JP7371616B2 - 包装材料及び包装材料を備えるレトルトパウチ又は電子レンジ用パウチ - Google Patents

包装材料及び包装材料を備えるレトルトパウチ又は電子レンジ用パウチ Download PDF

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Description

本発明は、包装材料及び包装材料を備えるレトルトパウチ又は電子レンジ用パウチなどの包装製品に関する。
従来、飲食品、医薬品、化学品、化粧品、衛生用品、日用品その他等の種々の物品を充填包装する袋や容器などの包装製品を構成するための包装材料として、種々の包装材料が開発され、提案されている。包装材料は、少なくとも1つの延伸プラスチックフィルムと、包装材料同士を溶着させるためのシーラント層とが少なくとも積層された積層体から構成される。例えば特許文献1は、包装材料として、延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、シリカ蒸着延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、アルミナ蒸着延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、延伸ナイロンフィルム、延伸ポリプロピレンフィルム、またはポリプロピレン/エチレン-ビニルアルコール共重合体共押共延伸フィルム、またはこれらの2以上のフィルムを積層した複合フィルムを用いることを提案している。
特開2015-120550号公報
包装製品を構成するための包装材料には、先端が尖った鋭利な部材が包装製品に接触した場合にも包装製品が破けてしまうことを抑制するための剛性を有することが求められる。
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、剛性を有する包装材料を提供することを目的とする。
本発明の一実施形態は、包装材料であって、
基材及びシーラント層を備え、
前記基材は、ポリエステルを主成分として含む二軸延伸プラスチックフィルムを1つのみ有し、
前記包装材料の1つの方向におけるループスティフネスを前記包装材料の厚みで割った値が0.00085〔N/μm〕以上である、包装材料である。
本発明の一実施形態は、包装材料であって、
基材及びシーラント層を備え、
前記基材は、ポリエステルを主成分として含む二軸延伸プラスチックフィルムを1つのみ有し、
前記二軸延伸プラスチックフィルムは、1つの方向において0.0017N以上のループスティフネスを有する、包装材料である。
本発明の一実施形態は、包装材料であって、
基材及びシーラント層を備え、
前記基材は、ポリエチレンテレフタレートを主成分として含む二軸延伸プラスチックフィルムを1つのみ有し、
前記包装材料の突き刺し強度が12N以上である、包装材料である。
本発明の一実施形態は、包装材料であって、
基材及びシーラント層を備え、
前記基材は、ポリエステルを主成分として含む二軸延伸プラスチックフィルムを1つのみ有し、
少なくとも1つの方向において、前記二軸延伸プラスチックフィルムの引張強度を引張伸度で割った値が2.0〔MPa/%〕以上である、包装材料である。
本発明の一実施形態による包装材料において、前記二軸延伸プラスチックフィルムは、ポリエチレンテレフタレートを主成分として含んでいてもよい。
本発明の一実施形態による包装材料において、前記包装材料の突き刺し強度が12N以上であってもよい。
本発明の一実施形態による包装材料は、印刷層を備えていてもよい。
本発明の一実施形態による包装材料は、前記前記二軸延伸プラスチックフィルムの面上に位置する蒸着層と、前記蒸着層上に位置するガスバリア性塗布膜と、を備えていてもよい。
本発明の一実施形態による包装材料において、前記シーラント層は、ポリプロピレンを主成分として含んでいてもよい。
本発明の一実施形態による包装材料において、前記シーラント層は、100℃以上の融点を有するポリエチレンを含んでいてもよい。
本発明の一実施形態による包装材料において、前記シーラント層は、ポリエチレン又はポリプロピレンを主成分とする第1層と、第1層よりも内面側に位置し、ポリエチレンとポリプロピレンの混合樹脂を含む第2層と、を有していてもよい。
本発明の一実施形態は、上記記載の包装材料を備えるレトルトパウチである。
本発明の一実施形態は、収容部を有する電子レンジ用パウチであって、
蒸気記載の包装材料と、
前記包装材料の内面同士を接合するシール部であって、前記収容部の圧力の増加により剥離する蒸気抜きシール部を含むシール部と、を備える電子レンジ用パウチである。
本発明によれば、剛性を有する包装材料を提供することができる。
本発明の第1の実施の形態における袋を示す正面図である。 袋を構成する包装材料の層構成の一例を示す断面図である。 袋を構成する包装材料の層構成の一変形例を示す断面図である。 ループスティフネス測定器の一例を示す平面図である。 図4のループスティフネス測定器の線V-Vに沿った断面図である。 ループスティフネス測定器で用いられる試験片を準備する方法の一例を示す図である。 ループスティフネス測定器に試験片を取り付ける工程を説明するための図である。 試験片にループ部を形成する工程を説明するための図である。 試験片のループ部に荷重を加える工程を説明するための図である。 試験片のループ部に荷重を加える工程を説明するための図である。 シーラント層の層構成の一例を示す図である。 袋に内容物を充填する方法の一例を示す図である。 袋の一変形例を示す正面図である。 袋の一変形例を示す正面図である。 包装材料を含む容器の一例を示す縦断面図である。 包装材料を含む容器の一例を示す平面図である。 第2の実施の形態による包装材料の一例を示す断面図である。 第2の実施の形態による包装材料の一例を示す断面図である。 バリア性積層フィルムの基材の一例を示す断面図である。 バリア性積層フィルムの蒸着層を、飛行時間型二次イオン質量分析計により分析した結果の一例を示す図である。 基材に蒸着層を成膜する成膜装置の一例を示す図である。 突き刺し強度の測定方法の一例を示す図である。 衝撃強度を評価するための試験片を示す平面図である。 図22に示す試験片の断面図である。 衝撃強度の測定方法の一例を示す図である。 引き裂き性を評価するための試験片を示す平面図である。 実施例A1~A3、参考例A4~A5及び比較例A1~A2の評価結果を示す図である。 実施例A1~A3及び比較例A1~A2の評価結果を示す図である。 実施例C1、参考例C2~C3の評価結果を示す図である。 実施例C1、参考例C2~C3の評価結果を示す図である。
第1の実施の形態
図1乃至図12を参照して、本発明の実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから適宜変更し誇張してある。
また、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
図1は、本実施の形態による袋10を示す正面図である。袋10は、内容物を収容する収容部17を備える。なお、図1においては、内容物が収容される前の状態の袋10が示されている。以下、袋10の構成について説明する。

本実施の形態において、袋10は、自立可能に構成されたガセット式の袋である。袋10は、上部11、下部12及び一対の側部13を含み、正面図において略矩形状の輪郭を有する。なお、「上部」、「下部」及び「側部」などの名称、並びに、「上方」、「下方」などの用語は、ガセット部を下にして袋10が自立している状態を基準として袋10やその構成要素の位置や方向を相対的に表したものに過ぎない。袋10の輸送時や使用時の姿勢などは、本明細書における名称や用語によっては限定されない。
本実施の形態においては、袋10の幅方向を、第1方向D1とも称する。上述の一対の側部13は、第1方向D1において対向している。また、第1方向D1に直交する方向を、第2方向D2とも称する。本実施の形態の袋10においては、第1方向D1に沿って消費者が袋10を引き裂くことにより袋10を開封する、という使用形態が想定されている。
図1に示すように、袋10は、表面を構成する表面フィルム14、裏面を構成する裏面フィルム15、及び、下部12を構成する下部フィルム16を備える。下部フィルム16は、折り返し部16fで折り返された状態で、表面フィルム14と裏面フィルム15との間に配置されている。
なお、上述の「表面フィルム」、「裏面フィルム」及び「下部フィルム」という用語は、位置関係に応じて各フィルムを区画したものに過ぎず、袋10を製造する際のフィルムの提供方法が、上述の用語によって限定されることはない。例えば、袋10は、表面フィルム14と裏面フィルム15と下部フィルム16が連設された1枚のフィルムを用いて製造されてもよく、表面フィルム14と下部フィルム16が連設された1枚のフィルムと1枚の裏面フィルム15の計2枚のフィルムを用いて製造されてもよく、1枚の表面フィルム14と1枚の裏面フィルム15と1枚の下部フィルム16の計3枚のフィルムを用いて製造されてもよい。
表面フィルム14、裏面フィルム15及び下部フィルム16は、内面同士がシール部によって接合されている。図1などの袋10の平面図においては、シール部にハッチングが施されている。
図1に示すように、シール部は、袋10の外縁に沿って延びる外縁シール部を有する。外縁シール部は、下部12に広がる下部シール部12a、及び、一対の側部13に沿って延びる一対の側部シール部13aを含む。なお、内容物が収容される前の状態の袋10においては、図1に示すように、袋10の上部11は開口部11bになっている。袋10に内容物を収容した後、表面フィルム14の内面と裏面フィルム15の内面とを上部11において接合することにより、上部シール部11a(図6参照)が形成されて袋10が封止される。
側部シール部13a及び上部シール部11aは、表面フィルム14の内面と裏面フィルム15の内面とを接合することによって構成されるシール部である。一方、下部シール部12aは、表面フィルム14の内面と下部フィルム16の内面とを接合することによって構成されるシール部、及び、裏面フィルム15の内面と下部フィルム16の内面とを接合することによって構成されるシール部を含む。
対向するフィルム同士を接合して袋10を封止することができる限りにおいて、シール部を形成するための方法が特に限られることはない。例えば、加熱などによってフィルムの内面を溶融させ、内面同士を溶着させることによって、すなわちヒートシールによって、シール部を形成してもよい。若しくは、接着剤などを用いて対向するフィルムの内面同士を接着することによって、シール部を形成してもよい。
易開封性手段
表面フィルム14及び裏面フィルム15には、表面フィルム14及び裏面フィルム15を第1方向D1に沿って引き裂いて袋10を開封するための易開封性手段25が設けられていてもよい。例えば図1に示すように、易開封性手段25は、袋10の側部シール部13aに形成された、引き裂きの起点となるノッチ26を含んでいてもよい。また、袋10を引き裂く際の経路となる部分には、易開封性手段25として、レーザー加工やカッターなどで形成されたハーフカット線が設けられていてもよい。
また、図示はしないが、易開封性手段25は、表面フィルム14及び裏面フィルム15のうちシール部が形成されている領域に形成された切り込みや傷痕群を含んでいてもよい。傷痕群は例えば、表面フィルム14及び/又は裏面フィルム15を貫通するように形成された複数の貫通孔を含んでいてもよい。若しくは、傷痕群は、表面フィルム14及び/又は裏面フィルム15を貫通しないように表面フィルム14及び/又は裏面フィルム15の外面に形成された複数の孔を含んでいてもよい。
表面フィルム及び裏面フィルムの層構成
次に、表面フィルム14及び裏面フィルム15の層構成について説明する。図2は、表面フィルム14及び裏面フィルム15を構成する包装材料30の層構成の一例を示す断面図である。
図2に示すように、包装材料30は、基材35と、接着剤層65によって基材35に接合されたシーラント層70と、を備える。基材35は、符号60で示すように、延伸プラスチックフィルムを1つのみ有する。延伸プラスチックフィルム60は、外面30y側に位置しており、シーラント層70は、外面30yの反対側の内面30x側に位置している。内面30xは、収容部17側に位置する面である。
延伸プラスチックフィルム60、シーラント層70を構成するためのシーラントフィルムなどの、包装材料30を構成する各フィルム、並びに包装材料30は、流れ方向及び垂直方向を有する。流れ方向とは、フィルムを成形する際にフィルムが流れる方向であり、いわゆるMD(Machine Direction)である。垂直方向とは、流れ方向に直交する方向であり、いわゆるTD(Transverse Direction)である。図1に示す袋10においては、上部11及び下部12が延びる方向が流れ方向であり、側部13が延びる方向が垂直方向である。
本実施の形態の包装材料30は、剛性を有するよう構成されている。これにより、包装材料30を備える袋10に剛性を持たせることができる。例えば、先端が尖った鋭利な部材が袋10に接触した場合に袋10が破けてしまうことを抑制することができる。包装材料30の厚みは、例えば60μm以上であり、70μm以上であってもよく、80μm以上であってもよく、90μm以上であってもよい。また、包装材料30の厚みは、120μm以下であってもよく、110μm以下であってもよく、100μm以下であってもよい。
以下、包装材料30の各層についてそれぞれ詳細に説明する。
(延伸プラスチックフィルム)
延伸プラスチックフィルム60は、所定の二方向において延伸されている二軸延伸プラスチックフィルムである。延伸プラスチックフィルム60の延伸方向は特には限定されない。例えば、延伸プラスチックフィルム60は、側部13が延びる方向において延伸されていてもよく、側部13が延びる方向に直交する方向において延伸されていてもよい。また、延伸プラスチックフィルム60の延伸方向は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。延伸プラスチックフィルム60の延伸倍率は、例えば1.05倍以上である。
本実施の形態においては、延伸プラスチックフィルム60として、少なくとも1つの方向において0.0017N以上のループスティフネスを有し、且つポリエステルを主成分として含む延伸プラスチックフィルムを用いることを提案する。以下の説明において、少なくとも1つの方向において0.0017N以上のループスティフネスを有し、且つポリエステルを主成分として含む延伸プラスチックフィルムのことを、高スティフネスポリエステルフィルムとも称する。高スティフネスポリエステルフィルムは、例えば流れ方向(MD)又は垂直方向(TD)の少なくとも一方において0.0017N以上のループスティフネスを有する。高スティフネスポリエステルフィルムは、例えば流れ方向(MD)及び垂直方向(TD)の両方において0.0017N以上のループスティフネスを有していてもよい。包装材料30が高スティフネスポリエステルフィルムを含むことにより、包装材料30が剛性を有することができる。
ポリエステルとしては、テレフタル酸、イソフタル酸および2,6-ナフタレンジカルボン酸から選ばれる少なくとも1種の芳香族ジカルボン酸と、エチレグリコール、1,3-プロパンジオールおよび1,4-ブタンジオールから選ばれる少なくとも1種の脂肪族アルコールとからなる芳香族ポリエステルを主体とするポリエステルが好ましい。例えば、ポリエステルは、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETとも記す)、ポリブチレンテレフタレート(以下、PBTとも記す)などである。高スティフネスポリエステルフィルム高スティフネスポリエステルフィルムの例としては、51質量%以上のPETを主成分として含む高スティフネスPETフィルム、51質量%以上のPBTを主成分として含む高スティフネスPBTフィルムなどを挙げることができる。高スティフネスポリエステルフィルムの厚みは、好ましくは5μm以上であり、より好ましくは7μm以上である。また、高スティフネスポリエステルフィルムの厚みは、好ましくは25μm以下であり、より好ましくは20μm以下である。
ループスティフネスとは、延伸プラスチックフィルムなどのフィルムのこしの強さを表すパラメータである。以下、図4~図10を参照して、ループスティフネスの測定方法を説明する。なお、以下に説明する測定方法は、延伸プラスチックフィルムなどの単層のフィルムだけでなく、蒸着フィルム、積層フィルムなどの、複数の層をフィルムに関しても使用可能である。蒸着フィルムとは、延伸プラスチックフィルムなどの単層のフィルムと、単層のフィルム上に形成されている蒸着層と、を含むフィルムである。積層フィルムとは、包装材料30のような、積層された複数のフィルムを含むフィルムである。
図4は、試験片80及びループスティフネス測定器85を示す平面図であり、図5は、図4の試験片80及びループスティフネス測定器85の線V-Vに沿った断面図である。試験片80は、長辺及び短辺を有する矩形状のフィルムである。本願においては、試験片80の長辺の長さL1を150mmとし、短辺の長さL2を15mmとした。ループスティフネス測定器85としては、例えば、東洋精機社製のNo.581ループステフネステスタ(登録商標)LOOP STIFFNESS TESTER DA型を用いることができる。なお、試験片80の長辺の長さL1は、後述する一対のチャック部86によって試験片80を把持することができる限りにおいて、調整可能である。
ループスティフネス測定器85は、試験片80の長辺方向の一対の端部を把持するための一対のチャック部86と、チャック部86を支持する支持部材87と、を有する。チャック部86は、第1チャック861及び第2チャック862を含む。図4及び図5に示す状態において、試験片80は、一対の第1チャック861の上に配置されており、第2チャック862は、第1チャック861との間で試験片80を未だ把持していない。後述するように、測定時、試験片80は、チャック部86の第1チャック861と第2チャック862との間に把持される。第2チャック862は、ヒンジ機構を介して第1チャック861に連結されていてもよい。
延伸プラスチックフィルム、蒸着フィルム、積層フィルムなどの測定対象のフィルムを、フィルムが包装製品に加工される前の状態で入手可能な場合、試験片80は、測定対象のフィルムを切断することによって作製されてもよい。また、試験片80は、袋などの、包装材料30から作製された包装製品を切断し、測定対象のフィルムを取り出すことによって作製されてもよい。図6は、袋10の表面フィルム14又は裏面フィルム15を切断することによって試験片80を準備する方法の一例を示す図である。流れ方向における包装材料30のループスティフネスを測定する場合、図6において符号80Aで示すように、試験片の長辺方向が流れ方向に一致するよう、袋10の表面フィルム14又は裏面フィルム15を切断して試験片を作製する。垂直方向における包装材料30のループスティフネスを測定する場合、図6において符号80Bで示すように、試験片の長辺方向が垂直方向に一致するよう、袋10の表面フィルム14又は裏面フィルム15を切断して試験片を作製する。
ループスティフネス測定器85を用いて試験片80のループスティフネスを測定する方法について説明する。まず、図4及び図5に示すように、間隔L3を空けて配置されている一対のチャック部86の第1チャック861上に試験片80を載置する。本願においては、後述するループ部81の長さ(以下、ループ長とも称する)が60mmになるよう、間隔L3を設定した。試験片80は、第1チャック861側に位置する内面80xと、内面80xの反対側に位置する外面80yと、を含む。試験片80が包装材料30からなる場合、試験片80の内面80x及び外面80yは、包装材料30の内面30x及び外面30yに一致する。後述するループ部81を試験片80に形成する際、内面80xがループ部81の内側に位置し、外面80yがループ部81の外側に位置する。続いて、図7に示すように、第1チャック861との間で試験片80の長辺方向の端部を把持するよう、第2チャック862を試験片80の上に配置する。
続いて、図8に示すように、一対のチャック部86の間の間隔が縮まる方向において、一対のチャック部86の少なくとも一方を支持部材87上でスライドさせる。これにより、試験片80にループ部81を形成することができる。図8に示す試験片80は、ループ部81と、一対の中間部82及び一対の固定部83とを有する。一対の固定部83は、試験片80のうち一対のチャック部86によって把持されている部分である。一対の中間部82は、試験片80のうちループ部81と一対の中間部82との間に位置している部分である。図7に示すように、チャック部86は、一対の中間部82の内面80x同士が接触するまで支持部材87上でスライドされる。これにより、60mmのループ長を有するループ部81を形成することができる。ループ部81のループ長は、一方の第2チャック862のループ部81側の面と試験片80とが交わる位置P1と、他方の第2チャック862のループ部81側の面と試験片80とが交わる位置P2との間における、試験片80の長さである。上述の間隔L3は、試験片80の厚みを無視する場合、ループ部81の長さに2×tを加えた値になる。tは、チャック部86の第2チャック862の厚みである。
その後、図9に示すように、チャック部86に対するループ部81の突出方向Yが水平方向になるよう、チャック部86の姿勢を調整する。例えば、支持部材87の法線方向が水平方向を向くように支持部材87を動かすことにより、支持部材87によって支持されているチャック部86の姿勢を調整する。図9に示す例において、ループ部81の突出方向Yは、チャック部の厚み方向に一致している。また、ループ部81の突出方向Yにおいて第2チャック862から距離Z1だけ離れた位置にロードセル88を準備する。本願においては、距離Z1を50mmとした。続いて、ロードセル88を、試験片80のループ部81に向けて、図9に示す距離Z2だけ速度Vで移動させる。距離Z2は、図9及び図10に示すように、ロードセル88がループ部81に接触し、その後、ロードセル88がループ部81をチャック部86側に押し込むよう、設定される。本願においては、距離Z2を40mmとした。この場合、ロードセル88がループ部81をチャック部86側に押し込んでいる状態におけるロードセル88とチャック部86の第2チャック862との間の距離Z3は、10mmになる。ロードセル88を移動させる速度Vは、3.3mm/秒とした。
続いて、図10に示す、ロードセル88をチャック部86側に距離Z2だけ移動させ、ロードセル88が試験片80のループ部81を押し込んでいる状態において、ループ部81からロードセル88に加えられている荷重の値が安定した後、荷重の値を記録する。このようにして得られた荷重の値を、試験片80を構成するフィルムのループスティフネスとして採用する。本願において、特に断らない限り、ループスティフネスの測定時の環境は、温度23℃、相対湿度50%である。
高スティフネスポリエステルフィルムの好ましい機械特性について更に説明する。
高スティフネスポリエステルフィルムの突き刺し強度は、好ましくは10N以上であり、より好ましくは11N以上である。
少なくとも1つの方向における高スティフネスポリエステルフィルムの引張強度は、好ましくは250MPa以上であり、より好ましくは280MPa以上である。例えば、流れ方向における高スティフネスポリエステルフィルムの引張強度は、好ましくは250MPa以上であり、より好ましくは280MPa以上である。また、垂直方向における高スティフネスポリエステルフィルムの引張強度は、好ましくは250MPa以上であり、より好ましくは280MPa以上である。
少なくとも1つの方向における高スティフネスポリエステルフィルムの引張伸度は、好ましくは130%以下であり、より好ましくは120%以下である。例えば、流れ方向における高スティフネスポリエステルフィルムの引張伸度は、好ましくは130%以下であり、より好ましくは120%以下である。また、垂直方向における高スティフネスポリエステルフィルムの引張伸度は、好ましくは120%以下であり、より好ましくは110%以下である。
好ましくは、少なくとも1つの方向において、高スティフネスポリエステルフィルムの引張強度を引張伸度で割った値が2.0〔MPa/%〕以上である。例えば、垂直方向(TD)における高スティフネスポリエステルフィルムの引張強度を引張伸度で割った値は、好ましくは2.0〔MPa/%〕以上であり、より好ましくは2.2〔MPa/%〕以上である。流れ方向(MD)における高スティフネスポリエステルフィルムの引張強度を引張伸度で割った値は、好ましくは1.8〔MPa/%〕以上であり、より好ましくは2.0〔MPa/%〕以上である。
引張強度及び引張伸度は、JIS K7127に準拠して測定され得る。測定器としては、オリエンテック社製の引張試験機 STA-1150を用いることができる。試験片としては、高スティフネスポリエステルフィルムを幅15mm、長さ150mmの矩形状のフィルムに切り出したものを用いることができる。試験片を保持する一対のチャックの間の、測定開始時の間隔は100mmであり、引張速度は300mm/分である。本願において、特に断らない限り、引張強度及び引張伸度の測定時の環境は、温度23℃、相対湿度50%である。
