開示される技術は、外科アプリケーションにおける使用のための頭部装着型ディスプレイ(HMD)のためのマルチモーダルユーザインタフェース(UI)を提供することによって、従来技術の欠点を克服する。そのような外科アプリケーションの例は、外科用顕微鏡の拡大下で行われる顕微鏡手術処置である。顕微鏡手術法は、一般に、眼科手術および脳外科手術において用いられる。一般に、顕微鏡手術処置において、外科医の両手は外科用ツールに占められるため、外科医は、外科用顕微鏡とインタフェースし、システムパラメータを制御するために、幅広い範囲のハンドフリー方法を必要とする。システムの堅牢性が高く、システムが提供する特徴の範囲が広いほど、これらの特徴を制御するためのインタフェースは複雑である。そのようなハンドフリー方法を用いるインタフェースを提供する上で追加された課題は、たとえばフットスイッチなどの他の入力手段へ複雑性を転嫁する。実際、外科医は多くの場合、様々なシステムパラメータを制御するために複雑なフットスイッチを用いる必要があり、術野を注視しながら、ボタンおよびペダルを手探りで探すために靴を脱いで自身のつま先を用いなければならない。
開示される技術のUIは、外科医が、各々が様々なアクションセットをサポートする様々なシステムモードを介して幅広い機能を提供しながらも比較的単純なフットスイッチを用いることを可能にする。1つの実装において、フットスイッチは3つのペダルしか有さず、外科医が、靴を履いたまま、かつ踵を床から持ち上げることなく、適切なペダルを容易に探し当てることを可能にする。所与のハンドフリージェスチャは、システムモードに依存して、複数の異なるアクションを引き起こし得る。この技術は、外科医に、比較的少数のハンドフリージェスチャを用いて幅広い機能を提供する。ハンドフリージェスチャは、直観的であるように設計され、外科医が、システムと自然にインタフェースし、様々な特徴を制御することを可能にし、外科医が、注意力の大半ならびに自身の両手を外科処置に捧げることを可能にする。外科医は、たとえば動き感知、足部または音声制御、アイトラッキングなどの1または複数のハンドフリー入力によってシステムモードを切り換えてよい。いくつかの実施形態において、外科医は、フットスイッチで有効化されたヘッドジェスチャによってシステムモードを切り換える。
本明細書で説明されるシステムは、たとえば術野の画像を取得するためのカメラシステムおよび照明システム、ならびにこれらの画像を見るためのHMDなどの複数の構成要素を含む。様々なシステムモードにより、外科医は、システムの様々な態様を制御することができる。いくつかのシステムモードは、外科医が、ジェスチャを用いて、たとえば術野の上に位置するカメラヘッドユニットに関する倍率設定(すなわちズームインおよびズームアウト)、フォーカスおよび照明設定などのシステムパラメータを制御することを可能にする。他のシステムモードは、外科医が、たとえば見るためのコンテンツを選択すること、および表示された画像および術前データを操作することなどによって、HMDを介してディスプレイを制御するためにジェスチャを用いることを可能にする。
ここで説明される方法は、顕微鏡手術以外の外科処置にも適用されてよく、すなわち、たとえば追跡および拡張現実能力に基づくバイザーガイド式手術(ここでは「VGS」)など、術野の拡大画像がない場合でも行われ得る。これらの処置において、HMDは、外科医による患者のビューを拡張し、外科医が、患者の身体が部分的に透明であるかのように解剖学的特徴および外科用ツールを見ることを可能にする。これらの処置は、任意選択的に、術野の拡大画像を全く用いず、したがってカメラヘッドユニットを用いずに行われ得る。
ここで、開示される技術の実施形態に従って構成され動作可能な、全体として100と示された、HMDのための複数の動作モードを制御するためのシステムの概略図である図1Aが参照される。システム100は、HMD102、フットスイッチ104、機械アーム106、タッチ式スクリーン108、コンピュータ118(不図示)を収容し、タッチ式スクリーン108を支持するカート116、カメラヘッド110、およびカメラヘッド位置決め器111を含む。カメラヘッド110は、カメラシステム112および照明システム114を収容する。カメラシステム112は、少なくとも2つの高解像度カメラ(不図示)を含む。機械アーム106は、コンピュータ118をカメラヘッド位置決め器111およびカメラヘッド110に接続する。コンピュータ118は、カート116および機械アーム106内に統合された1または複数のワイヤおよび/またはケーブル(不図示)を介して、カメラヘッド位置決め器111、カメラヘッド110、カメラシステム112、および照明システム114に電気的に結合される。
コンピュータ118は、カメラヘッド位置決め器111を介して、カメラヘッド110の位置および向きを制御する。カメラヘッド位置決め器111は、x、y、z座標におけるカメラヘッド100の位置を制御するための複数のモータを含む。カメラヘッド位置決め器111は更に、カメラヘッド100の傾きを制御するためのモータを含む。コンピュータ118は更に、照明システム114およびカメラシステム112に関する動作パラメータを制御し、その詳細は後述される。
HMD102、フットスイッチ104、およびコンピュータ118には、1または複数のトランシーバ(不図示)が提供される。トランシーバは、たとえば電気または光ファイバケーブル(不図示)、Wifi、Bluetooth、Zigbee、短距離、中距離、長距離、およびマイクロ波RF、無線光学手段(たとえばレーザ、ライダ、赤外線)、音響手段、超音波手段などの、任意の適切な有線および/または無線通信手段およびプロトコルに対応する。コンピュータ118は、トランシーバを介してHMD102およびフットスイッチ104に結合される。コンピュータ118は、トランシーバを介してHMD102へ画像をストリーミングし、外科医120がHMD102で画像を見ることを可能にする。画像は、カメラシステム112によって取得され、手術の生ビデオを見るためにGPUによってリアルタイムで処理され得る。あるいは、画像は手術前に取得され、メモリ内に格納され、GPUによってリアルタイムでレンダリングされ得る。いくつかの実装において、画像は、たとえばクラウドベースのサーバなどの遠隔サーバからストリーミングまたはダウンロードされ得る。たとえば、VGS処置において、CTまたはMRI画像からの分割によって生成された身体部位のモデルがメモリ内に格納され、外科医120の観点から、GPUによってリアルタイムでHMD102にレンダリングされ得る。他の実施形態において、HMD102へ送信される画像は、たとえば内視鏡などの外部デバイスから取得される。コンピュータ118は、現在のシステムモード、ならびにユーザインタフェースを介して外科医から受信した1または複数の入力に基づいて、どの画像を外科医120へストリーミングするかを決定する。
1つの実施形態において、1人の外科医120が、患者122に外科的処置を行いながら術野124の拡大ビデオを見るためにHMD102を装着している。カメラシステム112は、患者122に行われる外科的処置に対応する、術野124の画像のストリームを取得する。コンピュータ118は、画像のストリームを受信および処理し、処理された画像を、トランシーバを介してHMD102へ送信する。外科医120は、HMD102を介して画像を見、システムモードによってシステム100の1または複数の設定を制御する。各システムモードは、システムパラメータの様々なセットを制御してよい。外科医120は、たとえばフットスイッチ104を押下しながらのヘッドジェスチャなどのハンドレスジェスチャを行うこと、アイトラッカ136によって追跡される眼球運動を行うこと、または、たとえば音声制御などの音響駆動手段を用いることによって、選択されたシステムパラメータのセットを制御するためにシステムモードを切り換えてよい。これらのユーザインタフェース法および他のユーザインタフェース法の詳細は、本明細書において後述される。
あるいは、外科医120は、たとえばフットスイッチ104を押下しながらヘッドジェスチャを行うことなどのハンドレスな方法を用いて、1または複数のシステムパラメータを直接制御してよい。同じジェスチャが、システムモードに依存して、システム100の様々な特徴を制御してよい。たとえば、ヘッドジェスチャを行いながらフットスイッチ104のペダルを押下することは、システム100が1つのシステムモードである時、1つの動作を引き起こし得るが、システム100が他のシステムモードである時、フットスイッチ104の同じペダルを押下し、同じヘッドジェスチャを行うことが、異なる動作を引き起こし得る。複数のシステムモードを設けることによって、比較的少数のペダルおよびヘッドジェスチャが、幅広い特徴を制御し得る。
たとえば、1つのシステムモードにおいて、外科医120は、自身の頭を上向きに動かしながらフットスイッチ104の第1のペダルを押下することによってズームインしてよい。その結果、外科医120は、自身の視野のより大きな部分にわたり拡大された、小さなサイズの術野124を見る。異なるシステムモードにおいて、同じ上向きのヘッドジェスチャを行いながらフットスイッチ104の同じペダルを押下することにより、外科医120は、HMD102を介して表示された複数の術前画像において上方向にスクロールすることができる。各システムモードに関するジェスチャは、外科医120がシステム100と自然にインタフェースすることを可能にするために直観的であることが意図される。したがって、システム100は、広範囲の制御可能な特徴を提供するが、本明細書に開示されるユーザインタフェースによってこれらの特徴を制御することは、冗長な訓練期間を必要とするものではない。むしろ、外科医120は、自身が制御することを望む特徴に直観的であるジェスチャを行う。たとえば、複数の仮想スクリーンにわたり表示された複数の画像を見る場合、外科医120は、自身の頭を左へ向けることによって、左方向へスクロールし、左に表示されたスクリーンを見ることができる。ヘッドジェスチャを介した制御は、優れた精度および解像度を提供し得る。たとえば、一部の外科医が気付くように、ヘッドジェスチャはより正確な1ショット制御を可能にし、オーバーシュートまたはアンダーシュートをなくすので、ヘッドジェスチャを介してフォーカスを制御することは、フットスイッチを用いる場合と比較して簡単であると判明する。いくつかの実施形態において、ヘッドジェスチャの軌道は、何が行われるかを決定し、ヘッドジェスチャの速度は、動作を行う速度を決定する。たとえば、外科医は、自身の頭を迅速に動かすことによって迅速にズームインし、自身の頭を緩慢に動かすことによって緩慢にズームインし得る。
いくつかの実施形態において、フットスイッチ104は、標準的なキーボードにおいて<Shift>、<Cntl>、<Caps Lock>ボタンを押すことによってキーボードに関する個別の機能セットを有効化する方法と同様に、ボタン押下を介して他の機能セットを有効化するために装備される。いくつかの実施形態において、第2の機能セットは、外科医120による単一の動作で、フットスイッチ104の全てのボタンおよび特徴に関して同時に有効化される。たとえば、フットスイッチ104のボタンの1つ(たとえばメニューに対応するボタン)を一度短く押下した後、そのボタンを解放することは、フットスイッチ104の全てのボタンに関する第2の機能セットを有効化する。第2の機能セットが有効化されたというインジケーションが、HMD102を介して外科医120に表示される。あるいは、第2の機能セットは、音声コマンドによって、または他の手段によって有効化され得る。
他の実施形態において、第2の機能セットは、フットスイッチ104の各ボタンに関して個別に有効化される。したがって、フットスイッチ104のボタンの1つを一度短く押下し、すぐに解放した後、同じボタンを長押しすることは、そのボタンのみに関して第2のヘッドジェスチャセットを有効化し得る。たとえば、「シフト」を伴わないヘッドジェスチャによってXYモータ制御を有効化するボタンは、「シフト」されると、ROIの上下よび左右のパンニングを有効化し得る。いくつかの実施形態において、フットスイッチ104の1または複数のボタンは、様々な機能セットを有効化するために全押しおよび半押しを区別するように装備される。たとえば、フットスイッチ104のボタンの1つは、システム100に関する照明を制御してよく、そのボタンの全押しが、たとえば同軸照明といった照明の1つの態様を制御し、そのボタンの半押しが、たとえば投光照明といった照明の他の態様を制御する(たとえば、全押しは、同軸照明を制御するヘッドジェスチャを有効化し、半押しは、投光照明を制御するヘッドジェスチャを有効化する)。
他の実施形態において、システム100は、いくつかのHMDを同時にサポートする。ユーザの1人、たとえば外科医120は、全てのシステム設定を制御することが可能な「代表」外科医に指定される。いくつかの実施形態において、HMD102と同様のHMDを装着している他のユーザは、自身のそれぞれのHMDを介して表示された画像の設定のみを制御するが、自身が装着しているHMDの外部のパラメータを制御することはなく、たとえば彼らは、カメラシステム112のフォーカスおよび照明システム114による照明を制御することはない。他の実施形態において、HMD102と同様のHMDを装着している他のユーザは、システム100に関する1または複数の設定を制御し得る。
以下に示すシステム100の説明は、2つの観点から記載される。システム100の構成要素に関する典型的なハードウェアレイアウトの説明は、図1B~1Gに関して後述される。図2A~2Bは、システム100のユーザインタフェースに関する典型的な論理レイアウトを説明する。留意すべき点として、これらの図は、システム100に関して可能な複数の実装のうちの1つの典型的な実装のみを例示することが意図される。これらの図は、本発明を任意の特定の実装に限定することは意図されない。
ここで、開示される技術の他の実施形態に従って構成され動作可能な、図1Aのコンピュータ118の概略ブロック図である図1Bが参照される。留意すべき点として、この図は単なる典型的な実装であり、適用可能な場合、ソフトウェアモジュールがハードウェアモジュールの代わりに用いられてよく、逆も然りである。コンピュータ118は、少なくとも1つのプロセッサ118A、少なくとも1つのトランシーバ118B、電源118C、少なくとも1つのメモリ118D、少なくとも1つのアナログデジタルA/D変換器118E、少なくとも1つのデジタルアナログD/A変換器118F、および、機械アームコントローラ118G、カメラシステムコントローラ118H、照明システムコントローラ118I、ヘッドトラッカコントローラ118J、画像プロセッサ118K、アイトラッカコントローラ118L、音響解析装置118M、および少なくとも1つのバス118Nの1または複数を含む。プロセッサ118A、トランシーバ118B、電源118C、メモリ118D、A/D変換器118E、D/A変換器118F、機械アームコントローラ118G、カメラシステムコントローラ118H、照明システムコントローラ118I、ヘッドトラッカコントローラ118J、画像プロセッサ118K、アイトラッカコントローラ118L、および音響解析装置118Mは、少なくとも1つのバス118Nを介して結合される。
コンピュータ118は、単一のユニットとして示されるが、これは概念的な目的に過ぎない。コンピュータ118は、システム100のための単一の制御ユニットとして動作する複数の分散ユニットとして実装され得る。たとえば、少なくとも1つのプロセッサ118A、トランシーバ118B、電源118C、およびメモリ118Dの各々は、システム100の構成要素に(たとえばカメラヘッド110、HMD102、フットスイッチ104、遠隔サーバなどに)分散され協調して動作する複数のプロセッサ、メモリ、電源、およびトランシーバを含んでよい。
機械アームコントローラ118Gは、カメラヘッド110のx、y、z軸または傾きを調整するために、カメラヘッド位置決め器111内に含まれたモータを制御する。カメラシステムコントローラ118Hは、たとえば画像を取得するためのカメラまたは複数のカメラを選択すること、F値、フォーカスなどを調整することなど、カメラシステム112内に含まれたカメラの動作を制御する。照明システムコントローラ118Iは、たとえば照明器、強度、1または複数のフィルタなどの選択など、照明システム114の動作を制御する。ヘッドトラッカコントローラ118Jは、外科医120の頭部を追跡するためにシステム100に提供された1または複数のヘッドトラッカ部品の動作を制御する。画像プロセッサ118Kは、たとえばズームイン、ズームアウト、デジタルフィルタリング、先鋭化、平滑化、色補正、いくつかの画像ソースの融合、ピクチャインピクチャフォームで1つの画像ソースを他の画像ソースに埋め込むことなどの適用によって、カメラシステム112、メモリ118D、またはGPUのいずれかから受信した画像を処理する。アイトラッカコントローラ118Lは、HMD102によって構成されたアイトラッカを制御する。音響解析装置118Mは、たとえば音声コマンドを認識するために音声認識アルゴリズムを適用することなどによって、システム100に提供されたマイクロフォンから受信した音に音認識を適用する。
ここで、開示される技術の更なる実施形態に従って構成され動作可能な、図1AのHMD102の概略ブロック図である図1Cが参照される。HMD102の構成要素は、図1Aに示すように、外科医120によって装着された調整可能な枠内に組み込まれ得る。HMD102は、ドライバ102A、トランシーバ102B、メモリ(たとえばバッファ)102C、およびディスプレイモジュール130を含む。いくつかの実施形態において、HMD102は更に、液晶(LC)シャッタ132、トラッキング部品134、アイトラッキング部品136、マイクロフォン138、スピーカ139、振動モータ141、および少なくとも1つのバス102Dを含む。ドライバ102A、トランシーバ102B、メモリ102C、ディスプレイモジュール130、シャッタ132、トラッキング部品134、アイトラッキング部品136、マイクロフォン138、スピーカ139、および振動モータ141は、少なくとも1つのバス102Dを介して結合される。
ディスプレイモジュール130は、外科医120の各目のための画像を投影するために2つのディスプレイモジュール130Aおよび130Bを含む双眼式ディスプレイであってよい。いくつかの実施形態において、HMD102は、単眼式である。シャッタ132は、ディスプレイモジュール130に機械的に結合され、開閉するように動作可能である。シャッタ132が閉じている時、ディスプレイモジュール130は不透明であり、HMD102を介して表示された画像を増強する。シャッタ132が完全または部分的に開いている時、ディスプレイモジュール130は、シャッタ132が開いている領域において透明であり、外科医120が、現実世界ビューの上にオーバレイされた画像を見ることを可能にする。部分的または完全に開いているシャッタ132は、拡張現実、または現実世界ビュー構成に適し得る。あるいは、開いているシャッタ132は、外科医120が、必要に応じて、たとえば他の外科医または看護士など、手術室内の他の外科医と対話および意思疎通することを可能にする。トラッキング部品134は、HMD102に関する位置および/または向きデータを取得し、それぞれのトランシーバ102Bおよび118Bを介してヘッドトラッカコントローラ118Jへ位置および/または向きデータを送信する。マイクロフォン138は、外科医120によって発された音声コマンドまたは他の音を記録し、それぞれのトランシーバ102Bおよび118Bを介して音響解析装置118Mへ音を送信する。アイトラッキング部品136は、外科医120の眼球運動データを取得し、それぞれのトランシーバ102Bおよび118Bを介してアイトラッカコントローラ118Lへ眼球運動データを送信する。
ディスプレイモジュール130は、図1Aに示すように、外科医120の視線上に位置するようにHMD102に配置される。シャッタ132は、ディスプレイモジュール130によって構成され、開いた状態、閉じた状態、および部分的に閉じた状態の間で切り換えられ得る。HMD102はシャッタ132が開いている場合常に透明であり、シャッタ132が閉じている場合常に不透明である。シャッタ132が完全に開いている時、外科医120は、透明であるディスプレイモジュール130の光学系を通して現実世界を見る。シャッタ132は、たとえばディスプレイモジュール130にオーバレイされたピクチャインピクチャ(PIP)内に表示された特徴の後ろにある背景を隠すために部分的に閉じられてよく、特徴と、ディスプレイモジュール130のその他の部分を通して見える現実世界ビューとのコントラストを増強する。これは、拡張現実型アプリケーションにおけるVGS処置中にPIP内に1または複数の特徴を表示する際に役立つ。ディスプレイモジュール130は、当技術分野において知られているような任意の適切な技術を用いて実装され得る。ディスプレイモジュール130は、たとえば導波光学系、プリズム光学系、バイザへの投影などの画像投影光学系と共に、たとえば小型OLEDモニタなどの画像ソースを含んでよい。あるいは、ディスプレイモジュールは、モニタなしで直接外科医120の網膜へ画像を走査してよい。HMD102は、コンピュータ118からの画像ソースを受信する。
トラッキング部品134は、外科医120の頭部運動を追跡するための構成部分を含む。トラッキング部品134は、加速度計134Aおよびジャイロスコープ134Bを基としたMEM、1または複数の発光体134C、光学センサ134D、電磁センサ134Eなどを含んでよい。いくつかの実施形態において、トラッキング部品134は更に、コンパス(不図示)を含む。発光体134Cは、たとえば発光ダイオード(LED)などの1または複数の能動発光素子、または1または複数の光反射体であってよい。トラッキング部品134は、HMD102に関する更新された向きおよび/または位置座標を決定するために、HMD102の並進および回転運動データを生成する。
いくつかの実施形態において、頭部追跡は、たとえばカメラ(不図示)を用いることによって、HMD102の外部で実行される。任意選択的に、トラッキング部品134は、HMD102の内部の部品と共に、HMD102の外部の部品を含む。いくつかの実施形態において、HMD102は、HMD102を装着している外科医の片目または両目の視線を追跡するためのアイトラッカ部品136を備える。いくつかの実施形態において、マイクロフォン138は、外科医120の音声コマンドを記録するためにHMD102に統合される。あるいは、マイクロフォン138は、HMD102の外部にあり、たとえばカメラヘッド110に統合され得る。留意すべき点として、本明細書で説明される実施形態は、単なる典型例として意図され、本明細書に開示される機能を実現するために任意の適当な組み合わせおよび構成の構成要素が用いられ得る。コンピュータ118は、トラッカコントローラ118Iを介してトラッキング部品134を制御する。コンピュータ118は、トランシーバ118Bおよび102Bを介してHMD102と通信し、更に詳しく後述される、選択されたシステムモードおよび外科医120によって定義された追加の設定およびパラメータに従って、HMDディスプレイモジュール130における画像フィードの表示を制御する。
開示される技術の他の実施形態に従って構成され動作可能な、カメラヘッド110(図1A)に関する概略ブロック図を示す図1Dが参照される。カメラヘッド110は、カメラシステム112、照明システム114、および任意選択的にマイクロフォン138を収容する。いくつかの実施形態において、カメラヘッド110は更に、横向きおよび/または下向き光学追跡部品、センサおよび/または発光体、および場合によっては他の追跡部品を含むトラッキングサブシステム(不図示)を収容する。カメラヘッド110は、アーム106およびカメラヘッド位置決め器111を介してカート116に機械的に結合される。カメラヘッド110、カメラシステム112、照明システム114、およびマイクロフォン138は、アーム106内部に統合された1または複数のケーブルおよび/またはワイヤによってコンピュータ118(図1B)に電気的に結合される。コンピュータ118は、カメラヘッド位置決め器111内に統合されたモータを制御することによって、術野124に対するカメラヘッド110のxyz位置および傾きを制御する。
いくつかの実施形態において、たとえばロボットアーム、たとえば神経外科アプリケーションのために一般的に使用される6-DOF(自由度)ロボットアームなどの他の位置決め機構が、術野124の画像を取得するためにカメラシステム112の位置を制御するためのカメラヘッド位置決め器111および機械アーム106の代わりに用いられ得る。カメラの位置および向きの変更が微細である眼科手術アプリケーションとは異なり、神経外科アプリケーションにおいて、カメラの位置および向きの変更は比較的大きい。そのようなアプリケーションの場合、外科医120は、自身の頭部にカメラの制御を固定する機能をアクティブ化し、自身がヘッドジェスチャを用いてロボットアームを介してカメラヘッド110のカメラの位置および向きを制御することを可能にしてよい。外科医120は、たとえばフットスイッチ104などのユーザインタフェースを介して、または音声コマンドを発することなどによって、この特徴を有効化する。後に詳しく説明されるHMD102の頭部追跡機能は、HMD102の回転および並進運動を感知し、それらを、カメラヘッド110を制御するロボットアームのための対応する回転および並進運動に変換する。任意選択的に、ユーザインタフェースは、外科医120が、カメラヘッド110のカメラに関する現在の位置および向きを記憶、または「ブックマーク」することを可能にし、それによって、この位置および向きは、たとえばHMD102を介して表示されたメニューからこの特徴を選択することによって、後に復元され得る。
