JP7362960B1 - 繊維のほぐれを感じさせる肉様食品およびその製造方法 - Google Patents
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Description
(a)組織化植物性たん白、
(b)前記組織化植物性たん白を膨潤させるために必要な水分を少なくとも含む液相、
(c)油脂、及び
(d)アセチル化酸化澱粉
を少なくとも含んでなることを特徴とするものである。
(1)膨潤化した組織化植物性たん白を用意する工程、
(2)工程(1)で用意した膨潤化した組織化植物性たん白に油脂及びアセチル化酸化澱粉を添加する工程、そして
(3)工程(2)で得られた混合物を成形する工程
を少なくとも含んでなることを特徴とするものである。
本発明による肉様食品は、それ自体直ちに食品として供することができるものに加え、食品の素材としてさらに何らかの加工・調理の上で食品として供されるもののいずれも意味する。したがって、本発明による肉様食品の「食品」の語句は、食品素材、食品原料を含めた広義の意味で用いる。
本発明による肉様食品が含む「組織化植物性たん白」とは、植物性たん白を組織化処理し一定方向の繊維状ないし薄膜状の構造を与えたものである。好ましくは、後記するように、粒状植物性たん白を、それを膨潤させるために必要な水分を少なくとも含む液相で膨潤させ(以下、この操作を「水戻し」ということがある)、さらに例えば破砕により繊維をほぐしたものを意味する。本発明における「組織化植物性たん白」として、例えば日本農林規格(JAS)0838の規定を満たす「粒状植物性たん白」や「繊維状植物性たん白」を典型的には利用することができる。組織化植物性たん白は、例えば大豆、脱脂大豆、小麦、エンドウ、などを原料としたものを利用でき、本発明にあっては粒状大豆たん白が好ましく用いられる。また、組織化されたものであれば、植物性たん白の形状は、粒状、フレーク状、ブロック状、繊維状など、その形態は特に限定されない。また、植物性たん白を膨潤させるための溶液は、水に加え、後記する調味料などの他の成分を含むことができ、肉様食品が含むこのような水溶液成分を本明細書にあっては液相と呼ぶ。
本発明による肉様食品が含む油脂は、上記した組織化植物性たん白の繊維表面に付着して、繊維同士や繊維と後記するアセチル化酸化澱粉を接着させて、食品の成形安定性を付与すると同時に、咀嚼時の圧力によって食品、とりわけ組織化植物性たん白が含んでいた水分を一定の圧力までの間、食品内にとどめる機能を果たすと考えられる。
本発明による肉様食品が含むアセチル化酸化澱粉は、上記した組織化植物性たん白の繊維間の隙間に入り込んで繊維同士を接着させて、食品の成形安定性を付与すると同時に、咀嚼時の圧力によって繊維同士が剥がれて、繊維のほぐれ感を与えるものと考えられる。
本発明による肉様食品は、好ましくは、魚肉エキスや食肉エキスなどの調味料、香料、色素を加え、味及び色合いなどが、より魚肉や食肉風となるようにする。例えば、サケのエキス又は香料を加えることで、サケの切身の代替食品となる。味を調えるため、さらに調味料、着色料、香料、その他加工デンプンや粉末状植物性たん白、増粘剤、メチルセルロース、エマルジョン、乳化剤などの食品添加物などを加えることもできる。
本発明による肉様食品は、型を用いて又は用いずに任意の形状の成形することができる。
本発明による肉様食品の製造方法は、以下に示す工程(1)から工程(3)を基本的に含んでなる:
(1)膨潤化した組織化植物性たん白を用意する工程、
(2)工程(1)で用意した膨潤化した組織化植物性たん白に油脂及びアセチル化酸化澱粉を添加する工程、そして
(3)工程(2)で得られた混合物を成形する工程。
