JP7391333B2 - 不燃材の製造方法および不燃材 - Google Patents

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Description

本発明は、不燃材の製造方法および不燃材に係り、特に、ホウ酸を用いた不燃化に関する。
従来、建築用途などに供される不燃木材に添加される防火剤の一つとして、ホウ酸、ホウ砂、リン酸、強酸アンモニウム塩、ケイ酸ソーダといった水溶性無機塩類が知られている。この無機塩類に関して、非特許文献1には、一般に無機塩類を用いて防火処理を行う場合、単一の薬剤では充分な防火作用が得難く、2種以上の薬剤を混合して使用することが多い点が指摘されている。また、ホウ酸およびホウ砂は、単独では防火効果が弱く溶解度も小さいため、防火剤としては使用し難いが、両者の混合物を用いると欠点が解消される点も指摘されている。
特許文献1には、ホウ酸とホウ砂とが40~100℃における単独化合物の溶解度を超える量で含有され、水100部に対して、ホウ酸のx部とホウ砂のy部(但し、x≧35、y≧40)とをホウ素換算で8.3mol/kg以上含む安定なホウ素化合物の液状組成物が開示されている。また、特許文献2には、加熱によりガス化するアンモニウム系薬剤の水溶液に、窒素を含む有機リン酸塩であるリン酸系不燃薬剤が単独の溶解度以上に溶解された木質材料用不燃化薬剤が開示されている。
浜田良三著「(総説)木材防火薬剤」、公益社団法人日本材料学会、会誌「材料」第14巻第143号第612-615頁、昭和40年8月出版
特許第5079983号公報 特許第4445991号公報
上述した非特許文献1でも指摘されているように、ホウ酸は、それ単独では防火効果が弱く溶解度が小さいため、防火薬剤としての使用に難があり、ホウ酸の溶解を促進するための添加物(ホウ砂など)を添加すべきというのが、本技術分野における一般的な認識であった。しかしながら、ホウ砂などは潮解性(吸湿性)があるため、これに起因して、処理対象物となる素材の白化や水滴の表出による水の滴りを招くといった問題がある。また、特許文献2のように、アンモニア系薬剤を使用する場合、アンモニア臭が発生するといった問題があり、アンモニア臭を除去しようとすると、乾燥工程を通常よりも長時間行って熱分解を促進しなければならず、製造コストの上昇を招くなどといった別の問題が生じる。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ホウ酸の溶解を促進するための添加物を添加することなく、ホウ酸単独で不燃材としての不燃性を確保することである。
かかる課題を解決すべく、第1の発明は、投入ステップと、高濃度化ステップと、析出ステップとを有する不燃材の製造方法を提供する。投入ステップでは、ホウ酸の溶解を促進するための添加物を添加することなく、ホウ酸を溶解したホウ酸水溶液と、不燃材の主材となる処理対象物とを含浸槽内に投入する。高濃度化ステップでは、ホウ酸水溶液を加圧環境下で昇温しつつ、含浸槽に導入されたホウ酸をさらに溶解することによって、処理対象物の内部に含浸させるホウ酸水溶液を大気圧環境下の溶解度よりも高濃度化する。析出ステップでは、少なくとも大気圧環境下における沸点に降温するまで加圧状態を維持することを条件に、高濃度化したホウ酸水溶液を降温することによって、処理対象物の内部に含浸したホウ酸を析出させる。
ここで、第1の発明において、上記高濃度化ステップは、ホウ酸水溶液の温度を120℃以上に設定することが好ましく、より好ましい範囲は140~160℃である。また、上記高濃度化ステップは、溶解しきれずに浸槽内に沈殿している固体物としてのホウ酸を、ホウ酸水溶液の昇温に伴い溶解させることによって、ホウ酸水溶液を高濃度化してもよい。また、上記高濃度化ステップに先立ち、処理対象物が投入された含浸槽を真空圧環境下に置くことによって、処理対象物の内部に含まれている空気を除去する空気除去ステップをさらに設けてもよい。また、上記析出ステップは、冷却液との熱交換によってホウ酸水溶液を冷却してもよい。
第2の発明は、ホウ酸を含み、ホウ酸の水への溶解を促進するための添加物を含まず、かつ、ホウ酸の含有量が180kg/m3以上である不燃材を提供する。