コンピュータ118は、システムモードおよびユーザインタフェースを介して外科医120から受信した入力に従って、カメラシステム112および照明システム114の動作を制御する。コンピュータ118は更に、マイクロフォン138によって検出された音声コマンドに従ってシステム100を制御する。
コンピュータ118は、HMD102に関する表示特徴を、デジタルまたは光学的/機械的に制御してよい。たとえば、コンピュータ118は、カメラシステム112によって捕捉された全体ビデオから画素の領域を低減することによってズームイン/ズームアウト動作をデジタルに実施し、低減された領域をHMD102へストリーミングしてよい。あるいは、コンピュータ118は、高解像度カメラ140Aおよび140Bの光学系を調整することによって、ズームイン/ズームアウト機能を光学的に実装してよい。同様に、コンピュータ118は、カメラシステム112によって取得された全体ビデオから取り出された画素の領域をシフトすることによってスクロール機能をデジタルに実装し、それらの画素をHMD102へストリーミングしてよい。あるいは、コンピュータ118は、カメラヘッド位置決め器111を介してXY軸に沿って横方向にカメラヘッド110の位置を調整し、HMD102に表示される術野の一部をシフトすることによって、光学的/機械的にスクロールを実施してよい。
ここで、開示される技術の更なる実施形態に従って構成され動作可能な、図1Aおよび図1Dのカメラシステム112の概略ブロック図である図1Eが参照される。カメラシステム112は、カメラヘッド110に収容され、機械アーム106(図1A)内に統合された1または複数のワイヤおよびケーブルを介してコンピュータ118に結合される。コンピュータ118は更に、カメラシステム112内の構成要素の各々を、たとえば画像フィードを受信するためにそれらを選択することなどによって制御する。
1つの実施形態において、カメラシステム112は、少なくとも2つの高解像度カメラ140Aおよび140Bを備える。カメラ140Aおよび140Bには、術野124の高解像度拡大ステレオ画像を補捉するための高解像度光学系が提供される。いくつかの実施形態において、カメラヘッド110は更に、iOCTスキャナ142、IRカメラ148、またはマルチスペクトル撮像のための他のカメラのいずれかを含む。カメラシステム112は、カメラ140Aおよび140Bによって取得された画像をコンピュータ118へストリーミングするように構成され、コンピュータ118は、画像を処理し、任意選択的にそれらをHMD102へ送信する。カメラ140Aおよび140Bからの画像は、HMDディスプレイモジュール130Aおよび130Bを介して外科医120の目にストリーミングされる。外科医の脳は、ストリーミングされたビデオから3D画像を生成する。コンピュータ118は、選択されたシステムモード、および外科医120によって定義された任意の追加の設定およびパラメータに従って、HMDを介して画像フィードの表示を制御する。コンピュータ118は、システム100の態様を制御するために用いられ、外科医120には表示されない画像を取得する追加のカメラを制御する。たとえば、コンピュータ118は、手術室内の動きを検出するためのIRカメラなどを制御する。画像プロセッサ118Lは、たとえば色補正、先鋭化、フィルタリング、ズーミングなどを行うために、外科医120によって定義された設定に従ってカメラシステム112によって取得された画像を処理する。コンピュータ118は、後述するユーザインタフェースを介して外科医120によって指示された1または複数の設定に従って画像フィードに関する照明、フォーカス、FOV、および倍率を調整し、処理された画像フィードをHMD102へストリーミングしてよい。
システム100は、外科医120が、外科処置の開始時、カメラシステム112によって取得されたビデオに関する倍率レベルを選択し、必要に応じて、外科処置の間中、倍率を動的に調整することを可能にする。システム100は、機械的、光学的、電気的、またはデジタルの手段を用いて、関心領域(ROI)、ズーム、およびフォーカス構成を動的に更新することを可能にする。カメラ140A、140Bに関するXY位置決めおよびズーム光学系への機械的および光学的更新は、カメラシステムコントローラ118H(図1B)を介して実施される。デジタルズーム機能およびXY位置決めは、HMD102を介して表示されるROIのサイズおよびXY位置を変更することによって実施される。
いくつかの実施形態において、外科医120は、ヘッドジェスチャを用いてROIおよびズーム設定を動的に更新する。いくつかの実施形態において、外科医120は、カメラシステム112を自動センタリングするようにシステム100を有効化する。この場合、システム100は自動的に、XY位置を動的に更新する。動的更新のいくつかの例は、自動センタリング、自動ズーミング、自動フォーカシング、および自動照明を含む。
システム100は、生画像フィードを動的に更新するための自動センタリング機能を提供する。1つの種類の自動センタリングは、ファイバ照明が用いられ網膜の一部のみが照明され得る網膜処置の間、照明領域を追う。他の種類の自動センタリングは、たとえば白内障処置など(たとえば外科医が患者の目を動かす場合)の前眼部処置の間、患者の目の中心を追う。また他の種類の自動センタリングは、ツールチップを追う。留意すべき点として、本明細書に挙げられる例は、単なる典型的な実装として意図され、本発明を限定するものではない。自動センタリングは、任意の患者の解剖学的構造、任意の医療デバイスに、または一般に画像内に出現する任意の要素または情報に実施され得る。
一般に、網膜処置は、患者122の目の中心の真上でカメラヘッド110から吊り下げられた追加のレンズ(不図示)を用いて行われる。したがって、これらの処置中、患者の目が動かない限り、カメラヘッド110は動かされてはならず、カメラヘッド100の移動は、この追加のレンズを動かすことになる。この制約は、XYモータ制御を介したカメラシステム112の位置の調整が、網膜処置中に照明領域を追跡するための適切な技術ではないことを意味する。その結果、カメラシステム112の物理的位置を固定したままにするために、自動センタリング機能の一部として、これらの処置に関して表示されたROIに対する調整がデジタルに行われる。カメラ140Aおよび140Bの解像度は、一般に、HMD102の表示モニタの解像度よりも高い。したがって、ROIのデジタル調整は、カメラシステム112によって取得された全体画素フレームのサブセットを選択することによって実施される。外科医120が、全体画像におけるズームとして小さなROIを見る時、ROIは、全体画素フレームから動的に選択され得る。センタリングおよび特に自動センタリング機能は、必要および状況に依存して、XYモータを制御すること、および/またはROIを調整することのいずれかを用いて行われ得る。たとえば、処置の種類に依存して、1つの技術が他の技術よりも好適であり得る。
他の実施形態において、照明領域、患者の目の中心、ツールチップなどに対する自動センタリングは、離散時間間隔で実施される。たとえば、瞳孔と画像のエッジとの間の距離が既定の閾値より小さい場合、瞳孔が画像の中心に出現するようにROIを変更することまたはXYモータを制御することのいずれかによって、センタリングが実施される。他の例として、網膜上の照明スポットが既定のマージンを超える場合、照明スポットが画像の中心となるようにROIを自動的に更新することによって、後眼部処置中にセンタリングが実施される。これは、フレームごとに画像がセンタリングされるような連続的な自動センタリングとは対照的である。連続的な自動センタリングは、患者の目が動いているが外科医には静止して見えている場合、リスクをもたらし得る。
更なる実施形態において、離散空間方式とは対照的に、センタリング自体が連続空間方式で行われる。たとえば、画像における突然の変化を生じないように、画像は、センタリングされるまで段階的かつ連続的に更新される(たとえば、XYモータおよび/またはROIが段階的かつ連続的に影響を受ける)。
他の実施形態において、センタリングの前に、システム100は、未決の変更をユーザに警告する。警告は、HMDに表示された警報、音、HMDにおける振動などを介したものであってよい。警告は、画像における変化および/またはカメラヘッドユニットのXY位置における変化を予期するように外科医に通告する。任意選択的に、ユーザは、UI160を介して未決のセンタリングを取り消してよい。たとえば、システムが画像をセンタリングしようとしているという警告が与えられる時、ユーザは、センタリングをキャンセルするための時間窓(たとえば3秒間)を有する。更なる実施形態において、センタリングがキャンセルされると、システム100は、後続の自動センタリングを無効化する。これは、所定の期間(たとえば5分間)、システムモードが(たとえば前のモードから後のモードへ切り換えることによって)変更されるまで、または外科手術の期間中であってよい。他の実施形態において、自動センタリングの発生がキャンセルされると、システムは、たとえば画像処理アルゴリズムまたは深層学習アルゴリズムによって検出され得るような目立った変化が画像内に生じるまで、自動センタリングを無効化する。
システム100は、生画像フィードを動的に更新するための自動ズーミング機能を提供する。自動ズーミング機能は、カメラヘッド110内のズーム光学系を制御することによって機械的に実装されてよく、あるいは、画像プロセッサ118Kを介して生画像フィードにデジタルに実装され得る。この構成は、外科医固有の嗜好に基づいてズーム設定を自動的に変更することを可能にする。1つの種類の自動ズーミングは、各システムモード(たとえば前のモード)において用いられた最後のズーム倍率を記憶し、システムがオンにされ、モードが切り換えられた時、自動的にズームを設定する。他の種類の自動ズーミングは、処置における様々な段階を識別し、各段階に関する外科医の嗜好を記憶する。また他の種類の自動ズーミングは、網膜から様々な距離で外科医によって保持されることによりそのサイズを変化させるファイバ照明によって生じる光のスポットのサイズに従って、ズームを動的に変更する。ズーム倍率は、スポットのサイズに対応する。外科医がファイバチップを遠くへ動かし、スポットが大きくなると、表示される画像はズームアウトされる。外科医がファイバチップを近くへ動かし、スポットが小さくなると、表示される画像はズームインされる。
同様に、システム100は、手動フォーカシングおよび自動フォーカシングを可能にする。自動フォーカシングの場合、外科医120は、フォーカスが合った状態に維持されるべき術野内の点を指定してよい。あるいは、外科医120は、システムに、外科医が保持および操作しているツールの先端に自動的にフォーカスさせ得る。あるいは、外科医は、システムに、網膜処置における照明領域の中心に自動的にフォーカスさせ得る。システムは、指定された位置、または器具、またはスポットライトにフォーカスした状態を維持する。いくつかの実施形態において、システム100は、指定された点へのワンタイムフォーカスを提供する。外科医120は、必要に応じてその点にフォーカスするように、ヘッド/フットジェスチャおよび/または外科用ツールの組み合わせを用いて生画像上の点を指定してよい。
ここで、開示される技術の他の実施形態に従って構成され動作可能な、照明システム114(図1A)の概略ブロック図である図1Fが参照される。照明システム114は、カメラヘッド110内に収容され、機械アーム106内に統合された1または複数のワイヤおよびケーブルを介してコンピュータ118に結合される。照明システム114は、白色投光照明150、IR投光照明152、同軸光154A、および同軸光154Bの1または複数を含む。同軸光154Aおよび154Bは、それぞれカメラ140Aおよび140Bと共に動作する。一般に、照明システム114は、術野124を照明するための少なくとも1つの可視光発光体を含む。発光体は、1または複数のフィルタ(不図示)と組み合わせられ得る。たとえば、照明は、発光された光自体が白色ではないように、光毒性の配慮により青色光を遮断するフィルタを有する白色発光LEDに基づいてよい。照明システム114は、非可視照明、たとえば赤外(IR)光または紫外(UV)光で照明してよい。いくつかの実施形態において、システム100は、術野124内の動きを検出するための低解像度/広視野カメラと組み合わせられたIR照明を含む。同軸照明は、前眼部眼科処置において用いられる、患者の網膜からの光の反射によって生じる赤目現象を発生させる。コンピュータ118は、たとえば光源、強度などを選択することによって、照明コントローラ118Hで照明システム114を制御する。
いくつかの実施形態において、システム100は、自動照明を可能にする。画像プロセッサ118Kは、照明不足または照明過剰領域に関して生画像フィードを解析し、照明システム114による位置または強度を操作するようにコンピュータ118に通知する。任意選択的に、照明は、たとえば外科用器具など、外科医によって選択された要素において最適化され得る。いくつかの実施形態において、システム100は、外科医120がある1つの段階を完了して新たな段階を開始していることを識別し、新たな段階のために照明を自動的に最適化する。たとえば、外部フェイコシステムがデータをストリーミングする場合、システム100は、モードが現在フェイコモードに設定されていることを知る。そのような場合、投光照明は自動的にオフに切り換えられ、赤目照明がオンに切り換えられる。
開示される技術の更なる実施形態に従って構成され動作可能な、フットスイッチ104(図1A)に関する概略ブロック図を示す図1Gが参照される。フットスイッチは、3つのセンサ104A、104B、および104C、トランシーバ104D、および振動モータ104Eと共に示される。フットスイッチは、外科医120の足に隣接して地面に位置する。外科医120は、フットスイッチ104によって検出される足部運動を行うことによって、システム100の動作特徴を制御する。センサ104B、104C、104Dは、足部運動を感知するように構成され、それぞれのトランシーバ104Aおよび118Aを介してコンピュータ118(図1B)へ通知を送信する。センサ104B、104C、104Dは、ペダル、ボタン、タッチパッド、ジョイスティック、圧力ベース、画像ベースなどのいずれかであってよい。留意すべき点として、この実装は単なる典型例であることが意図され、フットスイッチ104は、より多いまたは少ない数のセンサ、または各々が様々なオプションを有する複数のボタンを有してよい。いくつかの実施形態において、フットスイッチ104は、フットジェスチャを追跡するための慣性センサと共に構成された装着型デバイスである。任意選択的に、装着型フットスイッチは、追加または代替として、1または複数のフットジェスチャを検出するための光センサおよび発光体(不図示)と共に構成される。たとえば、装着型フットスイッチと共に構成された発光体は、たとえば床などの表面にパターンを投影する。1または複数の光センサは、フットジェスチャを推測するために、投影されたパターンの変化を検出する。光センサは、装着型フットスイッチと共に構成され得るが、これは必須ではない。振動モータ104Eは、フットスイッチ104を介して、システム100に関する設定およびシステムパラメータに関するフィードバックを外科医120へ提供する。ここで、開示される技術の他の実施形態に従って構成され動作可能な、システム100(図1A)のための典型的なユーザインタフェース(UI)160に関する概略ブロック図を示す図2Aが参照される。UI160は、外科医120とのインタフェースとなる、図1B~1Gに関して上述されたシステム100の構成要素の論理的見方である。UI160に含まれる構成要素は単なる例示であることが意図され、様々な実装に従って構成要素が追加され、またはUI160から取り除かれ得ることを理解すべきである。図2Aは、それらの機能に従って論理的にグループ分けされた様々なシステムユニットにおける構成要素を示す。UI160は、外科医120からの入力を受信するシステム100の構成要素を含むUI入力160A、および受信した入力に応答して出力としての機能を果たすシステム100の構成要素を含むUI出力160Bという2つのモジュールを含む。コンピュータ118は、UI入力160Aを介してユーザ入力を受信し、入力を処理して、UI出力160Bを介して1または複数のシステム応答を発する。
UI入力160Aは、ヘッドジェスチャトラッカ162を含む。ヘッドジェスチャトラッカ162は、HMD102に統合されHMD102の内部にある追跡部品134(図1C)、および任意選択的に、HMD102の外部にあるヘッドジェスチャトラッカ部品164を含む。たとえば、ヘッドジェスチャトラッカ部品164は、外科医120の画像を取得する、手術室内に配置されたカメラであってよい。UI入力160Aは更に、フットベースの入力を受信するためのフットスイッチ104(図1A)、アイトラッキングシステム166、音響システム168、および他の外科医からの入力を受信するためのタッチスクリーン108(図1A)を含む。アイトラッキングシステム166は、アイトラッカコントローラ118L(図1B)に結合されたアイトラッキング部品136(図1C)を含み、これらは共に、外科医の視線の方向を感知および追跡するように構成される。音響システム168は、音声認識装置118M(図1B)に結合されたマイクロフォン138(図1C)を含み、これらは共に、外科医によって発された音響信号および音声コマンドを受信し、検出し、処理するために構成される。いくつかの実施形態において、マイクロフォン138は、HMD102の外部にある。
UI出力160Bは、ディスプレイモジュール130(図1C)、シャッタ132、タッチスクリーン108(図1A)、カメラヘッド110(図1D)、カメラヘッド位置決め器111、カメラシステム112(図1E)、および照明システム114(図1F)を介して表示されたコンテンツを含む。受信した入力に基づいて、コンピュータ118は、シャッタ132の状態、ディスプレイモジュール130のコンテンツの表示、およびタッチスクリーン108のコンテンツの表示を制御し、ならびにカメラヘッド110、カメラヘッド位置決め器111、カメラシステム112、および照明システム114に関する設定を制御する。いくつかの実施形態において、UI出力160Bは、たとえばフェイコビトレクトミーマシンなどのシステム100の外部の1または複数のシステムに接続され、外科医120に、UI160を介したシステム100の外部のシステムの直接制御権を与える。いくつかの実施形態において、システム100は更に、利用可能なビデオストリームのいずれかまたは全てを表示し、ならびに複数のHMDを同時にサポートするための2Dまたは3D外部モニタ(不図示)への接続をサポートする。
いくつかの実施形態において、UI出力160Bは更に、たとえば発信音または外科医120に通知するための音声メッセージなどの音出力を発するための、たとえばスピーカ139(図1C)などのスピーカを含む。いくつかの実施形態において、UI出力160Bは更に、たとえば振動モータ141(図1C)または振動モータ104E(図1G)などの1または複数の振動モータ161を含む。たとえば、振動モータは、DC振動モータを用いる偏心回転マス振動モータ(ERM)、または外科医120にシステムパラメータを表示するためのリニア共振アクチュエータ(LRA)であってよい。振動モータは、HMD102、フットスイッチ104、またはシステム100の他の任意の構成要素のいずれかに統合され得る。たとえば、振動は、xモータがその運動限界に到達したこと、またはシステム100が、網膜に極端に近い位置にあるツールを自動的に識別したことを示してよい。いくつかの実施形態において、システム100は、外科医120の姿勢が人間工学的に適切であることを確実にするために、外科医120の頭部を監視し、外科医120が自身の頭部を、首の痛みや損傷を招き得る人間工学的に不適切な姿勢に置くと、警報を発する。警報は、たとえばHMDによって表示されるメッセージ、振動、またはたとえば発信音などの音響警報の発出を介して発され得る。
外科医120は、HMD102を装着しながらユーザインタフェース160を介してシステム100とインタラクトし、患者122に外科処置を行う。このように、ハンドフリージェスチャを用いて、外科医120は、たとえばコンピュータ118の画像処理パラメータ(たとえばズーム、色補正)などのシステム100の動作パラメータ、HMD102を介して表示されるコンテンツ(たとえば、カメラシステム112によって取得された画像、メモリから取得された術前データ、オーバレイされた仮想特徴、仮想スクリーンおよびメニューの開閉)、シャッタ132の状態(たとえば、開いている、部分的に開いている、閉じている)、照明システム114に関する制御設定(たとえば、発光体、フィルタ、強度、波長、角度)、カメラシステム112に関する制御設定(たとえばカメラ、ズーム、フォーカス、シャッタ)、カメラヘッド110に関する制御設定(たとえば、xyzモータおよび傾きを調整することによる向きおよび整合性)、上記のいずれかを制御するためのメニュー項目の選択、システムモードの制御などを制御してよい。
いくつかの実施形態において、UI160は、後の使用のために、スナップショットおよびビデオを格納すること、およびオーディオを記録することを可能にする。オーディオ記録は、ノート、手術概要、名前付けおよびタグ付けフィルタとして使用するためにテキストに変換され得る。その後、深層学習アルゴリズムによってキーワードタグが適用され得る。いくつかの実施形態において、システム100は、術前データに関するプレースホルダ、生画像からのスナップショット、記録されたノート/概要の音声テキストを有する所定のテンプレートに基づいて、手術レポートの自動生成を支援する。自動レポート生成は、たとえば患者122の氏名、外科医120の氏名、日付、外科処置の時間および期間などのデータの追加の識別を支援する。適当である場合、処置に関連するデータを取得するために機械学習および画像処理が適用され得る。たとえば、使用された外科用器具の種類、および外科処置の画像フィードが、レポートにデータを追加するために得られ得る。UI160は、選択されたスナップショットおよび術前画像を外科医がレポートにアップロードすることを可能にする「レポートへ送信」メニュー項目を提供する。いくつかの実施形態において、UI160は、既定のテンプレートに従って構成され得る、自動生成された請求概要を提示する。請求概要は、行われた外科処置のリストなどを含んでよい。
ビデオおよびオーディオが個別に記録される場合、オーディオ記録は、オーディオを対応するビデオファイルと同期させることを可能にするタイムスタンプと共に保存される。同様に、オーディオノートがテキストに変換される場合、これらは、ノートが対応するビデオフィード上のサブタイトルとして表示されることを可能にする同期タイムスタンプと共に保存される。
いくつかの実施形態において、UI入力160Aは、たとえばフットスイッチ104を介して検出される足部運動と同時にヘッドジェスチャトラッカ162を介して検出されるヘッドジェスチャなど、外科医120によって行われる複数の同時ハンドフリージェスチャとしての入力を検出するように構成される。これらの実施形態において、フットスイッチ104からの有効化入力は、ヘッドジェスチャを有効化することによって、外科医120による不慮の頭部運動がシステム100の動作に影響を及ぼすことを防ぐ機能を果たす。UI入力160Aからの入力を受信すると、コンピュータ118は、システムモードに依存する、対応するアクションを引き起こす。
いくつかの実施形態において、外科医120は、システム100を一時的に、フットスイッチ104からの有効化入力なしで様々なヘッドジェスチャによってデフォルトアクションがアクティブ化される有効化フリー状態に設定してよい。たとえば外科医120は、デフォルトアクションが、ヘッドアップおよびヘッドダウンジェスチャに関してフォーカス制御、左右のヘッドジェスチャに関してズームインおよびアウトであるように設定し、または、システムモードを切り換えるために有効化フリーヘッドジェスチャを可能にしてよい。
ここで、システム100の態様を制御するためにUI入力160Aを介して外科医が利用可能であるいくつかの典型的なユーザ入力の説明を以下に示す。このリストは、限定的であることは意図されない。
・ヘッドジェスチャ
ヘッドジェスチャの使用に基づく外科用HMDのための一般的なユーザインタフェース法。ヘッドジェスチャは、UI入力160A(図2A)のヘッドトラッカ162によって検出される。外科医120は、いくつかのヘッドジェスチャが有効化フリーであるようにシステムパラメータを設定し、自身がヘッドジェスチャのみを用いてシステム100を制御することを可能にしてよい。たとえば、医療処置の特定の段階に関して、外科医120は、有効化フリーモードで作業することを好み、フットスイッチ104を介した有効化なしでヘッドジェスチャのみを用いて自身がシステム100を操作することを可能にし得る。外科医120は、この効果のために音声コマンドを発してフットスイッチ104を介した有効化をオフに切り換え、ヘッドジェスチャを用いるだけで、たとえばズームまたはフォーカスなどの特徴を制御してよい。外科医120は、たとえば
〇カメラヘッド110によるズーム、フォーカス、照明強度、
〇たとえばディスプレイモジュール130に表示された術前画像などのデータ項目内でのスクロール、
〇ヘッドジェスチャを直接介した、または間接的にヘッドジェスチャを用いてメニュー制御を介した照明のオンオフ、画像強調オプション、有効化非有効化
などの連続的および離散的なシステム特性を制御するためにヘッドジェスチャを用いる。
・フットスイッチ104によって有効化されたヘッドジェスチャ。
フットスイッチ104(図1G)は、たとえばペダル104A、104B、104Cなどの1または複数のペダルと共に提供される。ペダル104A、104B、104Cの各々は、様々なシステムパラメータセットを制御するためのヘッドジェスチャのグループを有効化してよい。各グループは、上下運動、左右運動、視線、小さな頷き、前後運動など、用いられる全てのジェスチャで構成される。ヘッドジェスチャを伴うフットスイッチ104の使用は、外科医120が、ヘッドジェスチャのみで利用可能な数よりも多くのシステム特徴を制御することを可能にする。また、追加のユーザ入力を介してヘッドジェスチャを有効化することは、たとえば頭部の自然な動きによる異なるシステムモードへの不慮の切換えなどの不本意な変更をなくすことにより、システム安全性を向上させる。
