以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。なお、各図面において同一の又は対応する構成には同一の又は対応する符号を付し、説明を省略することがある。各図面において、X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向は互いに直交する方向である。X軸方向およびY軸方向は水平方向であり、Z軸方向は鉛直方向である。鉛直方向下方を単に下方とも呼び、鉛直方向上方を単に上方とも呼ぶ。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る曲げ成形装置を示す図である。図2は、図1に示す第1可動板の上昇完了時の状態の一例を示す図である。本実施形態では曲げ成形される成形板としてガラス板10が用いられるが、成形板はガラス板10には限定されない。成形板は、加熱によって軟化するものであればよい。
成形板がガラス板10である場合、ガラス板10としては、例えば、ソーダライムガラス、アルミノシリケート等の無機ガラス、有機ガラス等を用いることができる。ガラス板10が無機ガラスである場合、例えば、フロート法によって製造できる。ガラス板10の厚さは、0.2mm以上5.0mm以下であれば、自動車の窓ガラスや内装用のカバーガラスとして用いることができ、好ましい。
曲げ成形装置20は、ガラス板10を加熱する加熱器30を備える。加熱器30は、例えば、ガラス板10を横から加熱する側面加熱器31と、ガラス板10を上から加熱する上面加熱器32とを備える。
側面加熱器31は、鉛直方向視で、ガラス板10の外周を取り囲むように配置される。側面加熱器31としては、例えば抵抗加熱式のヒータが用いられ、例えばカーボンヒータ、ハロゲンヒータ、またはシーズヒータが用いられる。
上面加熱器32は、鉛直方向視で、ガラス板10を全体的に覆うように配置される。上面加熱器32としては、例えば抵抗加熱式のヒータが用いられ、例えばPBNヒータが用いられる。PBNヒータは、CVD(Chemical Vapor Deposition)法によって、電気絶縁性のPBN(Pyrolytic Boron Nitride)と、導電性のPG(Pyrolytic Graphite)とを積層したヒータである。
上面加熱器32は、本実施形態では固定されるが、鉛直方向にスライド可能でもよい。上面加熱器32を下降させることで、上面加熱器32とガラス板10との距離を小さくでき、ガラス板10を効率的に加熱できる。また、上面加熱器32を上昇させることで、ガラス板10のセッティング作業が容易になる。
上面加熱器32は、鉛直方向ではなく、水平方向にスライド可能でもよく、例えば、Y軸方向にスライド可能でもよい。ガラス板10の加熱効率と、ガラス板10のセッティング性とを両立できる。上面加熱器32は、鉛直方向と水平方向の両方向にスライド可能でもよい。
なお、加熱器30の加熱方式は、抵抗加熱式には限定されない。加熱器30の加熱方式は、例えば、レーザー加熱式または遠赤外線加熱式、熱風式などであってもよい。また、成形板が金属板である場合、加熱器30の加熱方式は、誘導加熱式であってもよい。
曲げ成形装置20は、ガラス板10の第1主表面11と接触する3本以上の第1ピン41を含む第1ピン群40を備える。ガラス板10の第1主表面11は、例えばガラス板10の下面である。この場合、ガラス板10の第2主表面12は、ガラス板10の上面である。
第1ピン群40は、ガラス板10の下方に配置される。第1ピン群40を構成する複数本の第1ピン41は、それぞれ、例えばZ軸方向に平行に配置される。第1ピン41の長手方向は、例えばZ軸方向である。
第1ピン41は、ステンレス鋼、耐熱鋼、超硬合金(例えば炭化タングステン)、セラミック(例えば炭化珪素、窒化ケイ素、石英)、またはカーボンなどで形成される。第1ピン41は、少なくとも一部に、コーティング膜を有してもよい。コーティング膜は、金属膜、セラミック膜、およびカーボン膜などのいずれでもよい。
第1ピン41の上端部は、ガラス板10の第1主表面11に接触する。第1ピン41の上端部の形状は、特に限定されないが、例えば上に凸の半球状であってよい。第1ピン41とガラス板10とが点接触するので、ガラス板10を滑らかに曲げることができる。
なお、第1ピン41の上端部の形状は、円柱状、円錐状、角柱状などであってもよい。角柱状としては、三角柱状、四角柱状、六角柱状などが挙げられる。第1ピン41の上端部の形状が三角柱状、四角柱状、六角柱状であれば、第1ピン41の上端部を隙間なく並べることができ、第1ピン41の上端部を密に配置できる。
第1ピン41の下端部は、第1成形型15の第1曲面16に接触する。第1ピン41の下端部の形状は、特に限定されないが、例えば下に凸の半球状であってよい。第1ピン41と第1成形型15とが点接触する。
なお、第1ピン41の下端部の形状は、円柱状、円錐状、角柱状などであってもよい。角柱状としては、三角柱状、四角柱状、六角柱状などが挙げられる。第1ピン41の下端部の形状が三角柱状、四角柱状、六角柱状であれば、第1ピン41の下端部を隙間なく並べることができ、第1ピン41の下端部を密に配置できる。第1ピン41の下端部の形状と、第1ピン41の上端部の形状とは、同じ形状でもよいし、異なる形状でもよい。
第1ピン41の中間部の形状は、特に限定されないが、例えば円柱状である。第1ピン41の中間部は、第1ガイド板50の第1ガイド穴51に挿し通され、第1ガイド穴51によって別の第1ピン41の中間部と離間される。隣り合う第1ピン41の中間部同士が隙間なく並べられる場合に比べ、第1ピン群40の熱容量を小さくでき、放熱性を向上できる。
図3は、図1に示す第1ピンの配置の一例を示す上面図である。第1ピン群40は第1ピン列42を含み、第1ピン列42はX軸方向に等間隔をおいて一列に並ぶ複数の第1ピン41を含む。第1ピン列42はY軸方向に間隔をおいて複数配置され、Y軸方向に隣り合う2つの第1ピン列42はX軸方向にずらして配置される。Y軸方向に隣り合う2つの第1ピン列42は、第1ピン41のX軸方向位置が異なる。
第1ピン41は、鉛直方向視で、図3に破線で示す正三角格子100の格子点に1本ずつ配置される。1本の第1ピン41を中心点とすると、その中心点に最も近い第1ピン41の本数は6本である。中心点に最も近い6本の第1ピン41は、中心点の周りに等ピッチ(60°ピッチ)で配置され、回転対称(6回対称)に配置される。ガラス板10と第1ピン群40との位置合わせ時にガラス板10の鉛直軸周りの回転角が目標の回転角からズレても、ガラス板10を目標の形状に曲げ変形することができる。
第1ピン41の配置は、図3に示す配置には限定されない。例えば、第1ピン41は、鉛直方向視で、二等辺三角格子の格子点に1本ずつ配置されてもよい。また、第1ピン41は、鉛直方向視で、正方格子の格子点に1本ずつ配置されてもよい。また、第1ピン41は、不等ピッチで配置されてもよく、つまり、ランダムに配置されてもよい。但し、第1ピン41の配置は、図3に示す配置が最も好ましい。
曲げ成形装置20は、3本以上の第1ピン41を互いに平行に支持すると共に、3本以上の第1ピン41をそれぞれの長手方向(例えばZ軸方向)に独立に移動自在に支持する第1ガイド板50を備える。第1ガイド板50は、第1ピン41の長手方向に第1ガイド板50を貫通する3つ以上の第1ガイド穴51を有する。3つ以上の第1ガイド穴51のそれぞれには、第1ピン41が1本ずつ挿し通される。従って、第1ガイド穴51は第1ピン41と同様に配置される。
第1ガイド板50は、第1ピン41との摺動抵抗を低減すべく、例えばカーボンで形成される。なお、本実施形態の第1ガイド板50はカーボンで形成されるが、第1ガイド板50の材料はカーボンには限定されない。例えば、詳しくは後述するが第1ガイド板50の内部の流路に冷媒が供給される場合、第1ガイド板50の材料は冷却効率を高めるべく熱伝導率の良い金属であってもよい。