「膨潤化した組織化植物性たん白」を用意する工程である。ここで「膨潤化した組織化植物性たん白」は、組織化植物性たん白を膨潤させるために必要な水分を少なくとも含む溶液を、例えば粒状、フレーク状、ブロック状とした組織化植物性たん白に加えて、必要に応じて撹拌して、膨潤させることにより行われる。
工程(1)で用意した膨潤化した組織化植物性たん白に、油脂及びアセチル化酸化澱粉を添加して混合する工程である。添加の方法及び混合の方法は特に限定されず、必要量を均一に植物性たん白に添加できればよく、一括して又は分割して添加してもよく、混合は添加しながら、または添加後にされてもよい。
工程(3)
工程(2)で得られた混合物を成形する工程である。成形は、型を用いて又は用いずに任意の形状の成形することができる。型を用いた成形は、例えば、型に物理的に押し込む方法、型に入れ加熱して主にアセチル化酸化澱粉又は他の熱凝固の性質を有する添加成分により成形することができる。形状の例としては、多面体や角柱状、円柱状など任意の形状の型に混合物を押し込むことによって、再現性のある形状にするだけでなく、人の手を用いて不定形な形状に成形してもよい。
上記したとおり、本発明による肉様食品は、魚肉エキスや食肉エキスなどの調味料、香料、さらに調味料、着色料、香料、その他加工デンプンや粉末状植物性たん白、増粘剤、メチルセルロース、エマルジョン、乳化剤などの食品添加物などを加えることができる。これら任意成分の添加は、上記工程(1)又は(2)において行うことができる。
(1)魚切身様食品の製造
下記表1の組成の組成物を調整した。すなわち、ブロック状に成形された粒状植物性たん白(アペックス2000SP:不二製油株式会社)を、下記表1に記載の食塩及び色素を含んだ水で水戻しした後に、ミキサーで粉砕した。混合物に食用パーム油(パームエースN:不二製油株式会社)及びアセチル化酸化澱粉(日食TSK-13:日本食品化工株式会社)を添加した。
能検査直前に袋から取り出した。
訓練を受けたパネリスト14名が試食し、以下評価基準で点数付けした。
1点:食感がぼろぼろ、または食感が鮭フレークのようにバラバラに感じるもの。
2点:秋鮭の切身よりも食感がやや脆いが、1点と定義されるものよりまとまっているもの。
3点:秋鮭の切身と同じまたは近いと感じるもの。
4点:秋鮭の切身よりも食感が硬いが、5点と定義されるものよりもまとまりが弱いもの。
5点:澱粉の食感が前面に出ていて、もっちりとした食感、または固まり過ぎているように感じるもの。
訓練を受けたパネリスト14名が試食し、以下評価基準で点数付けした。
1点:食感がパサパサ、または油分が少なくてまとまりに欠けるように感じるもの。
2点:秋鮭の切身よりも食感がややパサパサしているが、1点と定義されるものよりまとまっているもの。
3点:秋鮭の切身と同じまたは近いと感じるもの。
4点:秋鮭の切身よりもやや食感がベタつくが、5点と定義されるものよりも油感が弱いもの。
5点:油感が前面に出ていて、油っぽい食感(おにぎりの具のツナマヨネーズのような)、またはベタベタし過ぎているように感じるもの。
訓練を受けたパネリスト14名が試食し、以下評価基準で点数付けした。
1点:食感がドロドロ、または柔らかい、あるいは水っぽく感じるもの。
2点:秋鮭の切身よりも食感がやや柔らかいが、1点と定義されるものよりまとまっているもの。
3点:秋鮭の切身と同じまたは近いと感じるもの。
4点:秋鮭の切身よりも食感が硬いが、5点と定義されるものよりも食感が弱いもの。
5点:ボロボロとした食感、または硬い、あるいは噛み切れないように感じるもの。
訓練を受けたパネリスト14名が試食し、以下評価基準で点数付けした。
1点:食感がドロドロ、または柔らかいように感じるもの。
2点:秋鮭の切身よりも食感がやや柔らかいが、1点と定義されるものよりまとまっているもの。
3点:秋鮭の切身と同じまたは近いと感じるもの。
4点:秋鮭の切身よりもやや食感がボロボロしているが、5点と定義されるものよりもまとまった食感に感じられるもの。
