JP7356777B2 - 穴開け加工装置及び穴開け加工方法 - Google Patents

穴開け加工装置及び穴開け加工方法 Download PDF

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Description

本発明は、穴開け加工装置及び穴開け加工方法に関する。
例えば自動車の製造工程では、フードインナやドアインナなどの板状部品が所定のプレス加工により成形される。また、このプレス加工の際、パンチの打ち抜き加工により上述した板状部品に所定の穴が形成される。
上述した穴開け加工を行う場合には、その加工特性上、穴開け加工により形成された穴の周縁部(正確には打ち抜き穴の両開口部に位置する二つの周縁部のうち、打ち抜き方向前方側の周縁部)にバリと呼ばれる鋭利な突起部が生じることがある。この突起部Wdは、図7に示すように、穴Waの周縁部Wbから打ち向き方向X1又は打ち抜き方向X1に準じた方向に突出していることから、例えば穴Waにクリップ等の部材を打ち抜き方向と反対の方向から挿入する際の抵抗となる。そのため、クリップ等の挿入不良が生じるなど、上記穴を利用した作業性の低下を招く要因となる。また、作業者や使用者など(以下、単に作業者等と称する。)の手に触れることで作業者等を傷付けるおそれもあるため、安全性の面でも改善すべき事項である。
ここで、例えば特許文献1には、打ち抜き加工で形成した穴の周縁部におけるダレの発生を少なくして高精度な穴を開けるための方法として、打ち抜き加工方向(穴抜き加工方向)とは逆方向に突出しかつ穴と同径の突起を形成することにより肉厚減少部を形成した後、パンチによる打ち抜き加工を行い、突起が設けられた部分を打ち抜くことで穴を形成する方法が開示されている。
特開2000-351030号公報
特許文献1に記載の方法によれば、ダレの少ない穴を精度よく形成することができる。しかしながら、現実的な量産工程においては、パンチと、パンチの挿入穴との間にある程度のクリアランスを設ける必要が生じるため、たとえ打ち抜き部分を薄肉化して精度よく穴を形成したとしても、上述した鋭利な突起部の発生を防止することは難しい。例えば板状部品の位置決めを厳密に行うと共に打ち抜き速度を低く設定するなど、打ち抜き加工の条件を詳細かつ適正に設定すれば、鋭利な突起部を小さく抑えることはできるかもしれないが、自動車用部品の加工工程においては、量産性確保のために、相応の加工速度が要求される(作業時間が制限される)のが一般的である。加工精度を最重要視して加工条件を設定することは現実的ではない。また、上述した自動車用の板状部品の多くは薄肉鋼板であることも、上述した突起部が発生する一因となっている。
以上の事情に鑑み、本明細書では、量産性を維持して加工コストを抑えつつも、バリなどの鋭利な突起部が作業性や安全性に及ぼす影響を小さく抑えた板状部品を得ることのできる穴開け加工技術を提供することを、解決すべき技術課題とする。
前記課題の解決は、本発明に係る穴開け加工装置によって達成される。すなわち、この加工装置は、板状ワークへの打ち抜き加工を行うためのパンチと、板状ワークを支持可能な支持面を有する支持部材とを具備し、支持面にパンチを挿入可能な挿入穴が設けられた穴開け加工装置において、パンチと支持部材の少なくとも一方は、パンチの打ち抜き加工により板状ワークに穴を形成した後、穴の内周面が支持面から遠い側ほど大きく拡径するように板状ワークを塑性変形可能な塑性加工面を有する点をもって特徴付けられる。なお、ここでいう「拡径」とは、穴の内周面の対応箇所が真円以外の形状をなす場合、内接円の半径が拡大することを意味するものとする。
