JP7374814B2 - 道路交通状況評価システム、道路交通状況評価方法および道路交通状況評価プログラム - Google Patents

道路交通状況評価システム、道路交通状況評価方法および道路交通状況評価プログラム Download PDF

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Description

本発明の実施形態は、道路交通状況評価システム、道路交通状況評価方法および道路交通状況評価プログラムに関する。
従来、道路の交通状況のシミュレーション技術として、例えば、交通流を流体モデルとみなしてマクロ的に模擬するものや、車両1台1台の挙動を追従モデルを用いてミクロ的に模擬するものが実用化されている。交通流のシミュレーションを行う場合、道路形態や道路の合流の状況等を考慮する場合もある。また、近年では、車両の自動運転技術の研究も進み、自動運転車両を混在させてシミュレーションを行うことも検討されている。例えば、ドライバが運転する車両と自動運転車両とが混在する場合の道路交通状況がどのように変化する化についての検討が進められている。自動運転車両には、自車の周囲の状況をセンサ等で検出し、実質的な完全自動運転、または一部自動運転、ACC(Adaptive Cruise Control)等のように追従走行を行う車両等が含まれる場合もある。
特開2004-199287号公報 特開2007-287168号公報 特開2002-163769号公報
「ACC車両の混在比率が異なる交通流の安全性・円滑性評価」飯田克弘、和田崎泰明、多田昌裕、筑後智弘、安時享、澤田英郎、紀ノ定保礼 著、第37回交通工学研究発表会論文集、2017 /8/8~9http://www.civil.eng.osaka-u.ac.jp/plan/image/pdf/2017kogaku_02.pdf 「ACC車両による高速道路サグ部における渋滞緩和効果」岩崎健、鈴木 一史、坂井康一、金澤文彦 著 、一般財団法人土木研究センター、土木技術資料 平成24年5月号、2012http://www.pwrc.or.jp/thesis_shouroku/thesis_pdf/1205-P030-033_iwasaki.pdf 「自動運転車と人間が運転する自動車の混在下で発生する渋滞シミュレーション」戸田賢、高松敦子 著、交通流と自己駆動粒子系シンポジウム論文集、巻 23、出版者 交通流数理研究会、2017http://traffic.phys.cs.is.nagoya-u.ac.jp/~mstf/pdf/mstf2017-20.pdf
しかしながら、従来の交通量のシミュレーションと現実の交通量とを比較した場合、状況によって誤差が大きくなったしまう場合があり、道路交通状況の評価精度が低下してしまう場合があった。例えば、ドライバが運転するドライバ運転車両と自動運転車両とが混在する場合で、道路の状況が変化した場合、ドライバ運転車両と自動運転車両とでは、それぞれの挙動がそれまでと大きく変化する場合がある。したがって、評価対象となる車両の特徴と道路の状況との関係をより明確に関連付けた交通流の模擬ができれば、道路交通状況評価の精度向上が図れて有意義である。
実施形態にかかる道路交通状況評価システムは、道路情報設定部と、車両特性情報設定部と、遅れ情報設定部と、評価実行部と、を備える。道路情報設定部は、評価対象の対象道路の特徴を示す道路情報を設定する。車両特性情報設定部は、対象道路で模擬的に走行させる複数の模擬車両の車両特性情報として、ドライバが運転するドライバ運転車両に対応する第1車両特性情報と、自動運転車両に対応する第2車両特性情報とを設定する。遅れ情報設定部は、模擬走行時に発生し得る模擬車両の挙動遅れを示す遅れ情報として、対象道路の特徴に基づく物理的要因に基づく第1遅れ情報と、模擬車両のドライバの対象道路の特徴に対する心理的要因に基づく遅れ情報で、第2車両特性情報に対する設定値より第1車両特性情報に対する設定値が大きく設定される第2遅れ情報とを設定する。評価実行部は、道路情報と車両特性情報と第1遅れ情報と第2遅れ情報とに基づき、対象道路で第1車両特性情報の模擬車両と第2車両特性情報の模擬車両とを混在させて模擬走行させて、対象道路の全域における模擬車両の走行流れを含む交通状況を評価する。
図1は、実施形態にかかる道路交通状況評価システムと道路交通管制システムとの関係を示す例示的かつ模式的なブロック図である。 図2は、実施形態にかかる道路交通状況評価システムの構成を示す例示的かつ模式的なブロック図である。 図3は、実施形態にかかる道路交通状況評価システムにおいて、道路交通状況評価処理の流れを示す例示的なフローチャートである。 図4は、実施形態にかかる道路交通状況評価システムにおいて、模擬対象の車両が存在する領域と、その周囲の領域との関係を示す例示的かつ模式的な図である。 図5は、実施形態にかかる道路交通状況評価システムにおいて、車間距離を車頭時間で設定する場合を説明する例示的かつ模式的な図である。 図6は、実施形態にかかる道路交通状況評価システムにおいて、車間距離を複数の関数で設定する場合を説明する例示的かつ模式的な図である。 図7は、実施形態にかかる道路交通状況評価システムにおいて、車速制御と車間距離制御を行う場合の例示的かつ模式的な制御ブロック図である。 図8は、実施形態にかかる道路交通状況評価システムにおいて、車両に発生する遅れ時間を示す例示的かつ模式的な図である。 図9は、実施形態にかかる道路交通状況評価システムにおいて、車両に生じる遅れ時間を考慮した車速制御と車間距離制御を行う場合の例示的かつ模式的な制御ブロック図である。 図10は、実施形態にかかる道路交通状況評価システムにおいて、さらに、道路環境から受ける影響とドライバの心理的な挙動を考慮した車速制御と車間距離制御を行う場合の例示的かつ模式的な制御ブロック図である。 図11は、実施形態にかかる道路交通状況評価システムにおいて、下り坂と上り坂が車両の挙動に与える影響を示す例示的かつ模式的な図である。 図12は、実施形態にかかる道路交通状況評価システムにおいて、模擬車両の発生および発生後の模擬車両の挙動を示す例示的かつ模式的な図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。以下に記載する実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および結果(効果)は、あくまで一例であって、以下の記載内容に限られるものではない。
図1は、実施形態にかかる道路交通状況評価システム10と道路交通管制システム12との関係を示す例示的かつ模式的なブロック図である。
道路交通状況評価システム10は、主として道路交通状況評価に必要なデータを入手し、道路交通状況模擬演算をすることで道路交通状況を評価するものである。
一方、道路交通管制システム12は、主として管制対象の道路の実際の道路交通状況の監視や管理を総合的に行うものである。道路交通管制システム12は、管制対象の道路の路側等に設置された複数の車両感知器等からのセンサ計測値を、路側センサ情報取得部12aを介して逐次取得する。車両感知器は、道路における所定の基準地点(車線が複数ある場合、車線毎)に設置されている。そして、車両感知器は、基準地点を通過した車両の台数(車線毎に設置されている場合は通過台数の合計台数)の情報である通過台数情報を出力する。車両感知器は、例えば、路面下に設置されるループコイルや、路面を上方から監視するカメラや、路側に設置される超音波センサ等の少なくともいずれか、またはいくつかの組み合わせによって構成され得る。道路交通管制システム12は、路側センサ情報取得部12aの取得したセンサ計測値に基づき、管制対象の道路の交通量や平均速度、占有率等の道路交通状況を取得可能である。そして、道路交通管制システム12は、管制対象の道路における車両の交通量、渋滞や事故の発生状況等、すなわち、交通流に関する情報等を管制官が認識し易く、対応し易い形態で表示したり、情報の構築を行ったりする。また、道路交通管制システム12は、監視および管理対象の道路における道路の長さや道路幅、車両感知器の個数、設置位置、路線(道路)に存在する坂、カーブ、トンネル等の存在位置と勾配やカーブ半径r等、道路を特徴づける道路環境特性に関するデータを道路データベース12bに蓄積保存することができる。