第1ガイド穴51の横断面形状と、第1ピン41の横断面形状とは、相似形である限り特に限定されないが、例えば円形である。第1ガイド穴51の内径は、第1ピン41の摺動を目的として、第1ピン41の外径よりも僅かに大きく形成される。第1ガイド穴51の内周面と第1ピン41の外周面とのクリアランスは、第1ピン41の許容できる傾きと、第1ピン41の摺動抵抗とに基づき設定される。
第1ガイド穴51の内周面と第1ピン41の外周面とのクリアランスが小さいほど、第1ピン41のガタつきが小さく第1ピン41の最大傾きが小さくなる反面、第1ピン41の摺動抵抗が大きくなる。第1ピン41の傾きとは、第1ピン41の中心線の、予め定められた直線(例えばZ軸方向に延びる直線)からの傾きである。
曲げ成形装置20は、加熱器30と第1ガイド板50との間に、加熱器30から第1ガイド板50への熱移動を制限する第1断熱板60を備える。第1ガイド板50の温度上昇を抑制でき、第1ガイド穴51の内周面の寸法変化を抑制できるので、第1ガイド穴51の内周面と第1ピン41の外周面とのクリアランスの大きさの変化を抑制できる。
第1断熱板60は、赤外線等の熱線の透過を抑制すべく、熱線を吸収してもよいし、熱線を反射してもよい。熱線を吸収する断熱材としては、例えばカーボンが挙げられる。また、熱線を反射する断熱材としては、例えば金属酸化物が挙げられる。金属酸化物は、例えば金属材料の母材の上にスパッタリング法などによって成膜されてもよい。また、熱線を吸収する断熱材としては、ガラスウール、セラミックでもよい。
第1断熱板60は、第1ピン41の長手方向に第1断熱板60を貫通する3つ以上の第1通過穴61を有する。3つ以上の第1通過穴61のそれぞれには、第1ピン41が1本ずつ挿し通される。従って、第1通過穴61は第1ピン41と同様に配置される。第1通過穴61は、第1ピン41の摺動を妨げないように、第1ガイド穴51とは異なり、第1ピン41と接触しない。第1通過穴61の内径は、第1ガイド穴51の内径よりも大きい。
第1ガイド板50は内部に流路を有しており、曲げ成形装置20は第1ガイド板50の流路に冷媒を供給する第1冷却器63を備える。第1ガイド板50の温度上昇を抑制でき、第1ガイド穴51の内周面の寸法変化を抑制できるので、第1ガイド穴51の内周面と第1ピン41の外周面とのクリアランスの大きさの変化を抑制できる。
図4は、図1に示す第1ガイド板の冷媒が通る流路の一例を示す図である。第1ガイド板50は、第1冷却器63によって供給される冷媒が通る流路52を有する。流路52は、例えば第1ピン列42と平行に形成され、X軸方向に平行に形成される。流路52は、Y軸方向に隣り合う2つの第1ピン列42の間に配置される。流路52を流れる冷媒としては、例えば室温の水などが用いられる。水の代わりに空気が用いられてもよいが、水の方が空気よりも熱容量が大きく、冷却効率が良い。
ところで、第1ピン41の最大傾きは、第1ガイド穴51の内周面と第1ピン41の外周面とのクリアランスの大きさの他に、第1ガイド穴51の長手方向寸法で決まる。第1ガイド穴51の長手方向寸法が大きいほど、第1ピン41の最大傾きが小さくなる反面、第1ピン41の摺動抵抗が大きくなる。第1ピン41の摺動抵抗が大きくなるのは、第1ピン41の外周面と第1ガイド穴51の内周面との接触面積が大きくなるからである。
そこで、第1ガイド板50は、図1および図2等に示すように、第1ピン41の長手方向に間隔をおいて2つ配置される。1本の第1ピン41は、第1ピン41の長手方向に間隔をおいて配置される2つの第1ガイド穴51に挿し通される。1本の第1ピン41が挿し通される2つの第1ガイド穴51を間隔をおいて配置することにより、第1ガイド穴51の内周面と第1ピン41の外周面との接触面積の増加を抑制しつつ、第1ピン41の最大傾きを小さくすることができる。
第1ガイド板50は、第1ピン41の長手方向に間隔をおいて2つ以上配置されればよく、3つ以上配置されてもよいが、本実施形態では2つ配置される。1本の第1ピン41が挿し通される2つの第1ガイド穴51が第1ピン41の長手方向に直交する方向に僅かにずれている場合に、第1ピン41が僅かに傾くことにより、第1ピン41の摺動抵抗の増加を抑制できるからである。
仮に第1ガイド板50が、第1ピン41の長手方向に間隔をおいて3つ以上配置される場合に、1本の第1ピン41が挿し通される3つの第1ガイド穴51が第1ピン41の長手方向に直交する方向に互いにズレると、第1ピン41が曲げ変形される。それゆえ、第1ピン41の摺動抵抗が大幅に増加してしまう。
曲げ成形装置20は、第1成形型15が取り付けられる第1可動板70を備える。第1可動板70は、第1成形型15の第1曲面16で第1ピン群40を押上げるべく、第1ピン群40をガイドする第1ガイド板50の下方に配置される。このように、第1可動板70は、第1ガイド板50を基準としてガラス板10とは反対側に配置され、例えば第1ガイド板50の下方に配置される。第1成形型15は、第1曲面16を上に向けて、第1可動板70の上面に取り付けられる。
第1成形型15の第1曲面16は、例えば、Y軸方向に垂直な断面形状が曲線形状であって、且つ、X軸方向に垂直な断面形状が直線形状である。なお、第1成形型15の第1曲面16の形状は特に限定されない。例えば、第1成形型15の第1曲面16は、Y軸方向に垂直な断面形状が直線形状であって、且つ、X軸方向に垂直な断面形状が曲線形状であってもよい。また、第1成形型15の第1曲面16は、Y軸方向に垂直な断面形状が曲線形状であって、且つ、X軸方向に垂直な断面形状が曲線形状であってもよい。
第1可動板70は、第1ピン41の長手方向に第1可動板70を貫通する複数の第1貫通穴71を有する。複数の第1貫通穴71のそれぞれには、第1ガイドロッド72が1本ずつ挿し通される。第1ガイドロッド72は、下側の第1ガイド板50に対し固定されており、下側の第1ガイド板50の下面から下方に延びる。第1可動板70は、下側の第1ガイド板50の下方において、第1ガイドロッド72に沿って移動する。
曲げ成形装置20は、第1ピン41の長手方向に、第1可動板70を第1ガイド板50に対し移動させる第1移動機構80を備える。第1移動機構80は、例えば、サーボモータと、サーボモータの回転運動を第1可動板70の直線運動に変換するボールねじとを有する。なお、第1移動機構80は油圧シリンダなどで構成されてもよく、第1移動機構80の構成は特に限定されない。
曲げ成形装置20は、制御装置90を備える。制御装置90は、例えばコンピュータで構成され、CPU(Central Processing Unit)91と、メモリなどの記憶媒体92とを備える。記憶媒体92には、曲げ成形装置20において実行される各種の処理を制御するプログラムが格納される。
制御装置90は、記憶媒体92に記憶されたプログラムをCPU91に実行させることにより、曲げ成形装置20の動作を制御する。また、制御装置90は、入力インターフェース93で外部からの信号を受信し、出力インターフェース94で外部に信号を送信する。
制御装置90は、第1可動板70の現在位置を検出する位置検出器と接続されている。制御装置90は、第1可動板70の現在位置と目標位置とを比較し、第1可動板70の現在位置と目標位置とを一致させるように第1移動機構80を制御する。
位置検出器としては、例えば、第1移動機構80のサーボモータの回転を検出するロータリーエンコーダが用いられる。ロータリーエンコーダの代わりに、リニアエンコーダも使用可能である。リニアエンコーダは、スケールと、スケールの目盛を読み取る読取ヘッドとを有する。例えば、スケールが第1ガイドロッド72に沿って設置され、読取ヘッドが第1可動板70に設置される。
曲げ成形装置20は、加熱器30、第1ピン群40、第1ガイド板50、第1断熱板60、第1可動板70、および第1移動機構80を収容するチャンバー21を有する。第1冷却器63および制御装置90は、チャンバー21の外部に配置される。なお、第1冷却器63はチャンバー21の内部に配置されてもよい。また、第1移動機構80はチャンバー21の外部に配置されてもよい。
チャンバー21の内部にカーボン製の部材が配置される場合、カーボンの焼失を防止すべくチャンバー21の内部は窒素ガスなどの不活性ガスで満たされる。チャンバー21の内部は、真空ポンプによって、大気圧よりも低い気圧に減圧されてもよい。
