JP7391649B2 - マゼンタトナー - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真法、静電記録法、トナージェット法の如き画像形成方法における静電荷潜像を現像するためのマゼンタトナーに関する。
近年、複合機やプリンターに於いては、さらなる高速化と高画質化が要求されており、トナーの性能改善が求められている。
高速化において高画質化を達成するためには、トナーの帯電特性を向上させる必要がある。特許文献1では、ベンジルオキシサリチル酸構造を有する樹脂を含有するトナーにおいて、帯電の立ち上がりが良好なトナーが提案されている。
また、高画質化を達成するためには、色再現範囲を広く、画像の着色力を向上させ、高画質・高品位のカラー画像を形成することが望まれている。特に、マゼンタトナーは、イエロートナーを加えて人間の視覚感度が高い赤色を再現するために重要であると同時に、例えば、複雑な色調を持つ人物像の肌色を再現する際には優れた現像性も要求される。また、シアントナーを加えてビジネスカラーとして使用頻度の高い青色の2次色再現を達成しなければならない。
これらの要求を満たすためには、高彩度なマゼンタトナーが必要である。そのためには、着色剤として顔料を用いる場合は、顔料を十分に微細化し、トナー中へ均一に分散させることが必要となる。そのため、特許文献2では、顔料との吸着率の低い極性樹脂と顔料分散剤とを用いたトナーが提案されている。
特開2012-256044号公報 特開2016-157101号公報
特許文献1に記載されたトナーでは、帯電制御樹脂と顔料との吸着率が高く、顔料分散に改善の余地があった。特許文献2に記載されたトナーでは、顔料分散剤と顔料との吸着率の低い極性樹脂を使用することにより着色力と耐久性を両立している。しかしながら、特許文献2では顔料分散剤を使用することにより、色味が変化してしまう課題があった。また、顔料分散剤を使用するため材料コストがかかる課題があった。
本発明の目的は、顔料分散剤を用いることなく高彩度で帯電性に優れたマゼンタトナーを提供することである。
本発明は、結着樹脂、顔料、および極性樹脂を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
前記結着樹脂が、スチレンアクリル樹脂であり、
前記極性樹脂がカルボキシ基に由来する酸価を2.0mgKOH/g以上20.0mgKOH/g以下有するポリエステル樹脂であり
前記顔料に対する前記極性樹脂の吸着率が10%以下であり、
前記顔料が、後述の式(1)で示される化合物Aおよび後述の式(2)で示される化合物Bを含有し、
前記化合物Aの質量の、前記化合物Bの質量に対する比の値(前記化合物A/前記化合物B)が、95/5から5/95であ
ことを特徴とするマゼンタトナーに関する。
本発明によれば、顔料分散剤を用いることなく高彩度で帯電性に優れたマゼンタトナーを提供することができる。
本発明は、結着樹脂、顔料、および極性樹脂を含有するトナー粒子を有するトナーであって、前記極性樹脂がカルボキシ基に由来する酸価を2.0mgKOH/g以上20.0mgKOH/g以下有し、前記顔料に対する前記極性樹脂の吸着率が10%以下であることを特徴とするマゼンタトナーである。
上記の構成を有するトナーは、帯電性に優れ、かつ顔料分散剤を用いなくても彩度が高いマゼンタトナーを提供することができる。
トナーの帯電性を向上させるために極性樹脂を使用した場合、顔料に極性樹脂が吸着し、顔料を凝集させてしまい、高い彩度を維持することが難しい問題があった。また、顔料と極性樹脂が吸着することで、極性樹脂の帯電性能を顔料が阻害してしまう問題があった。ここで従来は、極性樹脂よりも顔料との吸着力の高い顔料分散剤を使用して解決を図ってきている。しかし、本発明者らが鋭意検討した結果、顔料に対する極性樹脂の吸着率を10%以下に抑えることによりこの問題が解決することを見出した。
極性樹脂としては、カルボキシ基に由来する酸価を2.0mgKOH/g以上20.0mgKOH/g以下有していることが必要である。カルボキシ基を有することで帯電特性の環境差を小さく抑えることが可能となる。また、酸価を2.0mgKOH/g以上20.0mgKOH/g以下とすることで、かぶりとチャージアップ抑制の両立が可能となる。より好ましくは4.0mgKOH/g以上15.0mgKOH/g以下である。
ここでかぶりとは白画像を印字した際に感光体上にトナーが残る現象である。トナーの帯電性が低すぎる場合や、トナー表面に顔料が露出した際にトナー表面で逆極性の電荷が存在することによって引き起こされる現象だと考えている。また、チャージアップは、トナーの帯電性が高すぎる場合に引き起こされる現象であり、現像ローラ上でトナーが入れ替わらず摺擦されることでトナーが劣化し、各種部材に融着することで画像上にスジが発生すると考えている。
酸価が2.0mgKOH/g未満であるとかぶりが発生する懸念がある。また、20.0mgKOH/gを超えると、チャージアップを引き起こす懸念がある。
さらに、顔料に対する吸着率が10%以下であることで、帯電性と顔料分散性の両立が図れ、彩度の高いマゼンタトナーを得ることができる。吸着率が10%を超えると、顔料分散性が不十分となり、彩度が低下する懸念がある。極性基はカルボキシ基のみであることがさらに好ましい。カルボキシ基のみとすることでチャージアップをより効果的に抑制することができる。
本発明において、極性樹脂は上記条件を満たすものであれば特に限定はなく、従来公知の極性樹脂を用いることができる。例えば、ポリエステル樹脂、スチレンアクリル樹脂、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂などが挙げられる。中でもポリエステル樹脂又はスチレンアクリル樹脂であることが高温高湿下での保存や使用の観点から好ましい。
本発明に用いることができるマゼンタ顔料は、顔料に対する極性樹脂の吸着率が10%以下であれば、キナクリドン系マゼンタ顔料、チオインジゴ系マゼンタ顔料、キサンテン系マゼンタ顔料、ペリレン系マゼンタ顔料、モノアゾ系マゼンタ顔料何れも選択できる。中でも、本発明に用いられるマゼンタ顔料は、モノアゾ系マゼンタ顔料が好ましい。
中でも、下記式(5)で示されるモノアゾ系マゼンタ顔料である化合物Cが好ましい。
Figure 0007391649000001
(式中、R1は、メチル基、または炭素数3以上8以下のアルキル基の何れかを示す。R2は、水素、または炭素数1以上4以下のアルキル基の何れかを示す。R3は、炭素数1以上4以下のアルキル基または炭素数1以上4以下のアルコキシ基の何れかを示す。R4は、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、シアノ基、ニトロ基の何れかを示す。)
上記アゾ系マゼンタ顔料の製造方法として、公知の方法を用いることができ、例えば、以下のようなアゾカップリングの方法によって製造することができる。
先ず、メタノール等の溶剤、又は水中、下記式(6)で示される化合物Dを塩酸又は硫酸等の無機酸の存在下、亜硝酸ナトリウム、又はニトロシル硫酸等のジアゾ化剤と反応させて、対応するジアゾニウム化合物を製造する。更に、このジアゾニウム化合物と下記式(7)で示される化合物Eとカップリングさせて、化合物Cを製造することができる。
本工程は無溶剤で行うことも可能であるが、反応の急激な進行を防ぐため溶剤の存在下で行うことが好ましい。溶剤としては、反応を阻害しないものであれば特に制限されるものではないが、例えば、メタノール、エタノール、及びプロパノール等のアルコール類、酢酸メチル、酢酸エチル、及び酢酸プロピル等のエステル類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、及びジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、及びヘプタン等の炭化水素類、ジクロロメタン、ジクロロエタン、及びクロロホルム等の含ハロゲン炭化水素類、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン、N,及びN-ジメチルイミダゾリジノン等のアミド類、アセトニトリル、及びプロピオニトリル等のニトリル類、ギ酸、酢酸、及びプロピオン酸等の酸類、水等が挙げられる。また、上記溶剤は2種以上を混合して用いることができる。上記溶剤の使用量は、任意に定めることができるが、反応速度の点で、式(6)の化合物Dに対し5.0倍量以上50.0倍量以下の範囲が好ましい。アゾカップリング反応は、-5℃~30℃の温度範囲で行われる。
