すなわち、この種のバンドは、プッシュ釦をプッシュ操作してカム筒を回転させた際に、カム筒に設けられた切欠き部をバンド取付部の切欠き部に対応させて露出させ、この露出した各切欠き部からバンド本体の端部に設けられた連結ピンの端部をカム筒内に挿入させ、この状態でプッシュ釦が元に位置に戻ると、カム筒が回転してカム筒の切欠き部がバンド取付部によって隠されることにより、連結ピンの端部がカム筒内から離脱しないように構成されている。
以下、図1~図9を参照して、この発明を腕時計に適用した一実施形態について説明する。
この腕時計は、図1に示すように、腕時計ケース1を備えている。この腕時計ケース1の12時側と6時側とには、時計バンド2が取り付けられるバンド取付部3がそれぞれ設けられている。また、この腕時計ケース1の2時側、3時側、4時側、6時側、8時側および10時側には、押釦スイッチ4がそれぞれ設けられている。
この腕時計ケース1の上部開口部には、図2に示すように、時計ガラス5がパッキン5aを介して取り付けられている。この時計ガラス5の下側に位置する腕時計ケース1の内部には、見切り部材6が設けられている。また、この腕時計ケース1の下部には、裏蓋7が防水リング7aを介して取り付けられている。
この腕時計ケース1の内部には、図2に示すように、時計モジュール8が設けられている。この時計モジュール8は、図示しないが、指針を運針させる時計ムーブメント、時刻などの情報を電気光学的に表示する表示パネル、これらを電気的に駆動する回路部などの時計機能に必要な各種の部品を備えている。
この場合、腕時計ケース1は、図1および図2に示すように、ケース本体10と外装ケース11とを備えている。ケース本体10は、金属または硬質の合成樹脂、例えばポリアミド樹脂にガラス繊維またはカーボン繊維を混入させた剛性の高い硬質の合成樹脂によって形成されている。このケース本体10は、ほぼ円筒状に形成され、その内部に金属製の補強部10aが埋め込まれている。
また、このケース本体10の外周部における12時側と6時側とには、図1および図2に示すように、バンド取付部3の一対の取付突起部3aがそれぞれ設けられている。外装ケース11は、ケース本体10の上部外周にこれを覆って取り付けられるように構成されている。すなわち、この外装ケース11は、ほぼリング状に形成され、ケース本体10の上部外周に複数のねじ部材12によって取り付けられている。
ところで、時計バンド2は、図1および図3に示すように、バンド本体13がバンド連結部であるバンド連結駒14によってケース本体10に設けられたバンド取付部3の一対の取付突起部3aに取り付けられるように構成されている。すなわち、バンド連結駒14は、金属または合成樹脂によって形成され、ケース本体10の一対の取付突起部3aに連結部材15によって取り付けられると共に、バンド本体13の端部にピン部材16によって取り付けられるように構成されている。また、バンド本体は、金属(例えば複数のバンド駒が連結)または合成樹脂によって形成されている。
この場合、バンド連結駒14は、図3~図5に示すように、ケース本体10の一対の取付突起部3a間に配置されて取り付けられる幅広部14aと、ケース本体10の一対の取付突起部3a間から突出してバンド本体13の端部に配置されて取り付けられる幅狭部14bと、を備えている。これにより、バンド連結駒14は、幅広部14aと幅狭部14bとによってバンド本体13をケース本体10の一対の取付突起部3aに取り付けるように構成されている。
すなわち、バンド連結駒14の幅狭部14bには、図3~図5に示すように、ばね棒であるピン部材16が挿入するピン挿入孔17がバンド本体13の長手方向と直交する短手方向に貫通して設けられている。これにより、バンド連結駒14の幅狭部14bは、ピン挿入孔17にピン部材16が挿入されてピン部材16の両端が押し込まれた状態でバンド本体13の端部に配置された際に、ピン部材16の両端部が押し出されてバンド本体13の端部における両側部に挿入されて、バンド本体13の端部に取り付けられるように構成されている。
一方、バンド連結駒14の幅広部14aは、図3~図5に示すように、その厚みが一対の取付突起部3aとほぼ同じ大きさで、その形状が一対の取付突起部3a間の形状とほぼ同じ形状に形成されている。この幅広部14aには、連結部材15が挿入する取付孔18が、バンド本体13の長手方向と直交する短手方向に貫通した状態で、幅狭部14bのピン挿入孔17と平行に設けられている。