図5は、第1実施形態に係る曲げ成形方法を示すフローチャートである。なお、図5に示す複数の工程の順序は、特に限定されない。例えば、第1成形型15の取付(工程S101)と、ガラス板10の配置(工程S102)とは、逆の順序で行われてもよいし、同時に行われてもよい。また、ガラス板10の加熱開始(工程S103)と、冷媒の供給開始(工程S104)とは、逆の順序で行われてもよいし、同時に行われてもよい。
曲げ成形方法は、先ず、第1成形型15を第1可動板70に取り付ける工程S101を有する。第1成形型15は、図1に示すように第1可動板70と第1ピン群40との間に配置される。第1成形型15の取付は、手動で行われてもよいし、ロボットなどによって自動で行われてもよい。
第1成形型15の取付の作業空間を第1可動板70と第1ピン群40との間に確保すべく、第1ピン41の外周面には第1フランジ43が形成される。第1フランジ43は、例えば円環状に形成される。第1フランジ43の外径は第1ガイド穴51の内径よりも大きく、第1フランジ43は第1ガイド穴51を通過できない。
第1フランジ43は、上側の第1ガイド板50と下側の第1ガイド板50との間で移動可能である。第1フランジ43は、下側の第1ガイド板50の上面に当接することで、第1ピン41が予め設定された位置よりも下方へ自然落下することを防止する。その結果、第1ピン群40と第1可動板70との間に、第1成形型15の取付の作業空間を確保できる。
曲げ成形方法は、ガラス板10を加熱する位置に、ガラス板10を配置する工程S102を有する。ガラス板10は、例えば、第1ピン群40によって水平に保持される。このとき、第1フランジ43は、下側の第1ガイド板50の上面に当接している。なお、ガラス板10は、第1ピン群40とは別の保持部材によって水平に保持されてもよい。ガラス板10の配置は、手動で行われてもよいし、ロボットなどによって自動で行われてもよい。
曲げ成形方法は、ガラス板10の加熱を開始する工程S103を有する。加熱器30がガラス板10の加熱を開始する。側面加熱器31による加熱開始と、上面加熱器32による加熱開始とは、どちらが先でもよく、同時でもよい。例えば上面加熱器32が側面加熱器31に比べてガラス板10を急速加熱する場合、ガラス板10の破損を防止すべく、側面加熱器31による加熱開始の後で、上面加熱器32よる加熱開始が行われる。
曲げ成形方法は、第1ガイド板50の内部の流路52に冷媒を供給する工程S104を有する。第1冷却器63が第1ガイド板50の内部の流路52に冷媒を供給する。第1ガイド板50の温度上昇を抑制でき、第1ガイド穴51の内周面の寸法変化を抑制できるので、第1ガイド穴51の内周面と第1ピン41の外周面とのクリアランスの大きさの変化を抑制できる。
曲げ成形方法は、第1可動板70を第1ガイド板50に接近させるべく、第1可動板70を上昇させる工程S105を有する。第1移動機構80が第1可動板70を上昇させることにより、第1成形型15の第1曲面16が3本以上の第1ピン41と予め定められた順番で接触し、3本以上の第1ピン41は予め定められた順番で上昇を開始する。その結果、第1ピン群40の上端部は、第1成形型15の第1曲面16と同じ形状の三次元曲面を形成する。
なお、工程S105において、第1可動板70を上昇させる代わりに、第1可動板70を固定し、第1ガイド板50を下降させてもよい。第1可動板70を固定し、第1ガイド板50を下降させることにより、第1ガイド板50と共に第1ピン41が下降する。その後、3本以上の第1ピン41は、第1成形型15の第1曲面16と予め定められた順番で接触し、下降停止し、第1ガイド板50に対し相対的に上昇する。その結果、第1ピン群40の上端部は、第1成形型15の第1曲面16と同じ形状の三次元曲面を形成する。
曲げ成形方法は、加熱されたガラス板10を第1ピン群40に沿って曲げ変形する工程S106を有する。ガラス板10の曲げ変形(工程S106)は、第1可動板70の上昇(工程S105)の開始後に開始されればよく、例えば第1可動板70の上昇(工程S105)の途中で開始されてもよい。
3本以上の第1ピン41は、下端部が第1成形型15の第1曲面16に接触すると共に、上端部が三次元曲面を構成する三角形ポリゴンの頂点に配置される。ここで、三次元曲面は、第1成形型15の第1曲面16と同じ形状を有するものである。ガラス板10の第1主表面11は、重力によって第1ピン群40の上端部に押し付けられるので、第1成形型15の第1曲面16と同じ形状に変形する。
曲げ成形方法は、ガラス板10を冷却固化させる工程S107を有する。加熱器30は、ガラス板10の加熱量(単位:W/s)をゼロにすることによりガラス板10を自然冷却してもよいし、ガラス板10の加熱量を徐々に低下しながらガラス板10を冷却してもよい。ガラス板10の冷却速度は、急激な温度変化によってガラス板10の破損が生じないように設定される。ガラス板10は、第1ピン群40で支持された状態で、冷却固化される。従って、ガラス板10の第1主表面11は、第1成形型15の第1曲面16と同じ形状で冷却固化される。
曲げ成形方法は、第1可動板70を第1ガイド板50から離間させるべく、第1可動板70を下降させる工程S108を有する。第1可動板70の下降(工程S108)は、ガラス板10の冷却固化(工程S107)の後に開始される。
第1移動機構80が第1可動板70を下降させることにより、第1可動板70と共に第1成形型15が下降し、第1ピン41が重力によって下降する。第1フランジ43が下側の第1ガイド板50の上面に当接すると、第1ピン41の下降が停止する。続いて、第1可動板70と共に第1成形型15がさらに下降すると、第1成形型15の第1曲面16が第1ピン41から離れる。
曲げ成形方法は、ガラス板10を取り出す工程S109を有する。ガラス板10の取出(工程S109)は、第1可動板70の下降(工程S108)の後に開始される。ガラス板10の取出は、手動で行われてもよいし、ロボットなどによって自動で行われてもよい。ガラス板10と第1ピン41との離型性を確保すべく、第1ピン41の上端部には予め離型剤が塗布される。
以上説明したように、本実施形態の曲げ成形装置20は、第1成形型15の第1曲面16と同じ形状にガラス板10の第1主表面11を曲げ成形する。第1成形型15とガラス板10とは第1ピン群40で隔てられているので、第1成形型15はほとんど加熱されない。従って、第1成形型15として、耐熱性の低い成形型を使用できる。耐熱性の低い成形型は、耐熱性の高い成形型に比べて、製造期間および製造コストを低減できる。耐熱性の高い材料の成形は、耐熱性の低い材料の成形に比べて容易であるからである。第1成形型15は例えば3Dプリンターで製造され、その材料としては例えば樹脂が用いられる。
また、本実施形態の曲げ成形装置20は、第1成形型15が取り付けられる第1可動板70を第1ガイド板50に対し移動させる第1移動機構80を備える。第1移動機構80が例えば第1可動板70を上昇させると、第1成形型15の第1曲面16が3本以上の第1ピン41と予め定められた順番で接触し、3本以上の第1ピン41は予め定められた順番で上昇を開始する。その結果、3本以上の第1ピン41は、下端部が第1成形型15の第1曲面16に接触すると共に、上端部が三次元曲面を構成する三角形ポリゴンの頂点に配置される。ここで、三次元曲面は、第1成形型15の第1曲面16と同じ形状を有するものである。ガラス板10の第1主表面11は、重力によって第1ピン群40の上端部に押し付けられるので、第1成形型15の第1曲面16と同じ形状に変形する。第1移動機構80は第1可動板70を移動させることで3本以上の第1ピン41を移動させるので、3本以上の第1ピン41を第1ピン41の本数よりも少ない数の駆動源で移動できる。
なお、第1成形型15の数は、本実施形態では1つであるが、複数でもよい。複数の第1成形型15で1つの集合体が構成され、その集合体が1つの第1可動板70に取り付けられる。集合体を複数の第1成形型15に分割して製造するので、製造期間および製造コストを低減できる。
