JP7363222B2 - 離型シートおよび物品 - Google Patents

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Description

本開示は、離型シートおよび物品に関する。
樹脂層を有する物品に対して、様々な外観が求められている。望まれる外観の一つとして、滑らかな表面、深みのある色艶、光沢感を兼ね備えるビロード調の外観が挙げられる。
ビロード調の外観を有する物品に関する技術として、例えば、特許文献1には、基材と、該基材の少なくとも一方の面に設けられ、その表面に微細凹凸が形成された樹脂層とを有し、上記樹脂層は、入射角度5°の可視光に対する正反射率が0.05%以下であり、入射角度65°の可視光に対する正反射率が0.4%以上である光学特性を満たすことを特徴とする合成皮革が開示されている。
また、特許文献2には、支持層と、上記支持層上に設けられている樹脂層とを備え、上記樹脂層には、長手方向が一方向に延在する複数の凸条部を含む凹凸構造が形成されており、上記凸条部の短手方向に沿った断面視において、上記凸条部は略二等辺三角形状を有し、上記凸条部の頂角の角度が60°以下である樹脂製物品が開示されている。特許文献2は、ビロード調の表面を有し、容易にかつ安定的に製造可能な樹脂製物品を提供することを目的としている。
特開2015-206154号公報 特開2018-164991号公報
例えば特許文献2では、特定の凸条部を有する凹凸構造を採用することで、ビロード調の外観を有する物品が得られる。一方、そのような物品には、良好な触感が求められる場合がある。本開示は、上記実情に鑑みてなされたものであり、ビロード調の外観を有しつつ、良好な触感を有する樹脂層を得ることが可能な離型シートを提供することを主目的とする。
本開示においては、樹脂層に凹凸構造を形成するために用いられる離型シートであって、基材と、上記基材の一方の面側に配置された離型層とを有し、上記離型層は、上記基材とは反対側の面に、上記凹凸構造に対応する対応凹凸構造を有し、上記凹凸構造は、長手方向が一方向に延在する複数の凸条部を有し、上記凸条部の短手方向に沿った断面視において、上記凸条部の形状は三角形状であり、かつ、上記凸条部の頂角の角度は60°以下であり、上記断面視において、上記凹凸構造は、相似関係を満たす2種類以上の上記凸条部を有する、離型シートを提供する。
また、本開示においては、支持層と、上記支持層の一方の面側に配置された樹脂層とを有し、上記樹脂層は、上記支持層とは反対側の面に、凹凸構造を有し、上記凹凸構造は、長手方向が一方向に延在する複数の凸条部を有し、上記凸条部の短手方向に沿った断面視において、上記凸条部の形状は三角形状であり、かつ、上記凸条部の頂角の角度は60°以下であり、上記断面視において、上記凹凸構造は、相似関係を満たす2種類以上の上記凸条部を有する、物品を提供する。
本開示における離型シートは、ビロード調の外観を有しつつ、良好な触感を有する樹脂層を得ることができるという効果を奏する。
本開示における離型シートを例示する概略断面図である。 離型シートを用いた物品の製造方法を例示する概略断面図である。 本開示における物品を例示する概略斜視図である。 本開示における凹凸構造を例示する概略断面図である。 本開示における凹凸構造を例示する概略断面図である。 本開示における凹凸構造を例示する概略断面図である。
下記に、図面を参照しながら本開示における実施の形態を説明する。ただし、本開示は多くの異なる態様で実施することが可能であり、下記に例示する実施の形態の記載内容に限定して解釈されない。また、図面は説明をより明確にするため、実際の形態に比べ、各部の幅、厚さ、形状について模式的に表わされる場合があるが、あくまで一例であって、本開示における解釈は限定されない。
本明細書において、ある部材の上に他の部材を配置する態様を表現するにあたり、単に「上に」あるいは「下に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある部材に接するように、直上あるいは直下に他の部材を配置する場合と、ある部材の上方あるいは下方に、さらに別の部材を介して他の部材を配置する場合との両方を含む。同様に、本明細書において、「ある部材の面側に」と表記する場合、特段の断りのない限りは、ある部材の面に接するように直接、他の部材を配置する場合と、ある部材の面に別の部材の介して他の部材を配置する場合との両方を含む。
また、本開示において、「フィルム」、「シート」、「板」の用語は、呼称の相違に基づいて相互に区別されない。例えば、「板」は、「シート」、「フィルム」と一般に呼ばれ得るような部材をも含む概念である。
A.離型シート
図1は、本開示における離型シートを例示する概略断面図である。図1に示す離型シート10は、基材1と、基材1の一方の面側に配置された離型層2とを有する。離型層2は、基材1とは反対側の面に、対応凹凸構造Xを有する。
図2は、離型シートを用いた物品の製造方法を例示する概略断面図である。図2においては、まず、図2(a)に示すように、離型シート10の離型層2上に樹脂層12を形成する。次に、図2(b)に示すように、樹脂層12に支持層11を接着する。これにより、図2(c)に示すように、支持層11と、支持層11の一方の面側に配置された樹脂層12とを有する物品20が得られる。樹脂層12は、支持層11とは反対側の面に、凹凸構造Xを有する。凹凸構造Xは、対応凹凸構造Xと反転関係にある。
