JP7354780B2 - 有機無機複合ヒドロゲル前駆体組成物、有機無機複合ヒドロゲル、及びその製造方法 - Google Patents

有機無機複合ヒドロゲル前駆体組成物、有機無機複合ヒドロゲル、及びその製造方法 Download PDF

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本発明は、有機無機複合ヒドロゲル前駆体組成物、有機無機複合ヒドロゲル、及びその製造方法に関する。
ゲルとは、液体と固体の中間の性質を有するものであり、水などの溶媒中に有機高分子などの物質が三次元網目を構成して、安定な状態となっているものである。特に、溶媒が水であるものは、ヒドロゲルと呼んでおり、医療、食品,スポーツ関連などの機能材料としての用途開発が行われてきた。特に均一な透明性、強靱な力学物性、吸水性、生体適合性等を持たせるために、様々な材料との複合化や、架橋構造の工夫がなされてきた。
例えば、水溶性有機高分子と水膨潤性粘土鉱物とが複合化して形成された三次元網目の中に水が包含されている有機無機複合ヒドロゲルに係る発明が記載されている(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1に記載の有機無機複合ヒドロゲルによれば、95%以上の光透過性、乾燥重量に対して10倍以上の吸水性、及び10倍以上の延伸ができることが記載されている。
しかしながら、これらのヒドロゲルを製造する場合、有機モノマーをラジカル重合させることの理由により、分子状酸素の不存在下でのみその合成が可能であると考えられていた。その結果、例えば、土木工事現場や建築工事現場で使用する等の工業用途への適用が困難であった。また、水膨潤性粘土鉱物を水中に含有させる際には、水膨潤性粘土鉱物が水中に出来るだけ均一に分散していることが必要であるが、その分散速度は遅く、加えて、継粉の形成を防止するために、適度な撹拌が必要なことから、土木工事現場や建築工事現場でその作業を行うことは困難であった。さらに、水膨潤性粘土鉱物は、水に分散後、経時的にその分散液の粘度が増加し、それ自身でいわゆるカードハウス構造を形成してゲル化することがあり、水分散状態で長期間保存することは好ましくなかった。
上記課題に対し、水溶性有機モノマー及びホスホン酸変性ヘクトライトを含有する水溶液と、重合開始剤と、重合促進剤とを混合する工程からなる有機無機複合ヒドロゲルの製造方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この製造方法は、現場施工に適しているが、材料に対するより長期の保存安定性を要求された場合、水溶性有機モノマー及びホスホン酸変性ヘクトライトを含有する水溶液の安定性が不十分であるという問題があった。
国際公開第WO2019/009025号
本発明が解決しようとする課題は、長期保存安定性を有する有機無機複合ヒドロゲル前駆体組成物を提供することである。
本発明者等は、水溶性有機モノマー、水膨潤性粘度鉱物、オキシラジカル化合物、及び水を含有する有機無機複合ヒドロゲル前駆体組成物が、上記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、水溶性有機モノマー(A)、水膨潤性粘度鉱物(B)、オキシラジカル化合物(C)、及び水を含有することを特徴とする有機無機複合ヒドロゲル前駆体組成物を提供するものである。
本発明の有機無機複合ヒドロゲル前駆体組成物は、長期保存安定性に優れるため、作業性に優れ、製造場所等の制約を受けないことから、土木工事現場等の各種工業用途へ適用することができる。
本発明の有機無機複合ヒドロゲル前駆体組成物は、水溶性有機モノマー(A)、水膨潤性粘度鉱物(B)、オキシラジカル化合物(C)、及び水を含有するものである。
前記水溶性有機モノマー(A)としては、例えば、(メタ)アクリルアミド基を有するモノマー、(メタ)アクリロイルオキシ基を有するモノマー、ヒドロキシル基を有するアクリルモノマー等が挙げられる。
前記(メタ)アクリルアミド基を有するモノマーとしては、例えば、アクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド、N-メチルアクリルアミド、N-エチルアクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、N-シクロプロピルアクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N-ジエチルアミノプロピルアクリルアミド、アクリロイルモルフォリン、メタクリルアミド、N,N-ジメチルメタクリルアミド、N,N-ジエチルメタクリルアミド、N-メチルメタクリルアミド、N-エチルメタクリルアミド、N-イソプロピルメタクリルアミド、N-シクロプロピルメタクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、N,N-ジエチルアミノプロピルメタクリルアミド等が挙げられる。
