JP7360706B2 - 水素ガス感応性膜、その成膜に用いられるコーティング液、そのコーティング液の製造方法、及び水素ガス感応性膜の製造方法 - Google Patents

水素ガス感応性膜、その成膜に用いられるコーティング液、そのコーティング液の製造方法、及び水素ガス感応性膜の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、水素ガス感応性膜、その成膜に用いられるコーティング液、そのコーティング液の製造方法、及び水素ガス感応性膜の製造方法に関する。
従来から、水素ガス感応性膜として、金属触媒を担持させた酸化タングステン膜が開発されている。この水素ガス感応性膜は、通常、水素ガスに晒されることにより透過率が低くなると共に色が青色になり、大気に晒されることにより透過率が高くなると共に色が元の無色透明に戻る。水素ガス感応性膜の用途は、例えば、水素ガス可視化シート、水素ガスセンサー、水素ガス感応性スマートウインドウ等である。
水素ガス感応性膜の製造方法としては、物理蒸着法だけでなく、より安価に作製できる湿式法も多く提案されている。湿式法では、コーティング液を基材に塗布し、基材の表面に塗布膜を形成する。多く場合、塗布膜の高温焼成を必要とするので、耐熱性の低い基材を用いることが困難であった。
最近では、高温焼成の代わりに紫外線を利用するプロセスも開発されているが、その際には、ホルムアルデヒド若しくは水素等の還元性のある有害ガス又は可燃性ガスに塗布膜を晒しながら、紫外線を塗布膜に照射する必要があった(例えば、特許文献1~3参照)。
これに対し、有害ガス及び可燃性ガスを使うことなく、室温~150℃の低温で水素ガス感応性膜を作製できる新たなコーティング液も開発されている(例えば、特許文献4~5参照)。
特開2010-2346号公報 国際公開第2009/154216号 特開2016-161507号公報 国際公開第2019/087705号 国際公開第2019/087704号
従来の酸化タングステン系の水素ガス感応性膜は、水素ガスに晒す前の色が無色透明であり、水素ガスに晒した際に色の変化が分かり難かった。
本発明の一態様は、水素ガス感応性膜を水素ガスに晒した際に色の変化が分かり易いように、水素ガスに晒す前の色を不透明な白色にする、技術を提供する。
〔1〕本発明の一態様に係る水素ガス感応性膜は、
タングステンと、酸素と、白金族金属と、塩素と、炭素と、を含む粒子のみからなる、水素ガス感応性膜であって、
前記粒子を分散して含み、
表面粗さが50nm~300nmであり、
空隙率が20%~50%であり、
大気に晒されると白色になり、水素に晒されると青色になる。

〔2〕前記白金族金属は、パラジウム、白金、及びパラジウム白金合金からなる群より選ばれた1種以上である。
〔3〕本発明の一態様に係る水素ガス感応性膜の成膜に用いられる、コーティング液は、
タングステンアルコキシドに由来する酸化タングステン前駆体と、
鎖状又は環状のエーテルと、
還元されることによって水素ガス感応性を有する金属触媒となる金属イオンを含む金属触媒前駆体と、
前記酸化タングステン前駆体と前記金属触媒前駆体を溶解する有機溶媒と、
前記金属触媒前駆体に含まれる前記金属イオンを金属に還元し、前記金属触媒を生成するカルボン酸と、を含む。
〔4〕更に、乳化剤を含む。
〔5〕ミセル状である。
〔6〕前記乳化剤が、両親媒性有機溶媒である。
〔7〕前記両親媒性有機溶媒が、メタノール、エタノール、又はアセトンである。
〔8〕前記金属触媒前駆体が、白金族金属のイオンを含む。
〔9〕本発明の一態様に係る水素ガス感応性膜の成膜に用いられる、コーティング液の製造方法は、
塩化タングステンと鎖状のエーテルを混合・攪拌して反応させ、酸化タングステン前駆体を含む第1溶液を調製することと、
還元されることによって水素ガス感応性を有する金属触媒となる金属イオンを含む金属化合物を有機溶媒に溶解することにより、金属触媒前駆体を含む第2溶液を調製することと、
前記第1溶液と前記第2溶液とを混合・攪拌し、前記酸化タングステン前駆体と前記金属触媒前駆体とを含む下層と、上層とに分離した第3溶液を調製することと、
前記金属触媒前駆体に含まれる前記金属イオンを金属に還元して前記金属触媒を生成するカルボン酸を、前記第3溶液に対して添加することと、を有する。
〔10〕更に、前記第3溶液に対して乳化剤を添加することを有する。
〔11〕前記乳化剤の添加によって、前記第3溶液をミセル状にすることを有する。
〔12〕前記乳化剤が、両親媒性有機溶媒である。
〔13〕前記両親媒性有機溶媒が、メタノール、エタノール、又はアセトンである。
〔14〕前記金属化合物が、白金族金属の化合物である。
〔15〕本発明の一態様に係る水素ガス感応性膜の製造方法は、
前記コーティング液を基材に塗布し、前記基材の表面に塗布膜を形成することと、
前記塗布膜を大気中、室温以上100℃以下で乾燥することと、
前記塗布膜の乾燥後又は乾燥中に、前記塗布膜に紫外線を照射することによって、前記金属触媒を担持した酸化タングステン膜とすることと、を有する。
本発明の一態様によれば、水素ガス感応性膜を水素ガスに晒した際に色の変化が分かり易いように、水素ガスに晒す前の色を不透明な白色にできる。
