JP7393284B2 - ダイナミックダンパ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、回転体の回転速度変動を抑制するダイナミックダンパ装置に関する。
例えば自動車等の車両に搭載されるエンジンの出力軸(クランクシャフト)には、回転速度変動を抑制するための質量体であるフライホイールが設けられる。
エンジンのフライホイールに関する従来技術として、例えば特許文献1には、フライホイールの回転モーメントをエンジンの運転状態に応じて変化させ、加速性能、燃費、エミッションの改善を図るため、フライホイール本体に対して揺動可能に第一の移動体を設けるとともに、第二の移動体に作用する慣性力を用いてエンジンの回転速度増加に応じて第一の移動体を内径側に変位させ、フライホイールの回転モーメントを変化させることが記載されている。
特許文献2には、主フライホイールに隣接して補助慣性質量体を設けて、これらを遠心クラッチにより接続又は切断する可変慣性質量フライホイールが記載されている。
特許文献3には、メインフライホイールとサブフライホイールとをクラッチ手段により接続又は切断する可変慣性モーメントフライホイール装置が記載されている。
特開2005- 36944号公報 特開2013- 7432号公報 実開昭63- 45240号公報
フライホイールからトランスミッションへエンジン出力を伝達する回転軸(トランスミッションの入力軸・インプットシャフト)において、ねじり共振が発生する場合がある。
特に、エンジン-電気ハイブリッド車両などで、このような回転軸に回転電機が設けられる場合、そのロータのイナーシャが大きい場合には、ねじり共振がシビアとなりやすい傾向がある。
このようなねじり共振への対策として、例えば回転軸のねじり剛性を高めることが考えられるが、必ずしも十分な効果が得られない場合がある。
また、フライホイールに対して相対回動可能な質量体を有するダイナミックダンパを設けることも考えられるが、質量体の慣性モーメントが一定である一般的なダイナミックダンパでは効果が得られる領域(エンジン回転数・周波数)が限定的であり、より広い範囲で制振効果を得られるようにすることが要望されている。
上述した問題に鑑み、本発明の課題は、広範な周波数範囲で良好な制振効果が得られるダイナミックダンパ装置を提供することである。
本発明は、以下のような解決手段により、上述した課題を解決する。
請求項1に係る発明は、回転中心軸回りに回転する第1の回転体と、前記第1の回転体に対して前記回転中心軸回りに相対回動可能に取り付けられた第2の回転体と、前記第1の回転体と前記第2の回転体との回動方向の相対変位に応じた反力を発生する弾性体と、前記第1の回転体に径方向に相対変位可能に取り付けられた第1の質量体と、前記第2の回転体に径方向に相対変位可能に取り付けられた第2の質量体と、前記第1の質量体の外径側への変位と連動して前記第2の質量体を内径側に変位させる連動機構とを備えることを特徴とするダイナミックダンパ装置である。
これによれば、第1の回転体の回転速度増加に伴う遠心力(慣性力)の増加によって第1の質量体が第1の回転体に対して外径側に変位すると、連動機構により第2の回転体に取り付けられた第2の質量体が内径側に変位し、第2の回転体及び第2の質量体の慣性モーメントの和が減少する。
また、第1の質量体は、第1の回転体に取り付けられているため、これが外径側へ変位しても第2の回転体等の慣性モーメントに影響を与えることはない。
これによって、ダイナミックダンパ装置の制振効果が得られる周波数帯域を高域側へ推移させ、広範な周波数範囲で良好な制振効果(回転変動抑制効果)を得ることができる。
請求項2に係る発明は、前記第1の回転体の回転速度増加に応じて、前記第2の質量体が内径側に変位することを特徴とする請求項1に記載のダイナミックダンパ装置である。
これによれば、上述した効果を確実に得ることができる。
請求項3に係る発明は、前記第1の回転体は、エンジンの出力軸に取り付けられたフライホイールであり、前記出力軸の回転を変速する変速機の入力軸に連結されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のダイナミックダンパ装置である。
