以下に、本開示に係る眼科装置の一実施形態としての実施例1の眼科装置10について図1から図5を参照しつつ説明する。図3では、切替配置機構における各構成の把握を容易とするために、取付板金70を省略して示している。
本開示に係る眼科装置10は、少なくとも自覚検査と他覚測定との一方を実行可能とする。自覚検査は、被検者からの応答を利用して被検眼Eの情報を取得する測定手法である。自覚検査には、遠用検査、近用検査、コントラスト検査、グレア検査等の自覚屈折測定や、視野検査等がある。また、他覚測定は、被検者からの応答を参照することなく、主に物理的な手法を用いて被検眼Eの情報を取得する測定手法である。他覚測定には、被検眼の特性を取得するための測定と、被検眼の画像を取得するための撮影とが含まれる。他覚測定には、他覚屈折測定、角膜形状測定、眼圧測定、眼底撮影、光干渉計測等がある。
以下では、眼底共役位置は、アライメントが完了した状態での被検眼の眼底と光学的に略共役な位置であり、被検眼の眼底と光学的に共役な位置またはその近傍とする。同様に、瞳孔共役位置は、アライメントが完了した状態での被検眼の瞳孔と光学的に略共役な位置であり、被検眼の瞳孔と光学的に共役な位置またはその近傍とする。
眼科装置10は、図1に示すように、被検眼Eの情報を取得する取得光学系として、前眼部観察系11とZアライメント系12とXYアライメント系13とケラト測定系14とレフ測定投射系15とレフ測定受光系16と固視投影系17とOCT光学系18とを備える。眼科装置10は、この各光学系(符号11から18)を筐体に収容して構成されている。そのレフ測定投射系15とレフ測定受光系16とは、レフ測定光学系を構成する。実施例1の眼科装置10は、前眼部観察系11が940nmから1000nmの光を用い、レフ測定光学系が830nmから880nmの光を用い、固視投影系17が400nmから700nmの光を用い、OCT光学系18が840nm(中心波長)の光を用いる。
眼科装置10は、上記した各光学系(符号11から18)の動作を制御する制御部41を備える。制御部41は、接続された記憶部または内蔵する内部メモリに記憶したプログラムを例えばRAM(Random Access Memory)上に展開することにより、眼科装置10の上記の各光学系を含む各部の動作を統括的に制御する。実施例1では、内部メモリは、RAM等で構成され、記憶部は、ROM(Read Only Memory)やEEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)等で構成される。
(前眼部観察系11)
前眼部観察系11は、被検眼Eの前眼部を動画撮影する。この撮影のために、前眼部照明光源19が設けられている。この前眼部照明光源19は、被検眼Eの前眼部に照明光(例えば、赤外光)を照射する。被検眼Eの前眼部により反射された光は、対物レンズ11aを通過し、ダイクロイックミラー11bを透過し、絞り(テレセン絞り)11cに形成された孔部を通過し、ハーフミラー13cを透過し、リレーレンズ11d、11eを通過し、ダイクロイックミラー16fを透過する。ダイクロイックミラー16fを透過した光は、結像レンズ11fにより撮像素子11g(エリアセンサ)の撮像面に結像される。その撮像素子11g(その撮像面)は、前眼部観察系11を経由する上記の光学系により、瞳孔共役位置とされている。撮像素子11gは、所定のレートで撮像し、その信号(映像信号)を制御部41へと出力する。制御部41は、この映像信号に基づく前眼部像E´を表示部42の表示画面42aに表示させる。前眼部像E´は、例えば赤外動画像である。
(Zアライメント系12)
Zアライメント系12は、前眼部観察系11の光軸方向(前後方向、Z方向)におけるアライメントを行うために、Zアライメント光源12aから出射させた光(赤外光)を被検眼Eに投射する。そのZアライメント光源12aからの光は、被検眼Eの角膜Crに投射され、その角膜Crにより反射され、結像レンズ12bによりラインセンサ12cの受光面に結像される。Zアライメント系12では、角膜頂点の位置が前眼部観察系11の光軸方向に変化すると、その変化に応じてラインセンサ12cの受光面における光の投射位置が変化される。制御部41は、ラインセンサ12cのセンサ面における光の投射位置に基づいて被検眼Eの角膜頂点の位置を求め、これに基づき光学系を移動させる機構を制御してZアライメントを実行する。
(XYアライメント系13)
XYアライメント系13は、前眼部観察系11の光軸に直交する方向(左右方向(X方向)、上下方向(Y方向))のアライメントを行うために、XYアライメント光源13aから出射させた光(赤外光)を被検眼Eに投射する。そのXYアライメント光源13aからの光は、コリメータレンズ13bを通過し、ハーフミラー13cにより反射され、前眼部観察系11を通じて被検眼Eに投射される。すなわち、XYアライメント系13は、ハーフミラー13cにより前眼部観察系11の光路から分岐されており、対物レンズ11aとダイクロイックミラー11bと絞り11cとを前眼部観察系11と共用する。被検眼Eの角膜Crによる反射光は、前眼部観察系11を通じて撮像素子11gに導かれる。
