JP7390176B2 - 真空乾燥装置、真空乾燥装置における棚の温度調節方法 - Google Patents

真空乾燥装置、真空乾燥装置における棚の温度調節方法 Download PDF

Info

Publication number
JP7390176B2
JP7390176B2 JP2019221357A JP2019221357A JP7390176B2 JP 7390176 B2 JP7390176 B2 JP 7390176B2 JP 2019221357 A JP2019221357 A JP 2019221357A JP 2019221357 A JP2019221357 A JP 2019221357A JP 7390176 B2 JP7390176 B2 JP 7390176B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
dried
shelf
temperature
container
fluid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2019221357A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2021092327A (ja
Inventor
剛 吉元
陽一 大日向
智光 小関
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ulvac Inc
Original Assignee
Ulvac Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ulvac Inc filed Critical Ulvac Inc
Priority to JP2019221357A priority Critical patent/JP7390176B2/ja
Publication of JP2021092327A publication Critical patent/JP2021092327A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7390176B2 publication Critical patent/JP7390176B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Drying Of Solid Materials (AREA)

Description

本発明は、真空乾燥装置、真空乾燥装置における棚の温度調節方法に関する。
従来から、例えば下記特許文献1に記載されているような、凍結乾燥状態監視装置が知られている。
特開2015-31486号公報
ところで、上記したような凍結乾燥状態監視装置では、被乾燥物(被乾燥材料)を載せた棚板に熱媒体を循環させることで、被乾燥物を乾燥させる。被乾燥物の乾燥状態は、例えば以下の(1)、(2)の手法により把握することができる。
(1)棚板の入口側の熱媒体温度を検出する第1温度センサの検出温度と、棚板の出口側の熱媒体温度を検出する第2温度センサの検出温度とが略同一温度となるよう媒体を循環させ、棚温が媒体温度と同一かつ被乾燥物らの品温も同一とすることを前提として、被乾燥物の乾燥状態を把握する。
(2)熱媒体の入口側と出口側の熱媒体温度の微小温度差を検出し、この温度差に基づく熱量が全て昇華に供せられたとすることを前提として、被乾燥物の乾燥状態を把握する。
このように被乾燥物の乾燥状態を把握するにあたって、品温はその物理量を直接に測定されず間接的に測定されている。間接測定は複数の構成要素(物理量)や前提を利用して変換される事で算出されており、当然構成要素数やその構成種、各構成の相関関係によって誤差は増加する傾向にある。
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、被乾燥物の乾燥状態、特に昇華面温度をより高精度に把握することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係る真空乾燥装置は、乾燥室と、前記乾燥室内に配置され、被乾燥物が載置される棚と、前記棚を昇降させる流体シリンダと、前記流体シリンダに対して流体を給排する流体給排系と、前記流体給排系に設けられ、前記流体の流体圧を測定する測定部と、前記被乾燥物から昇華した水分を捕集する捕集部と、前記棚の温度を調節する調節部と、前記測定部の測定結果に基づいて前記調節部を制御する制御部と、を備える。
この発明では、乾燥室内で棚に載置された被乾燥物が乾燥すると、その重量が減少する。被乾燥物の重量が減少すると、被乾燥物と被乾燥物を載置した棚との合計重量も減少する。被乾燥物と棚との合計重量が減少すると、棚を昇降させるために棚を支持する流体シリンダに対し、棚から作用する重力方向の下向きの力も減少する。これにより、流体シリンダ内の流体圧が変化する。測定部は、流体シリンダに対して給排される流体圧を測定するので、測定部における測定結果の変化に基づいて、被乾燥物の乾燥に伴う重量の減少を検出することができる。被乾燥物の乾燥に伴う重量の変化と、流体シリンダの流体圧との変化とは、直接的に相関している。したがって、被乾燥物の乾燥状態をダイレクトに検出し、被乾燥物の乾燥状態をより高精度に把握することが可能となる。
この場合、測定部の測定結果、つまり流体シリンダの流体圧の変化に基づいて、被乾燥物の乾燥に伴う重量の変化を把握することができる。これにより、制御部で、流体シリンダの流体圧の変化に基づいて調節部における棚の温度を調節することで、被乾燥物の乾燥状態に応じて、被乾燥物を乾燥させるための棚の温度を適切に調節することができる。
また、前記制御部は、異なる2つの時刻それぞれにおいて、前記測定部の測定結果を、前記被乾燥物を支持する前記棚の重量に換算し、これらの2つの時刻および重量の各差分から前記被乾燥物の昇華速度を算出し、前記昇華速度に基づいて前記被乾燥物の推定温度を算出し、前記推定温度が、予め設定された閾値以下になるように前記調節部を制御するようにしてもよい。
この場合、棚の自重は既知である。このため、測定部の測定結果である流体シリンダの流体圧の測定結果から、被乾燥物を支持する棚の重量、つまり被乾燥物の重量と棚の自重との合計重量を換算して求めることで、被乾燥物の乾燥状態の変化を昇華速度として把握することができる。そしてこの昇華速度から、被乾燥物の温度を推定することができる。したがって、被乾燥物の乾燥状態に応じて、棚の温度を適切に調節することができる。
また、前記被乾燥物は、容器内に収容された状態で前記棚に載置され、前記制御部は、前記被乾燥物の昇華潜熱、前記昇華速度、前記容器の断面積および前記容器の伝熱係数に基づいて、前記推定温度を算出するようにしてもよい。
なお容器としては、例えば、バイアル、トレイ、シリンジ、アンプル等があげられる。
この場合、被乾燥物の昇華潜熱、昇華速度、容器の断面積および容器の伝熱係数に基づいて、被乾燥物の推定温度を算出することで、被乾燥物の温度を高精度に推定することができる。これにより、被乾燥物の温度状態に応じて棚の温度を精度よく調節することが可能になり、被乾燥物の乾燥を適切な条件下で実行することができる。
また、前記被乾燥物は、容器内に収容された状態で前記棚に載置され、前記制御部は、前記乾燥室の内圧、前記被乾燥物についての水蒸気移動抵抗、前記容器内の製品断面積、前記昇華速度に基づいて、前記推定温度を算出するようにしてもよい。
この場合、乾燥室の内圧、被乾燥物についての水蒸気移動抵抗、容器内の製品断面積、昇華速度に基づいて、被乾燥物の推定温度を算出することで、被乾燥物の温度を高精度に推定することができる。このため、被乾燥物の温度状態に応じて棚の温度を精度よく調節することが可能になり、被乾燥物の乾燥を適切な条件下で実行することができる。
また、前記閾値がコラプス温度であるようにしてもよい。
この場合、被乾燥物の温度がコラプス温度を超えると、被乾燥物の水分が凍結している部分が収縮するコラプス現象が生じ、被乾燥物の乾燥が良好に行われなくなる。流体シリンダの流体圧の変化に基づいて、棚の温度を適切に調節し、被乾燥物の温度がコラプス温度以下となるように維持することで、被乾燥物の乾燥を良好に行うことができる。
本発明に係る真空乾燥装置における棚の温度調節方法は、乾燥室と、前記乾燥室内に配置され、被乾燥物が載置される棚と、前記棚を昇降させる流体シリンダと、前記被乾燥物から昇華した水分を捕集する捕集部と、を備える真空乾燥装置において、前記棚の温度を調節する方法であって、前記流体シリンダに対して流体を給排する流体給排系における前記流体の流体圧に基づいて前記棚の温度を調節する。
この発明では、乾燥室内で棚に載置された被乾燥物が乾燥すると、その重量が減少する。被乾燥物の重量が減少すると、被乾燥物と被乾燥物を載置した棚との合計重量も減少する。被乾燥物と棚との合計重量が減少すると、棚を昇降させるために棚を支持する流体シリンダに対し、棚から作用する重力方向の下向きの力も減少する。これにより、流体シリンダ内の流体圧が変化する。したがって、流体シリンダに流体を供給する流体給排系における流体の流体圧に基づいて、被乾燥物の乾燥に伴う重量の減少を把握することができる。被乾燥物の乾燥に伴う重量の変化と、流体シリンダの流体圧との変化とは、直接的に相関している。したがって、被乾燥物の乾燥状態を、よりダイレクトに検出し、被乾燥物の乾燥状態をより高精度に把握することが可能となる。