なお、図1に示す袋10においては、第1方向D1が、延伸プラスチックフィルム60などのフィルムの流れ方向(MD)に相当する。また、第2方向D2が、延伸プラスチックフィルム60などのフィルムの垂直方向(TD)に相当する。
少なくとも1つの方向における高スティフネスポリエステルフィルムの熱収縮率は、0.7%以下であることが好ましく、0.5%以下であることがより好ましい。例えば、流れ方向における高スティフネスポリエステルフィルムの熱収縮率は、0.7%以下であることが好ましく、0.5%以下であることがより好ましい。垂直方向における高スティフネスポリエステルフィルムの熱収縮率は、0.7%以下であることが好ましく、0.5%以下であることがより好ましい。熱収縮率を測定する際の加熱温度は100℃であり、加熱時間は40分である。
少なくとも1つの方向における高スティフネスポリエステルフィルムの引張弾性率は、好ましくは4.0GPa以上であり、より好ましくは4.5MPa以上である。例えば、流れ方向における高スティフネスポリエステルフィルムの引張弾性率は、好ましくは4.0GPa以上であり、より好ましくは4.5MPa以上である。垂直方向における高スティフネスポリエステルフィルムの引張弾性率は、好ましくは4.0GPa以上であり、より好ましくは4.5GPa以上である。
高スティフネスポリエステルフィルムの製造工程においては、例えば、まず、ポリエステルを溶融及び成形することによって得られたプラスチックフィルムを、流れ方向及び垂直方向において、それぞれ90℃~145℃で3倍~4.5倍に延伸する第1延伸工程を実施する。続いて、プラスチックフィルムを、流れ方向及び垂直方向において、それぞれ100℃~145℃で1.1倍~3.0倍に延伸する第2延伸工程を実施する。その後、190℃~220℃の温度で熱固定を行う。続いて、流れ方向及び垂直方向において、100℃~190℃の温度で0.2%~2.5%程度の弛緩処理(フィルム幅を縮める処理)を実施する。これらの工程において、延伸倍率、延伸温度、熱固定温度、弛緩処理率を調整することにより、上述の機械特性を備える高スティフネスポリエステルフィルムを得ることができる。
本実施の形態によれば、包装材料30が高スティフネスポリエステルフィルムを含むことにより、包装材料30のこしの強さを高めることができる。例えば、包装材料30の単位厚みあたりの包装材料30のループスティフネスを高めることができる。少なくとも1つの方向における包装材料30のループスティフネスを包装材料30の厚みで割った値は、例えば0.00085N/μm以上であり、0.00090N/μm以上であってもよく、0.00095N/μm以上であってもよく、0.00100N/μm以上であってもよい。例えば、流れ方向(MD)における包装材料30のループスティフネスを包装材料30の厚みで割った値は、例えば0.00085N/μm以上であり、0.00090N/μm以上であってもよく、0.00095N/μm以上であってもよく、0.00100N/μm以上であってもよい。また、垂直方向(TD)における包装材料30のループスティフネスを包装材料30の厚みで割った値は、例えば0.00080N/μm以上であり、0.00085N/μm以上であってもよく、0.00090N/μm以上であってもよく、0.00095N/μm以上であってもよい。
高スティフネスポリエステルフィルムが、PETを主成分として含む高スティフネスPETフィルムである場合、高スティフネスPETフィルムを構成するPETは、バイオマス由来のPETを含んでいてもよい。この場合、高スティフネスPETフィルムは、バイオマス由来のPETのみで構成されていてもよい。若しくは、高スティフネスPETフィルムは、バイオマス由来のPETと、化石燃料由来のPETと、で構成されていてもよい。高スティフネスPETフィルムがバイオマス由来のPETを含むことにより、従来に比べて化石燃料由来のPETの量を削減することができるため、二酸化炭素の排出量を減らすことができ、環境負荷を減らすことができる。なお、バイオマス由来のPETは、バイオマス由来のエチレングリコールをジオール単位とし、化石燃料由来のテレフタル酸をジカルボン酸単位とするものである。化石燃料由来のPETは、化石燃料由来のエチレングリコールをジオール単位とし、化石燃料由来のテレフタル酸をジカルボン酸単位とするものである。
大気中の二酸化炭素には、C14が一定割合(105.5pMC)で含まれているため、大気中の二酸化炭素を取り入れて成長する植物、例えばとうもろこし中のC14含有量も105.5pMC程度であることが知られている。また、化石燃料中にはC14が殆ど含まれていないことも知られている。したがって、PET中の全炭素原子中に含まれるC14の割合を測定することにより、バイオマス由来の炭素の割合を算出することができる。本発明において、「バイオマス度」とは、バイオマス由来成分の重量比率を示すものである。PETを例にとると、PETは、2炭素原子を含むエチレングリコールと8炭素原子を含むテレフタル酸とがモル比1:1で重合したものである。PETのエチレングリコールとしてバイオマス由来のもののみを使用した場合、PET中のバイオマス由来成分の重量比率は31.25%であるため、PETのバイオマス度の理論値は31.25%となる。具体的には、PETの質量は192であり、そのうちバイオマス由来のエチレングリコールに由来する質量は60であるため、60÷192×100=31.25となる。また、化石燃料由来のPETにおけるバイオマス由来成分の重量比率は0%であり、化石燃料由来のPETのバイオマス度は0%となる。本発明において、高スティフネスPETフィルムのバイオマス度は、5.0%以上であることが好ましく、10.0%以上であることがより好ましい。また、高スティフネスPETフィルムのバイオマス度は、30.0%以下であることが好ましい。
バイオマス由来のエチレングリコールは、バイオマスを原料として製造されたエタノール(バイオマスエタノール)を原料としたものである。例えば、バイオマスエタノールを、従来公知の方法により、エチレンオキサイドを経由してエチレングリコールを生成する方法等により、バイオマス由来のエチレングリコールを得ることができる。バイオマスエタノールの原料として、とうもろこし、さとうきび、ビート、マニオクなどを挙げることができる。また、市販のバイオマスエチレングリコールを使用してもよく、例えば、インディアグライコール社から市販されているバイオマスエチレングリコールを好適に使用することができる。なお、インディアグライコール社のバイオマスエチレングリコールは、さとうきびの廃糖蜜を原料としたものである。
(接着剤層)
接着剤層65は、延伸プラスチックフィルム60とシーラント層70とをドライラミネート法により接着するための接着剤を含む。接着剤層65を構成する接着剤は、主剤及び溶剤を含む第1組成物と、硬化剤及び溶剤を含む第2組成物とを混合して作製した接着剤組成物から生成される。具体的には、接着剤は、接着剤組成物中の主剤と溶剤とが反応して生成された硬化物を含む。
接着剤の例としては、ポリウレタンなどを挙げることができる。ポリウレタンは、主剤としてのポリオールと、硬化剤としてのイソシアネート化合物とが反応することにより生成される硬化物である。ポリウレタンの例としては、ポリエーテルポリウレタン、ポリエステルポリウレタンなどを挙げることができる。ポリエーテルポリウレタンは、主剤としてのポリエーテルポリオールと、硬化剤としてのイソシアネート化合物とが反応することにより生成される硬化物である。ポリエステルポリウレタンは、主剤としてのポリエステルポリオールと、硬化剤としてのイソシアネート化合物とが反応することにより生成される硬化物である。
イソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)などの芳香族系イソシアネート化合物、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)などの脂肪族系イソシアネート化合物、あるいは、上記各種イソシアネート化合物の付加体または多量体を用いることができる。
接着剤の硬化剤を構成するイソシアネート化合物としては、上述のように、芳香族系イソシアネート化合物及び脂肪族系イソシアネート化合物が存在する。このうち芳香族系イソシアネート化合物は、加熱殺菌などの高温環境下において、食品用途で使用できない成分が溶出する。ところで、接着剤層65は、シーラント層70に接している。このため、接着剤層65が芳香族系イソシアネート化合物を含む場合、芳香族系イソシアネート化合物から溶出された成分が、シーラント層70に接する収容部17に収容されている内容物に付着することがある。
このような課題を考慮し、好ましくは、接着剤層65を構成する接着剤として、主剤としてのポリオールと、硬化剤としての脂肪族系イソシアネート化合物とが反応することにより生成される硬化物を用いる。これにより、接着剤層65に起因する、食品用途で使用できない成分が、内容物に付着することを防止することができる。
接着剤層65を構成する材料は、好ましくは、延伸プラスチックフィルム60を構成する材料よりも高い熱伝導率を有する。例えば、接着剤層65を構成する材料の熱伝導率は、好ましくは1.0W/m・K以上であり、より好ましくは3.0W/m・K以上である。なお、ポリウレタンの熱伝導率は、3.0W/m・K~5.0W/m・Kの範囲内であり、例えば5.0W/m・Kである。接着剤層65を構成する材料の熱伝導率が高いことにより、包装材料30を用いて作製された袋10が加熱される際、収容部17で生じた熱が包装材料30の内面30x側から外面30y側へ伝達される間に熱を包装材料30の面方向に拡散させ易くなる。これにより、包装材料30の放熱性を高めることができるので、包装材料30の温度上昇を抑制することができる。このことにより、袋10が加熱される際に包装材料30が熱によりダメージを受けることを抑制することができる。すなわち、包装材料30の耐熱性を高めることができる。
接着剤層65の厚みは、好ましくは2μm以上であり、より好ましくは3μm以上である。また、接着剤層65の厚みは、好ましくは6μm以下であり、より好ましくは5μm以下である。接着剤層65の厚みを3μm以上にすることにより、包装材料30の面方向における熱の拡散がより生じ易くなる。
(シーラント層)
次に、シーラント層70について説明する。シーラント層70を構成する材料としては、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンなどのポリエチレン、ポリプロピレンから選択される1種または2種以上の樹脂を用いることができる。シーラント層70は、単層であってもよく、多層であってもよい。また、シーラント層70は、好ましくは未延伸のシーラントフィルムからなる。なお「未延伸」とは、全く延伸されていないフィルムだけでなく、製膜の際に加えられる張力に起因してわずかに延伸されているフィルムも含む概念である。
シーラント層70を構成するシーラントフィルムは、例えば、搬送するために必要な程度の延伸加工は施されているが、意図的な延伸加工は施されていないプラスチックフィルムである。シーラントフィルムの好ましい機械特性について更に説明する。
少なくとも1つの方向におけるシーラントフィルムの引張弾性率は、好ましくは1000MPa以下である。例えば、流れ方向及び垂直方向におけるシーラントフィルムの引張弾性率は、好ましくは1000MPa以下である。
少なくとも1つの方向におけるシーラントフィルムの引張伸度は、好ましくは300%以上である。例えば、流れ方向及び垂直方向におけるシーラントフィルムの引張伸度は、好ましくは300%以上である。
シーラントフィルムの引張弾性率及び引張伸度は、高スティフネスポリエステルフィルムの場合と同様に、JIS K7127に準拠して測定され得る。測定器としては、オリエンテック社製の引張試験機 STA-1150を用いることができる。試験片としては、該フィルムを幅15mm、長さ150mmの矩形状のフィルムに切り出したものを用いることができる。試験片を保持する一対のチャックの間の、測定開始時の間隔は100mmであり、引張速度は300mm/分である。
包装材料30から構成された袋10には、ボイル処理やレトルト処理などの殺菌処理が高温で施されることがある。シーラント層70は、好ましくは、これらの高温での処理に耐える耐熱性を有する。なお、レトルト処理とは、内容物を袋10に充填して袋10を密封した後、蒸気又は加熱温水を利用して袋10を加圧状態で加熱する処理である。
レトルト処理の温度は、例えば120℃以上である。ボイル処理とは、内容物を袋10に充填して袋10を密封した後、袋10を大気圧下で湯煎する処理である。ボイル処理の温度は、例えば90℃以上且つ100℃以下である。
シーラント層70を構成する材料の融点は、150℃以上であることが好ましく、160℃以上であることがより好ましい。シーラント層70の融点を高くすることにより、袋10のレトルト処理を高温で実施することが可能になり、このため、レトルト処理に要する時間を短くすることができる。なお、シーラント層70を構成する材料の融点は、延伸プラスチックフィルム60を構成する樹脂の融点より低い。
レトルト処理の観点で考える場合、シーラント層70を構成する材料として、プロピレンを主成分とする材料を用いることができる。ここで、プロピレンを「主成分とする」材料とは、プロピレンの含有率が90質量%以上である材料を意味する。プロピレンを主成分とする材料としては、具体的には、プロピレン・エチレンブロック共重合体、プロピレン・エチレンランダム共重合体、ホモポリプロピレンなどのポリプロピレン、又はポリプロピレンとポリエチレンとを混合したものなどを挙げることができる。ここで、「プロピレン・エチレンブロック共重合体」とは、下記の式(I)に示される構造式を有する材料を意味する。また、「プロピレン・エチレンランダム共重合体」とは、下記の式(II)に示される構造式を有する材料を意味する。また、「ホモポリプロピレン」とは、下記の式(III)に示される構造式を有する材料を意味する。
プロピレンを主成分とする材料として、ポリプロピレンとポリエチレンとを混合したものを用いる場合には、材料は、海島構造を有していてもよい。ここで、「海島構造」とは、ポリプロピレンが連続する領域の内に、ポリエチレンが不連続に分散している構造をいう。
ボイル処理の観点で考える場合、シーラント層70を構成する材料の例として、ポリエチレン、ポリプロピレン又はこれらの組み合わせなどを挙げることができる。ポリエチレンとしては、中密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン又はこれらの組み合わせなどを挙げることができる。例えば、上述のレトルト処理の観点からシーラント層70を構成する材料として挙げた材料を用いることも可能である。シーラント層70を構成する材料は、例えば100℃以上、より好ましくは105℃以上、より好ましくは110℃以上、更に好ましくは115℃以上の融点を有する。シーラント層70を構成する材料としてポリエチレンを用いる場合、100℃以上の融点は、例えば、ポリエチレンの密度が0.920g/cm以上である場合に実現され得る。また、100℃以上の融点を有するシーラント層70を構成するためのシーラント層の具体例としては、三井化学東セロ製TUX-HC、東洋紡製L6101、出光ユニテック製LS700C等を挙げることができる。105℃以上の融点を有するシーラント層70を構成するためのシーラント層の具体例としては、タマポリ製NB-1等を挙げることができる。110℃以上の融点を有するシーラント層70を構成するためのシーラント層の具体例としては、出光ユニテック製LS760C、三井化学東セロ製TUX-HZ等を挙げることができる。
好ましくは、シーラント層70は、プロピレン・エチレンブロック共重合体を含む単層のフィルムである。例えば、シーラント層70を含むシーラント層は、プロピレン・エチレンブロック共重合体を主成分とする単層の未延伸フィルムである。
プロピレン・エチレンブロック共重合体を用いることにより、シーラント層の耐衝撃性を高めることができ、これにより、落下時の衝撃により袋10が破袋してしまうことを抑制することができる。また、包装材料30の耐突き刺し性を高めることができる。
プロピレン・エチレンブロック共重合体は、例えば、ポリプロピレンからなる海成分と、エチレン・プロピレン共重合ゴム成分からなる島成分と、を含む。海成分は、プロピレン・エチレンブロック共重合体の耐ブロッキング性、耐熱性、剛性、シール強度などを高めることに寄与し得る。また、島成分は、プロピレン・エチレンブロック共重合体の耐衝撃性を高めることに寄与し得る。従って、海成分と島成分の比率を調整することにより、プロピレン・エチレンブロック共重合体を含むシーラント層の機械特性を調整することができる。
プロピレン・エチレンブロック共重合体において、ポリプロピレンからなる海成分の質量比率は、エチレン・プロピレン共重合ゴム成分からなる島成分の質量比率よりも高い。例えば、プロピレン・エチレンブロック共重合体において、ポリプロピレンからなる海成分の質量比率は、少なくとも51質量%以上であり、好ましくは60質量%以上であり、更に好ましくは70質量%以上である。
単層のシーラント層は、プロピレン・エチレンブロック共重合体からなる第1の熱可塑性樹脂に加えて、第2の熱可塑性樹脂を更に含んでいてもよい。第2の熱可塑性樹脂としては、α-オレフィン共重合体、ポリエチレンなどを挙げることができる。α-オレフィン共重合体は、例えば直鎖状低密度ポリエチレンである。ポリエチレンの例としては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンを挙げることができる。第2の熱可塑性樹脂は、シーラント層の耐衝撃性を高めることに寄与し得る。
低密度ポリエチレンとは、密度が0.910g/cm以上且つ0.925g/cm以下のポリエチレンである。中密度ポリエチレンは、密度が0.926g/cm以上且つ0.940g/cm以下のポリエチレンである。高密度ポリエチレンとは、密度が0.941g/cm以上且つ0.965g/cm以下のポリエチレンである。低密度ポリエチレンは、例えば、1000気圧以上且つ2000気圧未満の高圧でエチレンを重合することにより得られる。中密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレンは、例えば、1気圧以上且つ1000気圧未満の中圧又は低圧でエチレンを重合することにより得られる。
なお、中密度ポリエチレン及び高密度ポリエチレンは、エチレンとα-オレフィンとの共重合体を部分的に含んでいてもよい。また、中圧又は低圧でエチレンを重合する場合であっても、エチレンとα-オレフィンとの共重合体を含む場合は、中密度又は低密度のポリエチレンが生成され得る。このようなポリエチレンが、上述の直鎖状低密度ポリエチレンと称される。直鎖状低密度ポリエチレンは、中圧又は低圧でエチレンを重合することにより得られる直鎖状ポリマーにα-オレフィンを共重合させて短鎖分岐を導入することによって得られる。α-オレフィンの例としては、1-ブテン(C)、1-ヘキセン(C)、4-メチルペンテン(C)、1-オクテン(C)などを挙げることができる。直鎖状低密度ポリエチレンの密度は、例えば0.915g/cm以上且つ0.945g/cm以下である。
なお、プロピレン・エチレンブロック共重合体の第2の熱可塑性樹脂を構成するα-オレフィン共重合体は、上述の直鎖状低密度ポリエチレンには限られない。α-オレフィン共重合体とは、下記の式(IV)に示される構造式を有する材料を意味する。
、Rはいずれも、H(水素原子)、又はCH、Cなどのアルキル基である。また、j及びkはいずれも、1以上の整数である。また、jはkよりも大きい。すなわち、式(IV)に示すα-オレフィン共重合体においては、Rを含む左側の構造がベースとなる。Rは例えばHであり、Rは例えばCである。
シーラント層において、プロピレン・エチレンブロック共重合体からなる第1の熱可塑性樹脂の質量比率は、α-オレフィン共重合体又はポリエチレンを少なくとも含む第2の熱可塑性樹脂の質量比率よりも高い。例えば、単層のシーラント層において、プロピレン・エチレンブロック共重合体からなる第1の熱可塑性樹脂の質量比率は、少なくとも51質量%以上であり、好ましくは60質量%以上であり、更に好ましくは70質量%以上である。
上述のように、第2の熱可塑性樹脂は、シーラント層の耐衝撃性を高めることに寄与し得る。従って、単層のシーラント層における、α-オレフィン共重合体又はポリエチレンを少なくとも含む第2の熱可塑性樹脂の質量比率を調整することにより、シーラント層の機械特性を調整することができる。
また、シーラント層70は、熱可塑性エラストマーを更に含んでいてもよい。熱可塑性エラストマーを用いることにより、シーラント層70の耐衝撃性や耐突き刺し性を更に高めることができる。
熱可塑性エラストマーは、例えば水添スチレン系熱可塑性エラストマーである。水添スチレン系熱可塑性エラストマーは、少なくとも1個のビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックAと少なくとも1個の水素添加された共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBからなる構造を有する。また、熱可塑性エラストマーは、エチレン・α-オレフィンエラストマーであってもよい。エチレン・α-オレフィンエラストマーは、低結晶性もしくは非晶性の共重合体エラストマーであり、主成分としての50~90質量%のエチレンと共重合モノマーとしてのα-オレフィンとのランダム共重合体である。
また、シーラント層70は、結晶促進剤を更に含んでいてもよい。結晶促進剤を用いることにより、シーラント層70の引張弾性率を高めることができる。これにより、シーラント層70及び包装材料30の引き裂き性を高めることができる。結晶促進剤は、例えばリン酸エステル金属塩や安息香酸金属塩等である。
シーラント層70におけるプロピレン・エチレンブロック共重合体の含有率は、例えば80質量%以上であり、好ましくは90質量%以上である。
プロピレン・エチレンブロック共重合体の製造方法としては、触媒を用いて原料であるプロピレンやエチレンなどを重合させる方法が挙げられる。触媒としては、チーグラー・ナッタ型やメタロセン触媒などを用いることができる。
シーラント層70の厚みは、好ましくは30μm以上であり、より好ましくは40μm以上である。また、シーラント層70の厚みは、好ましくは100μm以下であり、より好ましくは80μm以下である。
以下、シーラント層70が、プロピレン・エチレンブロック共重合体を含む単層のシーラントフィルムからなる場合の、シーラントフィルムの好ましい機械特性について説明する。
流れ方向(MD)におけるシーラントフィルムの、25℃における引張伸度は、好ましくは600%以上且つ1300%以下である。また、流れ方向(MD)におけるシーラントフィルムの引張伸度(%)とシーラントフィルムの厚み(μm)の積は、好ましくは35000以上且つ80000以下である。また、垂直方向(TD)におけるシーラントフィルムの、25℃における引張伸度は、好ましくは700%以上且つ1400%以下である。また、垂直方向(TD)におけるシーラントフィルムの引張伸度(%)とシーラントフィルムの厚み(μm)の積は、好ましくは40000以上且つ85000以下である。
流れ方向(MD)におけるシーラントフィルムの、25℃における引張弾性率は、好ましくは400MPa以上且つ1100MPa以下である。また、流れ方向(MD)におけるシーラントフィルムの引張弾性率(MPa)とシーラントフィルムの厚み(μm)の積は、好ましくは30000以上且つ55000以下である。また、垂直方向(TD)におけるシーラントフィルムの、25℃における引張弾性率は、好ましくは250MPa以上且つ900MPa以下である。また、垂直方向(TD)におけるシーラントフィルムの引張弾性率(MPa)とシーラントフィルムの厚み(μm)の積は、好ましくは20000以上且つ45000以上である。
なお、図1に示す袋10においては、第1方向D1が、シーラントフィルムの流れ方向(MD)に相当する。また、第2方向D2が、シーラントフィルムの垂直方向(TD)に相当する。
引張弾性率及び引張伸度は、JIS K7127に準拠して測定され得る。測定器としては、オリエンテック社製の引張試験機 STA-1150を用いることができる。なお、図1に示す袋10においては、上部11及び下部12が延びる方向が、シーラントフィルムなどの、袋10を構成するフィルムの流れ方向であり、側部13が延びる方向が、シーラントフィルムなどの、袋10を構成するフィルムの垂直方向である。図示はしないが、上部11及び下部12が延びる方向が、フィルムの垂直方向となり、側部13が延びる方向が、フィルムの流れ方向となるよう、袋10が構成されていてもよい。
