JP7370303B2 - ブロー成形容器及びその製造方法 - Google Patents
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Description
[1]エチレン-ビニルアルコール共重合体(A)及びアルミニウムイオン(B)を含有する樹脂組成物からなる樹脂組成物層(α)を有するブロー成形容器であって、エチレン-ビニルアルコール共重合体(A)の少なくとも一部が、重合体末端に位置するカルボン酸類単位(I)及びラクトン環単位(II)の少なくとも一方を有し、上記樹脂組成物におけるエチレン-ビニルアルコール共重合体(A)1gあたりのカルボン酸類単位(I)及びラクトン環単位(II)の合計含有量(i+ii)が14μmol/g以上78μmol/g以下であり、上記樹脂組成物におけるエチレン-ビニルアルコール共重合体(A)1gあたりのアルミニウムイオン(B)の含有量(b)が0.002μmol/g以上0.17μmol/g以下である、ブロー成形容器;
[2]上記樹脂組成物におけるカルボン酸類単位(I)及びラクトン環単位(II)の合計含有量(i+ii)とアルミニウムイオン(B)の含有量(b)との比率((i+ii)/b)が、180以上20,000以下である、[1]のブロー成形容器;
[3]アルミニウムイオン(B)が炭素数5以下の脂肪酸アルミニウム塩に由来する、[1]又は[2]のブロー成形容器;
[4]上記樹脂組成物が、桂皮酸類及び分子量1,000以下の共役ポリエン化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物(C)をさらに含有し、上記樹脂組成物における化合物(C)のエチレン-ビニルアルコール共重合体(A)に対する含有量(c)が1ppm以上1,000ppm以下である、[1]~[3]のいずれかのブロー成形容器;
[5]上記樹脂組成物におけるカルボン酸類単位(I)及びラクトン環単位(II)の合計含有量(i+ii)に対するラクトン環単位(II)の含有量(ii)の比率(ii/(i+ii))が40mol%以上である、[1]~[4]のいずれかのブロー成形容器;
[6]樹脂組成物層(α)の内面側及び外面側にそれぞれ積層され、Fedorsの式から算出する溶解性パラメータが11(cal/cm3)1/2以下である熱可塑性樹脂を主成分とする熱可塑性樹脂層(β)、及び樹脂組成物層(α)と熱可塑性樹脂層(β)との間に配置され、カルボン酸変性ポリオレフィンを主成分とするポリオレフィン層(γ)をさらに有する、[1]~[5]のいずれかのブロー成形容器;
[7]エチレン-ビニルアルコール共重合体、熱可塑性樹脂及びカルボン酸変性ポリオレフィンを含む層(δ)をさらに有する、[6]のブロー成形容器;
[8]層(δ)が、ブロー成形容器の製造工程における樹脂組成物層(α)、熱可塑性樹脂層(β)及びポリオレフィン層(γ)の回収物を用いて形成されている、[7]のブロー成形容器;
[9]樹脂組成物層(α)の平均厚みが全層平均厚みの5.0%以下であり、かつ層(δ)におけるエチレン-ビニルアルコール共重合体(A)の含有量が9.0質量%以下である、[7]又は[8]のブロー成形容器;
[10]燃料容器である、[1]~[9]のいずれかのブロー成形容器;
[11]ボトルである、[1]~[9]のいずれかのブロー成形容器;
[12]エチレン-ビニルアルコール共重合体(A)及びアルミニウムイオン(B)を含有する樹脂組成物を用いてブロー成形する工程を備え、エチレン-ビニルアルコール共重合体(A)の少なくとも一部が、重合体末端に位置するカルボン酸類単位(I)及びラクトン環単位(II)の少なくとも一方を有し、上記樹脂組成物におけるエチレン-ビニルアルコール共重合体(A)1gあたりのカルボン酸類単位(I)及びラクトン環単位(II)の合計含有量(i+ii)が14μmol/g以上78μmol/g以下であり、上記樹脂組成物におけるエチレン-ビニルアルコール共重合体(A)1gあたりのアルミニウムイオン(B)の含有量(b)が0.002μmol/g以上0.17μmol/g以下である、[1]~[11]のいずれかのブロー成形容器の製造方法;
のいずれかを提供することで達成される。
本発明のブロー成形容器は、所定の樹脂組成物(α)からなる樹脂組成物層(α)を有する。本発明のブロー成形容器は、ガスバリア性、耐油性等が要求される各種容器に使用できる。当該ブロー成形容器の樹脂組成物層(α)は、成形時のブツの発生が抑制されているため外観が良好であり、十分な耐熱耐光性を有し且つ廃棄後にマイクロプラスチック化し難く、同じEVOHを用いたものと比較して上記の各特性が十分に改善されている。また、当該ブロー成形容器は、耐衝撃性等も良好である。以下、図4に示すブロー成形容器105を例にとって、具体的に説明する。なお、図4はブロー成形容器105の周壁の部分断面図である。
層(α)は、所定の樹脂組成物(α)からなる層である。層(α)の平均厚みの下限としては、特に限定されるものではないが、バリア性及び機械強度等の観点から、全層平均厚みに対して、0.5%が好ましく、1.0%がより好ましく、1.5%がさらに好ましい。一方、層(α)の平均厚みの上限としては、全層平均厚みに対して、5.0%が好ましく、4.5%がより好ましく、4.1%がさらに好ましい。