また、異なる2つの時刻それぞれにおいて、前記流体圧を、前記被乾燥物を支持する前記棚の重量に換算し、これらの2つの時刻および重量の各差分から前記被乾燥物の昇華速度を算出し、前記昇華速度に基づいて前記被乾燥物の推定温度を算出し、前記推定温度が、予め設定された閾値以下になるように前記棚の温度を制御するようにしてもよい。
この場合、棚の自重は既知であるため、流体シリンダに流体を供給する流体給排系における流体の流体圧から、被乾燥物を支持する棚の重量、つまり被乾燥物と棚との合計重量を換算して求めることで、被乾燥物の乾燥状態の変化を昇華速度として把握することができる。そしてこの昇華速度から、被乾燥物の温度を推定することができる。したがって、被乾燥物の乾燥状態に応じて、棚の温度を適切に調節することができる。
本発明に係る真空乾燥装置における棚の温度調節方法は、乾燥室と、前記乾燥室内に配置され、被乾燥物が載置される棚と、前記被乾燥物から昇華した水分を捕集する捕集部と、を備える真空乾燥装置において、前記棚の温度を調節する方法であって、異なる2つの時刻それぞれにおいて、前記被乾燥物を支持する前記棚の重量を測定し、これらの2つの時刻および重量の各差分から前記被乾燥物の昇華速度を算出し、前記昇華速度に基づいて前記被乾燥物の推定温度を算出し、前記推定温度が、予め設定された閾値以下になるように前記棚の温度を調節する。
この発明では、乾燥室内で棚に載置された被乾燥物が乾燥すると、その重量が減少する。被乾燥物の重量が減少すると、被乾燥物と被乾燥物を載置した棚との合計重量も減少する。これにより、被乾燥物を支持する棚の重量から、被乾燥物の乾燥状態を昇華速度として把握することができる。そしてこの昇華速度から、被乾燥物の温度を推定することができる。したがって、被乾燥物の乾燥状態を、よりダイレクトに検出し、被乾燥物の乾燥状態をより高精度に把握することが可能となる。
また、前記被乾燥物は、容器内に収容された状態で前記棚に載置され、前記被乾燥物の昇華潜熱、前記昇華速度、前記容器の断面積および前記容器の伝熱係数に基づいて、前記推定温度を算出するようにしてもよい。
この場合、被乾燥物の昇華潜熱、昇華速度、容器の断面積および容器の伝熱係数に基づいて、被乾燥物の推定温度を算出することで、乾燥物の温度を高精度に推定することができる。これにより、被乾燥物の温度状態に応じて、棚の温度を精度よく調節することが可能になり、被乾燥物の乾燥を適切な条件下で実行することができる。
また、前記被乾燥物は、容器内に収容された状態で前記棚に載置され、前記乾燥室の内圧、前記被乾燥物についての水蒸気移動抵抗、前記容器内の製品断面積、前記昇華速度に基づいて、前記推定温度を算出するようにしてもよい。
この場合、乾燥室の内圧、被乾燥物についての水蒸気移動抵抗、容器内の製品断面積、昇華速度に基づいて、被乾燥物の推定温度を算出することで、被乾燥物の温度を高精度に推定することができる。このため、被乾燥物の温度状態に応じて棚の温度を精度よく調節することが可能になり、被乾燥物の乾燥を適切な条件下で実行することができる。
また、前記閾値がコラプス温度であるようにしてもよい。
この場合、被乾燥物の温度がコラプス温度を超えると、被乾燥物の水分が凍結している部分が収縮するコラプス現象が生じ、被乾燥物の乾燥が良好に行われなくなる。流体シリンダの流体圧の変化に基づいて、棚の温度を適切に調節し、被乾燥物の温度がコラプス温度以下となるように維持することで、被乾燥物の乾燥を良好に行うことができる。
本発明によれば、被乾燥物の乾燥状態を、よりダイレクトに検出することが出来、特に被乾燥物の乾燥状態を示す昇華面温度について、より高精度に把握することができる。
本発明の一実施形態に係る真空乾燥装置の概略構成を示す図である。 図1に示す真空乾燥装置の棚に載置され、被乾燥物を収容する容器を示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る真空乾燥装置の制御部の機能構成を示すブロック図である。 本発明の一実施形態に係る真空乾燥装置における棚の温度調節方法の流れを示すフローチャートである。
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係る真空乾燥装置、真空乾燥装置における棚の温度調節方法を説明する。
図1に示す真空乾燥装置1は、例えば医薬品、医薬製剤、およびその原材料などを製造するために、その原料液を凍結して真空乾燥するためのものである。上記原料液は、被乾燥物Fとして容器100に収容され、前工程で凍結させた固体状態(通常は塊状、その他形態としては海綿状、粉末状がある)である。真空乾燥装置1は、乾燥室10と、捕集部20と、制御部40と、を主に備えている。なお、本例では容器100はバイアル形状として例示し、かつ後述にて説明を行うが、生産の目的に応じてトレイ、シリンジ、アンプルなど、容器形態は変更可能である。
乾燥室10は、被乾燥物Fを真空乾燥させるための空間である。乾燥室10は、その室温および内圧(真空度)が調節される。乾燥室10内の真空度は、例えば5~300[Pa]の範囲で調整可能とされている。乾燥室10内の温度及び真空度(内圧)はそれぞれ、図示しないセンサにより測定される。前記センサが測定結果を制御部40に送り、乾燥室10の排気速度等を変更するなどのフィードバックを行う事で、乾燥室10の内圧が、目的とする内圧に調整される。
乾燥室10内には、被乾燥物Fが載置される棚11が設けられている。棚11は、上下方向に間隔をあけた複数の棚板11aを備えている。各棚板11a上には、被乾燥物Fを収容した複数の容器100が載置される。
棚11には、その温度を調節する調節部12が設けられている。調節部12は、例えば、棚板11aの内部に設けられた媒体流路11bに、媒体を循環させることで、棚板11aに載置された被乾燥物Fの加熱温度を調節する。熱媒体は通常、シリコーンを主成分とした油が用いられる。熱媒体には、一般的に温度範囲が-80℃~+150℃に在る物が利用される。また、媒体を前工程の凍結目的に用いる必要が無い場合等、氷点下での性能が不問であれば、熱媒体として水を主成分とした媒体が利用される。当然では在るが、インヒビターを添加すれば水を主成分とした媒体でも不凍液の条件で利用可能である。
調節部12は、熱媒体供給源13、供給ポンプ(図示無し)、熱媒体供給管14、供給側ヘッダ15、回収側ヘッダ16、熱媒体回収管17,熱媒体回収部18を主に備えている。熱媒体供給源13は、所謂チラー(熱媒体循環装置)である。熱媒体供給源13は、(1)熱媒体を加熱するヒータ(図示無し)等の熱源、あるいは、(2)熱源と抜熱源を内部に有している。供給ポンプ(図示無し)は、熱媒体供給源13から熱媒体を熱媒体供給管14に送り出す。
熱媒体供給管14に送り出された熱媒体は、供給側ヘッダ15、供給側分岐管15sを介して各棚板11aの媒体流路11bに供給される。媒体流路11bに供給された熱媒体により、棚板11a上に載置された容器100に収容された被乾燥物Fが加熱される。媒体流路11bを経た熱媒体は、回収側分岐管16s、回収側ヘッダ16、熱媒体回収管17を介して、熱媒体回収部18で回収される。
熱媒体供給管14には、媒体流路11bに供給される熱媒体の温度を検出する供給側温度センサ19Aが設けられている。熱媒体回収管17には、媒体流路11bから回収される熱媒体の温度を検出する回収側温度センサ19Bが設けられている。なお、供給側温度センサ19Aおよび回収側温度センサ19Bは、熱媒体供給源13に内蔵された同一用途のセンサを代用しても良い。
調節部12における熱媒体の供給動作は、制御部40によって制御される。具体的には、制御部40は、熱媒体供給源13で熱媒体を加熱ヒータ(図示無し)の作動、熱媒体を送り出す供給ポンプの作動を制御する。制御部40は、例えば、供給側温度センサ19Aの測定値と、回収側温度センサ19Bの測定値との平均値に基づいて、媒体流路11bに供給する熱媒体の温度や流量を制御する。また、制御部40は、後に詳述するように、被乾燥物Fの温度に基づいて、調節部12における熱媒体の供給動作を制御する。なお、上記一連の熱媒体の温度や流量制御は熱媒体供給源13に内蔵された図示しない制御部が行い、制御部40は目標温度値のみを熱媒体供給源13に与える構成としても良い。
ここで、図2に示すように、被乾燥物Fを収容する容器100は、上方に向けて開口した開口部101を有する有底状である。被乾燥物Fは、真空乾燥装置1の前工程で、容器100の内部に、所定量が収容されている。容器100の開口部101には、予め、栓(図示無し)がセットされている。栓(図示無し)が開口部101にセットされている開栓状態で、容器100内は外部に連通していて、被乾燥物Fから昇華した水分(水蒸気)が容器100の外部に流出する。なお、後述する様に棚板移動機構によって栓は開口部101を境に雰囲気分離(閉栓)する。よって、栓の容器100に対する相対位置は、閉栓によって前記雰囲気分離を可能であり、かつ、開栓時に水分の流出が可能な位置となっている。
図1に示すように、棚11は、容器100内の被乾燥物Fの真空乾燥後に、栓(図示無し)で容器100の開口部101を閉栓するため、以下のような機構を備えている。