この取付孔18は、図3~図5に示すように、その両端部がケース本体10の一対の取付突起部3aに互いに対応して設けられた一対の固定穴3bに同一軸上に対応するように設けられている。また、この取付孔18の両側部には、幅狭部14bの両端よりも少し食い込んだ長さで裏面側に開放された開放部18aがそれぞれ設けられている。
連結部材15は、図3~図7に示すように、ばね棒であり、筒状部であるパイプ部20と、このパイプ部20内に配置されたばね部材21と、パイプ部20内における両側にスライド可能に配置された一対のスライド部22と、これら一対のスライド部22をパイプ部20の軸方向にそれぞれスライドさせるための第1、第2レバー部23、24と、を備えている。これにより、連結部材15は、一対のスライド部22がばね部材21のばね力によってパイプ部20の両側から外部に押し出されるように構成されている。
この場合、パイプ部20は、図6および図8に示すように、その外径がバンド連結駒14の幅広部14aに設けられた取付孔18の内径と同じ大きさで、軸方向の長さが幅広部14aの取付孔18と同じか、それよりも少し短い長さで形成されている。このパイプ部20は、バンド連結駒14の取付孔18に挿入された際に、両側部が取付孔18の両側に設けられた開放部18aから裏面側に露出するように構成されている。
ばね部材21は、図7(b)に示すように、コイルばねであり、その外径がパイプ部20の内径よりも少し小さく形成され、伸縮方向の長さ、つまり軸方向の長さがバンド連結駒14の幅狭部14bのピン挿入孔17とほぼ同じ長さに形成されている。これにより、ばね部材21は、両端部が一対のスライド部22の各内端部に弾接して一対のスライド部22をパイプ部20の内部から外部に向けて押し出す方向に付勢するように構成されている。
一対のスライド部22それぞれは、図6および図7に示すように、大径のスライド本体22aと小径の突出部22bとを備えている。スライド本体22aは、パイプ部20の内部にスライド可能に配置されている。このスライド本体22aは、その外径がパイプ部20の内径よりも少し小さく形成され、軸方向の長さがバンド連結駒14の幅広部14aにおける取付孔18の両側に設けられた開放部18aの長さとほぼ同じ長さに形成されている。
このスライド本体22aは、図7(b)に示すように、パイプ部20内の両側にそれぞれ配置されてばね部材21によって押し出される方向に付勢された際に、外部側の端部の縁部がパイプ部20の両端に設けられた抜止め部20aに当接してパイプ部20の外部に抜け出さないように構成されている。
スライド部22の突出部22bは、図6および図7に示すように、一対のスライド本体22aの外端部にそれぞれ一体に設けられている。この突出部22bは、パイプ部20の両側の端部からパイプ部20の外部に出没可能に突出して、バンド取付部3の一対の取付突起部に3aに設けられた一対の固定穴3bにそれぞれ挿入するように構成されている。すなわち、この突出部22bは、その外径がスライド本体22aの外径よりも小さく、且つ一対の取付突起部3aの各固定穴3bの内径とほぼ同じ大きさに形成されている。
また、この突出部22bは、図4~図7に示すように、その軸方向の長さがスライド本体22aの長さの約1/3の長さで、一対の取付突起部3aにおける固定穴3bの軸方向の長さ(深さ)とほぼ同じ長さに形成される。これにより、突出部22bは、ばね部材21のばね力によってスライド本体22aが押された際に、パイプ部20の外部に押し出され、またばね部材21のばね力に抗して押し出された際に、パイプ部20の内部に押し込まれるように構成されている。
ところで、一対のスライド部22の各スライド本体22aには、図6および図7に示すように、第1、第2レバー部23、24がそれぞれ取り付けられている。これら第1、第2レバー部23、24は、一対のスライド部22をそれぞれパイプ部20の内部においてその軸方向にスライドさせるためのものである。
すなわち、これら第1、第2レバー部23、24のうち、パイプ部20の右側に位置する第1レバー部23は、図6および図7に示すように、ほぼ球形状の第1頭部23aと第1軸部23bとを備え、第1軸部23bがパイプ部20の右側に設けられた開口孔25を通して右側のスライド本体22aに取り付けられるように構成されている。
この第1レバー部23は、図6および図7に示すように、第1軸部23bにねじ部23cが設けられ、このねじ部23cがパイプ部20の右側の開口孔25を通して右側のスライド本体22aに設けられたねじ穴22cに螺合することにより、スライド本体22aに取り付けられている。この第1レバー部23は、ほぼ球形状の第1頭部23aにドライバーなどの工具が挿入する溝部23dが設けられている。