また、第1成形型15の第1曲面16の表面に微細な筋や凹凸などの欠陥がある場合であっても、その欠陥がガラス板10の第1主表面11にそのまま転写されることはない。また、複数の第1成形型15で1つの集合体が構成される場合であっても、複数の第1成形型15同士の接続部の形状が、ガラス板10の第1主表面11にそのまま転写されることはない。
(第2実施形態)
図6は、第2実施形態に係る曲げ成形装置を示す図である。図7は、図6に示す第1可動板の上昇完了時の状態の一例を示す図である。曲げ成形装置20は、加熱器30、第1ピン群40、第1ガイド板50、第1断熱板60、第1冷却器63、第1可動板70および第1移動機構80を備える。また、曲げ成形装置20は、第2ピン群45、第2ガイド板55、第2断熱板65、第2冷却器68および反発力発生部22を備える。さらに、曲げ成形装置20は、制御装置90(図1参照)を備える。以下、本実施形態と上記第1実施形態との相違点について主に説明する。
第2ピン群45は、ガラス板10の第2主表面12と接触する3本以上の第2ピン46を含む。ガラス板10の第2主表面12は、例えばガラス板10の上面である。第2ピン群45は、ガラス板10の上方に配置される。第2ピン群45を構成する複数本の第2ピン46は、それぞれ、例えばZ軸方向に平行に配置される。第2ピン46の長手方向は、例えばZ軸方向である。
第2ピン46は、ステンレス鋼、耐熱鋼、超硬合金(例えば炭化タングステン)、セラミック(例えば炭化珪素、窒化ケイ素、石英)、またはカーボンなどで形成される。第2ピン46は、少なくとも一部に、コーティング膜を有してもよい。コーティング膜は、金属膜、セラミック膜、およびカーボン膜などのいずれでもよい。
第2ピン46の下端部は、ガラス板10の第2主表面12に接触する。第2ピン46の下端部の形状は、特に限定されないが、例えば下に凸の半球状であってよい。第2ピン46とガラス板10とが点接触するので、ガラス板10を滑らかに曲げることができる。
なお、第2ピン46の下端部の形状は、円柱状、円錐状、角柱状などであってもよい。角柱状としては、三角柱状、四角柱状、六角柱状などが挙げられる。第2ピン46の下端部の形状が三角柱状、四角柱状、六角柱状であれば、第2ピン46の下端部を隙間なく並べることができ、第2ピン46の下端部を密に配置できる。
第2ピン46の上端部は、反発力発生部22に接触する。第2ピン46の下端部の形状は、特に限定されないが、例えば上に凸の半球状であってよい。
なお、第2ピン46の上端部の形状は、円柱状、円錐状、角柱状などであってもよい。角柱状としては、三角柱状、四角柱状、六角柱状などが挙げられる。第2ピン46の上端部の形状が三角柱状、四角柱状、六角柱状であれば、第2ピン46の上端部を隙間なく並べることができ、第2ピン46の上端部を密に配置できる。第2ピン46の上端部の形状と、第2ピン46の下端部の形状とは、同じ形状でもよいし、異なる形状でもよい。
第2ピン46の中間部の形状は、特に限定されないが、例えば円柱状である。第2ピン46の中間部は、第2ガイド板55の第2ガイド穴56に挿し通され、第2ガイド穴56によって別の第2ピン46の中間部と離間される。隣り合う第2ピン46の中間部同士が隙間なく並べられる場合に比べ、第2ピン群45の熱容量を小さくでき、放熱性を向上できる。
第2ピン46の配置は、第1ピン41の配置と同様である。第2ピン46は、例えば、第1ピン41の延長線上に配置される。第1ピン41の延長線とは、第1ピン41の長手方向に第1ピン41を延長した仮想線である。この場合、第2ピン46の数は、第1ピン41の数と同数である。なお、第2ピン46は、第1ピン41の延長線から外れて配置されてもよい。
第2ガイド板55は、3本以上の第2ピン46を互いに平行に支持すると共に、3本以上の第2ピン46をそれぞれの長手方向(例えばZ軸方向)に独立に移動自在に支持する。第2ガイド板55は、第2ピン46の長手方向に第2ガイド板55を貫通する3つ以上の第2ガイド穴56を有する。3つ以上の第2ガイド穴56のそれぞれには、第2ピン46が1本ずつ挿し通される。従って、第2ガイド穴56は第2ピン46と同様に配置される。
第2ガイド板55は、第2ピン46との摺動抵抗を低減すべく、例えばカーボンで形成される。なお、本実施形態の第2ガイド板55はカーボンで形成されるが、第2ガイド板55の材料はカーボンには限定されない。例えば、詳しくは後述するが第2ガイド板55の内部の流路に冷媒が供給される場合、第2ガイド板55の材料は冷却効率を高めるべく熱伝導率の良い金属であってもよい。
第2ガイド穴56の横断面形状と、第2ピン46の横断面形状とは、相似形である限り特に限定されないが、例えば円形である。第2ガイド穴56の内径は、第2ピン46の摺動を目的として、第2ピン46の外径よりも僅かに大きく形成される。第2ガイド穴56の内周面と第2ピン46の外周面とのクリアランスは、第2ピン46の許容できる傾きと、第2ピン46の摺動抵抗とに基づき設定される。
第2ガイド穴56の内周面と第2ピン46の外周面とのクリアランスが小さいほど、第2ピン46のガタつきが小さく第2ピン46の最大傾きが小さくなる反面、第2ピン46の摺動抵抗が大きくなる。第2ピン46の傾きとは、第2ピン46の中心線の、予め定められた直線(例えばZ軸方向に延びる直線)からの傾きである。
第2断熱板65は、加熱器30と第2ガイド板55との間に配置され、加熱器30から第2ガイド板55への熱移動を制限する。第2ガイド板55の温度上昇を抑制でき、第2ガイド穴56の内周面の寸法変化を抑制できるので、第2ガイド穴56の内周面と第2ピン46の外周面とのクリアランスの大きさの変化を抑制できる。
第2断熱板65は、赤外線等の熱線の透過を抑制すべく、熱線を吸収してもよいし、熱線を反射してもよい。熱線を吸収する断熱材としては、例えばカーボンが挙げられる。また、熱線を反射する断熱材としては、例えば金属酸化物が挙げられる。金属酸化物は、例えば金属材料の母材の上にスパッタリング法などによって成膜されてもよい。
第2断熱板65は、第2ピン46の長手方向に第2断熱板65を貫通する3つ以上の第2通過穴66を有する。3つ以上の第2通過穴66のそれぞれには、第2ピン46が1本ずつ挿し通される。従って、第2通過穴66は第2ピン46と同様に配置される。第2通過穴66は、第2ピン46の摺動を妨げないように、第2ガイド穴56とは異なり、第2ピン46と接触しない。第2通過穴66の内径は、第2ガイド穴56の内径よりも大きい。
第2ガイド板55は内部に流路を有しており、曲げ成形装置20は第2ガイド板55の流路に冷媒を供給する第2冷却器68を備える。第2ガイド板55の温度上昇を抑制でき、第2ガイド穴56の内周面の寸法変化を抑制できるので、第2ガイド穴56の内周面と第2ピン46の外周面とのクリアランスの大きさの変化を抑制できる。第2ガイド板55の内部の流路は、第1ガイド板50の内部の流路52と同様に形成される。
ところで、第2ピン46の最大傾きは、第2ガイド穴56の内周面と第2ピン46の外周面とのクリアランスの大きさの他に、第2ガイド穴56の長手方向寸法で決まる。第2ガイド穴56の長手方向寸法が大きいほど、第2ピン46の最大傾きが小さくなる反面、第2ピン46の摺動抵抗が大きくなる。第2ピン46の摺動抵抗が大きくなるのは、第2ピン46の外周面と第2ガイド穴56の内周面との接触面積が大きくなるからである。
そこで、第2ガイド板55は、図6および図7等に示すように、第2ピン46の長手方向に間隔をおいて2つ配置される。1本の第2ピン46は、第2ピン46の長手方向に間隔をおいて配置される2つの第2ガイド穴56に挿し通される。1本の第2ピン46が挿し通される2つの第2ガイド穴56を間隔をおいて配置することにより、第2ガイド穴56の内周面と第2ピン46の外周面との接触面積の増加を抑制しつつ、第2ピン46の最大傾きを小さくすることができる。
