以下、本発明によるウェハ処理装置について、実施の形態を用いて説明する。なお、以下の実施の形態において、同じ符号を付した構成要素は同一または相当するものであり、再度の説明を省略することがある。本実施の形態によるウェハ処理装置は、昇圧の前後でガード部の位置が異なることによって、昇圧開始時には、注入口から注入された流体のウェハのパターン面への流れを低減することができると共に、昇圧後には、注入口から注入された流体のウェハのパターン面への流れを増加させることができるものである。
図1は、本実施の形態によるウェハ処理装置1の構成を示す一部切り欠き斜視図である。図2~図4は、ウェハ処理装置1のチャンバ11の縦断面を示す断面図である。図2は、チャンバ11が開いた状態を示しており、図3は、チャンバ11が閉じた状態であって、昇圧開始時の状態を示している。図4は、チャンバ11が閉じた状態であって、昇圧後の状態を示している。図5は、上部ユニット21を下面側から見た斜視図である。図6は、下部ユニット22の平面図である。図7A~図7Cは、下部ユニット22に設けられたガード部24の配置の一例を示す平面図である。図8は、昇圧前後のガード部24の位置の一例を示す模式図である。図9は、図6のA-A線におけるチャンバ11の縦断面図である。図10は、図6のA-A線の位置でのチャンバ11の縦断面図における昇圧開始時の注入口223a付近の拡大断面図である。図11は、図6のA-A線の位置でのチャンバ11の縦断面図における昇圧後の注入口223a付近の拡大断面図である。図12は、図6のB-B線の位置でのチャンバ11の縦断面図における昇圧後の収容空間22cの排出口224d付近の拡大断面図である。
本実施の形態によるウェハ処理装置1は、上部ユニット21及び下部ユニット22を有するチャンバ11と、チャンバ11の上部ユニット21及び下部ユニット22を開閉するための開閉手段12と、チャンバ11に設けられたウェハ2の収容空間22cにおいて、ウェハ2を支持する支持手段22aと、収容空間22cに設けられたガード部24と、チャンバ11が閉じられた状態において、上部ユニット21及び下部ユニット22の距離が上下方向に所定以上離れないようにするため、上部ユニット21及び下部ユニット22の少なくとも一方の上下方向の移動を規制する規制手段41とを備える。
チャンバ11では、ウェハ2に超臨界流体を用いた所定の処理が行われる。本実施の形態では、その所定の処理が超臨界流体を用いたウェハ2の乾燥処理である場合について主に説明するが、その他の処理、例えば、超臨界流体を用いた洗浄処理や洗浄乾燥処理がウェハ2に行われてもよい。ウェハ2の乾燥処理は、例えば、ウェハ2の表面に残留した有機溶剤などの処理液を、超臨界流体に置換することによって除去し、その超臨界流体を乾燥させることによって行われる。本実施の形態では、処理に用いられる流体が二酸化炭素である場合、すなわち二酸化炭素の超臨界流体が用いられる場合について主に説明するが、他の超臨界流体が用いられてもよい。
上部ユニット21の下面側には、水平方向に搬入されるウェハ2を支持する支持手段21aが設けられている。したがって、ウェハ2が搬入されると、図2で示されるように、上部ユニット21の下方側にウェハ2が位置することになる。支持手段21aは、例えば、図2,図5で示されるように、断面が略L字形状であり、水平方向に延びる先端部分において、搬入されたウェハ2の周縁部を支持するものであってもよい。本実施の形態では、図5,図6で示されるように、上部ユニット21に3個の支持手段21aが設けられている場合について主に説明するが、そうでなくてもよい。支持手段21aの個数は、例えば、1個や2個であってもよく、4個以上であってもよい。また、ウェハ2を適切に支持できるのであれば、支持手段21aの形状も問わない。
下部ユニット22は、上部ユニット21と対向するものである。上部ユニット21及び下部ユニット22によって、ウェハ2を収容する収容空間22cが構成される。収容空間22cは、通常、略円柱形状の空間である。収容空間22cの容積が大きい場合には、流体を超臨界状態にするための昇圧の時間が長くなるため、収容空間22cの容積は、小さいことが好適である。なお、本実施の形態では、収容空間22cが下部ユニット22側に形成されている場合について主に説明するが、そうでなくてもよい。収容空間22cは、上部ユニット21及び下部ユニット22のそれぞれによって形成されていてもよく、上部ユニット21側に形成されていてもよい。また、下部ユニット22には、図9等で示されるように、流体の注入路221と排出路222とが設けられていてもよい。流体の注入路221や排出路222は、可動側のユニットではなく、固定側のユニットに設けられることが好適である。
下部ユニット22の上面側(すなわち、収容空間22cの底面側)には、ウェハ2を支持する支持手段22aが設けられている。本実施の形態では、上部ユニット21の支持手段21aによってウェハ2が支持された状態で上部ユニット21及び下部ユニット22が閉じられた際には、ウェハ2は、上部ユニット21の支持手段21aで支持されなくなり、下部ユニット22の支持手段22aで支持されるようになる場合について主に説明する。なお、その場合には、上部ユニット21及び下部ユニット22の距離が、後述するように、規制手段41による規制の範囲内で変化したとしても、収容空間22cに収容されたウェハ2は、下部ユニット22に設けられた支持手段22aによって支持されていることが好適である。すなわち、規制手段41による規制の範囲内において上部ユニット21及び下部ユニット22の距離が変化したとしても、支持手段22aにおけるウェハ2の載置面が、支持手段21aにおけるウェハの載置面よりも上方側に位置しているものとする。一方、収容空間22cに収容されたウェハ2は、上部ユニット21に設けられた支持手段21aによって支持されてもよい。いずれの場合であっても、規制手段41による規制の範囲内において上部ユニット21及び下部ユニット22の距離が変化しても、収容空間22cにおいては、下部ユニット22側の支持手段22a、及び上部ユニット21側の支持手段21aの一方によってのみウェハ2が支持されていることが好適である。
