JP7358233B2 - ボールペン及びボールペンレフィル - Google Patents
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Description
しかし、大径のボールを備えたボールペンは、インキの吐出量が多いため、筆跡乾燥性が良好であっても、インキが紙面の裏面に裏移りすることがある。
また、大径のボールを備えたボールペンは、速記時に、多量のインキを連続的に吐出することが必要な状態になると、ペン先へのインキ供給が追い付かずにボールとボール掴持部との隙間から空気がペン先内に入り込み、筆跡が途切れる、筆跡が薄くなる等の筆記不良が生じることがある。
しかし、ボールペンを長期に亘って保管すると、栓が硬くなることがある。その場合、インキを消費しても栓がボールペンレフィル内を移動しにくくなることがあり、またボールペンレフィルの内壁と栓との間に間隙が生じてインキ中の水分が蒸発してインキの粘度が高くなることがある。そのため、長期に亘って保管したボールペンは、筆記時のインキ吐出量が低下して筆記不良が生じることがある。
水と、着色剤と、界面活性剤と、酸化防止剤と、曳糸性付与剤とを含有する水性インキ組成物であって、
前記界面活性剤が、モノアルキルスルホコハク酸の金属塩若しくはアミン塩、モノアルケニルスルホコハク酸の金属塩若しくはアミン塩、ジアルキルスルホコハク酸の金属塩若しくはアミン塩及びジアルケニルスルホコハク酸の金属塩若しくはアミン塩からなる群から選択される1つ以上を含み、
前記曳糸性付与剤が、重量平均分子量が5万以上450万以下のポリアクリルアミドを含む
水性インキ組成物を内蔵し、
EL型粘度計を用いて20rpmで測定した20℃における前記水性インキ組成物の粘度が、1~20mPa・sであり、
20℃における前記水性インキ組成物の剪断減粘指数nが、0.80~1.00であり、
外径が0.7mm超2.0mm以下のボールをペン先に有するボールペンである。
前記水性インキ組成物が、水と、着色剤と、界面活性剤と、酸化防止剤と、曳糸性付与剤とを含有し、
前記界面活性剤が、モノアルキルスルホコハク酸の金属塩若しくはアミン塩、モノアルケニルスルホコハク酸の金属塩若しくはアミン塩、ジアルキルスルホコハク酸の金属塩若しくはアミン塩及びジアルケニルスルホコハク酸の金属塩若しくはアミン塩からなる群から選択される1つ以上を含み、
前記曳糸性付与剤が、重量平均分子量が5万以上450万以下のポリアクリルアミドを含み、
EL型粘度計を用いて20rpmで測定した20℃における前記水性インキ組成物の粘度が、1~20mPa・sであり、
20℃における前記水性インキ組成物の剪断減粘指数nが、0.80~1.00であり、
外径が0.7mm超2.0mm以下のボールを前記ペン先に有する、ボールペンレフィルである。
以下に、本発明の実施形態に係るボールペン及びボールペンレフィルの詳細を説明する。
本発明の実施形態に係るボールペン及びボールペンレフィルは、
水と、着色剤と、界面活性剤と、酸化防止剤と、曳糸性付与剤とを含有し、
界面活性剤が、モノアルキルスルホコハク酸の金属塩若しくはアミン塩、モノアルケニルスルホコハク酸の金属塩若しくはアミン塩、ジアルキルスルホコハク酸の金属塩若しくはアミン塩及びジアルケニルスルホコハク酸の金属塩若しくはアミン塩からなる群から選択される1つ以上を含み、
曳糸性付与剤が、重量平均分子量が5万以上450万以下のポリアクリルアミドを含む
水性インキ組成物を内蔵している。
また、水性インキ組成物は、
EL型粘度計を用いて20rpmで測定した20℃における粘度が、1~20mPa・sであり、
20℃における前記水性インキ組成物の剪断減粘指数nが、0.80~1.00である。
以下、各構成について詳述する。
水は、特に限定されないが、不純物が少ない蒸留水又はイオン交換水であることが好ましい。水の含有量は、所望の特性が得られるように、成分組成を考慮して適切に制御してよいが、通常は20質量%以上97質量%以下である。
着色剤としては、例えば、染料及び顔料が挙げられる。
染料としては、水性系媒体に溶解可能な酸性染料、塩基性染料及び直接染料等を使用することができる。
