JP7373824B2 - 膵臓癌を処置するための治療用組成物 - Google Patents

膵臓癌を処置するための治療用組成物 Download PDF

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Description

本発明は、膵臓癌を処置するための治療用組成物に関する。
膵臓中の細胞が制御しきれないほど繁殖して、塊を形成し始めると、膵臓癌が生じる。これら癌細胞には、身体の他の部分に侵入する能力がある。膵臓癌は、西洋諸国における癌死亡の4番目の主要原因であり、台湾における癌死亡の10番目の主要原因である。膵臓癌のおよそ60パーセントは膵頭の中で生じ、約21パーセントが膵臓全体に侵入する。
膵臓癌を2つの一般的な群に分けることができる。症例の大部分、即ち約99%は、外分泌腺の成分として知られる消化酵素を産生する膵臓の部分に生じる。外分泌腺の膵臓癌の亜型が存在するが、それらの診断及び処置には多くの共通点がある。これら癌の少数は、膵臓のホルモン産生(内分泌)組織に生じる。
治癒の意図を伴う手術は、新たな症例の約5分の1(20%)でのみ可能である。CTスキャンはその助けとなるが、実際には、腫瘍が完全に除去され得るかどうか(その「切除可能性」)を判定することが困難な場合があり、他の生体組織を傷つけることなく成功裡に腫瘍を除去することが可能ではないことが手術中に明らかになる場合もある。手術(operation)が成功したと思われる時でさえ、癌細胞は頻繁に、除去された組織の縁の周囲(「周縁」)に発見される。手術後、ゲムシタビン又は5-FUでのアジュバント化学療法が、1~2か月の回復期の後に人が十分に適合した場合に提供され得る。治癒的な手術に適していない人々において、化学療法は、寿命を伸ばす又はその生活の質を改善するために使用され得る。
本明細書で提供される1つの態様において、以下の構造
を持つ化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、代謝産物、溶媒和物、或いはプロドラッグ、及び1つ以上の抗癌剤を含む、被験体の膵臓癌を処置するための組成物が提供され、
式中、
XとYの各々は独立して、酸素又は硫黄であり;
Rは、水素又はC(=O)C-Cアルキルであり;
、R、及びRの各々は独立して、水素、メチル、又は(CH-CHであり;
は、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、或いは、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cシクロアルキル、及びC-Cハロアルキルから選択された1つ以上の置換基で随意に置換したアリールであり;
n=1-12である。
本明細書で提供される1つの態様において、以下の構造
を持つ化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、代謝産物、溶媒和物、或いはプロドラッグ、及び1つ以上の抗癌剤を、必要とする被験体に投与する工程を含む、被験体の膵臓癌を処置する方法が提供され、
式中、
XとYの各々は独立して、酸素又は硫黄であり;
Rは、水素又はC(=O)C-Cアルキルであり;
、R、及びRの各々は独立して、水素、メチル、又は(CH-CHであり;
は、H、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、或いは、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cシクロアルキル、及びC-Cハロアルキルから選択された1つ以上の置換基で随意に置換したアリールであり;
n=1-12である。
本明細書で提供される別の態様において、自身の膵臓癌が、ゲムシタビン、パクリタキセル、又はそれらの組み合わせに対して抵抗性があり、難治性であり、或いは反応しない患者の処置の方法が提供され、該方法は、以下の構造
を持つ化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、代謝産物、溶媒和物、或いはプロドラッグを、必要とする患者に投与する工程を含み、
式中、
XとYの各々は独立して、酸素又は硫黄であり;
Rは、水素又はC(=O)C-Cアルキルであり;
、R、及びRの各々は独立して、水素、メチル、又は(CH-CHであり;
は、H、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、或いは、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cシクロアルキル、及びC-Cハロアルキルから選択された1つ以上の置換基で随意に置換したアリールであり;
n=1-12である。
引用による組み込み
本明細書で言及される全ての刊行物、特許、および特許出願は、あたかも個々の刊行物、特許、または特許出願が参照により組み込まれるように具体的かつ個々に指示される程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
本発明の新規な特徴は、特に、添付の特許請求の範囲内に明記される。本発明の特徴及び利点のより良い理解は、本発明の原理が用いられる例示的実施形態を説明する以下の詳細な説明と、以下の添付図面とを引用することによって得られるであろう。
A/Bは、(A)48時間及び(B)72時間にわたり典型的な化合物1で処置されたAsPC-1膵臓癌細胞における細胞毒性活性の結果を提供する。MTTアッセイを使用して細胞毒性活性を測定した。 A/Bは、(A)48時間及び(B)72時間にわたりエルロチニブで処置されたAsPC-1膵臓癌細胞における細胞毒性活性の結果を提供する。MTTアッセイを使用して細胞毒性活性を測定した。 A/Bは、(A)48時間及び(B)72時間にわたり5-FUで処置されたAsPC-1膵臓癌細胞における細胞毒性活性の結果を提供する。MTTアッセイを使用して細胞毒性活性を測定した。 A/Bは、(A)48時間及び(B)72時間にわたりゲムシタビンで処置されたAsPC-1膵臓癌細胞における細胞毒性活性の結果を提供する。MTTアッセイを使用して細胞毒性活性を測定した。 A/Bは、(A)48時間及び(B)72時間にわたりイリノテカンで処置されたAsPC-1膵臓癌細胞における細胞毒性活性の結果を提供する。MTTアッセイを使用して細胞毒性活性を測定した。 A/Bは、(A)48時間及び(B)72時間にわたりオキサリプラチンで処置されたAsPC-1膵臓癌細胞における細胞毒性活性の結果を提供する。MTTアッセイを使用して細胞毒性活性を測定した。 A/Bは、(A)48時間及び(B)72時間にわたりパクリタキセルで処置されたAsPC-1膵臓癌細胞における細胞毒性活性の結果を提供する。MTTアッセイを使用して細胞毒性活性を測定した。 48時間での、AsPC-1膵臓癌細胞株の細胞毒性に対する、化学療法剤、パクリタキセル、ゲムシタビン、5-FU、オキサリプラチン、エルロチニブ、又はイリノテカンを含む化合物1の効果を示す。MTTアッセイを使用して細胞毒性活性を測定した。値は生存率±SEMの平均である。異なる文字(a-e)は、様々な処置の有意差(P<0.05)を表す。 化学療法剤、パクリタキセル、ゲムシタビン、5-FU、オキサリプラチン、エルロチニブ、及びイリノテカンそれぞれを含む化合物1の細胞毒性活性を示す。AsPC-1膵臓癌細胞は、72時間にわたり、アントロキノノール又は組み合わせ製剤(combination formula)で処置された。MTTアッセイを使用して細胞毒性活性を測定した。値は生存率±SEMの平均である。異なる文字(a-g)は、様々な処置の有意差(P<0.05)を表す。 膵臓癌細胞株における、化合物1(アントロキノノール、Aqとしても知られる)とパクリタキセル(Px)、ゲムシタビン(Ge)との組み合わせの用量効果を示す。プロットは、AsPC-1(A)、CaPan-2(B)、及びPanc-1(C)の膵臓癌細胞株における、アントロキノノールとパクリタキセルの組み合わせ、アントロキノノールとゲムシタビンの組み合わせ、アントロキノノールとパクリタキセル及びゲムシタビンの組み合わせの処置のFa値を示した。X軸はμmol/Lで薬物の用量を表し、Y軸は影響を受けた細胞の分画(成長阻害)であるFaを表わす。 72時間での、膵臓癌細胞株における化合物1とパクリタキセル、ゲムシタビンとの組み合わせの解析結果を示す。CIプロットは、AsPC-1(A)、CaPan-2(B)、及びPanc-1(C)の膵臓癌細胞株における、アントロキノノール(Aq)とパクリタキセル(Px)の組み合わせ、アントロキノノールとゲムシタビン(Ge)の組み合わせ、アントロキノノールとパクリタキセル及びゲムシタビンの組み合わせに関する。X軸はFa(影響を受けた細胞の分画)を表わし、Y軸はCI(組み合わせ指標)を表わす。CI=1、<1、及び>1は、相加作用、相乗作用、及び拮抗作用をそれぞれ示す。 AsPC-1皮下異種移植片モデル上での化学療法剤を含む化合物1による抗腫瘍活性の試験中の、マウスの体重の変化の結果を示す。 AsPC-1皮下異種移植片モデルに対する化学療法剤を含む化合物1の抗腫瘍活性の効果を示す。腫瘍サイズを毎週測定し、平均相対腫瘍体積を、処置の開始後に時間関数としてプロットした。各点は腫瘍体積の平均として提示された。 AsPC-1皮下異種移植片モデルに対する化学療法剤を含む化合物1の効果を示す。腫瘍体積のパーセンテージは、対照群(T1、トウモロコシ油)と比較して、化合物1を含む組み合わせの処置群において著しく減少した。 AsPC-1腫瘍体積の増殖に対する、化合物1単独の、又は化学療法剤、パクリタキセル、及びゲムシタビンと組み合わせた場合の腫瘍増殖阻害(TGI)パーセントの解析結果を示す。各カラムは腫瘍増殖阻害の平均として提示された。値は平均±SEMである。異なる上付き文字は、各処置群の間の有意差(P<0.05)を表わす。 化合物1での及び/又は化学療法剤と組み合わせての処置の前後それぞれにおける、AsPC-1膵臓腫瘍異種移植片の代表的な写真の比較結果を示す。 化合物1での及び/又は化学療法剤と組み合わせての処置の前後それぞれにおける、AsPC-1膵臓腫瘍異種移植片の代表的な超音波画像の比較結果を示す。 A/Bは、処置の28日後の皮下AsPC-1膵臓腫瘍の異種移植片を持つオスのヌードマウスから屠殺時に切除された腫瘍の画像(A)及び図(B)の結果を示す。ANOVAを使用して統計的有意差を分析した。P<0.05は、対照群(T1、トウモロコシ油群)と比較して統計的に有意であると考慮される。 AsPC-1固形腫瘍の増殖に対する、化合物1単独の、又は化学療法剤、パクリタキセル、及びゲムシタビンと組み合わせた場合の阻害効果の結果を示す。各カラムは腫瘍阻害率(TIR)の平均として提示された。値はTIR±SEMの平均である。異なる上付き文字は、各処置群の間の有意差(P<0.05)を表わす。
治癒の意図を伴う手術は、新たな症例の約5分の1(20%)でのみ可能である。治癒的な手術にはもはや、1980年代までに生じた非常に高い死亡率が伴わないが、高い割合(約30~45%)の人々が今なお、癌そのものにより引き起こされない手術後の病気のために処置されなければならない。手術の最も一般的な複雑さは、胃を空にする際の困難さである。手術後、ゲムシタビン又は5-FUでのアジュバント化学療法が、1~2か月の回復期の後に人が十分に適合した場合に提供され得る。臨床試験により、膵臓癌が進行した人々において生活の質の改善、及び中間の生存期間の5週間の改善が報告された後、ゲムシタビンは1997年にアメリカ食料医薬品局(FDA)によって承認された。他の薬物と組み合わせたものを試験する多くの実験が著しく優れた結果を実証しなかったため、ゲムシタビンのみを使用する化学療法は約10年間にわたり標準であった。
4つの薬物を使用するFOLFIRINOX化学療法レジメンは、ゲムシタビンよりも有効であると分かったが、相当な副作用が伴うため、優れたパフォーマンスステータスを持つ人々にしか適切ではなかった。これはまた、膵臓癌におけるゲムシタビンとの使用のために2013年にFDAによって承認されたタンパク質結合パクリタキセル(nab-パクリタキセル)にも当てはまる。しかし、過去数年の変化は、生存期間を数か月しか延ばさなかった。
必要とする被験体にシクロヘキサノン化合物を投与する工程を含む、被験体の膵臓癌を処置する方法が、米国特許第8,236,860号に報告された。典型的な化合物であるアントロキノノールは、同所性のPANC-1ヒト膵臓癌異種移植片モデルを使用して膵臓癌を処置するために研究された。マウスの4つ群は、30mg/kg、60mg/kg、90mg/kg、及びビヒクル対照それぞれで処置された。30、60、及び90mg/kgでのアントロキノノールによる処置は、ビヒクル対照と比較して、3つの投与量レベル全てにおいて、統計的に有意なより小さな平均腫瘍体積及び腫瘍重量を伴う有効な抗腫瘍活性をもたらした。アントロキノノールは膵臓癌を処置する薬物として優れた候補であると示されたが、どの併用療法においてもその使用は考慮されなかった。
しかし、予想外にも、以下の構造
を持つ化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、代謝産物、溶媒和物、或いはプロドラッグ、及び、ゲムシタビン、パクリタキセル、又はそれらの組み合わせなどの1つ以上の抗癌剤を含む、併用療法剤に存在する相乗作用は、単独療法と比較して相乗作用をもたらすことが分かり;
式中、
XとYの各々は独立して、酸素又は硫黄であり;
Rは、水素又はC(=O)C-Cアルキルであり;
、R、及びRの各々は独立して、水素、メチル、又は(CH-CHであり;
は、H、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、或いは、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cシクロアルキル、及びC-Cハロアルキルから選択された1つ以上の置換基で随意に置換したアリールであり;
n=1-12である。
幾つかの実施形態において、そのような併用療法は、免疫療法剤を投与する工程を更に含む。
幾つかの実施形態において、本明細書には、以下の構造
を持つ化合物、及び1つ以上の抗癌剤を含む、被験体の膵臓癌を処置するための組成物が提供される(実施例1-3を参照)。シクロへキセノン化合物は、幾つかの実施形態においては天然物の抽出物から得られ、他の幾つかの実施形態では合成的に調製される。例えば米国特許第9,365,481号を参照。
幾つかの実施形態において、1つ以上の抗癌剤は、ゲムシタビン、パクリタキセル、イダルビシン/シタラビン、エトポシドリン酸塩、グリベック(イマチニブ)、テモゾロミド、ボルテゾミブ、レトロゾール、セツキシマブ、ベバシズマブ、nab-パクリタキセル、ドセタキセル、エルロチニブ、ペメトレキセド、ペメトレキセド/カルボプラチン、パクリタキセル(paxlitaxel)/カルボプラチン、レトロゾール/シクロホスファミド、テムシロリムス、ベバシズマブ/テムシロリムス、イピリムマブ(lpilimumab)、RAD001、パゾパニブ、FOLFIRI、BKM120、GSK1120212、PF-05212384/イリノテカン、AZD2171、PF-04691502、シクロホスファミド、シスプラチン、シタラビン/ダウノルビシン、テムシロリムス(tersirolimus)、エルロチニブ/テムシロリムス、カペシタビン、タモキシフェン、ボルテゾミブ、トラスツズマブ、ドセタキセル/カペシタビン、トラスツズマブ/ティピファルニブ、ティピファルニブ/ゲムシタビン(gemcitabline)、トポテカン(tootecan)、又はそれらの組み合わせを含む。特定の実施形態において、1つ以上の抗癌剤は、ゲムシタビン、パクリタキセル、又はそれらの組み合わせである。特定の実施形態において、1つ以上の抗癌剤は、ゲムシタビンとパクリタキセルの組み合わせである。