支持手段22aは、略円柱形状の収容空間22cの外周側から軸心に向かって下方に傾斜するテーパ面と、テーパ面の下端側に繋がる水平方向の面である載置面とを少なくとも有する。複数の支持手段22aの各テーパ面によってウェハ2の位置決めがなされ、収容空間22cにおけるあらかじめ決められた位置(例えば、平面視における収容空間22cの中心位置)のウェハ2が、載置面で支持されるようになる。本実施の形態では、図6で示されるように、下部ユニット22に3個の支持手段22aが設けられている場合について主に説明するが、そうでなくてもよい。支持手段22aの個数は、例えば、1個や2個であってもよく、4個以上であってもよい。また、ウェハ2を適切に支持できるのであれば、支持手段22aの形状も問わない。
収容空間22cに流体を注入するための注入口と、収容空間22cから流体を排出するための排出口がそれぞれ、上部ユニット21及び下部ユニット22の少なくとも一方に設けられている。すなわち、注入口が上部ユニット21及び下部ユニット22の少なくとも一方に設けられており、排出口が上部ユニット21及び下部ユニット22の少なくとも一方に設けられているものとする。本実施の形態では、図6で示されるように、平面視において円形状である収容空間22cの一端側(図中右側)に、流体の注入口223a、223bが設けられており、他端側(図中左側)に、流体の排出口224d、224e、224fが設けられており、注入口223a、223bの間、及び収容空間22cの中心付近に、流体の排出口224a、224b、224cが設けられている場合について主に説明する。なお、注入口223a、223bを特に区別しない場合には、単に注入口223と呼ぶこともある。排出口224a~224fについても同様である。図6で示されるように、平面視における収容空間22cの一端側に注入口223a、223bが設けられており、他端側に排出口224d、224e、224fが設けられていることによって、全体として、一端側から他端側に流体が流れることになり、ウェハ2上に流体が滞留したり、ウェハ2上から流れ出た流体が再度、ウェハ2上に戻ったりすることを回避することができる。なお、図6で示されるように、全体として収容空間22cの一端側から他端側に流体が流れるのであれば、それら以外の排出口224a、224b、224cが設けられてもよい。また、その他の注入口223が設けられてもよい。
また、注入口223及び排出口224の配置は、図6で示される配置以外であってもよい。ただし、注入口223は、平面視において、収容空間22cに収容されたウェハ2の外周側、すなわち、収容空間22cにおいて支持されているウェハ2の外縁よりも外側に存在することが好適である。そのため、例えば、平面視において、注入口223は収容空間22cの周縁に設けられ、排出口224は収容空間22cの中心付近に設けられてもよい。本実施の形態では、注入口223及び排出口224の両方が、下部ユニット22に設けられる場合について主に説明するが、注入口223は、上部ユニット21に設けられてもよい。なお、排出口224は、通常、下部ユニット22に設けられることが好適であるが、上部ユニット21に設けられてもよい。
上部ユニット21及び下部ユニット22は、耐圧性のある材料によって構成されていることが好適である。その材料は、例えば、ステンレス鋼等であってもよい。また、パーティクルの発生を防止するため、その表面には所定のコーティング(例えば、DLC(Diamond‐Like Carbon)などの硬質膜のコーティング等)がなされてもよい。
また、上部ユニット21は、チャンバ11が閉じられた状態で収容空間22cの上面側となる位置に上部ヒータ21dを有しており、下部ユニット22はチャンバ11が閉じられた状態で収容空間22cの下面側となる位置に下部ヒータ22dを有している。すなわち、上部ユニット本体に上部ヒータ21dを装着することによって上部ユニット21が構成され、下部ユニット本体に下部ヒータ22dを装着することによって下部ユニット22が構成されることになる。上部ヒータ21d及び下部ヒータ22dは、収容空間22cの流体を加熱するために用いられる。収容空間22cにおいて、流体を超臨界状態にするためである。流体が二酸化炭素である場合には、例えば、上部ヒータ21d及び下部ヒータ22dによって二酸化炭素が31.1℃以上となるように加熱されてもよい。なお、上部ユニット21及び下部ユニット22に設けられた空間21f、22fは、それぞれ上部ヒータ21d及び下部ヒータ22dへの電力供給用の配線の通る空間である。また、収容空間22cを機密に保つため、図2等で示されるように、上部ヒータ21dと上部ユニット21の本体側との間、及び下部ヒータ22dと下部ユニット22の本体側との間にシール部21e、22eがそれぞれ設けられていてもよい。収容空間22cを機密に保つためである。シール部21e、22eはそれぞれ、後述するシール部23と同様のものであってもよい。
