JP7363482B2 - 繊維強化樹脂成形材料及び成形品の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、製造時の巻き取り性や成形時の金型追随性に優れた成形材料であって、かかる成形材料を用いた成形体には高い力学特性を付与できる繊維強化樹脂成形材料に関する。
炭素繊維強化複合材料(CFRP)は比強度・比剛性に優れており、近年、自動車部材向けのCFRPの開発も活発化している。
CFRPの自動車への適用例としては、航空機やスポーツ材料で実績のある熱硬化性樹脂を用いた、プリプレグ、レジントランスファーモールディング(RTM)、フィラメントワインディング(FW)による部材が上市されている。一方、熱可塑性樹脂を用いたCFRPは、高速成形が可能で、リサイクル性に優れることから、量産車向け材料として注目されている。その中でもプレス成形は生産性が高く、複雑な形状や大面積の成形にも対応できることから、金属成形の代替としての期待が高まっている。
プレス成形に用いる中間基材は、たとえば長さ数十mmの不連続強化繊維束を用いたシート状の材料が主流である。代表的なものとして、シートモールディングコンパウンド(SMC)、ガラスマットサーモプラスチック(GMT)がある(特許文献1、特許文献2)。いずれの中間基材も金型キャビティ内で材料が流動して充填される、いわゆるフロースタンピング成形に用いられ、比較的長い強化繊維束がまっすぐ、及び/または、湾曲した状態で熱可塑樹脂中に分散した形態をとる。しかし、その強化繊維束は単糸数が多いため、成形の際の材料(繊維や樹脂)の流動性には優れるが成形品の力学特性に劣る傾向がある。またこれらの中間基材は硬いため製造時の巻き取りが困難であったり、該中間基材を予熱せずに金型に配置すると金型形状に追随しにくい。
プレス成形に用いる中間基材としては、生産性や成形時の賦形性を向上させた繊維強化樹脂中間体(特許文献3、特許文献4)もある。加熱や加圧をすることにより、複雑な形状であっても所望の繊維体積含有率を有し、含浸が充分に行われボイドなどの欠陥の少ない繊維強化樹脂成形品を成形することができる。しかし、繊維強化樹脂中間体の表面の凹凸どうしの摩擦により、製造時に材料が脱落し繊維強化樹脂中間体を連続で巻き取ることができなかったり、金型追随性が十分でないことがあり、生産性の向上が要求されている。
特開2000-141502号公報 特開2003-80519号公報 特開2016-78360号公報 特開2017-190439号公報
そこで本発明は、上記要求に鑑み、製造時の巻き取り性や成形時の金型追随性に優れた成形材料であって、かかる成形材料を用いた成形体には高い力学特性を付与できる繊維強化樹脂成形材料を提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、上記課題を解決することができる繊維強化樹脂成形材料を発明するに至った。すなわち、本発明は、以下のいずれかの構成からなる。
[1] 不連続強化繊維束とマトリックス樹脂とからなり、前記マトリックス樹脂が前記不連続強化繊維束間に存在するシート状物からなる繊維強化樹脂成形材料であって、前記シート状物の表面において以下のように計測される凹凸数A(表)(個/mm)が0.1個/mm以上1個/mm以下であり、前記シート状物の厚みが0.1mm以上4mm以下であることを特徴とする、繊維強化樹脂成形材料。
凹凸数A(表)(個/mm):300mmのライン上を1mm/秒の速度でレーザー変位計(スポット径:約70μm、繰り返し精度3μm)を移動させ、サンプリング周期0.1秒でレーザー照射面からシート面までの距離Q(k=1、2、3・・・(測定順))を測定したとき、Qk+2-Qk+1が0.3mm未満、かつ、Qk+1-Qが0.3mm以上を満たすQの点の総数p(個)を300mmで割って得られる値
[2] 前記凹凸数A(表)と前記シート状物の裏面において以下のように計測される凹凸数A(裏)との比である凹凸数A(表)/凹凸数A(裏)または凹凸数A(裏)/凹凸数A(表)のうち、1未満となる方の比の範囲が0.01以上0.5未満であることを特徴とする、前記[1]に記載の繊維強化樹脂成形材料。
凹凸数A(裏)(個/mm):300mmのライン上を1mm/秒の速度でレーザー変位計(スポット径:約70μm、繰り返し精度3μm)を移動させ、サンプリング周期0.1秒でレーザー照射面からシート面までの距離Q(k=1、2、3・・・(測定順))を測定したとき、Qk+2-Qk+1が0.3mm未満、かつ、Qk+1-Qが0.3mm以上を満たすQの点の総数p(個)を300mmで割って得られる値
[3] JIS K-7112(1999年)のA法(水中置換法)にて測定される、前記繊維強化樹脂成形材料の比重ρ1(g/cm)と前記維強化樹脂成形材料からなる成形品の比重ρ2(g/cm)との比ρ1/ρ2が0.5以上0.9未満であることを特徴とする、前記[1]または[2]に記載の繊維強化樹脂成形材料。
[4] 以下のように計測されるドレープ値が3cm以上23cm以下であることを特徴とする、前記[1]~[3]のいずれかに記載の繊維強化樹脂成形材料。
ドレープ値:23±5℃の雰囲気下、長さ30cm、幅10cmの前記繊維強化樹脂成形材料を直方体の台の端に固定し、台の端から25cm突き出した前記繊維強化樹脂成形材料の先端と台の側面との最短距離
[5] 以下のように算出される平均繊維束厚みt(μm)と束内ボイド率V2(%)との積t*V2(μm・%)が500μm・%以上20000μm・%以下であることを特徴とする、前記[1]~[4]のいずれかに記載の繊維強化樹脂成形材料。
平均繊維束厚みt(μm):500℃に加熱した窒素雰囲気中(酸素濃度1%以下)の電気炉の中で前記繊維強化樹脂成形材料を2時間加熱して得られる繊維マットから前記不連続強化繊維束を50束ピックアップし、束幅垂直方向(いわゆる縦断面)である繊維束の厚みをノギスで測定した平均値
束内ボイド率V2(%):シートの任意の厚み方向断面を研磨し撮影した写真から50束を選択し、1束の断面積を100%とした場合における、二値化画像処理により求められたボイド断面積割合の、50束の平均値
[6] 以下のように算出される束内ボイド率V2(%)が10%以上50%以下であることを特徴とする、前記[1]~[5]のいずれかにに記載の繊維強化樹脂成形材料。
束内ボイド率V2(%):シートの任意の厚み方向断面を研磨し撮影した写真から50束を選択し、1束の断面積を100%とした場合における、二値化画像処理により求められたボイド断面積割合の、50束の平均値
[7] 以下のように算出される平均繊維束厚みt(μm)が40μm以上200μm以下であることを特徴とする、前記[1]~[6]のいずれかに記載の繊維強化樹脂成形材料。
平均繊維束厚みt(μm):500℃に加熱した窒素雰囲気中(酸素濃度1%以下)の電気炉の中で前記繊維強化樹脂成形材料を2時間加熱して得られる繊維マットから前記不連続強化繊維束を50束ピックアップし、束幅垂直方向(いわゆる縦断面)である繊維束の厚みをノギスで測定した平均値
[8] 以下のように求められる全体ボイド率(%)の平均値V1(%)が5%以上50%以下であることを特徴とする、前記[1]~[7]のいずれかに記載の繊維強化樹脂成形材料。
全体ボイド率V1(%):JIS K-7075(1991年)にて導出され、1枚のシートから切り出した10サンプルの平均値
[9] 前記不連続強化繊維束の切断角度が3°以上30°以下であることを特徴とする、前記[1]~[8]のいずれかに記載の繊維強化樹脂成形材料。
[10] 前記不連続強化繊維束の単位幅あたりの繊維数が500本/mm以上1600本/mm以下であることを特徴とする、前記[1]~[9]のいずれかに記載の繊維強化樹脂成形材料。
[11] 前記[1]~[10]のいずれかに記載の繊維強化樹脂成形材料を用いて成形品を製造するにあたり、前記維強化樹脂成形材料を予熱せずに前記マトリックス樹脂の融点より30℃以上高い金型内に配置し、プレス圧0.5MPa以上で加圧した後、前記金型の温度を前記マトリックス樹脂の融点より40℃以上低い温度に冷却して取り出して、以下のように測定される前記繊維強化樹脂成形材料の比重ρ1(g/cm)と成形品の比重ρ2(g/cm)との比ρ1/ρ2が0.5以上0.9未満となるようにすることを特徴とする、成形品の製造方法。
比重ρ1(g/cm)、ρ2(g/cm):JIS K-7112(1999年)のA法(水中置換法)にて測定される値
本発明により、製造時の巻き取り性や成形時の金型追随性に優れた成形材料であって、かかる成形材料を用いた成形体には高い力学特性を付与できる繊維強化樹脂成形材料を提供できる。