前記(メタ)アクリロイルオキシ基を有するモノマーとしては、例えば、メトキシエチルアクリレート、エトキシエチルアクリレート、メトキシエチルメタクリレート、エトキシエチルメタクリレート、メトキシメチルアクリレート、エトキシメチルアクリレート等が挙げられる。
前記ヒドロキシル基を有するアクリルモノマーとしては、例えば、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート等が挙げられる。
これらの中でも、溶解性及び得られる有機無機ヒドロゲルの物性の観点から、(メタ)アクリルアミド基を有するモノマーを用いることが好ましく、アクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、アクリロイルモルフォリンを用いることがより好ましく、N,N-ジメチルアクリルアミド、アクリロイルモルフォリンを用いることがさらに好ましく、重合が進行しやすい観点から、N,N-ジメチルアクリルアミドが特に好ましい。
なお、上述の水溶性有機モノマー(A)は単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の有機無機複合ヒドロゲル前駆体組成物中の前記水溶性有機モノマー(A)の含有量は、1~50質量%であることが好ましく、5~30質量%であることがより好ましい。前記水溶性有機モノマー(A)の含有量が1質量%以上であると、力学物性に優れるヒドロゲルを得ることができることから好ましい。一方、水溶性有機モノマーの含有量が50質量%以下であると、液の調製が容易にできることから好ましい。
前記水膨潤性粘土鉱物(B)は、上記水溶性有機モノマーの重合体とともに三次元網目構造を形成し、有機無機ヒドロゲルの構成要素となる。
前記水膨潤性粘土鉱物(B)としては、特に制限されないが、水膨潤性スメクタイト、水膨潤性雲母等が挙げられる。
前記水膨潤性スメクタイトとしては、例えば、水膨潤性ヘクトライト、水膨潤性モンモリロナイト、水膨潤性サポナイト等が挙げられる。
前記水膨潤性雲母としては、例えば、水膨潤性合成雲母等が挙げられる。
これらの中でも、分散液の安定性の観点から、水膨潤性ヘクトライト、水膨潤性モンモリロナイトを用いることが好ましく、水膨潤性ヘクトライトを用いることがより好ましい。
前記水膨潤性粘土鉱物(B)は、天然由来のもの、合成されたもの、および表面を修飾されたものを用いることもできる。表面を修飾された水膨潤性粘土鉱物としては、例えば、ホスホン酸変性ヘクトライト、フッ素変性ヘクトライト等が挙げられるが、得られる有機無機複合ヒドロゲルの強度及び接着性の観点から、ホスホン酸変性ヘクトライトを用いることが好ましい。
前記ホスホン酸変性ヘクトライトとしては、例えば、ピロリン酸変性ヘクトライト、エチドロン酸変性ヘクトライト、アレンドロン酸変性ヘクトライト、メチレンジホスホン酸変性ヘクトライト、フィチン酸変性ヘクトライト等を用いることができる。これらのホスホン酸変性ヘクトライトは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、上述の水膨潤性粘土鉱物(B)は単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の有機無機複合ヒドロゲル前駆体組成物中の水膨潤性粘土鉱物(B)の含有量は、得られるヒドロゲルの力学物性がより向上することから、1質量%以上であることが好ましく、2質量%以上であることがより好ましい。また、本発明の有機無機複合ヒドロゲル前駆体組成物中の水膨潤性粘土鉱物(B)の含有量は、前記組成物の粘度上昇をより抑制することができることから、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。
前記オキシラジカル化合物(C)は、重合禁止剤として作用し、本発明の組成物は、長期保存安定性を発現する。