道路交通状況評価システム10は、道路交通状況を模擬して評価するために必要なデータを道路交通管制システム12の道路データベース12bから入手することが可能である。道路交通状況評価システム10は、PC(Personal Computer)などといった一般的な情報処理装置と同様のコンピュータ資源を有している。道路交通状況評価システム10は、CPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の記憶部と、通信インターフェースと、入出力インターフェース等で構成されている。
CPUは、道路交通状況評価システム10の動作を統括的に制御する。ROMは、各種プログラムやデータを記憶する記憶媒体である。RAMは、各種プログラムを一時的に記憶したり、各種データを書き換えたりするための記憶媒体である。CPUは、RAMをワークエリア(作業領域)としてROM、記憶部等に格納されたプログラムを実行する。道路交通状況評価システム10は、単体構築したPCを、ネットワーク等を通じて道路交通管制システム12と接続する等でシステム構築することができる。また、別の構成例では、道路交通状況評価システム10を道路交通管制システム12の内部の一機能として構築することも可能である。
図2は、道路交通状況評価システム10の構成を示す例示的かつ模式的なブロック図である。
道路交通状況評価システム10は、情報設定部14と、評価実行部16およびHMI(Human Machine Interface)部18と、を備える。
情報設定部14は、評価対象の対象道路の特徴を示す道路情報と、当該対象道路で模擬的に走行させる複数の模擬車両の車両特性情報と、模擬走行時に発生し得る模擬車両の挙動遅れを示す遅れ情報等と、を設定する。また、評価実行部16は、道路情報と車両特性情報と遅れ情報とに基づき、対象道路で複数の模擬車両を混在させて模擬走行させて、対象道路における交通状況を評価する。HMI部18は、道路交通模擬の演算中に模擬演算に関連する情報を更新、変更するため入力画面や操作スイッチ等を備える。
情報設定部14は、道路情報設定部14a、車両特性情報設定部14b、車両制御情報設定部14c等を含む。
道路情報設定部14aは、道路交通管制システム12の管制官が道路交通状況評価システム10において評価(模擬)したい対象道路に関するデータを手入力により設定したり、道路データベース12bに蓄積保存されているデータを呼び出し、そのデータに基づく設定を実行したりする。道路情報設定部14aは、例えば、模擬の対象道路の長さや道路幅、車線数、路側センサの個数、設置位置等の道路環境特性に関するデータを設定し、道路情報ファイル20に蓄積保存する。
また、道路情報設定部14aは、対象路線に対して、坂の存在を示す坂情報と、カーブの存在を示すカーブ情報と、トンネルの存在を示すトンネル情報とのうち少なくとも一つを道路環境特性に関するデータとして設定し、道路情報ファイル20に蓄積保存する。なお、坂情報には、坂の長さや坂の勾配情報等も含まれる。また、カーブ情報には、カーブ半径rの情報等が含まれる。
車両特性情報設定部14bは、道路交通管制システム12の管制官が道路交通状況評価システム10において評価(模擬)したい模擬車両の発生に関するデータを手入力により設定したり、道路データベース12bに蓄積保存されているデータを呼び出し、そのデータに基づき、模擬の対象道路で発生する模擬車両に関する特性の設定を実行したりする。例えば、車両特性情報設定部14bは、模擬車両の発生タイミング(発生時刻)や発生位置、発生台数、発生させる模擬車両の種類(ドライバ運転車両や自動運転車両等のタイプ)等を設定し、車両情報ファイル22に蓄積保存する。なお、車両特性情報設定部14bは、模擬車両を特徴付ける情報として、加減速限界値と、車長と、車幅との少なくとも一つを設定する。車両特性情報として、加減速限界値、車長、車幅等を考慮した設定を行うことで、模擬車両の性能の違いをより明確に表現可能となり、模擬精度の向上に寄与できる。本実施形態において、車両特性情報設定部14bが設定する車両特性情報において、ドライバが運転するドライバ運転車両に対応する情報を第1車両特性情報と称し、自動運転車両に対応する情報を第2車両特性情報と称する場合がある。第1車両特性情報と第2車両特性情報については、後述する。
また、車両制御情報設定部14cは、道路交通管制システム12の管制官が道路交通状況評価システム10において評価(模擬)したい模擬車両の制御に関するデータを手入力により設定したり、道路データベース12bに蓄積保存されているデータを呼び出し、そのデータに基づく模擬車両の制御値等の設定を実行したりする。例えば、車両制御情報設定部14cは、模擬車両の制御に関する情報として、模擬車両の種類(タイプ)毎の車両周囲のセンシング範囲、車両制御パラメータ、希望速度(希望車速)、目標車間距離の種類、遅れ時間(遅れ情報)、演算刻み幅等を設定し、車両情報ファイル22に蓄積保存する。
なお、本実施形態において、車両制御情報設定部14cが設定する車両制御情報に含まれる遅れ情報のうち、対象道路の特徴に基づく物理的要因に基づく遅れ情報を第1遅れ情報と称し、模擬車両がドライバ運転車両でドライバの対象道路の特徴に対する心理的要因に基づく遅れ情報を第2遅れ情報と称する場合がある。なお、車両情報読込部16cが設定する第1車両特性情報に対する第2遅れ情報の設定値は、第2車両特性情報に対する第2遅れ情報の設定値より大きい。すなわち、自動運転車両よりドライバ運転車両の方が状況の変化に対する対応能力が低いという現実に則した詳細設定ができるように構成されている。
また、本実施形態において、車両制御情報設定部14cが設定する車両制御情報に含まれる遅れ情報のうち、模擬車両における加減速制御を開始する際の機械的反応遅れを示す遅れ情報を第3遅れ情報と称し、加減速制御が目標値に到達するまでの反応遅れを示す遅れ情報を第4遅れ情報と称する場合がある。第1遅れ情報、第2遅れ情報、第3遅れ情報、第4遅れ情報については、後述する。
評価実行部16は、道路情報ファイル20および車両情報ファイル22に蓄積保存された情報を入力とし、道路交通情報を模擬演算し、その結果を、道路交通状況模擬結果情報ファイル24に出力する。
評価実行部16は、初期設定部16a、道路情報読込部16b、車両情報読込部16c、車両挙動模擬演算部16d、表示処理部16e、記憶処理部16f等を含む。
初期設定部16aは、HMI部18を介して道路交通状況模擬に必要な道路交通状況模擬範囲や、模擬時間範囲等、車両挙動模擬演算部16dで実行される演算処理プロセスにおける初期設定値を設定する。
HMI部18は、操作部18a、表示部18b等を備える。操作部18aは、評価実行部16における道路交通情報の模擬演算の設定、模擬演算中の設定変更、および情報設定部14における管制官による手入力操作等を受け付ける。より詳細には、操作部18aは、車両情報変更操作部18a1、道路情報変更操作部18a2、評価処理操作部18a3等を備える。
車両情報変更操作部18a1は、例えば、模擬車両の模擬走行の実行中に車両特性情報の設定を変更する第1設定変更部として機能する。例えば、車両情報変更操作部18a1は、模擬車両の種類毎の車両周囲のセンシング範囲、車両制御パラメータ、希望速度、目標車間距離の種類、遅れ時間、演算刻み幅等を変更することができる。車両情報変更操作部18a1により、模擬車両の特徴や挙動が種々に変更可能となり、模擬バリエーションが向上できる。その結果、より現実に近い交通流の模擬により道路交通状況評価の精度向上に寄与できる。なお、車両情報変更操作部18a1は、車両制御情報設定部14cにて各種初期設定を行う場合も利用され得る。
道路情報変更操作部18a2は、模擬の対象道路における道路環境を変更する第2設定変更部として機能する。道路情報変更操作部18a2は、例えば、工事や事故、落下物の発生、天候の変化、自然渋滞の発生、等の位置や範囲、発生(変更)タイミング等を変更することができる。道路情報変更操作部18a2により、模擬の対象道路の特徴が種々に変更可能となり、模擬バリエーションが向上できる。その結果、より現実に近い交通流の模擬により道路交通状況評価の精度向上に寄与できる。なお、道路情報変更操作部18a2は、道路情報設定部14aにおいて、新規に坂、カーブ、トンネル等を形成した状態で模擬を行う場合や、逆にそれらが取り除いた状態で模擬を行う場合等、道路環境の基本部分の変更も行うことができる。道路情報変更操作部18a2は、車両特性情報設定部14bにて各種初期設定を行う場合も利用され得る。