図1は、一実施形態に係るコーティング液の製造方法を示すフローチャートである。 図2は、一実施形態に係る水素ガス感応性膜の製造方法を示すフローチャートである。 図3(A)は実施例1-1の水素ガス感応性膜の成膜直後の写真であり、図3(B)は実施例1-1の水素ガス感応性膜の水素ガスに晒した直後の写真である。 図4は、実施例1-1の水素ガス感応性膜の透過スペクトルを示す図である。 図5は、実施例1-1の水素ガス感応性膜の反射スペクトルを示す図である。 図6(A)は実施例1-1の水素ガス感応性膜のAFM写真であり、図6(B)は図6(A)の白い四角枠を拡大したAFM写真である。 図7は、実施例1-1の水素ガス感応性膜の断面を、走査透過電子顕微鏡(STEM)により観察した明視野像である。 図8は、水素ガス感応性膜の水素ガスに対する応答性を測定する測定装置の一例を示す図である。 図9は、実施例1-1の水素ガス感応性膜の水素ガスに対する応答性の測定結果を示す図である。 図10は、実施例1-2の水素ガス感応性膜の水素ガスに晒した直後の写真である。 図11は、実施例1-3の水素ガス感応性膜の水素ガスに晒した直後の写真である。 図12は、実施例1-4の水素ガス感応性膜の水素ガスに晒した直後の写真である。 図13は、実施例1-5の水素ガス感応性膜の水素ガスに晒した直後の写真である。 図14は、実施例1-6の水素ガス感応性膜の水素ガスに晒した直後の写真である。 図15は、実施例1-7の水素ガス感応性膜の水素ガスに対する応答性の測定結果を示す図である。 図16は、実施例1-7の水素ガス感応性膜の水素ガスに晒した直後の写真である。 図17は、実施例2の水素ガス感応性膜の水素ガスに晒した直後の写真である。 図18(A)は比較例3の水素ガス感応性膜のAFM写真であり、図18(B)は図18(A)の白い四角枠を拡大したAFM写真である。 図19は、比較例3の水素ガス感応性膜の断面を、STEMにより観察した明視野像である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、各図面において同一の又は対応する構成には同一の符号を付し、説明を省略することがある。明細書中、数値範囲を示す「~」は、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含むことを意味する。
本実施形態のコーティング液の製造方法は、図1に示すS101~S105を含む。S101では、塩化タングステンAと鎖状のエーテルBを混合・攪拌して反応させ、酸化タングステン前駆体Cを含む第1溶液L1を調製する。S102では、金属化合物Dを有機溶媒Eに溶解することにより、金属触媒前駆体Fを含む第2溶液L2を調製する。S103では、S101で得られた第1溶液L1と、S102で得られた第2溶液L2とを混合・攪拌することにより、酸化タングステン前駆体Cと金属触媒前駆体Fとを含む下層と、下層の上に形成される上層とに分離した第3溶液L3を調製する。S104では、第3溶液L3に対して乳化剤Gを添加する。S105では、第3溶液L3に対してカルボン酸Hを添加する。カルボン酸Hは、第3溶液L3に溶解される。なお、S104とS105との順番は逆でもよいし、S104とS105とは同時に実施されてもよい。また、乳化剤Gを添加しなくても、混合・攪拌等によって下層と上層とを均一に分散できる場合には、乳化剤Gの添加は不要であり、S104は実施されなくてもよい。以下、S101~S105の詳細について説明する。
先ず、S101では、塩化タングステンAと鎖状のエーテルBを混合・攪拌して反応させ、酸化タングステン前駆体Cを含む第1溶液L1を調製する。第1溶液L1の調製は、例えば乾燥窒素雰囲気下で行われる。
塩化タングステンAは、特に限定されないが、例えば六塩化タングステン(WCl)である。六塩化タングステン(WCl)と鎖状のエーテル(ROR´)とが反応すると、W(OR)、W(OR)Cl及びW(OR)Cl等のうちの少なくとも1つの分子の集合体、又は2つ以上の分子がネットワークした集合体、いわゆるタングステンアルコキシドに由来する酸化タングステン前駆体Cが形成され、R´Cl等が副生成物として発生する。R及びR´は、それぞれ、アルキル基又はアリール基等の有機基である。
鎖状のエーテルBとしては、ジイソプロピルエーテル、ジエチルエーテル、メチルt-ブチルエーテルなどが挙げられる。これらの中でも、ジイソプロピルエーテルが特に好適である。複数種類の鎖状のエーテルを組み合わせて用いてもよい。また、鎖状のエーテルBは、水の含有量が10質量ppm以下の超脱水タイプであることが好ましい。超脱水タイプを用いれば、水の混入を抑制でき、成膜前(S201の前)に酸化タングステン前駆体Cが酸化タングステン(WO)として析出するのを抑制できる。
S101では、塩化タングステンAに鎖状のエーテルBを添加し、続いて、塩化タングステンAと鎖状のエーテルBとを室温で攪拌する。これらの処理は、例えばグローブボックス及びドラフトの内部で行われ、乾燥窒素雰囲気下で行われる。室温下での攪拌によって、塩化タングステンAが鎖状のエーテルBと徐々に反応する。この反応によって、大部分が赤茶色であって一部分が緑色又は青色である懸濁液が得られる。
S101では、室温での攪拌に続いて、室温よりも高い温度での攪拌が更に行われる。高温での攪拌も、乾燥窒素雰囲気下で行われる。高温での攪拌によって、塩化タングステンAと鎖状のエーテルBの反応が加速されると共に、副生成物であるR´Cl等が気化し、第1溶液L1から除去される。副生成物であるR´Cl等が気化しやすいように、ドラフトの内部で、乾燥窒素ガスの流量を調整しながら、第1溶液L1を加熱してもよい。
第1溶液L1の加熱温度は、鎖状のエーテルBの種類によって適宜選択され、具体的には、例えば、鎖状のエーテルBの沸点以下であって、且つ副生成物であるR´Clの沸点以上に設定される。鎖状のエーテルBとしてジイソプロピルエーテルが用いられる場合、ジイソプロピルエーテルの沸点は69℃であり、副生成物であるイソプロピルクロライドの沸点は34.8℃であるので、第1溶液L1の加熱温度は例えば50℃~55℃である。第1溶液L1は、例えば湯浴によって加熱される。
第1溶液L1の加熱時間は、例えば30分~1時間程度である。第1溶液L1の加熱時間は、例えば第1溶液L1の溶媒の残量を基に適宜調整する。溶媒の残量は、加熱温度、及び加熱時間の他、窒素ガスの流量にも依存する。溶媒の量が減少しすぎる場合には、溶媒を適量添加してもよい。溶媒が完全に蒸発しないように、つまり、酸化タングステン前駆体Cが固化しないように、溶媒の量が管理される。