合成した化合物Cは水洗、乾燥後、アセトン濡れ性を制御することを目的として、溶媒での処理を行うことができる。所望のアセトン濡れ性に応じて、下記のような溶媒を選択することができる。例えば、アセトン、MIBKなどケトン系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、イソプロパノール、イソブタノール等のアルコール系溶媒、ヘキサンやヘプタンなどの脂肪族炭化水素系溶媒を用いることができる。溶媒処理の温度は10~50℃が好ましく、処理時間は、30分~24時間が好ましい。
Figure 0007391649000002
(式中、R5は、メチル基、または炭素数3以上8以下のアルキル基の何れかを示す。R6は、水素、または炭素数1以上4以下のアルキル基の何れかを示す。R7は、炭素数1以上4以下のアルキル基または炭素数1以上4以下のアルコキシ基の何れかを示す。)
Figure 0007391649000003
(式中、R8は、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、シアノ基、ニトロ基の何れかを示す。)
この顔料を用いると、極性樹脂との吸着率を10%以下に抑えることが可能となる。前記式(5)のモノアゾ系マゼンタ顔料は他のマゼンタ顔料と比較すると極性が低い。そのため、極性樹脂との相互作用が小さくなり吸着率を10%以下に抑えることが可能である。詳細は明らかではないが、前記式(5)の顔料が粒子化される際、極性基が内側に存在するよう配向し、他のマゼンタ顔料と比較すると顔料粒子最表面は極性の低い結晶構造となっているのではないかと考えている。
式(5)のモノアゾ系マゼンタ顔料の中でも、顔料が式(1)で示される化合物Aと式(2)で示される化合物Bを含有していることが好ましい。化合物Aと化合物Bを含有することで、顔料の一次粒径が従来のマゼンタ顔料よりも小さいものが得られる。
Figure 0007391649000004
さらに、化合物Aと化合物Bの質量比A/Bが95/5から5/95であることが好ましい。A/Bを上記範囲とすることでより一次粒径が小さい顔料が得られ、彩度の高いトナーが得られる。より好ましくは、A/Bが80/20から60/40、もしくは40/60から20/80である。
前記化合物A1と前記化合物A2を合わせた質量が、前記トナー粒子中の前記顔料の質量の90%以上であることが好ましい。極性樹脂との吸着率を低い状態に保つためである。
また、前記極性樹脂の含有量が、前記結着樹脂の全質量に対して、1.0質量%以上30.0質量%以下含有することが好ましい。前記範囲とすることで、トナーの帯電性能をより良い状態に制御することが可能となる。具体的には、1.0質量%以上とすることで、かぶりを抑制することが出来る。また、30.0質量%以下とすることで、チャージアップを抑制することが出来る。
さらに、トナー粒子を水に分散して得た分散物を滴定法により測定して得た酸価をAVH(mgKOH/g)としたとき、AVHが0.20mgKOH/g以上1.00mgKOH/g以下であり、前記トナー粒子をエタノールに分散して得た分散物を滴定法により測定して得た酸価をAVE(mgKOH/g)としたとき、AVH/AVEが0.10以上0.25以下であることが好ましい。
トナーの帯電性はトナー最表面の状態に強く影響される。本発明のトナーは、極性樹脂がその帯電制御機能を発現しており、トナーの最表面に存在していることが好ましい。トナー粒子を水に分散させた場合、トナー粒子は水には溶解しないため、得られた酸価AVH(mgKOH/g)は、トナー粒子最表面のみの酸価を測定したことになる。AVHが0.20mgKOH/g以上1.00mgKOH/g以下であると、かぶりとチャージアップを抑制することが可能となる。一方、トナー粒子をエタノールに分散させた場合、トナー粒子は溶解はしないもののエタノールとの僅かな親和性のために表面近傍が膨潤する。この状態で測定した酸価は、表面近傍の酸価を測定しており、表面近傍に極性樹脂がどの程度存在するかを表している。表面近傍に極性樹脂が存在することで、トナーの耐久性を高めることができる。AVH/AVEが0.10以上0.25以下であると、帯電性能と耐久性が良好なトナーを得ることができる。
また、前記顔料は、アセトン/水混合溶媒に対する濡れ性試験において、波長780nmの光の透過率が50%のときのアセトン濃度が、5.5体積%以上10.0体積%以下であり、前記結着樹脂の溶解度パラメータ(SP値)が9.8以上11.0以下であることが好ましい。
本発明では、極性樹脂と顔料の吸着率を10%以下とすることで良好な顔料分散状態を得ることが可能である。この吸着率を10%以下に抑制するには、顔料の極性を低くすることが重要である。顔料は、溶媒やトナーの構成材料と溶解しない。したがって、吸着には顔料表面が作用している。そのため、顔料の極性としては顔料表面の極性を制御することが重要であり、極性を評価するには濡れ性試験が良い手段である。アセトン/水混合溶媒に対する濡れ性試験において、波長780nmの光の透過率が50%のときのアセトン濃度が、5.5体積%以上10.0体積%以下であることが好ましい。この範囲にすることで、吸着率が低く、顔料分散性の良好なトナーを得ることができる。5.5体積%以上とすることで、極性樹脂との吸着率を低く抑えることができる。10.0体積%以下とすることでトナー中での極性樹脂との親和性もある程度保つことができ、顔料分散性がより良好になる。また、この顔料と極性樹脂との親和性をある程度保つことで、定着時に極性樹脂と顔料とが反発し、凝集による彩度低下を抑制することができる。
さらに、本発明では、前記結着樹脂のfedorsの式より求められる溶解度パラメータ(SP値)が9.8以上11.0以下であることが好ましい。この範囲とすることで、前記顔料分散性を良好に保つばかりか、トナーの割れを抑制することができる。アセトン/水混合溶媒に対する濡れ性試験においては、顔料と極性樹脂の親和性を直接評価するのが難しいため、間接的に顔料と極性樹脂の親和性を試験するために行っている。顔料と極性樹脂の親和性をアセトンで疑似的に評価しており、実質アセトンと顔料との親和性を試験しているものである。アセトンのSP値は、10.0(「Ecycl.Polym.Sci.chnol.、42,76(1965)」記載)である。アセトンと近いSP値の結着樹脂を用いると、顔料/極性樹脂/結着樹脂の親和性のバランスがより良好に保たれ、トナーの割れも抑制できることが明らかとなった。結着樹脂のSP値が9.8以上11.0以下であるとトナー割れの抑制効果が良好である。この範囲とすることで、結着樹脂と顔料との界面での僅かなクラックから発生するトナー割れが抑制できるためであると考えている。
上記のような顔料/極性樹脂/結着樹脂の親和性のバランスを保つため、結着樹脂の酸価は極性樹脂の酸価よりも小さいほうが好ましい。
さらに、結着樹脂の酸価をAVB、極性樹脂の酸価をAVPとしたとき、AVBが5.0mgKOH/g以下であり、かつ、式(4)を満たすことがより好ましい。
式(4) AVB<AVP-2
式(4)の条件を満たすことで、帯電性能がより良好な状態となる。
また、本発明は、顔料のXRD測定において、3°<2θ<60°の範囲内の最大強度を有するピークにおいて算出される結晶子サイズDが下記式(3)を満たすことが好ましい。
式(3) 1.0nm≦D≦7.0nm
