JP7350547B2 - 硬化性組成物、ドライフィルム、硬化物、電子部品およびポリフェニレンエーテル - Google Patents
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Description
前記側鎖エポキシ化ポリフェニレンエーテルが、少なくとも下記条件1および下記条件2をいずれも満たすフェノール類(A)、または、少なくとも下記条件1を満たし下記条件2を満たさないフェノール類(B)と下記条件1を満たさず下記条件2を満たすフェノール類(C)の混合物を含む原料フェノール類からなるポリフェニレンエーテルの側鎖不飽和炭素結合の一部または全部をエポキシ化したものである、
および/または
前記他のポリフェニレンエーテルが、少なくとも下記条件1および下記条件2をいずれも満たすフェノール類(A)、または、少なくとも下記条件1を満たし下記条件2を満たさないフェノール類(B)と下記条件1を満たさず下記条件2を満たすフェノール類(C)の混合物を含む原料フェノール類からなるものである、
硬化性組成物である。
(条件1)
オルト位およびパラ位に水素原子を有する
(条件2)
パラ位に水素原子を有し、不飽和炭素結合を含む官能基を有する
側鎖エポキシ化ポリフェニレンエーテルと、前記側鎖エポキシ化ポリフェニレンエーテルとは異なる他のポリフェニレンエーテルと、を含む硬化性組成物であって、
前記側鎖エポキシ化ポリフェニレンエーテルが、少なくとも下記条件1および下記条件2をいずれも満たすフェノール類(A)、または、少なくとも下記条件1を満たし下記条件2を満たさないフェノール類(B)と下記条件1を満たさず下記条件2を満たすフェノール類(C)の混合物を含む原料フェノール類からなり、コンフォメーションプロットで算出された傾きが0.6未満であるポリフェニレンエーテルの側鎖不飽和炭素結合の一部または全部をエポキシ化したものである、
および/または
前記他のポリフェニレンエーテルが、少なくとも下記条件1および下記条件2をいずれも満たすフェノール類(A)、または、少なくとも下記条件1を満たし下記条件2を満たさないフェノール類(B)と下記条件1を満たさず下記条件2を満たすフェノール類(C)の混合物を含む原料フェノール類からなり、コンフォメーションプロットで算出された傾きが0.6未満であるものである、
硬化性組成物である。
(条件1)
オルト位およびパラ位に水素原子を有する
(条件2)
パラ位に水素原子を有し、不飽和炭素結合を含む官能基を有する
本発明の硬化性組成物(単に組成物とも表現する場合がある)は、側鎖エポキシ化ポリフェニレンエーテルと、これとは異なる他のポリフェニレンエーテル(側鎖不飽和炭素結合を有する、非側鎖エポキシ化ポリフェニレンエーテル)とを含む。
(1)分岐構造を有しない側鎖エポキシ化ポリフェニレンエーテルと、側鎖不飽和炭素結合を有し、分岐構造を有する非側鎖エポキシ化ポリフェニレンエーテルとを含む組成物。
(2)分岐構造を有する側鎖エポキシ化ポリフェニレンエーテルと、側鎖不飽和炭素結合を有し、分岐構造を有しない非側鎖エポキシ化ポリフェニレンエーテルとを含む組成物。
(3)分岐構造を有する側鎖エポキシ化ポリフェニレンエーテルと、側鎖不飽和炭素結合を有し、分岐構造を有する非側鎖エポキシ化ポリフェニレンエーテルとを含む組成物。
側鎖エポキシ化ポリフェニレンエーテルは、側鎖に不飽和炭素結合を有するポリフェニレンエーテルの側鎖不飽和炭素結合の一部または全部をエポキシ化したものである。側鎖不飽和炭素結合は、典型的には、ポリフェニレンエーテルの構成単位である原料フェノール類が置換基として有する不飽和炭素結合に由来する。
(条件)
パラ位に水素原子を有し、不飽和炭素結合を含む官能基を有する
本発明の組成物は、上述した側鎖エポキシ化ポリフェニレンエーテルとは異なる他のポリフェニレンエーテルを含む。言い換えれば、他のポリフェニレンエーテルは、側鎖エポキシ化ポリフェニレンエーテルに該当しないポリフェニレンエーテル(非側鎖エポキシ化ポリフェニレンエーテル)である。
分岐構造を有し、かつ側鎖不飽和炭素結合を有するポリフェニレンエーテルは、(形態1)少なくとも、下記条件1および下記条件2をいずれも満たすフェノール類(A)を必須成分として含む原料フェノール類、または、(形態2)少なくとも、下記条件1を満たし下記条件2を満たさないフェノール類(B)と下記条件1を満たさず下記条件2を満たすフェノール類(C)との混合物を必須成分として含む原料フェノール類、を酸化重合させて得られるものである。
(条件1)
オルト位およびパラ位に水素原子を有する
(条件2)
パラ位に水素原子を有し、不飽和炭素結合を含む官能基を有する
ポリフェニレンエーテルのクロロホルム溶液を、0.1、0.15、0.2、0.25mg/mLの間隔で調製後、0.5mL/minで送液しながら屈折率差と濃度のグラフを作成し、傾きから屈折率増分dn/dcを計算する。次に、下記装置運転条件にて、絶対分子量を測定する。RI検出器のクロマトグラムとMALS検出器のクロマトグラムを参考に、分子量と回転半径の対数グラフ(コンフォメーションプロット)から、最小二乗法による回帰直線を求め、その傾きを算出する。
装置名 :HLC8320GPC
移動相 :クロロホルム
カラム :TOSOH TSKguardcolumnHHR-H
+TSKgelGMHHR-H(2本)
+TSKgelG2500HHR
流速 :0.6mL/min.