以下、層(α)の形成に用いられる、エチレン-ビニルアルコール共重合体(A)(以下、「EVOH(A)」と称することがある。)及びアルミニウムイオン(B)を含有する樹脂組成物(α)について詳説する。EVOH(A)の少なくとも一部は、重合体末端に位置するカルボン酸類単位(I)及びラクトン環単位(II)の少なくとも一方を有する。樹脂組成物(α)におけるEVOH(A)1gあたりのカルボン酸類単位(I)及びラクトン環単位(II)の合計含有量(i+ii)は14μmol/g以上78μmol/g以下である。樹脂組成物(α)におけるEVOH(A)1gあたりのアルミニウムイオン(B)の含有量(b)は0.002μmol/g以上0.17μmol/g以下である。
EVOH(A)は、エチレン単位とビニルアルコ-ル単位とを有する共重合体である。EVOH(A)は、通常、エチレン-ビニルエステル共重合体のケン化反応で得られる。従って、EVOH(A)は、残存するビニルエステル単位をさらに有していてよい。すなわち、EVOH(A)は、エチレン単位とビニルアルコール単位とを有し、任意の単量体単位としてのビニルエステル単位をさらに有する又は有さない共重合体である。エチレン-ビニルエステル共重合体の製造及びケン化は公知の方法により行うことができる。ビニルエステルとしては酢酸ビニルが代表的であるが、ギ酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、ピバリン酸ビニル及びバーサティック酸ビニル等のその他の脂肪酸ビニルエステルであってもよい。
樹脂組成物(α)に含有されるアルミニウムイオン(B)は、アニオンから解離した状態で存在していてもよく、アニオンと結合した塩の状態で存在していてもよい。また、EVOH(A)やその他の任意成分が有する基等(例えば、カルボキシ基、水酸基等)に配位した状態で存在していてもよい。
なお、本明細書において、「ppm」は質量基準の含有量(含有比率)を示す。
樹脂組成物(α)は、化合物(C)をさらに含有することが好ましい。化合物(C)は、桂皮酸類及び共役ポリエン化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種である。樹脂組成物(α)がこのよう化合物(C)をさらに含有することで、ブツの発生抑制、耐熱耐光性及びマイクロプラスチック化耐性をより改善できる。この理由は定かではないが、アルミニウムイオン(B)がさらに化合物(C)とも相互作用することにより、耐熱性や耐光性が向上すること等が推測される。
イソプレン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、2,3-ジエチル-1,3-ブタジエン、2-t-ブチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ペンタジエン、2,4-ジメチル-1,3-ペンタジエン、3,4-ジメチル-1,3-ペンタジエン、3-エチル-1,3-ペンタジエン、2-メチル-1,3-ペンタジエン、3-メチル-1,3-ペンタジエン、4-メチル-1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン、2,4-ヘキサジエン、2,5-ジメチル-2,4-ヘキサジエン、1,3-オクタジエン、1,3-シクロペンタジエン、1,3-シクロヘキサジエン、1-フェニル-1,3-ブタジエン、1,4-ジフェニル-1,3-ブタジエン、1-メトキシ-1,3-ブタジエン、2-メトキシ-1,3-ブタジエン、1-エトキシ-1,3-ブタジエン、2-エトキシ-1,3-ブタジエン、2-ニトロ-1,3-ブタジエン、クロロプレン、1-クロロ-1,3-ブタジエン、1-ブロモ-1,3-ブタジエン、2-ブロモ-1,3-ブタジエン、オシメン、フェランドレン、ミルセン、ファルネセン、ソルビン酸、ソルビン酸エステル、ソルビン酸塩等の共役ジエン化合物;
1,3,5-ヘキサトリエン、2,4,6-オクタトリエン-1-カルボン酸、エレオステアリン酸、桐油、コレカルシフェロール、フルベン、トロポン等の共役トリエン化合物;
シクロオクタテトラエン、2,4,6,8-デカテトラエン-1-カルボン酸、レチノール、レチノイン酸等の共役ポリエン化合物等が挙げられる。
樹脂組成物(α)は、本発明の効果を損なわない範囲で、EVOH(A)以外の樹脂、アルミニウムイオン(B)以外の金属イオン、酸(化合物(C)に該当するものを除く)、ホウ素化合物、可塑剤、フィラー、ブロッキング防止剤、滑剤、安定剤、界面活性剤、色剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、乾燥剤、架橋剤、補強材等、他の成分を有していてもよい。中でも、熱安定性や他樹脂との接着性の観点から、アルミニウムイオン(B)以外の金属イオン、酸(化合物(C)に該当するものを除く)並びにホウ素化合物のうちの一種又は二種以上を含むことが好ましい。
樹脂組成物(α)の温度210℃、荷重2,160gにおけるメルトフローレートの下限としては、1.0g/10分が好ましく、2.0g/10分がより好ましい。一方、このメルトフローレートの上限としては、30g/10分が好ましく、20g/10分がより好ましく、10g/10分がさらに好ましい。樹脂組成物(α)のメルトフローレートが上記範囲内であると、溶融成形性や加工性等が良好となる。
