像角度維持部]
図8は、ヘッドマウントディスプレイを回動させた際の課題を説明する第1の図である。図8ではY軸方向プラス側から第1の表示パネル39Lに表示される第1の画像101L及び第2の表示パネル39Rに表示される第2の画像101Rが示されており、図8の(a)では、標準の姿勢の比較例に係るHMD(つまり、以下に説明する画像角度維持部を備えないHMD)が示されている。
図8の(a)では、HMDは、第1の画像101L及び画像101Rは、HMDの上下方向と画像の上下方向とが一致した状態となっている。また、図8の(b)では、上記に説明した第1のロッド71、第2のロッド72及び回動軸部73によって第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20の距離が調整された場合の比較例に係るHMDが示されている。図8の(b)に示すように、回動とともに第1の表示パネル39L及び第2の表示パネル39Rの角度も回転してしまい、正常な画像が視認できない場合がある。
本実施の形態におけるHMD100cでは、第1のロッド71と第2のロッド72との回動角に応じて、第1の鏡筒10に対して第1の表示パネル39Lを回転させ、かつ、第2の鏡筒20に対して第2の表示パネル39Rを第1の表示パネル39Lの回転方向とは逆方向に回転させる画像角度維持部を備える。
このとき、第1の表示部ごと第1の表示パネル39Lとともに第1の駆動回路38Lを回転させてもよい。また、第1の凸レンズ40Lをともに回転させてもよい。この場合、光軸方向における構成要素の位置が変化しないように、第1の表示パネル39L及び第1の凸レンズ40Lを保持し、第1の鏡筒10に対して回転する内筒が設けられてもよい。第1の凸レンズ40Lとして自由曲面レンズを用いる場合があり、第1の凸レンズ40Lに対して第1の表示パネル39Lが回転された場合、第1の凸レンズ40L越しに見える像が歪むため、上記構成は有効である。また、第2の鏡筒20においても上記と同様のことがいえる。
以下、画像角度維持部の詳細について図9A~図9Cを用いて説明する。図9Aは、実施の形態に係るヘッドマウントディスプレイの画像角度維持部を説明する第1の図である。図9A~図9Cでは、HMD100cをY軸方向マイナス側から見た図を示しており、第1の表示パネル39L及び第2の表示パネル39R及び画像角度維持部の他の構成要素は、透過しているものとして破線で示している。
図9Aに示すHMD100cでは、第1の表示パネル39Lは、第1の鏡筒10の中心軸回りに回転可能に設けられ、第2の表示パネル39Rは、第2の鏡筒20の中心軸回りに回転可能に設けられる。この第1の表示パネル39L及び第2の表示パネル39Rの回転については、後述の図9B及び図9Cにおいても同様である。
図9Aに示すHMD100cにおける画像角度維持部は、外筒81、及び内筒82を有する伸縮ロッド83によって実現される。伸縮ロッド83は、外筒81に挿入された内筒82が外筒内をX軸方向に平行な方向(伸縮方向)に伸縮することで、第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20の間の調整された距離によらず両端部が第1の表示パネル39L及び第2の表示パネル39Rに接続可能である。
具体的には、伸縮ロッド83は、一端が第1の鏡筒10の側面に設けられた穴に挿通された状態で第1の表示パネル39Lに接続され、他端が第2の鏡筒20の側面に設けられた穴に挿通された状態で第2の表示パネル39Rに接続されている。
このように第1の表示パネル39Lと第2の表示パネル39Rとが伸縮ロッドを介して接続されることで、接続箇所を伸縮軸に対して一定に保持できる。つまり、伸縮ロッド83は、内筒82側の伸縮ロッド83の端部に第1の表示パネル39Lを、伸縮軸に対して角度を固定して接続し、外筒81側の伸縮ロッド83の端部に第2の表示パネル39Rを、伸縮軸に対して角度を固定して接続する。伸縮ロッド83によって第1の表示パネル39L及び第2の表示パネル39Rの角度が固定された状態で、回動軸部73まわりに第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20が回動して距離が調整される。この動作により、第1の表示パネル39L及び第2の表示パネル39Rの水平方向が第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20の並び方向に略一致するように近づく。
図9Bは、実施の形態に係るヘッドマウントディスプレイの画像角度維持部を説明する第2の図である。図9Bに示すHMD100cにおける画像角度維持部は、固定ギア84、第1の回転ギア85、第1の伝達ギア87、第2の回転ギア86、及び、第2の伝達ギアを有する。固定ギア84は、回動軸部73に設けられ、第1の表示パネル39L及び第2の表示パネル39Rの回転における駆動力を得るためのギアである。
固定ギア84は、第1のロッド71及び第2のロッド72の回動とは独立している。言い換えると、固定ギア84は、第1のロッド71及び第2のロッド72の回動とともには回転しない。固定ギア84の角度が維持されることにより、第1のロッド71から見た場合に固定ギア84は、第1のロッド71の回動量に応じて相対的に回転している。したがって、第1のロッド71とともに第1の鏡筒10ごと回動する第1の表示パネル39Lから見た場合にも固定ギア84は相対的に回転している。このとき固定ギア84は、もとの姿勢を維持しているため、第1のロッド71の回動の方向と逆方向に相対的に回転する。
第1の回転ギア85は、第1の表示パネル39Lとともに回転するギアである。つまり第1の回転ギア85を回転させることにより、第1の表示パネル39Lが第1の回転ギア85と同じ方向に回転する。
第1の伝達ギア87は、上記の固定ギア84の相対的な回転を伝達するためのギアである。ここで、第1の伝達ギア87は、固定ギア84の相対的な回転の方向を維持して第1の回転ギア85に伝達する必要がある。したがって、第1の伝達ギア87の個数は、少なくとも1つ以上の奇数個である。第1の伝達ギア87によって回転の方向が維持されたまま第1の回転ギア85が回転されることにより、第1のロッド71の回動角に応じた回転量で、かつ、第1のロッド71の回動の方向と逆回転で第1の表示パネル39Lが回転する。
第2のロッド72においても同様に、固定ギア84の角度が維持されることにより、第2のロッド72から見た場合に固定ギア84は、第2のロッド72の回動量に応じて相対的に回転している。したがって、第2のロッド72とともに第2の鏡筒20ごと回動する第2の表示パネル39Rから見た場合にも固定ギア84は相対的に回転している。このとき固定ギア84は、もとの姿勢を維持しているため、第2のロッド72の回動の方向と逆方向に相対的に回転する。なお、第2の表示パネル39Rから見た場合の固定ギア84の相対的な回転は、第1の表示パネル39Lから見た場合と逆向きの回転である。つまり、第1の表示パネル39Lと第2の表示パネル39Rとは逆向きに回転する。
第2の回転ギア86は、第2の表示パネル39Rとともに回転するギアである。つまり第2の回転ギア86を回転させることにより、第2の表示パネル39Rが第2の回転ギア86と同じ方向に回転する。
第2の伝達ギア88は、上記の固定ギア84の相対的な回転を伝達するためのギアである。ここで、第2の伝達ギア88は、固定ギア84の相対的な回転の方向を維持して第2の回転ギア86に伝達する必要がある。したがって、第2の伝達ギア88の個数は、少なくとも1つ以上の奇数個である。第2の伝達ギア88によって回転の方向が維持されたまま第2の回転ギア86が回転されることにより、第2のロッド72の回動角に応じた回転量で、かつ、第2のロッド72の回動の方向と逆回転で第2の表示パネル39Rが回転する。この動作により、第1の表示パネル39L及び第2の表示パネル39Rの水平方向が第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20の並び方向に略一致するように近づく。
全体として、第2のロッド72に対する第1のロッド71の回動に対して、第1の表示パネル39Lは、回動量の半分の回転量かつ回動方向と逆方向に回転する。また、第1のロッド71に対する第2のロッド72の回動に対して、第2の表示パネル39Rは、回動量の半分の回転量かつ回動方向と逆方向に回転する。なお、このとき、第1の伝達ギア87の個数と第2の伝達ギア88の個数とは、同等数である。また、固定ギア84と第1の回転ギア85とのギア比は、1:1であり、固定ギア84と第2の回転ギア86とのギア比は、1:1である。
図9Cは、実施の形態に係るヘッドマウントディスプレイの画像角度維持部を説明する第3の図である。図9Cに示すHMD100cにおける画像角度維持部は、固定子111、第1の回転子112、第2の回転子113、第1のベルト114、及び、第2のベルト115を有する。
本構成の動作については、図9Bにおいて説明したものと同様である。つまり、固定ギア84に対する固定子111、第1の回転ギア85に対する第1の回転子112、第2の回転ギア86に対する第2の回転子113、第1の伝達ギア87に対する第1のベルト114、第2の伝達ギア88に対する第2のベルト115がそれぞれ同様の動作を行う。これにより、第2のロッド72に対する第1のロッド71の回動に対して、第1の表示パネル39Lは、回動量の半分の回転量かつ回動方向と逆方向に回転する。また、第1のロッド71に対する第2のロッド72の回動に対して、第2の表示パネル39Rは、回動量の半分の回転量かつ回動方向と逆方向に回転する。この動作により、第1の表示パネル39L及び第2の表示パネル39Rの水平方向が第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20の並び方向に略一致するように近づく。
[角度検知部]
以下の図10A~図10Cにおいて説明する実施の形態に係るHMD100cでは、第1のロッド71と第2のロッド72との回動角に応じて、第1の表示パネル39Lに表示される画像及び第2の表示パネル39Rに表示される画像を回転させる。これにより、上記図9A~図9Cの画像角度維持部を用いるものと同様の効果を奏するHMD100cが実現される。
具体的には、第1のロッド71及び第2のロッド72の回動角を検知する角度検知部を備えることで、当該角度検知部において検知された第1のロッド71及び第2のロッド72の回動角に基づき、表示される画像を回転させることで、ユーザ99が正常な画像を視認することができる。
図10Aは、実施の形態に係るヘッドマウントディスプレイの角度検知部を説明する第1の図である。図10A~図10Cでは、HMD100cをY軸方向プラス側から見た図を示しており、第1の表示パネル39L、第2の表示パネル39R及び角度検知部の他の構成要素は、透過しているものとして破線で示している。また、図10A~図10Cの各図の(a)に示す第1の表示パネル39L及び第2の表示パネル39Rには、それぞれ人形の画像が、第1の画像101L及び第2の画像101Rとして表示されている。
図10Aに示すHMD100cにおける角度検知部は、回動軸部73に設けられた抵抗素子116であって、第1のロッド71及び第2のロッド72の回動角に応じて抵抗値が変化する抵抗素子116において、抵抗計等によって測定された抵抗値に基づき第1のロッド71及び第2のロッド72の回動角を検知する。
具体的には、抵抗素子116は、可変抵抗を用いて実現される。可変抵抗は、基部に対するノブの回転の量によって抵抗値が変化する電子部品である。つまり基部を第1のロッド71に対して固定的に配置し、ノブを第2のロッド72に対して固定的に配置することで、これらの回動に連動して基部に対するノブの回転が行われる。その後、抵抗値を測定することにより、基部に対するノブの回転量、すなわち、第1のロッド71に対する第2のロッド72の回動量(回動角)が検知される。回動量は、図中のθ2から基準姿勢のθ1を減算した値で示される差分量である。