5点:食感がボロボロ、またはまとまりを感じられないもの。
実施例1の試料1-3の組成において、油脂を下記の油脂に置き換えた以外は同様にして魚切身様食品を調製した。以下、油脂の種類、商品名、及び製造元の順で記載する。
試料5-1:大豆白絞油、J 大豆白絞油NS バラ、株式会社J-オイルミルズ
試料5-2:コーン油、コーンサラダ油 ノンシリコン、辻製油株式会社
試料5-3:こめ油、日清こめ油、日清オイリオグループ株式会社
試料5-4:オリーブ油、BOSCOオリーブオイル Pure&Mild、日清オイリオグループ株式会社
試料5-5:ごま油、金印純正ごま油、かどや製油株式会社
試料5-6:食用加工油脂、エマテックN-100V、理研ビタミン株式会社
試料5-7:ショートニング、ニュートロマスターS、不二製油株式会社
試料5-8:マーガリン、明治ケーキマーガリン、株式会社明治
訓練を受けたパネリスト14名が試食し、以下評価基準で点数付けした。
1点:食感が油感を感じずにパサパサしたように感じるもの。
2点:秋鮭の切身よりも食感がややパサつくが、1点と定義されるものよりジューシーさを感じられるもの。
3点:秋鮭の切身と同じまたは近いと感じるもの。
4点:秋鮭の切身よりも食感にやや油感が出ているが、5点と定義されるものよりもまとまった食感に感じられるもの。
5点:食感がベタベタして過度に油感を感じ、ツナの缶詰のように感じるもの。
実施例1の試料1-3の組成において、植物性たん白を下記に置き換えた以外は同様にして魚切身様食品を調製した。以下、植物性たん白の商品名、製造元、たん白質原、形状、粉砕工程の有無の順で記載する。ここで、植物性たん白について「粉砕未実施」とは、水戻しの後、ミキサーで粉砕する工程を実施しなかったことを意味する。
試料6-1:アペックス110:不二製油株式会社、大豆、ブロック状、粉砕実施
試料6-2:LORY TEX SCM 110、ユニテックフーズ株式会社、小麦、繊維状、粉砕実施
試料6-3:ニュートラリス T70S、ロケットジャパン株式会社、エンドウ、粒状、粉砕実施
試料6-4:ニューソイミーS20F、日清オイリオグループ株式会社、大豆、粒状、粉砕未実施
試料6-5:LORY TEX SCM 110、ユニテックフーズ株式会社、小麦、繊維状、粉砕未実施
訓練を受けたパネリスト14名が試食し、以下評価基準で点数付けした。
1点:食感がボロボロしてまとまりが無い、またはバラバラしているように感じるもの。
2点:秋鮭の切身よりも食感がややボロボロしているが、1点と定義されるものよりまとまっているもの。
3点:秋鮭の切身と同じまたは近いと感じるもの。
4点:秋鮭の切身よりも食感が硬いが、5点と定義されるものよりも食感が弱いもの。
5点:食感が硬い、またはまとまり過ぎているように感じるもの。
実施例1の試料1-3の組成において、アセチル化酸化澱粉を、下記のいずれもアセチル化酸化澱粉とは異なる澱粉に置き換えた以外は同様にして魚切身様食品を調製した。以下、澱粉名、商品名、製造元の順で記載する。
試料7-1:リン酸架橋澱粉、PB-2000、日澱化學株式会社
試料7-2:ヒドロキシプロピル澱粉、G-800、日澱化學株式会社
試料7-3:酢酸澱粉、アクトボディEAT-2、株式会社J-オイルミルズ
試料7-4:生澱粉、フードスターチ T、松谷化学工業株式会社
訓練を受けたパネリスト14名が試食し、以下評価基準で点数付けした。
1点:食感がボロボロ、または食感が鮭フレークのようにバラバラに感じるもの。
2点:秋鮭の切身よりも食感がやや脆いが、1点と定義されるものよりまとまっているもの。
3点:秋鮭の切身と同じまたは近いと感じるもの。
4点:秋鮭の切身よりも食感が硬いが、5点と定義されるものよりもまとまりが弱いもの。
5点:澱粉の食感が前面に出ていて、もっちりとした食感、または固まり過ぎているように感じるもの。