第3の発明は、ホウ酸を含み、ホウ砂、リン酸、アンモニウム塩、および、八ホウ酸二ナトリウム四水和物のいずれの添加物も含まず、かつ、コーンカロリーメーターによる発熱性試験で20分加熱したときの総発熱量が8MJ/m2以下である不燃材を提供する。
第1の発明によれば、ホウ酸水溶液を加圧環境下で昇温する。ホウ酸の溶解度は、温度が上がる程上昇するという、高い温度依存性を有することから、ホウ酸水溶液を加圧環境下で昇温すれば、ホウ酸の水への溶解を促進するための添加物を添加しなくても、多量のホウ酸を水に溶解できる。これにより、処理対象物の内部におけるホウ酸の析出量が増大するため、不燃性に優れた不燃材を得ることができる。また、第2および第3の発明によれば、法定基準に準拠した不燃性を確保できると共に、ホウ砂などのような潮解性(吸湿性)を有する添加物を含まないため、これに起因した白化や水滴の表出による水の滴りを防止できる。
処理対象物の投入工程の説明図 処理対象物からの空気除去工程の説明図 大気圧環境下における加熱工程の説明図 加圧環境下におけるホウ酸水溶液の高濃度化工程の説明図 ホウ酸の析出工程の説明図 コーンカロリーメーターによる発熱性試験による試験体毎の特性表
本実施形態に係る不燃材は、建築用途に供され、日本国の建築基準法(発熱性試験)に準拠した性能認定を取得することを目標とする。この不燃材の特徴は、ホウ酸の溶解を促進するために添加されるホウ砂などの添加物を用いることなく、防火薬剤としてのホウ酸単独で十分な防火性能を確保している点である。以下、図1から図5を参照しつつ、不燃材の製造方法について説明する。
まず、図1に示すように、ホウ酸水溶液と、処理対象物2とが含浸槽1内に投入される。ホウ酸水溶液は、ホウ酸の水への溶解を促進するための添加物を添加することなく、水とホウ酸とを混合したものである。含浸槽1に投入されるホウ酸は、67g/100ml以上であり、水に溶解せずに残った固体が含浸槽1の底部に沈殿している。一般に、ホウ酸の水への溶解を促進するための添加物としては、ホウ砂、リン酸、アンモニウム塩が挙げられるが、これに限られない。ホウ酸の固体を残存させる理由は、後工程で更に多くのホウ酸を溶解するためである。また、処理対象物2は、不燃材の主材となる素材であって、典型的には、一般木材(無垢材)、圧縮材、集成材、合板、配向性ストランドボード(OSB)、パーティクルボード、ラミネイティッド・ベニア・ランバー(LVL)、パラレル・ストランド・ランバー(PSL)、オリエンテッド・ストランド・ランバー(OSL)、ミディアム・デンシティ・ファイバーボード(MDF)などの木質素材が想定されるが、その他に、竹、草類、紙、段ボールなどであってもよい。処理対象物2は、液中から浮き上がらないように、その上部にはおもり3が載せられている。
つぎに、図2に示すように、処理対象物2が投入された含浸槽1を真空圧環境下、すなわち、圧力が大気圧よりも低い空間状態に置かれる。具体的には、まず、密閉槽4内に含浸槽1が収容される。つぎに、密閉槽4内が所定の圧力まで減圧され、この状態が所定時間(例えば60分程度)維持される。これにより、処理対象物2の内部に含まれている空気が外部に放出される。本工程を設ける理由は、処理対象物2の繊維中に存在する微細な空気はホウ酸水溶液の浸透を阻害するので、これを除去して、後工程におけるホウ酸水溶液の含浸を促進するためである。なお、本工程を行わなくても、ホウ酸水溶液の十分な含浸量を確保できるのであれば、本工程は省略しても構わない。
つぎに、図3に示すように、密閉槽4より含浸槽1を取り出した上で、大気圧環境下において含浸槽1の底部を加熱することによって、ホウ酸水溶液が100℃近くまで加熱される。これにより、先の投入工程で含浸槽1内に導入された沈殿物としてのホウ酸(ハッチングで図示)が溶解し、温度の上昇に伴い、ホウ酸水溶液の濃度も上昇する。本工程を設ける理由は、ホウ酸水溶液をある程度まで高濃度化することによって、次の工程における加圧環境下での処理時間の短縮を図るためである。
つぎに、図4に示すように、高温水蒸気による加圧環境下において含浸槽1が加熱され、ホウ酸水溶液を所定の温度、例えば100℃よりも高い温度まで昇温させる。ホウ酸は、その溶解特性として、水温が70℃以上になると水への溶解度が上がっていく。加圧環境下での加熱によって、先の投入工程で含浸槽1内に導入された沈殿物としてのホウ酸をさらに溶解して、処理対象物2の内部に含浸させるホウ酸水溶液を大気圧環境下の最大溶解度よりも高濃度化する。大気圧が標準大気圧(1気圧)の場合、ホウ酸水溶液の最大溶解度は沸点100℃の溶解度、例えば、水100gに対して40.25gのホウ酸を溶かした濃度となる。