酸性染料としては、ニューコクシン(C.I.16255)、タートラジン(C.I.19140)、アシッドブルーブラック10B(C.I.20470)、ギニアグリーン(C.I.42085)、ブリリアントブルーFCF(C.I.42090)、アシッドバイオレット6B(C.I.42640)、ソルブルブルー(C.I.42755)、ナフタレングリーン(C.I.44025)、エオシン(C.I.45380)、フロキシン(C.I.45410)、エリスロシン(C.I.45430)、ニグロシン(C.I.50420)及びアシッドフラビン(C.I.56205)等が用いられる。
塩基性染料としては、クリソイジン(C.I.11270)、メチルバイオレットFN(C.I.42535)、クリスタルバイオレット(C.I.42555)、マラカイトグリーン(C.I.42000)、ビクトリアブルーFB(C.I.44045)、ローダミンB(C.I.45170)、アクリジンオレンジNS(C.I.46005)及びメチレンブルーB(C.I.52015)等が用いられる。
直接染料としては、コンゴーレッド(C.I.22120)、ダイレクトスカイブルー5B(C.I.24400)、バイオレットBB(C.I.27905)、ダイレクトディープブラックEX(C.I.30235)、カヤラスブラックGコンク(C.I.35225)、ダイレクトファストブラックG(C.I.35255)及びフタロシアニンブルー(C.I.74180)等が用いられる。
具体的には、例えば、C.I.Pigment Blue 15:3B〔品名:Sandye Super Blue GLL-E、顔料分24%、山陽色素株式会社製〕、C.I. Pigment Red 146〔品名:Sandye Super Pink FBL、顔料分21.5%、山陽色素株式会社製〕、C.I.Pigment Yellow 81〔品名:TC Yellow FG、顔料分約30%、大日精化工業株式会社製〕、C.I.Pigment Red 220/166〔品名:TC Red FG、顔料分約35%、大日精化工業株式会社製〕等が挙げられる。
また、例えば、酸化チタン等の白色顔料、アルミニウム等の金属粉、天然雲母、合成雲母、アルミナ、ガラス片から選ばれる芯物質の表面を二酸化チタン等の金属酸化物で被覆したパール顔料、金色又は銀色のメタリック顔料、蓄光性顔料及びコレステリック液晶型光輝性顔料等が挙げられる。
蛍光顔料としては、各種蛍光性染料を樹脂マトリックス中に固溶体化した合成樹脂微細粒子状の蛍光顔料が使用できる。
更に、熱変色性組成物及び/又は光変色性組成物と、必要に応じて香料、顔料及び/又は染料とを内包したマイクロカプセル顔料を使用することもできる。
可逆熱変色性組成物としては、例えば、特公昭51-44706号公報、特公昭51-44707号公報及び特公平1-29398号公報等に記載された、ヒステリシス幅ΔHが比較的小さい特性(ΔH=1~7℃)を有する可逆熱変色性組成物が挙げられる。当該可逆熱変色性組成物は、所定の温度(変色点)を境としてその前後で変色し、高温側変色点以上の温度域で消色状態、低温側変色点以下の温度域で発色状態を呈し、前記両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在せず、もう一方の状態は、その状態が発現するのに要した熱又は冷熱が適用されている間は維持されるが、そのような熱又は冷熱の適用がなくなれば常温域で呈する状態に戻る。
更に、例えば、特公平4-17154号公報、特開平7-179777号公報、特開平7-33997号公報及び特開平8-39936号公報等に記載されている比較的大きなヒステリシス特性(ΔH=8~50℃)を示す可逆熱変色性組成物、あるいは特開2006-137886号公報、特開2006-188660号公報、特開2008-45062号公報及び特開2008-280523号公報等に記載されている大きなヒステリシス特性を示す可逆熱変色性組成物が挙げられる。当該可逆熱変色性組成物は、温度変化による着色濃度の変化をプロットした曲線の形状が、温度を変色温度域より低温側から上昇させていく場合と逆に変色温度域より高温側から下降させていく場合とで大きく異なる経路を辿って変色し、完全発色温度以下の低温域での発色状態、又は完全消色温度以上の高温域での消色状態が、特定温度域で色彩記憶性を有する。このような色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物は、具体的には、完全発色温度を冷凍室又は寒冷地等でしか得られない温度、即ち-50~0℃、好ましくは-40~-5℃、より好ましくは-30~-10℃に特定し、完全消色温度を摩擦体による摩擦熱又はヘアドライヤー等身近な加熱体から得られる温度、即ち50~95℃、好ましくは50~90℃、より好ましくは60~80℃の範囲に特定し、且つΔH値を40~100℃に特定することにより、常態(日常の生活温度域)で呈する色彩の保持に有効に機能することができる。