結晶子サイズが1.0nm未満である場合、結晶性が低下し、耐光性が悪化する。また結晶子サイズが7.0nmより大きい場合、散乱成分が増大し、彩度が低下する。結晶子サイズの制御方法としては、顔料の構造を変更する他、複数種の顔料骨格を用いて固溶体を形成する方法、顔料化工程での温度条件などを変更することによって制御することができる。
本発明において、極性樹脂は結着樹脂100質量部に対して1.0質量部以上15.0質量部以下であることがより好ましい。また、顔料が前記結着樹脂100質量部に対して1.0質量部以上10.0質量部以下であることが好ましい。また、顔料が前記極性樹脂100質量部に対して6.7質量部以上1000質量部以下であることが好ましい。このような数値範囲とすることで、顔料分散性と帯電性能とがより良い状態となり、高彩度で高耐久なトナーを得ることができる。
本発明の結着樹脂としては、ビニル系樹脂、マレイン酸共重合体、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂など公知の樹脂を用いることができる。この中でもビニル系樹脂とポリエステル樹脂が製造容易性の観点から好ましい。また、高温高湿下での保存や使用の観点からスチレンアクリル樹脂又はポリエステル樹脂がさらに好ましい。
ビニル系樹脂の製造に使用できるビニル系単量体としては、スチレン、α-メチルスチレン、β-メチルスチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、p-n-ブチルスチレン、p-tert-ブチルスチレン、p-n-ヘキシルスチレン、p-n-オクチルスチレン、p-n-ノニルスチレン、p-n-デシルスチレン、p-n-ドデシルスチレン、p-メトキシスチレン、及びp-フェニルスチレンのようなスチレン誘導体類;
メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-プロピルアクリレート、iso-プロピルアクリレート、n-ブチルアクリレート、iso-ブチルアクリレート、tert-ブチルアクリレート、n-アミルアクリレート、n-ヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、n-オクチルアクリレート、n-ノニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジメチルフォスフェートエチルアクリレート、ジエチルフォスフェートエチルアクリレート、ジブチルフォスフェートエチルアクリレート、及び2-ベンゾイルオキシエチルアクリレートのようなアクリル系重合性単量体類;
メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n-プロピルメタクリレート、iso-プロピルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、iso-ブチルメタクリレート、tert-ブチルメタクリレート、n-アミルメタクリレート、n-ヘキシルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、n-オクチルメタクリレート、ジエチルフォスフェートエチルメタクリレート、及びジブチルフォスフェートエチルメタクリレートなどのメタクリル系重合性単量体類;が挙げられる。
これらは単独あるいは二種以上組み合わせて使用することができる。
ポリエステル樹脂に使用できる縮重合単量体としては多価カルボン酸と多価アルコールが使用できる。
多価カルボン酸としてはシュウ酸、グルタル酸、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、β-メチルアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、フマル酸、シトラコン酸、ジグリコール酸、シクロヘキサン-3,5-ジエン-1,2-ジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、マロン酸、ピメリン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラクロロフタル酸、クロロフタル酸、ニトロフタル酸、p-カルボキシフェニル酢酸、p-フェニレン二酢酸、m-フェニレンジグリコール酸、p-フェニレンジグリコール酸、o-フェニレンジグリコール酸、ジフェニル酢酸、ジフェニル-p,p’-ジカルボン酸、ナフタレン-1,4-ジカルボン酸、ナフタレン-1,5-ジカルボン酸、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等が挙げられる。また、ジカルボン酸以外の多価カルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレントリカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸、ピレントリカルボン酸、ピレンテトラカルボン酸等が挙げられる。
多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-ブテンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ソルビトール、1,2,3,6-ヘキサンテトロール、1,4-ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4-ブタントリオール、1,2,5-ペンタントリオール、グリセロール、2-メチルプロパントリオール、2-メチル-1,2,4-ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5-トリヒドロキシメチルベンゼン、ビスフェノールA、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物、水素化ビスフェノールA、水素化ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、水素化ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物などが挙げられる。
本発明のトナーは、離型剤を含有しても良い。離型剤としては、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物;脂肪族炭化水素系ワックスのブロック共重合物;カルナバワックス、サゾールワックス、モンタン酸エステルワックスの如き脂肪酸エステルを主成分とするワックス;及び脱酸カルナバワックスの如き脂肪酸エステルを一部又は全部を脱酸化したもの、ベヘニン酸モノグリセリドの如き脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂を水素添加することによって得られるヒドロキシ基を有するメチルエステル化合物が挙げられる。
離型剤の分子量分布としては、メインピークが分子量400以上2400以下の領域にあることが好ましく、430以上2000以下の領域にあることがより好ましい。これによって、トナーに好ましい熱特性を付与することができる。離型剤の添加量は、結着樹脂100質量部に対して総量で2.50質量部以上40.0質量部以下であることが好ましく、3.00質量部以上15.0質量部以下であることがより好ましい。
本発明のトナーの製造方法について説明する。本発明のトナーは従来公知の方法によって製造することができる。例えば、結着樹脂を得るための重合性単量体、顔料、極性樹脂及び必要に応じて離型剤等を含む重合性単量体組成物を水系媒体に懸濁・造粒し、重合性単量体組成物中の重合性単量体を重合する懸濁重合法;結着樹脂、顔料、極性樹脂及び必要に応じて離型剤等の各種トナー構成材料を混練、粉砕、分級する混練粉砕法;結着樹脂を乳化して分散した分散液と、顔料分散液と、極性樹脂を乳化して分散した分散液と必要に応じて離型剤等の分散液とを混合し、凝集、加熱融着させ、トナー粒子を得る乳化凝集法;結着樹脂を構成する重合性単量体を乳化重合させ、形成された分散液と、顔料分散液、極性樹脂を乳化、分散した極性樹脂分散液と、必要に応じて離型剤等の分散液とを混合し、凝集、加熱融着させ、トナー粒子を得る乳化重合凝集法;有機溶媒中に結着樹脂、顔料、極性樹脂及び必要に応じて離型剤等を含む有機溶媒分散液を水系媒体に懸濁させて造粒する溶解懸濁法;等が使用できる。
