JP7370197B2 - 易加工性耐食電極合金 - Google Patents

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Description

本発明は、酸性雰囲気で使用される電極用として好適に使用可能な易加工性耐食電極合金に関する。
パルスレーザー光が、近年、集積回路フォトリソグラフィに使用されるようになってきた。パルスレーザー光は、ガス放電媒体内で非常に短い放電かつ非常に高い電圧で1対の電極間にガス放電を与えて発生できる。例えばArFレーザーシステムにおいては、作動中に電極の対間にフッ素含有プラズマが発生する。フッ素含有プラズマは、金属に対する腐食性が非常に高い。その結果、電極は、パルスレーザーの発生装置の稼働中に時間と共に腐食する。電極の腐食は、腐食スポットを形成して、プラズマにアーキングを発生させ、電極の寿命の低下をさらに加速する。
特許文献1には、電極用合金として、Cu合金とAl合金の使用が開示されているが、いずれも腐食の進行が大きい。特許文献2には、電極に使用する銅合金として、燐をドープした黄銅を使用して、黄銅中の微孔隙の発生を低減して、電極を長寿命化する技術が開示されている。特許文献3には、金属に凹凸を形成させた後にハロゲンガス中で放電を行って膜形成することによって主放電電極を製造する技術が開示されているが、材料金属そのものの耐蝕特性を改良する技術は開示されていない。特許文献4には、弾力を与えた補助電極の塑性変形によって誘電体チューブと接触させて予備電離効率を向上させる技術が開示されているが、材料金属そのものの耐蝕特性を改良する技術は開示されていない。
特許第3875451号公報 特許第6175496号公報 特開2004-146579号公報 特開平10-242553号公報
電極の構造の工夫によって電極の長寿命化をしようとする従来の技術においても、もし、銅含有電極材料の耐食性が改善されれば、電極の長寿命化がさらに可能になる。また、燐をドープした黄銅を使用して長寿命化する技術においては、銅含有合金に燐を目的濃度までドープする工程による工程数の増加負担が生じるが、このような負担は回避できることが望ましい。
さらに、本発明者の検討によれば、耐食性に優れた銅含有電極材料であっても、所望の電極形状への加工の際に、一部が欠落してしまう個体が頻出して、電極形状への加工の歩留まりが劣る電極材料である場合があることがわかった。すなわち、銅含有電極材料には、耐食性とともに、電極形状への加工に耐える易加工性が備わっていることが求められることがわかった。
したがって、本発明の目的は、耐食性を向上させると同時に易加工性を備えた、新規な銅含有電極材料を提供することにある。
本発明者は、鋭意研究の結果、後述する銅含有電極合金が、優れた耐食性と易加工性とを同時に発揮することを見いだして、本発明に到達した。
したがって、本発明は、次の(1)を含む。
(1)
Cu、Zn及び不可避不純物からなる易加工性耐食電極合金であって、
Zn含有量が45~55質量%の範囲であり、残余がCu及び不可避不純物であり、
平均結晶粒径が200~1000μmである、易加工性耐食電極合金。
本発明によれば、耐食性を向上させると同時に易加工性を備えた、新規な銅含有の易加工性耐食電極合金が得られる。本発明の易加工性耐食電極合金は、酸性雰囲気で使用される電極用として好適に使用でき、特にArFレーザーシステム、及びKrFレーザーシステムの電極用として好適である。本発明の銅電極材料は、製造時において他の元素の添加の必要がなく、これらの添加工程による工程数増加の負担を回避して、製造することができる。
図1は、試料1~8について、光学顕微鏡観察画像及び平均結晶粒径の値を示す図である。 図2は、Cu-48Znの組成の試料の試験であり、試料1、試料2、試料5、試料6についてのフッ硝酸への浸出時間(分)と溶解量(mg)のグラフである。 図3は、Cu-52Znの組成の試料の試験であり、試料3、試料4、試料7、試料8についてのフッ硝酸への浸出時間と溶解量のグラフである。
以下に本発明を実施の態様をあげて詳細に説明する。本発明は以下にあげる具体的な実施の態様に限定されるものではない。
[易加工性耐食電極合金]
本発明に係る易加工性耐食電極合金は、Cu、Zn及び不可避不純物からなる易加工性耐食電極合金であって、Zn含有量が45~55質量%の範囲であり、残余がCu及び不可避不純物であり、平均結晶粒径が200~1000μmである。