画像出力部38b(後述する図36A参照)は、この差分量に応じ、(1)ユーザ99の一方の目に対応する第1の画像101Lの表示角を変更した第1の回転画像102Lを生成する第1の処理、及び、(2)ユーザ99の他方の目に対応する第2の画像101Rの表示角を変更した第2の回転画像102Rを生成する第2の処理を行う。これらの回転画像の生成では、画像出力部38bは、入力される画像のアドレス変換により、各画素の輝度値を座標変換した位置の輝度値に置き換える座標変換処理を行い、変換された座標において各々の画素の輝度値を表示する回転画像が生成される。画像の回転量は、差分量の半分である。また、画像の回転方向は、第1の表示パネル39Lに表示される画像については、第2のロッド72に対する第1のロッド71の回動方向と逆方向であり、第2の表示パネル39Rに表示される画像については、第1のロッド71に対する第2のロッド72の回動方向と逆方向である。この処理により、第1の画像101L及び第2の画像101Rの水平方向が第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20の並び方向に略一致するように近づくように各々の画像が回転される。
図10Bは、実施の形態に係るヘッドマウントディスプレイの角度検知部を説明する第2の図である。図10Bに示すHMD100cにおける角度検知部は、第1のジャイロセンサ117及び第2のジャイロセンサ118を有する。
第1のジャイロセンサ117は、第1の鏡筒10に備えられ、自身の傾きを検知して当該傾きの量であるθ3を出力する。第2のジャイロセンサ118は、第2の鏡筒20に備えられ、自身の傾きを検知して当該傾きの量であるθ4を出力する。出力されたθ3及びθ4の絶対値同士を加算することで、第1のロッド71及び第2のロッド72の回動量が得られる。以降の画像処理は、上記の図10Aにおける処理と同様であるため説明を省略する。
図10Cは、実施の形態に係るヘッドマウントディスプレイの角度検知部を説明する第3の図である。図10Cに示すHMD100cにおける角度検知部は、第1の測距器121及び第2の測距器122から、第1の鏡筒10と第2の鏡筒20との距離を取得する。第1の測距器121及び第2の測距器122は、例えば、光波の反射を用いて第1の鏡筒10と第2の鏡筒20との距離を計測し、計測結果を出力する。なお、第1の測距器121及び第2の測距器122のいずれか一方があればこの構成を実現できるため、第1の測距器121及び第2の測距器122の他方は必須ではない。
第1の鏡筒10と第2の鏡筒20との距離、及び、回動軸部73の中心と第1の鏡筒10の中心との距離を用いて三角関数によって、回動角を算出できる。つまり、角度検知部は、第1の鏡筒10と第2の鏡筒20との距離の半分に対する回動軸部73の中心と第1の鏡筒10の中心との距離から逆正弦関数によって第1のロッド71と第2のロッド72とのなす角の半角を算出する。角度検知部は、同様の算出を回動の前後において行うことで、回動によって変化した回動角に対応する角度を検知する。以降の画像処理は、上記の図10Aにおける処理と同様であるため説明を省略する。
次に、第1のロッド71及び第2のロッド72の回動によって生じる別の課題とその対策について図11及び図12を用いて説明する。図11は、ヘッドマウントディスプレイを回動させた際の課題を説明する第2の図である。また、図12は、実施の形態に係るヘッドマウントディスプレイのカメラ保持機構を説明する図である。
図11及び図12では、HMD100cをY軸方向マイナス側から見た図を示しており、第1のカメラ123L、第2のカメラ123R及びカメラ保持機構の他の構成要素は、透過しているものとして破線で示している。なお、第1のカメラ123Lは、第1の副部12に内蔵され、第1のパネル13を介して前方を撮像する。また、第2のカメラ123Rは、第2の副部22に内蔵され、第2のパネル23を介して前方を撮像する。第1のパネル13及び第2のパネル23はハーフミラーであってもよい。これにより、外側からカメラが見えにくくなり、周囲に意識させることなく自然な撮像が可能となる。
なお、図11及び図12には、第1のカメラ123L及び第2のカメラ123Rが、第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20のZ軸方向の中央付近に位置する例を示すが、この形態に限定しない。第1のカメラ123L及び第2のカメラ123Rが第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20のそれぞれに固定されて設けられ、Y軸方向マイナス側を撮像するように構成すればよい。例えば、後述する図17に示すように、第1のカメラ123L及び第2のカメラ123Rは、第1の副部12及び第2の主部22それぞれの内部に形成された空間内で、Z軸方向マイナス側の端部に配置されてもよいし、図示しないZ軸方向プラス側の端部に配置されてもよい。より好ましくは、第1のカメラ123L及び第2のカメラ123Rは、ユーザ99の目95の正面に位置するZ軸方向における第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20の中央付近に位置するとよい。
第1の鏡筒10には、中心軸に沿う方向における第1の鏡筒10の開口側の反対方向(つまり前方)を撮像する第1のカメラ123Lが設けられる。また、第2の鏡筒20には、中心軸に沿う方向における第2の鏡筒20の開口側の反対方向(つまり前方)を撮像する第2のカメラ123Rが設けられる。第1のカメラ123L及び第2のカメラ123Rは、HMD100cにおいて外側を撮像した映像を画像として表示するビデオシースルーモードを行う場合に用いられる。第1の鏡筒10と第2の鏡筒20とが回動する場合、図11に示すように第1のカメラ123L及び第2のカメラ123Rの姿勢が維持されなければ、適切な映像を表示することができない。
また、第1のカメラ123L及び第2のカメラ123Rは、HMD100cからカメラに写る物体までの距離の測距に用いられる場合がある。測距は、三角法を用いて行われるため、第1のカメラ123Lと第2のカメラ123Rとの距離が既知である必要がある。
例えば、前者は、上記の画像の回転と同様に、回動角に応じた量だけ撮像された映像を回転させ、後者は、第1の鏡筒10と第2の鏡筒20との距離を別に測距してそれぞれ補正することも可能である。
本実施の形態におけるHMD100cでは、上記の対策とは別にカメラ保持機構を有する。カメラ保持機構は、第1のカメラ123Lと第2のカメラ123Rとの距離を所定距離に保って保持し、かつ、第1のカメラ123L及び第2のカメラ123Rの姿勢を固定する。具体的には、図12に示すように、カメラ保持機構は、第1のカメラ123L及び第2のカメラ123Rの姿勢及び距離を固定する固定パネル126と、回動軸部73を基準に固定パネル126の位置を維持する維持パネル125と、回動軸部73に対する維持パネルの位置を所定位置に維持する軸支124とを有する。
軸支124は、回動軸部73に設けられ、回動軸部に対する維持パネル125のX軸方向における位置を固定する。ただし、軸支124は、維持パネル125に設けられた長孔に沿ってZ軸方向に移動可能である。つまり、維持パネル125は、回動軸部73に対してX軸方向において固定され、Z軸方向において自在に移動可能に維持される。また、維持パネル125と固定パネル126とは位置関係が固定される。
第1のカメラ123L及び第2のカメラ123Rは、第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20内でX軸方向に自在に移動可能であり、第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20に対して自在に回転可能である。これにより、第1のカメラ123L及び第2のカメラ123Rは、維持パネル125及び固定パネル126によってX軸方向における位置及び角度が固定される。よって、HMD100cは、適切な映像を撮像し、表示可能であるとともに、正確に撮像された物体までの距離を測距可能である。
なお、第1のカメラ123L及び第2のカメラ123Rが第1の副部12及び第2の副部22に設けられるため、固定パネル126は第1の主部11及び第2の主部21よりもY軸方向マイナス側にせり出す位置、かつ、第1のパネル13及び第2のパネル23よりもY軸方向プラス側の位置に維持パネル125によって固定される。
また、このようなカメラ保持機構は、上記したように、第1のカメラ123L及び第2のカメラ123R間の距離を調整する目的で用いられる。すなわち、回動に伴う第1のカメラ及び第2のカメラの回転が生じるHMD100cのみならず、ユーザ99のIPDに合わせた第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20の距離を調整可能なHMDのいずれにも適用しても有効である。したがって、上記と同等のカメラ保持機構を有するHMD100、HMD100a及びHMD100bを実現してもよい。
続いて、図13及び図14を用いて、ユーザ99のIPDに合わせた画像処理について説明する。図13は、実施の形態に係るヘッドマウントディスプレイの画像調整の一例を示す第1の図である。また、図14は、実施の形態に係るヘッドマウントディスプレイの画像調整の一例を示す第2の図である。図13及び図14では、(a)においてユーザ99の上方から見たHMDの一部の構成を示しており、(b)において、第1の表示パネル39L及び第2の表示パネル39Rを、ユーザ99から見た視点で示している。
図13では、ユーザ99のIPDが第1の凸レンズ40L及び第2の凸レンズ40Rの中心間の距離と一致している場合の図を示している。また、図14では、ユーザ99のIPDに合わせ、第1の表示パネル39L及び第2の表示パネル39Rの表示面内の画像の表示位置の調整を行った場合の図を示している。図13に示すように、ユーザ99のIPDが第1の凸レンズ40L及び第2の凸レンズ40Rの中心間の距離と一致している場合、第1の画像101L及び画像101Rは、第1の表示パネル39L及び第2の表示パネル39Rの中心にそれぞれ表示される。また、図13の(b)に示すように表示される画像は、凸レンズを介することによって、正常な画像となるように丸みを帯びた形に変形されている。
これに対して図14に示す例では、第1の表示パネル39L及び第2の表示パネル39Rにおける画像の表示位置がユーザ99のIPDの離間に合うように調整されている。ここで、第1の凸レンズ40L及び第2の凸レンズ40Rは、外側に向かうほど屈折による歪みが生じる。したがって、図14に示すHMD100では、発生する歪みを解消する変形を、第1の表示パネル39L及び第2の表示パネル39Rに表示される画像に対してあらかじめ適用している。特に、図14の(b)に示すように、歪みの生じやすい凸レンズ外周に対応する破線円の外側において大きくなる歪みに対応して表示される画像が大きく変形されている。このような変形は画像出力部38bによって行われる。
つまり、画像出力部38bは、第1の表示パネル39Lの中心に対する第1の表示パネル39Lに表示される画像101Lの位置に応じた第1の凸レンズ40Lのレンズ歪みを補正し、第2の表示パネル39Rの中心に対する第2の表示パネル39Rに表示される画像101Rの位置に応じた第2の凸レンズ40Rのレンズ歪みを補正する、歪み補正処理を行う。また、このとき、画像出力部38bは、第1の表示パネル39Lの中心に対する画像101Lの位置に応じて、第2の表示パネル39Rに表示される画像101Rの位置を第2の表示パネル39Rの中心に対して、Z軸方向において対称に、かつ、X軸方向において反対称に調整する。
図15は、実施の形態に係るヘッドマウントディスプレイにおけるピント補正を説明する第1の図である。また、図16Aは、実施の形態に係るヘッドマウントディスプレイにおけるピント補正を説明する第2の図である。また、図16Bは、実施の形態に係るヘッドマウントディスプレイにおけるピント補正に伴う画像の拡縮処理を説明する図である。
本実施の形態におけるHMD100では、ユーザ99の資料に応じたピント補正を第1の凸レンズ40Lと第1の表示パネル39Lとの距離、及び、第2の凸レンズ40Rと第2の表示パネル39Rとの距離を調整することによって行う。例えば、図15に示すように、HMD100は、表示パネル39(つまり第1の表示パネル39L及び第2の表示パネル39Rの一方)のY軸方向における位置を調整することによりユーザ99のピント位置に合わせた位置で画像の表示を行う。
また、例えば、図16Aに示すように、HMD100は、凸レンズ40(つまり、第1の凸レンズ40L及び第2の凸レンズ40Rの一方)のY軸方向における位置を調整することによりユーザ99のピント位置を表示パネル39の位置に合わせる。このとき、凸レンズ40と目95との距離が変化するため画角(図中の黒矢印)が変化する。画像出力部38bは、このような画角に応じた大きさになるよう、表示パネル39に表示される画像の表示サイズを拡大又は縮小する拡縮処理を行う。