検出器 :DAWN HELEOS(MALS検出器)
+Optilab rEX(RI検出器、波長254nm)
試料濃度 :0.5mg/mL
試料溶媒 :移動相と同じ。試料5mgを移動相10mLで溶解
注入量 :200μL
フィルター :0.45μm
STD試薬 :標準ポリスチレン Mw 37,900
STD濃度 :1.5mg/mL
STD溶媒 :移動相と同じ。試料15mgを移動相10mLで溶解
分析時間 :100min
硬化性組成物は、過酸化物および/またはエポキシ基反応性架橋型硬化剤を含むことが好ましい。また、硬化性組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲内で、その他の成分を含んでいてもよい。
硬化物は、上述した硬化性組成物を硬化することで得られる。
本発明のドライフィルムまたはプリプレグは、上述した硬化性組成物を基材に塗布して得られるものである。
本発明においては、上述のプリプレグを用いて積層板を作製することができる。
このような硬化物は、優れた誘電特性や耐熱性を有するため、電子部品用等に使用可能である。
側鎖エポキシ化PPEを以下の通りに調製した。
(PPE-1の合成)
3Lの二つ口ナスフラスコに、ジ-μ-ヒドロキソ-ビス[(N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン)銅(II)]クロリド(Cu/TMEDA)5.3gと、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)5.7mLを加えて十分に溶解させ、10ml/minにて酸素を供給した。о-クレゾール10.0g、2-アリル-6-メチルフェノール13.7g、2,6-ジメチルフェノール90.3gをトルエン1.5Lに溶解させ、フラスコに滴下し、600rpmの回転速度で攪拌しながら40℃で6時間反応させた。反応終了後、メタノール20L:濃塩酸22mLの混合液で再沈殿させてろ過にて取り出し、80℃で24時間乾燥させ、PPE-1を得た。
滴下漏斗を備えた二つ口ナスフラスコに50gのPPE-1とテトラヒドロフラン400mLを加え、氷浴中で攪拌した。メタクロロ過安息香酸(mCPBA)31gをテトラヒドロフラン1.6Lに溶解させた溶液を30分かけて滴下し、室温で24時間攪拌した。反応溶液をメタノール中に再沈させて濾過により取り出し、80℃で24時間乾燥させて側鎖エポキシ化PPE-1を得た。
原料フェノール類の配合比を変更し、mCPBAを93g使用した以外は側鎖エポキシ化PPE-1の合成方法と同じ方法で側鎖エポキシ化PPE(PPE-2)を得た。
原料フェノール類の配合比を変更し、mCPBAを155g使用した以外は側鎖エポキシ化PPE-1の合成方法と同じ方法で側鎖エポキシ化PPE(PPE-3)を得た。
原料フェノール類の種類およびその配合比を変更し、テトラヒドロフランの代わりにクロロホルムを使用した以外は側鎖エポキシ化PPE-1の合成方法と同じ方法で側鎖エポキシ化PPE(PPE-4)を得た。
側鎖エポキシ化PPEとは異なるPPE(非側鎖エポキシ化PPE)を以下の通りに調製した。概要は表2の通りである。
3Lの二つ口ナスフラスコに、ジ-μ-ヒドロキソ--ビス[(N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン)銅(II)]クロリド(Cu/TMEDA)5.3gと、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)5.7mLを加えて十分に溶解させ、10ml/minにて酸素を供給した。о-クレゾール7.00g、2-アリル-6-メチルフェノール13.7g、2,6-ジメチルフェノール93.9gをトルエン1.5Lに溶解させ、フラスコに滴下し、600rpmの回転速度で攪拌しながら40℃で6時間反応させた。反応終了後、メタノール20L:濃塩酸22mLの混合液で再沈殿させてろ過にて取り出し、80℃で24時間乾燥させ、PPE-5を得た。
3Lの二つ口ナスフラスコに、ジ-μ-ヒドロキソ-ビス[(N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン)銅(II)]クロリド(Cu/TMEDA)5.3gと、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)70mLを加えて十分に溶解させ、10ml/minにて酸素を供給した。2-アリル-6-メチルフェノール13.7g、2,6-ジメチルフェノール93.9gをトルエン0.5Lに溶解させ、フラスコに滴下し、600rpmの回転速度で攪拌しながら40℃で6時間反応させた。反応終了後、メタノール20L:濃塩酸22mLの混合液で再沈殿させてろ過にて取り出し、80℃で24時間乾燥させ、PPE-6を得た。