本発明において、トナーの画質向上のために、外添剤がトナー粒子に外部添加されていてもよい。外添剤としては、シリカ微粉体、酸化チタン微粉体、または酸化アルミニウム微粉体のような無機微粉体が好適に用いられる。これら無機微粉体は、シランカップリング剤、シリコーンオイルまたはそれらの混合物の疎水化剤で疎水化処理されていることが好ましい。さらに、本発明のトナーは必要に応じて、前記以外の外添剤をトナー粒子に混合してもよい。無機微粉体の添加量は、トナー粒子100質量部に対して、0.5質量部以上5.0質量部以下であることが好ましい。
<顔料に対する極性樹脂の吸着率の測定方法>
吸着率は以下のように測定する。
顔料 1.0g
極性樹脂 0.15g
スチレン 16.0g
n-ブチルアクリレート 4.0g
ガラスビーズ(直径0.8mm) 30.0g
上記材料を50mlの耐圧瓶に秤量する。その後ペイントシェイカー(東洋精機株式会社製)にて10時間振とうする。
振とう後の分散液を遠心分離器(eppendorf社製・mini spin plus:14.5krpm、30分間)で分離し、上澄みを取る。
上澄みをマイレクス LH0.45μm(日本ミリポア社製)でろ過し、ろ液をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で分析する。得られたクロマトグラム(縦軸:濃度に依存した電気的強度、横軸:リテンションタイム)のピーク面積をS1とする。なお、縦軸は、濃度に依存した指標であればよく、特に限定されない。
同様に、下記材料を混合した溶液をマイレクスでろ過し、ろ液をGPCで分析する。
極性樹脂 0.15g
スチレン 16.0g
n-ブチルアクリレート 4.0g
得られたクロマトグラムのピーク面積をS2とする。なお、以下でS1とS2との面積比と求めるため、ピーク面積S1およびS2を求めるクロマトグラムは、同じ縮尺度の縦軸及び横軸を用いたクロマトグラムを作成する。
下記式に従って、顔料に対する顔料分散剤又は非晶性樹脂の吸着率を算出する。
吸着率(%)=(1-S1/S2)×100
なお、GPCは、以下の条件で分析する。
装置:HLC8120 GPC(検出器:RI)(東ソー社製)
カラム:Shodex KF-801、802、803、804、805、806、807の7連(昭和電工社製)
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0ml/min
オーブン温度:40.0℃
試料注入量:0.10ml
試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F-850、F-450、F-288、F-128、F-80、F-40、F-20、F-10、F-4、F-2、F-1、A-5000、A-2500、A-1000、A-500」、東ソ-社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
<樹脂酸価の測定方法>
酸価は試料1gに含まれる酸を中和するために必要な水酸化カリウムのmg数である。本発明における酸価は、JIS K 0070-1992に準じて測定されるが、具体的には、以下の手順に従って測定する。
0.1モル/L水酸化カリウムエチルアルコール溶液(キシダ化学(株)製)を用いて滴定を行う。前記水酸化カリウムエチルアルコール溶液のファクターは、電位差滴定装置(京都電子工業(株)製 電位差滴定測定装置AT-510)を用いて求めることができる。0.100モル/L塩酸100mLを250mLトールビーカーに取り、前記水酸化カリウムエチルアルコール溶液で滴定し、中和に要した前記水酸化カリウムエチルアルコール溶液の量から求める。前記0.100モル/L塩酸は、JIS K 8001-1998に準じて作製されたものを用いる。
下記に酸価測定の際の測定条件を示す。
滴定装置:電位差滴定装置AT-510(京都電子工業(株)製)
電極:複合ガラス電極ダブルジャンクション型(京都電子工業(株)製)
滴定装置用制御ソフトウエア:AT-WIN
滴定解析ソフト:Tview
滴定時における滴定パラメーター並びに制御パラメーターは下記のように行う。
滴定パラメーター
滴定モード:ブランク滴定
滴定様式:全量滴定
最大滴定量:20mL
滴定前の待ち時間:30秒
滴定方向:自動
制御パラメーラー
終点判断電位:30dE
終点判断電位値:50dE/dmL
終点検出判断:設定しない
制御速度モード:標準
ゲイン:1
データ採取電位:4mV
データ採取滴定量:0.1mL
本試験;
測定サンプル0.100gを250mLのトールビーカーに精秤し、トルエン/エタノール(3:1)の混合溶液150mLを加え、1時間かけて溶解し、測定サンプルとした。前記電位差滴定装置を用い、前記水酸化カリウムエチルアルコール溶液を用いて滴定する。
空試験;
試料を用いない(すなわちトルエン/エタノール(3:1)の混合溶液のみとする)以外は、上記操作と同様の滴定を行う。
得られた結果を下記式に代入して、酸価を算出する。
A=[(C-B)×f×5.611]/S
(式中、A:酸価(mgKOH/g)、B:空試験の水酸化カリウムエチルアルコール溶液の添加量(mL)、C:本試験の水酸化カリウムエチルアルコール溶液の添加量(mL)、f:水酸化カリウム溶液のファクター、S:試料(g)である。)
<樹脂分散液の個数平均粒径D1の測定>
動的光散乱式マイクロトラック粒度分布測定装置[UPA-150](日機装(株))を用い、樹脂分散液の粒度分布を算出する。測定に用いる水系媒体と測定セル温度が同じになるように、セルの温調を行ないながら測定を行う。粒径測定は、温度25℃で行う。
(1)セル内部にRO水:3.0gを入れた後、Back ground checkを行う。サンプルローディングが、0.0010以下になるのを確認する。
(2)セル内部にRO水:3.0gを入れた後、Set Zeroを行う。Set Z
eroの条件は、時間:60秒で行う。
(3)以下の条件を入力する。
測定時間:30s、測定回数:2回
粒子条件:透過性、屈折率:1.62、形状:非球形、密度:3.17
溶媒条件:WATERを選択
屈折率:1.333
高温時粘度:0.797(30℃)、低温時粘度:1.002(20℃)
表示設定:標準を選択
分布表示:体積を選択
(4)測定セルに乳化粒子を含有する水系媒体:3.0gを入れ、測定を開始する。
(5)測定データを装置付属の専用ソフトにて解析を行い、個数平均粒径(D1)を算出する。
<顔料の結晶子サイズの測定方法>
顔料の結晶子サイズは、X線回折(XRD)を用いて、以下のような方法で測定した。
顔料は、下記装置および測定条件で測定を行った。
測定装置:RINR-TTRII(リガク社製)
管球:Cu
開始角度:3°
終了角度:60°
サンプリング幅:0.02°
スキャンスピード:4.00°/min
電圧:50kV
電流:300mA
平行ビーム光学系
発散スリット:開放
発散縦スリット:10mm
散乱スリット:開放
受光スリット:開放
上記測定条件により得られたスペクトルは以下のようにして波形処理を行い、計算スペクトルを算出した。
得られたスペクトルに対し、マニュアルでバックグラウンド処理を行った。その後、分割型疑Voigt関数でフィッティングを行い、元のスペクトルとのピーク形状との乖離があれば、手動で計算スペクトルの調整を行った。
上記操作にて得られた計算スペクトルのブラッグ角が3°から60°(3°<2θ<60°)の範囲内におけるピークの結晶子サイズの中で、最大積分強度を有するピークにおける結晶子サイズを結晶子サイズ(D)とした。
<AVH/AVEの測定方法>
(AVH用試料作製)