上述したように、本発明に係る穴開け加工装置では、パンチの打ち抜き加工で板状ワークに穴を形成した後に穴の内周面が板状ワークの支持面から遠い側ほど大きく拡径するように板状ワークを塑性変形できるような塑性加工面を、パンチと支持部材の少なくとも一方に設けるようにした。この構成によれば、パンチの打ち抜き加工で形成された穴の内周面がパンチ側に向けて傾いた状態の板状ワークを得ることができる。ここで、バリなどの鋭利な突起部は、打ち抜き穴の周縁部からパンチの打ち抜き方向又はこの方向に準じた方向に突出した状態で生じるので(図7を参照)、穴の内周面が支持面から遠い側ほど大きく拡径するように板状ワークが塑性変形することで、穴の周縁部に生じた突起部の突出方向が内向きに変化する。あるいは、板状ワークの塑性変形に伴って周縁部が変位する過程でパンチとの擦れ等により突起部の一部が除去される。以上の作用より、例えば穴の打ち抜き方向とは逆の方向からクリップ等の部材を挿入する際の抵抗を減らして、作業性を改善することができる。また、突起部の向きが内側に変わり、又は突起部が小さくなることで、穴の周縁部を触れる可能性のある作業者等の安全性を向上させることができる。また、穴自体は公知の穴開け加工で形成することができると共に、上述した塑性加工は穴開け加工の一環として連続的に行い得るため、量産性を低下させる心配もない。言い換えると、加工コストが高騰する心配もない。
また、本発明に係る穴開け加工装置において、パンチと支持部材は、塑性加工面として、板状ワークに形成された穴の周囲に環状凹部を成形可能な凸状成形面と凹状成形面をそれぞれ有してもよい。
本発明のように、打ち抜き加工により穴を形成した後に、穴の内周面が支持面から遠い側ほど大きく拡径するように板状ワークを塑性変形させ得る塑性加工面として、パンチと支持部材の少なくとも一方に、板状ワークに形成された穴の周囲に塑性変形を施すことのできる塑性加工面が考えられる。ここで、塑性加工面として、穴の周囲に環状凹部を成形可能な凸状成形面と凹状成形面をパンチと支持部材とにそれぞれ設けることで、穴の周縁部を含む板状ワークをより安定的に所望の形状に塑性変形させることができる。よって、周縁部に生じた突起部の向きを確実に内向きに変えることができる。また、穴の周囲に環状凹部を成形することで、周縁部を含む打ち抜き穴の周囲をその全周にわたってばらつきなく均等な形状に成形することができるので、これによっても突起部全体の向きを確実に内向きに変えることが可能となる。よって、本構成に係る穴開け加工装置によれば、更なる作業性及び安全性の向上を図ることが可能となる。また、凸状成形面及び凹状成形面を、穴の周囲に環状凹部を成形可能な形状とした場合、他形状と比べて、穴の周縁部が外側に引け易い(流動し易い)。
また、パンチに凸状成形面が設けられる場合、本発明に係る穴開け加工装置において、 パンチは、凸状成形面の内側に、凸状成形面と凹状成形面とで板状ワークを挟持した状態で穴の周縁部との接触を回避可能とするための逃げ部を有してもよい。
上述のように、穴の周囲に環状凹部を成形する場合、板状ワークの穴周辺部は成形に伴って外側への流動(引け)を生じる傾向にある。この種の流動は塑性変形を伴うものであるから、流動量にある程度のばらつきが生じることは避けられない。ここで、上述のように凸状成形面の内側に、環状凹部を成形した状態における穴の周縁部との接触を回避可能とするための逃げ部を設けることによって、周縁部の外側への流動量が仮に少ない場合であっても、穴の周縁部がパンチによって支持面側に押さえ付けられる事態を回避して、突起部の向きを内側に保つことができる。
また、前記課題の解決は、本発明に係る穴開け加工方法によっても達成される。すなわち、この加工方法は、支持部材に設けた支持面で板状ワークを支持した状態で、支持面に設けた挿入穴にパンチを挿入して板状ワークを打ち抜くことで、板状ワークに穴開け加工を施すための方法において、パンチの打ち抜き加工により板状ワークに穴を形成した後、穴の内周面が支持面から遠い側ほど大きく拡径するように板状ワークを塑性変形させる点をもって特徴付けられる。