各成分を以下の表に記載の質量配合割合で、固形分濃度が50質量%となるように、シクロヘキサノンを添加し、混合させワニスを作製した。比較例はシクロヘキサノンに可溶でないため、代わりにクロロホルムを使用した。
厚さ18μm銅箔のシャイン面に、各組成物を、硬化物の厚みが50μmになるようにアプリケーターで塗布した。次に、熱風式循環式乾燥炉で90℃30分乾燥させた。その後、熱風循環式乾燥炉で180℃にて60分加熱し、硬化膜を得た。
具体的には、10回のラビング試験後、硬化膜が溶解しないものを「◎」、5回のラビング試験後、硬化膜が溶解しないものを「〇」、5回のラビング試験後、硬化膜が溶解したものを「×」と評価した。
環境対応の評価として、溶剤としてシクロヘキサノンが用いられた組成物を「〇」、溶剤としてクロロホルムが用いられた組成物を「×」と評価した。
厚さ18μm銅箔のシャイン面に、各組成物を、硬化物の厚みが50μmになるようにアプリケーターで塗布した。次に、熱風式循環式乾燥炉で90℃30分乾燥させた。その後、熱風循環式乾燥炉で180℃60分加熱した。組成物を硬化後、銅箔をエッチング除去して硬化膜を得た。
誘電特性である比誘電率Dkおよび誘電正接Dfは、以下の方法に従って測定した。
硬化膜を長さ80mm、幅45mm、厚み50μmに切断し、これを試験片としてSPDR(Split Post Dielectric Resonator)共振器法により測定した。測定器には、キーサイトテクノロジー合同会社製のベクトル型ネットワークアナライザE5071C、SPDR共振器、計算プログラムはQWED社製のものを用いた。条件は、周波数10GHz、測定温度25℃とした。
硬化膜を長さ8cm、幅0.5cm、厚み50μmに切り出し、引張破断伸びを下記条件にて測定した。
[測定条件]
試験機:引張試験機EZ-SX(株式会社島津製作所製)
チャック間距離:50mm
試験速度:1mm/min
伸び計算:(引張移動量/チャック間距離)×100
引張破断伸びが1.5%以上のものを「◎」、1.0%以上1.5%未満のものを「〇」、1.0%未満のものを「×」と評価した。
Claims (6)
- 側鎖エポキシ化ポリフェニレンエーテルと、前記側鎖エポキシ化ポリフェニレンエーテルとは異なる他のポリフェニレンエーテルと、を含む硬化性組成物であって、
前記側鎖エポキシ化ポリフェニレンエーテルが、少なくとも下記条件1および下記条件2をいずれも満たすフェノール類(A)、または、少なくとも下記条件1を満たし下記条件2を満たさないフェノール類(B)と下記条件1を満たさず下記条件2を満たすフェノール類(C)の混合物を含む原料フェノール類からなるポリフェニレンエーテルの側鎖不飽和炭素結合の一部または全部をエポキシ化したものである、
および/または
前記他のポリフェニレンエーテルが、少なくとも下記条件1および下記条件2をいずれも満たすフェノール類(A)、または、少なくとも下記条件1を満たし下記条件2を満たさないフェノール類(B)と下記条件1を満たさず下記条件2を満たすフェノール類(C)の混合物を含む原料フェノール類からなるものであり、
前記側鎖エポキシ化ポリフェニレンエーテルの数平均分子量が1,000~20,000であり、
前記側鎖エポキシ化ポリフェニレンエーテルのエポキシ化率は1%以上であり、
前記側鎖エポキシ化ポリフェニレンエーテルの原料フェノール類の合計に対する下記条件1を満たすフェノール類の割合が1~50mol%かつ下記条件2を満たすフェノール類の割合が1~99mol%である、硬化性組成物。
(条件1)
オルト位およびパラ位に水素原子を有する
(条件2)
パラ位に水素原子を有し、不飽和炭素結合を含む炭化水素基を有する - エポキシ基反応性架橋型硬化剤をさらに含む、請求項1に記載の硬化性組成物。
- 請求項1または2に記載の硬化性組成物を基材に塗布して得られる、ドライフィルムまたはプリプレグ。
- 請求項1または2に記載の硬化性組成物を硬化して得られる、硬化物。
- 請求項4に記載の硬化物を含む、積層板。
- 請求項4に記載の硬化物を有する、電子部品。
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