トナー粒子0.500gを100mlのビーカーに秤量し、和光純薬工業社製界面活性剤「コンタミノンN」0.1gと、イオン交換水49.9gを加え、超音波分散器(シャープ製UT-305HS)で1分間分散させる。
(AVE試料作製)
トナー粒子0.500gを100mlのビーカーに秤量し、エタノール50gを加え、30分間撹拌する。
上記樹脂酸価の測定方法の本試験において、測定サンプルをAVH試料とAVE試料にそれぞれ変更する以外は同様にして酸価を測定する。
<トナー粒子からの顔料の単離方法>
本件顔料の結晶子サイズおよびアセトン濡れ性の測定においては、以下の方法でトナーから顔料を単離し、測定することができる。
THF 500gが入った1Lビーカー中にトナー50gを投入し、マグネチックスターラーを用いて100rpmの回転数で24時間撹拌した。前記分散液を24時間静置し、不溶分が沈降させた。次に顔料分散体を含んだTHF可溶分(上澄み)をデカンテーションによって回収した。回収した上澄み液を遠心分離に掛け、沈降した顔料を回収した。回収した顔料を蒸留水で3回水洗し、乾燥後、乳鉢で凝集した粗大粒子を砕いた。測定に要する顔料量に満たない場合は、前記操作を繰り返し行った。
<アセトン濡れ性の測定方法>
顔料のアセトン濡れ性Wは粉体濡れ性試験機を用いて以下のような方法で測定を行った。
測定装置:WET101P(株式会社レスカ製)
顔料50mgを量り取り、蒸留水70.0mlを入れた200mlトールビーカーの上に静かに浮かべた。スターラーで上記液を撹拌しながら、アセトンを0.5ml/minの速度で水相に供給し、半導体レーザーによって透過率を測定した。測定において得られた透過率が50%となった時の水-アセトン混合溶媒中におけるアセトンの体積分率をアセトン濡れ性とした。
<SP値の算出方法>
結着樹脂のSP値は、Fedorsによって提案された算出方法に従い、以下のようにして求める。
各重合性単量体について、分子構造中の原子又は原子団に対して、「polym.Eng.Sci.,14(2),147-154(1974)」に記載の表から蒸発エネルギー(Δei)(cal/mol)及びモル体積(Δvi)(cm3/mol)を求め、(ΣΔei/ΣΔvi)をSP値(cal/cm3)とする。
重合体を構成する重合性単量体に由来するモノマーユニットの蒸発エネルギー(Δei)及びモル体積(Δvi)をモノマーユニット毎に求め、各モノマーユニットのモル比(j)との積をそれぞれ算出し、各モノマーユニットの蒸発エネルギーの総和をモル体積の総和で割ることによって求め、下記式(8)より算出する。
SP値={(Σj×ΣΔei)/(Σj×ΣΔvi)}0.5 (8)
<トナー粒子及びトナーの重量平均粒径(D4)の測定方法>
トナー粒子及びトナーの重量平均粒径(D4)は、精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いて測定する。測定は下記条件で行う。
実効測定チャンネル数:2万5千チャンネル
コントロールモーター総個数:50000個
アパチャー:100μm
カレント:1600μA
ゲイン;2
Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値で測定する。測定データを装置付属の専用ソフトにて解析を行ない、重量平均粒径(D4)を算出する。なお、前述の専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、「分析/体積統計値(算術平均)」画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
本発明を以下に示す実施例により具体的に説明する。しかし、これは本発明をなんら限定するものではない。実施例5、24、31、32及び34は参考例である。実施例及び比較例中の「部」は特に断りがない場合、全て質量基準である。
<極性樹脂1の製造例>
原材料(酸成分およびアルコール成分)を表1に示す比率(mol%)で混合した混合物100部と、触媒としての、ジ(2-エチルヘキサン酸)スズ0.52部とを、窒素導入管、脱水管、撹拌機および熱電対を装備した6リットルの四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、200℃で6時間かけて反応させた。さらに、210℃にて無水トリメリット酸を添加して、40mmHgの減圧下にて反応を行い、重量平均分子量(Mw)が12000になるまで反応を続けた。得られたポリエステル樹脂を極性樹脂1とする。また、得られた極性樹脂1の酸価は表1のようになった。
<極性樹脂2~6の製造例>
極性樹脂1の製造例において、原材料を表1に示す仕込み比率で混合する以外は極性樹脂1の製造例と同様にして極性樹脂2~6を得た。得られた極性樹脂2~6の酸価は表1に示す。
<極性樹脂7の製造例>
撹拌機、コンデンサー、温度計、窒素導入管を付した反応容器にキシレン200部を仕込み、窒素気流下で還流した。
・2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸 6.00部
・スチレン 78.0部
・2-エチルヘキシルアクリレート 16.0部
・ジメチル-2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート) 5.00部
を混合し、前記反応容器に撹拌しながら滴下し10時間保持した。その後、蒸留を行って溶剤を留去し、減圧下40℃で乾燥し極性樹脂7を得た。得られた極性樹脂7の酸価は表1に示す。
<極性樹脂8の製造例>
フラスコ内にキシレン300部を投入し、撹拌しながら容器内を十分に窒素で置換した後、昇温して還流させる。
・スチレン 92.53部
・メタクリル酸メチル 2.50部
・メタクリル酸2-ヒドロキシエチル 2.50部
・メタクリル酸 2.48部
・パーブチルD(日本油脂製) 2.00部
上記混合液を添加した後、重合温度を175℃、圧力を0.10MPaとして5時間重合を行った。その後、減圧下にて脱溶剤工程を3時間行い、キシレンを除去して、粉砕することで極性樹脂8を得た。得られた極性樹脂8の酸価を表1に示す。
<極性樹脂9の製造例>
極性樹脂8の製造例において、処方内容を以下のようにし、重合時の圧力を0.50MPa変更することを除いて、極性樹脂8と同様にして製造し、極性樹脂9を得た。得られた極性樹脂9の酸価を表1に示す。
・スチレン 91.30部
・メタクリル酸メチル 2.50部
・メタクリル酸2-ヒドロキシエチル 1.25部
・メタクリル酸 4.95部
・パーブチルD(日本油脂製) 2.00部
<極性樹脂10の製造例>
(工程1)
2,5-ジヒドロキシ安息香酸100gと80%硫酸1441gとを50℃に加熱混合した。この分散液にtert-ブチルアルコール144gを加えて50℃で30分間撹拌した。その後、この分散液にtert-ブチルアルコール144gを加え30分間撹拌する操作を3回行った。反応液を室温まで冷却し、氷水1kgにゆっくり注いだ。析出物を濾過、水洗し、その後、ヘキサン洗浄した。この析出物をメタノール200mLに溶解させ、水3.6Lに再沈殿させた。濾過後、80℃にて乾燥することで下記構造式(9)に示すサリチル酸中間体74.9gを得た。
Figure 0007391649000005
(工程2)
得られたサリチル酸中間体25.0gをメタノール150mLに溶解させ、炭酸カリウム36.9gを加えて65℃に加熱した。この反応液に4-(クロロメチル)スチレン18.7gとメタノール100mLの混合液を滴下し、65℃にて3時間反応させた。反応液を冷却後、濾過し、濾液を濃縮して粗生成物を得た。粗生成物をpH=2の水1.5Lに分散させ、酢酸エチルを加えて抽出した。その後、水洗し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下、酢酸エチルを留去して析出物を得た。析出物をヘキサン洗浄後、トルエンと酢酸エチルにて再結晶することで精製し、下記構造式(10)に示す重合性単量体を20.1g得た。
Figure 0007391649000006