本発明に係る穴開け加工方法では、パンチの打ち抜き加工で板状ワークに穴を形成した後に穴の内周面が板状ワークの支持面から遠い側ほど大きく拡径するように板状ワークを塑性変形させるようにしたので、本発明に係る穴開け加工装置と同様、パンチの打ち抜き加工で形成された穴の内周面がパンチ側に大きく傾いた状態の板状ワークを得ることができる。穴の内周面がパンチ側に大きく傾くように板状ワークが塑性変形することで、穴の周縁部に生じた突起部の突出方向が内向きに変化する。あるいは、板状ワークの塑性変形に伴い穴の周縁部が変位する過程で突起部の一部が除去される。そのため、例えば穴の打ち抜き方向とは逆の方向からクリップ等の部材を挿入する際の抵抗を減らして、作業性を改善することができる。また、突起部の向きが内側に変わり、又は突起部が小さくなることで、穴の周縁部を触れる可能性のある作業者等の安全性を向上させることができる。また、穴自体は従来通りの手段で形成することができると共に、上述した塑性加工は穴開け加工の一環として連続的に行い得るため、量産性を低下させる心配もない。
以上のように、本発明に係る穴開け加工装置又は穴開け加工方法によれば、量産性を維持して加工コストを抑えつつも、バリなどの鋭利な突起部が作業性や安全性に及ぼす影響を小さく抑えた板状部品を得ることが可能となる。
本発明の一実施形態に係る穴開け加工装置の正面図である。 図1に示す穴開け加工装置の要部拡大断面図である。 図1及び図2に示す穴開け加工装置を用いた穴開け加工方法の一例を説明するための要部拡大断面図で、パンチによる打ち抜き加工を施す直前の状態を示す要部拡大断面図である。 図1及び図2に示す穴開け加工装置を用いた穴開け加工方法の一例を説明するための要部拡大断面図で、パンチによる打ち抜き加工を施した直後の状態を示す要部拡大断面図である。 図1及び図2に示す穴開け加工装置を用いた穴開け加工方法の一例を説明するための要部拡大断面図で、パンチに設けた凸状成形面が板状ワークに押し込まれた直後の状態を示す要部拡大断面図である。 図1及び図2に示す穴開け加工装置を用いた穴開け加工方法の一例を説明するための要部拡大断面図で、凸状成形面と凹状成形面による板状ワークの成形が完了した状態を示す要部拡大断面図である。 従来のパンチの打ち抜き加工により板状ワークに形成された穴の周縁部の拡大断面図である。
以下、本発明の一実施形態に係る穴開け加工装置及び穴開け加工方法の内容を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態に係る穴開け加工装置10の正面図を示している。この加工装置10は、パンチ11と、パンチ11の挿入穴12を有する支持部材13と、パッド14とを具備する。以下、各要素の詳細を説明する。
図2は、パンチ11の先端部分と、支持部材13の挿入穴12近傍の拡大断面図を示している。図2に示すように、パンチ11は、支持部材13上に支持された板状ワークWに対して打ち抜き加工を施すためのパンチ本体15と、後述する塑性加工面としての凸状成形面16とを有する。本実施形態では、パンチ11は、凸状成形面16の内側に、成形中の板状ワークWとの干渉を避けるための逃げ部17をさらに有する。また、本実施形態では、パンチ本体15と凸状成形面16、及び逃げ部17が一体的に形成されており、パンチ11の上下動に伴って、これらパンチ本体15と凸状成形面16、及び逃げ部17が一体的に上下動するようになっている。
支持部材13は、打ち抜き加工の対象となる板状ワークWを支持するためのもので、支持盤18と、支持盤18の所定位置に配設され、パンチ11を挿入可能な挿入穴12を有するブッシュ19とで構成される。ブッシュ19は、パンチ11の数及び位置に応じた配置態様を採る。
ここで、挿入穴12の内周面12aと、パンチ11(パンチ本体15)の外周面15aとの間には、所定のクリアランスCが形成される。このクリアランスCの大きさは、挿入穴12の内径寸法とパンチ本体15の外径寸法との差で管理され、例えば打ち抜き加工により形成される打ち抜き穴Wa(後述する図4等を参照)に要求される形状精度と、量産性の観点から要求される加工速度(打ち抜き加工に要する時間)との両立が可能なように、クリアランスCの大きさが所定の範囲内に設定される。