たとえば、3つのペダルを有するフットスイッチは、ノーマルシステムモードにおいて以下の5つのヘッドジェスチャのグループを有効化してよい。
○左ペダルの押下(104A)
○上下のヘッドジェスチャ:拡大画像のフォーカス。
○微かな上下の頷き:自動フォーカシングの有効および無効状態の切替え。たとえば、指定された点におけるワンタイム自動フォーカシングを有効化すると、画像上のオーバレイとして十字が出現してよく、ユーザは、自動フォーカスする術野内の点を指定するために自身の頭部を回転させて十字を動かしてよい。ペダルの解放により、指定された点が選択される。外科医120は、メニューまたはタッチスクリーンを介して、自身の頭部の頷きによってどの種類の自動フォーカシング(たとえば、指定された点へのワンタイム自動フォーカス、指定された点への連続的な自動フォーカシング、ツールチップへの自動フォーカシング、光スポットの中心への自動フォーカシング)がアクティブ化されるかを選択してよい。
○左右のヘッドジェスチャ:拡大画像のズーム。
○微かな左右の振り:自動ズーミングの有効および無効状態の切替え。
○左+中央ペダルの押下(104Aおよび104B)
○上下および左右のヘッドジェスチャ:ROIが表示された時の拡大画像におけるyおよびx方向へのスクロール。
○微かな上下の頷き:ROIの変更に基づく自動センタリングの有効および無効状態の切替え。
○中央ペダルの押下(104B)
○上下および左右のヘッドジェスチャ:メニューナビゲーション。
○長い凝視:サブメニューを開く、または前景に出現するメニューを選択する。
○中央ペダル104Bの解放:選択されたメニュー項目をアクティブ化する。
○右+中央ペダルの押下(104Cおよび104B)
○上下および左右のヘッドジェスチャ:yおよびxモータを動かす。
○微かな上下の頷き:XYの変更に基づく自動センタリングの有効および無効状態の切替え。
○右ペダルの押下(104C)
○上下のヘッドジェスチャ:投光照明強度。
○微かな上下の頷き:投光照明のオンおよびオフ状態の切替え。
○左右のヘッドジェスチャ:赤目(同軸)照明強度。
○微かな左右の振り:同軸照明のオンおよびオフ状態の切替え。
・音響入力。
システム100は、1または複数のマイクロフォン138を介して検出された音響信号に応答するように構成される。外科医120は、特徴を有効化または無効化するため、または異なるシステムモードへ切り換え、表示画像を修正または増強するため、などのために1または複数の音声コマンドおよび/または音を発してよい。音響入力は、マイクロフォン138によって検出され、コンピュータ118によって処理される。たとえば、外科医120は、1つの特徴を有効化/無効化するために1度の舌打ちの音を用い、第2の特徴を有効化/無効化するために第2の音を用いてよい。システム100の特徴を有効化するための音は、ユーザ固有であってよく、外科医120によってカスタマイズされ得る。外科医120は、システム100に、好みの音のセットを認識するように教示してよい。外科医120の口の付近(たとえばHMD102の一部)に物理的に配置されたマイクロフォン(不図示)は、患者122の可聴範囲外である非常に静かな音を拾い上げ得る。これは、たとえば多くの目の外科処置など、麻酔なしで行われる処置において有利であり得る。これらの状況において、患者122は、システム100を制御するために外科医120によって発される音声コマンドを聞かないことが好適であり得る。
・ハンドジェスチャ。
いくつかの実施形態において、システム100は、ハンドヘルドコントローラ(不図示)によって、または外科医120によって行われたハンドジェスチャを感知し、これらを処理のためにコンピュータ118へ送信する外部トラッカ(不図示)によって取得された1または複数のハンドジェスチャ入力を提供する。たとえば、ハンドヘルドコントローラは、電子マウス、遠隔制御装置、ジョイスティックと同様に設計されてよく、あるいは、たとえばブレスレットまたは指輪などの装着型デバイスであってよい。あるいは、ハンドジェスチャは、HMDまたはその他どこかに統合されたカメラおよび/または他のセンサによって光学的に取得され得る。ハンドジェスチャは、本明細書に開示されるUI技術のいずれかと関連して用いられ得る。たとえば、ハンドジェスチャは、手術室内の位置に、または患者の目に「ロック」されたメニューまたは仮想3Dボタンと関連して用いられ得る。いくつかの実施形態において、システム100は、ユーザの指を追跡することによってハンドジェスチャを検出する。他の実施形態において、システム100は、外科医120によって保持された外科用ツールを追跡することによってハンドジェスチャを検出し、外科医120が、外科用ツールでメニュー項目または仮想3Dボタンを「タッチ」および「押下」することを可能にする。
・カメラヘッド110を介した物理制御。
カメラヘッド110には、1または複数の手動操作型ボタン、ハンドル、およびスイッチ、および制御パネルが提供され得る。これらは、外科医120または付き添いの看護士によって制御され得る。
・仮想表示されたメニューまたはボタンと組み合わせたユーザアイトラッキング。
外科医120は、アイトラッカ136(図1C)を介して仮想表示されたメニューオプションをナビゲートしてよい。たとえば、外科医は、既定の期間、仮想メニュー項目を凝視し、またはパターンに従ってまばたきし、または他のそのような「アイジェスチャ」を行ってよい。このUIは、本明細書で説明される他のUIのいずれかと関連して用いられ得る。ディスプレイ固定仮想メニューに加えて、メニューは、世界固定または解剖学的構造固定であってよい。たとえば、3D仮想ボタンは、たとえば治療エリアの周囲など、患者122の目に「ロック」された状態で表示され得る。外科医120は、仮想ボタンを凝視することによって表示されたボタンを「押下」してよく、アイトラッキング部品136は、凝視を検出する。
・タッチスクリーン。
システム100に関する制御および動作パラメータは、タッチスクリーン108を介して設定、監視、および修正され得る。タッチスクリーン108は、手術室看護士または外科医120によって使用するために無菌ナイロンによってカバーされ得る。HMD102を装着している外科医120によって動作設定を制御することに加えて、タッチスクリーン108は、HMD102を装着している外科医120によって制御することができないモード、設定、および嗜好を制御することを可能にする。タッチスクリーン108は、システム100に利用可能なビデオフィードのいずれかを、生形式で、またはHMD102の装着者に見えるフォーマットで、たとえばオーバレイ、PIPなどを用いて表示してよい。
システムモードは、外科医120によって行われたユーザ入力をシステム100がどのように解釈し、それに対して反応するかを決定して、ユーザインタフェース構成を修正する。たとえば、術前モードにおいて、外科医120は、自身の頭部を回しながら同時にフットスイッチ104のペダルを押下することによって、HMD102を介して表示された複数の画像をスクロールする。ノーマルモードにおいて、外科医120は、自身の頭部を左へ(ズームイン)または右へ(ズームアウト)動かしながら同時にフットスイッチ104のペダルを押下することによって、HMD102を介して表示された画像をズームインまたはズームアウトする。いくつかの実施形態において、フットスイッチ104の適当なペダルが押下されている間、コンピュータ118のみがアクションの実行を有効化する。
以下は、システム100によって提供されるいくつかの典型的なシステムモードおよびそれらが制御する特性である。システムモードは、たとえばHMD102に関する表示設定、またはカメラシステム112に関する動作設定など、システム100のためにどのパラメータが操作されるかを定義する。外科医120は、UI160Aによって検出される、ヘッドジェスチャ、眼球運動、音声コマンド、および足部運動を含むUI入力の組み合わせによってモードを選択および開始する。コンピュータ118は、UI入力を処理し、UI160Bの1または複数のシステム出力部品を介してシステム応答を引き起こす。システムモードは、たとえばHMD102に表示されるコンテンツ、スクリーン状態、シャッタ132の状態、UI機能、およびカメラヘッド110に関する動作設定などの1または複数などの応答を決定する。以下の典型的なモードリストは、網羅的であることは意図されておらず、各システムモードによって制御可能な特性の全てを含むものでもない。
・ノーマルモード(デフォルトモード)。このシステムモードにおいて、デフォルト値が一般に有効であるが、外科医120によってカスタマイズされ得る。カメラシステム112によって取得された画像フィードが、HMD102を介して表示される。外科医120は、たとえばカメラシステム112に関するズーム、フォーカス、XY位置、および照明システム114に関する照明設定などの表示属性を制御するために主にUI160を用いる。
・透明モード。このシステムモードにおいて、ディスプレイモジュール130はオフにされ、LCシャッタ132が開いており、外科医120は、現実世界ビューを見ることができる。
・後眼部非接触レンズモード。このシステムモードは、外科医120が、反転または後眼部モードで術野124を見ることを可能にする。このモードに関する設定は以下の通りである。
○眼部反転 反転。
○投光照明 オフ。これは、ユーザが設定可能であってよい。
○赤目照明 オフ。
○配色 ファイバ照明(色補正は素材固有である)。
○画像強調 後眼部固有値。
○モータ状態 制限された速度および範囲。これらのパラメータは、ヘッドジェスチャの進度または速度を制御することによって外科医により制限され得る。
・外部モード。これらのシステムモードは、たとえば内視鏡など、システム100に接続され得る追加の外部デバイス(不図示)に対応する。外部システムモードの1つは、以下の設定を有する。
○赤目照明 オン。赤目および投光照明に関する強度は事前定義される。
○オーバレイ 外部システムから追加のデータがオーバレイされる。
○UI160の機能がカスタマイズされ得る。たとえば、フットスイッチ104に関する定義は、このモードにおいて、他のモードとは異なってよい。これは、外科医120が、フットスイッチ104を用いて外部マシンを制御することを可能にするためである。それに応じて、オプションを表示するメニューも、異なる機能を反映するように修正される。
・術前データモード(「術前」モード)。このモードにおいて、ユーザは、たとえば自身が準備した術前画像またはノートおよび/または患者データなどの事前計画データを見る。データを見た後、ユーザは、外科処置を継続するために以前のモードへ戻る。またユーザは、図6C~6Jにおいて詳しく後述するように、画像ライブラリからPIP内で見ることができる画像セットを選択し、以前のモードに戻った後、選択された画像内でスクロールしてもよい。このモードに関する設定は以下の通りである。
○表示コンテンツ。術野124で取得された生拡大画像の代わりに、HMDは、ユーザが所望する任意のデータにアクセスし、データを閲覧およびスクロールすることを可能にするGUIを表示する。
○UI機能。このモードは、術前データを閲覧およびスクロールすることを可能にする。たとえば、ノーマルモードにおけるジェスチャは、拡大画像のズームまたはフォーカスを制御し得る。術前データモードにおいて、拡大画像は表示されておらず、同じジェスチャは、表示された術前データのスクロールなどを可能にする。
○照明。照明システム114による照明は、術前データモードにおいて最小値に設定され、あるいはオフにされ、暗くされ、たとえばIR投光照明152を有するIR照明など照明システムに含まれる他の発光体に切り換えられ得る。IR照明は、外科医120が術前データを見ている間、同席している看護士の動きを検出することを可能にし、自動的にオンにされ得る。照明は、外科医120がノーマルシステムモードに再び切り換えると、以前の非IR設定に戻され得る。
・PIP(ピクチャインピクチャ)システムモード。ピクチャインピクチャ(PIP)の表示は、術前画像、生ビデオフィード、過去に取得されたビデオのスナップショット、GIF、およびたとえばバイタルサインおよび他のデータなどのデータを、HMD102を介して表示された現在の背景画像上にオーバレイされたウィンドウ内に表示することを可能にする。外科医120は、いくつかの異なるPIP、それらの位置、および各PIP内にどのコンテンツを表示するかを事前定義してよい。たとえば、PIPは、後眼部非接触レンズモードにおける作業時、術前OCT画像を表示し、または、内視鏡モードであり、背景画像が内視鏡カメラからの生ビデオフィードである時、生拡大画像を表示してよい。外科医120は、各既定のPIPをオンおよびオフにしてよい。外科医120は、UI160を介してPIPの位置およびサイズおよびオン/オフ状態を制御してよい。HMD102の視野におけるPIPの位置は、メイン画像内の自動的に検出された関心領域の位置に従って動的に変更されてよく、UI160を介して外科医120によって設定され得る。またPIPの位置は、現実世界にロックされ(「世界固定PIP」)、または、たとえばVGS処置において患者の解剖学的構造に固定されてもよい。PIPモードである時(すなわち、PIPの「選択」後)、スナップショットのアクティブ化は、PIP画像のみを保存し得る。これは、たとえばiOCT画像を保存するために役立ち得る。
たとえばPIP内に現在表示されている術前画像に対応する生拡大画像上の位置を示すオーバレイ記号を有効または無効にするために、PIPが表示されている時、オーバレイされたメニューに、PIP固有の機能が追加され得る。いくつかの実施形態において、拡張現実(VGS)処置を行う間、HMD102のドライバ102Aは、PIPが表示されているディスプレイモジュール130のエリア内でシャッタ132を閉じる。これにより、外科医120は、部分的に透明なスクリーンを通して現実世界を見、同時に、PIPの後ろの周囲光を遮断しながら1または複数のPIP内に表示された術前、術中、または他のデータを見ることが可能である。PIPが患者の解剖学的構造にロックされている時、コンピュータ118は、外科医120が自身の頭部を動かしている間、PIPの後ろで背景が常に遮断されるようにシャッタが閉じられる領域を動的に制御してよい。
いくつかの実装において、PIPシステムモードへの切換えは、HMDを介して少なくとも1つのPIPが表示されている時のみ可能である。PIPシステムモードへの切換えは、たとえばメニューを呼び出すフットスイッチボタンを押下すること、およびメニュー項目であるかのようにPIPを選択することによって行われ得る。これにより、UI機能は、PIP内に表示されたコンテンツに従って既定のUI機能に変更される。たとえば、PIPが術前データを表示する場合、UIは、(たとえば、外科医120がPIP内に表示された術前画像のセットをスクロールすることを可能にする)術前データモードから引き継がれ、PIPが生拡大画像を表示する場合、UIは、(たとえば、外科医120が倍率を制御することを可能にする)ノーマルモードまたは後眼部非接触レンズモード、または一般に(ここに記載されない他のいくつかのそのようなモードが存在し得るので)生画像フィードを見るために最後に選択されたモードから引き継がれる。PIPモードにおいて引き継がれたUIに特別UI機能が追加されてよく、他は、PIPモード用に微調整され得る。たとえば、PIPに術前画像が表示される場合、外科医120は、ヘッドジェスチャを用いて仮想ポインタを制御し、表示された術前画像および生拡大画像における対応する点を指定してよい(これは、生画像に術前データを手動で位置合わせするために行われ得る)。
・iOCT(術中OCT)モード。このシステムモードは、iOCTスキャナ142にOCTデータを取得させる。このモードに関する設定は、以下を含んでよい。
○iOCT オン。
○PIP オン、iOCTスキャナ142を介して取得された画像がPIP内に表示される。
○UIオプション この特徴は、外科医120が、ヘッドジェスチャを用いて、またはメニューをナビゲートすることなどによって、たとえば走査位置および角度などのiOCTスキャナ142に関する動作パラメータを制御することを可能にするUIオプションを提供する。たとえば、ユーザは、B走査およびボリュメトリック走査というiOCT走査様式を切り替えるためにメニューを用いてよい。
○B走査インジケータオーバレイ この特徴は、生iOCT B走査の位置を示す記号を生拡大画像上にオーバレイする。
・他の処置固有および段階固有モード:一般に、様々な処置固有および段階固有モードは、処置固有および段階固有データおよびオーバレイを表示するために事前定義され得る。
○データオーバレイ、たとえばフェイコビトレクトミーマシンからのデータが有効化される。
○位置合わせされたオーバレイが有効化される。このビューは、外科処置中に外科医120を支援するために術野の現実世界拡大ビュー上にオーバレイされた画像位置合わせ記号および/または画像および/または3Dモデルを表示する。
○UI UI機能は、ユーザが、オーバレイの位置、深さ、および向きを制御するため、あるいはシステムに接続された他のデバイスを制御することを可能にするために変化してよい。たとえば、ディスプレイにオーバレイする直線の角度は、ヘッドジェスチャおよび/またはフットスイッチ104を用いて操作され得る。
○PIP(ピクチャインピクチャ)。PIPは、PIPを介して関連術前または術中ビデオおよび/またはデータを示すために有効化され得る。
・外部ビデオフィードモード:
○いくつかのモードにおいて、HMD102は、外科医102が、待合室で待機している患者を監視し、または異なる手術室内の異なる外科処置の進捗を監視することを可能にするために、たとえば手術室外に配置された1または複数のカメラによって提供され得るような外部ビデオフィードを表示する。これらのビデオは、PIP内またはHMD102のサイドスクリーンに表示され得る。それらは、1度に1つのビデオで、または複数のスクリーンでビデオの寄せ集めとして表示され得る。このモードは、外科医が、複数のスクリーンにおいて全ての利用可能なビデオフィードを見ることを可能にする。外科医は、待合室、他の手術室からのビデオフィードを見てよく、あるいは、たとえば予測不可能な状況において生じ得るような稀な処置をどのように行うかを説明する教材ビデオのデータベースを検索してよい。外科医は、たとえばPIP内でなど、選択されたビデオをいつどのように見るか、およびいつどのように以前のモードに戻るかを事前に決定してよい。
・教示モード:
いくつかの実施形態において、システム100は、外科医120と連携する、たとえば年長外科医などの補助外科医(不図示)によって同時にガイドされ得る。補助外科医は、コンピュータ118およびカメラヘッド110に結合され、HMD102と同様に動作する第2のHMDを装着する。第2のHMDもまた術野124のビューを表示し、補助外科医は、HMD102のモジュール130におけるディスプレイと同期されたディスプレイ上のカーソルを制御してよく、外科医120が、補助外科医によって制御されたカーソルを見ることを可能にする。このように、補助外科医は、外科処置中に外科医120をガイドすることができる。同様に、補助外科医は、術前または他のデータなどを外科医120に示す1または複数のPIPを呼び出してよい。
このモードにおいて、年長外科医は、たとえば外科医120が研修医である場合などに、外科処置を行っている外科医120を指導し得る。いくつかの実施形態において、アイトラッキング部品136(図1C)は、外科医120の凝視を追跡し、外科医120が注視しているHMD102の表示エリアを決定する。システム100は、外科医120が注視しているエリアを示す記号を、第2のHMDを介して補助外科医に表示する。このように、補助外科医は、外科医120の焦点を監視することができる。
いくつかの実施形態において、年長外科医は、処置を行いながら外科医120をガイドするための特徴および記号をオーバレイしてよい。外科医120は、生画像上にオーバレイされたエンド効果を見、このモードにおいて監督外科医が見ているメニューおよび描画オプションを見ることはない。教示モードにおける特徴は、以下を含む。
○図6K~6Oにおいて更に詳しく後述するように、描画オプションを選択し、表示する仮想ツール/マーカ/ポインタ、マーキングの色、マーキングの消去などを選択するための「ペイント」のようなメニューを年長外科医に示すこと。
○年長外科医が、ヘッドジェスチャを用いて、または専用ワンドによってポインタを制御し、または描画することを可能にすること。
○リアルタイム画像に描画する場合、線画(線、記号など)は、患者の解剖学的構造にロックされてよく、すなわち、オーバレイ記号は、(たとえば、外科医が患者の目を動かすと)患者の解剖学的構造にロックされて見えるようにその位置を自動的/動的に変化させる。線画は、3Dであってよい。
○年長外科医は、HMDを身に着けていない場合、指示および描画するためにタッチスクリーンを用いてよい。年長外科医は、たとえば自身のオフィスまたは自宅内で通常のスクリーンおよびマウスを用いて、場合によってはリアルタイム画像上で指示および描画するためにタブレットまたはスマートフォンを用いて、執刀外科医を遠隔でガイドし得る。
○何者かが「描画」モードでシステム100システム100に接続し、生画像フィードに描画することを有効化されたことを執刀外科医に示す記号が、表示画像の角部に表示され得る。
○執刀外科医に消去オプションが提供される。ディスプレイに特徴が描画されると、現在のメニューにメニュー項目が追加され(すなわち、執刀外科医がメニューを呼び出すと、彼にメニューが表示され)、執刀外科医が1または複数の描画特徴を消去することを可能にする。メニューは、単一の「全てを消去する」メニュー項目を選択することによって、全ての描画特徴を消去することを可能にし得る。あるいは、メニューは、外科医120が、どの描画特徴を消去するか、およびその数を選択することを可能にするサブメニューを提示する。
○特徴の描画を容易にするために、生画像フィードをフリーズするフリーズオプションが提供され得る。
○3D記号/マーカ:
・3D記号は、解剖学的構造に対して所与の深さで出現するように両目に表示される記号である。3Dマーカは、3D画像固定記号(たとえば3D直線)を生成する。
・ユーザは、ユーザによって完全に制御される3Dポインタまたはマーカを選択してよく、すなわち、ユーザは、そのXY位置および深さの両方を制御する(ユーザは、たとえば深さ制御ペダルによって有効化されたヘッドジェスチャを用いて、深さを手動で制御してよい)。
・あるいはユーザは、現在フォーカスされている解剖学的構造の深さに自動的にロックする3Dポインタまたはマーカを選択してよく、ユーザが記号を動かすと、ユーザは、記号が解剖学的構造の表面を辿る(たとえば上下に動く)感覚を得る。
・後者が用いられる場合、ユーザによってフォーカスが変更されると、高さは自動的に計算され更新される。たとえば、第1のフォーカスポイントが、角膜のような透明表面上であり、第2のフォーカスポイントが、前嚢上の点のような第1のフォーカスポイントの後側(下側)である場合、(HMDユーザの両目に表示される)2つの画像における記号位置は、新たな深さを反映するように異なる方法で変化する。
○ワンド:
・ワンドは、マウスのような、または遠隔制御装置のようなコントローラであり、任意選択的に様々な種類のボタンを有し、ハンドヘルドであり、無線または有線であり、任意選択的に無菌カバー内にあり、任意選択的に統合された慣性トラッキングを有する。これは、上述したような指示/描画のため、および仮想ツールを制御するための両方に用いられ得る。
・監督年長外科医は、どのように外科処置を行うかを研修医に示すために自然な方法で仮想ツールを動かすためのハンドヘルドコントローラを用いてよい。仮想ツールは、ユーザがHMDを介して生画像上のオーバレイとして見る3Dツールとしてディスプレイ内に出現する。これは、このモードにおいてメニュー/GUIを介してユーザが選択するために利用可能なツールの3Dモデルに基づく。
外科医120は、UI入力160Aを介して検出される1または複数のハンドフリージェスチャを用いて、システム100に関するシステムモードを選択し切り換える。いくつかの実施形態において、外科医120は、ヘッドトラッカ162によって検出されるヘッドジェスチャを行いながら、同時にフットスイッチ104によって検出される足部運動を行うことによって、システムモードを切り換える。他の実施形態において、外科医120は、マイクロフォン138によって検出される音声コマンドによってシステムを切り換える。コンピュータ119は、システムモードに従って、後続のユーザ入力をどのように解釈するかを決定する。
たとえば、1つのシステムモードにおいて、外科医120によってフットスイッチ104のペダル104Aを押下しながら行われる頭部の上向き回転は、照明システム114による照明の強度を増加させる。異なるシステムモードにおいて、フットスイッチ104のペダル104Aを押下しながら行われる同じヘッドジェスチャは、HMD102を介して表示された画像をスクロールする。外科医120によってフットスイッチ104のペダル104Bを押下しながら行われる横方向のヘッドジェスチャは、これら2つのシステムモードを切り換えてよい。同じジェスチャに対する複数のシステム応答を可能にすることによって、システムモードは、システム100に関するより広範囲の機能を提供し、外科医120が、自身の手を用いることなくシステム100の特徴を制御し、外科処置を行うために両手を空けておくことを可能にする。