なお、車両情報変更操作部18a1、道路情報変更操作部18a2による設定変更は、模擬演算の実行中でも可能であり、模擬状況を確認しながら車両特性や道路特性を変更してもよい。この場合、利用者(管制官等)の要望に適した模擬を容易に実行できる。
評価処理操作部18a3は、評価実行部16において、道路交通情報の模擬演算に関する各種操作を行う入力部として機能する。表示部18bは、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)や、OELD(Organic Electroluminescent Display)等である。表示部18bは、例えば、タッチパネル等を含んでもよい。また、表示部18bは、道路交通管制システム12の表示装置と兼用されてもよい。
道路情報読込部16bは、初期設定部16aにおける初期設定値に従い道路情報ファイル20に蓄積保存されている模擬の対象道路の道路環境特性に関する情報を読み込み、車両挙動模擬演算部16dに提供する。また、車両情報読込部16cは、初期設定部16aにおける初期設定値に従い、車両情報ファイル22に蓄積保存されている模擬車両の制御に関する情報を読み込み、車両挙動模擬演算部16dに提供する。車両挙動模擬演算部16dは、初期設定部16aにおける設定、および道路情報読込部16b、車両情報読込部16cで読み込まれた情報を用いて、車両挙動模擬演算部16d内の演算処理プロセスにて道路交通状況の模擬演算を行う。車両挙動模擬演算部16dにおいて実行される演算処理プロセスは、例えば、模擬車両の発生および消滅処置、模擬車両の周囲状況の把握模擬処理、模擬車両の前後方向、左右方向の挙動模擬処理、模擬車両の動作模擬(情報更新)処理、路測センサ模擬処理等を含む。
図3は、道路交通状況評価システム10の車両挙動模擬演算部16dで実行される演算処理プロセス(道路交通状況模擬演算)に基づく、道路交通状況評価処理の流れを示す例示的なフローチャートである。
車両挙動模擬演算部16dは、まず、初期設定処理として、評価対象の対象道路の道路交通模擬の演算処理に必要な、道路範囲や演算時間範囲、演算時間幅等の初期設定を行う(S100)。道路範囲は、例えば、数km~数十km等で設定可能する。なお、道路範囲は、対象道路に坂等を含む場合、その坂による道路交通(交通流)の影響が現れたことが確認し易いように、例えば10km等のように長めに設定する。演算時間範囲は、例えば、30分等のように短時間の範囲から数時間等長時間の設定が可能である。また、演算時間幅は、走行させる模擬車両の挙動を詳細に示すように、例えば、0.05秒刻み等に設定することができる。道路範囲や演算時間範囲、演算時間幅等は、一例であり適宜変更可能である。
続いて、車両挙動模擬演算部16dは、時間ループを実行する(S102)。この時間ループの実行回数は、S100における初期設定処理で設定された演算時間範囲と演算時間幅を用いる。例えば、演算時間範囲が30分に設定され、演算時間幅が0.05秒刻みで設定されている場合は、時間ループの実行回数は、30分×60秒/0.05秒=36000となり、これが時間ループの終了条件となる。なお、S100が、道路交通状況評価方法における、情報設定ステップに相当し、S102以降の処理が評価実行ステップに相当する。
続いて、車両挙動模擬演算部16dは、時間ループの実行中における評価対象の対象道路に発生させる模擬車両の発生処理を実行する(S104)。模擬車両の発生処理では、車両情報ファイル22から読み出された予め設定された車両特性情報に基づく発生タイミングで模擬車両を発生させる。オブジェクト指向プログラミングの場合、模擬車両の発生のタイミングで、模擬車両のオブジェクト、またはインスタンスを生成することになる。S104の模擬車両発生処理にて発生する模擬車両の総数(時間ループが終了するまでに発生させる全ての模擬車両の総数)は、車両情報ファイル22に設定された車両特性情報にて定められている。また、発生する模擬車両の割合は、例えば、自動運転車両が8割、ACC車両が1割、ドライバ運転車両が1割等のように予め定められている。さらに、各模擬車両の発生順序も予め定められている。なお、模擬車両の発生割合や発生順序は、操作部18a等の操作によって模擬実行中でも適宜変更可能である。また、各模擬車両は、車両情報ファイル22から読み出された模擬車両の種類別(タイプ別)に設定された車両特性情報に基づく加減速限界値(加速限界値、減速限界値)、車長、車幅等を設定する。模擬車両毎の車両特性情報に基づく設定を行うことにより、車両特性をより明確に反映した模擬車両を発生させることができる。また、車両特性がより明確に反映されることにより、模擬車両がドライバ運転車両か、自動運転車両か等の差異を明確にした道路交通模擬演算が可能となる。なお、車両特性情報に基づく設定を行うことにより、自動運転車両は、ACC車両であるか否かの差異も明確に設定することができる。模擬車両発生処理をした場合には、全車両台数を発生台数分追加し更新する。
次に、車両挙動模擬演算部16dは、車両模擬ループを開始する。この車両模擬ループでは、模擬車両の模擬演算を、S104で発生させた模擬車両の全車両台数分繰り返し実行する。
車両挙動模擬演算部16dは、周囲把握(車両周囲センシング)模擬処理を実行する(S108)。車両挙動模擬演算部16dは、周囲把握模擬処理で、個々の模擬車両の模擬演算において、最初に模擬車両の周囲状況の把握(センシング)の模擬を行う。周囲模擬を行うことで、例えば、模擬車両の周囲に、他の車両や障害物がないかの確認を行うことができる。
例えば、図4に示すように、模擬(評価)の対象道路に存在し得る模擬車両Mの周囲を複数の領域に分割する。図4の場合は、模擬車両Mの模擬対象領域を中心として、例えば、直前前方領域NF、直前左前方領域NLF、直前右前方領域NRF、左側方領域LS、右側方領域RS、後方領域B、左後方領域LB、右後方領域RBの9領域に分割する例が示されている。なお、車両挙動模擬演算部16dの模擬演算は、模擬車両Mの進行方向について実行されるため、直前前方領域NFのさらに前方の前方領域F、直前左前方領域NLFのさらに前方の左前方領域LF、直前右前方領域NRFのさらに前方の右前方領域RFを設定してもよい。このように、模擬車両Mの存在位置(領域)を中心に状況把握領域を設定し、模擬車両M(自車)の車両位置と、車両情報ファイル22から読み込まれた他車や障害物等の位置等の情報と基づき、模擬車両Mに関連する領域に他車や障害物が存在するか否かを確認することが可能となる。つまり、現在の模擬車両Mに対して各領域の車両や障害物等の存在情報を作成することで、模擬車両M(自車)が移動可能か否か(例えば、車線変更可能か、加速が可能か否か等)の判定に利用することができる。
次に、車両挙動模擬演算部16dは、前後方向車両挙動模擬処理を実行する(S110)。前後方向に対する模擬車両Mの挙動に関しては、自動運転車両(ACC車両を含んでもよい)を考慮する場合、主として車速制御、車間距離制御にて制御する。模擬対象の模擬車両Mの模擬走行時に前方に何もない場合(所定距離以内に前走車両が存在しない場合等)は、設定した希望車速で模擬車両Mの車速制御を実行する。すなわち、車両制御情報設定部14cで設定される速度制御値を用いて模擬車両Mの挙動模擬を実行する。一方、模擬対象の模擬車両Mの模擬走行時に前方に前走車両が存在する場合、車間距離が設定した希望車間距離より短くなる場合や、前走車両に対する追従走行を行う場合等は、模擬車両Mの車間距離制御を実行する。すなわち、車両制御情報設定部14cで設定される前走車両に対する車間距離制御値を用いて模擬車両Mの挙動模擬を実行する。
