JP7349853B2 - ゴム部材及びそれを用いた搬送ローラ - Google Patents

ゴム部材及びそれを用いた搬送ローラ Download PDF

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Description

本発明は、ゴム部材およびそれを用いたプリンタ等の印刷機器あるいは現金自動預け払い機等に用いられる搬送ローラに関する。
搬送ローラは、図1に示すように、プリンタ等の印刷機器や現金自動預け払い機等に用いられる媒体を搬送する部材である。搬送ローラは、摩耗やヘタリによる寸法変化が禁物であるため、耐摩耗性、耐変形性に優れる水素化ニトリルゴム(H-NBR)が用いられることが多い。
ニトリルゴム(NBR)はそのポリマーの主鎖に不飽和結合(炭素炭素二重結合)を含むため、耐熱性、耐候性、耐オゾン性などの化学的安定性に劣るという欠点がある。そこで、その不安定な不飽和結合を飽和結合に変化させるために不飽和結合部分を水素化することによって、飽和結合へと変化させたものが水素化ニトリルゴム(H-NBR)である。水素化反応によりポリマーの主鎖中に含まれる残存二重結合の量が少なくなるため、耐熱性、耐化学薬品性、耐候性などが改善される。
しかしながら、H-NBRはNBRよりも水素化工程が余分に必要であるため、資源、エネルギー的に不利である。また、NBRを経済的に水素添加反応させる技術は簡単なものではなく、そのための技術開発、設備の維持管理、保守点検等のための労力を要する。
特開2000-86842号公報 特開昭62-54746号公報
ところで、製品によってはH-NBRほどの耐熱性、耐油性を必要としないものもある。そのような製品にまで比較的高価なH-NBRを用いると、オーバースペックとなり、生産性が低い、という問題点があった。
特に、プリンタ等の印刷機器や現金自動預け払い機等に用いられる媒体を搬送する搬送ローラに使用されているH-NBRの代替を考えた場合、以下のような搬送ローラに特有の課題がある。
(1)当然のことながら、H-NBRと同等又はそれ以上の物性を有する必要がある。特に、耐摩耗性と耐変形性(耐永久歪性)が重要である。
(2)現金自動預け払い機等は設置場所によっては外気にさらされる等、厳しい環境下に置かれることがある。そのような環境下においても良好なゴム物性を維持することが要求される。特に、低温特性が重要である。
(3)シリコーンオイル等を添加して耐摩耗性を改善することがしばしば行われているが、これらがブリードして、ローラに接触する他の部品や被搬送物に転写し、汚染が発生すると搬送ローラにとっては致命的な欠陥となる。したがって、シリコーンオイル等に頼ることなく、目標とする物性を達成しなければならない。
このような状況の下、本発明の発明者らは、H-NBRよりも安価で耐摩耗性の優れる塩素化ポリエチレンに着目し、H-NBRと同等となる耐摩耗性、耐変形性、低温特性を併せ持つゴム部材の開発に取り組んだ。
塩素化ポリエチレンは、耐摩耗性は優れるものの、ゴム弾性が弱いために耐変形性が劣る傾向にある。また、低温特性もH-NBRより悪いことから、使用温度域が狭くなることも欠点として挙げられる。これらの欠点を補うために、塩素化ポリエチレンに、ゴム弾性を持ち、低温特性に優れるエチレン-プロピレン-ジエン共重合ゴムをブレンドすることが検討されてきた。
特許文献1によれば、塩素化ポリエチレン95~70重量%およびエチレン-プロピレン-ジエン共重合体ゴム5~30重量%よりなる塩素含有量28~33%のブレンドゴムにシリコーンオイルを添加して摩擦係数を下げた塩素化ポリエチレンブレンドゴム組成物から、機械的特性、低温特性、耐グリース性、耐摩耗性などに優れた加硫成型品が得られる、とされている。しかしながら、特許文献1に教示の塩素化ポリエチレンとエチレン-プロピレン-ジエン共重合ゴムの比率の範囲内では、耐摩耗性は良好であるものの、搬送ローラ用としては耐永久歪性が悪く、低温特性も十分とは言えない。また、シリコーンオイルを添加することで摩擦低減により耐摩耗性は向上するが、シリコーンオイルがブリードしてしまうために、搬送ローラと接触する他の部品や物に転写し、汚染してしまう、という欠点を克服することができない。
特許文献2によれば、(A)非晶性塩素化ポリエチレン、(B)結晶性塩素化ポリエチレン、ならびに(C)エチレン-プロピレン-ジエン多元共重合ゴムからなる組成物であり、全組成物中に占める非晶性塩素化ポリエチレンおよびエチレン-プロピレン-ジエン多元共重合ゴムの組成割合はそれらの合計量として30~85重量%であり、かつ100重量部の非晶性塩素化ポリエチレンに対するエチレン-プロピレン-ジエン多元共重合ゴムの組成割合が25~75重量部であるゴム組成物に、加硫剤として硫黄または硫黄供与体を配合したものから、機械的特性、硬度、電気的特性、ゴム的特性、難燃性などの物性バランスの良い成形品が得られる、とされている。