同様に、パイプ部20の左側に位置する第2レバー部24は、図6および図7に示すように、第1レバー部23と同様、ほぼ球形状の第2頭部24aと第2軸部24bとを備え、第2軸部24bがパイプ部20の左側に設けられた開口孔25を通して左側のスライド本体22aに取り付けられるように構成されている。
すなわち、この第2レバー部24は、図6および図7に示すように、第2軸部24bの下端部がパイプ部20の左側の開口孔25を通して左側のスライド本体22aに溶接や固着などによって固定されている。このため、この第2レバー部24の第2頭部23aには、ドライバーなどの工具が挿入する溝部が設けられていない。なお、第2レバー部24は、必ずしもスライド本体22aに溶接や固着などによって固定されている必要はなく、第1レバー部23と同じねじ止め構造であっても良い。
この場合、パイプ部20の両側に設けられた各開口孔25は、図4~図7に示すように、バンド連結駒14に設けられた取付孔18の両側を開放させる開放部18aに対応するパイプ部20の両側にそれぞれ設けられている。これら各開口孔25は、それぞれパイプ部20の軸方向に沿って長い長孔に形成されている。すなわち、これら各開口孔25それぞれは、スライド部22のスライド長さ、つまりスライド部22の突出部22bにおける軸方向の長さと同じか、それよりも少し長く形成されている。
また、これら各開口孔25は、図4~図7に示すように、一対のスライド部22の各突出部22bがばね部材21のばね力によってパイプ部20の外部にそれぞれ押し出されて、一対のスライド本体22aの各外端部の縁部がパイプ部20の両端部に設けられた抜止め部20aに当接した状態のときに、第1、第2レバー部23、24の第1、第2軸部23b、24bがパイプ部20の両端側に位置する各外端部にそれぞれ接近して配置されるように形成されている。
また、これら各開口孔25は、図4~図7に示すように、一対のスライド部22の各突出部22bがばね部材21のばね力に抗してパイプ部20の内部にそれぞれ押し込まれた状態のときに、第1、第2レバー部23、24の第1、第2軸部23b、24bがパイプ部20の軸方向における中間部側に位置する各内端部にそれぞれ接近または当接して配置されるように形成されている。
また、これら各開口孔25は、図6および図7に示すように、パイプ部20の円周方向の長さが、第1、第2レバー部23、24の第1、第2軸部23b、24bの各外径と同じか、それよりも大きく形成されている。すなわち、各開口孔25は、パイプ部20の円周方向の長さが、第1、第2レバー部23、24の第1、第2軸部23b、24bの各外径と同じであっても良いが、第1、第2レバー部23、24がスライド部22の中心軸を中心に約90°の角度回転するように、パイプ部20の円周方向の長さが長く形成されていることが望ましい。
ところで、バンド連結駒14には、図4~図9に示すように、一対のスライド部22の各突出部22bがパイプ部20の内部にそれぞれ押し込まれたときに第1、第2レバー部23、24をそれぞれ保持する保持溝である一対の第1溝26と、一対のスライド部22の各突出部22bがそれぞれパイプ部20の内部から押し出されたときに第1、第2レバー部23、24をそれぞれ保持する保持溝である一対の第2溝27と、を備えている。
一対の第1溝26は、図4~図9に示すように、一対のスライド部22の各突出部22bがそれぞれパイプ部20の内部に押し込まれたときに、第1、第2レバー部23、24がそれぞれスライド部22の中心軸を中心に回転して挿入されるように形成されている。すなわち、一対の第1溝26は、パイプ部20の両側に設けられた各開口孔25の内端部に対応するバンド連結駒14の箇所に、バンド連結駒14の両側部に設けられた開放部18aに対応する取付孔18からパイプ部20の軸方向と直交する方向に向けて延びる長孔形状に形成されている。
この場合、一対の第1溝26は、図4~図9に示すように、パイプ部20の軸方向と直交する方向の長さが第1、第2レバー部23、24の各長さよりも短い長さ、例えば第1、第2レバー部23、24の第1、第2軸部23b、24bの長さとほぼ同じ長さに形成されている。これにより、一対の第1溝26は、一対のスライド部22の中心軸を中心に回転して挿入された際に、第1、第2レバー部23、24の第1、第2軸部23b、24bを一時的に係脱可能に保持するように構成されている。
一方、一対の第2溝27は、図4~図9に示すように、一対のスライド部22の各突出部22bがそれぞれパイプ部20の内部から押し出されたときに、第1、第2レバー部23、24がそれぞれ一対のスライド部22の中心軸を中心に回転して収納されるように形成されている。すなわち、一対の第2溝27は、パイプ部20の両側に設けられた各開口孔25の外端部に対応するバンド連結駒14の箇所に、バンド連結駒14の両側部に設けられた開放部18aに対応する取付孔18からパイプ部20の軸方向と直交する方向に向けて延びる長孔形状に形成されている。