棚11の複数の棚板11aは、図示しない棚板移動機構によって、上下方向に昇降可能とされており、互いに上下に位置する棚板11aどうしの間隔が増減可能となっている。棚11の上部には、複数の棚板11aを昇降させて、その間隔を増減させるための流体シリンダ30が設けられている。
流体シリンダ30は、作動油、作動エア等の流体圧によって、上下方向に伸縮動作される。なお後述する理由により、流体は非圧縮性である事が、望ましい結果を生む。よって流体としては、非圧縮性が高い流体(例えば油や水)を選択する事が望ましい。本実施形態では、流体シリンダ30として、例えば、作動油の流体圧によって作動する油圧シリンダが用いられている。流体シリンダ30は、乾燥室10に固定されたシリンダ本体31と、シリンダ本体31に対して下方に向けて伸縮するロッド32と、を備えている。シリンダ本体31内には、ロッド32の基端部に設けられたピストン32pによって区画されることで、伸側油室31aと縮側油室31bとが形成されている。
流体シリンダ30には、流体供給源33から流体シリンダ30のシリンダ本体31に対して流体(作動油)を給排する流体給排系35が接続されている。流体給排系35は、伸側配管36と、縮側配管37と、を備えている。
流体供給源33から伸側配管36を通してシリンダ本体31内の伸側油室31aに流体が供給されると、シリンダ本体31内でピストン32pが下方に押圧される。これにより、ロッド32がシリンダ本体31から下方に向かって突出し、流体シリンダ30が下方に向かって伸長する。このロッド32の下方への突出動作にともなって、シリンダ本体31内の縮側油室31b内の流体は、縮側配管37を通して流体供給源33に戻る。
流体供給源33から縮側配管37を通してシリンダ本体31内の縮側油室31bに流体が供給されると、シリンダ本体31内でピストン32pが上方に押圧される。これにより、ロッド32が上方に移動してシリンダ本体31からの下方への突出寸法が小さくなる。このようにして、流体シリンダ30が上方に向かって短縮される。このとき、ロッド32の上方への移動動作にともなって、シリンダ本体31内の伸側油室31a内の流体は、伸側配管36を通して流体供給源33に戻る。
上記流体シリンダ30の流体供給源33の動作は、制御部40により制御される。このため、伸側配管36には、伸側配管36内の流体の流体圧P1を測定する伸側圧力センサ38が設けられている。縮側配管37には、縮側配管37内の流体の流体圧P2を測定する縮側圧力センサ39(測定部)が設けられている。ところで、流体シリンダ30の伸縮動作時に於ける流体圧の時系列的な推移を説明すると、本願の構成では、伸長時および短縮時共に流体圧P2は理想的には変動しない。この理由は、流体シリンダ30が懸吊する構成物の重力以外は流体圧P2に作用しない構成である為である(この理想時における流体圧P1はゼロとする)。実際には流体圧P2は、媒体の移動抵抗や供給側分岐管15sおよび回収側分岐管16sの屈曲抵抗、対抗するシリンダに存在する流体圧P1等の影響を受ける。そのため、これらに見合う力を流体圧P2に追加する必要がある。しかしながら、停止時や微小移動時には流体圧P1以外の構成要素は無視出来る。そのため流体圧P2は、流体シリンダ30が懸吊する構成物の重力と等しいとして扱う事が出来る。
制御部40の制御により、流体シリンダ30を伸長させると、複数の棚板11aのうち、最下段の棚板11aを除いた他の全ての棚板11aが更に下方に移動され、互いに上下に位置する棚板11a同士の間隔が減少する状況となる。これにより、互いに上下に位置する棚板11a同士のうち、下方に位置する棚板11a上に載置された容器100の開口部101にセットされた栓(図示無し)は、上方に位置する棚板11aの下面によって接触後、下方に押圧される。以降、本工程を伸縮動作と区別し押圧動作と呼ぶ。これにより、栓(図示無し)が容器100の開口部101に押し込まれ、開口部101が閉栓される。この押圧動作に於ける流体圧の時系列的な推移を説明すると、本願の構成では、流体圧P1は理想的には押圧動作時のみ圧力が発生し、その他の伸縮動作時は流体圧P1がゼロとなる。すなわち、流体シリンダ30は懸吊する構成物の重力に対して同等の反力を生じれば静止でき、かつ流体シリンダ30の伸び時(重力方向で下方への移動時)に於ける動作でも構成物の重力が利用でき、流体圧P1が不要である。しかしながら、押圧動作時には複数の栓を複数の容器100の開口部101へ閉栓する押込力を発生させる必要がある。この際、流体圧P1は必要な押込力となるよう圧力調整される。本実施例に於いては、懸吊する構成物の重力と比較して10倍程度の流体圧P1となった時点において、全ての閉栓が行われる。
閉栓後、流体シリンダ30を短縮させることで、最下段の棚板11aを除いた他の全ての棚板11aを上方に移動させて元の位置に戻し、互いに上下に位置する棚板11a同士の間隔を広げる。
捕集部20は、乾燥室10内で被乾燥物Fから昇華した水分を捕集する。捕集部20は、乾燥室10内に連通する連通口21を有している。これにより、捕集部20は、乾燥室10に接続されている。捕集部20には、捕集部20内を真空引きする真空ポンプ22が設けられている。
捕集部20内には、コールドトラップ23が設けられている。コールドトラップ23は、図示しない冷却媒体供給源から供給される冷却媒体が流通するチューブ状とされている。コールドトラップ23への冷却媒体の流通は、制御部40により制御される。なお、冷却媒体としては、例えばフロンガスR404Aや、シリコーンオイル等を用いることができる。
コールドトラップ23は、制御部40の制御により冷却媒体が流通されることで冷却される。コールドトラップ23の表面は、乾燥室10内の被乾燥物Fから昇華した水蒸気の殆どを凝結させて捕集できることが可能な温度に冷却される。なお、コールドトラップ23の温度は、被乾燥物Fの種類、乾燥室10の到達圧力等に応じて適宜設定される。このように、コールドトラップ23は、捕集部20内を冷却し、被乾燥物Fから昇華した水分を凝結させて捕集する。
捕集部20の連通口21には、仕切弁24が設けられている。仕切弁24は、連通口21を閉塞可能な仕切体24aと、この仕切体24aを連通口21に対して進退させる駆動シリンダ24bと、駆動シリンダ24bを駆動する駆動源24cとを有する。駆動源24cが制御部40により駆動制御されることで、駆動シリンダ24bが仕切体24aを連通口21に対して進退される。仕切体24aを連通口21から退避させると、連通口21を通して乾燥室10と捕集部20とが互いに連通する。仕切体24aを前進させて連通口21を閉塞すると、乾燥室10と捕集部20とが遮断される。
上記真空乾燥装置1では、以下のようにして被乾燥物Fの真空乾燥処理を行う。
まず、乾燥室10に図示しない搬入搬出室より被乾燥物Fを搬入する。
次いで、制御部40の制御により乾燥室10と搬入搬出室とを雰囲気分離した後、熱媒体供給源13を利用し、被乾燥物Fが凍結に至る様に抜熱を行う。抜熱経路は、被乾燥物Fから棚板11a(乾燥室10内部の気体による対流が支配的な熱流路となる)、熱媒体(熱伝導が支配的な熱流路となる)となる。最終的に熱媒体供給源13内部の抜熱源にて熱が排出される。抜熱量が固相への相転移温度を超過するに至る段階で、被乾燥物Fは凍結に至る。
次いで、制御部40の制御により、乾燥室10の内部雰囲気(内圧)を被乾燥物Fがコラプス現象を発現させない圧力範囲とした上で、抜熱から転じる。このとき、調節部12は棚板11a内の媒体流路11bの媒体に熱供給し、乾燥室10内の棚11の各棚板11aを加熱する。これにより、棚板11aに載置された被乾燥物Fが加熱され、被乾燥物Fの乾燥が促進される。加熱された被乾燥物Fに含まれる氷は、この被乾燥物Fから潜熱を取り込み、昇華して水蒸気になる。水蒸気の発生は内圧の上昇要素となる。しかしながら、本構成では、仕切弁24を開放し、捕集部20内部のコールドトラップ23および真空ポンプ22を利用する事で、乾燥室10の内圧が上記圧力範囲内となるような排気可能な構成となっている。なお内圧の目標値としては、昇華面に於いてコラプス現象を発現させない値が求められる。ここで、低すぎる圧力(内圧)は容器100と棚11との接触面間に介在する気体分子量の減少を引き起こし、結果として熱流束の比例的減少を招く事(つまり乾燥が遅延する)。そのため、理想的な内圧の目標値として、後述する被乾燥物Fの昇華面温度の範囲に於いてコラプス現象を生じさせない最大の圧力を設定するのが良い。なおコラプス現象とは、凍結乾燥後に確認される溶質の立体構造が一様とならない現象を示す。つまりはコラプス現象とは、昇華面に於いて時系列的に一様な乾燥と出来ていない現象である。コラプス現象は、製品の品質面から回避すべき事象となる。
真空ポンプ22は、水蒸気を含む乾燥室10内の気体を捕集部20経由で排気する。真空ポンプ22は通常、気体輸送式真空ポンプで構成される為、水蒸気に対する排気速度が十分では無い。しかしながら、捕集部20内に存するコールドトラップ23は、気体ため込み式真空ポンプとして機能する。よって、乾燥室10は、真空ポンプ22およびコールドトラップ23の双方で排気される。結果として、乾燥室10は、所定の排気速度が確保されると同時に目標とする内圧を保つ事ができる。なお、上記したような真空乾燥装置1における被乾燥物Fの真空乾燥処理は、その一例を示したに過ぎず、その処理内容を適宜変更可能である。