繊維強化樹脂成形材料表面とレーザー照射面との距離の測定方法の概略図である。 本発明の繊維強化樹脂成形材料を構成する不連続強化繊維束の(A)平面図、(B)側面図である。 本発明の繊維強化樹脂成形材料を構成する不連続強化繊維束の(A)平面図、(B)側面図である。 繊維束に分繊処理を施した部分分繊繊維束の一例を示す、(A)概略平面図、(B)概略側面図である。 分繊手段の突出部形状の一例を示す説明図である。 強化繊維束へのサイジング剤付与のタイミング例を示す工程図である。 強化繊維束へのサイジング剤付与のタイミング例を示す工程図である。 ドレープ値の測定方法の概略図である。 成形品の、(A)平面図、(B)正面図である。
本発明の繊維強化樹脂成形材料は、主に不連続強化繊維束とマトリックス樹脂とからなり、前記マトリックス樹脂が前記不連続強化繊維束間に存在するシート状物からなる。マトリックス樹脂が不連続強化繊維束間に存在するとは、基本的に樹脂がシート状物の厚み方向において繊維束と繊維束との間に介在することでそれら複数の繊維束を結合しシート状物の形態を保持している状態をいい、シート状物の表裏面に樹脂を融着させて該シート状物の形態を保持している状態とは異なる。そのため、本発明の繊維強化樹脂成形材料は、一方の面に不連続強化繊維束の凹凸が表れた状態となる。
そして、不連続強化繊維束由来のシート状物表面における凹凸数A(表)の下限は0.1個/mm以上が必須であり、0.2個/mm以上が好ましく、0.3個/mm以上がより好ましい。また、シート状物表面における凹凸数A(表)の上限は1個/mm以下が必須であり、0.8個/mm以下が好ましく、0.6個/mm以下がより好ましい。この範囲であれば、繊維強化樹脂成形材料製造時の巻き取り性や成形時の金型追随性に優れ、かかる成形材料を用いた成形体には高い力学特性を付与できる。シート状物表面における凹凸数A(表)の導出方法については後述する。
本発明の繊維強化樹脂成形材料の厚みは、0.1mm以上が必須であり、0.2mm以上が好ましく、0.3mm以上がより好ましい。また、繊維強化樹脂成形材料の厚みは、4mm以下が必須であり、3.5mm以下が好ましく、3mm以下がより好ましい。この範囲であれば、繊維強化樹脂成形材料製造時の巻き取り性や成形時の金型追随性に優れる。
また、シート状物表面における凹凸数A(表)と、該凹凸数A(表)と同様にして求める、シート状物裏面における凹凸数A(裏)との比である、凹凸数A(表)/凹凸数A(裏)または凹凸数A(裏)/凹凸数A(表)のうち、1未満となる方の比の範囲の下限は、0.01以上が好ましく、0.02以上がより好ましく、0.03以上がさらに好ましい。また、シート状物表面における凹凸数A(表)とシート状物裏面における凹凸数A(裏)との比である凹凸数A(表)/凹凸数A(裏)または凹凸数A(裏)/凹凸数A(表)のうち、1未満となる方の比の範囲の上限は、0.5未満が好ましく、0.45未満がより好ましく、0.4未満がさらに好ましい。この範囲であれば、繊維強化樹脂成形材料の表面の凹凸どうしの引っかかりによる材料の脱落を抑制でき、製造時の巻き取り性や成形時の金型追随性を向上することができる。
繊維強化樹脂成形材料は、その比重ρ1(g/cm)と、該維強化樹脂成形材料からなる成形品の比重ρ2(g/cm)との比ρ1/ρ2の下限が、0.5以上であることが好ましい。また、繊維強化樹脂成形材料の比重ρ1(g/cm)と維強化樹脂成形材料からなる成形品の比重ρ2(g/cm)との比ρ1/ρ2の上限は、0.9以下が好ましく、0.8以下がより好ましく、0.7以下がさらに好ましい。この範囲になるような繊維強化樹脂成形材料であれば、その成形材料の製造時の巻き取り性や成形時の金型追随性に優れる。繊維強化樹脂成形材料の比重ρ1(g/cm)と維強化樹脂成形材料からなる成形品の比重ρ2(g/cm)の導出方法については後述する。
また、繊維強化樹脂成形材料のドレープ値の下限は、3cm以上が好ましく、4cm以上がより好ましく、5cm以上がさらに好ましい。また、繊維強化樹脂成形材料のドレープ値の上限は、23cm以下が好ましく、20cm以下がより好ましく、18cm未満がさらに好ましい。この範囲であれば、繊維強化樹脂成形材料の製造時の巻き取り性や成形時の金型追随性に優れる。繊維強化樹脂成形材料のドレープ値の導出方法については後述する。
さらに、繊維強化樹脂成形材料の全体ボイド率V1(%)は5%以上が好ましく、10%以上がより好ましく、15%以上がさらに好ましい。全体ボイド率V1(%)が5%未満の場合、繊維強化樹脂成形材料の製造時の巻き取り性や成形時の金型追随性に劣る恐れがある。一方、全体ボイド率V1(%)の上限は50%であるが、45%以下が好ましく、40%以下がより好ましい。50%を超えると、熱可塑性樹脂の含浸性が悪化し、力学特性が低下する可能性がある。全体ボイド率V1(%)の導出方法については後述する。
不連続強化繊維束を構成する強化繊維の種類としては制限がないが、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、金属繊維が好ましい。なかでも炭素繊維が好ましい。炭素繊維としては、特に限定されないが、例えば、ポリアクリロニトリル(PAN)系、ピッチ系、レーヨン系などの炭素繊維が力学特性の向上、繊維強化樹脂成形品の軽量化効果の観点から好ましく使用でき、これらは1種または2種以上を併用しても良い。中でも、得られる繊維強化樹脂成形品の強度と弾性率とのバランスの観点から、PAN系炭素繊維がさらに好ましい。
強化繊維の単繊維径は0.5μm以上が好ましく、2μm以上がより好ましく、4μm以上がさらに好ましい。また、強化繊維の単繊維径は20μm以下が好ましく、15μm以下がより好ましく、10μm以下がさらに好ましい。強化繊維のストランド強度は3.0GPa以上が好ましく、4.0GPa以上がより好ましく、4.5GPa以上がさらに好ましい。強化繊維のストランド弾性率は200GPa以上が好ましく、220GPa以上がより好ましく、240GPa以上がさらに好ましい。強化繊維のストランド強度または弾性率がそれぞれこの範囲であれば、繊維強化樹脂成形品の力学特性をさらに高めることができる。
本発明の繊維強化樹脂成形材料を構成する不連続強化繊維束の平均束厚みt(μm)は40μm以上が好ましく、45μm以上がより好ましく、50μm以上がさらに好ましい。40μm未満の場合、成形材料の流動性に劣る懸念がある。また、繊維強化樹脂成形材料を構成する不連続強化繊維束の平均束厚みは200μm以下が好ましく、180μm以下がより好ましく、160μm以下がさらに好ましい。200μmを超える場合、成形品の力学特性が劣る懸念がある。繊維強化樹脂成形材料のシート状物表面における凹凸数A(表)、及び、不連続強化繊維束の平均束厚みを同時に前述した範囲にすることで、繊維強化樹脂成形材料の製造時の巻き取り性や成形時の金型追随性、成形品の力学特性を大幅に向上させることができる。不連続強化繊維束の平均束厚みの導出方法については後述する。
また、不連続強化繊維束の束内ボイド率V2(%)の下限は、10%以上が好ましく、15%以上がより好ましく、20%以上がさらに好ましい。また、束内ボイド率V2(%)の上限は、50%以下が好ましく、45%以下がより好ましく、40%以下がさらに好ましい。この範囲であれば、繊維強化樹脂成形材料の製造時の巻き取り性や成形時の金型追随性にさらに優れる。束内ボイド率V2の導出方法については後述する。
不連続強化繊維束の平均束厚みt(μm)と束内ボイド率V2(%)の積t*V2の下限は500μm・%以上が好ましく、1000μm・%以上がより好ましく、2000μm・%以上がさらに好ましい。一方、上限は、20000μm・%以下が好ましく、15000μm・%以下がより好ましく、10000μm・%以下がさらに好ましい。この範囲であれば、繊維強化樹脂成形材料の製造時の巻き取り性や成形時の金型追随性にさらに優れる。
本発明の繊維強化樹脂成形材料を構成する不連続強化繊維束内の平均繊維数の上限は4000本以下が好ましく、3000本以下がより好ましく、2000本以下がさらに好ましい。また、束内平均繊維数の下限は50本以上が好ましく、100本以上がより好ましく、200本以上がさらに好ましい。この範囲であれば、繊維強化樹脂成形材料の流動性と成形品の力学特性を高めることができる。平均繊維数の導出方法については後述する。
本発明の繊維強化樹脂成形材料を構成する不連続強化繊維束の平均束幅の下限は0.03mm以上が好ましく、0.05mm以上がより好ましく、0.07mm以上がさらに好ましい。また、繊維強化樹脂成形材料を構成する不連続強化繊維束の平均束幅の上限は3mm以下が好ましく、2mm以下がより好ましく、1mm以下がさらに好ましい。この範囲であれば、繊維強化樹脂成形材料の流動性と成形品の力学特性を高めることができる。不連続強化繊維束の平均束幅の導出方法については後述する。