第1溶液L1の加熱過程で、鎖状のエーテルBを別の種類のエーテルに置換することもできる。鎖状のエーテルBとしてジイソプロピルエーテルが用いられる場合、ジイソプロピルエーテルは年単位で過酸化物を形成する虞がある。そこで、第1溶液L1の加熱過程で、ジイソプロピルエーテルの量を可能な限り減少させ、安定に使えるメチルt-ブチルエーテルに置換してもよい。
次に、S102では、金属化合物Dを有機溶媒Eに溶解することにより、金属触媒前駆体Fを含む第2溶液L2を調製する。第2溶液L2の調製も、第1溶液L1の調製と同様に、乾燥窒素雰囲気下で行われる。
金属化合物Dは、例えば白金族金属の化合物である。白金族金属の化合物は、第1溶液L1と均一に混和するものであればよく、例えばパラジウム化合物、白金化合物、及びパラジウム白金合金化合物からなる群より選ばれた1種以上である。パラジウム化合物、白金化合物、及びパラジウム白金合金化合物からなる群より選ばれた2種以上を混合して使用してもよい。その中でも、ビス(アセチルアセトナト)白金(II)が好適なものとして例示される。
金属化合物Dの添加量が多すぎると、金属化合物Dが有機溶媒Eに完全に溶解できないだけでなく、金属化合物Dが第1溶液L1と均一に混和することができず沈殿してしまう虞がある。一方、金属化合物Dの添加量が少なすぎると、成膜後の水素ガス感応性が低下する。金属化合物Dの添加量は、第1溶液L1中のタングステンに対する金属化合物Dの金属触媒となる金属(例えば白金族金属)とのモル比(白金族金属/タングステン)で、1/10~1/50が好適であり、1/50がより好適である。
有機溶媒Eは、金属化合物Dを溶解し、かつ、酸化タングステン前駆体Cも溶解する溶媒であれば、特に限定されない。有機溶媒Eとして、エチレングリコールモノメチルエーテル(EGMME)が好適なものとして例示される。
次に、S103では、S101により得られる第1溶液L1と、S102により得られる第2溶液L2とを混合・攪拌し、第3溶液L3を調製する。第1溶液L1と第2溶液L2の混合・攪拌は、室温で実施される。第3溶液L3は、静止した状態で放置すると、酸化タングステン前駆体Cと金属触媒前駆体Fとを含む下層と、下層の上に形成される上層とに分離する。例えば下層が有機溶媒EであるEGMMEを含み、上層が鎖状のエーテルBであるジイソプロピルエーテルを含む。EGMMEの密度は、ジイソプロピルエーテルの密度よりも大きい。
次に、S104では、第3溶液L3に対して乳化剤Gを添加する。乳化剤Gの添加によって、下層と上層が混和され、ミセルが形成される。第3溶液L3のミセル化によって、成膜時に表面凹凸の大きい膜が得られ、その表面凹凸によって光が散乱され、不透明な白色の膜が得られると推定される。
乳化剤Gは、例えば、上層と下層の両方に対して親和性を有する両親媒性有機溶媒である。乳化剤Gは、成膜後に水素ガス感応性膜の膜中に残存しないものが好ましい。乳化剤Gは、例えばメタノール、エタノール、又はアセトンである。乳化剤Gは、水の含有量が10質量ppm以下の超脱水タイプであることが好ましい。超脱水タイプを用いれば、水の混入を抑制でき、成膜前(S201の前)に酸化タングステン前駆体Cが酸化タングステン(WO)として析出するのを抑制できる。
次に、S105では、第3溶液L3にカルボン酸Hを添加する。カルボン酸Hは、金属触媒前駆体Fに含まれる金属イオンに対して還元性を有し、後に行われる成膜(S201~S203)の際に金属イオンをゼロ価の金属に還元する。また、この還元反応に伴いカルボン酸Hが酸化されて炭酸ガスが発生し、多孔質な水素ガス感応性膜が得られる。
カルボン酸Hとしては、シュウ酸、ギ酸、クエン酸等が使用可能である。カルボン酸Hの分子量が大きいほど、成膜後の膜中に炭素分が残存しやすくなるため、分子量が小さいシュウ酸、ギ酸が好適である。その中でも、取扱の容易さからシュウ酸がより好適である。
シュウ酸はシュウ酸・無水物とシュウ酸・二水和物が市販品として入手可能であり、どちらを使用することも可能であるが、シュウ酸・無水物を利用する方が、コーティング液の安定性が向上する点で好ましい。
カルボン酸Hの添加量は、多すぎても少なすぎてもコーティング液の安定性や成膜後の水素感応特性に悪影響を与える。第3溶液L3に対するカルボン酸Hの添加量は、第3溶液L3中のタングステンに対するカルボン酸Hのモル比(カルボン酸H/タングステン)で、1/5~2/5が好適であり、1/5がより好適である。
カルボン酸Hの第3溶液L3への添加は、室温下で行うことができる。添加後、そのまま室温で攪拌を続け、均一で透明な溶液に変化した時点で攪拌を止める。このようにして、コーティング液が得られる。コーティング液は、より長く安定な状態を保つために、乾燥雰囲気下、遮光された冷蔵空間で保管することが望ましい。冷蔵空間の温度は、室温よりも低く、例えば4℃である。
なお、コーティング液は、乾燥窒素雰囲気下で製造されることが望ましい。大気中での製造も可能であるが、乾燥窒素雰囲気下での製造によれば、溶液中のタングステンが酸化タングステンとして沈殿するのを抑制でき、溶液中のタングステン量が減少するのを抑制できる。
本実施形態のコーティング液は、酸化タングステン前駆体Cと、鎖状のエーテルBと、金属触媒前駆体Fと、有機溶媒Eと、カルボン酸Hと、を含む。酸化タングステン前駆体Cは、塩化タングステンAと鎖状のエーテルBを混合・攪拌して反応させて形成されるものであり、タングステンアルコキシドに由来するものである。鎖状のエーテルBは、酸化タングステン前駆体Cの形成に用いられたものであり、酸化タングステン前駆体Cを溶解しない。鎖状のエーテルBは、上記の通り、別の鎖状又は環状のエーテルと置換されてもよい。従って、コーティング液は、鎖状のエーテルBとは別の鎖状又は環状のエーテルを含んでもよい。金属触媒前駆体Fは、還元されることによって水素ガス感応性を有する金属触媒となる金属イオンを含む。有機溶媒Eは、酸化タングステン前駆体Cと金属触媒前駆体Fを溶解する。カルボン酸Hは、金属触媒前駆体Fに含まれる金属イオンを金属に還元し、金属触媒を生成する。