ここで、開示される技術の更なる実施形態に従って構成され動作可能な、図2Aのユーザインタフェースに関する典型的な制御フロー図を示す図2Bが参照される。コンピュータ118(図1B)は、たとえばフットスイッチ104(図1G)のペダルの足での押下のインジケーションを同時に伴うヘッドトラッカ162からのヘッドジェスチャなど、UI入力160Aを介したユーザ入力を受信し、システムモードに依存してシステム応答を決定する、すなわち、応答はモード固有である。1つのシステムモードにおいて、ユーザ入力は、システム100において第1のアクションをもたらし、異なるシステムモードにおいて、同じユーザ入力が、システム100において異なるアクションをもたらし得る。図2Bのフロー図は、複数のシステムモードと関連してユーザインタフェース160を介して制御され得る機能の柔軟性および範囲を示すことが意図される。この図は、単なる典型例であることが意図され、本明細書に開示される任意の特定の実装または例に本発明を限定することは意図されない。
コンピュータ118は、UI入力160Aを介してヘッドトラッカ162およびフットスイッチ104からのユーザ入力を受信する。ケース1。ユーザ入力は、外科医120がフットスイッチ104のペダル104Aを押下しながらヘッドアップジェスチャを行ったというインジケーションである。現在のシステムモードがノーマルであるため、コンピュータ118は、アクション240として示された、HMD102に表示された画像におけるズームアウトを実施する。ケース2。ユーザ入力は、前述と同じ、たとえば外科医120がフットスイッチ104のペダル104Aを押下しながらヘッドアップジェスチャを行ったというインジケーションである。ただし、現在のシステムモードが術前OCT(「術前」モード)に設定されているため、コンピュータ118は、アクション242として示された、術前OCT画像間でのスクロールを実施する。ケース3。ユーザ入力は、外科医120がフットスイッチ104のペダル104Bを押下しながらヘッドアップジェスチャを行ったというインジケーションである。現在のシステムモードがノーマルであるため、コンピュータ118は、アクション244として示すように、システムモードをノーマルからバイタルへ切り換える。モード切換えは、図3Aに関して更に詳しく後述される。
本明細書において説明される複数のユーザインタフェースから得られた複数のユーザ入力に応答することによって、システム100は、外科医120が外科処置を行うために自身の両手を空けたままで幅広い範囲の動作特徴を制御することを可能にする。入力は、1つのシステムモードにおいて1つのシステム応答を、異なるシステムモードにおいて異なるシステム応答を引き起こしてよく、たとえばヘッドジェスチャ、足での押下など、比較的小さな入力セットによって広範囲の機能を提供する。フットスイッチ104は、システム100の応答を、外科医120による故意のジェスチャに対してのみ制御するために動作する。外科医120によるうっかりしたジェスチャは、フットスイッチ104が同時に押下されない場合、システム100による応答をもたらさない。
1つの実施形態によると、外科医120は、HMD102の位置および向きを制御することによって、システムモードを選択してよい。HMD102に関して可能な位置および向きの範囲は、複数のゾーンに分割され、各ゾーンは、異なるシステムモードに対応する。HMD102の位置および向きをゾーンと一致させるように自身の頭部を動かすことによって、外科医120は、そのゾーンに対応するシステムモードを選択し得る。システム100は、新たなモードへの不慮の切換えを防ぐために、外科医120が自身の頭部を操りながらフットスイッチを押下することを必要とし得る。
ここで、開示される技術の他の実施形態に従って構成され動作可能な、複数のゾーンに分割されたHMD102(図1A)に関する様々な位置および向きのための典型的なレイアウト300を示す図3Aが参照される。レイアウト300は、それぞれがHMD102に関する複数の向き領域である複数のゾーンを示し、各領域は異なるシステムモードに対応する。システム100は、外科医120が、自身の頭部を回転させることによりHMD102を回転させることによって、1つのシステムモードから他のシステムモードへ切り換えることを可能にする。外科医120は、それぞれが自身の頭部運動の範囲である複数の角度および位置ゾーンを定めることによってHMD102の機能をカスタマイズし、各ゾーンのそれぞれについてどのシステムモードが実施されるかを決定してよい。
レイアウト300は、それぞれ図1AのHMD102に関するゾーン302、304、306、308、および310を示す。破線312、314、316、および318は、ゾーン302、304、306、308、および310の間の角度閾値を示すことにより、それぞれのゾーンを定める。直線312は、バイタルゾーン308とノーマルゾーン302との間の閾値を定め、直線314は、ノーマルゾーン302と術野ゾーン306との間の閾値を定め、直線314は、ノーマルゾーン302と術前ゾーン306との間の閾値を定め、直線318は、ノーマルゾーン302と看護士ゾーン304との間の閾値を定める。新たなゾーンと一致するようにHMD102の向きを変更することによって閾値312、314、316、および318の1つを横断しながらフットスイッチ104のペダルを押下することにより、システムモードは、新たなゾーンに対応するように切り換わる。
「ノーマル」と付記されたゾーン302は、ノーマルシステムモードを有するHMD102の前方水平の向きと関連する。外科医120が、HMD102をゾーン302と一致させるように自身の頭部を動かしながらフットスイッチ104を押下すると、ノーマルシステムモードが開始される。シャッタ132は閉じており、カメラヘッド110によって取得された画像の生ビデオフィードがHMD102を介してレンダリングされる。
「看護士」と付記されたゾーン304は、看護士システムモードを有するHMD102の右方向水平の向きと関連する。外科医120が、HMD102をゾーン304と一致させるように自身の頭部を動かしながらフットスイッチ104を押下すると、看護士システムモードが開始される。シャッタ132が開き、ビデオフィードはオフにされ、外科医120は、HMD102を装着しながら看護士を直接見て意思疎通することが可能である。
「術前」と付記されたゾーン306は、術前データシステムモードを有する外科医120の頭部の左方向水平の向きと関連する。外科医120が、HMD102をゾーン306と一致させるように自身の頭部を動かしながらフットスイッチ104を押下すると、術前データシステムモードが開始される。シャッタ132は閉じた状態に維持され、HMD102を介して術前データが表示される。いくつかの実施形態において、術前システムモードへの切換え時、UI機能が変化し得る。たとえば、メニュー項目が異なってよく、外科医が術前データを閲覧およびスクロールすることを可能にするために、ヘッドジェスチャは、システム100において他のシステムモードとは異なるアクションを行わせ得る。
「バイタル」と付記されたゾーン308は、バイタルサインシステムモードを有するHMD102の前方上向きの向きと関連する。外科医120が、HMD102をゾーン308と一致させるように自身の頭部を動かしながらフットスイッチ104を押下すると、バイタルシステムモードが開始され、患者122の1または複数のバイタルサインを示すデータがHMD102を介して表示される。
「術野」と付記されたゾーン310は、術野システムモードを有するHMD102の前方下向きの向きと関連する。外科医120が、HMD102をゾーン310と一致させるように自身の頭部を動かしながらフットスイッチ104を押下すると、シャッタ132が開き、表示はオフにされ、外科医120が術野124の現実世界ビューを見ることが可能である。
いくつかの実施形態において、システムモードは、フットスイッチ104(たとえば、HMDのP&Oに基づいてモード切換えを引き起こすための既定のフットスイッチ104内のボタン)を押下している間のみ、HMD102の現在のP&Oに従って決定される。外科医120は、フットスイッチ104を押下しながら角度閾値312、314、316、および318の1または複数を横断するように自身の頭部を動かすことによって、システム100のシステムモードを切り換える。外科医120の頭部の向きが既定の角度を超え、HMD102が新たなゾーンと一致すると、システムモードは、新たなゾーンに対応するシステムモードに切り換わる。たとえば、術前モードに留まるために、外科医120は、フットスイッチ104を押下しながら自身の視線が(左方向への)角度閾値316を超えた状態であるように維持する。フットスイッチ104を最初に押した時、現在のHMDのP&Oが現在のモードの閾値を超えていれば、システムモードは瞬時に切り換わる。この実施形態において、外科医がフットスイッチ104を解放すると、システムモードは再び元のモードへ切り換わる。このモード動作方式は、たとえば、ユーザが術前データまたは看護士を素早く一瞥することを好む場合、有用である。いくつかの実施形態において、外科医がフットスイッチ104を解放すると、システムモードは現在のモードに留まり、ユーザが、システムモードに影響を及ぼすことなく再び頭部を自由に動かすことを可能にする。このモード動作方式は、たとえば、ユーザが長期間にわたり術前データを快適に検討することを好む場合、有用である。
角度閾値312、314、316、および318は更に、ヒステリシス有効化制御を可能にし得る。たとえば、ノーマルゾーン302から看護士ゾーン304への閾値を横断する時、より大きな閾値が有効であり、再び看護士ゾーン304からノーマルゾーン302へ横断する時、より小さな角度閾値が有効であってよい。これは、頭部の向きが角度閾値に近い場合、不所望のモード切換えを回避するために有用である。ヒステリシス状態(有効/無効)およびヒステリシスサイズは、外科医120によって構成され得る。システム100は、単一の閾値から2つのヒステリシス生成閾値を自動的に生成してよい。
他の実施形態において、ゾーン302、304、306、308、および310は、正確な閾値で定められるわけではない。むしろ、ゾーン302、304、306、308、および310と関連するモードのアクティブ化は、外科医120による相対的なヘッドジェスチャに基づく。たとえば、自身の頭部をいずれかの方向へ10度より大きく向けながらフットスイッチ104のペダル104Cを押下することにより、現在のシステムモードから他のシステムモードへ切り換えるために必要な相対的回転方向に対応するようにシステムモードが切り換わる。
更なる実施形態において、フットスイッチ104からの入力は、モードを切り換えるために必要ではない。角度閾値312、314、316、および318は、システムモードを変更するトリガとして用いられる。領域の各々に対応するシステムモードは、HMD102の現在のP&Oに従って決定される。たとえば、術前モードに留まるために、外科医120は、自身の視線が(左方向への)角度閾値416を超えた状態であるように維持する必要がある。
また他の実施形態において、頭部を少し回すことによって角度閾値に「触れる」ことは、それぞれのゾーンに対応するシステムモードを切り替える。外科医120がフットスイッチ104を押下しながら角度閾値316に「触れる」と、システムは、ノーマルモードから、術前領域306に対応する術前モードへ切り換わる。このモードの間、外科医120は、自身の首を長期間歪めることなく、快適に前方へ視線を向けて術前データを見る。フットスイッチ104を押下しながら2度目に閾値316に触れることにより、システムモードは、ノーマル領域302に対応する「ノーマル」へ再び切り換わり、外科医がHMD102を介して術野124の生拡大画像を見ることを可能にする。フットスイッチ104は、フットスイッチ104の特定のペダルを押下しながら同時にヘッドジェスチャによって閾値に触れることのみが新たなシステムモードへの切換えをもたらすように、システムモード間での切換えを有効化するために用いられる。これは、不慮のモード切換えを回避するためである。
ここで、開示される技術の実施形態に従って構成され動作可能な、図3Aに関して説明されたゾーンと関連する、様々なシステムモードを呼び出すためにどのヘッドジェスチャが必要であるかをユーザに示すヒントがオーバレイされた生画像320の表示を示す図3Bが参照される。HMD102の視野上に表示された画像320は、ゾーン302と関連するノーマルモードに対応する。いくつかの実施形態において、外科医120は、システム100に関して、どのヘッドジェスチャがどのシステムモードを呼び出すかを外科医に示唆する特徴324、326、328、および330を表示することを選択する。特徴324、326、328、および330は、画像320の表示を不明瞭にしないように、視野の周囲に透明または半透明に表示される。符号「看護士」を有する特徴324は、外科医に、頭部を特徴324の方向に右へ向けることによって、図3Aのゾーン304に対応する看護士モードが呼び出されることを示唆する。符号「術前」を有する特徴326は、外科医に、頭部を特徴326の方向に左へ向けることによって、図3Aのゾーン306に対応する術前モードが呼び出されることを示唆する。符号「バイタル」を有する特徴328は、外科医に、頭部を特徴328の方向に上へ向けることによって、図3Aのゾーン308に対応するバイタルモードが呼び出されることを示唆する。符号「術野」を有する特徴330は、外科医に、頭部を特徴330の方向に下へ向けることによって、図3Aのゾーン310に対応する術野モードが呼び出されることを示唆する。この特徴は、外科医120がシステムに未だ不慣れである場合に有用であり、必要に応じてオンまたはオフに切り換えられ得る。同様に、外科医120は、状況と必要に応じて、フットスイッチ104を用いることなくヘッドジェスチャのみによるモード切換えを自由に有効化することを選択してよく、またはフットスイッチ104を介した有効化へ復帰してよい。
1つの実施形態において、特徴324、326、328、および330は、外科医120が、ヘッドジェスチャに基づくモード切換えを有効化するためにフットスイッチ104を押下した時のみ表示される。任意選択的に、特徴324、326、328、および330の表示は、デフォルト設定であってよい。留意すべき点として、特定の特徴324、326、328、および330の表示は、単なる典型例である。一般に、特徴は、現在のモードに対応する方式で表示される。したがって、異なるシステムモードは、異なる特徴を表示させる。たとえば、システム100が術前モードである場合、ノーマルモードへ戻るためには頭部を右に向けることを外科医120に指示する1つの特徴のみが、視野内の画像に重ねて表示される。そのような場合、現在「看護士」を示している特徴324はノーマルを示し、特徴326、328、および330は表示されない。
外科医120は、スクラッチ、または既存のモードを複写し、タッチスクリーン108を用いてそれを修正することによって、システムモードを定義し構成してよい。少なくとも2つのシステムモードが定義されると、外科医120は、HMD102を装着し、モード切換えが次に引き起こされることを所望する概ねの方向を凝視し、閾値によって定められたゾーンの各々と関連するモードを選択することによって、システムモードを向き領域と関連付けてよい。手術室内の位置によってモードが追加的に定義されると、外科医120は、システムモード切換えを引き起こす所望の位置へ物理的に移動してよい。これは、様々なシステム設定および構成をサポートする特別メニューおよびジェスチャを有する専用システムモードにおいて行われる。これは任意選択的に、初期セットアップまたは構成段階として各新規ユーザによって行われる。ユーザは、HMDメニューを介して単独で、またはタッチスクリーン上でGUIを操作する第2の人物の助けを借りて、モード指定を呼び出し操作してよい。
デフォルト表示状態は、フルスクリーン状態である。この状態において、HMD102は、外科医120に対し固定された状態で出現するフルスクリーンディスプレイ固定画像を表示する。HMD102を介して表示されたコンテンツは、HMD102にしっかり吊り下げられたスクリーンとして出現する。外科医120が自身の頭部を動かすと、スクリーンは彼と共に動き、彼に対し固定された状態で出現する。フルスクリーン状態に加えて、システム100は、仮想スクリーン状態を提供する。外科医120は、フルスクリーン状態から仮想スクリーン状態を呼び出してよい。仮想スクリーン状態は、たとえばフットスイッチ104のペダル104Bの押下、ヘッドジェスチャまたは音声コマンドの使用など、上述したユーザインタフェース方法の任意の組み合わせを用いて呼び出され得る。仮想スクリーン状態は、スクリーン状態のみを変化させ、現在のモードの他の全てのシステム特性(たとえば生画像フィードの表示)を変えずに維持する。
開示される技術の更なる実施形態によると、システムモード間の切換えは、仮想スクリーン状態によって実現される。仮想スクリーン状態において、コンテンツは、手術室に固定された状態で出現する世界固定の1または複数の仮想スクリーン内に表示される。外科医120が自身の頭部を動かすと、仮想スクリーンは、彼の視野の内外へ動き、そこに表示されたコンテンツを外科医120がスクロールすることを可能にする。外科医120と、仮想スクリーンの仮想位置との間の距離に依存して、外科医120は、一度に複数の仮想スクリーンを見得る。これは、図5Cに関して更に詳しく後述される。
仮想スクリーン状態を用いてシステムモードを切り換えるために、各システムモードは、そのシステムモードが選択された場合に外科医120がフルスクリーン状態で見ることになるコンテンツを表示しサムネイルの一種として機能する仮想スクリーンによって示され得る。これにより、外科医120は、モードを切り換えることなく、様々なシステムモードにおいて利用可能なコンテンツを同時にプレビューすることができる。仮想スクリーン上に表示されるコンテンツの詳細および解像度は、スクリーンサイズ、技術的問題、および帯域幅への制限によって、対応するフルスクリーン状態で表示されるものとは異なり得る。たとえば、フルスクリーン状態で出現するオーバレイ記号は、仮想スクリーン状態で表示されたサムネイル画像には出現しない場合がある。ただし、仮想スクリーンおよびフルスクリーン状態の両方で画像は実質的に同様である。外科医120は、たとえば既定の期間仮想スクリーンを凝視すること、またはフットスイッチ104の押下を伴うヘッドジェスチャなど、任意の適当なUI入力を用いて、仮想スクリーン状態でシステムモードを切り換えてよい。たとえば表示がオフにされたシステムモードのように、システムモードの全てが必ずしも仮想スクリーンによって表現されるわけではない。
システムモードが選択されると、スクリーン状態は、選択されたモードにおいてフルスクリーン状態に自動的に切り換わる。外科医120は、モードの切換え後、システム100が仮想スクリーン状態に留まるように構成してよい。この場合、スクリーン状態以外の全てのシステム特性が変化する。1つの実施形態において、仮想スクリーン状態は、それ自体が、外科医120がいくつかの仮想スクリーンを同時に見ることを可能にするシステムモードである。この場合、ユーザインタフェース特性を含む他の全てのシステム特性は、このシステムモードのために独自に定義される。
いくつかの実施形態において、システムモードは、タッチスクリーン108を介して切り換えられ得る。いくつかのアプリケーションにおいて、たとえば看護士などの第三者が異なるシステムモードに切り換えることを可能にすることが望ましい。この場合、看護士は、コンピュータ118に結合されたタッチスクリーンを提供される。タッチスクリーン108は、出席している無菌外科医のいずれかによる手術室内での使用のために無菌ナイロンでコーティングされ得る。
いくつかの実施形態において、システムモードは、音声コマンドまたはたとえば舌打ちなどの他の音響コマンドを介して切り換えられ得る。マイクロフォン138は、外科医120によって発された1または複数の音響コマンドを記録する。コンピュータ118は、たとえばシステムモードの切換えなどの様々なシステム機能を決定するために、音響コマンドを解析する。誤ったアクティブ化を回避するために、システム100は、たとえばシステム100の識別名の発声などによって、識別音と共に開始する音響コマンドのみに応答するように構成され得る。たとえば、外科医120は、システム100の識別名を読み上げ、システム100にノーマルモードへ切り換えるように指令することによって、ノーマルモードへ切り換えてよい。
開示される技術の他の実施形態によると、HMD102を介してメニューが表示される。メニューは、たとえばペダル104Bなどのフットスイッチ104のペダルを押下することによって、またはたとえば音声制御または専用ヘッドジェスチャなどの他のUI手段によって呼び出され得る。メニューの呼出しは、HMD102を介して現在表示されたコンテンツにメニューをオーバレイさせ、ヘッドジェスチャを介してオーバレイメニュー内の項目をナビゲートおよび選択することを可能にする。メニューは、HMD102を介して表示された現在の画像への半透明ディスプレイ固定オーバレイとして、または個別の仮想スクリーン内などに表示され得る。
たとえば、HMD102の異なる位置および向きが異なる機能に対応する図3Aに示す概念に従って、1つの位置および向きは、メニュー表示に対応してよい。HMD102を装着している外科医が既定の方向、たとえば下方向を見ると、メニューが表示される。いくつかの実施形態において、メニューは最初、少ない表示エリアしか占めないように小型または折畳み方式で表示され得る。他の実施形態において、メニューは、たとえばHMD102の前方向と直交するように、HMD102の前方向から離れる方向に(折畳みまたは通常状態で)表示される。メニューは、外科医が所定の期間、既定の方向を見続けた後、完全に開き得る。いくつかの実施形態において、メニューは、外科医が、他の機能を有効化するように構成されたヘッドジェスチャの一部として自身の頭部を向け、または方向付けた場合、呼び出されない。外科医120は、ヘッドジェスチャを介して、HMD固定オーバレイとして表示されたメニューをナビゲートし制御する。いくつかの実施形態において、フットスイッチ104の押下は、メニューを呼び出し、ユーザが、ヘッドジェスチャを用いて様々なメニュー項目をナビゲートし目立たせることを可能にし、フットスイッチの解放は、メニュー項目をアクティブ化させる。たとえば、メニュー項目を選択するために、外科医120は、フットスイッチ104における利用可能なペダルを押下し、メニュー項目を選択するために自身の頭部を操る。フットスイッチ104の解放は、選択されたメニュー項目に対応するアクションをアクティブ化する。
メニューは、限定されないがたとえばシステム100に関して利用可能な様々なシステムモードなどの任意の数のパラメータを羅列してよい。各システムモードは、記号、またはたとえばシステムモードのテキスト表現などのテキスト、たとえば「ノーマル」、「看護士」、「術前」などを含むメニュー項目によって表現される。システムモードに追加される他のメニューオプションがメニューに含まれ得る。追加のメニューオプションは、そのシステムモードにおいて制御可能な特性に関する、モード固有であってよい。たとえば、ノーマルモードにおいて、メニューは、投光照明をオンおよびオフに切り換え、赤目照明をオンおよびオフに切り換えることを可能にする項目を含んでよい。術前モードにおいて、これらのオプションは出現せず、代わりに、術前メニューは、利用可能な術前データセットを含むフォルダの開放を有効化し、どのデータセットを表示するかを選択するためのサブメニューを表示してよい。術前メニューは更に、術前データを表示するための様々な属性を制御するための項目を含んでよい。メニューオプションは、モード固有、処置固有、および段階固有であってよく、すなわち、システムモードおよび処置中の段階に依存してメニュー外観は変化してよい。システムモード間の切換えに加えて、メニューは、状態間の切替えを可能にする。
いくつかの実施形態において、メニューは、HMD102によって提供される表示エリアの中心に表示された生画像を遮断しないように、HMD102のディスプレイの余白に表示される。外科医120が、余白に表示されたメニューの各メニュー項目をナビゲートすると、外科医120に、彼がメニュー上のどこにいるか、およびそのメニュー項目を選択する効果が何であるかを示すために、メニュー項目の機能は一時的に有効化され得る。たとえば、外科医120が、緑色染料を噴射された膜を見ることを可能にするために緑色を強調するメニュー項目の上でナビゲートすると、その機能は一時的に有効化され、外科医120が生画像を注視し続けることを可能にしながら、外科医120に、彼が現在どのメニュー項目をナビゲートしているか、およびそのメニュー項目を選択する効果が何であるかを示してよい。ただし、いくつかのメニュー項目は、HMD102を介して表示された生画像を凝視しながら瞬時に明らかではない機能と関連し得る。外科医120が、自身によるメニューのナビゲーションを追跡しながら生画像を注視し続けることを可能にするために、新たなメニュー項目が強調された時、たとえば音または振動などの非視覚インジケータが引き起こされ得る。これは、外科医120が、自身によるメニューのナビゲーションに直接目を向けることなくそれを追跡することを可能にするので、外科医120は、生画像を注視し続けることができる。
いくつかの実施形態において、ディスプレイの右側余白におけるメニューは、アプリケーション専用である。そのようなアプリケーションの例は、術前OCTアプリケーション、教示アプリケーション、事前計画アプリケーション、フェイコビトレクトミー設定およびメトリクスアプリケーション、術中OCTアプリケーションなどを含む。たとえば、フットスイッチメニューボタンを押下すると、ディスプレイの左側余白におけるメニューはメインメニューであり、ディスプレイの右側余白におけるメニューはアプリケーション専用であり、対応するメニュー項目をアクティブ化することによってアプリケーションをオンにすることを可能にする。メニューの2つのブランチ(すなわち、ディスプレイの左側および右側余白におけるメニュー)間の切換えは、頭部を左右に向けることによって行われる。
