JP7354838B2 - 半導体装置、無線通信装置、センサー制御装置、および半導体装置の製造方法 - Google Patents

半導体装置、無線通信装置、センサー制御装置、および半導体装置の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、半導体装置、無線通信装置、センサー制御装置、および半導体装置の製造方法に関する。
近年、非接触型のタグとして、RFID(Radio Frequency IDentification)技術を用いた無線通信システム(すなわちRFIDシステム)の開発が進められている。RFIDシステムでは、リーダ/ライタと呼ばれる無線送受信機とRFIDタグとの間で、無線通信が行われる。
RFIDタグは、物流管理、商品管理、万引き防止などの様々な用途での利用が期待されており、交通カードなどのICカード、商品タグなどの用途の一部では、導入され始めている。RFIDタグは、ICチップと、リーダ/ライタとの無線通信を行うためのアンテナとを有している。RFIDタグ内に設置されたアンテナが、リーダ/ライタから送信される無線信号を受信し、ICチップ内の駆動回路が動作する。
RFIDタグは、あらゆる商品で使用することが期待されている。そのためには、RFIDタグの製造コストの低減が必要であり、RFIDタグの製造プロセスとしては、真空や高温を使用する製造プロセスから脱却し、塗布・印刷技術を用いたフレキシブルで安価なものが検討されている。
例えば、ICチップ内の駆動回路には、成形性に優れた有機半導体を半導体層として用いた電界効果型トランジスタ(以下、FETという)が提案されている。有機半導体をインクとして利用することで、インクジェット技術やスクリーニング技術等により、フレキシブル基板上に直接、FETなどの回路パターンを形成することが可能になる。そこで、従来の無機半導体に換わり、カーボンナノチューブ(CNT)や有機半導体を用いたFETが盛んに検討され、それらを用いた回路の検討も行われている(例えば、特許文献1参照)。
RFIDタグ内の駆動回路は、その消費電力を抑制するなどのため、p型FETとn型FETとからなる相補型回路で構成するのが一般的である。しかし、CNTを用いたFETは、大気中では通常p型半導体素子の特性を示すことが知られている。また、有機半導体を用いたFETは、単一チャネルである。このため、同一材料では相補型回路を構成できず、p型FETとn型FETとで材料を別々に選択しなければならない。これに起因して、相補型回路の製造プロセスが煩雑になり、RFIDタグの生産の効率低下と製造コストの増加という問題が生ずる。
そこで、例えば、CNTを用いたFETにおいては、p型FETを形成した後に、p型特性をn型特性に改質するためのn型改質ポリマーの層を半導体層の上に形成することにより、n型FETを形成し、比較的容易なプロセスでの相補型回路を実現している(例えば、特許文献2参照)。
国際公開第2009/139339号 国際公開第2005/57665号
しかしながら、相補型回路では、これまでに述べた通り、p型FETとn型FETという、異なる導電型を有するFETが必要となり、同一の導電型のみのFETで形成されるICチップと比較すると、チップ面積が増大し、コスト上昇を招くという課題があった。
例えば、特許文献2に記載の従来技術では、基材上にn型FETを形成する場合、ソース電極やドレイン電極に比べ比較的厚い膜厚を有するn型改質ポリマーの層が必要となる。このため、ソース電極やドレイン電極、半導体層、ゲート電極などを備えるp型FETの形成に必要な基材領域の最小面積に比べて、n型改質ポリマーによるn型FETの形成には、より多くの基材領域の面積が必要であった。
また、特許文献2では、インクジェット法により、n型改質ポリマーの層を形成している。このため、特性を改質したいFETに対して選択的にn型改質ポリマーを塗布する必要があることから、塗布プロセスに要する時間が増加するのみならず、塗布位置のずれ及びばらつき対策のために、当該ポリマーが塗布されるFETとそれ以外のFETとの間のスペースを十分に確保することが必要であった。特に、特許文献2では、FET上にn型改質ポリマーの層を形成した後、このn型改質ポリマーの層にCNTを滴下して当該FETをn型FETとする場合もある。この場合、FET上のn型改質ポリマーが導電性または半導体性を有することから、FETの導電型によらず、各FET間での短絡を防止するために、隣り合うFET同士の間のスペースを十分に確保することが必要であった。
つまり、図14に例示される従来の半導体装置11のような、基材10上にn型FET20とp型FET30とが配置されてなる相補型回路において、n型FET20は、n型改質ポリマー50によりFETが被覆されることで、n型特性を示すようになっている。n型改質ポリマー50は、基材10上のFETに対してインクジェット法により滴下されることで、基材10の面直方向から見た平面視で円形の平面形状をなしている。n型改質ポリマー50が塗布されるべきでないFETにn型改質ポリマー50の層が触れないようにするためには、n型FET20とp型FET30との間の距離、および互いに隣り合う各n型FET20同士の間の距離を十分にとる必要があった。
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、相補型回路に代表される、異なる電気的特性を有する複数種類の半導体素子を必要とする回路においてチップ面積および製造コストの増大を抑制することができる半導体装置を提供することを第1の目的とする。また、本発明は、当該半導体装置を用いた無線通信装置およびセンサー制御装置、並びに当該半導体装置の製造方法を提供することを第2の目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る半導体装置は、基材上に、少なくとも、半導体素子が2個以上配置される第1の領域と、半導体素子が1個以上配置される第2の領域と、を含む半導体装置であって、前記第1の領域の半導体素子は、前記第1の領域のソース電極、前記第1の領域のドレイン電極、前記第1の領域のゲート電極、前記第1の領域のソース電極と前記第1の領域のドレイン電極とに接する前記第1の領域の半導体層、および前記第1の領域の半導体層と前記第1の領域のゲート電極とを絶縁する前記第1の領域のゲート絶縁層と、前記第1の領域のゲート絶縁層とは異なる位置で前記第1の領域の半導体層と接する第2絶縁層と、を前記基材上に備え、前記第2の領域の半導体素子は、前記第2の領域のソース電極、前記第2の領域のドレイン電極、前記第2の領域のゲート電極、前記第2の領域のソース電極と前記第2の領域のドレイン電極とに接する前記第2の領域の半導体層、および前記第2の領域の半導体層と前記第2の領域のゲート電極とを絶縁する前記第2の領域のゲート絶縁層を前記基材上に備え、前記第1の領域の半導体素子の電気伝導性は、前記第2絶縁層により、前記第2の領域の半導体素子の電気伝導性と相異し、前記第2絶縁層は、前記第1の領域の半導体素子の2個以上にわたって連続して配置される、ことを特徴とする。
また、本発明に係る半導体装置は、上記の発明において、前記基材上に、半導体素子が2個以上配置される第3の領域をさらに含み、前記第3の領域の半導体素子は、前記第3の領域のソース電極、前記第3の領域のドレイン電極、前記第3の領域のゲート電極、前記第3の領域のソース電極と前記第3の領域のドレイン電極とに接する前記第3の領域の半導体層、および前記第3の領域の半導体層と前記第3の領域のゲート電極とを絶縁する前記第3の領域のゲート絶縁層と、前記第3の領域のゲート絶縁層とは異なる位置で前記第3の領域の半導体層と接する第3絶縁層と、を備え、前記第2絶縁層を構成する組成物と前記第3絶縁層を構成する組成物とは、互いに異なる、ことを特徴とする。
また、本発明に係る半導体装置は、上記の発明において、前記第2絶縁層は、前記第1の領域において、長短を有する形状となるように複数配置され、複数の前記第2絶縁層の長尺方向は、各々、互いに同一の方向である、ことを特徴とする。
また、本発明に係る半導体装置は、上記の発明において、前記第2絶縁層および前記第3絶縁層は、各々、長短を有する形状となるように配置され、前記第2絶縁層の長尺方向と前記第3絶縁層の長尺方向とは、互いに同一の方向である、ことを特徴とする。
また、本発明に係る半導体装置は、上記の発明において、前記基材上の半導体層が、カーボンナノチューブ、カーボンナノコイル、フラーレン、グラフェン、ナノダイヤモンドの中から選ばれるいずれか1種類以上の半導体材料を含有する、ことを特徴とする。
また、本発明に係る半導体装置は、上記の発明において、前記基材上の半導体層が、カーボンナノチューブを含有する、ことを特徴とする。
また、本発明に係る半導体装置は、上記の発明において、前記第2絶縁層が、窒素原子およびリン原子の中から選ばれるいずれか1種以上を有する電子供与性化合物を含有する、ことを特徴とする。
また、本発明に係る半導体装置は、上記の発明において、前記第1の領域の半導体素子と前記第2の領域の半導体素子との電気伝導性の相異が、トランジスタのしきい値電圧の違いである、ことを特徴とする。
また、本発明に係る半導体装置は、上記の発明において、前記第1の領域の半導体素子と前記第2の領域の半導体素子との電気伝導性の相異が、トランジスタの導電型の違いである、ことを特徴とする。
また、本発明に係る半導体装置は、上記の発明において、前記第1の領域の半導体素子と前記第2の領域の半導体素子との電気伝導性の相異が、周囲温度に対する電気伝導性の違いである、ことを特徴とする。
また、本発明に係る半導体装置は、上記の発明において、前記第1の領域の半導体素子と前記第2の領域の半導体素子との電気伝導性の相異が、周囲湿度に対する電気伝導性の違いである、ことを特徴とする。
また、本発明に係る半導体装置は、上記の発明において、前記第1の領域の半導体素子と前記第2の領域の半導体素子との電気伝導性の相異が、入射光波長に対する電気伝導性の違いである、ことを特徴とする。
また、本発明に係る半導体装置は、上記の発明において、前記第1の領域の半導体素子と前記第2の領域の半導体素子との電気伝導性の相異が、入射光量に対する電気伝導性の違いである、ことを特徴とする。
また、本発明に係る半導体装置は、上記の発明において、前記第1の領域の半導体素子と前記第2の領域の半導体素子との電気伝導性の相異が、酸素量に対する電気伝導性の違いである、ことを特徴とする。
また、本発明に係る半導体装置は、上記の発明において、前記第3の領域の半導体素子の電気伝導性は、前記第3絶縁層により、前記第2の領域の半導体素子の電気伝導性と相異し、前記第1の領域の半導体素子と前記第2の領域の半導体素子との電気伝導性の相異が、トランジスタの導電型の違いであり、前記第3の領域の半導体素子と前記第2の領域の半導体素子との電気伝導性の相異が、トランジスタのしきい値電圧の違いである、ことを特徴とする。
また、本発明に係る半導体装置の製造方法は、上記の発明のいずれか一つに記載の半導体装置を製造する半導体装置の製造方法であって、前記第2絶縁層を形成するための組成物を、前記第1の領域の半導体素子の2個以上にわたって連続するように塗布する塗布工程を含む、ことを特徴とする。
また、本発明に係る半導体装置の製造方法は、上記の発明において、前記塗布工程は、インクジェット方式、ノズル塗布方式、スクリーン印刷方式、オフセット印刷方式、またはドロップキャスト塗布方式のいずれか1種によって前記組成物を塗布し、前記第2絶縁層を形成する、ことを特徴とする。
また、本発明に係る無線通信装置は、上記の発明のいずれか一つに記載の半導体装置を備える、ことを特徴とする。
また、本発明に係るセンサー制御装置は、上記の発明のいずれか一つに記載の半導体装置を備える、ことを特徴とする。
本発明によれば、相補型回路のチップ面積が小さく、しかも、製造プロセスに要する時間も短縮可能なことから、製造コストの増大を抑制して安価かつ小型な半導体装置を提供することが可能となる。また、本発明によれば、このような半導体装置を用いた無線通信装置およびセンサー制御装置を提供することが可能となる。
図1は、本発明の実施の形態1に係る半導体装置の一構成例を模式的に示す概略平面図である。 図2は、図1に示す半導体装置のA-B線断面の構成例を示す概略断面図である。 図3は、本発明の実施の形態2に係る半導体装置の一構成例を模式的に示す概略平面図である。 図4は、本発明の実施の形態2に係る半導体装置を適用したチャージポンプ回路の一構成例を示す模式回路図である。 図5は、本発明の実施の形態3に係る半導体装置の一構成例を模式的に示す概略平面図である。 図6は、本発明の実施の形態4に係る半導体装置の一構成例を模式的に示す概略平面図である。 図7は、本発明の実施の形態5に係る半導体装置の一構成例を模式的に示す概略平面図である。 図8は、本発明の実施の形態6に係る半導体装置の一構成例を模式的に示す概略平面図である。 図9は、本発明に係る半導体装置の製造方法の一例を示す模式断面図である。 図10は、本発明に係る半導体装置を備えた無線通信装置の一構成例を示す模式ブロック図である。 図11は、本発明の実施の形態1に係る半導体装置を備えたリングオシレータの一構成例を示す模式平面図である。 図12は、本発明の実施の形態1に係る半導体装置を備えた分周回路の一構成例を示す模式平面図である。 図13Aは、本発明に対する比較例に係る半導体装置の一構成例を示す模式平面図である。 図13Bは、本発明の実施例3に係る半導体装置の一構成例を示す模式平面図である。 図14は、従来技術における半導体装置を例示する模式平面図である。