例えば、画像出力部38bは、図16Aの(a)に示すように画角が小さくなった場合、図16Bの(a)に示すように拡大した画像101aを生成して表示させる。また、図16Aの(b)及び図16Bの(b)は通常の画角における通常の画像101の表示であるため説明を省略する。また、例えば、画像出力部38bは、図16Aの(c)に示すように画角が大きくなった場合、図16Bの(c)に示すように縮小した画像101bを生成して表示させる。
[アイキャップ]
続いて、図17~図26を用いて、本実施の形態におけるアイキャップの構成について説明する。図17は、実施の形態に係るヘッドマウントディスプレイの装着時における第1の断面図である。図17では、第1の鏡筒10を通るYZ平面での当該第1の鏡筒10を切断した場合の断面図と、ユーザ99とを併せて示している。図17に示すように、第1の鏡筒10においては、第1のアイキャップ14は、ユーザ99と第1の鏡筒10との直接の接触を抑制している。第1のアイキャップ14は、ユーザの一方の目を覆うように構成されており、本断面図においても額側と頬側との2か所を視点にユーザ99と第1の鏡筒10との間に介在していることがわかる。
第1のアイキャップ14は、このように、ユーザ99と第1の鏡筒10との間を埋めるように構成されている。第1のアイキャップ14は、遮光性を有するシリコンゴム等の弾性変形可能な材料を用いて形成される。また、第1のアイキャップ14はスポンジ状の樹脂材料を用いて形成されてもよい。第1のアイキャップ14は、遮光性を有し、ユーザ99と第1の鏡筒10との間を埋めるように構成されることで、HMD100がユーザ99に画像を視認させるために出射した光に外光が混ざり、視認性が低下することを抑制している。
図18Aは、実施の形態に係るヘッドマウントディスプレイのアイキャップを示す第1の斜視図である。また、図18Bは、実施の形態に係るヘッドマウントディスプレイのアイキャップを示す上面図である。また、図18Cは、図18AのX-X断面で切断したアイキャップを示す断面図である。
図18A~図18Cに示すように、本実施の形態における第1のアイキャップ14は、第1の鏡筒10の特に第1の主部11に挿入される筒状の第1の挿入部14aと、第1の主部11の開口側の端部から筒外側(Y軸方向プラス側)に延び、HMD100の装着時におけるユーザ99の頭部に至る大きさの湾曲板状の第1のキャップ部14bとを有する。また、第1のキャップ部14bは、ユーザ99の目95の周囲から側頭部にわたるカーブに沿ってカーブを描いている。また、第1のキャップ部14bのユーザ99に接触する接触端側は、接触面積が大きくなるように面形状になっている。ここで、第1のキャップ部14bは、ユーザ99の頭部に沿う上記のカーブ形状の接触端と、第1の挿入部14aに接続される接続端との間を連続的に覆う。これにより、第1のキャップ部14bは、離間された第1の鏡筒10とユーザ99の頭部とを接続して視野内への外光の進入を遮る機能を有する。
第1の挿入部14aと第1のキャップ部14bとの間には、第1の挿入部14aの外周及び第1のキャップ部14bの外周よりも小さい外周を有する第1のくびれ部14cが形成されている。第1のくびれ部14cは、言い換えると、第1のアイキャップ14の外面全周にわたってくびれる薄肉部である。第1のくびれ部14cが形成されることによって第1のアイキャップ14は、上下左右方向に撓む可撓性が付与される。ここで、第1のアイキャップ14の上下方向の可撓性は、HMD100の左右の視差に影響を与えずユーザ99の装着性を高める効果があるため有用であるが、第1のアイキャップ14の左右方向の可撓性は、HMD100の左右の視差に影響を与える場合がある。
そこで、第1のアイキャップ14には、第1のくびれ部14cと、高さ方向においてくびれ部の中央を通り並び方向に沿った線とが交差する箇所(つまり、第1のくびれ部14cと並び面とが交差する箇所)に、外周をさらに外側に拡大する第1の肉厚部14dが形成される。第1の肉厚部14dは、並び面の面内において第1のくびれ部14cを埋めるように、第1のアイキャップ14とともに一体的に形成される。第1の肉厚部14dは、第1の鏡筒10のY軸方向マイナス側に向けて拡径するテーパ形状を有する。これにより、第1のキャップ部14bは、テーパの縮径した一端側において第1の肉厚部14dをY軸方向マイナス側へと押圧し、拡径した他端側によって当該押圧の圧力が支持される。つまり、支点が小さく明確になり、支点から離れる方向への第1のキャップ部14bの撓みを促進するように機能する。結果として、第1のキャップ部14bは、上下方向に容易に撓む構成となる。
第1の肉厚部14dは、第1のアイキャップ14の左右方向への撓みに対向するように第1のキャップ部14bを第1の挿入部14a側から支持する。また、このような第1のキャップ部14bの支持をより強固とするために、第1のキャップ部14bは、第1の鏡筒10の中心軸に交差するXZ平面に沿って第1の肉厚部14dよりも外側に延びて、第1のキャップ部に接続される第1の平板部14eを有する。第1のアイキャップ14の撓みが第1の平板部14eによって支持されるシーソ様構造を成し、左右方向への撓みが強固に抑制されるとともに上下方向への撓みが第1のキャップ部14bの形状を維持した状態で生じやすくなる。
また、図18Cに示すように、第1の主部11と第1の挿入部14aとは、凹凸構造の篏合によって接続(又は装着)される。この構成については図19A~図19Cを用いて説明する。また、図18Cに示す第1の支持リング127についても後述にて説明する。
図19Aは、実施の形態に係るヘッドマウントディスプレイのアイキャップの装着機構を示す第1の断面図である。また、図19Bは、実施の形態に係るヘッドマウントディスプレイのアイキャップの装着機構を示す第2の断面図である。また、図19Cは、実施の形態に係るヘッドマウントディスプレイのアイキャップの装着機構を示す第3の断面図である。
図19A~図19Cでは、第1の鏡筒10及び第1のアイキャップ14をZ軸方向プラス側から見た場合におけるXY平面に沿う断面図を示している。図19Aでは、第1の主部11は、内側面に形成された内向きに凸となる第1の凸部132を有する。また、第1のアイキャップ14は、装着された際に、第1の挿入部14aの第1の凸部132に対応する位置に、第1の凹部14fが形成されている。第1のアイキャップ14は、挿入された際に第1の凹部14fが第1の凸部を覆うようにして嵌合することで、第1の主部11からの脱落が抑制されている。
また、図19Bに示すように、第1の凸部132は、第1の主部11の内側面から軸心に向かって延びる第1の延長部131の延長端に形成されてもよい。第1の凸部132が凸となる方向をY軸方向に向けることができるため、第1のアイキャップ14の装着が容易となる。
また、図19Bに示す第1の凸部132のみでは、第1のアイキャップ14の装着が容易となる一方で、第1のアイキャップ14の脱落の可能性も増加する。そこで、図19Cに示すように、第1の凸部132は、第1の凸部132の先端から第1の主部11の内側面に向けて延びる第1の突起部133を有してもよい。これにより、図19Bに示す構造において、Y軸方向に沿って脱落しやすい第1のアイキャップ14は、本例では、第1の突起部133によって係止され、脱落が抑制される。
また、第1のアイキャップ14と第1の凸レンズ40Lとの間に、第1の凸レンズ40Lの焦点距離を調整する第1の補正レンズ134が備えられてもよい。図20は、実施の形態に係るヘッドマウントディスプレイの装着時における第2の断面図である。
図20に示すように、上記の構成を実現する際に、第1のアイキャップ14が第1の補正レンズ134の固定に用いられる。具体的に、第1の主部11には、第1の挿入部14aよりも底側かつ、第1の凸レンズ40Lよりも開口側に第1の支持リング127が設けられる。第1の支持リング127は、第1の主部11の内側面に固定されており、第1のアイキャップ14のように取り外されることはない。
第1の支持リング127よりも開口側に第1の補正レンズ134が配置された状態で、上記したように第1のアイキャップ14が装着されると、第1の補正レンズ134は、第1の支持リング127と第1のアイキャップ14の第1の挿入部14aによって挟持される。これにより、第1の補正レンズ134が第1の鏡筒10の内部に取り付けられる。
第1の補正レンズ134は、第1のアイキャップ14を取り外すことによって、第1の主部11から取り外すことができる。したがって、第1の補正レンズ134を必要としないユーザ99と第1の補正レンズを必要とするユーザ99とが、一つのHMD100を共用する場合においても、第1のアイキャップ14を交換又は取り外して洗浄する際に第1の補正レンズ134の着脱を選択的に行える。
また、図21は、実施の形態に係るヘッドマウントディスプレイの装着時における第3の断面図である。図21に示すように、第1のアイキャップ14を取り外した状態であれば、HMD100は、ユーザ99が眼鏡135等の矯正器具を装着した状態でも眼鏡135等の上から装着可能である。眼鏡135は、例えば、第1の支持リング127及び、図示しない第2の支持リングに押し当てられ第1の凸レンズ40L及び第2の凸レンズ40Rに接触しないように保持される。
また、図22は、実施の形態に係るパッドが装着されたヘッドマウントディスプレイを示す斜視図である。図22に示すように、第1のアイキャップ14を取り外した状態で眼鏡135等を使用しないユーザ99が装着する場合、HMD100には、パッド136が装着される。パッド136は、高さ方向におけるHMD100の上部に装着可能で、HMD100とユーザ99の額との間に介在する部材である。パッド136は、第1のアイキャップ14と同様のシリコンゴム等を用いて形成される。図中では、接続バー31に取り付けられるパッド136の例を示している。
パッド136は、ユーザ99の額と第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20との間に介在し、これらの直接的な接触を抑制することにより、HMD100を清潔に保つ効果を有する点で第1のアイキャップ14及び第2のアイキャップ24と同様の効果を有する。
一方で、第1のアイキャップ14及び第2のアイキャップとは異なり、パッド136は、ユーザ99の目95を覆わないため、ユーザ99の側方の視界を防ぎにくい。例えば、第1の表示パネル39L及び第2の表示パネル39Rを用いて、第1のカメラ123L及び第2のカメラ123Rにおいて撮像された映像を表示する場合、第1のアイキャップ14が装着されていると、ユーザ99は、カメラの画角分の視覚情報しか得られない。これは、側方の視界がなく、言い換えると、側方から接近する物体をユーザ99が認識できない場合がある。パッド136は、例えば上記のような場合に装着されることで、側方の視界が失われないため好適である。
また、アイキャップは、上下方向における構成が異なる2重構造であってもよい。図23Aは、実施の形態に係るヘッドマウントディスプレイの装着時における第4の断面図である。また、図23Bは、実施の形態に係るヘッドマウントディスプレイのアイキャップを示す第2の斜視図である。
図23A及び図23Bに示すように、第1のアイキャップ14に代えて装着される第1のアイキャップ147は、上下方向の上側における第1の上キャップ部146と、上下方向の下側における第1の下キャップ部145とから構成される。図中に矢印で示すように第1の上キャップ部146は、第1の下キャップ部145に比べ厚みが大きい。これにより、第1の上キャップ部146は、第1の下キャップ部145に比べユーザ99の頭部への接触面積が大きい。また、第1の上キャップ部146は、第1の下キャップ部145に比べ硬さの硬い材料を用いて形成される。第1の上キャップ部146の材料は、例えば、シリコンゴムである。また、例えば、第1の下キャップ部145の材料は、例えば、スポンジ状の樹脂材料である。また、単に一つの材料を用いて、充填密度を変化させて異なる2種類の硬さのアイキャップを形成してもよい。