実施例1の試料1-3を用意した(試料8-1)。さらに、実施例1の試料1-3の組成からアセチル化酸化澱粉を含まないもの(試料8-2)、アセチル化酸化澱粉及び油脂を含まないもの(試料8-3)を用意した。また、比較品として、紅鮭の切身(試料8-4)、市販のカマボコ(試料8-5)を用意した。
破断計を用いて、以下の条件で破断曲線及び弾性率を測定した。
・クリープメータ(RE2-33005S:株式会社山電)
・検体は枠に収めずに測定
・プランジャーは直径3mmの樹脂製
・測定速度10秒
・測定歪率50%
・歪率0~50%内での応力を示した破断曲線(喫食行動での奥歯で噛みしめた際を想定)
・破断曲線から導かれた弾性率(喫食行動での前歯で噛み込む瞬間(伸展率)を想定)
Claims (16)
- (a) 組織化植物性たん白、
(b)前記組織化植物性たん白を膨潤させるために必要な水分を少なくとも含む液相、
(c)油脂、及び
(d)アセチル化酸化澱粉
を少なくとも含んでなる肉様食品であって、
前記アセチル化酸化澱粉を0.50~16重量%含んでなる、肉様食品。 - 前記油脂が、植物油脂である、請求項1に記載の肉様食品。
- 前記油脂が、パーム油、大豆白絞油、コーン油、こめ油、オリーブ油、ゴマ油、食用加工油脂、乳化油脂、ショートニング、及びマーガリンから選択される少なくとも一つである、請求項1に記載の肉様食品。
- 前記アセチル化酸化澱粉が、アセチル化酸化タピオカ澱粉である、請求項1に記載の肉様食品。
- 前記組織化植物性たん白を20~40重量%含んでなる、請求項1に記載の肉様食品。
- 前記油脂を1.50~25重量%含んでなる、請求項1に記載の肉様食品。
- 調味料、香料、及び色素をさらに含んでなる、請求項1に記載の肉様食品。
- 請求項1の肉様食品を用いた、魚肉又は食肉代替食品。
- 請求項1に記載の肉様食品を、魚肉又は食肉に添加して製造された食品。
- フライの具材、ハンバーグ、メンチカツ、フィッシュフライ、つくね、餃子、焼売、春巻、又はパイの形態である、請求項8に記載の魚肉又は食肉代替食品又は請求項9に記載の食品。
- 請求項1に記載の肉様食品の製造方法であって、
(1)膨潤化した組織化植物性たん白を用意する工程、
(2)工程(1)で得た植物性たん白に油脂及びアセチル化酸化澱粉を添加する工程、そして
(3)工程(2)で得られた混合物を成形する工程
を少なくとも含んでなる、方法。 - 工程(2)の前に、液相で膨潤化した組織化植物性たん白を必要に応じて粉砕して繊維をほぐれさせる工程を行う、請求項11に記載の製造方法。
- 工程(1)の液相が、調味料、香料、又は色素をさらに含む、請求項11に記載の製造方法。
- 工程(1)又は(2)において、調味料、香料、色素加工澱粉、粉末状植物性たん白、増粘剤、メチルセルロース、エマルジョン、乳化剤を添加することを含む、請求項11に記載の製造方法。
- 工程(3)の成形が、加熱せずに又は加熱を伴い実施される、請求項11に記載の製造方法。
- 前記加熱が、温度60~100℃の湿式加熱により、又は温度は150~230℃の乾式加熱により行われる、請求項15に記載の製造方法。
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JP2023075684A JP7362960B1 (ja) | 2023-05-01 | 2023-05-01 | 繊維のほぐれを感じさせる肉様食品およびその製造方法 |
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WO2020255366A1 (ja) | 2019-06-21 | 2020-12-24 | 昭和産業株式会社 | 肉様食品用組成物、肉様食品及びその製造方法並びに肉様食品の品質改良方法 |
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