チャンバ11は、チャンバ11が閉じられた際に上部ユニット21及び下部ユニット22の間をシールするためのシール部23を有していてもよい。シール部23は、円環状の部材であり、下部ユニット22における収容空間22cの開口の環状の縁部分、または、その縁部分に対向する上部ユニット21の部分に配置されてもよい。シール部23は、例えば、図2~図4で示されるように、上部ユニット21の下端側に装着されてもよい。シール部23は、図10~図12で示されるように、断面が略U字形状のものであってもよい。その場合には、チャンバ11が閉じている状態において、収容空間22cの流体がシール部23を介して外部に流出しようとする際に、略U字形状の内側部分の圧力が高まってシール性がより向上し、収容空間22cの流体の流出を効果的に防止することができる。また、図10~図12で示されるように、シール部23は、例えば、シール押え23aによって押えられることによって、その位置が保持されてもよい。シール部23は、例えば、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素樹脂、またはシリコンなどの材料によって構成されてもよい。
開閉手段12は、上部ユニット21及び下部ユニット22の少なくとも一方を上下方向に移動させることによってチャンバ11を開閉する。上部ユニット21及び下部ユニット22が開閉手段12によって閉じられ、両者が嵌め合わされて一体化されることによって、ウェハ2に対して処理を行うための収容空間22cが形成される。また、シール部21e、22e、23が存在することによって、収容空間22cの気密性が高められる。本実施の形態では、開閉手段12が、ベース15に固定されたエアシリンダであり、ベース15に対して、矩形状の上面板16の四隅をそれぞれ同じタイミングで上下方向に移動させることによって、上部ユニット21を上下方向に移動させる場合について主に説明する。なお、図1では、一部の開閉手段12を省略している。
開閉手段12は、エアシリンダ以外のソレノイド、ラックアンドピニオンとピニオンを駆動させる回転駆動手段、または、ボールねじとねじ軸を回転させる回転駆動手段等によって構成されてもよい。また、上面板16の四隅のうち、1個から3個の隅に開閉手段12が設けられており、それ以外の箇所には上面板16の頂点部分を上下方向にガイドするためのガイド部材が設けられていてもよい。なお、本実施の形態では、開閉手段12が、上部ユニット21を上下方向に移動させる場合について説明するが、そうでなくてもよい。開閉手段12は、下部ユニット22を上下方向に移動させてもよく、上部ユニット21及び下部ユニット22の両方をそれぞれ上下方向の逆向きに移動させてもよい。
後述するように、開閉手段12によってチャンバ11が閉じられた後に、規制手段41による規制の範囲内において、上部ユニット21及び下部ユニット22は、上下方向に離れることができる。そのため、開閉手段12は、チャンバ11を閉じて収容空間22cの容積が最小となった後には、上部ユニット21及び下部ユニット22を閉じる方向の力を解除し、両者が規制手段41による規制の範囲内において、上下方向に移動できるようにすることが好適である。なお、開閉手段12による上部ユニット21及び下部ユニット22を閉じる方向の力は、例えば、収容空間22cの圧力が、あらかじめ決められた閾値の圧力よりも大きくなった後に解除されてもよい。
規制手段41は、チャンバ11が閉じた状態、すなわち上部ユニット21及び下部ユニット22が上下方向に嵌め合わされて、内部の収容空間22cが気密に保たれている状態において、上部ユニット21及び下部ユニット22の距離が上下方向に所定以上離れないように、上部ユニット21及び下部ユニット22の少なくとも一方の上下方向の移動を規制する。具体的には、上部ユニット21及び下部ユニット22の周縁部にそれぞれ設けられたフランジ状の突出部21b、22bの上下方向の移動が、規制手段41に設けられた凹部41aによって制限される。凹部41aは、平面視が円弧状である規制手段41の内周面側に、円周方向に沿って設けられており、凹部41aの上下方向の長さは、突出部21b、22bの上下方向の長さの合計よりも長くなっている。したがって、突出部21b、22bが凹部41aに挿入された状態でも、上部ユニット21及び下部ユニット22は、上下方向に移動可能となっている。ただし、突出部21b、22bが凹部41aに挿入された状態で上部ユニット21及び下部ユニット22が離れる方向に移動したとしても、チャンバ11は開かないものとする。すなわち、収容空間22cは、機密に保たれた状態であるとする。
規制手段41は、所定の移動手段によって、上部ユニット21及び下部ユニット22の少なくとも一方の上下方向の移動を規制する規制位置と、その規制を行わないリリース位置との間で移動されてもよい。本実施の形態では、移動手段が、ベース15に固定されたスライドレール43と、スライドレール43に摺動可能に設けられたスライドガイド44と、スライドガイド44に固定されたステージ42と、ステージ42をスライドレール43上で移動させる図示しない駆動手段とを備える場合について主に説明する。なお、ステージ42の上面側に規制手段41が固定されている。そのような移動手段によって、規制手段41は、スライドレール43の長手方向に移動可能となる。駆動手段は、例えば、エアシリンダ、ソレノイド、ラックアンドピニオンとピニオンを駆動させる回転駆動手段、または、ボールねじとねじ軸を回転させる回転駆動手段等であってもよい。本実施の形態では、図1で示されるように、3個の規制手段41によってチャンバ11の上部ユニット21と下部ユニット22との上下方向の移動が規制される場合について主に説明するが、規制手段41の個数は、例えば、2個であってもよく、4個以上であってもよい。複数の規制手段41の規制位置とリリース位置との間の移動は、独立して行われてもよく、連動して行われてもよい。