このように、第1のアイキャップ147を用いることで、HMD100の装着時におけるユーザ99の頭部への圧力を第1の上キャップ部146に集約することができる。第1の上キャップ部146は、ユーザ99の額に対応し、第1の下キャップ部は、ユーザ99の頬に対応する。額に比べて頬は装着跡が目立ちやすい。また、頬が押圧される場合、ユーザ99は不快に感じやすく、さらに、頬が比較的柔らかい箇所であるためHMD100が安定しにくい。第1のアイキャップ147は、第1の上キャップ部146にHMD100の装着時の圧力を集約することができ、これらの課題を解決することができる。
[密着機構]
次に、第1のアイキャップ14を用いて、HMD100の装着性をより高める密着機構について説明する。図24Aは、実施の形態に係るヘッドマウントディスプレイの装着時における第5の断面図である。また、図24Bは、図24AにおけるZ-Z断面で切断したアイキャップを示す断面図である。
本実施の形態におけるHMD100は、第1のアイキャップ14、第1の凸レンズ40L、及びユーザ99の目95Lの間に形成される空間を陰圧にして第1の鏡筒10をユーザ99の頭部に吸着させる。このため、図24Aの(a)に示すように、HMD100は、当該空間内に配置された減圧口部137と、例えば第1のアーム部15内に配置され、減圧口部137に連通する減圧管138と、電動ポンプ139aと、を備える。なお、図24Aの(b)に示すように、電動ポンプ139aに代えてハンドポンプ139bを用いて同様の構成を実現することもできる。
電動ポンプ139aが駆動されると、減圧管138を介して空気が吸引される。図24Bに示すように減圧口部137には、第1のアイキャップ14、第1の凸レンズ40L、及びユーザ99の目95Lの間に形成される空間に繋がる開口が設けられており、当該空間内の空気が吸引される。このようにして、陰圧の空間が形成され、ユーザ99の頭部にHMD100が吸着する。
陰圧度が高まりすぎないよう、第1の主部11には、圧力弁142が設けられる。圧力弁142によって適切な陰圧度でHMD100が吸着するとともに、圧力弁142から陰圧の空間へ、陰圧の空間から電動ポンプへのエアフローが形成される。
HMD100の吸着によって略密閉状態となった空間内には、ユーザ99の頭部からの発汗により、気化した水分が充満し始める。水分は第1の凸レンズ40Lを曇らせる要因となり、適切な画像を表示するために抑制される必要がある。例えば、上記のエアフローによって、気化した水分を含む空気が交換され、曇りの発生が低減される。
また、例えば、HMD100は、第1のアイキャップ14の外側から陰圧の空間を冷却する冷却デバイス141を備える。冷却デバイス141は、例えば、ペルチェ素子等を用いて実現される。
また、例えば、HMD100は、第1の凸レンズ40Lを加温する加温デバイス143を備える。加温デバイス143は、例えば、ヒートパイプを用いて実現され、第1の表示パネル39L及び第1の駆動回路38L等で生じた熱をパイプに沿って第1の凸レンズ40Lのへと伝導する。
また、第1のアイキャップ14が吸湿性の材料によって構成されていれば、第1のアイキャップ14によって空気に含まれる気化した水分が吸収される。図25Aは、実施の形態に係るヘッドマウントディスプレイの装着時における第6の断面図である。図25Bは、図25AにおけるZ-Z断面で切断したアイキャップを示す断面図である。
図25A及び図25Bに示す、第1のアイキャップ144は、上記した吸湿性の第1のアイキャップ14と同様の材料で構成され、空気に含まれる気化した水分を吸収する。図24A及び図24Bを用いて説明した構成とは異なり、本構成における減圧管138は、第1のアイキャップ144に連通している。また、第1のアイキャップ144には、第1のアイキャップ144の筒形状に沿って環を成す管が形成されており、減圧管138は、第1のアイキャップ144の全周から空気を吸引する。第1のアイキャップ144は、吸湿した水分が空気とともに吸引され、吸湿力を長時間にわたって維持することができる。
また、図24A~図25Bのように、吸引によってHMD100を吸着させる場合、アイキャップとユーザ99の頭部との接触面積を増大させることで吸着の効果をより向上することができる。図26は、実施の形態に係るヘッドマウントディスプレイの装着時のアイキャップを説明する外観図である。
図26に示すように、第1のアイキャップ14よりも第1のキャップ部が大きい第1のアイキャップ148を用いることで、より広くユーザ99の頭部を覆うことができ、第1のアイキャップ148とユーザ99の頭部との接触面積を増大できる。
[鼻あて部]
また、本実施の形態におけるHMD100は、装着ずれを抑制するために、ユーザ99の鼻根部からHMD100を支持する鼻あて部を備える。図27Aは、実施の形態に係るヘッドマウントディスプレイの鼻あて部を説明する第1の図である。また、図27Bは、実施の形態に係るヘッドマウントディスプレイの鼻あて部を説明する第2の図である。また、図28は、実施の形態に係るヘッドマウントディスプレイの鼻あて部を説明する第3の図である。
図27A~図28に示すように、鼻あて部は、鼻パッド152、装着部151、及び、連結部を有する。鼻パッド152は、ユーザ99の鼻根部に接触する曲面部材であり、鼻根部にかかるHMD100の荷重を分散して重量感を軽減する。
また、装着部151は、HMD100の重心に近い接続バー31、調整機構32、ケース51、調整バー61、伸縮ロッド83、及び固定パネル126等、第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20の間に存在する構成要素に装着される部材である。装着部151の形状は、取り付けられる構成要素の形状に応じて適宜設計される。
連結部は、鼻パッド152及び装着部151を、ユーザ99の鼻根部の位置によって定まる所定距離及び所定角度で連結する部材である。連結部は、例えば、図27Aに示すように、装着部151に連結され、連結孔153aを有する板部材153と、先端に鼻パッド152が連結され、連結孔153aに挿通される棒部材154と、連結孔153aへの棒部材154の挿通長さを固定する固定部材155と、を用いて構成される。
ユーザ99は、Z軸方向の適切な位置に連結孔153aが形成された板部材153を選択し、固定部材155によって適切な挿通長さで棒部材154を固定することで、YZ平面内での鼻パッド152の位置を調整できる。
また、図27B及び図28に示すように、連結部は、単に外力によって塑性変形可能な材料を用いて形成された板状の変形部材156であってもよい。このときの連結部の材料として、鉄、アルミ、錫、ステンレス等の金属又は合金、ならびに、可塑性樹脂等が適している。なお、ここでの変形、とは、破断等を除外する意味であり、変形後も装着部151と鼻パッド152との位置関係を維持可能な形状の変化である。
[アーム部]
次に、本実施の形態のアーム部の構成について説明する。第1のアーム部15及び第2のアーム部25は上記に基本的な構成を説明した通りであり、Y軸方向プラス側の他端がユーザの耳の上に係止される部材である。
アーム部は、ユーザ99、及びHMD100の使用状況に合わせて適切なアーム部に取り換えが可能であるとよい。つまり、第1のアーム部15及び第2のアーム部25は、着脱可能であり、別のアーム部を着脱することで、取り換えることが可能である。第1のアーム部15及び第2のアーム部25の着脱機構については特に図示しないが、穴に対する嵌合、重力方向を考慮した係合、磁力結合、別の着脱部材を介した連結等、どのような形態であってもよい。また、上記に説明したコネクタ37及び内部配線41が第1のアーム部15に存在する場合、第1の鏡筒10と第1のアーム部15とが接続された際に、当該接続箇所において、内部配線41と第1の鏡筒10に設けられた配線とが接続されるように複数の接点が設けられる。
図29は、実施の形態に係るヘッドマウントディスプレイのアーム部を説明する第1の斜視図である。例えば、図29に示すように、ユーザ99の目と耳の位置関係により、第1のアーム部15及び第2のアーム部25に対する第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20のZ軸方向の位置が調整可能であってもよい。図29では、標準位置の第1のアーム部15及び第2のアーム部25と、標準位置より下部に接続された場合の第1のアーム部15a及び第2のアーム部25aと、さらに下部に接続された場合の第1のアーム部15b及び第2のアーム部25bとが示されている。
図30は、実施の形態に係るヘッドマウントディスプレイの伸縮帯を説明する斜視図である。例えば、激しい運動が想定される状況でHMD100を使用する等、アーム部による耳への係止のみでは落下する可能性がある場合に、図30に示すように、アーム部に代わる伸縮帯157が装着されてもよい。
図31は、実施の形態に係るヘッドマウントディスプレイのアーム部を説明する第2の斜視図である。例えば、第1のアーム部15及び第2のアーム部25によって許容されるよりも大きい頭部を有するユーザ99がHMD100を使用する場合、図31に示すように、X軸方向に幅広の第1のアーム部15c及び第2のアーム部25cが装着されてもよい。
図32は、実施の形態に係るヘッドマウントディスプレイのアーム部を説明する第3の斜視図である。例えば、図31の場合とは逆に、第1のアーム部15及び第2のアーム部25によって許容されるよりも小さい頭部を有するユーザ99がHMD100を使用する場合、図32に示すように、より湾曲板状が顕著な第1のアーム部15d及び第2のアーム部25dが装着されてもよい。
図33は、実施の形態に係るヘッドマウントディスプレイにおける通信モジュールを説明する斜視図である。図33に示すように、第1のアーム部15及び第2のアーム部25には、HMD100における無線通信に関する通信モジュールの構成要素の一部が内蔵される。具体的には、通信モジュールは、第1のアンテナ161、第2のアンテナ162、第1の配線163、第2の配線164、受信部165、及び、信号処理プロセッサ166を有する。このうち、第1のアーム部15に第1のアンテナ161が内蔵され、第2のアーム部25に第2のアンテナ162が内蔵される。
長尺の第1のアンテナ161及び第2のアンテナ162を、同じく長尺の第1のアーム部15及び第2のアーム部25に内蔵することで、これらの構成要素の小型化を抑制しながら美観に優れる配置で内蔵することができる。なお、第1のアンテナ161によって検知した電波は、第1の配線163を介して受信部165で信号として受信され、信号処理プロセッサ166によってデータに変換される。また、第2のアンテナ162によって検知した電波は、第2の配線164を介して受信部165で信号として受信され、信号処理プロセッサ166によってデータに変換される。なお、第1のアンテナ161と第2のアンテナ162とが受信する信号周波数が異なっていてもよい。つまり第1のアンテナ161と第2のアンテナ162との長さが異なっていてもよい。
図34は、実施の形態に係るヘッドマウントディスプレイの装着時におけるアーム部の外観図である。図34に示すように、例えば、アーム部でありながらも、より落下を抑制する構成として、アーム部175が接続されてもよい。アーム部175は、前部171、後部172、伸縮ばね173、及び、耳掛け174を有する。前部171は、筒状の後部172の内部を摺動可能に形成され、前部171と後部172とは、伸縮ばね173によって互いに近づくように引っ張られている。また、後部172には耳掛け174が設けられている。第1の鏡筒10に接続された前部171は、伸縮ばね173によって後部172を前方へと引き寄せ、同時に耳掛け174を前方へと引き寄せる。このときユーザ99の耳に耳掛け174が係止されるため、適切な付勢によって、HMD100は、安定して装着可能となる。なお、同様のアーム部175が第2の鏡筒側にも接続される。
図35は、実施の形態に係るヘッドマウントディスプレイのカメラユニットを説明する斜視図である。図35に示すように、HMD100は、第1のカメラ123L及び第2のカメラ123Rの他、第1のサイドカメラ181L、第2のサイドカメラ181R、第1のリアカメラ182L、及び第2のリアカメラ182Rを備える。
例えば上記に説明したビデオシースルーモードでHMD100を用いる際に、第1のサイドカメラ181L及び第2のサイドカメラ181Rによって側方を撮像した画像を表示し、第1のリアカメラ182L及び第2のリアカメラ182Rによって後方を撮像した画像を表示する。また、状況に応じて、図中に示すように、第1のカメラ123L及び第2のカメラ123Rへ入射する光の一部をカットする又は減衰する等のシェード183を別に取り付けてもよい。
[画像出力部]