しかしながら、特許文献2に教示されている塩素化ポリエチレンとエチレン-プロピレン-ジエン多元共重合ゴムとの比率は非常に広く、その全範囲にわたって安定して耐摩耗性、耐永久ひずみ性に優れた製品を得ることはできない。
具体的には、特許文献2においては、加硫剤として硫黄または硫黄供与体を使用することとされているが、硫黄を使用した場合と有機過酸化物を使用した場合とで、製品特性に顕著な相違が生じることについては開示も示唆もない。
また、特許文献2においては、結晶性塩素化ポリエチレンの配合が必要である。
したがって、本発明が解決しようとする課題は、H-NBRの代わりに塩素化ポリエチレンとエチレン-α-オレフィン-非共役ポリエン系共重合体とを配合したゴム組成物を用いて、ブリードを生じるシリコーンオイル等の配合による表面摩擦低減効果に頼ることなく、耐摩耗性、耐変形性(耐永久歪性)、低温特性のバランスに優れ、プリンタ等の印刷機器や現金自動預け払い機等に用いられる媒体を搬送する搬送ローラ等に好適なゴム部材を提供することである。
本発明は以下を包含する。
[1] エチレン-α-オレフィン-非共役ポリエン系共重合体(a)、非晶質塩素化ポリエチレン(b)、及び有機過酸化物を含み、(a)と(b)の合計100重量部に対して(b)が50重量部以上、70重量部未満であるゴム組成物の架橋硬化物であって、架橋密度が5.50×10-4mol/ml以上である架橋硬化物を含むゴム部材。
[2] 前記エチレン-α-オレフィン-非共役ポリエン系共重合体(a)がエチレン-プロピレン-ジエン共重合ゴム(EPDM)である[1]に記載のゴム部材。
[3] JIS K6264準拠のテーバー摩耗試験での1000回転後の摩耗体積が0.039cm以下であり、
JIS K6262準拠の圧縮永久歪が10%以下であり、かつ
JIS K6261準拠の低温弾性回復試験によるTR10が-22℃以下である
[1]又は[2]に記載のゴム部材。
[4] [1]乃至[3]のいずれか一項に記載のゴム部材を有する搬送ローラ。
本願明細書において具体的に後記するように、本発明者らは、加硫剤として有機過酸化物を使用すると、硫黄を使用した場合と比較して、搬送ローラ用途に要求される耐永久歪性が著しく向上することを初めて見出した。また、耐摩耗性に関しては、塩素化ポリエチレンの配合比率に最適な範囲が存在することを見出した。この結果、耐摩耗性だけでなく、耐変形性(耐永久歪性)も向上させることで、本発明に係るゴム部材は、例えば搬送ローラとして使用した場合にも、長期使用による寸法変化を小さく抑えることができ、長寿命化を図ることができる。
また、本願明細書において具体的に後記するように、本発明者らは、非晶質塩素化ポリエチレンを配合すると、結晶性塩素化ポリエチレンを配合した場合と比較して、搬送ローラ用途に要求される耐摩耗性、耐変形性、低温特性のすべてにおいて顕著な改善が得られることを初めて見出した。このように、耐摩耗性、耐変形性、低温特性のバランスを取ることに成功したことで、広い温度域でのゴム部材の使用が可能となる。
更に、本発明に係るゴム部材にはブリードが発生しないので、ゴム部材と接触する相手材への転写、汚染の懸念がなくなるという利点がある。
搬送ローラの外観の模式図(1回転支軸、2ゴム部材)である。
<素材>
[エチレン-α-オレフィン-非共役ポリエン系共重合体(a)]
エチレン-α-オレフィン-非共役ポリエン系共重合体ゴムにおけるα-オレフィンは、例えば、プロピレン又はブテンである。したがって、エチレン-α-オレフィン-非共役ポリエン系共重合体ゴムは、エチレン-プロピレン-ジエン共重合体(EPDM)及びエチレン-ブテン-ジエン共重合体(EBDM)からなる群より選択される少なくとも一種であることが好ましく、エチレン-プロピレン-ジエン共重合体(EPDM)であることがより好ましい。
非共役ポリエンとしては、5-エチリデン-2-ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、5-プロピリデン-2-ノルボルネン、5-ビニル-2-ノルボルネン、2,5-ノルボルナジエン、1,4-シクロヘキサジエン、1,4-シクロオクタジエン及び1,5-シクロオクタジエンなどの環状ポリエン、1,4-ヘキサジエン、4-メチル-1,4-ヘキサジエン、5-メチル-1,4-ヘキサジエン、5-メチル-1,5-ヘプタジエン、6-メチル-1,5-ヘプタジエン、6-メチル-1,6-オクタジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン、5,7-ジメチル-1,6-オクタジエン、7-メチル-1,7-ノナジエン、8-メチル-1,7-ノナジエン、8-メチル-1,8-デカジエン、9-メチル-1,8-デカジエン、4-エチリデン-1,6-オクタジエン、7-メチル-4-エチリデン-1,6-オクタジエン、7-メチル-4-エチリデン-1,6-ノナジエン、7-エチル-4-エチリデン-1,6-ノナジエン、6,7-ジメチル-4-エチリデン-1,6-オクタジエン及び6,7-ジメチル-4-エチリデン-1,6-ノナジエンなどの炭素数が6~15の内部不飽和結合を有する鎖状ポリエン、並びに1,5-ヘキサジエン、1,6-ヘプタジエン、1,7-オクタジエン、1,8-ノナジエン、1,9-デカジエン、1,10-ウンデカジエン、1,11-ドデカジエン、1,12-トリデカジエン及び1,13-テトラデカジエンなどのα,ω-ジエンがある。
