JP7390614B2 - 樹脂塗布装置、樹脂膜形成方法ならびに素子チップの製造方法 - Google Patents

樹脂塗布装置、樹脂膜形成方法ならびに素子チップの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、樹脂塗布装置、樹脂膜形成方法ならびに素子チップの製造方法に関する。
基板をダイシングする際、搬送やピックアップ等における基板あるいは素子チップのハンドリング性向上のために、ダイシングテープと、ダイシングテープの外周を保持する環状のフレームと、を備える搬送キャリアに基板を保持させることが提案されている。基板に樹脂膜を形成する際にも、基板を搬送キャリアに保持させた状態で行われる場合が多い。この場合、樹脂膜の原料液は、基板だけでなく、ダイシングテープおよびフレームの表面にも付着する。特に、スピンコート法により樹脂膜を形成する場合、ダイシングテープおよびフレームへの原料液の付着は生じ易い。
これに関し、特許文献1は、フレームの上面に洗浄水を噴出させて、フレームの上面に付着した樹脂を除去することを教示している。
特開2007-73670号公報
しかし、特許文献1の方法では、洗浄水が基板にまで飛散して、樹脂膜が部分的に損傷したり、樹脂膜の膜厚にバラツキが生じる場合がある。
近年、基板をダイシングする方法として、プラズマ照射によるプラズマダイシングが注目されている。プラズマダイシングに供される基板のプラズマエッチングされる領域以外の素子領域は、マスクで覆われている。マスクは、基板上に形成された樹脂膜をパターニングすることにより得られる。このマスクは、素子領域をプラズマから保護する。そのため、マスクが部分的に損傷していたり膜厚がばらついていると、所望のプラズマエッチングが行われ難くなって、素子チップの品質が低下し易い。
本発明の一局面は、ダイシングテープおよび前記ダイシングテープの外周を保持する環状のフレームを備える搬送キャリアと、前記ダイシングテープに保持された基板と、が載置されるテーブルと、前記テーブルに載置された前記基板の主面に、樹脂膜の原料液を供給する原料液供給部と、前記テーブルに載置された前記ダイシングテープに、前記樹脂膜に含まれる樹脂成分の少なくとも一部を溶解させる溶剤を含む洗浄液を供給する洗浄液供給部と、前記洗浄液と前記基板との接触を妨げる障壁と、を備える、樹脂塗布装置に関する。
本発明の他の局面は、ダイシングテープおよび前記ダイシングテープの外周を保持する環状のフレームを備える搬送キャリアと、前記ダイシングテープに保持された基板と、を準備する準備工程と、前記基板を保持する前記搬送キャリアをテーブルに載置する載置工程と、前記テーブルに載置される前記基板に、樹脂膜の原料液を供給して、前記基板の主面に前記原料液を含む層を形成する塗布工程と、前記塗布工程の後、前記テーブルに載置される前記ダイシングテープに、前記樹脂膜に含まれる樹脂成分の少なくとも一部を溶解させる溶剤を含む洗浄液を供給して、前記ダイシングテープおよび前記フレームの少なくとも一方の表面に付着した前記原料液を前記洗浄液に溶解させて除去する洗浄工程と、前記塗布工程の後、前記洗浄工程の前に、前記洗浄液と前記基板との接触を妨げる障壁を配置する配置工程と、を備える、樹脂膜形成方法に関する。
本発明のさらに他の局面は、ダイシングテープおよび前記ダイシングテープの外周を保持する環状のフレームを備える搬送キャリアと、前記ダイシングテープに保持され、複数の素子領域および前記素子領域を画定する分割領域を備えるとともに、第1の面および前記ダイシングテープに貼着された第2の面を有する基板と、を準備する準備工程と、前記基板の前記第1の面を被覆する樹脂膜を形成する樹脂膜形成工程と、前記樹脂膜に開口を形成して、前記第1の面における前記分割領域を露出させる開口形成工程と、露出した前記分割領域の前記第1の面から前記第2の面までをプラズマエッチングして、前記基板を複数の素子チップに個片化するプラズマダイシング工程と、を備え、前記樹脂膜形成工程は、前記基板を保持する前記搬送キャリアをテーブルに載置する載置工程と、前記テーブルに載置される前記基板に、樹脂膜の原料液を供給して、前記基板の前記第1の面に前記原料液を含む層を形成する塗布工程と、前記塗布工程の後、前記テーブルに載置される前記ダイシングテープに、前記樹脂膜に含まれる樹脂成分の少なくとも一部を溶解させる溶剤を含む洗浄液を供給して、前記ダイシングテープおよび前記フレームの少なくとも一方の表面に付着した前記原料液を前記洗浄液に溶解させて除去する洗浄工程と、前記塗布工程の後、前記洗浄工程の前に、前記洗浄液と前記基板との接触を妨げる障壁を配置する配置工程と、を備える、素子チップの製造方法に関する。
本発明によれば、高品質な素子チップを得ることができる。
本発明の一実施形態に係る樹脂塗布装置の要部を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る樹脂塗布装置のブロック図である。 本発明の一実施形態に係る樹脂塗布装置の動作を示すフローチャートである。 第1実施形態に係る樹脂塗布装置の要部を模式的に示す上面図である。 図4AのI-I線における断面図である。 第2実施形態に係る樹脂塗布装置の要部を模式的に示す上面図である。 図5AのII-II線における断面図である。 図5AのII-II線における他の断面図である。 第4実施形態に係る樹脂塗布装置の要部を模式的に示す上面図である。 図6AのIII-III線における断面図である。 第5実施形態に係る樹脂塗布装置の要部を模式的に示す上面図である。 図7AのIV-IV線における断面図である。 図7AのIV-IV線における他の断面図である。 図7AのIV-IV線におけるさらに他の断面図である。 図7AのIV-IV線におけるさらに他の断面図である。 第9実施形態に係る樹脂塗布装置の要部を模式的に示す上面図である。 本発明の一実施形態に係る素子チップの樹脂膜形成方法を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態に係る搬送キャリアとこれに保持された基板とを模式的に示す上面図である。 図10AのA-A線における断面図である。 本発明の一実施形態に係る塗布工程中の基板を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る洗浄工程中の基板を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る乾燥工程後の基板を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る素子チップの製造方法を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態に係る開口形成工程後の基板の一部を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態で使用されるプラズマ処理装置の構造を概略的に示す断面図である。 本発明の一実施形態で使用されるプラズマ処理装置のブロック図である。 本発明の一実施形態に係るプラズマダイシング工程で作製された素子チップを模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る樹脂膜除去工程後の素子チップを模式的に示す断面図である。
フレームとともにダイシングテープに付着した原料液を洗浄液により除去する場合、原料液の除去効率の観点から、洗浄液は、ダイシングテープの基板が貼着されていない領域に供給されるのが望ましい。一方、この場合、洗浄液がダイシングテープに着地する着地点と基板との距離が近いため、ダイシングテープで跳ね返った洗浄液は、基板の主面により付着し易い。
そこで、本実施形態に係る樹脂塗布装置は、洗浄液と基板との接触を妨げる障壁を備える。これにより、洗浄液がダイシングテープで跳ね返って、基板に塗布された原料液に付着することを防止することができる。これにより、基板上には、損傷が無く、均一な厚みの樹脂膜が形成されて、後のプラズマダイシング工程において所望のエッチングを行うことができる。
また、ダイシングテープおよびフレーム上の原料液は、基板を搬送キャリアとともに搬送する際、搬送ユニットの汚染源となり得る。ダイシングテープおよびフレーム上の原料液は、さらに、樹脂膜形成後に行われる他の処理中のパーティクル源にもなり得る。搬送ユニットに付着した原料液やパーティクルは、基板に再付着する場合もある。ダイシングテープおよびフレーム上の原料液を除去して、上記のような基板への再付着を防止することにより、後のプラズマダイシング工程において所望のエッチングがより実行され易くなるとともに、得られる素子チップの品質が向上する。