本実施の形態におけるHMD100は、第1の表示パネル39L及び第2の表示パネル39Rを用いて画像を表示することで、当該画像がユーザ99に視認される。画像は、上記したように画像出力部38bによって、角度及び位置の調整、凸レンズ40による歪みの補正、ならびに拡縮等の処理が行われた後、第1の表示パネル39L及び第2の表示パネル39Rに表示される。
画像出力部38bは、このようなHMD100の構成に適合した画像の姿勢調整の他に、ユーザ99の視覚能力、及びHMD100の使用状況に合わせた画像の補正を行ってもよい。以下では、本実施の形態におけるHMD100の画像の補正について説明する。図36Aは、実施の形態に係るヘッドマウントディスプレイの画像出力部等を示すブロック図である。また、図36Bは、実施の形態に係るヘッドマウントディスプレイの画像生成部を説明する詳細図である。
図36Aに示すように、HMD100の処理部38aは、画像取得部191、画像情報推定部192、色温度決定部193、輝度検出部194、出力輝度決定部195、姿勢調整部196、画像生成部197、及び、モード受付部198を有する。これらは、いずれも処理部38aのプロセッサとメモリとにより、各々の機能ブロックに割り当てられた機能を実現するためのプログラムが実行されることで実現される。
画像取得部191は、第1の表示パネル39L及び第2の表示パネル39Rに表示するための画像を取得する機能ブロックである。画像取得部191は、外部の信号処理回路92から画像を取得する。また、画像取得部191は、第1のカメラ123L、第2のカメラ123R、第1のサイドカメラ181L、第2のサイドカメラ181R、第1のリアカメラ182L、及び第2のリアカメラ182R、ならびに、外部のカメラ等の撮像装置94から画像を取得する。画像取得部191によって取得された画像は、姿勢調整部196、画像状況推定部192、及び輝度検出部194に送信される。
姿勢調整部196は、上記に説明した、画像の角度及び位置の調整、凸レンズ40による歪みの補正、ならびに拡縮等の処理を行う機能ブロックである。姿勢調整部196の処理によって、画像の姿勢調整を行うための姿勢情報が出力される。
画像状況推定部192は、取得された画像が示す状況を推定するための機能ブロックである。画像が示す状況を推定するとは、例えば、画像が示す状況を推定するとは、撮像装置94によって撮像された被写体を画像認識によって食べ物、人物、美術品、風景等の候補のいずれであるかを推定することである。また、取得した画像が動画像等の映像である場合、ドキュメンタリ、ドラマ、アニメーション、ニュース、スポーツ等の映像ジャンルを推定することであってもよい。画像状況推定部192は、推定した、画像が示す状況を状況情報として、色温度決定部193、及び出力輝度決定部195に送信する。
輝度検出部194は、取得した画像の輝度を検出する機能ブロックである。輝度の検出では、例えば、最高値の輝度の検出、最低値の輝度の検出、平均値の輝度の検出、及び中央値の輝度の検出等の検出処理から1以上の検出処理が行われる。検出された輝度は、出力輝度決定部195に送信される。
色温度決定部193は、画像状況推定部192から受信した状況情報に基づき、第1の表示パネル39L及び第2の表示パネルに表示させる画像の色温度を決定する機能ブロックである。例えば、状況情報に示される状況が、食事中などの食べ物が映る状況である場合、当該食べ物がよりおいしそうに見える色温度(例えば太陽光下で見るような6500Kに相当する色温度)となるように調整する。色温度決定部193は、このような処理に基づき、第1の表示パネル39Lに表示される画像の色温度を決定する。
出力輝度決定部195は、画像状況推定部192から受信した状況情報、及び、輝度検出部において検出された輝度に基づき、第1の表示パネル39L及び第2の表示パネルに表示させる画像の輝度を決定する機能ブロックである。出力輝度決定部195は、例えば、状況情報に示される状況が、食事中などの食べ物が映る状況である場合、検出された最低値の輝度を出力値0に設定し、最高値の輝度を最大出力値として設定する。
ここで、モード受付部198は、スマートホン、タブレット、もしくはPC等の入力端末、又は、HMD100に設けられた操作パネル(不図示)等からユーザ99が所望するHMD100の動作モードの変更を受け付ける機能ブロックである。色温度決定部193及び出力輝度決定部195にはモード受付部198が受け付けたHMD100の動作モードに応じたモード情報が入力される。
HMDの動作モードとして、例えば、おやすみモード、おはようモード、リラックスモード、等に加え、ユーザ99が白内障を有する、又は色覚少数者である場合に、症状を軽減するための白内障モード、色覚補正モードなどが用意される。
おはようモードでは、色温度決定部193及び出力輝度決定部195が色温度及び輝度を高くするような補正を行う。おやすみモード及びリラックスモードでは、色温度決定部193及び出力輝度決定部195が色温度及び輝度を低くするような補正を行う。
また、白内障モードでは、出力輝度決定部195が黒色をより黒く見えるように輝度の補正を行う。図37は、実施の形態に係るヘッドマウントディスプレイの画像生成部の処理を説明する第1の図である。図37では、上記の白内障モードの場合に、入力の輝度レベルに対して出力される光の輝度レベルが示されている。
図37の(a)に示すように、一点鎖線で示す通常の入出力の関係に対して、全体としてレベルを低下させることで、低レベル側の黒色がより黒く見えるような補正が行われる。また、図37の(b)に示すように、階調特性を調整することで段階的に黒色をより黒に近づけていく補正が行われてもよい。また、図37の(c)に示すように、黒色のみを黒く補正し、高レベル側の白色はそのままのレベルであってもよい。また、図37の(d)に示すように、黒色と白色を抑圧して黒く補正し、これらの間のレベルを明るくすることで、平均の輝度レベルを維持する補正が行われてもよい。
また、画像の調整に合わせて、表示部30が液晶パネル等のバックライトを備える構成である場合、バックライトの輝度を調整してもよい。図38は、実施の形態に係るヘッドマウントディスプレイの表示処理を説明する図である。図38では、入力のレベルに対するバックライトの輝度の関係を示しており、バックライトを暗くすることで、黒色をより黒く見えるように表示の際に調整してもよい。
また、このような調整を表示パネル39の全体に行うとユーザ99が違和感を覚える場合がある。そこで、ユーザ99が注目している注目点では補正を行わずに、注目点から離れるにしたがって強く補正を行う構成としてもよい。図39Aは、実施の形態に係るヘッドマウントディスプレイの注目点の検知を説明する図である。また、図39Bは、実施の形態に係るヘッドマウントディスプレイの画像生成部の処理を説明する第2の図である。
図39Aに示すように、ユーザ99の注目点を検出するための光源200と受光器199とが備えられる。これにより、図39Bに示すように、補正のレベルを注目点からの距離に応じて段階的に行うことができる。
図36Aに戻り、色覚補正モードでは、ユーザ99が視認しづらい色を除く他の色を抑圧することにより、より自然な色で視認される画像を表示できるようにしてもよい。また、色覚補正モードでは、ユーザ99の水晶体が黄化し、全体に黄色く視認されるような場合、当該黄色を抑圧することで、より自然な色で視認される画像を表示できるようにしてもよい。
図40は、実施の形態に係るヘッドマウントディスプレイの画像生成部の処理を説明する第3の図である。図40では、図37と同様に、入力の輝度レベルに対して出力される光の輝度レベルが示されている。例えば、濃霧、豪雨、及び夜間等、HMD100が使用される環境が、物体を視認しづらい環境である場合に、視認性を向上させる補正を行ってもよい。図40の(a)に示すように、入力レベルにおける最高輝度と最低輝度を設け、その外側の値を一定値として出力されるようにコントラストを上昇する補正を行ってもよい。
また、おやすみモード等で全体として輝度を低下させる場合に、図40の(b)に示すように、最高値の輝度と最低値の輝度とを変化させずに、中間の値を段階的に低くする補正を行ってもよい。
また、図40の(c)に示すように、検出した平均輝度に応じて、同等のレベルの平均輝度となるように出力されるレベルを補正してもよい。
再び図36Aを参照して、画像生成部197は、上記のようにして決定された姿勢、色温度、及び輝度を満たす画像を生成して表示部30に表示させる。画像生成部197は、図36Bに示すように、例えば、姿勢が調整された後の画像を取得し、色温度及び輝度を調整するため、赤色、青色、緑色に分解したそれぞれについて補正値を乗じてゲイン調整を行う。これにより生成された画像を駆動回路38へと出力し、駆動回路によって表示パネル39に適切な画像が表示される。
[効果等]
以上説明したように、本実施の形態におけるHMD100は、第1の画像101Lを表示するための第1の表示パネル39Lを底部に有する有底筒状の第1の鏡筒10と、第2の画像101Rを表示するための第2の表示パネル39Rを底部に有する有底筒状の第2の鏡筒20と、第1の鏡筒10と第2の鏡筒20との距離を調整する操作部を第1の鏡筒10と第2の鏡筒20との間に備える調整機構と、第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20の開口端のそれぞれに着脱可能に取り付けられる筒状の第1のアイキャップ14及び第2のアイキャップ24と、を備え、第1のアイキャップ14及び第2のアイキャップ24は、第1の鏡筒10又は第2の鏡筒20の筒内に挿入される筒状の挿入部14a等と、第1の鏡筒10又は第2の鏡筒20の筒外に延びる湾曲板状のキャップ部14b等とを有する。
これによれば、第1のアイキャップ14及び第2のアイキャップ24が、第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20とユーザ99の頭部との間に介在し、第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20が清潔に保たれる。第1のアイキャップ14及び第2のアイキャップ24は、取り外し可能であるため、これらを交換又は洗浄することで、HMD100を長期にわたって清潔に使用できる。よって、HMD100は、不衛生になりづらく、使用に適している。
また、例えば、第1の画像101Lを表示するための第1の表示パネル39Lを底部に有する有底筒状の第1の鏡筒10と、第2の画像101Rを表示するための第2の表示39Rを底部に有する有底筒状の第2の鏡筒20と、第1の鏡筒10と第2の鏡筒20とを連結するとともに第1の鏡筒10と第2の鏡筒20との距離を調整可能な第1の調整機構と、を備え、第1の調整機構は、第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20の間に距離を調整する操作部を有してもよい。
これによれば、調整機構によって第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20の距離が調整可能なため、第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20の2つの鏡筒の構成であってもユーザ99に合う姿勢で画像を表示できる。よって、HMD100では画像を適切に表示できる。
また、例えば、調整機構は、第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20の一方に形成されたネジ穴35又は36と、ネジ穴35又は36に螺入されるネジ部33又は34が一端に形成され、第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20の他方に接続される他端と、を含む、操作部としての調整ネジ32と、を有し、ネジ穴35又は36へのネジ部33又は34の螺入深度によって、第1の鏡筒10と第2の鏡筒20との距離を調整してもよい。
これによれば、ネジとネジ山の関係により調整ネジ32を回転させるだけで第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20の距離が調整可能となる。よって、HMD100では、簡易に、画像を適切に表示できる。