この場合、一対の第2溝27は、図4~図9に示すように、パイプ部20の軸方向と直交する方向の長さが第1、第2レバー部23、24の各全長とほぼ同じ長さで形成されている。これにより、一対の第2溝27は、一対のスライド部22の中心軸を中心に回転して収納された際に、第1、第2レバー部23、24の第1、第2頭部23a、24aおよび第1、第2軸部23b、24bを収納して保持するように構成されている。
すなわち、一対の第2溝27は、図4~図9に示すように、第1、第2レバー部23、24の第1、第2頭部23a、24aおよび第1、第2軸部23b、24bが収納されるように、深さが第1溝26よりも深く形成されている。この場合、一対の第2溝27は、第1、第2レバー部23、24の第1、第2頭部23a、24aおよび第1、第2軸部23b、24bが収納された際に、第1、第2頭部23a、24aを第2溝27内から取り出し易くするために、第1、第2頭部23a、24aを露出させた状態で収納するように構成されている。
また、これら一対の第2溝27内の上部には、図9(a)および図9(b)に示すように、第1、第2レバー部23、24が収納された際に、第1、第2レバー部23、24を係脱可能に係止する半球状の一対の係止突起部27aがそれぞれ設けられている。すなわち、一対の係止突起部27aは、一対の第2溝27内の両側面に対向して設けられている。
これにより、一対の係止突起部27aは、図9(a)および図9(b)に示すように、第1、第2レバー部23、24が一対の第2溝27内にそれぞれ収納される際に、第1、第2レバー部23、24の第1、第2軸部23b、24bが乗り越えることにより、第1、第2レバー部23、24の第1、第2軸部23b、24bを係脱可能に係止するように構成されている。
次に、このような腕時計の時計バンド2の作用について説明する。
この場合には、予め、腕時計ケース1を組み立てて腕時計を組み立てる。すなわち、腕時計ケース1を組み立てる場合には、ケース本体10内の上部に見切り部材6を取り付けた後、ケース本体10の上部開口部に時計ガラス5をパッキン5aと共に取り付ける。
この状態で、ケース本体10の上部外周に外装ケース11をねじ部材12によって取り付ける。これにより腕時計ケース1が組み立てられる。この状態で、腕時計ケース1内に時計モジュール8を取り付けて、ケース本体10の外周に押釦スイッチ4を取り付ける。この後、ケース本体10の下部に裏蓋7を防水リング7aと共に取り付ける。これにより腕時計が組み立てられる。
そして、腕時計ケース1に時計バンド2を取り付ける場合には、まず、バンド本体13の端部にバンド連結駒14をばね棒であるピン部材16によって取り付ける。すなわち、バンド連結駒14の幅狭部14bに設けられたピン挿入孔17にピン部材16を挿入させ、このピン部材16の両端部を押し込む。この状態で、バンド連結駒14の幅狭部14bをバンド本体13の端部内に配置させて、バンド本体13の端部にピン部材16の両端部を挿入させる。これにより、バンド本体13の端部にバンド連結駒14がピン部材16によって取り付けられる。
この状態で、時計バンド2をバンド連結駒14によって腕時計ケース1に取り付ける。このときには、予め、連結部材15を組み立て、この連結部材15をバンド連結駒14の幅広部14aに取り付ける。すなわち、連結部材15を組み立てる場合には、まず、パイプ部20の内部にばね部材21を挿入させ、この状態でパイプ部20内の両側に一対のスライド部22をそれぞれ挿入させる。
そして、一対のスライド部22の各突出部22bをばね部材21のばね力に抗してパイプ部20の内部に押し込んだ状態で、パイプ部20の両端部をカシメ加工して、パイプ部20の両端部に抜止め部20aをそれぞれ形成する。これにより、パイプ部20内に配置された一対のスライド本体22aがばね部材21のばね力によって押し出される方向に付勢されても、一対のスライド本体22aの外端部の縁部が抜止め部20aに当接して、一対のスライド本体22aがパイプ部20内から抜け出さないように配置される。
この状態で、第1、第2レバー部23、24のうち、右側の第1レバー部23を右側のスライド部22に取り付けずに、左側の第2レバー部24を左側のスライド部22のみに取り付ける。このときには、パイプ部20の両側部に設けられた各開口孔25のうち、例えば左側の開口孔25を通して第2レバー部24の第2軸部24bをスライド本体22aに溶接や溶着によって固定する。