樹脂組成物(α)の製造法としては、例えば1)含水率20~80質量%のEVOH(A)の多孔性析出物を、アルミニウム塩等を含有する水分散液と接触させて、EVOH(A)にアルミニウム塩等を含有させてから乾燥する方法、2)EVOH(A)の均一溶液(水/アルコール溶液等)にアルミニウム塩等を含有させた後、凝固液中にストランド状に押し出し、次いで得られたストランドを切断してペレットとして、さらに乾燥処理をする方法、3)EVOH(A)とアルミニウム塩等とを一括してドライブレンドする方法、4)EVOH(A)とアルミニウム塩等とを一括してドライブレンドしてから押出機等で溶融混練する方法、5)EVOH(A)の製造時においてエチレン-ビニルエステル共重合体を得た後に、アルミニウム塩等とを添加する方法等が挙げられる。本発明の効果をより顕著に得るには、1)、2)及び5)の方法がアルミニウムイオン(B)の分散性に優れることから好ましい。
層(β)102は、層(α)101の内面側及び外面側にそれぞれ積層されており、例えば、Fedorsの式から算出する溶解性パラメータが11(cal/cm3)1/2以下である熱可塑性樹脂を主成分とする層である。主成分とは、最も含有量が多い成分をいい、例えば含有量が50質量%以上の成分をいう。上記式によって算出される溶解性パラメータが11(cal/cm3)1/2以下である熱可塑性樹脂は、耐湿性に優れる。なお、Fedorsの式から算出される溶解性パラメータとは、(E/V)1/2で表される値である。上記式中、Eは分子凝集エネルギー(cal/mol)であり、E=Σeiで表される。なお、eiは蒸発エネルギーである。また、Vは分子容(cm3/mol)であり、V=Σvi(vi:モル体積)で表される。
層(γ)は、例えば、層(α)と層(β)との間に配置され、カルボン酸変性ポリオレフィンを主成分とする層である。層(γ)は、層(α)と層(β)等の他の層との間の接着層として機能させることができる。なお、上記カルボン酸変性ポリオレフィンとは、オレフィン系重合体にエチレン性不飽和カルボン酸又はその無水物を付加反応、グラフト反応等により化学的に結合させて得られるカルボキシ基又はその無水物基を有するオレフィン系重合体のことをいう。
低密度、中密度又は高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ボリブテン等のポリオレフィン;
エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸エチル共重合体等のオレフィンとコモノマーとの共重合体などが挙げられる。上記コモノマーとしては、オレフィンと共重合し得るモノマーであれば特に限定されず、例えばビニルエステル、不飽和カルボン酸エステル等が挙げられる。上記オレフィン系重合体としては、直鎖状低密度ポリエチレン、酢酸ビニル含有量が5質量%以上55質量%以下であるエチレン-酢酸ビニル共重合体、及びアクリル酸エチル含有量が8質量%以上35質量%以下であるエチレン-アクリル酸エチル共重合体が好ましく、直鎖状低密度ポリエチレン及び酢酸ビニル含有量が5質量%以上55質量%以下であるエチレン-酢酸ビニル共重合体がより好ましい。
層(δ)は、EVOH、熱可塑性樹脂及びカルボン酸変性ポリオレフィンを含有する層である。また、層(δ)は、当該ブロー成形容器の製造工程における層(α)、層(β)及び層(γ)の回収物を用いて形成されていることが好ましい。回収物としては、当該ブロー成形容器の製造工程において発生するバリ、検定の不合格品等が挙げられる。当該ブロー成形容器がこのような回収層としての層(δ)をさらに有することで、かかるバリや検定の不合格品を再利用することができ、当該ブロー成形容器の製造時に使用される樹脂のロスを低減できる。
当該ブロー成形容器105は、樹脂組成物(α)を用いてブロー成形する工程を備える方法により製造することが好ましい。具体的には、層(α)101を形成する樹脂組成物ペレット、層(β)102を形成する高密度ポリエチレン等、層(γ)103を形成するカルボン酸変性ポリオレフィン等、及び層(δ)104を形成する回収樹脂等を用い、ブロー成形機にて100℃以上400℃以下の温度で、例えば層(β)/層(γ)/層(α)/層(γ)/層(δ)/層(β)(以降、(内)β/γ/α/γ/δ/β(外)のように表す)の4種6層パリソンを用いてブロー成形し、金型内温度10℃以上30℃以下で10秒間以上30分間以下冷却し、全層平均厚み300μm以上10,000μm以下の中空容器を成形することができる。
本発明のブロー成形容器は、上述した形態に限定されず、少なくとも層(α)を備えていればよい。具体的には、回収層としての層(δ)等を備えなくてもよい。さらに、他の層が積層されてもよい。また、接着性がよい樹脂の組合せを選択することで、接着層としての層(γ)を省略してもよい。また、層(α)のみからなる単層のブロー成形容器であってもよい。
装置名:日本電子製 超伝導核磁気共鳴装置ECZ-600
観測周波数:600MHz(1H)
(1)溶媒:重ジメチルスルホキシド(DMSO-d6) ポリマー濃度:5質量% 測定温度:25℃、80℃
フリップ角:30°積算回数:256s
内部標準物質:テトラメチルシラン(TMS)
(2)溶媒:重水(D2O)+重メタノール(MeOD)(質量比4/6) ポリマー濃度:5質量% 測定温度:80℃
フリップ角:30°積算回数:1024s
内部標準物質:テトラメチルシラン(TMS)