また、例えば、第1の調整機構は、第1の鏡筒10に形成された第1のネジ穴36と、第2の鏡筒20に形成された第2のネジ穴35と、第1のネジ穴36に螺入される第1のネジ部34及び第2のネジ穴35に螺入される第2のネジ部33が両端に形成され、第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20に両端において接続される、操作部としての調整ネジ32と、を有し、第1のネジ穴36への第1のネジ部34の螺入深度及び第2のネジ穴35への第2のネジ部33の螺入深度によって、第1の鏡筒10と第2の鏡筒20との距離を調整してもよい。
これによれば、ネジとネジ山の関係により調整ネジ32を回転させるだけで第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20の距離が調整可能となる。第1のネジ穴36への第1のネジ部34の螺入深度及び第2のネジ穴35への第2のネジ部33の螺入深度によってより迅速に第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20の距離が調整可能となる。よって、HMD100では、簡易に、画像を適切に表示できる。
また、例えば、第2のネジ穴35は、第1のネジ穴36の螺旋に対して逆巻きの螺旋を有してもよい。
これによれば、ネジとネジ山の関係により調整ネジ32を一方向に回転させるだけで第1のネジ穴36への第1のネジ部34の螺入深度及び第2のネジ穴35への第2のネジ部33の螺入深度を同時に調整できる。よって、HMD100では、簡易に、画像を適切に表示できる。
また、例えば、調整ネジ32の中央の外径は、調整ネジ32の両端の少なくとも一方の外径よりも大きくてもよい。
これによれば、第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20の距離の調整における調整ネジ32の操作性が向上する。よって、HMD100では、簡易に、画像を適切に表示できる。
また、例えば、第2の調整機構は、第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20のそれぞれに端部が接続され、歯部54a及び55aを有して延伸される第1のラック54及び第2のラック55と、歯部54a及び55aにかみ合う外歯53aを有するピニオンギア53と、歯部54a及び55aに、外歯53aがかみ合う姿勢で、第1のラック54及び第2のラック55の各々をスライド可能に、かつ、ピニオンギア53を回転可能に保持するケース51と、を有してもよい。
これによれば、ピニオンギア53を回転させるだけで第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20の距離が調整可能となる。よって、HMD100aでは、簡易に、画像を適切に表示できる。
また、例えば、第3の調整機構は、第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20の少なくとも一方の側面に形成された調整穴63L又は63Rと、一端部が調整穴63L又は63Rに挿入されることで接続され、第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20の他方に接続される調整バー61と、調整バー61と調整穴63L又は63Rとを固定する第1のロックレバー62L又は第2のロックレバー62Rと、を有し、第1のロックレバー62L又は第2のロックレバー62Rによる固定を解除することで、調整穴63L又は63Rと調整バー61との相対位置を変更して、第1の鏡筒10と第2の鏡筒20との距離を調整してもよい。
これによれば、調整穴63L又は63Rへの調整バー61の挿入長さを調整するだけで第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20の距離が調整可能となる。よって、HMD100bでは、簡易に、画像を適切に表示できる。
また、例えば、第4の調整機構は、第1の鏡筒10に一方の端部が接続され、他方の端部が第1の鏡筒10から離れる方向に延びる第1のロッド71と、第2の鏡筒20に一方の端部が接続され、他方の端部が第2の鏡筒20から離れる方向に延びる第2のロッド72と、第1のロッド71と第2のロッド72とを回動可能に接続する回動軸部73と、を有してもよい。
これによれば、第1のロッド71に対して第2のロッド72を回動させるだけで第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20の距離が調整可能となる。よって、HMD100cでは、簡易に、画像を適切に表示できる。
また、例えば、第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20の少なくとも一方の側面に形成された接続穴と、接続穴の内径よりも外径の小さい棒状の接続バー31と、を含む接続部をさらに備え、接続部により第1の鏡筒10と第2の鏡筒20とが接続されてもよい。
これによれば、調整ネジ32とともに接続部が第1の鏡筒10の中心軸と第2の鏡筒20との中心軸を平行に保つことができる。第1の鏡筒10と第2の鏡筒20との距離を調整しても中心軸がねじれの関係になることがない。よって、HMD100では、簡易に、画像を適切に表示できる。
また、例えば、HMD100を装着するユーザ99の鼻根部97に接触する鼻あて部をさらに備え、鼻あて部は、ユーザ99の鼻根部97に接触する鼻パッド152と、調整ネジ32及び接続部の少なくとも一方に装着される装着部151と、鼻パッド152及び装着部151を所定距離及び所定角度で連結する連結部とを有し、連結部は、外力によって変形可能な材料を用いて構成されてもよい。
これによれば、鼻根部97でもHMD100を支持することができ、HMD100の姿勢がより安定する。よって、HMD100では、姿勢のぶれが抑制され、画像を適切に表示できる。
また、例えば、HMD100を装着するユーザ99の鼻根部97に接触する鼻あて部をさらに備え、鼻あて部は、ユーザ99の鼻根部97に接触する鼻パッド152と、調整ネジ32及び接続部の少なくとも一方に装着される装着部151と、鼻パッド152及び装着部151を所定距離及び所定角度で連結する連結部とを有し、連結部は、装着部151に連結され、連結孔153aを有する板部材153と、先端に鼻パッド152が連結され、連結孔153aに挿通される棒部材154と、連結孔153aへの棒部材154の挿通長さを固定する固定部材155と、を用いて構成されてもよい。
これによれば、鼻根部97でもHMD100を支持することができ、HMD100の姿勢がより安定する。よって、HMD100では、姿勢のぶれが抑制され、画像を適切に表示できる。
また、例えば、第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20に一端が接続され、他端がユーザ99の耳の上に係止されるように延びる第1のアーム部15及び第2のアーム部25をさらに備えてもよい。
これによれば、ユーザ99は、第1のアーム部15及び第2のアーム部25を耳に係止させることでHMD100を装着できる。よって、HMD100の使用容易性が向上される。
また、例えば、第1のアーム部15及び第2のアーム部25は、第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20に接続される一端において着脱可能であってもよい。
これによれば、第1のアーム部15及び第2のアーム部25を取り外しできる。例えば、別の形状のアーム部が存在する場合に、用途に合わせてアーム部の交換等を行うことができる。よって、HMD100の使用可能な用途が拡張される。
また、例えば、第1のアーム部15及び第2のアーム部25、第1の鏡筒10又は第2の鏡筒20に接続される一端と反対側の他端が内側に湾曲していてもよい。
これによれば、第1のアーム部15及び第2のアーム部25によってユーザ99の頭部が挟持され、また、後頭部から第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20が引き寄せられるため、HMD100の姿勢がより安定する。よって、HMD100では、姿勢のぶれが抑制され、画像を適切に表示できる。
また、例えば、第1のアーム部15及び第2のアーム部25の少なくとも一方は、通信及び給電の少なくとも一方を行うケーブル94が接続されるコネクタ37を有し、コネクタ37は、HMD100の装着時のユーザ99の耳よりも後方に設けられてもよい。
これによれば、ケーブル94がユーザ99の視界に入りづらくなり、HMD100使用時の煩わしさが低減される。また、ケーブル94の重みによりHMD100の重心が後方にずれるため、第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20の位置が安定する。よって、HMD100では、姿勢のぶれが抑制され、画像を適切に表示できる。
また、例えば、第1の表示パネル39L及び第2の表示パネル39Rに表示される画像の表示位置を調整する画像出力部38bを、さらに備え、画像出力部38bは、第1の表示パネル39Lの中心に対する第1の表示パネル39Lに表示される画像の位置に応じて、第2の表示パネル39Rに表示される画像の位置を、第2の表示パネル39Rの中心に対して、高さ方向において対称に調整し、並び方向において反対称に調整してもよい。
これによれば、ユーザ99の両目位置に応じた画像の表示位置の調整ができる。よって、HMD100では、画像を適切に表示できる。
また、例えば、画像出力部38bは、第1の表示パネル39Lの中心に対する第1の表示パネル39Lに表示される画像の位置に応じた第1の凸レンズ40Lのレンズ歪みを補正し、第2の表示パネル39Rの中心に対する第2の表示パネル39Rに表示される画像の位置に応じた第2の凸レンズ40Rのレンズ歪みを補正する、歪み補正処理を行ってもよい。
これによれば、HMD100では、レンズ歪みによらず画像を適切に表示できる。
また、例えば、第1の凸レンズ40Lと第1の表示パネル39Lとの距離、及び、第2の凸レンズ40Rと第2の表示パネル39Rとの距離を調整してユーザ99の視力に対応するピント補正を行い、画像出力部38bは、ピント補正に応じて、第1の表示パネル39Lに表示される画像及び第2の表示パネル39Rに表示される画像の表示サイズの拡縮処理を行ってもよい。
これによれば、HMD100では、光学系の調整に伴う画角の変化によらず画像を適切に表示できる。
また、例えば、挿入部14a等は、筒内において形成された凸部132等に対応する凹部14f等を有し、キャップ部14b等は、ヒトの頭部に沿う形状の接触端と、挿入部14a等に接続される接続端との間を連続的に覆うことで外光を遮ってもよい。
これによれば、凹凸構造の篏合によって第1のアイキャップ14及び第2のアイキャップ24を容易に着脱できる。したがって、第1のアイキャップ14及び第2のアイキャップ24を交換する操作の煩雑さが低減される。よって、HMD100が、容易に衛生的に保たれるため、不衛生になりづらく、使用に適している。また、第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20と、ユーザ99の頭部との間が連続的に覆われるため、遮光性を高く保つことができる。よって、HMD100内部を暗くすることができるため、画像がより鮮明になり、画像を適切に表示できる。
また、例えば、凸部132等は、筒内において内壁面から中心軸に向かって延びる延長部131等の端部から第1の鏡筒10又は第2の鏡筒20の開口端に向かって延び、凹部14f等は、凸部132等が差し込まれてもよい。
これによれば、凹凸構造の篏合によって第1のアイキャップ14及び第2のアイキャップ24を容易に着脱できる。したがって、第1のアイキャップ14及び第2のアイキャップ24を交換する操作の煩雑さが低減される。よって、HMD100が、容易に衛生的に保たれるため、不衛生になりづらく、使用に適している。
また、例えば、第1の凸部132は、第1の鏡筒10の内側面に向かって延び、第1の鏡筒10の内側面と所定の距離の隙間を設ける第1の突起部133をさらに有し、第2の凸部は、第2の鏡筒20の内側面に向かって延び、第2の鏡筒20の内側面と所定の距離の隙間を設ける第2の突起部をさらに有してもよい。
これによれば、突起部によって係止されるため、第1のアイキャップ14及び第2のアイキャップ24を、着脱容易性を維持しながらも、意図しない脱落を抑制できる。よって、HMD100が、容易に衛生的に保たれるため、不衛生になりづらく、使用に適している。