例えば、パクリタキセルは、「植物アルカロイド」、「タキサン」、及び「微小管阻害薬」として分類される。パクリタキセルは、卵巣癌、乳癌、肺癌、カポジ肉腫、子宮頚癌、及び膵臓癌などの多くの型の癌を処置するために使用される。アルブミン結合パクリタキセル(商品名アブラキサン、nab-パクリタキセルとも称される)は、パクリタキセルがアルブミンナノ粒子に結合される代替的な製剤である。パクリタキセルには、嘔気嘔吐、食欲不振、味覚の変化、薄毛又は脆弱毛、2~3日持続する腕又は脚の関節の痛み、爪の変色、及び手又はつま先の刺痛を含む、幾つか一般的な副作用があると知られている。パクリタキセルは、チューブリンを標的とする様々な細胞骨格薬剤のうち1つである。パクリタキセルで処置した細胞には、有糸***紡錘体の構築の欠損、染色体の分離、及び細胞***がある。微小管重合を阻害するコルヒチンなど他のチューブリン標的薬物とは異なり、パクリタキセルは、微小管ポリマーを安定させ、それが分解するのを防ぐ。
別の典型的な抗癌剤であるゲムシタビンは、乳癌、卵巣癌、非小細胞肺癌、膵臓癌、及び膀胱癌を含む多くの型の癌を処置するための化学療法薬として使用される、ヌクレオシド類似体である。一般的な副作用は、骨髄抑制、肝臓及び腎臓の問題、吐き気、発熱、発疹、息切れ、及び脱毛症を含む。妊娠中の使用は恐らく、結果として乳児に対して有害となる。ゲムシタビンは、薬物のヌクレオシド類似体ファミリーにある。ゲムシタビンは、結果として細胞死をもたらす新たなDNAの生成を遮断することにより作用する。
幾つかの実施形態において、必要とする被験体に本明細書に記載される併用療法組成物を投与する工程を含む、被験体の膵臓癌を処置する方法が提供される。幾つかの実施形態において、被験体の膵臓癌の処置に使用するための、治療上有効な量の本明細書に記載される併用療法組成物が提供される。
幾つかの実施形態において、自身の膵臓癌が、ゲムシタビン、パクリタキセル、又はそれらの組み合わせに対して抵抗性があり、難治性であり、或いは反応しない患者の処置の方法が提供され、該方法は、以下の構造
を持つ化合物、その薬学的に許容可能な塩、代謝産物、溶媒和物、或いはプロドラッグを、必要とする患者に投与する工程を含む。幾つかの実施形態において、前記方法は、免疫療法剤を投与する工程を更に含む。幾つかの実施形態において、自身の膵臓癌が、ゲムシタビン、パクリタキセル、又はそれらの組み合わせに対して抵抗性があり、難治性であり、或いは反応しない患者の処置に使用するための、以下の構造
を持つ治療上有効な量の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、代謝産物、溶媒和物、或いはプロドラッグが提供される。
特定の実施形態において、癌は、ゲムシタビン、パクリタキセル、イダルビシン/シタラビン、エトポシドリン酸塩、グリベック、テモゾロミド、ボルテゾミブ、レトロゾール、セツキシマブ、ベバシズマブ、nab-パクリタキセル、ドセタキセル、エルロチニブ、ペメトレキセド、ペメトレキセド/カルボプラチン、パクリタキセル(paxlitaxel)/カルボプラチン、レトロゾール/シクロホスファミド、テムシロリムス、ベバシズマブ/テムシロリムス、イピリムマブ(lpilimumab)、RAD001、パゾパニブ、FOLFIRI、BKM120、GSK1120212、PF-05212384/イリノテカン、AZD2171、PF-04691502、シクロホスファミド、シスプラチン、シタラビン/ダウノルビシン、テムシロリムス(tersirolimus)、エルロチニブ/テムシロリムス、カペシタビン、タモキシフェン、ボルテゾミブ、トラスツズマブ、ドセタキセル/カペシタビン、トラスツズマブ/ティピファルニブ、ティピファルニブ/ゲムシタビン(gemcitabline)、トポテカン(tootecan)、又はそれらの組み合わせから選択される薬物に対して抵抗性があり、難治性であり、或いは反応しない。特定の実施形態において、癌は、ゲムシタビン又はパクリタキセルに対して抵抗性があり、難治性であり、或いは反応しない。特定の実施形態において、癌は、ゲムシタビンとパクリタキセルの組み合わせに対して抵抗性があり、難治性であり、或いは反応しない。
幾つかの実施形態において、以下の構造
を持つシクロへキセノン化合物は、任意の適切な出発物質から合成的又は半合成的に調製される。他の実施形態において、シクロへキセノン化合物は、発酵などによって調製される。例えば、化合物1、3、及び4は、有機溶媒抽出物から単離され、又は、合成的或いは半合成的に調製される。非限定的な典型的な化合物が以下に例示される。
幾つかの実施形態において、Rは、水素、C(=O)C、C(=O)C、又はC(=O)CHである。幾つかの実施形態において、Rは水素又はメチルである。特定の実施形態において、Rは、水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、又はヘキシルである。幾つかの実施形態において、Rは、水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、又はヘキシルである。幾つかの実施形態において、Rは水素である。幾つかの実施形態において、Rは、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、或いは、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cシクロアルキル、及びC-Cハロアルキルから選択された1つ以上の置換基で随意に置換したアリールである。特定の実施形態において、RはCHCH=C(CHである。特定の実施形態において、化合物は
である。
幾つかの実施形態において、本明細書に記載される膵臓癌を処置する方法は、免疫療法剤を投与する工程を含む。免疫療法剤は、限定されないが、患者に投与され得る生きた免疫細胞、及び/又は、標的細胞(例えば膵臓癌細胞などの腫瘍細胞)に特異的な抗体を含む。好ましくは、免疫療法剤は、NK細胞又はT細胞、或いはそれらの修飾物又は誘導体である。
免疫療法
免疫療法は、「免疫反応を誘導、増強、又は抑制することによる疾患の処置」である。
免疫反応を誘発又は増幅させるように設計される免疫療法は活性化免疫療法として分類され、一方で減少又は抑制を行う免疫療法は抑制免疫療法として分類される。
幾つかの実施形態において、免疫療法剤は抗癌抗体である。非限定的な例は、トラスツズマブ(Herceptin(登録商標))、ベバシズマブ(Avastin(登録商標))、セツキシマブ(Erbitux(登録商標))、パニツムマブ(Vectibix(登録商標))、イピリムマブ(Yervoy(登録商標))、リツキシマブ(Rituxan(登録商標))、アレムツズマブ(Campath(登録商標))、オファツムマブ(Arzerra(登録商標))、ゲムツズマブオゾガマイシン(Mylotarg(登録商標))、ブレンツキシマブ ベドチン(Adcetris(登録商標))、90Yイブリツモマブ チウクセタン(Zevalin(登録商標))、131I-トシツモマブ(Bexxar(登録商標))、ニボルマブなどの抗プログラム死1(抗PD-1)抗体、ペンブロリズマブなどを含む。
特定の薬学及び医学用語
特に明記しない限り、明細書と請求項を含む、本出願で用いられる次の用語は、以下の定義を持つ。明細書と添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形「a」、「an」、及び「the」は、他にその内容が明確に指示しない限り、複数の指示対象を含むということに留意しなければならない。他に指示がない限り、質量分析、NMR、HPCL、タンパク質化学、生化学、組換えDNA技術、及び薬理学の従来の方法が使用される。本出願において、「又は」、或いは「及び」の使用は他に明記しない限り、「及び/又は」を意味する。更に、用語「含むこと(including)」の使用は、「含む(include)」、「含む(includes)」、及び「含まれる(included)」といった他の形態と同じく、制限はない。本明細書で使用されるセクションの見出しは、構成上の目的のみのためのものであり、記載される主題を限定すると解釈されるものではない。
「アルキル」基は、脂肪族炭化水素基を表す。アルキル基は、飽和アルキル基(どの炭素炭素二重結合又は炭素炭素三重結合を含まないことを意味する)であり、アルキル基は、不飽和アルキル基(少なくとも1つの炭素炭素二重結合又は炭素炭素三重結合を含むことを意味する)であり得る。アルキル部分は、飽和であろうと不飽和であろうと、分枝鎖又は直鎖であり得る。
「アルキル」基は1~12の炭素原子を有し得る(本明細書ではいかなる場合も、「1~12」などの数的範囲は、指定された範囲の各整数を指し;例えば、「1~12の炭素原子」は、アルキル基が1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子、及び最大12個の炭素原子を含むものから成り得ることを意味するが、本定義はまた、数の範囲が指定されない用語「アルキル」の発生も含む)。本明細書に記載される化合物のアルキル基は、「C-C12アルキル」、「C-Cアルキル」、又は同様の名称として指定されてもよい。ほんの一例として、「C-Cアルキル」は、アルキル鎖に1、2、3、4、5、6、7、又は8個の炭素原子が存在することを示す。1つの態様において、アルキルは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、及びt-ブチルからなる基から選択される。典型的なアルキル基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、第三級ブチル、ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、アリル、2-ブテニル、3-ブテニル、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチルなどを含むが、これらに限定されない。1つの態様において、アルキルはC-Cアルキルである。
用語「アルキレン」は、二価アルキルラジカルを指す。上述の一価アルキル基のいずれかは、アルキルからの第2の水素原子の抽出によるアルキレンであってもよい。1つの態様において、アルキレンはC-C12アルキレンである。別の太陽において、アルキレンはC-Cアルキレンである。典型的なアルキレン基は、限定されないが、-CH-、-CH(CH)-、-C(CH-、-CHCH-、-CHCH(CH)-、-CHC(CH-、-CHCHCH-、-CHCHCHCH-などを含む。
本明細書に使用されているように、用語「アリール」は、環を形成する原子の各々が炭素原子である芳香環を表す。アリール環は、5、6、7、8、9、9、又はそれ以上の炭素原子によって形成される。アリール基は随意に置換される。1つの態様において、アリールは、フェニル又はナフタレニルである。1つの態様において、アリールはフェニルである。1つの態様において、アリールはC-C10アリールである。構造によっては、アリール基は、モノラジカル又はジラジカル(即ち、アリーレン基)となり得る。1つの態様において、アリーレンはC-C10アリーレンである。典型的なアリーレンは、限定されないが、フェニル-1,2-エン、フェニル-1,3-エン、及びフェニル-1,4-エンを含む。
用語「芳香族」は、4n+2π電子を含む、非局在化されたπ-電子系を有する平面環を指し、ここで、nは整数である。芳香環は、5、6、7、8、9、10、又は10より多くの原子から形成され得る。芳香族は随意に置換される。用語「芳香族」は、炭素環式アリール(「アリール」、例えば、フェニル)と複素環式アリール(或いは「ヘテロアリール」又は「複素芳香族」)基(例えば、ピリジン)の両方を含む。該用語は、単環式又は縮合環の多環式(つまり、隣接する炭素原子対を共有する環)の基を含む。
用語「ハロ」、又は代替的に「ハロゲン」、或いは「ハライド」は、フルオロ、クロロ、ブロモ、又はヨードを意味する。
本明細書で使用されるような用語「アルケニル」は、2-10の炭素、及び2つの水素の除去により形成された少なくとも1つの炭素炭素二重結合を含む、直鎖、分枝鎖、又は環式(その場合、「シクロアルケニル」としても知られる)炭化水素を意味する。本明細書に記載される化合物のアルケニル基は、「C-C10アルケニル」、「C-Cアルケニル」、又は同様の名称として指定されてもよい。ほんの一例として、「C-Cアルケニル」は、アルケニル鎖に、2、3、4、5、6、7、又は8個の炭素原子が存在することを示す。幾つかの実施形態において、構造によっては、アルケニル基は、モノラジカル又はジラジカル(即ち、アルケニレン基)である。幾つかの実施形態において、アルケニル基は随意に置換される。アルケニルの例示的な例は、限定されないが、エテニル、2-プロペニル、2-メチル-2-プロペニル、3-ブテニル、4-ペンテニル、5-ヘキセニル、2-ヘプテニル、2-メチル-1-ヘプテニル、及び3-デセニル(cecenyl)を含む。
本明細書で使用されるような用語「アルキニル」は、2-10の炭素、及び4つの水素の除去により形成された少なくとも1つの炭素三重結合を含む、直鎖、分枝鎖、又は環式(その場合、「シクロアルキニル」としても知られる)炭化水素を意味する。幾つかの実施形態において、構造によっては、アルキニル基は、モノラジカル又はジラジカル(即ち、アルキニレン基)である。本明細書に記載される化合物のアルキニル基は、「C-C10アルキニル」、「C-Cアルキニル」、又は同様の名称として指定されてもよい。ほんの一例として、「C-Cアルキニル」は、アルキニル鎖に、2、3、4、5、6、7、又は8個の炭素原子が存在することを示す。幾つかの実施形態において、アルキニル基は随意に置換される。アルキニルの例示的な例は、限定されないが、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニルなどを含む。
本明細書で使用されるような用語「シクロアルキル」は、炭素と水素のみを含有する単環式又は多環式のラジカルを意味し、飽和、部分的に不飽和、又は完全に不飽和である単環式又は多環式のラジカルを含むシクロアルキル基は、3~10の環原子を有する基を含む。環式の代表的な例は、以下の部分を含むがこれらに限定されない:
幾つかの実施形態において、構造によっては、シクロアルキル基は、モノラジカル又はジラジカル(即ち、シクロアルキレン基)である。
本明細書で使用されるような用語「ハロアルキル」、「ハロアルケニル」、「ハロアルキニル」、及び「ハロアルコキシ」は、少なくとも1つの水素がハロゲン原子と置き換えられる、アルキル、アルケニル、アルキニル、及びアルコキシの構造を含む。2以上の水素原子がハロゲン原子に置き換えられる特定の実施形態において、ハロゲン原子は互いに全て同じである。2以上の水素原子がハロゲン原子に置き換えられる他の実施形態において、ハロゲン原子は互いに全て同じではない。用語「フルオロアルキル」及び「フルオロアルコキシ」は、ハロアルキル基とハロアルコキシ基をそれぞれ含み、その中でハロはフッ素である。特定の実施形態において、ハロアルキルは随意に置換される。
本明細書で使用されるように、製剤、組成物、又は成分に関して、用語「許容可能な」は、処置を受ける被験体の全般的な健康に対し、持続的な有害な効果を及ぼさないことを意味する。