本実施形態のコーティング液は、更に、乳化剤Gを含む。乳化剤Gの添加によって、下層と上層が混和され、ミセルが形成される。第3溶液L3のミセル化によって、成膜時に表面凹凸の大きい膜が得られ、その表面の凹凸によって光が散乱され、不透明な白色の膜が得られると推定される。なお、上記の通り、乳化剤Gを添加しなくても、混合・攪拌等によって下層と上層とを均一に分散できる場合には、乳化剤Gの添加は不要であり、コーティング液は乳化剤Gを含まなくてもよい。
本実施形態の水素ガス感応性膜の製造方法は、図2に示すS201~S203を含む。S201では、本実施形態のコーティング液を基材に塗布し、基材の表面に塗布膜を形成する。S202では、塗布膜を大気中、室温以上100℃以下で乾燥する。S203では、塗布膜に紫外線を照射することによって、金属触媒を担持した酸化タングステン膜とする。紫外線の照射によって、金属触媒前駆体Fに含まれる金属イオンの還元を促進できる。なお、金属触媒前駆体Fに含まれる金属イオンの還元は、カルボン酸Hの添加によっても促進される。カルボン酸Hは、塗布後に金属触媒前駆体Fに含まれる金属イオンを金属に還元し、金属触媒を生成する。また、S203は、S202の後ではなく、S202と同時に行われてもよい。つまり、紫外線の照射は、塗布膜の乾燥後又は乾燥中に行われればよい。以下、S201~S203の詳細について説明する。
先ず、S201では、コーティング液を基材に塗布し、基材の表面に塗布膜を形成する。基材は、透明なものでも不透明なものでもよい。基材が透明なものである場合、基材を介して水素ガス感応性膜の色の変化を視認できる。基材の種類、厚み、及び大きさは、水素ガス感応性膜の用途やコーティング液の塗布方法などに応じて適宜選択され、特に限定されない。
コーティング液の塗布方法としては、粘性の低い溶液を均一に塗布できる方法、例えば、スピンコート法、ディップコート法、ロールコート法などを適用することができ、用いる基材の材質、大きさ、及び厚み等に応じて適宜選択することができる。
次に、S202では、塗布膜を大気中、室温以上100℃以下で乾燥する。塗布膜の乾燥温度は、好ましくは60℃以上100℃以下である。塗布膜の乾燥温度が60℃以上であれば、金属触媒前駆体Fに含まれる金属イオンの還元反応を促進でき、また、塗布膜の強度、又は塗布膜と基板の密着性を向上できる。一方、塗布膜の乾燥温度が100℃以下であれば、基材として、ガラス基板の他に、樹脂基板又は樹脂フィルム等も使用できる。樹脂基板又は樹脂フィルムは、コーティング液の成分に対して耐性を有する樹脂、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)等で形成される。
次に、S203では、塗布膜に紫外線を照射することによって、金属触媒を担持した酸化タングステン膜とする。紫外線の照射によって、金属触媒前駆体Fに含まれる金属イオンの還元を促進できる。紫外線の波長は、例えば200nm~380nmであり、好ましくは254nmである。紫外線は、大気中で照射可能である。紫外線の照射量は、例えば1mW/cmの強度で5秒~10分程度である。紫外線の光源は、上記波長の紫外線を放射するものであれば特に限定されないが、例えばLEDランプ又は水銀ランプである。また、紫外線の光源と塗布膜の距離は、紫外線を均一に照射できる限り特に限定されず、紫外線の照射量に応じて適宜調整されるが、1cm~3cm程度が好適である。
上記S201~S203によって、水素ガス感応性膜が得られる。成膜後、水素ガスに晒される前に不透明な白色である。それゆえ、成膜後、水素ガスに晒される前に無色透明である場合に比べて、水素ガスに晒した際に青色への変化がわかりやすい。これは、無色透明な液膜を淡青色のインクで着色した場合と、不透明な白色の液膜を淡青色のインクで着色した場合とでは、後者の方が色の変化を認識しやすいのと同じことである。本実施形態によれば、水素ガスに晒した際に淡青色に変化する場合であっても、色の変化を認識しやすい。
また、本実施形態の水素ガス感応性膜は、従来の水素ガス感応性膜に比べて、周辺雰囲気が水素ガスから大気に変化した際に、青色から元の色に戻るのにかかる時間が長く、青色の着色状態が維持されやすい。例えば、特許文献4または5の水素ガス感応性膜の場合は数秒から1分程度で元の色に戻るが、本実施形態の水素ガス感応性膜の場合は、元の色に戻るのに30分程度の時間が必要である。それゆえ、本実施形態の水素ガス感応性膜は、従来の水素ガス感応性膜に比べて、水素ガスに晒された情報を長時間保持でき、水素ガス可視化シート又は水素ガスセンサーとしてより有用である。
本実施形態の水素ガス感応性膜は、金属触媒前駆体Fに含まれる金属イオンの還元反応の際に塗布膜の内部で発生する炭酸ガスによって多孔質化されてもよい。炭酸ガスは、カルボン酸Hが塗布膜中で酸化されることにより発生する。多孔質化された水素ガス感応性膜は、良好な通気性を有し、周辺雰囲気に対し良好な感応性を有する。
水素ガス感応性膜は、S201(塗布)とS202(乾燥)を1回行って形成されてもよいし、S201(塗布)とS202(乾燥)を複数回繰り返して形成されてもよい。後者の場合、複数の酸化タングステン膜で水素ガス感応性膜が構成される。水素ガス感応性膜の膜厚は、用途などに応じて適宜選択される。なお、S203は、上記の通り、S202の後に行われてもよいし、S202と同時に行われてもよい。