また、例えば、第1の鏡筒10は、第1の挿入部14aよりも底側に第1の支持リング127と、第1の挿入部14aと第1の支持リング127とにより挟持され、第1の凸レンズ40Lの焦点距離を調整する第1の補正レンズ134と、をさらに内部に有し、第2の鏡筒20は、第2の挿入部よりも底側に第2の支持リングと、第2の挿入部と第2の支持リングとにより挟持され、第2の凸レンズ40Rの焦点距離を調整する第2の補正レンズ134と、をさらに内部に有してもよい。
これによれば、補正レンズ134を用いてユーザ99の視力に合わせたHMD100を実現できる。また、補正レンズ134ごと第1のアイキャップ14及び第2のアイキャップ24を交換できるため、一つのHMD100によって、ユーザ99ごとに合わせたHMD100を実現できる。
また、例えば、第1のアイキャップ14及び第2のアイキャップ24は、挿入部14a等とキャップ部14b等との間に第1のアイキャップ14及び第2のアイキャップ24の外面全周にわたるくびれ部14c等と、第1の鏡筒10と第2の鏡筒20との並び方向に対して垂直な高さ方向において、くびれ部14c等の中央を通り並び方向に沿った線とくびれ部14c等とが交差する箇所にくびれを埋めるようにして形成された肉厚部14d等と、を有してもよい。
これによれば、第1のくびれ部14c及び第2のくびれ部と、第1の肉厚部14d及び第2の肉厚部とによって、第1のアイキャップ14及び第2のアイキャップ24は、撓みの方向が制御された可撓性を有する。よって、HMD100では、装着性が向上され、画像を適切に表示できる。
また、例えば、第1のアイキャップ14は、第1の肉厚部14dの第1のキャップ部14bの側の端部に、第1の鏡筒10の中心軸に対して交差する面に対して水平に広がる第1の平板部14eを有し、第1のキャップ部14bの外周と第1の平板部14eの外周とが接続し、第2のアイキャップ24は、第2の肉厚部の第2のキャップ部の側の端部に、第2の鏡筒20の中心軸に対して交差する面に対して水平に広がる第2の平板部を有し、第2のキャップ部の外周と第2の平板部の外周とが接続してもよい。
これによれば、第1のくびれ部14c及び第2のくびれ部と、第1の肉厚部14d及び第2の肉厚部と、第1の平板部14e及び第2の平板部とによって、第1のアイキャップ14及び第2のアイキャップ24は、撓みの方向が制御された可撓性を有する。よって、HMD100では、装着性が向上され、画像を適切に表示できる。
また、例えば、第1の肉厚部14dは、第1の鏡筒10の中心軸方向に沿って、底側に向けて拡径するテーパ形状を有し、第2の肉厚部は、第2の鏡筒20の中心軸方向に沿って、底側に向けて拡径するテーパ形状を有してもよい。
これによれば、第1のくびれ部14c及び第2のくびれ部と、第1の肉厚部14d及び第2の肉厚部と、第1の平板部14e及び第2の平板部とによって、第1のアイキャップ14及び第2のアイキャップ24は、テーパの先端を支点にして撓みの方向が制御された可撓性を有する。よって、HMD100では、装着性が向上され、画像を適切に表示できる。
また、例えば、第1の鏡筒10の中心軸と第2の鏡筒20の中心軸とを含む並び面に対して垂直な高さ方向における第1のアイキャップ14及び第2のアイキャップ24の各々の上側の硬さは、第1のアイキャップ14及び第2のアイキャップ24の各々の下側の硬さよりも硬くてもよい。
これによれば、主に第1のアイキャップ14及び第2のアイキャップ24の各々の上側でユーザ99の額によって第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20を支持できる。よって、HMD100では、装着性が向上され、画像を適切に表示できる。
また、例えば、第1のアイキャップ14及び第2のアイキャップ24は、高さ方向における上側と下側とで異なる材料を用いて構成されてもよい。
これによれば、材料の違いにより、硬さの差を形成し、主に第1のアイキャップ14及び第2のアイキャップ24の各々の上側でユーザ99の額によって第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20を支持できる。よって、HMD100では、装着性が向上され、画像を適切に表示できる。
また、例えば、第1のアイキャップ14及び第2のアイキャップ24のユーザ99の頭部との接触面積は、第1の鏡筒10の中心軸と第2の鏡筒20の中心軸とを含む並び面に対して垂直な高さ方向における下側よりも上側の方が大きくてもよい。
これによれば、主に第1のアイキャップ14及び第2のアイキャップ24の各々の上側でユーザ99の額によって第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20を支持できる。よって、HMD100では、装着性が向上され、画像を適切に表示できる。
また、例えば、第1のアイキャップ14及び第2のアイキャップ24を取り外した状態で、第1の鏡筒10の中心軸と第2の鏡筒20の中心軸とを含む並び面に対して垂直な高さ方向におけるHMD100の上部に装着可能で、HMD100とユーザ99の額との間に介在するパッド136を備えてもよい。
これによれば、第1のアイキャップ14及び第2のアイキャップ24に代えて、パッド136によって第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20を支持できる。
また、例えば、第1のアイキャップ及び第2のアイキャップは、シリコンゴムを用いて構成されてもよい。
これによれば、シリコンゴムを用いて形成された第1のアイキャップ14及び第2のアイキャップ24を、第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20とユーザ99の頭部との間に介在させ、第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20を清潔に保つことができる。
また、例えば、第1の画像101Lを表示するための第1の表示パネル39Lを底部に有する有底筒状の第1の鏡筒10と、第2の画像101Rを表示するための第2の表示パネル39Rを底部に有する有底筒状の第2の鏡筒20と、第1の鏡筒10から延びる第1のロッド71と、第2の鏡筒20から延び、第1のロッド71に対して回動可能に接続された第2のロッド72と、を有する第4の調整機構と、第4の調整機構の第1のロッド71と第2のロッド72との回動角に応じて、第1の鏡筒10に対して第1の表示パネル39Lを回転させ、かつ、第2の鏡筒20に対して第2の表示パネル39Rを回転させ、第1の表示パネル39L及び第2の表示パネル39Rの水平方向を、第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20の並び方向に近づける画像角度維持部と、を備えてもよい。
これによれば、第1のロッド71に対して第2のロッド72を回動させた際に、第1の表示パネル39L及び第2の表示パネル39Rを回転させて表示される画像の向きを維持できる。よって、HMD100cでは画像を適切に表示できる。
また、例えば、画像角度維持部は、回動軸部73に設けられ、第1のロッド71及び第2のロッド72とともに回転しない固定子111と、第1の表示パネル39Lと連結し、第1の表示パネル39Lとともに回転する第1の回転子112と、固定子111における第1のロッド71と第2のロッド72の回動量に対する半分の回転量で第1の回転子112を回転させる第1のベルト114と、第2の表示パネル39Rと連結し、第2の表示パネル39Rとともに回転する第2の回転子113と、固定子111における第1のロッド71と第2のロッド72の回動量に対する半分の回転量で第2の回転子113を回転させる第2のベルト115と、を有してもよい。
これによれば、第1のベルト114及び第2のベルト115が伝達する回転によって第1の表示パネル39L及び第2の表示パネル39Rを回転させて表示される画像の向きを維持できる。よって、HMD100cでは画像を適切に表示できる。
また、例えば、画像角度維持部は、回動軸部73に設けられ、第1のロッド71及び第2のロッド72とともに回転しない固定ギア84と、第1の表示パネル39Lと連結し、第1の表示パネル39Lとともに回転する第1の回転ギア85と、固定ギア84における第1のロッド71及び第1のロッド72の回動量に対する半分の回転量で第1の回転ギア85を回転させる1以上の第1の伝達ギア87と、第2の表示パネル39Rと連結し、第2の表示パネル39Rとともに回転する第2の回転ギア86と、固定ギア84に対する第1のロッド71及び第2のロッド72の回動量に対する半分の回転量で第2の回転ギア86を回転させる1以上の第2の伝達ギア88と、を有してもよい。
これによれば、第1の伝達ギア87及び第2の伝達ギア88が伝達する回転によって第1の表示パネル39L及び第2の表示パネル39Rを回転させて表示される画像の向きを維持できる。よって、HMD100cでは画像を適切に表示できる。
また、例えば、第1の伝達ギア87の個数と第2の伝達ギア88の個数とが等しくてもよい。
これによれば、第1の伝達ギア87と第2の伝達ギア88の基本設計を共用でき、容易に上記の構成を実現できる。よって、HMD100cでは画像を適切に表示できる。
また、例えば、ユーザ99の頭部に装着されるHMD100cであって、ユーザ99の一方の目に対応する画像を表示するための第1の表示パネル39Lと、第1の表示パネル39Lに表示される画像を拡大する第1の凸レンズ40Lと、を内部に有する有底筒状の第1の鏡筒10と、ユーザ99の他方の目に対応する画像を表示するための第2の表示パネル39Rと、第2の表示パネル39Rに表示される画像を拡大する第2の凸レンズ40Rと、を内部に有する有底筒状の第2の鏡筒20と、第1の鏡筒10と第2の鏡筒20との距離を調整可能な第4の調整機構と、を備え、第1の表示パネル39Lは、第1の鏡筒10の中心軸回りに回転可能に設けられ、第2の表示パネル39Rは、第2の鏡筒20の中心軸回りに回転可能に設けられ、第4の調整機構は、一方の端部が第1の鏡筒10に接続し、他方の端部が第1の鏡筒10から離れる方向に延びる第1のロッド71と、一方の端部が第2の鏡筒20に接続し、他方の端部が第2の鏡筒20から離れる方向に延びる第2のロッド72と、第1のロッド71と第2のロッド72とを回動可能に接続する回動軸部73と、第1のロッド71と第2のロッド72との回動角に応じて、第1の鏡筒10に対して第1の表示パネル39Lを回転させ、かつ、第2の鏡筒20に対して第2の表示パネル39Rを第1の表示パネル39Lの回転方向とは逆方向に回転させる画像角度維持部と、を有し、画像角度維持部は、外筒81に挿入された内筒82が外筒81内を伸縮軸方向に伸縮する伸縮ロッド83であって、外筒81側の端部に第1の表示パネル39Lを伸縮軸に対して角度を固定して接続し、内筒82側の端部に第2の表示パネル39Rを伸縮軸に対して角度を固定して接続する伸縮ロッド83と、を有してもよい。
これによれば、伸縮ロッド83が回動に伴う第1の表示パネル39L及び第2の表示パネル39Rの回転をキャンセルして第1の表示パネル39L及び第2の表示パネル39Rに表示される画像の向きを維持できる。よって、HMD100cでは画像を適切に表示できる。
また、例えば、HMD100cを装着するユーザ99の鼻根部97に接触する鼻パッド152と、伸縮ロッド83に装着される装着部151と、鼻パッド152及び装着部151を所定距離及び所定角度で連結する連結部とを有する鼻あて部をさらに備え、連結部は、外力によって変形可能な材料を用いて構成されてもよい。
これによれば、鼻根部97でもHMD100cを支持することができ、HMD100cの姿勢がより安定する。よって、HMD100cでは、姿勢のぶれが抑制され、画像を適切に表示できる。
また、例えば、HMD100cを装着するユーザ99の鼻根部97に接触する鼻パッド152と、伸縮ロッド83に装着される装着部151と、鼻パッド152及び装着部151を所定距離及び所定角度で連結する連結部とを有する鼻あて部をさらに備え、連結部は、装着部151に連結され、連結孔153aを有する板部材153と、先端に鼻パッド152が連結され、連結孔153aに挿通される棒部材154と、連結孔153aへの棒部材154の挿通長さを固定する固定部材155と、を用いて構成されてもよい。
これによれば、鼻根部97でもHMD100cを支持することができ、HMD100cの姿勢がより安定する。よって、HMD100cでは、姿勢のぶれが抑制され、画像を適切に表示できる。