以下、添付図面を参照して、本発明に係る半導体装置、無線通信装置、センサー制御装置、および半導体装置の製造方法を実施するための形態(以下、「実施の形態」という)を説明する。なお、図面は模式的なものである。また、本発明は、以下に説明する実施の形態によって限定されるものではない。
<半導体装置>
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る半導体装置の一構成例を模式的に示す概略平面図である。図2は、図1に示す半導体装置のA-B線断面の構成例を示す概略断面図である。本発明の実施の形態1に係る半導体装置101は、基材上に、少なくとも、半導体素子が2個以上配置される第1の領域と、半導体素子が1個以上配置される第2の領域と、を含む半導体装置の一例である。本実施の形態1では、例えば図1に示すように、半導体装置101は、基材面における複数の領域として第1の領域110と第2の領域120とを含む基材100を備える。また、半導体装置101は、この基材100上のうち、第1の領域110に、第2絶縁層500が設けられたFET200を複数(図1では8個)備え、第2の領域120に、第2絶縁層500が設けられていないFET300を1個以上(図1では8個)備える。
詳細には、図1に示す半導体装置101において、基材100は、ポリエチレンテレフタレート(PET)等からなるフィルム基材である。この基材100の上には、第2絶縁層500によって覆われた状態のFET200が8個配置されている第1の領域110と、第2絶縁層500を有しない状態のFET300が8個配置されている第2の領域120とが存在する。第1の領域110と第2の領域120とは、基材100の基材面上における互いに異なる領域であり、例えば図1に示すように、互いに隣接している。第1の領域110のうち、少なくとも複数のFET200が形成されている部分には、図1に示すように、第2絶縁層500が、これら複数のFET200を覆うように設けられている。
FET200は、第1の領域110の半導体素子の一例であり、本実施の形態1では、n型特性を有するFET(n型FET)である。詳細には、図1、2に示すように、8個のFET200の各々は、第1の領域110のソース電極210と、第1の領域110のドレイン電極220と、第1の領域110のゲート電極230と、第1の領域110のゲート絶縁層250と、第1の領域110の半導体層270と、第2絶縁層500と、を基材100上に備える。ゲート絶縁層250は、ゲート電極230の少なくとも一部を覆い、これにより、半導体層270とゲート電極230とを電気的に絶縁する。半導体層270は、ソース電極210とドレイン電極220とに接する。本実施の形態1では、半導体層270は、ソース電極210およびドレイン電極220の双方に対し、少なくとも一部分において接する。第2絶縁層500は、8個のFET200の各々において、ゲート絶縁層250とは異なる位置で半導体層270と接する。
特に、本実施の形態1において、第2絶縁層500は、図1、2に示すように、第1の領域110のFET200の2個以上(図1では8個)にわたって連続して配置されている。このように第1の領域110に配置された状態の第2絶縁層500は、これら8個のFET200の全てについて、ゲート絶縁層250とは異なる位置で半導体層270と接し、これにより、FET200が本来有していたp型特性をn型特性に改質している。すなわち、第2絶縁層500を有するFET200は、n型特性を有している。
FET300は、第2の領域120の半導体素子の一例であり、本実施の形態1では、p型特性を有するFET(p型FET)である。詳細には、図1、2に示すように、8個のFET300の各々は、第2の領域120のソース電極310と、第2の領域120のドレイン電極320と、第2の領域120のゲート電極330と、第2の領域120のゲート絶縁層350と、第2の領域120の半導体層370と、を基材100上に備える。ゲート絶縁層350は、ゲート電極330の少なくとも一部を覆い、これにより、半導体層370とゲート電極330とを電気的に絶縁する。半導体層370は、ソース電極310とドレイン電極320とに接する。本実施の形態1では、半導体層370は、ソース電極310およびドレイン電極320の双方に対し、少なくとも一部分において接する。
また、本実施の形態1における各FET200、300の電気伝導性に着目すると、第1の領域110のFET200の電気伝導性は、第2絶縁層500により、第2の領域120のFET300の電気伝導性と相異する。具体的には、第1の領域110のFET200はn型特性を有し、第2の領域120のFET300はp型特性を有している。すなわち、第1の領域110のFET200と第2の領域120のFET300との電気伝導性の相異は、トランジスタの導電型の違いである。
本発明において、半導体装置101に含まれるn型のFET200およびp型のFET300の各配置数は、上述した8個に限られるものではない。第1の領域110に形成されるn型のFET200の配置数は2個以上であればよいし、第2の領域120に形成されるp型のFET300の配置数は1個以上であればよい。また、第1の領域110における複数のFET200の配置は、図1に例示される2行4列の配置に限定されず、1行以上および1列以上の配置であってもよく、複数行および複数列の配置であることが好ましい。これら複数のFET200の配置が複数行および複数列の配置である場合、1つの行に含まれるFETの数は1個以上であってもよいし、1つの列に含まれるFETの数は1個以上であってもよい。好ましくは、1つの行に含まれるFETの数は複数個であり、且つ、1つの列に含まれるFETの数は複数個である。これと同様に、第2の領域120における複数のFET300の配置は、図1に例示される2行4列の配置に限定されず、1行以上および1列以上の配置であってもよく、複数行および複数列の配置であることが好ましい。
また、n型のFET200の1個に含まれるソース電極210、ドレイン電極220およびゲート電極230の数は、それぞれ1つ以上であればよい。同様に、p型のFET300の1個に含まれるソース電極310、ドレイン電極320およびゲート電極330は、それぞれ1つ以上であればよい。
n型のFET200のソース電極210と、p型のFET300のソース電極310とは、互いに同一の材料および同一のプロセスによって形成されることが好ましい。また、同様に、n型のFET200のドレイン電極220とp型のFET300のドレイン電極320、n型のFET200のゲート電極230とp型のFET300のゲート電極330、n型のFET200のゲート絶縁層250とp型のFET300のゲート絶縁層350、および、n型のFET200の半導体層270とp型のFET300の半導体層370は、それぞれ、互いに同一の材料および同一のプロセスによって形成されることが好ましい。ただし、これらの各電極および各層を形成するための材料およびプロセスは、必ずしも、上記のように同一にする必要はない。所望の特性が得られる限りにおいては、これらの材料およびプロセスは特に限定しない。
本実施の形態1では、上述したように、第1の領域110の半導体素子としてn型のFET200が例示され、第2の領域120の半導体素子としてp型のFET300が例示されている。すなわち、第1の領域110の半導体素子と第2の領域120の半導体素子との電気伝導性の相異がトランジスタの導電型の違いである場合を例示したが、本発明は、これに限定されるものではない。第1の領域110の半導体素子は、第2の領域120の半導体素子とは異なる電気伝導性を有していればよい。例えば、第1の領域110の半導体素子と第2の領域120の半導体素子とが共にn型FETであっても、これらの半導体素子の間で電気伝導性の違い(例えばトランジスタのしきい値電圧の違い)が存在すれば、その導電型は問わない。
本実施の形態1では、基材100上に複数形成される半導体素子のドレイン電極、ソース電極、およびゲート電極について、配線による物理的な接続が省略されている。しかし、各ドレイン電極220、320、各ソース電極210、310、および各ゲート電極230、330については、これらの各々が、配線を介して所望の接続先に電気的に接続されている。これにより、基材100上の複数の半導体素子を用いた回路が形成されることとなる。
本実施の形態1では、第2絶縁層500が第1の領域110におけるFET200の2個以上にわたって連続して配置されるため、互いに電気伝導性が同一の半導体素子(例えばn型のFET200)を第1の領域110内にまとめて配置することが可能となる。それにより、第1の領域110を占める半導体素子の大きさと第2の領域120を占める半導体素子の大きさとを、ソース電極、ドレイン電極、ゲート電極、ゲート絶縁層および半導体層の加工プロセスの最小寸法、もしくはそれに準じる程度まで減少させることができる。その結果、第1の領域110の半導体素子と第2の領域120の半導体素子とを備える回路(例えば相補型回路)のチップ面積を増大させることなく、これらの半導体素子を、互いに異なる電気伝導性を有する半導体素子にして効率良く形成することが可能となる。
ゲート電極230、330、ソース電極210、310およびドレイン電極220、320に用いられる電極材料は、一般的に電極として使用されうる導電材料であれば、いかなるものでもよい。例えば、電極材料として、酸化錫インジウム(ITO)、金、銀、銅、アルミニウム、ポリシリコン、導電性ポリマー、炭素材料などが挙げられる。これらの電極材料は、単独で用いてもよいし、複数の電極材料を積層または混合して用いてもよい。
また、本実施の形態1では、基材100としてPETからなるフィルム基材を例示したが、基材100は、上記フィルム基材に限定されず、少なくとも電極系が配置される面が絶縁されている基材であれば、いかなる材質のものでもよい。例えば、基材100の材料として、シリコンウエハ、ガラス、ポリイミド、セラミックスなどが挙げられる。また、基材100は、複数の材料が積層されたものであってもよい。
ゲート絶縁層250、350については、所望の絶縁性が得られる限りにおいて、その材料は特に限定されない。例えば、ゲート絶縁層250、350の材料として、酸化シリコン、アルミナ、酸化ハフニウム、ポリイミドなどが挙げられる。また、ゲート絶縁層250、350は、基材100上の第1の領域110および第2の領域120にわたって一体形成されていたが、これに限定されず、ゲート電極と半導体層とを電気的に絶縁する態様で半導体素子毎に形成されていもよい。
半導体層270、370については、所望の電気伝導性を得られる限りにおいて、その材料および形成方法は特に限定されない。例えば、半導体層270、370の材料として、シリコンナノワイヤ、IGZO等の酸化物半導体材料、Cu-Sn-I系等のアモルファス半導体材料、有機半導体、カーボン材料等が挙げられる。これらの材料は、キャリア移動度の高い材料であることから、好ましく用いられる。また、これらの材料は、低コストで簡便な塗布プロセスを適用できるという観点から、好ましい。
有機半導体としては、具体的には、ポリチオフェン類、チオフェンユニットを主鎖中に含む化合物、ポリピロール類、ポリアニリン類、ポリアセチレン類、ポリジアセチレン類、ポリカルバゾール類、ポリフラン類、含窒素芳香環を構成単位とするポリヘテロアリール類、縮合多環芳香族化合物、複素芳香族化合物、芳香族アミン誘導体、ビスカルバゾール誘導体、ピラゾリン誘導体、スチルベン系化合物、ヒドラゾン系化合物、金属フタロシアニン類、金属ポルフィリン類、ジスチリルベンゼン誘導体、アミノスチリル誘導体、芳香族アセチレン誘導体、縮合環テトラカルボン酸ジイミド類、有機色素などが挙げられる。これらの有機半導体は、単独で用いてもよいし、2種類以上を含有して用いてもよい。
上述のように例示した有機半導体のうち、ポリチオフェン類としては、例えば、ポリ-3-ヘキシルチオフェン、ポリベンゾチオフェンなどが挙げられる。チオフェンユニットを主鎖中に含む化合物としては、例えば、ポリ(2,5-ビス(2-チエニル)-3,6-ジペンタデシルチエノ[3,2-b]チオフェン)、ポリ(4,8-ジヘキシル-2,6-ビス(3-ヘキシルチオフェン-2-イル)ベンゾ[1,2-b:4,5-b’]ジチオフェン)、ポリ(4-オクチル-2-(3-オクチルチオフェン-2-イル)チアゾール)、ポリ(5,5’-ビス(4-オクチルチアゾール-2-イル)-2,2’-ビチオフェン)などが挙げられる。ポリ(p-フェニレンビニレン)類としては、例えば、ポリ(p-フェニレンビニレン)などが挙げられる。ポリフラン類としては、例えば、ポリフラン、ポリベンゾフランなどが挙げられる。含窒素芳香環を構成単位とするポリヘテロアリール類としては、例えば、ピリジン、キノリン、フェナントロリン、オキサゾール、オキサジアゾールなどが挙げられる。縮合多環芳香族化合物としては、例えば、アントラセン、ピレン、ナフタセン、ペンタセン、ヘキサセン、ルブレンなどが挙げられる。複素芳香族化合物としては、例えば、フラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、ピリジン、キノリン、フェナントロリン、オキサゾール、オキサジアゾールなどが挙げられる。芳香族アミン誘導体としては、例えば、4,4’-ビス(N-(3-メチルフェニル)-N-フェニルアミノ)ビフェニル等が挙げられる。ビスカルバゾール誘導体としては、例えば、ビス(N-アリルカルバゾール)又はビス(N-アルキルカルバゾール)などが挙げられる。金属フタロシアニン類としては、例えば、銅フタロシアニンなどが挙げられる。金属ポルフィリン類としては、例えば、銅ポルフィリンなどが挙げられる。縮合環テトラカルボン酸ジイミド類としては、例えば、ナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸ジイミド、ペリレン-3,4,9,10-テトラカルボン酸ジイミドなどが挙げられる。有機色素としては、例えば、メロシアニン、フェノキサジン、ローダミンなどが挙げられる。