プロピレン・エチレンブロック共重合体を含む単層のシーラントフィルムのタイプとしては、主に2つのタイプが考えられる。
第1は、東レフィルム加工株式会社製の未延伸ポリプロピレンフィルム ZK500のような、高い引張伸度を有し、耐衝撃性を備えるタイプである。第1のタイプのシーラントフィルムは、好ましくは、熱間シール強度が低いという特性も更に備える。これにより、袋10の加熱時に収容部17の内圧が過大になることを抑制することができ、包装材料30にダメージが生じることを抑制することができる。
第2は、東レフィルム加工株式会社製の未延伸ポリプロピレンフィルム ZK207やZK500Rのような、高い引張弾性率を有するタイプである。第2のタイプのシーラントフィルムを用いることにより、第1方向D1に沿って消費者が袋10を引き裂くことにより袋10を開封する際の引き裂き性を高めることができる。
流れ方向(MD)における第1のタイプのシーラントフィルムの引張伸度(%)とシーラントフィルムの厚み(μm)の積は、好ましくは45000以上であり、より好ましくは50000以上であり、55000以上、又は60000以上であってもよい。また、垂直方向(TD)における第1のタイプのシーラントフィルムの引張伸度(%)とシーラントフィルムの厚み(μm)の積は、好ましくは53000以上であり、より好ましくは60000以上である。シーラントフィルムが高い引張伸度を有することにより、落下時の衝撃などにより袋10が破袋してしまうことを抑制することができる。
また、流れ方向(MD)における第1のタイプのシーラントフィルムの引張弾性率(MPa)とシーラントフィルムの厚み(μm)の積は、好ましくは38000以下であり、より好ましくは35000以下である。また、垂直方向(TD)における第1のタイプのシーラントフィルムの引張弾性率(MPa)とシーラントフィルムの厚み(μm)の積は、好ましくは30000以下であり、より好ましくは25000以下である。
流れ方向(MD)における第2のタイプのシーラントフィルムの引張弾性率(MPa)とシーラントフィルムの厚み(μm)の積は、好ましくは35000以上であり、38000以上、42000以上、45000以上、又は48000以上であってもよい。引き裂き性の観点からは、特に、単層のシーラント層70の厚みが50μmである場合に流れ方向(MD)における引張弾性率(MPa)が800MPa以上になるような、プロピレン・エチレンブロック共重合体を含む材料を用いることが好ましい。
また、垂直方向(TD)における第2のタイプのシーラントフィルムの引張弾性率(MPa)とシーラントフィルムの厚み(μm)の積は、好ましくは25000以上であり、30000以上、35000以上、又は38000以上であってもよい。引き裂き性の観点からは、特に、単層のシーラント層70の厚みが50μmである場合に垂直方向(TD)における引張弾性率(MPa)が650MPa以上になるような、プロピレン・エチレンブロック共重合体を含む材料を用いることが好ましい。
シーラントフィルムが高い引張弾性率を有することにより、袋10を開封する際の引き裂き性を高めることができる。
また、流れ方向(MD)における第2のタイプのシーラントフィルムの引張伸度(%)とシーラントフィルムの厚み(μm)の積は、好ましくは55000以下であり、より好ましくは50000以下である。また、垂直方向(TD)における第2のタイプのシーラントフィルムの引張伸度(%)とシーラントフィルムの厚み(μm)の積は、好ましくは60000以下であり、より好ましくは55000以下である。
シーラント層70は、イージーピール性を備えていてもよい。イージーピール性とは、例えばシーラント層70を有する包装材料30を用いて容器の蓋材を構成する場合に、蓋材がその下面において、すなわちシーラント層70において、容器のフランジ部から剥がれやすい、という特性である。イージーピール性は、例えば、シーラント層70を2種類以上の樹脂で構成し、一の樹脂と他の樹脂とを非相溶性とすることにより、発現することができる。イージーピール性を発現させることができる樹脂としては、例えば、高密度ポリエチレンなどのポリエチレンとポリプロピレンの混合樹脂が挙げられる。
シーラント層70がイージーピール性を備える場合、図11に示すように、シーラント層70が、延伸プラスチックフィルム60側に位置する第1層71と、第1層71よりも内側に位置し、包装材料30の内面30xを構成するする第2層72と、を含んでいてもよい。イージーピール性を備えるシーラント層70の第1層71及び第2層72としては、以下に説明するAタイプ及びBタイプのような、主に2つのタイプが考えられる。
Aタイプのシーラント層70においては、第1層71がポリエチレンを主成分とする層であり、第2層72がポリエチレンとポリプロピレンの混合樹脂を含む層である。第2層72においては、ポリプロピレンの配合比がポリエチレンの配合比より大きい。第2層72におけるポリプロピレンとポリエチレンの質量比は、6:4~8:2である。
Aタイプのシーラント層70を備える包装材料30が、加熱殺菌用途の包装製品で使用される場合、シーラント層70におけるポリエチレンの密度を0.940g/cm3以上とすることが好ましい。
Aタイプのシーラント層70の第2層72におけるポリプロピレンとしては、例えばエチレン-プロピレンランダム共重合体を用いることができる。
Aタイプのシーラント層70において、第1層71の厚みと第2層72の厚みの比は、5:1~10:1とすることができる。
Bタイプのシーラント層70においては、第1層71がポリプロピレンを主成分とする層であり、第2層72がポリエチレンとポリプロピレンの混合樹脂を含む層である。第2層72においては、ポリプロピレンの配合比がポリエチレンの配合比より大きい。第2層72におけるポリプロピレンとポリエチレンの質量比は、6:4~8:2である。
Bタイプのシーラント層70を備える包装材料30が、加熱殺菌用途の包装製品で使用される場合、シーラント層70におけるポリエチレンの密度を0.940g/cm3以上とすることが好ましい。
Bタイプのシーラント層70の第1層71におけるポリプロピレンとしては、例えばエチレン-プロピレンブロック共重合体を用いることができる。Bタイプのシーラント層70の第2層72におけるポリプロピレンとしては、例えばエチレン-プロピレンランダム共重合体を用いることができる。
Bタイプのシーラント層70において、第1層71の厚みと第2層72の厚みの比は、3:1~8:1とすることができる。
なお、シーラント層70は、延伸プラスチックフィルム60の内面側に押し出し法などによって設けられる樹脂層であってもよい。この場合、延伸プラスチックフィルム60とシーラント層70との間に上述の接着剤層65が存在していなくてもよい。
(その他の層)
図2に示すように、包装材料30は、延伸プラスチックフィルム60に設けられた印刷層36を更に備えていてもよい。印刷層36は、袋10などの包装製品に、内容物や包装製品の情報を示したり、美感を付与したりするための層である。印刷層は、文字、数字、記号、図形、絵柄などを表現する。印刷層を構成する材料としては、グラビア印刷用のインキやフレキソ印刷用のインキを用いることができる。グラビア印刷用のインキの具体例としては、DICグラフィックス株式会社製のフィナートを挙げることができる。
図3は、包装材料30の層構成の一変形例を示す断面図である。図3に示すように、包装材料30は、延伸プラスチックフィルム60の内面30x側の面上に位置する蒸着層37を更に備えていてもよい。また、包装材料30は、蒸着層37の面上に位置し、透明性を有するガスバリア性塗布膜38を更に備えていてもよい。
以下、蒸着層37及びガスバリア性塗布膜38について説明する。
蒸着層37は、包装材料30のガスバリア性を高めるために包装材料30に設けられる層である。蒸着層37を構成する材料としては、アルミニウムなどの金属を用いることができる。また、蒸着層37は、アルミニウム酸化物(酸化アルミニウム)、珪素酸化物などの、透明性を有する無機物で形成された透明蒸着層であってもよい。特に、蒸着層37よりも内面30x側に印刷層36が設けられている場合、蒸着層37は、透明蒸着層として構成される。
蒸着層37は、酸素ガスおよび水蒸気などの透過を阻止するガスバリア性の機能を有する層として機能する。なお、蒸着層37は二層以上設けられてもよい。蒸着層37を二層以上有する場合、それぞれが、同一の組成であってもよいし、異なる組成であってもよい。蒸着層37の形成方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、およびイオンプレ-ティング法等の物理気相成長法(Physical Vapor Deposition法、PVD法)、あるいは、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、および光化学気相成長法等の化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法、CVD法)等を挙げることができる。具体的には、ローラー式蒸着膜成膜装置を用いて、成膜ローラー上において蒸着層を形成することができる。蒸着層37の厚みは、例えば20Å以上且つ200Åであり、好ましくは30Å以上且つ150Åであり、より好ましくは、50Å以上且つ120Å以下である。なお、蒸着層37の厚みは、例えば、蛍光X線分析装置(商品名:RIX2000型、株式会社理学製)を用いて、ファンダメンタルパラメーター法で測定することができる。
ガスバリア性塗布膜38は、酸素ガスおよび水蒸気などの透過を抑制する層として機能する層である。ガスバリア性塗布膜38は、一般式R M(OR(ただし、式中、R、Rは、炭素数1~8の有機基を表し、Mは、金属原子を表し、nは、0以上の整数を表し、mは、1以上の整数を表し、n+mは、Mの原子価を表す。)で表される少なくとも一種以上のアルコキシドと、上記のようなポリビニルアルコ-ル系樹脂および/またはエチレン・ビニルアルコ-ル共重合体とを含有し、さらに、ゾルゲル法触媒、酸、水、および、有機溶剤の存在下に、ゾルゲル法によって重縮合する透明ガスバリア性組成物により得られる。なお、ガスバリア性塗布膜38は透明であることが好ましい。
下部フィルムの層構成
次に、下部フィルム16の層構成について説明する。
表面フィルム14の内面及び裏面フィルム15の内面と接合可能な内面を有する限りにおいて、下部フィルム16の層構成は任意である。例えば、表面フィルム14及び裏面フィルム15と同様に、下部フィルム16として上述の包装材料30を用いてもよい。若しくは、内面がシーラント層によって構成され、且つ包装材料30とは異なる構成のフィルムを、下部フィルム16として用いてもよい。
包装材料の製造方法
次に、包装材料30の製造方法の一例について説明する。
まず、上述の延伸プラスチックフィルム60及びシーラント層70を準備する。延伸プラスチックフィルム60には、必要に応じて、印刷層36、蒸着層37、ガスバリア性塗布膜38などが設けられている。
続いて、ドライラミネート法により、延伸プラスチックフィルム60とシーラント層70とを、接着剤層65を介して積層する。これによって、延伸プラスチックフィルム60及びシーラント層70を備える包装材料30を得ることができる。
ドライラミネート法においては、まず、積層される2つのフィルムのうちの一方に接着剤組成物を塗布する。続いて、塗布された接着剤組成物を乾燥させて溶剤を揮発させる。その後、乾燥後の接着剤組成物を介して2つのフィルムを積層する。続いて、積層された2つのフィルムを巻き取った状態で、例えば20℃以上の環境下で24時間以上にわたってエージングする。
袋の製造方法
次に、上述の包装材料30を用いて袋10を製造する方法について説明する。まず、包装材料30からなる表面フィルム14及び裏面フィルム15を準備する。また、表面フィルム14と裏面フィルム15との間に、折り返した状態の下部フィルム16を挿入する。続いて、各フィルムの内面同士をヒートシールして、下部シール部12a、側部シール部13aなどのシール部を形成する。また、ヒートシールによって互いに接合されたフィルムを適切な形状に切断して、図1に示す袋10を得る。
続いて、上部11の開口部11bを介して内容物18を袋10に充填する。具体的には、図12に示すように、袋10の一対の側部シール部13aのうち上部11に近い部分を、一対のチャック部105によって把持する。また、図12において矢印Pで示すように、袋10の幅方向において一対のチャック部105の間の間隔が狭くなる向きにチャック部105を動かす。これにより、開口部11bを上部11に形成するように表面フィルム14及び裏面フィルム15が変形する。この際、図12に示すように、表面フィルム14及び裏面フィルム15の外面に吸着部106を取り付け、矢印Qの方向に吸着部106を移動させてもよい。これにより、開口部11bを形成し易くなる。続いて、開口部11bを介して内容物18を袋10に充填する。その後、上部11をヒートシールして上部シール部11aを形成する。このようにして、内容物18が収容され封止された袋10を得ることができる。
内容物18は、例えば、カレー、シチュー、スープ等の、水分を含む調理済食品である。また、内容物18は、肉や魚及びそれらのための調味料など、油分を多く含む素材を有していてもよい。また食品以外にも、湯煎等によって加熱され得るものを内容物として袋10に収容することができる。また、加熱が不要な内容物を袋10に収容してもよい。
本実施の形態においては、袋10を構成する包装材料30の延伸プラスチックフィルム60として、高スティフネスポリエステルフィルムが用いられている。このため、包装材料30及び袋10に剛性や耐突き刺し性を持たせることができる。これにより、例えば、先端が尖った鋭利な部材が袋10に接触した場合に袋10が破けてしまうことなどを抑制することができる。包装材料30の突き刺し強度は、12N以上であることが好ましく、13N以上であることがより好ましい。突き刺し強度の測定方法については、後述する実施例において説明する。
また、本実施の形態においては、表面フィルム14及び裏面フィルム15を構成する包装材料30が剛性を有しているので、図12に示すようにチャック部105を動かすとき、開口部11bを上部11に形成し易くなる。例えば、表面フィルム14及び裏面フィルム15がそれぞれ、外面側に凸となる湾曲形状を有するように変形し易くなる。これにより、開口部11bの開口幅Kを確保し易くなる。また、本実施の形態においては、表面フィルム14及び裏面フィルム15を構成する包装材料30が剛性を有しているので、表面フィルム14及び裏面フィルム15にシワが生じにくい。このため、表面フィルム14及び裏面フィルム15の外面に吸着部106が吸着し易い。このことも、開口部11bの開口幅Kを確保することに寄与し得る。
袋の開封方法
次に、袋10の開封方法について説明する。消費者は、第1方向D1に沿って袋10を引き裂くことにより袋10を開封する。この場合、袋10を構成する包装材料30のシーラント層70が高い引張弾性率を有することが好ましい。例えば、上述の第2のタイプのシーラント層70を用いることが好ましい。これにより、包装材料30及び袋10に引き裂き性を持たせることができる。従って、例えば、消費者が袋10を引き裂いて開封する際に引き裂き方向が第1方向D1から逸れてしまうことを抑制することができる。
(変形例)
なお、上述した各実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、必要に応じて図面を参照しながら、変形例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した各実施の形態と同様に構成され得る部分について、上述の各実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。また、上述した各実施の形態において得られる作用効果が変形例においても得られることが明らかである場合、その説明を省略することもある。
(袋の変形例)
図13は、包装材料30を備える袋10のその他の例を示す図である。図13に示す袋10は、蒸気抜き機構20を更に備える点が異なるのみであり、他の構成は、図1に示す袋10と略同一である。図13に示す袋10において、図1に示す袋10と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図13に示すように、袋10は、収容部17に収容された内容物を加熱する際に発生する蒸気を外部に逃がすための蒸気抜き機構20を備える。蒸気抜き機構20は、蒸気の圧力が所定値以上になったときに袋10の内部と外部とを連通させて蒸気を逃がすとともに、蒸気抜き機構20以外の箇所から蒸気が抜けることを抑制するよう、構成されている。
なお、蒸気抜き機構20を備える袋10を、電子レンジなどを用いて加熱する場合、袋10の内部の圧力が、蒸気抜き機構20から外部へ蒸気が抜ける程度にまで上昇しないこともある。すなわち、袋10の使用方法によっては、蒸気抜き機構20は、蒸気を外部に逃がすという機能を発現させる確率が低い場合がある。この場合であっても、袋10に蒸気抜き機構20を設けることにより、蒸気抜き機構20以外の箇所から蒸気が抜けたり、袋10が破裂したりする確率をより低くすることができる。
図13に示す例において、蒸気抜き機構20は、側部シール部13aから袋10の内側に向かって突出した蒸気抜きシール部20aと、蒸気抜きシール部20aによって収容部17から隔離された非シール部20bと、を有する。非シール部20bは、袋10の外部に連通している。電子レンジなどによって加熱されることによって収容部17の圧力が高まると、蒸気抜きシール部20aが剥離する。収容部17の蒸気は、蒸気抜きシール部20aの剥離部分及び非シール部20bを通って袋10の外部に抜けることができる。この際、包装材料30が耐熱性を有することにより、加熱の際に包装材料30に穴があいたり包装材料30にシワが形成されたりすることを抑制することができる。
なお、蒸気抜き機構20の構成が、図13に示す構成に限られることはない。蒸気の圧力が所定値以上になったときに収容部17と袋10の外部とを連通させることができる限りにおいて、蒸気抜き機構20の構成は任意である。
例えば図14に示すように、表面フィルム14は、表面フィルム14の内面同士が部分的に重ね合された合掌部14aを含んでいてもよい。合掌部14aは、例えば、1枚の表面フィルム14にひだを形成するように折り返し部14fで折り返すことによって構成され得る。また、合掌部14aは、2枚の表面フィルム14の一部分同士を重ね合わせることによって構成されてもよい。
合掌部14aには、一方の側部シール部13aから他方の側部シール部13aまで延びる合掌シール部14bが形成されている。この場合、蒸気抜き機構20は、例えば、合掌シール部14bから収容部17に向かって突出した蒸気抜きシール部20aと、蒸気抜きシール部20aと合掌シール部14bとによって囲われた非シール部20bと、非シール部20bにおいて表面フィルム14に形成された貫通孔20cと、を有する。
本変形例においても、収容部17の圧力が増加すると、蒸気抜きシール部20aが剥離して収容部17と非シール部20bとが連通する。蒸気抜きシール部20aの剥離部分を通って収容部17から非シール部20bに流入した蒸気は、貫通孔20cを通って袋10の外部に抜ける。
なお、図14に示す袋10は、裏面フィルム15が広域にわたって電子レンジのターンテーブル又は下面(フラットテーブル)に接するよう、電子レンジ内に配置される。このため、図13に示すような自立タイプの袋10に比べて、内容物が均一に加熱され易い。また、袋10が電子レンジに接している部分の面積が大きいので、加熱によって袋10が軟化したとしても、内容物の液面の位置が変化しにくい。このため、電子レンジを用いた加熱工程において、内容物の液面よりも上方において表面フィルム14又は裏面フィルム15の内面に内容物が付着しているという状態が生じにくい。これにより、表面フィルム14又は裏面フィルム15の内面に付着している内容物が過剰に過熱されて表面フィルム14又は裏面フィルム15に穴が形成されるという現象が生じることを抑制することができる。
図15A及び図15Bは、包装材料30の用途の一例である蓋付容器110を示す縦断面図及び平面図である。蓋付容器110は、絞り成形などのシート成形や射出成形などによって作製された容器本体112と、容器本体112に接合された蓋材114と、を備える。容器本体112は、底面112a及び側面112bと、側面112bの上端から水平方向外方へ広がるフランジ部113と、を有する。蓋材114は、容器本体112のフランジ部113の上面に、シール部116を介して接合されている。蓋材114は、高スティフネスポリエステルフィルムを有する上述の包装材料30を含んでいてもよい。上述の包装材料30を用いて蓋材114を構成することにより、蓋材114に優れた突き刺し強度を持たせることができる。これにより、先端が尖った鋭利な部材が蓋材114に接触した場合に蓋材114が破けてしまうことなどを抑制することができる。また、蓋付容器110が落下した場合に蓋付容器110が破損して内容物が漏れ出てしまうことを抑制することができる。
蓋材114を構成する包装材料30のシーラント層70は、イージーピール性を備えていてもよい。すなわち、蓋材114を構成する包装材料30のシーラント層70は、ポリエチレン又はポリプロピレンを主成分とする第1層71と、ポリエチレンとポリプロピレンの混合樹脂を含み、内面30xを構成する第2層72と、を有していてもよい。
本願においては、袋10や蓋付容器110などの、物品を包装するための製品のことを、包装製品とも称する。
蒸気抜き機構20を備える包装製品で用いられる包装材料30においては、高温時、例えば100℃以上のときの、シーラント層70によって構成されるシール部の強度(以下、熱間シール強度とも言う)が、低温時、例えば室温のときのシール強度に比べて極めて小さくなることが好ましい。例えば、100℃のときの熱間シール強度が、25℃のときのシール強度(以下、常温シール強度とも言う)の3分の1以下、好ましくは4分の1以下になることが好ましい。例えば、100℃のときの15mm幅における熱間シール強度は、30N以下、好ましくは25N以下、より好ましくは20N以下、さらに好ましくは15N以下である。また、25℃のときの15mm幅における常温シール強度は、23N以上、好ましくは40N以上、より好ましくは50N以上、さらに好ましくは60N以上である。熱間シール強度が低いことにより、蒸気抜き機構20を備える袋10を、電子レンジを用いて加熱する際、蒸気抜きシール部20aが剥離し易くなり、収容部17の蒸気が袋10の外部に抜けやすくなる。このため、収容部17の内圧が過大になることを抑制することができ、これにより、加熱時に包装材料30にダメージが生じることを抑制することができる。シール強度は、JIS Z1707 7.5に準拠して測定され得る。測定器としては、例えばオリエンテック社製の恒温槽付き引張試験機 RTC-1310Aを用いることができる。
(袋のその他の変形例)
上述の本実施の形態においては、袋10がガセット式の袋である例を示したが、袋10の具体的な構成が特に限定されることはない。例えば、袋10は、包装材料30からなる表面フィルム14及び裏面フィルム15の内面同士を上部11、下部12及び側部13で接合することによって形成された、いわゆる四方シール袋であってもよい。
第2の実施の形態
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態も、上述の第1の実施の形態と同様に、包装材料及び包装材料を備える包装製品に関する。まず、第2の実施の形態が解決しようとする課題について説明する。
従来、飲食品、医薬品、化学品、化粧品、その他等の種々の物品を充填包装するために、種々の包装材料が開発され、提案されている。そのような包装材料においては、包装目的、充填する内容物、包装製品の貯蔵・流通、その他等によって異なるが、包装材料として、種々の物性が要求される。例えば、それらの物性の一つとして、酸素および水蒸気等の透過を阻止するガスバリア性がある。
従来から、酸素および水蒸気等の透過を阻止するガスバリア性材料が、種々、開発され、提案されている。例えば、アルミニウム箔、あるいは、ポリ塩化ビニリデン系樹脂のコーティング膜を有するナイロンフィルムあるいはポリエチレンテレフタレ-トフィルム、ポリビニルアルコ-ルフィルム、エチレン-酢酸ビニル共重合体のケン化物フィルム、ポリアクリロニトリル系樹脂フィルム等のガスバリア性材料が、開発され、提案されている。
更に、近年、プラスチック製の基材の上に、例えば、酸化ケイ素、酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着層を設けた構成からなる透明バリア性フィルム、あるいは、アルミニウム等の金属の蒸着層を設けたバリア性フィルム等も提案されている。例えば、特開2007-303000号公報は、ナイロンフィルム上に無機酸化物の蒸着層を形成することによってバリア性フィルムを作製することを提案している。
ところで、包装材料には、先端が尖った鋭利な部材が包装袋に接触した場合にも袋が破けてしまうことを抑制する特性、いわゆる耐突き刺し性などの強度が求められる。