本実施形態に係る樹脂膜形成方法は、上記の装置を用いて行うことができる。
本実施形態に係る樹脂塗布装置は、プラズマ処理により基板をダイシングするためのマスクを形成する装置として特に適している。本実施形態は、プラズマダイシング工程を備える素子チップの製造方法を包含する。
A.樹脂塗布装置
本実施形態に係る樹脂塗布装置は、ダイシングテープおよびダイシングテープの外周を保持する環状のフレームを備える搬送キャリアと、ダイシングテープに保持された基板と、が載置されるテーブルと、テーブルに載置された基板の主面に、樹脂膜の原料液を供給する原料液供給部と、テーブルに載置されたダイシングテープに、樹脂膜に含まれる樹脂成分の少なくとも一部を溶解させる溶剤を含む洗浄液を供給する洗浄液供給部と、洗浄液と基板との接触を妨げる障壁と、を備える。
(障壁)
障壁の形状は特に限定されず、洗浄液と基板との接触を妨げることができればよい。障壁は、例えば、基板の外縁の少なくとも一部を囲む立設部を有している。
立設部は、テーブルの載置面と交わる方向に立っている。立設部とテーブルの載置面とが成す角度は90度であってよい。立設部は、基板側に傾斜していてもよく、フレーム側に傾斜していてもよい。この場合、立設部とテーブルの載置面とが成す角度は、45度以上90度未満であってよく、80度以上90度未満であってよく、85度以上90度未満であってよい。
立設部は、基板の外縁の全周を囲っていてもよく、一部を囲っていてもよい。立設部は、基板の外縁の1/4以上を囲んでいることが望ましい。立設部が基板の外縁の全周を囲う筒状であると、フレームの内縁に当たって跳ね返った洗浄液、および、フレームをテーブルに固定するための固定部に当たって跳ね返って洗浄液等が、基板の主面に付着することも抑制される。
洗浄液の跳ね返りは、洗浄液のダイシングテープへの着地点において起こり易い。この点を考慮すると、立設部は、テーブルの法線方向から見たとき、少なくとも洗浄液のダイシングテープへの着地点と基板の外縁との間に配置されることが望ましい。洗浄液のダイシングテープへの着地点は、例えば、洗浄液が供給されるノズル(洗浄液ノズル)の先端から鉛直方向に延びる直線とダイシングテープとの交点である。洗浄液ノズルが複数ある場合、立設部は、少なくとも1つの洗浄液ノズルに対応するように少なくとも1つ配置されればよく、すべての洗浄液ノズルに対応するように複数配置されてもよい。
障壁はさらに、立設部から基板の主面を覆うように延びるルーフ部を備えてよい。これにより、基板への洗浄液の付着はさらに抑制され易くなる。テーブルの法線方向から見たとき、ルーフ部は、基板の主面全体を覆っていてもよく、一部を覆っていてもよい。ルーフ部とテーブルの載置面とが成す角度は0度以上90度以下であってよい。なかでも、ルーフ部とテーブルの載置面との成す角度は、0度より大きいことが望ましい。これにより、ダイシングテープから跳ね返って障壁に当たった洗浄液は、再びダイシングテープに向かって流れ落ち易くなる。障壁に洗浄液が残存していると、洗浄工程が終了し、障壁をダイシングテープ上から退避させる際、基板の主面に洗浄液が落下してしまう場合がある。
障壁は、基板上の原料液を乾燥させる乾燥機構を備えてよい。上記原料液が乾燥し、固化することにより、樹脂膜が形成される。乾燥機構としては、例えば、ヒーターを用いる加熱乾燥、排気装置を用いる減圧乾燥、および給気装置を用いる温風乾燥が挙げられる。これにより、基板上の原料液の乾燥が促進される。さらに、基板上の原料液の乾燥と、ダイシングテープおよびフレーム上の原料液の洗浄と、を並行して行うことができて、工程時間が短縮される。
加熱乾燥に用いられるヒーターは、例えば、立設部および/またはルーフ部の内壁に設置される。この場合、立設部および/またはルーフ部の形状は制限されない。減圧乾燥に用いられる排気装置および温風乾燥に用いられる給気装置は、例えば、基板の外縁の全周を囲む立設部と、基板の一部を覆うとともに開口が設けられたルーフ部と、を備える障壁に接続される。排気装置は、ルーフ部に設けられた開口に接続され、障壁と基板とで囲まれた空間内部の気体を吸引する、給気装置も同様にルーフ部に設けられた開口に接続され、上記空間内部にドライエア、50℃以下の温風等を供給する。上記空間は、完全に密閉されていなくてもよい。排気装置または給気装置に接続されている障壁は、さらにヒーターを備えてもよい。これにより、乾燥効率はさらに向上する。
洗浄液がダイシングテープおよびフレーム全体に接触し易くなる点で、洗浄液を供給する洗浄液ノズルは基板の円周方向に移動可能であってよく、搬送キャリアが載置されるテーブルが、その載置面の法線を回転軸にして回転可能であってよく、双方ともに移動あるいは回転可能であってよい。
テーブルは回転せず、洗浄液ノズルが移動する場合、基板の外縁の一部を囲む障壁は、洗浄液ノズルとともに基板の円周方向に移動可能であってよい。この場合、障壁は、例えば、洗浄液の着地点と基板の外縁との間から、基板の円周方向に向かって両側に延在していてもよい。テーブルが回転しない場合、ダイシングテープに着地した洗浄液は、着地点から四方に向かって飛散し易いためである。
テーブルがその載置面の法線を回転軸にして回転し、洗浄液ノズルは移動しない場合、障壁もまた移動しなくてもよい。この場合、障壁は、例えば、洗浄液の着地点と基板の外縁との間から、テーブルの回転方向に向かって一方向に延在していてもよい。テーブルが回転する場合、ダイシングテープに着地した洗浄液は、テーブルの回転方向へと飛散し易いためである。例えば、テーブルの載置面の法線方向からみたとき、障壁は、洗浄液の着地点と基板の外縁との間からテーブルの回転方向に向かって延在する領域の方が、テーブルの反回転方向に向かって延在する領域よりも大きくてよい。
装置の構成がシンプルになる点で、洗浄液が供給される際、障壁および洗浄液ノズルは移動せず、テーブルが回転することが好ましい。洗浄工程時にテーブルを回転させることにより、溶解した原料液は、ダイシングテープおよびフレーム上から速やかに除去され易くなる。
障壁が基板の外縁全周を囲む筒状の立設部を有する場合、当該障壁は、筒状の立設部の中心点を軸にして自転してもよい。障壁が自転する場合、障壁に付着した洗浄液が、再びダイシングテープに向かって流れ落ち易くなる。
障壁は、基板、ダイシングテープおよびフレームに接触していないことが望ましい。一方、跳ね返った洗浄液が障壁をくぐって基板に付着しないよう、ダイシングテープと障壁との隙間は小さいことが望ましい。ダイシングテープと障壁との最小の距離G1は、例えば、0mmより大きく1mm以下程度であることが望ましい。ダイシングテープ上の樹脂の除去効率の観点から、基板と障壁との間の距離は小さいことが望ましい。基板の外縁と障壁との最小の距離G2は、例えば、1mm以上5mm以下程度であることが望ましい。フレームの内縁と障壁との最小の距離G3は特に限定されず、例えば、10mm~50mm程度であってよい。
距離G1は、テーブルの載置面と平行な方向からみたときの、障壁とダイシングテープとの間の最少の距離である。距離G2は、テーブルの載置面の法線方向からみたときの、障壁と基板の外縁との最少の距離である。距離G3も同様に、テーブルの載置面の法線方向からみたときの、フレームの内縁と障壁との最小の距離である。
立設部の高さは、洗浄液の跳ね返りが乗り越えられない程度であることが望ましい。テーブルの載置面と平行な方向からみたときの、立設部の最も高い部分のダイシングテープからの距離Hは、洗浄液ノズルの先端からダイシングテープまでの距離Dより大きいことが望ましい。距離Hは具体的には、50mm以上であってよい。障壁がルーフ部を備える場合、立設部の高さは特に限定されず、30mm以下であってよい。
障壁によって、基板の外縁の1/2より大きい領域を囲もうとする場合、障壁は、2以上に分割されていてもよい。例えば、基板の外縁の1/2未満の領域を囲む立設部を備える複数の障壁を組み合わせて、基板の外縁の1/2より大きい領域を囲んでもよい。この場合、各障壁を互いに離間する方向に移動させることにより、基板上を通過させることなく、テーブル上から退避させることができる。これにより、洗浄工程が終了し、障壁をテーブル上から退避させる際、基板上に、障壁に残存している洗浄液が落下してしまうことが回避できる。組み合わせて用いられる各障壁は、ルーフ部を備えていてもよい。