また、カーボン材料としては、カーボンナノチューブ、カーボンナノコイル、フラーレン、グラフェン、ナノダイヤモンドなどが挙げられる。本実施の形態1に係る半導体装置101において、基材100上の半導体層270、370は、カーボンナノチューブ、カーボンナノコイル、フラーレン、グラフェン、ナノダイヤモンドの中から選ばれるいずれか1種類以上の半導体材料を含有することが好ましい。これらの半導体材料(カーボン材料)は、2種類以上を含有して用いてもよい。半導体層270、370の材料をカーボン材料とすることは、高キャリア移動度に由来する高い電気的特性を実現し、且つ塗布による形成が容易となるから、より好ましい。特に、基材100上の半導体層270、370は、カーボン材料として、カーボンナノチューブ(CNT)を含有することが好ましい。半導体層270、370に含まれるCNTとしては、表面の少なくとも一部に共役系重合体が付着したCNTが、一層好ましい。
CNTとしては、1枚の炭素膜(グラフェン・シート)が円筒状に巻かれた単層CNT、2枚のグラフェン・シートが同心円状に巻かれた2層CNT、複数のグラフェン・シートが同心円状に巻かれた多層CNTのうち、いずれが用いられてもよい。これらの単層CNT、2層CNTおよび多層CNTのうち、2種以上が用いられてもよい。中でも、半導体の特性を示すという観点から、CNTとしては、単層CNTを用いることが好ましい。特に、単層CNTは、半導体型単層CNTを90重量%以上含むことがより好ましい。さらに好ましくは、単層CNTが半導体型単層CNTを95重量%以上含むことである。
半導体型単層CNTの含有比率は、可視-近赤外吸収スペクトルの吸収面積比により算出できる。CNTは、アーク放電法、化学気相成長法(CVD法)、レーザー・アブレーション法等の方法により得ることができる。
一方、第2絶縁層500について、その材料は、絶縁性の材料であればよく、特に限定されない。第2絶縁層500に含まれる樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、オレフィンポリマー、シクロオレフィンポリマー、ポリスチレン、ポリシロキサン、ポリイミド、ポリカーボネート、ビニルアルコール系樹脂、フェノール系樹脂などがあげられる。
また、第2絶縁層500の形状、大きさ、形成方法は、第1の領域110の半導体素子(例えば図1に示すFET200)の複数にわたって連続して配置されている限りにおいて、特に限定されない。例えば、第2絶縁層500の形状としては、基材100の面直方向から見た平面視で、円形、楕円形、六角形、正方形、長方形、角丸長方形、菱形、台形、凸型、半導体素子と同等の幅を有した線形状や、これらの複合形状等が挙げられる。これらの形状は、点状に形成された複数の樹脂が互いに接触して一体化した状態にある絶縁層の形状であってもよい。第2絶縁層500が複数個の半導体素子に跨った線形状であることは、以下に示す第1~第3の観点から、より好ましい。第1の観点は、第2絶縁層500の膜厚や線幅が安定するという観点である。第2の観点は、第2絶縁層500の組成的に均質な膜を形成できることで特性のバラつきを抑えられるという観点である。第3の観点は、個々の半導体素子それぞれを覆う複数の絶縁層を、これら複数の絶縁層同士の間に所望のスペースをあけた状態となるよう配置する場合に比べ、第1の領域110における複数の半導体素子をもれなく覆うために第2絶縁層500に必要とされるオーバーラップ量やそのマージンを低減できるという観点である。更に、第2絶縁層500が複数列および複数行に配置(配列)された半導体素子を面状に覆った面形状であることは、第2絶縁層500の縦横両方向の膜厚を平滑にしやすいという観点および上記第1~第3の観点から、特に好ましい。第2絶縁層500が上記面形状である場合、この面形状の第2絶縁層500に覆われる半導体素子は、上述したFET200について例示したように、複数行および複数列をなすように複数個配置されることが好ましい。これら複数の半導体素子の配置(複数行および複数列の配置)において、1つの行または1つの列に含まれる半導体素子の数は1個以上であってもよいが、特に、上記第3の観点から、1つの行に含まれる半導体素子の数および1つの列に含まれる半導体素子の数は、双方とも複数個であることが好ましい。
第2絶縁層500は、半導体層270に対して電気的な伝導性を担う電子や正孔といったキャリアを供給する役割を果たすために、炭素原子と窒素原子との結合を含む有機化合物を含有することが好ましい。そのような有機化合物としては、いかなる有機化合物でもよく、例えば、アミド系化合物、イミド系化合物、ウレア系化合物、アミン系化合物、イミン系化合物、アニリン系化合物、ニトリル系化合物などを挙げることができる。しかし、第2絶縁層500に含まれる有機化合物は、これらに限定されるものではない。
特に、第2絶縁層500は、窒素原子およびリン原子の中から選ばれるいずれか1種以上を有する電子供与性化合物を含有することが好ましい。第2絶縁層500が電子供与性化合物を含有することで、FET200の本来の導電型(p型)をn型化するために必要な第2絶縁層500の電子供与材料としての機能がより大きくなる。電子供与性化合物としては、いかなる有機化合物でもよいが、例えば、アミド系化合物、イミド系化合物、ウレア系化合物、アミン系化合物、イミン系化合物、アニリン系化合物、ニトリル系化合物などが好ましい。
また、第2絶縁層500には、半導体素子周囲の環境に対する特性変化の度合いを調整する役割を担わせることも可能である。そのため、本発明の実施の形態1に係る半導体装置101を、外部環境の変化を検知するセンサーなどとして利用する場合には、第2絶縁層500に上記のような性質が備わっていることがより好ましい。
例えば、第2絶縁層500の有無により、半導体装置101の複数の半導体素子に周囲温度による電気伝導性の違いを持たせた場合、半導体装置101の基材100上には、周囲温度に対して異なる電気伝導性を有する2種以上の半導体素子(例えば第1の領域110のFET200および第2の領域120のFET300の2種類)が存在することになる。この場合、第1の領域110の半導体素子と第2の領域120の半導体素子との電気伝導性の相異は、周囲温度に対する電気伝導性の違いである。この構成により、半導体装置101は、周囲温度の検出や、特定温度域でのみ動作する回路を形成することが可能になるなど、より機能性に優れた回路の実現に寄与することができる。
また、第2絶縁層500の有無により、半導体装置101の複数の半導体素子に周囲湿度による電気伝導性の違いを持たせた場合、半導体装置101の基材100上には、周囲湿度に対して異なる電気伝導性を有する2種以上の半導体素子が存在することになる。この場合、第1の領域110の半導体素子と第2の領域120の半導体素子との電気伝導性の相異は、周囲湿度に対する電気伝導性の違いである。この構成により、半導体装置101は、周囲湿度の検出や、特定湿度でのみ動作する回路の実現に寄与することができる。
また、第2絶縁層500の有無により、半導体装置101の複数の半導体素子に外部からの入射光波長による電気伝導性の違いを持たせた場合、半導体装置101の基材100上には、入射光波長に対して異なる電気伝導性を有する2種以上の半導体素子が存在することになる。この場合、第1の領域110の半導体素子と第2の領域120の半導体素子との電気伝導性の相異は、入射光波長に対する電気伝導性の違いである。また、第2絶縁層500の有無により、半導体装置101の複数の半導体素子に外部からの入射光量による電気伝導性の違いを持たせた場合、半導体装置101の基材100上には、入射光量に対して異なる電気伝導性を有する2種以上の半導体素子が存在することになる。この場合、第1の領域110の半導体素子と第2の領域120の半導体素子との電気伝導性の相異は、入射光量に対する電気伝導性の違いである。上記のような入射光波長に対する電気伝導性の違いを有する2種以上の半導体素子を備えた半導体装置101と、上記のような入射光量に対する電気伝導性の違いを有する2種以上の半導体素子を備えた半導体装置101とを組み合わせることにより、外部から入射する光の種類や強さなどに応じて動作や機能が変化する回路を実現することができる。この結果、例えば、イメージセンサーなどの撮像素子や、紫外線の検出素子など、多岐にわたるアプリケーションへの適用が可能な回路を提供することができる。
さらに、第2絶縁層500の有無により、半導体装置101の複数の半導体素子に外部からの酸素量による電気伝導性の違いを持たせた場合、半導体装置101の基材100上には、酸素量に対して異なる電気伝導性を有する2種以上の半導体素子が存在することになる。この場合、第1の領域110の半導体素子と第2の領域120の半導体素子との電気伝導性の相異は、酸素量に対する電気伝導性の違いである。この構成により、半導体装置101は、酸素を検出するセンサーとしての利用も可能となるなど、多岐にわたる機能を実現することができる。
また、本実施の形態1におけるFET200、300の構造は、図2に示したように、ゲート電極が半導体層の下側(基材側)に配置される、いわゆるボトムゲート構造である。しかし、本実施の形態1におけるFET200、300の構造は、これに限定されるものではなく、例えば、ゲート電極が半導体層の上側(基材と反対側)に配置される、いわゆるトップゲート構造であってもよい。
また、本実施の形態1において、n型のFET200のチャネル部分の縦構造は、下側から上側に向かって、基材100、ゲート電極230、ゲート絶縁層250、半導体層270および第2絶縁層500がこの順に並ぶ構造である。しかし、n型のFET200のチャネル部分の縦構造は、これに限定されず、下側から上側に向かって、ゲート電極230、ゲート絶縁層250、半導体層270、第2絶縁層500および基材100がこの順に並ぶ構造であってもよい。これと同様に、p型のFET300のチャネル部分の縦構造は、下側から上側に向かって基材100、ゲート電極330、ゲート絶縁層350および半導体層370がこの順に並ぶ構造であるが、これに限定されず、下側から上側に向かってゲート電極330、ゲート絶縁層350、半導体層370および基材100がこの順に並ぶ構造であってもよい。
また、これらFET200、300のチャネル部分の横構造は、図2に示したように、右側から左側に向かって、ソース電極、半導体層およびドレイン電極がこの順に並ぶ構造である。しかし、これらのソース電極およびドレイン電極には対称性があることから、当該チャネル部分の横構造は、左右が逆の構造であってもよい。
(実施の形態2)
図3は、本発明の実施の形態2に係る半導体装置の一構成例を模式的に示す概略平面図である。図3に示すように、本実施の形態2に係る半導体装置102は、基材100上に、上述した実施の形態1における第1の領域110に代えて第1の領域111を含み、この第1の領域111および第2の領域120に加えて、さらに、第3の領域130を含む。第1の領域111は、基材100の面上において第2の領域120および第3の領域130と連続する領域(図3では、これらの双方と隣接する領域)であること以外、実施の形態1における第1の領域110と同じである。本実施の形態2において、第1の領域111には、2個以上の半導体素子の一例として、4個のFET201が配置されている。これらのFET201は、各々、実施の形態1における第2絶縁層500と同様の第2絶縁層510を備える。これらのFET201の各々は、実施の形態1における第1の領域110のFET200と同様のトランジスタ構造を有し、第2絶縁層510により、上述のFET200と同様の電気伝導性(例えばn型特性)を有する。第2絶縁層510は、第1の領域111の半導体素子の2個以上(図3では4個のFET201)にわたって連続して配置される。その他の構成は実施の形態1と同じであり、同一構成部分には同一符号が付されている。