本発明の繊維強化樹脂成形材料を構成する不連続強化繊維束の単位幅あたりの繊維数の下限は500本/mm以上が好ましく、600本/mm以上がより好ましく、700本/mm以上がさらに好ましい。また、本発明の繊維強化樹脂成形材料を構成する不連続強化繊維束の単位幅あたりの繊維数の上限は1600本/mm以下が好ましく、1400本/mm以下がより好ましく、1200本/mm以下がさらに好ましい。この範囲であれば、繊維強化樹脂成形材料の流動性と成形品の力学特性を高めることができる。繊維強化樹脂成形材料を構成する不連続強化繊維束の単位幅あたり繊維数の導出方法については後述する。
本発明の繊維強化樹脂成形材料を構成する不連続強化繊維束は、所望の長さに切断されたチョップド強化繊維束である。チョップド強化繊維束の平均繊維長は、5mm以上が好ましく、7mm以上がより好ましく、10mm以上がさらに好ましい。チョップド繊維束の平均繊維長は、100mm以下が好ましく、50mm以下がより好ましく、25mm以下がさらに好ましい。強化繊維束の平均繊維長が5mm未満であると、繊維強化樹脂成形材料とした際の力学特性が低下する。一方、強化繊維束の平均繊維長が100mmを超えると、成形性が低下する。なお、平均繊維長は、100個のチョップド強化繊維束それぞれについて、図2あるいは図3に示すように不連続強化繊維束20(炭素繊維束など)の繊維方向の最大長を繊維長Lf(mm)として測定し、その算術平均値を平均繊維長とする。
また、図2あるいは図3に示すように、不連続強化繊維束20の繊維方向に対する切断面の角度(切断角度θ)は、3°以上が好ましく、4°以上がより好ましく、5°以上がさらに好ましい。この範囲であれば、安定的に繊維束を切断できる。また、30°以下が好ましく、25°以下がより好ましく、20°以下がさらに好ましい。この範囲であれば、成形の際の良好な流動性と成形品の高い力学特性を実現できる。なお、θは絶対値で表される。
本発明の繊維強化樹脂成形材料を構成する不連続強化繊維束には、サイジング剤が付与されていることが好ましい。サイジング剤としては、特に限定されないが、熱分解開始温度が200℃以上のものが好ましく、250℃以上のものがより好ましく、300℃以上のものがさらに好ましい。この範囲であれば成形時にサイジング剤の分解を抑制でき、成形品の力学特性を高めることができる。熱分解開始温度の導出方法については後述する。
具体的に、サイジング剤としては、エポキシ基、ウレタン基、アミノ基、カルボキシル基等の官能基を有する化合物を使用できる。好ましくは、エポキシ樹脂を主成分とするサイジング剤、または、ポリアミド樹脂を主成分とするサイジング剤を用いることである。これらは1種または2種以上を併用してもよい。また、サイジング剤を付与した強化繊維束に更に該サイジング剤とは異種のサイジング剤で処理することも可能である。なおここで、主成分とは溶質成分の70質量%以上を占める成分のことをいう。
エポキシ樹脂の種類としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、脂肪族型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂の1種または2種以上を併用して用いることができる。
また、ポリアミド樹脂としては、好ましく水溶性ポリアミド樹脂を用いることができ、例えば、水溶性ポリアミドは、主鎖中に三級アミノ基、及び/または、オキシエチレン基を有するジアミンとカルボン酸より重縮合して得られるポリアミド樹脂が好ましく、前記ジアミンとしては、ピペラジン環を有するN、N′-ビス(γ―アミノプロピル)ピペラジン、N-(β―アミノエチル)ピペラジン等主鎖中に三級アミノ基を含むモノマ、オキシエチレンアルキルアミン等の主鎖中にオキシエチレン基を含むアルキルジアミンが有用である。又、ジカルボン酸としてはアジピン酸、セバシン酸等を用いることができる。
水溶性のポリアミドは共重合体であってもよい。共重合成分としては、例えばα-ピロリドン、α-ピペリドン、ε-カプロラクタム、α-メチル-ε-カプロラクタム、ε-メチル-ε-カプロラクタム、ε-ラウロラクタムなどのラクタムをあげることができ、二元共重合もしくは多元共重合も可能である。共重合比率は水溶性という物性を妨げない範囲において決定される。好ましくはラクタム環を持つ共重合成分比率を30質量%以内にしてポリマーを水に完溶せしめる。
しかしながら、前記範囲外の共重合成分比率に難水溶性のポリマーであっても、有機、無機酸を用いて溶液を酸性にした場合溶解性が増大し、水可溶性になり使用が可能になる。有機酸としては、酢酸、クロル酢酸、プロピオン酸、マレイン酸、しゅう酸、フルオロ酢酸等があり、無機酸としては、一般的な鉱酸類である塩酸、硫酸、リン酸等を挙げることができる。
この水溶性ポリアミドはサイジング剤が付与されていない強化繊維に1次サイジング剤として用いても良いし、サイジング剤が前もって付与されている強化繊維に2次サイジング剤として用いてもよい。
サイジング剤の付着量は、サイジング剤が付着した強化繊維束を100質量%とした場合、5質量%以下が好ましく、4.5質量%以下がより好ましく、4質量%以下がさらに好ましい。サイジング剤の付着量が5質量%を超えると、繊維束の柔軟性が欠けて硬くなりすぎ、ボビンの巻き取り、巻きだしがスムーズにいかなくなる可能性がある。また、カット時に単糸割れを引き起こし、理想のチョップド繊維束形態が得られないことがある。サイジング剤の付着量は0.1質量%以上が好ましく、0.3質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上がさらに好ましい。サイジング剤の付着量が0.1質量%未満の場合、フィラメントがばらけ、毛羽が発生することにより、ボビンからの巻き出し性が低下したり、ニップローラー、カッター刃への巻きつきが発生しうる。サイジング剤の付着量を上記範囲にすることで、繊維束を例えばカッターで切断する際に、ボビンからの巻き出し性の向上、ニップローラー、カッター刃への巻きつき低減といった効果が得られ、生産性の向上を図ることができる。さらに、切断された繊維束が割れたり単糸分散することを抑制でき、均一かつ最適な形態のチョップド繊維束を得ることが可能である。さらに、束状集合体の目付バラつきを低減化することができるため、成形品の力学特性のバラつきを低減することが可能である。なお、サイジング剤の付着量の導出方法については後述する。
これらのサイジング剤は、強化繊維表面に均質に付着されていることが好ましい。均質に付着させる方法としては特に限定されるものではないが、例えば、これらサイジング剤を水またはアルコール、酸性水溶液に、0.1質量%以上、好ましくは1質量%~20質量%の濃度になるように溶解して、その高分子溶液(サイジング剤処理液)にローラーを介して繊維束を浸漬する方法、サイジング剤処理液の付着したローラーに繊維束を接する方法、サイジング剤処理液を霧状にして繊維束に吹き付ける方法などがある。この際、繊維束に対するサイジング剤有効成分の付着量が適正範囲内で均一に付着するように、サイジング剤処理液濃度、温度、糸条張力などをコントロールすることが好ましい。また、サイジング剤付与時に繊維束を超音波で加振させることはより好ましい。
なお、強化繊維束に付着したサイジング剤中の水やアルコールなどの溶剤を除去するには、熱処理や風乾、遠心分離などのいずれの方法を用いても良いが、中でもコストの観点から熱処理が好ましい。熱処理の加熱手段としては、例えば、熱風、熱板、ローラー、赤外線ヒーターなどを使用することができる。この加熱処理条件は、取り扱い性、マトリックス材である熱可塑性樹脂との接着性の良否に影響を及ぼすので、サイジング剤を繊維束に付与した後の加熱処理温度と時間をサイジング剤の成分と付着量によって調整することも好ましい。
前記水溶性ポリアミドの場合、熱劣化を防止する観点から、室温~180℃下で乾燥し、水分を除去した後、熱処理するのが好ましい。熱処理温度の下限は130℃以上が好ましく、200℃以上がより好ましい。熱処理温度の上限は350℃以下が好ましく、280℃以下がより好ましい。この熱処理温度は、前記水溶性ポリアミドが空気中の酸素によって自己架橋したり、水溶性を失う温度である。この処理により、水溶性ポリマーが不溶になり吸湿性も失うため、フィラメントを集束したストランドのべたつきがなくなり、後加工の作業性が向上するだけでなく、マトリックス材への密着性がよくなり取り扱いやすい繊維束を提供できる。また、溶剤に架橋促進剤を添加し、熱処理温度を低くしたり、時間を短縮したりすることも可能である。また、23±5℃の雰囲気下でエイジング処理を行うことで、繊維束の硬度を高めることもできる。