(原料液供給部)
原料液供給部は、テーブルに載置された基板に樹脂膜の原料液を供給する。原料液供給部は、例えば、原料液ノズル、原料液が貯留されるタンク、吐出される原料液の圧力を調整するポンプ等を備える。原料液ノズルの先端には開口が形成されており、原料液は、タンクから原料液ノズルに供給された後、この開口から所定の量および圧力で滴下される。原料液ノズルの開口の形状は特に限定されず、例えば、円形であってもよいし、スリット形状であってもよい。原料液ノズルは複数あってもよい。
原料液は、例えば、ポリイミド等の熱硬化性樹脂、フェノール樹脂等のフォトレジスト、あるいは、アクリル樹脂等の水溶性レジスト等の、いわゆるレジスト材料を含む。
(洗浄液供給部)
洗浄液供給部は、テーブルに載置されたダイシングテープに洗浄液を供給する。洗浄液供給部は、例えば、洗浄液ノズル、洗浄液が貯留されるタンク、吐出される洗浄液の圧力を調整するポンプ等を備える。洗浄液ノズルの先端には開口が形成されている。洗浄液は、タンクから洗浄液ノズルに供給された後、この開口から所定の量および圧力で滴下される。洗浄液ノズルの開口の形状は特に限定されず、例えば、円形であってもよいし、スリット形状であってもよい。洗浄液ノズルは複数あってもよい。
洗浄液のダイシングテープによる跳ね返りが抑制される点で、洗浄液ノズルの先端からダイシングテープまでの距離は小さいことが望ましい。洗浄液ノズルの先端からダイシングテープまでの距離Dは、例えば、2mm以上30mm以下であってよい。跳ね返った洗浄液の基板への付着がさらに抑制され易い点で、ダイシングテープと障壁との最小の隙間G1は、上記距離Dより小さいことが好ましい(G1<D)。距離Dは、テーブルの載置面と平行な方向からみたときの、洗浄液ノズルの先端からダイシングテープまでの最少の距離である。
洗浄液は、樹脂膜に含まれる樹脂成分の少なくとも一部を溶解させる溶剤を含む。溶剤は、樹脂膜に含まれる樹脂成分に応じて適宜選択すればよい。上記のレジスト材料を溶解させる溶剤としては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、メチルエチルケトン(MEK)イソプロピルアルコール(IPA)、エタノール、アセトン、水等が挙げられる。洗浄液は、これら1種を単独で、あるいは2種以上を含む。なかでも、ダイシングテープを溶解させ難い点で、洗浄液は、PGMEAを含むことが望ましい。
(テーブル)
テーブルには、搬送キャリアに保持された基板が載置される。テーブルは、上記の通り、その載置面の法線を回転軸にして回転可能であってよい。テーブルは、フレームを固定する固定部を有していてもよい。固定部は、例えばクランプである。
(回転部)
樹脂塗布装置は、テーブルを回転させる回転部を備えてもよい。この場合、回転部および洗浄液供給部は、回転するダイシングテープに対して洗浄液の供給が行われるように制御される。原料液が供給される際および原料液の供給が終了した後にもテーブルが回転しているよう、回転部および原料液供給部が制御されてもよい。原料液の供給時、原料液の供給終了後、および洗浄液の供給時におけるテーブルの回転数は、それぞれ異なり得る。例えば、テーブルの回転数は、原料液の供給時<洗浄液の供給時≦原料液の供給終了後の関係になるように制御される。
回転部は、例えば、テーブルに接続された回転体、および、回転体を回転駆動させるモータ等を備える。回転部は、テーブルを、その載置面の法線を回転軸にして回転させる。
(移動部)
樹脂塗布装置は、原料液ノズルを垂直方向、並進方向および基板の円周方向の少なくとも一方に移動させる第1移動部を備えてもよく、洗浄液ノズルを垂直方向、並進方向および基板の円周方向の少なくとも一方に移動させる第2移動部を備えてもよく、障壁を垂直方向、並進方向、基板の円周方向の少なくとも一方に移動させるか、自転させる第3移動部を備えてもよい。第1移動部、第2移動部および第3移動部は、少なくとも1つが備わっていることが望ましい。以下、第1移動部、第2移動部および第3移動部をまとめて移動部と称す。移動部が備える移動機構は特に限定されず、公知の機構を適宜用いることができる。
(制御部)
制御部は、例えばコンピュータを備え、原料液供給部、洗浄液供給部、回転部および移動部を制御する。
図1は、本実施形態に係る樹脂塗布装置の構成の一部を模式的に示す断面図である。樹脂塗布装置300は、原料液供給部が備える原料液ノズル3011と、テーブル302と、洗浄液供給部が備える洗浄液ノズル3061と、洗浄液の跳ね返りを防止する障壁307とを備える。テーブル302には、ダイシングテープ22およびダイシングテープ22の外周を保持する環状のフレーム21を備える搬送キャリア20と、ダイシングテープ22に保持された基板10と、が載置される。
障壁307は、テーブル302の載置面と交わる方向に立設するとともに、基板10の外縁の少なくとも一部を囲む立設部を有する。図1において、障壁307は、立設部のみにより構成される。障壁307(立設部)は、テーブル302の載置面の法線方向からみたとき、洗浄液がダイシングテープ22に着地する着地点Pと基板10の外縁との間に配置されている。着地点Pは、洗浄液ノズル3061の先端から鉛直方向に延びる直線とダイシングテープ22との交点である。
図2は、本実施形態に係る樹脂塗布装置の一例のブロック図である。樹脂塗布装置300は、樹脂膜の原料液を供給する原料液供給部301と、テーブル302と、洗浄液を供給する洗浄液供給部306と、原料液ノズル、洗浄液ノズルおよび障壁の少なくとも1つを移動させる移動部304と、テーブル302を回転させる回転部305と、原料液供給部301、洗浄液供給部306、移動部304および回転部305を制御する制御部303と、を備える。
樹脂塗布装置は、例えば、以下のように動作する。
図3は、本実施形態に係る樹脂塗布装置の動作を示すフローチャートである。
樹脂塗布装置の動作が開始されると(ST01)、搬送キャリアに保持された基板が搬送アーム等によりテーブルに載置される(ST02)。このとき、テーブルは停止している。原料液ノズルは、テーブル上であって原料液が滴下される位置よりも上方、あるいは、テーブルに重ならない位置に待機している。洗浄液ノズルも同様に、テーブル上であって洗浄液が滴下される位置よりも上方、あるいは、テーブルに重ならない位置に待機している。
フレームが、固定部によりテーブルに固定される。続いて、原料液ノズルが、テーブルに載置された基板の上方である所定位置に配置されて、基板に向かって原料液が滴下される(ST03)。原料液が所定量滴下されると、滴下が終了し(ST04)、原料液ノズルが待機場所へと退避する。その後、テーブルを高速で回転させる(ST05)。この遠心力により、滴下された原料液は、基板の外縁に向かって流動し、均一な層が形成される。原料液の余剰部は、そのまま基板から流れ出た後、ダイシングテープを横断し、フレームを乗り越えて、テーブルへと流出していく。しかし、余剰部の一部は、ダイシングテープやフレーム上に残存する。なお、原料液の滴下が開始されてから終了するまでの間、テーブルは、停止していてもよいし、低速で回転していてもよい。原料ノズルの退避とテーブルの高速回転の開始とは、並行して行われてもよい。
次いで、テーブルの回転数を洗浄に適した回転数に変更し(ST06)、障壁がダイシングテープの上方である所定位置に配置される(ST07)。このときの回転数は、原料液供給時の回転数より大きく、原料液塗布後の高速での回転数よりも小さくてもよい。
続いて、洗浄液ノズルが、テーブルに載置されたダイシングテープの上方である所定位置に配置されて、回転するダイシングテープに向かって、洗浄液が滴下される(ST08)。基板の外縁の少なくとも一部は障壁で囲われているため、洗浄液の跳ね返りは基板に付着し難い。このとき、障壁は、所定位置から移動せず、自転もしない。洗浄液ノズルも所定位置から移動しない一方、テーブルが回転しているため、滴下された洗浄液は、ダイシングテープからフレームに向かって、ダイシングテープやフレーム上に残存する原料液を溶解しながら流動する。溶解した原料液を含む洗浄液は、そのままフレームを乗り越えて、テーブルへと流出していく。これにより、ダイシングテープやフレーム上に残存する原料液が除去されるともに、基板上に均一な厚みの原料液を含む層が形成される。