以上のような可逆熱変色性組成物は、これをマイクロカプセル中に内包させた加熱消色型のマイクロカプセル顔料として使用できる。
顔料を分散する樹脂としては、例えば、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、アクリル酸樹脂、マレイン酸樹脂、アラビアゴム、セルロース、デキストラン及びカゼイン等、並びにそれらの誘導体、及び上記樹脂の共重合体等が挙げられる。
染料は、筆記時に紙面から即座に浸透して筆跡を形成するため、紙面に浸透し難い顔料に比べて速乾性が得られ易い。そのため、着色剤は染料であることが好ましく、速乾性を損なわない範囲で、染料に加えて顔料を使用してよい。
界面活性剤は、モノアルキルスルホコハク酸の金属塩若しくはアミン塩、モノアルケニルスルホコハク酸の金属塩若しくはアミン塩、ジアルキルスルホコハク酸の金属塩若しくはアミン塩及びジアルケニルスルホコハク酸の金属塩若しくはアミン塩からなる群から選択される1つ以上を含む。これにより、インキ吐出性及び/又はインキの紙面浸透性が良好となる。更に、モノアルキルスルホコハク酸の金属塩若しくはアミン塩、モノアルケニルスルホコハク酸の金属塩若しくはアミン塩、ジアルキルスルホコハク酸の金属塩若しくはアミン塩及びジアルケニルスルホコハク酸の金属塩若しくはアミン塩からなる群から選択される1つ以上を含有することにより、ボールペンを長期間に亘って保管した場合であっても、水性インキ組成物の吐出性の低下を抑制することができるため、長期保管後であっても筆記不良が発生しにくくなる。
アルキル基は、分岐構造を有することが好ましい。アルキル基が分岐構造を有すると、インキ吐出性及び/又はインキの紙面浸透性がより良好となる。
とりわけ、モノアルキルスルホコハク酸の金属塩若しくはアミン塩は、アルキル基として2-エチルヘキシル基を構造に有することが最も好ましい。
アルキレン基は、分岐構造を有することが好ましい。アルキレン基が分岐構造を有すると、インキ吐出性及び/又はインキの紙面浸透性がより良好となる。
アルキル基は、分岐構造を有することが好ましい。アルキル基が分岐構造を有すると、インキ吐出性及び/又はインキの紙面浸透性がより良好となる。
とりわけ、ジアルキルスルホコハク酸の金属塩若しくはアミン塩は、アルキル基として2-エチルヘキシル基を構造に有することが最も好ましい。
アルキレン基は、分岐構造を有することが好ましい。アルキレン基が分岐構造を有すると、インキ吐出性及び/又はインキの紙面浸透性がより良好となる。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ソルビタンエステル類、アルキルスルホコハク酸エステル、アルキルリン酸エステル、アルキル硫酸エステル、ポリオキシエチレン水添加硬化ヒマシ油、モノラウリン酸デカグリセリル、ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ミリスチン酸エステル、ショ糖オレイン酸エステル、ショ糖ラウリン酸エステル、及びポリエーテル変性アルキルシロキサン等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えば、カルボキシベタイン型、アミノカルボン酸型、イミダゾリウムベタイン、レシチン及びアルキルアミンオキシド等が挙げられる。
酸化防止剤を含有することにより、速記時にボールとボール掴持部との隙間から空気が入り込んで水性インキ組成物と混ざり合った場合でも、空気が酸化防止剤によって消失するため、筆跡途切れ及び筆跡薄れ等の筆記不良が発生しにくくなる。また、酸化防止剤を含有することにより、ボールペンを長期間に亘って保管した場合であっても、水性インキ組成物の吐出性の低下を抑制することができるため、長期保管後であっても筆記不良が発生しにくくなる。
また、硫化脂肪酸又はその塩を含有することにより、インキ中の腐食成分がボール表面に直接作用することを妨げ、金属溶出を伴うボール表面の腐食現象を抑制し易い。
硫化脂肪酸塩としては、例えば、リチウム、ナトリウム及びカリウム等のアルカリ金属塩、アルカノールアミン及びアンモニア等のアミン塩、アルカリ土類金属塩、Zn塩、Al塩、Sn塩及びSb塩等が挙げられる。