本実施形態の水素ガス感応性膜は、タングステンと、酸素と、白金族金属と、を含む粒子を分散して含む。粒子は、更に、塩素と、炭素と、を含んでもよい。水素ガス感応性膜は、表面粗さRaが50nm~300nmであり、空隙率が20%~50%である。水素ガス感応性膜は、大気に晒されると白色になり、水素に晒されると青色になる。水素ガス感応性膜の表面粗さRaが50nm以上であれば、表面の凹凸によって光が散乱され、不透明な白色の膜が得られる。表面粗さRaは、日本工業規格(JIS B0601-2013)に記載の算術平均粗さである。空隙率は、好ましくは25%~40%である。
以下、コーティング液の製造方法、及び水素ガス感応性膜の製造方法の具体例について説明する。また、得られた水素ガス感応性膜の評価結果についても説明する。
〔実施例1-1〕
図1のS101では、先ず、グローブボックスの内部を乾燥窒素雰囲気で満たした後、グローブボックス中で4.96gの六塩化タングステン(WCl)と50mLの超脱水ジイソプロピルエーテルを別々に秤量した。その後、ドラフト中で、乾燥窒素ガスを流しながら、室温下で両者を混合した。次いで、室温下で約20時間攪拌し、続いて湯浴で55℃に加熱しながら30分間攪拌し、第1溶液を得た。
S102では、別に、ビス(アセチルアセトナト)白金(II)(Pt(acac))をエチレングリコールモノメチルエーテル(EGMME)に溶解し、金属触媒前駆体の濃度が0.016モル/Lである第2溶液を調製した。
S103では、第2溶液10mLを第1溶液に加え、攪拌し、青色の下層と無色透明の上層とに分離した第3溶液を調製した。
S104では、第3溶液に対して乳化剤として超脱水エタノールを45mLを添加し、攪拌した。下層と上層とが混和され、ミセルが形成され、濃紺色の均一な溶液が得られた。
なお、S104の直前に、上層の液量が少ない場合には、超脱水ジイソプロピルエーテルを適量添加してもよい。また、超脱水ジイソプロピルエーテルの代わりに、メチルt-ブチルエーテルを適量添加してもよい。
S105では、ミセル化した溶液に対して約0.1gのシュウ酸を添加した。添加後、そのまま室温で攪拌を続け、溶液の色が濃紺から淡黄緑色に変化した時点で攪拌を止めた。淡黄緑色に着色した透明で均一なコーティング液が得られた。
得られたコーティング液は、酸化タングステン前駆体と、超脱水ジイソプロピルエーテルと、金属触媒前駆体と、エチレングリコールモノメチルエーテル(EGMME)と、シュウ酸と、超脱水エタノールと、を含むものであった。
図2のS201では、ポリカーボネート(PC)基板(水の濡れ接触角:約65°、以下、基板1-1-1と記す。)の表面にコーティング液をスピンコート法で塗布し、塗布膜を形成した。ポリカーボネート基板の表面は縦3cm、横3cmの正方形であった。基板の回転数は3000rpmであり、コーティング液の塗布時間は30秒であった。
S202では、塗布膜を大気中80℃のホットプレート上で5分間加熱し、塗布膜を乾燥させた。S201とS202とを計5回繰り返した。塗布膜の色は、不透明な白色であった。その後、S203を実施した。
S203では、乾燥した塗布膜に対して波長254nmの紫外光を10分間照射した。紫外線の照射によって塗布膜の色は不透明な白色から青色に一時的に変化したが、紫外線の照射後、塗布膜の色はゆっくりと元の白色に戻った。
上記S201~S203によって、水素ガス感応性膜2-1-1が得られた。成膜直後の水素ガス感応性膜の色は、不透明な白色であった。
成膜直後の水素ガス感応性膜2-1-1の写真を、図3(A)に示す。成膜直後の水素ガス感応性膜2-1-1は、光沢の無い白色膜であった。この白色膜に対して水素ガスを噴霧すると、図3(B)に示すように、水素ガス感応性膜2-1-1の色は青色に変化した。
図4に、実施例1-1の水素ガス感応性膜2-1-1の透過スペクトルを示す。図4において、破線LAは成膜直後の水素ガス感応性膜2-1-1と基板1-1-1の透過スペクトルを示し、実線LBは水素ガス噴霧直後の水素ガス感応性膜2-1-1と基板1-1-1の透過スペクトルを示し、一点鎖線LCは基板1-1-1のみの透過スペクトルを示す。
図4に破線LAで示すように、成膜直後に、波長400nm~800nmの可視光領域の光透過率は、20%~50%程度であった。一方、図4に実線LBで示すように、水素ガス噴霧直後には、水素ガス感応性膜2-1-1の光透過率が減少し、青色の波長域450nm~500nmにピークが生じた。このことは、水素ガスの噴霧によって、水素ガス感応性膜2-1-1の色が不透明な白色から青色に変化したことを示している。
図5に、実施例1-1の水素ガス感応性膜2-1-1の反射スペクトルを示す。図5において、破線LAは成膜直後の水素ガス感応性膜2-1-1と基板1-1-1の反射スペクトルを示し、実線LBは水素ガス噴霧直後の水素ガス感応性膜2-1-1と基板1-1-1の反射スペクトルを示し、一点鎖線LCは基板1-1-1のみの反射スペクトルを示す。
図5に破線LAで示すように、成膜直後に、波長400nm~800nmの可視光領域の反射率は35%~45%程度であった。一方、図5に実線LBで示すように、水素ガス噴霧直後には、水素ガス感応性膜2-1-1の光反射率が減少した。
図6に、実施例1-1の水素ガス感応性膜2-1-1の原子間力顕微鏡(AFM)写真を示す。水素ガス感応性膜2-1-1の表面粗さRaは、キーエンス社製のAFM(商品名:Nanoscale Hybrid microscope VN-8010)で測定したところ、109nmであった。表面凹凸が大きいために光が散乱し、不透明な白色の水素ガス感応性膜2-1-1が得られたと推定される。