水溶性ポリアミド樹脂を用いたサイジング剤は、各種マトリックス材との親和性に優れておりコンポジット物性を著しく向上せしめるが、特にポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、及び、ポリエーテルアミドイミド系樹脂において優れた密着性の改善効果がある。
本発明の繊維強化樹脂成形材料を構成する不連続強化繊維束には、例えば部分分繊繊維束を所望する繊維長に切断して用いることができる。なお、以下に部分分繊繊維束について例を挙げて具体的に説明するが、具体的な態様に限定して解釈されるものではない。
部分分繊繊維束は、巻き出し装置などから連続する繊維束を巻き出した後、繊維束を拡幅し、分繊処理を行う工程を経て得られる。以下、各工程について詳述する。
最初に、繊維束の巻き出しについて説明する。繊維束走行方向上流側に配置した、繊維束を巻き出す巻き出し装置などから繊維束を連続的に巻き出す。繊維束の巻き出し方向は、ボビンの回転軸と垂直に交わる方向に引き出す横出し方式や、ボビン(紙管)の回転軸と同一方向に引き出す縦出し方式が考えられるが、解除撚りが少ないことを勘案すると横出し方式が好ましい。
また、巻き出し時のボビンの設置姿勢については、任意の方向に設置することができる。中でも、クリールにボビンを突き刺した状態において、クリール回転軸の固定面でない側のボビンの端面が水平方向以外の方向を向いた状態で設置する場合は、繊維束に一定の張力がかかった状態で保持されることが好ましい。繊維束に一定の張力が無い場合は、繊維束がパッケージ(ボビンに繊維束が巻き取られた巻体)からズレ落ちパッケージから離れる、もしくは、パッケージから離れた繊維束がクリール回転軸に巻きつくことで、巻き出しが困難になることが考えられる。
また、巻き出しパッケージの回転軸固定方法としては、クリールを使う方法の他に、平行に並べた2本のローラーの上に、ローラーと平行にパッケージを載せ、並べたローラーの上でパッケージを転がすようにして、繊維束を巻き出す、サーフェス巻き出し方式も適用可能である。
また、クリールを使った巻き出しの場合、クリールにベルトをかけ、その一方を固定し、もう一方に錘を吊るす、バネで引っ張るなどして、クリールにブレーキをかけることで、巻き出し繊維束に張力を付与する方法が考えられる。この場合、巻き径に応じて、ブレーキ力を可変することが、張力を安定させる手段として有効である。
次に、拡幅および分繊処理工程の説明をする。なお、この処理は常に一定の条件で行う必要は無く、一定の周期あるいは所望の箇所で拡幅の幅を変動させても構わない。
拡幅工程では、たとえば前述のように巻き出された繊維束を走行させながら、該繊維束に圧縮した空気を吹き付けたり、あるいは、該繊維束を軸方向へ振動する振動拡幅ロールに通すとともにその後に幅規制ロールに通し、任意の幅へ拡幅する。
分繊処理工程では、拡幅した繊維束に対して分繊刃を間欠的に挿入して強化繊維束内に部分的な分繊箇所を形成する。図4は、分繊処理の一例を示している。(A)は概略平面図、(B)は概略側面図で、繊維束は図の左(上流側)から右(下流側)に走行している。図中の繊維束走行方向(矢印X)が繊維束100の長手方向であり、図示されない繊維束供給装置から連続的に繊維束100が供給されていることを表す。分繊手段200は、繊維束100に突き入れ易い突出形状を有する突出部210を具備しており、走行する繊維束100に突き入れ、繊維束100の長手方向に略平行な分繊処理部150を生成する。ここで、分繊手段200は、繊維束100の側面に沿う方向に突き入れることが好ましい。繊維束の側面とは、繊維束の断面が、横長の楕円もしくは横長の長方形のような扁平形状であるとした場合の断面端部における垂直方向の面である。また、具備する突出部210は、1つの分繊手段200につき1つでもよく、また複数であってもよい。1つの分繊手段200で突出部210が複数ある場合、1つの突出部210あたりの磨耗頻度が減ることから、交換頻度を減らすことも可能となる。さらに、分繊する繊維束数に応じて、複数の分繊手段200を同時に用いることも可能である。複数の分繊手段200を、並列、互い違い、位相をずらす等して、繊維束100に対して複数の突出部210を任意に配置することができる。
繊維束100において、複数の単糸は実質的に引き揃った状態ではなく、単糸レベルでは交差・交絡している部分が多いため、分繊手段200により本数のより少ない分繊束に分けていく場合、分繊処理中に突出部210と繊維束100との接触部211付近に単糸が交絡する絡合部160を形成する場合がある。ここで、絡合部160を形成するとは、例えば、分繊処理区間内に予め存在していた単糸同士の交差・交絡を分繊手段200により接触部211に形成(移動)させる場合や、分繊手段200によって新たに単糸が交絡した集合体を形成(製造)させる場合等が挙げられる。
任意の範囲に分繊処理部150を生成した後、分繊手段200を繊維束100から抜き取る。この抜き取りによって分繊処理が施された分繊処理区間110が生成され、それと同時に上記のように生成された絡合部160が分繊処理区間110の端部部位に蓄積される。また、分繊処理中に繊維束から発生した毛羽は毛羽溜まり140となる。
その後、再度分繊手段200を繊維束100に突き入れることで、未分繊処理区間130が生成され、繊維束100の長手方向に沿って、分繊処理区間110と未分繊処理区間130とが交互に配置されてなる部分分繊繊維束が形成される。
繊維束100の走行速度は変動の少ない安定した速度が好ましく、一定の速度がより好ましい。
突出部210の先端における、繊維束100との接触部211の形状は、突き入れが可能であれば特に制限はないが、図5に示すような形状が好ましい。先端が鋭い突出部(2a1~2a3)は突き入れ性が良好であり、先端にR形状を持つ突出部(2a4~2a6)は単糸の切断防止による毛羽の発生が少ない。(2a7、2a8)に図示する突出部は回転式の分繊手段に用いた場合、特に突き入れ性が向上する。
分繊間隔を調整するには、繊維束の幅方向に並べて配置した複数の分繊手段のピッチによって調整が可能である。分繊手段のピッチを小さくし、繊維束幅方向により多くの分繊手段を設けることで、より単糸本数の少ない、いわゆる細束に分繊処理が可能となる。細束にするための分繊手段と分繊手段のすきま(以下分繊幅と称す)の下限は、0.1mm以上が好ましく、0.2mm以上がより好ましい。また、分繊幅の上限は10mm以下が好ましい。分繊幅が0.1mm未満といった狭い幅では、毛羽等により分繊手段の走行方向が蛇行し接触による分繊手段の損傷等が懸念される。一方、分繊幅が10mmを超える場合、分繊手段同士が接触する心配はないものの、毛羽や単糸の交絡等により走行方向が蛇行し、一定幅の分繊幅が得にくくなる場合がある。また、成形品とした場合、力学特性の発現率が低下する懸念がある。
なお、繊維束の拡幅処理や分繊処理は、後に詳しく述べる通り、様々なタイミングで実施することができ、例えばサイジング剤塗布工程と乾燥工程の間に行うことができる。
次にサイジング剤付与のタイミングについて説明する。
図6は、本発明に係る繊維強化樹脂成形材料を構成する強化繊維束の製造工程におけるサイジング剤付与工程400のタイミング例を示しており、かかるサイジング剤付与工程400は、サイジング剤塗布工程401と、乾燥工程402と、熱処理工程403とを含んでいる。なお、サイジング剤付与工程において乾燥工程と熱処理工程は必ずしも含む必要はないが、図6には、これらサイジング剤塗布工程401、乾燥工程402、熱処理工程403を含むサイジング剤付与工程400が、繊維束100が分繊処理工程300を経て分繊繊維束180に形成される工程中において、分繊処理工程300よりも前に行われるパターンAと、分繊処理工程300よりも後に行われるパターンBとが示されている。パターンA、パターンBのいずれのタイミングも可能である。
図7は、繊維束拡幅工程301を含む強化繊維束の製造工程におけるサイジング剤付与工程400のタイミング例を示している。図7には、繊維束100が繊維束拡幅工程301と分繊処理工程300とをこの順を経て分繊繊維束180に形成される工程中において、図6と同様のサイジング剤付与工程400が、繊維束拡幅工程301よりも前に行われるパターンCと、繊維束拡幅工程301と分繊処理工程300との間で行われるパターンDと、分繊処理工程300よりも後に行われるパターンEとが示されている。パターンC、パターンD、パターンEのいずれのタイミングも可能であるが、最適な分繊処理を達成できる観点から、パターンDのタイミングが最も好ましい。なお、この図に示すパターンにおいても、乾燥工程と熱処理工程は必ずしも含む必要はない。