なお、第2ガイド板55は、第2ピン46の長手方向に間隔をおいて2つ以上配置されればよく、3つ以上配置されてもよいが、本実施形態では2つ配置される。1本の第2ピン46が挿し通される2つの第2ガイド穴56が第2ピン46の長手方向に直交する方向に僅かにずれている場合に、第2ピン46が僅かに傾くことにより、第2ピン46の摺動抵抗の増加を抑制できるからである。
仮に第2ガイド板55が、第2ピン46の長手方向に間隔をおいて3つ以上配置される場合に、1本の第2ピン46が挿し通される3つの第2ガイド穴56が第2ピン46の長手方向に直交する方向に互いにズレると、第2ピン46が曲げ変形される。それゆえ、第2ピン46の摺動抵抗が大幅に増加してしまう。
反発力発生部22は、3本以上の第2ピン46の移動に応じて変形することにより、第2ピン46の移動方向とは反対方向の反発力を第2ピン46に付与する。例えば、反発力発生部22は、第2ピン46の上昇に応じて変形することにより、下方向の反発力を第2ピン46に付与する。反発力発生部22は、例えば、第2ピン群45をガイドする第2ガイド板55の上方に配置される。
反発力発生部22は、例えば高弾性フォーム23を含む。高弾性フォーム23は、高反発フォームとも呼ばれる。高弾性フォーム23は、樹脂中にガスを分散させ、樹脂を発泡させたものであって、反発弾性が50%以上のものである。反発弾性とは、落下物を試験片に衝突させたときの、物体の落下時の高さに対するはね返り後の高さの比のことである。樹脂としては、例えばウレタンが用いられる。その他、反発力発生部22としては、高弾性フォーム23以外に、後述するバネやエアバックなどが用いられる。
図8は、第2実施形態に係る曲げ成形方法を示すフローチャートである。なお、図8に示す複数の工程の順序は、特に限定されない。例えば、第1成形型15の取付(工程S101)と、ガラス板10の配置(工程S102)とは、逆の順序で行われてもよいし、同時に行われてもよい。また、ガラス板10の加熱開始(工程S103)と、冷媒の供給開始(工程S104)とは、逆の順序で行われてもよいし、同時に行われてもよい。
曲げ成形方法は、ガラス板10を加熱する位置に、ガラス板10を配置する工程S102を有する。ガラス板10は、例えば、第1ピン群40によって水平に保持される。ガラス板10の配置は、手動で行われてもよいし、ロボットなどによって自動で行われてもよい。
ガラス板10を配置する空間を第1ピン群40と第2ピン群45との間に確保すべく、第2ピン46の外周面には第2フランジ48が形成される。第2フランジ48は、例えば円環状に形成される。第2フランジ48の外径は第2ガイド穴56の内径よりも大きく、第2フランジ48は第2ガイド穴56を通過できない。
第2フランジ48は、上側の第2ガイド板55の上方において移動可能である。第2フランジ48は、上側の第2ガイド板55の上面に当接することで、第2ピン46が予め設定された位置よりも下方へ自然落下することを防止する。その結果、第2ピン群45と第1ピン群40との間に、ガラス板10を配置する空間を確保できる。
なお、第2フランジ48は、本実施形態では上側の第2ガイド板55の上方において移動可能であるが、第1フランジ43と同様に、上側の第2ガイド板55と下側の第2ガイド板55との間で移動可能であってもよい。
曲げ成形方法は、第1ガイド板50の内部の流路52と第2ガイド板55の内部の流路とに冷媒を供給する工程S104を有する。第1冷却器63が第1ガイド板50の内部の流路52に冷媒を供給する。第1ガイド板50の温度上昇を抑制でき、第1ガイド穴51の内周面の寸法変化を抑制できるので、第1ガイド穴51の内周面と第1ピン41の外周面とのクリアランスの大きさの変化を抑制できる。
また、第2冷却器68が第2ガイド板55の内部の流路に冷媒を供給する。第2ガイド板55の温度上昇を抑制でき、第2ガイド穴56の内周面の寸法変化を抑制できるので、第2ガイド穴56の内周面と第2ピン46の外周面とのクリアランスの大きさの変化を抑制できる。
曲げ成形方法は、第1可動板70を第1ガイド板50および第2ガイド板55に接近させるべく、第1可動板70を上昇させる工程S105を有する。
曲げ成形方法は、第2ガイド板55に対する第1可動板70の接近によって、高弾性フォーム23を変形させる工程S201を有する。この工程S201は、第1可動板70の上昇(工程S105)の開始後に開始されればよく、例えば第1可動板70の上昇(工程S105)の途中で開始されてもよい。
第1移動機構80が第1可動板70を上昇させることにより、第1ピン群40がガラス板10を下方から押上げるので、ガラス板10の第2主表面12が3本以上の第2ピン46と予め定められた順番で接触し、3本以上の第2ピン46は予め定められた順番で上昇を開始する。第2ピン46の上昇を許容すべく、高弾性フォーム23が変形する。高弾性フォーム23は、変形することにより、反発力を生じさせる。この反発力は、第2ピン46を下方に向けて押す。
なお、工程S105において、第1可動板70を上昇させる代わりに、第1可動板70を固定し、第1ガイド板50を下降させてもよい。この場合、工程S201において、第2ガイド板55、第2断熱板65および高弾性フォーム23を下降させる。第2ガイド板55が下降すると、第2ガイド板55と共に第2ピン46も下降する。その後、3本以上の第2ピン46は、ガラス板10の第2主表面12と予め定められた順番で接触し、下降停止し、第2ガイド板55に対し相対的に上昇する。第2ガイド板55に対する第2ピン46の上昇を許容すべく、高弾性フォーム23が変形する。高弾性フォーム23は、変形することにより、反発力を生じさせる。この反発力は、第2ピン46を下方に向けて押す。
曲げ成形方法は、加熱されたガラス板10を第1ピン群40および第2ピン群45に沿って曲げ変形すると共に、加熱されたガラス板10を第1ピン群40と第2ピン群45とで挟んで加圧する工程S202を有する。この工程S202は、第1可動板70の上昇(工程S105)の開始後に開始されればよく、例えば第1可動板70の上昇(工程S105)の途中で開始されてもよい。
3本以上の第1ピン41は、下端部が第1成形型15の第1曲面16に接触すると共に、上端部が三次元曲面を構成する三角形ポリゴンの頂点に配置される。ここで、三次元曲面は、第1成形型15の第1曲面16と同じ形状を有するものである。ガラス板10の第1主表面11は、重力によって第1ピン群40の上端部に押し付けられるので、第1成形型15の第1曲面16と同じ形状に変形する。
一方、3本以上の第2ピン46は、下端部がガラス板10の第2主表面12に接触すると共に、上端部が高弾性フォーム23に接触する。高弾性フォーム23は、第2ピン46の移動を許容するように変形しており、反発力によって第2ピン46を下方に押し返す。その結果、第2ピン46の下端部が、ガラス板10を第1ピン群40の上端部に押し付ける。重力のみならず反発力をもガラス板10の曲げ変形に利用できるので、ガラス板10を確実に曲げ変形できる。
曲げ成形方法は、第1可動板70を第1ガイド板50および第2ガイド板55から離間させるべく、第1可動板70を下降させる工程S108を有する。第1可動板70の下降(工程S108)は、ガラス板10の冷却固化(工程S107)の後に開始される。
第1移動機構80が第1可動板70を下降させることにより、第1可動板70と共に第1成形型15が下降する。その結果、第1ピン41が重力によって元の位置まで下降すると共に、第2ピン46が反発力発生部22の反発力と重力とによって元の位置まで下降し、反発力発生部22が元の形状に戻る。
(第2実施形態の第1変形例)
図9は、第2実施形態の第1変形例に係る曲げ成形装置を示す図である。図10は、図9に示す第1可動板の上昇完了時の状態の一例を示す図である。曲げ成形装置20は、加熱器30、第1ピン群40、第1ガイド板50、第1断熱板60、第1冷却器63、第1可動板70および第1移動機構80を備える。また、曲げ成形装置20は、第2ピン群45、第2ガイド板55、第2断熱板65、第2冷却器68および反発力発生部22を備える。さらに、曲げ成形装置20は、制御装置90(図1参照)を備える。以下、本変形例と上記第2実施形態との相違点について主に説明する。