本工程で使用する装置としては、高温高圧容器を高圧槽5として用いる。高温高圧容器は、100℃以上の高温の水蒸気により内部の温度を上げ加熱する装置で、飽和水蒸気を加圧することにより温度の調整が行われる。例えば高圧槽内の温度120℃のとき0.196MPa、140℃のとき0.36Mpa、160℃のとき0.618Mpaとなる。本工程の具体的な処理内容としては、まず、高圧槽5内に含浸槽1が収容される。つぎに、高圧槽5内が高温水蒸気によって、0.4~0.6MP(4~6気圧)程度まで加圧される。例えば、水蒸気の温度が140℃のときは0.4MPa、160℃のときは0.6MPaといった如く高められ、高圧槽5内の含浸槽1の温度も同程度に高められる。そして、この状態が所定時間(例えば3~6時間)維持される。これにより、含浸槽1内に沈殿していたホウ酸の固体が更に溶解され、ホウ酸水溶液の溶解度は、大気圧環境下の最大溶解度も高くなる。本実施形態では、ホウ酸水溶液の温度を120℃以上、より好ましくは140~160℃に設定される。なお、本工程の加圧によって、高濃度化したホウ酸水溶液が処理対象物2に含浸することを促進させることができる(含浸促進効果)。
なお、ホウ酸水溶液の水温は、高温水蒸気によって加圧して設定温度に保っている。含浸槽1の周辺の水蒸気温度がこの温度で保たれているので、含浸槽1の温度が例えば140℃に達すれば、そのまま140℃で推移することになる。水温の測定は、例えば、高圧槽5内に温度センサを入れ、ホウ酸水溶液に浸すことによって行うことができる。
そして、所定時間が経過した後、高圧槽5の温度を低下させ、高濃度化したホウ酸溶液を降温させることによって、処理対象物2の内部に含浸したホウ酸を析出させる。この降温過程において、少なくとも大気圧環境下における沸点に降温するまでは、加圧状態が維持される。加圧状態を維持する理由は、次のとおりである。第1に、ホウ酸水溶液中の水分の蒸発を防止するためである。高温状態で、含浸槽1を取り出すために高圧槽5の圧力を常圧に戻すと、その時点ではホウ酸水溶液が100℃を超えているので、一気に沸騰して蒸発してしまう。第2に、処理対象物2に含まれるホウ酸含有量の減少を極力が抑制するためである。圧力を急激に低下させると、ホウ酸水溶液が沸騰して、処理対象物2内に浸透したホウ酸が大量に外部に放出されてしまう。第3に、ホウ酸水溶液の水面が下がるのを避け、処理対象物2の露出を避けるためである。
その後、1.5時間程度が経過して内部温度が90℃前後になった時点で、あるいは、常温になった時点で、高圧槽5内の加圧を停止する。そして、所定時間が経過して内部圧力が0.6MP以下、かつ、内部温度が70℃前後になった時点で、あるいは、常温になった時点で、高圧槽5内を徐々に減圧する。その後、内部圧力が0.2MP以下になった時点でバルブ5aを開いて、内部圧力を大気圧に戻した上で、高圧槽5内から含浸槽1が取り出される。この時点におけるホウ酸水溶液の温度は90℃程度、あるいは、常温である。
最後に、図5に示すように、大気圧環境下において、高濃度化したホウ酸水溶液を徐々に降温する。具体的には、高圧槽5より取り出された含浸槽1が、冷却液(例えば水)を貯留した冷却液槽6に漬けられる。これにより、冷却液との熱交換によってホウ酸水溶液が冷却される。あるいは、加圧状態を保ったまま、常温まで冷却する。これにより、冷却が徐々に進むにつれて、処理対象物2の内部に含浸しているホウ酸が固体として徐々に析出していく。
その後、常温になった後に、含浸槽1から処理対象物2が取り出され、乾燥工程などを経て不燃材が完成する。以上のような一連の処理を経て生成された不燃材は、その特性として、第1に、ホウ酸を含み、ホウ酸の水への溶解を促進するための添加物を含まないことが挙げられる。そして、第2に、不燃材内のホウ酸は、ホウ酸を外部から吹き付ける手法などと比較して、内部に渡ってほぼ均一に存在することが挙げられる。
図6は、コーンカロリーメーターによる発熱性試験(20分加熱時)による試験体毎の特性表である。コーンカロリーメーターによる発熱性試験は、日本国内において、2001年6月から施行された新たな建築基準法の防火性能試験に用いられるISO5660に準拠したものであり、建築物で利用可能な不燃木材の国内認定を受けるためには、本試験の基準をクリアしなければならない。