[耐食性]
本発明に係る易加工性耐食電極合金は、フッ素含有環境中において、優れた耐食性を備えているので、耐食性電極用材料として、好適に使用できる。本発明に係る易加工性耐食電極合金は、他の元素を添加するためのドープ処理によって生じる二次的な不純物混入を回避しつつ、優れた耐食性を発揮している。そして、本発明に係る銅電極材料は、公知技術である電極構造の工夫による耐食性の向上技術を併用して、耐食性に優れた電極とすることができる。耐食性は、具体的には、実施例に示したフッ硝酸試験によって、試験することができる。
[易加工性]
本発明に係る易加工性耐食電極合金は、容易に加工可能な特性を備えている。本発明者の検討によれば、耐食性に優れた銅含有電極材料であっても、所望の電極形状への加工の際に、一部が欠落してしまう個体が頻出して、電極形状への加工の歩留まりが劣る電極材料である場合があることがわかった。精密な放電技術に使用される電極の形状は、その使用目的に応じて、しばしば複雑なものとなるが、そのような複雑な電極形状へと機械加工を行うと、亜鉛を含有する銅合金では、しばしば機械加工に耐えられずに、一部が欠落してしまうことがある。このような欠落の生じる個体の割合は場合により1割以上に及ぶ。このような歩留まりの低さは生産工程において深刻な問題となる。本発明に係る易加工性耐食電極合金は、このような機械加工にも欠落を生じることなく耐えて、高い歩留まりを示す。すなわち、本発明に係る耐食電極合金は、易加工性を備えている。この易加工性は、具体的には、実施例に示した電極形状への加工試験によって、試験することができる。
[平均結晶粒径]
好適な実施の態様において、易加工性耐食電極合金の平均結晶粒径は、例えば1000μm以下、好ましくは750μm以下、さらに好ましくは600μm以下、さらに好ましくは500μm以下とすることができる。好適な実施の態様において、易加工性耐食電極合金の平均結晶粒径は、例えば100μm以上、好ましくは150μm以上、さらに好ましくは200μm以上、さらに好ましくは250μm以上とすることができる。好適な実施の態様において、易加工性耐食電極合金の平均結晶粒径は、例えば100~1000μmの範囲、好ましくは200~1000μmの範囲、さらに好ましくは200~750μmの範囲、さらに好ましくは200~600μmの範囲とすることができる。平均結晶粒径は、公知の手段によって測定して算出することができ、具体的には、実施例において後述する手段によって測定して算出することができる。
[Zn含有量]
好適な実施の態様において、易加工性耐食電極合金のZn含有量は、例えば45~55質量%の範囲、好ましくは48~52質量%の範囲とすることができる。
好適な実施の態様において、易加工性耐食電極合金のCu含有量は、例えば45~55質量%の範囲、好ましくは48~52質量%の範囲とすることができる。Cu含有量は、上記したZn含有量とあわせて、さらに不可避不純物の含有量をあわせて、合計で100質量%となる値とすることができる。
[不可避不純物]
好適な実施の態様において、本発明の易加工性耐食電極合金であるCuZn合金は、上記組成の範囲と上記平均結晶粒径の範囲を備えることによって、易加工性と耐食性とを同時に備えたものとなっている。この本発明の易加工性耐食電極合金の好適な実施の態様において、不可避不純物の含有量は、例えば1質量%以下、好ましくは0.1質量%以下、あるいは好ましくは0.01質量%以下、あるいは好ましくは0.001質量%以下、あるいは0.0001質量%以下とすることができる。
好適な実施の態様において、不可避不純物として、以下の各元素の含有量を、それぞれ記載した範囲とすることができる。ただし、以下の含有量の数値の単位は、wt%と記載されたものは質量%であり、特に記載がないものは質量ppmである。
Cr含有量:1質量ppm以下、好ましくは0.1質量ppm以下
Mn含有量:1質量ppm以下、好ましくは0.1質量ppm以下
Fe含有量:5質量ppm以下、好ましくは2質量ppm以下、さらに好ましくは1質量ppm以下
Co含有量:5質量ppm以下、好ましくは2質量ppm以下、さらに好ましくは1質量ppm以下
Ni含有量:5質量ppm以下、好ましくは2質量ppm以下、さらに好ましくは1質量ppm以下