そして、第2レバー部24が取り付けられたパイプ部20をバンド連結駒14の幅広部14aに設けられた取付孔18に挿入させる。このときには、第1レバー部23が取り付けられていないパイプ部20の端部側からパイプ部20をバンド連結駒14の取付孔18に挿入させて、パイプ部20の両側に設けられた各開口孔25を取付孔18の両側の開放部18aにそれぞれ対応させて配置させる。
この状態では、パイプ部20の左側に位置するスライド部22に取り付けられた第2レバー部24がバンド連結駒14の取付孔18における左側の開放部18aに配置される。この状態で、第1レバー部23を右側のスライド部22に取り付ける。このときには、右側のスライド部22のスライド本体22aに設けられたねじ穴22cがパイプ部20の右側の開口孔25に対応して露出する。
このため、第1レバー部23の第1軸部23bのねじ部23cをパイプ部20の右側の開口孔25からスライド本体22aのねじ穴22cに螺入させる。このときには、第1頭部23aの溝部23dにドライバーなどの工具を差し込んで第1頭部23aを回して、第1軸部23bのねじ部23cをスライド本体22aのねじ穴22cに締め付ける。これにより、第1レバー部23が右側のスライド部22に取り付けられる。この場合にも、第1レバー部23はバンド連結駒14の取付孔18における右側の開放部18aに配置される。
そして、バンド連結駒14によって時計バンド2を腕時計ケース1のバンド取付部3に取り付ける場合には、まず、パイプ部20内のばね部材21のばね力に抗して第1、第2レバー部23、24を互いに接近する方向に移動させて、一対のスライド部22の各突出部22bをパイプ部20内に押し込んで配置させる。このときには、第1、第2レバー部23、24の第1、第2軸部23b、24bがパイプ部20の両側の各開口孔25内を移動して各開口孔25の内端部に接近または当接させてバンド連結駒14に設けられた一対の第1溝26に対応する。
この状態で、第1、第2レバー部23、24を一対のスライド部22の各軸中心を中心として回転させると、第1、第2レバー部23、24の第1、第2軸部23b、24bがバンド連結駒14に設けられた一対の第1溝26内に挿入される。これにより、第1、第2レバー部23、24が一対の第1溝26に一時的に保持される。このため、一対のスライド部22の各突出部22bがパイプ部20内に押し込まれた状態を維持する。
そして、バンド連結駒14の幅広部14aを腕時計ケース1のバンド取付部3であるケース本体10の一対の取付突起部3a間に配置させて、連結部材15の一対のスライド部22を一対の取付突起部3aの各固定穴3bに対応させる。この状態で、第1、第2レバー部23、24を回転させてバンド連結駒14の一対の第1溝26から離脱させる。すると、ばね部材21のばね力によって一対のスライド部22の各突出部22bがパイプ部20内から押し出されて一対の取付突起部3aの各固定穴3bに挿入される。
これにより、時計バンド2がバンド連結駒14によって腕時計ケース1のバンド取付部3に取り付けられる。このときには、第1、第2レバー部23、24の第1、第2軸部23b、24bがパイプ部20の両側の各開口孔25内を移動して各開口孔25の外端部に接近して、バンド連結駒14に設けられた一対の第2溝27にそれぞれ対応する。この状態で、第1、第2レバー部23、24を一対のスライド部22の各軸中心を中心として回転させると、第1、第2レバー部23、24がバンド連結駒14に設けられた一対の第2溝27内にそれぞれ収納される。
このときには、第1、第2レバー部23、24の第1、第2軸部23b、24bが一対の第2溝27内にそれぞれ設けられた各係止突起部27aを乗り越えて第1、第2レバー部23、24が一対の第2溝27内にそれぞれ収納される。このため、第1、第2レバー部23、24は、一対の第2溝27内の各係止突起部27aによって一対の第2溝27内にロックされた状態で収納される。
この状態で、時計バンド2がバンド連結駒14によって腕時計ケース1のバンド取付部3に取り付けられた腕時計を腕に取り付けた場合には、第1、第2レバー部23、24がバンド連結駒14に設けられた一対の第2溝27内にそれぞれ収納されているので、第1、第2レバー部23、24が腕に当たることがない。このため、連結部材15が第1、第2レバー部23、24を備えていても、腕時計ケース1を時計バンド2によって腕に良好に取り付けることができる。