EVOHのエチレン単位含有量(Et Cont.)、ケン化度(SP)、末端カルボン酸類単位含有量(α)及び末端ラクトン環単位含有量(β)は1H-NMR測定(DMSO-d6溶媒:25℃、80℃での測定結果、D2O+MeOD溶媒での測定結果)を用いて下記式により算出した。なお、化学シフト値はTMSのピーク0ppmを基準とした。また、式中、VAc、VAl及びEtはそれぞれ酢酸ビニル単位、ビニルアルコール単位及びエチレン単位を表す。
I1、I3:0.4~2.35ppmのメチレン水素の積分値(I1:DMSO-d625℃での測定値、I3:DMSO-d680℃での測定値)
I9::0.4~2.8ppmのメチレン水素の積分値(D2O+MeOD溶媒での測定値)
I2:3.4~4.0ppmのビニルアルコール単位のメチン水素(同単位の両隣がビニルアルコールのメチン水素)の積分値(DMSO-d625℃での測定値)
I4:3.15~3.45ppmのビニルアルコール単位のメチン水素(同単位の両隣がビニルアルコールのメチン水素)の積分値(DMSO-d680℃での測定値)
I5:酢酸ビニル単位中の末端メチル基の水素に由来の積分値(DMSO-d680℃での測定値)
I6:1.8~1.85付近の積分値(DMSO-d680℃での測定値)
I7:EVOHの重合体末端に存在する-CH(OH)CH3基におけるメチル基の水素に由来の積分値(DMSO-d680℃での測定値)
I8:EVOHの重合体末端に存在する-CH2CH3基におけるメチル基の水素に由来の積分値(DMSO-d680℃での測定値)
I10:0.8~0.95付近の積分値(D2O+MeOD溶媒での測定値)
I11:末端ラクトン環単位のカルボニル基に隣接するCH2単位の水素に由来の積分値(D2O+MeOD溶媒での測定値)
I12:末端カルボン酸類単位の直鎖COOH基に由来の積分値(D2O+MeOD溶媒での測定値)
I13、I14:末端カルボン酸類単位のカルボン酸塩に由来の積分値(D2O+MeOD溶媒での測定値)
なお、求めたエチレン単位含有量(Et Cont.)、末端カルボン酸類単位含有量(α)及び末端ラクトン環単位含有量(β)は、いずれもエチレン単位、ビニルエステル単位及びビニルアルコール単位の合計量(mol)に対する各単位の量(mol)の百分率(mol%)である。但し、エチレン単位、ビニルエステル単位及びビニルアルコール単位以外の単位の含有量は、これらの単位に比べて極めて微量である。従って、求めたエチレン単位含有量(Et Cont.)、末端カルボン酸類単位含有量(α)及び末端ラクトン環単位含有量(β)は、いずれも全構造単位の合計量(mol)に対する各単位の量(mol)の百分率(mol%)と実質的に等しい。
各参考例及び参考比較例で得られた乾燥樹脂組成物ペレットを、メルトインデクサーL244(宝工業株式会社製)の内径9.55mm、長さ162mmのシリンダーに充填し、210℃で溶融した後、溶融した樹脂組成物に対して、質量2,160g、直径9.48mmのプランジャーを使用して均等に荷重をかけた。シリンダーの中央に設けた径2.1mmのオリフィスより単位時間当たりに押出される樹脂組成物量(g/10分)を測定し、これをMFRとした。
各参考例及び参考比較例で得られた乾燥樹脂組成物ペレット0.5gをテフロン(登録商標)製圧力容器に入れ、ここに濃硝酸5mLを加えて室温で30分間分解させた。30分後に蓋をし、湿式分解装置(株式会社アクタック製「MWS-2」)を用いて150℃で10分間、次いで180℃で5分間加熱することで分解させ、その後室温まで冷却した。この処理液を50mLのメスフラスコ(TPX(登録商標)製)に移し純水でメスアップした。この溶液について、ICP発光分光分析装置(パーキンエルマー社製「OPTIMA4300DV」)で含有金属の分析を行い、ナトリウムイオン(ナトリウム元素)、リン酸の含有量に関してはリン酸根換算値として、ホウ酸の含有量についてはホウ素元素換算値として算出した。なお、定量に際しては、それぞれ市販の標準液を使用して作成した検量線を用いた。
各参考例及び参考比較例で得られた乾燥樹脂組成物ペレット20gをイオン交換水100mlに投入し、95℃で6時間加熱抽出した。フェノールフタレインを指示薬として、1/50規定のNaOHで抽出液を中和滴定し、酢酸含有量を定量した。
各参考例及び参考比較例で得られた乾燥樹脂組成物ペレットを凍結粉砕後、呼び寸法0.150mm(100メッシュ)のふるい(JIS規格Z8801-1~3準拠)によって粗大粒子を除去して得た粉砕物22gをソックスレー抽出器に充填し、クロロホルム100mLを用いて16時間抽出処理した。得られたクロロホルム抽出液中のソルビン酸の量を高速液体クロマトグラフィーにて定量分析して、樹脂組成物中のソルビン酸の含有量を定量した。なお、定量に際しては、ソルビン酸の標品を用いて作成した検量線を使用した。
各参考例及び参考比較例で得られた乾燥樹脂組成物ペレットを凍結粉砕後、呼び寸法0.150mm(100メッシュ)のふるい(JIS規格Z8801-1~3準拠)によって粗大粒子を除去して得た粉砕物22gをソックスレー抽出器に充填し、アセトン100mLを用いて16時間抽出処理した。得られたアセトン抽出液中の桂皮酸の量を高速液体クロマトグラフィーにて定量分析して、樹脂組成物中の桂皮酸の含有量を定量した。なお、定量に際しては、桂皮酸の標品を用いて作成した検量線を使用した。