規制手段41による上部ユニット21及び下部ユニット22の上下方向の移動の規制について、図2~図4を用いて説明する。なお、図2~図4では、支持手段22aや、注入路221、排出路222の図示は省略している。図2は、チャンバ11が開いた状態を示しており、規制手段41はリリース位置に存在する。次に、開閉手段12によってチャンバ11が閉じられて収容空間22cの容積が最小になった後に、複数の規制手段41がそれぞれ規制位置に移動し、突出部21b、22bが複数の規制手段41の凹部41aに挿入されると、図3で示される状態となる。その後、収容空間22cへの流体の注入が開始され、収容空間22cの圧力が上昇することに応じて、規制手段41による規制の範囲内において、上部ユニット21及び下部ユニット22が上下方向に離れることによって収容空間22cの容積が最大になると、図4で示される状態となる。超臨界流体を用いた所定の処理は、図4で示される状態で行われることになる。流体が超臨界状態になる際には収容空間22cにおいて昇圧が行われる。その昇圧の開始前においては、収容空間22cの容積は最小であり、昇圧の完了後においては、収容空間22cの容積は最大となっている。したがって、その昇圧プロセスの途中において、収容空間22cの容積が最小の状態から最大の状態に変化することになるが、その変化する圧力は、昇圧後の圧力付近であることがより好適である。
収容空間22cの容積が最小である場合の上部ユニット21及び下部ユニット22の上下方向の距離と、収容空間22cの容積が最大である場合の上部ユニット21及び下部ユニット22の上下方向の距離との差は、例えば、1ミリメートル以上、10ミリメートル以下であってもよい。両距離の差が大きい場合には、上部ユニット21及び下部ユニット22の接合部においてパーティクル等が発生しやすくなるため、その観点からは、両距離の差は小さいことが好適である。そのため、両距離の差は、例えば、5ミリメートル以下であってもよく、3ミリメートル以下であってもよい。一方、後述するように、両距離の差に応じてガード部24またはガード部24以外の構成が上下方向に移動することによって、収容空間22cにおける流体の流れが変更されるため、その観点からは、両距離は大きいことが好適である。そのため、両距離の差は、例えば、2ミリメートル以上であってもよい。
ガード部24は、収容空間22cに設けられている。ガード部24は、例えば、上部ユニット21に設けられ、上部ユニット21と一緒に上下方向に移動してもよく、下部ユニット22に設けられ、下部ユニット22と一緒に上下方向に移動してもよい。そして、ガード部24は、収容空間22cの容積が最小になった際には、注入口223から注入された流体のウェハ2のパターン面への流れを低減させる位置となり、収容空間22cの容積が最大になった際には、注入口223から注入された流体のウェハ2のパターン面への流れを増加させる位置となる。すなわち、収容空間22cの容積が最小の場合よりも最大の場合のほうが、注入口223から注入された流体のウェハ2のパターン面への流れが増えることになる。ガード部24の位置は、他の構成に対するガード部24の相対的な位置である。したがって、後述するように、上部ユニット21及び下部ユニット22の距離が、規制手段41による規制の範囲内において変化した場合に、ガード部24自体が上下方向に移動してもよく、または、ガード部24以外の他の構成が上下方向に移動することによって、ガード部24の他の構成との位置関係が変化してもよい。
ウェハ2のパターン面とは、ウェハ2においてパターンの形成された面のことである。本実施の形態では、収容空間22cに収容されたウェハ2の上面がパターン面である場合について主に説明するが、収容空間22cに収容されたウェハ2の下面がパターン面となってもよい。ウェハ2のパターン面への流れを低減させるとは、ウェハ2のパターン面への流れがなくなることであってもよく、または、一部の流れがウェハ2のパターン面に到達することであってもよい。前者が理想的であるが、通常は後者のようになる。後者の場合であっても、パターン面の有機溶剤などの処理液が吹き飛ばない程度の流れしかパターン面に到達しないようになっていることが好適である。
ガード部24は、平面視においてウェハ2と注入口223との間の位置に設けられてもよい。図7A~図7Cは、収容空間22cにおけるガード部24の平面視における位置を示す図である。ガード部24は、図7A、図7Bで示されるように、収容空間22cに収容されたウェハ2の外周の一部に設けられてもよく、図7Cで示されるように、収容空間22cに収容されたウェハ2の外周の略すべてに設けられてもよい。図7Aでは、注入口223の付近にのみガード部24が設けられており、図7Bでは、注入口223の位置を含む、ウェハ2の約半周程度の領域にガード部24が設けられている。いずれの場合であっても、ガード部24は、ウェハ2の外縁よりも外側であり、注入口223よりもウェハ2側である位置に配置されることが好適である。また、ガード部24は、例えば、他の構成とは独立して設けられた部材であってもよく、他の構成と一体的に構成されたものであってもよい。