XYアライメント系13は、反射光に基づく像である輝点像Brを形成する。その輝点像Brは、前眼部像E´とともに撮像素子11gにより取得される。制御部41は、輝点像Brを含む前眼部像E´とアライメントマークALとを表示部42の表示画面42aに表示させる。これにより、検者は、アライメントマークAL内に輝点像Brを誘導するように光学系の移動操作を行うことで、手動でXYアライメントを行うことができる。また、制御部41は、アライメントマークALに対する輝点像Brの変位をなくすように、光学系を移動させる移動制御機構を制御することで、自動でアライメントを行うことができる。
(ケラト測定系14)
ケラト測定系14は、被検眼Eの角膜Crの形状を測定するためのリング状光束(赤外光)を角膜Crに投射する。ケラト測定系14は、ケラト板14aとケラトリング光源14bとを有する。ケラト板14aは、対物レンズ11aと被検眼Eとの間に配置されている。ケラトリング光源14bは、ケラト板14aの背面側(対物レンズ11a側)に設けられている。ケラト測定系14は、ケラトリング光源14bからの光でケラト板14aを照明することにより、被検眼Eの角膜Crにリング状光束を投射する。被検眼Eの角膜Crからの反射光(ケラトリング像)は、前眼部観察系11により検出されて、前眼部像E´とともに撮像素子11gにより取得される。制御部41は、このケラトリング像を基に公知の演算を行うことで、角膜Crの形状を表す角膜形状パラメータを算出する。
(レフ測定光学系)
レフ測定光学系は、レフ測定投射系15により被検眼Eの眼底Efに測定光束を投影し、レフ測定受光系16により眼底Efで反射された測定光束(その反射光束)を測定リング像として取得することで、被検眼Eの眼屈折力を測定する。
レフ測定投射系15は、高輝度光源であるSLD(Super Luminescent Diode)光源であるレフ測定光源15aを有する。レフ測定光源15aは、光軸方向に移動可能とされ、眼底共役位置に配置される。そのレフ測定光源15aから出力された光は、リレーレンズ15bを通過し、円錐プリズム15cの円錐面に入射し、偏向されて円錐プリズム15cの底面から出射される。その底面からの光は、リング絞り15dのリング状に形成された透光部を通過してリング状光束とされ、孔開きプリズム15eの孔部の周囲の反射面により反射され、ロータリープリズム15fを通過し、フィルタ50により反射される。このフィルタ50は、波長分離を行うことによりレフ測定光学系の光路からOCT光学系18の光路を分離するための光学素子である。そのロータリープリズム15fは、眼底Efの血管や疾患部位に対するリング状光束の光量分布を平均化や光源に起因するスペックルノイズの低減のために用いられる。レフ測定投射系15は、ダイクロイックミラー11bおよび対物レンズ11aを前眼部観察系11と共用しており、フィルタ50により反射された光をダイクロイックミラー11bにより反射して、対物レンズ11aを通過させ、被検眼Eに投射させる。
レフ測定投射系15は、レフ測定受光系16の光路に設けられた孔開きプリズム15eによって分岐された光路に設けられる。孔開きプリズム15eに形成されている孔部は、瞳孔共役位置に配置される。そのレフ測定受光系16は、リング状光束の眼底Efからの戻り光を受光する。レフ測定受光系16を経由する光学系において、撮像素子11gの撮像面は眼底共役位置に配置される。
レフ測定受光系16は、ダイクロイックミラー11bおよび対物レンズ11aを前眼部観察系11と共用しており、その戻り光が、対物レンズ11aを通過し、ダイクロイックミラー11bおよびフィルタ50により反射される。また、レフ測定受光系16は、ロータリープリズム15fおよび孔開きプリズム15eをレフ測定投射系15と共用しており、その反射された戻り光が、ロータリープリズム15fを通過し、孔開きプリズム15eの孔部を通過する。その戻り光は、リレーレンズ16aを通過し、反射ミラー16bにより反射され、リレーレンズ16cおよび合焦レンズ16dを通過する。合焦レンズ16dは、レフ測定受光系16の光軸に沿って移動可能とされている。合焦レンズ16dを通過した光は、反射ミラー16eにより反射され、ダイクロイックミラー16fにより反射されて、結像レンズ11fにより撮像素子11gの撮像面に結像される。すなわち、レフ測定受光系16は、結像レンズ11fと撮像素子11gとを前眼部観察系11と共用する。制御部41は、撮像素子11gからの出力を基に公知の演算を行うことで被検眼Eの屈折力値を算出する。その屈折力値は、球面度数、乱視度数および乱視軸角度等を含む。
(固視投影系17)
固視投影系17は、固視標を被検眼Eに呈示する。固視投影系17は、液晶パネル17aとリレーレンズ17bと有し、ダイクロイックミラー18hによりOCT光学系18の光路に結合される。固視投影系17は、制御部41の制御下で液晶パネル17aが固視標を表すパターンを表示させ、その光をリレーレンズ17bおよびダイクロイックミラー18hを透過させて、OCT光学系18の光路に進行させる。液晶パネル17aとリレーレンズ17bとは、少なくとも一方が光軸方向に移動可能とされている。その光は、リレーレンズ18iを通過し、反射ミラー18kにより反射され、フィルタ50を透過し、ダイクロイックミラー11bにより反射されて、対物レンズ11aを通過して眼底Efに投射される。このとき、固視投影系17は、液晶パネル17a(その画面上)におけるパターンの表示位置を変更することにより、被検眼Eの固視位置を変更でき、様々な画像の取得を可能とする。その画像は、例えば、眼底Efの黄斑部を中心とする画像、視神経乳頭を中心とする画像、黄斑部と視神経乳頭との間の眼底中心を中心とする画像等がある。