図3は、本開示における物品を例示する概略斜視図である。図3に示す物品20は、支持層11および樹脂層12を有する。樹脂層12における凹凸構造Xは、長手方向Dが一方向に延在する複数の凸条部X11と、隣り合う凸条部X11により形成される凹条部X12と、を有する。凸条部X11の短手方向Dに沿った断面視において、凸条部X11の形状は三角形状であり、かつ、凸条部X11の頂角の角度は60°以下である。凸条部X11の頂角の角度は、図2(c)における角度θに該当する。さらに、図2(c)に示す凹凸構造Xは、相似関係を満たす、凸条部X11aおよび凸条部X11bを有する。本開示における離型シート10は、このような凹凸構造Xに対応した対応凹凸構造Xを有する。
本開示によれば、対応凹凸構造が、所定形状の凸条部に対応する構造を有することから、ビロード調の外観を有する樹脂層を得ることが可能な離型シートとすることができる。さらに、本開示によれば、対応凹凸構造が、相似関係を満たす2種類以上の凸条部に対応する構造を有することから、良好な触感を有する樹脂層を得ることが可能な離型シートとすることができる。
例えば、特許文献2には、凸条部が略二等辺三角形状を有し、凸条部の頂角の角度が60°以下である物品が開示されている。このように、特定の凸条部を有する凹凸構造を採用することで、ビロード調の外観を有する物品が得られる。一方、特許文献2には、凹凸構造が同一形状の複数の凸条部が記載されているが、その場合、物品の触感が低下しやすい。物品に触れると凸条部は振動するが、その際に、同一形状の複数の凸条部から、特定の周波数の振動が生じ、その振動が触感を低下させていると推測される。
このような課題に対して、本発明者らが鋭意研究を重ねたところ、凸条部の高さ(凸条部の頂部の位置)を、敢えて不均一にすることが、触感の向上に効果的であることを見出した。一方、凸条部の高さを単純に不均一にすると、触感の向上効果は得られるものの、凹凸構造における幾何光学的な状態が変化し、ビロード調の外観が得られない。これに対して、対応凹凸構造が、所定形状の凸条部に対応する構造を有しつつ、それらの凸条部が相似関係を満たすことから、ビロード調の外観を有しつつ、良好な触感を有する物品を得ることができる。
1.対応凹凸構造および凹凸構造
本開示における離型層は、基材とは反対側の面に、凹凸構造に対応する対応凹凸構造を有する。対応凹凸構造および凹凸構造は、通常、反転関係にある。以下、対応凹凸構造の反転関係にある凹凸構造について、詳細に説明する。
(1)凸条部
凹凸構造は、長手方向が一方向に延在する複数の凸条部を有する。凸条部の平面視形状は、通常、条(すじ)状である。
凸条部の長手方向と直交する方向を短手方向とする。凸条部の短手方向に沿った断面視において、凸条部の形状は三角形状である。すなわち、凸条部の断面形状は三角形状である。三角形状の一例としては、図4(a)に示すように、頂角を構成する2つの斜辺の長さが同じである二等辺三角形状が挙げられる。「2つの斜辺の長さが同じ」とは、2つの斜辺の長さの差が1μm未満であることをいう。なお、二等辺三角形状には、正三角形状も含まれる(頂角60°)。
三角形状の他の例としては、図4(b)に示すように、頂角を構成する2つの斜辺の長さが異なる三角形状が挙げられる。「2つの斜辺の長さが異なる」とは、2つの斜辺の長さの差が1μm以上であることをいう。また、図4(c)に示すように、三角形状(凸条部X11)の頂角は、R形状(曲線形状)であってもよい。
図4(a)に示すように、凸条部X11の頂角を通る法線(基材に対する垂線)と、凸条部X11を構成する第1の辺l111とにより形成される角度を第1角度θ111とし、上記法線と凸条部を構成する第2の辺l112とにより形成される角度を第2角度θ112とする。第1角度θ111と第2角度θ112との差分は、例えば、0°以上30°以下であり、0°以上15°以下であってもよい。
凸条部の頂角の角度は、通常、60°以下であり、55°以下であってもよく、50°以下であってもよい。頂角の角度が大きすぎると、凸条部の反射率が大きくなり十分な質感(ビロード調の見た目)を示せなくなる可能性がある。一方、凸条部の頂角の角度は、例えば、30°以上であり、35°以上であってもよい。頂角の角度が小さすぎると、凹凸構造の凸条部のアスペクト比(三角形状の底辺に対する高さの比)が大きくなるため、十分な耐久性が得られない可能性がある。なお、図4(c)に示すように、凸条部X11の頂角がR形状(曲線形状)である場合、斜辺を延長させた三角形状の頂角の角度を、凸条部X11の頂角θとする。
凸条部の高さは、物品の用途に応じて適宜選択することができ特に限定されない。凹凸構造は、相似関係を満たす2種類以上の凸条部を有するため、凸条部によって、その高さが異なる。最も高い凸条部の高さは、例えば100μm以下であり、50μm以下であってもよく、40μm以下であってもよく、30μm以下であってもよい。また、最も高い凸条部の高さは、例えば17μm以上であり、20μm以上であってもよく、25μm以上であってもよい。
特に、最も高い凸条部の高さは、30μm以下であることが好ましい。樹脂層に用いられる樹脂量を少なくすることができ、物品の製造コストを下げることができるからである。一方、同一形状の複数の凸条部を有する凹凸構造を樹脂層に形成する場合、凸条部の高さを小さくすると、隣り合う凸条部の間隔が小さくなる。その結果、回折光である虹光の影響が大きくなる。そのため、虹光が望まれない物品において、凸条部の高さを単純に小さくすることは難しい。これに対して、本開示においては、凹凸構造が、相似関係を満たす2種類以上の凸条部を有することから、複数の凸条部の周期性を崩すことができ、虹光の発生を抑制できる。そのため、物品の製造コストを下げつつ、虹光の発生を抑制できる。