反発力発生部22は、例えば3本以上のバネ24を含む。バネ24は、第2ピン46毎に配置され、第2ピン46の移動に応じて変形し、第2ピン46の移動方向とは反対方向に反発力を第2ピン46に付与する。
バネ24は例えばコイルバネであって、コイルバネの内側に第2ピン46が挿し通される。コイルバネは、第2ピン46の外周面に形成される第2フランジ48と、上側の第2ガイド板55との間に配置される。第2フランジ48が上方に変位すると、コイルバネが伸び、その弾性復元力によって第2ピン46が下方に押される。
なお、バネ24の配置は、図9等に示す配置には限定されない。例えば、バネ24は、第2ピン46の外周面に形成される第2フランジ48と、チャンバー21の天井壁との間に配置されてもよい。この場合、第2フランジ48が上方に変位すると、コイルバネが縮み、その弾性復元力によって第2ピン46が下方に押される。
図11は、第2実施形態の第1変形例に係る曲げ成形方法を示すフローチャートである。なお、図11に示す複数の工程の順序は、特に限定されない。例えば、第1成形型15の取付(工程S101)と、ガラス板10の配置(工程S102)とは、逆の順序で行われてもよいし、同時に行われてもよい。また、ガラス板10の加熱開始(工程S103)と、冷媒の供給開始(工程S104)とは、逆の順序で行われてもよいし、同時に行われてもよい。
曲げ成形方法は、第2ガイド板55に対する第1可動板70の接近によって、バネ24を変形させる工程S211を有する。この工程S211は、第1可動板70の上昇(工程S105)の開始後に開始されればよく、例えば第1可動板70の上昇(工程S105)の途中で開始されてもよい。
第1移動機構80が第1可動板70を上昇させることにより、第1ピン群40がガラス板10を下方から押上げるので、ガラス板10の第2主表面12が3本以上の第2ピン46と予め定められた順番で接触し、3本以上の第2ピン46は予め定められた順番で上昇を開始する。第2ピン46の上昇を許容すべく、バネ24が変形する。バネ24は、変形することにより、反発力を生じさせる。この反発力は、第2ピン46を下方に向けて押す。
なお、工程S105において、第1可動板70を上昇させる代わりに、第1可動板70を固定し、第1ガイド板50を下降させてもよい。この場合、工程S211において、第2ガイド板55、第2断熱板65および高弾性フォーム23を下降させる。第2ガイド板55が下降すると、第2ガイド板55と共に第2ピン46も下降する。その後、3本以上の第2ピン46は、ガラス板10の第2主表面12と予め定められた順番で接触し、下降停止し、第2ガイド板55に対し相対的に上昇する。第2ガイド板55に対する第2ピン46の上昇を許容すべく、バネ24が変形する。バネ24は、変形することにより、反発力を生じさせる。この反発力は、第2ピン46を上方に向けて押す。
曲げ成形方法は、加熱されたガラス板10を第1ピン群40および第2ピン群45に沿って曲げ変形すると共に、加熱されたガラス板10を第1ピン群40と第2ピン群45とで挟んで加圧する工程S212を有する。この工程S212は、第1可動板70の上昇(工程S105)の開始後に開始されればよく、例えば第1可動板70の上昇(工程S105)の途中で開始されてもよい。
3本以上の第1ピン41は、下端部が第1成形型15の第1曲面16に接触すると共に、上端部が三次元曲面を構成する三角形ポリゴンの頂点に配置される。ここで、三次元曲面は、第1成形型15の第1曲面16と同じ形状を有するものである。ガラス板10の第1主表面11は、重力によって第1ピン群40の上端部に押し付けられるので、第1成形型15の第1曲面16と同じ形状に変形する。
一方、3本以上の第2ピン46は、下端部がガラス板10の第2主表面12に接触することにより、上方に変位する。バネ24は、第2ピン46の移動を許容するように変形しており、反発力によって第2ピン46を下方に押し返す。その結果、第2ピン46の下端部が、ガラス板10を第1ピン群40の上端部に押し付ける。重力のみならず反発力をもガラス板10の曲げ変形に利用できるので、ガラス板10を確実に曲げ変形できる。
なお、上記第2実施形態では反発力発生部22として高弾性フォーム23が単独で用いられ、上記第1変形例では反発力発生部22としてバネ24が単独で用いられるが、高弾性フォーム23とバネ24とが組合わせて用いられてもよい。
(第2実施形態の第2変形例)
図12は、第2実施形態の第2変形例に係る曲げ成形装置を示す図である。図13は、図12に示す第1可動板の下降完了時の状態の一例を示す図である。曲げ成形装置20は、加熱器30、第1ピン群40、第1ガイド板50、第1断熱板60、第1冷却器63、第1可動板70および第1移動機構80を備える。また、曲げ成形装置20は、第2ピン群45、第2ガイド板55、第2断熱板65、第2冷却器68および反発力発生部22を備える。さらに、曲げ成形装置20は、制御装置90(図1参照)を備える。以下、本変形例と上記第2実施形態との相違点について主に説明する。
本変形例の曲げ成形装置20は、ガラス板10の上方に、第1ピン群40、第1ガイド板50、第1断熱板60および第1可動板70等を備える。ガラス板10の第1主表面11は、ガラス板10の下面ではなく、ガラス板10の上面である。第1ピン41の下端部がガラス板10の第1主表面11に接触し、第1ピン41の上端部が第1成形型15の第1曲面16に接触する。
第1可動板70は、第1成形型15の第1曲面16で第1ピン群40を押下げるべく、第1ピン群40をガイドする第1ガイド板50の上方に配置される。このように、第1可動板70は、第1ガイド板50を基準としてガラス板10とは反対側に配置され、例えば第1ガイド板50の上方に配置される。第1成形型15は、第1曲面16を下に向けて、第1可動板70の下面に取り付けられる。
また、本変形例の曲げ成形装置20は、ガラス板10の下方に、第2ピン群45、第2ガイド板55、第2断熱板65および反発力発生部22等を備える。ガラス板10の第2主表面12は、ガラス板10の上面ではなく、ガラス板10の下面である。第2ピン46の上端部がガラス板10の第2主表面12に接触し、第2ピン46の下端部が反発力発生部22に接触する。
反発力発生部22は、3本以上の第2ピン46の移動に応じて変形することにより、第2ピン46の移動方向とは反対方向の反発力を第2ピン46に付与する。例えば、反発力発生部22は、第2ピン46の下降に応じて変形することにより、上方向の反発力を第2ピン46に付与する。反発力発生部22は、例えば、第2ピン群45をガイドする第2ガイド板55の下方に配置される。
反発力発生部22は、例えば高弾性フォーム23を含む。なお、反発力発生部22は、上記第1変形例と同様に3本以上のバネ24を含んでもよいし、高弾性フォーム23とバネ24との両方を含んでもよい。
図14は、第2実施形態の第2変形例に係る曲げ成形方法を示すフローチャートである。なお、図14に示す複数の工程の順序は、特に限定されない。例えば、第1成形型15の取付(工程S101)と、ガラス板10の配置(工程S102)とは、逆の順序で行われてもよいし、同時に行われてもよい。また、ガラス板10の加熱開始(工程S103)と、冷媒の供給開始(工程S104)とは、逆の順序で行われてもよいし、同時に行われてもよい。
曲げ成形方法は、ガラス板10を加熱する位置に、ガラス板10を配置する工程S102を有する。ガラス板10は、例えば、第2ピン群45によって水平に保持される。ガラス板10の配置は、手動で行われてもよいし、ロボットなどによって自動で行われてもよい。
ガラス板10を配置する空間を第2ピン群45と第1ピン群40との間に確保すべく、第1ピン41の外周面には第1フランジ43が形成される。第1フランジ43は、例えば円環状に形成される。第1フランジ43の外径は第1ガイド穴51の内径よりも大きく、第1フランジ43は第1ガイド穴51を通過できない。
第1ピン41の外周面に形成される第1フランジ43と、上側の第1ガイド板50との間には第1バネ44が配置される。第1バネ44は、第1ピン41毎に配置され、第1ピン41の移動に応じて変形し、第1ピン41の移動方向とは反対方向に反発力を第1ピン41に付与する。