図3に示すように、第3の領域130は、基材100上における複数の領域のうち、第1の領域111および第2の領域120以外の領域であって、半導体素子が2個以上配置される領域の一例である。本実施の形態2において、第3の領域130には、2個以上の半導体素子の一例として、4個のFET202が配置されている。これらのFET202の各々は、第3の領域130の半導体素子の一例である。特に図示しないが、これらのFET202の各々は、第3の領域130のソース電極と、第3の領域130のドレイン電極と、第3の領域130のゲート電極と、第3の領域130の半導体層と、第3の領域130のゲート絶縁層と、第3絶縁層520とを備える。第3の領域130の半導体層は、第3の領域130のソース電極と第3の領域130のドレイン電極とに接する半導体層である。第3の領域130のゲート絶縁層は、第3の領域130の半導体層と第3の領域130のゲート電極とを絶縁する層である。第3の領域における、これらのソース電極、ドレイン電極、ゲート電極、半導体層およびゲート絶縁層は、各々、第1の領域111および第2の領域120におけるース電極、ドレイン電極、ゲート電極、半導体層およびゲート絶縁層と同様である。第3の領域130のFET202のトランジスタ構造は、第3絶縁層520を備えること以外、第1の領域111のFET201と同様である。
第3絶縁層520は、第3の領域130のゲート絶縁層とは異なる位置で第3の領域130の半導体層と接する絶縁層であり、第3の領域130の半導体素子の2個以上にわたって連続して配置される。本実施の形態2では、図3に示すように、第3絶縁層520は、4個のFET202を覆う態様で、これらのFET202にわたって連続して配置されている。上述の第2絶縁層510を構成する組成物と、この第3絶縁層520を構成する組成物とは、互いに異なる。
本発明において、「第2絶縁層を構成する組成物と第3絶縁層を構成する組成物とが互いに異なる」とは、これら第2絶縁層および第3絶縁層の各層を構成する化合物が異なるということをいう。例えば、当該「各層を構成する化合物が異なる」ことの一例として、例えば、当該各層同士で絶縁層を構成する樹脂が互いに異なる場合や、当該各層同士で、絶縁層を構成する樹脂は同じであるが、別途含まれる有機化合物や電子供与性化合物などの添加物が異なる場合が挙げられる。
第2絶縁層510は、実施の形態1で述べた第2絶縁層の好適例(例えば図1に示す第2絶縁層500)と同じく、第1の領域111のFET201の半導体層に対して電気的な伝導性を担う電子や正孔といったキャリアを供給する役割を実現できる限りにおいて、特に材料や形成方法を限定するものではない。
第3絶縁層520も、実施の形態1で述べた第2絶縁層の好適例と同じく、第3の領域130のFET202の半導体層に対して電気的な伝導性を担う電子や正孔といったキャリアを供給する役割を実現できることが好ましい。すなわち、第3の領域130のFET202は、第3絶縁層520によって所望の電気伝導性を有することが好ましい。例えば、第3の領域130のFET202の電気伝導性は、第3絶縁層520により、第1の領域111のFET201の電気伝導性および第2の領域120のFET300の電気伝導性の双方と相異し得る。この場合の具体例を挙げると、第1の領域111のFET201と第2の領域120のFET300との電気伝導性の相異は、トランジスタの電動型の違いであり、且つ、第3の領域130のFET202と第2の領域120のFET300との電気伝導性の相異は、トランジスタのしきい値電圧の違いである。
ただし、第3絶縁層520は、第3の領域130のFET202の電気伝導性を、第1の領域111に配置されるFET201および第2の領域120に配置されるFET300とは異なる電気伝導性に変化させるものに限定されない。例えば、第3絶縁層520は、第3の領域130を挟むようにして配置される配線間の絶縁性を高める役割や、製造プロセスにおける加工容易性や機械的強度等を向上させる役割を担うものとすることもできる。このとき、例えば、第1の領域111のFET201と第3の領域130のFET202とが、ともにn型特性を有するFET(n型FET)であってもよい。
上記の如き構成とすることにより、本実施の形態2に係る半導体装置102では、少なくとも、第1の領域111に配置されたFET201と第3の領域130に配置されたFET202とに、互いに異なる電気伝導性を持たせることが可能となる。例えば、第1の領域111のFET201と、第2の領域120のFET300と、第3の領域130のFET202とは、互いに異なる電気伝導性を有することができる。この結果、より複雑な回路を、半導体装置102の過度な面積の増大を招くことなく基材100上に形成することが可能となる。具体的には、第2絶縁層510および第3絶縁層520は、互いに異なる組成を有し、第1の領域111におけるFET201の半導体層と第3の領域130におけるFET202の半導体層とに対して、互いに異なる電気伝導性を各々供与することとなる。これにより、例えば、これらのFET201とFET202との間にしきい値電圧の変化をもたらすことが可能となる。すなわち、第1の領域111のFET201と第3の領域130のFET202との電気伝導性の相異は、互いに導電型が相異するか否かによらず、トランジスタのしきい値電圧の違いとすることができる。この結果、半導体装置102のより複雑な回路の実現が、基材100の面積の大幅な増加なく可能となる。
図4は、本発明の実施の形態2に係る半導体装置を適用したチャージポンプ回路の一構成例を示す模式回路図である。本実施の形態2では、例えば、半導体装置102等を用いることにより、図4に示すようなチャージポンプ回路を構成することができる。このチャージポンプ回路は、図4に示すように、複数(例えば2個)のインバータ600と、クロック発生回路601と、複数(例えば2個)のFET602と、コンデンサ603とを備える。これらのインバータ600の各々は、半導体装置102における第1の領域111のFET201(n型FET)と第2の領域120のFET300(p型FET)とを配線接続して組み合わせることによって構成される。クロック発生回路601は、これらのFET201およびFET300を配線接続して複数個組み合わせることによって構成される。また、複数のFET602は、半導体装置102における第3の領域130のFET202を配線接続して複数個組み合わせることによって構成される。図4に示すチャージポンプ回路は、上記のように半導体装置102を用いて構成される複数のインバータ600、クロック発生回路601および複数のFET602と、コンデンサ603とを配線接続することによって構成される。
一般的に、コンデンサ603を用いたチャージポンプ回路と言われる電圧の昇圧回路では、可能な限り低いしきい値電圧であるFET602が必要である。これに対して、このチャージポンプ回路を制御するための回路、例えば、クロック発生回路601(発振回路)の内部回路やインバータ600などでは、これらを構成するトランジスタ(具体的にはn型のFET201およびp型のFET300)のしきい値電圧を、通常のロジック回路で用いられるしきい値電圧(0.7V~1.2V程度)とすることが、半導体装置102の消費電流の観点から好ましい。したがって、このようなチャージポンプ回路には、少なくとも2種類のしきい値電圧をもつn型FETが必要となる。このような場合において、本実施の形態2における第1の領域111のFET201と第2の領域120のFET300と第3の領域130のFET202とを備えた半導体装置102を用いることにより、回路面積が小さいICチップを形成することができる。
また、このチャージポンプ回路を形成する場合は、半導体装置102において、第1の領域111のFET201の半導体層と、第3の領域130のFET202の半導体層とに対し、各々、第2絶縁層510および第3絶縁層520によって互いに異なる電気伝導性を供与することとなる。具体的には、これらのFET201およびFET202は双方ともn型FETでありながら、チャージポンプ回路のFET602を構成するFET202のしきい値電圧は、インバータ600やクロック発生回路601に用いられるFET201のしきい値電圧よりも低いものとなる。
更に、このチャージポンプ回路を形成する場合において、FET602は、必ずしもn型FETである必要はなく、例えば、しきい値電圧が可能な限り低いp型FETであってもよい。この場合、p型FETである第3の領域130のFET202の半導体層に対し、第3絶縁層520によって、p型FETである第2の領域120のFET300の半導体層とは異なる電気的特性を供与することとなる。具体的には、第1の領域111のFET201はn型FETであり、かつ第2の領域120のFET300および第3の領域130のFET202は、上記FET201とは異なるp型FETである。このようにFET300およびFET202は双方ともp型FETでありながら、チャージポンプ回路のFET602を構成するFET202のしきい値電圧は、インバータ600やクロック発生回路601に用いられるFET300のしきい値電圧よりも低いものとなる。
なお、上述した実施の形態2では、基材上に第1~第3の領域を有する半導体装置を示したが、本発明は、これに限定されるものではない。本発明に係る半導体装置は、基材上に、上述した第2絶縁層および第3絶縁層とは組成の異なる絶縁層(2個以上の半導体素子を一括して覆う第4絶縁層や第5絶縁層等)が配置される第4の領域、第5の領域等の更なる領域を含む複数の領域を有していてもよい。また、第3の領域130における複数の半導体素子(例えばFET202)の配置は、図3に例示される2行2列の配置に限定されず、1行以上および1列以上の配置であってもよく、複数行および複数列の配置であることが好ましい。これら複数の半導体素子の配置が複数行および複数列の配置である場合、1つの行に含まれる半導体素子の数は1個以上であってもよいし、1つの列に含まれる半導体素子の数は1個以上であってもよい。好ましくは、1つの行に含まれる半導体素子の数は複数個であり、且つ、1つの列に含まれる半導体素子の数は複数個である。第3の領域130における複数の半導体素子の配置を複数行および複数列の配置とすることが好ましい理由は、上述した実施の形態1において説明した第1の領域110における半導体素子の配置と同じである。また、上述した実施の形態2において詳しく説明しなかった事項であって、実施の形態1と共通する構成のものについては、実施の形態1と同一である。
(実施の形態3)
図5は、本発明の実施の形態3に係る半導体装置の一構成例を模式的に示す概略平面図である。図5に示すように、本実施の形態3に係る半導体装置103は、基材100における第2の領域120に配置されたFET300上にも、第2絶縁層550を備える。その他の構成は実施の形態2と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
上述した実施の形態1、2では、第2の領域120に第2絶縁層550が存在する必要性は、特に説明していなかった。しかし、実施の形態1において図1に示す第2絶縁層500を例示して説明したように、第2絶縁層550は、半導体素子の電気伝導性を変化させる機能を有し、これに加えて、保護膜として周囲からのコンタミネーションやノイズ、環境変化から半導体素子を保護する機能を有する。そのため、第1の領域111におけるFET201と第2の領域120におけるFET300とが互いに異なる電気伝導性を有する限りにおいて、第1の領域111および第2の領域120の両方に第2絶縁層が存在してもよい。
例えば図5に示すように、基材100における第2の領域120には、第2絶縁層550が、第2の領域120に配置された1個以上(例えば8個)のFET300を覆うように設けられている。特に、第2の領域120に2個以上のFET300が配置される場合、第2絶縁層550は、これらのFET300の2個以上にわたって連続して配置される。このような第2絶縁層550は、第1の領域111の第2絶縁層510と同様に、第2の領域120のFET300のゲート絶縁層とは異なる位置で当該FET300の半導体層と接する。第2絶縁層550の材料は、第2の領域120のFET300の電気伝導性を第1の領域111のFET201の電気伝導性とは相異させる絶縁性の材料であれば、特に限定されない。
本実施の形態3では、第1の領域111の第2絶縁層510に加えて第2の領域120の第2絶縁層550が設けられる基材100は、基材面が3つの領域に分けられるものであったが、本発明は、これに限定されるものではない。第2の領域120に第2絶縁層550が設けられる基材100は、上述した実施の形態1に示したように基材面が2つの領域に分けられるものであってもよいし、基材面が4つ以上の領域に分けられるものであってもよい。また、第2の領域120における半導体素子(例えばFET300)の配置は、図5に例示される2行4列の配置に限定されず、1行以上および1列以上の配置であってもよく、複数行および複数列の配置であることが好ましい。第2の領域120における半導体素子の配置が複数行および複数列の配置である場合、1つの行に含まれる半導体素子の数は1個以上であってもよいし、1つの列に含まれる半導体素子の数は1個以上であってもよい。好ましくは、1つの行に含まれる半導体素子の数は複数個であり、且つ、1つの列に含まれる半導体素子の数は複数個である。第2の領域120における半導体素子の配置を複数行および複数列の配置とすることが好ましい理由は、上述した実施の形態1において説明した第1の領域110における半導体素子の配置と同じである。
(実施の形態4)