(2)凹条部
凹凸構造は、隣り合う凸条部により形成される凹条部を有することが好ましい。すなわち、凹凸構造は、隣り合う凸条部の間に、長手方向が一方向に延在する複数の凹条部を有することが好ましい。凹条部の短手方向の断面形状は、例えばV字形状である。隣り合う凸条部の2辺から構成される角を、凹条部の角とする。図4(d)に示すように、隣り合う凸条部X11の2辺から構成される凹条部X12の角は、R形状(曲線形状)であってもよい。この場合、離型シートを用いて樹脂層に凹凸構造を形成した後に、離型シートから樹脂層を剥離しやすいという利点がある。
凹条部の角がR形状(曲線形状)である場合、凹条部の角の曲率半径は、例えば15μm以下であり、10μm以下であってもよい。また、凹条部の角の曲率半径は、例えば1μm以上である。曲率半径が大きすぎる場合、入射角の小さい光線の反射率が大きくなり、ビロード調の外観が得られない可能性がある。一方、曲率半径が小さすぎる場合、離型シートから樹脂層を剥離しにくくなり、離型シートを繰り返し使用することが困難になる可能性がある。
(3)凹凸構造
凹凸構造は、凸条部の短手方向に沿った断面視において、相似関係を満たす2種類以上の凸条部を有する。「相似関係を満たす」とは、2つの凸条部の断面形状を比較した場合に、各凸条部における2つの斜辺の比率および頂角の角度が同じであり、かつ、2つの凸条部の高さが異なることをいう。
「2つの斜辺の比率が同じである」とは、一方の凸条部における2つの斜辺の比率(例えば長辺/短辺)と、他方の凸条部における2つの斜辺の比率(例えば長辺/短辺)との差が、0.1以下であることをいう。なお、凸条部の断面形状が二等辺三角形状である場合、2つの斜辺の比率は、通常、1である。また、「頂角の角度が同じである」とは、一方の凸条部の頂角の角度と、他方の凸条部の頂角の角度との差が2°以下であることをいう。また、「2つの凸条部の高さが異なる」とは、一方の凸条部の高さと、他方の凸条部の高さとの差が1μm以上であることをいう。
例えば図5において、凸条部X11aと凸条部X11bとは相似関係にある。具体的に、凸条部X11aにおける2つの斜辺l11a1、l11a2の比率(l11a2/l11a1)と、凸条部X11bにおける2つの斜辺l11b1、l11b2の比率(l11b2/l11b1)とは、同じである。また、凸条部X11aの頂角の角度θと、凸条部X11bの頂角の角度θとは、同じである。さらに、凸条部X11aの高さtと、凸条部X11bの高さtとは、異なっている。
また、凹凸構造は、凸条部の短手方向に沿った断面視において、合同関係を満たす複数の凸条部を有することが好ましい。本開示において、「合同関係を満たす」とは、2つの凸条部の断面形状を比較した場合に、各凸条部における2つの斜辺の比率および頂角の角度が同じであり、かつ、2つの凸条部の高さも同じであることをいう。
「2つの斜辺の比率が同じである」および「頂角の角度が同じである」の定義については、上記と同様である。一方、「2つの凸条部の高さが同じである」とは、一方の凸条部の高さと、他方の凸条部の高さとの差が1μm未満であることをいう。
本開示における凹凸構造は、相似関係を満たす、2種類以上の凸条部を有していてもよく、3種類以上の凸条部を有していてもよく、4種類以上の凸条部を有していてもよく、5種類以上の凸条部を有していてもよい。一方、本開示における凹凸構造は、相似関係を満たす10種類以下の凸条部を有していてもよい。
相似関係を満たす凸条部の種類(数)は、以下の方法で求めることができる。まず、複数の凸条部の中から、基準となる基準凸条部を選択し、その基準凸条部と、その他の凸条部との断面形状を観察し、相似関係を満たす凸条部を抽出する(合同関係を満たす凸条部、および、合同関係も相似関係も満たさない凸条部を除外する)。次に、抽出した凸条部の中から、新たな基準となる基準凸条部を選択し、その新たな基準凸条部と、抽出したその他の凸条部との断面形状を観察し、同様に、相似関係を満たす凸条部を抽出する(合同関係を満たす凸条部を除外する)。この作業を繰り返すことにより、相似関係を満たす凸条部の種類(数)を特定することができる。なお、基準凸条部としては、例えば、その集団の中で、最も高い凸条部を選択することができる。
例えば、相似関係を満たす2種類以上の凸条部において、最も高さが低い凸条部をXMINとし、最も高さが高い凸条部をXMAXとする。例えば図5では、X11aがXMINに該当し、X11bがXMAXに該当する。凸条部XMINの高さに対する凸条部XMAXの高さの比率(例えば図5におけるt/t)は、例えば1.01以上であり、1.05以上であってもよく、1.1以上であってもよい。一方、凸条部XMINの高さに対する凸条部XMAXの高さの比率(例えば図5におけるt/t)は、例えば10以下である。また、凸条部XMINの幅に対する凸条部XMAXの幅の比率(例えば図5におけるw/w)は、例えば1.01以上であり、1.05以上であってもよく、1.1以上であってもよい。一方、凸条部XMINの幅に対する凸条部XMAXの幅の比率(図5におけるw/w)は、例えば10以下である。