他の実施形態において、アプリケーションがオンにされ、次にフットスイッチメニューボタンが押下されると、右側余白に出現するメニューは、アクティブ化されたアプリケーションのための専用メニューである。たとえば、術前OCTアプリケーションがアクティブ化されると、B走査を有するPIPがディスプレイ内に出現し、B走査の位置を示す直線が生画像上にオーバレイされる。フットスイッチメニューボタンが押下されると、右側余白に出現するメニューは、ディスプレイの右側余白における一般アプリケーションメニューではなく術前OCTアプリケーションのための専用メニューである。外科医120は、たとえば生画像上のB走査位置を示す直線のオーバレイをオンおよびオフにするため、異なるOCT走査セットがPIP内に表示するために選択され得る他のスクリーンへ切り換えるため、術前OCTアプリケーションをオフにするため、などのために、専用メニューからメニュー項目をナビゲートし選択してよい。術前OCTアプリケーションが閉じられ、次にフットスイッチメニューボタンが押下されると、ディスプレイの右側余白に一般アプリケーションメニューが出現する。留意すべき点として、これらの例は、UI160を介して制御され得るシステム100の特徴の範囲を例示するために与えられたものにすぎない。
更なる実施形態において、メニューを呼び出し操作するために用いられたのと同じフットスイッチボタンは、フットスイッチボタンを押下しながら同時に頭部を回すことによって、スクリーンの切換えも有効化してよい。たとえば、フットスイッチメニューボタンを押下しながら、頭部をわずかに右へ向けると、ディスプレイの右側余白に出現するメニューブランチ内の第1のメニュー項目が強調される。頭部を更に右へ向けることは、スクリーンの切換えを引き起こし得る。
以下の例は、処置固有および段階固有のメニューオプションに関して与えられる。白内障処置の間、外部機械(不図示)がシステム100に接続され得る。外部機械は、ディスプレイモジュール130にレンダリングされた生拡大ビデオ上のオーバレイとして表示するためのデータを導入する。外部機械が接続されたことをシステム100が識別すると、ディスプレイモジュール130は、「外部データオーバレイ」および「破裂ガイダンス」の「有効」および「無効」状態を切り替えるためのメニューオプションを表示する。取り込まれたデータに基づいて、たとえば超音波水晶体乳化吸引段階などの処置段階が完了したことをシステム100が識別すると、ディスプレイモジュール130は、「破裂ガイダンス」ではなく「IOL整合性ガイダンス」の「有効」および「無効」を切り替えるためのメニューオプションを表示する。
メニューは、新たなシステムモードを選択し切り換えること、および以前のシステムモードへ戻ることを含む、システム100の特徴および態様を制御するために用いられ得る。P&Oゾーンのみに従ってシステムモードにアクセスすることは、利用可能なシステムモードの数を、視野内のゾーンの数に制限し得るので、メニューは、利用可能なシステムモードの数を増加することを可能にし得る。したがって、1つのシステムモードは、他のシステムモードを選択するためのメニュー項目を提示するメニューモードであると同時に、追加のシステム特徴およびパラメータを制御するための項目であってよい。メニューモードである間、システムモードに関するメニューは、UI機能モード固有で、HMD102を介して表示されてよく、すなわち外科医120による特定のジェスチャおよび動きは、メニューモードである間、1つの機能をもたらし、異なるシステムモードにおいて異なる機能をもたらす。メニューモードは、たとえばフットスイッチ104におけるペダル104Cの押下、マイクロフォン138によって記録される音声コマンドの発出、ヘッドジェスチャの実行、眼部運動などの1または複数を行うことなど、任意の適当なUIインタフェースを用いて呼び出され得る。
ここで、全体として、開示される技術の更なる実施形態に従って構成され動作可能な、拡大画像414の表示にオーバレイされた典型的なシステムモードメニューを示す図4A~4Cが参照される。後述する正確な実装の詳細は、典型例として意図され、本発明を限定するものではない。システムモードメニュー400は、外科医120が、生画像ストリーム414を見ながらシステムモードを切り換えることを可能にする。システムモードメニュー400は、図3Aのゾーンのレイアウトと同様に出現するが、これは必要条件ではない。外科医120は、フルスクリーン状態で構成されたHMD102(図1A)を介して術野124の生拡大画像ストリーム414を見る。外科医120は、たとえばフットスイッチ104のペダル104Bを押下することなどの既定のフットジェスチャを行う。それに応答して、コンピュータ118は、拡大画像ストリーム414上にオーバレイされたシステムモードメニュー400を表示する。システムモードメニュー400のメニュー項目は、たとえば表示画像を不明瞭にしないために、拡大画像ストリーム414上に透明にオーバレイされる。
示された典型的な実装において、システムモードメニュー400は、メニュー項目402(ノーマル)、404(バイタル)、406(看護士)、408(術野)、410(術前)、および412(キャンセル)を含む。現在のシステムモードはノーマルであるため、要素402が強調される(図4A)。いくつかの実施形態において、メニュー項目は、それらの機能に従って空間的に配置される。たとえば、看護士が術野124に対して右側にいる手術室において、メニュー項目406(看護士モード)は、HMD102の視野の右側に表示され、メニュー項目402(ノーマルモード)は、視野の中心に表示される。システムモードメニュー400をナビゲートするために、外科医120は、フットスイッチ104のペダル104Bを押下しながら自身の頭部を回す。
図4Bを参照すると、外科医120は、自身の頭部を左へ向け、メニュー項目402と410とを分離する角度閾値と交差させる。強調は、メニュー項目402からメニュー項目410(術前モード)へ切り換わる。1つの実施形態において、強調のみが術前モードメニュー項目410に切り換わっている。システムモードは、未だ切り換わっていない。外科医120がペダル104Bを解放するためにフットスイッチ104から足を持ち上げると、システムモードは、選択されたメニュー項目410に対応するモード、たとえば術前モード(図4B)に切り換わる。他の実施形態において、強調されたメニュー項目が切り換えられると、システムモードが切り換わったかのように背景画像も変化し、ユーザが、そのメニュー項目と関連する画像のプレビューを見ることを可能にする。
図4Cを参照すると、外科医120は、ペダル104Bを押下したままで自身の頭部を右下角部へ向ける。彼の頭部の角度が、キャンセル選択に対応するメニュー項目412に関して設定された角度閾値と交差すると、強調は、メニュー項目412(キャンセル)に切り換わる。外科医120は、システムモードを変更することなくメニュー400を隠すために、フットスイッチのペダル104Bを解放することによってメニュー項目412を選択し、ペダル104Bの押下によってメニュー400をもたらすアクションをキャンセルする。このように、外科医120は、システムモードメニュー400をキャンセルし、システム100は、現在のシステムモードのままである。
この実施形態において、スクリーン状態は、ディスプレイ固定である。外科医が自身の頭部を動かすと、その頭部運動とは無関係に、画像414は彼の視野内で固定されたままである。しかし、固定された画像414上にオーバレイされたメニュー400の選択されたメニュー項目に関する強調は、彼の頭部運動と共にシフトする。
選択されたメニュー項目は、たとえばそのメニュー項目を様々なフォント、背景色で表示すること、そのメニュー項目を指すカーソルを表示すること、またはそのメニュー項目を他の選択されていないメニュー項目と区別するための他の任意の適当な技術によって、様々な方法で強調され得る。強調は、フットスイッチ104が押下されながらHMD102が第2のメニュー項目へ向かって回転すると、1つのメニュー項目から隣のメニュー項目へ移動する。これは図4Bに示される。外科医が自身の頭部を左へ向けると、術前モードに対応するメニュー項目410が選択され、強調して示され、ノーマルに対応するメニュー項目410は選択を外され、通常通りに表示される。外科医120は、自身のヘッドジェスチャへのシステム100の応答をパーソナライズしてよい。たとえば、頭部運動は、小さな頭部の傾きが、対応して大きな角度シフトに転じるように、またはその逆であるようにスケーリングされ得る。あるいは、HMD102の向きは、メニュー項目を選択する、メニュー400上に表示されたカーソル(不図示)を制御する。HMD102の向きを操作することがカーソルを操作し、たとえば、上下および左右の頭部運動は、それに応じてカーソルを上下および左右に動かす。フットスイッチ104の解放は、現在選択されているメニュー項目に対応するシステムモードをアクティブ化し、それによってシステムモードを切り換える。
他の実施形態において、アイトラッキングは、メニュー400を制御するために実施され得る。眼部運動は、上記の頭部運動の役割を果たす。メニュー項目を凝視することは、メニュー項目を強調してよく、既定の期間より長く連続的に凝視することは、メニュー項目をアクティブ化してよい。
システムモード以外の機能を選択するために、追加のメニューがHMD102を介して表示され得る。いくつかのメニュー項目は、選択されると1または複数のサブメニューを表示するために拡大され得る。選択方法は、フットスイッチ104のペダルの1つを押下または解放すること、既定の期間より長くメニュー項目が強調された状態を維持すること、マイクロフォン138によって検出される音声コマンドを用いること、または他の適当なUI方法によって実施され得る。サブメニューに拡大されると、サブメニューが元のメニューと入れ替わってよく、または元のメニューと共に表示され得る。メニューは、たとえばバック/リターンおよびイグジット/キャンセルなどの標準的なメニュー操作項目も含んでよい。
いくつかのメニュー項目は、UI160を介してオンおよびオフに切り替えられ得る。切替え項目は、2つの状態を切り換えるメニューオプションであり、現在表示されているメニューオプションは、現在アクティブではない状態を表す。たとえば、シャッタ132が閉じている場合、シャッタを制御するためのメニューオプションは「シャッタを開く」と現れ、逆も然りである。メニューにおける切替え項目の例を以下に記載する。
○メニューを介して制御可能な基本HMDシステム動作
・ディスプレイ(オン/オフ)。これは、ディスプレイをシャットオンまたはオフにする。ディスプレイがオフにされると、画像は表示されないが、ユーザがディスプレイをオンに戻すことを可能にするためにメニューを呼び出す(すなわち表示する)ことはできる。ディスプレイ状態を制御することは、HMDが透明であるVGS処置において有用である(すなわち、HMDがシャッタを備える場合、この段階でシャッタは開く)。これらの処置において、ユーザは、画像が術野を見ることを邪魔しないように、HMDによるガイダンスを必要としない処置段階においてディスプレイをオフにすることを所望し得る。
・フルスクリーン/仮想スクリーン。フルスクリーン状態において、1つのスクリーンのみがFOVを満たすが、仮想スクリーン状態において、複数の仮想スクリーンが表示される。スクリーン状態は、図5A~5Cに関して更に後述される。
・シャッタ(開/閉)。これは、シャッタ132の状態を制御する。シャッタ132は、たとえばスクリーンの大部分が透明である時に現実世界ビューにオーバレイされた特徴を表示する場合など、部分的に開閉されてもよい。
・赤目照明(オン/オフ)。
・記録(オン/オフ)。これは、外科医120が、後の段階で呼び戻され得る外科処置の一部を記録することを可能にするシステム100の特徴を制御する。
○アドバンスドHMD動作(有効/無効)、以下の1または複数。
・自動フォーカス、
・自動センタリング、
・自動ズーミング。
○HMDディスプレイパラメータ(オン/オフ)。
・表示される各既定のPIPに関するPIPオン/オフ切替え、
・HMD102を介して外部で取得されたデータを表示するための外部データオーバレイ。
・様々な処置固有および段階固有のオーバレイ記号、画像、およびモデル。
・指定ポインタ/カーソル。
○iOCT(オン/オフ)。これは、OCT画像を制御する。
いくつかの実施形態において、モード固有メニューに加えて、UI160は、システム100の様々な機能を制御するため専用の固有メニューを表示する。たとえば、UI160は、ズーム、フォーカス、照明、および他の機能の各々を制御するために異なる専用メニューを表示する。各専用メニューは、外科医120が、特定の機能のみに関係するオプションにアクセスすることを可能にする。たとえば、フォーカス機能専用のメニューは、外科医120が、様々な自動フォーカス設定を選択することを可能にする。
いくつかの実施形態において、外科医120は、メインメニューを介して固有機能専用のメニューにアクセスする。他の実施形態において、外科医120は、たとえばメニューをアクティブ化するためにフットスイッチ104のボタンを2回押下することによって、固有機能専用のメニューに直接アクセスする。たとえば、外科医120は、照明を制御するためのヘッドジェスチャを有効化するフットスイッチ104のボタンにおいて2回の短い押下の後に長い押下を行うことによって、照明機能専用メニューを開いてよい。外科医120は、ヘッドジェスチャまたはアイトラッキングを用いて、本明細書で説明されるような専用メニューをナビゲートし、フットスイッチ104のボタンを解放することによって、強調されたメニューオプションをアクティブ化してよい。
いくつかの実施形態において、外科医120は、フットスイッチ104の関連ボタンを部分的にしか押下しないこと(たとえば半分までの押下)によって、またはフットスイッチ104を押下しながら音声コマンドを発することによって、またはフットスイッチ104を押下しながら、たとえば頷きなどのヘッドジェスチャを行うことによって、専用メニューを開く。たとえば、「イエス」のヘッドジェスチャは、有効化された機能(たとえばフォーカス、ズーム、照明など)を制御してよく、「ノー」のヘッドジェスチャは、専用メニューを開いてよい。
たとえば、外科医120が、フォーカス機能を有効化するためにフットスイッチボタンを押下しながら自身の頭部を左右へ向けた場合、たとえば自動フォーカス特徴などのフォーカス機能を制御するための専用メニューがディスプレイ上に出現する。この専用メニューを介して、外科医120は、自動フォーカスが、指定した点、外科用ツールなどに作用するか、および自動フォーカシングがワンタイムであるか連続的であるかを選択してよい。
いくつかの実施形態において、フットスイッチ104を介してアクションを有効化する際、外科医は、連続的な(すなわち滑らかな)アクションを制御するために(自身の頭部を上下に動かすことによって)「イエス」の動きを行うが、左右に向く動きを行うことは、有効化されたアクションと関連する2つの個別アクションをアクティブ化し、または切り替える。あるいは、左へ向くヘッドジェスチャは、個別アクションを切り替えてよく、右へ向くヘッドジェスチャは、専用メニューを開いてよい(または逆も然りである)。
たとえば、「照明」を有効化する際、上下のヘッドジェスチャは、照明強度を変更し、「左へ向く」ヘッドジェスチャは、2つの個別レベル間で照明を切り替える。たとえば、一方のレベルは「高」であり、他方は「低」であってよい。任意選択的に、これらのレベルは事前に決定され、ユーザによって構成され得る。任意選択的に、外科医が手術中に照明レベルを調整した後、システム100は、照明レベルを記憶し、次に照明アクションが(高から低へ、またはその逆に)切り替えられた時、同じ照明レベルを復元する。この例を続けると、「右」ジェスチャは、照明を「オン」および「オフ」状態の間で切り替える。
他の例として、「フォーカス」を有効化する際、左ヘッドジェスチャは、自動フォーカス機能の「オン」または「オフ」を切り替えてよく、右ジェスチャは、フォーカス機能を制御するための専用メニューを開いてよい。ここで、開示される技術の実施形態に従って構成され動作可能な、システム設定を示す1または複数のステータスバーを表示するための実装を示す図4D~4Gが参照される。図4D~4Gの図は、単なる典型例であることが意図され、他のシステムインジケータが追加されてよく、または図4Dに示すインジケータと入れ替わってよい。図4Dを参照すると、ステータスバー420は、システム100の様々な設定に関する現在の構成を示す複数の様々な記号を含む。ステータスバー420は、たとえばUI160を介した外科医120による入力に応答して、HMD102を介して表示される。ステータスバー420は、クロック422、ROIインジケータ424、フットスイッチインジケータ426、照明インジケータ428および430、システムモードインジケータ432、および色補正インジケータ434を含む。クロック422は、現在の時刻を表示する。ROIインジケータ424は、ROI全体に対する表示ROIを示す。図4Dにおいて、ROIインジケータ424は、たとえば外科医120が生画像の拡大部分を見るためにズームイン特徴を使用する場合に生じ得る、ROI全体を示す大きな長方形内に位置する、表示ROIを示す小さな長方形を表示していた。現在の倍率を示す数字が表示される。フットスイッチインジケータ426は、フットスイッチ104の利用可能な機能を示す。示された例において、利用可能な機能は、4つのアイコンによって示される。時計回りに移動すると、左上角部のアイコンはXYモータのスクロールを示し、右上角部のアイコンは照明を示し、右下角部のアイコンはフォーカスを示し、左下角部のアイコンはズームを示す。いくつかの実施形態において、フットスイッチ104の現在アクティブな機能を示すアイコンが強調される。照明インジケータ428は、赤目照明が「オン」に設定され、レベルが62であることを示す。照明インジケータ430は、投光照明が「オン」に設定され、レベルが65であることを示す。システムモードインジケータ432は、現在のシステムモードを表示し、この例において、それは後眼部モードである。色補正インジケータ434は、画像に適用された色補正の種類を表示し、この例では、色補正はされていない。ステータスバー420は、たとえばディスプレイの上部または外科医120によって設定された他の任意の位置など、HMD102を介して任意の適当な位置に、両目に表示される場合、任意の深さで表示されてよく、深さは設定され得る。いくつかの実施形態において、ステータスバー420は、パラメータが変更された時のみ表示される。ステータスバー420は、たとえばフィールドの深さ、デジタル利得などの追加のシステム特徴、およびたとえば氏名、年齢、性別、外科医または複数の外科医の氏名を含む患者データ、日付、場所、病院名または医院名などの他の適当なパラメータを含んでよい。
ここで、現在のシステム構成を外科医120に示すステータスバー420がオーバレイされた、外科処置を受けている患者の目の生画像を示す図4Eが参照される。
ここで、ステータスバー420に加えて、第2のステータスバー442がオーバレイされた図4Eの生画像を示す図4Fが参照される。この典型的な実装において、ステータスバー442は、照明設定に対する最新の変更を示す弓形である。ステータスバー442は、照明になされた変更に応答して、システム100の現在の設定について外科医120に最新情報を与えるために表示される。
ここで、外科処置を受けている患者の目の他の生画像444を示す図4Gが参照される。ステータスバー446およびステータスバー448が生画像444上に表示される。ステータスバー446は、図4Eのステータスバー420とは異なって構成される。ステータスバー448は、たとえばフェイコビトレクトミーマシンなどの外部デバイスがシステム100に接続されると出現し、外部デバイスに対応するシステム設定を表示する。いくつかの実施形態において、ユーザは、ステータスバー420を継続的に表示するように、またはユーザ入力やモード変更に応答してステータスバー420を隠すようにシステム100を構成してよい。いくつかの実施形態において、デフォルト設定は、ステータスバー420を継続的に表示することである。いくつかの実施形態において、システム100は、ステータスバー420に加えて複数の様々なステータスバー(不図示)を提供する。各ステータスバーは、異なって構成されてよく、1または複数のステータスバーが、連続的に表示されるように構成され、1または複数のステータスバーが、パラメータ変更のいずれかに応答して、ユーザ入力に応答して、外部デバイスの検出に応答してなどで表示される。
いくつかの実施形態において、システム100は、フェイコプローブが水晶体嚢の中心にない時、リマインダまたは警報を発してよい。いくつかの実施形態において、システム100は、選択された外科技術に依存して、たとえばチョッパがフェイコプローブの下に位置していない場合、リマインダまたは警報を発してよい。システム100は、たとえば画像処理を介して検出され得るように、後嚢がフェイコの方へ吸い込まれた場合、外科用器具の吸引を自動的に停止し得る。システム100は、外科処置の画像の処理、iOCTデータの解析、目の術前または術中モデルの解析などのいずれかを用いて患者120とツールとの間の距離を計算するために、外科医120によって使用される外科用ツールを追跡してよい。
いくつかの実施形態において、システム100は、たとえば生画像に画像処理技術を適用すること、術中OCTデータ(iOCT)に画像処理技術を適用することなどによって、1または複数の外科用ツールを追跡してよい。システム100は、光学追跡または電磁追跡などに基づく専用ツール追跡サブシステムを有してよい。任意選択的に、ツール追跡サブシステムは、目の術前または術中モデルにも基づく。
ツール追跡機能は、様々な特徴のために用いられ得る。たとえば、ツール追跡は、ユーザが、外科処置中に電子ペンとして用いられる外科用ツールを使用することを可能にする。これは、監督外科医が執刀医をガイドするために生画像にマーキングを施し得る教示モードにおいて役立ち得る。UI160は、外科医120が、たとえば音声コマンド、フットスイッチ104などを介して、描画特徴をオンまたはオフに切り換えることを可能にする。あるいは、物理的ツールがシステム100とペアにされ、仮想ボタンを押下するため、またはHMD102を介して表示されたメニュー項目を選択するため、たとえば後眼部処置において網膜周囲に、または前眼部処置において目の周囲に表示され、または手術室内のどこかに表示されたメニューから項目を選択するために用いられ得る。
ツール追跡機能は、ツールの先端と、患者、たとえば眼科手術の場合は網膜との間の距離を検出し、示すために用いられ得る。ツール追跡機能は、たとえば水晶体吸引を自動的に停止することなどの自動安全対策を開始するために用いられ得る。ツール追跡機能は、処置中、外科医120をガイドするために用いられ得る。これらの例は、単なる典型例として意図され、この機能を与えられた特定の例に限定するものではない。
ここで、ユーザインタフェース160を介して制御可能なシステム特性の説明を以下に示す。留意すべき点として、いくつかのシステム特性は、モードを切り換える時にユーザによって間接的に制御される。たとえば、異なるモードへの切換えは、カメラヘッド110の位置決め、またはカメラのアクティブ化、または照明器を変更し得る。ユーザは、これらの設定を直接調整することができず、システムモードおよびシステム100に内在する他の設定を切り換えることによって間接的にしか調整することができない場合がある。このリストは限定を意図しない。各システムモードは、以下のシステム特性の2つ以上によって特徴付けられる。
‐ディスプレイ状態(オン/オフ)、
‐スクリーン状態(ディスプレイ/世界固定)、
‐シャッタ状態(開/閉)、
‐表示コンテンツの選択(生画像/術前/他)、
‐照明状態、
‐色補正スキーム、
‐画像増強スキーム、
‐眼部反転状態、
‐モータ速度状態、
‐モータ境界状態、
‐ピクチャインピクチャ(PIP)の表示(オン/オフ)
‐ユーザインタフェース設定、
‐ディスプレイオーバレイ、および
‐iOCT設定。
HMD102に関するディスプレイ状態は、「オン」または「オフ」に設定されてよく、モジュール130に関するデフォルトディスプレイ状態は、「オン」である。ディスプレイがオフにされると、コンピュータ118は、ディスプレイモジュール130Aおよび130Bに関する画像ソースを停止する。あるいは、コンピュータ118は、HMD102へ黒画像をストリーミングする。
HMD102に関するスクリーン状態は、画像およびコンテンツがどのように外科医120に表示されるかを定義する。HMD102に関して、フルスクリーンディスプレイ固定状態および仮想スクリーン世界固定状態という2つのスクリーン状態が存在する。フルスクリーンディスプレイ固定状態において、画像は、HMD102にしっかり吊り下げられたスクリーンに表示されているように出現し、表示画像は、固定されたままで外科医120と共に移動する。これがデフォルト状態である。世界固定状態において、1または複数の仮想スクリーンは、手術室に固定されているかのように表示される。外科医120が自身の頭部を動かすと、表示コンテンツは、表示コンテンツの一部がHMD102のFOVを出入りするように変化する。
ここで、開示される技術の他の実施形態に従って構成され動作可能な、ディスプレイモジュール130がディスプレイ固定状態である時、外科医120によって知覚されるような投影画像を示す図5Aが参照される。図5Aは、フルスクリーンディスプレイ固定状態で表示された画像500および502を示す。HMD102の視野は、カメラシステム112を介して取得された生拡大画像で満たされ、外科医120の頭部に固定されているかのように表示される。要素512および514は、外科医120の頭部の向きを示す。要素512および514の破線矢印は、正面を向いた向きを示す。画像500に関する要素512の実線矢印は、外科医120の向きが正面を向いた向きから5°右であることを示す。画像502に関する要素514の実線矢印は、外科医120の向きが正面を向いた向きから25°右であることを示す。向きを変えるために自身の頭部を動かすことにより、スクリーンが自身の頭部に固定されているかのように、視野内に出現する画像が変わるのではなく、ヘッドジェスチャを行うと同時に自身と共に動く。