次に、図8を参照して、ガード部24を用いた流体の流れの変更について説明する。図8の左側は、収容空間22cの容積が最小である状態、すなわち昇圧開始時の状態における収容空間22c内の縦断面を示している。図8の右側は、収容空間22cの容積が最大である状態、すなわち昇圧後の状態における収容空間22c内の縦断面を示している。上述のように、収容空間22cにおいて、ウェハ2は、上部ユニット21側の支持手段21aによって支持されてもよく、下部ユニット22側の支持手段22aによって支持されてもよい。図8(a)、図8(b)では、ウェハ2が下部ユニット22の支持手段22aで支持されており、図8(c)、図8(d)では、ウェハ2が上部ユニット21の支持手段21aによって支持されているものとする。また、図8(a)、図8(c)では、ガード部24は、下部ユニット22に設けられており、図8(b)、図8(d)では、ガード部24は、上部ユニット21に設けられているものとする。また、図8では、収容空間22cの圧力の上昇に応じて、規制手段41による規制の範囲内で、上部ユニット21が上方側に移動するものとする。また、図8では、注入口223からの流体の流れを矢印で示している。なお、図8(e)については後述する。
図8(a)において、昇圧開始時には、左側で示されるように、ガード部24と上部ユニット21との間の隙間が小さくなっており、注入口223からの流体の流れが低減されることによって、ウェハ2の上面であるパターン面には、流体がほとんど当たらない。したがって、ウェハ2のパターン面上の処理液等が流体によって吹き飛ばされることを防止することができ、超臨界流体を用いた処理が行われるまで、パターン面に処理液を残留させることができる。一方、昇圧後には、右側で示されるように、ガード部24と上部ユニット21との隙間が大きくなり、注入口223からの流体の流れがウェハ2のパターン面に当たるようになり、パターン面の処理液を効率よく除去することができるようになる。
図8(b)において、昇圧開始時には、左側で示されるように、上部ユニット21の下面とウェハ2との隙間が、上部ユニット21に設けられたガード部24によって塞がれているため、注入口223からウェハ2のパターン面への流体の流れが低減されることになる。一方、昇圧後には、右側で示されるように、ウェハ2のパターン面と上部ユニット21の下面との隙間が大きくなり、ガード部24によって塞がれていない状態になるため、注入口223からの流体の流れがウェハ2のパターン面に当たるようになり、パターン面の処理液を効率よく除去することができるようになる。なお、この場合には、平面視において、ウェハ2の周縁とガード部24との隙間が小さくなっている、すなわち両者が近接していることが好適である。
図8(c)における状況は、上部ユニット21と一緒にウェハ2が上昇するかどうかが違う以外は、図8(a)における状況と同様であるため、その説明を省略する。
図8(d)において、昇圧開始時には、左側で示されるように、ガード部24と下部ユニット22との間の隙間が小さくなっており、注入口223からの流体の流れが低減されることによって、ウェハ2のパターン面には、流体がほとんど当たらない。したがって、ウェハ2の処理液等が流体によって吹き飛ばされることを防止することができ、超臨界流体を用いた処理が行われるまで、パターン面に処理液を残留させることができる。一方、昇圧後には、右側で示されるように、ガード部24と下部ユニット22との隙間が大きくなり、注入口223からの流体の流れがウェハ2のパターン面に当たるようになり、パターン面の処理液を効率よく除去することができるようになる。
図8(a)~図8(d)で示されるように、収容空間の昇圧の前後において、ガード部24と、ウェハ2や上部ユニット21、下部ユニット22などとの相対的な位置関係が変化することによって、昇圧開始時にはウェハ2のパターン面への流体の流れを低減させることができると共に、昇圧後にはウェハ2のパターン面への流体の流れを増加させることができる。その結果、超臨界状態になる前の流体がパターン面に吹き付けられることによってパターン面の処理液が除去されることを防止することができると共に、超臨界状態の流体がパターン面に当たることによって、パターン面の処理液を効率よく除去することができるようになる。また、超臨界流体を用いて処理液を除去するため、パターンが倒壊しないようにすることもできる。
次に、ウェハ2が下部ユニット22の支持手段22aによって支持されており、ガード部24が下部ユニット22側に設けられている場合のより詳細な構成について説明する。図9は、図6のA-A線におけるチャンバ11の縦断面図である。図9において、収容空間22cに収容されたウェハ2は、下部ユニット22に設けられた支持手段22aによって支持されている。図10は、図9の収容空間22cの右側付近を拡大した拡大断面図である。図10において、ガード部24は、下部ヒータ22dの周縁部に連続して設けられている。また、下部ヒータ22dの下面側に隙間が存在し、その隙間を流体が移動可能になっている。また、上部ヒータ21dの上面側にも隙間が存在し、その隙間を流体が移動可能になっている。昇圧開始時には、ガード部24の上端と、上部ヒータ21dの下面とが上下方向に近接した位置となっており、注入路221を介して注入口223aから注入された流体が、ウェハ2の上面側に進入することが防止される。そのため、ウェハ2のパターン面の処理液が除去されないことになる。例えば、収容空間22cへの二酸化炭素の供給を開始する際には、0.1MPa(1気圧)程度の収容空間22cに5MPa程度の二酸化炭素がボンベから供給される。そのような高圧の二酸化炭素がウェハ2のパターン面に直接当たると、パターン面の処理液が容易に吹き飛ばされ、パターンが倒壊する。一方、図10で示されるように、ガード部24と上部ヒータ21dとの間の隙間が狭いことによって、注入口223aから注入される二酸化炭素がウェハ2のパターン面に到達し難くなっている場合には、パターン面の処理液が吹き飛ばされることはないため、パターンの倒壊を回避することができる。