(OCT光学系18)
OCT光学系18は、OCT(Optical Coherence Tomography)計測を行う。OCT光学系18は、フィルタ50によりレフ測定光学系の光路から波長分離された光路に設けられる。OCT光学系18は、ダイクロイックミラー18hにより結合された固視投影系17の光路とともに、光軸がレフ測定光学系の光路の光軸と一致されている。
OCT光学系18は、OCTユニット20を含む。OCTユニット20は、図2に示すように、低コヒーレンス光を参照光LRと測定光LSに分割し、被検眼E(眼底Ef)を経由した測定光LSと参照光路を経由した参照光LRとを干渉させて干渉光を生成し、この干渉光のスペクトル成分を検出する。この検出結果(検出信号)は、制御部41に送られる。
OCTユニット20では、OCT光源21が、一般的なスペクトラルドメインタイプのOCT装置と同様に、低コヒーレンス光源を含むものとされる。そのOCT光源21は、広帯域の低コヒーレンス光L0を出力する。その低コヒーレンス光L0は、例えば、近赤外領域の波長帯(中心波長が830nm、約800nmから900nmの波長範囲)を含み、数十μm程度の時間的コヒーレンス長を有する。OCT光源21は、SLDや、LED(Light Emitting Diode)や、SOA(Semiconductor Optical Amplifier)等の光出力デバイスを含んで構成される。
OCT光源21から出力された低コヒーレンス光L0は、光ファイバ22によりファイバカプラ23に導かれて測定光LSと参照光LRとに分割される。参照光LRは、光ファイバ24により導かれて光減衰器(アッテネータ)25に到達する。光減衰器25は、公知の技術を用いて、制御部41の制御下で、光ファイバ24に導かれる参照光LRの光量を自動で調整する。その調整された参照光LRは、光ファイバ24により導かれて偏波調整器(偏波コントローラ)26に到達する。偏波調整器26は、例えば、ループ状にされた光ファイバ24に対して外部から応力を与えることで、光ファイバ24内を導かれる参照光LRの偏光状態を調整する。なお、偏波調整器26は、任意の公知技術を用いることができ、実施例1の構成に限定されるものではない。偏波調整器26により調整された参照光LRは、ファイバカプラ28に到達する。
また、ファイバカプラ23により生成された測定光LSは、図1に示すように、光ファイバf1によりOCT光学系18へと導かれる。そのOCT光学系18は、OCT計測よりも前に実施されたレフ測定結果に基づいて、光ファイバf1の端面が眼底Efと光学系に共役となるように合焦レンズ18dの位置が調整される。OCT光学系18では、光ファイバf1からの測定光LSが、コリメータレンズ18aにより平行光束とされて、光路長変更部18bを通過する。その光路長変更部18bは、測定光LSの光路長を変更する。
光路長を変更された測定光LSは、光スキャナ18c、合焦レンズ18d、リレーレンズ18e、18f、および反射ミラー18gを経由してダイクロイックミラー18hに到達する。光スキャナ18cは、測定光LSを1次元的または2次元的に偏向するもので、実施例1では一例として第1ガルバノミラーと第2ガルバノミラーとを有する。第1ガルバノミラーは、OCT光学系18の光軸に直交する水平方向に眼底Efをスキャンするように測定光LSを偏向する。第2ガルバノミラーは、OCT光学系18の光軸に直交する垂直方向に眼底Efをスキャンするように、第1ガルバノミラーにより偏向された測定光LSを偏向する。この光スキャナ18cは、測定光LSの走査態様として、例えば、水平スキャン、垂直スキャン、十字スキャン、放射スキャン、円スキャン、同心円スキャン、螺旋スキャン等を行う。
測定光LSは、ダイクロイックミラー18hにより反射され、リレーレンズ18iを通過し、反射ミラー18kにより反射され、フィルタ50を透過し、ダイクロイックミラー11bにより反射される。ダイクロイックミラー11bにより反射された測定光LSは、対物レンズ11aにより屈折されて例えば眼底Efに照射される。すなわち、OCT光学系18は、対物レンズ11aとダイクロイックミラー11bとを前眼部観察系11と共用する。測定光LSは、眼底Efの様々な深さ位置において散乱(反射を含む)される。眼底Efによる測定光LSの後方散乱光は、往路と同じ経路を逆向きに進行して光ファイバf1へと導かれる。その測定光LSの後方散乱光は、図2に示すように、ファイバカプラ23に導かれ、光ファイバ27を経由してファイバカプラ28に到達する。
ファイバカプラ28は、光ファイバ24により導かれた参照光LRと、光ファイバ27により導かれた測定光LSの後方散乱光と、を干渉させる。これにより生成された干渉光LCは、光ファイバ31により導かれて、その出射端32から出射される。干渉光LCは、コリメータレンズ33により平行光束とされ、回折格子34により分光(スペクトル分解)され、集光レンズ35により集光されてCCD(Charge Coupled Devise)イメージセンサ等の検出器36の受光面に投影される。なお、図2に示す回折格子34は透過型であるが、たとえば反射型の回折格子等、他の形態の分光素子を用いることも可能である。検出器36は、一例としてラインセンサが用いられ、分光された干渉光LCの各スペクトル成分を検出して電荷に変換する。検出器36は、この電荷を蓄積して検出信号を生成し、これを制御部41に送る。