本実施の形態は、このような課題を効果的に解決し得る包装材料を提供することを目的とする。
次に、課題を解決するための手段を記載する。
本実施の形態は、バリア性積層フィルムと、前記バリア性積層フィルムよりも内側に位置するシーラント層と、を備え、前記バリア性積層フィルムは、基材と、前記基材上に設けられ、金属又は無機化合物を含む蒸着層と、を備え、前記基材は、ポリエステルを主成分として含み、少なくとも1つの方向において、前記基材の引張強度を引張伸度で割った値が2.0〔MPa/%〕以上である、包装材料である。
本実施の形態による包装材料において、前記シーラント層は、90質量%以上のポリプロピレンを含んでいてもよい。
本実施の形態による包装材料において、前記シーラント層は、100℃以上の融点を有する直鎖状低密度ポリエチレンを含んでいてもよい。
本実施の形態による包装材料において、前記シーラント層は、ポリプロピレン及び高密度ポリエチレンを含む第1層と、前記第1層よりも前記バリア性積層フィルム側に位置し、ポリプロピレン又は高密度ポリエチレンを含む第2層と、を有していてもよい。
本実施の形態による包装材料において、前記バリア性積層フィルムの前記基材の突き刺し強度が9.5N以上であってもよい。
本実施の形態による包装材料において、前記バリア性積層フィルムの前記基材は、流れ方向及び垂直方向において0.0017N以上のループスティフネスを有し、且つポリエステルを主成分として含んでいてもよい。
本実施の形態による包装材料において、前記バリア性積層フィルムの前記基材は、ポリブチレンテレフタレートを主成分として含んでいてもよい。
本実施の形態による包装材料において、前記バリア性積層フィルムは、前記蒸着層上に設けられたガスバリア性塗布膜を更に備えていてもよい。
本実施の形態による包装材料において、前記バリア性積層フィルムの前記蒸着層は、無機化合物を含む透明蒸着層であってもよい。
本実施の形態による包装材料において、前記バリア性積層フィルムの前記蒸着層は、酸化アルミニウムを含む透明蒸着層であり、前記透明蒸着層は、遷移領域を含み、前記遷移領域は、前記バリア性積層フィルムを前記透明蒸着層側から飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF-SIMS)を用いてエッチングを行うことで検出される元素結合Al24Hのピークの位置と、前記透明蒸着層と前記基材との界面との間の領域であり、前記透明蒸着層の厚みに対する前記遷移領域の厚みの比率が、5%以上60%以下であってもよい。
本実施の形態は、上記記載の包装材料から構成された包装製品である。
本実施の形態によれば、ガスバリア性及び強度を有する包装材料を提供することができる。
以下、第2の実施の形態について具体的に説明する。第2の実施の形態における包装材料210は、蒸着層が設けられた高スティフネスポリエステルフィルムを有することを特徴としている。以下の説明では、上述した第1の実施の形態と同様に構成され得る部分について、同一の名称を用いることとし、重複する説明を省略することがある。また、上述した第1の実施の形態において得られる作用効果が第2の実施の形態においても得られることが明らかである場合、その説明を省略することもある。
図16は、本実施の形態による包装材料210の一例を示す断面図である。包装材料210は、外側から内側へ順に、バリア性積層フィルム205と、印刷層218と、第1接着層213と、シーラント層212とをこの順に備える。バリア性積層フィルム205は、基材201と、蒸着層202と、をこの順に少なくとも有する。バリア性積層フィルム205は、蒸着層202上に位置するガスバリア性塗布膜203を更に有していてもよい。基材201が包装材料210の外面210yを構成し、シーラント層212が包装材料210の内面210xを構成している。
本実施の形態において、外面とは、包装材料210において最も外側に位置する面であり、内面とは、包装材料210において最も内側に位置する面である。また、本願において、「この順に備える」や「順に積層された」などの記載における「順」という用語は、特に断らない限り、外側から内側に向かう方向における順序を表している。
図17は、本実施の形態による包装材料の一変形例を示す断面図である。図17の例は、シーラント層212が、第1層2121と、第1層2121よりもバリア性積層フィルム205側に位置する第2層2122と、を含む点が異なるのみであり、その他の構成は、図16に示す包装材料210と同一である。図17に示す例においては、シーラント層212の第1層2121が包装材料210の内面210xを構成している。包装材料210の厚みは、例えば60μm以上であり、70μm以上であってもよく、80μm以上であってもよく、90μm以上であってもよい。また、包装材料210の厚みは、120μm以下であってもよく、110μm以下であってもよく、100μm以下であってもよい。
以下、包装材料210を構成するフィルム及び層について説明する。まず、バリア性積層フィルム205について説明する。
[基材]
バリア性積層フィルム205に用いる基材201は、主成分としてポリエステルを含むポリエステルフィルムである。基材201は、例えば51質量%以上のポリエステルを含む。ポリエステルとしては、テレフタル酸、イソフタル酸および2,6-ナフタレンジカルボン酸から選ばれる少なくとも1種の芳香族ジカルボン酸と、エチレグリコール、1,3-プロパンジオールおよび1,4-ブタンジオールから選ばれる少なくとも1種の脂肪族アルコールとからなる芳香族ポリエステルを主体とするポリエステルが好ましい。例えば、ポリエステルは、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETとも記す)、ポリブチレンテレフタレート(以下、PBTとも記す)などである。
バリア性積層フィルム205を含む包装材料によって構成された包装袋に、先端が尖った鋭利な部材が接触した場合に、袋が破けてしまうことを抑制するためには、バリア性積層フィルム205の基材201が、耐突き刺し性などの耐性を有することが好ましい。そこで、本実施の形態においては、基材201として、高スティフネスPETフィルム又はPBTフィルムのいずれかを用いることを提案する。これにより、例えば、基材201の突き刺し強度を高くすることができる。例えば、基材201の突き刺し強度を9.5N以上にすることができ、より好ましくは10N以上にすることができる。また、基材201の引張伸度に対する引張強度の比率を高くすることができる。例えば、少なくとも1つの方向において、基材の引張強度を引張伸度で割った値が2.0〔MPa/%〕以上になる。これにより、バリア性積層フィルム205を含む包装用材料に、先端が尖った鋭利な部材が接触した場合にも袋が破けてしまうことを抑制するための剛性を持たせることができる。
以下、高スティフネスPETフィルム及びPBTフィルムについて詳細に説明する。まず、高スティフネスPETフィルムについて説明する。
高スティフネスPETフィルムとは、上述の第1の実施の形態の場合と同様に、少なくとも1つの方向において0.0017N以上のループスティフネスを有し、且つ51質量%以上のPETを含む二軸延伸PETフィルムである。高スティフネスPETフィルムの厚みは、好ましくは5μm以上であり、より好ましくは7μm以上である。また、高スティフネスPETフィルムの厚みは、好ましくは25μm以下であり、より好ましくは20μm以下である。ループスティフネスの測定方法は、上述の第1の実施の形態の場合と同一である。
高スティフネスPETフィルムの好ましい機械特性について更に説明する。
高スティフネスPETフィルムの突き刺し強度は、好ましくは9.5N以上であり、より好ましくは10.0N以上である。
流れ方向における高スティフネスPETフィルムの引張強度、引張伸度、高スティフネスPETフィルムの引張強度を引張伸度で割った値、熱収縮率及び引張弾性率は、上述の第1の実施の形態の高スティフネスポリエステルフィルムの場合と同一であるので、説明を省略する。
高スティフネスPETフィルムの製造工程においては、高スティフネスポリエステルフィルムの場合と同様に、例えば、まず、ポリエチレンテレフタレートを溶融及び成形することによって得られたPETフィルムを、流れ方向及び垂直方向において、それぞれ90℃~145℃で3倍~4.5倍に延伸する第1延伸工程を実施する。続いて、プラスチックフィルムを、流れ方向及び垂直方向において、それぞれ100℃~145℃で1.1倍~3.0倍に延伸する第2延伸工程を実施する。その後、190℃~220℃の温度で熱固定を行う。続いて、流れ方向及び垂直方向において、100℃~190℃の温度で0.2%~2.5%程度の弛緩処理(フィルム幅を縮める処理)を実施する。これらの工程において、延伸倍率、延伸温度、熱固定温度、弛緩処理率を調整することにより、上述の機械特性を備える高スティフネスPETフィルムを得ることができる。
高スティフネスPETフィルムを構成するPETは、上述の第1の実施の形態の場合と同様に、バイオマス由来のPETを含んでいてもよい。この場合、高スティフネスPETフィルムは、バイオマス由来のPETのみで構成されていてもよい。若しくは、高スティフネスPETフィルムは、バイオマス由来のPETと、化石燃料由来のPETと、で構成されていてもよい。高スティフネスPETフィルムに含まれるバイオマス由来のPET、高スティフネスPETフィルムのバイオマス度などは、上述の第1の実施の形態の高スティフネスポリエステルフィルムの場合と同一であるので、説明を省略する。
次に、PBTフィルムについて説明する。PBTフィルムとは、51質量%以上のPBTを含む延伸プラスチックフィルムである。以下、基材201がPBTを含むことの利点について説明する。
PBTは、耐熱性に優れる。このため、食品などの内容物を収容する包装袋にボイル処理やレトルト処理を施す際に基材201が変形したり基材201の強度が低下したりすることを抑制することができる。レトルト処理とは、内容物を包装袋に充填して包装袋を密封した後、蒸気又は加熱温水を利用して包装袋を加圧状態で加熱する処理である。レトルト処理の温度は、例えば120℃以上である。ボイル処理とは、内容物を包装容器に充填して包装容器を密封した後、包装容器を大気圧下で湯煎する処理である。ボイル処理の温度は、例えば90℃以上且つ100℃以下である。
また、PBTは、高い強度を有する。このため、包装袋を構成する包装材料210がナイロンを含む場合と同様に、包装袋に耐突き刺し性を持たせることができる。PBTフィルムの突き刺し強度は、好ましくは9.5N以上であり、より好ましくは10.0N以上である。
流れ方向におけるPBTフィルムの引張強度は、好ましくは150MPa以上であり、より好ましくは180MPa以上である。垂直方向におけるPBTフィルムの引張強度は、好ましくは250MPa以上であり、より好ましくは280MPa以上である。
流れ方向におけるPBTフィルムの引張伸度は、好ましくは220%以下であり、より好ましくは200%以下である。垂直方向におけるPBTフィルムの引張伸度は、好ましくは120%以下であり、より好ましくは110%以下である。
好ましくは、少なくとも1つの方向において、PBTフィルムの引張強度を引張伸度で割った値が2.0〔MPa/%〕以上である。例えば、垂直方向(TD)におけるPBTフィルムの引張強度を引張伸度で割った値は、好ましくは2.0〔MPa/%〕以上であり、より好ましくは2.2〔MPa/%〕以上であり、更に好ましくは2.5〔MPa/%〕以上である。
また、PBTは、ナイロンに比べて水分を吸収しにくいという特性を有する。このため、PBTを含む基材201を包装材料210の外面に配置した場合であっても、基材201が水分を吸収して包装材料210のラミネート強度が低下してしまうことを抑制することができる。
以下、PBTを含む基材201の構成について詳細に説明する。本実施の形態における、PBTを含む基材201の構成としては、下記の第1の構成又は第2の構成のいずれを採用してもよい。
〔PBTを含む基材の第1の構成〕
第1の構成に係る基材201におけるPBTの含有率は、51質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、さらには70質量%以上、特には75質量%以上が好ましく、最も好ましくは80質量%以上である。PBTの含有率を51質量%以上にすることにより、基材201に優れたインパクト強度および耐ピンホール性を持たせることができる。
主たる構成成分として用いるPBTは、ジカルボン酸成分として、テレフタル酸が90モル%以上であることが好ましく、より好ましくは95モル%以上であり、さらに好ましくは98モル%以上であり、最も好ましくは100モル%である。グリコール成分として1,4-ブタンジオールが90モル%以上であることが好ましく、より好ましくは95モル%以上であり、さらに好ましくは97モル%以上であり、最も好ましくは、重合時に1,4-ブタンジオールのエーテル結合により生成する副生物以外は含まれないことである。
基材201は、PBT以外のポリエステル樹脂を含んでいてもよい。これにより、例えばフィルム状の基材201を二軸延伸させる場合の成膜性や基材201の力学特性を調整することができる。
PBT以外のポリエステル樹脂としては、PET、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリプロピレンテレフタレート(PPT)などのポリエステル樹脂のほか、イソフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸などのジカルボン酸が共重合されたPBT樹脂や、エチレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,2-プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、シクロヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリカーボネートジオール等のジオール成分が共重合されたPBT樹脂を挙げることができる。
これらPBT以外のポリエステル樹脂の添加量は、49質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましい。PBT以外のポリエステル樹脂の添加量が49質量%を超えると、PBTとしての力学特性が損なわれ、インパクト強度や耐ピンホール性、絞り成形性が不十分となることが考えられる。
基材201は、添加剤として、柔軟なポリエーテル成分、ポリカーボネート成分、ポリエステル成分の少なくともいずれかを共重合したポリエステル系およびポリアミド系エラストマーを含んでいてもよい。これにより、屈曲時の耐ピンホール性を改善することができる。添加剤の添加量は、例えば20質量%である。添加剤の添加量が20質量%を超えると、添加剤としての効果が飽和することや、基材201の透明性が低下することなどが起こり得る。
第1の構成に係るフィルム状の基材201を作製する方法の一例について説明する。ここでは、キャスト法によってフィルム状の基材201を作製する方法について説明する。より具体的には、キャスト時に同一の組成の樹脂を多層化してキャストする方法について説明する。
PBTは結晶化速度が速いため、キャスト時にも結晶化が進行する。このとき、多層化せずに単層でキャストした場合には、結晶の成長を抑制しうるような障壁が存在しないために、結晶が大きなサイズに成長してしまい、得られた未延伸原反の降伏応力が高くなる。このため、未延伸原反を二軸延伸する際に破断しやすくなる。また、得られた二軸延伸フィルムの降伏応力が高くなり、二軸延伸フィルムの成形性が不十分になってしまうことが考えられる。
これに対して、キャスト時に同一の樹脂を多層化すれば、未延伸シートの延伸応力を低減することができる。このため、安定した二軸延伸が可能となり、また、得られた二軸延伸フィルムの降伏応力が低くなる。このことにより、柔軟かつ破断強度の高いフィルムを得ることができる。
図18は、基材201の層構成の一例を示す断面図である。樹脂を多層化してキャストすることによって基材201が作製される場合、図18に示すように、基材201は、複数の層201aを含む多層構造部からなる。複数の層201aはそれぞれ、主成分としてPBTを含む。例えば、複数の層201aはそれぞれ、好ましくは51質量%以上のPBTを含み、より好ましくは60質量%以上のPBTを含む。なお、複数の層201aにおいては、n番目の層201aの上にn+1番目の層201aが直接積層されている。すなわち、複数の層201aの間には、接着剤層や接着層が介在されていない。
多層化によりPBTフィルムの特性が改善される原因については、下記のように推測する。樹脂を積層する場合、樹脂の組成が同一の場合であっても層の界面が存在し、その界面により結晶化が加速される。一方、層の厚みを越えた大きな結晶の成長は抑制される。このため、結晶(球晶)のサイズが小さくなるものと考えられる。
多層化により球晶のサイズを小さくするための具体的な方法としては、一般的な多層化装置(多層フィードブロック、スタティックミキサー、多層マルチマニホールドなど)を用いることができる。例えば、二台以上の押出機を用いて異なる流路から送り出された熱可塑性樹脂を、フィードブロックやスタティックミキサー、マルチマニホールドダイ等を用いて多層に積層する方法等を使用することができる。なお、同一の組成の樹脂を多層化する場合、一台の押出機のみを用いて、押出機からダイまでのメルトラインに上述の多層化装置を導入することも可能である。
基材201は、少なくとも10層以上、好ましくは60層以上、より好ましくは250層以上、更に好ましくは1000層以上の層201aを含む多層構造部からなる。層数を多くすることにより、未延伸原反の状態のPBTにおける球晶のサイズを小さくすることができ、その後の二軸延伸を安定に実施することができる。また、二軸延伸フィルムの状態のPBTの降伏応力を小さくすることができる。好ましくは、未延伸原反のPBTにおける球晶の直径は、500nm以下である。
PBTの未延伸原反を二軸延伸して二軸延伸フィルムを作製する際の、縦延伸方向(以下、MD)における延伸温度(以下、MD延伸温度とも記す)は、好ましくは40℃以上であり、より好ましくは45℃以上である。MD延伸温度を40℃以上にすることにより、フィルムの破断が生じることを抑制することができる。また、MD延伸温度は、好ましくは100℃以下であり、より好ましくは95℃以下である。MD延伸温度を100℃以下にすることにより、二軸延伸フィルムの配向が生じないという現象を抑制することができる。
MDにおける延伸倍率(以下、MD延伸倍率とも記す)は、好ましくは2.5倍以上である。これにより、二軸延伸フィルムを配向させ、良好な力学特性や均一な厚みを実現することができる。MD延伸倍率は、例えば5倍以下である。
横延伸方向(以下、TDとも記す)における延伸温度(以下、TD延伸温度とも記す)は、好ましくは40℃以上である。TD延伸温度を40℃以上にすることにより、フィルムの破断が生じることを抑制することができる。また、TD延伸温度は、好ましくは100℃以下である。TD延伸温度を100℃以下にすることにより、二軸延伸フィルムの配向が生じないという現象を抑制することができる。
TDにおける延伸倍率(以下、TD延伸倍率とも記す)は、好ましくは2.5倍以上である。これにより、二軸延伸フィルムを配向させ、良好な力学特性や均一な厚みを実現することができる。MD延伸倍率は、例えば5倍以下である。
TDリラックス率は、好ましくは0.5%以上である。これにより、PBTの二軸延伸フィルムの熱固定時に破断が生じることを抑制することができる。また、TDリラックス率は、好ましくは10%以下である。これにより、PBTの二軸延伸フィルムにたるみなどが生じて厚みムラが発生することを抑制することができる。
図18に示す基材201の層201aの厚みは、好ましくは3nm以上であり、より好ましくは10nm以上である。また、層201aの厚みは、好ましくは200nm以下であり、より好ましくは100nm以下である。
また、基材201の厚みは、好ましくは9μm以上であり、より好ましくは12μm以上である。また、基材201の厚みは、好ましくは25μm以下であり、より好ましくは20μm以下である。基材201の厚みを9μm以上にすることにより、基材201が十分な強度を有するようになる。また、基材201の厚みを25μm以下にすることにより、基材201が優れた成形性を示すようになる。このため、基材201を含む包装材料210を加工して包装袋を製造する工程を効率的に実施することができる。
〔PBTを含む基材の第2の構成〕
第2の構成に係る基材201は、ブチレンテレフタレートを主たる繰返し単位とするポリエステルを含む単層フィルムからなる。例えば、基材201は、グリコール成分としての1,4-ブタンジオール、又はそのエステル形成性誘導体と、二塩基酸成分としてのテレフタル酸、又はそのエステル形成性誘導体を主成分とし、それらを縮合して得られるホモ、またはコポリマータイプのポリエステルを含む。第2の構成に係る基材201におけるPBTの含有率は、51質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましく、さらには80質量%以上が好ましく、最も好ましくは90質量%以上である。また、第2の構成に係る基材201は、ポリブチレンテレフタレートと添加剤のみで構成されていることが好ましい。
基材201に機械的強度を付与するためには、PBTのうち、融点が200℃以上且つ250℃以下、IV値(固有粘度)が1.10dl/g以上且つ1.35dl/g以下のものが好ましい。さらには、融点が215℃以上且つ225℃以下、IV値が1.15dl/g以上且つ1.30dl/g以下のものが特に好ましい。これらのIV値は、基材201を構成する材料全体によって満たされていてもよい。IV値は、JIS K 7367-5:2000に基づいて算出され得る。
第2の構成に係る基材201は、PETなどPBT以外のポリエステル樹脂を30質量%以下の範囲で含んでいてもよい。基材201がPBTに加えてPETを含むことにより、PBT結晶化を抑制することができ、PBTフィルムの延伸加工性を向上させることができる。基材201のPBTに配合するPETとしては、エチレンテレフタレートを主たる繰返し単位とするポリエステルを用いることができる。例えば、グリコール成分としてのエチレングリコール、二塩基酸成分としてのテレフタル酸を主成分としたホモタイプを好ましく用いることができる。良好な機械的強度特性を付与するためには、PETのうち、融点が240℃以上且つ265℃以下、IV値が0.55dl/g以上且つ0.90dl/g以下のものが好ましい。さらには、融点が245℃以上且つ260℃以下、IV値が0.60dl/g以上且つ0.80dl/g以下のものが特に好ましい。
PETの配合量を30質量%以下にすることにより、未延伸原反及び延伸フィルムの剛性が高くなり過ぎることを抑制することができる。これにより、延伸フィルムがもろくなり、延伸フィルムの耐圧強度、衝撃強度、突刺し強度などが低下してしまうことを抑制することができる。また、未延伸原反を延伸する際の延伸不調が発生することを抑制することができる。
基材201は、必要に応じて、滑剤、アンチブロッキング剤、無機増量剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤、可塑剤、着色剤、結晶化抑制剤、結晶化促進剤等の添加剤を含んでいてもよい。また、基材201の原料として用いるポリエステル系樹脂ペレットは、加熱溶融時の加水分解による粘度低下を避けるため、加熱溶融前に水分率が0.05重量%以下、好ましくは0.01重量%以下になるように十分予備乾燥を行った上で使用するのが好ましい。
第2の構成に係るフィルム状の基材201を作製する方法の一例について説明する。
上述の構成の基材201のフィルムを安定的に作製するためには、未延伸原反の状態における結晶の成長を抑制することが重要になる。具体的には、押出されたPBT系溶融体を冷却して成膜する際、該ポリマーの結晶化温度領域をある速度以上で冷却する、すなわち原反冷却速度が重要な因子となる。原反冷却速度は、例えば200℃/秒以上、好ましくは250℃/秒以上、特に好ましくは350℃/秒以上である。高い冷却速度で成膜された未延伸原反は、低い結晶状態を保っているため、延伸時のバブルの安定性が向上する。さらには高速での成膜も可能になるので、フィルムの生産性も向上する。冷却速度が200℃/秒未満である場合、得られた未延伸原反の結晶性が高くなり延伸性が低下することが考えられる。また、極端な場合には、延伸バブルが破裂し、延伸が継続しないことも考えられる。
PBTを主成分として含む未延伸原反は、雰囲気温度を25℃以下、好ましくは20℃以下に保ちながら、二軸延伸を行う空間まで搬送されることが好ましい。これにより、滞留時間が長くなった場合であっても、成膜直後の未延伸原反の結晶性を維持することができる。