硫化脂肪酸及び/又はその塩を含有する場合、合計の含有量は、好ましくは0.1質量%以上であり、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下である。
酸化防止剤の含有量は、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であり、好ましくは5質量%以下、より好ましくは2.0質量%以下である。酸化防止剤の含有量が0.05質量%以上5質量%以下であると、インキ吐出の際に、インキ収容部からペン先への水性インキ組成物の供給が容易となるため、インキ吐出性が良化しやすい。
曳糸性付与剤は、重量平均分子量が5万以上450万以下のポリアクリルアミドを含む。これにより、インキ吐出の際に、インキ収容部からペン先へのインキ供給が容易となるため、インキ吐出性が良好となり、また水性インキ組成物に過度の曳糸性を付与しないため、長期に渡って安定な溶解性を奏する。また、重量平均分子量が5万以上450万以下のポリアクリルアミドを含有することにより、裏抜け性能を高めることができる。更に、重量平均分子量が5万以上450万以下のポリアクリルアミドを含有することにより、ボールペンを長期間に亘って保管した場合であっても、水性インキ組成物の吐出性の低下を抑制することができるため、長期保管後であっても筆記不良が発生しにくくなる。
水性インキ組成物は、増粘剤を含有してよい。
増粘剤としては、例えば、カラギーナン、キサンタンガム、ウェランガム、ゼータシーガム、ダイユータンガム、構成単糖がグルコース及びガラクトースの有機酸修飾ヘテロ多糖体であるサクシノグリカン(平均分子量約100乃至800万)、並びにグアーガム等が挙げられる。とりわけ、λ-カラギーナンは、水性インキ組成物に過度な揺変性を付与することなく粘度を調整することができるため好ましい。
増粘剤を含有する場合、増粘剤の含有量は、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であり、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下である。増粘剤の含有量が0.05質量%以上5質量%以下であると、インキ吐出を容易とし易い。
水性インキ組成物は、ワックスエマルジョン及び/又は樹脂エマルジョンを含有してよい。これにより、ボールペンを保管した際に、ボールとボール掴持部との隙間からインキが漏出することを抑制し易い。そのため、ノック式ボールペンに内蔵する水性インキ組成物に好ましく用いられる。
K= (1.5 logηrel -1)/(0.15+0.003c)+(300clogηrel +(c+1.5clogηrel )2)1/2/(0.15c+0.003c2)
ここで、ηrelは、N-ビニル-2-ピロリドンのオリゴマー又はポリマー水溶液の水に対する相対粘度であり、cは、N-ビニル-2-ピロリドンのオリゴマー又はポリマー水溶液中のN-ビニル-2-ピロリドンのオリゴマー又はポリマー濃度(質量%)である。
水性インキ組成物の速乾性を向上させるため、水に相溶性のある水溶性有機溶剤を補助溶剤として用いることができる。補助溶剤を用いることにより、水性インキ組成物の紙面への浸透性がより向上して筆跡乾燥性がより良好となり、インキの裏移りをより抑制することができる。
より好ましい補助溶剤として、例えば、
2-エチルヘキサノール、及び3-メトキシ-3-メチルブタノール等のアルキル基及び/又はアルキルオキシ基で置換された分岐の1価アルコール(更に好ましくは、炭素数1若しくは2のアルキル基及び/又は炭素数1~4のアルキルオキシ基で置換された、炭素数の総和が3~8の分岐の1価アルコール);
2-メチルペンタン-2,4-ジオール、2-メチルペンタン-1,3-ジオール等のアルキル基で置換された分岐の2価アルコール(更に好ましくは、炭素数1若しくは2のアルキル基で置換された、炭素数の総和が5~12の分岐の2価アルコール);
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコール-2-エチルヘキシルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコール-2-エチルヘキシルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、及びテトラエチレングリコールジメチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテル(更に好ましくは、炭素数の総和が3以上15以下のアルキレングリコールモノアルキルエーテル);
ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、及びトリエチレングリコールブチルメチルエーテル等のアルキレングリコールジアルキルエーテル(更に好ましくは、炭素数の総和が3以上15以下のアルキレングリコールモノアルキルエーテル);及び
2-ピロリドン、及びN-メチル-2-ピロリドン等のγ-ラクタム類
等が挙げられる。
補助溶剤を含有する場合、補助溶剤の含有量は、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上であり、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下である。補助溶剤の含有量が0.5質量%以上15質量%以下であると、水性インキ組成物の速乾性を向上させ易い。
必要に応じて、炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、酢酸ソーダ等の無機塩類及び水溶性のアミン化合物等の有機塩基性化合物等のpH調整剤、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、サポニン等の防錆剤、石炭酸、1、2-ベンズチアゾリン3-オンのナトリウム塩、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、パラオキシ安息香酸プロピル及び2,3,5,6-テトラクロロ-4-(メチルスルフォニル)ピリジン等の防腐剤あるいは防黴剤、尿素、ソルビット、マンニット、ショ糖、ぶどう糖、還元デンプン加水分解物及びピロリン酸ナトリウム等の湿潤剤、消泡剤、及びインキの浸透性を向上させるフッ素系界面活性剤を使用してもよい。
更に、潤滑剤を添加することができ、金属石鹸、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、エチレンオキサイド付加型カチオン活性剤、リン酸エステル系活性剤、N-アシルアミノ酸系界面活性剤、ジカルボン酸型界面活性剤、β-アラニン型界面活性剤、2,5-ジメルカプト-1,3,4-チアジアゾールやその塩やオリゴマー、3-アミノ-5-メルカプト-1,2,4-トリアゾール、チオカルバミン酸塩、ジメチルジチオカルバミン酸塩、α-リポ酸、N-アシル-L-グルタミン酸とL-リジンとの縮合物及びその塩等を用いてよい。
また、N-ビニル-2-ピロリドンのオリゴマー、N-ビニル-2-ピペリドンのオリゴマー、N-ビニル-2-ピロリドン、N-シクロヘキシル-2-ピロリドン、ε-カプロラクタム、N-ビニル-ε-カプロラクタムのオリゴマー等の増粘抑制剤を添加することで、出没式形態での機能を高めることもできる。
水性インキ組成物は、EL型粘度計を用いて20rpmで測定した20℃における粘度が、1~20mPa・sである。これにより、水性インキ組成物の揺変性が弱まってインキ流動性が良好となるため、インキ吐出性が向上し、また紙面浸透性が良好になるため、筆跡乾燥性が向上する。当該粘度は、好ましくは2mPa・s以上、より好ましくは5mPa・s以上であり、好ましくは18mPa・s以下、より好ましくは15mPa・s以下である。また、上記粘度を1~20mPa・sとすることにより、ボールペンを長期間に亘って保管した場合であっても、水性インキ組成物の吐出性の低下を抑制することができるため、長期保管後であっても筆記不良が発生しにくくなる。
T=Kjn (1)
ここで、Tはずり応力[N/m2]、Kは粘性係数(定数)、Jはずり速度[s-1]である。
これにより、筆記時にペン先のインキがボールとボール掴持部との隙間に溜ることなく吐出されるため、ボテ及びウスの発生を低減して明瞭な筆跡を形成することができる。当該剪断減粘指数は、好ましくは0.85以上、より好ましくは0.90以上である。
水性インキ組成物のpHは、6以上10以下であることが好ましい。これにより、添加剤等の析出及び分解をより抑制して水性インキ組成物の保存安定性をより高めることができ、またボールの腐食をより抑制することができる。pHは、好ましくは7以上であり、好ましくは9以下である。