同表に示した試験結果は、12個の試験体に関する特性を示している。試験体としては、処理対象物2の一つである杉材が用いられる。試験条件としては、当初、含浸槽1に投入する水とホウ酸の重量パーセント(ホウ酸と水の全重量に対する溶解しないホウ酸を含めたホウ酸の重量パーセント)は40%または50%であり、加圧環境下における加熱温度は150℃(試験体番号1~2)および160℃(試験体番号3~12)の二種類とする。また、不燃材中のホウ酸の含有量は、以下のようにして測定する。まず、杉材(母材)から同一サイズのサンプルを複数抜き出し、その中央値の重量のものを無処理のサンプルとして用意し、それ以外のサンプルを含浸処理に用いる。サンプルの寸法は、100mm*100mm*50mmである。つぎに、含浸処理されたサンプルと無処理のサンプルをともに、乾燥処理を行った上で絶乾重量を計測する。そして、各含浸サンプルの絶乾重量から、無処理サンプルの絶乾重量を引いた値をホウ酸の含有量とする。ここで、「絶乾重量」とは、乾燥機内で十分に(例えば24時間)乾燥し、重量の変化がなくなった時点での重量をいう。
一般に、ホウ酸は、添加物を含む場合も含めて、木材への含浸量が200kg/m3程度を超えれば、発熱性試験(20分加熱時)における総発熱量が8MJ/m2を下回るといわれている。本実施形態によれば、ホウ酸の水への溶解を促進するための添加物を用いなくても、ホウ酸の含有量が180kg/m3以上、および/または、コーンカロリーメーターによる発熱性試験で20分加熱時の総発熱量が8MJ/m2以下を実現できる。同表に示すように、番号1~12の試験体はいずれも、ホウ酸の含有量が188kg/m3以上となっており、総発熱量も8MJ/m2以下となっており、建築基準法(発熱性試験)に準拠した不燃材料の認定基準を有効にクリアしている。
なお、上記実験結果は、杉材をサンプルとしたものであるが、ヒノキについても所望の不燃性能が得られることが期待できる。また、ファルカタ、桐、バルサ、杉に近いホワイトウッド、ホワイトパイン、ヒバ、エゾマツといった、杉よりも比重の小さい木材についても、有効な不燃性能が得られるものと考えられる。
本実施形態では、含浸槽1、密閉槽4および高圧槽5をそれぞれ使い分けているが、これら3つの槽に分けることは不可欠ではなく、1つまたは2つの槽において同様の機能をもたせてもよい。
このように、本実施形態によれば、ホウ酸水溶液を加圧環境下で100℃よりも高い温度に昇温する。ホウ酸の溶解度は、温度が上がる程上昇するという、高い温度依存性を有することから、ホウ酸水溶液を加圧環境下で昇温すれば、多量のホウ酸を水に溶解できる。従来、ホウ酸は、それ単独では防火効果が弱く溶解度が小さいため防火薬剤としての使用に難があり、ホウ酸の溶解を促進するために、ホウ砂、リン酸、アンモニウム塩といった添加物を用いるのが一般的な認識であったが、本実施形態は、かかる一般認識を覆し、加圧環境下での加熱によって、ホウ酸の溶解を促進するものである。加圧環境下におけるホウ酸水溶液の高濃度化により、処理対象物2の内部におけるホウ酸の析出量を増大させることができるため、建築基準法(発熱性試験)に準拠した不燃材の不燃性を確保できる。
なお、本実施形態では、標準大気圧(1気圧)におけるホウ酸の最大溶解度を超えるホウ酸を、予め投入工程において含浸槽1へ投入しておき(このとき、ホウ酸の一部は溶解しきれずに固体物として沈殿している)、高濃度化工程においてさらに溶解させている。しかしながら、本発明は、このような手順に限られることはなく、ホウ酸が含浸槽1に導入されるタイミングとしては、高濃度化工程において昇温と平行して行われてもよいし、あるいは、昇温と交互に行われてもよい。
また、本実施形態によれば、基本的に、安価なホウ酸のみで処理対象物2への含浸が可能であり、高価な不燃化薬剤を合成する必要がないので、不燃材を比較的安価に製造することができる。また、ホウ酸は、それ自体、昔は目を洗う際にも使用されていた物質で、大量に摂取しなければ人体に害を及ぼすことはない。よって、ホウ酸単独の不燃材は、人体にとっても安全性が高いといえる。