本実施形態の真空乾燥装置1の制御部40は、真空乾燥処理を行う際に、縮側圧力センサ39で測定される縮側配管37内の流体の流体圧P2に基づいて、調節部12を利用し被乾燥物Fへの熱流束、ひいては昇華面に於ける温度を制御する。制御部40は、縮側圧力センサ39の測定結果に基づいて調節部12を制御し、棚11の温度Tsを制御する。制御部40は、縮側圧力センサ39の測定結果を、被乾燥物Fを支持する棚11の重量に換算し、棚11の重量に基づいて調節部12を制御する。
乾燥室10内で棚11に載置された被乾燥物Fが乾燥すると、その昇華量(質量)に応じて重量が減少する。被乾燥物Fの重量が減少すると、被乾燥物Fの重量と被乾燥物Fを載置した棚11の自重との合計重量が減少する。被乾燥物Fと棚11との合計重量が減少すると、棚11を昇降させるために棚11を支持する流体シリンダ30に対して棚11から作用する、重力方向の下向きの力が減少する。流体シリンダ30に作用する重力方向の下向きの力が減少すると、縮側配管37内の流体圧P2が変化(増加)する。縮側配管37内の流体圧P2は、縮側圧力センサ39により測定され、その測定結果が制御部40に出力される。制御部40は、流体圧P2の測定値に基づいて、被乾燥物Fの重量(の変化)を演算により求め、調節部12による被乾燥物Fの乾燥条件を制御する。
図3に示すように、制御部40は、入力受付部41と、記憶部42と、重量換算部43と、温度算出部44と、加熱温度制御部45と、を機能的に備えている。
入力受付部41は、縮側圧力センサ39の測定結果、つまり縮側配管37内の流体の流体圧P2を示す信号を縮側圧力センサ39から受け付ける。記憶部42は、制御部40において、調節部12における被乾燥物Fの加熱を制御するのに必要な各種の設定値等を記憶している。
重量換算部43は、入力受付部41で受け付けた流体圧P2に基づき、棚11の重量を換算する。棚11の重量は、流体シリンダ30で支持している荷重である。すなわち、棚11の重量は、被乾燥物Fの重量と、被乾燥物Fを載置した棚11の自重と、の合計重量である。
ここで、縮側圧力センサ39で測定される流体圧P2と、流体シリンダ30に作用する荷重(棚11の重量)との相関を示す換算式は、流体シリンダ30の仕様や、予め行う実験に基づいて得られる。重量換算部43では、予め得た換算式に基づいて、流体圧P2の測定結果に対応する、流体シリンダ30で支持している棚11の重量を、換算して取得する。前記予め行う実験は、被乾燥物Fの重量変動分を検出することを目的とする。そのため、前記実験の一例では、棚11に被乾燥物F全て搬入し、棚11および全ての被乾燥物F(初期状態で懸吊する質量の全て)を流体シリンダ30で懸吊させた状態を保ち、この時点の流体圧P2の値を初期値として記録する。その後、求める分解能に応じた単位で重量(質量)を除き、終点(被乾燥物Fの最終乾燥状態の重量)に至るまで各重量に対応する流体圧P2を測定および記録する。これにより、換算テーブル(またはこれを近似した換算式)を予め作成し、これを記憶部に42に保存すれば良い。
温度算出部44は、重量換算部43で換算された棚11の重量に基づいて、被乾燥物Fの温度、特に昇華面に於ける温度を算出する。被乾燥物Fの温度の算出方法については、後に詳述する。
加熱温度制御部45は、温度算出部44で算出された被乾燥物Fの温度に基づいて、調節部12における、棚11の加熱動作を制御する。
次に、本実施形態における真空乾燥装置1における温度調節方法について説明する。本実施形態における真空乾燥装置1における温度調節方法では、予め、被乾燥物Fを収容する容器100の伝熱係数Kvを求めておく。この伝熱係数Kvは容器の形状や材質、表面状況毎に異なる値を取る為、容器100が仮にバイアルと称されていても形状等が異なれば都度求めておく必要がある。
伝熱係数Kvは、下式(1)により表される。
Figure 0007390176000001
ここで、△H:被乾燥物Fの昇華潜熱、dm/dt:単位時間当たりの(被乾燥物F全体の)昇華水蒸気量(mass flow rate)[kg/h]、N:棚11に載置された容器100の本数、Av:容器100一本あたりの断面積(バイアル断面積)[m]、Ts:棚温度[K]、Tb:容器100の底部中心温度である。なおAv(容器100一本あたりの断面積)は、各容器100の内部の断面積ではなく、外形の断面積を意味する。また、容器100は略円柱形状(バイアル形状)を前提としている。しかしながら、容器100がバイアル形状以外の形状の場合は、容器100が棚11に接触する接触箇所(スタンプ領域)最外周に囲まれた面積、あるいは容器100の底面部の投影面積を外形断面積として取り扱えば良い。つまり、容器100一本あたりの断面積Avとは、乾燥室10の内圧に基づく平均自由行程による熱の授受が支配的な領域の面積である(以降、この領域を接触面積と呼ぶ)。
上式(1)は、以下の凍結乾燥のHeat mass Transferの基本式である下式(2)、(3)に基づいて得られる(なお、後述する式(6)もこの基本式の1つである)。式(2)は、棚温度Tsと、被乾燥物Fの温度としての容器100の底部中心温度Tbとの温度差と接触面積によって、容器100に熱が伝導されることに基づく(なお、接触面積内外の雰囲気は圧力を含め一定範囲である事を前提とする)。式(3)は、昇華に使われる熱量と昇華水分量は、水の昇華熱で関係付けられることに基づく。
Figure 0007390176000002
Figure 0007390176000003
ここで、dQ/dt:単位時間当たり熱量(heat flow rate)[J/s]である。
容器100の伝熱係数Kvを求めるには、昇華潜熱△Hが既知である純水(氷:△H=2800[J/g])を入れた容器100を、真空乾燥装置1の棚11に所定数搭載する。棚11に載置した複数の容器100のうち、例えば棚11の中央や端部などに位置する容器100に、被乾燥物Fの温度(品温、容器100の底部中心温度Tb)を測定する品温センサを取り付ける。以上で述べた被乾燥物Fの温度とは、より詳しくは容器100の中心部に於ける被乾燥物Fの底面の界面部側の温度となる。しかしながら、実際の測定に於いては、容器100の底面中心に品温センサを取り付け、前記品温センサにより測定された温度(容器100の底面中心の温度)を上記被乾燥物Fの温度と見做して実施される。
この後、乾燥室10内で、実際に被乾燥物Fを凍結乾燥処理する際と同条件(容器100の本数、乾燥室10の内圧(真空度)及び温度)で乾燥させ、乾燥前後の棚11の重量を測定し、単位時間当たり昇華水蒸気量dm/dt、すなわち容器100内の純水の昇華による重量変化率を算出する。このとき、被乾燥物F(この場合は純水)が、例えば30~80%程度昇華された段階で凍結乾燥処理を終了し、複数の容器100の重量を個別に測定するようにしてもよい。この場合、複数の容器100の平均重量ではなく、棚11上における容器100の位置依存性を調べることができる。
また、棚温度Tsの測定には、調節部12に設けられた供給側温度センサ19A、回収側温度センサ19Bを用いる。棚温度Tsとして、供給側温度センサ19Aの測定値と、回収側温度センサ19Bの測定値との平均値を用いることができる。ただし、供給側温度センサ19Aの測定値と回収側温度センサ19Bの測定値との差分が在る事は温度分布が生じている事を示すため、凍結乾燥装置として不都合である。つまり、媒体について十分流量を確保出来る設計とし、凍結乾燥時(初期等を除く安定運転時)に於ける前記差分の絶対値が1.5℃未満とする能力を持つ事が望まれる。この場合は、いずれかの温度センサを代表値として利用しても不都合はない。
次いで、上式(1)に、算出された昇華水蒸気量dm/dtの値、棚温度Tsの測定値、容器100の底部中心温度Tbの測定値、棚11に載置された容器100の本数N、容器100一本あたりの断面積Av(既知)を代入する。これにより、容器100の伝熱係数Kvが求められる。求められた容器100の伝熱係数Kvは、後述する生産運転である被乾燥物Fの凍結乾燥処理に於いて利用する為、記憶部42に保存される。
このようにして容器100の伝熱係数Kvを求めた後、実際に、真空乾燥装置1で被乾燥物Fの凍結乾燥処理をするときには、制御部40は、以下のようにして、真空乾燥装置1における温度調節を制御する。
まず、図4に示すように、制御部40は、予め定められた時間間隔ごとに、入力受付部41で、縮側圧力センサ39から、流体圧P2の測定結果を示す信号の入力を受け付ける(ステップS1)。
制御部40は、流体圧P2の測定結果を受け取ると、重量換算部43で、流体圧P2に基づいて棚11の重量を換算する(ステップS2)。これには、前記したように、予め得た換算式に基づいて、流体圧P2の測定結果から、流体シリンダ30で支持している棚板11aの重量を換算して取得する。
次いで、制御部40は、温度算出部44において、取得された棚11の重量に基づいて、被乾燥物Fの温度を算出する(ステップS3)。本実施形態では、温度算出部44は、被乾燥物Fの昇華潜熱△H、棚11の重量(縮側圧力センサ39の測定結果)、容器100の断面積Avおよび予め求めた伝熱係数Kvに基づいて、被乾燥物Fの温度として、容器100の底部中心温度Tb[K]を算出する。なお昇華潜熱△Hの値は、被乾燥物Fの溶媒の値を利用すれば良い。しかしながら、溶質によって昇華潜熱△Hの値の変動が顕著な場合は、予め実験を行い求めた補正係数を前記溶媒の値に乗じた値を利用しても良い。