図6は、本発明の実施の形態4に係る半導体装置の一構成例を模式的に示す概略平面図である。図6に示すように、本実施の形態6に係る半導体装置104は、基材100上にオーバーコート層560をさらに備える。オーバーコート層560は、第2絶縁層510、550および第3絶縁層520を覆うように、基材100上に設けられている。その他の構成は実施の形態3と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
図6に示すように、オーバーコート層560は、半導体装置104の基材100上に配置され、第2絶縁層510、550および第3絶縁層520とともに基材100上の半導体素子(第1の領域111のFET201、第2の領域120のFET300および第3の領域130のFET202)を覆う。これにより、オーバーコート層560は、これらの第2絶縁層510、550および第3絶縁層520と基材100上の半導体素子とを外部から保護することができる。このようにオーバーコート層560を半導体装置104の基材100上に配置することは、当該半導体素子の電気的特性の劣化抑制、コンタミネーションからの保護などの観点から好ましい。
なお、半導体装置104は、例えば、オーバーコート層560のみではなく、オーバーコート層560とは異なる組成を有する絶縁層をさらに備え、当該絶縁層を用いて基材100上の各半導体素子の電気伝導性を調整してもよい。基材100上の各半導体素子が所望の電気伝導性を有する限りにおいては、当該絶縁層の層数は特に限定されない。
また、本実施の形態4では、基材100上の3つの領域に各々設けられた第2絶縁層510、550および第3絶縁層520を覆う態様のオーバーコート層560を例示したが、本発明は、これに限定されるものではない。本発明において、オーバーコート層560は、実施の形態1に係る半導体装置101の第2絶縁層500およびFET200と第2の領域120のFET300とを覆うものであってもよいし、実施の形態2に係る半導体装置102の第2絶縁層510およびFET201と第2の領域120のFET300と第3絶縁層520およびFET202とを覆うものであってもよい。あるいは、オーバーコート層560は、基材100上の4つ以上に分けられる各領域の半導体素子およびその上の絶縁層を適宜覆うものであってもよい。
(実施の形態5)
図7は、本発明の実施の形態5に係る半導体装置の一構成例を模式的に示す概略平面図である。図7に示すように、本実施の形態5に係る半導体装置105は、基材100上に、上述した実施の形態1における第1の領域110に代えて第1の領域112を含み、第2の領域120に代えて第2の領域121を含む。また、半導体装置105は、第1の領域112に、上述した実施の形態1における2個以上のFET200に代えて2個以上のFET203、204を備え、第2絶縁層500に代えて2個以上のFET203を覆う第2絶縁層511と2個以上のFET204を覆う第2絶縁層512とを備える。また、半導体装置105は、第2の領域121に、上述した実施の形態1における1個以上のFET300に代えて1個以上のFET301を備える。その他の構成は実施の形態1と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
第1の領域112における2個以上のFET203、204の各々は、実施の形態1における第1の領域110のFET200と同様のトランジスタ構造を有する。FET203は、第2絶縁層511を備え、この第2絶縁層511により、上述のFET200と同様の電気伝導性(例えばn型特性)を有する。また、FET204は、第2絶縁層512を備え、この第2絶縁層512により、上記のFET203と同様の電気伝導性を有する。本実施の形態5では、図7に示すように、FET203は、長短を有する配置(例えば2行5列の配置)になるよう、第1の領域112に2個以上(例えば10個)形成されている。また、FET204は、長短を有する配置(例えば1行6列の配置)になるよう、第1の領域112に2個以上(例えば6個)形成されている。本発明において、長短を有する配置とは、基材上に配置される複数の半導体素子の行または列のうち、いずれか一方が他方に比べて長い(半導体素子の配置数が多い)態様の配置である。
第2絶縁層511、512は、各々、実施の形態1における第2絶縁層500と同様の組成物によって構成される。すなわち、第2絶縁層511を構成する組成物と第2絶縁層512を構成する組成物とは、互いに同一である。一方、これらの第2絶縁層511と第2絶縁層512とは、第1の領域112内において、互いに接することなく、各々独立した領域に設けられている。
また、第2絶縁層511は、第1の領域112における2個以上のFET203、204のうち、FET204とは配置の群が異なるFET203を一括して覆うように、FET203の2個以上(図7では10個)にわたって連続して配置される。一方、第2絶縁層512は、これらのFET203、204のうちFET204を一括して覆うように、FET204の2個以上(図7では6個)にわたって連続して配置される。本実施の形態5では、これらの第2絶縁層511、512は、基材100の面直方向から見た平面視で、角丸長方形の形状を有しているが、上述した実施の形態1~4における第2絶縁層と同様に、第2絶縁層511、512の形状は、特に角丸長方形に限定されるものではない。例えば、第2絶縁層511、512の形状としては、実施の形態1における第2絶縁層500の場合と同様に、楕円形、長方形、角丸長方形や、半導体素子の配置に応じた幅および長さを有する形状(例えば線形状)などが挙げられる。
また、本実施の形態5では、図7に示すように、第2絶縁層511、512が、第1の領域112において、長短を有する形状となるように複数(例えば2個)配置されている。すなわち、第2絶縁層511、512は、それぞれ、FET203、204の配置に応じて長尺方向および短尺方向を有する形状をなしている。複数の第2絶縁層511、512がそれぞれ長尺方向および短尺方向を有する形状である場合、これら複数の第2絶縁層511、512の長尺方向は、各々、互いに同一の方向であることが好ましい。特に、第2絶縁層511、512をノズル塗布法等により塗布形成する場合、第2絶縁層511、512の長尺方向が半導体装置105の製造時における基材100の搬送方向に対して平行となることが、製造タクト等の観点からより好ましい。また、第2絶縁層511、512をスクリーン印刷法等により塗布形成する場合、製造装置の設計容易性の観点から、第2絶縁層511、512の長尺方向が上記基材100の搬送方向に対して垂直方向となることが好ましい。
上述した実施の形態5において詳しく説明しなかった事項であって、実施の形態1と共通する構成のものについては、実施の形態1と同一である。また、上述した実施の形態5では、2つの領域を含む基材100上のうちの第1の領域に複数の第2絶縁層が設けられているが、本発明は、これに限定されるものではない。本発明において、複数の第2絶縁層は、実施の形態2~4に示されるように3つの領域を含む基材100のうちの第1の領域に、複数の第2絶縁層が設けられていてもよい。また、第1の領域に設けられる第2絶縁層の個数は、上述した2個に限定されず、3個以上であってもよい。また、第1の領域112における複数の半導体素子(例えばFET203、204)の配置は、図7に例示される2行5列または1行6列の配置に限定されず、1行以上および1列以上の配置であってもよく、複数行および複数列の配置であることが好ましい。これら複数の半導体素子の配置が複数行および複数列の配置である場合、1つの行に含まれる半導体素子の数は1個以上であってもよいし、1つの列に含まれる半導体素子の数は1個以上であってもよい。好ましくは、1つの行に含まれる半導体素子の数は複数個であり、且つ、1つの列に含まれる半導体素子の数は複数個である。第1の領域112における複数の半導体素子の配置を複数行および複数列の配置とすることが好ましい理由は、上述した実施の形態1において説明した第1の領域110における半導体素子の配置と同じである。
(実施の形態6)
図8は、本発明の実施の形態6に係る半導体装置の一構成例を模式的に示す概略平面図である。図8に示すように、本実施の形態6に係る半導体装置106は、基材100上に、上述した実施の形態5における第1の領域112および第2の領域121に加え、さらに、第3の領域131を含む。第3の領域131は、基材100の面上において、第1の領域112および第2の領域121と連続する領域(図8では、第1の領域112と第2の領域121とに挟まれる態様で隣接する領域)である。本実施の形態6において、第3の領域131には、2個以上の半導体素子の一例として、6個のFET205が配置されている。これらのFET205は、各々、第3絶縁層521を備える。その他の構成は実施の形態5と同じであり、同一構成部分には同一符号が付されている。
図8に示すように、第3の領域131は、基材100上における複数の領域のうち、第1の領域112および第2の領域121以外の領域であって、半導体素子が2個以上配置される領域の一例である。本実施の形態6において、第3の領域131には、2個以上の半導体素子の一例として、6個のFET205が配置されている。これらのFET205は、長短を有する配置(例えば1行6列の配置)になるように第3の領域131に形成されている。これらのFET205の各々は、第3の領域131の半導体素子の一例であり、第3絶縁層521を備えること以外、上述した実施の形態2における第3の領域130のFET202と同様のトランジスタ構造を有する。
第3絶縁層521は、第3の領域131においてFET205のゲート絶縁層とは異なる位置で当該FET205の半導体層と接する絶縁層であり、第3の領域131の半導体素子の2個以上にわたって連続して配置される。本実施の形態6では、図8に示すように、第3絶縁層521は、長短を有する配置で並ぶ6個のFET205を覆う態様で、これらのFET205にわたって連続して配置されている。この場合、第3絶縁層521は、図8に示すように、長短を有する形状(例えばFET205の配置に応じた幅および長さを有する線形状)をなしている。また、第1の領域112の第2絶縁層511を構成する組成物と、この第3絶縁層521を構成する組成物とは、互いに異なる。
また、第3絶縁層521は、第3の領域131のFET205の半導体層に対して電気的な伝導性を担う電子や正孔といったキャリアを供給する役割を実現できることが好ましい。すなわち、第3の領域131のFET205は、第3絶縁層521によって所望の電気伝導性を有することが好ましい。例えば、第3の領域131のFET205は、第3絶縁層521により、第1の領域112のFET203と同じn型特性を有するとともに、第1の領域112のFET203と異なるしきい値電圧を有するn型FETである。第3絶縁層521は、上記のような機能を実現できる限りにおいて、その材料および形成方法が限定されるものではない。
また、本実施の形態6において、第1の領域112の第2絶縁層511および第3の領域131の第3絶縁層521は、例えば図8に示すように、各々、長短を有する形状となるように配置されている。この場合、第2絶縁層511の長尺方向と第3絶縁層の長尺方向とは、互いに同一の方向であることが好ましい。特に、第2絶縁層511および第3絶縁層521をノズル塗布法等により塗布形成する場合、第2絶縁層511および第3絶縁層521の長尺方向が半導体装置106の製造時における基材100の搬送方向に対して平行となることが、製造タクト等の観点からより好ましい。また、第2絶縁層511および第3絶縁層521をスクリーン印刷法等により塗布形成する場合、製造装置の設計容易性の観点から、第2絶縁層511および第3絶縁層521の長尺方向が上記基材100の搬送方向に対して垂直方向となることが好ましい。
上述した実施の形態6では、第1の領域112に1個の第2絶縁層511が設けられていたが、第1の領域112内での第2絶縁層511の個数は1個に限定されることはなく、複数個の第2絶縁層511が第1の領域112に設けられていてもよい。これと同様に、第3の領域131内での第3絶縁層521の個数も1個に限定されず、複数個の第3絶縁層521が第3の領域131に設けられていてもよい。また、上述した実施の形態2と同様に、本発明に係る半導体装置は、基材上に、上述した第2絶縁層および第3絶縁層とは組成の異なる絶縁層(2個以上の半導体素子を一括して覆う第4絶縁層や第5絶縁層等)が配置される第4の領域、第5の領域等の更なる領域を含む複数の領域を有していてもよい。第4の領域、第5の領域に関して第3の領域に共通する構成の事項については、第3の領域と同一である。
また、第2絶縁層511および第3絶縁層521の各形状は、上述した実施の形態5で示した第2絶縁層の形状と同様、特に限定されるものではない。例えば、半導体装置106の基材100上に第2絶縁層511および第3絶縁層521が各々1個以上設けられ、これら第2絶縁層511および第3絶縁層521の各形状がそれぞれ長尺方向および短尺方向を有する形状である場合、半導体装置106における全ての第2絶縁層511および第3絶縁層521の長尺方向は、各々、互いに同一の方向であることが好ましい。