まず、車両挙動模擬演算部16dによる前後方向車両挙動模擬処理において、速度制御を実行する場合について説明する。車速制御を実行する場合、それぞれの模擬車両Mは、当該模擬車両Mを発生させる際に、模擬車両Mとして走行させる場合に希望する速度が設定される。基本的にそれぞれの模擬車両Mの速度が、設定した希望速度になるように制御される。この希望速度は、車両情報ファイル22において設定された模擬車両Mの種類別の希望速度に従えばよい。希望速度は、例えば、模擬車両Mが普通乗用車、軽自動車、ワゴン車、トラック、バス等に分類されている場合、各模擬車両Mの車両サイズや用途等により異なるように設定することができる。このように、模擬車両Mの希望速度を詳細に設定することにより、各模擬車両Mの特徴をより反映した模擬を実行することができる。
続いて、車両挙動模擬演算部16dによる前後方向車両挙動模擬処理において、車間距離制御を実行する場合について説明する。車間距離制御を実行する場合、それぞれの模擬車両Mは、模擬車両Mを発生させる際に、模擬車両Mとして走行させる場合に希望する車間距離が設定される。基本的には、それぞれの模擬車両Mの車間距離が、設定した車間距離になるように制御される。この車間距離は、車両情報ファイル22において設定された模擬車両Mの種類別の希望車間距離(車間距離目標値)に従えばよい。希望車間距離は、例えば、模擬車両Mが普通乗用車、軽自動車、ワゴン車、トラック、バス等車両サイズや用途、制動性能等により異なるように設定されることにより、模擬車両Mの特徴をより反映した模擬を実行することができる。
ここで、車両情報ファイル22に設定される車間距離目標値について説明する。車両制御情報設定部14cは、模擬走行させる模擬車両Mの車両特性情報として車間距離制御値の目標値を設定する場合、模擬車両Mの模擬走行の演算時点における速度(この場合、希望速度)および模擬車両Mの加減速度性能に基づく停車可能距離に応じて設定することができる。つまり、車間距離目標値として、模擬走行の演算時点における速度(希望速度)で模擬車両Mが制動を開始して停車するまでの停止可能距離より長い車間距離が確保できていれば、前走車両に接触することなく制御対象である模擬車両Mを停止させることが可能となる。停車可能距離は、演算時点の模擬車両Mの車速について最大減速度性能(減速限界値)にて停止するまでの時間を演算し、その際に走行する距離を演算することで求めることができる。
次に、車両情報ファイル22に設定される車間距離目標値について他の設定例を説明する。
近年、車両が走行する際に保つべき車間距離の指標として、車頭時間を用いる場合がある。車頭時間は、制御対象車両に対する前走車両が所定の目標位置を通過してから制御対象車両が目標位置を通過するまでの時間で定義される。つまり、車両制御情報設定部14cは、疑似走行させる模擬車両Mの車両特性情報として車間距離制御値の目標値を設定する場合、模擬車両Mに対する前走車両が所定の目標位置を通過してから模擬車両Mがその目標位置を通過するまでの車頭時間を設定する。車両挙動模擬演算部16dにおける模擬演算において、車両情報ファイル22から取得される車頭時間を利用することで、実際の交通状況をより反映した模擬を実行することができる。この場合、車両情報ファイル22に車間距離目標値の種類と、車頭時間を設定値として指定し用いればよい。
例えば、図5に示すように、模擬車両Mの車速に対して、所定の車頭時間(例えば2秒)が設定されれば、線形の車間距離目標値を得ることができる。
また、他の実施例として、車間距離目標値を複数の関数もしくはテーブルで設定してもよい。つまり、車両制御情報設定部14cは、疑似走行させる模擬車両Mの車両特性情報として車間距離制御値の目標値を設定する場合、模擬車両Mの模擬走行の演算時点における速度(この場合、希望速度)に対応する関数または、予め設定した設定テーブルに基づき設定する。
例えば、図6に示すように、模擬車両Mが所定速度以下の低速走行している場合おける関数(f1(v))と、模擬車両Mが所定速度を超えた高速走行している場合における関数(f2(v))を用いて、模擬車両Mの演算時の速度における車間処理目標値を得る。予め速度と車間距離との関係を試験等により定めた設定テーブル(例えば、図6の結果をテーブル化したものでもよい)を用いる場合も同様に、模擬車両Mの演算時の速度における車間処理目標値を得ることができる。このように、車間距離目標値を複数の関数もしくは設定テーブルで設定することで、模擬(評価)の対象道路を実際に走行する車両の挙動により近い模擬車両Mの模擬走行を実現することができる。この場合、車両情報ファイル22に車間距離目標値の種類と、複数の関数もしくは設定テーブルを指定し用いればよい。
上述した車速制御、車間距離制御に基づき、模擬車両Mの速度変化および位置変化の状況を模擬することで、車両挙動模擬演算部16dにおける模擬演算が可能となる。この場合、模擬車両Mの速度Vに関する微分方程式を用いることで、その変化の状況を把握することが可能である。例えば、重量mの模擬車両Mが進行方向へ走行するための駆動力F、速度Vとすると、以下の微分方程式を用いることで変化を把握することができる(参考:クルマとヒコーキで学ぶ 制御工学の基礎」綱島均、中代重幸 、吉田秀久、丸茂喜高 著、コロナ社発行、2011/3/9))。
m×dv/dt=F-Fr・・・式1
ここで、Frは、模擬車両Mが受ける抵抗であり、速度Vに比例する抵抗c×V等であらわされる(この場合、cは減衰係数)。
そして、式1の両辺を重量mで除算することで、式1は以下の様に加減速度dv/dtの式2となる。
dv/dt=F/m-Fr/m・・・式2
式2は、模擬車両Mの加減速度に関する微分方程式であり、この加減速度を積分することで、速度Vが得られ、さらに速度Vを積分することで位置を求めることが可能となる。
図7は、車速制御と車間距離制御を行う場合の例示的かつ模式的な制御ブロック図である。上述の式2で模擬車両Mの制御を実施する場合、図7では、車速制御および車間距離制御は加減速度指令にて実施することになる。よって、車速制御のみの場合は、加減速指令の項と模擬車両Mが受ける抵抗に関する項(模擬車両Mの車両特性情報より取得)を加算した加減速度を積分器30にて積分することにより模擬車両Mの現在の速度Vが算出される。そして、模擬車両Mの速度目標値(模擬車両Mの車両制御情報により取得)との差分に基づき、速度Vが模擬車両Mの車速(速度)の目標値となるように車速コントローラ32にて加減速指令が演算される。
また、車間距離制御を行う場合は、積分器30が算出した速度Vをさらに積分器34で積分して模擬車両Mの位置(模擬車両Mの車長より定まる前部の位置)を算出する。そして、前走車両Maの後部の位置(前回処理等で発生させた模擬車両の現在の位置と、その模擬車両の車長より算出可能)との差分が現在の模擬車両Mと前走車両Maとの車間距離となる。そして、車間距離が模擬車両Mの車間距離目標値となるように車間距離コントローラ36にて車速指令が演算され、演算された車速指令を車速目標として車速コントローラ32にて加減速指令を演算することになる。自走運転車両の場合、上述したような処理演算が逐次行われ、短期間で速度目標値および車間距離目標値に到達するように車速制御と車間距離制御が実行される。
一方、ドライバ運転車両においては、図7に示すような車速制御と車間距離制御を実行しようとする場合、車速コントローラ32や車間距離コントローラ36等の処理演算に相当する運転操作(加減速操作)をドライバ自身が実施することになる。
ここで、図7における処理演算に相当する運転操作をドライバ自身で実施する場合を考える。ドライバが希望する加速度指令を想定した場合に、実際にドライバ運転車両の速度に影響が現れるまでには、遅れ時間Drが発生する。
図8に示すこの遅れ時間Drは、実際の指令を機械的に入力するまでのむだ時間Draと、実施に反応が加減速指令の大きさまで立ち上がるまでにかかる時間である反応遅れ時間Drbとで構成され得る。ここで、むだ時間Draは、模擬車両Mにおける加減速制御を開始する際の機械的反応遅れを示す第3遅れ情報に相当し、反応遅れ時間Drbは、加減速制御が目標値に到達するまでの反応遅れを示す第4遅れ情報に相当する。むだ時間Dra(第3遅れ情報)、反応遅れ時間Drb(第4遅れ情報)は、車両制御情報設定部14cによって車両情報ファイル22に予め記憶された値である。