また、支持盤18とブッシュ19には、板状ワークWを支持するための支持面20a,20bが設けられる。本実施形態では、支持盤18の支持面20aと、ブッシュ19の支持面20bとが略同一平面上に位置するように、各支持面20a,20bが配設されている。
パンチ11と支持部材13(ここでは挿入穴12を有するブッシュ19)の少なくとも一方には、打ち抜き穴Waの内周面Wa1が支持面20bから遠い側ほど大きく拡径するように、打ち抜き穴Wa形成後の板状ワークWを塑性変形可能な塑性加工面が設けられる。本実施形態では、パンチ11に塑性加工面としての凸状成形面16が設けられると共に、支持部材13(ブッシュ19)に塑性加工面としての凹状成形面21が設けられる。これら凸状成形面16と凹状成形面21とは、互いに対応した形状をなしており、板状ワークWを凸状成形面16と凹状成形面21とで挟持することで板状ワークWに各成形面16,21の形状を転写成形可能としている。図2に示す例では、パンチ11側の表面W1が凹んだ状態の環状凹部Wc(後述する図6を参照)を打ち抜き穴Waの周囲に成形可能なように、凸状成形面16と凹状成形面21とがそれぞれ所定の形状に設定される。凸状成形面16であれば円環凸条形状とされ、凹状成形面21であれば円環溝形状とされる。
詳述すると、凸状成形面16と凹状成形面21はともに、環状凹部Wcの底面部Wc1を成形する第一成形部16a,21aと、底面部Wc1と外側で連続する曲面部Wc2を成形する第二成形部16b,21bと、底面部Wc1と内側で連続し内側に向かうにつれて支持面20a,20bから離れる向きに傾斜する傾斜面部Wc3を成形する第三成形部16c,21cとを有する。ここで第三成形部16c,21cは、平坦な傾斜面形状をなしており、この傾斜角度により、後述するように成形後の打ち抜き穴Waの周縁部Wbに生じた鋭利な突起部Wd(図4等を参照)の向きを調整可能としている。
上記構成の凸状成形面16のうち最も板状ワークWに近い部位(ここでは第一成形部16a)は、パンチ本体15の底面よりも高い位置に配置される。言い換えると、凸状成形面16の最下部(第一成形部16a)は、パンチ本体15の底面よりも、打ち抜き加工を施す前の板状ワークWから離れた位置に配置される。ここでパンチ本体15と凸状成形面16は一体的に上下動可能であるから、パンチ11の下降により先にパンチ本体15が板状ワークWと当接し、かつ板状ワークWを打ち抜いた後に凸状成形面16の最下部が板状ワークWに当接するようになっている。
パッド14は、板状ワークWを支持面20a,20b上の所定位置に保持するためのもので、パンチ11と同様に上下動可能に構成される。本実施形態では、パッド14は、パンチ11と共通の駆動装置で上下方向に移動し、パンチ本体15よりも先に板状ワークWに当接するように、パンチ本体15に対するパッド14の底面の位置が設定される。そして、板状ワークWに当接した後、板状ワークWを所定の押圧力で下方に押圧しつつ、パンチ本体15の上下方向への相対移動を許容可能に構成されている。言い換えると、板状ワークWとの当接状態を維持しつつパンチ本体15の下方への移動を許容可能に構成されている。
以下、本実施形態に係る穴開け加工装置10を用いた穴開け加工の一例を主に図3~図6に基づいて説明する。
まず図2に示すように、打ち抜き加工前の板状ワークWを支持部材13(支持盤18,ブッシュ19)の支持面20a,20b上に載置した状態で、パンチ11及びパッド14を図示しない駆動装置により下降させる。そして、パンチ本体15よりもパッド14を先に板状ワークWに当接させて、所定の押圧力で下方に押圧することにより、板状ワークWを支持面20a,20b上の所定位置に位置決め保持する(図3に示す状態)。