所定量の洗浄液が滴下されると、洗浄液の供給およびテーブルの回転が停止され(ST09)、洗浄液ノズルおよび障壁が待機場所へと退避する(ST10)。最後に、基板が搬送キャリアごと装置の外に搬出されて(ST11)、動作は終了する(ST12)。
障壁が乾燥機構を有する場合、障壁がダイシングテープの上方である所定位置に配置された状態で、当該乾燥機構を作動させる。乾燥機構の作動は、洗浄液の滴下と並行してもよい。これにより、基板上の原料液を乾燥させるのと同時に、ダイシングテープやフレーム上に残存する原料液の除去作業を行うことができて、生産性が向上する。
以下、図面を参照しながら、障壁の具体的な形状を説明する。ただし、障壁の形状はこれに限定されるものではない。
[第1実施形態]
図4Aは、本実施形態に係る樹脂塗布装置の要部を模式的に示す上面図である。図4Aでは、便宜上、障壁にハッチングを付しており、洗浄液ノズルは先端部分のみを示している。原料液ノズルは省略されている。図4Bは、図4AのI-I線における断面図である。本実施形態において、洗浄工程中、テーブル302は、その載置面の法線を回転軸として回転している。
障壁307Aは、立設部のみから構成されている。障壁307Aは、洗浄液ノズル3061と基板10の外縁との間に配置されており、基板10の外縁の1/3周分程度を囲っている。障壁307Aは、基板10の外縁に沿って延びているが、洗浄液ノズル3061の先端(洗浄液の着地点)からテーブル302の回転方向に向かって延びる領域の方が、テーブル302の反回転方向に向かって延びる領域よりも大きい。
障壁307Aとテーブル302の載置面とが成す角度は90度である。ダイシングテープ22と障壁307Aとの最小の隙間G1は1mm以下であり、基板10の外縁と障壁307Aとの最小の距離G2は1mm以上5mm以下である。フレーム21の内縁と障壁307Aとの最小の距離G3は10mm~50mmである。立設部の最も高い部分のダイシングテープからの距離Hは50mm以上であり、洗浄液ノズルの先端からダイシングテープまでの距離Dは2mm以上30mm以下である。
[第2実施形態]
図5Aは、本実施形態に係る樹脂塗布装置の要部を模式的に示す上面図である。図5Aでは、便宜上、障壁にハッチングを付しており、洗浄液ノズルは先端部分のみを示している。原料液ノズルは省略されている。図5Bは、図5AのII-II線における断面図である。本実施形態において、洗浄工程中、テーブル302は、その載置面の法線を回転軸として回転している。
障壁307Bは、立設部3071とルーフ部3072とを備える。障壁307Bの立設部3071は、洗浄液ノズル3061と基板10の外縁との間に配置されており、基板10の外縁の1/3周分程度を囲っている。立設部3071は、基板10の外縁に沿って延びているが、洗浄液ノズル3061の先端からテーブル302の回転方向に向かって延びる領域の方が、テーブル302の反回転方向に向かって延びる領域よりも大きい。
立設部3071とテーブル302の載置面とが成す角度は90度である。ルーフ部3072は、テーブル302の載置面と平行であり、基板10を部分的に覆っている。隙間G1、距離G2、距離G3、距離Hおよび距離Dは、第1実施形態と同様の範囲である。
[第3実施形態]
図5Cは、本実施形態に係る樹脂塗布装置の要部を模式的に示しており、図5AのI-I線における他の断面図である。障壁307Cは、基板10側に傾斜した立設部のみから構成されていること以外、図5Bの障壁307Bと同様の構成を備える。障壁307Cの立設部とテーブル302の載置面との成す鋭角は80度以上90度未満である。
[第4実施形態]
図6Aは、本実施形態に係る樹脂塗布装置の要部を模式的に示す上面図である。図6Aでは、便宜上、障壁にハッチングを付しており、洗浄液ノズルは先端部分のみを示している。原料液ノズルは省略されている。図6Bは、図6AのIII-III線における断面図である。本実施形態において、洗浄工程中、テーブル302は、その載置面の法線を回転軸として回転している。
障壁307Dは、立設部3071とルーフ部3072とを備える。立設部3071とテーブル302の載置面とが成す角度は90度である。立設部3071は、基板の外縁全周を囲む筒状である。筒の直径は、基板の直径よりも大きい。ルーフ部3072は、テーブル302の載置面と平行であり、基板10の全体を覆っている。ルーフ部3072の内面には、乾燥機構308(例えば、ヒーター)が設置されている。隙間G1、距離G2、距離G3、距離Hおよび距離Dは、第1実施形態と同様の範囲である。
[第5実施形態]
図7Aは、本実施形態に係る樹脂塗布装置の要部を模式的に示す上面図である。図7Aでは、便宜上、障壁にハッチングを付しており、洗浄液ノズルは先端部分のみを示している。原料液ノズルは省略されている。図7Bは、図7AのIV-IV線における断面図である。本実施形態において、洗浄工程中、テーブル302は、その載置面の法線を回転軸として回転している。
障壁307Eは、立設部3071とルーフ部3072とを備える。立設部3071とテーブル302の載置面とが成す角度は90度である。立設部3071は、基板の外縁全周を囲む筒状である。筒の直径は、基板の直径よりも大きい。ルーフ部3072は基板10の一部を覆っており、テーブル302の載置面と平行な第1部分3072aと、第1部分3072aから回転軸方向に延びる第2部分3072bとを備える。第2部分3072bによって、ルーフ部3072には開口が形成されている。上記開口は、基板10の中心の上方に位置しており、排気装置または給気装置に接続されている。立設部3071および/ルーフ部3072の内面に、さらにヒーターが設置されてもよい。隙間G1、距離G2、距離G3、距離Hおよび距離Dは、第1実施形態と同様の範囲である。
[第6実施形態]
図7Cは、本実施形態に係る樹脂塗布装置の要部を模式的に示しており、図7AのIV-IV線における断面図であり、図7Bの変形例である。
障壁307Fは、ルーフ部3072の第1部分3072aがテーブル302の載置面と平行でないこと以外、図7Bの障壁307Eと同様の構成を備える。第1部分3072aとテーブル302の載置面との成す鋭角は45度以上90度未満である。
[第7実施形態]
図7Dは、本実施形態に係る樹脂塗布装置の要部を模式的に示しており、図7AのIV-IV線における断面図であり、図7Bの変形例である。
障壁307Gにおいて、立設部3071は基板10側に傾斜しており、基板10の一部を覆っている。そのため、立設部3071は、ルーフ部の第1部分と同様の機能を備える。さらに、障壁307Gは、立設部3071から回転軸方向に延びる第2部分3072bを備える。障壁307Gは、このこと以外、図7Bの障壁307Eと同様の構成を備える。立設部3071とテーブル302の載置面との成す鋭角は45度以上90度未満である。
[第8実施形態]
図7Eは、本実施形態に係る樹脂塗布装置の要部を模式的に示しており、図7AのIV-IV線における断面図であり、図7Bの変形例である。
障壁307Hにおいて、立設部3071が基板10側に傾斜していること以外、図7Bの障壁307Eと同様の構成を備える。立設部3071とテーブル302の載置面との成す鋭角は45度以上90度未満である。
[第9実施形態]
図8は、本実施形態に係る樹脂塗布装置の要部を模式的に示す上面図である。
障壁307Iは立設部により構成されており、2つのパーツ307aおよび307bに分割されている。パーツ307aおよび307bが所定の位置に配置されることにより筒状になって、基板10の外縁の全周は障壁307Iにより囲まれる。退避の際、パーツ307aおよび307bはそれぞれ離間する方向に移動し、基板上を通過しない。障壁307Iは、このこと以外、図1Bの障壁307Aと同様の構成を備える。障壁307Iはルーフ部を有していてもよく、図6B、図7B~図7Eの障壁307D~307Hと同様の断面を有していてもよい。
B.樹脂膜形成方法
本実施形態に係る樹脂膜形成方法は、ダイシングテープおよびダイシングテープの外周を保持する環状のフレームを備える搬送キャリアと、ダイシングテープに保持された基板と、を準備する準備工程と、基板を保持する搬送キャリアをテーブルに載置する載置工程と、テーブルに載置される基板に、樹脂膜の原料液を供給して、基板の主面に原料液を含む層を形成する塗布工程と、塗布工程の後、テーブルに載置されるダイシングテープに、樹脂膜に含まれる樹脂成分の少なくとも一部を溶解させる溶剤を含む洗浄液を供給して、ダイシングテープおよびフレームの少なくとも一方の表面に付着した原料液を洗浄液に溶解させて除去する洗浄工程と、塗布工程の後、洗浄工程の前に、洗浄液と基板との接触を妨げる障壁を配置する配置工程と、を備える。