図10で示されるように、注入口223から注入された二酸化炭素は、上部ヒータ21dの上面側や、下部ヒータ22dの下面側を通って収容空間22cに充満する。そして、二酸化炭素の供給が開始されると程なくして、収容空間22cが5MPa程度の圧力となる。その後には、加圧ポンプなどの昇圧機構を用いて昇圧された二酸化炭素が収容空間22cに供給される。昇圧された二酸化炭素が注入されることによって、収容空間22cの圧力は上昇する。収容空間22cの圧力の上昇に応じて、上部ユニット21は上方に移動する。なお、昇圧機構を用いた二酸化炭素の供給開始後は、二酸化炭素が注入口223から勢いよく供給されることはなくなる。したがって、昇圧機構を用いた二酸化炭素の供給開始後に、上部ユニット21が上昇し始めることが好適である。そのようにして、収容空間22cの容積が最大になったとする。図11は、その状態を示す拡大断面図である。なお、排出口224につながる排出路222には、圧力調整バルブが接続されており、収容空間22cの圧力が所定値を超えると、流体の排出が行われることになる。このようにして、収容空間22cの圧力が所定値に保たれることになる。
図11で示されるように、上部ユニット21が上方に移動すると、ガード部24の上端と、上部ヒータ21dの下面との隙間が大きくなる。その結果、注入口223aからの流体が、ウェハ2の上面に流れるようになり、ウェハ2のパターン面に残留していた有機溶剤等の処理液が、超臨界流体に溶解されて排出口224から排出される。なお、下部ヒータ22dの下面側を流れる流体は、収容空間22cの下面に設けられた排出口224b、224cから排出される。また、ウェハ2のパターン面を流れる流体も、ウェハ2の端部から下部ヒータ22d側に落ちることになり、孔22hを介して下部ヒータ22dの下面側に流れて排出口224b、224cから排出される。この孔22hが存在することにより、ウェハ2の下面と下部ヒータ22dの上面との間を流れる流体の流量を低減することができ、ウェハ2がばたつくことを抑制することができる。孔22hは、ウェハ2からの流体が逆流することなく排出口224側に流れる角度で、下部ヒータ22dの全周に亘って複数、設けられていてもよい。一方、上部ヒータ21dの上面側を流れる流体は、収容空間22cの周辺部に設けられた排出口224a、224d、224e、224fから排出される。なお、図11で示されるように、ガード部24の上端と、上部ヒータ21dの下面との隙間が大きくなることによって、下部ユニット22の本体側と、上部ヒータ21dとの間を通過して、上部ヒータ21dの上方側に流れる流体の流量は低減されることになる。
図12は、図6のB-B線の位置でのチャンバ11の縦断面図における排出口224d付近を拡大した拡大断面図である。図10~図12で示されるように、下部ユニット22には、収容空間22cの外周に沿って溝部22gが設けられている。溝部22gは、図10~図12で示されるように、チャンバ11が閉じられた状態において、シール部23の下方側となる位置に、上方に開口するように設けられている。そのため、シール部23や、上部ユニット21及び下部ユニット22の接合部において生じたパーティクル17などを効率よく受けることができる。また、上部ヒータ21dの上面側を通過した流体も、溝部22gで受けられることが好適である。そのため、上部ヒータ21dと下部ユニット22の本体側との間の隙間は、上部ヒータ21dの上面側から溝部22gに至る流路よりも狭くなっていることが好適である。さらに、溝部22gの底部に、排出口224a、224d、224e、224fが設けられている。そのため、溝部22gで受けられたパーティクル17等を、ウェハ2の側に拡散させることなく排出することができ、溝部22gで受けられたパーティクル17等がウェハ2のパターン面に付着する可能性を低減することができる。また、ウェハ2の上面を通過した流体は、下部ヒータ22dの下面側を介して、収容空間22cの中央付近の排出口224b、224cから排出される。
次に、下部ガード部241と上部ガード部242とを有するガード部24について、図8(e)、図13を用いて説明する。図13(a)は、上部ガード部242の一例を示す平面図であり、図13(b)は、上部ガード部242の一例を示す側面図である。図8(e)において、ウェハ2は下部ユニット22の支持手段22aで支持されているものとする。また、下部ガード部241は、下部ユニット22に設けられており、上部ガード部242は、上部ユニット21に設けられているものとする。下部ガード部241は、平面視においてウェハ2と注入口223との間の位置に設けられている。また、上部ガード部242も、平面視においてウェハ2と注入口223との間の位置に設けられており、水平方向に流体が通過可能な複数の孔242aを有している。また、下部ガード部241及び上部ガード部242は、平面視において、ウェハ2の外周側に並列して設けられているものとする。本実施の形態では、下部ガード部241が内側となり、上部ガード部242が外側となる場合について主に説明するが、逆であってもよい。