容器100の底部中心温度Tbの算出には、上式(2)、(3)に基づいて得られる下式(4)を用いる。
Figure 0007390176000004
ここで、棚温度Tsには、供給側温度センサ19Aの測定値と、回収側温度センサ19Bの測定値との平均値を用いることができる。また、被乾燥物Fの昇華潜熱△H、棚11に載置された容器100の本数N、容器100一本あたりの断面積Avは、既知である。容器100の伝熱係数Kvには、前記の予め求めた値を用いる。これらの値を上式(4)に代入する。
また、単位時間当たり昇華水蒸気量dm/dtは、流体圧P2に基づいて換算された棚11の重量により得られる。すなわち、異なる2つの時刻それぞれにおける棚11の重量の差分から、昇華水蒸気量dm/dtを算出することができる。昇華水蒸気量dm/dtは、すなわち、被乾燥物Fの昇華速度である。
さらに、凍結層L2の厚さLice(図2参照)は、容器100に収容した被乾燥物Fの重量(既知)から、昇華した被乾燥物Fの重量m(昇華量)に基づいて算出される。これにより、式(4)で算出された容器100の底部中心温度Tbを、下式(5)により、被乾燥物Fの昇華面Lfの温度Ticeに換算することができる。なお条件としては、当初の被乾燥物Fの重量mを成す溶液の凍結時の体積が既知、容器100の内部形状(通常は円柱形)が既知である事が前提となる。つまり、溶媒を昇華する前の時点に於いてLiceは容器100の内に於いて既知の厚さであり、被乾燥物Fの重量mの内、溶媒の重量に相当する質量が全て昇華した時点に於いてLiceの厚さはゼロとなる。例えば、容器100の内部形状が円柱形である場合は、その断面積は既知の厚さ位置からゼロに至るまで同一である。そのため、溶媒の昇華量、つまり昇華した被乾燥物Fの重量mとLiceの厚さは線形な比例関係(1次関数で表される関係)となる。よって、この比例関係を利用し、取得された棚11の重量から容易に凍結層L2の厚さLiceを算出する事が出来る。
Figure 0007390176000005
ここで、Kice:凍結層L2の伝熱係数[J/s・m・K]である。この値は、既知の値として当初から記憶部42に保存される。この値は、文献あるいは実験により得られた値を利用する。
このようにして、ステップS3では、温度算出部44により、被乾燥物Fの温度として、容器100の底部中心温度Tb、及び被乾燥物Fの昇華面Lfの温度Ticeを、換算により取得することができる。
制御部40は、加熱温度制御部45で、ステップS3において温度算出部44で算出された被乾燥物Fの温度に基づいて、調節部12における、棚11の加熱動作を制御する(ステップS4)。ここで用いる被乾燥物Fの温度は、容器100の底部中心温度Tb、及び被乾燥物Fの昇華面Lfの温度Ticeのいずれであってもよい。
ステップS4における、被乾燥物Fの温度に基づく、調節部12における棚11の加熱動作の具体的手法については、何ら限定するものではない。例えば、加熱温度制御部45では、被乾燥物Fの温度(容器100の底部中心温度Tb、または被乾燥物Fの昇華面Lfの温度Tice)が、コラプス温度以下を維持するように、加熱温度制御部45で調節部12の動作を制御するのが好ましい。また、真空乾燥処理の効率を高めるため、加熱温度制御部45では、被乾燥物Fの温度が、コラプス温度以下であり、かつ、なるべく高い温度となるように、加熱温度制御部45で調節部12の動作を制御するのが好ましい。なお、温度の基準として、被乾燥物Fのコラプス温度に代えて、被乾燥物Fのガラス転移点や融点や共晶点、製品として使われる際の温度などを基準としてもよい。言い換えると、例えば、原薬及び製薬の重要材料特性を前記温度の基準としてもよい。
以上説明したように、本実施形態に係る真空乾燥装置1によれば、被乾燥物Fが載置される棚11を昇降させる流体シリンダ30に対して流体を給排する流体給排系35に設けられ、流体の流体圧P2を測定する縮側圧力センサ39を備える。
このような構成では、乾燥室10内で棚11に載置された被乾燥物Fが乾燥してその重量が減少すると、懸吊している被乾燥物Fと棚11との合計重量が減少する。すると、棚11を昇降させるために棚11を支持する流体シリンダ30に対し、棚11から作用する重力方向の下向きの力も減少する。これにより、流体シリンダ30内の流体圧P2が変化する。縮側圧力センサ39は、流体シリンダ30に対して給排される流体圧P2を測定するので、縮側圧力センサ39における測定結果の変化に基づいて、被乾燥物Fの乾燥に伴う重量の減少を検出することができる。被乾燥物Fの乾燥に伴う重量の変化と、流体シリンダ30の流体圧P2との変化とは、直接的に相関している。したがって、被乾燥物Fの乾燥状態を、よりダイレクトに検出し、被乾燥物Fの乾燥状態をより高精度に把握することが可能となる。
また、真空乾燥装置1は、棚11の温度Tsを調節する調節部12と、縮側圧力センサ39の測定結果に基づいて調節部12を制御する制御部40と、を更に備える。
このような構成では、縮側圧力センサ39の測定結果、つまり流体シリンダ30の流体圧P2の変化に基づいて、被乾燥物Fの乾燥に伴う重量の変化を把握することができる。これにより、制御部40で、流体シリンダ30の流体圧P2の変化に基づいて調節部12における棚11の温度Tsを調節することで、被乾燥物Fの乾燥状態に応じて、被乾燥物Fを乾燥させるための棚11の温度Tsを適切に調節することができる。
また、制御部40は、縮側圧力センサ39の測定結果を、被乾燥物Fを支持する棚11の重量に換算し、棚11の重量に基づいて調節部12を制御する。
このような構成では、棚11の自重は既知である。このため、縮側圧力センサ39の測定結果である流体シリンダ30の流体圧P2の測定結果から、被乾燥物Fの重量と棚11の自重との合計重量を換算して求めることで、被乾燥物Fの乾燥状態の変化を把握することができる。したがって、被乾燥物Fの乾燥状態に応じて、棚11の温度Tsを適切に調節することができる。
また、制御部40は、被乾燥物Fの昇華潜熱△H、棚11の重量(縮側圧力センサ39の測定結果)、容器100の断面積Avおよび伝熱係数Kvに基づいて、棚11の温度Tsを調節する。
このような構成では、被乾燥物Fの昇華潜熱△H、棚11の重量、容器100の断面積Avおよび伝熱係数Kvに基づいて、被乾燥物Fの温度(容器100の底部中心温度Tb、被乾燥物Fの昇華面Lfの温度Tice)を演算して求めることができる。これにより、被乾燥物Fの温度状態に応じて、棚11の温度Tsを調節することで、被乾燥物Fの乾燥を適切な条件下で実行することができる。
また、制御部40は、被乾燥物Fの温度がコラプス温度以下になるように、縮側圧力センサ39の測定結果に基づいて調節部12を制御する。
仮に被乾燥物Fの温度が一部の領域のみでもコラプス温度を超えると、被乾燥物Fの水分が凍結している部分が収縮するコラプス現象が生じ、被乾燥物Fの乾燥が良好に行われず、品質が劣化する。本実施形態における構成では、流体シリンダ30の流体圧P2の変化に基づいて、棚11の温度Tsを適切に調節し、被乾燥物Fの温度、特に昇華面温度がコラプス温度以下となるように維持することで、被乾燥物Fの乾燥を良好に行うことができる。
本実施形態に係る真空乾燥装置1における棚11の温度調節方法によれば、棚11を昇降させる流体シリンダ30に対して流体を給排する流体給排系35における流体の流体圧P2に基づいて、棚11の温度Tsを調節する。
このような構成では、乾燥室10内で棚11に載置された被乾燥物Fが乾燥してその重量が減少すると、被乾燥物Fと棚11との合計重量が減少する。すると、棚11を昇降させるために棚11を支持する流体シリンダ30に対し、棚11から作用する重力方向の下向きの力が減少する。これにより、流体シリンダ30内の流体圧が変化する。縮側圧力センサ39は、流体シリンダ30に対して給排される流体圧P2を測定するので、縮側圧力センサ39における測定結果の変化に基づいて、被乾燥物Fの乾燥に伴う重量の減少を検出することができる。被乾燥物Fの乾燥に伴う重量の変化と、流体シリンダ30の流体圧P2との変化とは、直接的に相関している。したがって、被乾燥物Fの乾燥状態を、よりダイレクトに検出し、被乾燥物Fの乾燥状態をより高精度に把握することが可能となる。
また、真空乾燥装置1における棚11の温度調節方法によれば、流体圧P2を、被乾燥物Fを支持する棚11の重量に換算し、棚11の重量に基づいて棚11の温度Tsを制御する。
このような構成では、棚11の自重は既知であるため、また被乾燥物Fに付帯する自重も既知と出来るため、流体シリンダ30の流体圧P2から、被乾燥物Fを支持する棚11の重量、つまり被乾燥物Fと棚11との合計重量を換算して求めることで、被乾燥物Fの乾燥状態の変化を把握することができる。したがって、被乾燥物Fの乾燥状態に応じて、棚11の温度Tsを適切に調節することができる。
本実施形態に係る真空乾燥装置1における棚11の温度調節方法によれば、被乾燥物Fを支持する棚11の重量に基づいて棚11の温度Tsを調節する。
このような構成では、乾燥室10内で棚11に載置された被乾燥物Fが乾燥すると、被乾燥物Fと被乾燥物Fを載置した棚11との合計重量が減少する。これにより、被乾燥物Fを支持する棚11の重量から、被乾燥物Fの乾燥状態を把握することができる。したがって、被乾燥物Fの乾燥状態を、例えば昇華する水蒸気量を測定する手法と比べ、よりダイレクトな検出が行われる事から、被乾燥物Fの乾燥状態をより高精度に把握することが可能となる。