好ましくは、5-エチリデン-2-ノルボルネン(ENB)、5-ビニル-2-ノルボルネン(VNB)、ジシクロペンタジエン(DCPD)または、1,4-ヘキサジエン(1,4-HD)からなる非共役ポリエン群から選ばれる少なくとも1種の化合物である。特に5-エチリデン-2-ノルボルネンは重合反応性が高いため、架橋反応が起こりやすく、より好ましい。
したがって、本発明の実施に適したエチレン-α-オレフィン-非共役ポリエン系共重合体ゴムとしては、例えば、エチレン-プロピレン-5-エチリデン-2-ノルボルネン共重合体ゴム、エチレン-プロピレン-5-ビニル-2-ノルボルネン共重合体ゴム、エチレン-プロピレン-ジシクロペンタジエン共重合体ゴム、エチレン-プロピレン-1,4-ヘキサジエン共重合体ゴム、エチレン-1-ブテン-5-エチリデン-2-ノルボルネン共重合体ゴム、エチレン-1-ブテン-5-ビニル-2-ノルボルネン共重合体ゴム、エチレン-1-ブテン-ジシクロペンタジエン共重合体ゴム、エチレン-1-ブテン-1,4-ヘキサジエン共重合体ゴムを挙げることができる。
また、エチレン-α-オレフィン-非共役ポリエン系共重合体ゴムは、エチレン量が55%以上、65%以下が好ましい。エチレン量が55%未満では耐摩耗性が悪くなることがあり、エチレン量が65%より大きいと低温性が悪化してしまうことがある。
上記のほか、エチレン-α-オレフィン-非共役ポリエン系共重合体ゴムの特性は、分岐の多少などの分子構造、平均分子量、分子量分布等によっても影響を受ける。エチレン-α-オレフィン-非共役ポリエン系共重合体ゴムには多くの種類が知られているが、本発明においては、本発明の効果を損なわない範囲で、いずれも使用することができる。
市販のエチレン-α-オレフィン-非共役ポリエン系共重合体ゴムとしては、VNB-EPT(三井化学株式会社製EPDM)、エスプレン501A(住友化学株式会社製EPDM)、EBT 9330M(三井化学株式会社製EBDM)、エスプレン505A(住友化学株式会社製EPDM)等が挙げられる。
[非晶質塩素化ポリエチレン(b)]
塩素化ポリエチレンとは、ポリエチレンをトリクロロエタンや四塩化炭素などの塩素を含む化合物で処理するといった、当業界においてよく知られているプロセスによって塩素化(分子中の水素の一部が塩素と置換)されたポリエチレンである。
本発明の実施に好適な塩素化ポリエチレンは非晶質塩素化ポリエチレンである。本発明においては、結晶性塩素化ポリエチレンは配合しないことが好ましい。
非晶質塩素化ポリエチレンの塩素含有量は特に限定されないが、好ましくは28~37重量%、より好ましくは28~33重量%である。非晶質塩素化ポリエチレンの塩素含有量が上記範囲内であると、柔軟性が高く、耐変形性及び低温特性が良好なゴム部材が得られやすい。
塩素化ポリエチレンとしては、昭和電工株式会社製のエラスレン301A、ダイソー社製のH135、Dupont Dow Elastomer社製のTyrin3615、Tyrin3611等が挙げられる。
エチレン-α-オレフィン-非共役ポリエン系共重合体(a)と非晶質塩素化ポリエチレン(b)のブレンド比率については、エチレン-α-オレフィン-非共役ポリエン系共重合体(a)の比率が小さすぎると十分な柔軟化効果が期待できず、逆に比率が大きすぎると非晶質塩素化ポリエチレン(b)本来の耐摩耗性の良さが損なわれてしまうため、適切な比率でブレンドすることが重要である。また、所定の範囲内では、エチレン-α-オレフィン-非共役ポリエン系共重合体(a)の比率が大きいほど、得られるゴム部材の耐変形性は向上する。本発明においては、(a)と(b)の合計100重量部に対して(b)を50重量部以上、70重量部未満とする。
また、ブレンド比率の大小にかかわらず、硬化物の架橋密度が高い方が、得られるゴム部材の耐変形性は良好である。本発明においては、架橋密度を5.50×10-4mol/ml以上とする。
[有機過酸化物]
ゴムの架橋剤として一般的な硫黄は、架橋構造の形成が進行しにくいため架橋密度が低く、得られるゴム部材の耐変形性が劣ることから好ましくない。このため、本発明では、硫黄または硫黄供与体を用いず、有機過酸化物を用いてゴムの架橋を行う。