なお、実施例1では、マイケルソン型の干渉計を採用しているが、例えばマッハツェンダー型など任意のタイプの干渉計を適宜に採用することができる。また、検出器36として、CCDイメージセンサに代えて、他の形態のイメージセンサ、たとえばCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等を用いることができる。
制御部41は、レフ測定光学系を用いて得られた測定結果から屈折力値を算出し、算出された屈折力値に基づいて、眼底Efとレフ測定光源15aと撮像素子11gとが共役となる位置に、レフ測定光源15aおよび合焦レンズ16dそれぞれを光軸方向に移動させる。また、制御部41は、レフ測定光源15aおよび合焦レンズ16dの移動に連動して液晶パネル17aをその光軸方向に移動させてもよい。さらに、制御部41は、合焦レンズ16dの移動に連動してOCT光学系18の合焦レンズ18dをその光軸方向に移動させてもよい。
このOCT光学系18は、フィルタ50によりレフ測定光学系の光路に結合されている、すなわちフィルタ50によりレフ測定光学系の光路から波長分離された光路に設けられている。このため、眼科装置10では、図1においてフィルタ50が設けられた位置が、レフ測定光学系の光路とOCT光学系18の光路との結合箇所43となる。また、眼科装置10では、レフ測定光学系とOCT光学系18との一方が第1取得光学系となり、他方が第2取得光学系となり、各光路の一方が第1光路となり、他方が第2光路となる。以下では、結合箇所43で結合される各光路の中心位置を光路中心Lc(図3参照)とする。
フィルタ50は、結合箇所43において、レフ測定光学系が用いる光を反射するとともに固視投影系17が用いる光とを透過させることにより、レフ測定を行うことを可能とする。また、フィルタ50は、結合箇所43において、OCT光学系18が用いる光と固視投影系17が用いる光との双方を透過させることにより、OCT計測を行うことを可能とする。実施例1のフィルタ50は、レフ測定用の第1フィルタ501と、OCT計測用の第2フィルタ502とを有する。眼科装置10は、第1フィルタ501と第2フィルタ502とを切り替えて結合箇所43に配置することで、レフ測定とOCT計測とを切り替える。
第1フィルタ501は、固視投影系17に用いる光の波長範囲(400nmから700nm)を透過波長領域とし、レフ測定光学系に用いる光の波長範囲(830nmから880nm)が反射波長領域とする波長分離特性を有する。
第2フィルタ502は、固視投影系17に用いる光の波長範囲(400nmから700nm)と、OCT光学系18に用いる光の波長範囲(840nm)と、を透過波長領域とする波長分離特性(波長透過特性)を有する。なお、第2フィルタ502は、固視投影系17とOCT光学系18との双方の波長範囲を透過領域とすればよいので、全域を透過させる波長分離特性(波長透過特性)としてもよく、何も設けないものとしてもよい。しかしながら、実施例1の第2フィルタ502は、上記の波長分離特性(波長透過特性)となるガラス板を用いている。これは、次のことによる。固視投影系17は、レフ測定とOCT計測との双方で用いられるが、レフ測定では結合箇所43において第1フィルタ501を透過する際に光線が平行移動することとなるのに対し、何も設けない場合のOCT計測では結合箇所43において平行移動が生じない。このため、実施例1では、第2フィルタ502として、固視投影系17からの光に対して、第1フィルタ501で生じる平行移動と略等しい平行移動を生じさせるガラス板を用いている。これにより、第2フィルタ502は、固視投影系17において、レフ測定とOCT計測とで光軸のズレが生じることを抑制している。
眼科装置10は、結合箇所43に配置するフィルタを第1フィルタ501と第2フィルタ502とで切り替えるために、図3から図5に示す切替配置機構60を設けている。切替配置機構60は、直線移動部61と駆動部62と伝達部63とを有する。以下では、切替配置機構60において、直線移動部61が移動される方向を移動方向(図面ではYとする)とし、伝達部63の回転軸71aが延びる方向を軸線方向(図3の手前側を前側とする(図面ではZとする))とし、移動方向および軸線方向に直交する方向を直交方向(図面ではXとする)とする。実施例1の眼科装置10は、移動方向を鉛直方向と略一致させている。
直線移動部61は、第1フィルタ501と第2フィルタ502とを移動方向へと直線上に移動させるものであり、フィルタ支持枠64と支持レール65とスライダ66と固定部材67とを有する。フィルタ支持枠64は、第1フィルタ501と第2フィルタ502とを支持するもので、フィルタ支持枠部分64aとレール固定部分64bと伝達部分64cとを有する。フィルタ支持枠部分64aは、第1フィルタ501と第2フィルタ502とを直交方向に直交する面に沿って支持しており、両フィルタ501、502を個別に取り囲む枠状とされている。フィルタ支持枠部分64aは、両フィルタ501、502を移動方向に並べるものとしており、実施例1ではレフ測定用の第1フィルタ501を下側とし、OCT計測用の第2フィルタ502を上側としている。