本発明において、シート状物を構成するマトリックス樹脂としては、熱可塑性樹脂が好ましく、かかる熱可塑性樹脂としては特に限定されない。例えば、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリスルフォン樹脂、ABS樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリブチレンテレフタラート(PBT)樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、液晶ポリマー樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素系樹脂、シリコーンなどが挙げられる。特に、上記熱可塑性樹脂としてポリアミド樹脂を使用することが好ましく、さらにポリアミドに無機系の酸化防止剤を配合させることが好ましい。
かかるポリアミド樹脂としては、例えば、環状ラクタムの開環重合またはω-アミノカルボン酸の重縮合で得られるナイロン6、ナイロン11、ナイロン12やジアミンとジカルボン酸の重縮合で得られるナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン6T、ナイロン6I、ナイロン9T、ナイロンM5T、ナイロンMFD6、2種以上のジアミンとジカルボン酸の重縮合で得られるナイロン66・6・6I、ナイロン66・6・12などの共重合ナイロンなどが好適に使用することができる。特にナイロン6、66、610は機械的特性とコストの観点から好ましい。
また、無機系の酸化防止剤としては、ハロゲン化銅あるいはその誘導体を用いることができ、たとえば、ヨウ化銅、臭化銅、塩化銅、メルカプトベンズイミダゾールとヨウ化銅との錯塩などが挙げられる。なかでもヨウ化銅、メルカプトベンズイミダゾールとヨウ化銅との錯塩を好適に使用できる。ハロゲン化銅あるいはその誘導体の添加量としては、熱可塑性ポリアミド樹脂100重量部に対し0.001~5重量部の範囲にあることが好ましい。添加量が0.001部未満では予熱時の樹脂分解や発煙、臭気を抑えることができず、5重量部以上では改善効果の向上が見られなくなる。更に0.002~1重量部が熱安定化効果とコストのバランスから好ましい。
以上のような構成の本発明の繊維強化樹脂成形材料は、例えば下記工程[A]~[D]によって製造される。
[A]不連続強化繊維束のマット基材を作製する工程
[B]熱可塑性樹脂を前記マット基材に散布、あるいは、積層する工程
[C]熱可塑性樹脂を溶融する工程
[D]冷却・固化する工程
上記工程[A]においては、例えば上述した部分分繊繊維束を所望する長さに切断し、シート状に散布することで、不連続強化繊維束からなるマット基材とする。
工程[B]においては、前記工程[A]で得られたマット基材にマトリックス樹脂となる熱可塑性樹脂の粒子を散布したり、フィルム、不織布又は織物等のシート状の熱可塑性樹脂を、マット基材上に積層する。このとき、シート状の熱可塑性樹脂の目付を適宜小さく調整することで、得られる繊維強化樹脂成形材料の表面における凹凸数A(表)を上記のとおりに調整する。なお、工程[A]において、所望の繊維長に切断したチョップド繊維束をシート状に散布する際に同時に熱可塑性樹脂の粒子を散布し、マット基材内部に熱可塑性樹脂を混ぜても良い。
そして、上記工程[C]、[D]は、プレス機を用い行うことができ、これら工程により、繊維束間や繊維束内へ樹脂を含浸せしめて繊維束同士・繊維同士を接着することが可能となる。
プレス機としては樹脂の含浸に必要な温度、圧力を実現できるものであれば特に制限はなく、上下する平面状のプラテンを有する通常のプレス機や、1対のエンドレススチールベルトが走行する機構を有するいわゆるダブルベルトプレス機を用いることができる。
プレス圧は0.5MPa以下が好ましく、0.3MPa以下がより好ましく、0.1MPa以下がさらに好ましい。この範囲であれば、マット基材を構成する不連続強化繊維束の配向の乱れやマット基材の目付変動を抑えることができる。
また、プレス面の温度は繊維強化樹脂成形材料を構成するマトリックス樹脂の融点より30℃以上高い温度が好ましく、予熱することが好ましい。なお、樹脂融点はJIS K-7121(2012年)に準じて測定される。さらに、マット基材の内部温度がマトリックス樹脂の融点より30℃以上高い状態を30秒以上キープすることが好ましく、該時間は40秒以上がより好ましく、50秒以上がさらに好ましい。この範囲であればマトリックス樹脂と強化繊維束の接着性が良好で、マット基材の形態を崩さずにシートを持ち運ぶことができる。
以上のような一連の工程によって得られる繊維強化樹脂成形材料は、特定の物性を有する強化繊維束を用い、かつ、成形材料におけるボイド率が上記したような範囲になるので、生産性を高めることができるうえに、かかる成形材料を用いた成形体としては高い力学特性を発現できるものとなる。
さらに、以上のような構成の本発明の繊維強化樹脂成形材料は、例えば下記工程[E]~[H]によって成形される。
[E]繊維強化樹脂成形材料を予熱する工程
[F]繊維強化樹脂成形材料を金型に配置する工程
[G]型締めする工程
[H]繊維強化樹脂成形材料を冷却・固化する工程
上記工程[E]においては、繊維強化樹脂成形材料を構成するマトリックス樹脂の融点より30℃以上高い温度で予熱することが好ましい。なお予熱炉を使わず、金型内に材料を配置し、型締めして予熱してもよい。
上記工程[G]において、プレス圧は0.5MPa以上が好ましく、5MPa以上がより好ましく、10MPa以上がさらに好ましい。また、加圧時間は10秒以上が好ましく、20秒以上がより好ましく、30秒以上がさらに好ましい。この範囲であれば、マトリックス樹脂をマット基材に十分に含浸でき、成形品のボイド率を低下させ力学特性を高めることができる。
上記工程[H]において、樹脂融点をTmとすると材料を冷却して取り出す金型温度の上限は、Tm-40℃以下であることが好ましい。また、材料を冷却して取り出す金型温度の下限は、Tm-150℃以上であることが好ましく、Tm-120℃以上であることがより好ましく、Tm-90℃以上であることがさらに好ましい。この範囲であれば、金型に樹脂を残さず金型の消費電力を抑制して成形品を取り出すことができる。
また、維強化樹脂成形材料を、予熱せずに、例えばマトリックス樹脂の融点より30℃以上高い金型内に配置し、プレス圧0.5MPa以上で加圧した後、前記金型の温度を前記マトリックス樹脂の融点より40℃以上低い温度に冷却して取り出してもよい。このようにして、繊維強化樹脂成形材料の比重ρ1(g/cm)と成形品の比重ρ2(g/cm)との比ρ1/ρ2が0.5以上となるようにすることも好ましい。該比ρ1/ρ2の上限は、0.9以下が好ましく、0.8以下がより好ましく、0.7以下がさらに好ましい。この範囲であれば、繊維強化樹脂成形材料の製造時の巻き取り性や成形時の金型追随性に優れる。繊維強化樹脂成形材料の比重ρ1(g/cm)と維強化樹脂成形材料からなる成形品の比重ρ2(g/cm)の導出方法については後述する。
以下実施例を用いて本発明の詳細を説明する。各種測定方法、計算方法、及び、評価方法は以下の通りである。
(1)凹凸数A
図1に示す通り、繊維強化樹脂成形材料10の表面において、任意の300mmのライン上を1mm/秒の速度でレーザー変位計(メーカー:KEYENCE、型式:LK-080、スポット径:約70μm、繰り返し精度3μm)を移動させ、サンプリング周期0.1秒でレーザー照射面11からシート面までの距離Q(k=1、2、3・・・(測定順))を測定する。距離Qの測定0.1秒後のデータをQk+1、0.2秒後のデータをQk+2となる。このようにして測定されたデータから、Qk+2-Qk+1が0.3mm未満、かつ、Qk+1-Qが0.3mm以上となるQの点の総数p(個)をカウントする。総数p(個)を300mmで割ることで、凹凸数A(個/mm)を導出した。繊維強化樹脂成形材料10の裏面においても同様にした。表面、裏面それぞれにおいて得られた凹凸数A(個/mm)を、それぞれ凹凸数A(表)、凹凸数A(裏)とした。
(2)繊維強化樹脂成形材料の比重ρ1と維強化樹脂成形材料からなる成形品の比重ρ2
繊維強化樹脂成形材料の比重ρ1(g/cm)、及び、成形品の比重ρ2(g/cm)は、JIS K-7112(1999年)のA法(水中置換法)により測定した。なお、内部のボイドが連続で存在し外部まで繋がっている場合、材料周囲にテープ等を貼って、材料内部への水の浸入を防いで測定した。
(3)ドレープ値の測定