Ga含有量:1質量ppm以下、好ましくは0.1質量ppm以下
好適な実施の態様において、不可避不純物の含有量として、ガス成分であるC、及びOの含有量を合計して、例えば50質量ppm以下、好ましくは20質量ppm以下とすることができる。
[易加工性耐食電極合金の製造]
本発明に係る易加工性耐食電極合金は、実施例において後述する製造方法によって、製造することができる。すなわち、銅と亜鉛のインゴットを溶解して、CuZn合金のインゴットを作製し、得られたCuZn合金インゴットを実施例に開示された条件によって熱間鍛造し、熱間鍛造して得られた鍛造棒として、得ることができる。さらに、この鍛造棒を電極材料となる形状へと機械加工することによって、耐食性電極を製造することができる。
好適な実施の態様において、熱間鍛造は、最初の鍛造、次に多段鍛造、そして鍛造の操作を順に行うことによって実施できる。具体的には、実施例において開示した条件で実施することができる。
[好適な実施の態様]
好適な実施の態様として、本発明は、次の(1)以下の実施の態様を含む。
(1)
Cu、Zn及び不可避不純物からなる易加工性耐食電極合金であって、
Zn含有量が45~55質量%の範囲であり、残余がCu及び不可避不純物であり、
平均結晶粒径が200~1000μmである、易加工性耐食電極合金。
(2)
Cu含有量が45~55質量%の範囲である、(1)に記載の易加工性耐食電極合金。
(3)
不可避不純物の含有量として、Cr含有量が1質量ppm以下、Mn含有量が1質量ppm以下、Fe含有量が5質量ppm以下、Co含有量が5質量ppm以下、Ni含有量が5質量ppm以下、Ga含有量が1質量ppm以下である、(1)~(2)のいずれかに記載の易加工性耐食電極合金。
(4)
不可避不純物の含有量として、ガス成分であるC、及びOを合計して50質量ppm以下で含有する、(1)~(3)のいずれかに記載の易加工性耐食電極合金。
以下に、実施例を用いて本発明を説明する。本発明は以下の実施例に限定されるものではない。本発明の技術思想の範囲内における、他の実施例及び変形は、本発明に含まれる。
[実施例1](Cu-48Zn)
Cu原料(4N5)79.7kg、Zn原料(4N5)74.5kgを溶解(1050℃で30分保持)し、CuZn合金を得た。得られたCuZn合金からインゴット上部の引け巣の部分を取り除き、φ230mm、長さ382mm、重量131.1kgについて、以下の手順で鍛造、多段鍛造及び鍛造を順に行った。
最初の鍛造として、予熱温度を800℃、3時間以上とし、縦横比1:1.66のインゴットを800℃で3時間以上予熱し、以降各段階で800℃、10分以上の再加熱を行い、φ222mm→180mm角→130mm角と鍛造し、その後長さ65mmで切断して130mm角、長さ65mmとした。
次に、このようにして鍛造して得られたインゴットについて、さらに多段鍛造を行った。多段鍛造は、縦横比1:2.00の角柱状インゴットを550℃で1時間以上予熱し、縦横比1:1.81の円柱状、縦横比1:0.67の円柱状、縦横比1:1.90の角柱状に変形して、550℃で10分以上の再加熱をすることを3回繰り返すことによって行った。このようにして80mm角、長さ171mmの角柱状インゴットを得た。
次に、このように多段鍛造して得られたインゴットを、以降各段階で550℃、10分以上の再加熱を行い、50mm角→40mm角→φ43mmと鍛造し、長さ650mmで切断することで鍛造棒を得た。(試料1)
[実施例2](Cu-48Zn)
Cu原料(4N5)79.7kg、Zn原料(4N5)74.5kgを溶解(1050℃で30分保持)し、CuZn合金を得た。得られたCuZn合金からインゴット上部の引け巣の部分を取り除き、φ230mm、長さ382mm、重量131.1kgについて、以下の手順で鍛造、多段鍛造及び鍛造を順に行った。
最初の鍛造として、予熱温度を800℃、3時間以上とし、縦横比1:1.66のインゴットを800℃で3時間以上予熱し、以降各段階で800℃、10分以上の再加熱を行い、φ222mm→180mm角→130mm角と鍛造し、その後長さ65mmで切断して130mm角、長さ65mmとした。