一方、この時計バンド2を腕時計ケース1から取り外す場合には、第1、第2レバー部23,24をバンド連結駒14の一対の第2溝27内から各係止突起部27aの係合力に抗して、一対のスライド部22の各軸中心を中心として回転させながら引き出す。これにより、第1、第2レバー部23、24が一対の第2溝27内から離脱する。
この状態では、一対のスライド部22がばね部材21のばね力によって押し出される方向に付勢されているので、一対のスライド部22の各突出部22bがパイプ部20から押し出されてバンド取付部3の一対の取付突起部3aに設けられた各固定穴3bに挿入された状態を維持する。このため、バンド連結駒14はバンド取付部3に取り付けられた状態を維持する。また、第1、第2レバー部23、24は、一対の第2溝27内から離脱した位置、つまりパイプ部20の両側に設けられた各開口孔25の各外端部に接近した位置に配置されている。
そして、第1、第2レバー部23、24をばね部材21のばね力に抗して互いに接近する方向に移動させると、一対のスライド部22がばね部材21を収縮させながらパイプ部20内をスライドする。すると、一対のスライド部22の各突出部22bがパイプ部20内に押し込まれて一対の取付突起部3aに設けられた各固定穴3b内から抜き出される。これにより、バンド連結駒14がバンド取付部3から離脱可能な状態になる。
このときには、第1、第2レバー部23、24の第1、第2軸部23b、24bがパイプ部20の両側の各開口孔25内を移動して各開口孔25の内端部に接近または当接し、バンド連結駒14に設けられた一対の第1溝26に対応する。このため、第1、第2レバー部23、24を一対のスライド部22の各軸中心を中心として回転させると、第1、第2レバー部23、24の第1、第2軸部23b、24bがバンド連結駒14に設けられた一対の第1溝26内にそれぞれ挿入される。
このため、第1、第2レバー部23、24が一対の第1溝26に一時的に保持されるので、一対のスライド部22の各突出部22bがパイプ部20内に押し込まれた状態を維持する。この状態で、バンド連結駒14をバンド取付部3の一対の取付突起部3a間から取り外す。これにより、時計バンド2が腕時計ケース1から容易に取り外せる。
このように、この腕時計の時計バンド2によれば、バンド本体13の端部に取り付けられて取付孔18が設けられたバンド連結駒14と、取付孔18に挿入されたパイプ部20内をスライドする一対のスライド部22が第1、第2レバー部23、24を備えてパイプ部20の両側端部から出没可能に突出して腕時計ケース1のバンド取付部3に取り付けられる連結部材15と、を備え、バンド連結駒14には、第1、第2レバー部23、24を予め定められた第1、第2位置に係脱可能に保持する第1、第2溝26、27が設けられていることにより、簡単な構造で、取付作業性が良く、且つ不用意に脱落しないようにすることができる。
すなわち、この腕時計の時計バンド2では、バンド連結駒14に第1、第2溝26、27が設けられているので、第1、第2レバー部23、24を第1、第2溝26、27のいずれかに保持させることができる。このため、一対のスライド部22がパイプ部20内をスライド可能に配置されていても、これら予め定められた第1、第2位置のいずれかに保持させることができるので、構造が簡単で、取付作業性が良いだけでなく、時計バンド2が腕時計ケース1から不用意に脱落しないようにすることができる。
この場合、この腕時計の時計バンド2では、連結部材15のパイプ部20に、第1、第2レバー部23、24が移動可能に挿入する各開口孔25がそれぞれ設けられているので、パイプ部20の内部において一対のスライド部22を第1、第2レバー部23、24によって良好にスライドさせることができ、これにより一対のスライド部22の各突出部22bをパイプ部20内から確実に出没させることができる。
また、この腕時計の時計バンド2では、バンド連結駒14の取付孔18における一対のスライド部22に対応する両端部側に、第1、第2レバー部23、24が移動可能に配置される各開放部18aがパイプ部20の各開口孔25にそれぞれ対応して設けられているので、取付孔18内にパイプ部20が設けられていても、第1、第2レバー部23、24を取付孔18の開放部18aによって取付孔18の軸方向にスライドさせることができると共に、パイプ部20の軸中心を中心として第1、第2レバー部23、24を回転させて一対の第1、第2溝26,27のいずれかに保持させることができる。
また、この腕時計の時計バンド2では、第1、第2溝26、27のうち、一対の第1溝26は、一対のスライド部22の各外端部である各突出部22bがパイプ部20の内部にそれぞれ押し込まれたときに、第1、第2レバー部23、24が一対のスライド部22を中心に回転してそれぞれ挿入されることにより、第1、第2レバー部23、24を係脱可能に保持するので、一対のスライド部22を予め定められた第1位置、つまり一対のスライド部22の各突出部22bがパイプ部20の内部にそれぞれ押し込まれた位置に保持させることができる。