本発明において架橋剤として用いられる有機過酸化物としては、パーオキシカーボネート類、ジアシルパーオキサイド類、ジアルキルパーオキサイド類、パーオキシケタール類、アルキルパーエステル類などがある。
パーオキシカーボネート類としては1,6-ビス(t-ブチルパーオキシカルボニロキシ)ヘキサン、1,6-ビス(1,1-ジメチルプロピルパーオキシカルボニロキシ)ヘキサン、1,6-ビス(1,1-ジメチルブチルパーオキシカルボニロキシ)ヘキサン、1,6-ビス(1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシカルボニロキシ)ヘキサン、1,6-ビス(t-ブチルパーオキシカルボニロキシ)プロパン、1,6-ビス(t-ブチルパーオキシカルボニロキシ)ヘプタン等のビス〔t-(C4-C10)アルキルパーオキシカルボニロキシ〕((C3-C10)アルカン、ジエチレングリコール-ビス(t-ブチルパーオキシカーボネート)、ジエチレングリコール-ビス(1,1-ジメチルプロピルパーオキシカーボネート)、ジエチレングリコール-ビス(1,1-ジメチルブチルパーオキシカーボネート)、ジエチレングリコール-ビス(1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシカーボネート)、トリエチレングリコール-ビス(t-ブチルパーオキシカーボネート)等のジまたはトリ(C2~C3)アルキレングリコール-ビス〔t-(C4-C10)アルキルパーオキシカーボネート〕、t-ブチルパーオキシ2-エチルヘキシルカーボネート、1,1-ジメチルプロピルパーオキシ2-エチルヘキシルカーボネート、1,1-ジメチルブチルパーオキシ2-エチルヘキシルカーボネート、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ2-エチルヘキシルカーボネート、t-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、1,1-ジメチルプロピルパーオキシイソプロピルカーボネート、1,1-ジメチルブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシイソプロピルカーボネート等のt-(C4~C10)アルキルパーオキシ(C3-C8))アルキルカーボネート等が挙げられる。
ジアシルパーオキサイド類としてはジベンゾイルパーオキサイド、ビス(2-メチルベンゾイル)パーオキサイド、ビス(3-メチルベンゾイル)パーオキサイド、ビス(4-メチルベンゾイル)パーオキサイド、ビス(2,4-ジメチルベンゾイル)パーオキサイド、ビス(3,5-ジメチルベンゾイル)パーオキサイド、ビス(2-クロロベンゾイル)パーオキサイド、ビス(3-クロロベンゾイル)パーオキサイド、ビス(4-クロロベンゾイル)パーオキサイド、ビス(2,4-ジクロロベンゾイル)パーオキサイド、ビス(3,5-ジクロロベンゾイル)パーオキサイド等のビス〔非置換またはクロル置換若しくは(C1~C3)アルキル置換ベンゾイル〕パーオキサイド等が挙げられる。
ジアルキルパーオキサイド類としては、ジ〔フェニル置換を有してもよい(C3~C12)アルキル〕パーオキサイドまたはフェニル置換を有してもよい(C3~C12)アルキルパーオキサイド基が2つ炭素数8~12の炭化水素架橋基を介して結合したジアルキルパーオキサイドが挙げられ、具体的にはジクミルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3、1,3-ビス(t-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、t-ブチルクミルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド等が挙げられる。
パーオキシケタール類としては1,1-ジ-t-ブチルパーオキシ-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ジ-t-ブチルパーオキシシクロヘキサン、2,2-ビス(t-ブチルパーオキシ)ブタン、2,2-ビス(1,1-ジメチルプロピルパーオキシ)ブタン、2,2-ビス(1,1-ジメチルブチルパーオキシ)ブタン、2,2-ビス(1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ)ブタン、4,4-ジ-t-ブチルパーオキシ-n-ブチルバレレート等が挙げられる。