未延伸原反を延伸させて延伸フィルムを得るための二軸延伸法は、特には限定されない。例えば、チューブラー法又はテンター法により、縦方向及び横方向を同時に延伸してもよく、若しくは、縦方向及び横方向を逐次延伸してもよい。このうち、チューブラー法は、周方向の物性バランスが良好な延伸フィルムを得ることができ、特に好ましく採用される。
チューブラー法において、延伸空間に導かれた未延伸原反は、一対の低速ニップロール間に挿通された後、中に空気を圧入しながら延伸用ヒーターで加熱される。延伸終了後、延伸フィルムには、冷却ショルダーエアーリングによりエアーが吹き付けられる。延伸倍率は、延伸安定性や延伸フィルムの強度物性、透明性、および厚み均一性を考慮すると、MD、およびTDそれぞれ2.7倍以上且つ4.5倍以下であることが好ましい。延伸倍率を2.7倍以上にすることにより、延伸フィルムの引張弾性率や衝撃強度を十分に確保することができる。また、延伸倍率を4.5倍以下にすることにより、延伸により過度な分子鎖のひずみが発生することを抑制し、延伸加工時に破断やパンクが発生することを抑制できるので、延伸フィルムを安定に作製することができる。
延伸温度は、40℃以上且つ80℃以下が好ましく、特に好ましくは45℃以上且つ65℃以下である。上述の高い冷却速度で製造した未延伸原反は、結晶性が低いため、延伸温度が比較的に低温の場合であっても、安定して未延伸原反を延伸することができる。また、延伸温度を80℃以下にすることにより、延伸バブルの揺れを抑制し、厚み精度の良好な延伸フィルムを得ることができる。また、延伸温度を40℃以上にすることにより、低温延伸による過度な延伸配向結晶化が発生することを抑制して、フィルムの白化等を防ぐことができる。
上述のようにして作製される基材201は、例えば、ブチレンテレフタレートを主たる繰返し単位とするポリエステルを含む単一の層によって構成されている。上述の作製方法によれば、高い冷却速度で未延伸原反を成膜するので、未延伸原反が単一の層によって構成される場合であっても、低い結晶状態を保つことができ、このため、安定して未延伸原反を延伸することができる。
基材201がPBTを含むことにより、バリア性積層フィルム205の耐熱性、及びバリア性積層フィルム205を含む包装材料210の耐熱性を高くすることができる。例えば、バリア性積層フィルム205及び包装材料210の引張弾性率を十分に高くすることができる。特に、高温の雰囲気下、例えば100℃の雰囲気下におけるバリア性積層フィルム205及び包装材料210の引張弾性率(以下、熱間引張弾性率とも記す)を十分に高くすることができる。
本実施の形態においても、包装材料210が高スティフネスPETフィルム又はPBTフィルムを含むことにより、上述の第1の実施の形態の場合と同様に、包装材料210の突き刺し強度を高めることができる。包装材料210の突き刺し強度は、例えば12N以上であり、13N以上であってもよい。また、上述の第1の実施の形態の場合と同様に、包装材料210のこしの強さを高めることができる。例えば、包装材料30の単位厚みあたりの包装材料210のループスティフネスを高めることができる。少なくとも1つの方向における包装材料30のループスティフネスを包装材料210の厚みで割った値は、例えば0.00085N/μm以上であり、0.00090N/μm以上であってもよく、0.00095N/μm以上であってもよく、0.00100N/μm以上であってもよい。例えば、流れ方向(MD)における包装材料210のループスティフネスを包装材料210の厚みで割った値は、例えば0.00085N/μm以上であり、0.00090N/μm以上であってもよく、0.00095N/μm以上であってもよく、0.00100N/μm以上であってもよい。また、垂直方向(TD)における包装材料210のループスティフネスを包装材料30の厚みで割った値は、例えば0.00080N/μm以上であり、0.00085N/μm以上であってもよく、0.00090N/μm以上であってもよく、0.00095N/μm以上であってもよい。
[蒸着層]
次に、バリア性積層フィルム205の蒸着層202について説明する。
蒸着層202は、酸素ガス、水蒸気等の透過を阻止、遮断するガスバリア性能を有する薄膜である。蒸着層202は、アルミニウムなどの遮光性を有する金属を含む金属層であってもよく、透明性を有する無機化合物で形成された透明蒸着層であってもよい。例えば、蒸着層202は、透明性を有する無機酸化物で形成された透明蒸着層である。
以下、蒸着層202が透明蒸着層である場合について説明する。蒸着層202を形成する無機酸化物は、例えば、少なくとも酸化アルミニウム又はアルミニウムの窒化物、炭化物、水酸化物の単独又はその混合物を含む、アルミニウム化合物を主成分として含む。例えば、無機酸化物は、酸化アルミニウムを主成分として含む。
また、蒸着層202は、珪素化合物を主成分として含む層であってもよい。例えば、無機酸化物層は、ケイ素酸化物(酸化珪素)を主成分として含む。
さらに、蒸着層202は、上述の酸化アルミニウムなどのアルミニウム化合物を主成分として含み、更に、ケイ素酸化物、ケイ素窒化物、ケイ素酸化窒化物、ケイ素炭化物、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム等の金属酸化物、またはこれらの金属窒化物、炭化物及びその混合物などを含む層であってもよい。
蒸着層202の厚みは、3nm以上50nm以下が好ましく、より好ましくは9nm以上30nm以下である。
(ガスバリア性塗布膜)
バリア性積層フィルム205のガスバリア性塗布膜203は、蒸着層202が透明蒸着層である場合に、蒸着層202を機械的・化学的に保護するとともに、バリア性積層フィルム205のバリア性を向上させるためのものであり、蒸着層202に接するように積層される。ガスバリア性塗布膜203は、金属アルコキシドと水酸基含有水溶性樹脂、及び必要に応じて添加されるシランカップリング剤とを含む樹脂組成物からなるガスバリア性塗布膜用コート剤によって形成される硬化膜である。
前記樹脂組成物中の水酸基含有水溶性樹脂/金属アルコキシドの質量比は、5/95以上、20/80以下が好ましく、8/92以上、15/85以下がより好ましい。上記範囲よりも小さいと、バリア性被覆層のバリア効果が不十分になり易い傾向になり、上記範囲よりも大きいと、バリア性被覆層の剛性と脆性とが大きくなり易くなる。
ガスバリア性塗布膜203の厚みは、100nm以上、800nm以下が好ましい。上記範囲よりも薄いと、ガスバリア性塗布膜203のバリア効果が不十分になり易くなり、上記範囲よりも厚いと、剛性と脆性とが大きくなり易くなる。
金属アルコキシドは、一般式R1nM(OR2)m(ただし、式中、R1、R2は、水素原子または炭素数1~8の有機基を表し、Mは、金属原子を表し、nは、0以上の整数を表し、mは、1以上の整数を表し、n+mは、Mの原子価を表す。1分子中の複数のR1、R2のそれぞれは、同一であっても、異なっていてもよい。)・・・(XI)で表される。
金属アルコキシドのMで表される具体的な金属原子としては、ケイ素、ジルコニウム、チタン、アルミニウム、スズ、鉛、ボラン、その他等を例示することができ、例えば、MがSi(ケイ素)であるアルコキシシランを使用することが好ましい。
上記一般式(XI)において、ORの具体例としては、水酸基、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、n-ブトキシ基、i-プロポキシ基、ブトキシ基、3-メタクリロキシ基。3-アクリロキシ基、フェノキシ基、等のアルコキシ基またはフェノキシ基等が挙げられる。
上記において、Rの具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、フェニル基、p-スチリル基、3-クロロプロピル基、トリフルオロメチル基、ビニル基、γ-グリシドキシプロピル基、メタクリル基、γ-アミノプロピル基等が挙げられる。
アルコキシシランの具体例としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラフェノキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、フェニルフェノキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-クロロプロピルトリエトキシシラン、トリフルオロメチルトリメトキシシラン、1,6-ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン等の各種アルコキシシランやフェノキシシラン等が挙げられる。本実施の形態において、これらのアルコキシシランの縮重合物も使用することができ、具体的には、例えば、ポリテトラメトキシシラン、ポリテトラエトキシシラン等を使用することができる。
シランカップリング剤は、金属アルコキシドと水酸基含有水溶性樹脂による硬化膜の架橋密度を調整して、バリア性及び耐熱水処理性のある膜とするために用いるものである。
シランカップリング剤は、一般式:RnSi(OR)4-n ・・・(XII)
(ただし、式中、RおよびRはそれぞれ独立して有機官能基を表し、nは1から3である。)
で表される。
上記一般式(XII)中、Rとしては、例えば、アルキル基やアルキレン基等の炭化水素基、エポキシ基、(メタ)アクリロキシ基、ウレイド基、ビニル基、アミノ基、イソシアヌレート基またはイソシアネート基を有する官能基が挙げられる。具体的には、2つまたは3つ存在するRの少なくとも一つは、エポキシ基を有する官能基であることが好ましく、3-グリシドキシプロピル基および2-(3,4エポキシシクロヘキシル)基であることがより好ましい。なお、Rは、それぞれ同一であっても、異なってもよい。
上記一般式(XII)中、Rとしては、例えば、炭素数1~8の有機官能基であり、好ましくは分岐を有していてもよい炭素数1~8のアルキル基または炭素数3~7のアルコキシアルキル基である。例えば、炭素数1~8のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基等が挙げられる。また、炭素数3~7のアルコキシアルキル基としては、メチルエチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルプロピルエーテル、メチルイソプロピルエーテル、エチルプロピルエーテル、エチルイソプロピルエーテル、メチルブチルエーテル、エチルブチルエーテル、メチルsec-ブチルエーテル、エチルsec-ブチルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル、エチルtert-ブチルエーテル等の直鎖又は分岐鎖状エーテルから1個の水素原子を除いた基等が挙げられる。なお、(OR)は、それぞれ同一であっても、異なってもよい。
上記一般式(XII)で表されるシランカップリング剤としては、例えば、n=1の場合、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランおよび3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。n=2の場合、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシランおよび3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられ、n=3の場合、3-グリシドキシプロピルジメチルメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルジメチルエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)ジメチルメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)ジメチルエトキシシラン等が挙げられる。
特に、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシランおよび3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランを用いたバリア性被覆層の硬化膜の架橋密度は、トリアルコキシシランを用いた系での架橋密度より低くなる。そのため、ガスバリア性及び耐熱水処理性のある膜として優れながら、柔軟性のある硬化膜となり、耐屈曲性にも優れるため、当該バリアフィルムを用いた包装材料はゲルボフレックス試験後でもガスバリア性が劣化し難い。
シランカップリング剤は、n=1、2、3、のものを混合して用いることもでき、その量比及びシランカップリング剤の使用量は、バリア性被覆層の硬化膜の設計により決められる。
水酸基含有水溶性樹脂は、金属アルコキシドと脱水共縮合し得るものであり、ケン化度は、90%以上、100%以下が好ましく、95%以上、100%以下がより好ましく、99%以上、100%以下が更に好ましい。ケン化度が上記範囲よりも小さいと。バリア性被覆層の硬度が低下し易くなる。
水酸基含有水溶性樹脂の具体例としては、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂、エチレン・ビニルアルコ一ル共重合体、2官能フェノール化合物と2官能エポキシ化合物との重合体、等が挙げられ、各々を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよく、共重合させて用いてもよい。これらの中で、特に、柔軟性と親和性に優れることから、ポリビニルアルコールが好ましく、ポリビニルアルコール系樹脂が好適である。
具体的には、例えば、ポリ酢酸ビニルをケン化して得られたポリビニルアルコ一ル系樹脂や、エチレンと酢酸ビニルとの共重合体をケン化して得られたエチレン・ビニルアルコール共重合体を使用することができる。
このようなポリビニルアルコール系樹脂としては、株式会社クラレ製のPVA-124(ケン化度=99%、重合度=2,400)」、日本合成化学工業株式会社製の「ゴーセノールNM-14(ケン化度=99%、重合度=1,400)」等を挙げることができる。
(バリア性積層フィルムの好ましい構成)
次に、蒸着層202が酸化アルミニウムを含む透明蒸着層である場合の、厚み方向におけるバリア性積層フィルム205の好ましい構成について、図19を参照して説明する。図19は、バリア性積層フィルム205のガスバリア性塗布膜203側の表面に対し、Cs(セシウム)イオン銃により一定の速度でソフトエッチングを繰り返しながら、飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF-SIMS)を用いて、酸化アルミニウムを含む蒸着層202に由来するイオンと、基材201に由来するイオンを測定した結果を示す図である。バリア性積層フィルム205の蒸着層202は、図19に示すグラフ解析図によって特定される遷移領域を含んでいる。
遷移領域とは、バリア性積層フィルム205をガスバリア性塗布膜203側からTOF-SIMSを用いてエッチングを行うことで検出される、水酸化アルミニウムに変成する元素結合Al24Hのピークの位置T2と、蒸着層202と基材201との界面T1との間の領域である。蒸着層202と基材201との界面T1は、元素C6のグラフの強度が、基材201における元素C6の強度の半分になる位置として特定される。図19において、符号W1は、遷移領域の厚みを表す。
蒸着層202の厚みに対する遷移領域の厚みW1の比率(以下、遷移領域の変成率とも称する)は、5%以上60%以下であることが望ましい。変成率を5%以上60%以下にすることにより、バリア性積層フィルム205を含む包装材料にボイル処理やレトルト処理などの殺菌処理を施した場合に、水蒸気に対するバリア性積層フィルム205のバリア性が低下してしまうことを抑制することができる。レトルト処理とは、バリア性積層フィルム205を備える包装材料によって構成された包装袋に内容物を充填して包装袋を密封した後、包装袋を加圧状態で加熱する処理である。レトルト処理の温度は、例えば120℃以上である。ボイル処理とは、内容物を包装袋に充填して包装袋を密封した後、包装袋を大気圧下で湯煎する処理である。ボイル処理の温度は、例えば90℃以上且つ100℃以下である。なお、遷移領域の変成率が5%以上60%以下であるバリア性積層フィルム205を含む包装材料は、ボイル処理やレトルト処理などの殺菌処理が施されない用途の包装袋で用いられる場合であっても、酸素や水蒸気などのガスに対するバリア性を維持する上で有効に機能し得る。
基材201と蒸着層202の界面は、熱によって機械的及び化学的なストレスを受ける。従って、密着性やバリア性の低下を抑制するためには、基材201と蒸着層202の界面において強固に蒸着層202で基材201を被覆することが重要である。
水酸化アルミニウムは、その化学構造によりポリエステルフィルムなどのプラスチックフィルムとの密着性がよく、またそれ自体がネットワークを作り緻密なため、高い水蒸気バリア性を有する。しかし、熱ストレスに対して、水酸化アルミとプラスチックフィルムとの水素結合に基づく結合構造は微視的に崩れやすい。また、水酸化アルミニウムのネットワークに対しても、水分子と水酸化アルミニウムの粒界面の親和性から膜中に浸透しやすい。
本実施の形態では、酸化アルミニウムを含む蒸着層202における水酸化アルミニウムが形成する、基材201との界面における遷移領域を極力狭くするために、元素結合Al24Hに注目し、その存在量を制御する。これにより、熱ストレスによって元素結合Al24Hから発生する水酸化アルミニウムを抑え、相対的に水酸化アルミニウムが少ない酸化アルミニウムの層の比率を上げることにより、熱ストレスによる水分子による微視的な蒸着層202の破壊、プラスチックフィルムとの界面破壊を抑制することを意図している。それにより従来にない密着性、バリア性を有するバリア性積層フィルム205を提供することができる。
酸化アルミニウムを含む蒸着層202は、酸素プラズマ前処理された基材201の表面に蒸着層202を成膜することで形成することができる。蒸着層202を成膜する蒸着法としては、物理蒸着法、化学蒸着の中から種々の蒸着法が適用できる。物理蒸着法としては、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンビームアシスト法、クラスターイオンビーム法からなる群から選ぶことができ、化学蒸着法としては、プラズマCVD法、プラズマ重合法、熱CVD法、触媒反応型CVD法からなる群から選ぶことができる。本実施の形態においては、物理蒸着法の蒸着法が好適である。
図19のグラフを得るための方法の一具体例について説明する。まず、Csを用いて、ガスバリア性塗布膜203の最表面からエッチングを行い、ガスバリア性塗布膜203と蒸着層202と基材201等のフィルムとの界面の元素結合及び蒸着層202の元素結合の分析を実施する。これにより、図19に示すグラフを得ることができる。
次に、図19のグラフの解析方法の一具体例について説明する。ここでは、ガスバリア性塗布膜203が酸化ケイ素を含む場合について説明する。
まず、グラフにおいて、ガスバリア性塗布膜203の構成元素であるSiO2(質量数59.96)の強度が、ガスバリア性塗布膜203における強度の半分になる位置を、ガスバリア性塗布膜203と蒸着層202の界面として特定する。次に、基材201の構成材料であるC6(質量数72.00)の強度が、基材201における強度の半分になる位置を、基材201と蒸着層202の界面として特定する。また、2つの界面の間の、厚み方向における距離を、蒸着層202の厚みとして採用する。
次に、測定された元素結合Al24H(質量数118.93)のピークを求め、そのピークから界面までを遷移領域とする。ただし、ガスバリア性塗布膜203の成分がAl24H(質量数118.93)と同じ質量数の材料で構成される場合、118.93の波形を分離する必要がある。
ガスバリア性塗布膜203と蒸着層202の界面に、反応物AlSiO4と、水酸化物Al24Hとが生じる場合、それらと、基材201と蒸着層202の間の界面に存在するAl24Hを分離することができる。このように、波形の分離については、ガスバリア性塗布膜203の材料に応じて適宜対応することができる。
波形分離においては、例えば、TOF-SIMSで得られた、質量数118.93のプロファイルを、Gaussian関数を用いて非線形のカーブフィッティングを行い最小二乗法Levenberg Marquardt アルゴリズムを使用して重複ピークの分離を行うことができる。
なお、上述の解析は、バリア性積層フィルム205が基材201、蒸着層202及びガスバリア性塗布膜203を備える場合を想定しているが、同様の解析は、バリア性積層フィルム205が基材201及び蒸着層202を含むがガスバリア性塗布膜203を含まない場合にも適用できる。バリア性積層フィルム205がガスバリア性塗布膜203を含まない場合であっても、蒸着層202の遷移領域の変成率を所定の範囲内にすることにより、バリア性積層フィルム205を含む包装材料にボイル処理やレトルト処理などの殺菌処理を施した場合に、水蒸気に対するバリア性積層フィルム205のバリア性が低下してしまうことを抑制することができる。バリア性積層フィルム205が基材201及び蒸着層202を含み、蒸着層202側から飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF-SIMS)を用いてエッチングを行う場合、蒸着層202の遷移領域の変成率が45%以下であることが好ましい。
次に、バリア性積層フィルム205の機械特性について説明する。バリア性積層フィルム205の機械特性は、主に基材201の機械特性によって決定される。このため、バリア性積層フィルム205のループスティフネス、突き刺し強度、引張強度、引張伸度、引張強度を引張伸度で割った値、熱収縮率及び引張弾性率などの機械特性は、基材201を構成する高スティフネスPETフィルムやPBTフィルムの機械特性と同等である。従って、仮に、バリア性積層フィルム205の機械特性の測定結果が、上述の好ましい範囲内であれば、高スティフネスPETフィルムやPBTフィルムによって構成される基材201単体の機械特性の測定結果も、上述の好ましい範囲内であると考えられる。
[シーラント層]
次に、シーラント層212について説明する。シーラント層212は、包装材料210の内面210xを構成する、熱可塑性樹脂を含む層である。図16及び図17に示す例において、シーラント層212は、第1接着層213を介して熱可塑性樹脂のフィルムをバリア性積層フィルム205に貼り合わせることによって形成されている。図示はしないが、シーラント層212は、熱可塑性樹脂をバリア性積層フィルム205上に押し出すことによって形成されていてもよい。
シーラント層212を構成する材料としては、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンなどのポリエチレン、ポリプロピレンから選択される1種または2種以上の樹脂を用いることができる。シーラント層212は、単層であってもよく、多層であってもよい。また、シーラント層212は、好ましくは未延伸のフィルムからなる。なお「未延伸」とは、全く延伸されていないフィルムだけでなく、製膜の際に加えられる張力に起因してわずかに延伸されているフィルムも含む概念である。
ところで、シーラント層212を備える包装材料210から構成された包装容器には、ボイル処理やレトルト処理などの殺菌処理が高温で施されることがある。従って、シーラント層212は、これらの高温での処理に耐える耐熱性を有するものが用いられる。
シーラント層212を構成する材料の融点は、150℃以上であることが好ましく、160℃以上であることがより好ましい。シーラント層212の融点を高くすることにより、包装容器のレトルト処理を高温で実施することが可能になり、このため、レトルト処理に要する時間を短くすることができる。なお、シーラント層212を構成する材料の融点は、基材201を構成する樹脂の融点より低い。
レトルト処理の観点で考える場合、シーラント層212を構成する材料として、上述の第1の実施の形態におけるシーラント層70の場合と同様に、プロピレンを主成分とする材料を用いることができる。
また、ボイル処理の観点で考える場合、シーラント層212を構成する材料の例として、上述の第1の実施の形態におけるシーラント層70の場合と同様に、ポリエチレン、ポリプロピレン又はこれらの組み合わせなどを挙げることができる。
好ましくは、シーラント層212は、上述の第1の実施の形態におけるシーラント層70の場合と同様に、プロピレン・エチレンブロック共重合体を含む。例えば、シーラント層212を含むシーラントフィルムは、プロピレン・エチレンブロック共重合体を主成分とする未延伸フィルムである。プロピレン・エチレンブロック共重合体を用いることにより、シーラントフィルムの耐衝撃性を高めることができ、これにより、落下時の衝撃により包装容器が破袋してしまうことを抑制することができる。また、包装材料210の耐突き刺し性を高めることができる。
また、シーラント層212は、上述の第1の実施の形態におけるシーラント層70の場合と同様に、熱可塑性エラストマーを更に含んでいてもよい。熱可塑性エラストマーを用いることにより、シーラントフィルムの耐衝撃性や耐突き刺し性を更に高めることができる。