また、例えば、第1の表示パネル39L及び第2の表示パネル39Rに表示される画像の表示位置を調整する画像出力部38bを、さらに備え、画像出力部38bは、第1の表示パネル39Lの中心に対する第1の表示パネル39Lに表示される画像の位置に応じて、第2の表示パネル39Rに表示される画像の位置を第2の表示パネル39Rの中心に対して、第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20の並び方向に対して垂直な高さ方向において対称に調整し、並び方向において反対称に調整してもよい。
これによれば、ユーザ99の両目位置に応じた画像の表示位置の調整ができる。よって、HMD100cでは、画像を適切に表示できる。
また、例えば、画像出力部38bは、第1の表示パネル39Lの中心に対する第1の表示パネル39Lに表示される画像の位置に応じた第1の凸レンズ40Lのレンズ歪みを補正し、第2の表示パネル39Rの中心に対する第2の表示パネル39Rに表示される画像の位置に応じた第2の凸レンズ40Rのレンズ歪みを補正する、歪み補正処理を行ってもよい。
これによれば、HMD100cでは、レンズ歪みによらず画像を適切に表示できる。
また、例えば、第1の凸レンズ40Lとの第1の表示パネル39Lとの距離、及び、第2の凸レンズ40Rと第2の表示パネル39Rとの距離を調整してユーザ99の視力に対応するピント補正を行い、画像出力部38bは、ピント補正に応じて、第1の表示パネル39Lに表示される画像及び第2の表示パネル39Rに表示される画像の表示サイズの拡縮処理を行ってもよい。
これによれば、HMD100cでは、光学系の調整に伴う画角の変化によらず画像を適切に表示できる。
また、例えば、第1の画像101Lを表示するための第1の表示パネル39Lを底部に有する有底筒状の第1の鏡筒10と、第2の画像101Rを表示するための第2の表示パネル39Rを底部に有する有底筒状の第2の鏡筒20と、第1の鏡筒10から延びる第1のロッド71と、第2の鏡筒20から延び、第1のロッド10と回動可能に接続された第2のロッド72と、を有する第4の調整機構と、第1の画像101Lと第2の画像101Rとをそれぞれ第1の表示パネル39L及び第2の表示パネル39Rのそれぞれに出力する画像出力部38bと、を備え、画像出力部38bは、第4の調整機構の第1のロッド71と第2のロッド72との回動角に応じて第1の画像101L及び第2の画像101Rの水平方向を、第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20の並び方向に近づけるように第1の画像101L及び第2の画像101Rをアドレス変換して出力してもよい。
これによれば、第1のロッド71に対して第2のロッド72を回動させた際に、第1の表示パネル39L及び第2の表示パネル39Rに表示させる画像の向きを回転させることで、ユーザ99から見た画像の向きを維持できる。よって、HMD100cでは画像を適切に表示できる。
また、例えば、画像出力部38bは、第1のロッド71及び第2のロッド72の回動角に応じ、(1)第1の表示パネル39Lに表示される第1の画像101Lの表示角を変更して生成した第1の回転画像102Lを第1の画像101Lとして表示させる第1の処理、及び、(2)第2の表示パネル39Rに表示される第2の画像101Rの表示角を変更して生成した第2の回転画像102Rを第2の画像101Rとして表示させる第2の処理を行ってもよい。
これによれば、第1のロッド71に対して第2のロッド72を回動させた際に、第1の表示パネル39L及び第2の表示パネル39Rに表示させる画像の向きを回転させることで第1の回転画像102L及び第2の回転画像102Rを生成する。第1の回転画像102L及び第2の回転画像102Rを第1の表示パネル39L及び第2の表示パネル39Rに表示させることでユーザ99から見た画像の向きを維持できる。よって、HMD100cでは画像を適切に表示できる。
また、例えば、第4の調整機構は、第1のロッド71及び第2のロッド72の回動角を検知する角度検知部を備え、画像出力部は、角度検知部において検知された第1のロッド71及び第2のロッド72の回動角に基づいて、第1の処理及び第2の処理の少なくとも一方の処理を行ってもよい。
これによれば、第1のロッド71に対して第2のロッド72を回動させた際に、第1の表示パネル39L及び第2の表示パネル39Rに表示させる画像の向きを、検知した回動角に応じて回転させることで、ユーザ99から見た画像の向きを維持できる。よって、HMD100cでは画像を適切に表示できる。
また、例えば、角度検知部は、回動軸に設けられた抵抗素子116であって、第1のロッド71及び第2のロッド72の回動角に応じて抵抗値が変化する抵抗素子116において、測定された抵抗値に基づき第1のロッド71及び第2のロッド72の回動角を推定によって検知してもよい。
これによれば、第1のロッド71に対して第2のロッド72を回動させた際に、抵抗素子116において測定された抵抗値を用いて回動角を検知できる。検知した回動角に応じて第1の表示パネル39L及び第2の表示パネル39Rに表示させる画像の向きを回転させることで、ユーザ99から見た画像の向きを維持できる。よって、HMD100cでは画像を適切に表示できる。
また、例えば、角度検知部は、第1の鏡筒10に設けられた第1のジャイロセンサ117において基準姿勢に対する第1の差分角θ3を算出し、第2の鏡筒20に設けられた第2のジャイロセンサ118において標準姿勢に対する第2の差分角θ4を算出し、第1の差分角θ3及び第2の差分角θ4の絶対値の合計を第1のロッド71及び第2のロッド72の回動角として検知してもよい。
これによれば、第1のロッド71に対して第2のロッド72を回動させた際に、第1のジャイロセンサ117及び第2のジャイロセンサ118を用いて算出された基準姿勢に対する差分角θ3及びθ4から回動角を検知できる。検知した回動角に応じて第1の表示パネル39L及び第2の表示パネル39Rに表示させる画像の向きを回転させることで、ユーザ99から見た画像の向きを維持できる。よって、HMD100cでは画像を適切に表示できる。
また、例えば、第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20の少なくとも一方は、第1の鏡筒10と第2の鏡筒20との間の距離を測定する測距器121又は122を、さらに備え、角度検知部は、第1のロッド71及び第2のロッド72の回動軸から第1の鏡筒10又は第2の鏡筒20までの長さ、及び、測距器121又は122で測定された第1の鏡筒10と第2の鏡筒20との間の距離を用いて第1のロッド71及び第2のロッド72の回動角を検知してもよい。
これによれば、第1のロッド71に対して第2のロッド72を回動させた際に、測距器121又は122を用いて測定された第1の鏡筒10と第2の鏡筒20との間の距離を用いて、例えば、正弦関数等により回動角を検知できる。検知した回動角に応じて第1の表示パネル39L及び第2の表示パネル39Rに表示させる画像の向きを回転させることで、ユーザ99から見た画像の向きを維持できる。よって、HMD100cでは画像を適切に表示できる。
また、例えば、第1の処理では、角度検知部において検知された第1のロッド71及び第2のロッド72の回動角の半分の角度分、第1のロッド71の回動方向とは逆向きに回転させて第1の回転画像102Lを生成し、第2の処理では、角度検知部において検知された第1のロッド71及び第2のロッド72の回動角の半分の角度分、第2のロッド72の回動方向とは逆向きに回転させて第2の回転画像102Rを生成してもよい。
これによれば、第1の処理によって回動量の半分だけ回転された第1の回転画像102Lが生成され、第2の処理によって、回動角の半分だけ回転された第2の回転画像102Rが生成される。第1の回転画像102Lはもとの画像に対して一方方向に回転しており、第2の回転画像102Rはもとの画像に対して他方方向に回転している。このように生成された第1の回転画像102L及び第2の回転画像102Rを第1の表示パネル39L及び第2の表示パネル39Rに表示させることでユーザ99から見た画像の向きを維持できる。よって、HMD100cでは画像を適切に表示できる。
また、例えば、第1の鏡筒10は、第1の鏡筒10の底部に、中心軸に沿う方向における第1の鏡筒10の開口側の反対方向を撮像する第1のカメラ123Lを有し第2の鏡筒20は、第2の鏡筒20の底部に、中心軸に沿う方向における第2の鏡筒20の開口側の反対方向を撮像する第2のカメラ123Rを有し、画像出力部38bは、角度検知部が検知する第1のロッド71及び第2のロッド72の回動角に応じて第1のカメラ123L及び第2のカメラ123Rにおいて撮像された画像を回転させてもよい。
これによれば、HMD100cの第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20に第1のカメラ123L及び第2のカメラ123Rが設けられる際、当該第1のカメラ123L及び第2のカメラ123Rによって撮像される画像の向きが回動角によらず適切に維持される。よって、第1のカメラ123L及び第2のカメラ123Rによって撮像された適切に維持された画像を表示する場合に、HMD100cでは適切に表示できる。
また、例えば、HMD100は、第1の鏡筒10の中心軸に沿う方向における第1の鏡筒10の開口側の反対方向を撮像する第1のカメラ123Lと、第2の鏡筒20の中心軸に沿う方向における第2の鏡筒20の開口側の反対方向を撮像する第2のカメラ123Rと、第1のカメラ123Lと第2のカメラ123Rとの距離を所定間隔に保ち保持するカメラ保持機構と、を備えてもよい。
これによれば、カメラ保持機構によって、第1のカメラ123L及び第2のカメラ123Rによって撮像される画像の視差が回動角によらず適切に維持される。よって、第1のカメラ123L及び第2のカメラ123Rによって撮像された画像を用いて立体視画像を表示する場合に、HMD100cでは適切に表示できる。また、第1のカメラ123L及び第2のカメラ123Rによって撮像された画像を用いて物体までの距離を測定する場合にHMD100cでは適切に測定できる。
また、例えば、画像出力部38bは、第1の表示パネル39Lの中心に対する第1の表示パネル39Lに表示される画像の位置に応じて、第2の表示パネル39Rに表示される画像の位置を第2の表示パネル39Rの中心に対して、第1の鏡筒10及び第2の鏡筒20の並び方向に対して垂直な高さ方向において対称に、並び方向において反対称に調整してもよい。
これによれば、ユーザ99の両目位置に応じた画像の表示位置の調整ができる。よって、HMD100cでは、画像を適切に表示できる。
また、例えば、画像出力部38bは、第1の表示パネル39Lの中心に対する第1の表示パネル39Lに表示される画像の位置に応じた第1の凸レンズ40Lのレンズ歪みを補正し、第2の表示パネル39Rの中心に対する第2の表示パネル39Rに表示される画像の位置に応じた第2の凸レンズ40Rのレンズ歪みを補正する、歪み補正処理を行ってもよい。
これによれば、HMD100cでは、レンズ歪みによらず画像を適切に表示できる。
また、例えば、第1の凸レンズ40Lとの第1の表示パネル39Lとの距離、及び、第2の凸レンズ40Rと第2の表示パネル39Rとの距離を調整してユーザ99の視力に対応するピント補正を行い、画像出力部38bは、ピント補正に応じて、第1の表示パネル39Lに表示される画像及び第2の表示パネル39Rに表示される画像の表示サイズの拡縮処理を行ってもよい。
これによれば、HMD100cでは、光学系の調整に伴う画角の変化によらず画像を適切に表示できる。
(その他の実施の形態)
以上、実施の形態等について説明したが、本開示は、上記実施の形態等に限定されるものではない。
また、上記実施の形態等においてHMDを構成する構成要素について例示したが、HMDが備える構成要素の各機能は、HMDを構成する複数の部分にどのように振り分けられてもよい。
その他、実施の形態等に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、又は、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で実施の形態等における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。