このようにして板状ワークWをパッド14で位置決め保持した状態で、引き続きパンチ11を下降させて、パンチ本体15を板状ワークWに当接させ、さらに当接した状態からパンチ11を下降させることで、板状ワークWのうちパンチ本体15と当接している箇所を下方に打ち抜く。これにより、例えば図4に示すように、板状ワークWにパンチ本体15に準じた形状並びに大きさの打ち抜き穴Waが形成される。なお、この際、図4中の円で囲んだ領域を拡大して示すように、打ち抜き穴Waの周縁部Wbから所定の向き(打ち抜き方向)に突出する鋭利な突起部Wdが発生する。この時点で、打ち抜き穴Waの内周面Wa1は、打ち抜き方向全長にわたって同一の内径寸法を有する。言い換えると、内周面Wa1は内径寸法一定の真円筒形状をなしている。また、パンチ11に設けた凸状成形面16は未だ板状ワークWと非接触の状態にある。
打ち抜き穴Waの形成後、引き続きパンチ11を下降させて、パンチ11に設けた凸状成形面16の最下部(ここでは第一成形部16a)を板状ワークWに当接させる。そして当接した状態からさらにパンチ11を下降させることで凸状成形面16を板状ワークWに押し込んで、板状ワークWに対する塑性加工を開始する。これにより、板状ワークWは塑性変形を開始し、凸状成形面16の押し込みに伴ってパンチ11側の表面W1が凹み始めると共に、打ち抜き穴Waの周縁部Wbが外側に引き込まれ始める(ともに図5を参照)。
その後、凸状成形面16と凹状成形面21とで板状ワークWが挟持される位置までパンチ11及び凸状成形面16の下降を継続する。これにより、図6に示すように、打ち抜き穴Waの周縁部Wbが凹状成形面21の内側端部又は内側端部に近い位置まで引き込まれると共に、打ち抜き穴Waの内周面Wa1が支持面20bから遠い側ほど大きく拡径した状態となる。すなわち、打ち抜き加工直後の内周面Wa1のうち支持面20bから遠い側の内径寸法をda1、支持面20bに近い側の内径寸法をda2とした場合(図4を参照)、成形後における内周面Wa1のうち支持面20bから遠い側の内径寸法db1と支持面20bに近い側の内径寸法db2(図6を参照)はともに、打ち抜き加工直後の内径寸法da1,da2よりも大きい。また、成形後の内周面Wa1の支持面20bから遠い側の内径寸法db1は、支持面20bに近い側の内径寸法db2よりも大きい。以上より、打ち抜き穴Waの内周面Wa1が、凸状成形面16と凹状成形面21とによる環状凹部Wcの成形により、パンチ11側に大きく傾いたことがわかる。
ここで、突起部Wdは、打ち抜き穴Waの周縁部Wbから打ち抜き方向に向けて突出しており、内周面Wa1と周縁部Wbがパンチ11側に大きく傾くのに伴って、突起部Wdもパンチ11側に大きく傾いた状態となる(図6の円で囲った領域の拡大図を参照)。そのため、板状ワークWに所定の塑性加工が施された(すなわち環状凹部Wcが成形された)状態では、鋭利な突起部Wdは内向きに突出した状態となる。
以上述べたように、本実施形態に係る穴開け加工装置10では、パンチ11の打ち抜き加工で板状ワークWに打ち抜き穴Waを形成した後に打ち抜き穴Waの内周面Wa1が支持面20bから遠い側ほど大きく拡径するように板状ワークWを塑性変形できるような塑性加工面(凸状成形面16と凹状成形面21)を、パンチ11と支持部材13(支持盤18とブッシュ19)の少なくとも一方に設けるようにした。この構成によれば、パンチ11の打ち抜き加工で形成された打ち抜き穴Waの内周面Wa1が支持面20bから遠い側ほど大きく拡径するように板状ワークWが塑性変形することで、打ち抜き穴Waの周縁部Wbに生じた突起部Wdの突出方向が内向きに変化する。あるいは、図4~図6に示す板状ワークWの塑性変形に伴って周縁部Wbが変位する過程でパンチ本体15との擦れ等により突起部Wdの一部が除去される。以上の作用より、例えば打ち抜き穴Waの打ち抜き方向とは逆の方向からクリップ等の部材を挿入する際の抵抗を減らして、作業性を改善することができる。また、突起部Wdの向きが内側に変わり、又は突起部Wdが小さくなることで、打ち抜き穴Waの周縁部Wbを触れる可能性のある作業者等の安全性を向上させることができる。また、打ち抜き穴Wa自体は公知の穴開け加工で形成することができると共に、上述した塑性加工は穴開け加工の一環として連続的に行い得るため、量産性を低下させる心配もない。言い換えると加工コストの高騰を招くおそれもない。