シーラント層212におけるプロピレン・エチレンブロック共重合体の含有率は、例えば80質量%以上であり、好ましくは90質量%以上である。
プロピレン・エチレンブロック共重合体の製造方法としては、触媒を用いて原料であるプロピレンやエチレンなどを重合させる方法が挙げられる。触媒としては、チーグラー・ナッタ型やメタロセン触媒などを用いることができる。
シーラント層212は、イージーピール性を備えていてもよい。イージーピール性とは、例えばシーラント層212を有する包装材料210を用いて容器の蓋材を構成する場合に、蓋材がその下面において、すなわちシーラント層212において、容器のフランジ部から剥がれやすい、という特性である。イージーピール性は、例えば、シーラント層212を2種類以上の樹脂で構成し、一の樹脂と他の樹脂とを非相溶性とすることにより、発現することができる。イージーピール性を発現させることができる樹脂としては、例えば、高密度ポリエチレンなどのポリエチレンとポリプロピレンの混合樹脂が挙げられる。
シーラント層212がイージーピール性を備える場合、図17に示すように、シーラント層212が第1層2121及び第2層2122を含んでいてもよい。この場合、第1層2121は、混合されたポリプロピレン及び高密度ポリエチレンを含む層であってもよい。また、第2層2122は、ポリプロピレン又は高密度ポリエチレンからなる層であってもよい。このようなシーラント層212は、第1層2121及び第2層2122を含む共押し出しフィルムをバリア性積層フィルム205に貼り合わせることによって形成され得る。第2層2122がポリプロピレンからなる場合、第1層2121及び第2層2122を含むシーラント層212は、例えば135℃までの熱処理に耐え得る耐熱性を有する。また、第2層2122が高密度ポリエチレンからなる場合、第1層2121及び第2層2122を含むシーラント層212は、例えば123℃までの熱処理に耐え得る耐熱性を有する。
シーラント層212は、バイオマス由来成分を含んでいてもよく、バイオマス由来成分を含んでいなくてもよい。バイオマス由来成分を含む材料によりシーラント層212を形成する場合、シーラント層212は、下記のバイオマスポリオレフィンを用いて形成することができる。また、バイオマス由来成分を含まない材料によりシーラント層212を形成する場合、シーラント層212は、従来公知の化石燃料由来の熱可塑性樹脂を用いて形成することができる。上述の第1の実施の形態におけるシーラント層70も同様に、後述するバイオマス由来成分を含んでいてもよく、バイオマス由来成分を含んでいなくてもよい。
バイオマスポリオレフィンは、バイオマス由来のエチレン等のオレフィンを含むモノマーの重合体である。原料であるモノマーとしてバイオマス由来のオレフィンを用いているため、重合されてなるポリオレフィンはバイオマス由来となる。なお、ポリオレフィンの原料モノマーは、バイオマス由来のオレフィンを100質量%含むものでなくてもよい。
例えば、バイオマス由来のエチレンは、バイオマス由来のエタノールを原料として製造することができる。特に、植物原料から得られるバイオマス由来の発酵エタノールを用いることが好ましい。植物原料は、特に限定されず、従来公知の植物を用いることができる。例えば、トウモロコシ、サトウキビ、ビート、およびマニオクを挙げることができる。
バイオマス由来の発酵エタノールとは、植物原料より得られる炭素源を含む培養液にエタノールを生産する微生物またはその破砕物由来産物を接触させ、生産した後、精製されたエタノールを指す。培養液からのエタノールの精製は、蒸留、膜分離、および抽出等の従来公知の方法が適用可能である。例えば、ベンゼン、シクロヘキサン等を添加し、共沸させるか、または膜分離等により水分を除去する等の方法が挙げられる。
バイオマスポリオレフィンの原料であるモノマーは、化石燃料由来のエチレンのモノマーおよび/または化石燃料由来のα-オレフィンのモノマーをさらに含んでもよいし、バイオマス由来のα-オレフィンのモノマーをさらに含んでもよい。
上記のα-オレフィンは、炭素数は特に限定されないが、通常、炭素数3~20のものを用いることができ、ブチレン、ヘキセン、またはオクテンであることが好ましい。ブチレン、ヘキセン、またはオクテンであれば、バイオマス由来の原料であるエチレンの重合により製造することが可能となるからである。また、このようなα-オレフィンを含むことで、重合されてなるポリオレフィンはアルキル基を分岐構造として有するため、単純な直鎖状のものよりも柔軟性に富むものとすることができる。
バイオマスポリオレフィンとしては、ポリエチレンや、エチレンとα-オレフィンの共重合体を単独で用いてもよいし、二種以上混合して用いてもよい。特に、バイオマスポリオレフィンはポリエチレンであることが好ましい。バイオマス由来の原料であるエチレンを用いることで、理論上100%バイオマス由来成分により製造することが可能となるからである。
バイオマスポリオレフィンは、異なるバイオマス度のバイオマスポリオレフィンを2種以上含むものであってもよく、ポリオレフィン樹脂層全体として、バイオマス度が、後述する範囲内であればよい。
バイオマスポリオレフィンは、好ましくは0.91g/cm以上0.93g/cm以下、より好ましくは0.912g/cm以上0.928g/cm以下、さらに好ましくは0.915g/cm以上0.925g/cm以下の密度を有するものである。バイオマスポリオレフィンの密度は、JIS K6760-1995に記載のアニーリングを行った後、JIS K7112-1980のうち、A法に規定された方法に従って測定される値である。バイオマスポリオレフィンの密度が0.91g/cm以上あれば、バイオマスポリオレフィンを含むポリオレフィン樹脂層の剛性を高めることができ、包装製品の内層として好適に用いることができる。また、バイオマスポリオレフィンの密度が0.93g/cm以下であれば、バイオマスポリオレフィンを含むポリオレフィン樹脂層の透明性や機械的強度を高めることができ、包装製品の内層として好適に用いることができる。
バイオマスポリオレフィンは、0.1g/10分以上10g/10分以下、好ましくは0.2g/10分以上9g/10分以下、より好ましくは1g/10分以上8.5g/10分以下のメルトフローレート(MFR)を有するものである。メルトフローレートとは、JIS K7210-1995に規定された方法において、温度190℃、荷重21.18Nの条件で、A法により測定される値である。バイオマスポリオレフィンのMFRが0.1g/10分以上であれば、成形加工時の押出負荷を低減することができる。また、バイオマスポリオレフィンのMFRが10g/10分以下であれば、バイオマスポリオレフィンを含むポリオレフィン樹脂層の機械的強度を高めることができる。
好適に使用されるバイオマスポリオレフィンとしては、Braskem社製のバイオマス由来の低密度ポリエチレン(商品名:SBC818、密度:0.918g/cm、MFR:8.1g/10分、バイオマス度95%)、Braskem社製のバイオマス由来の低密度ポリエチレン(商品名:SPB681、密度:0.922g/cm、MFR:3.8g/10分、バイオマス度95%)、Braskem社製のバイオマス由来の直鎖状低密度ポリエチレン(商品名:SLL118、密度:0.916g/cm、MFR:1.0g/10分、バイオマス度87%)等が挙げられる。
上記の化石燃料由来の熱可塑性樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、プロピレン-エチレン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、エチレン-メチルアクリレート共重合体、エチレン-エチルアクリレート共重合体、エチレン-メチルメタクリレート共重合体またはアイオノマー等が挙げられる。
シーラント層212は、好ましくは5%以上、より好ましくは5%以上60%以下、さらに好ましくは10%以上60%以下のバイオマス度を有するものである。バイオマス度が上記範囲であれば、化石燃料の使用量を削減することができ、環境負荷を減らすことができる。
シーラント層212は、上述のように、単層であってもよく、多層であってもよい。シーラント層に上記したようなバイオマスポリオレフィンを使用する場合は、内層、中間層、および外層の3層を備えたシーラント層としてもよい。その場合、中間層を、バイオマスポリオレフィンからなる層、またはバイオマスポリオレフィンと従来公知の化石燃料由来のポリオレフィンとの混合物からなる層とし、内層および外層は、従来公知の化石燃料由来のポリオレフィンとすることが好ましい。
シーラント層212の厚みは、好ましくは30μm以上であり、より好ましくは40μm以上である。また、シーラント層212の厚みは、好ましくは100μm以下であり、より好ましくは80μm以下である。
[接着層]
第1接着層213は、バリア性積層フィルム205とシーラント層212を含むフィルムとを接着する層である。第1接着層213は、接着剤層又は接着樹脂層である。以下、接着剤層及び接着樹脂層についてそれぞれ説明する。
接着剤層は、従来公知の方法、例えばドライラミネート法により形成することができる。ドライラミネート法により2層を接着する場合、接着剤層は、積層される側の層の表面に、接着剤を塗布して乾燥させることにより形成される。塗布される接着剤としては、例えば、1液型あるいは2液型の硬化ないし非硬化タイプのビニル系、(メタ)アクリル系、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリウレタン系、エポキシ系、ゴム系、その他などの溶剤型、水性型、あるいは、エマルジョン型などの接着剤を用いることができる。2液硬化型の接着剤としては、ポリオールとイソシアネート化合物との硬化物を用いることができる。上記のラミネート用接着剤のコーティング方法としては、例えば、ダイレクトグラビアロールコート法、グラビアロールコート法、キスコート法、リバースロールコート法、フォンテン法、トランスファーロールコート法、その他の方法で塗布することができる。乾燥後の接着剤層は、例えば1μm以上10μm以下、好ましくは2μm以上5μm以下の厚さを有する。
接着剤層は、バイオマス由来成分を含んでいてもよい。例えば、接着剤層がポリオールとイソシアネート化合物との硬化物を含む場合、ポリオールまたはイソシアネート化合物の少なくともいずれかがバイオマス由来成分を含んでいてもよい。これにより、包装材料210のバイオマス度をさらに向上させることができる。
接着樹脂層は、熱可塑性樹脂を含む。接着樹脂層は、従来公知の方法、例えば溶融押出しラミネート法やサンドラミネート法により形成することができる。接着樹脂層に使用できる熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、または環状ポリオレフィン系樹脂、またはこれら樹脂を主成分とする共重合樹脂、変性樹脂、または、混合体(アロイでを含む)を用いることができる。ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリプロピレン(PP)、メタロセン触媒を利用して重合したエチレン-α・オレフィン共重合体、エチレン・ポリプロピレンのランダムもしくはブロック共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン・アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、エチレン・マレイン酸共重合体、アイオノマー樹脂、また、層間の密着性を向上させるために、上記したポリオレフィン系樹脂を、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などの不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン系樹脂などを用いることができる。また、ポリオレフィン樹脂に、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物、エステル単量体をグラフト重合、または、共重合した樹脂などを用いることができる。これらの材料は、一種単独または二種以上を組み合わせて使用することができる。環状ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、エチレン-プロピレン共重合体、ポリメチルペンテン、ポリブテン、ポリノルボネンなどの環状ポリオレフィンなどを用いることができる。これらの樹脂は、単独または複数を組み合せて使用できる。接着樹脂層は、例えば5μm以上50μm以下、好ましくは10μm以上30μm以下の厚さを有する。
なお、上記したポリエチレン系樹脂としては、シーラント層212において説明したバイオマス由来のエチレンをモノマー単位として用いたものを使用してもよい。これにより、包装材料210のバイオマス度をさらに向上させることができる。
[印刷層]
印刷層218は、装飾、内容物や包装製品の表示、賞味期間の表示、製造者、販売者などの表示、その他などの表示や美感の付与のために、文字、数字、絵柄、図形、記号、模様などの所望の任意の印刷模様を形成する層である。印刷層218は、必要に応じて設けることができ、例えば、バリア性積層フィルム205に設けることができる。印刷層218は、フィルムの全面に設けてもよく、あるいは一部に設けてもよい。印刷層218は、従来公知の顔料や染料を用いて形成することができ、その形成方法は特に限定されない。
印刷層218は、好ましくは0.1μm以上10μm以下、より好ましくは1μm以上5μm以下、さらに好ましくは1μm以上3μm以下の厚さを有するものである。
印刷層218は、バイオマス由来成分を含んでいてもよい。例えば、印刷層218がポリオールとイソシアネート化合物との硬化物を含む場合、ポリオールまたはイソシアネート化合物の少なくともいずれかがバイオマス由来成分を含んでいてもよい。
<包装材料の製造方法>
次に、包装材料210の製造方法の一例について説明する。まず、バリア性積層フィルム205を製造する方法の一例について説明する。
(バリア性積層フィルムの製造工程)
まず、基材201を準備する。続いて、基材201の面上に、酸化アルミニウムを含む蒸着層202を成膜する。図20は、成膜装置260の一例を示す図である。以下、成膜装置260及び成膜装置260を用いた成膜方法について説明する。
図20に示すように、成膜装置260においては、減圧チャンバ262内に隔壁285a~285cが形成されている。該隔壁285a~285cにより、基材搬送室262A、プラズマ前処理室262B、成膜室262Cが形成され、特に、隔壁と隔壁285a~285cで囲まれた空間としてプラズマ前処理室262B及び成膜室262Cが形成され、各室は、必要に応じて、さらに内部に排気室が形成される。
プラズマ前処理室262B及びプラズマ前処理室262Bにおけるプラズマ前処理工程について説明する。プラズマ前処理室262B内には、前処理が行われる基材201を搬送し、かつプラズマ処理を可能にするプラズマ前処理ローラー270の一部が基材搬送室262Aに露出するように設けられている。基材201は、巻き取られながらプラズマ前処理室262Bに移動する。
プラズマ前処理室262B及び成膜室262Cは、基材搬送室262Aと接して設けられており、基材201を大気に触れさせないままに移動可能である。また、前処理室262Bと基材搬送室262Aの間は、矩形の穴により接続されており、その矩形の穴を通じてプラズマ前処理ローラー270の一部が基材搬送室262A側に飛び出しており、該搬送室の壁と該前処理ローラー270の間に隙間が開いており、その隙間を通じて基材201が基材搬送室262Aから成膜室262Cへ移動可能である。基材搬送室262Aと成膜室262Cとの間も同様の構造となっており、基材201を大気に触れさせずに移動可能である。
基材搬送室262Aは、成膜ローラー275により再度基材搬送室212Aに移動させられた、片面に蒸着層202が成膜された基材201をロール状に巻き取るため、巻取り手段としての巻き取りローラーが設けられ、蒸着層202が成膜された基材201を巻き取り可能とするようになっている。
酸化アルミニウムを含む蒸着層202を有するバリア性積層フィルム205を製造する際、前記プラズマ前処理室262Bは、プラズマが生成する空間を他の領域と区分し、対向空間を効率よく真空排気できるように構成されることで、プラズマガス濃度の制御が容易となり、生産性が向上する。その減圧して形成する前処理圧力は、0.1Pa~100Pa程度に設定、維持することができ、特に、酸化アルミニウムを含む蒸着層202の好ましい遷移領域の変成率とするため酸素プラズマ前処理の処理圧力としては、1~20Paが好ましい。
基材201の搬送速度は、特に限定されないが、生産効率の観点から、少なくとも200~1000m/minにすることができ、特に、酸化アルミニウムを含む蒸着層202の遷移領域の変成率とするため酸素プラズマ前処理の搬送速度としては、300~800m/minが好ましい。
プラズマ前処理装置を構成するプラズマ前処理ローラー270は、プラズマ前処理手段によるプラズマ処理時の熱による基材201の収縮や破損を防ぐこと、酸素プラズマPを基材201に対して均一にかつ広範囲に適用することを目的とするものである。前処理ローラー270は、前処理ローラー内を循環させる温度調節媒体の温度を調整することにより、-20℃から100℃の間で、一定温度に調節することが可能であることが好ましい。
プラズマ前処理手段は、プラズマ供給手段及び磁気形成手段を含む。プラズマ前処理手段はプラズマ前処理ローラー270と協働し、基材201表面近傍に酸素プラズマPを閉じ込める。
プラズマ前処理手段は、前処理ローラー270の一部を覆うように設けられている。具体的には、前処理ローラー270の外周近傍の表面に沿ってプラズマ前処理手段を構成するプラズマ供給手段272と磁気形成手段273を配置する。プラズマ供給手段272は、プラズマ原料ガスを供給するプラズマ供給ノズルを含む。磁気形成手段273は、プラズマPの発生を促進するためマグネット等を有する。また、プラズマ前処理手段は、前処理ローラー270との間で電圧が加えられる電極271を有する。なお、図20においては、電極271とプラズマ供給手段272とが別個の部材である例が示されているが、これに限られることはない。図示はしないが、電極271とプラズマ供給手段272とが一体的な部材によって構成されていてもよい。
前処理ローラー270と磁気形成手段273との間に挟まれた空間にプラズマPを発生させ、前処理ローラー270と基材201の表面近傍にプラズマ密度の高い領域を形成することで、基材201の内側の面に酸素プラズマ前処理を施してプラズマ処理面を形成することができる。
プラズマ前処理手段のプラズマ供給手段272は、減圧チャンバ262の外部に設けたプラズマ供給ノズルに接続された原料ガス揮発供給装置268と、該装置から原料ガスを供給する原料ガス供給ラインを含む。供給されるプラズマ原料ガスは、酸素単独又は酸素ガスと不活性ガスとの混合ガスが、ガス貯留部から流量制御器を介することでガスの流量を計測しつつ供給される。不活性ガスとしては、アルゴン、ヘリウム、窒素なる群から選ばれる、1種または2種以上の混合ガスが挙げられる。
これら供給されるガスは、必要に応じて所定の比率で混合されて、プラズマ原料ガス単独又はプラズマ形成用混合ガスに形成され、プラズマ供給手段に供給される。その単独又は混合ガスは、プラズマ供給手段のプラズマ供給ノズルに供給され、プラズマ供給ノズルの供給口が開口する前処理ローラー270の外周近傍に供給される。そのノズル開口は前処理ローラー270上の基材201に向けられ、基材201の表面全体に均一に酸素プラズマPを拡散、供給させることが可能となるように配置、構成される。これにより、基材201の大面積の部分に均一なプラズマ前処理を施すことができる。
酸化アルミニウムを含む蒸着層202の遷移領域の変成率を上述のように5%以上60%以下とするため、酸素プラズマ前処理としては、酸素ガスと不活性ガスとの混合比率(酸素ガス/不活性ガス)は、6/1~1/1が好ましく、5/2~3/2がより好ましい。混合比率を6/1~1/1とすることで、基材201上での蒸着層202の膜形成エネルギーが増加し、更に5/2~3/2とすることで、水酸化アルミニウムの形成が基材の界面近傍で形成される、すなわち該遷移領域の変成率が低下する。
電極271は、前処理ローラー270の対向電極として機能する。前処理ローラー270との間に供給される高周波電圧、低周波電圧等による電位差によって供給されたプラズマ原料ガスが励起状態になり、プラズマPが発生し、供給される。
具体的には、電極271は、プラズマ電源としてプラズマ前処理ローラーを設置し、対向電極との間に周波数が10Hzから2.5GHzの交流電圧を印加し、投入電力制御または、インピーダンス制御等を行い、プラズマ前処理ローラー270との間に任意の電圧を印加した状態にすることができるものである。成膜装置260は、基材201の表面物性を物理的ないしは化学的に改質する処理ができる酸素プラズマPを正電位にするバイアス電圧を印加できる電源282を備えている。
単位面積あたりのプラズマ強度は、好ましくは50~8000W・sec/m2である。50W・sec/m2以下では、プラズマ前処理の効果がみられず、また、8000W・sec/m2以上では、基材201の消耗、破損着色、焼成などプラズマによる基材201の劣化が起きる傾向にある。特に、単位面積あたりのプラズマ強度は、100~1000W・sec/m2が好ましい。基材201に垂直にバイアス電圧を持ち上記プラズマ強度を与えることにより、安定的に酸化アルミニウムを含む蒸着層202との密着性等を向上させることができる。
磁気形成手段273としては、マグネットケース内に絶縁性スペーサ、ベースプレートが設けられ、このベースプレートにマグネットが設けられたものを用いることができる。マグネットケースに絶縁性シールド板が設けられ、この絶縁性シールド板に電極が取り付けられ得る。マグネットケースと電極は電気的に絶縁されており、マグネットケースを減圧チャンバ262内に設置、固定しても電極は電気的にフローティングレベルとすることが可能である。マグネットを設けることにより、基材201表面近傍での反応性が高くなり、良好なプラズマ前処理面を高速で形成することが可能となる。
好ましくは、マグネットは、基材201の表面位置での磁束密度が10ガウスから10000ガウスになるよう構成されている。基材201表面での磁束密度が10ガウス以上であれば、基材201表面近傍での反応性を十分高めることが可能となり、良好な前処理面を高速で形成することができる。
次に、成膜室262C及び成膜室262Cにおける成膜工程について説明する。成膜装置260は、減圧された成膜室262C内に配置された成膜ローラー275と、成膜ローラー275に対向して配置された蒸着膜成膜手段274のターゲットと、を有する。成膜ローラー275は、プラズマ前処理装置で前処理された基材201の処理面を外側にして基材201を巻きかけて搬送する。成膜工程においては、蒸着膜成膜手段274のターゲットを蒸発させて基材201の表面に酸化アルミニウム膜を成膜する。
蒸着膜成膜手段274は、例えば抵抗加熱方式であり、アルミニウムを蒸発源としてアルミニウムの金属線材を用い、酸素を供給ししてアルミニウム蒸気を酸化しつつ、基材201の表面に酸化アルミニウムを含む蒸着層202を成膜させる。
上記のように成膜される酸化アルミニウムを含む蒸着層202の厚みは、3~50nmが好ましく、より好ましくは9~30nmである。この範囲であれば、バリア性を保持することができる。但し、酸化アルミニウムを含む蒸着層202が非常に薄い場合は、TOF-SIMS測定による遷移領域の変成率の算出が困難になる。
次に、蒸着層202の上にガスバリア性塗布膜203を形成する方法について説明する。まず、上記金属アルコキシド、シランカップリング剤、水酸基含有水溶性樹脂、反応促進剤(ゾルゲル法触媒、酸等)、及び溶媒としての水、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロパノール等のアルコール等の有機溶媒を混合して、樹脂組成物からなるガスバリア性塗布膜用コート剤を調製する。
ガスバリア性塗布膜203がシランカップリング剤を含む場合、以下のようにガスバリア性塗布膜用コート剤を調製してもよい。まず、アルコキシシランなどの金属アルコキシドとシランカップリング剤とを混合する。金属アルコキシドとシランカップリング剤とは、好ましくは10℃以下で混合される。これにより、形成されるガスバリア性塗布膜203における膜構造が緻密なものとなり易くなる。続いて、金属アルコキシドとシランカップリング剤の混合物と、ポリビニルアルコール系樹脂などの水酸基含有水溶性樹脂とを混合する。
ガスバリア性塗布膜用コート剤を調製した後、蒸着層202の上に、常法により、上記のガスバリア性塗布膜用コート剤を塗布し、乾燥する。この乾燥工程によって、縮合または共縮合反応が更に進行し、塗膜が形成される。第一の塗膜の上に、更に上記塗布操作を繰り返して、2層以上からなる複数の塗膜を形成してもよい。