本開示における凹凸構造は、相似関係を満たす2種類以上の凸条部を有する。相似関係を満たす2種類以上の凸条部は、ランダムに配置されていてもよく、規則正しく配置されていてもよい。前者は、触感の向上が顕著であるという利点がある。後者は、前者に比べると、触感の向上という効果では劣るものの、凹凸構造を形成するための原版の作製が容易であるという利点がある。
後者の一例に該当するが、本開示においては、相似関係を満たす2種類以上の凸条部を有する単位構造が、周期的に配置されていることが好ましい。例えば、図6(a)では、相似関係を満たす2種類の凸条部(X11a、X11b)を有する単位構造Uが、周期的に配置されている。
単位構造は、相似関係を満たす2種類以上の凸条部を少なくとも有する。単位構造は、相似関係を満たさない凸条部を有していてもよいが、相似関係を満たす2種類以上の凸条部のみを有することが好ましい。
単位構造を構成する凸条部の個数は、特に限定されないが、通常、2個以上であり、3個以上であってもよく、4個以上であってもよく、5個以上であってもよく、10個以上であってもよい。一方、単位構造を構成する凸条部の個数は、例えば20個以下である。例えば、図6(a)では、単位構造Uを構成する凸条部の個数が4個(4個周期)であり、図6(b)、(c)では、単位構造Uを構成する凸条部の個数が5個(5個周期)である。
単位構造に含まれる、相似関係を満たす凸条部の種類は、通常、2種類以上であり、3種類以上であってもよく、4種類以上であってもよく、5種類以上であってもよい。一方、単位構造に含まれる、相似関係を満たす凸条部の種類は、例えば10種類以下である。例えば、図6(a)では、単位構造Uに含まれる、相似関係を満たす凸条部の種類は2種類(X11a、X11b)であり、図6(b)では、単位構造Uに含まれる、相似関係を満たす凸条部の種類は3種類(X11a~X11c)であり、図6(c)では、単位構造Uに含まれる、相似関係を満たす凸条部の種類は5種類(X11a~X11e)である。また、単位構造Uにおいて、単位構造Uを構成する凸条部の個数と、相似関係を満たす凸条部の種類とは、同じであってもよく、異なっていてもよい。
単位構造における凸条部の配置は、特に限定されない。図6(a)に示すように、合同関係にある凸条部が隣り合うように配置されていてもよく、図6(b)に示すように、合同関係にある凸条部が隣り合わないように配置されていてもよい。また、図6(c)に示すように、単位構造Uに含まれる、相似関係を満たす凸条部の種類は3種類以上である場合には、高さ順に配置されていてもよい。
また、図6(a)に示すように、単位構造UのピッチをPとした場合、ピッチPの長さは、特に限定されない。また、ピッチPの長さによって、虹光の影響を調整することができる。通常は、ピッチPの長さが短くなると、虹光の影響が大きくなり、ピッチPの長さが長くなると、虹光の影響が小さくなる。例えば、虹光を積極的に意匠に活用したい場合、ピッチPは、20μm未満であることが好ましい。一方、虹光の影響を小さくしたい場合、ピッチPは、20μm以上であることが好ましい。この場合、ピッチPは、30μm以上であってもよく、40μm以上であってもよい。また、この場合、ピッチPは、例えば80μm以下であり、70μm以下であってもよく、60μm以下であってもよい。
2.離型シートの構成
本開示における離型シートは、基材と、上記基材の一方の面側に配置された離型層と、を少なくとも有する。
(1)離型層
離型層は、基材の一方の面側に配置される部材である。離型層は、基材とは反対側の面に、凹凸構造に対応する対応凹凸構造を有する。凹凸構造(樹脂層における凹凸構造)と、対応凹凸構造(離型層における対応凹凸構造)とは、通常、反転関係になる。そのため、離型層における凸条部が、樹脂層における凹条部となり、離型層における凹条部が、樹脂層における凸条部となる。
離型層の材料としては、樹脂が挙げられる。上記樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂、硬化樹脂が挙げられる。硬化樹脂としては、例えば、熱硬化性樹脂を加熱して硬化した樹脂(熱硬化樹脂)、電離放射線硬化性樹脂を電離放射線の照射により硬化した樹脂(電離放射線硬化樹脂)が挙げられる。また、電離放射線硬化樹脂としては、例えば、紫外線硬化樹脂、電子線硬化樹脂が挙げられる。
ここで、「電離放射線」とは、電磁波または荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するものをいい、例えば、紫外線および電子線の他、X線、γ線等の電磁波、α線、イオン線等の荷電粒子線が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリスチレン等のスチレン系樹脂;ポリ塩化ビニル等のビニル系樹脂;ポリカーボネート樹脂;シリコーン樹脂;ポリビニルアルコール;特開2015-27811号公報等に開示される共重合体が挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、例えば、不飽和ポリエステル、メラミン、エポキシ、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、トリアジン系アクリレートが挙げられる。
電離放射線硬化性樹脂としては、例えば、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、エステル系樹脂、アクリル系樹脂、アクリル酸エステル共重合体が挙げられる。