図9は、本実施形態に係る樹脂膜形成方法を示すフローチャートである。
(i)準備工程(S1)
ダイシングテープおよびダイシングテープの外周を保持する環状のフレームを備える搬送キャリアと、ダイシングテープに保持された基板と、を準備する。
(基板)
基板は、第1の面および第2の面を備えるとともに、例えば、複数の素子領域と素子領域を画定する分割領域とを備える。基板は、半導体層を備える。基板の素子領域は、さらに配線層を備えてよい。基板の分割領域は、さらに絶縁膜とTEG(Test Element Group)等の金属材料とを備えてよい。分割領域における基板をエッチングすることにより、素子チップが得られる。
基板の大きさは特に限定されず、例えば、最大径50mm~300mm程度である。基板の形状も特に限定されず、例えば、円形、角型である。また、基板には、オリエンテーションフラット(オリフラ)、ノッチ等の切欠きが設けられていてもよい。
半導体層は、例えば、シリコン(Si)、ガリウム砒素(GaAs)、窒化ガリウム(GaN)、炭化ケイ素(SiC)等を含む。素子チップにおける半導体層の厚みは特に限定されず、例えば、20μm~1000μmであり、100μm~300μmであってもよい。
配線層は、例えば、半導体回路、電子部品素子、MEMS等を構成しており、絶縁膜、金属材料、樹脂層(例えば、ポリイミド)、レジスト層、電極パッド、バンプ等を備えてもよい。絶縁膜は、配線用の金属材料との積層体(多層配線層あるいは再配線層)として含まれてもよい。
分割領域の形状は、直線に限られず、所望の素子チップの形状に応じて設定されればよく、ジグザグであってもよいし、波線であってもよい。なお、素子チップの形状としては、例えば、矩形、六角形等が挙げられる。
分割領域の幅は特に限定されず、基板や素子チップの大きさ等に応じて、適宜設定すればよい。分割領域の幅は、例えば、10μm以上、300μm以下である。複数の分割領域の幅は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。分割領域は、通常、複数本、基板に配置されている。隣接する分割領域同士のピッチも特に限定されず、基板や素子チップの大きさ等に応じて、適宜設定すればよい。
(搬送キャリア)
搬送キャリアは、フレームとフレームに固定されたダイシングテープとを備える。
フレームは、基板の全体と同じかそれ以上の面積の開口を有した枠体であり、所定の幅および略一定の薄い厚みを有している。フレームは、ダイシングテープおよび基板を保持した状態で搬送できる程度の剛性を有している。フレームの開口の形状は特に限定されないが、例えば、円形や、矩形、六角形など多角形であってもよい。フレームの材質としては、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼等の金属や、樹脂等が挙げられる。
ダイシングテープの材質は特に限定されない。なかでも、基板が貼着され易い点で、ダイシングテープは、粘着層と柔軟性のある非粘着層とを含むことが好ましい。
非粘着層の材質は特に限定されず、例えば、ポリエチレンおよびポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル等の熱可塑性樹脂が挙げられる。樹脂フィルムには、伸縮性を付加するためのゴム成分(例えば、エチレン-プロピレンゴム(EPM)、エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)等)、可塑剤、軟化剤、酸化防止剤、導電性材料等の各種添加剤が配合されていてもよい。また、上記熱可塑性樹脂は、アクリル基等の光重合反応を示す官能基を有していてもよい。非粘着層の厚みは特に限定されず、例えば、50μm以上、300μm以下であり、好ましくは50μm以上、150μm以下である。
粘着層を備える面(粘着面)の外周縁は、フレームの一方の面に貼着しており、フレームの開口を覆っている。粘着面のフレームの開口から露出した部分に、基板の一方の主面(第2の面)が貼着されることにより、基板はダイシングテープに保持される。基板は、ダイアタッチフィルム(DAF)を介して、ダイシングテープに保持されてもよい。
粘着層は、紫外線(UV)の照射によって粘着力が減少する粘着成分からなることが好ましい。これにより、プラズマダイシング後に素子チップをピックアップする際、UV照射を行うことにより、素子チップが粘着層から容易に剥離されて、ピックアップし易くなる。例えば、粘着層は、非粘着層の片面に、UV硬化型アクリル粘着剤を5μm以上、100μm以下(好ましくは5μm以上、15μm以下)の厚みに塗布することにより得られる。
図10Aは、搬送キャリアとこれに保持された基板とを模式的に示す上面図である。図10Bは、図10Aに示すA-A線での断面図である。
搬送キャリア20は、環状のフレーム21とフレーム21に固定されたダイシングテープ22とを備える。フレーム21には、位置決めのためのノッチ21aやコーナーカット21bが設けられていてもよい。粘着面22Xの外周縁は、フレーム21の一方の面に貼着し、粘着面22Xのフレーム21の開口から露出した部分に、基板10の一方の主面が貼着される。
(ii)載置工程(S2)
基板を保持する搬送キャリアをテーブルに載置する。搬送キャリアは、テーブルと、ダイシングテープの非粘着面とが接するように、テーブルに載置される。
(iii)塗布工程(S3)
基板を被覆する樹脂膜を形成する。樹脂膜は、基板の素子領域をプラズマ等から保護するために設けられる。
樹脂膜は、テーブルに載置される基板に、樹脂膜の原料液を供給し、乾燥させることにより形成される。原料液を基板に供給する方法は特に限定されない。例えば、原料液を液体状のまま基板に供給してもよいし、原料液を霧や泡などの状態で基板に供給してもよい。なかでも、均一な樹脂膜が得られ易い点で、原料液を液体状のまま基板に供給した後、テーブルを回転させるスピンコート法が好ましい。ただし、スピンコート法では原料液が基板上から流出するため、ダイシングテープやフレーム上にも原料液が付着し易い。
スピンコート法におけるテーブルの回転速度は、特に限定されないが、300rpm以上であってよく、500rpm以上であってよい。また、テーブルの回転速度は、5000rpm以下であってよく、3000rpm以下であってよい。原料液を供給する際、テーブルは停止していてもよいし、より低速(例えば、10rpm以上50rpm以下)で回転していてもよい。
原料液は、例えば、上記の通り、ポリイミド等の熱硬化性樹脂、フェノール樹脂等のフォトレジスト、あるいは、アクリル樹脂等の水溶性レジスト等の、いわゆるレジスト材料を含む。
原料液の粘度は特に限定されない。生産性の観点から、原料液のJIS Z 8803に準拠して測定される20℃における粘度は、1mPa・s以上1000mPa・s以下であってよい。
原料液の供給量は、所望の樹脂膜の厚みに応じて適宜設定すればよい。樹脂膜の厚みは特に限定されないが、プラズマダイシング工程により完全には除去されない程度であることが好ましい。樹脂膜の厚みは、例えば、プラズマダイシング工程において樹脂膜がエッチングされる量(厚み)を算出し、このエッチング量以上になるように設定される。樹脂膜の厚みは、例えば、5μm~60μmである。
図11は、本実施形態に係る塗布工程中の基板を模式的に示す断面図である。樹脂膜の原料液P40は液体状のまま、基板10の第1の面10Xに向かって原料液ノズル3011から供給されている。塗布工程中、テーブル302はその載置面の法線を回転軸として回転しており、原料液P40は、基板10の外縁に向かって流動する。そのため、ダイシングテープやフレーム上にも原料液P40が付着している。
(iv)配置工程(S4)
塗布工程の後、洗浄工程の前に、障壁を、テーブルの載置面と交わる方向に立設するとともに基板の外縁の少なくとも一部を囲むように配置する。これにより、後の洗浄工程で供給される洗浄液がダイシングテープによって跳ね返っても、基板上に付着することが抑制される。障壁の形状および配置は、上記の通りである。
(v)洗浄工程(S5)
テーブルに載置されているダイシングテープに洗浄液を供給する。これにより、上記樹脂成分の少なくとも一部が溶解して、ダイシングテープやフレーム上の原料液が除去される。配置工程および洗浄工程は、塗布工程の後、速やかに行われることが望ましい。原料液が固化、乾燥する前に洗浄工程を行うことにより、原料液が除去され易くなるためである。