図8に示すように、23±5℃の雰囲気下、直方体の台の端に、長さ30cm、幅10cmに切断した繊維強化樹脂成形材料を固定した。この時、繊維強化樹脂成形材料が台の端から25cm突き出るように固定した。すなわち、繊維強化樹脂成形材料の端から5cmの部分が、台の端に来るようにした。この状態で5分間静置した後、台に固定していない方の繊維強化樹脂成形材料の先端と、台の側面との最短距離dを測定し、ドレープ値とした。
(4)束内ボイド率
繊維強化樹脂成形材料の厚み方向の任意の断面において、1束の面積を100%として、束内のボイド面積割合を二値化画像処理により求めた。50束の束内のボイド面積割合を測定し、その平均値を束内ボイド率V2(%)とした。
(5)全体ボイド率
繊維強化樹脂成形材料の全体ボイド率はJIS K-7075(1991年)に沿って下記(4)式より導出し、1枚のシートから切り出した10サンプルの平均値を全体ボイド率とした。なお、繊維質量含有率Wf(%)は500℃、2時間、窒素雰囲気条件の燃焼法により測定し、下記(1)式から導出した。
Wf=M1/M0×100(質量%) (1)
(M1:燃焼後の強化繊維質量(mg)、M0:燃焼前の繊維強化樹脂成形材料の質量(mg))
Vf=(Wf/ρf)/(Wf/ρf+(100-Wf)/ρr)×100(%) (2)
(Vf:樹脂完全含浸時の繊維強化樹脂成形材料の繊維体積含有率、ρf:強化繊維の比重、ρr:熱可塑性樹脂の比重)
Vr=100-Vf(%) (3)
(Vr:樹脂完全含浸時の繊維強化樹脂成形材料の樹脂体積含有率、ρr:熱可塑性樹脂の比重)
全体ボイド率V1=(1-100×ρ1/(ρf×Vf+ρr×Vr))×100(%) (4)
(6)平均繊維束厚みtの測定法
繊維強化樹脂成形材料を500℃に加熱した窒素雰囲気中(酸素濃度1%以下)の電気炉の中で2時間加熱してマトリックス樹脂等の有機物を焼き飛ばして繊維マットを取り出した。得られた繊維マットから繊維束を50束ピックアップし、束幅直交方向(いわゆる縦断面)で最も厚い箇所の厚みの平均値を平均繊維束厚みt(μm)とした。
(7)平均繊維数の測定方法
分繊処理する前の強化繊維束の1mあたりの質量とフィラメント数からフィラメント1m長あたりの質量a(mg/m)を導出した。次に、分繊処理された強化繊維束を10mm程度の長さにカットした強化繊維束の繊維長さl(mm)と質量b(mg)を測定し、下記式により繊維数を導出した。平均繊維数は計20個のカットした強化繊維束の繊維数の平均値とした。
繊維数=(b×1000/(a×l))
なお、繊維強化樹脂成形材料から平均繊維数を測定する場合には、以下の方法で測定すればよい。すなわち、まず、繊維強化樹脂成形材料を500℃に加熱した窒素雰囲気中(酸素濃度1%以下)の電気炉の中で2時間加熱してマトリックス樹脂等の有機物を焼き飛ばして繊維マットを取り出す。次に、得られた繊維マットから繊維束を1束ピックアップし、繊維長l2(mm)と重量c(mg)を測定し、下記式より繊維数を導出する。平均繊維数は計50束の繊維数の平均値とする。
繊維数=(c/(π×r×l2×ρf)×10
(r:繊維半径(μm))
(8)平均繊維束幅の測定法
束幅を繊維束長手方向(繊維方向)に30cm間隔で20点測定し、その平均値を平均繊維束幅(mm)とした。
なお、繊維強化樹脂成形材料から平均繊維束幅を測定する場合には、以下の方法で測定すればよい。すなわち、まず、繊維強化樹脂成形材料を500℃に加熱した窒素雰囲気中(酸素濃度1%以下)の電気炉の中で2時間加熱してマトリックス樹脂等の有機物を焼き飛ばして繊維マットを取り出す。次に、得られた繊維マットから繊維束を1束ピックアップし、繊維束幅(mm)を測定する。平均繊維束幅は計50束の繊維束幅の平均値とする。
(9)単位幅あたりの繊維数
平均繊維数を平均繊維束幅で割ることで単位幅あたりの繊維数(本/mm)とした。
(10)熱分解開始温度の測定法
サイジング剤の熱分解開始温度を下記のように測定した。まず、サイジング剤が塗布された強化繊維を5mgほど採取し、110℃で2時間乾燥後、デシケーター内で室温で1時間、冷却した。その後、秤量し、窒素雰囲気中でTGA測定する。窒素流量を100ml/分、昇温速度を10℃/分とし、室温から650℃までの重量減少を測定した。縦軸を初期重量に対するサイズ糸の重量比(%)、横軸を温度(℃)とするTGA曲線において、重量減少速度(%/℃)の最大となる温度、及び、それより低温側で最も隣接する、重量減少速度が極小となる温度を探し、各々の接線の交点を熱分解開始温度と定義した。
ただし熱分解開始温度の定義は、サイジング剤の化学変性後、マトリックス樹脂含浸前の状態において適用した。サイジング剤が塗布された強化繊維の熱分解開始温度が測定できない場合、サイジング剤を強化繊維の代わりに使用した。
(11)サイジング剤の付着量の測定方法
サイジング剤が付着している強化繊維束を5g採取し、耐熱製の容器に投入した。次にこの容器を80℃、真空条件下で24時間乾燥し、吸湿しないように注意しながら室温まで冷却後、秤量した強化繊維の質量をm1(g)とし、続いて容器ごと、窒素雰囲気中、500℃、15分間の灰化処理を行った。吸湿しないように注意しながら室温まで冷却し、秤量した強化繊維の質量をm2(g)とした。以上の処理を経て、強化繊維へのサイジング剤の付着量を次式により求めた。測定は10本の強化繊維束について行い、その平均値を算出した。
サイジング剤の付着量(質量%)=100×{(m1-m2)/m1}
(12)強化繊維束の切断角度の測定方法
繊維強化樹脂成形材料を500℃に加熱した窒素雰囲気中(酸素濃度1%以下)の電気炉の中で2時間加熱してマトリックス樹脂等の有機物を焼き飛ばして繊維マットを取り出した。次に、得られた繊維マットから繊維束をピックアップし、図2や図3に示すように鋭角となる切断角度θを測定した。平均切断角度は計50束の切断角度の平均値とした。
(13)製造時の巻き取り性
幅500mmの繊維強化樹脂成形材料を500mm径の芯に1時間巻き取るテストを行った。強化繊維や樹脂の脱落量が5g未満の場合をA、強化繊維や樹脂の脱落量が5g以上の場合をB、巻き取れない場合をCと判定した。
(14)成形時の金型追随性
繊維強化樹脂成形材料を280℃、クリアランス2mm、R3mmのコの字形状(立ち壁高さ:100mm)の金型に設置して成形した。R部において強化繊維が折れず表面に0.3mm以上の窪みがない場合をA、R部において強化繊維が折れず表面に0.3mm以上の窪みがある場合をB、R部において強化繊維が折れる場合をCと判定した。
(15)力学特性
繊維強化樹脂成形材料を用いて後記する方法により成形し、300×200mmの平板成形品を得た。平板長手方向を0°とし、得られた平板より0°と90°方向から、それぞれ100×25×2mmの試験片6片(合計12片)を切り出し、JIS K7074(1988年)に準拠し測定を実施し、曲げ強度の平均値を求めた。曲げ強度の平均値が350MPa以上をA、200MPa以上350MPa未満をB、200MPa未満をCと判定した。
[使用原料]
・強化繊維束1:炭素繊維束(ZOLTEK社製“PX35”、単糸数50,000本、“13”サイジング)を用いた。
・強化繊維束2:炭素繊維束(東レ(株)社製、“トレカ”T700SC-24K-50C、単糸数24,000本)
・樹脂1: ポリアミド6樹脂(東レ(株)社製、“アミラン”(登録商標)CM1001P、粒径120μm、融点225℃)
・樹脂2: ポリアミド6樹脂(東レ(株)社製、“アミラン”(登録商標)CM1001、融点225℃)からなるポリアミドマスターバッチを用いて作製したシート
・樹脂3: 未変性ポリプロピレン樹脂(プライムポリマー(株)社製、“プライムポリプロ”(登録商標)J106MG、融点160℃)90質量%と、酸変性ポリプロピレン樹脂(三井化学(株)製、“アドマー”(登録商標)QE800、融点140℃)10質量%とからなるポリプロピレンマスターバッチを用いて作製したシート
・サイジング剤1: 水溶性ポリアミド(東レ(株)社製、“T-70”)
・サイジング剤2: 水溶性ポリアミド(東レ(株)社製、“A-90”)
[繊維強化樹脂成形材料の製造方法]
強化繊維束を、ワインダーを用いて一定速度10m/分で巻出し、10Hzで軸方向へ振動する振動拡幅ロールに通し、拡幅処理を施した後に、幅規制ロールを通すことで任意の幅へ拡幅した拡幅繊維束を得た。
その後、拡幅繊維束を、精製水で希釈したサイジング剤に連続的に浸漬させた。次いで250℃のホットローラと250℃の乾燥炉(大気雰囲気下)にサイジング剤を塗布した拡幅繊維束を供し、乾燥して水分を除去し、1.5分熱処理を施した。