中でも、離型層に用いられる樹脂は、熱可塑性樹脂であることが好ましく、ポリプロピレンであることがより好ましい。凹凸構造を高精度に形成することができ、さらに、形成された離型層から樹脂層を剥離しやすいからである。離型層は透明であってもよく、半透明または不透明であってもよい。また、離型層は着色されていてもよい。
離型層の厚さは、例えば30μm以上であり、50μm以上であってもよい。離型層が薄すぎると、所望の凹凸構造が形成できない可能性がある。一方、離型層の厚さは、例えば200μm以下であり、100μm以下であってもよい。離型層が厚すぎると、離型シートの製造コストが増大する可能性がある。離型層の厚さは、例えば図1におけるTで示される距離であり、離型層2の基材1側の面から、離型層2における最も高い凸条部X21の頂点までの距離をいう。
また、離型層上に、樹脂層の剥離性を向上させる剥離層を設けてもよい。剥離層の材料としては、例えば、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂が挙げられる。剥離層の厚さは、例えば、0.1μm以上3μm以下である。
(2)基材
本開示における基材は、離型層を支持する部材である。基材としては、例えば、クラフト紙、上質紙、キャストコート紙等の紙、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、各種ナイロン等のポリアミド、ポリプロピレン等の樹脂、合成紙、金属箔、織布、不織布が挙げられる。また、これらを、単独または適宜積層して使用することができる。
特に、基材が紙である場合、熱劣化が生じにくく、離型層との密着性が比較的高いという利点がある。また、基材が樹脂である場合、基材に用いられる樹脂は、上述した離型層を形成する樹脂と同じであってもよい。この場合、基材および離型層は、一体であってもよい。
基材の厚さは、例えば、50μm以上200μm以下である。基材の離型層側の面には、離型層との密着性を向上させる目的で、コロナ放電処理、オゾン処理等の易接着性処理、プライマーコート等の表面処理が施されていてもよい。
(3)任意の層
本開示における離型シートは、離型層および基材を少なくとも有し、必要に応じて任意の層をさらに有していてもよい。例えば、基材の表面が平滑でない場合は、均一な離型層を形成するために、基材および離型層の間に平滑性向上層を設けてもよい。平滑性向上層としては、例えば特開2002-086622号公報に開示される組成からなる平滑性向上層、クレーコート層が挙げられる。また、基材および離型層の間にプライマー層を設けてもよい。プライマー層の材料としては、例えば、フッ素系コーティング剤、シランカップリング剤等が挙げられる。
(4)離型シート
本開示における離型シートの製造方法は、特に限定されないが、例えば、基材の一方の面側に、離型層の前駆体層を形成し、得られた前駆体層上に対応凹凸構造を形成する方法が挙げられる。
例えば、電離放射線硬化性樹脂を含有する組成物を用いる場合、基材の一方の面側に、上記組成物を塗工することにより、離型層の前駆体層を形成し、得られた前駆体層上に、上述した凹凸構造を有する金型版を押し当て、その状態で、電離放射線を照射する方法が挙げられる。一方、熱可塑性樹脂を用いる場合、基材と、熱可塑性樹脂とを押出ラミネートしながら、上述した凹凸構造を有する金型版を押し当てる方法が挙げられる。
本開示における離型シートは、樹脂層に凹凸構造を形成するために用いられる。樹脂層の内容、および、その樹脂層を有する物品については後述する。
B.物品
図2(c)は、本開示における物品を例示する概略断面図である。図2(c)に示すように、物品20は、支持層11と、支持層11の一方の面側に配置された樹脂層12とを有する。樹脂層12は、支持層11とは反対側の面に、凹凸構造Xを有する。
本開示によれば、凹凸構造が、所定形状の凸条部に対応する構造を有することから、ビロード調の外観を有する物品とすることができる。さらに、本開示によれば、凹凸構造が、相似関係を満たす2種類以上の凸条部に対応する構造を有することから、良好な触感を有する物品とすることができる。
1.樹脂層
本開示における樹脂層は、支持層とは反対側の面に、凹凸構造を有する。凹凸構造については、上記「A.離型シート」で記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。また、本開示における樹脂層は、ビロード調の外観を有する。
樹脂層は、少なくとも樹脂を含有する。上記樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂、硬化樹脂が挙げられる。樹脂層に用いられる樹脂として、上述した離型層に用いられる樹脂を使用することができる。また、後述する、合成皮革の樹脂層および加飾シートの樹脂層に用いられる樹脂を、物品の種類とは関係なく、使用することができる。
また、樹脂層は、着色されていてもよい。特に、樹脂層は、黒系に着色されていることが好ましい。ビロード調の色艶および光沢感が発揮されやすいからである。
樹脂層の厚さは、物品の種類に応じて適宜設定され、特に限定されないが、例えば1μm以上であり、10μm以上であってもよい。一方、樹脂層の厚さは、例えば100μm以下であり、50μm以下であってもよく、30μm以下であってもよい。樹脂層の厚さは、例えば図2(c)におけるTで示される距離であり、樹脂層12の支持層11側の面(凹凸構造が形成されていない面)から、樹脂層12における最も高い凸条部X11aの頂点までの距離をいう。