また、本実施形態に係る穴開け加工装置10では、パンチ11と支持部材13に、塑性加工面として、板状ワークWに形成された打ち抜き穴Waの周囲に環状凹部Wc(図6を参照)を成形可能な凸状成形面16と凹状成形面21をそれぞれ設けるようにした。このように、塑性加工面として、打ち抜き穴Waの周囲に環状凹部Wcを成形可能な凸状成形面16と凹状成形面21をパンチ11と支持部材13とにそれぞれ設けることで、打ち抜き穴Waの周縁部Wbを含む板状ワークWをより安定的に所望の形状に塑性変形させて、突起部Wdの向きを確実に内向きに変えることができる。また、打ち抜き穴Waの周囲に環状凹部Wcを成形することで、周縁部Wbを含む打ち抜き穴Waの周辺領域をその全周にわたってばらつきなく均等な形状(本実施形態だと円錐形状)に成形することができるので、これによっても突起部Wdの向きを確実に内向きに変えることが可能となる。よって、本実施形態に係る穴開け加工装置10によれば、更なる作業性及び安全性の向上を図ることが可能となる。
また、本実施形態では、凸状成形面16と凹状成形面21とで板状ワークWに環状凹部Wcを成形するに際し、環状凹部Wcの内側となる傾斜面部Wc3を成形可能な第三成形部16c,21cを設けたので、その傾斜角度により、突起部Wdの突出方向を比較的容易に調整することができ、これによっても突起部Wdの向きを確実に内向きにすることが可能となる。
また、この際、凸状成形面16の内側に、凸状成形面16と凹状成形面21とで板状ワークWを挟持した状態(図6に示す状態)で打ち抜き穴Waの周縁部Wbとの接触を回避可能とするための逃げ部17を設けることにより、塑性加工により支持面20bから離れる向き(円錐状に反り返る向き)に周縁部Wbが変位し、かつ外側への変位量(引け量)が少ない場合であっても、打ち抜き穴Waの内周面Wa1又は周縁部Wbがパンチ11によって支持面20b側に押さえ付けられる事態を回避して、突起部Wdの向きを内側に保つことが可能となる。
以上、本発明の一実施形態について述べたが、本発明に係る穴開け加工装置又は穴開け加工方法は、その趣旨を逸脱しない範囲において、上記以外の構成を採ることも可能である。
例えば、上記実施形態では、凸状成形面16及び凹状成形面21として、環状凹部Wcの底面部Wc1を成形する第一成形部16a,21aと、底面部Wc1と外側で連続する曲面部Wc2を成形する第二成形部16b,21bと、底面部Wc1と内側で連続し内側に向かうにつれて支持面20a,20bから離れる向きに傾斜する傾斜面部Wc3を成形する第三成形部16c,21cとを有するものを例示したが、もちろんこれ以外の形態を採ってもよい。例えば図示は省略するが、第三成形部16c,21cを曲面状としてもよく、あるいは、第二成形部16b,21bを傾斜面状としてもよい。
また、上記実施形態では、凸状成形面16及び凹状成形面21として、それぞれ一個の円環凸条部と一個の円環溝部とで構成した場合を例示したが、もちろんこれには限られない。例えば図示は省略するが、相互に径方向寸法が異なる複数個の円環凸条部と円環溝部とで凸状成形面16と凹状成形面21とを構成してもよい。この場合、凸状成形面16又は凹状成形面21の断面形状は波状となる。また、この場合、各凸条部の高さ寸法(各溝部の深さ寸法)を異ならせてもよく、例えば打ち抜き穴Waに近づくにつれて各凸条部の高さ寸法(各溝部の深さ寸法)が小さくなるような形態としてもよい。