厚み0.2mm、幅3mm、高さ20mmの突出形状を具備する分繊処理用鉄製プレートを、強化繊維束の幅方向に対して等間隔に並行にセットした分繊処理手段を準備した。この分繊処理手段を、熱処理を終えた前記拡幅繊維束に対して、間欠式に抜き挿しし、任意の分割数の強化繊維束を得た。この時、分繊処理手段は、一定速度10m/分で走行する拡幅繊維束に対して、3秒間分繊処理手段が突き刺された分繊処理区間と、0.2秒間分繊処理手段が抜かれた未分繊処理区間とを生成する動作を繰り返し行なった。得られた強化繊維束は、狙いの平均繊維数になるように分繊処理区間で繊維束が幅方向に対して分繊されており、少なくとも1つの分繊処理区間の少なくとも1つの端部に、単糸が交絡した絡合部が蓄積されてなる絡合蓄積部を有していた。
続いて、得られた強化繊維束を、ロータリーカッターへ連続的に挿入して繊維束を任意の繊維長に切断、均一分散するように散布することにより、繊維配向が等方的である不連続繊維マットを得た。
熱可塑性樹脂と不連続繊維マット(積層構成:[熱可塑性樹脂/不連続繊維マット/熱可塑性樹脂/不連続繊維マット/熱可塑性樹脂])を任意の隙間を有するダブルベルトプレス機で上下から挟み込み、シート状の繊維強化樹脂成形材料を得た。
(参考例1)
表1に示す通り、強化繊維束の単位幅あたりの単糸数700本/mm、サイジング剤1を含むトータルサイジング剤付着量3質量%である、強化繊維束1からなる強化繊維束を作製した。
(参考例2)
表1に示す通り、強化繊維束の単位幅あたりの単糸数800本/mm、サイジング剤1を含むトータルサイジング剤付着量3質量%である、強化繊維束1からなる強化繊維束を作製した。
(参考例3)
表1に示す通り、強化繊維束の単位幅あたりの単糸数765本/mm、サイジング剤1を含むトータルサイジング剤付着量3質量%である、強化繊維束2からなる強化繊維束を作製した。
(参考例4)
表1に示す通り、強化繊維束の単位幅あたりの単糸数1630本/mm、サイジング剤2を含むトータルサイジング剤付着量3質量%である、強化繊維束2からなる強化繊維束を作製した。
(参考例5)
表1に示す通り、強化繊維束の単位幅あたりの単糸数1340本/mm、サイジング剤2を含むトータルサイジング剤付着量3質量%である、強化繊維束1からなる強化繊維束を作製した。
(参考例6)
表1に示す通り、強化繊維束の単位幅あたりの単糸数2040本/mm、サイジング剤2を含むトータルサイジング剤付着量3質量%である、強化繊維束1からなる強化繊維束を作製した。
(参考例7)
表1に示す通り、強化繊維束の単位幅あたりの単糸数760本/mm、サイジング剤1を含むトータルサイジング剤付着量3質量%である、強化繊維束1からなる強化繊維束を作製した。
(参考例8)
表1に示す通り、強化繊維束の単位幅あたりの単糸数1720本/mm、サイジング剤1を含むトータルサイジング剤付着量3質量%である、強化繊維束1からなる強化繊維束を作製した。
(参考例9)
表1に示す通り、強化繊維束の単位幅あたりの単糸数1830本/mm、サイジング剤2を含むトータルサイジング剤付着量3質量%である、強化繊維束2からなる強化繊維束を作製した。
(実施例1)
参考例1で作製した強化繊維束を角度10°でカットした束からなるマット(目付:540g/m)と樹脂1(目付:532g/m)を、[樹脂1/マット/樹脂1/マット/樹脂1]になるように積層し、加熱ゾーン(350℃、加熱時間100秒、クリアランス3mm)と冷却ゾーン(150℃、冷却時間60秒、加圧ゼロ)を含むダブルベルトプレスでシートを製造した。得られた成形材料の製造時の巻き取り性の結果を表2に示す。
その後、得られた成形材料を400×300mmにカットし、280℃、クリアランス2mm、R3mmのコの字形状(立ち壁高さ:100mm)の金型に設置し、プレス圧10MPaで30秒間加圧した。100℃まで冷却後、成形品を取り出した。図9に成形品形状および12本の試験片の切り出し箇所(0°方向と90°方向それぞれにおける#1~#6)を示す。成形時の金型追随性、成形品の力学特性の結果を表2に示す。
(実施例2)
参考例2で作製した強化繊維束を角度10°でカットした束からなるマット(目付:558g/m)と樹脂1(目付:524g/m)を、[樹脂1/マット/樹脂1/マット/樹脂1]になるように積層し、加熱ゾーン(300℃、加熱時間100秒、クリアランス3mm)と冷却ゾーン(150℃、冷却時間60秒、加圧ゼロ)を含むダブルベルトプレスでシートを製造した。得られた成形材料の製造時の巻き取り性の結果を表2に示す。
その後、得られた成形材料を400×300mmにカットし、280℃、クリアランス2mm、R3mmのコの字形状(立ち壁高さ:100mm)の金型に設置し、プレス圧10MPaで30秒間加圧した。100℃まで冷却後、成形品を取り出した。図9に成形品形状および12本の試験片の切り出し箇所を示す。成形時の金型追随性、成形品の力学特性の結果を表2に示す。
(実施例3)
参考例3で作製した強化繊維束を角度13°でカットした束からなるマット(目付:612g/m)と樹脂2(目付:502g/m)を、[樹脂2/マット/樹脂2/マット/樹脂2]になるように積層し、加熱ゾーン(300℃、加熱時間100秒、クリアランス3mm)と冷却ゾーン(150℃、冷却時間60秒、加圧ゼロ)を含むダブルベルトプレスでシートを製造した。得られた成形材料の製造時の巻き取り性の結果を表2に示す。
その後、得られた成形材料を400×300mmにカットし、280℃、クリアランス2mm、R3mmのコの字形状(立ち壁高さ:100mm)の金型に設置し、プレス圧10MPaで30秒間加圧した。100℃まで冷却後、成形品を取り出した。図9に成形品形状および12本の試験片の切り出し箇所を示す。成形時の金型追随性、成形品の力学特性の結果を表2に示す。
(実施例4)
参考例4で作製した強化繊維束を角度12°でカットした束からなるマット(目付:558g/m)と樹脂2(目付:524g/m)を、[樹脂2/マット/樹脂2/マット/樹脂2]になるように積層し、加熱ゾーン(350℃、加熱時間100秒、クリアランス3mm)と冷却ゾーン(150℃、冷却時間60秒、加圧ゼロ)を含むダブルベルトプレスでシートを製造した。得られた成形材料の製造時の巻き取り性の結果を表2に示す。
その後、得られた成形材料を400×300mmにカットし、280℃、クリアランス2mm、R3mmのコの字形状(立ち壁高さ:100mm)の金型に設置し、プレス圧10MPaで30秒間加圧した。100℃まで冷却後、成形品を取り出した。図9に成形品形状および12本の試験片の切り出し箇所を示す。成形時の金型追随性、成形品の力学特性の結果を表2に示す。
(実施例5)
参考例5で作製した強化繊維束を角度24°でカットした束からなるマット(目付:576g/m)と樹脂3(目付:408g/m)を、[樹脂3/マット/樹脂3/マット/樹脂3]になるように積層し、加熱ゾーン(300℃、加熱時間100秒、クリアランス3mm)と冷却ゾーン(150℃、冷却時間60秒、加圧ゼロ)を含むダブルベルトプレスでシートを製造した。得られた成形材料の製造時の巻き取り性の結果を表2に示す。
その後、得られた成形材料を400×300mmにカットし、280℃、クリアランス2mm、R3mmのコの字形状(立ち壁高さ:100mm)の金型に設置し、プレス圧10MPaで30秒間加圧した。100℃まで冷却後、成形品を取り出した。図9に成形品形状および12本の試験片の切り出し箇所を示す。成形時の金型追随性、成形品の力学特性の結果を表2に示す。
(実施例6)
参考例6で作製した強化繊維束を角度23°でカットした束からなるマット(目付:522g/m)と樹脂3(目付:426g/m)を、[樹脂3/マット/樹脂3/マット/樹脂3]になるように積層し、加熱ゾーン(300℃、加熱時間100秒、クリアランス3mm)と冷却ゾーン(150℃、冷却時間60秒、加圧ゼロ)を含むダブルベルトプレスでシートを製造した。得られた成形材料の製造時の巻き取り性の結果を表2に示す。
その後、得られた成形材料を400×300mmにカットし、280℃、クリアランス2mm、R3mmのコの字形状(立ち壁高さ:100mm)の金型に設置し、プレス圧10MPaで30秒間加圧した。100℃まで冷却後、成形品を取り出した。図9に成形品形状および12本の試験片の切り出し箇所を示す。成形時の金型追随性、成形品の力学特性の結果を表2に示す。
(比較例1)
参考例7で作製した強化繊維束を角度13°でカットした束からなるマット(目付:558g/m)と樹脂2(目付:524g/m)を、[樹脂2/マット/樹脂2/マット/樹脂2]になるように積層し、加熱ゾーン(350℃、加熱時間100秒、クリアランス2mm)と冷却ゾーン(150℃、冷却時間60秒、クリアランス2mm)を含むダブルベルトプレスでシートを製造した。得られた成形材料の製造時の巻き取り性の結果を表2に示す。