ここで、全体として、開示される技術の更なる実施形態に従って構成され動作可能な、各々が外科医120の頭部の異なる位置および向きに対応する、それぞれHMD102を介して仮想スクリーン世界固定状態で表示された2つのビュー504および506を示す図5B~5Cが参照される。図5B~5Cに示すビューにおいて、2つの隣接した仮想スクリーン508および510は、外科医120から同じ距離から、同じ(仮想)サイズを有して表示される。他の実施形態において、様々な(仮想)サイズ、位置および距離を有する複数の仮想スクリーンが用いられ得る。外科医120は、世界固定仮想スクリーン508および510の両方を介して表示された画像を同時に見る。仮想スクリーン508は、術野の生ビデオを表示し、仮想スクリーンは、術前データを表示する。
ビュー504および506の各々は、仮想スクリーン508を介して表示された生画像フィード、および仮想スクリーン510を介して表示された対応する術前データを含む。仮想スクリーン504および506は、手術室(OR)内の固定位置に設置されたモニタであるかのように出現する。図5Aに示すように、図5B~5Cの要素512および514はそれぞれ、外科医120の頭部の向きを示す。要素512および514の破線矢印は、正面を向いた向きを示す。ビュー504(図5B)に関する要素512の実線矢印は、外科医120の向きが正面を向いた向きから5°右であることを示す。ビュー506(図5C)に関する要素514の実線矢印は、外科医120の向きが正面を向いた向きから25°右であることを示す。
示されるように、図5Cのビュー506は、外科医120の右方向への頭部運動に対応する、図5Bのビュー594に対して左にシフトされたかのように出現する。ビュー506(図5B)内の仮想スクリーン508は、ビュー504(図5C)内の仮想スクリーン508よりも小部分の生ビデオを示し、ビュー506(図5C)内の仮想スクリーン510は、ビュー504(図5B)内の仮想スクリーン510よりも大部分の術前データを示す。自身の頭部を左右に動かすことによって、外科医120は、仮想スクリーン508および510に同時に表示されたデータをスクロールし、必要に応じて、各々においてより大部分または小部分を見ることが可能である。精密な世界固定スクリーンの実装は、全***置および向き追跡を実施するためのトラッキング部品134を備える6自由度(DOF)ヘッドジェスチャトラッカを用いて実現され得る。いくつかの実施形態において、仮想スクリーンモードは、たとえばスクリーンの絶対位置が必要ではない場合、頭部の向きのみをサポートする3-DOFトラッカを用いて実装され得る。
ここで、開示される技術の他の実施形態に従って構成され動作可能な、仮想スクリーン状態の典型的な実装を示す図5Dが参照される。図1Aの外科医120は、HMD102を装着し、患者122に手術をしながら、図5B~5Cの2つの仮想スクリーン508および510を観察する。仮想スクリーン508は、カメラ140Aおよび140B(図1E)によって取得された生画像フィードを表示し、仮想スクリーン510は、手術室内に配置された他のモニタに表示されているかのように出現する術前データを投影する。HMD102を介して表示されるコンテンツは、システムモードによって決定され得る。表示されるコンテンツに関するオプションは、カメラシステム112を介して取得された生画像ストリーム(デフォルト)、術前データ(たとえば患者に関する医療画像および/またはデータ)、術中データ(すなわち、たとえばフェイコビトレクトミーシステムなどの他のデバイスからのデータ)、内視鏡カメラ(不図示)から提供された生画像ストリームを含んでよい。いくつかの実施形態において、オプションは更に、外科医120が、並行した手術の進捗を追うことを可能にする、隣接する手術室内の同様のシステムから取得された生画像ストリームを見ること、待機室内に設置されたWi-Fiカメラから提供された生画像ストリーム、手術中に参照するための画像およびビデオのクラウドベースのライブラリの閲覧などを提供する。カメラ140Aおよび140Bによって取得され、HMD102を介して投影されるビデオは、3Dである。外科医120の各目は、対応するカメラからのビデオフィードを見る。HMD102を介した他のビデオおよび画像表示は、2Dまたは3Dのいずれかであってよい。たとえば、クラウドベースのライブラリからのビデオは3Dであってよく、術前画像は2Dであってよい。
HMD102(図1C)のシャッタ132のシャッタ状態は、開かれ、または閉じられてよく、顕微鏡手術におけるデフォルト状態は、閉じた状態である。シャッタ132が閉じている時、ディスプレイモジュール130は不透明であり、外科医120が、表示画像のコントラストを低下させる表示画像の後側の周囲光を見ることなく、HMD102を介して表示された画像を見ることを可能にする。シャッタ132が開いている時、ディスプレイモジュール130は透明であり、外科医120が現実世界ビューを見ることを可能にする。シャッタ132が部分的に開いている時、ディスプレイモジュールは、たとえば拡張現実型アプリケーションにおいてVGS処置中にPIP内に1または複数の特徴を表示する時、ピクチャインピクチャ(PIP)の後側の背景を隠してPIP内の画像のコントラストを増強するために、シャッタ132が開いている部分が透明であり、シャッタ132が閉じている部分が不透明である。
照明システム114に関する個別の照明状態は、投光照明をオン、オフ、またはローに選択すること、同軸照明をオン、オフ、またはローに選択すること、自動照明状態を選択することを含む。照明システム114は更に、連続照明状態を含む。自動照明が有効化されると、システム100は、画像ヒストグラム解析、他の画像処理解析、HMD102の位置および向き、外科処置の進捗、および追加のパラメータの関数として照明を自動的に調整する。自動照明に関する設定は、有効および無効(デフォルト)を含む。
自動センタリング状態が有効化されると、システム100は、システムモードに依存する既定の設定に従って拡大画像を自動的にセンタリングする。たとえば、前眼部モードにおいて、センタリングはXYモータを用いて行われてよく、後眼部モードにおいて、センタリングは、全体撮像フレームから得た表示ROIを変更することによってデジタルに、または患者の眼球が動いた時にXYモータを用いることによって行われ得る。センタリングは、センタリング特性を規定する既定の設定に従って画像解析に基づく。自動センタリングに関する設定は、
○有効、
○無効(デフォルト)
を含む。
オートフォーカシングが有効化されると、システム100は、ユーザ嗜好に従って拡大画像に自動的にフォーカスする。ユーザは、(カメラヘッドまたは患者が移動した場合)システムが次にロックし、フォーカスした状態に維持する術野内の点を指定してよい。あるいは、ユーザは、ツールの先端に自動的にフォーカスするように選択してよい。後眼部処置において、ユーザは、照明された領域の中心に自動的にフォーカスするように選択してよい。自動フォーカシングに関する設定は、
○ロック、
○ツールチップ、
○中心、
○無効(デフォルト)
を含んでよい。
様々な色補正スキームが、システムモードを介して有効化され得る。たとえば、オプションは、
○投光照明のための補正(デフォルト)、
○様々なファイバ照明源のための補正、
○様々な染料を用いる時の増強のための補正、および
○ユーザ構成可能な配色
を含む。
眼部反転状態は、システムモードを介して間接的に制御される。ノーマル状態(デフォルト)において、左カメラ140Bからのビデオストリームは、外科医120の左目にストリーミングされ、右カメラ140Aからのビデオストリームは、右目にストリーミングされる。反転状態は一般に、非接触レンズを用いる後眼部眼科処置のために用いられる。反転状態において、左カメラ140Bからのビデオストリームは、外科医120の右目にストリーミングされ、右カメラ140Aからのビデオストリームは、左目にストリーミングされる。画像もまた180度回転される。
モータ速度状態は、カメラシステム112に関するカメラフォーカス、カメラヘッド110に関するX、Y、およびZ位置などを制御する、システム100の様々なモータに関するパラメータを定義する。この状態に関するオプションは、高速/低速を含む。
モータ境界状態は、カメラヘッド位置決め器111内に統合されたモータの各々に関する自由度を制限する。オプションは、フルモーションおよびリミテッドモーションを含む。
ピクチャインピクチャ(PIP)の表示は、外科医120によって制御される。各PIPに関するオプションは、オフ(デフォルト)、オン、その他を含む。外科医120は、PIPの数およびPIP位置に関するいくつかの既定のオプションを定義し、各システムモードにおいてどのオプションが有効であるか、および各システムモードにおいて各PIP内にどのコンテンツが表示されるかを決定してよい。
どのアクションがどのユーザ入力に対応するかを定義するユーザインタフェース設定は、外科医120によって、または他のオペレータによってカスタマイズされ得る。いくつかの実施形態において、ユーザインタフェースに関する様々な設定は、タッチスクリーン108を介して制御される。ユーザインタフェース設定のためのオプションは、以下を含む。
○フットスイッチ104に関する設定。これらの設定は、フットスイッチ104の各ボタンまたはペダル104A、104B、および104Cに、どのコマンドが属するかを定義する。
○ヘッドジェスチャ定義。これらの設定は、外科医120による各ヘッドジェスチャにどのコマンドが属するかを定義する。
○メニュー定義。これらの設定は、外科医120によってメニューが呼び出された時にどのオプションが出現するかを定義する。
○音声コマンド設定。これらの設定は、音声コマンド機能状態(オン/オフ)を切り換え、外科医120が、必要に応じて、システム100の音声制御特徴をオンまたはオフに切り換えることを可能にする。音声コマンド設定は、外科医120によって好まれるコマンドをコンピュータに習熟させるために、たとえば機械学習などの既知の技術を用いてパーソナライズされ得る。
理解すべき点として、このリストは単なる典型例であり、網羅的であることは意図されない。
コンピュータ118は、外科処置中に外科医120をガイドするための様々なオーバレイ記号の表示を制御する。ディスプレイオーバレイ設定は、HMD102を介して表示された画像にどの記号がオーバレイされるかを定義し、外科医120によってカスタマイズされ得る。
追加の設定は、たとえばカメラヘッド110に追加のカメラまたはセンサ(不図示)を付属させることなど、他のシステム特性を制御してよい。たとえば、iOCT設定を介して、外科医は、iOCT画像取得を制御する。設定は、オフ(デフォルト)、オン、iOCTスキャナ動作、たとえば前眼部対後眼部モードなどのモード固有設定などを含む。
システム100は、外科医120が、HMD102を介して表示された生画像フィード上にオーバレイする解剖学ベースのデータを見ることを可能にする。外科医120は、生ビデオフィードへのデータのオーバレイを、邪魔にならないようにカスタマイズすることができる。設定は、たとえばオーバレイされたデータをオンおよびオフに切り替えること、オーバレイの一部のみを示すこと、およびオーバレイ境界線を手動で動かすことなどのカスタマイズを可能にする。
解剖学ベースのデータは、生拡大画像に合わせて表示され、ここで「位置合わせ」は、解剖学ベースのデータと、カメラ140Aおよび140Bによって取得された生拡大立体画像との空間的関係を保存することとして理解される。本明細書における「位置合わせ」という用語の使用は、画像位置合わせに関して従来の文脈で理解されるものよりも広い意味を捉えることが意図される。画像の位置合わせは、1つの画像の少なくとも一部の、他の画像の少なくとも一部に対する変換または整合に関する。本明細書で行われる位置合わせは更に、たとえば類似の特徴を識別することなどの任意の適当な技術を用いて、2つの画像上の対応する位置を正確に特定することを含み、必ずしも2つの画像の少なくとも一部を一致させることを伴うものではない。
位置合わせは、事前較正、およびカメラ140Aおよび140Bによってリアルタイムで取得された画像内で検出された特徴に対する解剖学ベースのデータ内の特徴のマッチングに基づき得る。2つのカメラ140Aおよび140Bは、事前較正されるので、カメラ140Aおよび140Bによって撮像された各特徴の方向および深さ(すなわち位置)を計算することができ、また逆も然りであり、特徴または記号は、カメラ140Aおよび140Bに対する所望の位置に出現するように生画像の各々にオーバレイされ得る。本明細書で定義される位置合わせは、解剖学的構造のモデルがトラッカ座標系に位置合わせされるバイザーガイド手術(VGS)またはナビゲーション処置と混同されてはならない。いくつかの実施形態において、解剖学的データと生画像との対応性は、位置関連データを用いて確立される。解剖学的データと表示画像との対応性は、たとえば術前データとリアルタイムデータとをマッピングする位置データを用いて、追跡以外の技術を用いて保存され得る。
解剖学ベースの特徴は、OCT画像(術前および術中の両方)、たとえば網膜厚さマップなどの網膜の2Dマップ、ボリュメトリックOCT走査から導出された網膜上膜の3Dモデル、角膜トポグラファによって生成された角膜の3Dモデル、目に対するトーリック眼内レンズ(IOL)の所望の向き、外科医によって患者の網膜の2D画像にマークされた事前計画情報、監督外科医によって作成された術中マーキングなどを含んでよい。
いくつかの実施形態において、手術の1つの段階において1つの倍率で撮影された網膜のスナップショットは、より高い倍率で行われる手術の後の段階のためのミニマップとして用いられる。網膜手術中、外科医は一般に、網膜の付近で保持された時に網膜の小部分のみを照明するファイバ照明を用いる。ミニマップは、より高い倍率で作業する時に、より良い空間識を可能にする。ミニマップはPIP内に表示され、ミニマップ上にオーバレイされた円形(または他の)記号は、スナップショット上の照明エリアの位置を示す。リアルタイム位置合わせアルゴリズムは、目またはカメラヘッドが動かされた場合でも、スナップショットへの生ビデオフィードの位置合わせを維持することを可能にする。この技術は、内視鏡ビデオがフルスクリーンで提示されながら、ビデオのフットプリントを表す記号が、PIP内に表示されたミニマップ上にオーバレイされる内視鏡処置にも役立つ。内視鏡ビデオのスナップショットへの位置合わせは、特徴マッチングまたは内視鏡の追跡のいずれかに基づいてよい。
いくつかの実施形態において、PIP内に表示された画像のデータ位置を示すために、生ビデオ上に記号がオーバレイされる。システム100は、外科医120が、たとえばPIP透明度を制御することによってこの特徴をカスタマイズし、HMD102のFOVにおけるPIPの位置をカスタマイズすることを可能にする。たとえば、1つのそのような記号は、生拡大画像ストリーム上にオーバレイされ、PIP内に表示された術前画像に対応する患者の解剖学的構造の生画像内の位置を示す直線であってよい。この直線は、生画像に対する、PIP内に表示された術前OCT B走査の位置および角度を表す。
いくつかの実施形態において、生ビデオ内に出現する特徴の位置を示すために、PIP内に表示された画像上に記号がオーバレイされる。1つの例は、上述したように、ミニマップとして用いられるスナップショット上にオーバレイされた記号である。他の例として、生拡大画像内に出現するトーリックIOLの角度を表す直線が、PIP内に表示された目の術前画像上にオーバレイされ得る。直線の角度は、目の回転および目内部のIOLの瞬間的角度の両方に関してリアルタイムで補正される。
ユーザインタフェース160は、生画像フィードの表示の上にオーバレイされたPIPまたは複数のPIP内に表示された複数の画像を見ることを提供する。たとえば、そのような画像は、術前データ、OCT画像、ノート、および、たとえばiOCTからのB走査画像、内視鏡を介して取得されたビデオなどの術中の生データに関連し得る。メニューを通して、外科医120は、たとえば視野の左上角部など、自身の選択する位置におけるPIP位置を制御する。この特徴は、外科医120が、自身の視野の中央エリアを占める生画像フィードと共に術前または生データを見ることを可能にする。PIPのサイズおよび位置は、その中に表示されるコンテンツと共に、UI160を介して外科医120によって設定される。
後述する図は、外科医120が、表示されたメニューのメニュー項目を操作することによって術前システムモードを出入りし、生画像に位置合わせされた記号と共にPIP内で術前データを閲覧することを可能にする、視野上にオーバレイされたメニューとして実装されたユーザインタフェースに関する典型的な実装を示すことが意図される。いくつかのメニュー項目は、選択された時に行われるアクションを表し、他のメニュー項目は、追加のアクションセットをもたらす追加のメニューを表す。外科医120は、上述したように、フットスイッチ104およびヘッドジェスチャによってユーザインタフェースをナビゲートする。
ここで、開示される技術の更なる実施形態に従って構成され動作可能な、ユーザがシステムとインタラクトし、様々なシステムモードへ切り換えることを可能にする、生画像フィード614上にオーバレイされたメニュー630を示す図6Aが参照される。メニュー630は、外科医120によって構成可能なシステム設定として、次のメニュー、オーバレイ618、自動フォーカス620、色補正622、自動センタリング624、PIP626、システムモード628、およびキャンセル612を表示する。
メニュー項目618に表示された「オフ」によって示されるように、オーバレイ設定は現在オフにされており、外科医120に、項目618を選択することによってオーバレイがオンに切り換えられ得ることを示す。メニュー項目620に表示された「オフ」によって示されるように、自動フォーカス設定は現在オフにされており、外科医120に、項目620を選択することによってオーバレイをオンに切り換えるように提示する。同様に、色補正メニュー項目622に表示された「赤色」によって示されるように、色補正は現在、赤色に設定されており、外科医120に、このメニュー項目を選択することによって異なる色補正へ切り換えるというオプションを提示する。メニュー項目624に表示された「オフ」によって示されるように、自動センタリング設定は現在「オフ」に設定されており、外科医120に、このメニュー項目を選択することによってこの設定をオンに切り換えるというオプションを提示する。メニュー項目626に表示された「オフ」によって示されるように、PIP設定は現在「オフ」に設定されており、外科医120に、このメニュー項目を選択することによってこの設定をオンに切り換えるというオプションを提示する。キャンセル612およびシステムモード628はそれぞれ、外科医120がメニューから退出し、異なるシステムモードへ切り換えるために提供される。システムモードメニュー項目628は、現在強調されており、外科医120が現在このメニュー項目を選択し得ることを示す。
1つの実施形態において、「色補正」メニュー項目が強調され、様々な色補正オプションを含むサブメニューが開かれ、その1つは、色補正特徴をオフに切り換えることを可能にする。いくつかの実施形態において、色補正サブメニューのメニュー項目が強調されると、外科医がフットスイッチ104を解放することによって選択される前に、強調されたメニュー項目に対応する色補正スキームの効果が生画像上で実施され表示される。これは、外科医120が、様々な色補正スキームの1つを選択する前にその効果を見ることを可能にする。この特徴は、たとえば画像の鮮明化などの追加の画像処理機能のために有効化され得る。
いくつかの実施形態において、開かれたメニューは、中央ではなく画像の周囲に表示され、メニューが画像の一部を覆い遮断することなく、外科医120が様々な画像処理および色補正の効果を評価することを可能にする。メニュー項目は、周囲に縦に表示され得る。ただし、メニューのナビゲートは、外科医120が生画像から視線をシフトすることを必要としない。様々なメニュー項目をスクロールおよび強調するために、外科医120は、生画像の中心エリアを注視したまま、自身の頭部を上下に動かす。
外科医120は、フットスイッチ104を押下しながらメニュー項目間で自身の視線を方向付けるために自身の頭部を動かしながら、様々なメニュー項目間でナビゲートする。たとえば、システムモードメニュー項目628を選択するために、外科医は、フットスイッチ104を押下しながら、既定の期間、メニュー項目628が強調された状態を維持(たとえば「長期凝視」)する。これは、以下で図6Bに示すシステムモードメニューをもたらし、現在提示されているアドバンスドメニューを視野の周囲における項目616内へ折り畳み、外科医120が適宜、フットスイッチ104を押下しながら自身の視線を方向付けることによってこのメニューへ戻ることを可能にする。したがって、1つの実装において、様々なメニュー間でナビゲートし、サブメニューを開くために、外科医120は、フットスイッチ104を押下しながら既定の期間、折り畳まれたメニューを表す様々なメニュー項目を強調する。フットスイッチ104の解放は、様々なメニュー間でナビゲートするために必要ではない。ただし、選択されたメニュー項目と関連するシステム設定をアクティブ化または非アクティブ化するためのメニュー項目を選択するために、外科医120は、そのメニュー項目に視線を向けながらフットスイッチ104を解放する。したがって、フットスイッチ104の有効化は、行われ得る可能なアクションを表すメニュー項目間でナビゲートするためではなく、システム100においてアクションを行うために必要である。
図6Bを参照すると、開示される技術の他の実施形態に従って構成され動作可能な、図6Aのメニュー630のシステムモードメニュー項目628が選択された後、生画像フィード上にオーバレイされたシステムモードメニュー600が示される。フットスイッチ104を押下しながらある期間メニュー項目628を凝視することによって図6Aのメニュー項目628を選択すると、図4A~4Dのシステムモードメニュー400に対応するシステムモードメニュー600が、図6Aのメニュー630の代わりに表示される。図6Aに示す、以前表示された「アドバンスド」メニュー630は、図6Bに示すように、たとえば左上角部などの視野の周囲に表示されたメニュー項目616に折り畳まれる。システムモードメニュー600は、生画像614上にオーバレイされた、非接触レンズメニュー項目602、バイタルメニュー項目604、看護士メニュー項目606、術野項目606、術前メニュー項目610、およびキャンセルメニュー項目612を表示する。術前メニュー項目610が強調され、このメニュー項目が現在、外科医120によって選択され得ることを示す。
図6Cを参照すると、術前画像は、開示される技術の更なる実施形態に従って構成され動作可能な、生画像フィード上にオーバレイされたPIP内に表示される。フットスイッチ104を解放することによって図6Bのメニュー項目610(「術前」)を選択すると、システムモードは、術前モードに切り換わる。このモードにおいて、ユーザは、術前OCT画像のフォルダがPIP内に表示されるように選択する。いくつかの実施形態において、このモードは、外科医120が、たとえばサイズおよび位置などのユーザ定義設定に従ってPIPを調整および定義することを可能にする。PIP内でどの術前画像を見るかを選択した後、外科医120は、フットスイッチ104および上述したメニューナビゲーション技術を用いて、非接触レンズモードに戻る。非接触レンズモードに戻ると、図6Cに示すように、術前画像632は、生画像614の表示の上部左手角部においてPIP内に表示される。術前OCT画像は、生画像614内に表示されたのと同じ組織のものである。留意すべき点として、PIPの位置およびサイズは、単なる典型例であり、外科医120によってユーザ定義され得る。
図6Dを参照すると、開示される技術の他の実施形態に従って構成され動作可能な、PIPと共に生画像フィード上にオーバレイされた、図6Aのメニュー630が示される。外科医120は、たとえばフットスイッチ104を押下することによって、メニュー630を再出現させる。メニュー630は、上部左手角部に表示されたPIP632と共に生画像614上にオーバレイされて表示される。オーバレイメニュー項目618が強調され、外科医120が、フットスイッチ104を押下しながらヘッドジェスチャを行うことによってこのメニューを選択したことを示す。メニュー項目618に表示された「オフ」によって示されるように、現在、オーバレイ設定の状態はオフであり、外科医120に、メニュー項目618を選択することによってこの設定をオンに切り換えるように求めている。
ここで、全体として、開示される技術の他の実施形態に従って構成され動作可能な、PIP632内に表示された対応するコンテンツを有する一連の生画像614を示す図6E~6Jが参照される。図6E~6Jは、生画像614に重ね合わせられたオーバレイ634を示す。オーバレイ634は、PIP632内に表示された術前OCT画像に対応する生画像614上の位置を示す直線である。生画像614は3D画像である、すなわち、外科医120の各目は、3D画像614を共に形成するわずかに異なる画像を見ているため、直線634は、外科医120の両目に投影された2つの画像の各々に個別にオーバレイされる。その結果、外科医120は、網膜を示す3D画像614の表面において正しい奥行き感覚でオーバレイされた直線634を見る。