模擬車両Mを用いた道路交通状況評価において、上述したような遅れ時間Drを考慮する場合、むだ時間Draは、機械的な信号伝達等の遅れとして定めることができる。したがって、ドライバ運転車両および自動運転車両(ACC車両を含む)のいずれにおいても発生すると見なすことができる。一方、反応遅れ時間Drbは、ドライバの加減速操作のばらつきとして定めることができる。ドライバ運転車両の場合、加減速操作が例えばゆるやか(緩慢)である場合がある。これに対し、自動運転車両(ACC車両を含む)の場合は、反応遅れ時間Drbが最も短くなるような効率の良い制御が自動で行われる(ここで乗り心地を考慮したうえで最も短くなるような制御の場合もある)。したがって、反応遅れ時間Drbは、自動運転車両(ACC車両を含む)をドライバ運転車両より短くなる設定する。これらの違いを模擬車両Mの模擬走行時に明確に設定することで、ドライバ運転車両と自動運転車両(ACC車両を含む)の違いを明確にして車両挙動の模擬演算を行うことが可能となる。
例えば、以下のような設定により模擬車両Mごとの挙動の差異を明確化することが可能である。
ドライバ運転車両・・・むだ時間Dra=0.1秒、反応遅れ時間Drb=2.0秒
ACC車両・・・・・・むだ時間Dra=0.1秒、反応遅れ時間Drb=0.3秒
自動運転車両・・・・・むだ時間Dra=0.1秒、反応遅れ時間Drb=0.4秒
なお、むだ時間Dra、反応遅れ時間Drbの設定時間は、一例であり、適宜設定変更可能である。なお、ACC車両および自動運転車両の反応遅れ時間Drbは、自動車メーカごとや車種ごとで異なる場合があるため、一例として異なる値を設定している。
図9は、模擬車両Mに生じる遅れ時間Drを考慮した車速制御と車間距離制御を行う場合の例示的かつ模式的な制御ブロック図である。図9に示す制御ブロック図は、図7の制御ブロック図で示す構成に対して、上述した遅れ時間Drを考慮する遅れ時間模擬部38が付加された点以外は実質的に同じである。したがって、遅れ時間模擬部38以外の詳細な説明は省略する。
図9に示すように、遅れ時間模擬部38は、模擬車両Mの種類、つまり、模擬車両Mが第1車両特性情報で定義されるドライバ運転車両であるか、第2車両特性情報で定義される自走運転車両またはACC車両であるかに基づき、車両情報ファイル22よりむだ時間Draおよび反応遅れ時間Drbを取得し模擬する。つまり、むだ時間Draおよび反応遅れ時間Drbによる影響を加減速指令の項に反映させ、さらに模擬車両Mが受ける抵抗に関する項を加算した加減速度を積分器30にて積分することにより模擬車両Mの現在の速度Vが算出される。そして、模擬車両Mの速度目標値との差分に基づき、速度Vが模擬車両Mの車速(速度)の目標値となるように車速コントローラ32にて加減速指令が演算される。
なお、車間距離制御に関しては、積分器34で積分される速度には、むだ時間Draおよび反応遅れ時間Drbによる影響が反映済みであるため、模擬車両Mの前部の位置と前走車両Maの後部の位置との差分が現在の模擬車両Mと前走車両Maとのむだ時間Draおよび反応遅れ時間Drbによる影響が反映された車間距離となる。そして、車間距離が模擬車両Mの車間距離目標値となるように車間距離コントローラ36にて車速指令が演算され、演算された車速指令を車速目標として車速コントローラ32にて加減速指令を演算することになる。
このように、むだ時間Dra(第3遅れ情報)および反応遅れ時間Drb(第4遅れ情報)による影響を模擬演算で考慮することにより、ドライバ運転車両(第1車両特性情報で定義される模擬車両)と自動運転車両(第2車両特性情報で定義される模擬車両(ACC車両)を含む)の違いを明確にした車両挙動を得ることができる。
ところで、前述したように、遅れ情報として、模擬の対象道路の特徴(坂、カーブ、トンネル等)に基づく物理的要因に基づく第1遅れ情報と、模擬車両Mがドライバ運転車両でドライバの対象道路の特徴に対する心理的要因に基づく第2遅れ情報がある。そして、物理的要因(第1遅れ情報)および心理的要因(第2遅れ情報)を考慮した模擬車両Mの模擬演算を行うことで、よりドライバ運転車両と自動運転車両(ACC車両を含む)の違いを明確にした車両挙動を得ることができる。つまり、図9で説明したような模擬演算を行う場合に、坂やカーブ、トンネル等の道路環境からの物理的な影響およびドライバの心理的な影響を考慮した設定を行うことで、模擬精度を向上させることができる。
以下、模擬車両Mの遅れに起因する現象、すなわち、「渋滞」の要因もしくは渋滞に与える影響がある要素として考えられる、例えば「坂」、「カーブ」、「トンネル」が模擬(評価)の対象道路に存在する場合について説明する。
<坂が存在する場合>
発生する現象の一例として、道路を走行中に上り勾配がある場合、重力の影響により速度が低下する。ここで、ゆるやかな勾配の変化の場合でドライバ運転車両の場合、ドライバが車速の変化に気が付かない場合がある。このような上り勾配の場合は、減速に気が付かない時間帯がしばらく続くことが考えられるため(影響1)、坂の下りから上りになる部分である「サグ」では、運転操作が遅れて渋滞の原因となり得る。しかしながら、ゆるやかな勾配の変化でドライバが車速の変化に気が付かない場合も、ある程度時間が経過することでドライバが車速の減速に気が付き、加速することで希望の車速に戻す動作を行う(影響2)場合がある。
坂が存在する場合に、模擬車両Mの挙動に与える影響を考えると、模擬車両Mの種類(ドライバ運転車両、ACC車両、自動運転車両等)ごとに、以下に示すように明確な違いが生じる。
ドライバ運転車両の場合、対象道路の特徴に基づく物理的な影響(影響1)があり、ドライバの心理的な影響(影響2)もある。ACC車両の場合、物理的な影響(影響1)はあるが、追従運転時にドライバの関与は実質的にないと見なすことができるため心理的な影響(影響2)もほぼないと見なすことができる。また、自動運転車両の場合、デジタル地図等を有していると想定できるため、物理的な影響(影響1)は予め打ち消すような加減速制御を実行することができる。つまり、物理的な影響はないと見なすことができる。また、自動運転時にドライバの関与は実質的にないと見なすことができるため、心理的な影響(影響2)もほぼないと見なすことができる。
したがって、模擬の対象道路に坂が存在する場合、遅れ情報として、車両が重力に基づき受ける物理的な影響(影響1)と、ドライバが運転している際のドライバの心理的な挙動による影響(影響2)とを分けて模擬車両Mに反映させることで、ドライバ運転車両と自動運転車両(ACC車両を含む)との違いを明確にした車両挙動を得ることができる。
次に、カーブが存在する場合に、模擬車両Mの挙動に与える影響を考えると、模擬車両Mの種類(ドライバ運転車両、ACC車両、自動運転車両)ごとに、以下に示すように明確な違いが生じる。カーブが模擬(評価)の対象道路に存在する場合、模擬車両Mの種類が異なる場合でも物理的な影響(影響1)はないものと見なすことができる。
一方、心理的な影響(影響2)については、ドライバ運転車両の場合、カーブ手前(カーブ進入直前)でドライバは、ある程度、車速を減速して進入する傾向がある。つまり、カーブ手前で心理的に減速することが考えられる。ACC車両、自動運転車両の場合は、坂が存在する場合と同様に心理的な影響(影響2)はほぼないと見なすことができる。
したがって、模擬対象道路にカーブが存在する場合、例えば、カーブ手前で遅れ情報として、ドライバが運転している際のドライバの心理的な挙動による影響(影響2)を模擬車両Mに反映させることで、ドライバ運転車両と自動運転車両(ACC車両を含む)の違いを明確にした車両挙動を得ることができる。
続いて、トンネルが存在する場合に、模擬車両Mの挙動に与える影響を考えると、模擬車両Mの種類(ドライバ運転車両、ACC車両、自動運転車両)ごとに、以下に示すように明確な違いが生じる。トンネルが模擬(評価)の対象道路に存在する場合もカーブが存在する場合と同様に、模擬車両Mの種類が異なる場合でも物理的な影響(影響1)はないものと見なすことができる。一方、心理的な影響(影響2)については、ドライバ運転車両の場合、トンネル手前でドライバは、ある程度、車速を減速して進入する傾向がある。つまり、トンネル手前で心理的に減速することが考えられる。ACC車両、自動運転車両の場合は、坂やカーブが存在する場合と同様に心理的な影響(影響2)はほぼないと見なすことができる。