シカタケ属はトンビマイタケ科における真菌類の属である。シカタケ属種は、典型的には平らになっている又は成長表面上で広がる子実体を有しており、子実層は外部に晒され;縁は薄い霊芝(narrow brackets)を形成するように折り曲げられ得る。大半の種が温帯林及び北方林で発見され、褐色腐朽を引き起こしている。
用語「担体」は、本明細書で使用されるように、細胞又は組織への化合物の組み込みを促進する、相対的に無毒な化学化合物、又は薬剤を表す。
用語「同時投与」などは、本明細書で使用されるように、一人の患者への選択された治療薬の投与を包含することを意味し、同じ又は異なる投与経路、或いは同じ又は異なる投与時間により薬剤が投与される処置レジメンを含むことが意図されている。
用語「希釈剤」は、送達前に対象となる化合物を希釈するために用いられる化学化合物を表す。希釈剤は、より安定した環境を提供できるので、化合物を安定させるためにも使用され得る。緩衝液(pHの制御又は維持をもたらすこともできる)の中で溶解された塩は、当技術分野で希釈剤として利用され、リン酸緩衝生理食塩溶液を含むがこれに限定されない。
用語「有効な量」又は「治療上有効な量」は、本明細書で使用されるように、処置される疾患又は疾病の1以上の症状をある程度和らげる、投与される薬剤又は化合物の十分な量を表す。その結果、疾患の兆候、症状、又は原因を減少及び/又は軽減し、或いは生物系の他の所望の変化をもたらすことができる。例えば、治療用途に「有効な量」は、疾患症状の臨床的に有意な減少をもたらすのに必要とされる、本明細書に開示されるような化合物を含む組成物の量である。適切で「有効」な量は、いかなる個体の場合でも、用量増加試験などの技術を使用して定められてもよい。
本明細書に開示される化合物の「代謝産物」は、化合物の代謝時に形成される、化合物の誘導体である。用語「活性代謝産物」は、化合物が代謝される時に形成される、化合物の生物学的に活性な誘導体を指す。用語「代謝した(metabolized)」は、本明細書で使用されるように、生物体によって特定の物質が変化するプロセス(限定されないが、加水分解反応及び酵素によって触媒される反応を含む)の全体を指す。故に、酵素は化合物に対し特異的な構造的変化をもたらし得る。例えば、シトクロムP450は、様々な酸化反応および還元反応を触媒する一方で、ウリジン二リン酸グルクロニルトランスフェラーゼは、芳香族アルコール、脂肪族アルコール、カルボン酸、アミン、及び遊離スルフヒドリル基への活性化グルクロン酸分子の移動を触媒する。本明細書に開示される化合物の代謝産物は、随意に、宿主への化合物の投与及び宿主からの組織サンプルの解析、又は肝細胞を用いた化合物のインビトロでのインキュベーション及びその結果生じる化合物の解析のいずれかによって特定される。
用語「医薬配合」は、本明細書で使用されるように、1より多くの有効成分の混合又は配合により生じた生成物を意味し、活性部分の固定配合と非固定配合の両方を含む。用語「固定配合」は、活性成分、例えば、化合物(即ち、本明細書に記載されるシクロへキセノン化合物)と助剤の両方が、単一の実体又は投与量の形態で患者に同時投与されることを意味する。用語「非固定配合」は、活性成分、例えば、化合物(即ち、本明細書に記載されるシクロへキセノン化合物)と助剤が、特定の時間制限の介入なく同時に、平行して、又は連続して、別々の実体として患者に投与されることを意味し、このような投与は、患者の体に有効なレベルの二つの化合物を提供する。後者はまた、カクテル療法、例えば3つ以上の有効成分の投与にも当てはまる。
用語「医薬組成物」は、化合物(即ち、本明細書に記載されるシクロへキセノン化合物)と、担体、安定剤、希釈剤、分散剤、懸濁剤、増粘剤、及び/又は賦形剤などの他の化学成分との混合物を指す。医薬組成物は、生物体への化合物の投与を促進する。化合物を投与する複数の技術が当該技術分野に存在し、限定されないが以下を含む:静脈内、経口、エアロゾル、非経口、眼、肺、及び局所の投与。
用語「被験体」又は「患者」は、哺乳動物を包含する。哺乳動物の例は、限定されないが、以下の哺乳動物のクラスのメンバーを含む:ヒト、チンパンジーなどの非ヒト霊長類、及び他の類人猿並びにサル種;ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタなどの家畜;ウサギ、イヌ、及びネコなどの飼育動物;ラット、マウス及びモルモットなどの、げっ歯類を含む実験動物。1つの実施形態において、哺乳動物はヒトである。
本明細書で使用されるような用語「処置する(treat)」、「処置すること(treating)」又は「処置(treatment)」は、予防的に及び/又は治療的に、疾患又は疾病の少なくとも1つの症状を緩和、軽減、或いは改善すること、追加の症状を予防すること、疾患又は疾病を阻害すること、例えば、疾患又は疾病の進行を妨げること、疾患又は疾病を軽減すること、疾患又は疾病の退行を引き起こすこと、疾患又は疾病によって引き起こされた状態を軽減すること、或いは疾患又は疾病の症状を止めることを含む。
投与経路及び投与量
適切な投与経路は、経口投与、静脈内投与、直腸投与、エアロゾル投与、非経口投与、経眼投与、経肺投与、経粘膜投与、経皮投与、膣内投与、経耳投与、経鼻投与、及び局所投与を含むが、これらに限定されない。加えて、ほんの一例ではあるが、非経口送達は、くも膜下腔内、直接脳室内、腹腔内、リンパ内、及び鼻腔内の注入だけでなく、筋肉内、皮下、静脈内、髄内の注入も含む。
特定の実施形態において、本明細書に記載される化合物は、全身様式よりもむしろ局所様式で、例えば、頻繁にデポー製剤又は徐放製剤で、臓器に直接化合物を注入することを介して投与される。特異的な実施形態において、長期間作用型製剤は、移植(例えば皮下、又は筋肉内に)又は筋肉内注射により投与される。更に、他の実施形態において、薬物は、標的とされた薬送達系において、例えば、臓器特異的抗体(organ-specific antibody)で覆われたリポソームにおいて送達される。このような実施形態において、リポソームは臓器に対し標的とされ、臓器によって選択的に取り込まれる。また他の実施形態において、本明細書に記載されるような化合物は、急速放出製剤の形態、拡張放出製剤の形態、又は中間体放出製剤の形態で提供される。また他の実施形態において、本明細書に記載される化合物は局所投与される。
幾つかの実施形態において、シクロへキセノン化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、代謝産物、溶媒和物、或いはプロドラッグは、非経口投与又は静脈内投与される。他の実施形態において、シクロへキセノン化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、代謝産物、溶媒和物、或いはプロドラッグは、注射により投与される。幾つかの実施形態において、シクロへキセノン化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、代謝産物、溶媒和物、或いはプロドラッグは、経口投与される。
患者の状態が改善しない場合、医師の判断に基づき、化合物は、患者の疾患又は疾病の症状を寛解させる、又は他に制御或いは制限するために、慢性的に、即ち、患者の寿命の間を含む長期間にわたり投与される。患者の状況が改善する場合、医師の判断に基づき、化合物の投与は連続的に行われ、或いは特定の期間にわたり一時的に中止されてもよい(即ち「休薬期間」)。
個々の処置レジメンに関して変数の数が大きなものであるため、前述の範囲は単に示唆的なものであり、これら推奨値からの相当な可動域は、珍しいものではない。このような投与量は、限定されないが、使用される化合物の活性、処置される疾患又は疾病、投与の形態、個々の被験体の必要条件、処置される疾患又は疾病の重症度、及び医師の判断といった多くの変数に依存して変更されてもよい。
このような処置レジメンの毒性及び治療効果は、LD50(集団の50%までの致死量)及びED50(集団の50%での治療上有効な用量)を判定するためのものを含むが、これに限定されない、細胞培養物又は実験動物における標準の薬学的手順により定められ得る。毒性と治療効果との間の用量比は、治療指数であるとともに、LD50とED50との間の比率として表わされ得る。高い治療指数を示す化合物が好ましい。細胞培養アッセイ及び動物研究から得たデータは、ヒトにおける使用のために様々な範囲の投与量を製剤する際に使用され得る。そのような化合物の投与量は、好ましくは毒性が最小限のED50を含む、血中濃度の範囲内にある。投与量は、利用された剤形及び利用された投与経路に依存して、この範囲内で変動してもよい。特定の実施形態において、シクロへキセノン化合物は
である。
幾つかの実施形態において、本明細書に記載される化合物は、医薬組成物へと製剤される。特異的な実施形態において、医薬組成物は、活性化合物を薬学的に使用可能な調製物へと処理することを促進する賦形剤及び助剤を含む、1以上の生理学的に許容可能な担体を用いて、従来の方式で製剤される。適切な製剤は、選択される投与経路に左右される。薬学的に許容可能なあらゆる技術、担体、及び賦形剤は、本明細書に記載される医薬組成物を処方するのに適したものとして使用される:Remington:The Science and Practice of Pharmacy, Nineteenth Ed (Easton, Pa.: Mack Publishing Company, 1995);Hoover, John E., Remington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co., Easton, Pennsylvania 1975;Liberman, H.A. and Lachman, L., Eds., Pharmaceutical Dosage Forms, Marcel Decker, New York, N.Y., 1980;及びPharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems, Seventh Ed.(Lippincott Williams & Wilkins1999)。
本明細書には、化合物(即ち、本明細書に記載されるシクロへキセノン化合物)、及び薬学的に許容可能な希釈剤(複数)、賦形剤(複数)、又は担体(複数)を含む医薬組成物が提供される。特定の実施形態において、本明細書に記載される化合物は、化合物(即ち、本明細書に記載されるシクロへキセノン化合物)が併用療法におけるように他の有効成分と混合される医薬組成物として、投与される。本明細書には、以下の併用療法のセクション及び本開示の至る所で説明される、活性分子の全ての組み合わせが包含される。特異的な実施形態において、医薬組成物は、1つ以上の化合物(即ち、本明細書に記載されるシクロへキセノン化合物)を含む。
医薬組成物は、本明細書で使用されるように、化合物(即ち、本明細書に記載されるシクロへキセノン化合物)と、担体、安定剤、希釈剤、分散剤、懸濁剤、増粘剤、及び/又は賦形剤などの他の化学成分との混合物を指す。特定の実施形態において、医薬組成物は、生物体への化合物の投与を容易にする。幾つかの実施形態において、本明細書で提供される処置方法又はその使用を行う際に、治療上有効な量の化合物(即ち、本明細書に提供されるシクロへキセノン化合物)は、処置されるべき疾患又は疾病を有する哺乳動物に、医薬組成物で投与される。特異的な実施形態において、哺乳動物は、ヒトである。特定の実施形態において、治療上有効な量は、被験体の疾患の重症度、年齢、及び相対的な健康状態、使用される化合物の効能、及び他の要因に依存して変動する。本明細書に記載される化合物は、単独で、又は、混合物の成分として1つ以上の治療薬と組み合わせて使用される。
1つの実施形態において、化合物(即ち、本明細書に記載されるシクロへキセノン化合物)は、水溶液中で製剤される。特異的な実施形態において、水溶液は、ほんの一例であるが、ハンクス溶液、リンガー溶液、或いは生理食塩水緩衝液などの、生理的に適合可能な緩衝液から選択される。他の実施形態において、化合物(即ち、本明細書に記載されるシクロへキセノン化合物)は、経粘膜投与のために製剤される。特異的な実施形態において、経粘膜用製剤は、浸透されるバリア(barrier)に適切な浸透剤を含む。本明細書に記載される化合物が他の非経口投与のために製剤される、また他の実施形態において、適切な製剤は、水溶液又は非水溶液を含む。特異的な実施形態において、そのような溶液は、生理学的に適合可能な緩衝液及び/又は賦形剤を含む。
別の実施形態において、本明細書に記載される化合物は、経口投与のために製剤される。化合物(即ち、本明細書に記載されるシクロへキセノン化合物)を含む、本明細書に記載される化合物は、活性化合物を、例えば薬学的に許容可能な担体又は賦形剤と混合することによって製剤される。様々な実施形態において、本明細書に記載される化合物は、ほんの一例であるが、錠剤、粉末剤、丸剤、糖衣錠、カプセル剤、液剤、ゲル剤、シロップ剤、エリキシル剤、スラリー剤、懸濁剤などを含む、経口投与形態で製剤される。
特定の実施形態において、経口用途のための医薬調製物は、1つ以上の固形賦形剤を本明細書に記載される化合物のうち1つ以上と混合し、結果として生じる混合物を随意に粉砕し、及び、錠剤又は糖衣錠コア(dragee cores)を得るために、必要に応じて、適切な助剤を添加した後に顆粒の混合物を処理することによって、得られる。適切な賦形剤は、特に、ラクトース、スクロース、マンニトール、又はソルビトールを含む糖などの充填材;例えば、トウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントガム、メチルセルロース、微結晶性セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどのセルロース調製物;又は、ポリビニルピロリドン(PVP又はポビドン)或いはリン酸カルシウムなどの他のものを含む。特異的な実施形態において、崩壊剤が随意に加えられる。崩壊剤は、ほんの一例ではあるが、架橋クロスカルメロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、寒天、又はアルギン酸、或いはアルギン酸ナトリウムなどのアルギン酸の塩を含む。
1つの実施形態において、糖衣錠コアや錠剤などの剤形は、1つ以上の適切なコーティングと共に提供される。特異的な実施形態において、濃縮糖液が、剤形をコーティングするために使用される。糖液は、ほんの一例ではあるが、アラビアガム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、及び/又は二酸化チタン、ラッカー溶液、及び適切な有機溶媒、又は溶媒混合物などの、付加的な成分を随意に含む。染料及び/又は色素も随意に、識別目的のためコーティングに加えられる。加えて、染料及び/又は色素は、活性化合物の用量の異なる組み合わせを特徴づけるため随意に利用される。
特定の実施形態において、本明細書に記載される少なくとも1つの治療上有効な量の化合物は、他の経口剤形へと製剤される。経口剤形は、ゼラチン製の押し出しカプセル剤の他、ゼラチン製の柔らかい密封されたカプセル剤、及びグリセロール又はソルビトールなどの可塑剤を含む。特異的な実施態様において、押し出しカプセル剤は、1つ以上の充填剤と混合して有効成分を含む。充填剤は、ほんの一例ではあるが、ラクトース、デンプンなどの結合剤、及び/又はタルク或いはステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤、及び随意に安定剤を含む。他の実施形態において、ソフトカプセル剤は、適切な液体中で溶解又は懸濁される、1つ以上の活性化合物を含む。適切な液体は、ほんの一例ではあるが、1つ以上の脂肪油、液体パラフィン、又は液体ポリエチレングリコールを含む。加えて、安定剤(stabilizer)が随意に加えられる。