式(10)に示す重合性単量体 5.9g、2-エチルヘキシルアクリレート 7.8g、スチレン 56.4gをDMF42.0mlに溶解させ、窒素バブリングをしながら1時間撹拌した後、110℃まで加熱した。この反応液に、開始剤としてtert-ブチルパーオキシイソプロピルモノカルボネート(日本油脂株式会社製、商品名パーブチルI)2.1gとトルエン42mlの混合液を滴下した。更に110℃にて4時間反応した。その後、冷却しメタノール1Lに滴下し、析出物を得た。得られた析出物をTHF120mlに溶解後、メタノール1.80Lに滴下し、白色析出物を析出させ、濾過し、減圧下90℃にて乾燥させることで、極性樹脂10を57.6g得た。得られた極性樹脂10の酸価を表1に示す。
<極性樹脂11の製造例>
極性樹脂1を3部と、極性樹脂7を2部とを撹拌機を備えた反応容器に入れ、キシレン10部に溶解させた。溶解したのを確認後、減圧下にて脱溶剤を行い、キシレンを除去して、粉砕することで極性樹脂11を得た。得られた極性樹脂11の酸価を表1に示す。
<極性樹脂12の製造例>
極性樹脂8の製造例において、処方内容を以下のように変更する以外は同様にして極性樹脂12を得た。得られた極性樹脂12の酸価を表1に示す。
・スチレン 94.25部
・メタクリル酸メチル 2.42部
・メタクリル酸 3.33部
・パーブチルD(日本油脂製) 2.00部
<極性樹脂13の製造例>
極性樹脂8の製造例において、処方内容を以下のように変更する以外は同様にして極性樹脂13を得た。得られた極性樹脂13の酸価を表1に示す。
・スチレン 92.87部
・メタクリル酸メチル 2.46部
・メタクリル酸2-ヒドロキシエチル 4.35部
・メタクリル酸 3.20部
・パーブチルD(日本油脂製) 2.00部
Figure 0007391649000007
表中のTPAはテレフタル酸、IPAはイソフタル酸、TMAは無水トリメリット酸、BPA(PO)はビスフェノールAのプロピレンオキサイド2モル付加物、BPA(EO)はビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物、EGはエチレングリコールを表す。
マゼンタ顔料の製造例を示す。
<マゼンタ顔料1の製造例>
Figure 0007391649000008
アミン化合物(D1)90g(0.500mol)を蒸留水1000mLに分散させ、溶液を20℃にて撹拌させた。これを3℃にした後、12Nの塩酸(キシダ化学(株)製)を140mL滴下し、塩酸塩を得た。これに亜硝酸ナトリウム水溶液(日産化学(株)製)を90g加え、10℃で20分撹拌し、ジアゾ化合物含有溶液を得た。
<カップリング反応水溶液の調製>
Figure 0007391649000009
別途、カップリング化合物(E1)97g(0.350mol)、カップリング化合物(E2)47g(0.150mol)を蒸留水1000mLに分散させ、95℃に加熱した後、33%の水酸化ナトリウム水溶液 165gを加えて、95℃で2分間撹拌した。その後、70℃に保持し、カップリング反応水溶液を得た。
(アゾカップリング反応によるマゼンタ顔料の製造)
ジアゾ化合物含有溶液に、19gの酢酸ナトリウムを加えて、pHを4.5にして、10℃に冷却した。その後、カップリング反応水溶液を1時間かけて滴下し、反応液が10℃以上に上がらないように冷却しながら反応させた。その際に、pHが4.9に維持されるように、12Nの塩酸(キシダ化学(株)製)を随時添加した。その後、20℃で4時間反応させた。その後、固形分をろ過、水洗した後、化合物Aと化合物Bを70:30で含有する未処理のマゼンタ顔料1のウェットケーキを得た。
(溶媒加熱処理によるマゼンタ顔料表面特性調整)
マゼンタ顔料1のウェットケーキ 200部をアセトンで3回洗った後、アセトン 1000部に懸濁させた。液温を60℃に昇温した後、温度を保ったまま24時間撹拌した。室温に降温した後、ろ別し、100部の蒸留水によって洗浄した後乾燥し、マゼンタ顔料1を得た。得られたマゼンタ顔料1の物性を表2に示す。
<マゼンタ顔料2~8、11、12の製造例>
アミド化合物(E1)、アミド化合物(E2)の添加量、溶媒加熱処理によるマゼンタ顔料表面特性調整に用いる溶媒を表2に記載の通りに変更する以外は、マゼンタ顔料1と同様の方法により、マゼンタ顔料2~8、11、12を得た。得られたマゼンタ顔料2~8、11、12の物性を表2に示す。
<マゼンタ顔料9の製造例>
(ロジン処理によるマゼンタ顔料表面特性調整)
・蒸留水 1000部
・マゼンタ顔料1 100部
上記材料を撹拌・混合し、マゼンタ顔料1を水中に懸濁させた。その後、テトラヒドロアビエチン酸15.0部、アビエチン酸5.0部および33%濃度の水酸化ナトリウム水溶液30部を添加した。液温を98℃に昇温した後、温度を保ったまま1時間撹拌した。65℃に降温した後、12Nの塩酸(キシダ化学(株)製)を添加して樹脂を沈殿させた。沈殿した組成物をろ別し、蒸留水によって洗浄した後乾燥し、マゼンタ顔料9を得た。得られたマゼンタ顔料9の物性を表2に示す。
<マゼンタ顔料10の製造例>
上記マゼンタ顔料9の製造例でテトラヒドロアビエチン酸を5.0部、アビエチン酸を1.7部に変更した以外は同様にしてマゼンタ顔料10を得た。得られたマゼンタ顔料10の物性を表2に示す。
<マゼンタ顔料13>
マゼンタ顔料13としてC.I.PigmentRed122を用いた。用いたC.I.PigmentRed122の物性を表2に示す。
<マゼンタ顔料14>
マゼンタ顔料14としてC.I.PigmentRed269を用いた。用いたC.I.PigmentRed269の物性を表2に示す。
<マゼンタ顔料15>
マゼンタ顔料15として、C.I.PigmentRed150を用いた。用いたC.I.PigmentRed150の物性を表2に示す。
<マゼンタ顔料16の製造例>
マゼンタ顔料9の製造例において、マゼンタ顔料1をC.I.PigmentRed269に変更する以外はマゼンタ顔料9の製造例と同様にしてマゼンタ顔料16を得た。得られたマゼンタ顔料16の物性を表2に示す。
<マゼンタ顔料17>
・メタノール 1000部
・マゼンタ顔料8 100部
・C.I.PigmentRed269 12部
上記材料を撹拌・混合し、メタノールに懸濁させた。液温を60℃に昇温した後、温度を保ったまま24時間撹拌した。室温に降温した後、ろ別し、100部の蒸留水によって洗浄した後乾燥し、マゼンタ顔料15を得た。得られたマゼンタ顔料17の物性を表2に示す。
<マゼンタ顔料18>
マゼンタ顔料17の製造例において、C.I.PigmentRed269を10部に変更する以外はマゼンタ顔料17の製造例と同様にしてマゼンタ顔料18を得た。得られたマゼンタ顔料18の物性を表2に示す。
Figure 0007391649000010
トナーの製造例を示す。
<トナー1の製造例>
・スチレン 80.0部
・n-ブチルアクリレート 20.0部
・ジビニルベンゼン 0.25部
・マゼンタ顔料1 5.0部
・極性樹脂1 5.0部
・パラフィンワックス 10.0部
(日本精蝋社製:HNP-51 最大級熱ピーク:74℃)
・トルエン 100.0部
からなる混合物を調製した。上記混合物をアトライター(日本コークス社製)に投入し、直径5mmのジルコニアビーズを用いて、200rpmで2時間分散することで原材料分散液を得た。
一方、高速撹拌装置ホモミクサー(プライミクス社製)及び温度計を備えた容器に、イオン交換水735.0部とリン酸三ナトリウム(12水和物)16.0部を添加し、12000rpmで撹拌しながら60℃に昇温した。そこに、イオン交換水65.0部に塩化カルシウム(2水和物)9.0部を溶解した塩化カルシウム水溶液を投入し、60℃を保持しながら12000rpmで30分間撹拌した。そこに、10%塩酸を加えてpHを5.5に調整し、ヒドロキシアパタイトを含む無機分散安定剤が水中に分散した水系媒体を得た。