これによれば、変速機の入力軸におけるねじり振動、特にねじり共振を抑制し、車両の騒音、振動を改善することができる。
以上説明したように、本発明によれば、広範な周波数範囲で良好な制振効果が得られるダイナミックダンパ装置を提供することができる。
本発明を適用したダイナミックダンパ装置の実施形態を有する車両のパワートレインを模式的に示すスケルトン図である。 実施形態のダイナミックダンパ装置を径方向を含む平面で切って見た模式的断面図である。 実施形態のダイナミックダンパ装置を軸方向から見た状態を示す模式図であって、エンジン低回転時の状態を示す図である。 実施形態のダイナミックダンパ装置を軸方向から見た状態を示す模式図であって、エンジン高回転時の状態を示す図である。 実施形態、及び、本発明の比較例1,2におけるエンジン回転数と回転変動量との相関を示す図である。
以下、本発明を適用したダイナミックダンパ装置の実施形態について説明する。
実施形態のダイナミックダンパ装置は、例えば乗用車等のエンジン-電気ハイブリッド自動車において、エンジンのクランクシャフトのトランスミッション側の端部に取り付けられるフライホイールに設けられ、トランスミッションのインプットシャフトのねじり振動に対する制振効果を発揮するものである。
図1は、実施形態のダイナミックダンパ装置を有する車両のパワートレインを模式的に示すスケルトン図である。
図1に示すように、パワートレイン1は、エンジン10、フライホイール20、インプットシャフト30、エンジン切離クラッチ40、インテグレーテッドスタータジェネレータ(ISG)50、前後進切替機構60、バリエータ70、減速ギヤ80、出力クラッチ90、フロントピニオンシャフト100、トランスファシャフト110、モータジェネレータ120、トランスファクラッチ130、プロペラシャフト140、フロント最終減速装置150、リヤ最終減速装置160、フロントドライブシャフト170、リヤドライブシャフト180等を有する。
なお、上述した要素のうち、エンジン10、フライホイール20、プロペラシャフト140、フロントドライブシャフト170、リヤドライブシャフト180以外のものは、図示しないトランスミッションケースの内部に収容され、車両のトランスミッションを構成する。
エンジン10は、車両の走行用動力源として搭載されるものであり、例えば4ストロークガソリンエンジンなどの内燃機関を用いることができる。
エンジン10は、出力軸としてクランクシャフト11(図2参照)を有する。
フライホイール20は、エンジン10のクランクシャフト11のトランスミッション側の端部に取り付けられた円盤状の回転質量体(第1の回転体)である。
フライホイール20は、その慣性モーメントを利用し、エンジン10のクランクシャフト11の回転速度変動を抑制する機能を有する。
フライホイール20とインプットシャフト30との接続部には、フライホイール20の回転速度変動を減衰しつつインプットシャフト30に動力を伝達するダンパ21が設けられている。
ダンパ21は、フライホイール20とインプットシャフト30との回転軸回りの相対回動に応じた反力を発生するばね要素、及び、フリクションを発生する摩擦係合要素を有する。
インプットシャフト30は、トランスミッションの入力軸であって、フライホイール20からISG50のロータにエンジン10からの動力を伝達する回転軸である。
エンジン切離クラッチ40は、インプットシャフト30の中間部に設けられた摩擦係合要素であって、フライホイール20とISG50とが接続された状態と、切断された(切り離された)状態とを切り替えるものである。
エンジン切離クラッチ40は、例えば、車両がエンジン10を用いずに走行するEV走行モードなどで切断される。
ISG50は、エンジン切離クラッチ40と前後進切替機構60との間の領域に設けられた回転電機である。
ISG50は、エンジン10の始動を行うスタータモータとしての機能、及び、車両の走行時に発電を行うジェネレータ(オルタネータ)としての機能を有する。