アルキルパーエステル類としては、t-ブチルパーオキシベンゾエート、1,1-ジメチルプロピルパーオキシベンゾエート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、1,1-ジメチルプロピルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、1,1-ジメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、ジ-t-ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、t-ブチルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、1,1-ジメチルプロピルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、1,1-ジメチルブチルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート等が挙げられる。
これらは、シリカや炭酸カルシウムを担持体とした希釈品やマスターバッチ品として使用することもできる。
上記有機過酸化物のうち、ジアルキルパーオキサイド及びパーオキシケタールからなる群より選択される少なくとも一種であることが好ましい。これらを用いることで、架橋効率を高めることができ、ゴムの混練時や加工時の熱安定性も高くなりやすい。
有機過酸化物の使用量は、本発明に係るゴム組成物の硬化物の架橋密度を5.50×10-4mol/ml以上とすることができる量であれば特に限定されない。例えば、有機過酸化物の配合量は、本発明に係るゴム組成物中のエチレン-α-オレフィン-非共役ポリエン系共重合体(a)と非晶質塩素化ポリエチレン(b)の合計100重量部に対し、1.2重量部を超え、2.4重量部以下である。
市販の有機過酸化物としては、パークミルD(日油株式会社製ジアルキルパーオキサイド)、パーヘキサ25B(日油株式会社製ジアルキルパーオキサイド)、パーヘキサC(日油株式会社製パーオキシケタール)等が挙げられる。
[その他添加剤]
本発明に係るゴム組成物には、ゴムの架橋効率を向上させる共架橋剤、機械特性を向上させるカーボンブラック、その他にも軟化剤、老化防止剤、加工助剤等を更に配合することができる。
[共架橋剤]
共架橋剤としてトリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアネート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3-ブチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ジアリルフタレート、キノンジオキシム類、ビスマレイミド類、ジメタクリル酸金属塩、ジアクリル酸金属塩、イオウ化合物、1,2-ポリブタジエンなどを用いることができる。
共架橋剤の配合量は、本発明に係るゴム組成物中のエチレン-α-オレフィン-非共役ポリエン系共重合体(a)と非晶質塩素化ポリエチレン(b)の合計100重量部に対し、好ましくは0.1~10重量部であり、より好ましくは0.5~3重量部である。
[カーボンブラック]
本発明に係るゴム組成物中にカーボンブラックを充填剤として配合することにより、得られるゴム部材の機械特性を向上させることができる。カーボンブラックには様々な種類があり、用途によって適切なものが選択されて用いられている。カーボンブラックとしては、公知のものを使用することができ、一般的にゴムによく用いられるファーネスブラックであるSAF、ISAF、HAF、MAF、FEF、GPF、SRF等が挙げられる。カーボンブラックは、単独で用いてもよく、2種以上をブレンドしてもよい。
好ましくは、カーボンブラックはヨウ素吸着量が80mg/g以下のものを用いる。より好ましくは、耐摩耗性と耐変形性のバランスの取れたヨウ素吸着量20~40mg/gのものを用いると良い。
市販品として具体的には、旭F-200GS(旭カーボン株式会社製、ヨウ素吸着量:55mg/g)、旭#60U(旭カーボン株式会社、ヨウ素吸着量:40mg/g)、旭#55(旭カーボン株式会社、ヨウ素吸着量:25mg/g)、旭N760G(旭カーボン株式会社、ヨウ素吸着量:27mg/g)やSeast S(東海カーボン株式会社、ヨウ素吸着量:26mg/g)等が挙げられる。
本発明に係るゴム組成物に配合するカーボンブラックの量は特に限定されない。カーボンブラックの配合量は、本発明に係るゴム組成物中のエチレン-α-オレフィン-非共役ポリエン系共重合体(a)と非晶質塩素化ポリエチレン(b)の合計100重量部に対し、好ましくは40重量部以上、100重量部以下である。
[軟化剤]