図7に、実施例1-1の水素ガス感応性膜2-1-1の断面を、走査透過電子顕微鏡(STEM)により観察した明視野像を示す。図7において、1-1-1はPC基板、2-1-1は水素ガス感応性膜、21はタングステンと酸素と白金とを含む粒、22は空隙、3は観察用のカーボン保護膜、4は観察用のタングステン保護膜である。図7から明らかなように、粒21が分散しており、空隙22が多く、多孔質な構造が得られ、表面凹凸が大きかった。水素ガス感応性膜2-1-1の空隙率は、日立ハイテクノロジーズ社製のSTEM(商品名:HD-2700)により取得した明視野像を画像処理して測定したところ、約30%であった。空隙率は、粒21と空隙22の合計の面積に対する、空隙22の面積の割合である。粒21の化学組成は、日立ハイテクノロジーズ社製のSTEM(商品名:HD-2700)で測定したところ、タングステンの含有量が16.9原子%、酸素の含有量が43.1原子%、白金の含有量が0.4原子%、塩素の含有量が0.4原子%、炭素の含有量が39.3原子%であった。
図8に示す測定装置5で測定した、水素ガス感応性膜2-1-1の水素ガスに対する応答性を図9に示す。先ず、図8を参照して測定装置5について説明する。図8において、細い矢印は水素含有ガスの流れを示し、太い矢印はレーザ光の経路を示す。
図8に示すように、測定装置5は、ガラスセル51と、スペーサ52と、マスフローコントローラ53と、光源54と、受光器55とを備える。なお、測定装置5は、測定対象物である水素ガス感応性膜2-1-1、及び水素ガス感応性膜2-1-1が形成される基板1-1-1を含まない。
ガラスセル51は、水素ガス感応性膜2-1-1と対向配置される。スペーサ52は、ガラスセル51と水素ガス感応性膜2-1-1との間に、水素含有ガスの流路となる隙間56を形成する。隙間56は、例えば1mm以下であり、好ましくは0.1mm~0.5mm程度である。
マスフローコントローラ53は、隙間56を流れる水素含有ガスの流量を制御する。水素含有ガスは、マスフローコントローラ53によって導入され、ガラスセル51と水素ガス感応性膜2-1-1との隙間56を通り、外部に放出される。一方、マスフローコントローラ53が水素含有ガスの導入を停止すると、大気が隙間56に入り込む。水素含有ガスとしては、水素ガスを4体積%、窒素ガスを96体積%含むものを用いる。
光源54としての半導体レーザ装置は、波長670nmのレーザ光を照射する。受光器55としてのフォトダイオードは、光源54から照射されたレーザ光を受光し、受光したレーザ光の強度に応じた信号を出力する。
図8に太い矢印で示すように、光源54から照射されたレーザ光は、基板1-1-1、水素ガス感応性膜2-1-1及びガラスセル51をこの順で通過し、受光器55で受光される。光源54から照射されるレーザ光の強度に対する、受光器55で受光されるレーザ光の強度の割合が透過率である。
水素ガス感応性膜2-1-1の水素ガスに対する応答性は、図8の隙間56に水素含有ガスを1分間供給すること、及びその供給を所定時間停止することを交互に繰り返しながら、波長670nmのレーザ光の透過率を測定することにより測定した。
図9に、実施例1-1の水素ガス感応性膜2-1-1の水素ガスに対する応答性の測定結果を示す。図9において、「ON」とは水素含有ガスの供給停止から供給への切換を意味し、「OFF」とは水素含有ガスの供給から供給停止への切換を意味する。図15において、同様である。
図9に示すように、水素含有ガスの供給によって、徐々に光透過率が減少し、水素ガス感応性膜2-1-1の色が不透明な白色から青色に変化した。測定開始直後は水素ガス感応性膜2-1-1の水素ガスに対する応答性は遅かったが、数回スイッチングを繰り返すことにより、1分程度の水素ガスの供給で十分な応答性が得られ、水素ガス感応性膜2-1-1の色が白色から濃い青色に変化した。
図9に示すように、水素ガス感応性膜2-1-1の色が濃い青色に変化した後は、水素ガスの供給を停止すると、30分程度かけて、水素ガス感応性膜2-1-1の色が青色から白色にゆっくり戻った。水素ガスの供給を停止してから1分程度では、水素ガス感応性膜2-1-1の色は青色のままほとんど変化しなかった。従って、水素ガスに晒された情報を長時間保持できた。
〔実施例1-2〕
実施例1-2では、PC基板の代わりにガラス基板(水の濡れ接触角:約10°、以下、基板1-1-2と記す。)を用いた以外、実施例1-1と同じ条件で水素ガス感応性膜2-1-2を製造した。実施例1-2では、実施例1-1で作製したコーティング液を用いた。
図10に、実施例1-2の水素ガス感応性膜2-1-2の水素ガスに晒した直後の写真を示す。図10では、図8に示す測定装置5を用いて、水素ガス感応性膜2-1-2の一部を水素ガスに晒した。図10に示すように、基板1-1-2を介して水素ガス感応性膜2-1-2の色の変化を視認できた。
〔実施例1-3〕
実施例1-3では、PC基板の代わりに親水化処理を施したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(水の濡れ接触角:約2°、以下、基板1-1-3と記す。)を用いた以外、実施例1-1と同じ条件で水素ガス感応性膜2-1-3を製造した。実施例1-3では、実施例1-1で作製したコーティング液を用いた。
図11に、実施例1-3の水素ガス感応性膜2-1-3の水素ガスに晒した直後の写真を示す。図11では、図8に示す測定装置5を用いて、水素ガス感応性膜2-1-3の一部を水素ガスに晒した。図11に示すように、基板1-1-3を介して水素ガス感応性膜2-1-3の色の変化を視認できた。
〔実施例1-4〕
実施例1-4では、紫外線の波長を254nmから365nmに変更した以外、実施例1-1と同じ条件で水素ガス感応性膜2-1-4を製造した。実施例1-4では、実施例1-1で作製したコーティング液を用いた。
図12に、実施例1-4の水素ガス感応性膜2-1-4の水素ガスに晒した直後の写真を示す。図12では、図8に示す測定装置5を用いて、水素ガス感応性膜2-1-4の一部を水素ガスに晒した。図12に示すように、基板1-1-4(基板1-1-1と同じPC基板)を介して水素ガス感応性膜2-1-4の色の変化を視認できた。但し、254nmの紫外線を照射した実施例1-1と比べて、水素ガスに晒した直後の青色の濃さが薄かった。