また、凸状成形面16と凹状成形面21は、全周にわたって一定の断面形状をなす必要はない。内周面Wa1がパンチ11側に傾くように板状ワークWを成形可能であれば、各成形面16,21の形態が周方向で部分的に異なっていてもかまわない。
また、板状ワークWの厚み寸法、材質によっては、塑性加工面を凸状成形面16と凹状成形面21以外の形態としてもよい。例えばパンチ11の下降により板状ワークWに食い込ませることで板状ワークWを折り曲げることのできるように、パンチ11に塑性加工面(曲げ加工面)を設けてもよい。この場合、支持部材13には、パンチ11に設けるべき塑性加工面と対応する形状の塑性加工面は必須ではなく、例えば図示は省略するが、平坦な支持面20bで、曲げ加工面による板状ワークWの押し込みを受けてもよい。要は、塑性加工の前後で、打ち抜き穴Waの内周面Wa1が支持面20bから遠い側ほど拡径する限りにおいて、パンチ11と支持部材13の少なくとも一方に設けられる塑性加工面の形態は任意である。
また、以上の説明より、本発明は、自動車用プレス部品の板材として使用される薄肉鋼板などに好適であるが、もちろんこれには限定されない。例えば鋼以外の材質の板状ワークに本発明を適用してもよい。あるいは、一般的に薄肉には分類されない厚み寸法の金属板に本発明を適用してもよい。また、用途の面でもプレス部品以外の板状部品の穴開け加工に本発明を適用してもよく、さらにいえば自動車用以外の用途に係る板状部品の穴開け加工に本発明を適用してもよい。
10 穴開け加工装置
11 パンチ
12 挿入穴
13 支持部材
14 パッド
15 パンチ本体
16 凸状成形面
16a,21a 第一成形部
16b,21b 第二成形部
16c,21c 第三成形部
17 逃げ部
18 支持盤
19 ブッシュ
20a,20b 支持面
21 凹状成形面
C クリアランス
da1,da2,db1,db2 内径寸法(打ち抜き穴)
W 板状ワーク
Wa 打ち抜き穴
Wa1 内周面
Wb 周縁部
Wc 環状凹部
Wc1 底面部
Wc2 曲面部
Wc3 傾斜面部
Wd 突起部
X1 打ち抜き方向

Claims (2)

  1. 板状ワークへの打ち抜き加工を行うためのパンチと、前記板状ワークを支持可能な支持面を有する支持部材とを具備し、前記支持面に前記パンチを挿入可能な挿入穴が設けられた穴開け加工装置において、
    前記パンチと前記支持部材の少なくとも一方は、前記パンチの打ち抜き加工により前記板状ワークに穴を形成した後、前記穴の内周面が前記支持面から遠い側ほど大きく拡径するように前記板状ワークを塑性変形可能な塑性加工面を有し、
    前記パンチと前記支持部材は、前記塑性加工面として、前記板状ワークに形成された前記穴の周縁部を含む前記板状ワークを塑性変形させることで前記穴の周囲に環状凹部を成形すると共に、前記穴の周縁部を前記穴の打ち抜き方向後方側に傾斜させて前記穴の打ち抜き方向前方端に生じた突起部の向きを前記穴の内側に変更可能な凸状成形面と凹状成形面をそれぞれ有することを特徴とする穴開け加工装置。
  2. 支持部材に設けた支持面で板状ワークを支持した状態で、前記支持面に設けた挿入穴にパンチを挿入して前記板状ワークを打ち抜くことで、前記板状ワークに穴開け加工を施すための方法において、
    前記パンチの打ち抜き加工により前記板状ワークに穴を形成した後、
    前記パンチに設けた凸状成形面と前記支持部材に設けた凹状成形面とで前記板状ワークに形成された前記穴の周縁部を含む前記板状ワークを塑性変形させることで、前記穴の内周面が前記支持面から遠い側ほど大きく拡径するように前記穴の周囲に環状凹部を成形すると共に、前記穴の周縁部を前記穴の打ち抜き方向後方側に傾斜させて前記穴の打ち抜き方向前方端に生じた突起部の向きを前記穴の内側に変更することを特徴とする穴開け加工方法。
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