ISG50の前後進切替機構60側には、ISG50のロータの回転速度変動を抑制して前後進切替機構60側へ伝達するダンパ51が設けられている。
ダンパ51は、ISG50のロータと、前後進切替機構60の入力軸との回転中心軸回りの相対回動に応じた反力を発生するばね要素、及び、相対回動に応じたフリクションを発生する摩擦係合要素を有する。
前後進切替機構60は、エンジン10からインプットシャフト30等を介して伝達される回転が、回転方向を変化させることなく変速機構部70へ伝達される前進状態と、回転が逆転されてから変速機構部70へ伝達される後進状態とを切り替えるものである。
前後進切替機構60は、プラネタリギヤ機構61、フォワードクラッチ62、リバースブレーキ63等を有して構成されている。
プラネタリギヤ機構61は、前後進切替機構60の入出力軸と同心に配置されたサンギヤ、その周囲に配置されプラネタリキャリアに保持されたプラネタリギヤ、その外径側に設けられたリングギヤ等を有して構成されている。
プラネタリギヤ機構61は、後進時に入力回転を逆転して出力する機能を有する。
フォワードクラッチ62は、前進時に締結される摩擦係合要素である。
フォワードクラッチ62は、前後進切替機構60の入力軸とプラネタリキャリアとの間に設けられている。
フォワードクラッチ62の締結時には、プラネタリギヤ機構61のプラネタリキャリアが前後進切替機構60の入力軸及び出力軸と一体的に回転する。
このとき、プラネタリギヤは自転せず、プラネタリキャリアとともに公転するようになっている。
リバースブレーキ63は、後進時に締結される摩擦係合要素である。
リバースブレーキ63は、締結時にプラネタリギヤ機構61のリングギヤの回転を拘束するようになっている。
リバースブレーキ62の締結時には、プラネタリギヤがサンギヤにより駆動されて自転し、プラネタリキャリア及び出力軸は、入力軸及びサンギヤに対して逆回転する。
バリエータ70は、前後進切替機構60の出力軸から伝達される回転を減速又は増速する変速機構部である。
実施形態において、バリエータ70は、例えばチェーン式の無段変速機(CVT)を有する。
バリエータ70は、プライマリプーリ71、セカンダリプーリ72、チェーン73等を有して構成されている。
プライマリプーリ71、セカンダリプーリ72は、チェーン73を軸方向に挟持する一対のシーブを有する。
プライマリプーリ71、セカンダリプーリ72は、シーブの間隔を油圧で変化させることにより、チェーン73の有効巻き掛け径を変更可能となっている。
バリエータ70は、プライマリプーリ71、セカンダリプーリ72の有効巻き掛け径を変更することにより、変速比の変更を行う。
プライマリプーリ71は、前後進切替機構60の出力軸に取り付けられている。
セカンダリプーリ72は、プライマリプーリ71と径方向に隣接し、プライマリプーリ71の回転軸と平行な回転軸回りに回転可能となっている。
チェーン73は、プライマリプーリ71及びセカンダリプーリ72に巻き掛けられ、これらの間で動力を伝達する環状の動力伝達部材である。
減速ギヤ80は、バリエータ70の出力軸の回転(セカンダリプーリ72の回転)を所定の減速比で減速して出力クラッチ90に伝達するものである。
減速ギヤ80として、例えば、平行軸に設けられた一対のヘリカルギヤ(ドライブギヤ、ドリブンギヤ)を用いることができる。
出力クラッチ90は、減速ギヤ80のドリブンギヤとフロントピニオンシャフト100との間で動力伝達が可能な接続状態と、動力伝達が遮断された切断状態とを切替可能な摩擦係合要素である。
出力クラッチ90は、例えば、車両が停車状態でエンジン10の出力によりISG50の発電を行う発電モードなどで切断され、走行時には接続される。
フロントピニオンシャフト100は、出力クラッチ90から伝達される動力を、トランスファシャフト110、及び、フロント最終減速装置150に伝達する回転軸である。
フロントピニオンシャフト100は、減速ギヤ80のドリブンギヤ及び出力クラッチ90と同心に配置され、ドリブンギヤの中央部に形成された開口の内部を貫通している。
フロントピニオンシャフト100の前端部には、フロント最終減速装置150のピニオンギヤ(駆動ギヤ)が形成されている。