次に、このようにして鍛造して得られたインゴットについて、さらに多段鍛造を行った。多段鍛造は、縦横比1:2.00の角柱状インゴットを650℃で1時間以上予熱し、縦横比1:1.81の円柱状、縦横比1:0.67の円柱状、縦横比1:1.90の角柱状に変形して、650℃で10分以上の再加熱をすることを3回繰り返すことによって行った。このようにして80mm角、長さ171mmの角柱状インゴットを得た。
次に、このように多段鍛造して得られたインゴットを、以降各段階で650℃、10分以上の再加熱を行い、50mm角→40mm角→φ43mmと鍛造し、長さ650mmで切断することで鍛造棒を得た。(試料2)
[実施例3](Cu-52Zn)
Cu原料(4N5)73.5kg、Zn原料(4N5)80.7kgを溶解(1050℃で30分保持)し、CuZn合金を得た。得られたCuZn合金からインゴット上部の引け巣の部分を取り除き、φ230mm、長さ374mm、重量127.9kgについて鍛造、多段鍛造及び鍛造を順に行った。
鍛造、多段鍛造及び鍛造の工程を実施例1と同様に行って、φ43mm及び長さ650mmの鍛造棒を得た。(試料3)
[実施例4](Cu-52Zn)
Cu原料(4N5)73.5kg、Zn原料(4N5)80.7kgを溶解(1050℃で30分保持)し、CuZn合金を得た。得られたCuZn合金からインゴット上部の引け巣の部分を取り除き、φ230mm、長さ374mm、重量127.9kgについて鍛造、多段鍛造及び鍛造を順に行った。
鍛造、多段鍛造及び鍛造の工程を実施例2と同様に行って、φ43mm及び長さ650mmの鍛造棒を得た。(試料4)
[比較例1](Cu-48Zn)
実施例1と同様の操作によって得られたCuZn合金に対して、多段鍛造の温度を800℃としたこと以外は、実施例1と同様に鍛造、多段鍛造及び鍛造を順に行って、φ43mm及び長さ650mmの鍛造棒を得た。(試料5)
[比較例2](Cu-48Zn)
実施例1と同様の操作によって得られたCuZn合金に対して、多段鍛造の温度を450℃としたこと以外は、実施例1と同様に鍛造、多段鍛造及び鍛造を順に行って、φ43mm及び長さ650mmの鍛造棒を得た。(試料6)
[比較例3](Cu-52Zn)
実施例2と同様の操作によって得られたCuZn合金に対して、多段鍛造の温度を800℃としたこと以外は、実施例2と同様に鍛造、多段鍛造及び鍛造を順に行って、φ43及び長さ650mmの鍛造棒を得た。(試料7)
[比較例4](Cu-52Zn)
実施例2と同様の操作によって得られたCuZn合金に対して、多段鍛造の温度を450℃としたこと以外は、実施例2と同様に鍛造、多段鍛造及び鍛造を順に行って、φ43mm及び長さ650mmの鍛造棒を得た。(試料8)
[組成分析]
得られた試料1~8に対して、組成分析、不純物分析を行った。金属元素はGD-MSによって分析し(V.G.Scientific社製 VG-9000)、気体成分は酸素(O)については、LECO社製の酸素窒素分析装置(型式TCH-600)を、炭素(C)についてLECO社製の炭素硫黄分析装置(型式CS-444)によって分析した。
組成分析として得られた結果を、次の表1に示す。表中の単位は質量%である。なお、試料は、上記製造例の手順に記載されている通りに作成し、試料1と試料2は同一の操作による溶解インゴットから作製した鍛造棒であり、試料3と試料4は同一の操作による溶解インゴットから作製した鍛造棒であるので、それぞれの組成は同一となる。
Figure 0007370197000001
金属元素の不純物分析として得られた結果を、次の表2に示す。表中の単位は質量ppmである。
Figure 0007370197000002
表2の最下段に、表2に個別に記載された金属元素以外の金属元素不純物の含有量を合計して「金属元素不純物合計」として示した。ただし、検出限界未満の元素についてはそれぞれ検出限界の値を含有するものとして計算した。
酸素、炭素の分析結果を、次の表3に示す。表中の単位は質量ppmである。
Figure 0007370197000003
[顕微鏡観察]
試料1~8に対して、光学顕微鏡観察を行った(観察条件:研磨紙で#2000まで研磨後、バフ研磨を実施、使用機器NikonECLIPSEMA200、100倍)。
試料1~8は、それぞれ研磨した後に、光学顕微鏡の倍率100倍の暗視野像で観察した。