2.支持層
支持層は、樹脂層を支持する部材である。支持層の材料としては、例えば、樹脂、繊維、紙、金属が挙げられる。また、後述する、合成皮革の支持層および加飾シートの支持層に用いられる材料を、物品の種類とは関係なく、使用することができる。
3.物品
本開示における物品は、支持層および樹脂層を少なくとも有する。物品は、可視光透過性を有していてもよく、可視光透過性を有していなくてもよい。後者の場合、物品の全光線透過率は、例えば10%以下であり、5以下であってもよく、1%以下であってもよい。全光線透過率は、JIS K 7361-1(プラスチック-透明材料の全光線透過率の試験方法)に基づいて測定される。測定には、例えば、紫外・可視・近赤外分光光度計(島津製作所UV-3600)および積分球付属装置(ISR-3100)を用いることができる。また、標準板として、例えば、米国ラブスフェア社製スペクトラロン(テフロン(登録商標)製)を用いることができる。なお、本開示においては、樹脂層および支持層が、それぞれ、上述した全光線透過率を有していてもよい。
本開示における物品の種類は、特に限定されないが、合成皮革または加飾シートであることが好ましい。
(1)合成皮革
本開示における物品が合成皮革である場合、樹脂層に用いられる樹脂は、一般に合成皮革や人工皮革の製造に用いられる樹脂を適用することができ、例えばナイロン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニルが挙げられる。樹脂層は、樹脂に加えて、可塑剤、安定剤、着色剤等の添加剤を含有していてもよい。
合成皮革における支持層の材料としては、例えば、木綿、麻、羊毛等の天然繊維;レーヨン、アセテート等の再生または半合成繊維;ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリオレフィン等の合成繊維、ガラス繊維が挙げられる。合成皮革における支持層の厚さは、合成皮革の用途に応じて、適宜設定される。
また、合成皮革の用途としては、例えば、衣料、鞄、靴、財布、スマートフォンカバー表皮材、インテリア資材、インスツルメントパネル材が挙げられる。また、合成皮革の他の用途として、カーシート表皮材、ステアリングホイール表皮材等の車両用内装材、自動二輪車のシート材が挙げられる。
合成皮革の製造方法は、特に限定されないが、例えば、離型シートを用いた製造方法が挙げられる。離型シートを用いた製造方法としては、例えば、離型シートの離型層上に、樹脂層用の組成物を塗工し乾燥することにより、樹脂層を形成し、得られた樹脂層上に接着層を介して支持層を積層させ、その後、離型シートを剥離する方法が挙げられる。
(2)加飾シート
本開示における物品が加飾シートである場合、樹脂層に用いられる樹脂は、熱可塑性樹脂、硬化樹脂が挙げられる。硬化樹脂としては、例えば、熱硬化樹脂および電離放射線硬化樹脂が挙げられる。また、電離放射線硬化樹脂としては、例えば、紫外線硬化樹脂、電子線硬化樹脂が挙げられる。
樹脂層に用いられる樹脂は、電離放射線硬化樹脂であることが好ましい。電離放射線硬化樹脂は、電離放射線硬化性樹脂を電離放射線の照射により硬化した樹脂である。電離放射線硬化樹脂は、分子中に重合性不飽和結合またはエポキシ基を有する、プレポリマー、オリゴマーおよびモノマーの少なくとも1種を混合した電離放射線硬化性樹脂組成物を硬化させたものであることが好ましい。
電離放射線硬化性樹脂組成物に用いられる上記モノマーとしては、例えば、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレートモノマーが挙げられ、多官能性(メタ)アクリレートモノマーが好ましい。多官能性(メタ)アクリレートモノマーとしては、分子内に重合性不飽和結合を2個以上(2官能以上)、好ましくは3個以上(3官能以上)有する(メタ)アクリレートモノマーが好ましい。
電離放射線硬化性樹脂組成物に用いられる上記オリゴマーとしては、例えば、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレートオリゴマーが挙げられ、中でも分子内に重合性不飽和結合を2個以上(2官能以上)有する多官能性(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましい。多官能性(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、例えば、ポリカーボネート(メタ)アクリレート、アクリルシリコーン(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリブタジエン(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート、分子中にカチオン重合性官能基を有するオリゴマー(例えば、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、脂肪族ビニルエーテル、芳香族ビニルエーテル等)が挙げられる。ここで、ポリカーボネート(メタ)アクリレートは、ポリマー主鎖にカーボネート結合を有し、かつ、末端または側鎖に(メタ)アクリレート基を有することが好ましく、例えば、ポリカーボネートポリオールを(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリカーボネート(メタ)アクリレートは、例えば、ポリカーボネート骨格を有するウレタン(メタ)アクリレートであってもよい。