また、本実施形態に係る真空乾燥装置1における棚11の温度調節方法によれば、被乾燥物Fは、容器100内に収容された状態で棚11に載置され、被乾燥物Fの昇華潜熱△H、棚11の重量(縮側圧力センサ39の測定結果)、容器100の断面積Avおよび伝熱係数Kvに基づいて、棚11の温度Tsを調節する。
このような構成では、棚11の重量、被乾燥物Fの昇華潜熱△H、縮側圧力センサ39の測定結果、容器100の断面積Avおよび伝熱係数Kvに基づいて、被乾燥物Fの温度を演算して求めることができる。これにより、被乾燥物Fの温度状態に応じて棚11の温度Tsを調節することで、被乾燥物Fの乾燥を適切な条件下で実行することができる。
また、本実施形態に係る真空乾燥装置1における棚11の温度調節方法によれば、被乾燥物Fの温度がコラプス温度以下になるように、棚11の重量に基づいて棚11の温度Tsを制御する。
このような構成では、被乾燥物Fの温度がコラプス温度を超えると、被乾燥物Fの水分が凍結している部分が収縮するコラプス現象が生じ、被乾燥物Fの乾燥が良好に行われなくなる。流体シリンダ30の流体圧P2の変化に基づいて、棚11の温度Tsを適切に調節し、被乾燥物Fの温度がコラプス温度以下となるように維持することで、被乾燥物Fの乾燥を良好に行うことができる。
(実施形態の変形例)
上記実施形態では、ステップS3において、棚11の重量に基づいて被乾燥物Fの温度を算出するに際し、温度算出部44は、被乾燥物Fの昇華潜熱△H、棚11の重量(縮側圧力センサ39の測定結果)、容器100の断面積Avおよび伝熱係数Kvに基づいて、被乾燥物Fの温度を算出するようにしたが、これに限らない。
例えば、ステップS3において、棚11の重量に基づいて被乾燥物Fの温度を算出するには、乾燥室10の内圧、被乾燥物Fについての水蒸気移動抵抗Rp、容器100における1本あたりの製品断面積Ap、棚11の重量に基づいて、棚11の温度Tsを調節するようにしてもよい。なおAp(容器100における1本あたりの製品断面積)は、Avと異なり、各容器100における内部の断面積を意味する。
本変形例における真空乾燥装置1における温度調節方法では、予め、被乾燥物Fの既乾燥層L1(図2参照)の水蒸気移動抵抗Rpを求めておく。
水蒸気移動抵抗Rpを求めるには、実際に真空乾燥処理の対象物である被乾燥物Fを容器100に入れ、真空乾燥装置1の棚11に所定数搭載する。容器100には、被乾燥物Fの温度(容器100の底部中心温度Tb)を測定する品温センサを取り付ける。
この後、乾燥室10内で、実際に被乾燥物Fを凍結乾燥処理する際と同条件(乾燥室10の内圧(真空度)、及び温度)で乾燥させ、乾燥前後の棚11の重量を測定し、単位時間当たり昇華水蒸気量dm/dtを算出する。このとき、被乾燥物Fが、例えば30~50%程度昇華された段階で、凍結乾燥処理を終了し、複数の容器100の重量を個別に測定するようにしてもよい。この場合、容器100の平均重量ではなく、棚11上における容器100の位置依存性を調べることができる。
次いで、下式(6)を変形することで得られる式(7)により、水蒸気移動抵抗Rpを算出する。
Figure 0007390176000006
Figure 0007390176000007
ここで、Ap:容器100における1本あたりの製品断面積[m]、Pice:昇華面圧力[Pa]、PDC:乾燥室の内圧[Pa]、Rp:水蒸気移動抵抗[Pa・m・s/g]である。昇華面圧力Piceとは、図2において、水分が昇華することで容器100内の被乾燥物Fの上層部に生成される既乾燥層L1と、既乾燥層L1の下側で未だ凍結している凍結層L2と、の境界に形成される昇華面Lfに作用する圧力である。上式(6)は、昇華面圧力Piceと乾燥室の内圧PDCの差圧によって水分が昇華することに基づく(式(6)は、凍結乾燥のHeat mass Transferの基本式の1つである)。
式(7)に、算出された昇華水蒸気量dm/dtの値、容器100における1本あたりの製品断面積Ap,被乾燥物Fの昇華面圧力Pice、乾燥室の内圧PDCを代入する。これにより、水蒸気移動抵抗Rpが求められる。なお実際には、式(7)に示しているように、昇華面圧力Piceは、被乾燥物Fの昇華面Lfの温度Ticeによって表すことができる。前記温度Ticeは、例えば、上記(5)式に基づいて、容器100の底部中心温度Tbから求めることができる。
水蒸気移動抵抗Rpは、被乾燥物Fの材料ごとに異なるため、材料ごとに、上記と同様にして、水蒸気移動抵抗Rpを算出するのが好ましい。また、水蒸気移動抵抗Rpは、既乾燥層L1の厚みに対する依存性があるため、既乾燥層L1の厚みを複数段階に異ならせて上記と同様の水蒸気移動抵抗Rpの算出を行うのが好ましい。さらには、既乾燥層L1の厚みと、水蒸気移動抵抗Rpとの相関を示す関数を設定し、この関数に基づいて、既乾燥層L1の厚みに応じた水蒸気移動抵抗Rpを求めるようにしてもよい。このような関数としては、例えば、
Rp=Rp’x(Lmax-Lice
のようなものがある。ここで、Lmaxは、凍結層L2の最大(初期)厚み、Liceは凍結層L2の厚みである。
また本実施形態のように、容器100を栓(例えばゴム栓)で閉塞する場合、水蒸気移動抵抗Rpは、既乾燥層についての水蒸気移動抵抗と栓の水蒸気移動抵抗と、の和となる。
このようにして水蒸気移動抵抗Rpを求めた後、実際に、真空乾燥装置1で被乾燥物Fの凍結乾燥処理を実行する。
図4に示すように、上記実施形態と同様にして、制御部40は、予め定められた時間間隔ごとに、入力受付部41で、縮側圧力センサ39における流体圧P2の測定結果を示す信号の入力を受け付ける(ステップS1)。
制御部40は、流体圧P2の測定結果を受け取ると、重量換算部43で、流体圧P2に基づいて棚11の重量を換算する(ステップS2)。
次いで、制御部40は、温度算出部44において、取得された棚11の重量に基づいて、被乾燥物Fの温度を算出する(ステップS3)。本変形例では、制御部40の温度算出部44は、乾燥室10の内圧PDC、上記で求めた被乾燥物Fの水蒸気移動抵抗Rp、容器100の本数N、容器100における1本あたりの製品断面積Ap、ステップS2で換算した棚11の重量から算出される単位時間当たり昇華水蒸気量dm/dtに基づいて、下式(8)により、被乾燥物Fの温度として、被乾燥物Fの昇華面Lfの温度Ticeを算出する。
Figure 0007390176000008
さらに、上式(5)に基づいて、被乾燥物Fの昇華面Lfの温度Ticeを、容器100の底部中心温度Tbに換算し、これを被乾燥物Fの温度とすることもできる。
このようにして、被乾燥物Fの温度として、被乾燥物Fの昇華面Lfの温度Tice、または容器100の底部中心温度Tbを取得する。
この後、ステップS4では、上記実施形態と同様、加熱温度制御部45で、ステップS3において温度算出部44で算出された被乾燥物Fの温度に基づいて、調節部12における、棚11の加熱動作を制御する。
本変形例の真空乾燥装置1、真空乾燥装置1における棚11の温度調節方法によれば、また、被乾燥物Fは、容器100内に収容された状態で棚11に載置され、制御部40は、乾燥室10の内圧、被乾燥物Fについての水蒸気移動抵抗Rp、容器100における1本あたりの製品断面積Ap、棚11の重量に基づいて、棚11の温度Tsを調節する。
このような構成では、乾燥室10の内圧、被乾燥物Fについての水蒸気移動抵抗Rp、容器100における1本あたりの製品断面積Ap、棚11の重量に基づいて、被乾燥物Fの温度を演算して求めることができる。このため、被乾燥物Fの温度状態に応じて棚11の温度Tsを調節することで、被乾燥物Fの乾燥を適切な条件下で実行することができる。
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記実施形態において、棚11の重量を換算して取得するために、縮側圧力センサ39で縮側配管37内の流体圧P2を測定するようにしたが、これに限らない。伸側圧力センサ38で、縮側配管37の流体圧を測定するようにしてもよいし、縮側圧力センサ39で測定される縮側配管37内の流体圧P2と、伸側圧力センサ38で測定される伸側配管36内の流体圧との差圧に基づいて、棚11の重量を換算して取得するようにしてもよい。
また、上記実施形態において、縮側圧力センサ39で測定された縮側配管37内の流体圧P2に基づいて、被乾燥物Fの温度(容器100の底部中心温度Tb、または被乾燥物Fの昇華面Lfの温度Tice)を得て、調節部12の制御を行うようにしたが、これに限らない。縮側圧力センサ39で測定された縮側配管37内の流体圧P2に基づいて、被乾燥物Fの昇華面圧力Piceをキーとして、調節部12の制御を行うようにしてもよい。
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
1 真空乾燥装置
10 乾燥室
11 棚
12 調節部
20 捕集部
30 流体シリンダ
35 流体給排系
39 縮側圧力センサ(測定部)
40 制御部
100 バイアル
F 被乾燥物
△H 昇華潜熱
Kv 伝熱係数
L1 既乾燥層
P2 流体圧
Rp 水蒸気移動抵抗
Tice 温度
Ts 温度