レール固定部分64bは、支持レール65が固定される箇所であり、両フィルタ501、502における光の透過または反射の作用を阻害しない位置関係とされてフィルタ支持枠部分64aに連続されて移動方向に伸びている。実施例1のレール固定部分64bは、フィルタ支持枠部分64aの軸線方向の前側に設けられている。
伝達部分64cは、伝達部63からの駆動力が伝達される箇所であり、レール固定部分64bの下端に設けられている。実施例1の伝達部分64cは、直交方向に長尺な挿入孔64dを有する。挿入孔64dは、後述する伝達部63の伝達突起72を、直交方向への移動を許容しつつ受け入れ可能とされており、移動方向で対を為す上側荷重入力面64eと下側荷重入力面64fとを有する。両荷重入力面64e、64fは、移動方向に直交する平坦な面とされており、挿入孔64dに挿入された伝達突起72を移動方向で受けることができる。
この伝達部分64cでは、押付部材としてのバネ板64gが設けられている。バネ板64gは、下側荷重入力面64fと略平行に設けられており、挿入孔64dに挿入された伝達突起72を移動方向の上方すなわち上側荷重入力面64e側へと押し付ける力(押付力)を付与する。
支持レール65は、移動方向に伸びるレール固定部分64bに取り付けられており、移動方向に伸びている。スライダ66は、支持レール65に組み合わされることで、支持レール65上をその伸びる方向に移動できる。このスライダ66は、組み合わされた支持レール65の伸びる方向を移動方向とするように、固定部材67により各光学系(符号11から18)を収容する筐体に固定される。これにより、支持レール65は、筐体に固定されたスライダ66すなわち各光学系(符号11から18)に対して、移動方向へと移動可能とされる。そして、固定部材67は、支持レール65の移動方向への移動により、それが設けられたフィルタ支持枠64の両フィルタ501、502を結合箇所43に位置させることができるように、スライダ66の位置を設定している。すなわち、固定部材67は、両フィルタ501、502の移動可能な範囲に結合箇所43を位置させるように、スライダ66の位置を設定している。このため、直線移動部61は、両フィルタ501、502を移動方向に移動させることにより、そのどちらか一方を結合箇所43に配置できる。
直線移動部61は、スライダ66を支持する固定部材67が結合箇所43(その光路中心Lc)と接近されている。このため、直線移動部61は、スライダ66に対して支持レール65を移動方向の上側へと移動させることで、フィルタ支持枠64の下側で支持する第1フィルタ501を結合箇所43に配置できる(図3参照)。また、直線移動部61は、スライダ66に対して支持レール65を移動方向の下側へと移動させることで、フィルタ支持枠64の上側で支持する第2フィルタ502を結合箇所43に配置できる。
駆動部62は、直線移動部61への駆動力を出力するものであり、実施例1では回転力を回転出力軸69から出力するモータ68を有する。このモータ68は、取付板金70に取り付けられている(図4、図5参照)。その取付板金70は、軸線方向に直交する支持部70aと、各光学系(符号11から18)を収容する筐体に固定される固定部70bと、を有する。モータ68は、制御部41の制御下で適宜駆動されることで回転出力軸69から回転力を出力する。モータ68は、実施例1ではステッピングモータが用いられており、制御部41の制御下で回転出力軸69の回転姿勢の調整が可能とされている。その回転出力軸69は、取付板金70の支持部70aを通して軸線方向の前側に突出されており、周面にギヤ歯69aが形成されている。
伝達部63は、軸線方向に沿う回転軸71a(図5参照)が設けられた伝達歯車71を有する。この伝達歯車71は、軸線方向の前側で取付板金70の支持部70aに取り付けられており、支持部70aに対して回転軸71aを中心に回転可能とされている(図4、図5参照)。伝達歯車71は、回転出力軸69よりも大きな直径とされており、その外周の一部にギヤ歯71bが形成され、そのギヤ歯71bが回転出力軸69のギヤ歯69aに噛み合わせられている。
伝達歯車71には、伝達突起72と遮光片73とが設けられている。伝達突起72は、駆動部62からの駆動力を直線移動部61へと伝達するもので、伝達歯車71の側面71cにおける外周近傍から軸線方向の前側へと突出する円柱状とされている。伝達突起72は、直線移動部61のフィルタ支持枠64の伝達部分64cの挿入孔64dへと挿入可されており、その上側荷重入力面64eや下側荷重入力面64fに移動方向で接触することが可能とされている。
遮光片73は、伝達歯車71の外周面から径方向に突出して形成されている。遮光片73は、後述する回転センサ74による回転姿勢の検知に用いられるもので、伝達歯車71が第2フィルタ502を結合箇所43に配置させる回転姿勢になったことを検知させる位置に設けられている。
回転センサ74は、伝達歯車71の回転姿勢を検知する。実施例1の回転センサ74は、透過型のフォトセンサで構成されており、取付板金70の支持部70aに設けられている(図4、図5参照)。回転センサ74は、伝達歯車71が第2フィルタ502を結合箇所43に配置させる回転姿勢となると、遮光片73により光が遮られる位置関係とされている。このため、回転センサ74は、第2フィルタ502を結合箇所43に配置されたことと、それ以外の状態であることと、の双方を検知できる。回転センサ74は、検知信号を制御部41に出力する。