軟化剤としては、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン、流動パラフィン、石油アスファルト、ワセリンなどの石油系軟化剤;コールタール、コールタールピッチなどのコールタール系軟化剤;ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、ヤシ油などの植物油系軟化剤;トール油、サブ、蜜ロウ、カルナウバロウ、ラノリンなどのロウ類;ビス(2-エチルヘキシル)セバケートなどの脂肪族二塩基酸エステル;トリス(2-エチルヘキシル)ホスフェートなどの正リン酸エステル;リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛などの脂肪酸及び脂肪酸塩;石油樹脂、アタクチックポリプロピレン、クマロンインデン樹脂などの合成高分子物質などがあげられる。
[老化防止剤]
老化防止剤としては、公知のものを用いることができ、アミン-ケトン系老化防止剤、フェノール系老化防止剤、イミダゾール系老化防止剤、アミン系老化防止剤などを挙げることができる。老化防止剤の配合量は、本発明に係るゴム組成物中のエチレン-α-オレフィン-非共役ポリエン系共重合体(a)と非晶質塩素化ポリエチレン(b)の合計100重量部に対し、通常0.1~10質量部、好ましくは0.5~3質量部である。市販品として具体的には、ノクラックCD(大内新興化学工業株式会社製、4,4’-ビス(α,α-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン)等が挙げられる。
[加工助剤]
加工助剤については目的に応じたものを選定すればよく、一般的によく知られている高級脂肪酸、脂肪酸金属塩、脂肪酸エステル類、脂肪酸アミド類、炭化水素類等を単独、もしくは2種以上を併用して用いてもよい。加工助剤の配合量は、本発明に係るゴム組成物中のエチレン-α-オレフィン-非共役ポリエン系共重合体(a)と非晶質塩素化ポリエチレン(b)の合計100重量部に対し、好ましくは0.1~10重量部である。また、シリカ、炭酸カルシウム、微粉タルク、微粉ケイ酸アルミニウムなどを補強剤として用いてもよい。
[留意点]
なお、シリコーンオイルを添加すると、摩擦低減効果により、製品の耐摩耗性が向上し、可塑剤を添加すると製品の低温特性が向上するが、本発明は、プリンタ等の印刷機器や現金自動預け払い機等に用いられる媒体を搬送する搬送ローラを主たる用途としているので、これらがブリードして、ローラに接触する他の部品や被搬送物に転写し、汚染が発生すると致命的な欠陥となる。ブリードするかしないかはオイル添加量や配合構成にもよるので、一律に規定することは困難であるが、目安としては、EPDMのSP値が8程度、塩素化ポリエチレンのSP値が9程度であることから、SP値が7.5~9.5のオイル等であれば添加しても差し支えないと言える。
また、可塑剤の添加は製品の低温特性の向上には寄与するが、耐摩耗性や耐変形性が悪化する懸念があるので望ましくない。
<ゴム組成物の調製方法>
本発明に係るゴム組成物は、公知のゴム組成物の調製方法を用いて、上記成分を配合することによって調製することができる。例えば、バンバリーミキサー、単軸あるいは2軸の押出機、ニーダー、インターミックスなどのインターナルミキサーなど公知の混合機を用いて、共重合体ゴム、塩素化ポリエチレンと各種添加剤とを、所定の温度、例えば80~170℃の温度で3~10分間混練し、次いで、オープンロールなどのロ-ル類あるいはニーダーを用いて、所定の温度、例えば温度40~80℃で必要に応じて架橋剤などを加えて、5~30分間混練することにより調製することができる。
<搬送用ローラの製造方法>
混練して得られたゴム組成物は、押出成形機、圧縮成形機、射出成形機、トランスファ成形機などによって所望の搬送ローラ部材に加硫成形することができる。成形条件は、例えば150~220℃、1~30分である。
このようにして、以下の条件を満たす優れたゴム部材を得ることができる。
JIS K6264準拠のテーバー摩耗試験での1000回転後の摩耗体積が0.039cm以下である。
JIS K6262準拠の圧縮永久歪が10%以下である。
JIS K6261準拠の低温弾性回復試験によるTR10が-22℃以下である。
硬化物の架橋密度が5.50×10-4mol/ml以上である。
これらのゴム部材は、搬送ローラを製造するには特に好適である。
<耐摩耗性/耐変形性/低温特性に及ぼすゴム組成物構成要素の働き>
理論に拘束されるわけではないが、上記諸特性に及ぼすゴム組成物構成要素の働きについては以下のように考えられる。
〔耐摩耗性について〕
ゴムの摩耗には「アブレシブ摩耗」、「凝着摩耗」、「疲労摩耗」など様々な摩耗形態が存在しており、実際の使用環境では、これらの摩耗形態が複合して摩耗が生じている。それぞれの摩耗形態の特徴は下記のとおりである。
アブレシブ摩耗:硬く鋭い突起がゴム表面を大きい摩擦力で引っ掻くときに生じる摩耗。
凝着摩耗:お互いに滑らかな摩耗材の面とゴム表面とを摩擦した時にゴム材料内部に微小破壊が生じ、相手面に移着して生じる摩耗。