〔実施例1-5〕
実施例1-5では、実施例1-1で作製したコーティング液を、ガラス基板(基板1-1-2と同じガラス基板。以下、基板1-1-5と記す。)の表面にスピンコート法で塗布し、塗布膜を形成した。ガラス基板の表面は縦3cm、横3cmの正方形であった。基板の回転数は3000rpmであり、コーティング液の塗布時間は30秒であった。その後、塗布膜を大気中40℃で10分間乾燥させた。更に、同じ条件のスピンコート法で塗布膜を形成することと、塗布膜を大気中60℃で5分間乾燥することとを計4回繰り返した。その後、乾燥した塗布膜に対して波長254nmの紫外線を10分間照射した。
図13に、実施例1-5の水素ガス感応性膜2-1-5の水素ガスに晒した直後の写真を示す。図13では、図8に示す測定装置5を用いて、水素ガス感応性膜2-1-5の一部を水素ガスに晒した。図13に示すように、基板1-1-5を介して水素ガス感応性膜2-1-5の色の変化を視認できた。
〔実施例1-6〕
実施例1-6では、実施例1-1で作製したコーティング液を、ガラス基板(基板1-1-2と同じガラス基板。以下、基板1-1-6と記す。)の表面にスピンコート法で塗布し、塗布膜を形成した。ガラス基板の表面は縦3cm、横3cmの正方形であった。基板の回転数は3000rpmであり、コーティング液の塗布時間は30秒であった。その後、塗布膜を大気中室温(26℃)で15分間乾燥させた。この塗布膜の形成と、塗布膜の乾燥とを計5回繰り返した。その後、乾燥した塗布膜に対して波長254nmの紫外線を10分間照射した。
図14に、実施例1-6の水素ガス感応性膜2-1-6の水素ガスに晒した直後の写真を示す。図14では、図8に示す測定装置5を用いて、水素ガス感応性膜2-1-6の一部を水素ガスに晒した。図14に示すように、基板1-1-6を介して水素ガス感応性膜2-1-6の色の変化を視認できた。
〔実施例1-7〕
実施例1-7では、実施例1-1で作製したコーティング液を、ガラス基板(基板1-1-2と同じガラス基板。以下、基板1-1-7と記す。)の表面にスピンコート法で塗布し、塗布膜を形成した。ガラス基板の表面は縦3cm、横3cmの正方形であった。基板の回転数は3000rpmであり、コーティング液の塗布時間は30秒であった。その後、塗布膜を大気中100℃のホットプレート上で10分間乾燥させると同時に、塗布膜に対して波長254nmの紫外線を10分間照射した。この塗布膜を形成することと、紫外線を照射しながら塗布膜を乾燥することとを計5回繰り返した。
図15に、実施例1-7の水素ガス感応性膜2-1-7の水素ガスに対する応答性の測定結果を示す図である。図15に示すように、測定開始直後から水素ガス感応性膜2-1-7の水素ガスに対する応答性は速く、1分程度の水素ガスの供給で十分な応答性が得られ、水素ガス感応性膜2-1-7の色が白色から濃い青色に変化した。
図15に示すように、水素ガス感応性膜2-1-7の色が濃い青色に変化した後は、水素ガスの供給を停止すると、30分程度かけて、水素ガス感応性膜2-1-7の色が青色から白色にゆっくり戻った。水素ガスの供給を停止してから1分程度では、水素ガス感応性膜2-1-7の色は青色のままほとんど変化しなかった。従って、水素ガスに晒された情報を長時間保持できた。
図16に、実施例1-7の水素ガス感応性膜2-1-7の水素ガスに晒した直後の写真を示す。図16では、図8に示す測定装置5を用いて、水素ガス感応性膜2-1-7の一部を水素ガスに晒した。図16に示すように、基板1-1-7を介して水素ガス感応性膜2-1-7の色の変化を視認できた。
〔実施例2〕
実施例2では、窒素ガスを使用せずに大気雰囲気下でコーティング液を作製した以外、実施例1-1とほぼ同じ条件でコーティング液を作製した。但し、55℃での湯浴時間は30分から1時間に延ばした。そのため、コーティング液の作製にかかる時間が長くなった。また、最終的に得られた溶液中に灰色の沈殿が生成したので、灰色の沈殿を除去する作業を追加した。
実施例2では、作製したコーティング液を、PC基板(基板1-1-1と同じPC基板。以下、基板1-2と記す。)の表面にスピンコート法で塗布し、塗布膜を形成した。PC基板の表面は縦3cm、横3cmの正方形であった。基板の回転数は3000rpmであり、コーティング液の塗布時間は30秒であった。その後、塗布膜を大気中80℃のホットプレート上で5分間乾燥させた。この塗布膜の形成と、塗布膜の乾燥とを計5回繰り返した。塗布膜の色は、不透明な白色であった。その後、乾燥した塗布膜に対して波長254nmの紫外光を10分間照射した。
図17に、実施例2の水素ガス感応性膜2-2の水素ガスに晒した直後の写真を示す。図17では、図8に示す測定装置5を用いて、水素ガス感応性膜2-2の一部を水素ガスに晒した。図17に示すように、基板1-2を介して水素ガス感応性膜2-2の色の変化を視認できた。但し、実施例1-1に比べて、成膜後、水素ガスに晒す前の白色の濃さが薄く、水素ガスに晒した直後の青色の濃さも薄かった。
〔比較例1〕
比較例1では、塗布膜に対して紫外線を照射しなかった以外、実施例1-1と同じ条件で水素ガス感応性膜の製造を試みたが、得られた膜に水素ガスを噴霧しても膜の色が白色から青色に変化することはなかった。紫外線を照射しなかったので、白金イオンの還元が十分に進まなかったためと考えられる。
〔比較例2〕
比較例2では、コーティング液の作製時にシュウ酸を添加しなかった以外、実施例1-1と同じ条件で水素ガス感応性膜の製造を試みたが、得られた膜に水素ガスを噴霧しても膜の色が白色から青色に変化することはなかった。シュウ酸を添加しなかったので、白金イオンの還元が十分に進まなかったためと考えられる。
〔比較例3〕