この切替配置機構60は、制御部41の制御下で駆動部62が適宜駆動されることで、各フィルタ501、502を切り替える。切替配置機構60では、駆動部62のモータ68が回転駆動されると、回転出力軸69(そのギヤ歯69a)を介して伝達歯車71(そのギヤ歯71b)が回転され、その回転軸71aを回転中心とする円弧を描きつつ移動方向へと伝達突起72が移動する。この伝達突起72には、直線移動部61のフィルタ支持枠64の伝達部分64cの挿入孔64d内に挿入されることで、その上側荷重入力面64eを介してフィルタ支持枠64が載せられている。このため、伝達突起72は、上側に移動する際には上側荷重入力面64eを押し上げることとなり、下側に移動する際には上側荷重入力面64eの下側への移動を許すこととなる。なお、伝達突起72は、下側への移動速度が大きい場合には、挿入孔64dの下側荷重入力面64fを下側に押し下げることとなる。
ここで、直線移動部61では、伝達突起72を下側に移動させることで、両フィルタ501、502を移動方向の下側に移動させて、その第2フィルタ502を結合箇所43へと移動できる。すると、直線移動部61では、回転センサ74が遮光片73を検知した信号を制御部41に出力するので、その制御部41が第2フィルタ502を結合箇所43に配置させたと判断して、駆動部62の駆動を停止する。これにより、切替配置機構60は、第2フィルタ502を結合箇所43へと配置でき、眼科装置10がOCT計測を実施可能な状態にできる。
また、切替配置機構60は、第1フィルタ501へと切り替える際には、第2フィルタ502を結合箇所43に配置させた状態から、所定のパルス数だけ駆動部62を駆動させて伝達突起72を上側に移動させる。すると、切替配置機構60では、両フィルタ501、502を移動方向の上側に移動させて、その第1フィルタ501を結合箇所43に配置できる。これにより、切替配置機構60は、第1フィルタ501を結合箇所43へと配置でき、眼科装置10がレフ測定を実施可能な状態にできる。よって、眼科装置10は、レフ測定に用いられる光の波長範囲とOCT計測に用いられる光の波長範囲が重複している場合であっても、簡易な構成で、レフ測定およびOCT計測のそれぞれにおいて光量の損失を大幅に低減し、測定や計測の精度を向できる。
ここで、両フィルタ501、502を移動方向へと移動させて切り替える切替配置機構としては、ボール螺子駆動を利用することや、ソレノイド駆動を利用することや、ラックとピニオン機構を利用することや、ベルト伝達機構を利用することが考えられる。ところが、ボール螺子駆動を利用すると、切り替えの時間が長くなってしまう。そこで、ソレノイド駆動を利用すると、切り替えの時間を短くできるが、動作の際に大きな音を発生させてしまう。そこで、ラックとピニオン機構を利用すると、動作の際の音を小さくできるが、切り替えの時間が長くなってしまうとともに、移動させる際のトルクを確保することが困難となり、駆動部の大型化を招いてしまう。そこで、ベルト伝達機構を利用すると、切り替えの時間を短くすることや、移動させる際のトルクを確保することができるが、塵を発生させてしまう。
これに対して、実施例1の切替配置機構60は、駆動部62からの駆動力を伝達部63で増大させて直線移動部61に伝達することで、両フィルタ501、502を移動方向に移動させて、適宜結合箇所43へと配置する。このため、切替配置機構60は、ボール螺子駆動よりも切り替えの時間を短縮でき、ソレノイド駆動のように動作音を発生させることはなく、ラックとピニオン機構よりも移動させる際のトルクを確保することができ、ベルト伝達機構よりも塵の発生を抑制できる。
すなわち、切替配置機構60は、ギヤ歯(69a、71b)で噛み合わせて駆動部62から伝達部63へと駆動力を伝達し、伝達突起72と上側荷重入力面64eとを接触させることで伝達部63から直線移動部61へと駆動力を伝達している。このため、切替配置機構60は、両フィルタ501、502の切り替えの時間を短くでき、その切り替えの動作音を抑制でき、簡易な構成にできる。加えて、切替配置機構60は、駆動部62からの駆動力を伝達部63で増大させて直線移動部61に伝達するので、両フィルタ501、502を移動させる際のトルクを容易に確保することができる。特に、実施例1の切替配置機構60は、駆動部62のモータ68の回転出力軸69のギヤ歯69aに、伝達部63の伝達歯車71のギヤ歯71bに噛み合わせることで、駆動力を増大させている。このため、切替配置機構60は、ベルト伝達機構よりも塵の発生を抑制しつつ、簡易な構成で駆動力を任意の大きさに増大できる。