また、これら一対の第1溝26は、第1、第2レバー部23、24が挿入された際に、第1、第2レバー部23、24の少なくとも一部である第1、第2軸部23bを保持することにより、予め定められた第1位置である一対のスライド部22の各突出部22bがパイプ部20の内部にそれぞれ押し込まれたに位置に一対のスライド部22を一時的に保持させることができ、且つ第1、第2レバー部23、24を一対の第1溝26から簡単に離脱させて、一対の第1溝26に対する第1、第2レバー部23、24の保持をそれぞれ容易に解除することができる。
また、この腕時計の時計バンド2における一対の第2溝27は、一対のスライド部22の外端部である各突出部22bがパイプ部20の内部から押し出されたときに、第1、第2レバー部23、24が一対のスライド部22を中心に回転して収納されることにより、第1、第2レバー部23、24を係脱可能に保持するので、一対のスライド部22を予め定められた第2位置、つまり一対のスライド部22の各突出部22bがそれぞれパイプ部20の内部から押し出された位置に確実に保持させることができる。これにより、パイプ部20の内部から押し出された一対のスライド部22の各突出部22bによって、バンド本体13を腕時計ケース1のバンド取付部3に確実に取り付けることができる。
すなわち、一対の第2溝27は、第1、第2レバー部23、24が収納された際に、第1、第2レバー部23、24が露出する状態で、第1、第2レバー部23、24の各全体を収納して保持することにより、予め定められた第2位置である一対のスライド部22の各突出部22bがパイプ部20の内部から押し出された位置に一対のスライド部22を良好に収納して保持させることができる。このため、腕に取り付けた状態のときに、一対の第2溝27内に第1、第2レバー部23、24が収納されているので、第1、第2レバー部23、24が腕に当接して食い込むことがないため、腕時計を時計バンド2で腕に良好に取り付けて使用することができる。
この場合、一対の第2溝27は、第1、第2レバー部23、24がそれぞれ収納された際に、第1、第2レバー部23、24をそれぞれ係脱可能に係止する一対の係止突起部27aを備えていることにより、第1、第2レバー部23、24を一対の第2溝27に収納する際に、第1、第2レバー部23、24が一対の係止突起部27aをそれぞれ乗り越えることにより、第1、第2レバー部23、24を一対の第2溝27内に確実に且つ良好に係止させることができ、これにより第1、第2レバー部23、24が一対の第2溝27内から不用意に離脱するのを確実に防ぐことができる。
なお、上述した実施形態では、一対の第2溝27内に半球形状の一対の係止突起部27aを設けた場合について述べたが、この発明はこれに限らず、例えば図10(a)に示す第1変形例のように、取付孔18側が急な傾斜で、取付孔18から離れる奥側が緩やかな斜面に形成された山形形状の一対の係止突起部27bを設けた構造であっても良い。
また、上述した実施形態では、第2溝27内に一対の係止突起部27aを設け、上述した第1変形例では、第2溝27内に一対の係止突起部27bを設けた場合について述べたが、これに限らず、係止突起部27a、係止突起部27bは一対でなく、第2溝27内のバンド取付部3の取付突起部3a側の片側面のみに設けた構造であっても良い。
この場合でも、連結部材15のパイプ部20内の一対のスライド部22がばね部材21のばね力によって押し出される方向に付勢されているので、第1、第2レバー部23、24の第1、第2軸部23b、24bが、係止突起部27a、係止突起部27bを乗り越えて、第2溝27内に係脱可能に係止することができる。さらに、係止突起部27a、係止突起部27bを、第1溝26内にも設けても良い。この場合も同様に、一対でなくても良く、第1溝26内のバンド取付部3の取付突起部3a側の片側面のみに設けた構造であっても良い。
また、上述した実施形態では、一対の第2溝27が第1、第2レバー部23、24の形状とほぼ同じ形状に形成されている場合について述べたが、この発明はこれに限らず、例えば図10(b)に示す第2変形例のように、第1、第2レバー部23、24の各第2頭部23a、24aに対する一対の第2溝27の外周にすり鉢形状のテーパ部27cを形成して、第1、第2レバー部23、24を一対の第2溝27内から引き出し易い構造にしても良い。