各参考例及び参考比較例で得られた乾燥樹脂組成物ペレット15gを白金るつぼに量り取り、硝酸と硫酸とを用いて乾式分解を行った。灰化した試料に塩酸2mLを加え、50mL容ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製メスフラスコに定容し、孔径0.45μmのPTFEフィルターでろ過して試料溶液を調製した。該溶液を用いて、高周波プラズマ発光分析(ジャーレルアッシュ製ICP発光分光分析装置「IRIS AP」)により樹脂組成物中のアルミニウムイオン含有量を測定した。
ジャケット、撹拌機、窒素導入口、エチレン導入口及び開始剤添加口を備えた200L加圧反応槽に、酢酸ビニル(以下、VAcと称することがある)を75.0kg、メタノール(以下、MeOHと称することがある。)を7.2kg仕込み、30分間窒素バブリングして反応槽内を窒素置換した。次いで、反応槽内の温度を65℃に調整した後、反応槽圧力(エチレン圧力)が4.13MPaとなるようにエチレンを導入し、開始剤として9.4gの2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(富士フィルム和光純薬工業株式会社製「V-65」)を添加し、重合を開始した。重合中はエチレン圧力を4.13MPaに、重合温度を65℃に維持した。4時間後にVAcの転化率(VAc基準の重合率)が49.7%となったところで冷却するとともに、酢酸銅0.2gを20kgのメタノールに溶解させた物を容器内に投入して重合を停止した。反応槽を開放して脱エチレンした後、窒素ガスをバブリングして脱エチレンを完全に行った。次いで重合液を容器から抜き取り、20LのMeOHで希釈した。この液を塔型容器の塔頂よりフィードし、塔底よりMeOHの蒸気をフィードして、重合液内に残る未反応モノマーをMeOH蒸気と共に除去して、エチレン-酢酸ビニル共重合体(以下、EVAcと称することがある。)のMeOH溶液を得た。
次いで、ジャケット、撹拌機、窒素導入口、還流冷却器及び溶液添加口を備えた300L反応槽にEVAcの20質量%MeOH溶液150kgを仕込んだ。この溶液に窒素ガスを吹き込みながら60℃に昇温し、水酸化ナトリウムの濃度が2規定のMeOH溶液を450mL/分の速度で2時間添加した。水酸化ナトリウムMeOH溶液の添加を終えた後、系内の温度を60℃に保ち、反応槽外にMeOH及びケン化反応で生成した酢酸メチルを流出させながら、2時間撹拌してケン化反応を進行させた。その後酢酸を8.7kg添加してケン化反応を停止した。
その後、80℃で加熱攪拌しながら、イオン交換水120Lを添加し、反応槽外にMeOHを流出させ、EVOHを析出させた。デカンテーションで析出したEVOHを収集し、粉砕機で粉砕した。得られたEVOH粉末を1g/Lの酢酸水溶液(浴比20:粉末1kgに対して水溶液20Lの割合)に投入して2時間攪拌洗浄した。これを脱液し、さらに1g/Lの酢酸水溶液(浴比20)に投入して2時間攪拌洗浄した。これを脱液したものを、イオン交換水(浴比20)に投入して攪拌洗浄を2時間行い脱液する操作を3回繰り返して精製を行った。洗浄液の電気伝導度は、3μS/cm(東亜電波工業株式会社の「CM-30ET」で測定)であった。次いで、酢酸0.5g/L及び酢酸ナトリウム0.1g/Lを含有する水溶液250Lに4時間攪拌浸漬してから脱液し、これを60℃で16時間乾燥させることでEVOHの粗乾燥物を16.1kg得た。上記操作を再度行い、EVOHの粗乾燥物を15.9kg得ることで、合計32.0kgのEVOH(EVOH-A)の粗乾燥物を得た。
[参考例1~6及び参考比較例1~3]
ジャケット、撹拌機及び還流冷却器を備えた60L撹拌槽に、合成例1で得たEVOH(EVOH-A)の粗乾燥物2kg、水0.8kg及びMeOH2.2kgを仕込み、60℃で5時間攪拌し完全に溶解させた。得られた溶液に酢酸アルミニウムを添加し、さらに1時間攪拌して酢酸アルミニウムを完全に溶解させ、樹脂組成物溶液を得た。なお、参考比較例3では酢酸アルミニウムは添加せずに樹脂組成物溶液を得た。この溶液を径4mmの金板を通して-5℃に冷却した水/MeOH=90/10の混合液中に押し出してストランド状に析出させ、このストランドをストランドカッターでペレット状にカットすることでEVOHの含水ペレットを得た。得られたEVOHの含水ペレットの含水率をメトラー社製ハロゲン水分計「HR73」で測定したところ、52質量%であった。得られたEVOHの含水ペレットを1g/Lの酢酸水溶液(浴比20)に投入して2時間撹拌洗浄した。これを脱液し、さらに1g/Lの酢酸水溶液(浴比20)に投入して2時間撹拌洗浄した。脱液後、酢酸水溶液を更新し同様の操作を行った。酢酸水溶液で洗浄してから脱液したものを、イオン交換水(浴比20)に投入して撹拌洗浄を2時間行い脱液する操作を3回繰り返して、洗浄液の電気伝導度が、3μS/cm(東亜電波工業株式会社の「CM-30ET」で測定)まで精製を行い、ケン化反応時の触媒残渣が除去された、EVOHの含水ペレットを得た。