Claims (10)

  1. 乾燥室と、
    前記乾燥室内に配置され、被乾燥物が載置される棚と、
    前記棚を昇降させる流体シリンダと、
    前記流体シリンダに対して流体を給排する流体給排系と、
    前記流体給排系に設けられ、前記流体の流体圧を測定する測定部と、
    前記被乾燥物から昇華した水分を捕集する捕集部と、
    前記棚の温度を調節する調節部と、
    前記測定部の測定結果に基づいて前記調節部を制御する制御部と、を備える真空乾燥装置。
  2. 前記制御部は、
    異なる2つの時刻それぞれにおいて、前記測定部の測定結果を、前記被乾燥物を支持する前記棚の重量に換算し、
    これらの2つの時刻および重量の各差分から前記被乾燥物の昇華速度を算出し、
    前記昇華速度に基づいて前記被乾燥物の推定温度を算出し、
    前記推定温度が、予め設定された閾値以下になるように前記調節部を制御する請求項に記載の真空乾燥装置。
  3. 前記被乾燥物は、容器内に収容された状態で前記棚に載置され、
    前記制御部は、前記被乾燥物の昇華潜熱、前記昇華速度、前記容器の断面積および前記容器の伝熱係数に基づいて、前記推定温度を算出する請求項に記載の真空乾燥装置。
  4. 前記被乾燥物は、容器内に収容された状態で前記棚に載置され、
    前記制御部は、前記乾燥室の内圧、前記被乾燥物についての水蒸気移動抵抗、前記容器内の製品断面積、前記昇華速度に基づいて、前記推定温度を算出する請求項に記載の真空乾燥装置。
  5. 前記閾値がコラプス温度である請求項からのいずれか1項に記載の真空乾燥装置。
  6. 乾燥室と、
    前記乾燥室内に配置され、被乾燥物が載置される棚と、
    前記棚を昇降させる流体シリンダと、
    前記被乾燥物から昇華した水分を捕集する捕集部と、を備える真空乾燥装置において、前記棚の温度を調節する方法であって、
    前記流体シリンダに対して流体を給排する流体給排系における前記流体の流体圧に基づいて前記棚の温度を調節する真空乾燥装置における棚の温度調節方法。
  7. 異なる2つの時刻それぞれにおいて、前記流体圧を、前記被乾燥物を支持する前記棚の重量に換算し、
    これらの2つの時刻および重量の各差分から前記被乾燥物の昇華速度を算出し、
    前記昇華速度に基づいて前記被乾燥物の推定温度を算出し、
    前記推定温度が、予め設定された閾値以下になるように前記棚の温度を制御する請求項に記載の真空乾燥装置における棚の温度調節方法。
  8. 前記被乾燥物は、容器内に収容された状態で前記棚に載置され、
    前記被乾燥物の昇華潜熱、前記昇華速度、前記容器の断面積および前記容器の伝熱係数に基づいて、前記推定温度を算出する請求項に記載の真空乾燥装置における棚の温度調節方法。
  9. 前記被乾燥物は、容器内に収容された状態で前記棚に載置され、
    前記乾燥室の内圧、前記被乾燥物についての水蒸気移動抵抗、前記容器内の製品断面積、前記昇華速度に基づいて、前記推定温度を算出する請求項に記載の真空乾燥装置における棚の温度調節方法。
  10. 前記閾値がコラプス温度である請求項からのいずれか1項に記載の真空乾燥装置における棚の温度調節方法。
JP2019221357A 2019-12-06 2019-12-06 真空乾燥装置、真空乾燥装置における棚の温度調節方法 Active JP7390176B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019221357A JP7390176B2 (ja) 2019-12-06 2019-12-06 真空乾燥装置、真空乾燥装置における棚の温度調節方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019221357A JP7390176B2 (ja) 2019-12-06 2019-12-06 真空乾燥装置、真空乾燥装置における棚の温度調節方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2021092327A JP2021092327A (ja) 2021-06-17
JP7390176B2 true JP7390176B2 (ja) 2023-12-01