また、上述した実施形態では、パイプ部20内の両側に設けられた一対のスライド部22にそれぞれ第1、第2レバー部23、24を設け、且つパイプ部20の両側に位置するバンド連結駒14の箇所に第1、第2レバー部23、24を保持する一対の第1、第2溝26、27を設けた場合について述べたが、この発明はこれに限らず、パイプ部20内の両側に設けられた一対のスライド部22の一方のみに第1、第2レバー部23、24のいずれかを設け、且つパイプ部20の両側に位置するバンド連結駒14の一方の箇所に第1、第2溝26、27のみを設けた構成であっても良い。
また、上述した実施形態およびその変形例では、バンド連結駒14に第1、第2溝26、27の両方を設けた場合について述べたが、この発明はこれに限らず、例えば第1、第2溝26、27のいずれか一方のみを設けた構造であっても良い。
また、上述した実施形態では、時計バンド2は、バンド連結駒14とバンド本体13が別部材で、バンド連結駒14がピン部材16によってバンド本体13の端部に取り付けられる場合について述べたが、この発明はこれに限らず、バンド連結駒14とバンド本体13の端部が成形などによって一体に形成されていても良い。
さらに、上述した実施形態およびその各変形例では、腕時計に適用した場合について述べたが、この発明は必ずしも腕時計である必要はなく、例えば洋服、鞄、バッグなどのバンドにも適用することができる。
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明は、これに限られるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下に、本願の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
(付記)
請求項1に記載の発明は、バンド本体と、前記バンド本体の端部に取り付けられて取付孔が設けられたバンド連結部と、前記取付孔に挿入された筒状部内をスライドするスライド部がレバー部を備えて前記筒状部の端部から出没可能に突出してケースに取り付けられる連結部材と、を備え、前記バンド連結部には、前記レバー部を係脱可能に保持する保持溝が設けられていることを特徴とするバンドである。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のバンドにおいて、前記保持溝は、前記スライド部の外端部が前記筒状部の内部に押し込まれたときに、前記レバー部が前記スライド部を中心に回転して挿入されることにより、前記レバー部を係脱可能に保持することを特徴とするバンドである。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のバンドにおいて、前記保持溝は、前記レバー部が挿入された際に、前記レバー部の少なくとも一部を保持することを特徴とするバンドである。
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載のバンドにおいて、前記保持溝は、前記スライド部の外端部が前記筒状部の内部から押し出されたときに、前記レバー部が前記スライド部を中心に回転して収納されることにより、前記レバー部を係脱可能に保持することを特徴とするバンドである。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のバンドにおいて、前記保持溝は、前記レバー部が収納された際に、前記レバー部が露出する状態で、前記レバー部の全体を収納して保持することを特徴とするバンドである。
請求項6に記載の発明は、請求項4または請求項5に記載のバンドにおいて、前記保持溝は、前記レバー部が収納された際に、前記レバー部を係脱可能に係止する係止突起部を備えていることを特徴とするバンドである。
請求項7に記載の発明は、請求項1に記載のバンドにおいて、前記保持溝は、前記スライド部の外端部が前記筒状部の内部に押し込まれたときに前記レバー部を保持する第1溝と、前記スライド部の外端部が前記筒状部の内部から押し出されたときに前記レバー部を収納して保持する第2溝と、を備えていることを特徴とするバンドである。
請求項8に記載の発明は、請求項1~請求項7のいずれかに記載のバンドにおいて、前記連結部材は、前記筒状部の両側に前記スライド部がそれぞれ設けられ、前記スライド部それぞれに前記レバー部が設けられており、前記バンド連結部は、前記保持溝が前記連結部材の前記筒状部の両側に対応してそれぞれ設けられていることを特徴とするバンドである。
請求項9に記載の発明は、請求項1~請求項8のいずれかに記載されたバンドを備えていることを特徴とする時計である。