水性インキ組成物の表面張力は、20mN/m以上45mN/m以下であることが好ましい。これにより、筆跡滲みをより抑制することができるため、明瞭な筆跡を形成しやすく、またインキの紙面浸透性を高めることができため、乾燥性を向上させることができる。水性インキ組成物の表面張力は、好ましくは25mN/m以上であり、好ましくは40mN/m以下である。
本発明の実施形態に係るボールペンは、水性インキ組成物を内蔵し、外径が0.7mm超2.0mm以下のボールをペン先に有する。このように大径のボールを備えることにより、インキ吐出性を高めることができる。
また、本発明の実施形態に係るボールペンレフィルは、外径が0.7mm超2.0mm以下のボールを有するペン先とインキ収容管とを備え、インキ収容管に水性インキ組成物を内蔵し、水性インキ組成物の端面にインキ逆流防止体が充填されている。
ペン先のボール抱持部の内径とボールとの径方向の可動距離は、好ましくは10μm以上であり、好ましくは50μm以下であり、ボールの軸方向の可動距離は、好ましくは10μm以上であり、好ましくは30μm以下である。
インキ逆流防止体の基油としては、ポリブテン又はシリコーン油が好適に用いられ、増粘剤としては脂肪酸アマイド又はシリカが好適に用いられる。
(1)オリエント化学工業(株)製、商品名:ウォーターブラック191L(固形分:15%)
(2)住友化学工業社製、商品名:アシッドブルーPG
(3)冨士色素社製、商品名:フジSPブラック8065(固形分:25%)
(4)第一工業製薬社製、プライサーフAL、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテルリン酸エステル
(5)ロンザジャパン社製、商品名:プロキセルXL-2、ベンゾイソチアゾリン-3-オン
(6)λ-カラギーナン
(7)ロームアンドハース社製、商品名:プライマルDR-72
(8)トリエタノールアミン
(9)プロピレングリコールモノプロピルエーテル
(10)エチレングリコールモノブチルエーテル
(11)2-メチルペンタン-1,3-ジオール
(12)エチレングリコール
(13)ダイセル社製、N,N-ジエチルヒドロキシルアミン
(14)2,5-ジメルカプト-1,3,4-チアジアゾール
(15)三洋化成工業社製、商品名:サンモリンOT-70、ジ(2-エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム
(16)東邦化学工業社製、商品名:コハクールL-40、スルホコハク酸ラウリル2ナトリウム
(17)第一工業製薬社製、商品名:ネオコールP、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム
(18)第一工業製薬社製、商品名:プライサーフDBS、アルキル(C4)リン酸エステルナトリウム
(19)ポリアクリルアミドA(重量平均分子量:1万)
(20)ポリアクリルアミドB(重量平均分子量:10万)
(21)ポリアクリルアミドC(重量平均分子量:50万)
(22)三洋化成工業社製、商品名:サンフロックNOP、ポリアクリルアミドD(重量平均分子量:200万)
(23)ポリアクリルアミドE(重量平均分子量:400万)
(24)ポリアクリルアミドF(重量平均分子量:500万)
(25)楠本化成社製、商品名:NeoCryl A-1091(アクリル樹脂エマルジョン、固形分:45%)
(26)BASFジャパン社製、商品名:Joncryl 537J(アクリル樹脂エマルジョン、固形分:46%)
(27)明成化学工業社製、商品名:メイカテックスPENO(酸化ポリエチレンワックスエマルジョン、固形分:25%)
(28)米国ASHLAND社製、商品名:PVP K-12 polymer(N-ビニル-2-ピロリドンのポリマー、K値:10~14)
(29)第一工業製薬社製、商品名:ピッツコールK-17L(N-ビニル-2-ピロリドンのポリマー、K値:15~19)
アクリルアミド水溶液を反応容器に入れて窒素封入し、直ちに、レドックス開始剤を酸化剤及び還元剤の順でアクリルアミド水溶液に添加した後、95℃でアクリルアミド水溶液を撹拌しながら重合反応を行ない、アクリルアミド含水ゲルを得た。反応終了後、反応容器を冷却し、得られたアクリルアミド含水ゲルを熱風にて乾燥させてポリアクリルアミドを得た。なお、得られたポリアクリルアミドは粉砕して用いた。