また、本実施形態によれば、ホウ砂などの潮解性(吸湿性)を有する添加物を含まないため、これに起因した不燃材の白化や水滴の表出による水の滴りを防止できる。潮解とは、物質が空気中の水(水蒸気)を取り込んで自発的に水溶液となる現象をいう。潮解は、結晶表面に微小体積の飽和水溶液があり、その飽和蒸気圧が大気中の水蒸気圧より小さいときに起こる。大気中の水蒸気が飽和水溶液表面に取り込まれ、飽和水溶液が薄まる。しかし、結晶の物質量は十分に大きく、多少の水が結晶を溶かしても結晶が溶け尽くすことはない。したがって、飽和水溶液の量は増え続け、やがてすべての結晶を溶かし、さらにその水溶液の水蒸気圧が大気中の水蒸気圧と等しくなるまで薄まっていく。そうなると、それ以上の水の吸収は停止する。この潮解性によって不燃材は、水分を吸収し、それらが滴り落ちてくる現象(結露と誤解)や処理対象物2中のホウ酸が溶解した水分が表面に現れ、水分が乾燥した時に白くなる白化現象などの原因になっている。 このことは、不燃材の利用を妨げる大きな足かせになっており、接着剤の強度が発現せずに集成材化ができないといった問題を招く。不燃材として潮解性を有する物質を含まないことは、不燃材の利用を促進する上で、また、集成材における接着強度を確保する上で、極めて有効である。
なお、潮解性を有する物質のうち、ホウ酸の溶解度を高めるものとしては、リン酸第2アンモニウム、硼砂(四ホウ酸ナトリウム十水和物)、炭酸水素アンモニウムが知られている。また、それ以外にも、ホウ酸の溶解度を高める可能性があるものとしてはリン酸が、ホウ酸を主材としたものとしてはティンボア(八ホウ酸二ナトリウム四水和物)が挙げられる。
1 含浸槽
2 処理対象物
3 おもり
4 密閉槽
5 高圧槽
6 冷却液槽

Claims (8)

  1. 不燃材の製造方法において、
    ホウ酸の溶解を促進するための添加物を添加することなく、ホウ酸を溶解したホウ酸水溶液と、不燃材の主材となる処理対象物とを含浸槽内に投入する投入ステップと、
    ホウ酸水溶液を加圧環境下で昇温しつつ、含浸槽に導入されたホウ酸をさらに溶解することによって、処理対象物の内部に含浸させるホウ酸水溶液を大気圧環境下の最大溶解度よりも高濃度化する高濃度化ステップと、
    少なくとも大気圧環境下における沸点に降温するまで加圧状態を維持することを条件に、高濃度化したホウ酸水溶液を降温することによって、処理対象物の内部に含浸したホウ酸を析出させる析出ステップと
    を有することを特徴とする不燃材の製造方法。
  2. 前記高濃度化ステップは、ホウ酸水溶液の温度を120℃以上に設定することを特徴とする請求項1に記載された不燃材の製造方法。
  3. 前記高濃度化ステップは、ホウ酸水溶液の温度を140~160℃に設定することを特徴とする請求項2に記載された不燃材の製造方法。
  4. 前記高濃度化ステップは、溶解しきれずに含浸槽内に沈殿している固体物としてのホウ酸を、ホウ酸水溶液の昇温に伴い溶解させることによって、ホウ酸水溶液を高濃度化することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載された不燃材の製造方法。
  5. 前記高濃度化ステップに先立ち、処理対象物が投入された含浸槽を真空圧環境下に置くことによって、処理対象物の内部に含まれている空気を除去する空気除去ステップをさらに有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載された不燃材の製造方法。
  6. 前記析出ステップは、冷却液との熱交換によってホウ酸水溶液を冷却することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載された不燃材の製造方法。
  7. 不燃材において、
    ホウ酸を含み、ホウ酸の水への溶解を促進するための添加物を含まず、かつ、ホウ酸の含有量が180kg/m3以上であることを特徴とする不燃材。
  8. 不燃材において、
    ホウ酸を含み、ホウ砂、リン酸、アンモニウム塩、および、八ホウ酸二ナトリウム四水和物のいずれの添加物も含まず、かつ、コーンカロリーメーターによる発熱性試験で20分加熱時の総発熱量が8MJ/m2以下であることを特徴とする不燃材。
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