該含水ペレットを酢酸ナトリウム濃度0.510g/L、酢酸濃度0.8g/L、及びリン酸濃度0.04g/Lである水溶液(浴比20)に投入し、定期的に撹拌しながら4時間浸漬させ化学処理を行った。このペレットを脱液し、酸素濃度1体積%以下の窒素気流下80℃で3時間、及び105℃で16時間乾燥させることで、EVOH-A、酢酸、ナトリウムイオン(ナトリウム塩)、リン酸及びアルミニウムイオン(アルミニウム塩)を含有した円柱状の平均直径2.8mm、平均長さ3.2mmの乾燥樹脂組成物ペレットを得た。なお、各参考例及び参考比較例においてアルミニウムイオン含有量は、酢酸アルミニウムの添加量を調節することで、表3に記載の通りとなるように調整した。得られた乾燥樹脂組成物ペレット中のEVOH-Aのエチレン含有量、ケン化度、末端ラクトン環単位含有量、末端カルボン酸類単位含有量、末端カルボン酸類単位及び末端ラクトン環単位の合計含有量、ラクトン環単位比率、MFR及びホウ酸含有量は、アルミニウムイオン含有量が0.3ppmの乾燥樹脂組成物ペレットを試料として、上記定量方法を用いて定量した(以下、同様である。)。エチレン含有量、ケン化度、末端ラクトン環単位含有量、末端カルボン酸類単位含有量、末端カルボン酸類単位及び末端ラクトン環単位の合計含有量、ラクトン環単位比率、MFR及びホウ酸含有量を表2に示す。また、いずれの乾燥樹脂組成物ペレットでも、ナトリウムイオン含有量は90~110ppmであり、リン酸含有量はリン酸根換算値で35~45ppm、酢酸含有量は190~210ppmであった。また、図1に、溶媒DMSO-d6、測定温度25℃の条件で測定したEVOH-Aの1H-NMRスペクトルを示す。図2に、溶媒DMSO-d6、測定温度80℃の条件で測定したEVOH-Aの1H-NMRスペクトルを示す。図3に、溶媒D2O+MeOD、測定温度:80℃の条件で測定したEVOH-Aの1H-NMRスペクトルを示す。
EVOHの重合に用いる原料の添加量、重合条件、ケン化処理における仕込み量、及び2規定の水酸化ナトリウムMeOH溶液の添加速度を表1に示す通りとし、合成を1回のみとした以外は合成例1と同様にして各EVOH(EVOH-B~EVOH-K)の粗乾燥物10.1~11.5kgを得た。
[参考例7~27、34及び参考比較例4~23]
上記合成例2~11で得られた各EVOH(EVOH-B~EVOH-K)の粗乾燥物を用い、化学処理における水溶液に含まれる各成分を表1に示す通りとした以外は、参考例1と同様にして各乾燥樹脂組成物ペレットを得た。また、参考例1等と同様に、アルミニウムイオン含有量は、酢酸アルミニウムの添加量を調節することで、表3~12、14に記載の通りになるように調整した。各種測定も参考例1と同様に上記定量方法を用いて定量した。エチレン含有量、ケン化度、末端ラクトン環単位含有量、末端カルボン酸類単位含有量、末端カルボン酸類単位及び末端ラクトン環単位の合計含有量、ラクトン環単位比率、MFR及びホウ酸含有量を表2に示す。また、いずれの乾燥樹脂組成物ペレットでもナトリウムイオン含有量は90~110ppmであり、リン酸含有量はリン酸根換算値で35~45ppm、酢酸含有量は190~210ppmであった。
[参考例28~33及び参考比較例24]
上記合成例1で得たEVOH(EVOH-A)の粗乾燥物2kg、水0.8kg及びMeOH2.2kgを仕込み、60℃で5時間攪拌し完全に溶解させた。得られた溶液に酢酸アルミニウム、ソルビン酸又は桂皮酸を添加し、さらに1時間攪拌して酢酸アルミニウム、及びソルビン酸又は桂皮酸を完全に溶解させ、樹脂組成物溶液を得た。なお、参考比較例24では、酢酸アルミニウムは添加せずソルビン酸のみ添加して樹脂組成物溶液を得た。この後の処理は参考例1と同様にして各乾燥樹脂組成物ペレットを得た。アルミニウムイオンは酢酸アルミニウムの添加量を調節することで、ソルビン酸又は桂皮酸の含有量はこれらの添加量を調節することで、表13に記載の通りとなるように乾燥樹脂組成物ペレットを得た。各種測定も参考例1と同様に上記定量方法を用いて定量した。いずれの乾燥樹脂組成物ペレットでもナトリウムイオン含有量は90~110ppmであり、リン酸含有量はリン酸根換算値で35~45ppm、酢酸含有量は190~210ppmであった。
<単層フィルム作製条件>
参考例1~34及び参考比較例1~24で得られた各樹脂組成物ペレットを下記条件で製膜し、厚さ20μmの単層フィルムを得た。
・装置:20mmφ単軸押出機(D2020、東洋精機製作所社製)
・L/D:20
・スクリュー:フルフライト
・ダイス幅:30cm
・引取りロール温度:80℃
・スクリュー回転数:40rpm
・引取りロール速度:3.0~3.5m/分
・設定温度:C1/C2/C3/D=180℃/210℃/210℃/210℃
運転開始50時間後に作製された単層フィルムのゲル状ブツ(肉眼で確認できる150μm以上のもの)の個数を数え、1.0m2あたりに換算した。1.0m2あたりのブツの個数によって以下のように判定した。評価結果を表3~14に示す。なお、表15においては、成形材料として用いた参考例2、14、17及び参考比較例1、2の樹脂組成物ペレットの評価結果を再掲している。
A:20個未満
B:20個以上40個未満
C:40個以上100個未満
D:100個以上
評価結果がA~Bの場合はブツの発生が十分に抑制されており、問題が発生しないレベルである。評価結果がCの場合もブツの発生は抑制されており、用途等によってはブツが問題となることもあるが、使用可能なレベルである。評価結果がDの場合、ブツが多量にあり使用できないレベルである。
得られた単層フィルムをTD方向150mm、MD方向70mmのサイズにカットし、同じサイズで厚さ0.3mmのPTFE製のシートに張り付け、幅135mm高さ55mmの開口部を持つサンプルホルダーにセットした。スガ試験機株式会社製スーパーキセノンウェザーメーターSX75を用いて、放射照度150W/m2、ブラックパネル温度83℃、槽内湿度50%RHの条件で48時間紫外線を連続して照射した。照射後、フィルム周囲の未照射部分を切り落とし、幅135mm高さ55mmの耐熱耐光性試験のフィルムサンプルを得た。