フロントピニオンシャフト100の後端部には、トランスファシャフト110に動力を伝達するヘリカルギヤが設けられている。
トランスファシャフト110は、フロントピニオンシャフト100から、後輪に駆動力を伝達するトランスファクラッチ130に動力を伝達する回転軸である。
トランスファシャフト110の回転中心軸は、フロントピニオンシャフト100と平行かつ隣接して配置されている。
トランスファシャフト110は、前端部に設けられたヘリカルギヤを介してフロントピニオンシャフト100から動力が伝達される。
トランスファシャフト110はモータジェネレータ120のロータの内部を貫通し、その後端部は、トランスファクラッチ130に接続されている。
モータジェネレータ120は、車両の走行用動力源として駆動力を発生させるとともに、減速時に回生発電を行うことが可能な回転電機である。
モータジェネレータ120は、中空のロータの外径側にステータを有して構成され、トランスファシャフト110と同心に配置されている。
トランスファシャフト110の中間部は、モータジェネレータ120のロータの内径側を貫通して配置されている。
モータジェネレータ120のロータは、減速ギヤ121を介して、トランスファクラッチ130の入力部に接続されている。
トランスファクラッチ130は、トランスミッションから後輪RWに伝達されるトルクを調節し、前輪FWと後輪RWとの駆動力配分比を制御するものである。
トランスファクラッチ130は、トランスファシャフト110とプロペラシャフト140との間に設けられた摩擦要素である。
トランスファクラッチ130の締結力(伝達トルク)は、車両の走行状態等に応じて適宜制御される。
プロペラシャフト140は、トランスファクラッチ130から伝達される動力を、リヤ最終減速装置160に伝達する回転軸である。
プロペラシャフト140は、トランスミッションの後端部から、リヤ最終減速装置160が収容される図示しないデファレンシャルケースの前端部にかけて設けられ、車両のフロアパネルに形成されたフロアトンネル内に収容されている。
フロント最終減速装置150は、フロントピニオンシャフト100から伝達される回転を減速し、左右のフロントドライブシャフト170に伝達するものである。
フロント最終減速装置150には、左右の前輪FWの回転速度差を許容する図示しない差動機構(フロントデファレンシャル)を有する。
リヤ最終減速装置160は、プロペラシャフト140から伝達される回転を減速し、左右のリヤドライブシャフト180に伝達するものである。
リヤ最終減速装置160は、左右の後輪RWの回転速度差を許容する図示しない差動機構(リヤデファレンシャル)を有する。
フロントドライブシャフト170は、フロント最終減速装置150から前輪FWが取り付けられるハブに動力を伝達する回転軸である。
リヤドライブシャフト180は、リヤ最終減速装置160から後輪RWが取り付けられるハブに動力を伝達する回転軸である。
フロントドライブシャフト170、リヤドライブシャフト180の端部には、回転速度を変化させることなく角度を変化させることが可能な等速ジョイントが設けられる。
実施形態のパワートレインにおいては、フライホイール20に、以下説明するダイナミックダンパ装置200を備えている。
図2は、実施形態のダイナミックダンパ装置を径方向を含む平面で切って見た模式的断面図(図3のII-II部矢視図)である。
図3は、実施形態のダイナミックダンパ装置を軸方向から見た状態を示す模式図であって、エンジン低回転時の状態を示す図である。
図4は、実施形態のダイナミックダンパ装置を軸方向から見た状態を示す模式図であって、エンジン高回転時の状態を示す図である。
ダイナミックダンパ装置200は、イナーシャリング210、可動質量体220、フライホイールカム230等を備えている。
イナーシャリング210は、フライホイール20のエンジン10側の面部と隣接して配置され、エンジン10の運転時にフライホイール20とともに回転する回転質量体(第2の回転体)である。