また、第3の領域131における複数の半導体素子(例えばFET205)の配置は、図8に例示される1行6列の配置に限定されず、1行以上および1列以上の配置であってもよく、複数行および複数列の配置であることが好ましい。これら複数の半導体素子の配置が複数行および複数列の配置である場合、1つの行に含まれる半導体素子の数は1個以上であってもよいし、1つの列に含まれる半導体素子の数は1個以上であってもよい。好ましくは、1つの行に含まれる半導体素子の数は複数個であり、且つ、1つの列に含まれる半導体素子の数は複数個である。第3の領域131における複数の半導体素子の配置を複数行および複数列の配置とすることが好ましい理由は、上述した実施の形態1において説明した第1の領域110における半導体素子の配置と同じである。また、上述した実施の形態6において詳しく説明しなかった事項であって、実施の形態2および実施の形態5と共通する構成のものについては、実施の形態2および実施の形態5と同一である。
<半導体装置の製造方法>
次に、本発明に係る半導体装置の製造方法について説明する。図9は、本発明に係る半導体装置の製造方法の一例を示す模式断面図である。以下では、図1、2に示した実施の形態1に係る半導体装置101を製造する方法を例にして、本発明に係る半導体装置の製造方法を、図9を用いて詳細に説明する。
本発明に係る半導体装置の製造方法では、図9に示すように、まず、基材100上にゲート電極230、330を形成するゲート電極形成工程が行われる(工程ST1)。この工程ST1では、まず、PETフィルム等からなる基材100の基板面上に、ゲート電極230およびゲート電極330の元となる電極層(例えば金属層)を成膜する。つぎに、この成膜した電極層を、レジスト塗布、露光、現像およびエッチング等の処理を含むプロセス、いわゆるフォトリソグラフィプロセスを用いて、所望の形状に加工する。これにより、図9に示すように、基材100における第1の領域110にゲート電極230を形成し、且つ、基材100における第2の領域120にゲート電極330を形成する。なお、ゲート電極230およびゲート電極330を形成するための材料や電極層の成膜方法、およびフォトリソグラフィプロセスの各々の詳細条件は、ゲート電極230およびゲート電極330の所望の形状が得られる限りにおいて、特に限定されない。
次に、図9に示すように、基材100上にゲート絶縁層250、350を形成するゲート絶縁層形成工程が行われる(工程ST2)。この工程ST2では、基材100の基板面上に、ゲート絶縁層250およびゲート絶縁層350を形成するための絶縁膜を成膜する。これにより、この絶縁膜のうち、第1の領域110におけるゲート電極230を覆う部分がゲート絶縁層250として形成され、且つ、第2の領域120におけるゲート電極330を覆う部分がゲート絶縁層350として形成される。ゲート絶縁層250およびゲート絶縁層350においても、その成膜方法は特に問わないが、例えば、塗布による成膜を行うことで、ゲート絶縁層250およびゲート絶縁層350を安価に形成できるというメリットがある。なお、ゲート絶縁層250およびゲート絶縁層350は、半導体素子を構成する部分のみが残るように、例えばフォトリソグラフィプロセスを用いて加工してもよいし、加工せず、これらのゲート絶縁層250、350を含む上記絶縁膜の全面が残ったままとしてもよい。ただし、この半導体装置の製造方法の例では省略するが、この半導体装置の製造方法に含まれる何れかの工程において、ゲート電極230およびゲート電極330への電気的接続を行うための配線を形成する工程は必要となる。
続いて、図9に示すように、基材100上にソース電極210、310およびドレイン電極220、320を形成する電極形成工程が行われる(工程ST3)。この工程ST3では、基材100上のうち、第1の領域110におけるゲート絶縁層250の上にソース電極210およびドレイン電極220を所望の形状に形成し、第2の領域120におけるゲート絶縁層350の上にソース電極310およびドレイン電極320を所望の形状に形成する。この際、例えば、上述した工程ST2において形成した絶縁膜(ゲート絶縁層250、350を含む絶縁膜)の上に、ソース電極210、310およびドレイン電極220、320の元となる金属層等の電極層を成膜する。つぎに、この成膜した電極層を、前述のフォトリソグラフィプロセスを用いて、所望の形状に加工する。これにより、図9に示すように、第1の領域110のソース電極210およびドレイン電極220と、第2の領域120のソース電極310およびドレイン電極320とを形成する。
この工程ST3においても、例えば、電極材料として塗布可能な材料を用いることで、より安価にソース電極210、310およびドレイン電極220、320を形成できるというメリットがある。しかし、ソース電極210、310およびドレイン電極220、320を形成するための材料、成膜方法、加工方法は、ソース電極210、310およびドレイン電極220、320の所望の形状および特性が得られる限りにおいて、特に限定されない。また、この半導体装置の製造方法の例では省略するが、この半導体装置の製造方法に含まれる何れかの工程において、ソース電極210、310およびドレイン電極220、320への電気的接続を行うための配線を形成する工程は必要となる。
次に、図9に示すように、基材100上に半導体層270、370を形成する半導体層形成工程が行われる(工程ST4)。この工程ST4では、基材100上のうち、第1の領域110におけるソース電極210およびドレイン電極220の間の領域に半導体層270を形成し、且つ、第2の領域120におけるソース電極310およびドレイン電極320の間の領域に半導体層370を形成する。なお、これらの半導体層270、370は、形成すべき領域をターゲットとして、例えば、インクジェット法による滴下などの方法で形成することが考えられる。しかし、半導体層270、370の形成方法は、半導体層270、370を所望の場所に形成できる限りにおいて、特に限定されない。また、この半導体装置の製造方法の例では、ソース電極やドレイン電極を形成した後に半導体を形成しているが、ソース電極やドレイン電極を形成する前に半導体層を形成してもよく、これらの形成工程の順序は特に限定されない。
次に、図9に示すように、基材100における第1の領域110に第2絶縁層500を形成する工程が行われる(工程ST5)。この工程ST5によって形成される第2絶縁層は、有機系の絶縁層であることが好ましい。また、この工程ST5における第2絶縁層500の形成方法としては、特に制限はないが、第2絶縁層500を形成するための組成物を塗布する方法が好ましい。すなわち、本発明に係る半導体装置の製造方法は、上記第2絶縁層500に例示される第2絶縁層を形成するための組成物(以下、「第2絶縁層組成物」という)を、基材における第1の領域の半導体素子の2個以上にわたって連続するように塗布する塗布工程を含むことが好ましい。この塗布工程は、例えば、基材100における第1の領域110に第2絶縁層500を形成する工程ST5として行われる。また、この塗布工程では、第2絶縁層組成物を、第1の領域110における複数のFET200の各々に対して個別に塗布するよりも、2個以上のFET200、すなわち、第1の領域110における半導体素子の複数にわたって連続するように塗布する方が、製造コストの観点から好ましい。
塗布方法としては、例えば、インクジェット方式、ノズル塗布方式、スクリーン印刷方式、オフセット印刷方式、ドロップキャスト塗布方式などが挙げられる。工程ST5(塗布工程)では、これらの方式のいずれか1種によって第2絶縁層組成物を第1の領域110に塗布し、これにより、第1の領域110における複数のFET200を一括して覆う態様の第2絶縁層500を形成する。工程ST5において行われる塗布方法は、各FET200のサイズや第2絶縁層500の材料に応じて、最適な方法を選択することが好ましい。第2絶縁層500の製造コストおよび膜厚の均一性などの観点から、インクジェット方式など、比較的狭い範囲への第2絶縁層組成物の塗布を繰り返す塗布方式に比べ、スクリーン印刷など、比較的広い範囲へ一括して第2絶縁層組成物を塗布することが可能な塗布方式が、より好ましい。第2絶縁層500の膜厚の均一性向上により、互いに近接するFET200同士の間における電気的特性のばらつきを可能な限り最小化し、特に相対精度を利用した回路において電気的特性を向上できることから、高性能な回路が実現できる。
以上の工程ST1~ST5を行うことにより、本発明の実施の形態1に示した構成での半導体装置を用いたチップ製造が可能となり、安価な製造コストで高機能あるいは高性能な回路を実現できる。また、これらの工程ST1~ST5は、実施の形態1に係る半導体装置の製造のみならず、実施の形態2~6に係る半導体装置の製造に適用することもできる。例えば、基材100における第1の領域に複数の第2絶縁層を形成する場合、上述した工程ST5が、第1の領域内の複数箇所について適宜行われる。また、基材100における第3の領域に半導体素子を形成する場合、上述した工程ST1~ST5の各工程が、第3の領域についても適宜行われる。
<無線通信装置>
本発明に係る半導体装置を備えた無線通信装置について説明する。この無線通信装置は、例えば、RFIDタグのように、リーダ/ライタに搭載されたアンテナから送信される無線信号を受信することで電気通信を行う装置である。
上記無線通信装置の一例としてのRFIDタグの具体的な動作は、例えば、以下の通りである。すなわち、リーダ/ライタに搭載されたアンテナから送信された無線信号を、RFIDタグのアンテナが受信する。受信された無線信号は、RFIDタグの整流回路によって直流電流に変換される。この直流電流に基づいて、RFIDタグが起電する。次に、起電されたRFIDタグは、リーダ/ライタからの無線信号をもとにコマンドを取得し、このコマンドに応じた動作を行う。例えば、RFIDタグは、自身のメモリ回路に蓄積されたデータを無線信号に乗せ、この無線信号を自身のアンテナからリーダ/ライタのアンテナへ送信する。
本発明に係る無線通信装置は、上述した実施の形態1~6に係る半導体装置のうち何れか1種類以上の半導体装置を備える。例えば、本発明において、無線通信装置は、当該半導体装置が有するn型FETおよびp型FET等を用いて構成することができる。このような構成を有する無線通信装置を用いることにより、安価なRFIDタグの実現が可能となる。
図10は、本発明に係る半導体装置を備えた無線通信装置の一構成例を示す模式ブロック図である。この無線通信装置700は、上述した実施の形態1~6に係る半導体装置のうち何れか1種類以上の半導体装置を用いて形成される回路と、アンテナ701とを組み合わせることにより、構成される。当該回路は、例えば、図10に示す整流回路702、電源生成部703、ロジック回路704、メモリ回路705および出力部706によって構成される。すなわち、無線通信装置700は、図10に示すように、アンテナ701と、整流回路702と、電源生成部703と、ロジック回路704と、メモリ回路705と、出力部706とを備える。
整流回路702、電源生成部703、ロジック回路704、メモリ回路705および出力部706は、各々、上述した実施の形態1~6に係る半導体装置を適宜用いて形成される。例えば、電源生成部703は、実施の形態2に係る半導体装置等によって構成されるチャージポンプ回路(図4参照)を用いることにより、形成することができる。また、ロジック回路704は、上述した実施の形態1~6の何れか1種類以上の半導体装置が適用されたリングオシレータおよび分周回路等を用いることにより、形成することができる。これらのリングオシレータおよび分周回路は、当該半導体装置が有するn型FETとp型FETとを配線接続によって複数個組み合わせることにより、形成することができる。
上記のような構成を有する無線通信装置700において、アンテナ701は、リーダ/ライタ等の外部装置から送信された無線信号を受信する。整流回路702は、アンテナ701で受信された無線信号を直流信号に整流する。電源生成部703は、この直流信号をもとに電源を生成し、生成した電源を無線通信装置700の各構成部に供給する。ロジック回路704は、受信された無線信号に対して復調等の処理を行い、これによってコマンドを取得する。続いて、ロジック回路704は、このコマンドに基づいて、メモリ回路705からデータを読み出し、この読み出したデータを含む電気信号を生成する。出力部706は、ロジック回路704から電気信号を取得し、その都度、取得した電気信号をアンテナ701へ出力する。アンテナ701は、この出力部706からの電気信号を、上記データを含む無線信号として外部装置に送信する。
<センサー制御装置>
本発明に係る半導体装置を備えたセンサー制御装置について説明する。特に図示しないが、このセンサー制御装置は、上述した実施の形態1~6に係る半導体装置のうち何れか1種類以上の半導体装置を備える。詳細には、実施の形態1において例示したように、本発明に係る半導体装置では、任意の電気的特性(電気伝導性等)を有する半導体素子の作り分けが可能である。特に、第2絶縁層を備える半導体素子(例えば図1、2に示すFET200)と、第2絶縁層を備えない半導体素子(例えば図1、2に示すFET300)とを作り分けることにより、外部環境に対して敏感に反応する特性を有する半導体素子と、外部環境に対して鈍感な特性を有する半導体素子とを同一基材上に同時に形成することができる。このような互いに異なる特性を有する複数の半導体素子を備えた半導体装置は、センサー制御装置として利用することが可能となる。