レドックス開始剤の酸化剤として、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過酸化水素を適宜用いた。また、レドックス開始剤の還元剤として、無機塩(硫酸第一鉄、硫酸第一鉄アンモニウム、亜硫酸水素ナトリウム)、トリメチルアミンを適宜用いた。
ポリアクリルアミドの0.5質量%テトラヒドロフラン溶液を準備し、当該溶液について、東ソー社製のカラム「TSK gel GMH6」を用い、屈折率検出器を備えた東ソー社製のGPC装置「HLC-802A」で、測定温度40℃及び溶液注入量200μlの条件でGPC測定を行った。
K= (1.5 logηrel -1)/(0.15+0.003c)+(300clogηrel +(c+1.5clogηrel )2)1/2/(0.15c+0.003c2)
ここで、ηrelは、N-ビニル-2-ピロリドンのオリゴマー又はポリマー水溶液の水に対する相対粘度であり、cは、N-ビニル-2-ピロリドンのオリゴマー又はポリマー水溶液中のN-ビニル-2-ピロリドンのオリゴマー又はポリマー濃度(質量%)である。
実施例及び比較例の配合量で原料を混合し、20℃でディスパーにて1時間攪拌した後、濾過することで水性インキ組成物を得た。なお、増粘剤を含むものは、増粘剤を除く原料を混合し、上記条件で攪拌した後、増粘剤を加えて更に1時間攪拌することで水性インキ組成物を得た。
T=Kjn (1)
ここで、Tはずり応力[N/m2]、Kは粘性係数(定数)、Jはずり速度[s-1]である。
直径1.0mmの超硬合金製ボールを抱持するステンレススチール製チップ(パイプチップ構造)が透明ポリプロピレン製パイプの一端に嵌着されたボールペンレフィル内に、水性インキ組成物を充填し、その後端にインキ逆流防止体を配設した後、ボールペンレフィルを軸筒に組み込み、ノック式のボールペンを作製した。インキ逆流防止体は、ポリブテン98.5部中に、増粘剤として脂肪酸アマイド1.5部を添加した後、3本ロールにて混練して作製した。
得られたボールペンを用いて以下の試験を行った。
JIS P3201筆記用紙Aに、手書きで最大直径が10cm程度である5重の渦を連続で2つ筆記し、その際の筆跡の状態を目視により確認した。渦を筆記する際、渦1つ当たり2秒程度で筆記した。また、筆記性能試験は、室温20℃、相対湿度65%の環境下で行った。
また、長期保管を模擬して50℃で60日間保持したボールペンについても、上記と同じ条件で筆記性能試験を行った。
評価基準は以下の通りであり、○及び△を合格、×を不合格とした。
○:筆跡に途切れ、ボテ及びウスが確認されない
△:筆跡に僅かなボテ又はウスが確認される
×:筆跡に明らかなボテ又はウスが確認される、あるいは筆跡に途切れが確認される
JIS P3201筆記用紙Aに、手書きで「永」の文字を筆記し、筆記面の裏面を目視により確認した。また、裏抜け性能試験は、室温20℃、相対湿度65%の環境下で行った。
評価基準は以下の通りであり、○及び△を合格、×を不合格とした。
○:裏抜けが確認されない
△:文字の「とめ」部分にのみ裏抜けが確認される。
×:全体的に裏抜けが確認される
JIS P3201筆記用紙Aに、手書きで「永」の文字を筆記し、3秒後に指で筆跡をなぞった後、筆跡を目視により確認した。また、乾燥性能試験は、室温20℃、相対湿度65%の環境下で行った。
評価基準は以下の通りであり、○及び△を合格、×を不合格とした。
〇:筆跡の伸び及び汚れが確認されない
△:「とめ」部分のみ僅かに伸び又は汚れが確認される
×:文字に全体的に伸びが確認される、又は文字全体に汚れが確認される
ボールペンのチップ先端を鉛直下方向に向けた状態で、室温20℃、相対湿度90%の環境下で、ボールペンを20時間静置した。その後、チップ先端を目視で観察した。
評価基準は以下の通りであり、〇及び△を合格、×を不合格とした。
〇:チップ先端にインキ漏れがない
△:チップ先端に僅かなインキ漏れあり
×:チップ先端にインキ滴の発生あり
Claims (12)
- 水と、着色剤と、界面活性剤と、酸化防止剤と、曳糸性付与剤とを含有する水性インキ組成物であって、
前記界面活性剤が、モノアルキルスルホコハク酸の金属塩若しくはアミン塩、モノアルケニルスルホコハク酸の金属塩若しくはアミン塩、ジアルキルスルホコハク酸の金属塩若しくはアミン塩及びジアルケニルスルホコハク酸の金属塩若しくはアミン塩からなる群から選択される1つ以上を含み、
前記曳糸性付与剤が、重量平均分子量が5万以上450万以下のポリアクリルアミドを含む
水性インキ組成物を内蔵し、