第1バネ44は、その弾性復元力によって、第1ピン41が予め設定された位置よりも下方へ自然落下することを防止する。その結果、第1ピン群40と第2ピン群45との間に、ガラス板10を配置する空間を確保できる。なお、第1バネ44の配置は、図12等に示す配置には限定されない。
曲げ成形方法は、第1可動板70を第1ガイド板50および第2ガイド板55に接近させるべく、第1可動板70を下降させる工程S221を有する。第1移動機構80が第1可動板70を下降させることにより、第1成形型15の第1曲面16が3本以上の第1ピン41と予め定められた順番で接触し、3本以上の第1ピン41は予め定められた順番で下降を開始する。その結果、第1ピン群40の下端部は、第1成形型15の第1曲面16と同じ形状の三次元曲面を形成する。
曲げ成形方法は、第2ガイド板55に対する第1可動板70の接近によって、高弾性フォーム23を変形させる工程S222を有する。この工程S222は、第1可動板70の下降(工程S221)の開始後に開始されればよく、例えば第1可動板70の下降(工程S221)の途中で開始されてもよい。
第1移動機構80が第1可動板70を下降させることにより、第1ピン群40がガラス板10を上方から押下げるので、ガラス板10が3本以上の第2ピン46を予め定められた順番で押下げ、第2ピン46が予め定められた順番で下降を開始する。第2ピン46の下降を許容すべく、高弾性フォーム23が変形する。高弾性フォーム23は、変形することにより、反発力を生じさせる。この反発力は、第2ピン46を上方に向けて押す。
曲げ成形方法は、加熱されたガラス板10を第1ピン群40および第2ピン群45に沿って曲げ変形すると共に、加熱されたガラス板10を第1ピン群40と第2ピン群45とで挟んで加圧する工程S223を有する。この工程S223は、第1可動板70の下降(工程S221)の開始後に開始されればよく、例えば第1可動板70の下降(工程S221)の途中で開始されてもよい。
3本以上の第1ピン41は、上端部が第1成形型15の第1曲面16に接触すると共に、下端部が三次元曲面を構成する三角形ポリゴンの頂点に配置される。ここで、三次元曲面は、第1成形型15の第1曲面16と同じ形状を有するものである。
一方、3本以上の第2ピン46は、上端部がガラス板10の第1主表面11に接触すると共に、下端部が高弾性フォーム23に接触する。高弾性フォーム23は、第2ピン46の移動を許容するように変形しており、反発力によって第2ピン46を上方に押し返す。
その結果、第2ピン46の下端部が、ガラス板10を第1ピン群40の上端部に押し付ける。ガラス板10の第1主表面11は、反発力発生部22の反発力によって第1ピン群40の上端部に押し付けられるので、第1成形型15の第1曲面16と同じ形状に変形する。
本変形例によれば、上記第2実施形態等と同様に、第2ピン群45と第1ピン群40とでガラス板10を挟んで加圧するので、ガラス板10を確実に曲げ変形できる。
曲げ成形方法は、第1可動板70を第1ガイド板50および第2ガイド板55から離間させるべく、第1可動板70を上昇させる工程S224を有する。第1可動板70の上昇(工程S224)は、ガラス板10の冷却固化(工程S107)の後に開始される。
第1移動機構80が第1可動板70を上昇させることにより、第1可動板70と共に第1成形型15が上昇する。その結果、第1ピン41が第1バネ44の弾性復元力によって元の位置まで上昇すると共に、第2ピン46が反発力発生部22の反発力によって元の位置まで上昇し、反発力発生部22が元の形状に戻る。
(第3実施形態)
図15は、第3実施形態に係る曲げ成形装置を示す図である。図16は、図15に示す第1可動板の上昇完了時の状態の一例を示す図である。図17は、図16に示す第2可動板の下降完了時の状態の一例を示す図である。曲げ成形装置20は、加熱器30、第1ピン群40、第1ガイド板50、第1断熱板60、第1冷却器63、第1可動板70および第1移動機構80を備える。また、曲げ成形装置20は、第2ピン群45、第2ガイド板55、第2断熱板65、第2冷却器68、第2可動板75および第2移動機構85を備える。さらに、曲げ成形装置20は、制御装置90(図1参照)を備える。以下、本実施形態と、上記第1実施形態および上記第2実施形態等との相違点について主に説明する。
本実施形態の曲げ成形装置20は、ガラス板10の下方に、第1ピン群40、第1ガイド板50、第1断熱板60および第1可動板70等を備える。ガラス板10の第1主表面11は、ガラス板10の下面である。第1ピン41の上端部がガラス板10の第1主表面11に接触し、第1ピン41の下端部が第1成形型15の第1曲面16に接触する。
第1可動板70は、第1成形型15の第1曲面16で第1ピン群40を押上げるべく、第1ピン群40をガイドする第1ガイド板50の下方に配置される。このように、第1可動板70は、第1ガイド板50を基準としてガラス板10とは反対側に配置され、例えば第1ガイド板50の下方に配置される。第1成形型15は、第1曲面16を上に向けて、第1可動板70の上面に取り付けられる。
また、本実施形態の曲げ成形装置20は、ガラス板10の上方に、第2ピン群45、第2ガイド板55、第2断熱板65および第2可動板75等を備える。ガラス板10の第2主表面12は、ガラス板10の上面である。第2ピン46の下端部がガラス板10の第2主表面12に接触し、第2ピン46の上端部が第2成形型17の第2曲面18に接触する。
第2可動板75は、第2成形型17が取り付けられるものである。第2可動板75は、第2成形型17の第2曲面18で第2ピン群45を押下げるべく、第2ピン群45をガイドする第2ガイド板55の上方に配置される。このように、第2可動板75は、第2ガイド板55を基準としてガラス板10とは反対側に配置され、例えば第2ガイド板55の上方に配置される。第2成形型17は、第2曲面18を下に向けて、第2可動板75の下面に取り付けられる。
第2成形型17の第2曲面18は、例えば、Y軸方向に垂直な断面形状が曲線形状であって、且つ、X軸方向に垂直な断面形状が直線形状である。なお、第2成形型17の第2曲面18の形状は、第1成形型15の第1曲面16の形状と同じである限り、特に限定されない。例えば、第2成形型17の第2曲面18は、Y軸方向に垂直な断面形状が直線形状であって、且つ、X軸方向に垂直な断面形状が曲線形状であってもよい。また、第2成形型17の第2曲面18は、Y軸方向に垂直な断面形状が曲線形状であって、且つ、X軸方向に垂直な断面形状が曲線形状であってもよい。
第2可動板75は、第1ピン41の長手方向に第2可動板75を貫通する複数の第2貫通穴76を有する。複数の第2貫通穴76のそれぞれには、第2ガイドロッド77が1本ずつ挿し通される。第2ガイドロッド77は、上側の第2ガイド板55に対し固定されており、上側の第2ガイド板55の上面から上方に延びる。第2可動板75は、上側の第2ガイド板55の上方において、第2ガイドロッド77に沿って移動する。
第2移動機構85は、第1ピン41の長手方向に、第2可動板75を第2ガイド板55に対し移動させる。第2移動機構85は、例えば、サーボモータと、サーボモータの回転運動を第2可動板75の直線運動に変換するボールねじとを有する。なお、第2移動機構85は油圧シリンダなどで構成されてもよく、第2移動機構85の構成は特に限定されない。
曲げ成形方法は、先ず、第1成形型15を第1可動板70に取り付けると共に、第2成形型17を第2可動板75に取り付ける工程S301を有する。第1成形型15は、図15に示すように第1可動板70と第1ピン群40との間に配置される。また、第2成形型17は、第2可動板75と第2ピン群45との間に配置される。
第1成形型15の取付の作業空間を第1可動板70と第1ピン群40との間に確保すべく、第1ピン41の外周面には第1フランジ43が形成される。第1フランジ43は、例えば円環状に形成される。第1フランジ43の外径は第1ガイド穴51の内径よりも大きく、第1フランジ43は第1ガイド穴51を通過できない。