前記オキシラジカル化合物(C)としては、例えば、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジン-1-オキシル、[2,6-ジ-tert-ブチル-4-[(3,5-ジ-tert-ブチル-4-オキソ-2,5-シクロヘキサジエン-1-イリデン)メチル]フェニルオキシ]ラジカル等が挙げられる。これらのオキシラジカル化合物(C)は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、本発明の効果を損なわない範囲において、その他の重合禁止剤を使用することもできる。
前記オキシラジカル化合物(C)の含有量としては、前記水溶性有機モノマー(A)の重合性と組成物の長期保存安定性とのバランスから、前記水溶性有機モノマー(A)に対し、20~200ppmの範囲が好ましく、20~100ppmの範囲がより好ましい。
また、本発明の有機無機複合ヒドロゲル前駆体組成物は、水以外の有機溶媒を含んでいてもよく、大気開放条件下においても質量変化が小さく、基材密着性、破断強度等の力学物性を安定して保持できるヒドロゲルが得られることから、揮発性が60℃1気圧の開放系において1cm・1時間あたり、0.1g以下(0.1g/cm・hr・60℃・1atm以下)のものが好ましく、0.05g以下のものがより好ましく、0.01g以下のものがさらに好ましい。具体的には、水と混和しやすい溶媒が好ましいことからグリセリン(0.001g以下/cm・hr・60℃・1atm)、ジグリセリン(0.001g以下/cm・hr・60℃・1atm)、エチレングリコール(0.01g以下/cm・hr・60℃・1atm)、プロピレングリコール(0.001g以下/cm・hr・60℃・1atm)、ポリエチレングリコール(0.001g以下/cm・hr・60℃・1atm)等の多価アルコールが好ましく、グリセリン、ジグリセリンがより好ましい。これらの有機溶媒は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、これらの有機溶媒は、本発明の有機無機複合ヒドロゲルに均一に含まれることが望ましい。
本発明の有機無機複合ヒドロゲル前駆体組成物中の水と前記有機溶媒との質量比(水/有機溶媒)は、大気開放条件下においても質量変化が小さく、基材密着性、破断強度等の各種物性に優れる有機無機ヒドロゲルが得られることから、60/40~20/80であることが重要であり、50/50~30/70であることが好ましい。
本発明の有機無機複合ヒドロゲル前駆体組成物は、保存安定性がより向上し、得られるヒドロゲルの破断強度及びヒドロゲル同士の接着性がより優れることから、セルロースナノファイバーを含有することが好ましい。
前記セルロースナノファイバーは、各種セルロースを解繊及び/又は微細化したものである。
前記セルロースとしては、パルプ、綿、紙、レーヨン・キュプラ・ポリノジック・アセテートなどの再生セルロース繊維、バクテリア産生セルロース、ホヤなどの動物由来セルロースなどが利用可能である。また、これらのセルロースは必要に応じて表面を化学修飾処理したものであってもよい。
前記セルロースナノファイバーの解繊及び/又は微細化は、例えば、水又はポリエステル樹脂等の解繊樹脂中にセルロースを添加し、機械的にせん断力を与えることにより行うことができる。
せん断力を与える手段としては、ビーズミル、超音波ホモジナイザー、一軸押出機、二軸押出機等の押出機、バンバリーミキサー、グラインダー、加圧ニーダー、2本ロール等の公知の混練機等を用いることができる。なお、上記の手段は単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、前記セルロースナノファイバーは、セルロースを解繊及び/又は微細化してセルロースナノファイバーを製造したのち、修飾する化合物をさらに添加して、セルロースナノファイバーと反応させることで得られる変性セルロースナノファイバーであってもよい。
修飾する化合物としては、アルキル基、アシル基、アシルアミノ基、シアノ基、アルコキシ基、アリール基、アミノ基、アリールオキシ基、シリル基、カルボキシル基等の官能基をセルロースナノファイバーに化学的に結合させて修飾する化合物等が挙げられる。
また、化学的に結合させなくても、修飾する化合物がセルロースナノファイバーに物理的に吸着する形でセルロースナノファイバーを修飾してもよい。物理的に吸着する化合物としては界面活性剤等が挙げられ、アニオン性、カチオン性、ノニオン性いずれを用いてもよい。
前記セルロースナノファイバーの繊維径及び繊維のアスペクト比としては特に制限されるものではないが、繊維径は1000nm以下が好ましく、100nm以下がより好ましい。