続いて、上記原材料分散液を撹拌装置及び温度計を備えた容器に移し、100rpmで撹拌しながら60℃に昇温した。そこに、重合開始剤として(10時間半減期温度54.6℃(日本油脂製))9.0部を添加して60℃を保持しながら100rpmで5分間撹拌した後、上記高速撹拌装置にて12000rpmで撹拌している水系媒体中に投入した。60℃を保持しながら上記高速撹拌装置にて12000rpmで20分間撹拌を継続し、造粒液を得た。
上記造粒液を還流冷却管、撹拌機、温度計、窒素導入管を備えた反応容器に移し、窒素雰囲気下において150rpmで撹拌しながら70℃に昇温した。70℃を保持しながら150rpmで10時間重合反応を行った。次に、イオン交換水を100.0部添加して、還流管を取り外し、蒸留装置を取り付けた。容器内の温度が100℃の蒸留を5時間行った。蒸留終了後、30℃まで冷却し、容器内に希塩酸を添加してpHを1.5まで下げて、分散安定剤を溶解させた。さらに、濾別、洗浄、乾燥、分級をして、重量平均粒子径(D4)が6.5μmのトナー粒子1を得た。
得られたトナー粒子1 100.0部に対して、外部添加剤として、シリカ微粒子(ヘキサメチルジシラザンによる疎水化処理、1次粒子の個数平均粒径:10nm、BET比表面積:170m2/g)2.0部を加えてヘンシェルミキサー(日本コークス社製)を用い、3000rpmで15分間混合してトナー1を得た。
<トナー2~15、18~30、比較トナー1~10の製造例>
上記トナー1の製造例で各種トナー材料の種類および量を表3のように変更した以外はトナー1の製造例と同様にして、トナー2~15、18~34、比較トナー1~10を得た。
得られたトナー1~15、18~34、比較トナー1~10の物性を表4に示す。
Figure 0007391649000011
Figure 0007391649000012
<トナー16の製造例>
(ポリエステル樹脂1の製造)
窒素導入管、脱水管、撹拌器および熱電対を装備した反応槽中に、表5に示す使用量のモノマーを入れた後、触媒としてジブチル錫をモノマー総量100部に対して1.5部添加した。次いで、窒素雰囲気下にて常圧で180℃まで素早く昇温した後、180℃から210℃まで10℃/時間の速度で加熱しながら水を留去して重縮合を行った。温度210℃に到達してから反応槽内を5kPa以下まで減圧し、温度210℃、5kPa以下の条件下にて重縮合を行い、ポリエステル樹脂1を得た。
その際、得られるポリエステル樹脂B1の軟化点が115℃となるように重合時間を調整した。
Figure 0007391649000013
TPAはテレフタル酸、BPA-POはビスフェノールA-プロピレンオキサイド2mol付加物を表す。
・ポリエステル樹脂1 90.0部
・極性樹脂1 10.0部
・マゼンタ顔料1 7.0部
・パラフィンワックス(DSCピーク温度:80℃) 5.0部
上記材料をヘンシェルミキサー(FM-75型、三井三池化工機(株)製)で混合した後、二軸混練機(池貝鉄工(株)製PCM-30型))にて回転数3.3s-1、混練温度120℃の条件で混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。得られた粗砕物を、機械式粉砕機(ターボ工業(株)製T-250)にて微粉砕した。さらに、得られた微粉砕粉末を、コアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて分級し、重量平均粒径が7.0μmのトナー粒子16を得た。
得られたトナー粒子16 100.0部に対して、外部添加剤として、シリカ微粒子(ヘキサメチルジシラザンによる疎水化処理、1次粒子の個数平均粒径:10nm、BET比表面積:170m2/g)2.0部を加えてヘンシェルミキサー(日本コークス社製)を用い、3000rpmで15分間混合してトナー16を得た。トナー16の物性を表4に示す。
<トナー17の製造例>
(結着樹脂微粒子の分散液の製造)
トルエン(和光純薬製)200gにエチレン酢酸ビニル樹脂(東ソー製:ウルトラセン685)60gを加え、90℃まで加熱した後、3時間撹拌して溶解させた。エチレン酢酸ビニル樹脂が溶解したトルエン溶液に、アニオン界面活性剤(第一工業製薬製:ネオゲンRK)6gおよびアニオン界面活性剤(日本油脂製:ノンサールLN1)3gが溶解したイオン交換水180gを添加した。それから、超高速撹拌装置T.K.ロボミックス((株)プライミクス製)を用いて4000rpmで十分撹拌した。その後、高圧衝撃式分散機ナノマイザー(吉田機械興業製)を用いて約1時間分散した後、エバポレーターを用いて、トルエンを除去し、結着樹脂微粒子の分散液を得た。
(極性樹脂の分散液の製造)
上記結着樹脂微粒子の分散液の製造において、エチレン酢酸ビニル樹脂を極性樹脂1に変更する以外は結着樹脂微粒子の分散液の製造と同様にして、極性樹脂1の分散液を得た。
(離型剤微粒子の分散液の製造)
・離型剤(HNP-51、融点78℃、日本精蝋製) 20.0部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬製:ネオゲンRK) 1.0部
・イオン交換水 79.0部
上記処方を撹拌装置付きの混合容器に投入した後、90℃に加熱し、クレアミックスWモーション(エム・テクニック製)へ循環しながらローター外径が3cm、クリアランスが0.3mmの剪断撹拌部位にて、ローター回転数19000r/min、スクリーン回転数19000r/minの条件にて撹拌し、60分間分散処理した後、ローター回転数1000r/min、スクリーン回転数0r/min、冷却速度10℃/minの冷却処理条件にて40℃まで冷却することで、離型剤微粒子の分散液を得た。
(顔料分散液の製造)
・マゼンタ顔料1 10.0部
・イオン交換水 78.0部
・アニオン界面活性剤(第一工業製薬製:ネオゲンRK) 2.0部
上記材料を混合した。その後、高圧衝撃式分散機ナノマイザー(吉田機械興業製)を用いて1時間分散し、マゼンタ顔料1の分散液を調製した。
・結着樹脂微粒子の分散液(固形分25%) 320.0部
・マゼンタ顔料1の分散液(固形分10%) 50.0部
・離型剤微粒子の分散液(固形分20%) 50.0部
・極性樹脂1の分散液(固形分25%) 40.0部
上記の各材料を丸型ステンレス製フラスコに投入し、混合した。ここに、98部のイオン交換水に対して硫酸マグネシウム8質量部を溶解させた水溶液を添加し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて5000r/minで10分間分散した。その後、加熱用ウォーターバス中で撹拌翼を用いて、混合液が撹拌されるような回転数を適宜調節しながらで50℃まで加熱した。50℃で1時間保持した後、形成された凝集粒子の重量平均粒子径を測定した。その結果、重量平均粒子径が約6.0μmである凝集粒子が形成されていることが確認された。
得られた凝集粒子の分散液に、360部のイオン交換水に対してエチレンジアミン四酢酸ナトリウム40部を溶解させた水溶液を加え、更に、イオン交換水2800部を添加した。撹拌を継続しながら80℃まで加熱し、2時間密閉した状態で保持し、十分に融合した粒子を得た。その後、ろ過・固液分離した後、ろ物をイオン交換水で十分に洗浄し、真空乾燥機を用いて乾燥することにより、重量平均粒子径が5.4μmのトナー粒子17を得た。
得られたトナー粒子17 100.0部に対して、外部添加剤として、シリカ微粒子(ヘキサメチルジシラザンによる疎水化処理、1次粒子の個数平均粒径:10nm、BET比表面積:170m2/g)2.0部を加えてヘンシェルミキサー(日本コークス社製)を用い、3000rpmで15分間混合してトナー17を得た。得られたトナー17の物性を表4に示す。
〔実施例1~34、比較例1~10〕
上記トナー1~34、比較トナー1~10の各トナーに対し、下記に示す評価を行った。
<画質の評価>
カラーレーザープリンター(HP Color LaserJet 3525dn、HP社製)を用意し、定着ユニットを取り外し可能にし、マゼンタステーションだけでプリント可能とした。