得られた単層フィルムをTD方向150mm、MD方向70mmのサイズにカットしたフィルムサンプルに予め15mm間隔の切り込みをカミソリ刃で入れ、該フィルムサンプルに上記耐熱耐光性試験と同様に紫外線を照射した。紫外線照射後のサンプルを幅15mm、長さ50mmに切断し、引張試験用のサンプルを作製し、温度23℃、湿度50%RHで該サンプルを5日間調湿した。調湿後のサンプルを引張試験機(島津製作所製「AUTOGRAPH AGS-H」)にて、チャック間距離30mm、引張速度500mm/minでMD方向に引張試験をN=5で行い、破断伸度を測定した(耐熱耐光性試験後評価)。また、紫外線照射を行わなかったフィルムサンプルについても同様にして破断伸度を測定した(耐熱耐光性試験前評価)。耐熱耐光性試験前の破断伸度に対する耐熱耐光性試験後の破断伸度の減少率(%)を算出した。これらの評価結果を表3~14に示す。なお、表15においては、成形材料として用いた参考例2、14、17及び参考比較例1、2の樹脂組成物ペレットの評価結果を再掲している。破断伸度減少率が低いほど、耐熱耐光性に優れると判断した。
耐熱耐光性試験処理後のフィルムサンプルを4枚用意し、60℃で24時間真空乾燥した後、後述する粉砕処理前のフィルムサンプル4枚の合計乾燥質量(W1)を測定した。容量300mLのアルミナ製セラミックポットミルに計量した耐熱耐光性試験後のフィルムサンプル4枚、直径3mmのジルコニアボール500g及び100mLの脱イオン水を投入した。密閉したポットミルをアズワン社製卓上型ポットミル架台「PM-001」に設置し、200rpmの回転速度で運転し、室温で4時間粉砕処理を行った。粉砕処理を行ったポットミルの内容物を水と共に取出し、脱イオン水を加えて撹拌しデカンテーションする作業をくり返してジルコニアボールを粉砕物と水から分離した。ジルコニアボールを除去した内容物を目開き46μmのナイロンメッシュで減圧濾過し、濾物を60℃で真空乾燥した。ナイロンメッシュでろ過されて残った46μm以上の破砕物の質量(W2)を測定し、下記の式(i)に従って質量損失(M)を算出した(耐熱耐光性試験後評価)。
M(%)=(W1-W2)/W1×100・・・(i)
また、紫外線照射試験を行わなかったフィルムサンプルについても同様にして質量損失を測定した(耐熱耐光性試験前評価)。これらの評価結果を表3~14に示す。なお、表15においては、成形材料として用いた参考例2、14、17及び参考比較例1、2の樹脂組成物ペレットの評価結果を再掲している。
耐熱耐光性試験後評価における質量損失の値をマイクロプラスチック化の指標とし、該値が小さいほどマイクロプラスチックス化が抑制できる。
[実施例1~3、比較例1、2]
[回収樹脂の調製]
参考例2、14及び17及び参考比較例1、2で得られた各乾燥樹脂組成物ペレット(樹脂組成物)4質量部、高密度ポリエチレン樹脂(三井石油化学社製「HZ8200B」、190℃-2160g荷重におけるMFR=0.01g/10分、溶解性パラメータ=8.5)86質量部、及び接着性樹脂(三井化学社製「ADMER GT-6A」、190℃-2160gにおけるMFR=0.94g/10分)10質量部をドライブレンドした後、二軸押出機(東洋精機製作所社製「2D25W」、25mmφ、ダイ温度220℃、スクリュー回転数100rpm)を用い、窒素雰囲気下で押出すことでペレットを得た。モデル回収樹脂を得るために、得られたペレットをさらに同じ押出機及び同じ条件で押出すことでペレット化した。同作業を4回(押出機でのブレンドは計5回)実施することでモデル回収樹脂を得た。
参考例2、14、17及び参考比較例1、2で得られた各乾燥樹脂組成物ペレット(樹脂組成物)、上記高密度ポリエチレン樹脂、上記接着性樹脂、及び上記モデル回収樹脂を用い、鈴木製工所社製ブロー成形機「TB-ST-6P」にて210℃で、(内側)高密度ポリエチレン/接着性樹脂/樹脂組成物(EVOH)/接着性樹脂/回収樹脂/高密度ポリエチレン(外側)の4種6層のブロー成形容器を作製し、評価した。なお、ブロー成形容器の製造においては、金型内の温度を15℃として20秒間冷却し、全層厚み1,000μm((内側)高密度ポリエチレン/接着性樹脂/樹脂組成物(EVOH)/接着性樹脂/回収樹脂/高密度ポリエチレン(外側)=(内側)340/50/40/50/400/120μm(外側))の3Lタンクを得た。得られたタンクの底面直径は100mm、高さは400mmであった。
得られた3Lタンクについて、目視にてストリーク及び着色を確認し、下記基準で外観を評価した。評価結果を表15に示す。
A(良好):ストリークは認められなかった
B(やや良好):ストリークが確認された
C(不良):多数のストリークが確認された
A(良好):無色
B(やや良好):黄変
C(不良):著しく黄変
ブロー成形した3Lタンクに、プロピレングリコールを2.5L充填し、開口部をポリエチレン40μm/アルミ箔12μm/ポリエチレンテレフタレート12μm構成のフィルムで熱シールして蓋をした。このタンクを-40℃で3日間冷却し、開口部が上になるように6mの高さから落下させた。耐衝撃性を破損したタンクの個数で評価した(n=10)。評価結果を表15に示す。
A(良好):3個未満
B(やや良好):3個~6個未満
C(不良):6個以上