洗浄液をダイシングテープに供給する方法は特に限定されない。例えば、洗浄液を液体状のままダイシングテープに供給してもよいし、樹脂膜の原料液を霧や泡などの状態でダイシングテープに供給してもよい。なかでも、洗浄効果が高い点で、洗浄液を液体状のままダイシングテープに供給する方法が好ましい。
洗浄液を供給する際、テーブルをその載置面の法線を回転軸として回転させてもよい。これにより、溶解した原料液を速やかにダイシングテープやフレーム上から取り除くことができる。洗浄工程におけるテーブルの回転速度は、特に限定されないが、300rpm以上であってよく、500rpm以上であってよい。また、テーブルの回転速度は、2000rpm以下であってよく、1500rpm以下であってよい。
洗浄液の粘度は特に限定されない。生産性の観点から、洗浄液のJIS Z 8803に準拠して測定される20℃における粘度は、1mPa・s以上1000mPa・s以下であってよい。
図12は、本実施形態に係る洗浄工程中の基板を模式的に示す断面図である。洗浄液50は液体状のまま、ダイシングテープ22に向かって洗浄液ノズル3061から供給されている。障壁307は、テーブル302の法線方向からみたとき、洗浄液50がダイシングテープ22に着地する着地点Pと基板10の外縁との間に配置されている。これにより、洗浄液50の着地点Pにおける跳ね返りは障壁307によって遮られ、基板10上への付着が抑制される。洗浄工程中、テーブル302はその載置面の法線を回転軸として回転しており、洗浄液50は、ダイシングテープ22からフレーム21に向かって、ダイシングテープ22やフレーム21上に残存する原料液P40を溶解しながら流動する。溶解した原料液P40を含む洗浄液50は、そのままフレーム21を乗り越えて、テーブル302へと流出する。
(vi)乾燥工程(S6)
基板の主面に形成された原料液を含む層を乾燥させて、基板の主面を覆う樹脂膜を形成する。
乾燥条件は特に限定されず、原料液の成分および濃度、ダイシングテープの耐熱性等を考慮して適宜設定すればよい。障壁が乾燥機構を備える場合、洗浄工程と乾燥工程とは並行して実行されてもよい。乾燥機構としては、上記の通り、例えば、ヒーターを用いる加熱乾燥、排気装置を用いる減圧乾燥、または給気装置を用いる温風乾燥が挙げられる。
図13は、本実施形態に係る乾燥工程後の基板を模式的に示す断面図である。基板10の第1の面10Xに、樹脂膜40が形成されている。樹脂膜40は、基板10の側面にも形成されてよい。一方、ダイシングテープ22の粘着面22X上およびフレーム21には、樹脂膜40は形成されていない。
C.素子チップの製造方法
本実施形態に係る素子チップの製造方法は、ダイシングテープおよび前記ダイシングテープの外周を保持する環状のフレームを備える搬送キャリアと、ダイシングテープに保持され、複数の素子領域および素子領域を画定する分割領域を備えるとともに、第1の面および前記ダイシングテープに貼着された第2の面を有する基板と、を準備する準備工程と、基板の第1の面を被覆する樹脂膜を形成する樹脂膜形成工程と、樹脂膜に開口を形成して、第1の面における分割領域を露出させる開口形成工程と、露出した分割領域の第1の面から第2の面までをプラズマエッチングして、基板を複数の素子チップに個片化するプラズマダイシング工程と、を備える。樹脂膜形成は、上記の樹脂膜形成方法により実行される。
図14は、本実施形態に係る製造方法を示すフローチャートである。
(1)準備工程(S11(S1))
まず、搬送キャリアに保持された基板を準備する。基板および搬送キャリアの形状、材質等は上記の通りである。
(2)樹脂膜形成工程(S12)
樹脂膜形成工程は、上記の樹脂膜形成方法の載置工程(ii)、塗布工程(iii)、配置工程(iv)。洗浄工程(v)、さらには乾燥工程(vi)により実行される。上記樹脂膜形成方法によれば、基板上に均一な樹脂膜を形成することができる。
(3)開口形成工程(S13)
樹脂膜に開口を形成して、基板の分割領域を露出させる。
開口は、例えば、フォトレジストにより形成された樹脂膜のうち、分割領域に対応する領域をフォトリソグラフィ法によって除去することにより形成される。熱硬化性樹脂あるいは水溶性レジストにより形成された樹脂膜のうち、分割領域に対応する領域をレーザスクライビングによりパターニングして、開口を形成してもよい。
開口は、分割領域における樹脂膜および配線層が除去されることにより形成されてもよい。分割領域における配線層の除去は、後述するプラズマダイシング工程において行ってもよい。この場合、配線層を除去するためのプラズマを発生させる条件と、基板をエッチングするためのプラズマを発生させる条件とは異なり得る。
開口形成工程の後、プラズマダイシング工程を行う前に、開口をレーザ光あるいはプラズマによりクリーニングする工程を行ってもよい。クリーニング工程におけるレーザ光は、通常、開口形成工程で用いられるレーザ光とは異なる条件で照射される。同様に、クリーニング工程で用いられるプラズマは、通常、個片化を行うときに発生させるプラズマとは異なる条件で発生させる。クリーニング工程は、例えば、開口形成工程に起因する残渣を低減する目的で行われる。これにより、更に高品質のプラズマエッチングを行うことが可能になる。
図15は、本実施形態に係る開口形成工程後の基板の一部を模式的に示す断面図である。分割領域102における樹脂膜40および配線層12が除去されて、開口から分割領域102において半導体層11が露出している。
(4)プラズマダイシング工程(S14)
基板をプラズマに晒して、開口から露出する分割領域を第2の面までエッチングし、基板から複数の素子チップを形成する。複数の素子チップは、ダイシングテープに保持された状態で得られる。
図16を参照しながら、プラズマエッチングに使用されるプラズマ処理装置100を具体的に説明する。プラズマ処理装置は、これに限定されるものではない。図16は、プラズマ処理装置100の構造を概略的に示す断面図であり、便宜上、樹脂膜40を省略している。
(プラズマ処理装置)
プラズマ処理装置100は、ステージ111を備えている。搬送キャリア20は、ダイシングテープ22の基板10を保持している面が上方を向くように、ステージ111に搭載される。ステージ111は、搬送キャリア20の全体を載置できる程度の大きさを備える。ステージ111の上方には、基板10の少なくとも一部を露出させるための窓部124Wを有するカバー124が配置されている。カバー124には、フレーム21がステージ111に載置されている状態のとき、フレーム21を押圧するための押さえ部材107が配置されている。押さえ部材107は、フレーム21と点接触できる部材(例えば、コイルバネや弾力性を有する樹脂)であることが好ましい。これにより、フレーム21およびカバー124の熱が互いに影響し合うことを抑制しながら、フレーム21の歪みを矯正することができる。
ステージ111およびカバー124は、真空チャンバ103内に配置されている。真空チャンバ103は、上部が開口した概ね円筒状であり、上部開口は蓋体である誘電体部材108により閉鎖されている。真空チャンバ103を構成する材料としては、アルミニウム、ステンレス鋼(SUS)、表面をアルマイト加工したアルミニウム等が例示できる。誘電体部材108を構成する材料としては、酸化イットリウム(Y23)、窒化アルミニウム(AlN)、アルミナ(Al23)、石英(SiO2)等の誘電体材料が例示できる。誘電体部材108の上方には、上部電極としての第1の電極109が配置されている。第1の電極109は、第1の高周波電源110Aと電気的に接続されている。ステージ111は、真空チャンバ103内の底部側に配置される。
真空チャンバ103には、ガス導入口103aが接続されている。ガス導入口103aには、プラズマ発生用ガス(プロセスガス)の供給源であるプロセスガス源112およびアッシングガス源113が、それぞれ配管によって接続されている。また、真空チャンバ103には、排気口103bが設けられており、排気口103bには、真空チャンバ103内のガスを排気して減圧するための真空ポンプを含む減圧機構114が接続されている。真空チャンバ103内にプロセスガスが供給された状態で、第1の電極109に第1の高周波電源110Aから高周波電力が供給されることにより、真空チャンバ103内にプラズマが発生する。