いくつかの実施形態において、コンピュータ118は、複数の術前画像をライブラリに格納する。各画像がPIP632内に表示されると、画像に対応する生画像614上の位置は、たとえば直線634などのオーバレイによって示される。各オーバレイ634によって示された組織上の位置は、PIP632内に同時に表示された術前OCT画像に対応する。ユーザは、フットスイッチ104のペダルを押下しながら同時にヘッドジェスチャ(たとえば、スクロールダウンのためのヘッドダウン回転、およびスクロールアップのためのヘッドアップ回転)を行うことによって術前画像のセット内でスクロールする。PIP632内に表示された術前OCT画像が変化すると、リアルタイム画像上の対応する位置が計算され、オーバレイ直線634によって表示される。示された画像において、リアルタイム画像上の位置は、対応して下方向へシフトする。リアルタイム画像上の対応する位置に関する計算は、PIP632内に表示された術前OCT画像が外科医120によって変更されていない場合でも、画像614が生であり、オーバレイが動的更新を要求すると、フレームごとに行われ得る。この計算は、網膜の術前画像および全ての術前OCT画像に対応する画像上の位置を備える、術前OCT撮像器によって生成されたデータに基づく。この網膜の術前画像を用いると、リアルタイム画像614上の対応する位置が計算され得る。この特徴は、外科医120が、ハンドレスジェスチャを用いて、生画像フィード614上の対応するオーバレイと共にPIP632内の術前データにおいてスクロールすることを可能にする。留意され得る点として、PIP632内のOCT画像の表示は、単なる例示であることが意図され、本発明を限定するものではない。PIP632は、直線634によって示された生画像614上の位置に対応する他の関連コンテンツを表示してよい。
いくつかの実施形態において、外科医120は、PIP内の術前データを見ながら、生画像をフリーズしてよい。これは、PIPが生画像フィードと共に術前データを表示している間、生画像上に特徴または記号を描画するために役立ち得る。描画中に画像をフリーズすることは、生ビデオが、たとえば無意識のサカディック眼球運動、呼吸などに起因する動きを表示する場合に役立つ。描画された記号は、生画像フィードのフリーズ解除後、たとえば切開部の切開などの後続するアクションを外科医120にガイドするために用いられ得る。
いくつかの実施形態において、外科医120は、UI160を介して、HMD102を介して表示された画像内の点を指定してよい。たとえば、フットスイッチ104によって有効化されたヘッドジェスチャは、画像上の点を指定するためにカーソルを動かしてよい。あるいは、外科医120の眼部運動を追跡することによって画像上で点が指定され得る。指定は、たとえば以下のような様々な目的を果たしてよい。
・手動位置合わせのための点を指定すること。PIPおよび生ビデオの両方における対応する点が、PIP内の画像を手動で位置合わせするために指定され得る。
・位置合わせされた画像内の点を位置特定するための点を指定すること。画像(またはモデル)が位置合わせされた後、外科医120は、生ビデオ内の点を指定することができ、位置合わせされた画像内の対応する点が強調され、逆も然りである。
・PIPを呼び出すための点を指定すること。小さなPIPは、外科医120によって指定された点の付近で呼び出されてよく、PIPのコンテンツは、指定された点と関連してよく、外科医120が、術野124内の点にフォーカスし、その点の付近で関連データを見ることを可能にする。
・iOCTスキャナ142の関心領域(ROI)を制御するための点を指定すること。1または複数の2D B走査または3DボリュメトリックiOCT画像が生ビデオと共に表示され、外科医は、カメラヘッド112によって取得されたビデオにおいて、たとえば十字などの記号を指定することによって、iOCTスキャナ142の正確なROIを制御する。
・自動フォーカスのための点を指定すること。自動フォーカスは、指定された点の周囲のROIに基づいてアクティブ化され得る。
いくつかの実施形態において、外科医120は、ヘッドジェスチャを介して生画像フィード上にオーバレイされた記号を制御し、オーバレイされた記号の位置に対応する術前画像が、PIP内に表示される。記号の位置が変化すると、PIP内に表示された対応する画像は変化する。いくつかの実施形態において、生画像フィード上の選択された位置に対応する術前画像が存在しない場合、コンピュータ118は、選択された位置に最も近い術前画像を選択し、その距離を外科医120に示す。
ここで、全体として、開示される技術の他の実施形態に従って構成され動作可能な、PIP644内に表示された対応するコンテンツを有する一連の生画像642を示す図6K~6Pが参照される。図6K~6Pの実施形態は、図6E~6Jに関して上述したものと実質的に同様であるが、顕著に異なる点として、図6K~6Pの直線634の代わりにPIP644の境界線646が用いられ、PIP644内に示されたコンテンツと、生画像642内に表示された組織との対応性を示す。図6K~6Pの例において、PIP644は、生画像642内に示された組織のOCT断面図を表示するが、これは、単なる例示であることが意図され、本発明を限定するものではない。妥当性を有し得る場合、他のコンテンツがPIP644内に表示され得る。PIP644内に示されたOCT画像は、術前または術中段階に取得され、後の使用のためにメモリ118D(図1B)に格納されたものである。処置中、HMD102は、生画像642として生組織の表面を表示する。生画像642は、患者122の組織のリアルタイムビデオ表示であってよく、あるいは、図6R~6Vに関して後述するように、たとえば更なる使用のために外科医が特徴を描画することを可能にするための、リアルタイムビデオのフリーズされた部分であってよい。
生画像642に重ね合わせられると、HMD102は、PIP644内に、境界線646によって示された位置における生組織の過去に取得されたOCT断面図を表示する。図6K~6Pは、生画像642の左上の位置(図6K)から始まり生画像642において下および右方向へ移動する(図6L~6P)複数の様々な位置において生画像642上にオーバレイされたPIP644を示す。生画像642上のPIP644の各位置に関して、その位置でPIP644内に表示されたOCT画像は、境界線646によって示された組織の断面に対応する。このように、生画像642の上でPIP644の位置を操作することによって、外科医120は、組織の様々な断面スライスを見てよい。
ここで、開示される技術の更なる実施形態に従って構成され動作可能な、2つのPIP644および648内に表示された対応するコンテンツを有する図6L~6Pの生画像642を示す図6Qが参照される。図6Qの実施形態は、図6L~6Pに関して上述したものと実質的に同様であるが、注目すべき点として、2つのPIP644および648が生画像642上に重ね合わせられ、各PIPは、それぞれ境界線646および650によって示された組織に対応するコンテンツを示す。PIP644は、境界線646によって示された位置における生組織のOCT断面スライスを示し、PIP648は、境界線650によって示された位置における組織のOCT断面スライスを示す。上述したように、外科医は、様々な位置における組織の断面スライスを表示するために、生画像642の上でPIP644および648の位置を操作してよい。
ここで、全体として、開示される技術の更なる実施形態に従って構成され動作可能な、描画機能の実装を示す図6R~6Vが参照される。図6R~6Vは、HMD102を介して表示された描画機能を用いて記号を描画した結果を示す。1つの実施形態において、描画は、たとえばHMD102などの、患者122の生画像を表示するHMDを装着している間に実施される。描画機能は、HMDを介して表示された1または複数のメニューを介してアクティブ化され、HMDの装着者が、本明細書で説明された技術を用いて描画ツール(不図示)を選択することを可能にする。描画ツールは、生画像の上に表示され、HMDの装着者が、ヘッドジェスチャ、フットスイッチ104、ワンドの操作、眼部運動の追跡などの1または複数を用いて描画ツールを操作することによって、生画像上にオーバレイされた記号を描画することを可能にする。あるいは、描画は、システム100に提供されたユーザインタフェース(不図示)、マウスまたはワンドなどを介して実施され得る。
1つの動作モードにおいて、外科医120は、たとえば医療処置中のガイドとして後に使用するために、術前計画段階の間に特徴を描画する。この場合、外科医120は、任意の術前データと共に、HMD102を介して生画像の上に表示された描画メニューおよびツールを見る。外科医120は、生画像上に1または複数の予備記号を描画する。1つの実施形態において、生画像フィードは、精度を高めるために描画中フリーズされる。描画された記号は、描画が完了すると、生画像フィードがフリーズ解除され術前データが表示されなくなった後、生画像と共に表示されたままであり、外科医120は、医療処置を行いながら生画像フィード上にオーバレイされた描画記号を見ることが可能である。
たとえば教示モードなどの他の動作モードにおいて、監督外科医(不図示)が、後続して処置を行う外科医120をガイドするために、記号を描画する。教示モードにおいて、監督外科医は、外科医120と共に手術室内に居てよく、その場で記号を描画する。あるいは、監督外科医は、他の場所に所在してよく、遠隔で記号を描画する。監督外科医は、他のHMDを介して、スマートフォン、タブレット、または他のタッチスクリーンを介して、あるいは標準モニタを有するマウスまたはワンドを介してなどのいずれかで、記号を描画してよい。
図6Rを参照すると、記号を仮想描画する前の、患者122の目の生画像660が示される。図6S~6Tを参照すると、ペイントメニュー(不図示)から仮想描画ツールを選択した後、外科医は、たとえば切開する位置を示すために、生画像660上に記号662を仮想描画する。記号662は、図6Sにおいて部分的に描画された状態で、図6Tにおいて完全に描画された状態で示される。上述したように、記号662は、教示モードの間に第2のHMDを装着している年長外科医によって、またはHMD102を装着している外科医120によって描画され得る。記号662は、たとえば本明細書で参照されたような任意の適当なUI技術を用いて描画される。たとえば、記号662を描画するために、外科医120は、記号662の形状に対応する軌跡を辿るヘッドジェスチャを用いて仮想描画ツールを動かしながらフットスイッチ104を押下し、記号662の描画が完了すると(不図示)、フットスイッチ104を解放する。あるいは、外科医は、タッチスクリーンを介して表示された生画像上に描画するためにマウスまたは自身の指を用いてよい。生画像上に描画する外科医は、任意選択的に、手術室内に居ない場合があり、遠隔位置から描画のための様々なUI方法(自身のオフィス内で3D生画像を表示するHMDおよびフットスイッチを用いること、2D生画像を表示するタブレット上に描画することなど)のいずれかを用いてよい。図6Uを参照すると、外科医120は、患者122の目を切開するためのガイドとして、生画像660上に描画されオーバレイされた記号662を用いる。外科医120は、生画像660上の記号662によって示された位置に対応する、患者122の目における物理的位置に、外科用器具664を置く。図6Vを参照すると、外科医120は、患者122の目を切開するために、記号662に対応する経路に沿って外科用器具664を動かす。このように、外科医120、あるいは年長外科医は、切開を行う前に生画像660上に仮想経路を描画し、その後の切開が正しく行われることを確実にする。
外科医120が特定の特徴を強調するための1または複数の記号またはマーキングを描画した後、外科医120は、ガイダンスのためのマーキングを用いて処置を進めるために、生画像を見ながらどのマーキングを表示するかを選択してよい。外科医120は、必要性および妥当性に従って、処置中、任意の数の事前描画したマーキングをスクロールしてよい。マーキングが使用されなくなると、これらが生画像の表示を不明瞭にすることを防ぐために、システム100は、所定の期間後にマーキングを消し去るように構成され得る。1つの実施形態において、デフォルト設定に従って(たとえば10秒後)、記号は自動的に消え去る。他の実施形態において、専用の事前計画アプリケーションメニューは、外科医120が、マーキングの各々を無効化する(すなわちオフにする)ことを可能にする。
ここで、全体として、開示される技術の更なる実施形態に従って構成され動作可能な、選択された視野エリアにフォーカスするためのメニュー駆動型ユーザインタフェースの典型的な実装を示す図7A~7Eが参照される。後述する図において、ユーザインタフェースは、生画像ストリーム上にオーバレイされる一連のメニューとして実装される。外科医120は、上述したように、ヘッドジェスチャと組み合わせてフットスイッチ104を用いて、メニューをナビゲートする。
図7Aを参照すると、メニュー730は、開示される技術の実施形態に従って構成され動作可能な、選択された視野エリアにフォーカスするための、生画像フィード714上にオーバレイされたメニュー730が表示される。メニュー730は、上述した図6Aに示されるメニュー630に対応する。メニュー630と同様、メニュー730は、オーバレイ718、自動フォーカス720、色補正722、自動センタリング724、PIP726、システムモード728、およびキャンセル712のメニュー項目を含む。自動フォーカス特徴に関するメニュー項目720が強調され、外科医120によってこの項目が現在選択され得ることを示す。メニュー項目720に表示された「オフ」設定によって示されるように、現在、自動フォーカス特徴はオフであり、外科医720が、メニュー項目720を「押下」してアクティブ化することにより自動フォーカス特徴をオンに切り換えることを求めている。いくつかの実施形態において、外科医120は、フットスイッチ104を解放することなくフットスイッチ104を押下しながら、たとえば0.5秒間などの既定の期間、メニュー項目720(図7A)を凝視することによって既定の期間メニュー項目720を強調することにより、自動フォーカスをオンにする。他の実施形態において、外科医は、メニュー項目720を強調しフットスイッチ104を解放した後、自動フォーカスをオンにする。
図7B~7Dを参照すると、開示される技術の更なる実施形態に従って構成され動作可能な、フォーカスのために選択された視野エリアを指定することを可能にするユーザインタフェーススクリーンの典型的な実装が示される。この特徴をオンにするために自動フォーカス720をアクティブ化すると、UIスクリーン740が画像714の表示にオーバレイされ、図7Aに示すメニュー730と入れ替わる。UIスクリーン740は、プロンプト742と、この実装において括弧のセットとして示される指定記号744とを含む。いくつかの実施形態において、外科医120は、フットスイッチ104を解放することによって、自動フォーカスをオンにする。プロンプト742は、外科医120に、自動フォーカスを実行する生画像714内のエリアを手動で指定することを要求する。外科医120は、画像714の表示の上で指定記号744を操作することによって、エリアを指定する。指定記号744の位置は、たとえばフットスイッチ104と組み合わせてヘッドジェスチャを行うことなど、上述した技術のいずれかを用いて操作され得る。任意選択的に、外科医120は、たとえば0.5秒間などの既定の期間、所望のエリアを凝視することによって、フォーカスするエリアを指定する。アイトラッカ部品136(図1C)は、指定および選択されたエリアを検出するために、外科医120の視線を追跡する。いくつかの実施形態において、システム100は、外科医120の眼部運動の追跡に基づいて、指定されたエリアへの自動的な自動フォーカスを継続的に行う。留意すべき点として、ユーザの嗜好および状況に従って、他の記号が指定記号として用いられてよい。たとえば、特定の点を正確に指定するために、指定記号は、矢印、カーソル記号などであってよい。
図7Cを参照すると、外科医120は、十分にフォーカスが合っていない画像714の左側にある領域746へ指定記号744を動かす。領域746は、破線円形によって示される。外科医120は、たとえばフットスイッチ104を押下しながら自身の頭部を左方向へ回転することなど、任意の適当なUI技術を用いて指定記号744を動かす。外科医120は、フォーカスを改善する領域746を指定する。フットスイッチ104を解放することなく既定の期間メニュー項目720を強調することによって自動フォーカスがアクティブ化された場合、外科医は、領域746を凝視しフットスイッチ104を解放することによって、指定記号744を領域746に配置することにより、自動フォーカスのための領域746を指定する。フットスイッチ104を解放することによって自動フォーカスがアクティブ化されると、外科医120は、たとえば0.5秒間などの既定の期間、指定記号744を領域746に配置することによって、自動フォーカスのための領域746を指定する。システム100は、指定記号744が領域746に位置する間のわずかな動きを許容し得る。
図7Dを参照すると、コンピュータ118は、指定記号744によって指定された領域746にデジタルにフォーカスする。フォーカス前の図7Cの領域746とフォーカス後の図7Dの領域746とを比較すると、デジタルフォーカスの結果が示され得る。
自動フォーカスは、様々なモードに実装され得る。1つのモードにおいて、自動フォーカスがアクティブ化され、フォーカスポイント(すなわち領域746)が選択されると、自動フォーカスは選択された領域に固定し、自動フォーカス特徴が非アクティブ化されるまでフォーカス状態を維持する。これは、患者の解剖学的構造の様々な部位を捕捉するためにカメラヘッドの位置および向きが変化するアプリケーションにおいて役立ち得る。選択された領域が生画像フィード内にある限り、この領域はフォーカスが合ったままである。
他のモードにおいて、「自動フォーカス」は、ワンタイムアクションである。メニュー項目720を選択することによって自動フォーカス特徴がアクティブ化される度、指定記号744が表示され、外科医120は、フォーカスする領域を指定するように促される。システム100は、指定された領域にロックするのではなく、ワンタイムアクションとして指定された領域にフォーカスする。この実装において、メニュー項目720は、「オフ」または「オン」を明記することなく「自動フォーカス」と書いてある。
ここで、開示される技術の実施形態に従って構成され動作可能な、生画像フィード上にオーバレイされた、図7Aのメニューの他の図である図7Eが参照される。メニュー730は、本明細書で説明される技術を用いて呼び出された後に再度表示されたものである。ただし、この時、自動フォーカス特徴を示すメニュー項目720が「オン」を表示し、現在自動フォーカスがオンであることを示す。自動フォーカスをオフに切り換えるために、外科医120は、上述した技術を用いてメニュー項目720を選択する。
ここで、全体として、開示される技術の他の実施形態に従って構成され動作可能な、視野の選択されたエリアにフォーカスするためのメニュー駆動型ユーザインタフェースの他の典型的な実装を示す図7F~7Iが参照される。図7F~7Iは、上述した図7A~7Dと実質的に同様である。図7Fを参照すると、生画像752上にオーバレイされたメニュー750が示される。メニュー750は、図6Aのメニュー630に対応し、オーバレイ754、自動フォーカス756、色補正758、自動センタリング760、PIP762、システムモード764、およびキャンセル768のメニュー項目を含む。外科医120は、上述したように、UI160を介して自動フォーカスをオンにする。図7Gを参照すると、UIスクリーン768が生画像752上にオーバレイされている。UIスクリーン768は、プロンプト770および記号772(たとえば丸括弧のペア)を表示する。プロンプト770は、外科医120に、記号772を操作することによって生画像752上のフォーカスポイントを指定するように要求する。図7Hを参照すると、外科医120は、フォーカスの合っていない特徴774(たとえば白色背景上のボケた黒丸)を指定するために記号772を動かす。図7Iを参照すると、生画像752の特徴774は、図7Hよりも鮮明なフォーカスで表示されている。外科医120は、以前よりも良い解像度で特徴774を見ながら外科処置を継続することができる。
システム100は更に、外科医120が、1または複数のオーバレイを含むようにHMD102を介してデータの表示をカスタマイズすることを可能にする事前計画段階を提供する。外科処置を行う前に、外科医120は、術前画像に1または複数の記号およびノートを追加してよい。外科処置中、追加された記号およびノートは、カメラシステム112によって取得された生ビデオに位置合わせされたオーバレイ内に表示される。たとえば、光凝固のための最適な位置を示すマークが表示され、オーバレイされ、生画像フィードに位置合わせされる。他の例として、外科医120は、たとえば付着している網膜に関して青色、剥離した網膜に関して赤色などの色マップを作成するために術前画像のエリアに着色する。色マップはその後、外科処置中に生ビデオ上にオーバレイされる。
システム100は更に、外科医120が、外科処置の間中、カメラヘッド110によって取得された任意の生画像のスナップショットの取得を制御することを可能にする。スナップショットは、コンピュータ118に格納される。格納されたスナップショットは、メモリから再呼出しされ、進捗を監視またはガイダンスを支援するために、外科処置の後の段階において個別スクリーンまたはディスプレイモジュール130上のPIPにおいて外科医に見られ得る。スナップショットは、2Dまたは3Dフォーマットで格納され得る。スナップショットは、PIP内でディスプレイモジュール130上に繰り返しレンダリングされるショートビデオクリップ、または「GIF」フォーマットとしても格納され得る。このGIFフォーマットは、膜を見るために有利である。PIPモードにおいて(すなわち、PIPを「選択」した後)、スナップショットのアクティブ化は、PIP画像のみを保存し得る。これは、PIP内に表示されたiOCT画像または内視鏡画像を保存するために役立ち得る。
たとえば、スナップショットは、膜を増強するために染料が塗布された後、撮影され得る。染料が吸収され、消失した後でも、外科医120はなお、生ビデオフィードと共に表示されたPIP内の染色エリアを見ることができる。スナップショットは生ビデオに位置合わせされるので、外科医120は、上述したようにPIP内の点を指定してよく、生ビデオ内の対応する点が自動的に強調、着色、または記号によってマークされる。
開示される技術は更に、外科医120がGIFを作成することを可能にする。外科医120は、たとえばヘッドジェスチャと関連してペダル104を用いることなどによって、カメラヘッド110によって取得された画像の記録を開始し、同様のUI入力セットを用いて記録を停止する。たとえば、システム100は、選択されると、システム100にGIFに関する画像を記録させるGIFメニュー項目(不図示)を表示する。GIFメニュー項目を選択するために、外科医120は、フットスイッチ104を押下しながら、たとえば2秒間などの既定の期間、GIFメニュー項目を凝視する。GIFに関する画像の記録を終了するために、外科医120は、フットスイッチ104を解放する。外科医120は、たとえば患者122のアイデンティティを有するタイムスタンプなどの識別細目を記載するメニュー項目へのヘッドジェスチャによって、あるいは音声制御を介して、名前を割り当てる。いくつかの実施形態において、システム100は、既知の技術を用いて、スナップショットまたはGIFに自動的に名前を割り当てる。GIFは、メモリ118D(図1B)に格納され、後に再呼出しされ、適宜、個別スクリーンに、またはメニュー項目を選択することによってPIP内に表示され得る。
システム100がアクティブ化されると、外科医120は、カメラヘッド110が正しく配置された時のみ患者の目の周囲で重なる同軸/赤目照明光線を利用して、設計位置に近付くようにカメラヘッド110を手動で配置してよい。外科医120は、その後、カメラヘッド110の位置を正しい作動距離に自動的に微調整するようにシステムに命令してよい。コンピュータ118は、高解像度カメラ140Aおよび140Bを術野124の関心エリアより上の適当な高さまで自動的に持ち上げ、すなわち、機械アームコントローラ118Gは、z軸モータを操作し、コントローラ118Hは、画像内で患者の目が中心となるようにXYモータを操作し、カメラ140Aおよび140Bのレンズを公称シャッタ、フォーカス、およびズーム値に設定し、照明システムコントローラ118Iは、照明システム114を前眼部設定に制御する。
システム100は、後の使用のためにシステム設定を保存するように構成され得る。外科処置が完了した後、外科医120は、タッチスクリーン108を介してシステム設定を編集し、今後の使用のためにその設定に名前を付けてよい。設定は、「デフォルト設定」に優先してよく、または後に、HMD102上のメニューを介して表示されるメニュー項目として出現してよい。タッチスクリーン108は、外科医120が、HMD102を介して後に表示される任意の保存設定を選択することを可能にする。
いくつかの実施形態において、システム100は、HMD102を身に着ける時、外科医120を識別する。たとえば外科医120または看護士などのユーザは、既存の外科医リストから外科医120を選択し、リスト内の各外科医は、上述したように、事前構成された設定のセットと関連する。システム100は、たとえば音声認識などの任意の適当な技術を用いて、または、たとえば外科医120の目の取得画像と過去に取得された画像とを比較するためにHMD120と統合されたアイトラッカカメラを用いるなど、生体データを用いて、外科医120を自動的に識別する。外科医120が正しく識別されると、システム100は、外科医120と関連する事前構成された設定で構成される。
同様に、いくつかの実施形態において、システム100は、患者122が、予定された外科処置に対応することを検証するために、患者122の目のリアルタイム画像と、(おそらく)患者122に関して取得された術前画像とを自動的に比較する。これは、たとえば、誤りをなくし、外科医が使用している術前データが患者122に属すること、および適切な目に対して適切な外科処置が行われていることを確認するためである。システム100は、使用されている術前データと、患者122に関して取得された生画像ストリームとの任意の不一致を、外科医120に警告する。