また、イナーシャリング210は、フライホイール20に対して、クランクシャフト11の回転中心軸回りに所定の角度範囲内で相対回動(揺動)可能となっている。
イナーシャリング210は、フライホイール20と同心の円盤状に形成されている。
イナーシャリング210の中央部には、回転中心軸と同心の円形の開口が形成されている。
開口の内周縁部は、ベアリング211を介して、フライホイール20に取り付けられている。
イナーシャリング210とフライホイール20との間には、スプリング212が設けられている。
スプリング212は、イナーシャリング210のフライホイール20に対する相対回動量に応じた反力を発生する例えばコイルばねなどの弾性体である。
スプリング212は、イナーシャリング210がフライホイール20に対して相対回動した際に、反力により所定の中立位置へ復帰させる機能を有する。
スプリング212は、イナーシャリング210の周方向に分散して複数設けられる。
可動質量体220は、イナーシャリング210に対して径方向に相対変位可能に取り付けられた錘(第2の質量体)である。
可動質量体220は、フライホイール20の回転軸方向において、フライホイール20とイナーシャリング210との間の領域に配置されている。
可動質量体220は、支軸221、アーム222を介してイナーシャリング210に取り付けられている。
支軸221は、イナーシャリング210のフライホイール20側の面部から突出して設けられている。
アーム222は、フライホイール20の回転中心軸に対して直交する平面に沿って延在する梁状の部材である。
アーム222は、その中間部が、支軸221に対してフライホイール20の回転中心軸と平行な軸回りに回動(揺動)可能な状態で取り付けられている。
可動質量体220は、アーム222の一方の端部に取り付けられ、アーム222の揺動に応じてイナーシャリング210に対して径方向に相対変位する。
アーム222の可動質量体220側とは反対側の端部には、カムフォロワ223が設けられている。
カムフォロワ223は、ベアリングを介してアーム222に対して回転可能に支持された円筒型のローラ(コロ)として形成されている。
アーム222、カムフォロワ223は、フライホイールカム230と可動質量体220とを連動させる連動機構として機能する。
フライホイールカム230は、カムフォロワ223をイナーシャリング210の外径側に押圧し、可動質量体220をイナーシャリング210に対して径方向に相対変位させる質量体(第1の質量体)である。
フライホイールカム230は、フライホイール20の回転軸方向において、フライホイール20とイナーシャリング210との間の領域に配置されている。
フライホイールカム230は、フライホイール20に対して、径方向に相対変位可能に支持されている。
フライホイールカム230は、フライホイール20に対して周方向に相対変位しないよう拘束されている。
フライホイールカム230は、スプリング231を介してフライホイール20に連結されている。
スプリング231は、フライホイールカム230のフライホイール20に対する径方向の相対変位に応じた反力を発生する弾性体である。
スプリング231は、フライホイールカム230が、フライホイール20の回転時に遠心力(慣性力)により外径側に変位した際に、内径側に引き戻す復元力を発生する。
フライホイールカム230におけるフライホイール20の外径側の端部には、カム面232が形成されている。
カム面232は、カムフォロワ223と当接してこれをイナーシャリング210の外径側へ押圧し、アーム222を支軸221回りに揺動させて可動質量体220をイナーシャリング210の径方向に変位させるものである。
実施形態のダイナミックダンパ装置200においては、クランクシャフト11の回転速度変動に応じて、フライホイールカム230が取り付けられたフライホイール20に対して、イナーシャリング210が中心軸回りに揺動する。
このとき、カムフォロワ223は、ベアリングによりアーム222に対して転動しつつ、カム面232の表面に沿って走行する。
フライホイール20の周方向におけるカム面232の長さは、フライホイール20に対するフライホイールカム230の最大変位時に、カムフォロワ223が脱落しないよう設定されている。