また、切替配置機構60は、直線移動部61が支持する両フィルタ501、502を移動方向に移動させることで、結合箇所43への切り替え配置を可能としているので、切り替えのために移動される各フィルタ501、502が占有する空間の大きさを抑制できる。特に、実施例1の切替配置機構60は、両フィルタ501、502を支持することで移動方向に移動されるフィルタ支持枠64に支持レール65を設けるとともに、その支持レール65に組み合わせるスライダ66を固定部材67により固定している。ここで、切替配置機構60は、支持レール65の長さが、それが支持する各フィルタ501、502の移動量に応じて決まる。このため、切替配置機構60は、フィルタ支持枠にスライダを設けるとともに支持レールを固定する場合と比較して、固定される側の部材(実施例1ではスライダ66であり比較の場合では支持レール)の長さを短くでき、全体の構成を小さくできる。
そして、切替配置機構60は、伝達部63の伝達歯車71の伝達突起72を、直線移動部61のフィルタ支持枠64の伝達部分64cの挿入孔64dに挿入し、挿入孔64dにおける移動方向に直交する平坦な面とした上側荷重入力面64eに伝達突起72を押し当てている。このため、切替配置機構60は、駆動部62からの駆動力で伝達歯車71が回転されると、伝達突起72が回転軸71aを回転中心とする円弧を描きつつ移動方向へと移動し、そのうちの移動方向へのベクトル成分を上側荷重入力面64eに作用させることができる。これにより、切替配置機構60は、伝達部63が、主に直線移動部61に対して移動方向への力を伝達することができ、直線移動部61が支持する各フィルタ501、502を結合箇所43へと効率よく配置できる。また、切替配置機構60は、両フィルタ501、502のどちらかを結合箇所43に配置した状態において、上側荷重入力面64eと伝達突起72とが移動方向で接しているので、力が作用する方向を移動方向のみとすることができ、直線移動部61が支持する各フィルタ501、502を結合箇所43へと配置した際の配置精度を高めることができる。この配置精度は、レフ測定光学系の光路およびOCT光学系18の光路における光軸方向(光路中心Lcが伸びる方向)での位置と光軸方向に対する傾きとを含む。切替配置機構60は、上記の配置した状態において、移動方向以外の方向には力を作用させないので、直線移動部61で設定した通りの配置精度で各フィルタ501、502を結合箇所43に配置できる。
特に、実施例1の切替配置機構60は、挿入孔64dを直交方向に長尺としているので、挿入した伝達突起72が挿入孔64dから抜けることを防止するとともに伝達突起72の直交方向への移動を許容しつつ、その直交方向での位置に拘らず伝達突起72の移動方向へのベクトル成分を直線移動部61(そのフィルタ支持枠64)へと伝達できる。このため、切替配置機構60は、伝達部63や駆動部62に伝達突起72を直交方向へと変位させる力が作用した場合でも、その力が直線移動部61に支持された各フィルタ501、502へと伝達されることを抑制できる。このため、切替配置機構60は、両フィルタ501、502のどちらかを結合箇所43に配置してレフ測定やOCT計測を行っている際に上記の力が作用した場合であっても、各フィルタ501、502が変位することを抑制することができ、適切に測定や計測を行うことができる。加えて、切替配置機構60は、フィルタ支持枠64における移動方向の下側、すなわち伝達部分64cに近い側に第1フィルタ501を設けている。このため、切替配置機構60は、不測の事態により伝達部分64cに外力が作用してフィルタ支持枠64が傾斜した場合であっても、外力に起因する変位を第2フィルタ502よりも第1フィルタ501の方を小さくできる。ここで、眼科装置10の光学系(符号11から18)では、第1フィルタ501がレフ測定用であって光を反射させるのに対し、第2フィルタ502がOCT計測用であって光を透過させるものとされている。このため、眼科装置10の光学系では、第2フィルタ502よりも第1フィルタ501の方が、高い配置精度が要求されるので、上記のように第1フィルタ501の方が変位を小さくできることで、より適切な測定や計測を行うことができる。
さらに、切替配置機構60は、挿入孔64dに挿入された伝達突起72を、バネ板64gにより上側荷重入力面64eへと押し付けている。このため、切替配置機構60は、移動方向における伝達突起72の位置の変化に、上側荷重入力面64eの位置の変化を追従させることができる。これにより、切替配置機構60は、伝達部63を介する駆動部62のモータ68の回転出力軸69の回転姿勢を制御して移動方向における伝達突起72の位置を制御することで、移動方向における直線移動部61の各フィルタ501、502の位置を適切に制御できる。このため、切替配置機構60は、より適切にかつ簡易に各フィルタ501、502を結合箇所43に配置できる。
切替配置機構60は、スライダ66を支持する固定部材67を、結合箇所43の近傍であって移動方向において結合箇所43(その光路中心Lc)と接近させている。このため、切替配置機構60は、不測の事態により直線移動部61に外力が作用した場合であっても、外力に起因する直線移動部61における変位を固定部材67の近傍ほど小さくできるので、結合箇所43に配置させているフィルタ(501、502)の変位への影響を小さくできる。
本開示に係る眼科装置の実施例1の眼科装置10は、以下の各作用効果を得ることができる。
眼科装置10は、切替配置機構60が、フィルタ50を直線の移動方向に移動させる直線移動部61と、そこへの駆動力を出力する駆動部62と、そこからの駆動力を増大させて直線移動部61に伝達する伝達部63と、を備える。このため、眼科装置10は、全体の構成を小さくしつつフィルタ50を移動させる際のトルクを確保でき、フィルタ50の配置精度を確保できる。