また、上部ガード部242の複数の孔242aの上下方向の位置は、収容空間22cの容積が最小の場合、すなわち昇圧開始時には、下部ガード部241の上下方向の位置と略一致し、収容空間22cの容積が最大の場合、すなわち昇圧後には、下部ガード部241よりも上方になるものとする。より具体的には、昇圧開始時には、複数の孔242aの上端は、下部ガード部241の上端よりも下方に位置していることが好適であり、昇圧後には、複数の孔242aの下端は、下部ガード部241の上端よりも上方に位置していることが好適である。そのようにすることで、図8(e)で示されるように、昇圧開始時には、複数の孔242aが下部ガード部241によって塞がれることによって、注入口223からの流体のウェハ2のパターン面への流れが低減されることになる。一方、昇圧後には、複数の孔242aが下部ガード部241によって塞がれなくなるため、注入口223からの流体の複数の孔242aを介したパターン面への流れが増加されることになる。なお、ここでは、上部ガード部242が複数の孔242aを有する場合について説明したが、そうでなくてもよい。上部ガード部242は、複数の孔242aを有していなくてもよい。その場合には、昇圧後に、上部ガード部242の下方側、及び下部ガード部241の上方側を介して注入口223からウェハ2のパターン面に超臨界流体が流れるようになっていることが好適である。
図13(a)は、上部ガード部242の平面図であり、図13(b)は、上部ガード部242の側面図である。上部ガード部242が、図7Bで示されるガード部24の位置に配置された場合には、図13(a)、図13(b)で示されるように、複数の孔242aは、上部ガード部242の表面に垂直な方向に設けられてもよい。図14は、図13で示される上部ガード部242の複数の孔242aを介して超臨界流体がウェハ2のパターン面に供給される様子を示す図である。図14で示されるように、注入口223から注入された超臨界流体は、上部ガード部242の複数の孔242aを介してウェハ2のパターン面に供給され、一部は排出口224aに排出されるが、多くは排出口224d、224e、224fに排出されることになる。したがって、全体としては、図中の右側から左側に超臨界流体が流れることになり、より均一な流れを実現することができる。そのため、超臨界流体に溶解した処理液が、ウェハ2のパターン面に留まることなく、適切に排出されるようになる。
次に、本実施の形態によるウェハ処理装置1の動作について具体的に説明する。まず、図1で示されるように、規制手段41がリリース位置に移動され、開閉手段12によってチャンバ11が開けられ、上部ユニット21及び下部ユニット22が上下方向に離間した状態になっているとする。その状態において、前工程の洗浄装置において、例えばIPA(イソプロピルアルコール)等の洗浄剤によって洗浄されたウェハ2が、搬送ロボットによって搬送され、上部ユニット21の下面側に搬入される。その搬入されたウェハ2は、支持手段21aによってパターン面が上面となるように支持される(図2)。
その後、開閉手段12によって上面板16が下降されることによってチャンバ11が閉じられる。なお、収容空間22cにおいては、ウェハ2は、下部ユニット22の支持手段22aによって支持されることになる。また、ステージ42がチャンバ11の軸心に向かって移動されることによって、規制手段41が、上部ユニット21及び下部ユニット22の少なくとも一方の上下方向の移動を規制する規制位置に移動される(図3)。
そして、二酸化炭素の注入路221に接続された注入バルブが開けられ、チャンバ11の収容空間22cに二酸化炭素が注入される。この時点では、収容空間22cの容積は最小となっており、注入口223から注入された二酸化炭素のウェハ2のパターン面への流れが上部ガード部242によって低減されているため、パターン面上のIPA等が注入された二酸化炭素によって吹き飛ばされることを防止することができる(図10)。二酸化炭素は、例えば、加圧ポンプなどの昇圧機構を用いて昇圧されて収容空間22cに注入される。また、上部ヒータ21d及び下部ヒータ22dによって、注入された二酸化炭素が加熱される。
注入された二酸化炭素は、収容空間22c内の圧力が臨界圧力7.38MPa以上、温度が臨界温度31.1℃以上になると超臨界状態となり、ウェハ2上のIPA等は、超臨界状態の二酸化炭素に溶解される。また、二酸化炭素の注入によって収容空間22cの圧力が上昇し、その圧力上昇に応じて、規制手段41による規制の範囲内で上部ユニット21及び下部ユニット22が離れることになる(図4)。その結果、注入された超臨界状態の二酸化炭素がウェハ2のパターン面により多く流れるようになり、パターン面上のIPA等が効率よく超臨界状態の二酸化炭素に溶解することになる。
収容空間22cにおける超臨界状態の二酸化炭素(超臨界流体)の圧力が一定値を超えると、排出路222に接続された排出バルブ(圧力調整バルブ)によって、収容空間22c内の圧力を保ちながら超臨界流体が徐々に排出される。このようにして、ウェハ2のパターン面に付着していたIPA等が溶解した超臨界流体が排出され、収容空間22cにおいて、ウェハ2からのIPA等の除去が行われることになる。
なお、収容空間22cは、少なくともIPA等の排出が完了するまで二酸化炭素が超臨界状態となる圧力及び温度に保たれることが好適である。収容空間22cは、例えば、圧力は7.4~15MPaに、また、温度は上部ヒータ21d及び下部ヒータ22dによって31~50℃に保たれることが好ましい。