前記セルロースナノファイバーの市販品としては、ダイセルファインケム株式会社製の「セリッシュ」、第一工業製薬株式会社製の「レオクリスタ」、スギノマシン株式会社製の「BiNFi-s」、日本製紙株式会社の「cellenpia」等が挙げられる。
本発明の有機無機複合ヒドロゲル前駆体組成物中の前記セルロースナノファイバーの含有量としては、0.1~50質量%であることが好ましく、0.5~30質量%であることがより好ましく、1~20質量%であることがさらに好ましい。セルロースナノファイバーの含有量が0.1質量%以上であると、保存安定性がより優れるとともに、得られるヒドロゲルの破断強度及びヒドロゲル同士の接着力に優れるヒドロゲルを合成できることから好ましい。一方、セルロースナノファイバーの含有量が50質量%以下であると、前駆体組成物の調製が容易にできることから好ましい。
本発明の有機無機複合ヒドロゲル前駆体組成物は、例えば、水溶性有機モノマー(A)、水膨潤性粘度鉱物(B)、有機溶媒、及び水の混合液に、必要に応じてセルロースナノファイバーを添加し、さらに前記オキシラジカル化合物(C)を混合し、撹拌することで容易に調製できる。
本発明の有機無機複合ヒドロゲル製造方法としては、簡便に三次元網目構造を有する有機無機複合ヒドロゲルが得られることから、前記有機無機複合ヒドロゲル前駆体組成物と、重合開始剤と、重合促進剤とを含む混合液(X)中で、前記水溶性有機モノマー(A)を重合させる方法が好ましい。得られた水溶性有機モノマーの重合体は水膨潤性粘土鉱物ととともに三次元網目構造を形成し、有機無機複合ヒドロゲルの構成要素となる。
前記重合開始剤は、空気雰囲気下においても、前記水溶性有機モノマー(A)の重合を十分に進行させることができることから、20℃における水への溶解度が50g/100ml以上であることが好ましい。
前記重合開始剤としては、例えば、20℃における水への溶解度が50g/100ml以上である水溶性の過酸化物、水溶性のアゾ化合物等が挙げられる。
前記水溶性の過酸化物としては、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、t-ブチルヒドロペルオキシド等が挙げられる。
前記水溶性のアゾ化合物としては、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)2塩酸塩、4,4’-アゾビス(4-シアノバレリン酸)等が挙げられる。
これらの中でも、前記水膨潤性粘度鉱物(B)との相互作用の観点から、水溶性の過酸化物を用いることが好ましく、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウムを用いることがより好ましい。
なお、前記重合開始剤は単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記混合液(X)中の前記水溶性有機モノマー(A)に対する前記重合開始剤のモル比は、空気雰囲気下においても、前記水溶性有機モノマー(A)の重合を十分に進行させることができることから、0.01~0.1の範囲が好ましく、0.01~0.05の範囲がより好ましい。
前記重合促進剤としては、例えば、3級アミン化合物、チオ硫酸塩、アスコルビン酸類等が挙げられる。
前記3級アミン化合物としては、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、3-ジメチルアミノプロピオニトリルが挙げられる。
前記チオ硫酸塩としては、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸アンモニウムが挙げられる。
前記アスコルビン酸類としては、L-アスコルビン酸、L-アスコルビン酸ナトリウムが挙げられる。
これらのうち、水膨潤性粘土鉱物との親和性及び相互作用の観点から、3級アミン化合物を用いることが好ましく、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミンを用いることがより好ましい。
なお、前記重合促進剤は単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記混合液(X)中の前記重合促進剤の含有量は、0.01~1質量%であることが好ましく、0.05~0.5質量%であることがより好ましい。0.01質量%以上であると、得られるヒドロゲルの有機モノマーの合成を効率よく促進できることから好ましい。一方、1質量%以下であると、分散液が重合前に凝集せずに使用することができて、取扱性が向上することから好ましい。