光学顕微鏡観察に基づいて、試料ごとに3枚の画像について、平均結晶粒径を算出した。平均結晶粒径は、SEMを用いて焼結体の観察を行い、SEM像からコード法を用いて評価する。コード法は、SEM像に任意の長さの線を引き、線が横切った粒子の数で線の長さを割り、この値をSEM像の縮尺に当てはめて換算し、結晶粒径を算出する方法である。本発明では、図1に示すようなSEM像の視野内に横方向(長辺方向)に3本の直線を設けて測定した。この3本の直線は、上下方向に視野面積をほぼ等分に4分割するように設け、このように設けた3本の直線について、上記のように線が横切った粒子の数で線の長さを割る方法で3本の直線についてそれぞれの結晶粒径を算出し、この3つの値を平均して平均結晶粒径とした。
光学顕微鏡によって得られた画像の例を、試料1~8についてそれぞれ示す。図1の上段は、それぞれ試料1~4の光学顕微鏡観察画像である。図1の下段は、それぞれ試料5~8の光学顕微鏡観察画像である。視野中の右下のバーは、100μmのバーである。平均結晶粒径の値をそれぞれの画像に併記する。
[鍛造棒から電極形状への加工]
試料1~8の鍛造棒をそれぞれ20本用意した。これらの鍛造棒に対して、それぞれ旋盤による仕上げ加工、熱処理(600℃×2hr)、電極形状への加工を行った。
電極形状は、長さ500mm、直径30mmであって、円柱状の形状である。
電極形状への加工は、上記熱処理後の棒を、旋盤加工し、マシニング加工することによって行った。
試料1、試料2、試料3、試料4、試料6、試料8については、20本中の20本について加工によって、CuZn合金が欠けることなく、電極形状へと加工することができた。
試料5については、20本中1本で電極形状への加工時に、直径3mmで深さ2mm程度の欠けが1箇所で発生した。試料7については、20本中2本で電極形状への加工時に、それぞれ直径3mmで深さ2mm程度の欠けが1箇所で発生した。
[耐食性試験]
[フッ硝酸試験]
フッ硝酸を使用した耐食性試験を、次の手順で行った。
試料1~8をそれぞれ14.5g(大きさ12mm×12mm×12mm)用意した。フッ酸(46%)10mL、硝酸(65%)30mL、及び純水260mLを混合してフッ硝酸水溶液を調整した。試料1~8をそれぞれ300mLのフッ硝酸水溶液中に投入して、25℃で撹拌しながら、投入後10分後、30分後、60分後の重量減少を測定することによって、それぞれの時間での溶解量(mg)を算出した。
得られた結果を、フッ硝酸水溶液への溶解量を縦軸とし、浸出時間を横軸としたグラフとして、図2及び図3へ示す。図2は、Cu-48Znの組成の試料の試験であり、試料1、試料2、試料5、試料6についてのフッ硝酸への浸出時間(分)と溶解量(mg)のグラフである。図3は、Cu-52Znの組成の試料の試験であり、試料3、試料4、試料7、試料8についてのフッ硝酸への浸出時間と溶解量のグラフである。
[耐食性試験の結果]
図2及び図3に示されるように、平均結晶粒径の小さな試料6及び試料8は、フッ硝酸試験において、溶解が速やかに進行した。その他の試料については、溶解が低減されていた。
例えば、フッ硝酸試験の60分後では、試料6に対する試料1の溶解量の比は、1/1.45であった。また、フッ硝酸試験の60分後では、試料6に対する試料2の溶解量の比は、1/1.30であった。
あるいは、フッ硝酸試験の60分後では、試料8に対する試料3の溶解量の比は、1/1.34であった。また、フッ硝酸試験の60分後では、試料8に対する試料4の溶解量の比は、1/1.22であった。
本発明は、易加工性耐食電極合金を提供する。本発明は、産業上有用な発明である。

Claims (3)

  1. Cu、Zn及び不可避不純物からなる易加工性耐食電極合金であって、
    Zn含有量が45~55質量%の範囲であり、残余がCu及び不可避不純物であり、
    平均結晶粒径が200~254.2μmである、易加工性耐食電極合金。
  2. 不可避不純物の含有量として、Cr含有量が1質量ppm以下、Mn含有量が1質量ppm以下、Fe含有量が5質量ppm以下、Co含有量が5質量ppm以下、Ni含有量が5質量ppm以下、Ga含有量が1質量ppm以下である、請求項1に記載の易加工性耐食電極合金。
  3. 不可避不純物の含有量として、ガス成分であるC、及びOを合計して50質量ppm以下で含有する、請求項1~2のいずれかに記載の易加工性耐食電極合金。
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