樹脂層は、添加剤を含有していてもよい。添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、光安定剤等の耐候性改善剤、耐摩耗性向上剤、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、接着性向上剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、溶剤、着色剤が挙げられる。加飾シートにおける樹脂層の厚さは、例えば、1μm以上、20μm以下である。
加飾シートにおける支持層の材料としては、例えば、熱可塑性樹脂等の樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂(ABS樹脂)、アクリロニトリル-スチレン-アクリル酸エステル樹脂、アクリル樹脂、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタラート(PET)樹脂が挙げられる。加飾シートにおける支持層の厚さは、3次元成形性、形状保持性の観点から、例えば、25μm以上であり、50μm以上であってもよい。
支持層の樹脂層側の面には、樹脂層との密着性を向上させる目的で、コロナ放電処理、オゾン処理等の易接着性処理、プライマーコート等の表面処理が施されていてもよい。また、樹脂層および支持層は、一体であってもよい。「一体」とは、両者の間に、界面が存在しないことをいう。
加飾シートは、隣接する層同士の密着性を高めることなどを目的として、必要に応じてプライマー層を有していてもよい。プライマー層を形成する樹脂としては、特に制限されないが、例えば、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、(メタ)アクリル-ウレタン共重合体樹脂、ポリエステル樹脂、ブチラール樹脂等が挙げられる。プライマー層の厚さは、例えば、0.5μm以上20μm以下である。
加飾シートは、装飾性を付与することを目的として、装飾層を有していてもよい。装飾層は、絵柄であってもよく、ベタであってもよく、これらの組合せであってもよい。装飾層の模様は、例えば、木目模様、大理石模様(例えばトラバーチン大理石模様)等の岩石の表面を模した石目模様、布目や布状の模様を模した布地模様、タイル貼模様、煉瓦積模様が挙げられる。また、加飾シートは、紫外線耐久性等の耐久性を付与することを目的として、紫外線吸収剤を含有する表面保護層を有していてもよい。さらに、加飾シートは、樹脂層を保護することを目的として、凹凸構造を覆う保護フィルムを有していてもよい。
加飾シートの製造方法は、特に限定されないが、例えば、支持層の一方の面側に、樹脂層の前駆体層を形成し、得られた樹脂層上に、凹凸構造を形成する方法が挙げられる。例えば、電離放射線硬化性樹脂を含有する組成物を用いる場合、支持層の一方の面に、上記組成物を塗工することにより、樹脂層の前駆体層を形成し、得られた樹脂層上に、対応凹凸構造を有する原版を押し当て、その状態で、電離放射線を照射する方法が挙げられる。一方、熱可塑性樹脂を用いる場合、支持層と、熱可塑性樹脂とを押出ラミネートしながら、対応凹凸構造を有する原版を押し当てる方法が挙げられる。原版は、板状であってもよく、ロール状であってもよい。また、原版は、金型版であってもよく、上述した離型シートであってもよい。
本開示は、上記実施形態に限定されない。本開示における特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本開示における技術的範囲に包含される。
[実施例1]
(転写版の作製)
銅板(210mm×297mm)の表面に機械切削により凹凸構造を形成し、転写版を作製した。転写版に形成した凹凸構造は、頂角がともに50°、高さがそれぞれ20μm、30μmの二等辺三角形状である2種類の相似形の凸条部が交互に並んだ構造であった。
(離型シートの作製)
紙製の基材(厚さ150μm)と、ポリプロピレンとを押出ラミネートし、下記転写条件で転写版を加熱押圧して凹凸構造を転写することで、対応凹凸構造を有する離型層(厚さ50μm)を形成し、離型シートを得た。転写条件は、シリンダー温度:120℃、押圧力:150kgf/cm、原反速度5m/minとした。
(合成皮革の作製)
得られた離型シートの離型層の上に、バーコート法を用いて下記の混合材料を塗工した。その後、100℃以上120℃以下の温度で2分間加熱乾燥し、樹脂層を形成した。次いで、樹脂層の上に接着剤を用いて基布(支持層)を張り合わせ、乾燥、熟成後に離型シートを剥がし、合成皮革を得た。
(混合材料)
・ポリウレタン(レザミンNE-8811 大日本精化工業(株)製)…100重量部
・着色剤(セイカセブンNET-5794ブラック 大日本精化工業(株)製))…15重量部
[実施例2]
転写版に形成した凹凸構造を、頂角がともに50°、高さがそれぞれ20μm、22μm、24μm、26μm、28μmの二等辺三角形状である5種類の相似形の凸条部を有する単位構造が、周期的に並んだ構造に変更したこと以外は、実施例1と同様にして合成皮革を得た。
[実施例3]
転写版に形成した凹凸構造を、頂角がともに50°、高さがそれぞれ20μm、22μm、24μm、26μm、28μmの二等辺三角形状である5種類の相似形の凸条部がランダムに並んだ構造に変更したこと以外は、実施例1と同様にして合成皮革を得た。