したがって、模擬対象道路にトンネルが存在する場合、例えば、トンネル手前で遅れ情報として、ドライバが運転している際のドライバの心理的な挙動による影響(影響2)を模擬車両Mに反映させることで、ドライバ運転車両と自動運転車両(ACC車両を含む)の違いを明確にした車両挙動を得ることができる。
このように、道路環境からの影響に関しては、物理的な影響と、ドライバの心理的な影響と、に分けた詳細設定を行うことで、より現実に近い道路交通状況の模擬が可能であり、更にドライバ運転車両、ACC車両、自動運転車両の差異を明確にした道路交通状況の模擬が可能となる。
図10は、上述したような、道路環境から受ける物理的な影響(影響1:第1遅れ情報による影響)とドライバの心理的な挙動による影響(影響2:第2遅れ情報による影響)を考慮した車速制御と車間距離制御を行う場合の例示的かつ模式的な制御ブロック図である。
図10に示す制御ブロック図は、図9の制御ブロック図で示す構成の遅れ時間模擬部38に代えて、遅れ時間を模擬車両Mの種類に応じて詳細に模擬する遅れ時間詳細模擬部40とした点以外は実質的に同じである。したがって、遅れ時間詳細模擬部40以外の詳細な説明は省略する。
図10において、道路環境から受ける物理的な影響(影響1:第1遅れ情報による影響)は、図9における模擬車両Mが受ける抵抗に関する項の部分に同時に入力する。また、ドライバの心理的な挙動による影響(影響2:第2遅れ情報による影響)は、車速コントローラ32から出力された加減速度指令に入力する。さらに、坂における影響に対しては、ドライバの心理的な影響(影響2)においては、坂での影響に気が付く時間を想定し、坂による車速変化の補正のための補償を、車速コントローラ32から出力された加減速度指令に追加して入力することで模擬精度を向上することが可能となる。
図11は、下り坂と上り坂が模擬車両Mの挙動に与える影響SEを説明する例示的かつ模式的な図である。図11は、例えば、上段に示す車速の変化を示し、中段に示す物理的な影響(影響1)を示し、下段に示すドライバの心理的な影響(影響2)を示す。模擬車両Mが坂の下りと上り坂が連続する、いわゆる、「サグ」を走行する場合、図11に示すようなタイミングで車速の変化と、物理的な影響(影響1)と、ドライバの心理的な影響(影響2)と、が発生すると考えられる。したがって、模擬車両Mの模擬演算を行う場合に、このタイミングで各影響を考慮するような設定を行うことで、より実際に近い交通状況の模擬が可能となる。
例えば、図11の上段に示すように、車両が速度目標値で走行していた場合に下り坂DSに進入し、続いて上り坂USに進入した場合を考える。坂における重力による物理的な影響(影響1)は、坂の勾配による重力から受ける影響であるため、図11の中段の領域Eaで示すように、下り坂DSまたは上り坂USの坂の勾配が発生した時点で坂の勾配の大きさに応じた影響力が発生する。したがって、物理的な影響においては、ほとんど遅れ時間が発生しないと見なすことができる。
一方、遅れ時間が大きい場合、車両の速度推移は、図11の上段の領域Eb、領域Ec、領域Edに示すようになる。前述したように、坂による影響は、ドライバ運転車両に顕著に現れるので、ここではドライバ運転車両の場合を考える。車両が下り坂DSに進入すると、ドライバが気づかないうちに車両の速度Va(実線)が速度目標を超える。この場合、図11の下段に示すように、下り坂DSによる速度変化(速度増加)に気づかない期間NTaが存在するため、速度目標値を上回る状態が続く、その結果、図11の上段の領域Ebに示すように、時間の経過とともに速度Vaが推移する。そして、図11の下段の領域Eeに示すように、ドライバが速度増加に気がついた時点で、減速を開始する。その結果、領域Ebに示すように、速度が速度目標に戻る。
その後、図11の中段、下端に示すように、車両が上り坂USに進入したことに気づかない期間NTbが存在する場合、上り坂USにも拘わらず、減速状態を維持し、さらに上り坂による重力の影響を受けた結果、図11の上段に領域Ecに示すように、車両の速度Va(実線)が速度目標を下回る。その結果、時間の経過とともに速度Vaのように推移する。そして、図11の下段の領域Efに示すように、速度低下に気がついた時点で、加速を開始する。その結果、領域Ecに示すように、速度が速度目標に戻る。また、領域Edでは、中段の領域Ea、下段の領域Efに示すように、上り坂USが終わり平坦路に進入しことに気づかず(期間NTc)、上り坂USと同様な運転操作(アクセル操作)を行ったことにより、車両が加速し、領域Edに示すように、時間の経過とともに速度Vaが推移する。そして、速度増加に気がついた時点で、減速を開始する。
なお、図11の上段において、破線は、ACC車両の速度推移である。ACC車両の場合も下り坂DS、上り坂USの変化に伴い速度変化が生じるが、前述したように、ACC車両は反応遅れ時間Drb(第4遅れ情報)が短いため、速度目標値に戻るのがドライバ運転車両に比べて早い。
上述したような模擬車両Mの種類に応じた速度変化を考慮した設定を行うことで、より実際に近い交通状況模擬が可能となる。このとき、坂におけるドライバの心理的な影響は、坂における車速の変化に気づいてからの制御の補償であるため、速度変化を行おうとしてから実際に加減速されだすまでの通常の遅れとは異なる別のパラメータとして設定する。また、坂の加減速に気が付く時間は、ドライバの個人差があるため、分散等を用いることで、ばらつきを考慮した設定をすることが可能となり、より現実に近い交通状況模擬が可能となる。
また、車速制御と車間距離制御の切り替えは、例えば、模擬車両Mの周囲状況で切り替えることができる。例えば、図4における前方領域F及び直前前方領域NFに前走車両Maもしくは障害物(落下物や事故車両等)等が存在する場合に車間距離制御となるようにしてもよい。また、前方領域F及び直前前方領域NFに前走車両Maも障害物も何もない場合に車速制御とするようにしてもよい。
図3に戻り、車両挙動模擬演算部16dは、左右方向の車両挙動模擬処理を行う(S112)。左右方向の模擬車両Mの車両挙動に関しては、周囲の状況と模擬車両Mの状況から左右に移動するかどうかを判定することができる。左右方向の模擬車両Mの車両挙動の決定は、例えば、周囲状況に応じた基本ルールを決めておくことで対応できる。
基本ルールとして、例えば、模擬車両M(自車)の車速が希望速度より遅く、かつ左側の領域に何もない場合は、模擬車両M(模擬対象車両、自車)は左側に移動する。また、模擬車両M(自車)の車速が希望速度より遅く、かつ左側の領域に他車両もしくは障害物等が存在し、右側の領域には何もない場合は、模擬車両M(自車)は右側に移動する。このような基本ルールに従って模擬車両Mの左右方向の車両挙動模擬処理を実行することにより、実際の交通流により近い道路交通状況評価のための模擬車両Mの走行模擬が可能になり、模擬(評価)精度を向上させることができる。
続いて、車両挙動模擬演算部16dは、車両動作模擬処理を実行する(S114)。車両動作模擬処理では、S110およびS112で演算した模擬車両Mの挙動を実行した場合に、模擬対象の模擬車両Mが、その周囲に存在する模擬車両や障害物と接触することなく走行ができるか否か、スムーズな車線移動ができるか否か等を確認する。
模擬車両Mの走行がスムーズに行える場合、その後、実際にS110およびS112で演算した模擬車両Mの挙動を採用し、模擬車両Mの状況を更新する。模擬車両Mの移動がスムーズに行えない場合(例えば、接触の虞がある場合等)、模擬車両Mの状況を更新しない。そして、車両挙動模擬演算部16dは、車両模擬ループ終了条件が成立したか否か確認する(S116)。例えば、S104で発生させた模擬車両Mの台数分の処理が終了していない場合、車両模擬ループ終了条件が成立していないと判定し(S116のNo)、S108~S114の演算処理を実行し、模擬車両Mの挙動を更新しながら模擬車両Mの台数分の処理を繰り返し実行する。
S116において、終了条件が成立した場合(S116のYes)、車両挙動模擬演算部16dは、路測センサ模擬ループを開始する(S118)。路側センサ模擬ループでは、路側センサ模擬を実行する。すなわち、車両感知器として道路測に設置された、例えば、ループコイルや、監視カメラや、超音波センサにより模擬車両Mの模擬検出を実行する(S120)。