疲労摩耗:滑らかな凹凸のある面をゴム材料が滑るときに繰り返し変形をうけることで疲労劣化して生じる摩耗。
一般に、塩素化ポリエチレンは、比較的硬く、強度が高く、摩擦係数が小さいことから、アブレシブ摩耗に強く、塩素化ポリエチレン単体でも耐摩耗性は優れている。本発明においては、そこにエチレン-α-オレフィン-非共役ポリエン系共重合体ゴムを適量ブレンドすることで更なる耐摩耗性の向上を可能とした。
そのメカニズムとしては、塩素化ポリエチレンは、他種のゴムに比べると柔軟性に劣るため、疲労摩耗が生じ易い傾向にあると推測される。そこに比較的柔軟性を持つ上記共重合体ゴムを適量ブレンドすることで、塩素化ポリエチレンの硬く、強度が高く、摩擦係数が小さいというメリットを残しつつ柔軟性を付与することができ、アブレシブ摩耗だけでなく疲労摩耗にも強くなり、総合的に耐摩耗性が向上すると考えられる。
〔耐変形性について〕
耐変形性は塩素化ポリエチレンが特別悪いということはないが、有機過酸化物架橋の他種ゴムに比べるとやや劣る傾向がある。これは塩素化ポリエチレンの弾性が弱いため、変形を与えた後に負荷を開放しても回復し難いためである。本発明においては、比較的弾性のある上記共重合体ゴムを適量ブレンドすることで耐変形性を向上させている。
〔低温特性について〕
塩素化ポリエチレンの低温特性は他種ゴムと比較すると悪い傾向である。これは塩素化ポリエチレンの結晶性、分子間凝集力によるものである。本発明においては、ここに比較的低温性の良い上記共重合体ゴムを適量ブレンドすることで低温特性を向上させている。
次に実施例等を挙げ本発明の内容を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<評価方法>
[耐摩耗性]
本発明における耐摩耗性の評価はJIS K 6264:2018のテーバー摩耗試験を用いる。研磨輪:H-18、付加力:4.9N、60rpmで試験を行い、1000回転後の摩耗体積を耐摩耗性の指標とする。
[耐変形性]
本発明における耐変形性の評価はJIS K 6262:2018の圧縮永久ひずみ試験を用いる。25%圧縮、100℃の環境下で24時間試験を行い、その際の圧縮永久ひずみを耐変形性の指標とする。
[低温特性]
本発明における低温特性の評価はJIS K 6261:2018の低温弾性回復試験(TR試験)を用いる。収縮率が10%となる温度(TR10)を低温特性の指標とする。
[架橋密度]
混練して得られたゴム組成物をプレス成形機により、170℃、10分で架橋させることで2mm厚のシート状テストピースを得た。このシート状テストピースを20mm×20mmに打ち抜き、40℃トルエン溶液に72時間浸漬後、60℃で72時間乾燥させた。トルエン溶液浸漬前、浸漬後(膨潤後)、乾燥後のテストピースの空気中と水中の重量を測定し、テストピースの浸漬前の容積V(mL)、膨潤後の容積V(mL)、乾燥後の容積V(mL)、ゴム部材中の充填剤の容積V(mL)を求めた。さらに、Flory-Rehnerの式により有効網目鎖濃度v(mol/mL)を求めた。
Figure 0007349853000001

v : 有効網目鎖濃度 (mol/mL)
: 膨潤したゴム部材中における膨潤した純ゴムの容積(純ゴムの容積+吸収した溶剤の容積(Vsol))に対する純ゴムの容積分率であり、下式にて求める。
Figure 0007349853000002

μ : ゴム―溶剤間の相互作用定数
: 溶剤の分子容(23℃トルエンのとき、106.29(mL/mol))
ここで、ゴム―溶剤間の相互作用定数μは、以下のようにして求めた。すなわち、塩素化ポリエチレン、エチレン-プロピレン-ジエン共重合ゴムともにグレードによりSP値は若干異なるが、本発明では簡易的に塩素化ポリエチレンのSP値を9.2、エチレン-プロピレン-ジエン共重合ゴムのSP値を8.0として架橋密度の算出に用いた。また、トルエンのSP値は8.9とした。25℃における塩素ポリエチレンとエチレン-プロピレン-ジエン共重合ゴムのブレンド比率ごとのトルエンとの溶媒相互作用定数を下記に記す。
Figure 0007349853000003
<実施例、比較例、及び参考例>
[実施例1]
3.5リットルバンバリーミキサーにEPDM(住友化学株式会社製、商品名:エスプレン501A)50重量部、非晶質塩素化ポリエチレン(昭和電工株式会社製、商品名:エラスレン301A)50重量部、合計100重量部を投入し、回転速度40rpmで1分間素練りした後、トリアリルイソシアネート(三菱化学ケミカル株式会社製、商品名タイク)1重量部、カーボンブラック(旭カーボン株式会社製、商品名:旭N760G)60重量部を投入して3分間混練りした後、混合物をバンバリーミキサーから排出した。排出した混合物をロール間の間隙を5mmとした12インチロールに巻きつけてシート状に成形した。次に、上記の成形したゴム生地をロール間の間隙を4mmとした6インチロールに巻きつけて、ジアルキルパーオキサイド(日油株式会社製、商品名:パークミルD)2.4重量部を練りこみ、切り返しを左右各3回ずつ行った後、丸め通しを3回行った。最後にシート状に成形した。得られたゴム組成物をプレス成形機により、170℃、10分で架橋硬化させ、ゴム部材を得た。