第1フランジ43は、上側の第1ガイド板50と下側の第1ガイド板50との間で移動可能である。第1フランジ43は、下側の第1ガイド板50の上面に当接することで、第1ピン41が予め設定された位置よりも下方へ自然落下することを防止する。その結果、第1ピン群40と第1可動板70との間に、第1成形型15の取付の作業空間を確保できる。
曲げ成形方法は、ガラス板10を加熱する位置に、ガラス板10を配置する工程S102を有する。ガラス板10は、例えば、第1ピン群40によって水平に保持される。このとき、第1フランジ43は、下側の第1ガイド板50の上面に当接している。
ガラス板10を配置する空間を第1ピン群40と第2ピン群45との間に確保すべく、第2ピン46の外周面には第2フランジ48が形成される。第2フランジ48は、例えば円環状に形成される。第2フランジ48の外径は第2ガイド穴56の内径よりも大きく、第2フランジ48は第2ガイド穴56を通過できない。
第2ピン46の外周面に形成される第2フランジ48と、上側の第2ガイド板55との間には第2バネ49が配置される。第2バネ49は、第2ピン46毎に配置され、第2ピン46の移動に応じて変形し、第2ピン46の移動方向とは反対方向に反発力を第2ピン46に付与する。
第2バネ49は、その弾性復元力によって、第2ピン46が予め設定された位置よりも下方へ自然落下することを防止する。その結果、第2ピン群45と第1ピン群40との間に、ガラス板10を配置する空間を確保できる。なお、第2バネ49の配置は、図15等に示す配置には限定されない。
曲げ成形方法は、第2可動板75を第2ガイド板55に接近させるべく、第2可動板75を下降させる工程S302を有する。この工程S302は、第1可動板70の上昇(工程S105)およびガラス板10の曲げ変形(工程S106)の前に行われてもよいが、本実施形態ではこれらの工程S105、S106の後で行われる。第2移動機構85が第2可動板75を下降させることにより、第2成形型17の第2曲面18が3本以上の第2ピン46と予め定められた順番で接触し、3本以上の第2ピン46は予め定められた順番で下降を開始する。その結果、第2ピン群45の下端部は、第2成形型17の第2曲面18と同じ形状の三次元曲面を形成する。
曲げ成形方法は、加熱されたガラス板10を第1ピン群40と第2ピン群45とで挟んで加圧する工程S303を有する。この工程S303は、第2可動板75の下降(工程S302)の開始後に開始されればよく、例えば第2可動板75の下降(工程S302)の途中で開始されてもよい。
3本以上の第1ピン41は、下端部が第1成形型15の第1曲面16に接触すると共に、上端部が三次元曲面を構成する三角形ポリゴンの頂点に配置される。ここで、三次元曲面は、第1成形型15の第1曲面16と同じ形状を有するものである。
一方、3本以上の第2ピン46は、上端部が第2成形型17の第2曲面18に接触すると共に、下端部が三次元曲面を構成する三角形ポリゴンの頂点に配置される。ここで、三次元曲面は、第2成形型17の第2曲面18と同じ形状を有するものである。
加熱されたガラス板10を第1ピン群40と第2ピン群45とで挟んで加圧するので、重力のみを利用する場合に比べて、ガラス板10を確実に曲げ変形できる。
曲げ成形方法は、第1可動板70を第1ガイド板50から離間させるべく下降させると共に、第2可動板75を第2ガイド板55から離間させるべく上昇させる工程S304を有する。第1可動板70の下降および第2可動板75の上昇(工程S304)は、ガラス板10の冷却固化(工程S107)の後に開始される。
第1移動機構80が第1可動板70を下降させることにより、第1可動板70と共に第1成形型15が下降し、第1ピン41が重力によって下降する。第1フランジ43が下側の第1ガイド板50の上面に当接すると、第1ピン41の下降が停止する。続いて、第1可動板70と共に第1成形型15がさらに下降すると、第1成形型15の第1曲面16が第1ピン41から離れる。
また、第2移動機構85が第2可動板75を上昇させることにより、第2可動板75と共に第2成形型17が上昇する。その結果、第2ピン46が第2バネ49の弾性復元力によって上昇する。第2ピン46の上昇が停止した後、第2可動板75と共に第2成形型17がさらに上昇すると、第2成形型17の第2曲面18が第2ピン46から離れる。
なお、第2成形型17の数は、本実施形態では1つであるが、複数でもよい。複数の第2成形型17で1つの集合体が構成され、その集合体が1つの第2可動板75に取り付けられる。集合体を複数の第2成形型17に分割して製造するので、製造期間および製造コストを低減できる。
(第3実施形態の変形例)
図19は、図15に示す第2可動板の下降完了時の状態の一例を示す図である。図19に示す第1可動板の上昇完了時の状態は、図17に示す状態と同様であるので、図示を省略する。図20は、第3実施形態の変形例に係る曲げ成形方法を示すフローチャートである。以下、本変形例と上記第3実施形態との相違点について主に説明する。
曲げ成形方法は、第2可動板75を第2ガイド板55に接近させるべく、第2可動板75を下降させる工程S311を有する。この工程S311は、本変形例では、第1可動板70の上昇(工程S312)の前に実施される。第2移動機構85が第2可動板75を下降させることにより、第2成形型17の第2曲面18が3本以上の第2ピン46と予め定められた順番で接触し、3本以上の第2ピン46は予め定められた順番で下降を開始する。その結果、第2ピン群45の下端部は、第2成形型17の第2曲面18と同じ形状の三次元曲面を形成する。
曲げ成形方法は、第1可動板70を第1ガイド板50に接近させるべく、第1可動板70を上昇させる工程S312を有する。第1移動機構80が第1可動板70を上昇させることにより、第1成形型15の第1曲面16が3本以上の第1ピン41と予め定められた順番で接触し、3本以上の第1ピン41は予め定められた順番で上昇を開始する。その結果、第1ピン群40の上端部は、第1成形型15の第1曲面16と同じ形状の三次元曲面を形成する。
曲げ成形方法は、加熱されたガラス板10を第1ピン群40および第2ピン群45に沿って曲げ変形すると共に、加熱されたガラス板10を第1ピン群40と第2ピン群45とで挟んで加圧する工程S313を有する。この工程S313は、第1可動板70の上昇(工程S312)の開始後に開始されればよく、例えば第1可動板70の上昇(工程S312)の途中で開始されてもよい。
3本以上の第1ピン41は、下端部が第1成形型15の第1曲面16に接触すると共に、上端部が三次元曲面を構成する三角形ポリゴンの頂点に配置される。ここで、三次元曲面は、第1成形型15の第1曲面16と同じ形状を有するものである。
一方、3本以上の第2ピン46は、上端部が第2成形型17の第2曲面18に接触すると共に、下端部が三次元曲面を構成する三角形ポリゴンの頂点に配置される。ここで、三次元曲面は、第2成形型17の第2曲面18と同じ形状を有するものである。
加熱されたガラス板10を第1ピン群40と第2ピン群45とで挟んで加圧するので、重力のみを利用する場合に比べて、ガラス板10を確実に曲げ変形できる。
以上、本開示に係る曲げ成形装置および曲げ成形方法の実施形態などについて説明したが、本開示は上記実施形態などに限定されない。特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更、修正、置換、付加、削除、および組合わせが可能である。それらについても当然に本開示の技術的範囲に属する。
例えば、第1ピン群40とガラス板10との間には、第1ピン群40の跡がガラス板10に付くことを防止すべく、可撓性の中間部材が配置されてもよい。中間部材としては、例えば、金属布または金属板が用いられる。
同様に、第2ピン群45とガラス板10との間には、第2ピン群45の跡がガラス板10に付くことを防止すべく、可撓性の中間部材が配置されてもよい。中間部材としては、例えば、金属布または金属板が用いられる。
本出願は、2018年10月19日に日本国特許庁に出願された特願2018-197661号に基づく優先権を主張するものであり、特願2018-197661号の全内容を本出願に援用する。