Family

ID=76312099

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019221357A Active JP7390176B2 (ja) 2019-12-06 2019-12-06 真空乾燥装置、真空乾燥装置における棚の温度調節方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7390176B2 (ja)

Citations (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4506455A (en) 1982-06-18 1985-03-26 Edwards Alto Vuoto S.P.A. Loading equipment for lyophilization apparatus
US4993171A (en) 1989-11-22 1991-02-19 The Boc Group, Inc. Covering for a hydraulic ram of a freeze dryer
DE19544283A1 (de) 1995-11-28 1997-06-05 Hof Hans Georg Gefriertrocknungsanlage
JP2000320963A (ja) 1999-05-12 2000-11-24 Ulvac Japan Ltd 凍結真空乾燥装置
JP2001215082A (ja) 2000-02-02 2001-08-10 Ulvac Japan Ltd 真空処理装置
JP2003307384A (ja) 2002-04-16 2003-10-31 Kyowa Shinku Gijutsu Kk 凍結乾燥機における棚段の温度制御装置
JP2003314960A (ja) 2002-04-22 2003-11-06 Ulvac Japan Ltd 凍結真空乾燥方法及び凍結真空乾燥装置
JP2004537025A (ja) 2001-07-27 2004-12-09 ステリス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング 凍結乾燥装置のための乾燥庫
WO2008003509A1 (en) 2006-07-03 2008-01-10 The Boc Group Plc Freeze dryer
JP3168888U (ja) 2011-04-21 2011-06-30 共和真空技術株式会社 凍結乾燥装置
JP2013035691A (ja) 2012-09-21 2013-02-21 Toshiba Mitsubishi-Electric Industrial System Corp 容器搬送装置
JP2015031486A (ja) 2013-08-06 2015-02-16 共和真空技術株式会社 凍結乾燥機に適用される被乾燥材料の凍結乾燥状態監視方法及びその凍結乾燥状態監視装置
JP2016125682A (ja) 2014-12-26 2016-07-11 共和真空技術株式会社 凍結乾燥機に適用される被乾燥材料の乾燥状態監視装置及び乾燥状態監視方法

Patent Citations (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4506455A (en) 1982-06-18 1985-03-26 Edwards Alto Vuoto S.P.A. Loading equipment for lyophilization apparatus
US4993171A (en) 1989-11-22 1991-02-19 The Boc Group, Inc. Covering for a hydraulic ram of a freeze dryer
US4993171B1 (en) 1989-11-22 1996-07-02 Boc Group Inc Covering for a hydraulic ram of a freeze dryer
DE19544283A1 (de) 1995-11-28 1997-06-05 Hof Hans Georg Gefriertrocknungsanlage
JP2000320963A (ja) 1999-05-12 2000-11-24 Ulvac Japan Ltd 凍結真空乾燥装置
JP2001215082A (ja) 2000-02-02 2001-08-10 Ulvac Japan Ltd 真空処理装置
JP2004537025A (ja) 2001-07-27 2004-12-09 ステリス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング 凍結乾燥装置のための乾燥庫
JP2003307384A (ja) 2002-04-16 2003-10-31 Kyowa Shinku Gijutsu Kk 凍結乾燥機における棚段の温度制御装置
JP2003314960A (ja) 2002-04-22 2003-11-06 Ulvac Japan Ltd 凍結真空乾燥方法及び凍結真空乾燥装置
WO2008003509A1 (en) 2006-07-03 2008-01-10 The Boc Group Plc Freeze dryer
JP3168888U (ja) 2011-04-21 2011-06-30 共和真空技術株式会社 凍結乾燥装置
JP2013035691A (ja) 2012-09-21 2013-02-21 Toshiba Mitsubishi-Electric Industrial System Corp 容器搬送装置
JP2015031486A (ja) 2013-08-06 2015-02-16 共和真空技術株式会社 凍結乾燥機に適用される被乾燥材料の凍結乾燥状態監視方法及びその凍結乾燥状態監視装置
JP2016125682A (ja) 2014-12-26 2016-07-11 共和真空技術株式会社 凍結乾燥機に適用される被乾燥材料の乾燥状態監視装置及び乾燥状態監視方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2021092327A (ja) 2021-06-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6971187B1 (en) Automated process control using manometric temperature measurement
EP1903291A1 (en) Method and system for controlling a freeze drying process
CA2483152C (en) Freeze-drying device
Fissore et al. Applying quality-by-design to develop a coffee freeze-drying process
JP5859495B2 (ja) 凍結乾燥機に適用される被乾燥材料の凍結乾燥状態監視方法及びその凍結乾燥状態監視装置
WO2008042408A2 (en) Lyophilization methods and apparatuses
JP6617951B2 (ja) 真空乾燥装置および真空乾燥方法
JP2001525049A (ja) 冷凍乾燥プロセスを制御する方法
US3199217A (en) Freeze drying apparatus with inflatable platen contact heating
US4615178A (en) Apparatus and method for controlling a vacuum cooler
JP7390176B2 (ja) 真空乾燥装置、真空乾燥装置における棚の温度調節方法
CN104949473B (zh) 一种真空冷冻干燥机及真空冷冻干燥方法
US5428905A (en) Process for the regulation of lyophilization
JP2021096030A (ja) 真空乾燥装置、真空乾燥装置における棚の温度調節方法
US8434240B2 (en) Freeze drying method
KR101944157B1 (ko) 크라이오 트랩
JP6099622B2 (ja) 凍結乾燥機に適用される被乾燥材料の乾燥状態監視装置及び乾燥状態監視方法
CN111989529B (zh) 用于选择性搁架温度控制的装置和方法
JP7232097B2 (ja) 凍結乾燥方法及び凍結乾燥装置
CN112944813A (zh) 连续生产型冻干设备的物料测温***和方法
Nakagawa Mathematical Modeling of Freeze‐Drying Process
JP6959746B2 (ja) クライオトラップ
JP2015102317A (ja) 凍結乾燥機に適用される被乾燥材料の乾燥状態監視装置及び乾燥状態監視方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20221129

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20230911

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230912

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20231013

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20231107

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20231120

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7390176

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150