ステージ111は、それぞれ略円形の電極層115と、金属層116と、電極層115および金属層116を支持する基台117と、電極層115、金属層116および基台117を取り囲む外周部118とを備える。外周部118は導電性および耐エッチング性を有する金属により構成されており、電極層115、金属層116および基台117をプラズマから保護する。外周部118の上面には、円環状の外周リング129が配置されている。外周リング129は、外周部118の上面をプラズマから保護する役割をもつ。電極層115および外周リング129は、例えば、上記の誘電体材料により構成される。
電極層115の内部には、静電吸着(Electrostatic Chuck)用電極(以下、ESC電極119と称す。)と、第2の高周波電源110Bに電気的に接続された第2の電極120とが配置されている。ESC電極119には、直流電源126が電気的に接続されている。静電吸着機構は、ESC電極119および直流電源126により構成されている。静電吸着機構によって、ダイシングテープ22はステージ111に押し付けられて固定される。以下、ダイシングテープ22をステージ111に固定する固定機構として、静電吸着機構を備える場合を例に挙げて説明するが、これに限定されない。ダイシングテープ22のステージ111への固定は、図示しないクランプによって行われてもよい。
金属層116は、例えば、表面にアルマイト被覆を形成したアルミニウム等により構成される。金属層116内には、冷媒流路127が形成されている。冷媒流路127は、ステージ111を冷却する。ステージ111が冷却されることにより、ステージ111に搭載されたダイシングテープ22が冷却されるとともに、ステージ111にその一部が接触しているカバー124も冷却される。これにより、基板10やダイシングテープ22が、プラズマ処理中に加熱されることによって損傷されることが抑制される。冷媒流路127内の冷媒は、冷媒循環装置125により循環される。
ステージ111の外周付近には、ステージ111を貫通する複数の支持部122が配置されている。支持部122は、搬送キャリア20のフレーム21を支持する。支持部122は、第1の昇降機構123Aにより昇降駆動される。搬送キャリア20が真空チャンバ103内に搬送されると、所定の位置まで上昇した支持部122に受け渡される。支持部122の上端面がステージ111と同じレベル以下にまで降下することにより、搬送キャリア20は、ステージ111の所定の位置に載置される。
カバー124の端部には、複数の昇降ロッド121が連結しており、カバー124を昇降可能にしている。昇降ロッド121は、第2の昇降機構123Bにより昇降駆動される。第2の昇降機構123Bによるカバー124の昇降の動作は、第1の昇降機構123Aとは独立して行うことができる。
制御装置128は、第1の高周波電源110A、第2の高周波電源110B、プロセスガス源112、アッシングガス源113、減圧機構114、冷媒循環装置125、第1の昇降機構123A、第2の昇降機構123Bおよび静電吸着機構を含むプラズマ処理装置100を構成する要素の動作を制御する。図17は、本実施形態で使用されるプラズマ処理装置のブロック図である。
基板10のエッチングは、基板10が保持された搬送キャリア20を真空チャンバ内に搬入し、基板10がステージ111に載置された状態で行われる。
基板10の搬入の際、真空チャンバ103内では、昇降ロッド121の駆動により、カバー124が所定の位置まで上昇している。図示しないゲートバルブが開いて搬送キャリア20が搬入される。複数の支持部122は、上昇した状態で待機している。搬送キャリア20がステージ111上方の所定の位置に到達すると、支持部122に搬送キャリア20が受け渡される。搬送キャリア20は、ダイシングテープ22の粘着面22Xが上方を向くように、支持部122の上端面に受け渡される。
搬送キャリア20が支持部122に受け渡されると、真空チャンバ103は密閉状態に置かれる。次に、支持部122が降下を開始する。支持部122の上端面が、ステージ111と同じレベル以下にまで降下することにより、搬送キャリア20は、ステージ111に載置される。続いて、昇降ロッド121が駆動する。昇降ロッド121は、カバー124を所定の位置にまで降下させる。このとき、カバー124に配置された押さえ部材107がフレーム21に点接触できるように、カバー124とステージ111との距離は調節されている。これにより、フレーム21が押さえ部材107によって押圧されるとともに、フレーム21がカバー124によって覆われ、基板10は窓部124Wから露出する。
カバー124は、例えば、略円形の外形輪郭を有したドーナツ形であり、一定の幅および薄い厚みを備えている。窓部124Wの直径はフレーム21の内径よりも小さく、その外径はフレーム21の外径よりも大きい。したがって、搬送キャリア20をステージ111の所定の位置に搭載し、カバー124を降下させると、カバー124は、フレーム21を覆うことができる。窓部124Wからは、基板10の少なくとも一部が露出する。
カバー124は、例えば、セラミックス(例えば、アルミナ、窒化アルミニウムなど)や石英などの誘電体や、アルミニウムあるいは表面がアルマイト処理されたアルミニウムなどの金属で構成される。押さえ部材107は、上記の誘電体や金属の他、樹脂材料で構成され得る。
搬送キャリア20が支持部122に受け渡された後、直流電源126からESC電極119に電圧を印加する。これにより、ダイシングテープ22がステージ111に接触すると同時にステージ111に静電吸着される。なお、ESC電極119への電圧の印加は、ダイシングテープ22がステージ111に載置された後(接触した後)に、開始されてもよい。
エッチングが終了すると、真空チャンバ103内のガスが排出され、ゲートバルブが開く。複数の素子チップを保持する搬送キャリア20は、ゲートバルブから進入した搬送機構によって、プラズマ処理装置100から搬出される。搬送キャリア20が搬出されると、ゲートバルブは速やかに閉じられる。搬送キャリア20の搬出プロセスは、上記のような搬送キャリア20をステージ111に搭載する手順とは逆の手順で行われてもよい。すなわち、カバー124を所定の位置にまで上昇させた後、ESC電極119への印加電圧をゼロにして、搬送キャリア20のステージ111への吸着を解除し、支持部122を上昇させる。支持部122が所定の位置まで上昇した後、搬送キャリア20は搬出される。
半導体層をエッチングするプラズマの発生条件は、半導体層の材質などに応じて設定される。
半導体層は、例えば、ボッシュプロセスによりプラズマエッチングされる。ボッシュプロセスでは、半導体層が深さ方向に垂直にエッチングされる。半導体層がSiを含む場合、ボッシュプロセスは、堆積ステップと、堆積膜エッチングステップと、Siエッチングステップとを順次繰り返すことにより、半導体層を深さ方向に掘り進む。
堆積ステップは、例えば、プロセスガスとしてCを150sccm以上250sccm以下で供給しながら、真空チャンバ内の圧力を15Pa以上25Pa以下に調整し、第1の高周波電源から第1の電極への投入電力を1500W以上2500W以下として、第2の高周波電源から第2の電極への投入電力を0W以上50W以下として、2秒以上15秒以下、処理する条件で行われる。
堆積膜エッチングステップは、例えば、プロセスガスとしてSFを200sccm以上400sccm以下で供給しながら、真空チャンバ内の圧力を5Pa以上15Pa以下に調整し、第1の高周波電源から第1の電極への投入電力を1500W以上2500W以下として、第2の高周波電源から第2の電極への投入電力を300W以上1000W以下として、2秒以上10秒以下、処理する条件で行われる。
Siエッチングステップは、例えば、プロセスガスとしてSFを200sccm以上400sccm以下で供給しながら、真空チャンバ内の圧力を5Pa以上15Paに調整し、第1の高周波電源から第1の電極への投入電力を1500W以上2500W以下として、第2の高周波電源から第2の電極への投入電力を50W以上500W以下として、10秒以上20秒以下、処理する条件で行われる。
上記のような条件で、堆積ステップ、堆積膜エッチングステップ、および、Siエッチングステップを繰り返すことにより、Siを含む半導体層は、10μm/分以上20μm/分以下の速度で深さ方向に垂直にエッチングされ得る。
図18は、本実施形態に係るプラズマダイシング工程で作製された素子チップを、模式的に示す断面図である。基板の分割領域がエッチングされて、基板から複数の素子チップ200が形成されている。素子チップ200の配線層12は、樹脂膜40により覆われている。