例えば、模擬(評価)の対象道路上の所定の位置における模擬車両Mの通過台数や、通過した模擬車両Mの車速の平均値、時間的占有率を、所定の単位時間毎に演算する。そして、車両挙動模擬演算部16dは、路測センサ模擬ループ終了条件が成立したか否か確認する(S122)。路測センサ模擬ループ終了条件が成立していない場合(S122のNo)、例えば、対象道路に設置された車両検知器の台数分の模擬検出処理が終了していない場合、S120の処理を繰り返し実行する。路測センサ模擬ループ終了条件が成立した場合(S122のYes)、車両挙動模擬演算部16dは、車両消滅処理を実行する(S124)。
車両消滅処理は、模擬目的地点(最終端)までの走行を終了した模擬車両Mを消滅させる処理である。オブジェクト指向プログラミングの場合、模擬車両Mのオブジェクト、またはインスタンスを消滅する。また、車両消滅処理を実行した場合には、全車両台数から消滅台数分を減算し、現在模擬されている車両台数を更新する。
車両消滅処理が終了した場合、車両挙動模擬演算部16dは、時間ループ終了条件が成立したか否か確認する(S126)。時間ループ終了条件は、前述したように、例えば、演算時間範囲が30分に設定され、演算時間幅が0.05秒刻みで設定されている場合、時間ループの回数は、30分×60秒/0.05秒=36000ループとなる。したがって、時間ループ終了条件が成立していない場合(S126のNo)、例えば、時間ループ回数が36000回未満の場合、S104に戻り、S104以降処理を繰り返し実行する。
時間ループ終了条件が成立した場合(S126Yes)、車両挙動模擬演算部16dは、一連の処理を一旦終了する。この際、車両挙動模擬演算部16dは、初期設定に基づく模擬範囲の処理結果を、記憶処理部16fを介して道路交通状況模擬結果情報ファイル24に保存する。また、車両挙動模擬演算部16dは、初期設定に基づく模擬範囲の処理結果を、表示処理部16eを介して表示部18bに表示するようにしてもよい。また、別の実施形態では、表示処理部16eは、道路交通管制システム12側の表示装置に処理結果(模擬結果)を表示してもよい。
なお、S102の時間ループの処理の途中に、模擬車両Mの設定値や、障害物の設置等の設定を変更することが可能である。つまり、処理途中でも設定が変更された場合の道路交通状況模擬演算を継続して実行することが可能である。
例えば、模擬車両MごとにIDを設定しておき、そのIDの模擬車両Mの加減速性能をHMI部18の車両情報変更操作部18a1で変更し、評価処理操作部18a3の設定反映ボタンを押すことにより道路交通状況模擬演算に反映させることができる。また、例えば、事故や落下物が発生した状況は、対象道路上に障害物が発生したとして模擬することが可能である。例えば、道路情報変更操作部18a2で障害物の発生位置や、発生規模等を設定し、評価処理操作部18a3の設定反映ボタンで反映させることにより、より現実に近い道路交通状況の模擬演算を行うことができる。
図12は、道路交通状況評価システム10において、模擬車両Mの発生および発生後の模擬車両Mの挙動(推移)を示す例示的かつ模式的な図である。図12に示す例では、道路情報設定部14aによって設定される評価対象の対象道路Rは、2車線道路である。また、車両特性情報設定部14bにより設定される車両特性情報に基づく、発生させる模擬車両Mのタイプ(車両特性)は、ドライバ運転車両M1(第1車両特性情報で規定される模擬車両)と、自動運転車両M2(第2車両特性情報で規定される模擬車両)である。また、車両制御情報設定部14cによって設定されるドライバ運転車両M1の車両制御情報は、例えば以下の値である。
むだ時間Dra(第3遅れ情報)=0.1秒
反応遅れ時間Drb(第4遅れ情報)=2.0秒
加速限界値=2.5m/s
減速限界値=3.5m/s
前方センシングエリア長さ=40m
直前センシングエリア長さ=10m
また、車両制御情報設定部14cによって設定される自動運転車両M2の車両制御情報は、例えば以下の値である。
むだ時間Dra(第3遅れ情報)=0.1秒
反応遅れ時間Drb(第4遅れ情報)=0.4秒
加速限界値=1.5m/s
減速限界値=2.1m/s
前方センシングエリア長さ=40m
直前センシングエリア長さ=10m
また、この他の設定値、例えば、車速制御パラメータ、車間距離制御パラメータ等は、ドライバ運転車両M1および自動運転車両M2に対して、例えば同じ設定としてもよいし、個々に異なる設定としてもよい。
車両挙動模擬演算部16dは、上述のような設定と、車両特性情報設定部14bの設定に基づく模擬車両Mの発生タイミング(発生時刻)や発生位置、発生台数、発生させる模擬車両Mの種類等にしたがって図3で説明したような模擬演算を実行すると、図12のような結果が得られる。
例えば、時刻タイミング=aでドライバ運転車両M1が対象道路Rの左車線で発生する。続いて、時刻タイミング=bでドライバ運転車両M1が左車線、自動運転車両M2が右車線で発生し、時刻タイミング=aで発生したドライバ運転車両M1は、ドライバ運転車両M1に設定された速度制御パラメートや車間距離制御パラメータで走行方向に模擬走行する。さらに、時刻タイミング=cではドライバ運転車両M1が左車線、ドライバ運転車両M1が右車線で発生し、時刻タイミング=dではドライバ運転車両M1が左車線、自動運転車両M2が右車線で発生する。
なお、時刻タイミング=eでは、模擬車両Mは発生せず、先に発生した模擬車両M(ドライバ運転車両M1、自動運転車両M2)が、設定された車速制御パラメータ、車間距離制御パラメータに従い順次走行方向に模擬走行している。また、対象道路Rの所定位置に配置された車両感知器Sがドライバ運転車両M1や自動運転車両M2の通過台数や、通過したドライバ運転車両M1や自動運転車両M2の車速の平均値、時間的占有率等を、所定の単位時間毎に取得し、対象道路Rにおける模擬車両M(ドライバ運転車両M1や自動運転車両M2)の交通流の状態を模擬する。
対象道路Rに坂やカーブ、トンネル等が存在する場合、ドライバ運転車両M1および自動運転車両M2は、対象道路Rの特徴に対応する物理的要因に基づく遅れ情報(第1遅れ情報)が反映された挙動を示す。また、ドライバ運転車両M1は、対象道路Rの特徴に対する心理的要因に基づく遅れ情報(第2遅れ情報)が反映された挙動を示す。
このように、本実施形態の道路交通状況評価システム10によれば、評価対象となる模擬車両Mの特徴(遅れ時間等の車種別の特徴や差異)と対象道路Rの状況(坂、カーブ、トンネル等の存在)との関係を物理的影響とドライバの心理的な影響として反映して道路交通状況の模擬ができる。その結果、道路交通状況評価の精度を向上させることができる。
なお、上述した実施形態では、模擬車両Mのタイプとして、ドライバ運転車両M1と自動運転車両M2(ACC車両を含む)について説明したが、車両特性情報設定部14bによる設定により、他のタイプの模擬車両Mの設定も可能である。例えば、ドライバ運転の大型車や自動二輪車、自動運転の大型車等を設定することも可能である。また、車両特性情報設定部14bにおいて、自動車メーカ毎に車両性能を変化させて、異なるタイプの模擬車両Mとして設定してもよい。例えば、自動運転性能や追従走行の性能を異ならせてもよい。その結果、より現実の交通流に近い模擬を実行することができる。
また、上述した実施形態では、道路情報設定部14aにおいて、道路情報として、坂情報や、カーブ情報、トンネル情報等を設定する例を示した。別の実施形態では、道路情報設定部14aにおいて、例えば、流入路や流出路等の分岐道路に関する情報を設定して、同様な模擬車両Mの道路交通状況の模擬、評価を行うようにしてもよく、同様の効果を得ることができる。
また、上述した実施形態では、車両挙動模擬演算部16dが車両情報ファイル22に蓄積保存された情報に基づき、模擬車両Mを発生させて、道路交通状況の模擬を行う例を示した。
別の実施形態では、例えば、道路交通管制システム12側で路側センサ情報取得部12aを介して取得された現実の車両の道路交通状況に基づく車両の交通流を道路交通状況評価システム10に反映させて、上述した実施形態と同様な模擬を行ってもよい。