このプリンター用のマゼンタトナーカートリッジに充填されているトナーを抜取り、代わりに評価するトナーを充填した。次いで、受像紙(GF-C081)上に、充填したトナーを用いて、縦2.0cm横15.0cmの未定着のトナー画像(0.40mg/cm2)を、通紙方向に対し上端部から1.0cmの部分に形成した。次いで、取り外した定着ユニットを定着温度とプロセススピードを調節できるように改造し、常温常湿環境下(23℃、60%RH)、プロセススピードを230mm/sに設定し、上記未定着画像を100℃から180℃まで5℃ずつ変えて定着し、未定着画像の定着を行った。得られた定着画像は、反射濃度計SpectroLino(旧Gretag Macbeth社製)にて、L*a*b*表色系における色度を測定した。得られた結果の彩度(C*)および色相角(h)の値を読み取った。測定を行った各定着温度における画像の中で、最も彩度(C*)の高い画像を以下のような基準でランク付けし、Cランク以上を本発明において許容できる基準とした。色相角(h)は、300°≦h≦355°の範囲外である場合、C*の値にかかわらず、Dランクとした。結果を表6に示す。
[評価基準]
A:C*が75.0以上、300°≦h≦355°
B:C*が72.0以上、300°≦h≦355°
C:C*が69.0以上、300°≦h≦355°
D:C*が69.0未満
画質の評価で用いたプリンターと評価トナーを充填したカートリッジを使用し、1.0%の印字比率の画像を3,000枚までプリントアウトして、初期と3,000枚出力時(耐久後)のかぶり、及び、耐久性の評価を行った。
<かぶりの評価>
初期と3,000枚印字後のベタ白画像を出力し、感光体上のかぶりトナーをマイラーテープでテーピングして剥ぎ取った。その後、該テープとテーピングしていないテープをLETTERサイズのXEROX 4200用紙(XEROX社製、75g/m2)に貼り付けた。それぞれのテープの反射率(%)を「REFLECTOMETER MODELTC-6DS」((有)東京電色製)で測定した。
そしてテーピングしていないテープの反射率(%)からテーピングしたテープの反射率(%)を差し引いた数値(%)を用いて評価した。数値が小さいほど、かぶりが抑制されていることになる。結果を表6に示す。Cランク以上を実用上問題のないレベルと判断した。
(評価基準)
A:反射率の差が2.0%未満
B:反射率の差が2.0%以上5.0%未満
C:反射率の差が5.0%以上10.0%未満
D:反射率の差が10.0%以上
<耐久性の評価>
トナーの耐久性評価は、スジ画像の有無により判定を実施した。スジ画像は、外添剤による部材汚染やトナー劣化により発生する0.5mm程度の縦スジであり、全面ハーフトーン画像を出力した際に観察されやすい画像不良である。
評価紙として、XEROX4200用紙(XEROX社製75g/m2)を用いた。3,000印字後のカートリッジを用いて、全面ハーフトーン画像を出力し、スジの有無を観察した。以下の判定基準によって行った。評価結果を表6に示す。
[評価基準]
A:スジやトナー塊が未発生。
B:斑点状のスジはないが、1~3個所の小さなトナー塊がある。
C:端部に斑点状スジが若干ある、又は4、5個所の小さなトナー塊がある。
D:全面に斑点状のスジある、又は5個所以上小さなトナー塊若しくは明らかなトナー塊がある。
評価は、Cランク以上であれば良好な耐久性があると判断した。
<顔料分散性の評価>
トナーの顔料分散性を評価するため、ミクロトームによりトナーの超薄切片を作製し、透過型電子顕微鏡(TEM)にて観察を行う。必要に応じて酸化ルテニウムまたはオスミウム酸などにより切片の染色を行う。評価基準としては、顔料が一次粒径として分散されているか、顔料の偏析やトナー表層への露出がないかを観察し、以下の基準でランク付けを行った。結果を表6に示す。
A:顔料が1次粒径に分散し、トナー全体に均一に存在している。
B:顔料が凝集した部分が存在し、不均一に存在している。
C:顔料が凝集し、トナー表面に露出している顔料が多数観察される。
<トナー割れの評価>
トナー0.10gとジルコニアビーズ0.3mm 10.0gを50mLの絶縁性のプラスチック容器に入れ、200回/分の速度で3分間振とうさせた。その後、カーボンテープに振とう後のトナーを載せ、SEMにて観察を行った。2000倍の画像10枚から以下の式より割れ個数%を算出した。
割れ個数%=割れや欠けの発生しているトナー粒子数/全トナー粒子数×100
以下の基準でランク付けを行った。Cランク以上が実用上問題のないレベルであると判断した。結果を表6に示す。
A:割れ個数%が5%未満である。
B:割れ個数%が5%以上10%未満である。
C:割れ個数%が10%以上20%未満である。
D:割れ個数%が20%以上である。
Figure 0007391649000014

Claims (9)

  1. 結着樹脂、顔料、および極性樹脂を含有するトナー粒子を有するトナーであって、
    前記結着樹脂が、スチレンアクリル樹脂であり、
    前記極性樹脂がカルボキシ基に由来する酸価を2.0mgKOH/g以上20.0mgKOH/g以下有するポリエステル樹脂であり
    前記顔料に対する前記極性樹脂の吸着率が10%以下であり、
    前記顔料が、下記式(1)で示される化合物Aおよび下記式(2)で示される化合物Bを含有し、
    Figure 0007391649000015
    前記化合物Aの質量の、前記化合物Bの質量に対する比の値(前記化合物A/前記化合物B)が、95/5から5/95であ
    ことを特徴とするマゼンタトナー。
  2. 前記トナー粒子中の前記化合物Aと前記化合物Bを合わせた質量が、前記トナー粒子中の前記顔料の質量の90%以上である請求項に記載のマゼンタトナー。
  3. 前記極性樹脂の含有量が、前記結着樹脂の全質量に対して、1.0質量%以上30.0質量%以下であ請求項1または2に記載のマゼンタトナー。
  4. 前記トナー粒子を水に分散して得た分散物を滴定法により測定して得た酸価をAVH(mgKOH/g)とし、前記トナー粒子をエタノールに分散して得た分散物を滴定法により測定して得た酸価をAVE(mgKOH/g)としたとき、
    AVHが、0.20mgKOH/g以上1.00mgKOH/g以下であり、
    VH/AVEが0.10以上0.25以下である
    請求項1~3のいずれか1項に記載のマゼンタトナー。
  5. 前記顔料アセトン/水混合溶媒に対する濡れ性試験において、波長780nmの光の透過率が50%であるときのアセトン濃度が、5.5体積%以上10.0体積%以下であり、
    前記結着樹脂の溶解度パラメータ(SP値)が9.8以上11.0以下である
    請求項1~4のいずれか1項に記載のマゼンタトナー。
  6. 前記顔料のXRD測定において、3°<2θ<60°の範囲内の最大強度を有するピークにおいて算出される結晶子サイズDが、下記式(3)を満たす
    式(3) 1.0nm≦D≦7.0nm
    請求項1~5のいずれか1項に記載のマゼンタトナー。
  7. 前記極性樹脂の極性基が、カルボキシ基のみである請求項1~6のいずれか1項に記載のマゼンタトナー。
  8. 前記トナー粒子中の前記極性樹脂の含有量、前記トナー粒子中の前記結着樹脂100質量部に対して1.0質量部以上15.0質量部以下であり、
    前記トナー粒子中の前記顔料の含有量、前記トナー粒子中の前記結着樹脂100質量部に対して1.0質量部以上10.0質量部以下であり、
    前記トナー粒子中の前記顔料の含有量、前記トナー粒子中の前記極性樹脂100質量部に対して6.7質量部以上1000質量部以下である
    請求項1~7のいずれか1項に記載のマゼンタトナー。
  9. 前記結着樹脂の酸価をAVBとし、前記極性樹脂の酸価をAVPとしたとき、
    AVBが5.0mgKOH/g以下であり、
    AVBおよびAVPが下記式(4)を満たす
    式(4) AVB<AVP-2
    請求項1~8のいずれか1項に記載のマゼンタトナー。
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