前記有機無機複合ヒドロゲル前駆体組成物、前記重合開始剤及び前記重合促進剤を混合し、混合液(X)を調製する工程としては、前記有機無機複合ヒドロゲル前駆体組成物中に、前記重合開始剤及び前記重合促進剤をそのまま混合してもよいし、前記重合開始剤の水溶液や、前記重合促進剤の水溶液を混合してもよい。
前記混合液(X)は、前記有機無機複合ヒドロゲル前駆体組成物、前記重合開始剤及び前記重合促進剤を含有するが、必要に応じて、有機架橋剤、防腐剤、増粘剤等をさらに含んでいてもよい。
本発明の有機無機複合ヒドロゲルの製造方法は、前記有機無機複合ヒドロゲル前駆体組成物と、前記重合開始剤と、前記重合促進剤とを混合し、前記有機無機複合ヒドロゲル前駆体組成物中の水溶性有機モノマー(A)を重合させるものであるが、加熱や紫外線照射等の後工程を必要としないことから、作業性に優れるものである。
重合温度としては、10~80℃であることが好ましく、20~80℃であることがより好ましい。重合温度が10℃以上であると、ラジカル反応が連鎖的に進行できることから好ましい。一方、重合温度が80℃以下であると、分散液中に含まれる水が沸騰せずに重合できることから好ましい。
重合時間としては、前記重合開始剤や前記重合促進剤の種類によって異なるが、数十秒~24時間の間で実施される。特に、加熱やレドックスを利用するラジカル重合の場合は、1~24時間であることが好ましく、5~24時間であることがより好ましい。重合時間が1時間以上であると、前記水膨潤性粘土鉱物(B)と前記水溶性有機モノマー(A)の重合物が三次元網目を形成できることから好ましい。一方、重合反応は24時間以内にほぼ完了するので、重合時間は24時間以下が好ましい。
本発明の有機無機複合ヒドロゲルの製造方法では、前記有機無機複合ヒドロゲル前駆体組成物の長期保存安定性が優れることから、前記有機無機複合ヒドロゲル前駆体組成物を調製後、使用現場へ輸送等することができる。また、空気雰囲気下においても、簡易に有機無機複合ヒドロゲルを製造できることから、土木工事現場や建築工事現場等の現場施工用途においても、好適に使用できる。
以下に本発明を具体的な実施例を挙げてより詳細に説明する。
(実施例1:有機無機複合ヒドロゲル前駆体組成物(1)の製造及び評価)
平底ガラス容器に、純水40mL、精製グリセリン50mL、ホスホン酸変性合成ヘクトライト(ビックケミー・ジャパン株式会社製「ラポナイトRDS」)/「ラポナイトS-482」)4.8g/1.44g、ジメチルアクリルアミド20g、N,N‘-メチレンビスアクリルアミド20mgを入れて、撹拌により水溶液を調製した。この水溶液の外観は、均一な薄い白色であり、特に凝集物は見られなかった。次いでこの水溶液にセルロースナノファイバー(ダイセルファインケム株式会社製「セリッシュKY100G」;以下、「CNF(1)」と略記する。)10gを少量ずつ攪拌しながら添加して、最後に2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジン-1-オキシル(以下、「オキシラジカル化合物(C-1)」と略記する。)0.00055g(5ppm)を混合溶解し有機無機複合ヒドロゲル前駆体組成物(1)を調整した。
(実施例2:有機無機複合ヒドロゲル前駆体組成物(2)の製造及び評価)
平底ガラス容器に、純水40mL、精製グリセリン50mL、ホスホン酸変性合成ヘクトライト(ビックケミー・ジャパン株式会社製「ラポナイトRDS」)/「ラポナイトS-482」)4.8g/1.44g、ジメチルアクリルアミド20g、N,N‘-メチレンビスアクリルアミド20mgを入れて、撹拌により水溶液を調製した。この水溶液の外観は、均一な薄い白色であり、特に凝集物は見られなかった。次いでこの水溶液にCNF(1)10gを少量ずつ攪拌しながら添加して、最後に[2,6-ジ-tert-ブチル-4-[(3,5-ジ-tert-ブチル-4-オキソ-2,5-シクロヘキサジエン-1-イリデン)メチル]フェニルオキシ]ラジカル(Galvinoxyl)(以下、「オキシラジカル化合物(C-2)」と略記する。)0.00055g(5ppm)を混合溶解し有機無機複合ヒドロゲル前駆体組成物(2)を調整した。
(比較例1:有機無機複合ヒドロゲル前駆体組成物(R1)の製造及び評価)