さらに、20~200℃、好ましくは50~180℃の範囲の温度、かつ基材201を構成する樹脂の軟化点以下の温度で、3秒~10分間加熱処理する。これによって、蒸着層202の上に、上記ガスバリア性塗布膜用コート剤からなるガスバリア性塗布膜203を形成することができる。このようにして、基材201、蒸着層202及びガスバリア性塗布膜203を有するバリア性積層フィルム205を作製することができる。
(積層工程)
次に、バリア性積層フィルム205にシーラント層212を積層して上述の包装材料210を製造する方法について説明する。
まず、バリア性積層フィルム205を準備し、バリア性積層フィルム205のガスバリア性塗布膜203上に例えばグラビア印刷法によって印刷層218を形成する。また、シーラント層212を構成するフィルムを準備する。その後、ドライラミネート法により、バリア性積層フィルム205を含むフィルムと、シーラント層212を構成するフィルムとを、接着剤層からなる第1接着層213を介して接着する。このようにして、包装材料210を得ることができる。
<包装製品>
包装材料210を用いることによって形成される包装製品の例としては、上述の第1の実施の形態の場合と同様に、図1、図13、図14に示す袋10、図15A及び図15Bに示す蓋付容器110の蓋材114などを挙げることができる。
包装製品の袋は、包装材料210を二つ折にするか、又は包装材料210を2枚用意し、表側の包装材料210のシーラント層212と裏側の包装材料210のシーラント層212とを対向させて重ね合わせ、さらにその周辺端部を、例えば、側面シール型、二方シール型、三方シール型、四方シール型、封筒貼りシール型、合掌貼りシール型(ピローシール型)、ひだ付シール型、平底シール型、角底シール型等のヒートシール形態によりヒートシールして、種々の形態の包装袋を製造することができる。また、表側の包装材料210と裏側の包装材料210との間に、折り返された状態の包装材料210を挿入した状態でヒートシールを行い、ガセット型の包装袋を製造することもできる。なお、包装袋を構成する包装材料210の全てが、本発明による包装材料210でなくてもよい。すなわち、包装袋を構成する包装材料210の少なくとも一部分が、高スティフネスPETフィルム又はPBTフィルムを含む基材201を有するバリア性積層フィルム205を備える包装材料210であればよく、包装袋を構成する包装材料210のその他の部分が、バリア性積層フィルム205を備えない包装材料210であってもよい。
ヒートシールの方法としては、例えば、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール等の公知の方法で行うことができる。
図1、図13、図14に示すような袋10を構成する表面フィルム14、裏面フィルム15、下部フィルム16などのフィルムのうちの少なくとも1つは、高スティフネスPETフィルム又はPBTフィルムを含む基材201を有するバリア性積層フィルム205を備える包装材料210によって構成されている。これにより、袋10にガスバリア性及び強度を付与することができる。同様に、図15A及び図15Bに示すような蓋付容器110を構成する蓋材114を、高スティフネスPETフィルム又はPBTフィルムを含む基材201を有するバリア性積層フィルム205を備える包装材料210によって構成することもできる。これにより、蓋付容器にガスバリア性及び強度を付与することができる。
次に、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
実施例A1~A3、参考例A4~A5及び比較例A1~A2により、本発明における包装材料30の突き刺し強度、引き裂き性及び耐熱性についての評価を行った。
(実施例A1)
延伸プラスチックフィルム60として、0.0017N以上のループスティフネスを有し、PETからなる高スティフネスポリエステルフィルム(以下、高スティフネスPETフィルムとも称する)を準備した。続いて、高スティフネスPETフィルムの面に厚み1μmの印刷層36を形成した。
高スティフネスPETフィルムとしては、具体的には、東レ株式会社製のXP-55を用いた。高スティフネスPETフィルムの厚みは16μmであった。また、高スティフネスPETフィルムのループスティフネスの測定値は、流れ方向及び垂直方向のいずれにおいても0.0021Nであった。また、流れ方向における高スティフネスPETフィルムの引張弾性率は4.8GPaであり、垂直方向における高スティフネスポリエステルフィルムの引張弾性率は4.7GPaであった。
また、流れ方向における高スティフネスPETフィルムの引張強度は292MPaであり、垂直方向における高スティフネスポリエステルフィルムの引張強度は257MPaであった。また、流れ方向における高スティフネスPETフィルムの引張伸度は107%であり、垂直方向における高スティフネスポリエステルフィルムの引張伸度は102%であった。この場合、流れ方向における高スティフネスPETフィルムの引張強度を引張伸度で割った値は2.73〔MPa/%〕であり、垂直方向における高スティフネスPETフィルムの引張強度を引張伸度で割った値は2.52〔MPa/%〕である。
また、流れ方向及び垂直方向における高スティフネスPETフィルムの熱収縮率はいずれも0.4%であった。
また、シーラント層70として、東レフィルム加工株式会社製の未延伸ポリプロピレンフィルム ZK500を準備した。ZK500は、上述のプロピレン・エチレンブロック共重合体及びエラストマーを含む。シーラント層70の厚みは60μmであった。
ZK500は、一般的な未延伸ポリプロピレンフィルムに比べて高い引張伸度を有する。具体的には、流れ方向(MD)におけるZK500の引張伸度は、厚みが50μmの場合に1180%であり、厚みが60μmの場合に1100%である。また、垂直方向(TD)におけるZK500の引張伸度は、厚みが50μmの場合に1240%であり、厚みが60μmの場合に1150%である。従って、流れ方向におけるZK500の引張伸度(%)と厚み(μm)の積は、厚みが50μmの場合に59000であり、厚みが60μmの場合に66000である。また、垂直方向におけるZK500の引張伸度(%)と厚み(μm)の積は、厚みが50μmの場合に62000であり、厚みが60μmの場合に69000である。
また、ZK500は、一般的な未延伸ポリプロピレンフィルムに比べて低い引張弾性率を有する。具体的には、流れ方向(MD)におけるZK500の引張弾性率は、厚みが50μmの場合に640MPaであり、厚みが60μmの場合に550MPaである。また、垂直方向(TD)におけるZK500の引張弾性率は、厚みが50μmの場合に480MPaであり、厚みが60μmの場合に400MPaである。従って、流れ方向におけるZK500の引張弾性率(MPa)と厚み(μm)の積は、厚みが50μmの場合に32000であり、厚みが60μmの場合に33000である。また、垂直方向におけるZK500の引張弾性率(MPa)と厚み(μm)の積は、厚みが50μmの場合に24000であり、厚みが60μmの場合に35000である。
続いて、ドライラミネート法により、延伸プラスチックフィルム60及びシーラント層70を積層し、包装材料30を作製した。印刷層36は、シーラント層70の面側を向くようにして積層した。接着剤層65としては、ロックペイント株式会社製の2液型ポリウレタン系接着剤(主剤:RU-40、硬化剤:H-4)を用いた。なお、主剤のRU-40は、ポリエステルポリオールである。接着剤層65の厚みは、3.5μmであった。包装材料30全体の厚みは80.5μmであった。
〔耐突き刺し性の評価〕
続いて、包装材料30の突き刺し強度を、JIS Z1707 7.4に準拠して測定した。測定器としては、A&D製のテンシロン万能材料試験機RTC-1310を用いた。具体的には、図21に示すように、固定されている状態の包装材料30の試験片に対して、外面30y側から、直径1.0mm、先端形状半径0.5mmの半円形の針90を、50mm/分(1分あたり50mm)の速度で突き刺し、針90が包装材料30を貫通するまでの応力の最大値を測定した。5個以上の試験片について、応力の最大値を測定し、その平均値を包装材料30の突き刺し強度とした。測定時の環境は、温度23℃、相対湿度50%とした。結果、突き刺し強度は13.0Nであった。
〔ループスティフネスの評価〕
また、包装材料30の流れ方向及び垂直方向におけるループスティフネスを測定した。測定器としては、東洋精機社製のNo.581ループステフネステスタ(登録商標)LOOP STIFFNESS TESTER DA型を用いた。測定時の環境は、温度23℃、相対湿度50%とした。結果、包装材料30の流れ方向におけるループスティフネスは0.082Nであり、垂直方向におけるループスティフネスは0.077Nであった。この場合、包装材料30の流れ方向におけるループスティフネスを包装材料30の厚みで割った値は0.00102N/μmになり、垂直方向におけるループスティフネスを包装材料30の厚みで割った値は0.00096N/μmになる。
〔耐衝撃性の評価〕
また、2枚の包装材料30を重ねて190℃で1秒間にわたって加熱し、包装材料30の内面30x同士をヒートシールした。次に、ヒートシールされた2枚の包装材料30を15mm幅で切り出して、試験片100を作製した。図22は、試験片100を示す平面図であり、図23は、図22の試験片100の断面図である。試験片100は、幅V1が15mmで長さV2が50mmであり、一方の端部から10mmの長さV3に亘ってシール部101が形成され、他方の端部から40mmの長さに亘ってシール部が形成されていないものである。続いて、図24に示すように、一方の包装材料30のシールされていない部分と他方の包装材料30のシールされていない部分をシール部101の面方向に対して直交する方向において互いに逆向きになるように、すなわちT字状になるようにした後、一方の包装材料30のシールされていない部分の端部と他方の包装材料30のシールされていない部分の端部をそれぞれ治具102,103に固定した。このとき、シール部101の面方向に対して直交する方向における治具102,103間の距離Nは40mmとした。続いて、一方の治具102に対して、一方の包装材料30の第1延伸プラスチックフィルム40側の面からハンマー104で叩いて、一方の包装材料30と他方の包装材料30とが分離する際の衝撃強度を測定した。測定器としては、株式会社東洋精機製作所製のデジタルインパクトテスターを用いて評価した。試験片100に衝撃を加えるためのハンマーとしては、2Jのものを用いた。結果、衝撃強度は374kJ/mであった。
〔引き裂き性の評価〕
また、シーラント層70を介して接合した2枚の包装材料30を、図25に示すように、幅V4が15mm、長さV5が100mmとなるように切り出して、試験片95を作製した。試験片95の幅V4の方向は、図1に示す第2方向D2に平行である。また、試験片95の長さV5の方向は、延伸プラスチックフィルムやシーラントフィルムなどのフィルムを成膜する際の流れ方向(MD)に平行であり、また、図1に示す第1方向D1に平行である。続いて、図25に示すように、試験片95の幅V4の方向における中央に切れ込み28を形成した。続いて、切れ込み28を起点として、長さV5の方向において試験片95を手で引き裂いた。結果、途中で包装材料30のシーラント層70が伸びることなく、試験片95を長さV5の方向で引き裂くことができた。
〔開口性及び耐熱性の評価〕
続いて、包装材料30を用いて袋10を作製し、袋10の開口性及び耐熱性を評価した。具体的には、まず、包装材料30を用いて図13に示す袋10を作製した。袋10の高さS1は145mmであり、幅S2は150mmであった。また、折り返された下部フィルム16の高さS3、すなわち袋10の下端部から折り返し部16fまでの高さは、43mmであった。以下の説明において、高さS1が145mmであり、幅S2が150mmであり、高さS3が43mmである袋10を、Mサイズの袋10とも称する。続いて、肉及び味噌などの油分を多く含む100gの内容物を、上部11の開口部11bを介して袋10の内部に充填した。この際、開口部11bの開口性を評価した。具体的には、図12に示すようにチャック111を用いて袋10に側方からの力Pを加えた場合に、表面フィルム14及び裏面フィルム15がそれぞれ、外面側に凸となる湾曲形状を有するように変形するか否かを確認した。結果、表面フィルム14及び裏面フィルム15は、外面側に凸となる湾曲形状を有するように変形した。
袋10に内容物を充填した後、上部11をヒートシールして上部シール部11aを形成した。その後、500Wの出力の電子レンジを用いて2分間にわたって、内容物が収容された袋10を加熱し、袋10を構成する包装材料30にダメージが生じるか否かを確認した。試験は、10個の袋10に対して実施した。結果、10個中10個の袋10において、包装材料30に穴があくことや、包装材料30にシワが形成されることなどのダメージが生じていないことを確認した。
(実施例A2)
シーラント層70として、東レフィルム加工株式会社製の未延伸ポリプロピレンフィルム ZK207を用いたこと以外は、実施例A1の場合と同様にして、包装材料30を作製した。シーラント層70の厚みは70μmであった。包装材料30全体の厚みは90.5μmであった。
ZK207は、高い引張弾性率を有する。具体的には、流れ方向(MD)におけるZK207の引張弾性率は、厚みが50μmの場合に780MPaであり、厚みが60μmの場合に680MPaである。また、垂直方向(TD)におけるZK207の引張弾性率は、厚みが50μmの場合に630MPaであり、厚みが60μmの場合に560MPaである。従って、流れ方向におけるZK207の引張弾性率(MPa)と厚み(μm)の積は、厚みが50μmの場合に39000であり、厚みが60μmの場合に40800である。また、垂直方向におけるZK207の引張弾性率(MPa)と厚み(μm)の積は、厚みが50μmの場合に31500であり、厚みが60μmの場合に33600である。
また、ZK207は、低い引張伸度を有する。具体的には、流れ方向(MD)におけるZK207の引張伸度は、厚みが50μmの場合に790%であり、厚みが60μmの場合に730%である。また、垂直方向(TD)におけるZK207の引張伸度は、厚みが50μmの場合に1020%であり、厚みが60μmの場合に870%である。従って、流れ方向におけるZK207の引張伸度(%)と厚み(μm)の積は、厚みが50μmの場合に39500であり、厚みが60μmの場合に43800である。また、垂直方向におけるZK207の引張伸度(%)と厚み(μm)の積は、厚みが50μmの場合に51000であり、厚みが60μmの場合に52200である。
続いて、実施例A1の場合と同様にして、包装材料30の突き刺し強度、衝撃強度及びループスティフネスを測定した。結果、突き刺し強度は13.2Nであり、衝撃強度は287kJ/mであった。包装材料30の流れ方向におけるループスティフネスは0.091Nであり、垂直方向におけるループスティフネスは0.088Nであった。この場合、包装材料30の流れ方向におけるループスティフネスを包装材料30の厚みで割った値は0.00101N/μmになり、垂直方向におけるループスティフネスを包装材料30の厚みで割った値は0.00097N/μmになる。
続いて、実施例A1の場合と同様にして、包装材料30の引き裂き性を評価した。結果、途中で包装材料30のシーラント層70が伸びることなく、試験片95を長さV5の方向で引き裂くことができた。
続いて、実施例A1の場合と同様にして、包装材料30を用いて袋10を作製し、袋10に内容物を充填する際の袋10の開口性を評価した。袋10のサイズは、実施例A1の場合と同様にMサイズとした。結果、表面フィルム14及び裏面フィルム15は、外面側に凸となる湾曲形状を有するように変形した。また、実施例A1の場合と同様にして、内容物が収容されている袋10の耐熱性を評価した。結果、包装材料30にシワは形成されているが、包装材料30に穴があいていないことを確認した。
(実施例A3)
シーラント層70として、東レフィルム加工株式会社製の未延伸ポリプロピレンフィルム ZK500Rを用いたこと以外は、実施例1の場合と同様にして、包装材料30を作製した。シーラント層70の厚みは50μmであった。包装材料30全体の厚みは70.5μmであった。
ZK500Rは、高い引張弾性率を有する。具体的には、流れ方向(MD)におけるZK500Rの引張弾性率は、厚みが50μmの場合に980MPaである。また、垂直方向(TD)におけるZK500Rの引張弾性率は、厚みが50μmの場合に780MPaである。従って、流れ方向におけるZK500Rの引張弾性率(MPa)と厚み(μm)の積は、厚みが50μmの場合に49000である。また、垂直方向におけるZK500Rの引張弾性率(MPa)と厚み(μm)の積は、厚みが50μmの場合に39000である。
また、ZK500Rは、低い引張伸度を有する。具体的には、流れ方向(MD)におけるZK500Rの引張伸度は、厚みが50μmの場合に770%である。また、垂直方向(TD)におけるZK500Rの引張伸度は、厚みが50μmの場合に870%である。従って、流れ方向におけるZK500Rの引張伸度(%)と厚み(μm)の積は、厚みが50μmの場合に38500である。また、垂直方向におけるZK500Rの引張伸度(%)と厚み(μm)の積は、厚みが50μmの場合に43500である。
続いて、実施例A1の場合と同様にして、包装材料30の突き刺し強度、衝撃強度及びループスティフネスを測定した。結果、突き刺し強度は13.6Nであり、衝撃強度は263kJ/mであった。包装材料30の流れ方向におけるループスティフネスは0.067Nであり、垂直方向におけるループスティフネスは0.057Nであった。この場合、包装材料30の流れ方向におけるループスティフネスを包装材料30の厚みで割った値は0.00095N/μmになり、垂直方向におけるループスティフネスを包装材料30の厚みで割った値は0.00081N/μmになる。
続いて、実施例A1の場合と同様にして、包装材料30の引き裂き性を評価した。結果、途中で包装材料30のシーラント層70が伸びることなく、試験片95を長さV5の方向で引き裂くことができた。また、引き裂いた箇所における2枚の包装材料30の、幅V4の方向における位置のずれ量が5mm以下であった。
続いて、実施例A1の場合と同様にして、包装材料30を用いて袋10を作製し、袋10に内容物を充填する際の袋10の開口性を評価した。袋10のサイズは、実施例A1の場合と同様にMサイズとした。結果、表面フィルム14及び裏面フィルム15は、外面側に凸となる湾曲形状を有するように変形した。また、実施例A1の場合と同様にして、内容物が収容されている袋10の耐熱性を評価した。結果、包装材料30にシワは形成されているが、包装材料30に穴があいていないことを確認した。
(比較例A1)
基材35として、厚みが12μmの2つの延伸PETフィルムを接着剤層によって接合したものを用いたこと以外は、実施例A2の場合と同様にして、包装材料30を作製した。包装材料30全体の厚みは102μmであった。
続いて、実施例A1の場合と同様にして、包装材料30の突き刺し強度及びループスティフネスを測定した。結果、突き刺し強度は13.2Nであった。包装材料30の流れ方向におけるループスティフネスは0.102Nであり、垂直方向におけるループスティフネスは0.095Nであった。この場合、包装材料30の流れ方向におけるループスティフネスを包装材料30の厚みで割った値は0.00100N/μmになり、垂直方向におけるループスティフネスを包装材料30の厚みで割った値は0.00093N/μmになる。
続いて、実施例A1の場合と同様にして、包装材料30の引き裂き性を評価した。結果、途中で包装材料30のシーラント層70が伸びてしまい、試験片95を長さV5の方向で引き裂くことができなかった。
続いて、実施例A1の場合と同様にして、包装材料30を用いて袋10を作製し、袋10に内容物を充填する際の袋10の開口性を評価した。袋10のサイズは、実施例A1の場合と同様にMサイズとした。結果、表面フィルム14及び裏面フィルム15は、外面側に凸となる湾曲形状を有するように変形した。また、実施例A1の場合と同様にして、内容物が収容されている袋10の耐熱性を評価した。結果、包装材料30にシワは形成されているが、包装材料30に穴があいていないことを確認した。
(比較例A2)
延伸プラスチックフィルム60として、厚みが12μmの延伸PETフィルムを用いたこと以外は、実施例A2の場合と同様にして、包装材料30を作製した。包装材料30全体の厚みは86.5μmであった。
続いて、実施例A1の場合と同様にして、包装材料30の突き刺し強度、衝撃強度及びループスティフネスを測定した。結果、突き刺し強度は11.1Nであり、衝撃強度は301kJ/mであった。包装材料30の流れ方向におけるループスティフネスは0.071Nであり、垂直方向におけるループスティフネスは0.069Nであった。この場合、包装材料30の流れ方向におけるループスティフネスを包装材料30の厚みで割った値は0.00082N/μmになり、垂直方向におけるループスティフネスを包装材料30の厚みで割った値は0.00080N/μmになる。
続いて、実施例A1の場合と同様にして、包装材料30の引き裂き性を評価した。結果、途中で包装材料30のシーラント層70が伸びてしまい、試験片95を長さW5の方向で引き裂くことができなかった。
続いて、実施例1の場合と同様にして、包装材料30を用いて袋10を作製し、袋10に内容物を充填する際の開口性を評価した。袋10のサイズは、実施例A1の場合と同様にMサイズとした。結果、表面フィルム14及び裏面フィルム15には、外面側に凸となる複数の湾曲形状部分に加えて、内面側に凸となる複数の湾曲形状部分も形成され、このため、十分な開口幅Kを確保できなかった。また、実施例A1の場合と同様にして、内容物が収容されている袋10の耐熱性を評価した。結果、包装材料30にシワは形成されているが、包装材料30に穴があいていないことを確認した。
参考例A4)
シーラント層70として、低密度ポリエチレンと直鎖状低密度ポリエチレンを含み、105℃の融点を有する混合樹脂からなるシーラントフィルムを用いたこと以外は、実施例A1の場合と同様にして、包装材料30を作製した。シーラント層70の厚みは50μmであった。包装材料30全体の厚みは70.5μmであった。
続いて、実施例A1の場合と同様にして、包装材料30の突き刺し強度及びループスティフネスを測定した。結果、突き刺し強度は12.1Nであった。包装材料30の流れ方向におけるループスティフネスは0.050Nであり、垂直方向におけるループスティフネスは0.055Nであった。この場合、包装材料30の流れ方向におけるループスティフネスを包装材料30の厚みで割った値は0.00071N/μmになり、垂直方向におけるループスティフネスを包装材料30の厚みで割った値は0.00078N/μmになる。
参考例A5)
シーラント層70として、図11に示す第1層71及び第2層72を備え、イージーピール性を有する共押し出しフィルムを用いたこと以外は、実施例A1の場合と同様にして、包装材料30を作製した。第1層71は、ポリエチレンからなる、厚み45μmの層であった。第2層72は、ポリエチレンとポリプロピレンの混合樹脂を含む、厚み5μmの層であった。ポリエチレンとしては、0.950g/cm3の密度を有する高密度ポリエチレンを用いた。ポリプロピレンとしては、エチレン-プロピレンランダム共重合体を用いた。第2層72におけるポリプロピレンとポリエチレンの質量比は7:3であった。シーラント層70の厚みは50μmであった。包装材料30全体の厚みは70.5μmであった。
続いて、実施例A1の場合と同様にして、包装材料30の突き刺し強度及びループスティフネスを測定した。結果、突き刺し強度は12.2Nであった。包装材料30の流れ方向におけるループスティフネスは0.053Nであり、垂直方向におけるループスティフネスは0.052Nであった。この場合、包装材料30の流れ方向におけるループスティフネスを包装材料30の厚みで割った値は0.00075N/μmになり、垂直方向におけるループスティフネスを包装材料30の厚みで割った値は0.00074N/μmになる。
実施例A1~A3、参考例A4~A5及び比較例A1~A2の層構成、並びに、突き刺し強度及びループスティフネスに関する評価結果を、図26にまとめて示す。また、実施例A1~A3及び比較例A1~A2の層構成、並びに、衝撃強度、引き裂き性、及び耐熱性に関する評価結果を、図27にまとめて示す。図26及び図27において、「層構成」の欄には、包装材料の構成要素を、外面側の層から順に上から記載している。また、「耐熱性」の欄において、包装材料30に穴及びシワが形成されていなかった場合には「great」と記し、包装材料30にシワは形成されていたが穴は形成されていなかった場合には「good」と記し、包装材料30に穴及びシワが形成されていた場合には「bad」と記した。また、「開口性」の欄において、表面フィルム14及び裏面フィルム15が、外面側に凸となる湾曲形状を有するように変形した場合には「good」と記し、表面フィルム14及び裏面フィルム15に、外面側に凸となる複数の湾曲形状部分に加えて、内面側に凸となる複数の湾曲形状部分も形成されていた場合には「bad」と記した。