[実施例2]
EPDM及び非晶質塩素化ポリエチレンの量をそれぞれ40重量部及び60重量部に変更した以外は実施例1と同様に行い、ゴム部材を得た。
[比較例1]
EPDM及び非晶質塩素化ポリエチレンの量をそれぞれ60重量部及び40重量部に変更した以外は実施例1と同様に行い、ゴム部材を得た。
[比較例2]
EPDM及び非晶質塩素化ポリエチレンの量をそれぞれ30重量部及び70重量部に変更した以外は実施例1と同様に行い、ゴム部材を得た。
[比較例3]
EPDM及び非晶質塩素化ポリエチレンの量をそれぞれ20重量部及び80重量部に変更した以外は実施例1と同様に行い、ゴム部材を得た。
実施例1、実施例2、比較例1、比較例2、比較例3の結果から、非晶質塩素化ポリエチレンの添加量が増えるにつれて耐摩耗性は向上するが、一方で低温特性は悪化する傾向にあることがわかる。逆に、EPDMの比率が高いほど低温特性は向上する。比較例1では塩素化ポリエチレン添加量が少なすぎるため、耐摩耗性が悪化する一方、比較例2では塩素化ポリエチレン添加量が多すぎるため、耐変形性と低温特性が悪化する。
そこで、テーバー摩耗試験により測定した1000回転での摩耗体積0.039cm以下を達成するためには、非晶質塩素化ポリエチレンの添加量を50重量部以上とすることが適当であり、-22℃以下のTR10を達成するためには、非晶質塩素化ポリエチレンの添加量を70重量部未満とすることが適当である。
[実施例3]
ジアルキルパーオキサイドの量を2.0重量部に変更した以外は実施例2と同様に行い、ゴム部材を得た。
[実施例4]
ジアルキルパーオキサイドの量を1.6重量部に変更した以外は実施例2と同様に行い、ゴム部材を得た。
[比較例4]
ジアルキルパーオキサイドの量を1.2重量部に変更した以外は実施例2と同様に行い、ゴム部材を得た。
実施例2、実施例3、実施例4、比較例4の結果から、ジアルキルパーオキサイドの添加量が減るにつれて耐摩耗性は向上するが、一方で耐変形性は悪化する傾向にあることがわかる。比較例4では、ジアルキルパーオキサイドの添加量が少なすぎるため、耐変形性と低温特性が悪化する。これは、ジアルキルパーオキサイドの添加量が減るにつれて硬化物の架橋密度が急速に低下するからである。
したがって、10%以下の圧縮永久歪、-22℃以下のTR10を達成するためには、硬化物の架橋密度が5.50×10-4mol/ml以上となるように硬化することが適当である。
[比較例5]
非晶質塩素化ポリエチレンを結晶性塩素化ポリエチレン(昭和電工株式会社製、商品名:エラスレン352GB-X5)に変更した以外は実施例2と同様に行い、ゴム部材を得た。この部材は、硬化物の架橋密度が高いにもかかわらず、耐摩耗性、耐変形性、低温特性のすべてにおいて不満足なものであった。
[参考例]
EPDMの代わりに水素化ニトリルゴム(H-NBR)を用いたゴム部材の特性を参考例として掲げる。本発明のゴム部材の特性がHNBRの特性と同等かそれ以上であることがわかる。
Figure 0007349853000004
本発明によれば、耐摩耗性、耐変形性、低温特性に優れ、プリンタ等の印刷機器や現金自動預け払い機等に用いられる媒体の搬送に好適な搬送ローラ、及びそのような搬送ローラの製造に好適な、水素化ニトリルゴム(H-NBR)に代わるゴム部材を提供することができる。
1 回転支軸
2 ゴム部材

Claims (3)

  1. エチレン-α-オレフィン-非共役ポリエン系共重合体(a)、非晶質塩素化ポリエチレン(b)、及び有機過酸化物を含み、(a)と(b)の合計100重量部に対して(b)が50重量部以上、70重量部未満であるゴム組成物の、架橋密度が5.50×10-4mol/ml以上である硬化物を含むゴム部材を有する搬送ローラ
  2. 前記エチレン-α-オレフィン-非共役ポリエン系共重合体(a)がエチレン-プロピレン-ジエン共重合ゴム(EPDM)である請求項1に記載の搬送ローラ
  3. 前記ゴム部材は、
    JIS K6264に規定のテーバー摩耗試験により測定した1000回転での摩耗体積が0.039cm以下であり、
    JIS K6262の規定により測定した圧縮永久歪が10%以下であり、かつ
    JIS K6261の規定の低温弾性回復試験により測定したTR10が-22℃以下である
    請求項1又は請求項2に記載の搬送ローラ
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