具体的には、本発明において、周囲温度に対して異なる電気伝導性を有する2種類以上の半導体素子を第2絶縁層の有無によって作り分けた場合、上記の半導体装置を用いることにより、周囲温度の検出または特定温度域での動作を行うセンサー制御装置を構成することができる。また、周囲湿度に対して異なる電気伝導性を有する2種類以上の半導体素子を第2絶縁層の有無によって作り分けた場合、上記の半導体装置を用いることにより、周囲湿度の検出または特定湿度域での動作を行うセンサー制御装置を構成することができる。また、外部からの入射光波長に対して異なる電気伝導性を有する2種類以上の半導体素子を第2絶縁層の有無によって作り分けた場合、上記の半導体装置を用いることにより、外部からの入射光の波長(光の種類)に応じて動作や機能が変化するセンサー制御装置を構成することができる。また、外部からの入射光量に対して異なる電気伝導性を有する2種類以上の半導体素子を第2絶縁層の有無によって作り分けた場合、上記の半導体装置を用いることにより、外部からの入射光の強さに応じて動作や機能が変化するセンサー制御装置を構成することができる。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明する。なお、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
(第1項目:半導体溶液の作製)
半導体溶液の作製では、まず、純度が95%のCNT(1.5mg)と、ドデシル硫酸ナトリウム(1.5mg)とを、水(30mL)中に加え、氷冷しながら、超音波ホモジナイザーを用いて、出力を250Wとして3時間超音波撹拌した。この際、上記CNTは、CNI社製の単層CNTを用いた。上記ドデシル硫酸ナトリウムは、和光純薬工業社製のものを用いた。この超音波攪拌により、溶媒に対するCNT複合体濃度が0.05g/LであるCNT複合体分散液を得た。つぎに、この得られたCNT複合体分散液を、遠心分離機(日立工機社製、CT15E)を用いて、21000Gで30分間遠心分離した。その後、このCNT複合体分散液の上澄みの80体積%を取り出すことによって、半導体溶液A1を得た。
(第2項目:ゲート絶縁層材料の作製)
ゲート絶縁層材料の作製では、まず、メチルトリメトキシシラン(61.29g(0.45mol))と、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(12.31g(0.05mol))と、フェニルトリメトキシシラン(99.15g(0.5mol))とを用いて、203.36gの容量であり且つ沸点が170℃であるプロピレングリコールモノブチルエーテルに溶解させた。続いて、これに、水(54.90g)とリン酸(0.864g)とを、撹拌しながら加えた。これによって得られた溶液を、バス温を105℃として2時間加熱し、内温を90℃まで上昇させて、主として副生するメタノールからなる成分を留出した。次に、バス温を130℃として2.0時間加熱し、内温を118℃まで上昇させて、主として水とプロピレングリコールモノブチルエーテルからなる成分を留出せしめ、その後、室温まで冷却した。これにより、固形分濃度が26.0質量%であるゲート絶縁層材料A2を得た。
(第3項目:半導体装置の作製)
本実施例1の半導体装置の作製では、上述した実施の形態1に例示されるように、n型のFET200とp型のFET300とを含む半導体装置101を形成し、この半導体装置101を用いて、発振回路であるリングオシレータを作製した。図11は、本発明の実施の形態1に係る半導体装置を備えたリングオシレータの一構成例を示す模式平面図である。図11に示すように、このリングオシレータ632は、21個のインバータ611~631を備える。リングオシレータ632は、これらのインバータ611~631を直列に21段分接続することによって構成されるものとした。なお、図11では、リングオシレータ632の構成を簡略に示すために、21個のインバータ611~631のうち、繰り返しの構成となるインバータ614~630の図示は省略している。
インバータ611~631の各々は、図1に例示される半導体装置101における第1の領域110のFET200(n型FET)と第2の領域120のFET300(p型FET)とを配線接続して組み合わせることによって構成される。また、これらのインバータ611~631を各々構成する複数組のFET200、300は、基材100の基材面上に形成された配線(図示せず)によって接続される。このような複数組のFET200、300の回路構成を有する半導体装置101を用いることにより、図11に示すようなリングオシレータ632を作製することができる。なお、上述した図1には、n型のFET200およびp型のFET300を各々8個備えた半導体装置101が例示されているが、本発明において、半導体装置101が備えるFET200、300の個数は特に限定されない。すなわち、リングオシレータ632に適用される半導体装置101は、このリングオシレータ632の形成に必要な個数のn型のFET200およびp型のFET300を備えている。
本実施例1におけるリングオシレータ632の回路を構成し得る半導体装置101は、以下に示す各工程を順次行うことによって作製される。詳細には、ゲート電極形成工程において、基材100としては、厚さ1mmのガラス製基板を用い、この基材100上に、抵抗加熱法により、厚さ100nmのアルミニウムを真空蒸着した。このアルミニウムの膜上に、フォトレジスト(商品名「LC100-10cP」、ローム・アンド・ハース社製)を、スピンコート塗布(1000rpm×20秒)して100℃で10分加熱乾燥した。これによって作製したフォトレジスト膜を、パラレルライトマスクアライナー(キヤノン社製、PLA-501F)を用いて、マスクを介してパターン露光した。その後、このフォトレジスト膜を、2.38重量%の水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液(商品名「ELM-D」、三菱ガス化学社製)で30秒間撹拌しながら現像し、次いで、水で30秒間洗浄した。つぎに、このパターン状のフォトレジスト膜を介して、基材100上のアルミニウムの膜を、混酸(商品名「SEA-5」、関東化学社製)で6分間エッチング処理し、その後、水で30秒間洗浄した。次いで、この基材100をAZリムーバ100(商品名、AZエレクトロニックマテリアルズ社製)に2分間浸漬して上記フォトレジスト膜を剥離し、水で30秒間洗浄後、120℃で20分間加熱乾燥した。この結果、基材100上にゲート電極を形成した。
上記ゲート電極形成工程の後、ゲート絶縁層形成工程では、上述したゲート絶縁層材料A2(実施例1の第2項目参照)を基材100上に滴下し、この基材100を、スピンコーターにより、200rpmの回転速度で5秒間回転させた後、700rpmの回転速度で15秒間回転させた。これにより、基材100上にゲート絶縁層材料A2を均一に塗布した。つぎに、この基材100上のゲート絶縁層材料A2の塗膜に対して、一定の熱処理を加えるアニール処理を行い、これにより、このゲート絶縁層材料A2を硬化させて絶縁層を形成した。この結果、基材100上に、厚さ350nmのゲート絶縁層を得た。更に、このゲート絶縁層を、パラレルライトマスクアライナーを用いて、マスクを介してパターン露光し、その後、所定の位置のゲート絶縁層をELM-Dで40秒間、ディップ現像し、水で30秒洗浄した。これにより、このゲート絶縁層からコンタクトホール部分の電極を露出させた。
上記ゲート絶縁層形成工程の後、電極形成工程では、基材100のゲート絶縁層の上に金属膜を成膜し、この金属膜の上に、フォトレジストを、スピンコート塗布(1000rpm×20秒)して100℃で10分加熱乾燥した。これによって作製したフォトレジスト膜を、パラレルライトマスクアライナーを用いて、マスクを介してパターン露光した。その後、このフォトレジスト膜を、自動現像装置(滝沢産業社製、AD-2000)を用いてELM-Dで30秒間撹拌しながら現像し、次いで、水で30秒間洗浄した。つぎに、このパターン状のフォトレジスト膜を介して、基材100上の金属膜を、AURUM-302(商品名、関東化学社製)で6分間エッチング処理し、その後、水で30秒間洗浄した。次いで、この基材100をAZリムーバ100に2分間浸漬して上記フォトレジスト膜を剥離し、水で30秒間洗浄後、120℃で20分間加熱乾燥した。この結果、基材100上にソース電極およびドレイン電極を形成した。
上記電極形成工程の後、半導体層形成工程では、実施例1の第1項目に示したCNTを含む半導体溶液A1(1μL)を、インクジェット法により、基材100上のソース電極とドレイン電極との間に滴下し、30℃で10分間、風乾した。つぎに、この風乾後の半導体溶液A1に対して、ホットプレート上で窒素気流下、150℃、30分の熱処理を行った。これにより、基材100上の第1の領域110および第2の領域120における複数のFETの半導体層を形成した。この時点において、これら複数のFETは、p型特性を有するp型FETである。
上記半導体層形成工程の後、塗布工程では、基材100の第1の領域110に存在する複数のFETの上部に、第2絶縁層組成物として、電子供与性を有するポリマー(ビックケミー・ジャパン社製、BYK6919)を、ドロップキャスト法により、0.2μL/個の塗布条件で連続的に塗布した。これにより、これら複数のFETをその全数にわたって連続して覆うように、当該ポリマーを第1の領域110に塗布した。続いて、この塗布後のポリマーに対して150℃、30分の熱処理を行い、これにより、第1の領域110に第2絶縁層500を形成した。第1の領域110内の全てのFETは、半導体層に対する第2絶縁層500により、本来有していたp型特性がn型特性へ改質され、この結果、n型FETとなった。本実施例1では、以上の工程を経て、リングオシレータ632の回路を含む半導体装置101を得た。
また、本実施例1では、リングオシレータ632を構成する半導体装置101の回路に電源電圧として5.0Vを印加し、オシロスコープ(Keysight Technology社製、DSOX6002A)によって波形を観測し、リングオシレータ632の発振動作を確認した。この結果、第1の領域110におけるFETの複数にわたって連続して形成した第2絶縁層500により、第1の領域110のFET200はn型FETとなり、第2絶縁層500を形成していない第2の領域120のFET300はp型FETとなっていることが確認できた。
<実施例2>
本実施例2では、上述した実施の形態1に例示されるように、n型のFET200とp型のFET300とを含む半導体装置101を形成し、この半導体装置101を用いて、分周回路を作製した。図12は、本発明の実施の形態1に係る半導体装置を備えた分周回路の一構成例を示す模式平面図である。図12に示すように、この分周回路642は、Dフリップフロップ640を備える。Dフリップフロップ640は、クロック入力端子(CLK入力端子)と、データ入力端子(D端子)と、反転出力端子(QB端子)と、出力端子(Q端子)とを有する。Dフリップフロップ640のQB端子とD端子とは、配線641によって電気的に接続されている。Dフリップフロップ640は、CLK入力端子へクロック信号を印加すると、2分周されたクロック信号をQ端子から出力する。
Dフリップフロップ640は、図1に例示される半導体装置101における第1の領域110のFET200(n型FET)と第2の領域120のFET300(p型FET)とを各々複数個用い、これら複数個のFET200、300を配線接続して組み合わせることによって構成される。このような複数個のFET200、300の回路構成を有する半導体装置101を用いることにより、図12に示すような分周回路642を作製することができる。なお、上述した図1には、n型のFET200およびp型のFET300を各々8個備えた半導体装置101が例示されているが、本発明において、半導体装置101が備えるFET200、300の個数は特に限定されない。すなわち、分周回路642に適用される半導体装置101は、この分周回路642の形成に必要な個数のn型のFET200およびp型のFET300を備えている。
本実施例2における半導体装置の製造方法は、上述した実施例1に示した工程と同様にした。また、本実施例2では、実施例1と同様に、分周回路642を構成する半導体装置101の回路に電源電圧として5.0Vを印加し、Dフリップフロップ640のCLK入力端子に所定の周波数で振幅が5.0Vの信号を入力すると、このCLK入力端子に入力した信号の1/2の周波数でDフリップフロップ640のQ端子から信号が出力されていることを確認した。すなわち、分周回路642の正常な分周動作を確認することができた。
<実施例3および比較例>
実施例3および当該実施例3に対する比較例について説明する。図13Aは、本発明に対する比較例に係る半導体装置の一構成例を示す模式平面図である。図13Bは、本発明の実施例3に係る半導体装置の一構成例を示す模式平面図である。