眼科装置10は、被検眼Eの情報を取得する2つの取得光学系(実施例1では、レフ測定光学系およびOCT光学系18)が結合箇所43で結合されて被検眼Eに至り、直線移動部61が結合箇所43に配置可能に光学素子(フィルタ50)を支持しているこのため、眼科装置10は、全体の構成を小さくしつつフィルタ50を移動させる際のトルクを確保することができ、各取得光学系による被検眼Eの情報を取得可能な状態を切り替えることができる。
眼科装置10は、直線移動部61が、結合箇所43に配置可能に第1光学素子と第2光学素子と(実施例1ではレフ測定用の第1フィルタ501、OCT計測用の第2フィルタ502)を支持している。このため、眼科装置10は、各取得光学系に適合する2つの光学素子を切り替えて結合箇所43に配置できるので、より適切に各取得光学系による被検眼Eの情報を取得できる。
眼科装置10は、駆動部62が、駆動力を出力する回転出力軸69を有し、伝達部63が、回転出力軸69よりも大きな直径とされて回転出力軸69に噛み合わされた伝達歯車71を有する。このため、眼科装置10は、簡易な構成でフィルタ50を移動させる際のトルクを確保できる。
眼科装置10は、伝達歯車71が、側面71cから軸線方向に突出する伝達突起72を有し、直線移動部61が、移動方向に直交する荷重入力面(実施例1では上側荷重入力面64e)を有し、荷重入力面で伝達突起72を受けることにより駆動力が伝達される。このため、眼科装置10は、伝達部63が直線移動部61に対して主に移動方向へと駆動部62からの駆動力を伝達するので、直線移動部61で設定した通りの配置精度で各フィルタ501、502を結合箇所43に配置できる。
眼科装置10は、直線移動部61が、光学素子としてのフィルタ50を支持するフィルタ支持枠64と、そこに固定された支持レール65と、そこに組み合わされたスライダ66と、それを固定する固定部材67と、を有する。そして、眼科装置10は、荷重入力面(上側荷重入力面64e)が、フィルタ支持枠64における移動方向の端部に設けられている。このため、眼科装置10は、フィルタ支持枠64において両フィルタ501、502を並べて配置でき、全体の移動方向への移動量を低減しつつ結合箇所43に配置できる。
眼科装置10は、フィルタ支持枠64において、伝達突起72を挟んで荷重入力面(上側荷重入力面64e)と対向する位置に、伝達突起72を荷重入力面に押し付ける押付部材としてのバネ板64gを設けている。このため、眼科装置10は、駆動部62の回転出力軸69の回転姿勢を制御することで、移動方向における直線移動部61の各フィルタ501、502の位置を適切に制御でき、より適切にかつ簡易に各フィルタ501、502を結合箇所43に配置できる。
したがって、本開示に係る眼科装置の一実施例としての眼科装置10では、大型化を抑制するとともに、高い配置精度を確保して光学素子としてのフィルタ50を適切に配置することができる。
以上、本開示の眼科装置を実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については実施例1に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
例えば、実施例1では、結合箇所43に配置する光学素子(実施例1ではフィルタ50)を切り替えることで、各取得光学系(実施例1では、レフ測定光学系およびOCT光学系18)による被検眼Eの情報を取得可能な状態を切り替えている。しかしながら、切り替える取得光学系が取得する被検眼Eの情報の種別は適宜設定すればよく、実施例1の構成に限定されない。また、取得光学系は、単一のものが設けられていてもよく、3つ以上設けられていてもよく、実施例1の構成に限定されない。ここで、単一の取得光学系を有する場合には、切替配置機構60は、その取得光学系に対して光学素子を出し入れするものであればよく、実施例1の構成に限定されない。この場合、例えば、取得光学系に対して光学素子を出し入れすることで、光学的な特性や呈示する図柄等を切り替えるものとすることができる。
また、実施例1では、各取得光学系として、フィルタ50の反射光路にレフ測定光学系を配置し、フィルタ50の透過光路にOCT光学系18を配置している。しかしながら、各取得光学系は、レフ測定光学系とOCT光学系18とを逆に設けてもよく、他の構成でもよく、実施例1の構成に限定されない。
さらに、実施例1では、回転センサ74が、透過型のフォトセンサで構成され、伝達歯車71が第2フィルタ502を結合箇所43に配置させる回転姿勢となったことを検知する構成とされている。しかしながら、回転センサ74は、直線移動部61が支持する光学素子(実施例1ではフィルタ501、502)の結合箇所43への配置の制御を可能とするものであれば、構成や検知する姿勢は適宜設定すればよく、実施例1の構成に限定されない。
実施例1では、伝達突起72を荷重入力面(上側荷重入力面64e)に押し付ける押付部材として、バネ板64gを設けている。しかしながら、伝達突起72を荷重入力面に押し付けることで、移動方向における伝達突起72の位置の変化に、上側荷重入力面64eの位置の変化を追従させて、各フィルタ501、502の位置の適切な制御を可能とするものであればよく、実施例1の構成に限定されない。