EL型粘度計を用いて20rpmで測定した20℃における前記水性インキ組成物の粘度が、1~20mPa・sであり、
20℃における前記水性インキ組成物の剪断減粘指数nが、0.80~1.00であり、
外径が0.7mm超2.0mm以下のボールをペン先に有し、
前記酸化防止剤がメルカプトチアジアゾールを含み、
モノアルキルスルホコハク酸の金属塩若しくはアミン塩と、モノアルケニルスルホコハク酸の金属塩若しくはアミン塩と、ジアルキルスルホコハク酸の金属塩若しくはアミン塩と、ジアルケニルスルホコハク酸の金属塩若しくはアミン塩との合計の含有量に対する、前記酸化防止剤の含有量の質量比率が、0.05以上0.50以下である、ボールペン。 - 酸化ポリエチレンワックスエマルジョン及び/又はアクリル樹脂エマルジョンと、K値が40未満であるN-ビニル-2-ピロリドンのオリゴマー又はポリマーを更に含有する請求項1に記載のボールペン。
- 前記界面活性剤が、ジアルキルスルホコハク酸の金属塩若しくはアミン塩及びジアルケニルスルホコハク酸の金属塩若しくはアミン塩からなる群から選択される1つ以上を含む請求項1又は2に記載のボールペン。
- 前記ペン先とインキ収容管とを備え、前記インキ収容管に前記水性インキ組成物を内蔵し、前記水性インキ組成物の端面にインキ逆流防止体が充填されたボールペンレフィルを軸筒内に収容してなる請求項1~3のいずれか1項に記載のボールペン。
- ノック式である請求項1~4のいずれか1項に記載のボールペン。
- 前記ペン先がパイプチップ構造である請求項1~5のいずれか1項に記載のボールペン。
- 前記水性インキ組成物が、アルキル基及び/又はアルキルオキシ基で置換された分岐の1価アルコール、アルキル基で置換された分岐の2価アルコール、アルキレングリコールモノアルキルエーテル、アルキレングリコールジアルキルエーテル、及びγ-ラクタム類からなる群から選択される1つ以上の補助溶剤を含有する請求項1~6のいずれか1項に記載のボールペン。
- ペン先とインキ収容管とを備え、前記インキ収容管に水性インキ組成物を内蔵し、前記水性インキ組成物の端面にインキ逆流防止体が充填されたボールペンレフィルであって、
前記水性インキ組成物が、水と、着色剤と、界面活性剤と、酸化防止剤と、曳糸性付与剤とを含有し、
前記界面活性剤が、モノアルキルスルホコハク酸の金属塩若しくはアミン塩、モノアルケニルスルホコハク酸の金属塩若しくはアミン塩、ジアルキルスルホコハク酸の金属塩若しくはアミン塩及びジアルケニルスルホコハク酸の金属塩若しくはアミン塩からなる群から選択される1つ以上を含み、
前記曳糸性付与剤が、重量平均分子量が5万以上450万以下のポリアクリルアミドを含み、
EL型粘度計を用いて20rpmで測定した20℃における前記水性インキ組成物の粘度が、1~20mPa・sであり、
20℃における前記水性インキ組成物の剪断減粘指数nが、0.80~1.00であり、
外径が0.7mm超2.0mm以下のボールを前記ペン先に有し、
前記酸化防止剤がメルカプトチアジアゾールを含み、
モノアルキルスルホコハク酸の金属塩若しくはアミン塩と、モノアルケニルスルホコハク酸の金属塩若しくはアミン塩と、ジアルキルスルホコハク酸の金属塩若しくはアミン塩と、ジアルケニルスルホコハク酸の金属塩若しくはアミン塩との合計の含有量に対する、前記酸化防止剤の含有量の質量比率が、0.05以上0.50以下である、ボールペンレフィル。 - 酸化ポリエチレンワックスエマルジョン及び/又はアクリル樹脂エマルジョンと、K値が40未満であるN-ビニル-2-ピロリドンのオリゴマー又はポリマーを更に含有する請求項8に記載のボールペンレフィル。
- 前記界面活性剤が、ジアルキルスルホコハク酸の金属塩若しくはアミン塩及びジアルケニルスルホコハク酸の金属塩若しくはアミン塩からなる群から選択される1つ以上を含む請求項8又は9に記載のボールペンレフィル。
- 前記ペン先がパイプチップ構造である請求項8~10のいずれか1項に記載のボールペンレフィル。
- 前記水性インキ組成物が、アルキル基及び/又はアルキルオキシ基で置換された分岐の1価アルコール、アルキル基で置換された分岐の2価アルコール、アルキレングリコールモノアルキルエーテル、アルキレングリコールジアルキルエーテル、及びγ-ラクタム類からなる群から選択される1つ以上の補助溶剤を含有する請求項8~11のいずれか1項に記載のボールペンレフィル。
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