図13Aに示すように、比較例に係る半導体装置107は、基材100Aと、複数個のFET206、302とを備える。基材100Aは、上述した実施の形態1における基材100と同様の材料によって形成される基材であり、その基材面に所定領域113と第2の領域122とを含む。基材100Aの所定領域113には、複数個のFET206が配置されている。複数個のFET206は、各々、第2絶縁層513を備え、第2絶縁層513によってn型FETとなっている。また、比較例に係る半導体装置107において、第2絶縁層513は、複数個のFET206の各々を個別に覆うように所定領域113に設けられている。一方、基材100Aの第2の領域122には、複数個のFET302が配置されている。複数個のFET302は、各々、第2絶縁層513を備えていないFET、すなわち、p型FETである。比較例に係る半導体装置107は、第2絶縁層513がFET206の各別に形成されること以外、実施例1と同様の条件および方法によって作製した。
また、図13Bに示すように、本実施例3に係る半導体装置108は、基材100Bと、複数個のFET206、302とを備える。基材100Bは、上述した実施の形態1における基材100と同様の材料によって形成される基材であり、その基材面に第1の領域114と第2の領域122とを含む。基材100Bの第1の領域114には、上記比較例と同様に、複数個のFET206が配置されている。本実施例3において、複数個のFET206は、各々、第2絶縁層514を備え、第2絶縁層514によってn型FETとなっている。また、本実施例3に係る半導体装置108において、第2絶縁層514は、第1の領域114におけるFET206の複数(例えば全数)にわたって連続するように配置され、これらのFET206の全数を一括して覆っている。一方、基材100Bの第2の領域122には、上記比較例と同様に、複数個のFET302(p型FET)が配置されている。本実施例3に係る半導体装置108は、実施例1と同様の条件および方法によって作製した。
特に、比較例の第2絶縁層513および実施例3の第2絶縁層514の形成においては、ディスペンサ装置(武蔵エンジニアリング社製、SHOTmini、ML-808―FX)を用い、第2絶縁層組成物として、電子供与性を有するポリマー(ビックケミー・ジャパン社製、BYK6919)を1個の半導体素子あたりに1.0秒間吐出し、塗布した。このようにして、第2絶縁層513、514を各々形成した。この条件によって第2絶縁層組成物(第2絶縁層となる樹脂)を塗布した場合、当該樹脂の塗布形状は、基材の面直方向から見た平面視で円形または楕円形になり、当該樹脂の1回の吐出による塗布体の直径は1200μm程度であった。また、当該樹脂の塗布位置のばらつきや当該樹脂の濡れ広がり等を加味した第2絶縁層の中心位置精度は、±400μm程度であった。
比較例では、上述した樹脂の塗布体のサイズおよび第2絶縁層の中心位置精度等の知見に基づき、n型のFET206の素子間距離L1を2000μmとして、半導体装置107を作製した。また、本実施例3では、上記知見に基づき、n型のFET206の素子間距離L2を800μmとして、半導体装置108を作製した。これらの半導体装置107、108は、各々、図11に示したリングオシレータ632を含む回路(リングオシレータ回路)を有したものである。第2絶縁層513、514の形成におけるポリマーの吐出条件は、1個の半導体素子あたりに1.0秒間という同一条件として、全てのFET206の直上に、当該ポリマーを点状に吐出した。
このようにして作製した半導体装置107、108のうち、比較例に係る半導体装置107の第2絶縁層513は、図13Aに示すように、円形に独立した形状を有していた。この半導体装置107の基材100Aにおいて、n型のFET206および第2絶縁層513によって占められる所定領域113の面積は、約67.8mmであった。一方、本実施例3に係る半導体装置108の第2絶縁層514は、図13Bに示すように、複数のFET206に跨って角丸長方形状に一体化した形状を有していた。この半導体装置108の基材100Bにおいて、第1の領域114の面積は、約18.4mmであった。上記のように比較例と本実施例3とを比較して分かるように、本実施例3に係る半導体装置108では、第2絶縁層514が第1の領域114におけるFET206の複数にわたって連続して配置されているため、これらのFET206および第2絶縁層514によって占められる第1の領域114の面積を、比較例に係る半導体装置107の所定領域113に比べて大幅に縮小することができた。この結果、本実施例3に係る半導体装置108のサイズ(基材面積およびICチップ面積など)を比較例に係る半導体装置107に比べて小型化することができた。
また、これらの半導体装置107、108のリングオシレータ回路に、電源電圧として5.0Vを印加し、オシロスコープ(Keysight Technology社製、DSOX6002A)によって波形を観測し、それぞれのリングオシレータ回路の発振動作を確認した。この結果、どちらのリングオシレータ回路も同等の回路特性を有することを確認した。
以上のように、本発明に半導体装置、無線通信装置、センサー制御装置、および半導体装置の製造方法は、相補型回路のチップ面積および製造コストの増大を抑制することができる半導体装置、および当該半導体装置を用いた無線通信装置およびセンサー制御装置の実現に適している。
10、100、100A、100B 基材
11、101~108 半導体装置
20 n型FET
30 p型FET
50 n型改質ポリマー
110~112、114 第1の領域
113 所定領域
120~122 第2の領域
130、131 第3の領域
200~206、300~302 FET
210、310 ソース電極
220、320 ドレイン電極
230、330 ゲート電極
250、350 ゲート絶縁層
270、370 半導体層
500、510~514、550 第2絶縁層
520、521 第3絶縁層
560 オーバーコート層
600 インバータ
601 クロック発生回路
602 FET
603 コンデンサ
611、612、613、631 インバータ
632 リングオシレータ
640 Dフリップフロップ
641 配線
642 分周回路
700 無線通信装置
701 アンテナ
702 整流回路
703 電源生成部
704 ロジック回路
705 メモリ回路
706 出力部
L1、L2 素子間距離

Claims (19)

  1. 基材上に、少なくとも、半導体素子が2個以上配置される第1の領域と、半導体素子が1個以上配置される第2の領域と、を含む半導体装置であって、
    前記第1の領域の半導体素子は、
    前記第1の領域のソース電極、前記第1の領域のドレイン電極、前記第1の領域のゲート電極、前記第1の領域のソース電極と前記第1の領域のドレイン電極とに接する前記第1の領域の半導体層、および前記第1の領域の半導体層と前記第1の領域のゲート電極とを絶縁する前記第1の領域のゲート絶縁層と、
    前記第1の領域のゲート絶縁層とは異なる位置で前記第1の領域の半導体層と接する第2絶縁層と、
    を前記基材上に備え、
    前記第2の領域の半導体素子は、
    前記第2の領域のソース電極、前記第2の領域のドレイン電極、前記第2の領域のゲート電極、前記第2の領域のソース電極と前記第2の領域のドレイン電極とに接する前記第2の領域の半導体層、および前記第2の領域の半導体層と前記第2の領域のゲート電極とを絶縁する前記第2の領域のゲート絶縁層を前記基材上に備え、
    前記第1の領域の半導体素子の電気伝導性は、前記第2絶縁層により、前記第2の領域の半導体素子の電気伝導性と相異し、
    前記第2絶縁層は、前記第1の領域の半導体素子の2個以上にわたって連続して配置される、
    ことを特徴とする半導体装置。
  2. 前記基材上に、半導体素子が2個以上配置される第3の領域をさらに含み、
    前記第3の領域の半導体素子は、
    前記第3の領域のソース電極、前記第3の領域のドレイン電極、前記第3の領域のゲート電極、前記第3の領域のソース電極と前記第3の領域のドレイン電極とに接する前記第3の領域の半導体層、および前記第3の領域の半導体層と前記第3の領域のゲート電極とを絶縁する前記第3の領域のゲート絶縁層と、
    前記第3の領域のゲート絶縁層とは異なる位置で前記第3の領域の半導体層と接する第3絶縁層と、
    を備え、
    前記第2絶縁層を構成する組成物と前記第3絶縁層を構成する組成物とは、互いに異なる、
    ことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
  3. 前記第2絶縁層は、前記第1の領域において、長短を有する形状となるように複数配置され、
    複数の前記第2絶縁層の長尺方向は、各々、互いに同一の方向である、
    ことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
  4. 前記第2絶縁層および前記第3絶縁層は、各々、長短を有する形状となるように配置され、
    前記第2絶縁層の長尺方向と前記第3絶縁層の長尺方向とは、互いに同一の方向である、
    ことを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
  5. 前記基材上の半導体層が、カーボンナノチューブ、カーボンナノコイル、フラーレン、グラフェン、ナノダイヤモンドの中から選ばれるいずれか1種類以上の半導体材料を含有する、
    ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一つに記載の半導体装置。
  6. 前記基材上の半導体層が、カーボンナノチューブを含有する、
    ことを特徴とする請求項5に記載の半導体装置。
  7. 前記第2絶縁層が、窒素原子およびリン原子の中から選ばれるいずれか1種以上を有する電子供与性化合物を含有する、
    ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一つに記載の半導体装置。
  8. 前記第1の領域の半導体素子と前記第2の領域の半導体素子との電気伝導性の相異が、トランジスタのしきい値電圧の違いである、
    ことを特徴とする請求項1~7のいずれか一つに記載の半導体装置。
  9. 前記第1の領域の半導体素子と前記第2の領域の半導体素子との電気伝導性の相異が、トランジスタの導電型の違いである、
    ことを特徴とする請求項1~7のいずれか一つに記載の半導体装置。
  10. 前記第1の領域の半導体素子と前記第2の領域の半導体素子との電気伝導性の相異が、周囲温度に対する電気伝導性の違いである、
    ことを特徴とする請求項1~7のいずれか一つに記載の半導体装置。
  11. 前記第1の領域の半導体素子と前記第2の領域の半導体素子との電気伝導性の相異が、周囲湿度に対する電気伝導性の違いである、
    ことを特徴とする請求項1~7のいずれか一つに記載の半導体装置。
  12. 前記第1の領域の半導体素子と前記第2の領域の半導体素子との電気伝導性の相異が、入射光波長に対する電気伝導性の違いである、
    ことを特徴とする請求項1~7のいずれか一つに記載の半導体装置。
  13. 前記第1の領域の半導体素子と前記第2の領域の半導体素子との電気伝導性の相異が、入射光量に対する電気伝導性の違いである、
    ことを特徴とする請求項1~7のいずれか一つに記載の半導体装置。
  14. 前記第1の領域の半導体素子と前記第2の領域の半導体素子との電気伝導性の相異が、酸素量に対する電気伝導性の違いである、
    ことを特徴とする請求項1~7のいずれか一つに記載の半導体装置。
  15. 前記第3の領域の半導体素子の電気伝導性は、前記第3絶縁層により、前記第2の領域の半導体素子の電気伝導性と相異し、
    前記第1の領域の半導体素子と前記第2の領域の半導体素子との電気伝導性の相異が、トランジスタの導電型の違いであり、
    前記第3の領域の半導体素子と前記第2の領域の半導体素子との電気伝導性の相異が、トランジスタのしきい値電圧の違いである、
    ことを特徴とする請求項2または4に記載の半導体装置。
  16. 請求項1~15のいずれか一つに記載の半導体装置を製造する半導体装置の製造方法であって、
    前記第2絶縁層を形成するための組成物を、前記第1の領域の半導体素子の2個以上にわたって連続するように塗布する塗布工程を含む、
    ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
  17. 前記塗布工程は、インクジェット方式、ノズル塗布方式、スクリーン印刷方式、オフセット印刷方式、またはドロップキャスト塗布方式のいずれか1種によって前記組成物を塗布し、前記第2絶縁層を形成する、
    ことを特徴とする請求項16に記載の半導体装置の製造方法。
  18. 請求項1~15のいずれか一つに記載の半導体装置を備える、
    ことを特徴とする無線通信装置。
  19. 請求項1~15のいずれか一つに記載の半導体装置を備える、
    ことを特徴とするセンサー制御装置。
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