他の実施形態において、本明細書に記載される治療上有効な量の少なくとも1つの化合物は、頬側投与又は舌下投与のために製剤される。頬側投与又は舌下投与に適した製剤は、ほんの一例ではあるが、錠剤、ロゼンジ剤、又はゲル剤を含む。また他の実施態様において、本明細書に記載される化合物は、ボーラス注入又は持続注入に適した製剤を含む、非経口注入のために製剤される。特異的な実施形態において、注入用製剤は、単位剤形で(例えばアンプルで)、又は複数回用量容器で提供される。保存剤が注入製剤へと随意に加えられる。また他の実施形態において、化合物(即ち、本明細書に記載されるシクロへキセノン化合物)の医薬組成物は、油性ビヒクル又は水性ビヒクル中で、滅菌懸濁剤、溶液、又はエマルジョンとして、非経口注入に適した形態で製剤される。非経口注入製剤は、懸濁化剤、安定化剤、及び/又は分散剤などの処方剤(formulatory agent)を随意に含む。特異的な実施形態において、非経口投与のための医薬製剤は、水溶性形態で活性化合物の水溶液を含む。付加的な実施形態において、活性化合物の懸濁剤は、適切な油性注入懸濁剤として調製される。本明細書に記載される医薬組成物において使用するのに適切な親油性溶媒又はビヒクルは、ほんの一例ではあるが、ゴマ油などの脂肪油、又は、オレイン酸エチル或いはトリグリセリドなどの合成脂肪酸エステル、又はリポソームを含む。特定の特異的な実施形態において、水性注入懸濁液は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、又はデキストランなどの懸濁液の粘度を増加させる物質を含む。随意に、懸濁液は、高濃縮溶液の調製を可能にするために、化合物の溶解度を増加させる適切な安定剤又は薬剤を含む。代替的に、他の実施形態において、有効成分は、使用前に適切なビヒクル、例えば発熱物質を含まない滅菌水と共に構成するための粉末形態である。
1つの態様において、化合物(即ち、本明細書に記載されるシクロへキセノン化合物)は、本明細書に記載されるような、又は当該技術分野で既知の非経口注入のための溶液として調製され、自動注射器で投与される。米国特許第4,031,893号、第5,358,489号、第5,540,664号、第5,665,071号、第5,695,472号、及びWO/2005/087297(その各々は開示のために参照により本明細書に組み込まれる)に開示されるものなどの自動注射器が知られている。一般に、自動注射器は全て、注入される化合物(即ち、本明細書に記載されるシクロへキセノン化合物)を含む、一定の量の溶液を含有する。一般に、自動注射器は、溶液を保持するためのリザーバーを含み、これは、薬物を送達するための針の他、針を自動的に配置し、患者に針を挿入し、及び患者に用量を送達するための機構と流体連通下にある。典型的な注射器は、溶液1mLあたり0.5mg~50mgの濃度の化合物(即ち、本明細書に記載されるシクロへキセノン化合物)で、約0.3mL、0.6mL、1.0mL、又は他の適切な量の溶液を提供する。注射器はそれぞれ、1回のみの用量の化合物を送達することができる。
また他の実施形態において、化合物(即ち、本明細書に記載されるシクロへキセノン化合物)は局所投与される。本明細書に記載される化合物は、溶液、懸濁液、ローション剤、ゲル剤、ペースト剤、薬用スティック、バーム、クリーム剤、又は軟膏などの様々な局所投与可能な組成物へと製剤される。そのような医薬組成物は、可溶化剤、安定剤、等張増強剤、緩衝液、及び保存剤を随意に含む。
また他の実施形態において、化合物(即ち、本明細書に記載されるシクロへキセノン化合物)は、ポリビニルピロリドンやPEGなどの合成ポリマーだけでなく、ココアバター又は他のグリセリドなどの従来の坐薬用基剤を含む、浣腸剤、直腸用ゲル剤、直腸用気泡剤、直腸用エアロゾル、坐薬、ゼリー状坐薬、或いは保持用浣腸剤などの、直腸用組成物で製剤される。組成物の坐薬形態において、随意にココアバターと組み合わされる、限定されないが脂肪酸グリセリドの混合物などの低融点ワックスは、最初に融解する。
特定の実施形態において、医薬組成物は、賦形剤及び助剤を含む1つ以上の生理的に許容可能な担体を用いる任意の従来の様式で製剤され、これら賦形剤及び助剤は、活性化合物を薬学的に使用可能な調製物へと処理するのを容易にする。適切な製剤は、選択される投与経路に左右される。薬学的に許容可能なあらゆる技術、担体、及び賦形剤は、適切なものとして、及び当技術分野で理解されるように随意に使用される。化合物(即ち、本明細書に記載されるシクロへキセノン化合物)を含む医薬組成物は、ほんの一例ではあるが、従来の混合、溶解、造粒、糖衣錠製造、粉砕、乳化、封入、包括、又は圧縮のプロセスの手段などの、従来の方法で製造され得る。
医薬組成物は、少なくとも1つの薬学的に許容可能な担体、希釈剤、又は賦形剤を含み、及び有効成分として本明細書に記載される少なくとも1つの化合物(即ち、本明細書に記載されるシクロへキセノン化合物)を含む。有効成分は、遊離酸形態又は遊離塩基形態、或いは薬学的に許容可能な塩の形態である。加えて、本明細書に記載される方法及び医薬組成物は、同じタイプの活性を有するこれら化合物の活性代謝産物だけでなく、結晶形態(多形体としても知られる)の使用を含む。本明細書に記載される化合物の全ての互変異性体は、本明細書に提示される化合物の範囲内に含まれる。更に、本明細書に記載される化合物は、水やエタノールなどの薬学的に許容可能な溶媒を有する溶媒和形態の他、非溶媒和形態も含む。本明細書に提示される化合物の溶媒和形態はまた、本明細書で開示されるものとして考慮される。加えて、医薬組成物は、保存剤、安定化剤、湿潤剤、又は乳化剤、溶解促進剤、浸透圧を調整する塩、緩衝液、及び/又は他の治療上価値のある物質などの、他の医薬品又は治療剤、担体、アジュバントを随意に含む。
本明細書に記載される化合物を含む組成物の調製方法は、固体、半固体、又は液体を形成するために、化合物を1つ以上の不活性な薬学的に許容可能な賦形剤又は担体と共に製剤する工程を含む。固形組成物は、限定されないが、粉末剤、錠剤、分散可能な顆粒剤、カプセル剤、カシェ剤、及び坐薬を含む。液体組成物は、化合物が溶解される溶液、化合物を含むエマルジョン、又は、リポソーム、ミセル、又は本明細書に開示されるような化合物を含むナノ粒子を含有する溶液を含む。半固形組成物は、限定されないが、ゲル剤、懸濁剤、及びクリーム剤を含む。本明細書に記載される医薬組成物の形態は、液体溶液又は懸濁液、使用前に液体に溶解或いは懸濁することに適した固形形態、又はエマルジョンを含む。これら組成物はまた、湿潤剤又は乳化剤、pH緩衝剤などの微量の非毒性補助物質を随意に含む。
幾つかの実施形態において、少なくとも化合物(即ち、本明細書に記載されるシクロへキセノン化合物)を含む医薬組成物は例示的に、薬剤が溶液、懸濁液、又はその両方に存在する液体の形態を取る。典型的に、組成物が溶液又は懸濁液として投与されると、薬剤の第一の部分は溶液中に存在し、薬剤の第二の部分は液体マトリックス中の懸濁液中に粒子形態で存在する。幾つかの実施形態において、液体組成物はゲル製剤を含む。他の実施形態において、液体組成物は水性である。
特定の実施形態において、医薬品の水性懸濁液は、懸濁化剤として1つ以上のポリマーを含む。ポリマーは、セルロースポリマー、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの水溶性ポリマー、架橋カルボキシル含有ポリマーなどの非水溶性ポリマーを含む。本明細書に記載される特定の医薬組成物は、例えばカルボキシメチルセルロース、カルボマー(アクリル酸ポリマー)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリアクリルアミド、ポリカルボフィル、アクリル酸/アクリル酸ブチルコポリマー、アルギン酸ナトリウム、及びデキストランから選択される、粘膜付着性ポリマーを含む。
医薬組成物はまた、化合物(即ち、本明細書に記載されるシクロへキセノン化合物)の溶解を補助するための可溶化剤を随意に含む。用語「可溶化剤」は通常、薬剤のミセル溶液又は真性溶液をもたらす薬剤を含む。特定の許容可能な非イオン性界面活性剤、例えばポリソルベート80は可溶化剤として有用であり、眼科用として許容可能なグリコール、ポリグリコール、例えばポリエチレングリコール400、及びグリコールエーテルでもあり得る。
更に、医薬組成物は、1つ以上のpH調整剤又は緩衝化剤を随意に含み、酢酸、ホウ酸、クエン酸、乳酸、リン酸、及び塩酸などの酸;水酸化ナトリウム、リン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、及びトリス-ヒドロキシメチルアミノメタンなどの塩基;及びクエン酸塩/デキストロース、重炭酸ナトリウム、及び塩化アンモニウムなどの緩衝液が挙げられる。このような酸、塩基、及び緩衝液は、組成物のpHを許容可能な範囲で維持することを必要とする量で含まれる。
加えて、医薬組成物は、医薬組成物の重量モル浸透圧濃度を許容可能な範囲にするのに必要な量で1つ以上の塩を随意に含む。このような塩は、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン、又はアンモニウムカチオン、及び塩化物アニオン、クエン酸塩アニオン、アスコルビン酸塩アニオン、ホウ酸塩アニオン、リン酸塩アニオン、重炭酸塩アニオン、硫酸塩アニオン、チオ硫酸塩アニオン、又は亜硫酸水素塩アニオンを有するものを含み;適切な塩は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、及び硫酸アンモニウムを含む。
他の医薬組成物は、微生物の活性を阻害する1つ以上の保存剤を任意に含む。適切な保存剤は、メルフェン(merfen)及びチオマーサルなどの水銀含有物質;安定した二酸化塩素;及び、塩化ベンザルコニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、及び塩化セチルピリジウムなどの第四級アンモニウム化合物を含む。
更に他の医薬組成物は、物理的安定性を増幅するため、又は他の目的のために、1つ以上の界面活性剤を含む。適切な非イオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリド及び植物油、例えばポリオキシエチレン(60)水素化ヒマシ油;及び、例えばオクトキシノール10、オクトキシノール40などのポリオキシエチレンアルキルエーテルとアルキルフェニルエーテルを含む。
更に他の医薬組成物は、必要な場合に化学安定性を増強するために1つ以上の抗酸化剤を含み得る。適切な抗酸化剤は、ほんの一例ではあるが、アスコルビン酸及び二亜硫酸ナトリウムを含む。
特定の実施形態において、医薬品の水性懸濁液組成物は、単回用量用の再密閉できない容器に包装される。代替的に、複数回用量用の再密閉可能な容器が使用され、この場合は、組成物中に保存剤を含むことが典型的である。
代替的な実施形態において、疎水性医薬化合物用の他の送達系が利用される。リポソーム及びエマルジョンは、本明細書における送達用ビヒクル又は担体の例である。特定の実施形態において、N-メチルピロリドンなどの有機溶媒も利用される。更なる実施形態において、本明細書に記載される化合物は、治療薬を含有する固形疎水性ポリマーの半透性マトリクスなどの持続放出系を用いて送達される。様々な持続放出物質が本明細書では有用である。幾つかの実施形態において、持続放出カプセル剤は、数時間から24時間までの間、化合物を放出する。治療試薬の化学的性質と生物学的安定性に依存して、タンパク質安定化のための追加方策が利用され得る。
特定の実施形態において、本明細書に記載される製剤は、1つ以上の抗酸化剤、金属キレート剤、チオール含有化合物、及び/又は他の一般的な安定化剤を含む。そのような安定化剤の例は、限定されないが:(a)約0.5%乃至約2%w/vのグリセロール、(b)約0.1%乃至約1%w/vのメチオニン、(c)約0.1%乃至約2%w/vのモノチオグリセロール、(d)約1mM乃至約10mMのEDTA、(e)約0.01%乃至約2%w/vのアスコルビン酸、(f)0.003%乃至約0.02%w/vのポリソルベート80、(g)0.001%乃至約0.05%w/vのポリソルベート20、(h)アルギニン、(i)ヘパリン、(j)硫酸デキストラン、(k)シクロデキストリン、(l)ペントサンポリサルフェート及び他のヘパリノイド、(m)マグネシウム及び亜鉛などの2価カチオン;又は(n)それらの組み合わせを含む。
併用処置に関する一般的な考慮
一般的に、本明細書に記載される組成物、及び、併用療法が本明細書で利用され且つ記載される実施形態においては他の薬剤は、同一の医薬組成物中で投与される必要はなく、幾つかの実施形態においては、異なる物理的及び化学的特徴により、異なる経路で投与される。幾つかの実施形態において、初期の投与は確立されたプロトコルに従って行われ、その後、観察された効果に基づいて、投与量、投与方法、及び投与時間は、熟練した臨床医によって修正される。
幾つかの実施形態において、薬物が併用処置(treatment combinations)に使用されると、治療上の有効量は変動する。併用処置は更に、患者の臨床管理を補助するために様々な時点で開始及び停止される定期的処置も含む。本明細書に記載される併用療法に関して、同時投与される化合物の投与量は、使用される共薬物(co-drug)のタイプ、使用される特異的な薬物、処置されている疾患又は疾病などに依存して変動する。
幾つかの実施形態において、緩和が求められる疾病を処置、予防、又は改善するための投薬レジメンは、様々な要因に従って修正されることを理解されたい。これらの要因は、被験体の年齢、体重、性別、食事、及び病状の他、被験体が患う障害も含む。故に、他の実施形態において、実際に用いられる投薬レジメンは幅広く変動し、それ故、本明細書に明記される投薬レジメンから逸脱する。
実施例1.典型的なシクロへキセノン化合物の調製
特定の生薬精製手順を介する:以下の手順は、例示目的のみのものである。他の精製法が同様に使用されてもよい。
ベニクスノキタケ(Antrodia camphorata)由来の100グラムの菌糸、子実体、又はその両方の混合物を、フラスコに入れた。適量の水及びアルコール(70-100%のアルコール溶液)をフラスコに加え、少なくとも1時間、20-25℃で撹拌した。溶液をフィルタ及び0.45μmの膜に通して濾過し、濾液を抽出物として集めた。
ベニクスノキタケの濾液を、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析にさらした。RP18カラム上で分離を行ない、移動相はメタノール(A)及び0.3%の酢酸(B)から成り、勾配条件は、1ml/minの流速で、20%-95%のBにおいて0-10分、20%-10%のBにおいて10-20分、10%-10%のBにおいて20-35分、10%-95%のBにおいて35-40分であった。カラム流出液をUV可視検出器でモニタリングした。