表3に示されるように、アルミニウムイオンが含有されていない参考比較例3の樹脂組成物は、ブツの発生の抑制効果が不十分であり、耐熱耐光性(破断伸度減少率)及びマイクロプラスチック化耐性(耐熱耐光性試験後評価における質量損失)も比較的大きかった。これに対し、少量のアルミニウムイオンを含有させた参考比較例1の樹脂組成物は、参考比較例3の樹脂組成物に対して、これらが改善された傾向にあるものの、その改善効果は低かった。また、多量のアルミニウムイオンを含有させた参考比較例2の樹脂組成物は、ブツの発生抑制効果が改善されなかった。これらに対し、EVOH(A)1gあたりのアルミニウムイオン(B)の含有量(b)が0.002μmol/g以上0.17μmol/g以下の範囲内である参考例1~6の各樹脂組成物は、少量のアルミニウムイオンを含有させた参考比較例1の樹脂組成物より、さらにブツの抑制効果、耐熱耐光性及びマイクロプラスチック化耐性が改善されたことがわかる。
102 熱可塑性樹脂層(β)
103 ポリオレフィン層(γ)
104 EVOH、熱可塑性樹脂及びカルボン酸変性ポリオレフィンを含む層(δ)
105 ブロー成形容器
106 容器内部表面
107 容器外部表面
Claims (12)
- エチレン-ビニルアルコール共重合体(A)及びアルミニウムイオン(B)を含有する樹脂組成物からなる樹脂組成物層(α)を有するブロー成形容器であって、
エチレン-ビニルアルコール共重合体(A)の少なくとも一部が、重合体末端に位置するカルボン酸類単位(I)及びラクトン環単位(II)の少なくとも一方を有し、
上記樹脂組成物におけるエチレン-ビニルアルコール共重合体(A)1gあたりのカルボン酸類単位(I)及びラクトン環単位(II)の合計含有量(i+ii)が14μmol/g以上78μmol/g以下であり、
上記樹脂組成物におけるエチレン-ビニルアルコール共重合体(A)1gあたりのアルミニウムイオン(B)の含有量(b)が0.002μmol/g以上0.17μmol/g以下である、ブロー成形容器。 - 上記樹脂組成物におけるカルボン酸類単位(I)及びラクトン環単位(II)の合計含有量(i+ii)とアルミニウムイオン(B)の含有量(b)との比率((i+ii)/b)が、180以上20,000以下である、請求項1に記載のブロー成形容器。
- アルミニウムイオン(B)が炭素数5以下の脂肪酸アルミニウム塩に由来する、請求項1又は2に記載のブロー成形容器。
- 上記樹脂組成物が、桂皮酸類及び分子量1,000以下の共役ポリエン化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物(C)をさらに含有し、
上記樹脂組成物における化合物(C)のエチレン-ビニルアルコール共重合体(A)に対する含有量(c)が1ppm以上1,000ppm以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載のブロー成形容器。 - 上記樹脂組成物におけるカルボン酸類単位(I)及びラクトン環単位(II)の合計含有量(i+ii)に対するラクトン環単位(II)の含有量(ii)の比率(ii/(i+ii))が40mol%以上である、請求項1~4のいずれか1項に記載のブロー成形容器。
- 樹脂組成物層(α)の内面側及び外面側にそれぞれ積層され、Fedorsの式から算出する溶解性パラメータが11(cal/cm3)1/2以下である熱可塑性樹脂を主成分とする熱可塑性樹脂層(β)、及び
樹脂組成物層(α)と熱可塑性樹脂層(β)との間に配置され、カルボン酸変性ポリオレフィンを主成分とするポリオレフィン層(γ)
をさらに有する、請求項1~5のいずれか1項に記載のブロー成形容器。 - エチレン-ビニルアルコール共重合体、熱可塑性樹脂及びカルボン酸変性ポリオレフィンを含む層(δ)
をさらに有する、請求項6に記載のブロー成形容器。 - 層(δ)が、ブロー成形容器の製造工程における樹脂組成物層(α)、熱可塑性樹脂層(β)及びポリオレフィン層(γ)の回収物を用いて形成されている、請求項7に記載のブロー成形容器。
- 樹脂組成物層(α)の平均厚みが全層平均厚みの5.0%以下であり、かつ
層(δ)におけるエチレン-ビニルアルコール共重合体(A)の含有量が9.0質量%以下である、請求項7又は8に記載のブロー成形容器。 - 燃料容器である、請求項1~9のいずれか1項に記載のブロー成形容器。
- ボトルである、請求項1~9のいずれか1項に記載のブロー成形容器。
- エチレン-ビニルアルコール共重合体(A)及びアルミニウムイオン(B)を含有する樹脂組成物を用いてブロー成形する工程を備え、
エチレン-ビニルアルコール共重合体(A)の少なくとも一部が、重合体末端に位置するカルボン酸類単位(I)及びラクトン環単位(II)の少なくとも一方を有し、
上記樹脂組成物におけるエチレン-ビニルアルコール共重合体(A)1gあたりのカルボン酸類単位(I)及びラクトン環単位(II)の合計含有量(i+ii)が14μmol/g以上78μmol/g以下であり、
上記樹脂組成物におけるエチレン-ビニルアルコール共重合体(A)1gあたりのアルミニウムイオン(B)の含有量(b)が0.002μmol/g以上0.17μmol/g以下である、請求項1~11のいずれか1項に記載のブロー成形容器の製造方法。
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