(5)樹脂膜除去工程(S15)
プラズマダイシング工程の後、プラズマ処理装置においてアッシングを行ってもよい。これにより、樹脂膜が除去される。アッシング用のプロセスガス(例えば、酸素ガス(O)や、Oガスとフッ素を含むガスとの混合ガス等)を、アッシングガス源から真空チャンバ内に導入する。一方、減圧機構による排気を行い、真空チャンバ内を所定の圧力に維持する。第1の高周波電源からの高周波電力の投入により、真空チャンバ内には酸素プラズマが発生し、カバーの窓部から露出している個片化された素子チップの表面の樹脂膜が除去される。
具体的には、アッシングは、例えば、アッシングガスとしてCFとOとの混合ガス(流量比CF:O=1:10)を150sccm以上300sccm以下で供給しながら、真空チャンバ内の圧力を5Pa~15Paに調整し、第1の高周波電源から第1の電極への印加電力を1500W以上5000W以下として、第2の高周波電源から第2の電極への印加電力を0W以上300W以下とする条件により行われる。なお、アッシング工程における第2の電極への印加電力は、プラズマダイシング工程における第2の電極への印加電力よりも小さくなるように設定することが望ましい。
樹脂膜が水溶性である場合、アッシングに替えて、水洗により樹脂膜を除去してもよい。
図19は、本実施形態に係る樹脂膜除去工程で作製された素子チップを、模式的に示す断面図である。配線層12を覆っていた樹脂膜40が除去されている。
樹脂膜除去工程の後、素子チップは、ダイシングテープから取り外される。
素子チップを、例えば、ダイシングテープの非粘着面側から、ダイシングテープとともに突き上げピンで突き上げる。これにより、素子チップの少なくとも一部は、ダイシングテープから浮き上がる。その後、ピックアップ装置により、素子チップはダイシングテープから取り外される。
本発明の樹脂膜形成方法および樹脂塗布装置は、基板の主面に均一な樹脂膜を形成できるため、特にプラズマダイシングにより素子チップを製造する方法に好適である。
10:基板
10X:第1の面
10Y:第2の面
11:半導体層
12:配線層
20:搬送キャリア
21:フレーム
21a:ノッチ
21b:コーナーカット
22:ダイシングテープ
22X:粘着面
22Y:非粘着面
221:周縁領域
40:樹脂膜
P40:樹脂膜の原料液
50:洗浄液
100:プラズマ処理装置
103:真空チャンバ
103a:ガス導入口
103b:排気口
108:誘電体部材
109:第1の電極
110A:第1の高周波電源
110B:第2の高周波電源
111:ステージ
112:プロセスガス源
113:アッシングガス源
114:減圧機構
115:電極層
116:金属層
117:基台
118:外周部
119:ESC電極
120:第2の電極
121:昇降ロッド
122:支持部
123A、123B:昇降機構
124:カバー
124W:窓部
125:冷媒循環装置
126:直流電源
127:冷媒流路
128:制御装置
129:外周リング
200:素子チップ
300:樹脂塗布装置
301:原料液供給部
3011:原料液ノズル
302:テーブル
303:制御部
304:移動部
305:回転部
306:洗浄液供給部
3061:洗浄液ノズル
307、307A~307I:障壁
307a、307b:障壁を構成するパーツ
3071:立設部
3072:ルーフ部
3072a:第1部分
3072b:第2部分
308:乾燥機構(ヒーター)

Claims (11)

  1. ダイシングテープおよび前記ダイシングテープの外周を保持する環状のフレームを備える搬送キャリアと、前記ダイシングテープに保持された基板と、が載置されるテーブルと、
    前記テーブルに載置された前記基板の主面に、樹脂膜の原料液を供給する原料液供給部と、
    前記テーブルに載置された前記ダイシングテープに、前記樹脂膜に含まれる樹脂成分の少なくとも一部を溶解させる溶剤を含む洗浄液を供給する洗浄液供給部と、
    前記洗浄液と前記基板との接触を妨げる障壁と、を備え、
    前記障壁は、前記基板の外縁の少なくとも一部を囲む立設部と、前記立設部から前記基板の前記主面の少なくとも一部を覆うように延びるルーフ部と、を備える、樹脂塗布装置。
  2. 前記障壁の前記立設部は、前記洗浄液が前記ダイシングテープに着地する着地点と前記基板の前記外縁との間に配置される、請求項に記載の樹脂塗布装置。
  3. さらに、前記テーブルをその載置面の法線を回転軸にして回転させる回転部を備える、請求項に記載の樹脂塗布装置。
  4. 前記障壁の前記立設部は、前記洗浄液の前記着地点と前記基板の前記外縁との間から、前記テーブルの回転方向に向かって延びる、請求項に記載の樹脂塗布装置。
  5. 前記回転部および前記洗浄液供給部は、回転する前記ダイシングテープに対して前記洗浄液の供給が行われるように制御される、請求項3または4に記載の樹脂塗布装置。
  6. 前記障壁は、前記基板の前記主面上の前記原料液を乾燥させる乾燥機構を備える、請求項1~のいずれか一項に記載の樹脂塗布装置。
  7. ダイシングテープおよび前記ダイシングテープの外周を保持する環状のフレームを備える搬送キャリアと、前記ダイシングテープに保持された基板と、を準備する準備工程と、
    前記基板を保持する前記搬送キャリアをテーブルに載置する載置工程と、
    前記テーブルに載置される前記基板に、樹脂膜の原料液を供給して、前記基板の主面に前記原料液を含む層を形成する塗布工程と、
    前記塗布工程の後、前記テーブルに載置される前記ダイシングテープに、前記樹脂膜に含まれる樹脂成分の少なくとも一部を溶解させる溶剤を含む洗浄液を供給して、前記ダイシングテープおよび前記フレームの少なくとも一方の表面に付着した前記原料液を前記洗浄液に溶解させて除去する洗浄工程と、
    前記塗布工程の後、前記洗浄工程の前に、前記洗浄液と前記基板との接触を妨げる障壁を配置する配置工程と
    前記塗布工程の後、前記基板の主面に形成された前記層を乾燥させる乾燥工程と、を備え、
    前記乾燥工程は、前記障壁が備える乾燥機構により実行される、樹脂膜形成方法。
  8. さらに、前記基板を保持する前記搬送キャリアが載置された前記テーブルを、その載置面の法線を回転軸にして回転させる回転工程を備え、
    前記洗浄工程において、前記テーブルを回転させることにより、溶解した前記原料液を含む前記洗浄液を前記ダイシングテープおよび前記フレーム上から除去する、請求項に記載の樹脂膜形成方法。
  9. 前記洗浄工程と前記乾燥工程とは並行して実行される、請求項7または8に記載の樹脂膜形成方法。
  10. ダイシングテープおよび前記ダイシングテープの外周を保持する環状のフレームを備える搬送キャリアと、前記ダイシングテープに保持され、複数の素子領域および前記素子領域を画定する分割領域を備えるとともに、第1の面および前記ダイシングテープに貼着された第2の面を有する基板と、を準備する準備工程と、
    前記基板の前記第1の面を被覆する樹脂膜を形成する樹脂膜形成工程と、
    前記樹脂膜に開口を形成して、前記第1の面における前記分割領域を露出させる開口形成工程と、
    露出した前記分割領域の前記第1の面から前記第2の面までをプラズマエッチングして、前記基板を複数の素子チップに個片化するプラズマダイシング工程と、を備え、
    前記樹脂膜形成工程は、
    前記基板を保持する前記搬送キャリアをテーブルに載置する載置工程と、
    前記テーブルに載置される前記基板に、樹脂膜の原料液を供給して、前記基板の前記第1の面に前記原料液を含む層を形成する塗布工程と、
    前記塗布工程の後、前記テーブルに載置される前記ダイシングテープに、前記樹脂膜に含まれる樹脂成分の少なくとも一部を溶解させる溶剤を含む洗浄液を供給して、前記ダイシングテープおよび前記フレームの少なくとも一方の表面に付着した前記原料液を前記洗浄液に溶解させて除去する洗浄工程と、
    前記塗布工程の後、前記洗浄工程の前に、前記洗浄液と前記基板との接触を妨げる障壁を配置する配置工程と
    前記塗布工程の後、前記基板の前記第1の面に形成された前記層を乾燥させる乾燥工程と、を備え、
    前記乾燥工程は、前記障壁が備える乾燥機構により実行される、素子チップの製造方法。
  11. 前記洗浄工程と前記乾燥工程とは並行して実行される、請求項10に記載の素子チップの製造方法。
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