その後、得られた成形材料を400×300mmにカットし、280℃、クリアランス2mm、R3mmのコの字形状(立ち壁高さ:100mm)の金型に設置し、プレス圧10MPaで30秒間加圧した。100℃まで冷却後、成形品を取り出した。図9に成形品形状および12本の試験片の切り出し箇所を示す。成形時の金型追随性、成形品の力学特性の結果を表2に示す。
(比較例2)
参考例8で作製した強化繊維束を角度13°でカットした束からなるマット(目付:594g/m)と樹脂3(目付:402g/m)を、[樹脂3/マット/樹脂3/マット/樹脂3]になるように積層し、加熱ゾーン(210℃、加熱時間100秒、クリアランス3mm)と冷却ゾーン(150℃、冷却時間60秒、加圧ゼロ)を含むダブルベルトプレスでシートを製造した。得られた成形材料の製造時の巻き取り性の結果を表2に示す。
その後、得られた成形材料を400×300mmにカットし、280℃、クリアランス2mm、R3mmのコの字形状(立ち壁高さ:100mm)の金型に設置し、プレス圧10MPaで30秒間加圧した。100℃まで冷却後、成形品を取り出した。図9に成形品形状および12本の試験片の切り出し箇所を示す。成形時の金型追随性、成形品の力学特性の結果を表2に示す。
(比較例3)
参考例9で作製した強化繊維束を角度45°でカットした束からなるマット(目付:576g/m)と樹脂1(目付:517g/m)を、[樹脂1/マット/樹脂1/マット/樹脂1]になるように積層し、加熱ゾーン(下ベルト:240℃、上ベルト:260℃、加熱時間100秒、クリアランス3mm)と冷却ゾーン(150℃、冷却時間60秒、加圧ゼロ)を含むダブルベルトプレスでシートを製造した。得られた成形材料の製造時の巻き取り性の結果を表2に示す。
その後、得られた成形材料を400×300mmにカットし、280℃、クリアランス2mm、R3mmのコの字形状(立ち壁高さ:100mm)の金型に設置し、プレス圧10MPaで30秒間加圧した。100℃まで冷却後、成形品を取り出した。図9に成形品形状および12本の試験片の切り出し箇所を示す。成形時の金型追随性、成形品の力学特性の結果を表2に示す。
Figure 0007363482000001
Figure 0007363482000002
本発明の繊維強化樹脂成形材料は自動車内外装、電気・電子機器筐体、自転車、航空機内装材、輸送用箱体など等に好適に用いることができる。
100 繊維束
110 分繊処理区間
130 未分繊処理区間
140 毛羽溜まり
150 分繊処理部
160 絡合部
180 分繊繊維束
200 分繊手段
210 突出部
211 接触部
300 分繊処理工程
301 繊維束拡幅工程
400 サイジング剤付与工程
401 サイジング剤塗布工程
402 乾燥工程
403 熱処理工程

Claims (11)

  1. 不連続強化繊維束とマトリックス樹脂とからなり、前記マトリックス樹脂が前記不連続強化繊維束間に存在するシート状物からなる繊維強化樹脂成形材料であって、前記シート状物の表面において以下のように計測される凹凸数A(表)(個/mm)が0.1個/mm以上1個/mm以下であり、前記シート状物の厚みが0.1mm以上4mm以下であることを特徴とする、繊維強化樹脂成形材料。
    凹凸数A(表)(個/mm):300mmのライン上を1mm/秒の速度でレーザー変位計(スポット径:約70μm、繰り返し精度3μm)を移動させ、サンプリング周期0.1秒でレーザー照射面からシート面までの距離Q(k=1、2、3・・・(測定順))を測定したとき、Qk+2-Qk+1が0.3mm未満、かつ、Qk+1-Qが0.3mm以上を満たすQの点の総数p(個)を300mmで割って得られる値
  2. 前記凹凸数A(表)と前記シート状物の裏面において以下のように計測される凹凸数A(裏)との比である凹凸数A(表)/凹凸数A(裏)または凹凸数A(裏)/凹凸数A(表)のうち、1未満となる方の比の範囲が0.01以上0.5未満であることを特徴とする、請求項1に記載の繊維強化樹脂成形材料。
    凹凸数A(裏)(個/mm):300mmのライン上を1mm/秒の速度でレーザー変位計(スポット径:約70μm、繰り返し精度3μm)を移動させ、サンプリング周期0.1秒でレーザー照射面からシート面までの距離Q(k=1、2、3・・・(測定順))を測定したとき、Qk+2-Qk+1が0.3mm未満、かつ、Qk+1-Qが0.3mm以上を満たすQの点の総数p(個)を300mmで割って得られる値
  3. JIS K-7112(1999年)のA法(水中置換法)にて測定される、前記繊維強化樹脂成形材料の比重ρ1(g/cm)と前記維強化樹脂成形材料からなる成形品の比重ρ2(g/cm)との比ρ1/ρ2が0.5以上0.9未満であることを特徴とする、請求項1または2に記載の繊維強化樹脂成形材料。
  4. 以下のように計測されるドレープ値が3cm以上23cm以下であることを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の繊維強化樹脂成形材料。
    ドレープ値:23±5℃の雰囲気下、長さ30cm、幅10cmの前記繊維強化樹脂成形材料を直方体の台の端に固定し、台の端から25cm突き出した前記繊維強化樹脂成形材料の先端と台の側面との最短距離
  5. 以下のように算出される平均繊維束厚みt(μm)と束内ボイド率V2(%)との積t*V2(μm・%)が500μm・%以上20000μm・%以下であることを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載の繊維強化樹脂成形材料。
    平均繊維束厚みt(μm):500℃に加熱した窒素雰囲気中(酸素濃度1%以下)の電気炉の中で前記繊維強化樹脂成形材料を2時間加熱して得られる繊維マットから前記不連続強化繊維束を50束ピックアップし、束幅垂直方向(いわゆる縦断面)である繊維束の厚みをノギスで測定した平均値
    束内ボイド率V2(%):シートの任意の厚み方向断面を研磨し撮影した写真から50束を選択し、1束の断面積を100%とした場合における、二値化画像処理により求められたボイド断面積割合の、50束の平均値
  6. 以下のように算出される束内ボイド率V2(%)が10%以上50%以下であることを特徴とする、請求項1~5のいずれかに記載の繊維強化樹脂成形材料。
    束内ボイド率V2(%):シートの任意の厚み方向断面を研磨し撮影した写真から50束を選択し、1束の断面積を100%とした場合における、二値化画像処理により求められたボイド断面積割合の、50束の平均値
  7. 以下のように算出される平均繊維束厚みt(μm)が40μm以上200μm以下であることを特徴とする、請求項1~6のいずれかに記載の繊維強化樹脂成形材料。
    平均繊維束厚みt(μm):500℃に加熱した窒素雰囲気中(酸素濃度1%以下)の電気炉の中で前記繊維強化樹脂成形材料を2時間加熱して得られる繊維マットから前記不連続強化繊維束を50束ピックアップし、束幅垂直方向(いわゆる縦断面)である繊維束の厚みをノギスで測定した平均値
  8. 以下のように求められる全体ボイド率(%)の平均値V1(%)が5%以上50%以下であることを特徴とする、請求項1~7のいずれかに記載の繊維強化樹脂成形材料。
    全体ボイド率V1(%):JIS K-7075(1991年)にて導出され、1枚のシートから切り出した10サンプルの平均値
  9. 前記不連続強化繊維束の切断角度が3°以上30°以下であることを特徴とする、請求項1~8のいずれかに記載の繊維強化樹脂成形材料。
  10. 前記不連続強化繊維束の単位幅あたりの繊維数が500本/mm以上1600本/mm以下であることを特徴とする、請求項1~9のいずれかに記載の繊維強化樹脂成形材料。
  11. 請求項1~10のいずれかに記載の繊維強化樹脂成形材料を用いて成形品を製造するにあたり、前記維強化樹脂成形材料を予熱せずに前記マトリックス樹脂の融点より30℃以上高い金型内に配置し、プレス圧0.5MPa以上で加圧した後、前記金型の温度を前記マトリックス樹脂の融点より40℃以上低い温度に冷却して取り出して、以下のように測定される前記繊維強化樹脂成形材料の比重ρ1(g/cm)と成形品の比重ρ2(g/cm)との比ρ1/ρ2が0.5以上0.9未満となるようにすることを特徴とする、成形品の製造方法。
    比重ρ1(g/cm)、ρ2(g/cm):JIS K-7112(1999年)のA法(水中置換法)にて測定される値
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