比較例3では、特許文献5の実施例1-1の方法で水素ガス感応性膜2-3を作製した。水素ガス感応性膜2-3は、成膜後、水素ガスに晒す前に無色透明であった。
図18に、比較例3の水素ガス感応性膜2-3のAFM写真を示す。水素ガス感応性膜2-3の表面粗さRaは、3nmであった。この結果から、表面が平滑であるが故に光が散乱せず、無色透明な水素ガス感応性膜となっていることがわかった。
図19に、比較例3の水素ガス感応性膜2-3の断面を、STEMにより観察した明視野像を示す。図19において、1-3は基板、2-3は水素ガス感応性膜、122は空隙、103は観察用のカーボン保護膜、104は観察用のタングステン保護膜である。水素ガス感応性膜2-3の空隙率は、約10%であった。
図7と図19の比較から、本発明の実施例1-1で作製された水素ガス感応性膜2-1-1の断面構造と、特許文献5の実施例1-1の方法で作製された水素ガス感応性膜2-3は明らかに違っていることがわかった。
〔比較例4〕
比較例4では、特許文献5の実施例1-1の方法で水素ガス感応性膜2-4を成膜した。成膜後、水素ガスに晒す前の膜の色は、無色透明であった。この無色透明な膜の表面をヤスリで粗化し、すりガラスのような不透明な白色の膜を得ることを試みたが、ヤスリで膜を擦っても白濁膜にはならなかった。また、この膜に水素ガスを晒しても青色に変化することはなかった。これは、ヤスリで擦ることにより膜が破損してしまったためと推察される。
なお、比較例3、4で使用したコーティング液の製造にかかる時間は、本発明の実施例1-1のコーティング液の製造にかかる時間の4倍以上であった。従って、本発明によれば、コーティング液の製造時間の短縮も可能である。
以上、本発明に係る水素ガス感応性膜、その成膜に用いられるコーティング液、そのコーティング液の製造方法、及び水素ガス感応性膜の製造方法について説明したが、本発明は上記実施形態等に限定されない。特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更、修正、置換、付加、削除、及び組み合わせが可能である。それらについても当然に本発明の技術的範囲に属する。
2-1-1 水素ガス感応性膜
21 粒
22 空隙

Claims (15)

  1. タングステンと、酸素と、白金族金属と、塩素と、炭素と、を含む粒子のみからなる、水素ガス感応性膜であって、
    前記粒子を分散して含み、
    表面粗さが50nm~300nmであり、
    空隙率が20%~50%であり、
    大気に晒されると白色になり、水素に晒されると青色になる、水素ガス感応性膜。
  2. 前記白金族金属は、パラジウム、白金、及びパラジウム白金合金からなる群より選ばれた1種以上である、請求項1に記載の水素ガス感応性膜。
  3. 水素ガス感応性膜の成膜に用いられる、コーティング液であって、
    タングステンアルコキシドに由来する酸化タングステン前駆体と、
    鎖状又は環状のエーテルと、
    還元されることによって水素ガス感応性を有する金属触媒となる金属イオンを含む金属触媒前駆体と、
    前記酸化タングステン前駆体と前記金属触媒前駆体を溶解する有機溶媒と、
    前記金属触媒前駆体に含まれる前記金属イオンを金属に還元し、前記金属触媒を生成するカルボン酸と、を含む、コーティング液。
  4. 更に、乳化剤を含む、請求項3に記載のコーティング液。
  5. ミセル状である、請求項4に記載のコーティング液。
  6. 前記乳化剤が、両親媒性有機溶媒である、請求項4又は5に記載のコーティング液。
  7. 前記両親媒性有機溶媒が、メタノール、エタノール、又はアセトンである、請求項6に記載のコーティング液。
  8. 前記金属触媒前駆体が、白金族金属のイオンを含む、請求項3~7のいずれか1項に記載のコーティング液。
  9. 水素ガス感応性膜の成膜に用いられる、コーティング液の製造方法であって、
    塩化タングステンと鎖状のエーテルを混合・攪拌して反応させ、酸化タングステン前駆体を含む第1溶液を調製することと、
    還元されることによって水素ガス感応性を有する金属触媒となる金属イオンを含む金属化合物を有機溶媒に溶解することにより、金属触媒前駆体を含む第2溶液を調製することと、
    前記第1溶液と前記第2溶液とを混合・攪拌し、前記酸化タングステン前駆体と前記金属触媒前駆体とを含む下層と、上層とに分離した第3溶液を調製することと、
    前記金属触媒前駆体に含まれる前記金属イオンを金属に還元して前記金属触媒を生成するカルボン酸を、前記第3溶液に対して添加することと、を有する、コーティング液の製造方法。
  10. 更に、前記第3溶液に対して乳化剤を添加することを有する、請求項9に記載のコーティング液の製造方法。
  11. 前記乳化剤の添加によって、前記第3溶液をミセル状にすることを有する、請求項10に記載のコーティング液の製造方法。
  12. 前記乳化剤が、両親媒性有機溶媒である、請求項10又は11に記載のコーティング液の製造方法。
  13. 前記両親媒性有機溶媒が、メタノール、エタノール、又はアセトンである、請求項12に記載のコーティング液の製造方法。
  14. 前記金属化合物が、白金族金属の化合物である、請求項9~13のいずれか1項に記載のコーティング液の製造方法。
  15. 請求項3~8のいずれか1項に記載のコーティング液を基材に塗布し、前記基材の表面に塗布膜を形成することと、
    前記塗布膜を大気中、室温以上100℃以下で乾燥することと、
    前記塗布膜の乾燥後又は乾燥中に、前記塗布膜に紫外線を照射することによって、前記金属触媒を担持した酸化タングステン膜とすることと、を有する、水素ガス感応性膜の製造方法。
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