例えば、路側センサ情報取得部12aの取得情報に基づき、実際に走行している車両のタイプ(ドライバ運転車両や自動運転車両等)を判定し、心理的要因に基づく遅れ情報(第2遅れ情報)等の遅れの状況を適用して、道路交通状況の模擬を行ってもよい。この場合、現実の交通流に対して過去の状況や、未来の状況が模擬可能となり、道路交通状況の模擬のバリエーションを広げることが可能となり、様々な状況の道路交通状況の評価が可能になる。
また、上述した式2では、加減速度の式としたが、これを式1のまま車両の駆動力Fとする場合も、本実施形態と同様の模擬が可能で、同様な道路交通状況評価を実現することはできる。
本実施形態の道路交通状況評価システム10のCPUで実行される道路交通状況評価プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
さらに、道路交通状況評価プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、本実施形態で実行される道路交通状況評価プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、上記実施形態および変形例はあくまで一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上記実施形態およびその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
10 道路交通状況評価システム
12 道路交通管制システム
12a 路側センサ情報取得部
12b 道路データベース
14 情報設定部
14a 道路情報設定部
14b 車両特性情報設定部
14c 車両制御情報設定部
16 評価実行部
16a 初期設定部
16b 道路情報読込部
16c 車両情報読込部
16d 車両挙動模擬演算部
16e 表示処理部
16f 記憶処理部
18 HMI部
18a2 道路情報変更操作部
18a3 評価処理操作部
18a 操作部
18a1 車両情報変更操作部
18b 表示部
20 道路情報ファイル
22 車両情報ファイル
24 道路交通状況模擬結果情報ファイル
M 模擬車両
M1 ドライバ運転車両
M2 自動運転車両

Claims (12)

  1. 評価対象の対象道路の特徴を示す道路情報を設定する道路情報設定部と、
    前記対象道路で模擬的に走行させる複数の模擬車両の車両特性情報として、ドライバが運転するドライバ運転車両に対応する第1車両特性情報と、自動運転車両に対応する第2車両特性情報とを設定する車両特性情報設定部と、
    模擬走行時に発生し得る前記模擬車両の挙動遅れを示す遅れ情報として、前記対象道路の特徴に基づく物理的要因に基づく第1遅れ情報と、前記模擬車両のドライバの前記対象道路の特徴に対する心理的要因に基づく遅れ情報で、前記第2車両特性情報に対する設定値より前記第1車両特性情報に対する設定値が大きく設定される第2遅れ情報とを設定する遅れ情報設定部と、
    前記道路情報と前記車両特性情報と前記第1遅れ情報と前記第2遅れ情報とに基づき、前記対象道路で前記第1車両特性情報の前記模擬車両と前記第2車両特性情報の前記模擬車両とを混在させて模擬走行させて、前記対象道路の全域における前記模擬車両の走行流れを含む交通状況を評価する評価実行部と、
    を備える、
    道路交通状況評価システム。
  2. 前記遅れ情報設定部は、前記遅れ情報として、前記模擬車両における加減速制御を開始する際の機械的反応遅れを示す第3遅れ情報と、前記加減速制御が目標値に到達するまでの反応遅れを示す第4遅れ情報と、を設定する、
    請求項1に記載の道路交通状況評価システム。
  3. 前記車両特性情報設定部は、前記模擬車両の加減速限界値と、車長と、車幅との少なくとも一つを設定する、
    請求項1に記載の道路交通状況評価システム。
  4. 前記車両特性情報設定部は、前記模擬走行時に前走車両が存在する場合は前記前走車両に対する車間距離制御値を設定可能とし、所定距離以内に前走車両が存在しない場合は速度制御値を設定可能とする、
    請求項1に記載の道路交通状況評価システム。
  5. 前記車両特性情報設定部は、模擬走行させる前記模擬車両の前記車両特性情報として前記車間距離制御値の目標値を設定する場合、前記模擬車両の前記模擬走行の演算時点における速度および加減速度性能に基づく停車可能距離に応じて設定する、
    請求項に記載の道路交通状況評価システム。
  6. 前記車両特性情報設定部は、模擬走行させる前記模擬車両の前記車両特性情報として前記車間距離制御値の目標値を設定する場合、前記模擬車両に対する前走車両が所定の目標位置を通過してから前記模擬車両が前記目標位置を通過するまでの車頭時間を用いて設定する、
    請求項に記載の道路交通状況評価システム。
  7. 前記車両特性情報設定部は、前記車両特性情報として前記車間距離制御値の目標値を設定する場合、前記模擬車両の前記模擬走行の演算時点における速度に対応する関数または、予め設定した設定テーブルに基づき設定する、
    請求項に記載の道路交通状況評価システム。
  8. さらに、前記模擬車両の前記模擬走行の実行中に前記車両特性情報の設定を変更する第1設定変更部を備える、
    請求項1に記載の道路交通状況評価システム。
  9. 前記道路情報設定部は、前記対象道路に対して、坂の存在を示す坂情報と、カーブの存在を示すカーブ情報と、トンネルの存在を示すトンネル情報と、のうち少なくとも一つを設定可能である、
    請求項1に記載の道路交通状況評価システム。
  10. さらに、前記道路情報における前記対象道路の道路環境を変更する第2設定変更部を備える、
    請求項1に記載の道路交通状況評価システム。
  11. 評価対象の対象道路の特徴を示す道路情報を設定する道路情報設定ステップと、
    前記対象道路で模擬的に走行させる複数の模擬車両の車両特性情報として、ドライバが運転するドライバ運転車両に対応する第1車両特性情報と、自動運転車両に対応する第2車両特性情報とを設定する車両特性情報設定ステップと、
    模擬走行時に発生し得る前記模擬車両の挙動遅れを示す遅れ情報として、前記対象道路の特徴に基づく物理的要因に基づく第1遅れ情報と、前記模擬車両のドライバの前記対象道路の特徴に対する心理的要因に基づく遅れ情報で、前記第2車両特性情報に対する設定値より前記第1車両特性情報に対する設定値が大きく設定される第2遅れ情報とを設定する遅れ情報設定ステップと、
    前記道路情報と前記車両特性情報と前記第1遅れ情報と前記第2遅れ情報とに基づき、前記対象道路で前記第1車両特性情報の前記模擬車両と前記第2車両特性情報の前記模擬車両とを混在させて模擬走行させて、前記対象道路の全域における前記模擬車両の走行流れを含む交通状況を評価する評価実行ステップと、を備える、
    道路交通状況評価方法。
  12. コンピュータを、
    評価対象の対象道路の特徴を示す道路情報を設定する道路情報設定部と、
    前記対象道路で模擬的に走行させる複数の模擬車両の車両特性情報として、ドライバが運転するドライバ運転車両に対応する第1車両特性情報と、自動運転車両に対応する第2車両特性情報とを設定する車両特性情報設定部と、
    模擬走行時に発生し得る前記模擬車両の挙動遅れを示す遅れ情報として、前記対象道路の特徴に基づく物理的要因に基づく第1遅れ情報と、前記模擬車両のドライバの前記対象道路の特徴に対する心理的要因に基づく遅れ情報で、前記第2車両特性情報に対する設定値より前記第1車両特性情報に対する設定値が大きく設定される第2遅れ情報とを設定する遅れ情報設定部と、
    前記道路情報と前記車両特性情報と前記第1遅れ情報と前記第2遅れ情報とに基づき、前記対象道路で前記第1車両特性情報の前記模擬車両と前記第2車両特性情報の前記模擬車両とを混在させて模擬走行させて、前記対象道路の全域における前記模擬車両の走行流れを含む交通状況を評価する評価実行部と、
    として機能させる、
    道路交通状況評価プログラム。
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