また、カムフォロワ223の転動(走行)時における可動質量体220の径方向変位を抑制するため、カム面232の表面は、フライホイール20の外径側が凸となる円弧状の曲面として形成されている。
以上説明した可動質量体220、フライホイールカム230は、フライホイール20及びイナーシャリング210の周方向に分散して複数個所(2箇所あるいはそれ以上)に設けられている。
次に、実施形態のダイナミックダンパ装置200の動作について以下説明する。
図3に示すように、エンジンの回転数(クランクシャフト11の回転速度)が比較的低い領域(例えば始動時、アイドリング時など)においては、フライホイールカム230に作用する遠心力(慣性力)が比較的低く、フライホイールカム230はスプリング231の付勢力によってフライホイール20の内径側(回転中心軸側)に引き寄せられた状態となっている。
このとき、カムフォロワ223もカム面232に追従して内径側へ変位することにより、支軸221を挟んでアーム222の別の端部側にある可動質量体220は、イナーシャリング210の外径側に振り出された状態となっている。
図4に示すように、エンジンの回転数が比較的高い領域(例えば1500rpm以上の領域)においては、フライホイールカム230に作用する遠心力が大きくなってスプリング231の付勢力に打ち勝ち、フライホイールカム230は、エンジン回転数の増加に応じてカムフォロワ223を外径側へ押しつつ外径側へ変位する。
このとき、可動質量体220は、低回転時に対して、イナーシャリング210の内径側に変位する。
これによって、イナーシャリング210及び可動質量体220の慣性モーメントは低回転時に対して小さくなり、ダイナミックダンパ装置200の制振効果が得られる周波数帯域が高域側へ推移する。これにより、加振周波数が高まるエンジン高回転時において、良好な制振効果を得ることができる。
なお、フライホイールカム230はフライホイール20に取り付けられており、これが外径側へ変位しても、イナーシャリング210及びこれに随伴して回転する部位の慣性モーメントに影響を与えることはない。
以下、実施形態の効果を、以下説明する本発明の比較例1,2と対比して説明する。
図5は、実施形態、及び、本発明の比較例1,2におけるエンジン回転数と回転変動量との相関を示す図である。
比較例1,2の説明において、実施形態と共通する箇所には同じ符号を付して説明を省略し、主に相違点について説明する。
比較例1は、実施形態の構成からダイナミックダンパ装置200を撤去したもの(ダイナミックダンパを持たないもの)である。比較例1においては、ISG50のロータのイナーシャが大きいことによるインプットシャフト30のねじり共振の抑制効果は、インプットシャフト30自体の剛性による影響が支配的となる。
比較例2は、実施形態の構成から、ダイナミックダンパ装置200の可動質量体220、フライホイールカム230及びこれらに付随する部品を撤去したもの(非可変式のダイナミックダンパ装置を有するもの)である。
図5において、横軸はエンジン回転数(加振周波数と比例する)を示し、縦軸は回転速度変動を示している。
また、図5において、実施形態、比較例1、比較例2のデータを、それぞれ実線、一点鎖線、二点鎖線で図示している。
ダイナミックダンパ装置をもたない比較例1においては、一部の回転数の領域において、図中に点線で示すトランスミッション騒音の許容上限レベルを超過してしまう。
また、比較例2のように、周波数固定のダイナミックダンパ装置を設けた場合、許容上限レベルを下回るものの、依然として回転変動が大きくなるピークが存在する。
これに対し、実施形態においては、エンジン回転数において広範な領域Rにわたって良好な制振効果を発揮し、回転変動を効果的に抑制していることがわかる。
以上説明したように、本実施形態によれば、エンジン回転数の増加に伴う遠心力(慣性力)の増加によって、フライホイールカム230がフライホイール20に対して外径側に変位すると、カムフォロワ223及びアーム222によりイナーシャリング210に取り付けられた可動質量体220が内径側に変位し、イナーシャリング210及び可動質量体220の慣性モーメントの和が減少する。