実施例A1~A3、参考例A4~A5と比較例A2の比較から分かるように、延伸プラスチックフィルム60として高スティフネスポリエステルフィルムを用いることにより、包装材料30に含まれる延伸プラスチックフィルムが1つのみの場合であっても、包装材料30の突き刺し強度を12N以上に、例えば13N以上に高めることができた。このような突き刺し強度は、比較例A1から分かるように、包装材料30に含まれる延伸プラスチックフィルムが2つの場合と同等である。
また、実施例A1~A3と比較例A2の比較から分かるように、延伸プラスチックフィルム60として高スティフネスポリエステルフィルムを用いることにより、包装材料30に含まれる延伸プラスチックフィルムが1つのみの場合であっても、少なくとも一方向において、包装材料30のループスティフネスを包装材料30の厚みで割った値を、0.00085N/μm以上に、例えば0.00090N/μm以上、0.00095N/μm以上や0.00100N/μm以上に高めることができた。これにより、包装材料30を備える袋10の開口性を高めることができた。
また、実施例A2と比較例A1、A2の比較から分かるように、包装材料30が高スティフネスポリエステルフィルムを含むことにより、包装材料30を引き裂く際にシーラント層70が伸びてしまうことを抑制することができた。また、実施例A3から分かるように、シーラント層70としてZK500Rを用いることにより、包装材料30の引き裂き性をより高めることができた。なお、引き裂き性に関して、実施例A1、A2においては、試験片95を長さV5の方向で全域にわたってスムーズに引き裂くことができたので、評価結果を「good」とした。また、実施例A3においては、試験片95を長さV5の方向で全域にわたってスムーズに引き裂くことができ、且つ、試験片95を構成する2枚の包装材料30の、幅V4の方向における位置のずれ量が5mm以下であったので、評価結果を「great」とした。一方、比較例A1、A2においては、途中で包装材料30のシーラント層70が伸びてしまい、このため、試験片95を長さV5の方向で全域にわたってスムーズに引き裂くことができなかったので、評価結果を「bad」とした。
また、実施例A1から分かるように、シーラント層70としてZK500を用いることにより、加熱の際に袋10の包装材料30がダメージを受けることを抑制することができた。ZK500における、熱間シール強度が低いという特性が、ダメージの抑制に寄与していると考えられる。
次に、第2の実施の形態において説明した、包装材料210がバリア性積層フィルム205を有する場合に関する実施例及び比較例について説明する。
[実施例B1]
基材201として、0.0017N以上のループスティフネスを有し、石油由来のPETからなる高スティフネスPETフィルムを準備した。具体的には、高スティフネスPETフィルムとして、東レ株式会社製のXP-55を用いた。高スティフネスPETフィルムの厚みは16μmであった。また、高スティフネスPETフィルムのループスティフネスの測定値は、流れ方向及び垂直方向のいずれにおいても0.0021Nであった。また、流れ方向における高スティフネスPETフィルムの引張弾性率は4.8GPaであり、垂直方向における高スティフネスポリエステルフィルムの引張弾性率は4.7GPaであった。
また、流れ方向における高スティフネスPETフィルムの引張強度は292MPaであり、垂直方向における高スティフネスポリエステルフィルムの引張強度は257MPaであった。また、流れ方向における高スティフネスPETフィルムの引張伸度は107%であり、垂直方向における高スティフネスポリエステルフィルムの引張伸度は102%であった。この場合、流れ方向における高スティフネスPETフィルムの引張強度を引張伸度で割った値は2.73〔MPa/%〕であり、垂直方向における高スティフネスPETフィルムの引張強度を引張伸度で割った値は2.52〔MPa/%〕である。
また、流れ方向及び垂直方向における高スティフネスPETフィルムの熱収縮率はいずれも0.4%であった。
続いて、高スティフネスPETフィルムの突き刺し強度を、JIS Z1707 7.4に準拠して測定した。測定器としては、A&D製のテンシロン万能材料試験機RTC-1310を用いた。具体的には、固定されている状態の高スティフネスPETフィルムの試験片に対して、外面30y側から、直径1.0mm、先端形状半径0.5mmの半円形の針を、50mm/分(1分あたり50mm)の速度で突き刺し、針が高スティフネスPETフィルムを貫通するまでの応力の最大値を測定した。5個以上の試験片について、応力の最大値を測定し、その平均値を高スティフネスPETフィルムの突き刺し強度とした。測定時の環境は、温度23℃、相対湿度50%とした。結果、突き刺し強度は10.2Nであった。
[実施例B2]
基材201として、上述の第1の構成で説明した、複数の層を含み、キャスト法で作製されたPBTフィルムを準備した。各層におけるPBTの含有率は80%であり、層の数は1024であり、PBTフィルムの厚みは15μmであった。また、流れ方向におけるPBTフィルムの引張強度は191MPaであり、垂直方向におけるPBTフィルムの引張強度は289MPaであった。また、流れ方向におけるPBTフィルムの引張伸度は195%であり、垂直方向におけるPBTフィルムの引張伸度は100%であった。この場合、流れ方向におけるPBTフィルムの引張強度を引張伸度で割った値は0.98〔MPa/%〕であり、垂直方向におけるPBTフィルムの引張強度を引張伸度で割った値は2.89〔MPa/%〕である。
また、流れ方向及び垂直方向におけるPBTフィルムの熱収縮率はいずれも0.4%であった。
[実施例C1]
まず、基材201上に蒸着層202を形成し、蒸着層202上にガスバリア性塗布膜203を形成してバリア性積層フィルム205を作製した。続いて、バリア性積層フィルム205を備える包装材料210を作製した。
はじめに、バリア性積層フィルム205の作製について説明する。まず、基材201として、上述の実施例B1で用いた、厚さ16μmの高スティフネスPETフィルムを巻き取ったロールを準備した。続いて、図20に示す上述の成膜装置260を用いて、基材201に酸素プラズマ処理を施した後、酸素プラズマ処理面上に、酸化アルミニウムを含む厚さ12nmの蒸着層202を形成した。以下、酸素プラズマ処理及び成膜処理について詳細に説明する。
酸素プラズマ処理においては、基材201のうち蒸着層202が設けられる面に、プラズマ前処理室262Bにおいて下記条件下でプラズマ供給ノズル272からプラズマを導入し、搬送速度400m/minで搬送される基材201にプラズマ前処理を施した。これにより、基材201のうち蒸着層202が設けられる面に酸素プラズマ処理面を形成した。
〔酸素プラズマ前処理条件〕
・プラズマ強度:200W・sec/m2
・プラズマ形成ガス比:酸素/アルゴン=2/1
・前処理ドラム-プラズマ供給ノズル間印加電圧:340V
・前処理区画の真空度:3.8Pa
成膜処理においては、プラズマ前処理室262Bから連続的に搬送された基材201が搬入される成膜室262Cにおいて、アルミニウムをターゲットとして用いて、基材201の酸素プラズマ処理面上に、厚さ12nmの酸化アルミニウムを含む蒸着層202を真空蒸着法により基材201上に形成した。真空蒸着法の加熱手段としては、反応性抵抗加熱方式を採用した。成膜条件は下記の通りである。
〔酸化アルミニウム成膜条件〕
・真空度:8.1×10-2Pa
・搬送速度:400m/min
・酸素ガス供給量:20000sccm
続いて、蒸着層202上にガスバリア性塗布膜203を形成した。具体的には、まず、水385g、イソプロピルアルコール67g及び0.5N塩酸9.1gを混合し、pH2.2に調整した溶液に、金属アルコキシドとしてテトラエトキシシラン175gと、シランカップリング剤としてグリシドキシプロピルトリメトキシシラン9.2gを10℃となるよう冷却しながら混合させて溶液Aを調製した。
水溶性高分子として、ケン価度99%以上の重合度2400のポリビニルアルコール14.7g、水324g、イソプロピルアルコール17gを混合した溶液Bを調製した。
続いて、A液とB液を重量比6.5:3.5となるよう混合した。このようにして得られた溶液を、ガスバリア性塗布膜用コート剤とした。
上記の蒸着層202上に、上記で調製したガスバリア性塗布膜用コート剤をスピンコート法によりコーティングした。その後、180℃で60秒間、オーブンにて加熱処理して、厚さ約400nmのガスバリア性塗布膜203を蒸着層202上に形成した。このようにして、基材201、蒸着層202及びガスバリア性塗布膜203を有するバリア性積層フィルム205を得た。
(変成率)
真空引きされた環境下で、バリア性積層フィルム205のガスバリア性塗布膜203の表面にCs(セシウム)イオン銃により一定の速度でソフトエッチングを繰り返しながら、飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF-SIMS)を用いて、ガスバリア性塗布膜203に由来するイオンと、蒸着層202に由来するイオンと、基材201に由来するイオンを測定した。例えば、基材201の樹脂フィルム由来のC(質量数72.00)、蒸着層202の酸化アルミニウム蒸着膜由来のAlH(質量数118.93)イオンの質量分析を行った。
TOF-SIMSに用いられる飛行時間型二次イオン質量分析計としてはION TOF社製、TOF.SIMS5を用い、下記測定条件で測定を行なった。これによって、図19に示すようなグラフを得た。
(TOFSIMS測定条件)
・一次イオン種類:Bi3++(0.2pA,100μs)
・測定面積:150×150μm2
・エッチング銃種類:Cs(1keV、60nA)
・エッチング面積:600×600μm2
・エッチングEtレート:3sec/Cycle
・真空引き時間:1×10-6mbar以下で15時間以上
飛行時間型二次イオン質量分析計を用いた測定は、真空引きを開始した後、30時間以内に実施した。
グラフにおいて、ガスバリア性塗布膜203の構成元素であるSiO2(質量数59.96)の強度が、ガスバリア性塗布膜203における強度の半分になる位置を、ガスバリア性塗布膜203と蒸着層202の界面として特定した。また、基材201の構成材料であるC6(質量数72.00)の強度が、基材201における強度の半分になる位置を、基材201と蒸着層202の界面として特定した。また、2つの界面の間の、厚み方向における距離を、蒸着層202の厚みとして採用した。
次に、測定された元素結合Al24H(質量数118.93)を表すピークを求め、そのピークから界面までを遷移領域とした。ただし、ガスバリア性塗布膜203の成分がAl24H(質量数118.93)と同じ質量数の材料で構成される場合、118.93の波形を分離する必要がある。
ガスバリア性塗布膜203と蒸着層202の界面に、反応物AlSiO4と、水酸化物Al24Hとが生じる場合、それらと、基材201と蒸着層202の間の界面に存在するAl24Hを分離することができる。このように、波形の分離については、ガスバリア性塗布膜203の材料に応じて適宜対応することができる。
波形分離においては、例えば、TOF-SIMSで得られた、質量数118.93のプロファイルを、Gaussian関数を用いて非線形のカーブフィッティングを行い最小二乗法Levenberg Marquardt アルゴリズムを使用して重複ピークの分離を行ってもよい。
実施例C1のバリア性積層フィルム205から2つのサンプルを準備し、2つのサンプルのそれぞれについて、蒸着層202の変成率を、(遷移領域の厚みW1/蒸着層202の厚み)×100(%)として算出した。結果、第1のサンプルにおける変成率は36.2%であり、第2のサンプルにおける変成率は28.8%であった。
次に、バリア性積層フィルム205を備える包装材料210の作製について説明する。まず、バリア性積層フィルム205のガスバリア性塗布膜203上に1μmの厚みの印刷層218を形成した。また、バリア性積層フィルム205を含むフィルムとシーラント層212を構成するフィルムとを、3.5μmの厚みの第1接着層213を介してドライラミネート法によって貼り合わせた。シーラント層212のフィルムとしては、未延伸ポリプロピレンフィルム(厚さ60μm)を用いた。未延伸ポリプロピレンフィルムとしては、東レフィルム加工株式会社製の未延伸ポリプロピレンフィルム ZK207を用いた。このようにして、図16に示す層構成を有する包装材料210を作製した。包装材料210全体の厚みは80.5μmであった。
本実施例の包装材料210の層構成は、以下のように表現される。
高PET16/透明蒸着/バリア/印/接着剤/CPP60
「高PET」は、高スティフネスPETフィルムを意味する。「透明蒸着」は、酸化アルミニウムを含む透明蒸着層を意味する。「バリア」は、ガスバリア性塗布膜を意味する。「印」は、印刷層を意味する。「接着剤」は、接着剤層を意味する。「CPP」は、未延伸ポリプロピレンフィルムを意味する。数字は、層の厚み(単位はμm)を意味する。
続いて、実施例A1の場合と同様にして、包装材料210の突き刺し強度及びループスティフネスを測定した。結果、突き刺し強度は13.2Nであった。包装材料210の流れ方向におけるループスティフネスは0.084Nであり、垂直方向におけるループスティフネスは0.079Nであった。この場合、包装材料210の流れ方向におけるループスティフネスを包装材料210の厚みで割った値は0.00104N/μmになり、垂直方向におけるループスティフネスを包装材料210の厚みで割った値は0.00098N/μmになる。
また、以下に説明するように、実施例C1の包装材料210にレトルト処理を施した後、酸素透過度の測定、及び水蒸気透過度の測定を行った。
(酸素透過度)
包装材料210を用いて、四方シールパウチを作製した。続いて、四方シールパウチの上部の開口部から四方シールパウチの内部に水100mLを注入した後、上部にシール部を形成して四方シールパウチを封止した。続いて、四方シールパウチに対して、121℃、40分間、2気圧のレトルト処理を施した。
続いて、レトルト処理が施された後の四方シールパウチの片面を構成している包装材料210を切り出して、レトルト処理後の酸素透過度を評価するためのサンプルを作製した。
続いて、レトルト処理後のサンプルを、基材201が酸素供給側となるようにセットして、23℃、100%RH雰囲気下の測定条件で、JIS K 7126 B法に準拠して酸素透過度を測定した。測定器としては、酸素透過度測定装置(モダンコントロール(MOCON)社製〔機種名:オクストラン(OX-TRAN)2/21〕)を用いた。結果、レトルト処理後のサンプルの酸素透過度は1.5cc/m2/24hr/atm未満であった。
(水蒸気透過度)
酸素透過度の測定の場合と同一のサンプルを用いて、水蒸気透過度の測定を行った。具体的には、各サンプルを、基材201がセンサー側となるようにセットして、37.8℃、100%RH雰囲気下の測定条件で、JIS K 7126 B法に準拠して水蒸気透過度を測定した。測定器としては、水蒸気透過度測定装置(モコン(MOCON)社製の測定機〔機種名、パーマトラン(PERMATRAN)3/33〕)を用いた。結果、レトルト処理後のサンプルの水蒸気透過度は2.0g/m2/24hr未満であった。
本実施例の包装材料210は、例えば、レトルト処理が施されるパウチを構成するために使用され得る。
参考例C2]
実施例C1の場合と同様にして、バリア性積層フィルム205を作製した。続いて、シーラント層212のフィルムとして、低密度ポリエチレンと直鎖状低密度ポリエチレンの混合樹脂からなるシーラントフィルム(厚さ50μm)を用いたこと以外は、実施例C1の場合と同様にして、図16に示す層構成を有する包装材料210を作製した。包装材料210全体の厚みは70.5μmであった。
本実施例の包装材料210の層構成は、以下のように表現される。
高PET16/透明蒸着/バリア/印/接着剤/ブレンドPE50
「ブレンドPE」は、低密度ポリエチレンと直鎖状低密度ポリエチレンの混合樹脂からなるシーラントフィルムを意味する。
続いて、実施例A1の場合と同様にして、包装材料210の突き刺し強度及びループスティフネスを測定した。結果、突き刺し強度は12.5Nであった。包装材料210の流れ方向におけるループスティフネスは0.051Nであり、垂直方向におけるループスティフネスは0.053Nであった。この場合、包装材料210の流れ方向におけるループスティフネスを包装材料210の厚みで割った値は0.00072N/μmになり、垂直方向におけるループスティフネスを包装材料210の厚みで割った値は0.00075N/μmになる。
また、以下に説明するように、実施例B2の包装材料210にボイル処理を施した後、酸素透過度の測定、及び水蒸気透過度の測定を行った。
(酸素透過度)
包装材料210を用いて、四方シールパウチを作製した。続いて、四方シールパウチの上部の開口部から四方シールパウチの内部に水100mLを注入した後、上部にシール部を形成して四方シールパウチを封止した。続いて、四方シールパウチに対して、95℃、60分間のボイル処理を施した。
続いて、ボイル処理が施された後の四方シールパウチの片面を構成している包装材料210を切り出して、ボイル処理後の酸素透過度を評価するためのサンプルを作製した。続いて、実施例C1の場合と同様にして、ボイル処理後のサンプルの酸素透過度を測定した。結果、酸素透過度は1.5cc/m2/24hr/atm未満であった。
(水蒸気透過度)
酸素透過度の測定の場合と同一のサンプルを用いて、実施例C1の場合と同様にして、ボイル処理後のサンプルの水蒸気透過度を測定した。結果、水蒸気透過度は2.0g/m2/24hr未満であった。
本実施例の包装材料210は、例えば、ボイル処理が施されるパウチを構成するために使用され得る。
参考例C3]
実施例C1の場合と同様にして、バリア性積層フィルム205を作製した。続いて、シーラント層212のフィルムとして、図17に示す第1層2121及び第2層2122を含み、共押し出しによって形成された、イージーピール性を備えるシーラントフィルム(厚さ50μm)を用いたこと以外は、実施例C1の場合と同様にして、図17に示す層構成を有する包装材料210を作製した。第1層2121は、高密度ポリエチレンとポリプロピレンの混合樹脂からなる厚さ5μmの層である。第2層2122は、高密度ポリエチレンからなる厚さ45μmの層である。包装材料210全体の厚みは70.5μmであった。
本実施例の包装材料210の層構成は、以下のように表現される。
高PET16/透明蒸着/バリア/印/接着剤/イージーピール50
「イージーピール」は、ポリエチレンとポリプロピレンの混合樹脂からなる層を含み、イージーピール性を備えるシーラントフィルムを意味する。
続いて、実施例A1の場合と同様にして、包装材料210の突き刺し強度及びループスティフネスを測定した。結果、突き刺し強度は12.4Nであった。包装材料210の流れ方向におけるループスティフネスは0.054Nであり、垂直方向におけるループスティフネスは0.054Nであった。この場合、包装材料210の流れ方向におけるループスティフネスを包装材料210の厚みで割った値は0.00077N/μmになり、垂直方向におけるループスティフネスを包装材料210の厚みで割った値は0.00077N/μmになる。
続いて、実施例C1の場合と同様に、包装材料210を用いて作製した四方シールパウチにレトルト処理を施した後、四方シールパウチから切り出したサンプルを用いて酸素透過度の測定、及び水蒸気透過度の測定を行った。結果、レトルト処理後のサンプルの酸素透過度は1.5cc/m2/24hr/atm未満であった。また、レトルト処理後のサンプルの水蒸気透過度は2.0g/m2/24hr未満であった。
本実施例の包装材料210は、例えば、レトルト処理が施される蓋付容器の蓋材を構成するために使用され得る。蓋付容器の容器本体は、例えばポリプロピレンで構成され得る。
実施例C1、参考例C2~C3の包装材料210の層構成、並びに、突き刺し強度及びループスティフネスに関する評価結果を、図28にまとめて示す。また、実施例C1、参考例C2~C3の包装材料210の層構成、並びに、酸素透過度の評価結果及び水蒸気透過度の評価結果を図29に示す。図29の「酸素透過度」の欄において、「OK」は、レトルト処理後のサンプルの酸素透過度は1.5cc/m2/24hr/atm未満であったことを意味する。また、図29の「水蒸気透過度」の欄において、「OK」は、レトルト処理後のサンプルの水蒸気透過度が2.0g/m2/24hr未満であったことを意味する。
実施例C1、参考例C2~C3から分かるように、延伸プラスチックフィルム60として高スティフネスポリエステルフィルムを用いることにより、実施例A1~A3、参考例A4~A5の場合と同様に、包装材料30に含まれる延伸プラスチックフィルムが1つのみの場合であっても、包装材料30の突き刺し強度を12N以上に、例えば13N以上に高めることができた。また、シーラント層70として東レフィルム加工株式会社製の未延伸ポリプロピレンフィルム ZK207を用いた実施例C1においては、少なくとも一方向において、包装材料30のループスティフネスを包装材料30の厚みで割った値を、0.00085N/μm以上に、具体的には0.00095N/μm以上や0.00100N/μm以上に高めることができた。
10 袋(パウチ)
11 上部
12 下部
12a 下部シール部
13 側部
13a 側部シール部
14 表面フィルム
15 裏面フィルム
16 下部フィルム
17 収容部
18 内容物
20 蒸気抜き機構
20a 蒸気抜きシール部
25 易開封性手段
26 ノッチ
30 包装材料
35 基材
60 延伸プラスチックフィルム
65 接着剤層
70 シーラント層
80 試験片
80A 流れ方向用試験片
80B 垂直方向用試験片
80x 内面
80y 外面
81 ループ部
82 中間部
83 固定部
85 ループスティフネス測定器
86 チャック部
861 第1チャック
862 第2チャック
87 支持部材
88 ロードセル
201 基材
202 蒸着層
203 ガスバリア性塗布膜
205 バリア性積層フィルム
210 包装材料
212 シーラント層
2121 第1層
2122 第2層
213 第1接着層
218 印刷層

Claims (10)

  1. 包装材料であって、
    基材及びシーラント層を備え、
    前記基材は、ポリエステルを主成分として含む二軸延伸プラスチックフィルムを1つのみ有し、
    前記シーラント層は、ポリプロピレンを主成分として含み、
    前記包装材料の1つの方向におけるループスティフネスを前記包装材料の厚みで割った値が0.00085〔N/μm〕以上であり、
    前記二軸延伸プラスチックフィルムは、前記包装材料の外面に位置しており、
    前記包装材料に含まれる延伸プラスチックフィルムは、前記二軸延伸プラスチックフィルムのみである、包装材料。
  2. 前記二軸延伸プラスチックフィルムは、1つの方向において0.0017N以上のループスティフネスを有する、請求項1に記載の包装材料。
  3. 少なくとも1つの方向において、前記二軸延伸プラスチックフィルムの引張強度を引張伸度で割った値が2.0〔MPa/%〕以上である、請求項1又は2に記載の包装材料。
  4. 前記二軸延伸プラスチックフィルムは、ポリエチレンテレフタレートを主成分として含む、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の包装材料。
  5. 前記包装材料の突き刺し強度が12N以上である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の包装材料。
  6. 印刷層を備える、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の包装材料。
  7. 前記前記二軸延伸プラスチックフィルムの面上に位置する蒸着層と、前記蒸着層上に位置するガスバリア性塗布膜と、を備える、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の包装材料。
  8. 前記シーラント層は、プロピレン・エチレンブロック共重合体を含む単層のフィルムからなる、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の包装材料。
  9. 請求項1乃至のいずれか一項に記載の包装材料を備えるレトルトパウチ。
  10. 収容部を有する電子レンジ用パウチであって、
    請求項1乃至のいずれか一項に記載の包装材料と、
    前記包装材料の内面同士を接合するシール部であって、前記収容部の圧力の増加により剥離する蒸気抜きシール部を含むシール部と、を備える電子レンジ用パウチ。
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