[実施例4]
転写版に形成した凹凸構造を、頂角がともに60°、高さがそれぞれ20μm、30μmの二等辺三角形状である2種類の相似形の凸条部が交互に並んだ構造に変更したこと以外は、実施例1と同様にして合成皮革を得た。
[比較例1]
転写版に形成した凹凸構造を、頂角が50°、高さが50μmの二等辺三角形状である凸条部のみが並んだ構造に変更したこと以外は、実施例1と同様にして合成皮革を得た。
[比較例2]
転写版に形成した凹凸構造を、頂角が50°、高さが25μmの二等辺三角形状である凸条部のみが並んだ構造に変更したこと以外は、実施例1と同様にして合成皮革を得た。
[比較例3]
転写版に形成した凹凸構造を、頂角がそれぞれ70°、90°、高さがともに50μmの二等辺三角形状である2種類の凸条部が交互に並んだ構造に変更したこと以外は、実施例1と同様にして合成皮革を得た。
[比較例4]
転写版に形成した凹凸構造を、頂角が90°、高さが50μmの二等辺三角形状である凸条部のみが並んだ構造に変更したこと以外は、実施例1と同様にして合成皮革を得た。
[評価]
20代~40代の被験者20名に対して、以下の評価試験を行った。
(外観の評価)
得られた合成皮革を両手で持って観察を行った。得られた合成皮革を机の上に置き、照度400ルクス(明るいオフィス相当)環境下で各被験試料の外観について、各被験者が下記評価基準に従って評価した。外観評価は、全被験者による評価の平均点が2.0点以上のものを「○」、2.0点未満のものを「×」とした。
<評価基準>
ビロード調に見える:3点
どちらともいえない:2点
ビロード調に見えない:1点
(触感の評価)
得られた合成皮革を触り、触感が良い(+2)から、触感が悪い(-2)まで5段階で評価した。被験者の評点の平均が1.0以上である場合を◎、0.5以上1.0未満である場合を○、0以上0.5未満である場合を△、0より小さい場合を×とした。
(虹感の評価)
得られた合成皮革を両手で持って観察を行った。虹光が見えない(+2)~虹光が見える(-2)までの5段階評価をした。全被験者による評価の平均点が1.0点以上を「強い」、0点以上1.0点未満を「やや強い」、-0.1点以上0点未満を「弱い」、-0.1点未満を「ほとんど見えない」とした。
Figure 0007363222000001
表1に示すように、実施例1~4では、凹凸構造が相似関係を満たす2種類以上の凸条部を有することにより、ビロード調の外観を有しつつ、良好な触感を有する合成皮革が得られることが確認された。一方、比較例1、2、4では、凹凸構造が1種類の凸条部のみを有するため、実施例1~4に比べて、触感がやや劣ることが確認された。また、比較例2では、凸条部の高さが低いため、隣り合う凸条部の周期が23.3μmと短くなり、虹感がやや強くなった。比較例3では、良好な触感は得られるものの、ビロード調の外観が得られなかった。
1…基材
2…離型層
10…離型シート
11…支持層
12…樹脂層
20…物品

Claims (9)

  1. 合成皮革または加飾シートの樹脂層に凹凸構造を形成するために用いられる離型シートであって、
    基材と、前記基材の一方の面側に配置された離型層とを有し、
    前記離型層は、前記基材とは反対側の面に、前記凹凸構造に対応する対応凹凸構造を有し、
    前記凹凸構造は、長手方向が一方向に延在する複数の凸条部を有し、
    前記凸条部の短手方向に沿った断面視において、前記凸条部の形状は三角形状であり、かつ、前記凸条部の頂角の角度は60°以下であり、
    前記断面視において、前記凹凸構造は、相似関係を満たす2種類以上の前記凸条部を有する、離型シート。
  2. 前記凸条部の短手方向に沿った断面視において、前記凸条部の形状は二等辺三角形状である、請求項1に記載の離型シート。
  3. 前記凹凸構造は、相似関係を満たす3種類以上の前記凸条部を有する、請求項1または請求項2に記載の離型シート。
  4. 前記凸条部の頂角の角度は30°以上である、請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の離型シート。
  5. 前記凹凸構造において、相似関係を満たす2種類以上の前記凸条部を有する単位構造が、周期的に配置されている、請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載の離型シート。
  6. 前記樹脂層は、合成皮革の樹脂層である、請求項1から請求項5までのいずれかの請求項に記載の離型シート。
  7. 支持層と、前記支持層の一方の面側に配置された樹脂層とを有し、
    前記樹脂層は、前記支持層とは反対側の面に、凹凸構造を有し、
    前記凹凸構造は、長手方向が一方向に延在する複数の凸条部を有し、
    前記凸条部の短手方向に沿った断面視において、前記凸条部の形状は三角形状であり、かつ、前記凸条部の頂角の角度は60°以下であり、
    前記断面視において、前記凹凸構造は、相似関係を満たす2種類以上の前記凸条部を有する物品であって、
    前記物品は、合成皮革または加飾シートである、物品。
  8. 前記物品は、合成皮革である、請求項7に記載の物品。
  9. 前記物品は、加飾シートである、請求項7に記載の物品。
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