平底ガラス容器に、純水40mL、精製グリセリン50mL、ホスホン酸変性合成ヘクトライト(ビックケミー・ジャパン株式会社製「ラポナイトRDS」)/「ラポナイトS-482」)4.8g/1.44g、ジメチルアクリルアミド20g、N,N‘-メチレンビスアクリルアミド20mgを入れて、撹拌により水溶液を調製した。この水溶液の外観は、均一な薄い白色であり、特に凝集物は見られなかった。次いでこの水溶液にCNF(1)10gを少量ずつ攪拌しながら添加して、有機無機複合ヒドロゲル前駆体組成物(R1)を調整した。
(比較例2:有機無機複合ヒドロゲル前駆体組成物(R2)の製造及び評価)
平底ガラス容器に、純水40mL、精製グリセリン50mL、ホスホン酸変性合成ヘクトライト(ビックケミー・ジャパン株式会社製「ラポナイトRDS」)/「ラポナイトS-482」)4.8g/1.44g、ジメチルアクリルアミド20g、N,N‘-メチレンビスアクリルアミド20mgを入れて、撹拌により水溶液を調製した。この水溶液の外観は、均一な薄い白色であり、特に凝集物は見られなかった。次いでこの水溶液にCNF(1)10gを少量ずつ攪拌しながら添加して、最後に1,4-ヒドロキシベンゼン0.0055g(50ppm)を混合溶解し有機無機複合ヒドロゲル前駆体組成物(R2)を調整した。
[長期保存安定性の評価]
上記で得た有機無機複合ヒドロゲル前駆体組成物を入れたガラス瓶を密封して、80℃恒温器に保管し、ゲル化までの日数を評価した。
上記で得られた評価結果を表1に示す。
Figure 0007354780000001
実施例1及び2の本発明の有機無機複合ヒドロゲル前駆体組成物は、長期保存安定性に優れることが確認された。
一方、比較例1は、重合禁止剤を使用しなかった例であるが、保存安定性が不十分であることが確認された。
比較例2は、重合禁止剤として、オキシラジカル化合物を使用しなかった例であるが、保存安定性が不十分であることが確認された。
(実施例3:有機無機複合ヒドロゲル(1)の製造及び評価)
平底ガラス容器に、グリセリン10g、テトラメチルエチレンジアミン(以下、「TEMED」と略記する。)80μLを入れて撹拌し、均一なTEMED水溶液を調製した。
200mLのガラスビーカーに、上記実施例1で得た有機無機複合ヒドロゲル前駆体組成物(1)110g入れ、そこに過硫酸ナトリウム(以下、「NPS」と略記する。)0.5gを入れて、溶解するまで撹拌した。さらに、上記で調製したTEMED水溶液を加えていき、均一に混合するまで撹拌を続け、混合液(X-1)を調製した。
上記で得られた混合液(X-1)を、直ちに厚さ5mmのガラス板を2mmのスペーサーを介して2枚合わせたものの2mmの隙間に流延し、室温でそのまま24時間静置して、厚さ2mmの有機無機複合ヒドロゲル(1)を製造した。24時間後に流延した液体の状態を確認したところ、均一で無色透明の有機無機複合ヒドロゲルのシートが得られた。
[有機無機複合ヒドロゲルの破断強度と標線間伸び率の評価]
上記で作製した有機無機複合ヒドロゲルのシートを用いて、JIS K 6251:2010の試験方法に準じて、引張試験を実施し、破断強度を評価した。引張試験の試料は、JIS3号のダンベル形状とした。引張試験の条件は、引張試験機(オートグラフAG-10KNX、株式会社島津製作所製)を用いて、23℃、引張速度500mm/分として、試料が破断するまで延伸した。
破壊強度は0.55MPa、標線間伸び率は1100%であった。
(実施例4:有機無機複合ヒドロゲル(2)の製造と評価)
実施例2で得た有機無機複合ヒドロゲル前駆体組成物(2)を使用するほかは実施例3と同様にして有機無機複合ヒドロゲルのシートが得られた。
破壊強度は0.55MPa、標線間伸び率は1100%であった。

Claims (5)

  1. 水溶性有機モノマー(A)、水膨潤性粘鉱物(B)、オキシラジカル化合物(C)、及び水を含有することを特徴とする有機無機複合ヒドロゲル前駆体組成物。
  2. 前記水膨潤性粘鉱物(B)がホスホン酸変性ヘクトライトである請求項1記載の有機無機複合ヒドロゲル前駆体組成物。
  3. 揮発性が60℃1気圧の開放系において1cm・1時間あたり、0.1g以下(0.1g/cm・hr・60℃・1atm以下)である低揮発性溶媒を含有する請求項1又は2記載の有機無機複合ヒドロゲル前駆体組成物。
  4. 請求項1~3いずれか1項に記載の有機無機複合ヒドロゲル前駆体組成物の反応物であることを特徴とする有機無機複合ヒドロゲル。
  5. 請求項1~3いずれか1項に記載の有機無機複合ヒドロゲル前駆体組成物と、重合開始剤と、重合促進剤とを混合する工程を含むことを特徴とする有機無機複合ヒドロゲルの製造方法。
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