また、フライホイールカム230は、フライホイール20に取り付けられているため、これが外径側へ変位してもイナーシャリング210等の慣性モーメントに影響を与えることはない。
これによって、ダイナミックダンパ装置200の制振効果が得られる周波数帯域を高域側へ推移させ、広範な周波数範囲で良好な制振効果を得ることができる。
このため、ISG50のロータのイナーシャが大きくインプットシャフト30のねじり共振に対して不利な場合であっても、インプットシャフト30のねじり共振を効果的に抑制し、トランスミッション内部の歯打ち音やこもり音などの騒音を低減することができる。
(変形例)
本発明は、以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。
(1)ダイナミックダンパ装置、パワートレイン、車両の構成は、上述した実施形態に限らず、適宜変更することができる。
実施形態において、車両はエンジン-電気ハイブリッドの全輪駆動(AWD)車両であるが、車両の走行用動力源や駆動方式、トランスミッション内部の構造などは適宜変更することができる。
例えば、本発明は、エンジンのみを走行用動力源とする車両や、二輪駆動車、また、ステップAT、DCT、MT、AMTなど、CVT以外の変速機構部を有する車両にも適用することができる。
(2)実施形態のダイナミックダンパ装置においては、可動質量体等を例えば周方向2箇所に設けているが、これに限らず、例えば3箇所以上設けてもよい。
(3)実施形態のダイナミックダンパ装置は、一例としてエンジンとトランスミッションとの間に設けられるフライホイールに設けられるものであったが、本発明はこれに限らず他の回転体にも適用することができる。
1 パワートレイン
10 エンジン 11 クランクシャフト
20 フライホイール 21 ダンパ
30 インプットシャフト 40 エンジン切離クラッチ
50 インテグレーテッドスタータジェネレータ(ISG)
51 ダンパ
60 前後進切替機構 61 プラネタリギヤ機構
62 フォワードクラッチ 63 リバースブレーキ
70 バリエータ 71 プライマリプーリ
72 セカンダリプーリ 73 チェーン
80 減速ギヤ 90 出力クラッチ
100 フロントピニオンシャフト 110 トランスファシャフト
120 モータジェネレータ 121 減速ギヤ
130 トランスファクラッチ 140 プロペラシャフト
150 フロント最終減速装置 160 リヤ最終減速装置
170 フロントドライブシャフト 180 リヤドライブシャフト
200 ダイナミックダンパ装置 210 イナーシャリング
211 ベアリング 212 スプリング
220 可動質量体 221 支軸
222 アーム 223 カムフォロワ
230 フライホイールカム 231 スプリング
232 カム面
FW 前輪 RW 後輪

Claims (3)

  1. 回転中心軸回りに回転する第1の回転体と、
    前記第1の回転体に対して前記回転中心軸回りに相対回動可能に取り付けられた第2の回転体と、
    前記第1の回転体と前記第2の回転体との回動方向の相対変位に応じた反力を発生する弾性体と、
    前記第1の回転体に径方向に相対変位可能に取り付けられた第1の質量体と、
    前記第2の回転体に径方向に相対変位可能に取り付けられた第2の質量体と、
    前記第1の質量体の外径側への変位と連動して前記第2の質量体を内径側に変位させる連動機構と
    を備えることを特徴とするダイナミックダンパ装置。
  2. 前記第1の回転体の回転速度増加に応じて、前記第2の質量体が内径側に変位すること
    を特徴とする請求項1に記載のダイナミックダンパ装置。
  3. 前記第1の回転体は、エンジンの出力軸に取り付けられたフライホイールであり、前記出力軸の回転を変速する変速機の入力軸に連結されること
    を特徴とする請求項1又は請求項2に記載のダイナミックダンパ装置。
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