25~30分で集められた分画を集め、濃縮して、薄い黄褐色液体の産物として4-ヒドロキシ-2,3-ジメトキシ-6-メチル-5-(3,7,11-トリメチルドデカ-2,6,10-トリエニル)シクロヘキサ-2-エノン(化合物1)を得た。化合物1の解析は、C2438の分子式、48~52℃の融解点を持つ390の分子量を示した。NMRスペクトルは、H-NMR(CDCl)δ(ppm)=1.51、1.67、1.71、1.75、1.94、2.03、2.07、2.22、2.25、3.68、4.05、5.07、及び5.14;13C-NMR(CDCl)δ(ppm)=12.31、16.1、16.12、17.67、25.67、26.44、26.74、27.00、39.71、39.81、40.27、43.34、59.22、60.59、120.97、123.84、124.30、131.32、135.35、135.92、138.05、160.45、及び197.12を示した。
化合物1:4-ヒドロキシ-2,3-ジメトキシ-6-メチル-5-(3,7,11-トリメチルドデカ-2,6,10-トリエニル)シクロヘキサ-2-エノン
がH、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、或いは、C-Cアルキル、C-Cアルケニル、C-Cアルキニル、C-Cシクロアルキル、及びC-Cハロアルキルから選択された1つ以上の置換基で随意に置換したアリールである、他の化合物を同様に獲得した。
代替的に、典型的な化合物は合成的に調製されてもよい。例えば米国特許第9,365,481号を参照。同様に、以下の構造
を持つ他のシクロへキセノン化合物は、ベニクスノキタケから単離され、又は適切な出発物質から合成的又は半合成的に調製される。当業者は、そのような合成に適切な状態を容易に利用する。
実施例2.AsPC-1細胞培養システム及び重症複合免疫不全マウス異種移植片腫瘍モデルにおける、ヒト膵臓癌上での、臨床的化学療法剤を含む化合物1の研究
膵臓癌進行の処置のための、抗癌剤(例えば、あらゆる臨床的に使用される薬物)を備えた典型的な化合物1を含む併用療法の有効性を評価するために、選択された現行の臨床的化学療法剤を備えた典型的な化合物1による、インビトロの研究及びインビボの異種移植片研究を、行った。
インビトロの研究のために、化合物1、及び選択された6つの臨床的化学療法剤の各々を、細胞培養システムにおいて、ヒト膵臓癌AsPC-1及び/又はCaPan-2、PANC-1に使用した。
インビボの異種移植片マウスモデルにおいて、ゲムシタビン及び/又はパクリタキセルを選択して、ヒト膵臓癌AsPC-1異種移植片モデルに対する計28回の投与のための1日1回の化合物1の経口投与と共に、尾静脈を介して週に2回投与した。
インビトロの試験:
ヒト膵臓癌細胞株であるAsPC-1、PANC-1、及びCaPan-2を、1つのウェルにつき3×10細胞で蒔き、48個のウェルを持つ細胞培養皿において培養した(1つのウェルにつき0.95cmの成長領域)。16時間後、化合物1のみ、又は臨床的化学療法剤を含む化合物1それぞれで、細胞を処置した。処置の48又は72時間後、メチルチアゾールテトラゾリウム(MTT)アッセイ(補足プロトコル-1)を実行し、増殖中の細胞の生存度に対する治療効果を測定した。
インビボの試験:
ヒト膵臓癌細胞株であるAsPC-1を培養し、細胞を60匹のマウスの側腹部に皮下注射した。3日後、マウスに腫瘍を感じとることができた。腫瘍がおよそ100-200mg(mm)に達すると、合計51匹の癌を持つマウスを無作為に選択して、6つの群のうち1つに分類した。ビヒクル(トウモロコシ油)で処置したマウスを、陰性対照として使用した。ゲムシタビン又はパクリタキセルと組み合わせた化合物1を、4週にわたり、1日1回経口で、及び/又は週に2回I.V.で投与した。手持ち式ノギス及びVisualsonic Vevo 2100画像システムを使用して、腫瘍測定値を週に1回記録した。個々のマウスの重量を、投薬中に週に1回量った(taken)。マウスを、毒性徴候及び病的状態について毎日モニタリングし;任意の異常な発見を記録した。薬物投与を開始して4週後に研究を終えた。
個々のマウスが1回の測定にわたり2,000mg(cm)の腫瘍を有している時、マウスを安楽死させた。腫瘍によりマウスが飲食し、歩き回る能力が妨げられている時、又はマウスの元の体重の>20%の損失が生じる場合、マウスは瀕死状態であった。腫瘍が2つの連続する測定にわたり1つの群につき1,500mgの平均標的サイズに達した時、個々の群を安楽死させた。研究コーディネーターは、何らかの予定外の安楽死について通知を受けなければならない。薬物投与を開始して4週後に研究を終えた。
試験システム:
A.細胞株:
ヒト膵臓癌AsPC-1(ATCC Catalog No.CRL-1682)。
ヒト膵臓癌PANC-1(ATCC Catalog No.CRL-1469)。
ヒト膵臓癌CaPan-2(ATCC Catalog No.HTB-80)。
B.細胞の調製
1. 培養培地の除去及び廃棄。
2. 5mLのHBSSで細胞層を簡単にすすぐ。優しく振盪させ、HBSSを除去する。
3. 15cmのポリスチレン皿に5mLのトリプシン-EDTAを加える。
95%の大気/5%のCO雰囲気で湿らされたインキュベーター(humidified incubator)において、37℃で5分間インキュベートする。
4. 5mLの完全な成長培地(10%のFBSを含有するDMEM媒体)を加え、優しくピペッティングを行うことにより細胞を吸引する。
5. 血球計数器を用いたトリパンブルー排除アッセイ(補足プロトコル-2)を使用して生細胞を計数する。
6. インビトロの研究のために、細胞を1つのウェルにつき3×10細胞で蒔き、処置を行うまで16時間にわたり48ウェルの細胞培養皿において培養する。
7. 37℃で培養物をインキュベートする。
C.動物種/株:
a.ヌードマウス、BALB/cAnN.Cg-Foxnlnu/CrlNarl
b.4-6週齢のメスの無胸腺ヌードマウス(nu/nu)。
c.体重:腫瘍細胞の播種の日に15~20g。
D.ヒト膵臓癌異種移植片モデル:
1. 皮下異種移植片モデルを作成するために、メスの無胸腺ヌードマウス(4-6週齢)に、20%のマトリゲルを含有する0.1mLの無血清DMEM培地(BD Biosciences, Bedford MA)において1×10のAsPC-1細胞を皮下に接種した。
2. 腫瘍を持つ動物を、表1として以下6つの群に分けた。
3. マウスを毎日、活性及び健康状態についてモニタリングし、体重の判定及び腫瘤の測定を週に1回行わなければならない。腫瘤の画像を、デジタルカメラ及びVisualsonic Vevo 2100画像システムによって撮影する。腫瘤を、移植片の2つの垂直直径においてノギス測定により判定し、式(4/3)X(πXaXb)を使用して計算する。ここで「a」は長い直径を表わし、「b」は短い直径を表わす。
E.被験物質:
臨床的化学療法剤をSigma-Aldrich Co. LLCから購入し、以下の方法で調製した:
- エルロチニブ(DMSOにおいて100mMのストック濃度(Stock conc.)、Sigma Cat.# E4997)。
- 5-フルオロウラシル(100mMのストック濃度、Sigma Cat.# F6627)。
- ゲムシタビン(DMSOにおいて100mMのストック濃度、Sigma Cat.# G6423)。
- イリノテカン(DMSOにおいて100mMのストック濃度、Sigma Cat.# I1406)。
- オキサリプラチン(DMSOにおいて50mMのストック濃度、Sigma Cat.# O9512)。
- パクリタキセル(DMSOにおいて10mMのストック濃度、Sigma Cat.# T7402)。
インビボの試験のために、ゲムシタビン(G)をEli Lilly (Indianapolis, IN, USA)から購入し、パクリタキセル(P)をSigma-Aldrichから購入した。
F.インビトロの実験計画:
a.被験物質(TC50)の細胞毒性:AsPC-1を1つのウェルにつき3×10の細胞(細胞計数器、即ちLUNA(商標)自動細胞計数器又は血球計数器により計数される)で蒔き、48ウェルの細胞培養皿において培養した。連続希釈により、400又は800μMから0μMまでの1つの物質を用いて細胞を処置した。処置の48又は72時間後、MTTアッセイを実行し、増殖中のAsPC-1細胞の生存度に対する処置の効果を測定した。マイクロプレートリーダー(BioTEK,Synergy(商標) H1)を使用して595nmの吸収度を測定した。物質の感度曲線及びTC50値を、GraphPad Prism4.0ソフトウェアを使用して計算した。
b.化合物1と化学療法剤との併用療法:この研究はまた、そのような組み合わせの有効性を調査するために、選択の化学療法剤を加えた化合物1の細胞毒性を含んでいる。化合物1を、パクリタキセル、ゲムシタビン、5-FU、オキサリプラチン、エルロチニブ、及びイリノテカンそれぞれと組み合わせた。処置の72時間後、MTTアッセイを実行し、増殖中のAsPC-1細胞の生存度に対する処置の効果を測定した。マイクロプレートリーダーを使用して595nmの吸収度を測定した。
c.薬物相互作用の評価:MTTアッセイも実行して、AsPC-1、PANC-1、及びCaPan-2の細胞株の生存度に対する薬物併用の効果を試験した。半数影響(median-effect)の原理に基づく、Chou及びTalalayの組み合わせ指標(CI)アイソボログラム方法(Chou and Talalay, 1984;Chang and Chou, 2000)を使用して、組み合わせた薬物の効果の相乗作用又は拮抗作用を計算した。連続希釈した濃度での各薬物の、別個及び組み合わせた状態での用量効果曲線を、半数影響の方程式及びプロット(Chou, 1991)、並びにCIの方程式及びプロット(Chou et al., 1994)を使用してプロットした。異なる効果及び用量レベルでのCI値及びアイソボログラムを、コンピューターソフトウェアCompuSyn(Chou and Martin, 2005)を使用して自動的に生成した。この方法により、相加作用、相乗作用、又は拮抗作用をそれぞれ、1、<1、及び>1のCI値により示す。
G.インビボの実験計画:
a.細胞注入:1×10の生存可能なヒト膵臓癌AsPC-1細胞を、マウスの右側胸部に皮下注射した。合計60匹のマウスに注入され、およそ36匹の癌を持つマウスをこの研究に使用した。
b.動物の選別及び群の割当:この研究には6つの群が含まれ、各群には8匹又は9匹のマウスが含まれる。腫瘍がおよそ100-200mg(mm)の標的窓(target window)サイズに達すると、54匹の癌を持つマウスを無作為に選択して、6つの群のうち1つに分類した。群1は、溶媒で処置した陰性対照であり、処置-1を受けるマウスが含まれる。群2、3、4、5、及び6には、処置-2、処置-3、処置-4、処置-5、及び処置-6それぞれを受けたマウスが含まれる。表1は、被験物質濃度、溶媒物質、及び投薬スケジュールを列挙する。
c.用量の調製:
c-1:化合物1(A)
i.適量の化合物1を量り、50mLのチューブに加えた。
ii.適量のトウモロコシ油(Sigma-Aldrich)を50mLのチューブに加えた。完全に均質化されるまでボルテックスにより製剤を混合した。使い捨て注射器に製剤を引き抜き、4mLの褐色チューブ、3.2mL/チューブに移した。
iii.使用するまで、凍結状態(-20℃)で懸濁液を保管した。
iv.使用を意図した日に37℃の水槽において製剤を完全に解凍させた。
c-2:ゲムシタビン(G)
i.ゲムシタビンのストックを、-20℃で無菌PBSにおいて50mg/mLの溶液として保管した(Ito et al., 2006;Awasthi et al., 2013)。
ii.動物研究の前に、適量のゲムシタビンを量り、4mLのチューブに入れた。
iii.4mLチューブに適量のビヒクル-I(50%のエタノール及び50%のTween80(v/w))を加え、物質が完全に溶解するまで振盪させた。
iv.4mLのチューブに適量の生理的食塩水を加え、チューブを並べて動かして溶液を完全に均質化した。
c-3:パクリタキセル(P)
i.パクリタキセルのストックを、100%のエタノールにおいて10mg/mLの最終濃度に溶解した(Shi et al., 2000;Chang et al., 2006;Awasthi et al., 2013)。
ii.動物研究の前に、適量のパクリタキセルを量り、4mLのチューブに入れた。
iii.4mLのチューブに適量のビヒクル-Iを加え、物質が完全に溶解するまで振盪させた。
iv.4mLのチューブに適量の生理的食塩水を加え、チューブを並べて動かして溶液を完全に均質化した。
インビボのシステムの観察及び試験:
A.臨床観察:各研究動物の臨床観察を、病的状態の兆候、死亡率、及び被験物質毒性について少なくとも毎日1回(週末及び休日を含む)実行した。病的状態は、限定されないが、るいそう、脱水症、嗜眠、猫背の姿勢、乱れた外観、呼吸困難、及び尿又は糞の汚染などの病気の兆候を含む。全ての異常な発見を記録する。
B.動物の体重:個々の動物の体重を、投与前/後に週に1回量った。細胞への注入の前に体重を最初に記録し、研究期間にわたり継続した。
C.腫瘍測定:各動物の注射部位を、腫瘍増殖の兆候について週に1回モニタリングした。研究全体にわたって、進行した腫瘍の長さ(a)及び幅(b)を、バーニヤカリパスを使用してミリメートル(mm)で測定し、ここでaは2つの寸法のうち長い方である。
ミリメートル(mm)又はセンチメートル(cm)の適用可能な腫瘍サイズを、長楕円に関連付けた式を使用して計算し:M=(4/3)X(πXaXb);これらのデータを記録した。
D.腫瘍増殖阻害(TGI)及び腫瘍阻害比率(TIR)による薬物相乗作用の評価:各群の腫瘍増殖阻害(TGI)の量を、以下の式に従い計算した:
腫瘍増殖阻害(%)=(1-[T-T]/[C-C])x100
TとTは、実験群に関する、処置の終了日及び1日目それぞれでの平均腫瘍体積である。対照群について、CとCは、研究の終了日及び開始日それぞれでの平均腫瘍体積である。TIRについて、処置の4週後、マウスを屠殺し、腫瘍を注意深く切除し、残りの血液をPBSで洗い流した後に重さを量った。腫瘍阻害比率を以下の式により計算した:
腫瘍阻害比率(%)=[(WControl-WTreated)/WControl]x100%
Treated及びWControlは、処置したマウス及び対照マウスそれぞれの平均腫瘍重量である。
D.血液パラメータ:白血球数(WBC)、赤血球数(RBC)、ヘモグロビン濃度(HB)、ヘマトクリット、平均赤血球ヘモグロビン量及び濃度、血小板分布幅、血小板数、好中球、リンパ球、単球、好酸球などの血液パラメータを解析するために、心臓の血液をEDTAに集めた。これを、血液計数器(Abbott Cell-Dyn 3700,IL)を使用して判定した。
統計分析:全てのデータを、平均の平均±標準誤差(SEM)として提示した。一元配置分散分析(ANOVA)を使用して、群の間の有意性を判定した。2より多くの群の多重比較のために、ANOVA解析を使用し、次いでボンフェローニ補正を伴うpost-hoc検定を使用した。P<0.05の値は有意であると考慮した。
結果:
インビトロの細胞毒性:典型的な化合物1の組み合わせの治療効果を評価するために、3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロミド(MTT)アッセイを使用する、処置されたAsCp-1細胞株の生存度を、測定した。AsPC-1細胞株上での化合物1(即ち、アントロキノノール)及び化学療法剤の毒物濃度(TC50)を調べた。図1乃至7及び表2は、AsPC-1細胞株上での化合物1及び化学療法剤の細胞毒性を示す。これらの結果によると、AsPC-1細胞の生存率に対する化合物1及び化学療法剤の併用処置は、表3の薬物濃度に従うことを確認した。AsCP-1細胞を、48時間及び72時間にわたり化合物1又は複合薬物の各々で個々にインキュベートした。図8と9において、48時間及び72時間にわたり、化合物1、各化学療法剤のMTTアッセイ、及びそれらの組み合わせそれぞれでインキュベートされたAsPC-1細胞の生存度を、測定した。化合物1又は化学療法剤単独で処置したAsPC-1細胞は、48時間又は72時間のインキュベーションの後に75%~80%の生存度を示した。これらの結果によると、選択された化学療法剤を備えた化合物1の併用療法は、AsPC-1細胞の生存率を制御するための相乗作用を持つ場合がある。更に、これらの結果はまた、試験された臨床的薬物と化合物1との組み合わせに、対応する単一の薬物処置よりも高い、AsPC-1ヒト膵臓癌細胞に対する効果があることを示した。
膵臓癌に対する相乗作用を持つ、化合物1とパクリタキセル及び/又はゲムシタビンとの組み合わせを、評価した。3つの膵臓癌細胞株、AsPC-1、CaPan-2、及びPanc-1を使用して、中間の効果の解析を通じて組み合わせを試験した。
化学療法薬物、ゲムシタビン、及びパクリタキセルを備えた化合物1の併用療法の効果の評価
Chou及びTalalayの中間の効果の解析(Chou and Talalay,1984)を使用して、各複合薬物の式に関するCIを計算した。それ故、CI値を使用して、この研究において化合物1とゲムシタビン及び/又はパクリタキセルとの間に相乗作用があるかどうかを判定した。AsPC-1、CaPan-2、及びPanc-1の細胞株において、化学療法薬物(パクリタキセル及びゲムシタビン)を備えた化合物1の、2つ又は3つの化合物の組み合わせは、用量の全範囲にわたって強く相乗的(CI<1、図11)であった(例えば、図10及び11を参照)。これらの結果は、第2又は第3の現在使用された化学療法剤を備えた典型的な化合物(即ち、化合物1)は、特に3つの化合物の組み合わせにおいて膵臓癌増殖を強く阻害する。
AsPC-1皮下異種移植片モデルに対するインビボの抗腫瘍活性
典型的な化合物1を含む併用療法の抗腫瘍活性を、AsPC-1腫瘍を持つヌードマウス上で評価した。AsPC-1細胞を、マウスに処置を始める7日前に皮下注射した(表1)。その後、これらの動物は、28日間にわたり様々な複合薬物の投与を毎日受けた。28日目に、全ての試験マウスを屠殺し、対応する腫瘍を更なる研究のために切除した。図13と14に示されるように、実験の終わりに、化合物1及びゲムシタビンの組み合わせ(T3)、又は化合物1とゲムシタビンとパクリタキセルとの組み合わせ(T6)で処置したマウスは、腫瘍体積の緩やかな成長を伴う、非常に有意な腫瘍退縮を示した。他の4つの処置群におけるマウスは、群T3及びT6に比べて厳密な腫瘍増殖を示した。群(図16、T2、T4、及びT5)と比較して、腫瘍増殖阻害速度は、化合物1とゲムシタビンの組み合わせ(T3)、又は化合物1とゲムシタビンとパクリタキセルとの組み合わせ(T6)において有意に増大した(図15)。
図17は、処置期間中のAsPC-1膵臓腫瘍異種移植片の超音波画像によって表わされる処置結果を示す。屠殺されたマウスの腫瘍の写真を図18Aに示す。化合物1及びゲムシタビンで処置されたマウスの腫瘍体積は、他の組み合わせで処置されたものよりも著しく小さいことを、確認できる。特に、図18Bは、化合物1及びゲムシタビンで処置されたマウスの腫瘍重量が他の群のものと比較してかなり小さいことを示している。これらの結果は全て、本明細書に記載される併用療法が主な腫瘍増殖阻害の有効性を持つことを実証している。各群における腫瘍阻害速度(TRI)も、最終の腫瘍重量に基づいて計算した(図19)。腫瘍増殖は、化合物1とゲムシタビンの群(図19、T3)、及び化合物1と他の2つの薬物の群(図19、T6)において有意に阻害された。
典型的な化合物1に基づく併用療法の治療効力が単一化学療法剤よりもはるかに優れていることを確認するために、選択された複合薬物の相乗作用を、処置と対照との比率(TCR)、腫瘍増殖阻害(TGI)、及び腫瘍阻害比率(TIR)の腫瘍体積により評価した。AsPC-1異種移植片において、化合物1の単独療法は、0.55の処置と対照との比率(TCR)で腫瘍増殖を阻害することができた。化合物1とゲムシタビンとの組み合わせ(表4、Ge+Aq)は、他の単独処置又は2つの化合物の組み合わせでの処置(TCR 0.36;表4;図13)と比較して、劇的に増強された抗腫瘍活性をもたらした。一方、化合物1を含む3つの薬剤との組み合わせ(表4、Px+Ge+Aq)も、単独療法又は他の併用療法(TCR 0.46;表4;図13)と比較して、強固な抗腫瘍活性を誘導した。それらの結果によると、ゲムシタビン、又は更にパクリタキセルと組み合わせた化合物1は、抗腫瘍活性を有意に増強した。
加えて、様々な組み合わせで処置された腫瘍を持つマウスにおいて有意な重量損失は観察されず、このことは、利用された用量での腫瘍治療のための化合物1及び他の2つの化学療法剤の副作用が僅かであることを、示している(図12)。一貫して、化合物1及びその組み合わせは、AsPC-1異種移植片中の、血糖を除いた血液細胞の数には影響しなかった(表5)。これらのデータによると、化合物1及び/又はその組み合わせは経口摂取の安全性リスクが低いことが示されている。
研究結果に示されるように、膵臓癌に対する、典型的な化合物1と、パクリタキセルやゲムシタビンなどの現行の臨床的化学療法剤とを含む組成物を利用する、より優れた予想外治療効果が明白に示された。細胞生存度の研究は、そのような組み合わせでの処置が化合物1又は他の化学療法剤単独よりもはるかに高い阻害活性を結果としてもたらしたことを示し、このことは相乗作用及び/又は相加作用を示唆している。そのような効果は、腫瘍を持つマウス上での腫瘍増殖の有意な阻害を示す、化合物1とゲムシタビンのみの組み合わせ、及び化合物1と追加のパクリタキセルとの組み合わせにより確認された。
実施例3.ファーストラインの転移性膵臓癌における、nab+パクリタキセル+ゲムシタビンと組み合わせた化合物1の最大耐用量(MTD)を判定し、且つ、その安全性/耐用性、薬物動態、薬力学、及び予備的な有効性を評価するための第1相試験
導入:2011年、ロイコボリン、フルオロウラシル、イリノテカン、及びオキサリプラチンの多剤の組み合わせ(FOLFIRINOX)は、ゲムシタビンに対して4.3か月の中間生存の増加をもたらすことが注目されたが、その副作用のプロファイルのため、膵臓癌が進行した患者の選択群のみにしか利用可能でなかった。患者は、FOLFIRINOX又はゲムシタビンを受けるように無作為に割り当てられた。中間の全生存(OS)は、FOLFIRINOX群では11.1か月であり、ゲムシタビン群では6.8か月であった(死亡=0.57のハザード比[HR];95%の信頼区間[CI]、0.45~0.73;p<0.001)。無増悪期間中央値(PFS)は、FOLFIRINOX群では6.4か月、ゲムシタビン群では3.3か月であった(疾患進行=0.47のHR;95%のCI、0.37~0.59;p<0.001)。
ごく最近では、ゲムシタビンとnab-パクリタキセル(130nmのパクリタキセルのアルブミン結合ナノ粒子製剤)の組み合わせは、中間生存を1.8か月増大させ、1及び2年でOSを増大させたと示され;副作用は極端ではなく(reasonable)、血球減少症及び末梢性ニューロパシーを含んでいた。多中心の国際第III相MPACT試験(multi-center, international Phase III MPACT trial)は、以前に未処置の転移性膵臓腺癌を持つ861人の患者を含んでいた。患者は、ゲムシタビン及びnab-パクリタキセル又はゲムシタビンの単独療法を受けるように無作為に割り当てられた。中間OSは、nab-パクリタキセル/ゲムシタビン群では8.5か月、ゲムシタビン群では6.7か月であった(死亡=0.72のHR;95%のCI、0.62~0.83;p<0.001)。中間PFSは、nab-パクリタキセル/ゲムシタビン群では5.5か月、ゲムシタビン群では3.7か月であった(疾患進行=0.69のHR;95%のCI、0.58~0.82;p<0.001)。
現行の全米総合がんセンターネットワークの推奨は、患者の嗜好性及び利用可能な支援システムに基づいた、優れたパフォーマンスステータス(即ち、0又は1の米国東海岸癌臨床試験グループ(ECOG)のパフォーマンスステータス(PS))を持つ患者に許容可能な初回化学療法の組み合わせを示唆している。これらの組み合わせは、より優れた/好ましい併発症のプロファイルを持つ患者のためのFOLFIRINOX、又は、適切な/許容可能な併発症の特性を持つ患者のためのゲムシタビンとnab-パクリタキセル、nab-パクリタキセル+ゲムシタビン、及びエルロチニブとゲムシタビンを含む。ゲムシタビン単独は、ECOG PS 2又は他のレジメンを排除する併発症のプロファイルを持つ患者に推奨され;カペシタビン又はエルロチニブの追加が提示されてもよい。故に、転移性膵臓癌の患者のための適切な処置レジメンを選択するためのガイドラインは曖昧なままであり、併用レジメンを付き合わせて比較する無作為化試験が無い状態では、これら患者に最も適切な初回治療は不明瞭なままである。
実施例2に示されるように、典型的な化合物1は、前臨床のインビトロ及びインビボでの動物実験において、抗腫瘍活性及び低毒性のプロファイルを示した。2012年に行われた、化合物1を用いた同所性のPANC-1ヒト膵臓癌異種移植片モデルを使用する別個の非臨床研究において、マウスの4つの群は、30mg/kg、60mg/kg、90mg/kgそれぞれの化合物1及びビヒクル対照で処置され、化合物1のインビボの治療効力を調べた。腫瘍体積及び腫瘍重量を、薬物処置の10日後(腫瘍移植の19日後)に測定した。30、60、及び90mg/kgでの化合物1による処置は、ビヒクル対照と比較して、3つの投与量レベル全てにおいて、統計的に有意なより小さな平均腫瘍体積及び腫瘍重量を伴う有効な抗腫瘍活性をもたらした。アントロキノノールの3回の投与は全て、腫瘍を持つマウスにより十分に許容され;研究中に重度の体重損失は観察されなかった。
初期に報告された臨床試験研究において、4週間にわたり毎日与えられた、50、100、200、300、450、及び600のmgの用量レベルでのアントロキノノール(即ち、化合物1)は、特定の安全性の懸念又はDLTがこの研究では識別されなかったため、通常は安全であり、十分に許容された。この研究において安全性及び薬物動態(PK)プロファイルから精製されたデータは、与えられた患者集団における最大耐用量(MTD)及び有効性を判定するために、悪性腫瘍が進行した被験体におけるアントロキノノールの更なる研究を支持することができる。
研究目的
この研究の主目的は、転移性膵臓癌を持つ被験体における、nab+パクリタキセル+ゲムシタビンと組み合わせた化合物1のMTD又は投与可能な最大用量(MFD)を判定することである。化合物1は癌処置のために評価されたが、多くの制癌剤は転移癌の処置にはあまり有効でないことが当該技術分野で知られている。
コホートの拡大:転移性膵臓癌を持つ被験体における、nab+パクリタキセル+ゲムシタビンと組み合わせたアントロキノノールの抗腫瘍活性を評価すること。
この研究の第2の目的は、次の通りである:
用量漸増:
・アントロキノノール及びnab+パクリタキセル+ゲムシタビンの組み合わせの安全性及び耐用性を評価すること。
・アントロキノノール及びnab+パクリタキセル+ゲムシタビンのPKを特徴づけること。
・慣例的な膵臓癌のモニタリングからアントロキノノールの活性を評価すること。
・転移性膵臓癌を持つ被験体におけるnab+パクリタキセル+ゲムシタビンと組み合わせたアントロキノノールの予備的な抗腫瘍活性を調べること。
コホートの拡大:アントロキノノール及びnab+パクリタキセル+ゲムシタビンの組み合わせのMFDの安全性及び耐用性を評価すること;アントロキノノール及びnab-パクリタキセル-ゲムシタビンのPKを特徴づけること;慣例的な膵臓癌のモニタリングからアントロキノノールの活性を評価すること。
研究のエンドポイント
主要エンドポイント
用量漸増:
・第1の28日間の処置のサイクルにおけるDLTの発生。DLTの定義(有害事象に関するNCI共通用語基準[CTCAE]v.4.03に従い等級化):
・等級3以上の非血液毒性は次のものを除く:適切な処置により発症の3日以内に等級1又は基線等級に回復する、等級3の下痢、吐き気、又は嘔吐
・≧48時間持続する等級4の血小板減少症又は好中球減少症
・≧等級3の発熱性好中球減少症
・出血を伴う等級3の血小板減少症
・投与の14日より長い遅延を引き起こす、等級2以上の持続する毒性。
基礎疾患状態、併用薬、或いは新たな無関係な医療事象又は処置に関連すると調査者によって考慮されるAEは、DLTとして定義されない。
コホートの拡大:
主なエンドポイント:転移性膵臓癌を持つ被験体における、nab+パクリタキセル+ゲムシタビンと組み合わせたアントロキノノールの抗腫瘍活性を評価すること。
第二のエンドポイント:
安全性:安全性を、AE、身体検査、検査所見(臨床化学、血液学、及び尿検査を含む)、生命徴候(血圧及び脈を含む)、及び心電図(ECG)を使用して評価する。
有効性:客観的奏効率(ORR)、反応の持続時間(DoR)、病勢コントロール率(DCR)、及びRECIST 1.1による調査者評価(8週ごとに生じる評価)を使用するPFS、OS。
薬物動態:アントロキノノール及びnab+パクリタキセル+ゲムシタビンの組み合わせの血漿濃度、並びにPKパラメータを評価する。
バイオマーカー:慣例的な膵臓癌のモニタリングからアントロキノノールの活性を評価すること。
調査計画
全体的な研究設計及び計画の説明
これは、ステージIVの転移性膵臓癌を持つファーストライン処置を受けていない被験体における、nab-パクリタキセル及びゲムシタビンを組み合わせた化合物1の、単群の、非盲検の、多中心の第I相試験である。
研究の第1の部分は、nab-パクリタキセル及びゲムシタビンの標準用量レジメンと組み合わせたアントロキノノールのMTD又はMFD(PK及びカプセル強度に基づく)を判定するための、3+3の用量漸増設計に従う。2つの用量レベルのアントロキノノールを与えたTIDを、用量漸増データ及びカプセル強度に基づいて計画する。被験体の最終の数は、調査された用量レベル及びDLT発生の数に基づく。最大12の被験体が、研究のこの部分で処置され得る。安全性モニタリング委員会(SMC)を、DLT及び全体的な安全性データを調べ、且つ事象の用量漸増スキームとの関連を判断するために、この研究用に設立する。
MTD/MFDの判定後、登録は、固定用量のアントロキノノール(MTD又はMFD)で持続する。最大40の評価可能な被験体を、試験のこのコホート拡大部分で計画する。
治験薬、投与量、及び投与の様式
・許容不能な毒性又は疾患が進行するまで、及び中止基準が無い状態での、経口のTID投与あたりの化合物1の用量の漸増(200~300mg)。
・許容不能な毒性又は疾患が進行するまで、各28日間のサイクルの1、8、及び15日目に投与される(即ち、1サイクル=3週間毎週、その後1週の休止)、静脈内(IV)注入を介した125mg/mのnab-パクリタキセル及び1000mg/mのゲムシタビン。
DLTの定義及び評価
治験薬(IMP)の組み合わせと関連する或いは恐らく関連すると判定される、DLT評価期間中に生じる以下に概説される毒性のうち何れかの発生として、用量制限毒性を定義する。DLT評価期間は、第1の28日間の処置サイクルである。毒性の等級化を、NCI CTCAEバージョン4.03を使用して判定する。用量制限毒性を以下のように定義する:
・等級3以上の非血液毒性は次のものを除く:
-適切な処置により発症の3日以内に等級1又は基線等級に回復する、等級3の下痢、吐き気、又は嘔吐
・248時間持続する等級4の血小板減少症又は好中球減少症
・2つの等級3の発熱性好中球減少症
・出血を伴う等級3の血小板減少症
・投与の14日より長い遅延を引き起こす、等級2以上の持続する毒性。
基礎疾患状態、併用薬、或いは新たな無関係な医療事象又は処置に関連すると調査者によって考慮されるAEは、DLTとして定義されない。
研究集団の選択
包含基準:研究に参加する資格を持つために、被験体は以下の基準を満たさなければならない:
1. 18歳以上の男性且つ女性の被験体。
2. RECIST 1.1に従い測定可能な、膵臓の組織学的又は細胞学的に確認された転移性の管状腺癌。
3. 無作為化の前6週間以内に転移性疾患が診断されなければならない。
4. 以前に全身治療を受けていない(進行が最後の処置又は手術それぞれから>6か月生じた場合にはアジュバント又はネオアジュバント治療以外、nab-パクリタキセルを受けていない)、転移性膵管腺癌を持つ処置を受けていない被験体。
5. 以下を含む適切な血液、肝臓、及び腎臓の機能:
-ヘモグロビン≧9g/dL
-好中球絶対数≧1500/mm
-血小板数≧100000/mm
-文書化されたジルベール症候群(>3xULN)を持つ被験体を除く、総ビリルビン≦1.5x正常上限(ULN)
-アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)及びアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)≦2.5xULN;肝転移を伴う被験体では、ALT及びAST≦5xULN
-アルブミン≧3mg/dL
-コッククロフトとゴールトの式により判定されるような、血清クレアチニン≦1.5mg/dL又は計算されたクレアチニンクリアランス≧50mL/min
-0又は1のECOG。
6. スクリーニング時及び1日目に出産の可能性、即ち陰性の血清妊娠試験結果を持つ女性。
7. 研究中(適切なものとして男性と女性の両方)に、及び治験薬の最後の投与後の3か月にわたり、以下のリストから2つの医学的に許容され且つ有効な方法を快く使用する:
-避妊の経口の、注入された、又は移植されたホルモン法の確立された使用
-子宮内器具又は子宮内システムの配置
-障害式避妊法:殺***発泡剤/ゲル/フィルム/クリーム/坐薬を伴う、コンドーム又は閉塞性キャップ(ペッサリー、又は子宮頸/円蓋キャップ)
-男性不妊手術(***液中の***の欠如の適切な精管切除後の文書化を伴う)
-正確な禁欲:これが被験体の好ましい且つ通常のライフスタイルと一致する場合。
8. ICFに署名。
9. 平均余命≧12週間。
除外基準:以下の基準のうちの何れかを満たす被験体は、研究参加の資格を持たない:
1. 島細胞腫瘍又は局所進行疾患。
2. 治験薬の最初の投与の4週間又は5つの半減期(より短い方)以内の、化学療法、ホルモン療法、又は免疫療法或いは試験用薬物、及び/又は、臨床的に関連すると考慮される以前の抗癌治療の毒性の持続性。
3. 治験薬の最初の投与日の14日以内、及び研究処置中の、シトクロムP450(CYP)2C19、CYP3A4、CYP2C8、及びCYP2E1の強固な阻害剤又は誘発因子であると知られる薬物での処置。
4. 過去5年以内に診断された他の悪性腫瘍(手術又は放射線療法で以前に処置された、治癒的に処置された子宮頚上皮内癌、非黒色腫皮膚癌、表在性膀胱腫瘍Ta[非侵襲性腫瘍]及びTIS[上皮内癌]、或いは、ステージ1~2の非転移性前立腺癌を除き、血清前立腺特異抗原は正常限界内にある[治験薬の最初の投与日前の過去12か月以内に行なわれた試験])。
5. 重度の活性感染症を持つ被験体(即ち、静脈内の抗生物質、抗真菌剤、又は抗ウイルス剤を必要としている)。
6. 既知のヒト免疫不全ウイルス、活性B型肝炎、又は活性C型肝炎を持つ被験体。
7. 調査者の意見では被験体の安全性を損なわせ或いは治験薬の安全性の評価に干渉する、他の生命にかかわる病気又は臓器系の機能障害を持つ被験体。
8. 物質乱用又はアルコール乱用があると分かっている、或いはその疑いがある。
9. 進行中又は活性な感染症、症候性のうっ血性心不全、制御されていない高血圧、不安定狭心症、心不整脈、間質性肺炎、又は、研究要求の遵守を制限し、研究処置からAEを発生するリスクを実質的に増加させ、又は被験体がインフォームドコンセントを書面で提供する能力を損なわせる精神病/社会的状況を含むがこれらに限定されない、制御されない併発性の病気。
10. 経口薬を飲み込むことができない、或いは、下痢を伴う最近の急性胃腸障害、例えばクローン病、消化不良、又は基線での病因学のCTCAE等級>2の下痢。
11. 妊娠中又は授乳中の女性の被験体、或いは、有効な避妊方法を利用していない、生殖能を持つ男性又は女性の被験体。
被験体の離脱:被験体は研究参加の同意を撤回し、或いは、調査者は先入観無しにいつでも被験体を離脱させる場合がある。被験体は、以下の条件のうち何れかが生じた場合に、研究又は研究処置から離脱させられる:
1. 応答基準に従った疾患進行の文書化。
2. 許容不能な毒性。
3. 被験体が自身のインフォームドコンセントの撤回を決定する。
4. 調査者が、被験体がこれ以上物理的及び/又は心理的に研究に留まることができるではないと考慮する。
取り換え手順:用量漸増段階中、第1のサイクルでDLTを受けず、且つ以下の何れかを満たす被験体を、新たな被験体と取り替えねばならない:
・全ての計画された試験処置の投薬が、第1の28日間のサイクルで完了していない。
・全ての計画された試験処置の投薬が、遅れ有り/無しで完了している;しかし、何れかの薬物の計画された全用量のうち90%は、第1のサイクルで投与されない。
いつ研究治療レジメンを終えるべきかに関する、調査者へのガイダンス:被験体は研究参加の同意を撤回し、或いは、調査者は無しにいつでも被験体を離脱させる場合がある。被験体は、下記条件のうち何れかが満たされた場合に、研究又は研究処置から離脱させられる:
1. 追跡から消えた。
2. 被験体が研究を継続する場合に調査者又はスポンサーが被験体の安全性に危険を及ぼし得る、何らかのAE又は医学的疾病。
3. 妊娠している、又は妊娠の意図がある。
4. 調査者又はスポンサーの意見において、研究薬物からの離脱を是認する、被験体の非遵守(例えば、予定されていた訪問への順守の拒絶)。
5. 別の治験薬を含む代替的な抗癌治療の開始。
6. 進行性疾患の確認、及び、被験体がこれ以上研究処置から利益を得ないという調査者による判断。
7. スポンサーが研究を終了する。研究を終了する理由は、限定されないが次のものを含む:この研究又は他の研究におけるAEの発生率又は重症度が被験体に対する潜在的な健康上の危険を示す;被験体の登録が不十分である。
研究治療レジメンからかなり早く中断させられ、或いは研究から離脱させられた被験体の追跡:
被験体は全て、研究処置の最後の投与を受けた28日後に、安全性追跡の訪問に参加する。治験薬をかなり早く中止した被験体は、訪問の早期終了のために診療所に戻るよう要求され、追跡評価を受ける場合がある。かなり早い治験薬中止の主な理由は、適切な電子症例報告書(eCRF)上で文書化されねばならない。
被験体の処置
施される処置:化合物1を、100mgのカプセルで与えられた200~300mgの用量(計画された用量レベル)のTIDで投与する(結果として600mg~900mgの毎日の投与がもたらされる)。研究SMCによって判定されるように付加的な用量レベルを調べてもよい。1回目(0日目)、3回目(28日目)、4回目(42日目)、5回目(56日目)、及び6回目(84日目)の訪問、及び拡大段階に入る被験体のためのその後の訪問時に、治験薬を#2のカプセル(100mg)に充填し、次に光保護されたポリエチレンボトルに包装して、各分配のためにキャップと合わせられた1個のポリエチレンキャップライナーで閉じた。治験薬は、各国ごとの必要条件に従いラベル付けされる。様々な用量のアントロキノノールが、試験の第1の用量漸増部分のために計画される。用量漸増は、DLTの発生に基づいて3+3の設計に従う。アントロキノノールの開始用量は200mgのTIDであり、これは、NSCLCにおいて進行中の第II相単一薬剤において現在調べられている用量である。DLTが無く、DLTを持つ被験体が1/6の場合、用量は300mgのTIDに増大される。1回の用量分(MTD又はMFD)を、試験のコホート拡大部分において調査する。
被験体は、調査者により判断されるような臨床的効果を示し続ける限り、及び中止基準が無い状態で、アントロキノノールを受ける。アントロキノノールは、食事又は軽食のおよそ15分後に8時間ごとに摂取されなければならず、エタノール含有飲料、例えばアルコール飲料の摂取の±1時間以内には摂取してはならない。予定された時間に用量を摂取することを忘れた又は摂取することができない被験体は、可能な限り早急に用量を摂取するように指示されねばならない。被験体は、次の予定された用量の前に上述の用量を摂取することを思い出さない、又は摂取することができない場合、予定された用量を摂取しなければならず、摂取し忘れた用量は補填されない。各治験薬の投与の日付及び時間を、被験体の日記に記録しなければならない。
ゲムシタビンと組み合わせたnab-パクリタキセルの推奨された用量は、各28日間のサイクルの1日目、8日目、及び15日目での、30分にわたるIV注入を介して125mg/mである。ゲムシタビンの同時に推奨された用量(RD)は、各28日間のサイクルの1日目、8日目、及び15日目での、nab-パクリタキセル投与の完了直後の30分にわたるIV注入を介して1000mg/mである。nab-パクリタキセル+ゲムシタビンでの処置は、許容不能な毒性又は疾患が進行するまで持続する。臨床的実践と地方条例につき、被験体毒性の場合、15日目の処置の実行を省略することができる。この場合、後のサイクルの開始は、第1のサイクルの実行(サイクル1、DLT時間を除く)の22日目に早期に開始される。腫瘍評価スケジュールは変更されない(即ち、評価は引き続き8週ごとである)。
各被験体の用量の選択及びタイミング:研究の用量漸増部品において、被験体を登録し、3+3の用量漸増設計に従い連続して処置する。コホート拡大部分において、被験体を登録し、平行して処置する。
有効性及び安全性の変動
有効性評価:RECIST 1.1基準を使用して、ORR、DoR、DCR、PFS、3か月でのPFS、及び6か月でのPFSを判定することにより、処置に対する被験体の反応を評価する。測定可能な、非測定可能な、標的の、及び非標的の病変に関するRECIST 1.1ガイドライン、及び、他覚的な腫瘍反応基準(完全寛解[CR]、部分寛解[PR]、安定した疾患[SD]、又は進行性の疾患)を、固形腫瘍ガイドラインのバージョン1.1における改訂された反応評価基準、即ち補足説明の追加を伴う元の刊行物からの改作物(adaptation)に基づいて提示する。OS、6か月のOS、及び12か月のOSも評価する。
基線評価は、研究処置の開始のわずか28日前に行わなければならず、理想的には、研究処置の開始に可能な限り近い時点で行なわなければならない。全ての被験体に関する有効性を、他覚的な疾患進行が確認されるまで、最初の12か月にわたり8週ごと、その後12週ごとの他覚的な腫瘍評価によって評価する。予定外の評価が行なわれ、且つ被験体に進行がない場合、被験体の予定された訪問時に次の評価を行なうためにあらゆる試みが行なわれなければならない。
進行性疾患の初期の実証の後、確認の走査が要求される。確認の走査は好ましくは、次の予定された訪問時、及び、臨床的に有意な変質がない状態の進行性疾患の初期評価のわずか4週後に、行なわなければならない。処置は、進行の初期評価と進行の確認との間にわたり継続する。被験体は、進行前に処置を中止する(及び/又は、後の抗癌治療を受ける)場合、他覚的な疾患進行が確認されるまで今なお従い続けなければならない。
他覚的な腫瘍反応(CR又はPR)は好ましくは、次の予定された訪問時に、及び、反応が最初に観察された訪問の僅か4週後に確認されなければならない。
進行を確認した後、被験体は、2か月(8週)ごとに生存について追跡され続けなければならない。加えて、被験体は全て、生存状況を確認するためのデータカットオフ後に、その週に連絡を受ける。
安全性評価:全ての被験体に関する研究の全体にわたり安全性をモニタリングする。安全性データの解析を、安全性解析セットを使用して実行する。
有害事象:
定義:スポンサーによって使用されるような用語「有害事象(adverse event)」は、FDAにより使用される用語「有害事象(adverse experience)」と同義である。
AEは、因果関係にかかわらず、スポンサーの被験物質での臨床研究に参加するヒトに生じる兆候、症状、疾患、又は研究所或いは生理的な観察の形態での、不運な、望まれない、計画されていない臨床的事象である。これは以下を含む:
・持病の臨床的に有意な悪化
・注意:感染症の初期部位以外の部位での治療中の臨床的事象に関連した新たな病原体の出現は、AEであると考慮される。
・持病の再発
・偶発的又は意図的にかかわらず、過剰用量のスポンサーの治験薬(即ち、臨床的な理由でヘルスケア専門家により処方されたものよりも高い用量)から生じるAE
・スポンサーの治験薬の乱用(即ち、非臨床的な理由での使用)から生じるAE
・スポンサーの治験薬の使用の中止に関連したAE。
注意:手順はAEではないが、手順の理由はAEの場合もある。
持病は、被験体がICFに署名する前に診断され、且つ被験体の病歴の一部として文書化される、臨床的疾病(処置されている疾病を含む)である。
研究の活動期の開始前に疾病が存在するかどうか、及びその疾病が重症度及び/又は度数を増大させたかどうかに関する問題を用いて、事象がTEAEであるかどうかを判定する。AEは、(1)研究の活動期が始まる時に存在し、且つ被験体の病歴の一部である慢性疾病ではない場合、又は(2)研究の活動期の開始時に又は被験体の病歴の一部として存在するが、活動期中に重症度又は頻度が増大する場合に、処置中に発生したもの(treatment-emergent)と考慮される。研究の活動期は、治験薬の最初の投与時に始まる。研究の活動期は追跡訪問時に終了する。
有害事象の報告:各訪問時に、調査者、又は代表者は、AEが生じたか否かを判定する。被験体は一般的な方法で質問され、特異的な症状は示唆されない。何らかのAEが生じているばあい、それらをeCRFのAEセクション、及び被験体の医療記録に記録する。知られているものであれば、診断書は、個々の兆候及び症状の記入に先立って記録される。
有害事象報告は、インフォームドコンセント時から始まり、IMPの最後の投与の30日後に終了する。
重症度の評価:NCI CTCAE(バージョン4.03)に関するAE重症度の等級化尺度を、AE重症度の評価のために使用する。NCI CTCAEに具体的に記入されていないAEについては、以下の定義を使用する:
・等級1:軽度;無症候性又は軽度の症状;臨床的又は診断上の観察のみ;又は示されていない介入。
・等級2:中程度;示される最小、局所、又は非侵襲性の介入;又は年齢に適切な手段的日常生活動作の制限。
・等級3:重度、又は医学的に重大であるが、直ちに生命を脅かす危険がない;示される入院、又は入院の延長;不能状態;又はセルフケアの日常生活動作の制限。
・等級4:示される生命を脅かす危険のある結果又は緊急の介入。
・等級5:AEに関連する死亡。
処置を研究する関係:調査者は、以下のガイドラインに従って4つのカテゴリーのシステムを使用して、AEと治験薬との関係の判定を行う:
・関連無し:薬物投与との非互換的な時間関係を持ち、且つ、基礎疾患又は他の薬物或いは化学物質によって説明され得、又は治験薬と明らかに関連がない、臨床的事象。
・可能性が低い:薬物投与との時間関係が因果関係を起こりそうになくするが、基礎疾患又は他の薬物ある以下化学物質によってもっともらしく説明され得る、臨床的事象。
・可能性が高い:治験薬投与との妥当な期間関係を持つが、併発症又は他の薬物或いは化学物質によっても説明され得る、臨床的事象。
・明白:治験薬投与との妥当性のある時間関係を持ち、且つ併発症又は他の薬物或いは化学物質によって説明され得る、臨床的事象。
有害事象の追跡:因果関係の決定を下す際に、基礎疾患、併用薬、及び治験薬の投薬時間に対する事象の発症の時間的関係、並びに再誘発(re-challenging)の結果の情報を考慮に入れることが、調査者にとって重要である。疾病の回復又は安定まで各AEの結果を積極的に追跡することは、調査者の責任であり、膵臓癌の代替的な処置は、治験薬の最後の投与の6か月後、又は追跡の損失の6か月後に、どちらが最初に生じても、始められる。重度の毒性又は治験薬関連の毒性の事象において、被験体は回復又は安定まで追跡される。安全な追跡データを、研究訪問が終わった後で3か月ごとに電話連絡によって集めてもよい。
重篤有害事象:重篤有害事象(SAE)は、以下の基準のうち1つ以上をみたす用量で生じるAEである:
・死の結果をもたらす
・生命を脅かす(以下を参照)
・被験体の入院、又は現存の入院の延長を必要とする(以下を参照)
・持続的又は重大な身体障害又は不能状態を結果としてもたらす(以下を参照)。
・先天性異常又は出生異常を結果としてもたらす
・重大な医療事象を結果としてもたらす(以下を参照)。
加えて、死亡をもたらさない、生命を脅かさない、入院を必要としないこともある重大な医療事象は、適切な医学的判断に基づき、被験体又は被験体に危険を及ぼし、上記にて列挙される結果の1つを防ぐために医学的又は外科的介入を必要とし得る場合、SAEと考えられ得る。そのような事象の例は、緊急処置室又は家での集中治療を必要とするアレルギー性気管支痙攣、入院を必要としない血液疾患又は痙攣、又は薬物依存或いは薬物乱用の進行を含む。
生命を脅かすAEは、事象が生じるとその事象により直ちに死亡する危険に被験体をさらす、AEである。生命を脅かす事象は、より重度の形態で死亡を引き起こし得るが、実際に生じると直ちに死亡する危険をもたらさなかった事象を含まない。例えば、より重度の性質の薬物性肝炎が致死的となり得たとしても、肝不全の証拠無しに回復した薬物性肝炎は、生命を脅かすとは考慮されない。入院は、一晩の入院許可としてのみ考慮されなければならない。
入院、又は入院の延長は、AEが重度であると考慮するための基準である。AEが無い状態では、関与する調査者は、入院、又は入院の延長を報告するべきでない。
加えて、悪化していない持病のための研究の開始の前に計画された入院は、SAE(例えば、研究中に悪化していない膝の変形性関節症の持病が原因の、人工膝関節全置換術のための待機入院)を構成しない。
身体障害は、人が通常の生命機能を行なう能力の相当な崩壊として定義される。利用可能な情報に基づいて、ある症例がAE又はSAEを構成するかどうかに関して何らかの疑問がある場合、その症例はSAEとして処置されねばならない。
代替的に、医学的且つ科学的な判断は、重大な医療事象が直ちに生命を脅かさない、或いは結果として死亡、入院、身体障害、又は不能状態をもたらさない状況において症例が重大かどうかを決定する際に、行使されねばならない。これらは、被験体に危害を及ぼし得る、又は医学的介入が重度の定義に記入される1つ以上の結果を防ぐことを要求し得る、事象を含む。
薬物動態解析
非コンパートメントPK解析を、個々の血漿濃度データについて行なう。PhoenixTM WinNonlin(登録商標)バージョン6.4以上(Certara USA,Inc.)などの商用のソフトウェアを使用してPK分析を行なう。最大の血漿濃度(Cmax)、トラフ(前用量)、濃度(Ctrough)、及びCmaxの時間(Tmax)を、観察したデータから直接入手する。血漿濃度-時間曲線下面積(AUCτ)を、線形の台形法則を使用して計算する。PKパラメータを各個体について記入し、記述的統計(サンプルサイズ[N]、相加平均、標準偏差、変動係数[CV%]、中間、最小、最大、及び幾何平均)を使用して処置群ごとに要約する。個々の濃度データを記入し、記述的統計(N、相加平均、標準偏差、中間、最小、最大、幾何平均、及びCV%)で処置群ごとに要約する。平均及び個々の血漿濃度時間プロファイルを、線形及び半対数のスケール両方で図式的に提示する。
実際の薬物投与時間及びサンプル収集環を、症例報告書に記録されるような解析のために使用する。定量化の下限より下の血漿濃度を、解析のためにゼロに設定する。薬物動態パラメータ評価は、提示のための3又は4の有効数字である。欠測値を推定する試みは行なわない。適切なものとして他のパラメータ及びデータ取り扱い手順を加えてもよい。活性アントロキノノールを与えられ、且つ評価可能な濃度時間プロファイルを持つ被験体のみを、解析に含める。統計分析は全て、非曲線的な(nonrounded)パラメータ評価を使用する。
集団PK(PopPK)モデルの開発及び解析を、混合効果の方法を使用して行なってもよい。投薬、サンプリング、人口統計学、及び各被験体からの検査値を、占有数解析に適しているデータベースに組み入れる。非線形の混合効果のモデルを、NONMEM(Globomax, Ellicot City, MD)を使用して開発する。様々な構造モデルをデータにより示されるように評価する。共変量効果(年齢、性別、人種、体の大きさ、タバコ歴等)を評価し、一変量法又は多変量法を使用してモデルに組み込む。一旦最適なモデルが確立されると、これは、視覚の予測的なチェック及びブートストラップ解析などの標準分析法を使用して検証される。
上述のPopPKモデル又は濃度観察からのアントロキノノール曝露の事後推定(即ち、モデルはCmax、Ctrough、及びAUCτを予測した)に基づいて、起こり得る曝露-曝露/濃度の関係を評価することができる。
統計的方法
一般的な考慮:研究報告の目的のために、以下の態様が考慮される:
・記述的統計及びグラフ式表現が主な解析ツールである。
・研究の両段階のための全ての被験体セットを使用して被験体の性質(disposition)を各用量レベルについて報告し、研究の用量漸増段階のみについて被験体のプロファイルを提示する。
・全ての解析のために、結果、及び個々の被験体データのグラフ表示を、用量レベルごとに示す。被験体が第1の処置時に割り当てられた用量レベルを全ての出力上で示す。
記述的統計とグラフ表示を、各用量レベルのデータを要約するために使用する。以下の要約した統計学を使用して、他に明記されない限り、それらの性質に基づいて用量レベルあたりの試験データを要約する:
・連続変数:不足無しの観察(N)、平均、標準偏差、中間、最小、及び最大の数;95%のCIは適切な場合に提示される。
・カテゴリー変数:度数及びパーセンテージ。
統計解析の詳細を統計解析計画書に提示する。
有効性解析
第1評価項目:
用量漸増段階:サイクル1中に各用量レベルでDTLを受ける被験体の数及び割合は、DLT解析セット上で評価する。
コホート拡大段階:各カテゴリー(CR、PR、SD、及び進行性疾患)において最良の全体反応を伴う被験体の記述的な要約;他覚的奏効率(CR+PR);RECIST 1.1に従う95%のCIを伴う病勢コントロール率(CR+PR+SD[≧16週のSD])を、有効性解析セット上で行なう。
固形腫瘍における基準(RECIST)バージョン1.1を中間OS時間について行ない、95%のCIを伴うPFS時間を、完全解析セット上でカプラン-マイヤー法を使用して評価する。OSは、治験薬の第1の投与から被験体が死亡するまでの時間として定義される。PFSは、治験薬の最初の投与から疾患進行の開始までの時間、又は被験体が死亡するまでの時間として、どちらが最初に生じても、定義される。
第2評価項目の解析:第2のエンドポイントのデータを、用量レベル、被験体、及び訪問(適用可能な場合)ごとに記入する。第2のエンドポイントを、関連する解析セットにおいて用量レベルごとに記述的に分析する。
安全性及び耐用性の解析:TEAEを受ける被験体の数及び割合;薬物曝露;試験薬物と関連すると判断された、研究所パラメータの臨床的に有意な変化、生命徴候、身体検査、重量、ECOGパフォーマンスステータス、ECG、及び/又はパルスオキシメトリ;及び、死亡の数と理由を、要約する。
安全性評価は、AE(又はTEAE)の発生率、実験室試験結果、生命徴候、ECG結果、及び身体検査の所見を含む。安全性データの全ての要約は、安全性解析セットに基づく。安全性データの形式上の統計解析は行なわれない。
要約表は、用量レベル及び国際医薬用語集SOC、及び適用可能な場合は優先使用語によって、全ての副作用(AE)について提示される。以下のAEの発生率及び型を分析する。
AEは、第1の研究処置の後に生じた場合、又は第1の研究処置前に生じてその後で悪化した場合、「処置中に発生したもの」と考慮される。
TEAEの要約表は、被験体の計数を含む。それ故、被験体が特定のAEのうち1より多くの発症を経験した場合、被験体はその事象のために1回だけ計数される。被験体に同じ優先使用語へとコードされる1より多くのAEがある場合、被験体はその優先使用語のために1回だけ計数される。同様に、SOC内に1より多くのAEが被験体にある場合、被験体はそのSOCにおいて1回だけ計数される。
全ての死亡、及び研究処置の最後の投与の30日以内の死亡の他、死亡の理由を、用量レベルごとに作表する。薬物曝露を用量レベルごとに要約する。
記述的統計(被験体の数、平均、標準偏差、最小、最大、同様に、基線からの平均変化、平均変化に関する平均及び標準誤差の標準偏差、最小、中間、最大、及び特定のカテゴリー内の被験体の数とパーセント)を使用して、臨床的に有意な実験室試験変数を、用量レベル及び訪問(適用可能な場合)ごとに要約する。シフト表(即ち、正常範囲の下限より下、正常範囲の限度内、及び、基線対予定された訪問での正常範囲の上限より上のクロス集計)を、実験室試験(適用可能な場合)ごとに提示する。基線からの変化又はシフト表解析により解析することができない、明白な結果を伴う実験室試験は、これらの要約に含まれないが、記入される。プロトコルによって必要とされない実験室試験から得たデータは要約されないが、記入される。
各訪問時の生命徴候、重量、及びECG結果の記述的統計を、処置群ごとに提示する。身体検査の所見を、各被験体ごとに記入する。全奏功率とDCRを、用量レベルごとにClopper及びPearsonの方法をして計算された95%のCIと共に推定する。
薬物動態解析
薬物動態サンプリング:PKのサンプリングを、以下の時点で第1段階に登録された全ての被験体において0日目と28日目に行なう:
・0日目:(1つのサンプルにつきおよそ5mL、合計60mL)最初の投与の30分前、及び0.5、1、2、3、4、6、及び8時間後。
・28日目:(1つのサンプルにつきおよそ5mL、合計60mL)28日目の最初の投与の直前、及び0.5、1、2、3、4、6、及び8時間後。
まばらなPKのサンプリングを、ステージ2で登録された全ての被験体において、28、42、及び56日目に行なう。少なくとも2つのサンプルを各機会に集め、そのうちの1つは、トラフ濃度である(28、42、56日目の最初の投与の30分前、及び前日の最後の投与のおよそ8時間後)。被験体につき少なくとも1つのサンプルは、最大濃度と一致するように時間調整される(最初の投与の3時間後)。残りは、投与間隔中にいつでも摂取されてもよい。
各血液サンプルを、アントロキノノール血漿濃度について解析し、完全に検証された生物学的分析法(分析法検証報告書及び生物学的分析報告書のコピーは、臨床研究報告書に含まれる)を使用してアントロキノノールの投与後のPKパラメータを判定する。
薬物動態サンプリングの手順:
血液サンプル:静脈血のサンプルを、予定されたサンプル時間で5mLのナトリウムヘパリンVacutainer(登録商標)チューブの中で得る。収集直後、チューブを優しく8~10回反転させ、抗凝血薬を血液サンプルと混合する。全てのサンプルを処理し、収集後1時間以内に冷凍装置に入れる。血漿分画を、3000rpmで10分間、冷凍遠心機(4℃)に収集チューブを入れることにより分離する。血漿蛋画をピペットにより引き抜き、2つのポリプロピレン冷凍チューブに分ける(各チューブはほぼ等しいアリコートを受ける)。サンプル収集及び冷凍チューブを全て、被験体番号、研究機関、及び収集時間により明白にラベル付けする。ラベルが冷凍後に剥がれるのを防ぐ方法で、ラベルを冷凍チューブに固定する。全ての血漿サンプルを、収集後1時間以内に-70℃で冷凍装置に入れる。
解析的方法論:治験薬の濃度を、検証された解析法を使用して血漿サンプルから判定する。方法の検証及びサンプル解析の詳細は、最終の臨床研究報告書に含まれる。
予備的な結果:
毎日600mgを投与される患者からの予備的な結果は、患者の腫瘍サイズ(mm)が3回目のサイクル(8週間の処置)の完了後に減少したことを示す。1人の患者の腫瘍サイズは91mmから84mmまで、7.6%減少し、別の患者の腫瘍サイズは、50mmから39mmまで、22%減少した。予備的な腫瘍サイズの減少は更に、動物研究に示されるような膵臓癌に対する、典型的な化合物1とパクリタキセル及びゲムシタビンなどの現行の臨床的化学療法剤とを含む本発明の組成物のより優れた予想外の治療効果を支持する。
本発明の好ましい実施形態が本明細書中で示され且つ記載されてきたが、このような実施形態はほんの一例として提供されるものであることは、当業者に明らかであろう。多数の変形、変更、及び置き換えは、本発明から逸脱することなく、当業者によって現在想到されるものである。本明細書に記載される本発明の実施形態の様々な代案が、本発明の実施において利用されるかもしれないことを理解されたい。以下の特許請求の範囲は本発明の範囲を定義するものであり、この特許請求の範囲及びその同等物の範囲内の方法及び構造は、それにより包含されることが、意図されている。

Claims (5)

  1. 式1を有する化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、或いは溶媒和物、及び1つ以上の抗癌剤を含む、被験体の膵臓癌を処置するのに使用するための組成物であって、
    ここで、前記1つ以上の抗癌剤は、エルロチニブ、5-FU、オキサリプラチン、イリノテカン、ゲムシタビン、パクリタキセル、またはそれらの組み合わせである、
    組成物。
  2. 前記1つ以上の抗癌剤は、ゲムシタビン、パクリタキセル、又はそれらの組み合わせである、ことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
  3. 自身の膵臓癌が、ゲムシタビン、パクリタキセル、又はそれらの組み合わせに対して抵抗性があり、難治性であり、或いは反応しない患者の処置に使用するための、式1を有する治療上有効な量の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、或いは溶媒和物含む、医薬組成物。
  4. 前記化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、或いは溶媒和物が、経口、非経口、静脈内、又は注入によって投与される、請求項1又はに記載の組成物。
  5. 免疫療法剤を更に含む、請求項1又はに記載の組成物。
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