いくつかの実施形態において、システム100は、外科処置の開始時、間中、または終了時のいずれかに、外科医120にチェックリストを表示する。外科医120は、実行されたアクションである項目をチェックリストから手動でチェックしてよく、またはシステム100は、これらのアクションの実行を検出し、自動的にリストから項目をチェックしてよい。チェックリストは、各外科医のためにカスタマイズされてよく、上述したように、外科医120を識別すると表示され得る。チェックリストは、サイドスクリーンに、またはリアルタイム画像内のPIPとして表示されてよく、外科医は、それをオンにするかオフにするかを選択してよい。いくつかの実施形態において、コンピュータ118(図1B)は、外科医120がFOV全体を見ることを可能にするためにHMD102を正しく配置する上で外科医120を支援するために、HMD102を介してセンタリング記号を表示する。たとえば、センタリング記号は、フレーム、またはFOVの境界を示す他の適当な記号であってよい。記号は、外科医120が最初にHMD102を身に着けた時、HMDが静止状態の後に動かされた際にHMDトラッカによって検出された時、または(任意のUI方法を介した)ユーザコマンドごとに、HMD102が動き、または位置ずれした場合、自動的に表示され得る。HMD102が、ディスプレイの瞳孔間距離(IPD)を変更する能力を備える場合、この特徴は、IPDが正確に設定されたかの検証を支援し、必要に応じて調整してもよい。
いくつかの実施形態において、システム100は、3Dデジタル顕微鏡における重なり合わない画像に関する影響を検出し補正する。この問題は、カメラが設計作動距離にない物体を捕捉し、外科医がレンズフォーカスモータを用いてフォーカスを設定する場合に生じる。これが発生すると、2つのカメラ140Aおよび140B(図1E)によって生成された画像は完全には重なり合わない。これらの画像が、ディスプレイ130Aおよび130B(図1C)を介して外科医120の両目にストリーミングされた場合、眼精疲労をもたらし得る。画像の重なり合う部分は、それらが空間内の同じ方向から到来するかのようには表示されない。外科医120は、自身の脳が2つの画像を単一の3D画像に合併するように、目を細めなければならない。
この状況はたとえば2つの2D画像の重複部分の境界を計算するための画像処理を用いることによって、または、フォーカスモータの状態から実際の作動距離を導出するために較正データを用いることによって、自動的に検出され得る。各カメラレンズのフォーカスモータ状態は、対応する事前較正された作動距離を有する。実際の作動距離と設計作動距離とを比較することによって、この不一致が計算され、考慮され得る。
1つの解決策は、2つの画像をシフトし、黒色バーを有する画像の損失部分を埋めることである。このようにすると、外科医120の両目は、画像の重なり合う部分を同じ方向から生じるものとして見、重なり合わないFOVの両端部は、各々が片方の目のみに見える(ただし、表示画像が黒色エリアを備える場合、ディスプレイユニットは、ディスプレイの対応するエリアにおいて一切発光しない)。
ここで、全体として、開示される技術に従って構成され動作可能な、カメラの実際の作動距離と設計作動距離との不一致によって生じる重なり合わない画像に関する補正効果のための技術を示す図8A~8Bが参照される。図8Aは、実際の作動距離802と設計作動距離804との不一致を示す、光学セットアップ800を示す。不一致の結果、それぞれ直線28および11で表された、カメラ140Aおよび140B(図1E)によって取得された画像は、位置がずれ、完全に重なり合わないので、画像は、異なる方向から生じているかのように見える。
図8Bを参照すると、カメラ140Aおよび140Bによって取得された画像のシフト、および補正の結果が示される。グリッド810は、外科医120の左目に表示される、カメラ140Aによって取得された画像の数値描写を示し、グリッド812は、外科医120の右目に表示される、カメラ140Bによって取得された画像の数値描写を示す。カメラ140Aおよび140Bに関する実際の作動距離と設計距離との不一致によって、グリッド810の右端2列は、グリッド812には含まれず、グリッド812の左端2列は、グリッド810には含まれない。図8Aに戻ると、28と示された、カメラ140Bによって取得された画像に対応する直線と重なり合わない、カメラ140Aによって取得された画像に対応する直線のエンドポイントは、グリッド812に含まれないグリッド810の右上角部に対応する。11と示された、カメラ140Aによって取得された画像に対応する直線と重なり合わない、カメラ140Bによって取得された画像に対応する直線のエンドポイントは、グリッド810に含まれないグリッド812の左上角部に対応する。
この不一致を補正するために、グリッド810は、グリッド814として示すように1列右へシフトされ、グリッド812は、グリッド816として示すように1列左へシフトされる。グリッド814の左端列814Aは、画像のこの部分が外科医120に表示されないために黒く塗りつぶされ、グリッド816の右端列816Aは、画像のこの部分が外科医120に表示されないために黒く塗りつぶされる。グリッド818は、外科医120の両目に見える、両方のグリッド810および812の重なり合う特徴を中央(白色背景)に示す。灰色背景で示された左端列818Aは、外科医120の右目のみに見え、灰色背景で示された右端列818Bは、外科医120の左目のみに見える。
上述したシフト技術は、カメラ140Aおよび140Bのフォーカスが調整される間、継続的に行われ得る。あるいは、シフト技術は、フォーカス調整の完了時、たとえばフットスイッチ104の有効化ペダルが解放された時のみ行われ得る。この場合、シフト技術は、外科医120が表示画像における急激な変化を経験しないように、短期間、たとえば数秒間にわたり徐々に行われる。外科医120は、UI160を介して、シフト技術をオンまたはオフに切り換え、その期間を設定してよい。図8Bの例において、結合画像は、独立した画像の各々と同じ倍率を有することに留意する。ただし、これは必須ではなく、グリッド818によって表された結合画像が撮像FOV全体を備えるように、倍率はある程度低減され得る。たとえば、結合画像の数値表現は、各取得画像の全列を含んでおり、左端の列は、(左上端のグリッドエントリとして番号11を有する)グリッド812の左端の列に対応し右端の列は、(上端グリッドエントリとして番号28を有する)グリッド810の右端の列に対応する。実際上、このオプションが適用された場合、ユーザがフォーカスを変更すると、ズームもわずかに変化する。
いくつかのシナリオにおいて、重なり合わない画像が生じ得る。シフト技術を用いる補正を必要とする1つのそのようなシナリオは、外科医120がカメラヘッド110を概ね設計作動距離に配置する手順の開始時に起こる。外科医120は、照明システム114の2つの投光照明によって発生する2つの光のスポットが重なり合うまで、手術部位の上のカメラヘッド110内に収容されたカメラ140Aおよび140Bの高さを手動で調整し得る。これらの光は、設計作動距離において重なり合うように設計され得る。カメラヘッド110が完全に設計作動距離に位置しない場合、カメラ140Aおよび140Bによって生成されディスプレイ130Aおよび130Bを介して外科医120の両目に投影された画像は、図8Bにおいて上述したように、完全に重なり合わない。
ここで、全体として、開示される技術の実施形態に従って構成され動作可能な、様々な作動距離における図8Aの光学システム800を示す図8C~8Eが参照される。図8C~8Eの頂部線820は、左カメラ140A(図1E)によって捕捉されディスプレイ130A(図1C)によって表示された画像を示し、図8C~8Eの底部線822は、右カメラ140B(図1E)によって捕捉されディスプレイ130B(図1C)によって表示された画像を示す。図8C~8Eの破線824は、物体平面を示す。カメラ140Aおよび140Bの位置決めにおける誤差は、例示のために誇張されている。図8Cは、設計作動距離に位置するカメラを有する光学システム800を示す。したがって、実際の作動距離と設計作動距離との間に不一致はない。この構成によって取得された画像は、重複線820および822によって示すように完全に重なり合うためにシフトを必要としない。
図8Dを参照すると、設計作動距離より下に位置し、実際の作動距離と設計作動距離との間の不一致をもたらすカメラ140Aおよび140B(図1E)を有する光学システム800が示される。この不一致の結果として、カメラ140Aおよび140Bの各々によって取得され、それぞれディスプレイ130Aおよび130Bを介して表示された画像は、完全に重なり合わない。左カメラ140Aによって取得されディスプレイ130Aによって表示された画像を示す直線820は、右カメラ140Bによって取得されディスプレイ130Bを介して表示された画像を示す直線822と完全に重なり合わない。その結果、2つの画像内の重なり合う部分は、異なる方向から生じているように出現し、ユーザの左目および右目は、脳内で結合された3D画像を生成しようとして細められる。これは、たとえば上述したシフト技術を用いることなどによって画像が補正されない限り、眼精疲労をもたらし得る。
図8Eを参照すると、設計作動距離より上に位置し、実際の作動距離と設計作動距離との間の不一致をもたらすカメラ140Aおよび140Bを有する光学システム800が示される。この不一致の結果として、カメラ140Aおよび140Bの各々によって取得された画像は完全に重なり合わない。左カメラ140Aによって取得されディスプレイ130Aによって表示された画像を示す直線820は、右カメラ140Bによって取得されディスプレイ130Bによって表示された画像を示す直線822と重なり合わない。上述したように、シフト技術を適用しない場合、脳内で結合された3D画像を生成しようとして左目および右目が細められ、眼精疲労をもたらす。
いくつかの実施形態において、たとえばシステム100がカメラヘッド110の高さを制御するためのz軸モータを含む場合、UI160は、カメラヘッド110の高さを設計作動距離に自動的に調整するために、初期化オプション、すなわち「初期」または「ホーム」メニュー項目を提示する。システム100が、カメラヘッド110の高さを制御するためのZモータを有して構成されていない実施形態において、コンピュータは、実際の作動距離と設計作動距離との間の不一致を決定するために画像処理技術を適用し、不一致が許容閾値よりも大きい場合、外科医120に、距離を手動で調整するように通知する。たとえば、UI160は、上下いずれかに、どの程度、すなわち何センチメートルまたは何インチ、高さを調整するかを外科医120にガイドするメッセージを表示する。ただし、外科医120は、たとえば撮像FOVを増加させるために、設計作動距離とは異なる距離で作業し続けることを選択してよい(下側は、FOVの全てではなく画像が重なり合う部分のみで3Dで見えている)。
シフト技術を用いる補正を必要とする他のシナリオは、カメラ140Aおよび140Bが設計作動距離に適切に位置する時、外科医120が、焦点面を変更するためにカメラ140Aおよび140Bに統合されたレンズフォーカスモータを用いる場合である。たとえば、外科医120が前眼部および後眼部モード間で切り換え、または同じモード内で異なる平面にフォーカスする時、カメラ140Aおよび140Bによって取得された画像間の不一致は、眼精疲労をもたらすほどに大きくなり得る。そのような場合、カメラ140Aおよび140Bによって取得された画像を一致させ、外科医120が経験する眼精疲労を軽減するために、上述したシフト技術が適用され得る。
ここで、開示される技術の実施形態に従って構成され動作可能な、2つの異なる焦点面830および832にフォーカスするように構成された図8Aの光学システム800を示す図8Fが参照される。設計作動距離は、破線834によって示される。焦点面830は、設計作動距離834の上に位置し、焦点面832は、設計作動距離834の下に位置する。頂部線836は、左カメラ140Aによって捕捉されディスプレイ130Aを介して表示された画像を表し、底部線838は、右カメラ140Bによって捕捉されディスプレイ130Bを介して表示された画像を表す。頂部線836は、底部線838に対して左へシフトした状態で示され、本明細書で説明されるシフト技術を用いて補正され得る、2つの取得画像間の不一致を示す。焦点面832と同様に、頂部線840は、左カメラ140Aによって捕捉されディスプレイ130Aを介して表示された画像を表し、底部線842は、右カメラ140Bによって捕捉されディスプレイ130Bを介して表示された画像を表す。頂部線840は、底部線842に対して右へシフトした状態で示され、カメラ140Aおよび140Bが焦点面832に調整された時の2つの取得画像間の不一致を示す。この不一致もまた、本明細書で説明されるシフト技術を用いて補正され得る。
上述した実施形態において、シフトは、外科医の両目が前方に視線を向けている時に快適な立体視を可能にするために行われた。いくつかの実施形態において、システム100は、2つの表示画像間の不一致を意図的に生成するように構成され得る。シフトの量は、システム100の各ユーザに固有に合わせられ得る。表示画像は、水平、垂直、またはその両方にシフトされ得る。シフトは、外科医の両目の各々に固有であってよい。このシフト特徴は、斜位(すなわち両目のずれ)を経験する外科医の眼精疲労を軽減するために有用であり得る。シフトの量および方向は、頭部の向きに依存する斜位状態の場合、(トラッカによって示されるような)頭部の向きの関数として変化するように構成され得る。
いくつかの実施形態において、ユーザ固有シフトは、1回の較正プロセス中に構成されてよく、システム100の後の使用に関して自動的に実施されるようにユーザごとに保存され得る。任意選択的に、外科医は、外科処置中にシフト特性を調整してよい。任意選択的に、頭部の向きに基づくシフトは、段階的に、かつ所定の期間、HMD102の装着者の頭部の向きが変化しなかった後にのみ行われる。これは、何人かのユーザを妨害し得る、他の機能を有効化するためのヘッドジェスチャの実行に応答する表示画像のシフトを防ぐためである。場合によっては、表示画像は、視線方向(たとえば垂直視線方向)において起こり得る斜位依存を補正するために不均一にシフトされ得る。たとえば、斜位が垂直視線方向に依存する場合、シフトは、画像の上部から下部へ連続的に(必ずしも線形的にではなく)変化し得る。任意選択的に、HMD102がHMD光学系のフォーカスの変更を有効化する場合、シフトの量および方向は、フォーカスに依存してよい。ただし、フォーカス依存のシフトは、斜位を示さないユーザに関しても実施され得る。上述したシフトは、後述するように、補正を必要とし得る両眼競合効果を生じることもある。ここで、本明細書で説明されるシフト技術の適用後、HMD102を介して表示される画像を示す図8G~8Iが参照される。シフトの効果は、明確性のために誇張されている。図8Gは、カメラ140Aによって取得された2D生画像850を示す。2D生画像850は、生画像850の左端に表示された黒色境界線852によって示すように、本明細書で説明されるシフト技術に従って右へシフトされている。図8Hは、カメラ140Bによって取得された2D生画像854を示す。2D生画像854は、生画像854の右端に表示された黒色境界線856によって示すように、本明細書で説明されるシフト技術に従って左へシフトされている。
シフト技術によって実行されたシフト量が著しい場合、両眼競合効果が生じ得る。図8Iを参照すると、3D生画像858の表現が示される。画像858は、図8Gの2D生画像850と図8Hの生画像854との組み合わせである。範囲864は、画像850および854の両方から作成され、それぞれディスプレイ130Aおよび130Bの両方によって表示された画像858の部分を示す。画像858の範囲866は、画像854のみから作成され、ディスプレイ130Bのみによって表示された画像858の部分を示し、画像858の範囲868は、画像850のみから作成され、ディスプレイ130Aのみによって表示された画像858の部分を示す。脳は、それぞれ画像850および854の黒色境界線852および856を補正して、外科医120に、破線860および862によって描かれたエリアの輝度における著しいコントラストを見させ、画像858の輝度は半分に急降下する。画像858の中間エリア(範囲864)はディスプレイ130Aおよび130Bの両方によって表示されるが、画像858の左端(範囲866)はディスプレイ130Bのみによって表示され、画像858の右端(範囲868)はディスプレイ130Aのみによって表示される。1つの解決策は、「欠けた端部」、すなわちそれぞれ852および856の付近のエリアにおいて、画像850および854の両方の輝度を徐々に低減し、直線866および868によって描かれたエリアの輝度における著しいコントラストをなくすことである。線形勾配は脳によって検出可能であり得るため、輝度の低減は、非線形勾配を辿り得る。
ここで、開示される技術の他の実施形態に従って構成され動作可能な、ヘッドアップディスプレイシステムを制御するための方法の概略図である図9が参照される。
手順900において、外科処置の術野が照明され、照明された外科処置の少なくとも1つの画像が取得される。図1Aを参照すると、頭部装着型ディスプレイシステム100の照明システム114は、術野124を照明する。カメラシステム112は、照明された術野124の少なくとも1つの画像を取得する。
手順902において、頭部装着型ディスプレイを介して、外科処置に関する少なくとも1つの画像が外科医に表示される。画像は、カメラシステム112を介して取得されリアルタイムで表示された少なくとも1つの画像、事前に取得された術前画像、またはたとえばメニュー、オーバレイなどのUI160に関する画像のいずれかであってよい。図1Aを参照すると、頭部装着型ディスプレイ102を介して少なくとも1つの画像が表示される。
手順904において、ヘッドジェスチャ入力は、足部運動入力と関連して受信される。図2Aを参照すると、ヘッドトラッカ162は、外科医120(図1A)によるヘッドジェスチャ入力を受信し、フットスイッチ104は、外科医120からの足部運動入力を受信する。コンピュータ118は、足部運動入力と関連してヘッドジェスチャ入力を受信する。
手順906において、頭部装着型ディスプレイシステムが第1のシステムモードである時、頭部装着型ディスプレイシステムにおいて第1のアクションを行い、頭部装着型ディスプレイシステムが第2のシステムモードである時、頭部装着型ディスプレイシステムにおいて第2のアクションを行うために、足部運動入力と関連して受信されたヘッドジェスチャ入力が適用される。図2Bを参照すると、コンピュータ118は、システムモードがノーマルである時、ズームアウトアクション240を行い、システムモードが術前に設定されている時、スクロールアクション242を行うために、足部運動入力と関連して受信されたヘッドジェスチャ入力を適用する。
いくつかの実施形態において、第1および第2のアクションは、頭部装着型ディスプレイのディスプレイモジュールに結合されたシャッタを制御することのいずれかを備え、シャッタが開いている場合、ディスプレイモジュールは少なくとも部分的に透明であり、シャッタが閉じている場合、ディスプレイモジュールは実質的に不透明である。図1Cを参照すると、シャッタ132は、頭部装着型ディスプレイ102のディスプレイモジュール130と共に構成される。
他の実施形態において、第1および第2のアクションは、頭部装着型ディスプレイを介して表示された画像を制御すること、カメラシステムを制御すること、照明システムを制御すること、カメラヘッド位置決め器を制御することのいずれかを備える。図2Aを参照すると、コンピュータ118(図1B)は、UI出力160Bの構成要素を制御するためにUI入力160Aを介して受信された入力を適用し、すなわち、コンピュータ118は、カメラシステム112、照明システム114、HMD102を介してディスプレイモジュール130に表示された画像、およびカメラヘッド位置決め器111またはロボットアームの1つを制御する。
いくつかの実施形態において、頭部装着型ディスプレイを介して表示された画像を制御することは、生フィードビデオ、VGSビデオ、および術前iOCTビデオから成るグループから画像を選択すること、ズームインおよびズームアウトすること、少なくとも2つの仮想スクリーン間でスクロールすること、ピクチャインピクチャ(PIP)を表示すること、生画像の上にオーバレイを表示すること、画像をセンタリングすること、メニューを表示すること、メニューをナビゲートすること、および画像の関心領域を制御することのいずれかを備える。頭部装着型ディスプレイを介して表示された画像の特性は、たとえばデジタルまたは光学的になど、任意の適当な技術に従って制御され得る。
いくつかの実施形態において、カメラシステムを制御することは、カメラシステムの1または複数の光または電気特性を制御することを備える。たとえば、画像を取得するためのカメラが選択されてよく、カメラシステムの位置および向きが制御され得る。図1Eを参照すると、コンピュータ118(図1B)は、高解像度カメラ140Aおよび140B、IRカメラ148、およびiOCTスキャナ142のいずれかを選択する。図1Aを参照すると、コンピュータ118は、カメラヘッド位置決め器111を介してカメラシステム112の位置および向きを制御する。
いくつかの実施形態において、照明システムを制御することは、複数の照明器の少なくとも1つを選択すること、強度設定を選択すること、フィルタを選択すること、および上記照明システムの位置および向きを制御することのいずれかを備える。図1Fを参照すると、コンピュータ118(図1B)は、白色投光照明150、IR投光照明152、および同軸光154Aおよび154Bのいずれかを選択する。図1Aを参照すると、コンピュータ118は、カメラヘッド位置決め器111を介して照明システム114の位置および向きを制御する。
手順908において、外科医による音声コマンドが検出される。音声コマンドは、頭部装着型ディスプレイシステムを制御するために適用される。図1Dを参照すると、コンピュータ118(図1B)は、マイクロフォン138を介して外科医120(図1A)による音声コマンドを受信する。コンピュータ118は、頭部装着型ディスプレイシステム100を制御するために、音声コマンドを適用する。
手順910において、外科医による眼部運動が検出され、眼部運動は、頭部装着型ディスプレイシステムを制御するために適用される。図1Cを参照すると、アイトラッキング部品136は、外科医120の眼部運動を追跡し、トランシーバ102Bおよび118Bを介してコンピュータ118(図1B)へ眼部運動を提供する。
手順912において、第1のシステムモードから第2のシステムモードへ切り換えるためにヘッドジェスチャ入力が適用される。図2A~2Bを参照すると、コンピュータ118は、バイタルシステムモード244へ切り換えるために、UI入力160Aを介して受信したヘッドジェスチャ入力を適用する。いくつかの実施形態において、コンピュータ118は、モードを切り換えるために、足部運動入力と関連して受信されたヘッドジェスチャ入力を適用する。
いくつかの実施形態において、画像は、頭部装着型ディスプレイシステムが第1のシステムモードである時、頭部装着型ディスプレイを介してディスプレイ固定状態で表示される。画像は、頭部装着型ディスプレイシステムが第2のシステムモードである時、頭部装着型ディスプレイを介して複数の仮想スクリーンの1つに世界固定状態で表示され、第2のアクションは、複数の仮想スクリーンをスクロールする。図5Aを参照すると、ディスプレイ固定状態が示される。外科医120に表示されたビデオは、彼が前方(500)から30度左(502)へ視線を動かした時、変化しない。図5Bを参照すると、世界固定状態が示される。外科医120に表示されたビデオは、彼が右に5度(504)から右に25度(506)へ視線を動かした時、変化する。視野を埋めるコンテンツは、仮想スクリーンが手術室内の固定された物体であるかのようにシフトする。
いくつかの実施形態において、頭部装着型ディスプレイの視野の第1の領域は、第1のシステムモードに対応し、頭部装着型ディスプレイの視野の第2の領域は、第2のシステムモードに対応する。第1のシステムモードから第2のシステムモードへ切り換えるために適用されるヘッドジェスチャ入力は、外科医の視線を第2の領域に一致させる。図3Aを参照すると、視野の中心にある領域302は、ノーマルシステムモードに対応し、領域302の左側にある領域306は、術前システムモードに対応する。外科医120は、自身の視線を領域302から領域306へ動かすことによって、システムモードを切り換えてよい。
いくつかの実施形態において、メニューは、頭部装着型ディスプレイに表示された画像上にオーバレイされた状態で表示される。メニューは、頭部装着型ディスプレイの視野の第1の領域において第1のシステムモードに関する第1のメニュー項目を表示し、頭部装着型ディスプレイの視野の第2の領域においてオーバレイされた第2のシステムモードに関する第2のメニュー項目を表示する。第1のシステムモードから第2のシステムモードへ切り換えるために適用されるヘッドジェスチャ入力は、外科医の視線を上記第2のメニュー項目に一致させる。図4A~4Cを参照すると、メニュー400は、外科処置のビデオ上にオーバレイされた状態で示される。メニュー400は、複数のメニュー項目402、404、406、408、410、および412を含む。外科医120は、メニュー項目間で自身の視線を動かすことによって、たとえば図4Aにおいて強調されたメニュー項目402から図4Bにおいて強調されたメニュー項目410へ、システムモードを切り換えてよい。
当業者には、開示される技術が、上記で具体的に示され説明されたものに限定されないことが理解される。正しくは、開示される技術の範囲は、以下に示す特許請求の範囲によってのみ定められる。