収容空間22cへの二酸化炭素の注入は継続されるため、超臨界二酸化炭素流体の注入と、IPA等が溶解している超臨界二酸化炭素流体の排出が並行して行われることになる。IPA等が溶解している超臨界流体の排出が終了すると、注入バルブが閉じられ、収容空間22c内を排出バルブによって降圧し、超臨界流体を気体に相転換させてから排出する。その後、排出バルブが閉じられる。収容空間22cは、加温が停止されてもよく、31~50℃に維持されてもよい。なお、超臨界流体によるIPA等の排出が終了したかどうかは、例えば、IPA等を検知するセンサによって収容空間22c内においてIPA等を検知することによって確認されてもよい。IPA等を検知するセンサは、例えば、アルコール検知センサ等であってもよい。
その後、規制手段41は、リリース位置に移動される。また、開閉手段12によって上面板16が上昇されることによってチャンバ11が開けられ、上部ユニット21と下部ユニット22とが離間する。上部ユニット21と下部ユニット22とが離間することによって、ウェハ2は、下部ユニット22の支持手段22aによって支持された状態から、上部ユニット21の支持手段21aによって支持された状態となり、上部ユニット21と一緒に上方に移動する。そして、超臨界流体を用いて乾燥されたウェハ2は、搬送ロボットによって搬出され、一連の乾燥処理が終了になる。
以上のように、本実施の形態によるウェハ処理装置1によれば、チャンバ11が閉じられた状態であっても、規制手段41による規制の範囲内において上部ユニット21及び下部ユニット22が相対的に上下方向に移動可能になっている。また、収容空間22cへの流体の注入による圧力上昇に応じて、収容空間22cに設けられたガード部24と、他の構成との相対的な位置関係が変化することにより、注入された流体のウェハ2のパターン面への流れを、昇圧開始時には低減することができると共に、昇圧後には増加させることができるようになる。その結果、昇圧開始時には、超臨界流体ではない流体によってIPA等の処理液がパターン面から吹き飛ばされることにより、パターンが崩壊することを防止することができる。また、そのことを、昇圧前用の注入口と昇圧後用の注入口とをそれぞれ別々に設けることなく、簡易な構成によって実現することができる。また、昇圧後には、超臨界流体によって、パターン面上のIPA等の処理液を効率よく除去することができ、処理時間を短縮することができる。
また、平面視における収容空間22cの一端側に注入口223が設けられており、他端側に排出口224が設けられていている場合には、ウェハ2のパターン面上を一方向に超臨界流体が流れることになり、IPA等の処理液を含む超臨界流体がウェハ2上に滞留することや、処理液を含む超臨界流体がウェハ2に戻ることを回避することができる。その結果、効率よく処理液を除去することができるようになる。
また、収容空間22cの外周側であって、シール部23の下方側に溝部22gが設けられており、溝部22gの底部に排出口224が設けられていることにより、シール部23や、上部ユニット21と下部ユニット22との接触部分において生じたパーティクル等を溝部22gから排出することができ、パーティクル等がウェハ2のほうに拡散してパターン面に付着することを防止することができる。
なお、本実施の形態では、クランプに類似した規制手段41によって上部ユニット21及び下部ユニット22の上下方向の移動が規制される場合について説明したが、そうでなくてもよい。規制手段は、例えば、棒状の部材であってベース15側に設けられており、上部ユニット21や上面板16の上方への移動を規制する規制位置と、その規制を解除するリリース位置との間を移動されるものであってもよい。また、規制手段は、上部ユニット21及び下部ユニット22の上下方向の移動を規制できるものであれば、その他の構成であってもよい。
また、本実施の形態の図10、図11では、ガード部24が下部ヒータ22dと一体的に構成されている場合について説明したが、そうでなくてもよい。ガード部24は、例えば、上部ユニット21や、下部ユニット22の下部ヒータ22dとは異なる構成と一体的に設けられてもよく、または、上部ユニット21もしくは下部ユニット22に固定された独立した部材であってもよい。
また、本実施の形態では、上部ユニット21が上部ヒータ21dを有しており、下部ユニット22が下部ヒータ22dを有している場合について説明したが、そうでなくてもよい。上部ユニット21は上部ヒータ21dを有していなくてもよく、また、下部ユニット22は下部ヒータ22dを有していなくてもよい。
また、本実施の形態では、収容空間22cの外周側に収容されたウェハ2を取り囲むように環状の溝部22gが設けられている場合について説明したが、そうでなくてもよい。収容空間22cには、溝部22gが設けられていなくてもよい。
また、本実施の形態では、収容空間22cが所定の圧力になるまでは流体の排出が行われない場合について説明したが、そうでなくてもよい。二酸化炭素などの流体をボンベから収容空間22cに供給し始めた際に、所定の期間(例えば、数秒程度)だけ排出口224を介した排気を行い、その後に、排気を終了して収容空間22cの圧力が上昇するようにしてもよい。そのようにすることで、昇圧開始時に収容空間22cに残留しているパーティクルや粉塵等を、収容空間22cから排出することができる。
また、本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。